IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 旭硝子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-成形装置 図1
  • 特許-成形装置 図2
  • 特許-成形装置 図3
  • 特許-成形装置 図4
  • 特許-成形装置 図5
  • 特許-成形装置 図6
  • 特許-成形装置 図7
  • 特許-成形装置 図8
  • 特許-成形装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】成形装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 17/06 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
C03B17/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021066334
(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公開番号】P2022161476
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆史
(72)【発明者】
【氏名】中野 正徳
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 元一
(72)【発明者】
【氏名】石橋 弘輝
(72)【発明者】
【氏名】岡本 功太
【審査官】三村 潤一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-518275(JP,A)
【文献】特表2014-515721(JP,A)
【文献】特表2011-505319(JP,A)
【文献】特開平05-139766(JP,A)
【文献】特開2002-255575(JP,A)
【文献】国際公開第2005/097692(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/114842(WO,A1)
【文献】特開2010-120845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 17/00 - 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融ガラスを成形してガラスリボンを形成する成形装置であって、
溶融ガラスが当該成形装置から離れる位置に対応する下側端部を有する本体と、
該本体の、少なくともガラスと接触する部分に設置された板部材と、
前記本体に固定された固定部材と、
を有し、
前記板部材は、厚さが0.5mm~100mmの範囲であり、前記ガラスに対して不活性な材料で構成され、
前記固定部材は、前記本体の前記下側端部に対応する前記板部材の下端辺の位置が固定されるように構成される、成形装置。
【請求項2】
前記固定部材は、嵌合部を有し、該嵌合部を介して前記本体に固定される、請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記板部材は、前記固定部材と前記本体との間に形成された隙間を利用して、前記本体に固定される、請求項1または2に記載の成形装置。
【請求項4】
前記板部材は、前記固定部材に形成された溝に、前記板部材の一部を挿着させることにより、前記固定部材に固定される、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の成形装置。
【請求項5】
前記固定部材は、少なくとも2つ存在し、各固定部材は、前記板部材の前記下端辺のそれぞれの端部に配置される、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の成形装置。
【請求項6】
前記板部材は、複数のピースで構成される、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の成形装置。
【請求項7】
前記本体は、該本体の室温における熱伝導率をκ(W/mK)とし、熱膨張率をρ(10-6K)としたとき、比κ/ρが1以上となる材料で構成される、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の成形装置。
【請求項8】
前記本体は、カーボン(C)、炭化ケイ素(SiC)、シリカ焼結体、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、およびステンレス鋼からなる群から選定された1つ以上の材料で構成される、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の成形装置。
【請求項9】
前記板部材は、石英、ジルコニア、ムライト、ジルコン、およびマグネシアからなる群から選定された1つ以上の材料で構成される、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の製造設備用の成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板は、例えば、フュージョン法のような方法を用いて、連続的に製造することができる。
【0003】
フュージョン法では、ガラス原料を溶解することにより得られた溶融ガラスが、成形用の装置(以下、「成形装置」と称する)の上部に供給される。成形装置は、断面が下向きに尖った略くさび状となっており、溶融ガラスは、この成形装置の対向する2つの側面に沿って流下される。両側面に沿って流下する溶融ガラスは、成形装置の下側端部(「合流点」ともいう)で合流、一体化され、ガラスリボンが成形される。その後、このガラスリボンは、ローラなどの牽引部材により、徐冷されながら下向きに牽引され、所定の寸法で切断される(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-028005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような方法または別の方法で、ガラス板を製造する製造設備において、ガラス板の製造効率向上等の観点から、成形装置に対しては、迅速な昇温および降温に耐え得る構成が望まれている。ただし、そのためには、成形装置として、熱衝撃に強い材料を採用する必要がある。
【0006】
