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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20241022BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241022BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241022BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20241022BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6567
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020047253
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021150091
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】伊川 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】山中 雅樹
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0133691(KR,A)
【文献】特開2016-138698(JP,A)
【文献】特表2019-504448(JP,A)
【文献】特開2017-112032(JP,A)
【文献】特開平09-322841(JP,A)
【文献】特開2005-061690(JP,A)
【文献】特開2018-138834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6556
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6567
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の中空部を熱交換媒体が流通する熱交換流路として構成された伝熱部を備え、前記伝熱部の外面に配置された熱交換対象部材と前記熱交換媒体との間で熱交換するようにした熱交換器であって、
前記伝熱部の外面部の少なくとも一部が、金属製の伝熱層の少なくとも片面側に樹脂製の被覆層が設けられたラミネート材である被覆シートによって構成され、
前記熱交換流路を形成する流路形成部材が前記伝熱部内部に設けられ、
前記熱交換器を外部部材に固定する固定部が前記流路形成部材に設けられ、
前記流路形成部材には前記熱交換流路を形成する複数の突条が設けられ、
前記流路形成部材の外側部分に前記熱交換流路を取り囲むように、前記複数の突条の上縁よりも低い位置に平面部が設けられ、
前記被覆シートには前記複数の突条を収容する凹部が形成され、
前記被覆シートの周縁が前記平面部と接合されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記流路形成部材が樹脂製である請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記固定部の一部は前記被覆シートの外側に突出している請求項1または2に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の伝熱層に樹脂製の被覆層が積層されたラミネート材が外面部に設けられた熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(EV)等においては、電動機を駆動するための電力を供給するバッテリー装置が搭載されている。このようなバッテリー装置としては、リチウム二次電池等の各種の二次電池からなる複数個の小型単電池が直列または並列に多数接続されて組電池の形態としたものが一般に用いられている。特に近年になって電気自動車の航続距離を延長させるために、複数の組電池が直列または並列に組み合わされて、バッテリー装置のさらなる大容量化が進められている。
【0003】
一方、バッテリー装置として多く用いられるリチウム二次電池は、使用温度によって性能や寿命が大きく変化するため、長期間にわたって効率良く使用するには適正な温度に管理するのが好ましい。しかしながら、上記のような複数の組電池の形態で使用した場合、複数の組電池が密接して配置されているため、各組電池や各単電池から発生する熱を効果的に放出させることは困難であり、各組電池毎の温度が上昇してしまい性能や寿命が低下してしまうおそれがある。
【0004】
