(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】アンテナ設置方向提示装置、アンテナ設置方向提示方法、及びアンテナ設置方向提示プログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/08 20060101AFI20241022BHJP
H04B 17/318 20150101ALI20241022BHJP
【FI】
H04B7/08 982
H04B17/318
H04B7/08 802
(21)【出願番号】P 2023539465
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2021029023
(87)【国際公開番号】W WO2023012950
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗山 圭太
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正文
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 文昭
(72)【発明者】
【氏名】宮城 利文
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-319871(JP,A)
【文献】特開2003-152621(JP,A)
【文献】特開2017-204677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/08
H04B 17/318
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一方向の指向性アンテナを用いて
所望の方向でRSSIの測定を行う測定部と、
送信局が電波を送信しているときに前記測定部によっ
てRSSIが異なる方向で3回以上測定された場合において、測定された前記RSSIの値が最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づいて電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、
前記到来方向推定部によって推定された前記電波の到来方向に基づいて、
所定の幅を有する範囲として、推奨測定方向を提示する推奨測定方向提示部と、
前記推奨測定方向提示部によって提示された前記推奨測定方向において、前記送信局が前記電波を送信しているときに
前記測定部によって測定された第1のRSSIの値と、前記送信局が前記電波を送信していないときに
前記測定部によって測定された第2のRSSIの値とに基づいて、C/N推定値を算出するC/N推定値算出部と、
前記C/N推定値算出部によって算出された前記C/N推定値に基づいてアンテナ設置方向を提示するアンテナ設置方向提示部と、
を備えることを特徴とするアンテナ設置方向提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ設置方向提示装置において、
前記到来方向推定部は、前記RSSIの値が最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向との中心方向を電波の到来方向と推定
する
ことを特徴とするアンテナ設置方向提示装置。
【請求項3】
単一方向の指向性アンテナを用いて
所望の方向でRSSIの測定と遅延プロファイルの測定
とを行う測定部と、
送信局が電波を送信しているときに前記測定部によっ
て遅延プロファイルが異なる方向で3回以上測定された場合において、
1以上の所定の遅延時間
のそれぞれにおいて測定された前記遅延プロファイルが最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づいて、前記
1以上の所定の遅延時間における電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、
前記到来方向推定部によって推定された前記電波の到来方向に基づいて、推奨測定方向を提示する推奨測定方向提示部と、
前記推奨測定方向提示部によって提示された前記推奨測定方向において、前記送信局が前記電波を送信しているときに
前記測定部によって測定された第1のRSSIの値と、前記送信局が前記電波を送信していないときに
前記測定部によって測定された第2のRSSIの値とに基づいて、C/N推定値を算出するC/N推定値算出部と、
前記C/N推定値算出部によって算出された前記C/N推定値に基づいてアンテナ設置方向を提示するアンテナ設置方向提示部と、
を備えることを特徴とするアンテナ設置方向提示装置。
【請求項4】
請求項3に記載のアンテナ設置方向提示装置において、
前記所定の遅延時間は複数であって、
前記到来方向推定部は、前記遅延プロファイルが、
複数の所定の遅延時間
のそれぞれにおいて、最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向との中心方向を前記
複数の所定の遅延時間における電波の到来方向と推定し、
前記推奨測定方向提示部は、前記到来方向推定部によって推定された前記電波の到来方向に基づいて、前記電波の推定到来方向の平均となる方向、又は前記電波の振幅の強さに応じた重みづけを行った平均の方向から推奨測定方向を提示する
ことを特徴とするアンテナ設置方向提示装置。
【請求項5】
単一方向の指向性アンテナを用いて
所望の方向でRSSIの測定と遅延プロファイルの測定とを行う測定部と、
送信局が電波を送信しているときに前記測定部によっ
てRSSI
と遅延プロファイルとが異なる方向で3回以上測定された場合において、測定された前記RSSIの値が最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づくとともに、
1以上の所定の遅延時間
のそれぞれにおいて測定された前記遅延プロファイルが最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づいて、電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、
前記到来方向推定部によって推定された前記電波の到来方向に基づいて、推奨測定方向を提示する推奨測定方向提示部と、
前記推奨測定方向提示部によって提示された前記推奨測定方向において、前記送信局が前記電波を送信しているときに
前記測定部によって測定された第1のRSSIの値と、前記送信局が前記電波を送信していないときに
前記測定部によって測定された第2のRSSIの値とに基づいて、C/N推定値を算出するC/N推定値算出部と、
前記C/N推定値算出部によって算出された前記C/N推定値に基づいてアンテナ設置方向を提示するアンテナ設置方向提示部と、
を備えることを特徴とするアンテナ設置方向提示装置。
【請求項6】
単一方向の指向性アンテナを用いて
所望の方向でRSSIの測定を行う測定ステップと、
送信局が電波を送信しているときに前記測定ステップによっ
てRSSIが異なる方向で3回以上測定された場合において、測定された前記RSSIの値が最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づいて電波の到来方向を推定する到来方向推定ステップと、
前記到来方向推定ステップによって推定された前記電波の到来方向に基づいて、
所定の幅を有する範囲として、推奨測定方向を提示する推奨測定方向提示ステップと、
前記推奨測定方向提示ステップによって提示された前記推奨測定方向において、前記送信局が前記電波を送信しているときに
前記測定ステップによって測定された第1のRSSIの値と、前記送信局が前記電波を送信していないときに
前記測定ステップによって測定された第2のRSSIの値とに基づいて、C/N推定値を算出するC/N推定値算出ステップと、
前記C/N推定値算出ステップによって算出された前記C/N推定値に基づいてアンテナ設置方向を提示するアンテナ設置方向提示ステップと、
を備えることを特徴とするアンテナ設置方向提示方法。
【請求項7】
単一方向の指向性アンテナを用いて
所望の方向でRSSIの測定と遅延プロファイルの測定
