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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】オイルゲル化剤及び化粧料
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20241022BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20241022BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20241022BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20241022BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 8/895 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
C09K3/00 103L
A61K8/898
A61Q1/04
A61Q1/10
A61Q1/00
A61K8/895
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021089981
(22)【出願日】2021-05-28
(65)【公開番号】P2022182431
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秦 龍ノ介
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-530260(JP,A)
【文献】特開2012-072081(JP,A)
【文献】特開2016-169327(JP,A)
【文献】特表2016-509052(JP,A)
【文献】特表2017-508017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00
A61K 8/00
A61Q
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(1)及び一般式(2)から選ばれる親水性(メタ)アクリルモノマー、
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は直鎖状又は分岐状の炭素数2~10のアルキレン基である。)
【化2】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R3はそれぞれ独立に、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1~10のアルキル基、及び炭素数1~5のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。)、
(b)下記一般式(3)で表される疎水性(メタ)アクリルモノマー
【化3】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R4は直鎖状の炭素数1~24のアルキル基である。)、及び
(c)下記一般式(4)で表される両末端(メタ)アクリル変性シリコーンである架橋剤モノマー
【化4】
(式中、R 1 は水素原子又はメチル基、R 5 はそれぞれ独立にして2価の有機基、R 6 はそれぞれ独立に、水素原子、非置換又は置換の炭素数1~10のアルキル基、及び非置換又は置換の炭素数6~22のアリール基から選ばれる基であり、nは1~100である。)
を構成単位として含む共重合体であるオイルゲル化剤であって、前記(a)と(b)の質量比(b)/(a)が0.8~4.0であり、全モノマー中の(c)モノマー量が0.05~5質量%であるオイルゲル化剤。
【請求項2】
さらに、(d)下記一般式(5)
【化5】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R5’は2価の有機基、R6’はそれぞれ独立に、水素原子、非置換又は置換の炭素数1~10のアルキル基、及び非置換又は置換の炭素数6~22のアリール基から選ばれる基であり、n’は1~100である。)
で表されるシリコーンマクロマーからなるモノマーを、全モノマー中10~50質量%構成単位として含む請求項1記載のオイルゲル化剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載のオイルゲル化剤を含む化粧料。
【請求項4】
(a)~(c)成分を含むモノマーを、溶媒中で重合反応する工程を有する、請求項1又は2記載のオイルゲル化剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルゲル化剤、及びオイルゲル化剤を含む化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
疎水性油やシリコーン油をゲル化できるオイルゲル化剤は、油を固化できるという特徴から、化粧料等を構成する材料として広く用いられている。このようなゲル化剤としては、ポリエチレンワックスのような炭化水素ポリマー、長鎖脂肪酸、長鎖アルコールがよく知られている。また、構造が特徴的で、オイルゲル化剤として化粧品によく用いられているものとしては、糖骨格をベースとして水酸基の一部をアシル化したものが知られている(特許文献1)。このように多くのゲル化剤が知られているものの、形成するゲルの温度安定性に関しては改善の余地があった。
【0003】
比較的温度安定性の高いゲル化剤として、アクリルポリマーをベースとしたゲル化剤が知られている(特許文献2)。疎水性モノマーと親水性モノマーを併用し、両者の相互作用のバランスをとることで、温度安定性の高いゲルを形成することができる。しかしながら、用いるモノマーの種類や割合によっては、温度安定性に改善の余地があった。
【0004】
また、アクリルポリマーをベースとしたゲル化剤は、イソドデカン等の炭化水素油をゲル化することができるものの、シリコーン油をゲル化することが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-145851号公報
【文献】国際公開第2016/098456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みなされたもので、温度安定性の高いゲルを形成するオイルゲル化剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の割合で親水性(メタ)アクリルモノマー、疎水性(メタ)アクリルモノマー、及び分子内にラジカル重合可能な官能基を二つ以上有する架橋剤モノマーを含むモノマーを共重合することによって得られる共重合体が、温度安定性の高いゲルを形成するオイルゲル化剤であることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。また、一般的に、架橋剤によって架橋された共重合体は溶解性が悪い。また、架橋された共重合体によって形成されるゲルは、3次元架橋体の微粒子を含むため使用感が悪い。しかながら、本発明で見出された割合でモノマーを共重合することで、適度に架橋されるため、温度安定性を向上させながら、上記の問題を回避できることが期待される。
【0008】
従って、本発明は下記オイルゲル化剤及びオイルゲル化剤を含む化粧料を提供する。
1.(a)下記一般式(1)及び一般式(2)から選ばれる親水性(メタ)アクリルモノマー、
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は直鎖状又は分岐状の炭素数2~10のアルキレン基である。)
【化2】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R3はそれぞれ独立に、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1~10のアルキル基、及び炭素数1~5のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。)、
(b)下記一般式(3)で表される疎水性(メタ)アクリルモノマー
【化3】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R4は直鎖状の炭素数1~24のアルキル基である。)、及び
(c)1分子中にラジカル重合可能な官能基を2つ以上有する架橋剤モノマー
を構成単位として含む共重合体であるオイルゲル化剤であって、前記(a)と(b)の質量比(b)/(a)が0.8~4.0であり、全モノマー中の(c)モノマー量が0.05~5質量%であるオイルゲル化剤。
2.前記(c)架橋剤モノマーが、下記一般式(4)で表される両末端(メタ)アクリル変性シリコーンである1記載のオイルゲル化剤。
【化4】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R5はそれぞれ独立して2価の有機基、R6はそれぞれ独立に、水素原子、非置換又は置換の炭素数1~10のアルキル基、及び非置換又は置換の炭素数6~22のアリール基から選ばれる基であり、nは1~100である。)
3.さらに、(d)下記一般式(5)
【化5】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R5’は2価の有機基、R6’はそれぞれ独立に、水素原子、非置換又は置換の炭素数1~10のアルキル基、及び非置換又は置換の炭素数6~22のアリール基から選ばれる基であり、n’は1~100である。)
で表されるシリコーンマクロマーからなるモノマーを、全モノマー中10~50質量%構成単位として含む1又は2記載のオイルゲル化剤。
4.1~3のいずれかに記載のオイルゲル化剤を含む化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明のオイルゲル化剤を用いることで、温度安定性の高いゲルを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のオイルゲル化剤は、特定の(a)親水性(メタ)アクリルモノマー、特定の疎水性(メタ)アクリルモノマー、及び特定の(c)1分子中にラジカル重合可能な官能基を2つ以上有する架橋剤モノマー含むモノマーを共重合することによって得られ、上記モノマーを構成単位として含む共重合体である。
【0011】
[(a)親水性(メタ)アクリルモノマー]
(a)親水性(メタ)アクリルモノマーは、下記一般式(1)及び一般式(2)から選ばれる親水性(メタ)アクリルモノマーであり、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【化6】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は直鎖状又は分岐状の炭素数2~10のアルキレン基である。)
【化7】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R3はそれぞれ独立に、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1~10のアルキル基、及び炭素数1~5のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。)
【0012】
1は水素原子又はメチル基、R2は直鎖状又は分岐状の炭素数2~10のアルキレン基である。R2の炭素数は、親水性の観点から、炭素数2~5が好ましく、炭素数2~3がより好ましい。
【0013】
3はそれぞれ独立に、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1~10のアルキル基、及び炭素数1~5のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。疎水性モノマーとの相溶性の観点から、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