そこで下記特許文献1に示すような薄型の熱交換器を用いて、複数の組電池を冷却するようにした技術が開発されている。この熱交換器は、2枚の金属製皿状プレートを対向合致させて熱交換器(扁平チューブ)を形成し、複数の組電池の各間に扁平チューブがそれぞれ配置されることによって、組電池の各単電池から発せられる熱を、扁平チューブ内を流通する冷媒(冷却水)を介して外部に放出させるようにしている。
【0005】
このような技術背景の下、自動車バッテリー装置としての複数の組電池を冷却するための熱交換器は、他の自動車部品と同様、薄型化、小型軽量化、低コスト化が可及的に求められ、その一環として、下記特許文献2に示すような柔軟性の高いラミネート材を用いた熱交換器の採用が検討されている。
【0006】
ラミネート材を用いた熱交換器は、アルミニウム箔ないしアルミニウム薄板製の伝熱層の両面に樹脂製の被覆層が積層されたラミネート材が2枚重ね合わされて袋状に接合された外包袋を備え、外包袋の内部に冷媒を循環できるように構成されている。そして複数の組電池の各間に外包袋が配置されて、組電池の各単電池から発せられる熱を、各外包袋の内部を流通する冷媒を介して外部に放出させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-199149号公報
【文献】特開2020-3132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記ラミネート材を用いた熱交換器は外装のラミネート材が柔らかいため、外装に固定部を設けて熱交換器を装置として固定することが困難であった。
【0009】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、装置として固定することができるラミネート材を用いた熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0011】
[1]内部の中空部を熱交換媒体が流通する熱交換流路として構成された伝熱部を備え、前記伝熱部の外面に配置された熱交換対象部材と前記熱交換媒体との間で熱交換するようにした熱交換器であって、
前記伝熱部の外面部の少なくとも一部が、金属製の伝熱層の少なくとも片面側に樹脂製の被覆層が設けられたラミネート材である被覆シートによって構成され、
前記熱交換流路を形成する流路形成部材が前記伝熱部内部に設けられ、
前記熱交換器を外部部材に固定する固定部が前記流路形成部材に設けられていることを特徴とする熱交換器。
【0012】
[2]前記流路形成部材が樹脂製である前項1に記載の熱交換器。
【0013】
[3]前記流路形成部材の外側に前記被覆シートを接合する平面部が設けられている前項1または2に記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0014】
[1]の発明によれば、熱交換流路を形成する流路形成部材が伝熱部内部に設けられ、熱交換器を外部部材に固定する固定部が流路形成部材に設けられていることで、ラミネート材を用いた熱交換器を装置として固定することができる。さらに、部品点数が少ないため、組み立てや組付けが行い易い熱交換器を提供することもできる。
【0015】
[2]の発明によれば、流路形成部材が樹脂製であることで電気絶縁性を有するため、単電池や組電池等の電池を熱交換するのに好適な熱交換器を提供することができる。
【0016】
[3]の発明によれば、流路形成部材の外側に被覆シートを接合する平面部が設けられていることで、被覆シートと流路形成部材との接合部が平面となるため、接合面には三重点が形成されることがない。このため、密閉性に優れた熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は第1実施形態の熱交換器を示す斜視図である。
図2図2は第1実施形態の熱交換器を分解して示す分解斜視図である。
図3図3図1の端面を拡大して示す図であって、図(A)はA-A線における端面図、図(B)はB-B線における端面図、図(C)はC-C線における端面図である。
図4図4は第2実施形態の熱交換器を分解して示す分解斜視図である。
図5図5は第3実施形態の熱交換器の一部を拡大して示す端面図である。
図6図6は第4実施形態の熱交換器の一部を拡大して示す端面図である。
図7図7は第5実施形態の熱交換器の一部を拡大して示す端面図である。
図8図8は第6実施形態の熱交換器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
本発明の熱交換器は、電気自動車等の電動機を駆動するための電力供給用の単電池(バッテリーセル)や組電池(電池パック)等の電池を冷却するものである。
【0019】