とを行う測定ステップと、
送信局が電波を送信しているときに前記測定ステップによっ
て遅延プロファイルが異なる方向で3回以上測定された場合において、
1以上の所定の遅延時間
のそれぞれにおいて測定された前記遅延プロファイルが最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づいて、前記
1以上の所定の遅延時間における電波の到来方向を推定する到来方向推定ステップと、
前記到来方向推定ステップによって推定された前記電波の到来方向に基づいて、推奨測定方向を提示する推奨測定方向提示ステップと、
前記推奨測定方向提示ステップによって提示された前記推奨測定方向において、前記送信局が前記電波を送信しているときに
前記測定ステップによって測定された第1のRSSIの値と、前記送信局が前記電波を送信していないときに
前記測定ステップによって測定された第2のRSSIの値とに基づいて、C/N推定値を算出するC/N推定値算出ステップと、
前記C/N推定値算出ステップによって算出された前記C/N推定値に基づいてアンテナ設置方向を提示するアンテナ設置方向提示ステップと、
を備えることを特徴とするアンテナ設置方向提示方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のアンテナ設置方向提示方法の処理をコンピュータに実行させる
ことを特徴とするアンテナ設置方向提示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ設置方向提示装置、アンテナ設置方向提示方法、及びアンテナ設置方向提示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線通信に指向性アンテナを使用する場合、アンテナの半値幅方向に主要な到来波が入るようにアンテナの方向を調整することで、C/N(carrier-noise ratio)が大きく得られ、無線通信品質が向上することが知られている。なお、C/N(CN比)とは、搬送波対雑音比のことであり、C/Nの数値が大きいほど雑音が少なく高品質の信号が得られ、無線通信品質が向上する。
【0003】
図1は、一般的なアンテナ設置方向の決定方法の一例を示す図である。
図1に示すとおり、一般的に、無線通信システム100においては、アンテナ101が水平方向に360度回転させられながらRSSI(Received Signal Strength Indicator)やC/Nなどが測定され、測定結果によりアンテナの設置方向が決定される。なお、RSSIとは、受信信号強度のことであり、ワイヤレス通信を行う機器が接続先のデバイスから受信する受信信号の強度のことを意味する。
【0004】
図2は、
図1に示すアンテナ101が高所に設置された場合の例を示す図である。しかし、
図2に示すとおり、例えば、コンクリート柱や鉄塔など、高さ数メートル以上の高所にアンテナ101が設置された場合、頻繁にアンテナ方向を変えて方向調整をすることは困難である。そこで、少ない測定回数で、最適なアンテナ設置方向を決定する方法が求められていた。
【0005】
この点、従来、例えば、MUSIC(Multiple Signal Classification)法などが用いられた到来方向推定技術により、主要な電波(到来波)の到来方向を推定することで、少ない測定回数で最適なアンテナ設置方向が決定されることがあった。なお、MUSIC法は、周波数推定や波源推定に用いられる公知のアルゴリズムの一つである。
【0006】
図3は、従来の到来方向推定技術の一例を示す図である。
図3に示すとおり、例えば、MUSIC法などが用いられた従来の到来方向推定技術では、到来方向推定装置200は、アレイアンテナ♯1~#Nが用いられて得られる相関行列から、到来波a
1(θ
1)~a
L(θ
L)の方向を推定する。すなわち、従来は、複数の指向性を持つアレイアンテナ♯1~#Nが用いられて到来方向が推定されており、実測を通じてアンテナ設置方向が定められる技術によって無線局が置局されてきた(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】狭帯域信号の到来方向推定 林 和則 電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ 8巻(2014)3号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図4は、
図3に示すアレイアンテナ♯1~#Nがコンクリート柱に設置された場合の例を示す図である。しかし、
図4に示すとおり、例えば、コンクリート柱などの上にアレイアンテナ♯1~#Nを設置することは、設置スペースの都合上、困難な場合があった。このため、従来の方法では、設置スペース等に制限があり、アレイアンテナ♯1~#Nを設置できない場所では、電波(到来波)の到来方向を推定することができないことがあった。また、従来の方法では、実際の運用で使用される単一方向の指向性アンテナとは異なるアレイアンテナ♯1~#Nが用いられる必要があったため、実際の運用で使用されるアンテナとは受信特性が異なる恐れがあった。
【0009】
そこで、本件開示は、アレイアンテナの設置が困難な小さなスペースにも設置が可能な単一方向の指向性アンテナを用いて、従来よりも少ない測定回数で最適なアンテナ設置方向を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様に係るアンテナ設置方向提示装置は、単一方向の指向性アンテナを用いて所望の方向でRSSIの測定を行う測定部と、送信局が電波を送信しているときに測定部によってRSSIが異なる方向で3回以上測定された場合において、測定されたRSSIの値が最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づいて電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、到来方向推定部によって推定された電波の到来方向に基づいて、所定の幅を有する範囲として、推奨測定方向を提示する推奨測定方向提示部と、推奨測定方向提示部によって提示された推奨測定方向において、送信局が電波を送信しているときに測定部によって測定された第1のRSSIの値と、送信局が電波を送信していないときに測定部によって測定された第2のRSSIの値とに基づいて、C/N推定値を算出するC/N推定値算出部と、C/N推定値算出部によって算出されたC/N推定値に基づいてアンテナ設置方向を提示するアンテナ設置方向提示部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
別の態様に係るアンテナ設置方向提示装置は、単一方向の指向性アンテナを用いて所望の方向でRSSIの測定と遅延プロファイルの測定とを行う測定部と、送信局が電波を送信しているときに測定部によって遅延プロファイルが異なる方向で3回以上測定された場合において、1以上の所定の遅延時間のそれぞれにおいて測定された遅延プロファイルが最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づいて、1以上の所定の遅延時間における電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、到来方向推定部によって推定された電波の到来方向に基づいて、推奨測定方向を提示する推奨測定方向提示部と、推奨測定方向提示部によって提示された推奨測定方向において、送信局が電波を送信しているときに測定部によって測定された第1のRSSIの値と、送信局が電波を送信していないときに測定部によって測定された第2のRSSIの値とに基づいて、C/N推定値を算出するC/N推定値算出部と、C/N推定値算出部によって算出されたC/N推定値に基づいてアンテナ設置方向を提示するアンテナ設置方向提示部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