【0014】
一般式(1)及び一般式(2)で示される親水性(メタ)アクリルモノマーはそれぞれ単独で用いても併用してもよいが、親水性の観点から、一般式(1)で示される親水性(メタ)アクリルモノマー単独で用いることが好ましい。
【0015】
[(b)疎水性(メタ)アクリルモノマー]
(b)疎水性(メタ)アクリルモノマーは、下記一般式(3)で表される疎水性(メタ)アクリルモノマーである。
【化8】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R4は直鎖状の炭素数1~24のアルキル基である。)
4は直鎖状の炭素数1~24のアルキル基であり、疎水性相互作用を強める観点から、炭素数8~24のアルキル基が好ましく、炭素数16~24のアルキル基がさらに好ましい。
【0016】
このような疎水性(メタ)アクリルモノマーとしては特に限定されないが、例えば、セチルアクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、イソステアリルアクリレート、イソステアリルメタクリレート、オレイルアクリレート、オレイルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、ベヘニルメタクリレート等が挙げられ、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0017】
前記(a)と(b)の質量比(b)/(a)は0.8~4.0であり、1.0~3.8が好ましく、1.2~3.5がより好ましく、1.5~3.0がさらに好ましい。上記割合であれば、疎水性相互作用が十分働き、ワックスゲル様のゲルを形成するため使用感にも優れる。(a)モノマーと(b)モノマーの合計量は、全モノマー中95~99.95質量%が好ましく、97~99.93質量%がより好ましく、98.5~99.9質量%がさらに好ましい。なお、本発明の「モノマー中」とは「共重合体を構成する全モノマー中」である。
【0018】
[(c)1分子中にラジカル重合可能な官能基を2つ以上有する架橋剤モノマー]
(c)架橋剤モノマーとしては上記を満たしていれば特に限定されないが、例えば、グリセリンジメタクリレート、ポリエチレングリコール-メタクリレート、ポリプロピレングリコール-ジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコール―ジメタクリレート、エチレンオキシド変性―ビスフェノールA-ジメタクリレートを用いることができる。
【0019】
また、下記一般式(4)で表される両末端(メタ)アクリル変性シリコーンが挙げられる。この架橋剤は、疎水性相互作用と親水性相互作用とへ与える影響が小さいため、疎水性モノマーと親水性のモノマーのバランスを壊さずに架橋することができ、(メタ)アクリルモノマーと良く混合し、問題なく反応が進行する。
【化9】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R5はそれぞれ独立して2価の有機基、R6はそれぞれ独立に、水素原子、非置換又は置換の炭素数1~10のアルキル基、及び非置換又は置換の炭素数6~22のアリール基から選ばれる基であり、nは1~100である。
【0020】
1は、水素原子又はメチル基であり、R5はそれぞれ独立して2価の有機基であり、2価の炭化水素基が好ましく、炭素数2~6のアルキレン基がより好ましく、2~4のアルキレン基がさらに好ましい。R6はそれぞれ独立に、水素原子、非置換又は置換の炭素数1~10のアルキル基、及び非置換又は置換の炭素数6~22のアリール基から選ばれる基であり、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。nは1~100であり、10~90が好ましく、15~80がより好ましく、20~70がさらに好ましい。
【0021】
前記一般式(4)で表される化合物としては、例えば以下のようなものがあるが、これに制限されるわけではない。
【化10】
【0022】
全モノマー中の(c)モノマー量は0.05~5質量%であり、0.07~3質量%が好ましく、0.1~1.5質量%がより好ましい。上記割合であれば、共重合体が適度に架橋されるため、形成されるオイルゲルの使用感が良い。
【0023】
[(d)シリコーンマクロマー]
本発明の共重合体はシリコーンマクロマーからなるモノマーを構成単位として有することで、シリコーン油への相溶性が向上し、シリコーン油のゲル化がより可能となる。シリコーンマクロマーとしては、下記一般式(5)
【化11】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R5’は2価の有機基、R6’はそれぞれ独立に、水素原子、非置換又は置換の炭素数1~10のアルキル基、及び非置換又は置換の炭素数6~22のアリール基から選ばれる基であり、n’は1~100である。)
で表されるシリコーンマクロマーが挙げられる。
【0024】
1は水素原子又はメチル基、R5’は2価の有機基、R6’はそれぞれ独立に、水素原子、非置換又は置換の炭素数1~10のアルキル基、及び非置換又は置換の炭素数6~22のアリール基から選ばれる基である。R5’は2価の炭化水素基が好ましく、炭素数2~6のアルキレン基がより好ましく、炭素数2~4のアルキレン基がさらに好ましい。
【0025】
一般式(5)で表される化合物としては、上記規定を満たしていれば特に限定されないが、例えば下記のものが挙げられる。
【化12】
(式中、n-Buはノルマル-ブチル基を示す。)
【0026】
(d)モノマーを構成単位として含む場合、全モノマー中の(d)モノマー量は10~50質量%が好ましく、15~45質量%がより好ましく、20~40質量%がさらに好ましい。上記の割合であれば、共重合体のシリコーン油への相溶性をより向上させながら、ゲル化剤としての機能をより保つことができる。
【0027】
本発明の共重合体は、上記(a)~(c)又は(a)~(d)のみで構成されていてもよく、さらに、本発明の共重合体には、上記以外のモノマーを本発明の効果を損なわない範囲で含むことができる。上記以外のモノマーを構成単位として含む場合、その量は全モノマー中0.05~5質量%が好ましい。(d)モノマーを用いる場合、(a)モノマーと(b)モノマーと(d)モノマーの合計量は、全モノマー中95~99.95質量%が好ましく、97~99.93質量%がより好ましく、98.5~99.9質量%がさらに好ましい。なお、本発明の「モノマー中」とは「共重合体を構成する全モノマー中」である。
【0028】
[共重体の製造方法]
本発明の共重合体の重合は、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤の存在下に行なわれることが好ましい。重合方法は、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、バルク重合法のいずれの方法の適用も可能である。これらの中でも、溶液重合法は、得られる重合体の分子量を所望の範囲に調整することが容易であるため好ましい。重合反応は、溶媒中で行ってもよく、この際用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、デカノール等のアルコール系有機溶剤、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶剤が挙げられる。しかし、化粧品用途として用いる観点からは、無溶媒で重合反応を行うか、エタノール又はイソプロパノールを使用することが好ましい。共重合体はランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれでもよい。
【0029】
このようにして製造される重合体のGPCにおけるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、5,000~200,000が好ましく、7,500~100,000がより好ましく、10,000~50,000がさらに好ましい。上記分子量範囲内であれば、油剤への溶解性がより良好で、ゲル化剤としての機能もより保つことができる。なお、本発明において数平均分子量は、下記条件によるポリスチレンを標準物質としたGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)分析による値である。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-H
TSKgel SuperHM-N(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2500(6.0mmI.D.×15cm×1)
装置:HLC 8320 GPC
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50μL(濃度0.3質量%のTHF溶液)
【0030】
[オイルゲル化剤]
本発明は、上記共重合体をオイルゲル化剤として用いるものである。ゲル化されるオイルとしては特に限定されず、後述する(B)油剤成分に記載のものが挙げられ、液状の油性成分が好ましい。中でも、炭化水素油、シリコーン油が好ましい。
【0031】
[化粧料]
本発明の(A)オイルゲル化剤は、各種の化粧品に使用することができるが、特に口唇化粧料に好適である。温度安定性が高いゲルを形成するため、安定な組成物となり、使用感が向上する。本発明の化粧料に含まれるオイルゲル化剤の配合量は化粧料の剤形によって異なるが、化粧料全体の0.5~99.0質量%の範囲で使用可能であり、好ましくは化粧料全体の1.0~50質量%で配合される。
【0032】
本発明の化粧料には、上記(A)オイルゲル化剤の他に化粧料に通常配合できる成分を
適量配合することができる。このような成分としては、(B)油剤成分、(C)紫外線吸収成分、(D)水、(E)界面活性剤、(F)粉体、(G)分子構造中にアルコール性水酸基を有する化合物、(H)水溶性又は水膨潤性高分子化合物、(I)親水性基を有しない架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤からなる組成物、(J)親水性基を有する架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤からなる組成物、(K)シリコーン樹脂、及び/又は(L)シリコーンワックス等を含むことができる。以下、各々の成分につき説明する。以下、化合物名を化粧品表示名称、INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)で記載する場合がある。
【0033】
(B)油剤成分
上述のように本発明の化粧料は、1種又は2種以上の油剤成分を含むことができる。油剤成分としては、通常の化粧料に使用される、固体、半固体、液状のいずれの油剤も使用することができる。
【0034】
このような液状油剤としては、1種又は2種以上のシリコーン油、炭化水素油、高級脂肪酸、エステル油や天然動植物油等の極性油、半合成油、フッ素系油等を挙げることができ、中でも、炭化水素油、シリコーン油が好ましい。このように、油剤成分(B)がシリコーン油であっても、本発明の化粧料に含まれるオイルゲル化剤であれば、いずれとも相溶性を有するので、使用感良好で使用性及び安定性に優れた化粧料を提供することができる。
【0035】