しかしながら、通常、そのような耐熱衝撃性を有する材料は、ガラスに対する反応性が高い場合が多く、成形装置の材料として使用することは難しいという問題がある。このため、従来の成形装置では、昇温速度および降温速度をあまり高めることができず、従って、ガラス板の製造効率を高めることが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、従来に比べて、迅速な昇温および降温が可能な、ガラス板の製造設備用の成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、溶融ガラスを成形してガラスリボンを形成する成形装置であって、
溶融ガラスが当該成形装置から離れる位置に対応する下側端部を有する本体と、
該本体の、少なくともガラスと接触する部分に設置された板部材と、
前記本体に固定された固定部材と、
を有し、
前記板部材は、厚さが0.5mm~100mmの範囲であり、前記ガラスに対して不活性な材料で構成され、
前記固定部材は、前記本体の前記下側端部に対応する前記板部材の下端辺の位置が固定されるように構成される、成形装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、従来に比べて、迅速な昇温および降温が可能な、ガラス板の製造設備用の成形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による成形装置を有するガラス板の製造設備の構成例を模式的に示した図である。
図2図1に示したガラス板の製造設備のA-A線に沿った断面を模式的に示した断面図である。
図3】本発明の一実施形態による成形装置の構成を概略的に示した斜視図である。
図4図3に示した成形装置の模式的な部分分解図である。
図5】本発明の別の実施形態による成形装置の構成を概略的に示した斜視図である。
図6図5に示した成形装置の模式的な部分分解図である。
図7】本発明のさらに別の実施形態による成形装置の構成を概略的に示した斜視図である。
図8図7に示した成形装置の模式的な部分分解図である。
図9】本発明のさらに別の実施形態による成形装置の構成を概略的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0012】
本発明の一実施形態による成形装置の特徴をより良く理解するため、まず、本発明の一実施形態による成形装置を有するガラス板の製造設備について、簡単に説明する。
【0013】
(本発明の一実施形態による成形装置を有するガラス板の製造設備)
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態による成形装置を有するガラス板の製造設備について説明する。
【0014】
図1および図2には、本発明の一実施形態による成形装置を有するガラス板の製造設備100の構成を概略的に示す。製造設備100では、フュージョン法により、ガラス板を連続的に製造することができる。
【0015】
なお、図2は、図1における製造設備100のA-A線に沿った断面を模式的に示した図である。
【0016】
図1および図2に示すように、製造設備100は、本発明の一実施形態による成形装置110と、該成形装置110を収容する炉150と、成形装置110の下方に配置された複数のローラ160とを備える。なお、図には示されていないが、製造設備100は、さらに、炉150の下方に、切断部材を有する。
【0017】
成形装置110は、溶融ガラスMGからガラスリボンGRを成形する機能を有する。成形装置110は、供給管105と接続されており、該供給管105を介して、成形装置110に溶融ガラスMGが供給される。
【0018】
成形装置110は、本体120を有する。
【0019】
成形装置110の本体120は、図2に示すような断面略くさび状の形状を有する。より具体的には、本体120は、該本体120の上面121に設けられた凹部122と、相互に対向する第1の側面124aおよび第2の側面124bと、第1の側面124aと第2の側面124bの交差部である下側端部129とを有する。
【0020】
凹部122は、本体120の長手方向、すなわち図1および図2におけるX方向に沿って形成されている。
【0021】
第1の側面124aは、第1の上側面126aと、第1の下側面128aとを有する。同様に、第2の側面124bは、第2の上側面126bと、第2の下側面128bとを有する。
【0022】
第1の上側面126aおよび第2の上側面126bは、いずれも、本体120の略長手方向(X方向)および略鉛直方向(Z方向)に延在しており、従ってXZ面と略平行に配置される。一方、第1の下側面128aおよび第2の下側面128bは、鉛直方向(Z方向)に対して傾斜しており、本体120の下側端部129で相互に交差するように配置される。
【0023】
第1の下側面128aの上部は、第1の上側面126aの下部と接続され、第2の下側面128bの上部は、第2の上側面126bの下部と接続されている。
【0024】
各ローラ160は、ガラスリボンGRの厚さを調整しながら、ガラスリボンGRを下方に搬送する役割を有する。
【0025】
本発明の一実施形態による成形装置110は、さらに、板部材130を有する。
【0026】
成形装置110の板部材130は、本体120の露出表面のうち、少なくともガラスと直接接触する箇所に設置される。
【0027】
例えば、図2に示した例では、板部材130は、本体120の上面121、凹部122、第1の側面124a(第1の上側面126aおよび第1の下側面128a)、および第2の側面124b(第2の上側面126bおよび第2の下側面128b)を覆うように設置されている。
【0028】
なお、成形装置110は、本体120の形状と略共形の形状を有する。すなわち、成形装置110は、上面111、凹部112、第1の側面114a(第1の上側面116aおよび第1の下側面118a)、第2の側面114b(第2の上側面116bおよび第2の下側面118b)、および下端辺119を有し、これらの箇所は、いずれも本体120の対応するそれぞれの箇所と類似の形状を有する。
【0029】
このような製造設備100を用いてガラス板を製造する場合、まず、供給管105を介して、成形装置110に溶融ガラスMGが供給される。
【0030】
成形装置110に供給された溶融ガラスMGは、凹部112に収容される。凹部112の収容容積を超える溶融ガラスMGが供給されると、溶融ガラスMGは、成形装置110の第1の側面114aおよび第2の側面114bに沿って溢れ、下方に流出する。
【0031】
これにより、成形装置110の第1の上側面116aに、第1の溶融ガラス部分190aが形成され、成形装置110の第2の上側面116bに、第2の溶融ガラス部分190bが形成される。
【0032】
その後、第1の溶融ガラス部分190aは、成形装置110の第1の下側面118aに沿って、さらに下方に流出する。同様に、第2の溶融ガラス部分190bは、成形装置110の第2の下側面118bに沿って、さらに下方に流出する。
【0033】