別の態様に係るアンテナ設置方向提示装置は、単一方向の指向性アンテナを用いて所望の方向でRSSIの測定と遅延プロファイルの測定とを行う測定部と、送信局が電波を送信しているときに測定部によってRSSIと遅延プロファイルとが異なる方向で3回以上測定された場合において、測定されたRSSIの値が最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づくとともに、1以上の所定の遅延時間のそれぞれにおいて測定された遅延プロファイルが最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づいて、電波の到来方向を推定する到来方向推定部と、到来方向推定部によって推定された電波の到来方向に基づいて、推奨測定方向を提示する推奨測定方向提示部と、推奨測定方向提示部によって提示された推奨測定方向において、送信局が電波を送信しているときに測定部によって測定された第1のRSSIの値と、送信局が電波を送信していないときに測定部によって測定された第2のRSSIの値とに基づいて、C/N推定値を算出するC/N推定値算出部と、C/N推定値算出部によって算出されたC/N推定値に基づいてアンテナ設置方向を提示するアンテナ設置方向提示部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
一態様に係るアンテナ設置方向提示方法は、単一方向の指向性アンテナを用いて所望の方向でRSSIの測定を行う測定ステップと、送信局が電波を送信しているときに測定ステップによってRSSIが異なる方向で3回以上測定された場合において、測定されたRSSIの値が最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づいて電波の到来方向を推定する到来方向推定ステップと、到来方向推定ステップによって推定された電波の到来方向に基づいて、所定の幅を有する範囲として、推奨測定方向を提示する推奨測定方向提示ステップと、推奨測定方向提示ステップによって提示された推奨測定方向において、送信局が電波を送信しているときに測定ステップによって測定された第1のRSSIの値と、送信局が電波を送信していないときに測定ステップによって測定された第2のRSSIの値とに基づいて、C/N推定値を算出するC/N推定値算出ステップと、C/N推定値算出ステップによって算出されたC/N推定値に基づいてアンテナ設置方向を提示するアンテナ設置方向提示ステップと、を備えることを特徴とする。
【0014】
別の態様に係るアンテナ設置方向提示方法は、単一方向の指向性アンテナを用いて所望の方向でRSSIの測定と遅延プロファイルの測定とを行う測定ステップと、送信局が電波を送信しているときに測定ステップによって遅延プロファイルが異なる方向で3回以上測定された場合において、1以上の所定の遅延時間のそれぞれにおいて測定された遅延プロファイルが最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づいて、1以上の所定の遅延時間における電波の到来方向を推定する到来方向推定ステップと、到来方向推定ステップによって推定された電波の到来方向に基づいて、推奨測定方向を提示する推奨測定方向提示ステップと、推奨測定方向提示ステップによって提示された推奨測定方向において、送信局が電波を送信しているときに測定ステップによって測定された第1のRSSIの値と、送信局が電波を送信していないときに測定ステップによって測定された第2のRSSIの値とに基づいて、C/N推定値を算出するC/N推定値算出ステップと、C/N推定値算出ステップによって算出されたC/N推定値に基づいてアンテナ設置方向を提示するアンテナ設置方向提示ステップと、を備えることを特徴とする。
【0015】
一態様に係るアンテナ設置方向提示プログラムは、上記のアンテナ設置方向提示方法の処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本件開示によれば、アレイアンテナの設置が困難な小さなスペースにも設置が可能な単一方向の指向性アンテナを用いて、従来よりも少ない測定回数で最適なアンテナ設置方向を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一般的なアンテナ設置方向の決定方法の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示すアンテナが高所に設置された場合の例を示す図である。
【
図3】従来の到来方向推定技術の一例を示す図である。
【
図4】
図3に示すアレイアンテナがコンクリート柱に設置された場合の例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係るアンテナ設置方向提示システムの構成例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係るアンテナ設置方向提示システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図6のステップS6において提示される推奨測定方向の一例を示す図である。
【
図8】
図6に示したフローチャートの続きを示すフローチャートである。
【
図9】第2実施形態に係るアンテナ設置方向提示システムの構成例を示す図である。
【
図10】第2実施形態に係るアンテナ設置方向提示システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】遅延プロファイルが用いられる場合の到来方向の推定方法の一例を示す図である。
【
図12】
図10のステップS6Aにおいて提示される推奨測定方向の一例を示す図である。
【
図13】第3実施形態に係るアンテナ設置方向提示システムの構成例を示す図である。
【
図14】第3実施形態に係るアンテナ設置方向提示システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図5~
図14に示す実施形態に係るアンテナ設置方向提示装置が有する処理回路のハードウェア構成例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本件開示のアンテナ設置方向提示装置、アンテナ設置方向提示方法、及びアンテナ設置方向提示プログラムの一例として、アンテナ設置方向提示装置について、図面を用いて説明する。
【0019】
<第1実施形態の構成>
図5は、第1実施形態に係るアンテナ設置方向提示システム1の構成例を示す図である。
図5に示すとおり、アンテナ設置方向提示システム1は、指向性アンテナ10と、アンテナ設置方向提示装置20とを有する。
【0020】
指向性アンテナ10は、電波(到来波)の到来方向の測定が行われる単一の指向性アンテナである。指向性アンテナ10は、後述のアンテナ制御部22による制御に従い、又は不図示のオペレータによる調整によって、電波の到来方向の測定が行われる方向が変更される。指向性アンテナ10は、制御部27による制御に従い、測定部21によって、電波(到来波)の測定が行われる。
【0021】
アンテナ設置方向提示装置20は、単一方向の指向性アンテナ10を用いたRSSI等の測定により、最適なアンテナ設置方向を提示する。アンテナ設置方向提示装置20は、測定部21と、アンテナ制御部22と、操作部23と、記憶部24と、表示部25と、出力部26と、制御部27と、システムバス30とを有する。測定部21と、アンテナ制御部22と、操作部23と、記憶部24と、表示部25と、出力部26と、制御部27とは、システムバス30を通じて相互に接続されている。
【0022】
測定部21は、指向性アンテナ10と、システムバス30と接続される。測定部21は、制御部27による制御や、不図示のオペレータによる操作部23を介して受け付けた指示に従い、例えば、不図示の送信局が電波を送信しているときに、指向性アンテナ10のRSSIを異なる方向で複数回測定する。また、測定部21は、例えば、不図示の送信局が電波を送信しているとき(以下、「送信局送信ON時」とも称する。)及び不図示の送信局が電波を送信していないとき(以下、「送信局送信OFF時」とも称する。)にRSSIの測定を行う。なお、測定部21の動作の詳細は、後述する。
【0023】