シリコーン油としては、ジメチコン(INCI)、カプリリルメチコン(INCI)、フェニルトリメチコン(INCI)、ヘキシルジメチコン(INCI)、ハイドロゲンジメチコン(INCI)、ジフェニルジメチコン(INCI)等の低粘度から高粘度の直鎖又は分岐状のオルガノポリシロキサン、シクロテトラシロキサン(INCI)、シクロペンタシロキサン(INCI)、シクロヘキサシロキサン(INCI)、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン等の環状オルガノポリシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン等の分岐状オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、高重合度のガム状ジメチルポリシロキサン、ガム状アミノ変性オルガノポリシロキサン、ガム状のジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等のシリコーンゴム、及びシリコーンガムやゴムの環状シロキサン溶液、トリメチルシロキシケイ酸、トリメチルシロキシケイ酸の環状オルガノポリシロキサン溶液、ステアロキシジメチコン(INCI)等の高級アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、高級脂肪酸変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、長鎖アルキル変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、シリコーン樹脂及びシリコーンレジンの溶解物等が挙げられる。
【0036】
炭化水素油としては、直鎖状、分岐状、さらに揮発性の炭化水素油等が挙げられる。例えば、オゾケライト(INCI)、オレフィンオリゴマー(表示名称)、イソドデカン(INCI)、水添ポリイソブテン(INCI:Hydrogenated Polyisobutene)、スクワラン(INCI)、スクワレン(INCI)、セレシン(INCI)、パラフィン(INCI)、ポリエチレン(INCI)、ポリエチレン・ポリプロピレンワックス、(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、(ブチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、プリスタン(INCI)、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス(INCI)、ワセリン(INCI:Petrolatum)等が挙げられる。
【0037】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸(INCI:Lauric Acid)、ミリスチン酸(INCI:Myristic Acid)、パルミチン酸(INCI:Palmitic Acid)、ステアリン酸(INCI:Stearic Acid)、ベヘン酸(INCI:Behenic Acid)、ウンデシレン酸(INCI:Undecylenic Acid)、オレイン酸(INCI:Oleic Acid)、リノール酸(INCI:Linoleic Acid)、リノレン酸(INCI:Linolenic Acid)、アラキドン酸(INCI:Arachidonic Acid)、エイコサペンタエン酸(EPA)(INCI:Eicosapentaenoic Acid)、ドコサヘキサエン酸(DHA)(INCI:Docosahexaenoic Acid)、イソステアリン酸(INCI:Isostearic Acid)、ヒドロキシステアリン酸(INCI:Hydroxystearic Acid)等が挙げられる。高級アルコールとしては、ラウリルアルコール(INCI)、ミリスチルアルコール(INCI)、セタノール(INCI)、ステアリルアルコール(INCI)、ベヘニルアルコール(INCI)、オレイルアルコール(INCI)、イソステアリルアルコール(INCI)、オクチルドデカノール(INCI)、セテアリルアルコール(INCI)、デシルテトラデカノール(INCI)、コレステロール(INCI)、フィトステロールズ(INCI)、バチルアルコール(INCI)、オレイルグリセリル(INCI:Oleyl Glyceryl Ether)等が挙げられる。
【0038】
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル(INCI:Diisobutyl Adipate)、アジピン酸ジエチルヘキシル(INCI:Diethylhexyl Adipate)、アジピン酸ジヘプチルウンデシル(INCI: Heptylundecyl Adipate)、モノイソステアリン酸n-アルキレン(20~30)グリコール、イソステアリン酸イソセチル(INCI:Isocetyl Isostearate)、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(INCI:Trimethylolpropane Triisostearate)、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル(INCI:Cetyl Ethylhexanoate)、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン(INCI:Trimethylolpropane Triethylhexanoate)、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル(INCI:Pentaerythrityl Tetraethylhexanoate)、オクタン酸セチル(INCI:Cetyl Ethylhexanoate)、ミリスチン酸オクチルドデシル(INCI:Octyldodecyl Myristate)、オレイン酸オレイル(INCI:Oleyl Oleate)、オレイン酸オクチルドデシル(INCI:Octyldodecyl Oleate)、オレイン酸デシル(INCI:Decyl Oleate)、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール(INCI:Neopentyl Glycol Diethylhexanoate)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(INCI:Neopentyl Glycol Dicaprate)、クエン酸トリエチル(INCI:Triethyl Citrate)、コハク酸ジエチルヘキシル(INCI:Diethylhexyl Succinate)、酢酸アミル(INCI:Amyl Acetate)、酢酸エチル(INCI:Ethyl Acetate)、酢酸ブチル(INCI:Butyl Acetate)、ステアリン酸イソセチル(INCI:Isocetyl Isostearate)、ステアリン酸ブチル(INCI:Butyl Stearate)、セバシン酸ジイソプロピル(INCI:Diisopropyl Sebacate)、セバシン酸ジエチルヘキシル(INCI:Diethylhexyl Sebacate)、乳酸セチル(INCI:Cetyl Lactate)、乳酸ミリスチル(INCI:Myristyl Lactate)、イソノナン酸イソノニル(INCI:Isononyl Isononanoate)、イソノナン酸イソトリデシル(INCI:Isotridecyl Isononanoate)、パルミチン酸イソプロピル(INCI:Isopropyl Palmitate)、パルミチン酸エチルヘキシル(INCI:Ethylhexyl Palmitate)、パルミチン酸ヘキシルデシル(INCI:Hexyldecyl Palmitate)、ヒドロキシステアリル酸コレステリル(INCI:Cholesteryl Hydroxystearate)、ミリスチン酸イソプロピル(INCI:Isopropyl Myristate)、ミリスチン酸オクチルドデシル(INCI:Octyldodecyl Myristate)、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル(INCI:Myristyl Myristate)、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル(INCI:Ethylhexyl Laurate)、ラウリン酸ヘキシル(INCI:Hexyl Laurate)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(INCI:Phytosteryl/Octyldodecyl Lauroyl Glutamate)、ラウロイルサルコシンイソプロピル(INCI:Isopropyl Lauroyl Sarcosinate)、リンゴ酸ジイソステアリル(INCI:Diisostearyl Malate)等が挙げられる。グリセライド油としては、酢酸グリセリル(INCI:Glyceryl Acetate)、トリエチルヘキサノイン(INCI)、トリイソステアリン酸グリセリル(INCI:Glyceryl Isostearate)、トリイソパルミチン(INCI)、ステアリン酸グリセリル(INCI:Glyceryl Stearate)、ジイソステアリン酸グリセリル(INCI:Glyceryl Diisostearate)、トリミリスチン(INCI)、及び(イソステアリン酸/ミリスチン酸)グリセリル(INCI:ISOSTEARIC/Myristic Glycerides)等が挙げられる。
【0039】
また、天然動植物油及び半合成油として、アボカド油(INCI:Persea Gratissima (Avocado) Oil)、アマニ油(INCI:Linum Usitatissimum (Linseed) Seed Oil)、アーモンド油(INCI:Prunus Amygdalus Dulcis (Sweet Almond) Oil)、イボタロウ、エゴマ油、オリーブ油、ポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ(INCI:Copernicia Cerifera (Carnauba) Wax)、サメ肝油(INCI:Shark Liver Oil)、タラ肝油(INCI:Cod Liver Oil)、キャンデリラロウ(INCI:Euphorbia Cerifera (Candelilla) Wax)、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、水添パーム油(INCI:Hydrogenated Palm Oil)、コムギ胚芽油(INCI:Triticum Vulgare (Wheat) Germ Oil)、ゴマ油(INCI:Sesamum Indicum (Sesame) Seed Oil)、コメ胚芽油(INCI:Oryza Sativa (Rice) Germ Oil)、コメヌカ油(INCI:Oryza Sativa (Rice) Bran Oil)、サトウキビロウ(INCI:Saccharum Officinarum (Sugarcane) Wax)、サザンカ油(INCI:Camellia Kissi Seed Oil)、サフラワー油(INCI:Carthamus Tinctorius (Safflower) Seed Oil)、シア脂(INCI:Butyrospermum Parkii (Shea Butter))、ヤシ油(INCI:Cocos Nucifera (Coconut) Oil)、ケイヒ油、ホホバワックス(INCI:Simmondsia Chinensis (Jojoba) Seed Wax)、セラックロウ(INCI:Shellac Wax)、タートル油(INCI:Turtle Oil)、大豆油(INCI:Glycine Soja (Soybean) Oil)、チャ実油(INCI:Camellia Sinensis Seed Oil)、ツバキ油(INCI:Camellia Japonica Seed Oil)、月見草油(INCI:Oenothera Biennis (Evening Primrose) Oil)、コーン油(INCI:Zea Mays (Corn) Oil)、豚脂(INCI:Lard)、ナタネ油、桐油、コメヌカロウ(INCI:Oryza Sativa (Rice) Bran