図2に示すように、第1実施形態の熱交換器1は内部の中空部を熱交換媒体が流通する熱交換流路31として構成された伝熱部2を備えている。
【0020】
また、第1実施形態の熱交換器1は長方形状に形成されているが、正方形状であってもよく、さらに、これらの形状に限らず、熱交換器1内部に熱交換媒体が流れる形状であればよい。
【0021】
なお、熱交換媒体としては冷却水あるいは不凍液等の冷却液を用いることができる。
【0022】
本発明の伝熱部は、その外面に配置された熱交換対象部材と熱交換媒体との間での熱交換に寄与するところである。
【0023】
なお、熱交換対象部材とは例えば、上述した単電池(バッテリーセル)や組電池(電池パック)等の電池のことである。
【0024】
図2に示すように、第1実施形態の伝熱部2は、伝熱部2の外面部に設けられる被覆シート6と、伝熱部2内部に設けられる流路形成部材3とを備えている。
【0025】
本発明の被覆シートは、金属製の伝熱層の少なくとも片面側に樹脂製の被覆層が設けられたラミネート材からなり、伝熱部の外面部の少なくとも一部として構成されるものである。
【0026】
また、被覆シートに用いられるラミネート材は伝熱層の少なくとも片面側に樹脂製の被覆層が積層された少なくとも2層以上の構造であればよく、3層あるいは4層以上の構造としてもよい。
【0027】
図1および2に示すように、第1実施形態では伝熱部2の外面部は2つの被覆シート6により構成されており、これらの被覆シート6はアルミニウム箔等の金属箔製の伝熱層と、その伝熱層の両面に積層一体化された熱可塑性樹脂製の被覆層とで3層に構成されたラミネート材によって構成されている。
【0028】
被覆シート6には、プレス加工により第1凹部61と、外周縁部にフランジ部63とが形成されており、このフランジ部63には後述する固定部7の形状に適合する4つの第2凹部62が形成されている。
【0029】
また、図1および2に示すように、被覆シート6には出入口64が設けられている。
【0030】
本発明の出入口は、冷却液Lを熱交換器内部に流出入させるためのものである。
【0031】
第1実施形態では、2つの出入口64が上側被覆シート6における第1凹部61の長手方向の両端付近に設けられている。
【0032】
本発明の流路形成部材は、伝熱部内部に設けられて熱交換流路を形成するものである。
【0033】
この流路形成部材は樹脂製であることが好ましく、例えば硬質合成樹脂によって構成される。このように流路形成部材が樹脂製であることで電気絶縁性を有するため、単電池や組電池等の電池を熱交換するのに好適な熱交換器を提供することができる。
【0034】
図2に示すように、第1実施形態では、流路形成部材3が伝熱部2内部に配置されて、流路形成部材3の上下面には熱交換流路31が4つずつ形成されている。この熱交換流路31の数は特に限定されるものではない。
【0035】
第1実施形態では、熱交換器1を外部部材(図示省略)に固定する固定部7が流路形成部材3の4隅に設けられており、全ての固定部7は流路形成部材3と一体に成形されている。このように、固定部7は流路形成部材3と一体に4隅に設けられることが好ましいが、これに限らず、流路形成部材3と固定部7とを別々に成形したものを用いてもよい。
【0036】
また、固定部7は流路形成部材3の4隅以外の位置に設けられていても良く、設けられる固定部7は4つより多くても少なくてもよい。
【0037】
また、固定部7には孔71が設けられており、この孔71を介して熱交換器1が外部部材に固定される。
【0038】
図1および2に示すように、第1実施形態の熱交換器1は、2つの被覆シート6の第1凹部61を互いに対向させフランジ部63どうしが重なり合うように配置され、その内部に流路形成部材3が設けられている。また重なり合ったフランジ部63の当接面が熱融着等によって接着され、同時に第2凹部62と固定部7との当接面も熱融着等によって接着されることで、図1に示す熱交換器1が形成される。
【0039】
図3(A)は図1のA-A線における端面図であり、流路形成部材3および固定部7は上下の被覆シート6と密着した状態に接合されており、固定部7に設けられた孔71は、フランジ部63よりも外側に位置している。このように孔71が被覆シート6の外側に設けられているため、熱交換器1を固定するための孔を被覆シート6に設ける必要がない。
【0040】
図3(B)は図1のB-B線における端面図であり、流路形成部材3と被覆シート6とは密着した状態に接合されている。
【0041】
図3(C)は図1のC-C線における端面図であり、固定部7は上下2つの被覆シート6における第2凹部62と隙間なく密着した状態に接合されている。
【0042】