アンテナ制御部22は、指向性アンテナ10と、システムバス30と接続され、制御部27による制御や、不図示のオペレータによる操作部23を介して受け付けた指示に従い、例えば、指向性アンテナ10のRSSIの測定方向の変更等を制御する。なお、アンテナ制御部22は、必須の構成ではなく、指向性アンテナ10の測定方向は、不図示のオペレータによって変更されても、別の方法で変更されてもよい。また、アンテナ制御部22は、制御部27に組み込まれていてもよい。
【0024】
操作部23は、例えば、不図示のオペレータによって操作されるマウス、キーボード、GUI(Graphical User Interface)形式のタッチパネル、リモートコントローラー等である。操作部23は、システムバス30と接続され、不図示のオペレータの操作に基づいて、測定部21、アンテナ制御部22、及び制御部27等に対して指示を与える。なお、操作部23は、アンテナ設置方向提示装置20の外部に設けられ、有線又は無線でアンテナ設置方向提示装置20と接続され、不図示のオペレータによって遠隔操作されるものであってもよい。
【0025】
記憶部24は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)やメモリ等の揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、システムバス30と接続される。記憶部24は、例えば、制御部27の動作に必要なプログラムを記憶する。また、記憶部24は、測定部21によって測定された現在又は過去の測定結果や、アンテナ制御部22の動作に必要なプログラム、制御部27の各部によって算出された各種の値等を記憶する。なお、記憶部24は、アンテナ設置方向提示装置20の外部に設けられ、有線又は無線でアンテナ設置方向提示装置20と接続されていてもよく、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disc)等の外部記憶媒体であってもよい。
【0026】
表示部25は、例えば、アンテナ設置方向提示装置20に設けられたモニタであり、システムバス30と接続される。なお、表示部25は、表示I/F(interface)や通信を介して有線又は無線で接続された外部のモニタや携帯情報端末等の画面等であってもよい。表示部25は、例えば、測定部21の測定結果や、制御部27の各部によって算出された各種の値を表示する。また、表示部25は、例えば、推奨測定方向提示部42によって提示された測定方向やアンテナ設置方向提示部44によって提示されたアンテナ設置方向を画像としてグラフィカルに表示してもよい。表示部25に表示される内容は、例えば、不図示のオペレータによって監視される。なお、表示部25は、例えば、不図示のオペレータによるタッチ操作やクリック操作等を受け付けるGUI形式の操作部23を兼ねていてもよい。
【0027】
出力部26は、例えば、外部装置や外部端末等とケーブル等によって接続される外部出力I/Fであり、システムバス30と接続される。また、出力部26は、外部装置や外部端末等と無線で通信を行う無線通信部であってもよく、メモリカードやDVD等の記憶媒体に出力する記憶I/F等であってもよい。出力部26は、例えば、測定部21によって測定された測定値や、制御部27の各部によって算出された各種の値等、記憶部24によって記憶されている内容を外部に出力する。また、出力部26は、例えば、推奨測定方向提示部42によって提示された測定方向やアンテナ設置方向提示部44によって提示されたアンテナ設置方向等を外部に出力する。
【0028】
制御部27は、システムバス30と接続され、例えば、プログラムを実行することにより動作するCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の不図示のプロセッサを有する。制御部27は、例えば、記憶部24に記憶された所定のプログラムを実行することにより不図示のプロセッサを動作させて、アンテナ設置方向提示装置20の動作を統括的に制御する。また、制御部27は、不図示のオペレータから操作部23を介して受け付けた指示に従って、アンテナ設置方向提示装置20の動作を制御してもよい。
【0029】
制御部27は、例えば、記憶部24に記憶された所定のプログラムを実行することにより、到来方向推定部41と、推奨測定方向提示部42と、C/N推定値算出部43と、アンテナ設置方向提示部44として機能する。なお、到来方向推定部41と、推奨測定方向提示部42と、C/N推定値算出部43と、アンテナ設置方向提示部44との各機能は、制御部27の演算処理装置が実行するアンテナ設置方向提示プログラムにより実現されてもよい。また、これらの各機能は、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0030】
到来方向推定部41は、測定部21によってRSSIの値が異なる方向で3回以上測定された場合において、測定されたRSSIの値が最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づいて電波(到来波)の到来方向を推定する。なお、到来方向推定部41は、RSSIの値が最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向の中心方向を電波の到来方向と推定してもよい。なお、到来方向推定部41によって推定された到来方向は、記憶部24によって記憶されても、表示部25によって表示されても、出力部26によって外部に出力されてもよい。
【0031】
推奨測定方向提示部42は、到来方向推定部41によって推定された電波(到来波)の到来方向に基づいて、推奨測定方向を提示する。推奨測定方向提示部42によって提示された推奨測定方向は、例えば、測定部21及びアンテナ制御部22に出力される。このとき、アンテナ制御部22は、推奨測定方向提示部42によって提示された推奨測定方向に、指向性アンテナ10の測定方向を変更し、測定部21は、当該方向のRSSIを測定する。なお、推奨測定方向提示部42によって提示された推奨測定方向は、記憶部24によって記憶されても、表示部25によって表示されても、出力部26によって外部に出力されてもよい。
【0032】
C/N推定値算出部43は、推奨測定方向提示部42によって提示された推奨測定方向において、測定部21によって、送信局送信ON時に測定されたRSSIの値と、送信局送信OFF時に測定されたRSSIの値とに基づいて、C/N推定値を算出する。なお、C/N推定値算出部43によって算出されたC/N推定値は、記憶部24によって記憶されても、表示部25によって表示されても、出力部26によって外部に出力されてもよい。なお、送信局送信ON時に測定部21によって測定されたRSSIの値は、「第1のRSSIの値」の一例であり、送信局送信OFF時に測定部21によって測定されたRSSIの値は、「第2のRSSIの値」の一例である。
【0033】
アンテナ設置方向提示部44は、C/N推定値算出部43が推定したC/N推定値に基づいてアンテナ設置方向を提示する。アンテナ設置方向提示部44によって提示されたアンテナ設置方向は、記憶部24によって記憶されるとともに、表示部25によって表示される。なお、アンテナ設置方向提示部44によって提示されたアンテナ設置方向は、出力部26によって外部に出力されてもよい。指向性アンテナ10は、例えば、アンテナ設置方向提示部44によって提示されたアンテナ設置方向に基づいて、不図示のオペレータによって設置される。
【0034】
なお、制御部27における上述の各部の動作の詳細は、後述する。
【0035】
システムバス(バス)30は、アンテナ設置方向提示装置20の内部で各構成要素を結ぶデータ伝送路(バス)であり、制御部27と他の構成要素とを相互に接続する。システムバス30は、測定部21と、アンテナ制御部22と、操作部23と、記憶部24と、表示部25と、出力部26と、制御部27とを相互に接続している。
【0036】
<第1実施形態の動作>
図6は、第1実施形態に係るアンテナ設置方向提示システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートは、例えば、制御部27が、不図示のオペレータ等から操作部23を介して最適なアンテナ設置方向決定の開始指示を受け付けたときに開始される。
【0037】