Wax)、馬脂(INCI:Horse Fat)、パーシック油、パーム油(INCI:Elaeis Guineensis (Palm) Oil)、パーム核油(INCI:Elaeis Guineensis (Palm) Kernel Oil)、ヒマシ油(INCI:Ricinus Communis (Castor) Seed Oil)、水添ヒマシ油(INCI:Hydrogenated Castor Oil)、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ種子油(INCI:Vitis Vinifera (Grape) Seed Oil)、ベイベリーロウ、ホホバ油(INCI:Jojoba Oil)、水添ホホバ油(INCI:Hydrogenated Jojoba Oil)、マカデミアナッツ油(INCI:Macadamia Integrifolia Seed Oil)、ミツロウ(INCI:Beeswax)、ミンク油(INCI:Mink Oil)、メドウフォーム油(INCI:Limnanthes Alba (Meadowfoam) Seed Oil)、綿実油(INCI:Gossypium (Cotton) Seed Oil)、綿ロウ、モクロウ(INCI:Rhus Succedanea Fruit Wax)、モンタンロウ(INCI:Montan Wax)、水添ヤシ油(INCI:Hydrogenated Coconut Oil)、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、ピーナッツ油(INCI:Arachis Hypogaea (Peanut) Oil)、ラノリン(INCI:Lanolin)、液状ラノリン(INCI:Lanolin Oil)、水添ラノリン(INCI:Hydrogenated Lanolin)、ラノリンアルコール(INCI)、ラノリンロウ(INCI:Lanolin Wax)、酢酸ラノリン(INCI:Acetylated Lanolin)、酢酸ラノリンアルコール(INCI:Acetylated Lanolin Alcohol)、ラノリン脂肪酸イソプロピル(INCI:Isopropyl Lanolate)、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油(INCI:Egg Oil)等が挙げられる。但し、POEはポリオキシエチレンを意味する。
【0040】
フッ素系油剤としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン(INCI)、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
【0041】
本発明の化粧料に含まれる(B)油剤成分の配合量は化粧料の剤系によっても異なるが、化粧料全体の1~98質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましい。
【0042】
(C)紫外線吸収成分
本発明の化粧料は、さらに1種又は2種以上の紫外線吸収成分を含むことができる。これにより、本発明の化粧料は使用感良好で使用性及び持続性に優れる上、紫外線を吸収することのできる化粧料となる。紫外線吸収成分としては、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤が包含される。紫外線吸収剤としては、PABA(INCI)等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル(INCI:Methyl Anthranilate)等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸メチル(INCI:Methyl Salicylate)等のサリチル酸系紫外線吸収剤、メトキシケイヒ酸オクチル(INCI:Ethylhexyl Methoxycinnamate)等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、オキシベンゾン-1(INCI:Benzophenone-1)等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(INCI:Butyl Methoxydibenzoylmethane)等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤等が例示される。また、先に述べた紫外線吸収性の官能基を備えるシリコーン誘導体を用いてもよい。紫外線吸収散乱剤としては、微粒子酸化チタン、微粒子鉄含有酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム及びそれらの複合体等、紫外線を吸収散乱する粉体が挙げられる。中でも、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、酸化チタン、酸化亜鉛が好ましい。
【0043】
(D)水
本発明の化粧料には、その目的に応じて水を配合することができる。これにより、本発明の化粧料は使用目的に応じて水を配合することで、より使用性にすぐれた化粧料となる。水の配合量は、化粧料全体の95質量%以下が好ましい。
【0044】
(E)界面活性剤
本発明の化粧料は、さらに1種又は2種以上の界面活性剤を含むことができる。これにより、本発明の化粧料は使用目的に応じて界面活性剤を配合することで、より使用性にすぐれた化粧料となる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の界面活性剤があるが、本発明の化粧料に含まれる界面活性剤は特に制限されるものではなく、通常の化粧料に使用されるものであれば、いずれのものも使用することができる。
【0045】
例えば、アニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸Na(INCI:Sodium Stearate)やパルミチン酸TEA(INCI:TEA-Palmitate)等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合物塩、アルカンスルホン酸塩、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、ホルマリン縮合系スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、硫酸化ヒマシ油(INCI:Sulfated Castor Oil)等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N-アシル乳酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルアミノ酸系活性剤等; カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
【0046】
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、直鎖又は分岐状ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。
【0047】
両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体、アミ
ドアミン型等が挙げられる。
【0048】
これらの界面活性剤の中でも、分子中にポリオキシエチレン鎖を有する直鎖又は分岐状のオルガノポリシロキサン、分子中にポリグリセリン鎖を有する直鎖又は分岐状のオルガノポリシロキサン、それぞれのアルキル共変性オルガノポリシロキサンである界面活性剤が好ましい。市販品としては、特に限定されるものではないが、KF-6011、KF-6011P、KF-6043、KF-6012、KF-6013、KF-6015、KF-6016、KF-6017、KF-6028、KF-6028P、KF-6038、KF-6100、KF-6104、KF-6105、KF-6106(いずれも信越化学工業(株)製)等がある。また、HLBが2~10である界面活性剤が好ましい。界面活性剤の配合量は、化粧料全体の0.1~20質量%であることが好ましく、特に0.2~10質量%の範囲が好適である。
【0049】
(F)粉体
本発明の化粧料はさらに1種又は2種以上の粉体を含んでもよい。粉体としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、針状、板状等)、粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができる。例えば無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、タール色素、金属粉末顔料、天然色素、染料等の着色剤が挙げられる。
【0050】
無機粉体としては、例えば、酸化チタン(INCI:Titanium Dioxide)、酸化ジルコニウム(INCI:Zirconium Dioxide)、酸化亜鉛(INCI:Zinc Oxide)、酸化セリウム(INCI:Cerium Oxide)、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク(INCI)、マイカ(INCI)、カオリン(INCI)、セリサイト、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、シリカ(INCI)、ケイ酸Al(INCI:Aluminum Silicate)、ケイ酸Mg(INCI:Magnesium Silicate)、ケイ酸(Al/Mg)(INCI:Magnesium Aluminum Silicate)、ケイ酸Ca(INCI:Calcium Silicate)、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト(INCI)、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト(INCI)、モンモリロナイト(INCI)、ヘクトライト(INCI)、ゼオライト(INCI)、第二リン酸カルシウム、アルミナ(INCI)、水酸化Al(INCI:Aluminum Hydroxide)、窒化ホウ素(INCI:Boron Nitride)、及びシリル化シリカ(INCI:Silica Silylate)等が挙げられる。
【0051】
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリアクリル酸・アクリル酸エステルパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース(INCI)、シルクパウダー、ナイロンパウダー、ナイロン-12(INCI)、ナイロン-6(INCI)、ジメチルポリシロキサンを架橋した構造を持つ架橋型球状ジメチルポリシロキサン微粉末、架橋型球状ポリメチルシルセスキオキサン微粉末、架橋型球状オルガノポリシロキサンゴム表面をポリメチルシルセスキオキサン粒子で被覆してなる微粉末、疎水化シリカ、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、脂肪酸デンプン誘導体末、及びラウロイルリシン(INCI)等が挙げられる。
【0052】
界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、例えば、ウンデシレン酸亜鉛(INCI:Zinc Undecylenate)、イソステアリン酸Al(INCI:Aluminum Isostearate)、ステアリン酸亜鉛(INCI:Zinc Stearate)、ステアリン酸Al(INCI:Aluminum Stearate)、ステアリン酸Ca(INCI:Calcium Stearate)、ステアリン酸マグネシウム(INCI:Magnesium Stearate)、ミリスチン酸亜鉛(INCI:Zinc Myristate)、ミリスチン酸Mg(INCI:Magnesium Myristate)、セチルリン酸(亜鉛/Na)(INCI:Sodium Zinc Cetyl Phosphate)、セチルリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛(INCI:Zinc Palmitate)、パルミチン酸アルミニウム、ラウリン酸亜鉛(INCI:Zinc Laurate)等が挙げられる。
