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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】昇降装置および移動体
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
B66F9/24 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021049218
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147808
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2024-01-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年12月21日に株式会社デンソー北海道に販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】前田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】坂内 和典
(72)【発明者】
【氏名】奥野 慧
(72)【発明者】
【氏名】栗田 悟
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-034932(JP,A)
【文献】実開平02-066595(JP,U)
【文献】特開平09-268784(JP,A)
【文献】特開平08-053297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24-11/04
B66F 1/00- 5/04
B66F 7/00- 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される昇降装置であって、
支持体と、
上下方向に延びた駆動軸を有し、前記支持体に支持された駆動モータと、
前記駆動軸よって回転される雌ネジ部材と、前記上下方向に延び前記雌ネジ部材と結合し、前記支持体に対して前記上下方向に移動可能な雄ネジ部材とを、それぞれが有し、前記駆動軸の周囲に配置され、前記駆動軸の回転運動を前記雄ネジ部材の上下動に変換する複数のネジ対偶と、
前記上下方向に間隔を空けて並べられ、複数の前記雄ネジ部材を連結し、複数の前記雄ネジ部材と一体に前記上下方向に移動する二つの連結部材と、
を備えた昇降装置。
【請求項2】
前記二つの連結部材のうち下側の前記連結部材には、前記駆動モータが挿入され、前記下側の前記連結部材と前記駆動モータとの前記上下方向の相対移動を許容する開口部が設けられた、
請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記駆動軸と前記雌ネジ部材との間に介在し、前記駆動軸の動力を前記雌ネジ部材に伝達するギヤを備えた、
請求項1に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記駆動軸の回転数を計測する回転数センサと、
前記支持体に支持され、投光部と前記投光部と前記上下方向と交差する方向に間隔を空けて設けられた受光部と、を有した透過型センサと、
前記雄ネジ部材と一体に前記上下方向に移動し、前記投光部と前記受光部との間を通過する遮光部と、
を備えた、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項5】
前記二つの連結部材のうち上側の前記連結部材に支持され前記上側の前記連結部材と一体に前記上下方向に移動し、前記上側の前記連結部材よりも前記上下方向と交差する方向の形状が大きく、昇降対象が積載される積載板と、
前記積載板に設けられ、前記昇降対象を支持して前記上下方向と交差する方向の前記積載板に対する前記昇降対象の移動を制限する制限部と、
を備えた、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項6】
走行可能な移動体であって、
請求項1に記載の昇降装置と、
前記二つの連結部材のうち下側の前記連結部材が通過可能な開口部が設けれ、前記昇降装置を支持するシャーシと、
を備えた移動体。
【請求項7】
前記移動体の前後方向における前記移動体の中央部において前記シャーシに支持され、互いに独立して駆動可能な二つの駆動輪と、