第1実施形態の熱交換器1では、一方の出入口64から冷却液Lを流入して熱交換流路31に沿って流通させ他方の出入口64から流出させることで、各熱交換流路31に冷却液Lを循環させ、循環する冷却液Lと熱交換器1の外面に配置される熱交換対象部材との間で被覆シート6を介して熱交換させることによって、熱交換対象部材を冷却している。
【0043】
以上のように、第1実施形態の熱交換器1は熱交換流路31を形成する流路形成部材3が伝熱部2内部に設けられ、熱交換器1を外部部材に固定する固定部7が流路形成部材3に設けられていることで、ラミネート材を用いた熱交換器1を装置として固定することができる。さらに、部品点数が少ないため、組み立てや組付けが行い易い熱交換器1を提供することもできる。
【0044】
<第2実施形態>
図4は第2実施形態の熱交換器1を示す分解斜視図である。
【0045】
第2実施形態では、平面部5が流路形成部材3の外側部分に熱交換流路31を取り囲むように設けられており、この平面部5は上下の被覆シート6のフランジ部63と熱融着等によって接着されている。
【0046】
また図4に示すように、フランジ部63の表面は平面状となっており、第1実施形態のようにフランジ部63には第2凹部62が形成されていない。
【0047】
この第2実施形態の熱交換器1における他の構成は、上記第1実施形態の熱交換器1と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
【0048】
このように、流路形成部材3の外側部分に被覆シート6を接合する平面部5が設けられていることで、被覆シート6と流路形成部材3との接合部が平面となるため、接合面には三重点が形成されず冷却液Lが接合部から漏れ難くなる。このため、密閉性に優れた熱交換器1を提供することができる。ここで、三重点とは三部材が一点で接合する箇所であり、第1実施形態では上側被覆シート6と下側被覆シート6と固定部7とが一点で接合する箇所である。
【0049】
また、被覆シート6のフランジ部63が平面であるため、被覆シート6のプレス加工を容易に行うこともできる。
【0050】
また、第2実施形態の熱交換器1においても上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
<第3実施形態>
図5は第3実施形態の熱交換器1の一部を拡大して示す端面図である。
【0052】
第3実施形態では、固定部7が上下の被覆シート6のフランジ部63に覆われており、フランジ部63には固定部7の孔71に対応する位置にフランジ部63を貫通する貫通孔66が設けられている。
【0053】
第3実施形態のように、固定部7は被覆シート6に覆われていてもよく、第1および2実施形態のように固定部7の孔71が被覆シート6よりも外側に位置するように形成されるものに限定されない。
【0054】
この第3実施形態の熱交換器1における他の構成は、上記第1実施形態の熱交換器1と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
【0055】
また、第3実施形態の熱交換器1においても上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
<第4実施形態>
図6は第4実施形態の熱交換器1の一部を拡大して示す端面図である。
【0057】
第4実施形態では固定部7は流路形成部材3の内部に形成されている。すなわち図6の端面図において、流路形成部材3と下側被覆シート6とが当接する部分(以下、当接部分と称する)のうち、中央の当接部分を上下方向に貫通する孔71が形成され、この孔71に対応する位置に被覆シート6を貫通する貫通孔66が形成されている。
【0058】
また第4実施形態では、固定部7が中央の当接部分に1つあるいは複数形成されていてもよく、これに限らず、固定部7は中央以外の当接部分に1つあるいは複数形成されていてもよいし、複数の固定部7が複数の当接部分に形成されていてもよい。
【0059】
第4実施形態のように固定部7は流路形成部材3の内部に形成されてもよく、第1~3実施形態のように固定部7が流路形成部材3の外側に形成されるものに限定されない。
【0060】
また、第1~3実施形態では上下の被覆シート6がプレス成形されていたが、第4実施形態では上側の被覆シート6のみがプレス成形されている。もちろん、下側の被覆シート6のみがプレス成形されるようにしてもよい。
【0061】
第4実施形態の熱交換器1における他の構成は、上記第1実施形態の熱交換器1と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
【0062】
また、第4実施形態の熱交換器1においても上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
<第5実施形態>