【0053】
有色顔料の具体例としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック(INCI)等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット(INCI:Manganese Violet)、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム(INCI:Chromium Hydroxide Green)、酸化クロム(INCI:Chromium Oxide Greens)、酸化コバルト、チタン酸コバルト(INCI:Cobalt Titanium Oxide)等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が挙げられる。
【0054】
パール顔料の具体例としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。
【0055】
タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸(INCI:Laccaic Acid)、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる粉体が挙げられる。
【0056】
これらの粉体のうち、本発明においては、ジメチルポリシロキサンで架橋された構造を持つ架橋型球状ジメチルポリシロキサン微粉末、架橋型球状ポリメチルシルセスキオキサン微粉末、架橋型球状ポリシロキサンゴム表面をポリメチルシルセスキオキサン粒子で被覆してなる微粉末、架橋型球状ジフェニルポリシロキサンゴム表面をポリメチルシルセスキオキサン粒子で被覆してなる微粉末、疎水化シリカが好ましく、また、フッ素基を有する粉体、着色剤も用いられる。市販品としては、KMP-590、KSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-105、KSP-300(いずれも信越化学工業(株)製)等がある。
【0057】
これらの粉体は本発明の効果を妨げない範囲で、粉体の複合化や一般油剤、シリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したものも使用することができる。例えば、フッ素化合物処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくてもかまわない。必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。また、これらの粉体の配合量は、化粧料全体の99質量%以下の範囲が好適である。特に、粉末化粧料の場合の配合量は、化粧料全体の80~99質量%の範囲が好適である。
【0058】
(G)分子構造中にアルコール性水酸基を有する化合物
本発明の化粧料は、さらに1種又は2種以上の分子構造中にアルコール性水酸基を有する化合物を含んでもよい。かかる化合物としては、エタノール(INCI:Alcohol)、イソプロパノール(INCI:Isopropyl Alcohol)等の低級アルコール、ソルビトール(INCI)、マルトース(INCI)等の糖アルコール等があり、コレステロール(INCI)、シトステロールBeta-Sitosterol、フィトステロールズ(INCI)、ラノステロール(INCI)等のステロール、BG(INCI:Butylene Glycol)、PG(INCI:Propylene Glycol)、DPG(INCI:Dipropylene Glycol)、ペンチレングリコール(INCI)等の多価アルコール等があるが、通常は水溶性1価のアルコール、水溶性多価アルコールが多く用いられる。分子構造中にアルコール性水酸基を有する化合物の配合量は、化粧料全体の98質量%以下の範囲が好適である。
【0059】
(H)水溶性又は水膨潤性高分子化合物
本発明の化粧料は、さらに1種又は2種以上の水溶性又は水膨潤性高分子化合物を含んでもよい。これら水溶性又は水膨潤性高分子化合物としては、例えば、アラビアゴム(INCI:Acacia Senegal Gum)、トラガカントゴムノキガム(INCI:Astragalus Gummifer Gum)、ガラクタン、ローカストビーンガム(INCI:Ceratonia Siliqua Gum)、グアーガム(INCI:Cyamopsis Tetragonoloba (Guar) Gum)、カラヤガム(INCI:Sterculia Urens Gum)、カラギーナン(INCI:Chondrus Crispus (Carrageenan))、ペクチン(INCI)、カンテン(INCI:Agar)、クインスシード(マルメロ)(INCI:Pyrus Cydonia Seed)、コメデンプン(INCI:Oryza Sativa (Rice) Starch)、コムギデンプン(INCI:Triticum Vulgare (Wheat) Starch)、バレイショデンプン(INCI:Solanum Tuberosum (Potato) Starch)、トラガント(INCI:Astragalus Gummifer Gum)等の植物系高分子化合物、キサンタンガム(INCI)、デキストラン(INCI)、サクシノグリカン(INCI)、プルラン(INCI)等の微生物系高分子化合物、コラーゲン(INCI)、カゼイン(INCI)、アルブミン、ゼラチン(INCI)等の動物系高分子化合物、カルボキシメチルデンプンNa(INCI:Sodium Carboxymethyl Starch)、ヒドロキシプロピルデンプン(INCI:Hydroxypropyl Starch)等のデンプン系高分子化合物、メチルセルロース(INCI)、エチルセルロース(INCI)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(INCI)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(INCI)、ニトロセルロース(INCI)、セルロース硫酸Na(INCI:Sodium Cellulose Sulfate)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース(INCI:Microcrystalline Cellulose)、セルロース末のセルロース高分子化合物、アルギン酸Na(INCI:Algin)、アルギン酸PG(INCI:Propylene Glycol Alginate)等のアルギン酸系高分子化合物、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子化合物、ポリオキシエチレン系高分子化合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子化合物、ポリアクリル酸Na(INCI:Sodium Polyacrylate)、ポリアクリル酸エチル(INCI:Polyethylacrylate)、ポリアクリルアミド(INCI)、(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(INCI:Acrylamide/Sodium Acryloyldimethyltaurate Copolymer)のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等他の合成水溶性高分子化合物、ベントナイト(INCI)、ケイ酸(Al/Mg)(INCI:Magnesium Aluminum Silicate)、モンモリロナイト(INCI)、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト(INCI)、シリカ(INCI)等の無機系水溶性高分子化合物等がある。また、これらの水溶性高分子化合物には、ポリビニルアルコール(INCI)やPVP(INCI)等の皮膜形成剤も含まれる。水溶性又は水膨潤性高分子化合物の配合量は、化粧料全体の25質量%以下の範囲が好適である。
【0060】
(I)親水性基を有しない架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤からなる組成物
本発明の化粧料は、さらに1種又は2種以上の親水性基を有しない架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤からなる組成物(I)を含んでもよい。該架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、アルキルハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化反応性不飽和基を有する架橋剤とを反応することによって得られる。アルキルハイドロジェンポリシロキサンとしては直鎖ないし一部分岐単位を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン、炭素数が6~20のアルキル鎖がグラフトされたメチルハイドロジェンポリシロキサン等をあげることができる。ケイ素原子に結合した水素原子は、分子中に平均で二つ以上必要である。架橋剤は、メチルビニルポリシロキサンやα,ω-アルケニルジエン等のように、分子中に二つ以上のヒドロシリル化反応可能な炭素-炭素二重結合を持つものが挙げられる。得られた架橋型オルガノポリシロキサン重合物を、例えば自重以上の動粘度0.65mm2/秒(25℃)~100.0mm2/秒(25℃)の低粘度シリコーン、流動パラフィン、スクワラン、イソドデカン等の炭化水素油、トリオクタノイン等のグリセライド油、及びエステル油等の液状油剤で膨潤させる。
【0061】
また、これらの架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤との組成物としては市販品として入手可能である。例えば、シリコーン油でペースト状にしたKSG-15、KSG-16、KSG-18、KSG-1610、USG-103、炭化水素油やトリグリセライド油でペースト状にしたUSG-106、KSG-41、KSG-42、KSG-43、KSG-44、KSG-810(いずれも信越化学工業(株)製)等がある。該親水性基を有しない架橋型オルガノポリシロキサンと液状油剤からなる組成物(I)の配合量は、化粧料全体に対して0.1~50質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1~30質量%である。
【0062】
(J)親水性基を有する架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤からなる組成物
本発明の化粧料は、さらに1種又は2種以上の親水性基を有する架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油剤からなる組成物を含んでもよい。親水性基としては、ポリエーテル基、ポリグリセリン基が好ましい。ポリエーテル基及び/又はポリグリセリン基を有する架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、アルキルハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化反応性不飽和基を有する架橋剤とを反応することによって得られる。アルキルハイドロジェンポリシロキサンとして、ポリオキシエチレン鎖がグラフトされたメチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリグリセリン鎖がグラフトされたメチルハイドロジェンポリシロキサン等を挙げることができ、ケイ素原子に結合した水素原子は、分子中に平均で二つ以上必要である。