前記二つの駆動輪に対して前記前後方向に間隔を空けて位置し前記シャーシに支持された一つ以上の従動輪と、
を備えた、請求項6に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降装置および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行をする無人搬送走行装置等は、工場や倉庫などにおいて、カゴ台車の運搬手段として、用いられることも多い。従来は、走行装置がカゴ台車を牽引しながら運搬することが主流だったが、近年では旋回半径や走行通路幅を考慮し、カゴ台車に潜り込んで運べる低床型無人搬送車による運搬も増加している。カゴ台車に潜り込んで運ぶ方法は主に無人搬送走行装置に備えたピンをカゴ台車に差し込んで運ぶ潜り込み牽引型と、無人搬送走行装置に備えた昇降装置により台車を持ち上げて運ぶ潜り込み積載型がある。なかでも積載型は、台車重量が無人搬送走行装置の車体にかかることにより、無人搬送走行装置車輪の推進力が増加することで無人搬送走行装置本体の重さに依らず重量物を運搬することができる。
【0003】
昇降装置は、シザースリンク機構やラックアンドピニオン機構を組み合わせた場合に構造が大掛かりで複雑となるが、構造が簡単な直動ガイドに長いストロークを設定すると昇降装置のコンパクト化が難しくなるという課題があった。
【0004】
特許文献1には、上記問題の解決のために搬送物を支持するリフト台と、リフト台を支持して伸縮にてリフト台を昇降する複数の油圧シリンダと、複数の油圧シリンダ間に上下方向へ多段に伸縮するテレスコピック型の直動ガイドを機械的同調機構として備えることで、直動駆動源を用いながら昇降装置をコンパクトに保つ方式が記載されている。これにより無人搬送車が低床式の場合にも、リフト台の昇降ストロークを充分に確保できる。
【0005】
特許文献2には、ネジ式ジャッキを用いて円筒の内外周にネジが切られた円筒を用いることで搬送車を薄型にしつつリフト量を増加させ、さらに、高積載負荷に耐えることが可能な搬送車が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のシステムでは、昇降装置は、シザースリンク機構やラックアンドピニオン機構を組み合わせる場合に構造が大掛かりで複雑となり、構造が簡単な直動ガイドに長いストロークを設定すると昇降装置のコンパクト化が難しくなるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、構成のコンパクト化がしやすいとともに昇降のストロークを確保しやすい昇降装置および移動体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の昇降装置は、移動体に搭載される昇降装置であって、支持体と、上下方向に延びた駆動軸を有し、前記支持体に支持された駆動モータと、前記駆動軸よって回転される雌ネジ部材と、前記上下方向に延び前記雌ネジ部材と結合し、前記支持体に対して前記上下方向に移動可能な雄ネジ部材とを、それぞれが有し、前記駆動軸の周囲に配置され、前記駆動軸の回転運動を前記雄ネジ部材の上下動に変換する複数のネジ対偶と、前記上下方向に間隔を空けて並べられ、複数の前記雄ネジ部材を連結し、複数の前記雄ネジ部材と一体に前記上下方向に移動する二つの連結部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、構成のコンパクト化しやすいとともに昇降のストロークを確保しやすい昇降装置および移動体を得ることができという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態の移動体および台車を例示的に示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態の移動体を例示的に示す斜視図である。
図3図3は、実施の形態の移動体を例示的に示す斜視図であって、積載板が取り外された状態の図である。
図4図4は、実施の形態の移動体を例示的に示す斜視図であって、昇降装置が取り外された状態の図である。
図5図5は、実施の形態の昇降装置を例示的に示す側面断面図である。
図6図6は、実施の形態の昇降装置の昇降ベースを含む部分を例示的に示す平面図である。