その結果、第1の溶融ガラス部分190aおよび第2の溶融ガラス部分190bは、成形装置110の下端辺119に至り、ここで一体化される。これにより、ガラスリボンGRが形成される。
【0034】
なお、その後、ガラスリボンGRは、ローラ160により、さらに鉛直方向に下方に牽引され、その過程で徐冷される。
【0035】
その後、十分に徐冷されたガラスリボンGRは、炉150から排出され、切断手段(図示されていない)により、所定の寸法に切断される。
【0036】
以上の工程により、ガラス板を連続的に製造することができる。
【0037】
(本発明の一実施形態による成形装置)
次に、本発明の一実施形態による成形装置110の構成および特徴について、より詳しく説明する。
【0038】
ガラス板の製造効率向上等の観点から、ガラス板の製造設備に含まれる成形装置には、迅速な昇温および降温に耐え得る構成が望まれている。
【0039】
しかしながら、従来の製造設備では、成形装置の主要部分は耐熱レンガのような材料で構成されている場合が多く、急激な昇温および降温を行うと、熱衝撃により本体が損傷する危険がある。このため、従来の製造設備では、昇温速度および降温速度をあまり高めることができないという問題がある。ここで熱衝撃による損傷とは、急激な温度変化による材料に生じる温度分布で割れる脆性破壊と、急激な温度変化による材料に生じる大きな温度分布で変形する延性変形のいずれか一方または両方を含むものである。
【0040】
なお、このような問題に対処するため、本体の材料として、熱衝撃に強い材料を採用することが考えられる。しかしながら、一般に、良好な耐熱衝撃性を有する材料は、ガラスとの反応性が高く、成形装置の本体として使用することは難しい。
【0041】
これに対して、製造設備100では、前述のように、成形装置110は、本体120と、板部材130とを有する。板部材130は、0.5mm~100mmの範囲の厚さを有する。また、この板部材130は、溶融ガラスMGに対して不活性な材料で構成され、本体120の、溶融ガラスMGと接触する場所に設置される。
【0042】
このような特徴を有する製造設備100では、本体120が板部材130によって保護されているため、ガラス板の製造の際に、成形装置110の本体120が溶融ガラスMGと接触する可能性が有意に抑制される。従って、本体120に、耐熱衝撃性を有する材料を選定することができる。
【0043】
また、成形装置110の板部材130は、厚さが0.5mm~100mmの範囲であり、熱衝撃を受けても割れ難いという特徴を有する。
【0044】
以上の効果により、製造設備100では、成形装置110に対して、迅速な昇温および降温を行うことができる。また、これにより、製造設備100では、より効率的にガラス板を製造することが可能となる。
【0045】
なお、単に本体120に板部材130を設置しただけでは、製造設備100の稼働中に、板部材130が所定の位置からずれる可能性がある。
【0046】
特に、溶融ガラスMGが成形装置110から離れる場所、すなわち成形装置110(または板部材130)の下端辺119は、溶融ガラスMGの特性に影響を及ぼし得る重要な部分であり、高い位置精度が必要となる。このため、板部材130における下端辺119の位置ずれは、抑制することが好ましい。
【0047】
この点、本発明の一実施形態による成形装置110は、固定部材(図1および図2には示されていない)を有する。
【0048】
固定部材は、成形装置110の使用中に、本体120の下側端部129に対応する板部材130の下端辺119の位置が固定されるように構成される。
【0049】
従って、本発明の一実施形態による成形装置110では、板部材130の下端辺119の位置ずれを有意に抑制することができる。また、これにより、本発明の一実施形態による成形装置110では、高い品質のガラスリボンGRを成形することができる。
【0050】
以下、図3を参照して、この特徴について、より具体的に説明する。
【0051】
図3には、本発明の一実施形態による成形装置(以下、「第1の成形装置」と称する)210の概略的な斜視図を示す。
【0052】
図3に示すように、第1の成形装置210は、供給管105および本体120を有する。なお、供給管105および本体120の機能および特徴は、前述の図1および図2を参照して説明した通りであり、ここでは詳細な記載を省略する。また、理解の容易化のため、基本的に、本体120の各部分を表す際には、図1および図2に使用した参照符号を使用する。
【0053】
なお、図3以降の図面において、溶融ガラスMGの幅方向(X方向)における広がりを規制するストッパ部材は、図面の明確化のため省略されている。
【0054】
第1の成形装置210は、さらに、板部材130を有する。前述のように、板部材130は、本体120の、少なくとも溶融ガラスMGと接触する場所に設置される。
【0055】
具体的には、板部材130は、本体120の上面121、凹部122、第1の側面124a(第1の上側面126aおよび第1の下側面128a)、および第2の側面124b(第2の上側面126bおよび第2の下側面128b)のそれぞれにおいて、溶融ガラスと接触する部分を覆うように設置される。
【0056】
このうち、本体120の第1の上側面126aおよび第1の下側面128aを覆う板部材を、それぞれ、特に、「第1の上側板部材236a」および「第1の下側板部材238a」と称する。同様に、本体120の第2の上側面126bおよび第2の下側面128bを覆う板部材を、それぞれ、特に、「第2の上側板部材236b」および「第2の下側板部材238b」(いずれも、図3からは視認されない)と称する。
【0057】
図3に示した例では、第1の上側板部材236aと第1の下側板部材238aとは、相互に分離されており、従って、上下に2枚の板部材236a、238aを並べることにより、本体120の第1の側面124a側の板部材が構成される。同様に、図3からは明確ではないが、第2の上側板部材236bと第2の下側板部材238bとは、相互に分離されており、従って、上下に2枚の板部材236b、238bを並べることにより、本体120の第2の側面124b側の板部材が構成される。
【0058】
第1の下側板部材238aと第2の下側板部材238bとの重なり部分に、本体120の下側端部129に対応する下端辺219が形成される。下端辺219は、第1の端部240aから第2の端部240bまで延在する。
【0059】
図3に示すように、第1の成形装置210は、さらに、固定部材270Aおよび固定部材270Bを有する。
【0060】
固定部材270Aは、板部材130の下端辺219の第1の端部240aに対応する位置に配置される。固定部材270Bは、板部材130の下端辺219の第2の端部240bに対応する位置に配置される。固定部材270Aおよび固定部材270Bは、両者によって、第1の下側板部材238aおよび第2の下側板部材238bを固定する役割を有する。