【0063】
架橋剤としては、メチルビニルポリシロキサン、α,ω-アルケニルジエン、グリセリントリアリルエーテル、ポリオキシアルキニル化グリセリントリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ポリオキシアルキニル化トリメチロールプロパントリアリルエーテル等のように、分子中に二つ以上のヒドロシリル化反応可能な炭素-炭素二重結合を持つものが挙げられる。これらを反応させた架橋物は、1つ以上の親水基を有するものである。
【0064】
得られた架橋型オルガノポリシロキサン重合物を、例えば自重以上の動粘度0.65mm2/秒(25℃)~100.0mm2/秒(25℃)の低粘度シリコーン、流動パラフィン、スクワラン、イソドデカン等の炭化水素油、トリオクタノイン等のグリセライド油、及びエステル油等の液状油剤に膨潤させる。
【0065】
また、これらの架橋型オルガノポリシロキサンは市販品として入手可能である。例えば、シリコーン油でペースト状にしたKSG-210、KSG-240、KSG-710、炭化水素油やトリグリセライド油でペースト状にしたKSG-310、KSG-320、KSG-330、KSG-340、KSG-820、KSG-830、KSG-840(いずれも信越化学工業(株)製)等がある。また、該親水性基を有する架橋型オルガノポリシロキサンと液状油剤からなる組成物(J)の配合量は、化粧料全体に対して0.1~50質量%であることが好ましく、1~30質量%がさらに好ましい。
【0066】
(K)シリコーン樹脂
本発明の化粧料は、さらに1種又は2種以上のシリコーン樹脂(K)を含んでもよい。シリコーン樹脂は、SiO4/2単位及び/又はR’SiO3/2(R’はアルキル基)を含むシリコーン網状化合物、直鎖状のアクリル/シリコーングラフト、又はこれらのブロック共重合体からなる群より選ばれるものであることが好ましい。直鎖状のアクリル/シリコーングラフト又は前記ブロック共重合体は、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分、ポリオキシアルキレン部分及びフルオロアルキル部分、カルボン酸等のアニオン部分の中から選択される1種以上を有していてよい。市販品としては、特に限定されるものではないが、シリコーン油や炭化水素油、アルコールに溶解したKP-541、KP-543、KP-545、KP-549、KP-550、KP-571、KP-575、KP-581(いずれも信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0067】
前記シリコーン網状化合物は、MQ、MDQ、MT、MDT、MDTQと表されるシリコーン網状化合物であることが好ましい。但しM、D、T、Qは、それぞれ、R3SiO1/2単位、R2SiO2/2単位、RSiO3/2単位、SiO4/2単位を表す。シリコーン網状化合物は、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分、ポリオキシアルキレン部分及びフルオロアルキル部分、アミノ部分の中から選択される1種以上を分子中に含有していてよい。市販品としては、特に限定されるものではないが、KF-7312J、KF-7312K、KF-7312T(いずれも信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0068】
前記(K)シリコーン樹脂は、低粘度シリコーン油や揮発性シリコーン油、及びその他の溶剤に溶解させたものでもよい。いずれも、前記シリコーン樹脂の配合量は、本発明の化粧料全体に対して樹脂量が0.1~20質量%であることが好ましく、1~10質量%がより好ましい。
【0069】
(L)シリコーンワックス
本発明の化粧料は、その目的に応じてシリコーンワックス(L)を含むこともできる。このシリコーンワックスとしては、5員環以上のラクトン化合物の開環重合物であるポリラクトンを結合させたポリラクトン変性ポリシロキサン、ピロリドン基、長鎖アルキル基、ポリオキシアルキレン基、フルオロアルキル基、カルボン酸等のアニオン基の中から選択された1種以上の官能基を分子中に含有するアクリル変性ポリシロキサン等が挙げられる。市販品としては、長鎖アルキル基を有するワックスとして、KP-561P、KP-562P(いずれも信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0070】
シリコーンワックスとしては、オレフィンワックスと1分子中1個以上のSiH結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを付加反応させることによって得られるシリコーン変性オレフィンワックスが挙げられる。なお、オレフィンワックスは、エチレンと1種以上のジエンを共重合して得られるもの、又はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンから選ばれる1種以上のオレフィンと1種以上のジエンを共重合して得られるものであり、このジエンとしては、ビニルノルボルネンが好適である。
【0071】
シリコーンワックスを用いる場合、その配合量は、化粧料全体に対して0.1~20重量%であることが好ましく、1~10重量%がより好ましい。
【0072】
その他の成分
さらに本発明の化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の化粧料に使用される成分、例えば、油溶性ゲル化剤、制汗剤、保湿剤、防菌防腐剤、塩類、酸化防止剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン、アミノ酸、毛髪固定用高分子化合物等を添加することができる。
【0073】
油溶性ゲル化剤としては、例えば、ステアリン酸Al(INCI:Aluminum Stearate)、ステアリン酸Mg(INCI:Magnesium Stearate)、ミリスチン酸亜鉛(INCI:Zinc Myristate)等の金属セッケン、ラウロイルグルタミン酸(INCI:Lauroyl Glutamic Acid)等のアミノ酸誘導体、パルミチン酸デキストリン(INCI:Dextrin Palmitate)、イソステアリン酸デキストリン(INCI:Dextrin Isostearate)、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン(INCI:Dextrin Palmitate/Ethylhexanoate)等のデキストリン脂肪酸エステル、パルミチン酸スクロース(INCI:Sucrose Palmitate)、ステアリン酸スクロース(INCI:Sucrose Stearate)等のショ糖脂肪酸エステル、カプリル酸フルクトオリゴ糖(INCI:Fructooligosaccharide Caprylate)、ヘキシルデカン酸フルクトオリゴ糖(INCI:Fructooligosaccharide Hexyldecanoate)等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物等から選ばれる1種又は2種以上の油溶性ゲル化剤が挙げられる。
【0074】
制汗剤としては、例えば、クロルヒドロキシAl(INCI:Aluminum Chlorohydrate)、塩化Al(INCI:Aluminum Chloride)、アルミニウムセスキクロロハイドレート、ジルコニルヒドロキシクロライド、アルミニウムジルコニウムヒドロキシクロライド、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体等から選ばれる1種又は2種以上の制汗剤が挙げられる。
【0075】
保湿剤としては、例えば、グリセリン(INCI)、ソルビトール(INCI)、PG(INCI)、DPG(INCI)、BG(INCI)、ペンチレングリコール(INCI)、グルコース(INCI)、キシリトール(INCI)、マルチトール(INCI)、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸(INCI:Hyaluronic Acid)、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等から選ばれる1種又は2種以上の保湿剤が挙げられる。
【0076】
防菌防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸(INCI:Benzoic Acid)、安息香酸Na(INCI:Sodium Benzoate)、ソルビン酸(INCI:Sorbic Acid)、ソルビン酸K(INCI:Potassium Sorbate)、フェノキシエタノール(INCI)等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、フェノール(INCI)、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、p-クロロ-m-クレゾール(INCI)、ヘキサクロロフェン(INCI)、ベンザルコニウムクロリド(INCI)、クロルヘキシジン2HCl(INCI:Chlorhexidine Dihydrochloride)、トリクロカルバン(INCI)、感光素、フェノキシエタノール等から選ばれる1種又は2種以上の防菌防腐剤が挙げられる。
【0077】
塩類としては、例えば、無機塩、有機酸塩、アミン塩及びアミノ酸塩等が挙げられる。無機塩としては、例えば、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩等;有機酸塩としては、例えば酢酸(INCI:Acetic Acid)、デヒドロ酢酸(INCI:Dehydroacetic Acid)、クエン酸(INCI:Citric Acid)、リンゴ酸(INCI:Malic Acid)、コハク酸(INCI:Succinic Acid)、アスコルビン酸(INCI:Ascorbic Acid)、ステアリン酸(INCI:Stearic Acid)等の有機酸類の塩;アミン塩及びアミノ酸塩としては、例えば、TEA(INCI:Triethanolamine)等のアミン類の塩、グルタミン酸(INCI:Glutamic Acid)等のアミノ酸類の塩等から選ばれる1種又は2種以上の塩類が挙げられる。また、その他、ヒアルロン酸(INCI:Hyaluronic Acid)、コンドロイチン硫酸等の塩、テトラクロロ(Al/ジルコニウム)水和物(INCI:Aluminum Zirconium Tetrachlorohydrate)等や、さらには、化粧品処方の中で使用される酸-アルカリの中和塩等も使用することができる。
【0078】
酸化防止剤としては、例えばトコフェロール(INCI)、BHA(INCI)、BHT(INCI)、フィチン酸(INCI:Phytic Acid)等、pH調整剤としては、乳酸(INCI:Lactic Acid)、クエン酸(INCI:Citric Acid)、グリコール酸(INCI:Glycolic Acid)、コハク酸(INCI:Succinic Acid)、酒石酸(INCI:Tartaric Acid)、リンゴ酸(INCI:Malic Acid)、炭酸K(INCI:Potassium Carbonate)、炭酸水素Na(INCI:Sodium Bicarbonate)、炭酸水素アンモニウム(INCI:Ammonium Bicarbonate)等、キレート剤としては、アラニン(INCI)、EDTA-2Na(INCI:Disodium EDTA)、ポリリン酸Na(INCI:Sodium Polyphosphate)、メタリン酸Na(INCI:Sodium Metaphosphate)、リン酸(INCI:Phosphoric Acid)等、清涼剤としては、メントール(INCI)、カンフルCamphor等、抗炎症剤としては、アラントイン(INCI)、グリチルリチン酸(INCI:Glycyrrhizic Acid)及びその塩、グリチルレチン酸(INCI:Glycyrrhetinic Acid)及びグリチルレチン酸ステアリル(INCI:Stearyl Glycyrrhetinate)、トラネキサム酸、アズレン(INCI)等から選ばれる1種又は2種以上の酸化防腐剤が挙げられる。