ステップS1において、制御部27は、測定部21に、送信局送信ON時のθnにおけるRSSIの測定を異なる方向で複数回行わせる。ここで、θnは、n回目の測定方向を示す。制御部27は、測定部21に、例えば、n=1、2、3回目の測定は、送信局方向を0度として、送信局方向を中心に、-90度、0度、+90度などの広い角度で行わせる。このとき、制御部27は、例えば、測定回数nが増加するごとに、アンテナ制御部22に、指向性アンテナ10の測定方向を変更させる。なお、オペレータ等により、指向性アンテナ10の測定方向が手動で変更されてもよい。
【0038】
ステップS2において、制御部27は、測定部21から、n回目の測定方向θnにおける送信局送信ON時の受信レベルRSSIC(θn)を取得し、記憶部24に記憶させる。
【0039】
ステップS3において、制御部27は、例えば、公知のカウント手段等を用いて、n≧3であるか否かを判定する。制御部27は、n≧3であると判定したときは(YES側)、ステップS4に処理を移行させる。一方、制御部27は、n≧3ではないと判定したときは(NO側)、ステップS1に処理を戻し、n≧3になるまでステップS1~ステップS3の処理を繰り返す。なお、n≧3は一例であり、n≧4以上であってもよい。
【0040】
ステップS4において、制御部27は、測定部21に、送信局送信ON時のRSSIを再測定させるか否かを判定する。測定回数nが増えることで、電波の到来方向の推定制度が向上する。なお、測定回数nは、予め決められていても良く、オペレータ等から操作部23による操作を介して受け付けてもよい。なお、測定回数nは、事前のシミュレーション結果等をもとに条件に応じて変動してもよい。
【0041】
制御部27は、例えば、公知のカウント手段等を用いて予め決められていたn回の測定が完了したと判定した場合等、測定部21に再測定させないと判定したときは(NO側)、ステップS5に処理を移行させる。一方、制御部27は、例えば、予め決められていたn回の測定は完了していないと判定した場合等、測定部21に再測定させると判定したときは(YES側)、ステップS1に処理を戻し、ステップS1~ステップS4の処理を繰り返す。
【0042】
ステップS5において、(1)制御部27における到来方向推定部41は、電波の到来方向を推定する。到来方向推定部41は、例えば、n≧3である場合において、RSSIC(θn)が最大値となる方向と2番目に大きい値となる方向との中央となる方向(中心方向)を電波の到来方向であると推定する。
【0043】
なお、到来方向推定部41は、RSSIC(θn)が最大値となる方向と2番目に大きい値となる方向との中央となる方向ではなく、RSSIC(θn)の各方向の値に応じて加重平均などの重みづけをして到来方向を推定してもよい。この場合、到来方向推定部41は、振幅に閾値を設け、振幅の小さい到来波は平均に加味しないなどをして到来方向を推定してもよい。なお、到来方向推定部41は、推定した到来方向を、記憶部24に記憶させても、表示部25に表示させても、出力部26から外部に出力させてもよい。
【0044】
ステップS6において、(2)制御部27における推奨測定方向提示部42は、ステップS5における到来方向推定の結果を用いて、推奨測定方向を提示する。
【0045】
図7は、
図6のステップS6において提示される推奨測定方向の一例を示す図である。
図7において、θ
1~θ
3は、例えば、送信局方向を中心としたRSSIの測定方向を示す。
図7中、θ
1とθ
2との間の矢印は、推定到来方向を示し、θ
1とθ
2との間の網掛けの円は、推奨測定方向を示す。
【0046】
推奨測定方向提示部42は、例えば、
図7中網掛けの円で示すように、推定到来方向を推奨測定方向として提示する。なお、推奨測定方向提示部42は、推奨測定方向を一つの値に定めず、θ
1~θ
2のように所定の幅を有する範囲を指定して推奨測定方向として提示してもよい。なお、推奨測定方向提示部42は、提示した推奨測定方向を、記憶部24に記憶させても、表示部25に表示させても、出力部26から外部に出力させてもよい。
【0047】
図6に戻り、ステップS7において、制御部27は、ステップS6で提示された推奨測定方向をもとに測定方向を決定する。制御部27は、例えば、ステップS6において、推奨測定方向として一つの方向が提示された場合、当該方向を測定方向として決定する。
【0048】
制御部27は、例えば、ステップS6において、推奨測定方向としてθ1~θ2のように範囲を指定して推奨測定方向が提示された場合、当該範囲の中心等、最適な方向を測定方向として決定する。なお、制御部27は、例えば、θ1~θ2のように推奨測定方向が範囲を指定して提示された場合、提示された範囲を表示部25に表示させ、又は出力部26から外部に出力させてもよい。そして、制御部27は、表示又は出力された推奨測定方向の範囲を確認した不図示のオペレータ等から、操作部23を介した測定方向の指示を受け付け、受け付けた方向を測定方向として決定してもよい。
【0049】
制御部27は、測定方向を決定した後、
図8のステップS11に処理を移行させる。なお、このとき、制御部27は、アンテナ制御部22に、決定した測定方向に向けて指向性アンテナ10の測定方向を変更させる。なお、オペレータ等により、指向性アンテナ10の測定方向が手動で変更されてもよい。
【0050】
図8は、
図6に示したフローチャートの続きを示すフローチャートである。
図8のフローチャートは、
図6のフローチャートのステップS7において測定方向が決定されたときに開始する。
【0051】
ステップS11において、制御部27は、測定部21に、ステップS7で決定された測定方向における送信局送信ON時の受信レベルRSSICを測定させる。そして、制御部27は、測定部21から送信局送信ON時の受信レベルRSSICを取得し、記憶部24に記憶させる。
【0052】
ステップS12において、制御部27は、測定部21に、ステップS7で決定された測定方向における送信局送信OFF時の受信レベルRSSINを測定させる。そして、制御部27は、測定部21から送信局送信OFF時の受信レベルRSSINを取得し、記憶部24に記憶させる。
【0053】
ステップS13において、(3)制御部27のC/N推定値算出部43は、記憶部24から送信局送信ON時の受信レベルRSSICと、送信局送信OFF時の受信レベルRSSINとを取得し、C/Nの推定値を算出する。C/N推定値算出部43は、RSSIC及びRSSINが記憶された方向におけるRSSIC/RSSINをC/N推定値として算出し、算出したC/N推定値を記憶部24に記憶させるとともに表示部25に表示させる。このとき、C/N推定値算出部43は、算出したC/N推定値を出力部26から外部に出力させてもよい。
【0054】
ステップS14において、制御部27は、記憶部24に記憶されたC/N推定値を取得し、C/N推定値が最大となる方向を抽出し、C/N推定値が最大となる方向を決定する。制御部27は、例えば複数のC/N推定値が記憶部24に記憶されていた場合、当該複数のC/N推定値の中からC/N推定値が最大であるものを抽出し、C/N推定値が最大となる方向を決定する。
【0055】
ステップS15において、(4)制御部27のアンテナ設置方向提示部44は、ステップS14で決定されたC/N推定値が最大となる方向を推奨アンテナ設置方向として提示する。このとき、アンテナ設置方向提示部44は、提示する推奨アンテナ設置方向を記憶部24に記憶させるとともに表示部25に行事させる。また、アンテナ設置方向提示部44は、提示する推奨アンテナ設置方向を出力部26から外部に出力させてもよい。
【0056】
また、このとき、制御部27は、アンテナ制御部22に、提示された推奨アンテナ設置方向に向けて指向性アンテナ10の角度を変更させてもよい。なお、オペレータ等により、指向性アンテナ10の設置方向が手動で変更されてもよい。
【0057】
<第1実施形態の作用効果>
以上、
図5~
図8に示す第1実施形態によれば、到来方向推定部41は、単一の指向性アンテナ10を用いて電波の到来方向を推定し(S5(1))、推奨測定方向提示部42は、推定された到来方向に基づいて推奨測定方向を提示する(S6(2))。また、C/N推定値算出部43は、提示された推奨測定方向に基づいてC/N推定値を算出し(S13(3))、アンテナ設置方向提示部44は、算出されたC/N推定値に基づいて推奨アンテナ設置方向を提示する(S15(4))。