図7図7は、実施の形態の昇降装置を例示的に示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、昇降装置および移動体の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、実施の形態の移動体100および台車300を例示的に示す斜視図である。図1に示すように、移動体100は、昇降装置200に台車300を搭載可能である。移動体100は、例えば、無人搬送車である。台車300は、昇降対象の一例である。なお、以下の説明で上下方向は、移動体100および昇降装置200の上下方向である。
【0013】
台車300は、フレーム301と、複数の車輪302と、を有する。一例として、車輪は、台車300の前後左右の部分にそれぞれの一つずつ設けられている。複数の車輪302は、フレーム301の下部に結合されている。
【0014】
図2は、実施の形態の移動体100を例示的に示す斜視図である。図3は、実施の形態の移動体100を例示的に示す斜視図であって、積載板40が取り外された状態の図である。図4は、実施の形態の移動体100を例示的に示す斜視図であって、昇降装置200が取り外された状態の図である。
【0015】
図2~4に示すように、移動体100は、本体29と、本体29に搭載された昇降装置200と、を備える。本体29は、走行可能であり、昇降装置200は、台車300を支持した状態で当該台車300を昇降可能である。
【0016】
本体29は、シャーシ30と、二つの駆動輪31,32と、従動輪33と、を有する。シャーシ30は、低床に構成されている。シャーシ30には、その中央部に昇降装置200が収容される空間(空洞)が設けられており、昇降装置が搭載された状態で昇降装置200の駆動モータ3と下連結板17と干渉しないように構成されている。また、シャーシ30の上壁には、昇降装置200の下連結板17が通過可能な開口部30a(図4)が設けられている。
【0017】
図4に示すように、二つの駆動輪31は、移動体100の前後方向における移動体100の中央部においてシャーシ30に支持されている。二つの駆動輪31,32は、互いに差動可能に設けられている。換言すると、二つの駆動輪31,32は、互いに独立して回転駆動可能である。一例として、二つの駆動輪31,32は、駆動輪31,32ごとに設けられたモータによって回転駆動される。
【0018】
従動輪33は、二つの駆動輪31,32に対して前後方向に間隔を空けて位置しシャーシ30に支持されている。従動輪は、一つ以上設けられていればよい。
【0019】
上記構成の移動体100は、前後走行とスピンターンが可能である。このような移動体100は、シャーシ30の中心を軸に旋回でき、旋回したときの占有半径を小さくすることができる。なお、本実施の形態では、一例して差動二輪の構成を説明するが、これに限定するものではない。
【0020】
図5は、実施の形態の昇降装置200を例示的に示す側面断面図である。図6は、実施の形態の昇降装置200の昇降ベース2を含む部分を例示的に示す平面図である。図7は、実施の形態の昇降装置200を例示的に示す底面図である。
【0021】
図5,6に示すように、昇降装置200は、支持体1と、昇降ベース2と、駆動モータ3と、複数(一例として4つ)のネジ対偶21~24と、伝達機構26と、下連結板17と、上連結板18と、積載板40と、を有する。なお、ネジ対偶21~24の数は、上記に限定されない。例えば、ネジ対偶21~24は、3つ等であってもよい。本実施の形態では、ネジ対偶21~24は、3つ以上であるとも言える。
【0022】
支持体1は、シャーシ30の上面に固定されている。支持体1は、支持体1は、構造体やフレームとも称される。
【0023】
昇降ベース2は、支持体1の上部に固定されている。昇降ベース2は、上下方向に薄い扁平形状に形成されている。昇降ベース2は、昇降板とも称される。
【0024】
駆動モータ3は、昇降ベース2の中央部に配置され、昇降ベース2に支持されている。すなわち、駆動モータ3は、昇降ベース2を介して支持体1に支持されている。駆動モータ3は、本体3aと、駆動軸3bと、を有する。本体3aは、モータケースおよび固定子を含む。駆動軸3bは、上下方向に延び、本体3aから上方に突出している。駆動軸3bは、本体3aに回転可能に支持されている。
【0025】
ネジ対偶21~24は、駆動軸3bの周囲に配置されている。ネジ対偶21~24は、それぞれ、雌ネジ部材9~12と、雄ネジ部材13~16と、を有する。
【0026】