【0061】
このような固定部材270Aおよび固定部材270Bを利用することにより、第1の成形装置210の稼働中に、本体120の下側端部129に対応する板部材130の下端辺219の位置が所望の位置からずれることを有意に抑制できる。
【0062】
また、これにより、第1の成形装置210では、高い品質のガラスリボンGRを成形することができる。
【0063】
次に、図4を参照して、このような機能を有する固定部材270Aおよび固定部材270Bの構成について、より詳しく説明する。
【0064】
図4には、図3に示した第1の成形装置210の模式的な部分分解図を示す。
【0065】
図4に示すように、第1の成形装置210において、固定部材270Aは、突起271Aと、該突起271Aの下方に「V字」型に形成された凸部272Aとを有する。凸部272AのV字を構成する両斜面により形成される空間SSは、下端辺219の第1の端部240aと適合するような形状で形成されている。
【0066】
同様に、固定部材270Bは、突起271Bと、該突起271Bの下方に「V字」型に形成された凸部272Bとを有する。凸部272BのV字を構成する両斜面により形成される空間SSは、下端辺219の第2の端部240bと適合するような形状で形成されている。
【0067】
ここで、本体120において、第1の側面124aと第2の側面124bをつなぐ一方の側面を「第3の側面」124cと称し、他方の側面を「第4の側面」124dと称する。第3の側面124cは、供給管105が設置される側の側面であり、第4の側面124dは、第3の側面124cと反対側の側面である。
【0068】
本体120の第3の側面124cの下方には、凹部252aが形成されており(図4からは視認されない)、第4の側面124dの下方には、凹部252bが形成されている。
【0069】
このような構成において、固定部材270Aの突起271Aを、本体120の凹部252aに挿入し、固定部材270Bの突起271Bを、本体120の凹部252bに挿入することにより、固定部材270Aおよび固定部材270Bを本体120の所定の位置に固定することができる。すなわち、固定部材270Aを下端辺219の第1の端部240aに固定し、固定部材270Bを下端辺219の第2の端部240bに固定することができる。
【0070】
また、固定部材270Aおよび固定部材270Bの空間SSは、前述のように構成されている。従って、固定部材270Aおよび固定部材270Bを本体に設置した際には、第1の下側板部材238aおよび第2の下側板部材238bを本体120に固定することができる。
【0071】
その結果、固定部材270Aおよび固定部材270Bにより、第1の下側板部材238aおよび第2の下側板部材238bを、所定の位置に固定することができる。
【0072】
なお、図3および図4に示した例では、第1の成形装置210は、さらに、固定部材270Aおよび固定部材270B以外の別の固定部材を有する。具体的には、第1の成形装置210は、固定部材275Aおよび275B、ならびに固定部材280Aおよび280Bを有する。
【0073】
このうち、固定部材275Aおよび275Bは、第1の上側板部材236aを、幅方向(X方向)の両端で、固定する役割を有する。
【0074】
図4から明らかなように、本体120の第1の上側面126aには凹部277aが形成されており、固定部材275Aは、この凹部277aに対応する凸部276Aを有する。従って、この凸部276Aを本体120の凹部277aに挿入することにより、固定部材275Aを本体120に固定することができる。
【0075】
また、固定部材275Aは、凸部276Aを本体120の凹部277aに挿入した際に、凸部276Aの上部に、第1の上側板部材236aの端部を収容できる隙間が形成されるように構成される。
【0076】
同様に、本体120の第1の上側面126aにおいて、X方向に沿って凹部277aとは反対の側には凹部277bが形成されており、固定部材275Bは、この凹部277bに対応する凸部276Bを有する。また、固定部材275Bは、凸部276Bを本体120の凹部277bに挿入した際に、凸部276Bの上部に、第1の上側板部材236aの端部を収容できる隙間が形成されるように構成される。
【0077】
従って、第1の上側板部材236aが本体120に設置された状態で、固定部材275Aおよび固定部材275Bを本体120に固定することにより、第1の上側板部材236aを所定の位置に固定することができる。
【0078】
この場合、第1の成形装置210の稼働中の第1の上側板部材236aの位置ずれも、有意に抑制することができる。
【0079】
さらに、固定部材280Aおよび280Bも、それぞれ、固定部材275Aおよび275Bと同様の構成を有する。
【0080】
従って、固定部材280Aの凸部281Aおよび固定部材280Bの凸部281Bを、それぞれ、本体120の第1の下側面128aに設けられた凹部282aおよび282bに挿入することにより、固定部材280Aおよび280Bを固定することができる。また、第1の下側板部材238aが本体120に設置された状態で、固定部材280Aおよび固定部材280Bを本体120に固定することにより、第1の下側板部材238aを所定の位置に固定することができる。
【0081】
この場合、第1の成形装置210の稼働中に、第1の下側板部材238aにおける、下端辺219以外の部分の位置ずれも抑制することができる。
【0082】
なお、図3および図4からは明確ではないが、第1の成形装置210では、紙面とは反対側の第2の上側板部材236bおよび第2の下側板部材238bに対しても、同様の固定部材275A、275B、280A、および280Bが使用されてもよい。
【0083】
(成形装置を構成する各部材)
次に、本発明の一実施形態による成形装置を構成するそれぞれの部材について、より詳しく説明する。
【0084】
ここでは、一例として、図3および図4に示した第1の成形装置210を例に、その構成部材について説明する。従って、各部材を表す際には、図3および図4に使用した参照符号を使用する。ただし、固定部材については、固定部材270Aに関する記載が他の固定部材にも適用できるため、固定部材としては、参照符号270Aのみを使用する。
【0085】
(本体120)
本体120は、熱衝撃に強い材料で構成される。
【0086】
具体的には、本体120は、室温における熱伝導率をκ(W/mK)とし、熱膨張率をρ(10-6/K)としたとき、比κ/ρが1以上となる材料で構成される。
【0087】
このような材料には、室温からガラスの成形温度(例えば500℃~1500℃)まで急激に昇温したり、ガラスの成形温度から室温まで急激に降温したりしても、損傷が生じ難いという特徴がある。
【0088】