【0058】
これにより、
図5~
図8に示す第1実施形態によれば、アレイアンテナの設置が困難な小さなスペースでも、単一方向の指向性アンテナ10を用いて、従来よりも少ない測定回数で最適なアンテナ設置方向を提示することができる。また、これにより、
図5~
図8に示す第1実施形態によれば、実際の運用に用いる単一の指向性アンテナ10を用いて最適なアンテナ設置方向の探索をすることができる。また、
図5~
図8に示す第1実施形態によれば、推奨測定方向提示部42による推奨測定方向提示機能により、効率的に最適なアンテナ設置方向を探索することができる。
【0059】
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態に係るアンテナ設置方向提示システム1Aの構成例を示す図である。なお、第2実施形態において、
図4~
図8に示す第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0060】
図5に示すアンテナ設置方向提示システム1と、
図9に示すアンテナ設置方向提示システム1Aとでは、同様の構成を有しているが、測定部21が測定部21Aに、制御部27が制御部27Aにそれぞれ置き換わっている。
図5に示す制御部27と、
図9に示す制御部27Aとでは、到来方向推定部41が到来方向推定部41Aに、推奨測定方向提示部42が推奨測定方向提示部42Aにそれぞれ置き換わっている。以下、置き換わった後の構成について、置き換わる前の構成と異なる機能や動作等を中心に説明し、置き換わる前の構成と同様の機能や動作等については説明を省略又は簡略化する。
【0061】
測定部21Aは、制御部27Aの制御や、不図示のオペレータによる操作部23を介した指示に従い、例えば、不図示の送信局が電波を送信しているときに指向性アンテナ10の遅延プロファイルを異なる方向で複数回測定する。また、測定部21Aは、測定部21と同様に、例えば、送信局送信ON時及び送信局送信OFF時にRSSIの測定も行う。
【0062】
到来方向推定部41Aは、測定部21Aによって遅延プロファイルが異なる方向で3回以上測定された場合において、l番目の到来波で測定された遅延プロファイルが最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向とに基づいてl番目の到来方向を推定する。なお、到来方向推定部41Aは、l番目の到来波における遅延プロファイルが最大値となる方向と2番目に大きな値となる方向の中心方向をl番目の到来方向と推定してもよい。
【0063】
推奨測定方向提示部42Aは、到来方向推定部41Aによって推定された電波の到来方向に基づいて、推奨測定方向を提示する。推奨測定方向提示部42Aによって提示された推奨測定方向は、測定部21A及びアンテナ制御部22に出力される。このとき、アンテナ制御部22は、推奨測定方向提示部42Aによって提示された推奨測定方向に、指向性アンテナ10の測定方向を変更し、測定部21Aは、当該方向のRSSIを測定する。なお、推奨測定方向提示部42Aによって提示された推奨測定方向は、記憶部24によって記憶されても、表示部25によって表示されても、出力部26によって外部に出力されてもよい。
【0064】
図10は、第2実施形態に係るアンテナ設置方向提示システム1Aの動作の一例を示すフローチャートである。
図10のフローチャートは、例えば、制御部27Aが、不図示のオペレータ等から操作部23を介して最適なアンテナ設置方向決定の開始指示を受け付けたときに開始される。
【0065】
図6に示すフローチャートと、
図10に示すフローチャートとでは、ステップS1、S2、S4、S5、及びS6が、ステップS1A、S2A、S4A、S5A、及びS6Aにそれぞれ置き換わっている。
図10に示すフローチャートでは、
図6に示すフローチャートと異なる点を中心に説明し、
図6に示すフローチャートと同様の点については説明を省略又は簡略化する。
【0066】
ステップS1Aにおいて、制御部27Aは、測定部21Aに、送信局送信ON時のθ
nにおける遅延プロファイルの測定を異なる方向で複数回行わせる。ここで、θ
nは、
図6に示すフローチャートと同様に、n回目の測定方向を示す。制御部27Aは、例えば、n=1、2、3回目の測定は、送信局方向を0度として、送信局方向を中心に、-90度、0度、+90度などの広い角度で行わせる。このとき、制御部27は、例えば、測定回数nが増加するごとに、アンテナ制御部22に、指向性アンテナ10の測定方向を変更させる。なお、オペレータ等により、指向性アンテナ10の測定方向が手動で変更されてもよい。
【0067】
ステップS2Aにおいて、制御部27Aは、測定部21Aから、n回目の測定方向θnにおける送信局送信ON時の遅延プロファイルPDP(θn)を取得し、記憶部24に記憶させる。ここで、到来波数をLとすると、n回目の測定方向θnにおけるl番目の到来波の振幅は、PDP(θn,l)として表される。なお、遅延プロファイルの算出には、既知信号が用いられる。
【0068】
ステップS3において、制御部27Aは、n≧3であるか否かを判定する。制御部27Aは、n≧3であると判定したときは(YES側)、ステップS4Aに処理を移行させる。一方、制御部27Aは、n≧3ではないと判定したときは(NO側)、ステップS1Aに処理を戻し、n≧3になるまでステップS1A~ステップS3の処理を繰り返す。
【0069】
ステップS4Aにおいて、制御部27は、測定部21に、送信局送信ON時の遅延プロファイルを再測定させるか否かを判定する。測定回数nが増えることで、電波の到来方向の推定制度が向上する。なお、測定回数nは、予め決められていても良く、オペレータ等から操作部23による操作を介して受け付けてもよい。なお、測定回数nは、事前のシミュレーション結果等をもとに条件に応じて変動してもよい。
【0070】
制御部27Aは、例えば、予め決められていたn回の測定が完了したと判定した場合等、測定部21Aに再測定させないと判定したときは(NO側)、ステップS5Aに処理を移行させる。一方、制御部27Aは、例えば、予め決められていたn回の測定は完了していないと判定した場合等、測定部21Aに再測定させると判定したときは(YES側)、ステップS1Aに処理を戻し、ステップS1A~ステップS4Aの処理を繰り返す。
【0071】
ステップS5Aにおいて、(1)制御部27Aにおける到来方向推定部41Aは、電波の到来方向を推定する。到来方向推定部41Aは、例えば、n≧3である場合において、PDP(θn,l)が最大値となる方向と2番目に大きい値となる方向との中央となる方向(中心方向)を電波の到来方向であると推定する。
【0072】
なお、到来方向推定部41Aは、PDP(θn,l)が最大値となる方向と2番目に大きい値となる方向との中央となる方向ではなく、PDP(θn,l)の各方向の値に応じて加重平均などの重みづけをして到来方向を推定してもよい。この場合、到来方向推定部41Aは、振幅に設けられた所定の閾値を参照し、所定の閾値よりも振幅の小さい到来波は平均に加味しないなどをして到来方向を推定してもよい。
【0073】
図11は、遅延プロファイルが用いられる場合の到来方向の推定方法の一例を示す図である。
図11において、θ
1~θ
3は、例えば、送信局方向を中心とした遅延プロファイルの測定方向を示す。また、ステップS2Aで述べたとおり、到来波数をLとすると、n回目の測定方向θ
nにおけるl番目の到来波の振幅は、PDP(θ
n,l)として表される。なお、振幅の大きさは、矢印の長さで表されている。
【0074】
図11の左側によれば、θ
1の電力遅延プロファイルは、次のとおりである。すなわち、1回目の測定方向θ
1における1番目の到来波の振幅であるPDP(θ
1,1)の振幅は大であり、1回目の測定方向θ
1における2番目の到来波の振幅であるPDP(θ
1,2)の振幅は小である。同様に、θ
2の電力遅延プロファイルは、次のとおりである。すなわち、2回目の測定方向θ
2における1番目の到来波の振幅であるPDP(θ
2,1)の振幅は大であり、2回目の測定方向θ
2における2番目の到来波の振幅であるPDP(θ
2,2)の振幅は中である。同様に、θ
3の電力遅延プロファイルは、次のとおりである。すなわち、3回目の測定方向θ