雌ネジ部材9~12は、昇降ベース2に回転可能に支持されている。すなわち、雌ネジ部材9~12は、昇降ベース2を介して支持体1に回転可能に支持されている。雌ネジ部材9~12は、伝達機構26を介して駆動軸3bに連結されている。雌ネジ部材9~12は、伝達機構26を介して駆動軸3bよって回転される。雌ネジ部材9~12は、内周面に雌ネジ部が形成されている。雌ネジ部材は、例えば、ナットである。
【0027】
雄ネジ部材13~16は、上下方向に延びている。すなわち、雄ネジ部材13~16は、駆動軸3bと平行である。雄ネジ部材13~16は、それぞれ雌ネジ部材9~12と結合している。雄ネジ部材13は、昇降ベース2および支持体1に対して上下方向に移動可能に設けられている。雄ネジ部材13~16は、雄ネジやボルトであり、外周面に雄ネジ部が形成されている。
【0028】
ネジ対偶21~24は、駆動軸3bの回転運動を雄ネジ部材13~16の上下動に変換する。ネジ対偶21~24は、昇降機構とも称される。
【0029】
伝達機構26は、駆動軸3bと雌ネジ部材9~12との間に介在し、駆動軸3bの動力を雌ネジ部材9~12に伝達する。詳細には、伝達機構26は、一つの駆動ギヤ4と、複数の従動ギヤ5~8と、を有する。駆動ギヤ4は、駆動軸3bに固定され、駆動軸3bと一体に回転する。従動ギヤ5~8は、それぞれ、内周側に雌ネジ部材9~12が挿入された状態で雌ネジ部材9~12に固定されている。また、従動ギヤ5~8は、駆動ギヤ4と噛み合っている。駆動ギヤ4および従動ギヤ5~8は、ギヤの一例である。
【0030】
下連結板17および上連結板18は、上下方向に間隔を空けて並べられ、雄ネジ部材13~16を連結している。換言すると、下連結板17および上連結板18によって雄ネジ部材13~16が一体化されている。下連結板17は、複数の雄ネジ部材13~16の下端部に固定されている。上連結板18は、下連結板17の上側に位置している。上連結板18は、複数の雄ネジ部材13~16の上端部に固定されている。下連結板17および上連結板18は、雄ネジ部材13~16と一体に上下方向に移動する。下連結板17および上連結板18は、二つの連結部材の一例であり、下連結板17は、下側の連結部材の一例であり、上連結板18は、上側の連結部材の一例である。
【0031】
上記構成では、駆動モータ3の駆動軸3bが回転すると、駆動軸3bの動力が駆動ギヤ4および従動ギヤ5を介して雌ネジ部材9~12に伝達され、雌ネジ部材9~12が回転する。すなわち、駆動モータ3の駆動軸3bの回転と同調して、雌ネジ部材9~12が回転する。雌ネジ部材9~12が回転すると、その回転方向に応じて雄ネジ部材13~16が上下方向に移動する。このとき、下連結板17および上連結板18が、雄ネジ部材13~16と一体に、上下方向に移動すなわち昇降する。なお、雄ネジ部材13~16、下連結板17、および上連結板18は、下連結板17が昇降ベース2と上下方向に接触する位置まで、上昇可能である。これにより、昇降のストロークを最大限活用することができる。
【0032】
また、図5に示すように、下連結板17には、開口部17aが設けられている。開口部17aには、駆動モータ3が挿入されている。開口部17aは、下連結板17と駆動モータ3との上下方向の相対移動を許容する。下連結板17と駆動軸3bとは、相対移動しても互いに離間している。すなわち、下連結板17と駆動軸3bとは、相対移動しても干渉しない。
【0033】
また、下連結板17は、シャーシ30ーの空間部に嵌められている。これにより、昇降装置の十分なストロークが確保されつつ、移動体100を底床に保つことができる。
【0034】
また、図5,7に示すように、下連結板17には、板状の遮光部20が固定されている。遮光部20は、下連結板17と一体に上下方向に移動する。遮光部20は、遮光板とも称される。
【0035】
また、図5に示すように、昇降装置200は、透過型センサ19と、回転数センサ25と、を有する。図5,7に示すように、透過型センサ19は、昇降ベース2に固定されている。図7に示すように、透過型センサ19は、投光部19aと、投光部19aと上下方向と交差(一例として直交)する方向に間隔を空けて設けられたた受光部19bと、を有する。投光部19aは、受光部19bに対して光を投光(出射)する。受光部19bは、投光部19aから投光された光を受光する。投光部19aと受光部19bとの間の隙間(スリット)を、上下動する遮光部20が通過する。
【0036】
回転数センサ25は、駆動モータ3に設けられている。回転数センサ25は、駆動軸3bの回転数を計測する。
【0037】