比κ/ρが1以上となる材料としては、例えば、比κ/ρが23.5のカーボン(C)、比κ/ρが60.0の炭化ケイ素(SiC)、比κ/ρが2.7のシリカ焼結体、比κ/ρが7.3のニッケル(Ni)、比κ/ρが28.8のモリブデン(Mo)、および比κ/ρが1.2のステンレス鋼、比κ/ρが4.4のアルミナ焼結体、および比κ/ρが1.2のムライト焼結体が含まれる。前記シリカ焼結体は、通常シリカ以外の成分を焼結体全体量に対して0.2~5重量%含んでいてもよい。前記アルミナ焼結体は、通常アルミナ以外の成分を焼結体全体量に対して0.2~10重量%含んでいてもよい。前記ムライト焼結体は、通常ムライト以外の成分を焼結体全体量に対して0.5~5重量%含んでいてもよい。
【0089】
(板部材130)
板部材130は、使用されるガラスに対して不活性な材料で構成される。例えば、板部材130用の材料は、ケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等の金属酸化物が挙げられる。これら金属酸化物を1種のみからなるものでもよいが、2種以上からなるものとすることもできる。また、これら金属酸化物を構成する金属2種以上の複合酸化物を含んでいても良い。また、モリブデン等の金属を含んでいても良い。具体的には、石英、ジルコニア、ムライト、ジルコン、マグネシア、アルミナ、およびモリブデンからなる群から選定された1つ以上の材料で構成されても良い。板部材130を構成する材料は、材料に含まれる不純物は、材料全体量に対して1重量%以下であることが好ましい。
【0090】
使用されるガラスの成分組成の違いにより、ガラスに対して不活性な材料は変化する。従って、板部材130を構成する材料としては、使用されるガラスに対して反応性の低い材料、すなわち不活性な材料が適宜選択される。
【0091】
板部材130の厚さは、前述のように、0.5mm~100mmの範囲である。厚さは、0.75mm~50mmの範囲であることが好ましく、1mm~30mmの範囲であることがより好ましい。
【0092】
なお、板部材130は、形状が実質的に等しい、または形状が異なる、複数の板状ピースを組み合わせて構成されても良い。例えば、板部材130は、本体120の必要な表面に、板部材130用の複数のピースを取り付けることにより、構成されても良い。
【0093】
(固定部材270A)
固定部材270Aは、第1の成形装置210の使用環境において、耐熱性を有する材料で構成される。
【0094】
固定部材270Aは、例えば、本体120と同様の材料で構成されてもよい。
【0095】
(本発明の別の実施形態による成形装置)
次に、図5および図6を参照して、本発明の別の実施形態による成形装置について説明する。
【0096】
図5には、本発明の別の実施形態による成形装置(以下、「第2の成形装置」と称する)310の概略的な斜視図を示す。また、図6には、図5に示した第2の成形装置310の模式的な部分分解図を示す。
【0097】
図5に示すように、第2の成形装置310は、基本的に、前述の図3および図4に示した第1の成形装置210と同様の構成を有する。例えば、第2の成形装置310においても、本体120の溶融ガラスMGと接触する箇所には、板部材130が設置される。
【0098】
ただし、この第2の成形装置310では、固定部材の構成が、前述の第1の成形装置210とは異なっている。
【0099】
なお、ここでは、本体120の第1の上側面126aおよび第1の下側面128aを覆う板部材を、それぞれ、特に、「第1の上側板部材336a」および「第1の下側板部材338a」と称する。同様に、本体120の第2の上側面126bおよび第2の下側面128bを覆う板部材を、それぞれ、特に、「第2の上側板部材336b」および「第2の下側板部材338b」(いずれも、図5からは視認されない)と称する。
【0100】
第1の下側板部材338aと第2の下側板部材338bとの重なり部分に、本体120の下側端部129に対応する下端辺319が形成される。下端辺319は、第1の端部340aから第2の端部340bまで延在する。
【0101】
図5に示すように、第2の成形装置310は、固定部材370Aおよび固定部材370Bを有する。
【0102】
固定部材370Aは、板部材130の下端辺319の第1の端部340aに対応する位置に配置される。固定部材370Bは、板部材130の下端辺319の第2の端部340bに対応する位置に配置される。固定部材370Aおよび固定部材370Bは、第1の下側板部材338aおよび第2の下側板部材338bを固定する役割を有する。
【0103】
図6に示すように、固定部材370Aは、2本の溝371Aおよびピン372Aを有する。同様に、固定部材370Bは、2本の溝371B(図6からは視認されない)およびピン372Bを有する。
【0104】
固定部材370Aのそれぞれの溝371Aは、第1の下側板部材338aおよび第2の下側板部材338b(図5からは視認されない)の幅方向(X方向)の一方の端面と適合するような形状を有する。また、このため、第1の下側板部材338aおよび第2の下側板部材338bにおいて、下端辺319の第1の端部340aに対応する側の端部は、他の部分よりも幅方向(X方向)に突出している。
【0105】
同様に、固定部材370Bのそれぞれの溝371Bは、第1の下側板部材338aおよび第2の下側板部材338bの幅方向の他方の端面と適合するような形状を有する。このため、第1の下側板部材338aおよび第2の下側板部材338bにおいて、下端辺319の第2の端部340bに対応する側の端部は、他の部分よりも幅方向に突出している。
【0106】
また、本体120において、第3の側面124cの下方には、ピン孔352a(図6からは視認されない)が形成されており、第4の側面124dの下方には、ピン孔352bが形成されている。
【0107】
なお、前述のように、「第3の側面」124cは、本体120において、第1の側面124aと第2の側面124bをつなぐ一方の側面を表し、「第4の側面」124dは、本体120において、第1の側面124aと第2の側面124bをつなぐ他方の側面を表す。
【0108】
このような構成において、固定部材370Aのピン372Aを、本体120に設けられたピン孔352aに挿入することにより、固定部材370Aを本体120の所定の位置に固定することができる。また、固定部材370Bのピン372Bを、本体120に設けられたピン孔352bに挿入することにより、固定部材370Bを本体120の所定の位置に固定することができる。すなわち、固定部材370Aを下端辺319の第1の端部340aに固定し、固定部材370Bを下端辺319の第2の端部340bに固定することができる。
【0109】