【0079】
美肌用成分としては、例えば、プラセンタエキス(INCI:Placental Extract)、アルブチン(INCI)、グルタチオン(INCI)、ユキノシタエキス(INCI:Saxifraga Sarmentosa Extract)等の美白剤、ローヤルゼリー(INCI)、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノナン酸バニリルアミド、ニコチン酸ベンジル(INCI:Benzyl Nicotinate)、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン(INCI)、アセチルジンゲロン(INCI)、マメハンミョウエキス、イクタモール(INCI)、カフェイン(INCI)、タンニン酸Tannic Acid、ボルネオール(INCI)、ニコチン酸トコフェロール(INCI:Tocopheryl Nicotinate)、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、オリザノール(INCI)等の血行促進剤、酸化亜鉛(INCI:Zinc Oxide)、タンニン酸(INCI:Tannic Acid)等の皮膚収斂剤、イオウ(INCI:Sulfur)、チアントロール等の抗脂漏剤等から選ばれる1種又は2種以上の美肌用成分が挙げられる。
【0080】
ビタミンとしては、例えばビタミンA油、レチノール(INCI)、酢酸レチノール(INCI:Retinyl Acetate)、パルミチン酸レチノール(INCI:Retinyl Palmitate)等のビタミンA類、リボフラビン(INCI)、テトラ酪酸リボフラビン(INCI:Riboflavin Tetrabutyrate)、フラビンアデニンジヌクレオチド2Na(INCI:Disodium Flavine Adenine Dinucleotide)等のビタミンB2類、ピリドキシンHCl(INCI)、ピリドキシンジオクタノエート、ジパルミチン酸ピリドキシン(INCI:Pyridoxine Dipalmitate)等のビタミンB6類、ビタミンB12及びその誘導体、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸(INCI:Ascorbic Acid)、ジパルミチン酸アスコルビル(INCI:Ascorbyl Dipalmitate)、アスコルビン酸硫酸2Na(INCI:Disodium Ascorbyl Sulfate)、L-アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、エルゴカルシフェロール(INCI)、コレカルシフェロール(INCI)等のビタミンD類、トコフェロール(INCI)、酢酸トコフェロール(INCI:Tocopheryl Acetate)、ニコチン酸トコフェロール(INCI:Tocopheryl Nicotinate)、コハク酸トコフェロール(INCI:Tocopheryl Succinate)等のビタミンE類、ビオチン(INCI)、ルチン(INCI)等のビタミンP、ナイアシン(INCI)、ニコチン酸ベンジル(INCI:Benzyl Nicotinate)、ナイアシンアミド(INCI)等のニコチン酸類、パントテン酸Ca(INCI:Calcium Pantothenate)、パンテノール(INCI)、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類から選ばれる1種又は2種以上のビタミンが挙げられる。
【0081】
アミノ酸としては、例えばグリシン(INCI)、バリン(INCI)、ロイシン(INCI)、イソロイシン(INCI)、セリン(INCI)、トレオニン(INCI)、フェニルアラニン(INCI)、アルギニン(INCI)、リシン(INCI)、アスパラギン酸(INCI:Aspartic Acid)、グルタミン酸(INCI:Glutamic Acid)、シスチン(INCI)、システイン(INCI)、メチオニン(INCI)、トリプトファン(INCI)等、核酸としては、DNA(INCI)等、ホルモンとしては、エストラジオール(INCI)、エチニルエストラジオール(INCI)等から選ばれる1種又は2種以上のアミノ酸が挙げられる。
【0082】
前記毛髪固定用高分子化合物としては、例えば両性、アニオン性、カチオン性、非イオン性の各高分子化合物が挙げられ、PVP(INCI)、(VP/VA)コポリマー(INCI)等の、ポリビニルピロリドン系高分子化合物、(メチルビニルエーテル/マレイン酸)コポリマー(INCI:PVM/MA Copolymer)等の酸性ビニルエーテル系高分子化合物、(VA/クロトン酸)コポリマー(INCI:VA/Crotonates Copolymer)等の酸性ポリ酢酸ビニル系高分子化合物、(メタ)アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレート/アルキルアクリルアミド共重合体等の酸性アクリル系高分子化合物、N-メタクリロイルエチル-N、N-ジメチルアンモニウム・α-N-メチルカルボキシベタイン/アルキル(メタ)アクリレート共重合体、(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー共重合体等の両性アクリル系高分子化合物から選ばれる1種又は2種以上の毛髪固定用高分子化合物が挙げられる。また、セルロース又はその誘導体、ケラチンおよびコラーゲン又はその誘導体等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。これらの他にも、樹脂、香料、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、核酸、ホルモン、包接化合物もその他の成分として配合可能である。
【0083】
また、本発明における化粧料としては、乳液、クリーム、クレンジング、パック、マッサージ料、美容液、美容オイル、洗浄剤、脱臭剤、ハンドクリーム、リップクリーム、しわ隠し等のスキンケア化粧料、メイクアップ下地、コンシーラー、白粉、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、口紅等のメイクアップ化粧料、シャンプー、リンス、トリートメント、セット剤等の毛髪化粧料、制汗剤、日焼け止めオイルや日焼け止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料等が挙げられる。
【0084】
また、これらの化粧料の形状としては、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、プレス状、多層状、ムース状、スプレー状、スティック状等、種々の形状を選択することができる。
【0085】
さらに、これらの化粧料の形態としては、水性、油性、油中水型エマルション、水中油型エマルション、非水エマルション、W/O/WやO/W/O等のマルチエマルション等、種々の形態を選択することができる。
【実施例
【0086】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。
【0087】
[実施例1]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。セチルメタクリレート(16.6g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(16.6g)、下記式で表される架橋剤(1)(0.34g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量はMn=30,218であった。
【化13】
【0088】
[実施例2]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。セチルメタクリレート(16.6g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(16.6g)、下記式で表される架橋剤(2)(0.34g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=27,164であった
【化14】
【0089】
[実施例3]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。セチルメタクリレート(16.6g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(16.6g)、下記式で表される架橋剤(3)(0.34g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=30,133であった。
【化15】
【0090】
[実施例4]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。ベヘニルメタクリレート(25.0g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(8.3g)、上記式で表される架橋剤(1)(0.34g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=30,268であった。
【0091】
[実施例5]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。ベヘニルメタクリレート(25.0g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(8.3g)、上記式で表される架橋剤(2)(0.34g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=34,299であった。
【0092】
[実施例6]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。ベヘニルメタクリレート(25.0g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(8.3g)、上記式で表される架橋剤(3)(0.34g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=31,244であった。
【0093】
[実施例7]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。ベヘニルメタクリレート(11.4g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(8.3g)、下記式で表されるシリコーンマクロマー(1)(13.6g)、上記架橋剤(2)(0.34g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=35,125であった。
【化16】
【0094】
[比較例1]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。セチルメタクリレート(16.6g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(16.6g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=23,773であった。
【0095】