上記構成では、遮光部20が透過型センサ19を通過したときの駆動軸3bの位置を基準位置とし、その位置から駆動モータ3の駆動軸3bの回転数を回転数センサ25によって計測することで、雌ネジ部材9~12の回転数を計測することができる。当該回転数と雌ネジ部材9~12の一回転当たりの上下移動量とから雌ネジ部材9~12の移動量を推測することができる。よって。ポテンショメータなどの位置検知センサを用いずに昇降量を制御することができる。
【0038】
図2に示す積載板40は、上連結板18の上側に配置されて、上連結板18に固定されている。積載板40は、上連結板18と一体に上下方向に移動する。積載板40は、板状に形成されている。積載板40の上面に、台車300が積載される。積載板40の上面の面積は、上連結板18の上面の面積よりも大きい。すなわち、積載板40は、上連結板18よりも上下方向と交差する方向の形状が大きい。このように、積載板40の上に台車300を積載することで台車300を積載板の比較的広い上面で支持することができ、台車300姿勢を安定させながら台車300を運搬することが可能である。積載板40は、支持台や支持プレートとも称される。
【0039】
積載板40の上面の前端部には、左右二つの制限部41が設けられている。なお、制限部41の数は二つに限られない。制限部41は、上方に開放された凹状に形成されて、台車300のフレーム301を支持する。制限部41は、台車300のフレーム301を支持して上下方向と交差する方向(一例として移動体の左右方向)の積載板40に対する台車300の移動を制限する。制限部41は、支持部材や保持部材とも称される。
【0040】
以上のように、本実施の形態の昇降装置200は、移動体100に搭載される。昇降装置200は、支持体1と、駆動モータ3と、複数のネジ対偶21~24と、下連結板17および上連結板18(二つの連結部材)と、を備える。駆動モータ3は、上下方向に延びた駆動軸3bを有し、支持体1に支持されている。複数のネジ対偶21~24は、駆動軸3bよって回転される雌ネジ部材9~12と、上下方向に延び雌ネジ部材9~12と結合し、支持体1に対して上下方向に移動可能な雄ネジ部材13~16とを、それぞれが有する。複数のネジ対偶21~24は、駆動軸3bの周囲に配置され、駆動軸3bの回転運動を雄ネジ部材13~16の上下動に変換する。下連結板17および上連結板18は、上下方向に間隔を空けて並べられ、複数の雄ネジ部材13~16を連結し、複数の雄ネジ部材13~16と一体に上下方向に移動する。
【0041】
このような構成によれば、省スペースな構成で昇降のストロークを確保しやすい昇降装置200および移動体100を得ることができる。上記の構成は、昇降動作にかかる部品の点数が少ないシンプルな構成で上下方向の昇降のストロークを十分に備えた高積載負荷に耐えられる機構とも言える。また、上記構成によれば、重量物の積荷を安定して持ち上げられる昇降装置200を、単純且つ低床な構成で実現することができる。
【0042】
また、本実施の形態では、昇降ベース2の上側には、駆動ギヤ4および従動ギヤ5~8と雌ネジ部材9~12とが設けられているが、これらの部品に上下に薄い部材を用いることにより昇降ベース2を上下方向にコンパクトに構成することができる。昇降ベース2をコンパクトにすることでテレスコピック型のガイドやネジを用いずとも上下方向のストロークを大きく取ることができ、シンプルな部品構成によって十分なストロークを確保することができる。なお、回転の伝達機構については本実施の形態では、ギヤを用いて説明したが、伝達機構の形態はこれに限定されるものではない。
【0043】
また、本実施の形態では、雄ネジ部材13~16の下端には下連結板17が取り付けられ、上端には上連結板18が取り付けられ、これにより四つの雄ネジ部材13~16が一体化されている。このように上下の連結板(下連結板17および上連結板18)で雄ネジ部材13~16を挟み込んで固定することで剛性を高く保つことができ、重量物を安定して積載することができる。また、ガイドを用いずに雄ネジ部材13~16を四か所に設けることで、上連結板18(昇降板)を面で持ち上げることができ、安定して重量物を昇降することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、下連結板17および上連結板18のうち下連結板17には、駆動モータ3が挿入され、下連結板17と駆動モータ3との上下方向の相対移動を許容する開口部17aが設けられている。
【0045】