また、固定部材370Aおよび固定部材370Bは、それぞれ、溝371Aおよび371Bを有する。従って、固定部材370Aを本体120に固定する際に、溝371Aに、第1の下側板部材338aおよび第2の下側板部材338bのそれぞれの一方の突出部を挿着させる。また、固定部材370Bを本体120に固定する際に、溝371Bに、第1の下側板部材338aおよび第2の下側板部材338bのそれぞれの他方の突出部を挿着させる。
【0110】
これにより、第1の下側板部材338aおよび第2の下側板部材338bを本体120の所定の位置に固定することができる。
【0111】
このような固定部材370Aおよび固定部材370Bを利用することにより、第2の成形装置310の稼働中に、本体120の下側端部129に対応する板部材130の下端辺319の位置が所望の位置からずれることを有意に抑制できる。
【0112】
また、これにより、第2の成形装置310では、高い品質のガラスリボンGRを成形することができる。
【0113】
なお、図5および図6に示した例では、第2の成形装置310は、さらに別の固定部材を有する。具体的には、第2の成形装置310は、固定部材380Aおよび固定部材380Bを有する。
【0114】
固定部材380Aおよび固定部材380Bは、第1の上側板部材336aおよび第2の上側板部材336b(図5および図6からは視認されない)を、幅方向(X方向)の両端で、固定する役割を有する。
【0115】
図6から明らかなように、固定部材380Aは、供給管105を挟んだ両側に存在し、それぞれの固定部材380Aは、溝381Aおよびピン382Aを有する。
【0116】
一方の固定部材380Aの溝381Aは、第1の上側板部材336aの幅方向(X方向)の第1の端面と適合するような形状を有する。このため、第1の上側板部材336aの幅方向の第1の端面は、他の部分よりも突出している。
【0117】
同様に、他方の固定部材380Aの溝381Aは、第2の上側板部材336bの幅方向の第1の端面と適合するような形状を有する。このため、第2の上側板部材336bの幅方向の第1の端面は、他の部分よりも突出している。
【0118】
また、図6からは明らかではないが、本体120の第3の側面124cにおいて、固定部材380Aと対面するそれぞれの位置には、ピン孔377a(図6からは視認されない)が形成されている。
【0119】
一方、固定部材380Bは、溝381B(図6からは視認されない)およびピン382Bを有する。
【0120】
固定部材380Bの溝381Bは、第1の上側板部材336aの幅方向の第2の端面(第1の端面とは反対側の端面)と適合するような形状を有する。このため、第1の上側板部材336aの幅方向の第2の端面は、他の部分よりも突出している。
【0121】
また、本体120の第4の側面124dにおいて、固定部材380Bと対面する位置には、ピン孔377bが形成されている。
【0122】
上記の構成により、固定部材380Aのピン382Aを、本体120に設けられたピン孔377aに挿入することにより、固定部材380Aを本体120の所定の位置に固定することができる。同様に、固定部材380Bのピン382Bを、本体120に設けられたピン孔377bに挿入することにより、固定部材380Bを本体120の所定の位置に固定することができる。
【0123】
また、固定部材380Aおよび固定部材380Bは、それぞれ、溝381Aおよび381Bを有する。従って、固定部材380Aを本体120に固定する際に、溝381Aに、第1の上側板部材336aおよび第2の上側板部材336bのそれぞれの一方の突出部を挿着させる。また、固定部材380Bを本体120に挿着する際に、溝381Bに、第1の上側板部材336aおよび第2の上側板部材336bのそれぞれの他方の突出部を挿着させる。
【0124】
これにより、第1の上側板部材336aおよび第2の上側板部材336bを本体120の所定の位置に固定することができる。
【0125】
従って、固定部材380Aおよび固定部材380Bを利用することにより、第1の上側板部材336aおよび第2の上側板部材336bを所定の位置に固定することができる。
【0126】
この場合、第2の成形装置310の稼働中に、第1の上側板部材336aおよび第2の上側板部材336bの位置ずれも、有意に抑制することができる。
【0127】
(本発明のさらに別の実施形態による成形装置)
次に、図7および図8を参照して、本発明のさらに別の実施形態による成形装置について説明する。
【0128】
図7には、本発明のさらに別の実施形態による成形装置(以下、「第3の成形装置」と称する)410の概略的な斜視図を示す。また、図8には、図7に示した第3の成形装置410の模式的な部分分解図を示す。
【0129】
図7に示すように、第3の成形装置410は、基本的に、前述の図3および図4に示した第1の成形装置210と同様の構成を有する。例えば、第3の成形装置410においても、本体120の溶融ガラスMGと接触する箇所には、板部材130が設置される。
【0130】
ただし、この第3の成形装置410では、固定部材の構成が、前述の第1の成形装置210とは異なっている。
【0131】
なお、ここでは、本体120の第1の上側面126aおよび第1の下側面128aを覆う板部材を、それぞれ、特に、「第1の上側板部材436a」および「第1の下側板部材438a」と称する。同様に、本体120の第2の上側面126bおよび第2の下側面128bを覆う板部材を、それぞれ、特に、「第2の上側板部材436b」および「第2の下側板部材438b」(いずれも、図7からは視認されない)と称する。
【0132】
第1の下側板部材438aと第2の下側板部材438bとの重なり部分に、本体120の下側端部129に対応する下端辺419が形成される。下端辺419は、第1の端部440aから第2の端部440bまで延在する。
【0133】
図7に示すように、第3の成形装置410は、固定部材470Aおよび固定部材470Bを有する。
【0134】
固定部材470Aは、板部材130の下端辺419の第1の端部440aに対応する位置に配置される。固定部材470Bは、板部材130の下端辺419の第2の端部440bに対応する位置に配置される。固定部材470Aおよび固定部材470Bは、第1の下側板部材438aおよび第2の下側板部材438bを固定する役割を有する。
【0135】
図8に示すように、固定部材470Aおよび固定部材470Bは、それぞれ、前述の第1の成形装置210における固定部材270Aおよび固定部材270Bと同様の構成を有する。
【0136】
すなわち、固定部材470Aは、突起471Aと、該突起471Aの下方に「V字」型に形成された凸部472Aとを有する。また、固定部材470Bは、突起471Bと、該突起471Bの下方に「V字」型に形成された凸部472Bとを有する。
【0137】
また、本体120の第3の側面124cの下方には、凹部452aが形成されており(図8からは視認されない)、第4の側面124dの下方には、凹部452bが形成されている。