3における1番目の到来波の振幅であるPDP(θ
3,1)の振幅は小であり、2回目の測定方向θ
3における2番目の到来波の振幅であるPDP(θ
3,2)の振幅は中である。なお、遅延プロファイルは、同一の遅延時間軸同士で比較される必要がある。
【0075】
図11の右側によれば、上記の測定結果に基づいて到来方向の推定が行われている。なお、
図11の右側では、推定到来方向の算出には、PDP(θ
n,l)が最大値となる方向と2番目に大きい値となる方向との中央となる方向が用いられる場合の例が示されている。なお、
図11の右側において、矢印は、推定到来方向を示している。
【0076】
図11の右側によれば、1番目の到来波の推定到来方向は、(θ
1+θ
2)/2で表される。すなわち、上記の式では、1番目の到来波の振幅は、θ
1とθ
2とが振幅大であり、振幅が小であるθ
3よりも大きな値であったため、それら中央となる方向が用いられていることが表されている。一方、2番目の到来波の推定到来方向は、(θ
2+θ
3)/2で表される。すなわち、上記の式では、2番目の到来波の振幅は、θ
2とθ
3とが振幅中であり、振幅が小であるθ
1よりも大きな値であったため、それらの中央となる方向が用いられていることが表されている。なお、1番目の到来波と2番目の到来波とで振幅の大きさが異なるため、矢印の長さが異なっている。
【0077】
図10に戻り、ステップS6Aにおいて、(2)制御部27Aにおける推奨測定方向提示部42Aは、ステップS5Aにおける到来方向推定の結果を用いて、推奨測定方向を提示する。
【0078】
図12は、
図10のステップS6Aにおいて提示される推奨測定方向の一例を示す図である。
図12において、θ
1~θ
3は、例えば、送信局方向を中心とした遅延プロファイルの測定方向を示す。
図12中、θ
1とθ
2との間の矢印は、
図11で求めた1番目の到来波の推定到来方向を示し、θ
2とθ
3との間の矢印は、
図11で求めた2番目の到来波の推定到来方向を示す。また、1番目の到来波の推定到来方向の矢印とθ
2との間の網掛けの円は、推奨測定方向を示す。
【0079】
推奨測定方向提示部42Aは、例えば、
図12中網掛けの円で示すように、各到来波の推定到来方向の平均となる方向、又は各到来波の振幅の強さに応じた加重平均などの重みづけを行った平均の方向などから、推奨測定方向を提示する。
【0080】
なお、推奨測定方向提示部42Aは、推奨測定方向を一つの値に定めず、θ1~θ2のように所定の幅を有する範囲を指定して推奨測定方向として提示してもよい。また、推奨測定方向提示部42Aは、等化可能な遅延時間を超える到来波がある場合など、避けたい到来波がある場合には、平均に加味しない、又はマイナスの重みづけをするなどしてもよい。また、推奨測定方向提示部42Aは、振幅に設けられた所定の閾値を参照し、所定の閾値よりも振幅の小さい到来波は平均に加味しないなどをしてもよい。
【0081】
図10に戻り、ステップS7において、制御部27Aは、ステップS6Aで提示された推奨測定方向をもとに測定方向を決定する。ステップS7の詳細は、
図6で説明したため、説明を省略する。制御部27Aは、
図10のステップS7において、測定方向を決定した後、
図8のステップS11に処理を移行させる。なお、第2実施形態における以降の処理は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0082】
<第2実施形態の作用効果>
以上、
図9~
図12に示す第2実施形態によれば、
図5~
図8に示す第1実施形態と同様の効果を奏する。なお、
図9~
図12に示す第2実施形態によれば、第1実施形態よりも細かく加重平均などの重み付けをすることができる。このため、
図9~
図12に示す第2実施形態によれば、第1実施形態よりも精度よく電波の到来方向を推定することができ、第1実施形態よりも精度よく推奨測定方向を提示することができる。
【0083】
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態に係るアンテナ設置方向提示システム1Bの構成例を示す図である。なお、第3実施形態において、
図4~
図8に示す第1実施形態及び
図9~
図12に示す第2実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0084】
図5、
図9に示すアンテナ設置方向提示システム1、1Aと、
図13に示すアンテナ設置方向提示システム1Bとでは、同様の構成を有しているが、測定部21、21Aが測定部21Bに、制御部27、27Aが制御部27Bにそれぞれ置き換わっている。
図5、
図9に示す制御部27、27Aと、
図13に示す制御部27Bとでは、到来方向推定部41、41Aが到来方向推定部41Bに、推奨測定方向提示部42、42Aが推奨測定方向提示部42Bにそれぞれ置き換わっている。以下、置き換わった後の構成について、置き換わる前の構成と異なる機能や動作等を中心に説明し、置き換わる前の構成と同様の機能や動作等については説明を省略又は簡略化する。
【0085】
測定部21Bは、
図5に示す測定部21と、
図9に示す測定部21Aとの両方の機能を有する。すなわち、測定部21Bは、送信局送信ON時に指向性アンテナ10のRSSIを異なる方向で複数回測定するとともに、指向性アンテナ10の遅延プロファイルを異なる方向で複数回測定する。なお、測定部21Bについての詳細な説明は、
図5に示す測定部21及び
図9に示す測定部21Aで説明したものと同様であるため、省略する。
【0086】
到来方向推定部41Bは、
図5に示す到来方向推定部41と、
図9に示す到来方向推定部41Bとの両方の機能を有する。すなわち、到来方向推定部41Bは、測定部21Bによって、異なる方向で3回以上測定された送信局送信ON時の指向性アンテナ10のRSSIと、異なる方向で3回以上測定された指向性アンテナ10の遅延プロファイルとに基づいて電波の到来方向を推定する。なお、到来方向推定部41Bについての詳細な説明は、
図5に示す到来方向推定部41及び
図9に示す到来方向推定部41Aで説明したものと同様であるため、省略する。
【0087】
推奨測定方向提示部42Bは、
図5に示す推奨測定方向提示部42と、
図9に示す推奨測定方向提示部42Bとの両方の機能を有する。すなわち、推奨測定方向提示部42Bは、指向性アンテナ10のRSSIと遅延プロファイルとに基づいて到来方向推定部41Bによって推定された電波の到来方向に基づいて、推奨測定方向を提示する。なお、推奨測定方向提示部42Bについての詳細な説明は、
図5に示す推奨測定方向提示部42及び
図9に示す推奨測定方向提示部42Aで説明したものと同様であるため、省略する。
【0088】
図14は、第3実施形態に係るアンテナ設置方向提示システム1Bの動作の一例を示すフローチャートである。
図14のフローチャートは、例えば、制御部27Bが、不図示のオペレータ等から操作部23を介して最適なアンテナ設置方向決定の開始指示を受け付けたときに開始される。
【0089】
図14に示すフローチャートでは、
図6に示すフローチャートのステップS1及びS2と、
図10に示すフローチャートのステップS1A及びS2Aとの両方が組み込まれている。また、
図14に示すフローチャートでは、
図6、
図10に示すフローチャートのステップS4・S4A、S5・S5A、及びS6・S6Aが、ステップS4B、S5B、及びS6Bに置き換わっている。
図14に示すフローチャートでは、
図6、
図10に示すフローチャートと異なる点を中心に説明し、
図6、
図10に示すフローチャートと同様の点については説明を省略又は簡略化する。
【0090】
ステップS1及びS2において、制御部27Bは、測定部21Bに、送信局送信ON時のθ
nにおけるRSSIの測定を行わせ、測定結果を取得して記憶部24に記憶させる。なお、ステップS1及びS2の詳細な処理内容は、
図6におけるステップS1及びS2と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0091】
ステップS1A及びS2Aにおいて、制御部27Bは、測定部21Bに、送信局送信ON時のθ