図7は第5実施形態の熱交換器1の一部を拡大して示す端面図である。
【0064】
第5実施形態では、流路形成部材3の上側にのみ被覆シート6が設けられており、流路形成部材3の下面は伝熱部2の外面部を兼ねている。また、熱交換流路31は流路形成部材3の上面にのみ形成されている。なお、被覆シート6は流路形成部材3の下側にのみ設けてもよい。もちろん、この場合は熱交換流路31が流路形成部材3の下面にのみ形成されることになる。
【0065】
第5実施形態のように被覆シート6は流路形成部材3の上側にのみ設けてもよく、第1~4実施形態のように被覆シート6が流路形成部材3の上下両側に設けられるものに限定されない。
【0066】
第5実施形態の熱交換器1における他の構成は、上記第1実施形態の熱交換器1と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
【0067】
第5実施形態の熱交換器1は、熱交換対象部材を熱交換器1の片面にのみ配置して熱交換する際に好適に用いることができる。
【0068】
また、第5実施形態の熱交換器1においても上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
<第6実施形態>
図8は第6実施形態の熱交換器1を示す斜視図である。
【0070】
第6実施形態の熱交換器1は伝熱部2と、ヘッダー部材8とを備えている。
【0071】
ヘッダー部材8は流路形成部材3および熱交換器1の外枠を兼ねるものである。
【0072】
図8に示すように、ヘッダー部材8は入口ヘッダー部材81と出口ヘッダー部材82とを備えており、入口ヘッダー部材81は流路形成部材3の一端部として一体に成形され、出口ヘッダー部材82は流路形成部材3の他端部として一体に成形されている。また、入口ヘッダー部材81および出口ヘッダー部材82は外枠部材9と一体に成形されており、両ヘッダー部材81、82および外枠部材9は熱交換器1の外枠を形成している。なお、両ヘッダー部材81、82をそれぞれ出口ヘッダー、入口ヘッダーとしてもよい。
【0073】
両ヘッダー部材81、82はこれらの長手方向に連続して延びる角管形状で、これらの長手方向の一端部には配管部材4がそれぞれ形成されており、これらの配管部材4は熱交換器1内部に冷却液Lを流出入させるものである。また、これらの配管部材4は、両ヘッダー部材81、82に一体に成形されている。
【0074】
また、固定部7が両ヘッダー部材81、82の長手方向の中央付近に一体に成形されており、固定部7の孔71は両ヘッダー部材81、82よりも熱交換器1の外側に位置するように形成されている。
【0075】
第6実施形態では図8に示すように、伝熱部2の全域が2枚の被覆シート6で上下両側から被覆され、これらの被覆シート6の外周縁部がヘッダー部材8および外枠部材9と熱融着等により接着固定されることで、熱交換器1が形成されている。
【0076】
第6実施形態の熱交換器1における他の構成は、上記第1実施形態の熱交換器1と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
【0077】
第6実施形態の熱交換器1では、伝熱部2の外面部と接触するように熱交換対象部材が配置され、冷却液Lが配管部材4を介して入口ヘッダー部材81内に流入されると、冷却液Lは入口ヘッダー部材81内で分流し、伝熱部2内部の熱交換流路31を流通する。その後、冷却液Lは出口ヘッダー部材82内で合流した後、配管部材4を介して流出する。
【0078】
こうして冷却液Lが熱交換流路31内を循環する一方、循環する冷却液Lと伝熱部2の外面部に配置される熱交換対象部材との間で被覆シート6を介して熱交換することにより熱交換対象部材が冷却される。
【0079】
以上のように、第6実施形態の熱交換器1は、熱交換器1の外枠および流路形成部材3を兼ねるヘッダー部材8、外枠部材9、配管部材4ならびに固定部7が一体に成形されているため、部品点数を少なくして熱交換器1を製造することができ、製造コストを下げることができる。
【0080】
また、第6実施形態の熱交換器1においても上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の熱交換器は、例えばハイブリッド自動車、電気自動車等に採用される電動機駆動用バッテリー装置等の発熱体を冷却するための冷却装置として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0082】
1:熱交換器
2:伝熱部
3:流路形成部材
5:平面部
6:被覆シート
7:固定部
31:熱交換流路
L:熱交換媒体(冷却液)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8