【0138】
従って、固定部材470Aの突起471Aを、本体120の凹部452aに挿入し、固定部材470Bの突起471Bを、本体120の凹部452bに挿入することにより、固定部材470Aおよび固定部材470Bを本体120の所定の位置に固定することができる。すなわち、固定部材470Aを下端辺419の第1の端部440aに固定し、固定部材470Bを下端辺419の第2の端部440bに固定することができる。
【0139】
また、固定部材470Aおよび固定部材470Bを本体120に設置した際に、第1の下側板部材438aおよび第2の下側板部材438bを本体120に固定することができる。
【0140】
その結果、固定部材470Aおよび固定部材470Bにより、第1の下側板部材438aおよび第2の下側板部材438bを、所定の位置に固定することができる。
【0141】
従って、このような固定部材470Aおよび固定部材470Bを利用することにより、第3の成形装置410の稼働中に、本体120の下側端部129に対応する板部材130の下端辺419の位置が所望の位置からずれることを有意に抑制できる。
【0142】
また、これにより、第3の成形装置410では、高い品質のガラスリボンGRを成形することができる。
【0143】
なお、図7および図8に示した例では、第3の成形装置410は、さらに別の固定部材を有する。具体的には、第3の成形装置410は、固定部材475Aおよび475B、固定部材480Aおよび480B、ならびに固定部材490を有する。
【0144】
固定部材475Aおよび固定部材475Bは、第1の上側板部材436aおよび第2の上側板部材436b(図7および図8からは視認されない)を、幅方向(X方向)の両端で固定する役割を有する。
【0145】
具体的には、固定部材475Aは、ピン478Aを有する。また、固定部材380Bは、ピン478Bを有する。
【0146】
また、図8から明らかではないが、本体120の第3の側面124cにおいて、固定部材475Aと対面する位置には、ピン孔477a(図8からは視認されない)が形成されている。また、本体120の第4の側面124dにおいて、固定部材475Bと対面する位置には、ピン孔477bが形成されている。
【0147】
さらに、固定部材475Aは、ピン478Aを本体120のピン孔477aに挿入した際に、固定部材475Aにより、本体120、第1の上側板部材436a、および第2の上側板部材436bを合わせて狭持できるようなY方向の寸法LYを有する。
【0148】
同様に、固定部材475Bは、ピン478Bを本体120のピン孔477bに挿入した際に、固定部材475Bにより、本体120、第1の上側板部材436a、および第2の上側板部材436bを合わせて狭持できるようなY方向の寸法LYを有する。
【0149】
このような構成により、固定部材475Aのピン478Aを、本体120に設けられたピン孔477aに挿入することにより、固定部材475Aを本体120の所定の位置に固定することができる。同様に、固定部材475Bのピン478Bを、本体120に設けられたピン孔477bに挿入することにより、固定部材475Bを本体120の所定の位置に固定することができる。
【0150】
また、この際に、第1の上側板部材336aおよび第2の上側板部材336bを本体120の所定の位置に固定することができる。
【0151】
従って、固定部材475Aおよび固定部材475Bを利用することにより、第1の上側板部材436aおよび第2の上側板部材436bを所定の位置に固定することができる。
【0152】
また、固定部材480Aおよび480Bも、それぞれ、固定部材475Aおよび475Bと同様の構成を有する。
【0153】
従って、固定部材480Aのピン482Aおよび固定部材480Bのピン482Bを本体120の対応するピン孔(例えば483b)に挿入することにより、固定部材480Aおよび480Bを固定することができる。
【0154】
また、この際に、第1の下側板部材438aおよび第2の下側板部材438bを所定の位置に固定することができる。
【0155】
この場合、第3の成形装置410の稼働中に、第1の下側板部材438aおよび第2の下側板部材438bにおける、下端辺419以外の部分の位置ずれも抑制することができる。
【0156】
さらに、固定部材490は、ボルト孔が設けられた略「U字」型の形態を有する。この固定部材490を用いて、本体120の上面121とともに板部材130を挟み、ボルト493で締結することにより、第3の成形装置410の上部で、板部材130を固定することができる。
【0157】
(本発明のさらに別の実施形態による成形装置)
次に、図9を参照して、本発明のさらに別の実施形態による成形装置について説明する。
【0158】
前述の成形装置210、310、および410では、いずれも第1の上側板部材(236a、336a、436a)と第1の下側板部材(238a、338a、438a)とは、相互に分離されている。従って、上下に2枚の板部材を並べることにより、本体120の第1の側面124aの側の板部材が構成される。本体120の第2の側面124bの側についても同様である。
【0159】
しかしながら、本発明の一実施形態による成形装置において、板部材の配置は、このような態様に限られない。本発明の一実施形態による成形装置において、本体120の第1の側面124aに設置される板部材は、単一の板部材で構成されてもよい。第2の側面124bについても、同様のことが言える。
【0160】
図9には、本体120の第1の側面124aに設置される板部材が単一の板部材で構成された場合の本発明の一実施形態を示す。
【0161】
図9に示すように、この成形装置(以下、「第4の成形装置」と称する)510は、本体120の第1の側面124aに設置された第1の板部材537aと、第2の側面124bに設置された第2の板部材537b(図9からは視認されない)とを有する。
【0162】
第1の板部材537aは、少なくとも、本体120の第1の上側面126aから第1の下側面128aまで延在する、単一の部材で構成される。同様に、第2の板部材537bは、本体120の第2の上側面126bから第2の下側面128bまで延在する、単一の部材で構成される。
【0163】
第1の板部材537aと第2の板部材537bとの重なり部分に、本体120の下側端部129に対応する下端辺519が形成される。下端辺519は、第1の端部540aから第2の端部540bまで延在する。
【0164】
また、第4の成形装置510は、固定部材570Aおよび固定部材570Bを有する。
【0165】
固定部材570Aは、下端辺519の第1の端部540aに対応する位置に配置される。固定部材570Bは、下端辺519の第2の端部540bに対応する位置に配置される。固定部材570Aおよび固定部材570Bは、第1の板部材537aおよび第2の板部材537bを固定する役割を有する。