nにおける遅延プロファイルの測定を行わせ、測定結果を取得して記憶部24に記憶させる。なお、ステップS1A及びS2Aの詳細な処理内容は、
図10におけるステップS1A及びS2Aと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0092】
なお、ステップS1及びS2の処理と、ステップS1A及びS2Aの処理とは、逆の順序で行われても良く、同時に行われてもよい。または、所定の条件ごとに、何れか一方又は双方の処理が行われるようにしてもよい。
【0093】
ステップS4Bにおいて、制御部27Bは、測定部21Bに、送信局送信ON時のRSSI及び遅延プロファイルを再測定させるか否かを判定する。制御部27Bは、例えば、予め決められていたn回の測定が完了したと判定した場合等、測定部21Bに再測定させないと判定したときは(NO側)、ステップS5Bに処理を移行させる。一方、制御部27Bは、例えば、予め決められていたn回の測定は完了していないと判定した場合等、測定部21Bに再測定させると判定したときは(YES側)、ステップS1に処理を戻し、ステップS1~ステップS4Bの処理を繰り返す。なお、制御部27Bは、所定の条件の場合は、ステップS1ではなく、ステップS1Aに処理を戻し、ステップS1及びS2の処理は省略されてもよい。また、制御部27Bは、所定の条件の場合は、ステップS1に処理を戻した場合であっても、ステップS1A及びS2Aの処理は省略されてもよい。
【0094】
ステップS5Bにおいて、(1)制御部27Bにおける到来方向推定部41Bは、送信局送信ON時のRSSIと遅延プロファイルとの両方に基づいて、電波の到来方向を推定する。なお、ステップS5Bの詳細な処理内容は、
図6におけるステップS5と、
図10におけるステップS5Aとの両方の処理を行うものであり、
図6におけるステップS5と、
図10におけるステップS5Aとで説明したものと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0095】
ステップS6Bにおいて、(2)制御部27Bにおける推奨測定方向提示部42Bは、ステップS5Bにおける到来方向推定の結果を用いて、推奨測定方向を提示する。すなわち、推奨測定方向提示部42Bは、送信局送信ON時のRSSIと遅延プロファイルとの両方に基づいて推定された電波の到来方向に基づいて、推奨測定方向を提示する。なお、ステップS6Bの詳細な処理内容は、
図6におけるステップS6と、
図10におけるステップS6Aとの両方の処理を行うものであり、
図6におけるステップS6と、
図10におけるステップS6Aとで説明したものと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0096】
なお、
図14におけるその他の処理は、
図6及び
図10で説明したため、説明を省略する。制御部27Bは、
図14のステップS7において、測定方向を決定した後、
図8のステップS11に処理を移行させる。なお、第3実施形態における以降の処理は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0097】
<第3実施形態の作用効果>
以上、
図13~
図14に示す第3実施形態によれば、
図5~
図8に示す第1実施形態及び
図9~
図12に示す第2実施形態と同様の効果を奏する。なお、
図13~
図14に示す第3実施形態によれば、RSSI及び遅延プロファイルの両方を用いて電波の到来方向が推定され、推奨測定方向が提示される。このため、
図13~
図14に示す第3実施形態によれば、
図5~
図8に示す第1実施形態及び
図9~
図12に示す第2実施形態よりも、精度よく電波の到来方向を推定することができるとともに、精度よく推奨測定方向を提示することができる。また、
図13~
図14に示す第3実施形態によれば、条件に応じて、RSSIの測定と遅延プロファイルの測定との一方又は両方が行われる。このため、
図13~
図14に示す第3実施形態によれば、
図5~
図8に示す第1実施形態及び
図9~
図12に示す第2実施形態よりも、様々な条件下で、精度よく電波の到来方向を推定することができるとともに、精度よく推奨測定方向を提示することができる。
【0098】
<ハードウェア構成例>
図15は、
図5~
図14に示す実施形態に係るアンテナ設置方向提示装置20、20A、20Bが有する処理回路のハードウェア構成例を示す概念図である。上述した各機能は処理回路により実現される。一態様として、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ91と少なくとも1つのメモリ92とを備える。他の態様として、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア93を備える。
【0099】
処理回路がプロセッサ91とメモリ92とを備える場合、各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、メモリ92に格納される。プロセッサ91は、メモリ92に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。
【0100】
処理回路が専用のハードウェア93を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、又はこれらを組み合わせたものである。各機能は処理回路で実現される。
【0101】
アンテナ設置方向提示装置20、20A、20Bが有する各機能は、それぞれ一部又は全部がハードウェアによって構成されてもよいし、プロセッサが実行するプログラムとして構成されてもよい。すなわち、アンテナ設置方向提示装置20、20A、20Bはコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記憶媒体に記憶することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0102】
<実施形態の補足事項>
以上、
図5~
図15に示す実施形態によれば、本件開示の一態様として、アンテナ設置方向提示装置20、20A、20Bを例に説明したが、アンテナ設置方向提示装置20、20A、20Bの各部の処理を行うアンテナ設置方向提示方法としても実現可能である。
【0103】
また、本件開示は、アンテナ設置方向提示装置20、20A、20Bの各部の処理ステップをコンピュータに実行させるアンテナ設置方向提示プログラムとしても実現可能である。
【0104】
また、本件開示は、当該アンテナ設置方向提示プログラムを記憶させた記憶媒体としても実現可能である。すなわち、アンテナ設置方向提示プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)あるいはDVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のリムーバブルディスク等に記憶して頒布することができる。なお、アンテナ設置方向提示プログラムは、アンテナ設置方向提示装置20、20A、20Bに含まれるネットワークインタフェース等を介してネットワークからダウンロードされ、記憶部24に格納されてもよい。
【0105】
本件開示は、無線通信システムへの実装またはソフトウェア無線などを活用する外部デバイスなど、さまざまな形態により実施可能である。
【0106】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
【符号の説明】
【0107】
1,1A,1B…アンテナ設置方向提示システム;10…指向性アンテナ;20,20A,20B…アンテナ設置方向提示装置;21,21A,21B…測定部;22…アンテナ制御部;23…操作部;24…記憶部;25…表示部;26…出力部;27,27A,27B…制御部;30…システムバス(バス);41,41A,41B…到来方向推定部;42,42A,42B…推奨測定方向提示部;43…C/N推定値算出部;44…アンテナ設置方向提示部;91…プロセッサ;92…メモリ;93…ハードウェア;100…無線通信システム;101…アンテナ;200…到来方向推定装置;a1(θ1)~aL(θL)…到来波;θ1~θn…測定方向;♯1~#N…アレイアンテナ