このような構成によれば、下連結板17が駆動モータ3と干渉しないので、昇降装置200の昇降動作の上下のストロークを大きく確保することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、昇降装置200は、駆動軸3bと雌ネジ部材9~12との間に介在し、駆動軸3bの動力を雌ネジ部材9~12に伝達する駆動ギヤ4および従動ギヤ5(ギヤ)を備える。
【0047】
このような構成によれば、駆動軸3bと雌ネジ部材9~12との間の動力の伝達の部材として駆動ギヤ4および従動ギヤ5を用いることで、比較的部品点数が少なく、上下に薄い昇降装置200を構成することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、昇降装置200は、回転数センサ25と、透過型センサ19と、遮光部20(遮光部)を備える。回転数センサ25は、駆動軸3bの回転数を計測する。透過型センサ19は、支持体1に支持され、投光部19aと投光部19aと上下方向と交差する方向に間隔を空けて設けられた受光部19bと、を有する。遮光部20は、雄ネジ部材13~16と一体に上下方向に移動し、投光部19aと受光部19bとの間を通過する。
【0049】
このような構成によれば、透過型センサ19の検出結果と回転数センサ25の検出結果(駆動モータ3の駆動軸3bの回転数)とから上連結板18(昇降板)の高さを計測することで、ポテンショメータなどの高さを計測するセンサの取り付けが不要となる。よって、省スペースな構成にて上連結板18の昇降量を計測できる。
【0050】
また、本実施の形態では、昇降装置200は、積載板40と、制限部41と、を備える。積載板40は、下連結板17および上連結板18のうち上連結板18に支持され上連結板18と一体に上下方向に移動し、上連結板18よりも上下方向と交差する方向の形状(上面の面積)が大きく、台車300(昇降対象)が積載される。制限部41は、積載板40に設けられ、台車300を支持して上下方向と交差する方向の積載板40に対する台車300の移動を制限する。
【0051】
このような構成によれば、台車300を安定して昇降させることができる。
【0052】
また、本実施の形態の移動体100は、走行可能である。移動体100は、昇降装置200と、下連結板17および上連結板18のうち下連結板17が通過可能な開口部30aが設けれ、昇降装置200を支持するシャーシ30と、を備える。
【0053】
このような構成によれば、シャーシ30に下連結板17が通過可能な開口部30aが設けられているので、移動体100および昇降装置200の高さを低くしながら昇降装置200の上下方向のストロークを大きくすることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、移動体100は、二つの駆動輪31,32と、一つ以上の従動輪33と、を備える。駆動輪31,32は、移動体100の前後方向における移動体100の中央部においてシャーシ30に支持され、互いに独立して駆動可能である。従動輪333は、二つの駆動輪31,32に対して前後方向に間隔を空けて位置しシャーシ30に支持されている。
【0055】
このような構成によれば、移動体100は、シャーシ30の中心を軸に旋回できるので、移動体100が旋回したときの占有半径を小さくすることができる。
【0056】
なお、上述の実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。また、実施の形態および実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1…支持体
3…駆動モータ
3b…駆動軸
4…駆動ギヤ(ギヤ)
5…従動ギヤ(ギヤ)
9~12…雌ネジ部材
13~16…雄ネジ部材
17…下連結板(連結部材)
17a…開口部
18…上連結板(連結部材)
19…透過型センサ
19a…投光部
19b…受光部
20…遮光部
21~24…ネジ対偶
25…回転数センサ
30…シャーシ
30a…開口部
31,32…駆動輪
33…従動輪
40…積載板
41…制限部
100…移動体
200…昇降装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【文献】特許第3091912号公報
【文献】特開2018-34932号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7