[比較例2]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。セチルメタクリレート(15.0g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(18.3g)、上記式で表される架橋剤(1)(0.34g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=29,560であった。
【0096】
[比較例3]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。セチルメタクリレート(28.3g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(5.0g)、上記式で表される架橋剤(1)(0.34g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=30,454であった。
【0097】
[比較例4]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。セチルメタクリレート(33.3g)、上記式で表される架橋剤(1)(0.34g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=27,543であった。
【0098】
[比較例5]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。2-ヒドロキシエチルメタクリレート(33.3g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、上記式で表される架橋剤(1)(0.34g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=31,036であった。
【0099】
[比較例6]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。ベヘニルメタクリレート(25.0g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(8.3g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=20,786であった。
【0100】
[比較例7]
セパラブルフラスコにイソプロピルアルコール(23.3g)を入れ、100℃で加熱した。ベヘニルメタクリレート(11.4g)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(8.3g)、上記式で表されるシリコーンマクロマー(1)(13.6g)、イソプロピルアルコール(16.6g)、パーブチルO(日本油脂株式会社製)(2.0g)を混合し、滴下ロートを用いて、セパラブルフラスコへ1時間かけて滴下した。滴下後、2時間撹拌して、追加でパーブチルO(0.3g)を加えた。さらに3時間撹拌し、反応を終了した。その後、溶媒を減圧留去して(110℃、1kPa以下)、目的の共重合体を得た。また、数平均分子量は、Mn=33,802であった。
【0101】
[ゲル化能の評価]
実施例1~7、及び比較例1~7の共重合体2gを、各油剤(イソドデカン(INCI)、水添ポリイソブテン(INCI:Hydrogenated Polyisobutene)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)(INCI:Cyclopentasiloxane))8gに溶解した。5℃の冷蔵庫で冷却して、ゲルを形成させた後、室温(25℃)に戻して、ゲル化能を評価した。評価結果は、ゲル化したものを「○」、ゲル化せず溶解してしまったものを「×」、油剤が溶解しなかったものを「不溶」とした。その後、得られた各ゲルを50℃の恒温槽に入れて温度安定性を比較した。評価結果を表1,2に示す。本発明の共重合体は、それぞれの油剤をゲル化することができた。温度安定性を比較すると、比較例のゲルに比べて、実施例のゲルの方が、温度安定性が向上していた。
【0102】
【表1】
【0103】
また、(b)/(a)が0.8~4.0であり、全モノマー中の(c)モノマー量が0.05~5質量%の範囲であっても、上記実施例と同様の効果が得られることを確認した。
【0104】
【表2】
【0105】
以下に、本発明の共重合体を配合した油性化粧料、油中水型乳化化粧料の処方例を挙げる。本発明はこれらの処方例によって限定されるものではない。なお、配合量は配合製品の配合量である。
【0106】
[処方例1]口紅
(成分) 質量(%)
1.ポリエチレン(INCI) 14.0
2.マイクロクリスタリンワックス(INCI) 4.0
3.ポリブテン(INCI) 10.0
4.実施例5に記載のオイルゲル化剤 15.0
5.オクタン酸セチル 20.0
(INCI:Cetyl Ethylhexanoate)
6.トリイソステアリン (INCI) 37.0
7.顔料 適量
8.防腐剤 適量
9.香料 適量
合計 100.0
【0107】
(製造方法)
A:成分5~6を均一に混合した
B:成分1~4を加熱(90℃)して溶解し、Aに加えて均一にした。
C:80℃で成分7~9をBに加えて均一にした。
以上のようにして得られた口紅は、のびが軽くて油っぽさや粉っぽさがない上、さっぱりとした使用感を与えるものであった。また、耐水性や撥水性が良好で持ちも良く、安定性にも優れているものであった。
【0108】
[処方例2]O/W型クリーム
(成分) 質量(%)
1.実施例2に記載のオイルゲル化剤 8.0
2.架橋型メチルフェニルポリシロキサン(注1) 2.0
(表示名称:(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン)(INCI)
3.イソノナン酸イソトリデシル 5.0
(INCI:Isotridecyl Isononanoate)
4.DPG (INCI) 7.0
5.グリセリン(INCI) 5.0
6.メチルセルロース(INCI)(2%水溶液)(注2) 7.0
7.ポリアクリルアミド系乳化剤(注3) 2.0
(表示名称:ポリアクリルアミド(INCI)、(C13,14)イソパラフィン(INCI)、ラウレス-7(INCI)、水)
8.グアニン(INCI) 1.0
9.防腐剤 適量
10.香料 適量
11.精製水 63.0
合計 100.0
(注1)信越化学工業(株)製:KSG-18
(注2)信越化学工業(株)製:メトローズSM-4000
(注3)SEPIC製:セピゲル305
【0109】
(製造方法)
A:成分4~11を混合した。
B:成分1~3を混合し、Aを加えて攪拌乳化した。
以上のようにして得られたクリームは、キメが細かく、のび広がりが軽くてべたつきや油っぽさがない上しっとりとしてみずみずしく、さっぱりとした使用感を与えるものであった。また、化粧持ちが非常に良く、温度変化や経時による変化もなく安定性に優れているO/W型クリームであることが確認された。
【0110】
[処方例3]W/Oクリームファンデーション
(成分) 質量(%)
1.実施例2に記載のオイルゲル化剤 4.0
2.ポリエーテル・アルキル共変性分岐型シリコーン(注1) 1.0
(表示名称:ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(INCI)
3.トリエチルヘキサノイン(INCI) 2.0
4.オクタン酸セチル 5.0
(INCI:Cetyl Ethylhexanoate)
5.イソノナン酸イソトリデシル 9.0
(INCI:Isotridecyl Isononanoate)
6.ハイブリッドシリコーン複合紛体(注2) 3.0
(表示名称:(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(INCI))
7.ポリグリセリン共変性分岐型シリコーン(注3) 0.6
(表示名称:ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン(INCI))
8.ポリグリセリン共変性分岐型シリコーン(注4) 0.3
(表示名称:ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(INCI))
9.アルキル・シリコーン処理顔料(注5) 10.0
(表示名称:トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(INCI))
10.BG(INCI:Butylene Glycol) 5.0
11.塩化ナトリウム 0.5
12.クエン酸ナトリウム 0.2
13.防腐剤 適量
14.香料 適量
15.精製水 59.4
合計 100.0
(注1)信越化学工業(株)製:KF-6038
(注2)信越化学工業(株)製:KSP-100
(注3)信越化学工業(株)製:KF-6100
(注4)信越化学工業(株)製:KF-6105
(注5)信越化学工業(株)製:KF-9909
【0111】
(製造方法)
A:成分1~6を均一に混合した。
B:成分7~10を均一に混合した。
C:成分11~13、及び15の一部を混合溶解した。
D:Bを成分15の残部に加え均一にした。
E:CをAに加えて乳化した。
F:さらにDをEに加えて乳化し、最後に成分14を加えて均一にした。
以上のようにして得られたW/Oクリームファンデーションは、べたつきがなく、のび広がりも軽く、しかも、顔料の分散性が良く、密着感に優れ、おさまりも良く、マット感のある仕上がり膜の非常にきれいなW/Oクリームファンデーションであった。
【0112】
[処方例4]アイカラー
(成分) 質量(%)
1.ジステアリン酸グリコール 12.0
(INCI:Glycol Distearate)
2.実施例5に記載のオイルゲル化剤 5.0
3.イソノナン酸イソトリデシル 35.0
(INCI:Isotridecyl Isononanoate)
4.キャンデリラロウ 2.0
(INCI:Euphorbia Cerifera (Candelilla) Wax)
5.レシチン (INCI) 0.2
6.ハイブリッドシリコーン複合紛体(注1) 3.0
(表示名称:(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(INCI))
7.アルキル・シリコーン処理顔料(注2) 適量
(表示名称:酸化鉄(INCI:Iron Oxides)、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(INCI))
8.マイカ処理酸化チタン 残量
合計 100.0
(注1)信越化学工業(株)製:KSP-100
(注2)信越化学工業(株)製:KTP-09
【0113】
A:成分2~3を混合した。
B:成分6~8を混合した。
C:成分1、4~5を混合し、Aを加えて加温する。
D:CをBに加えて、容器に流し込む。
以上のようにして得られたアイカラーは、油っぽさ、べたつきがなく、のび広がりも軽く、さっぱりとした使用性を持ち、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く化粧もちに優れたアイカラーであった。
【0114】
本発明のオイルゲル化剤を配合した化粧料は、のび広がりも軽く、後肌も、さらっとしたなめらかな感触を有する等、軽い延びとさっぱりした使用感を有する。従って本発明の化粧料を塗布する事により、適度に水分の蒸散を損なうことなく、柔軟性、平滑性、エモリエント効果を付与し、自然なつやからマット感まで幅広い特性を与えることができる等、本発明の化粧料は使用性に優れると共に、良好な経時安定性を有する。
【0115】
[産業上の利用可能性]
本発明の化粧料は、使用感に優れ、良好な経時安定性を有するので、実用上極めて有用である。また、本発明の組成物は、実用される化粧料の原料成分であるので、産業上の有用性は大きい。
【0116】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。