【0166】
なお、固定部材570Aおよび570Bは、第1の板部材537aおよび第2の板部材537bを固定することができる限り、いかなる構成を有してもよい。
【0167】
例えば、固定部材570A、570Bは、前述の固定部材270A、270Bまたは固定部材370A、370Bのような構成を有してもよい。あるいは、固定部材570A、570Bは、その他の構成を有してもよい。
【0168】
このような固定部材570Aおよび570Bを使用することにより、第1の板部材537aおよび第2の板部材537bを、所定の位置に固定することができる。
【0169】
また、これにより、第4の成形装置510の稼働中に、本体120の下側端部129に対応する板部材130の下端辺519の位置が所望の位置からずれることを有意に抑制できる。
【0170】
なお、図9に示すように、第4の成形装置510では、固定部材570Aおよび570B以外の固定部材は、省略が可能である。本体120の第1の側面124aには、単一の板部材537aしか設置されておらず、本体120の第2の側面124bには、単一の板部材537bしか設置されていないためである。すなわち、この場合、下端辺519の両端540aおよび540bに設置される固定部材570Aおよび570Bのみで、板部材537aおよび板部材537bを十分に固定することが可能となる。
【0171】
従って、第4の成形装置510では、より単純化された構成を提供できる。
【0172】
以上、第1の成形装置210~第4の成形装置510を例に、本発明の一実施形態による成形装置の構成および特徴について説明した。しかしながら、上記態様は、単なる一例に過ぎず、本発明の一実施形態による成形装置は、その他の構成を有してもよい。
【0173】
特に、本発明の一実施形態において、板部材の下端辺の位置を固定する固定部材の構成は、特に限られない。
【0174】
例えば、第1の成形装置210では、固定部材270A、270Bは、本体120に設けられた凹部252a、252bと嵌合可能な突起271A、271Bを有するように構成される。また、固定部材270A、270Bに設けられた空間SSを利用して、板部材238a、238bが、本体120および固定部材270A、270Bに対して固定される。
【0175】
このように、本体120と固定部材270A、270Bの間に形成される隙間を利用して、板部材130の下端辺219を固定してもよい(「隙間利用方式」)。
【0176】
また、第2の成形装置310では、固定部材370A、370Bは、本体120に設けられたピン孔352a、352bと嵌合可能なピン372A、372Bを有する。また、固定部材370A、370Bに設けられた溝371A、371Bを利用して、板部材338a、338bの下端辺319が固定される。
【0177】
このように、固定部材370A、370Bに形成された溝371A、371Bに、板部材130の一部を挿着させることにより、板部材130の下端辺219を固定してもよい(「挿着方式」)。
【0178】
しかしながら、板部材の下端辺の位置を固定する固定部材は、その他の構成を有してもよい。例えば、「隙間利用方式」と「挿着方式」の組み合わせを用いてもよい。
【0179】
また、固定部材を本体に固定する方法も、特に限られない。
【0180】
例えば、上記例では、固定部材に設けられた凸部またはピンのような嵌合部を本体に設けられた凹部またはピン孔と嵌合させることにより、固定部材と本体が固定される(「嵌合方式」)。しかしながら、固定部材の嵌合部は、本体と嵌合可能な構造を有する限り、いかなる構成を有してもよい。
【0181】
また、固定部材は、嵌合方式以外の方法で、本体に固定されてもよい。
【0182】
さらに、本発明の一実施形態による成形装置は、フュージョン法以外の方法でガラス板を製造する製造装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0183】
100 第1の製造設備
105 供給管
110 成形装置
111 成形装置の上面
112 成形装置の凹部
114a 成形装置の第1の側面
114b 成形装置の第2の側面
116a 成形装置の第1の上側面
116b 成形装置の第2の上側面
118a 成形装置の第1の下側面
118b 成形装置の第2の下側面
119 下端辺
120 本体
121 本体の上面
122 本体の凹部
124a 本体の第1の側面
124b 本体の第2の側面
124c 本体の第3の側面
124d 本体の第4の側面
126a 本体の第1の上側面
126b 本体の第2の上側面
128a 本体の第1の下側面
128b 本体の第2の下側面
129 本体の下側端部
130 板部材
150 炉
160 ローラ
190a 第1の溶融ガラス部分
190b 第2の溶融ガラス部分
210 第1の成形装置
219 下端辺
236a 第1の上側板部材
236b 第2の上側板部材
238a 第1の下側板部材
238b 第2の下側板部材
240a 第1の端部
240b 第2の端部
252a、252b 凹部
270A 固定部材
270B 固定部材
271A、271B 突起
272A、272B 凸部
275A、275B 固定部材
276A、276B 凸部
277a、277b 凹部
280A、280B 固定部材
281A、281B 凸部
282a、282b 凹部
310 第2の成形装置
319 下端辺
336a 第1の上側板部材
336b 第2の上側板部材
338a 第1の下側板部材
338b 第2の下側板部材
340a 第1の端部
340b 第2の端部
352a、352b ピン孔
370A 固定部材
370B 固定部材
371A、371B 溝
372A、372B ピン
377a、377b ピン孔
380A 固定部材
380B 固定部材
381A、381B 溝
382A、382B ピン
410 第3の成形装置
419 下端辺
436a 第1の上側板部材
436b 第2の上側板部材
438a 第1の下側板部材
438b 第2の下側板部材
440a 第1の端部
440b 第2の端部
452a、452b 凹部
470A 固定部材
470B 固定部材
471A、471B 突起
472A、472B 凸部
475A 固定部材
475B 固定部材
477a、477b ピン孔
478A、478B ピン
480A 固定部材
480B 固定部材
482A、482B ピン
483b ピン孔
490 固定部材
493 ボルト
510 第4の成形装置
519 下端辺
537a 第1の板部材
537b 第2の板部材
540a 第1の端部
540b 第2の端部
570A 固定部材
570B 固定部材
GR ガラスリボン
MG 溶融ガラス
SS 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9