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7575012卵における複製のための安定化されたHAを有する組換えインフルエンザウイルス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】卵における複製のための安定化されたHAを有する組換えインフルエンザウイルス
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/01 20060101AFI20241022BHJP
   C12N 15/44 20060101ALI20241022BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20241022BHJP
   A61K 39/145 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241022BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
C12N7/01 ZNA
C12N15/44
A61K35/76
A61K39/145
A61P37/04
A61P31/16
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022144599
(22)【出願日】2022-09-12
(62)【分割の表示】P 2020523276の分割
【原出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2022172369
(43)【公開日】2022-11-15
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】62/577,049
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/633,400
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、革新的先端研究開発支援事業インキュベートタイプ、インフルエンザ制圧を目指した革新的治療・予防法の研究・開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願 平成29年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、感染症研究国際展開戦略プログラム、中国拠点を連携中心とした新興・再興感染症制御に向けた基盤研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】506097988
【氏名又は名称】ウィスコンシン アルムニ リサーチ ファンデイション
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】河岡 義裕
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋弥
(72)【発明者】
【氏名】千葉 志穂
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-524915(JP,A)
【文献】特表2013-507990(JP,A)
【文献】特表2016-500007(JP,A)
【文献】特表2009-523252(JP,A)
【文献】国際公開第2017/143236(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/207853(WO,A2)
【文献】国際公開第2011/087839(WO,A1)
【文献】PLOS ONE,2013年,Vol.8, Issue 6,e65955 (pp.1-16)
【文献】J. Virol.,2007年,Vol.81, No.22,pp.12418-12426
【文献】J. Virol.,2013年,Vol.87, No.8,pp.4642-4649
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00- 7/08
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS (STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
48K、151E、347G及び369Kの変異;153N、329T、347Q及び369Kの変異;153N、329D、347Q及び369Kの変異;147N、329D及び347Qの変異;148K、151E、245D及び346Vの変異;又は、148K、151E及び245Sの変異をコードする、選択されたノイラミニダーゼ(NA)ウイルスセグメントを含む単離された組換えインフルエンザウイルスであって、番号付けは配列番号3に対
ここで、当該NAウイルスセグメントがコードするNAポリペプチドが、配列番号1、配列番号2又は配列番号3に対し、少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有し、
前記組換えインフルエンザウイルスを卵中で培養した場合に、前記組換えインフルエンザウイルスは、148K、151E、347G及び369Kの変異;153N、329T、347Q及び369Kの変異;153N、329D、347Q及び369Kの変異;147N、329D及び347Qの変異;148K、151E、245D及び346Vの変異;又は、148K、151E及び245Sの変異のないNAポリペプチドをコードするNAウイルスセグメントを有するインフルエンザウイルスを培養した場合と比較して、増殖能力が増加し、及び/又は、卵の継代中にもHA突然変異が存在しないとの特徴を有する、単離された組換えインフルエンザウイルス。
【請求項2】
再集合体である、請求項1に記載の単離された組換えインフルエンザウイルス。
【請求項3】
前記NAウイルスセグメントが、配列番号1、配列番号2又は配列番号3に対し、少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するNAをコードする、請求項1又は2に記載の単離された組換えインフルエンザウイルス。
【請求項4】
前記NAウイルスセグメントが、N2、N3、N7、又はN9をコードする、請求項1又は2に記載の単離された組換えインフルエンザウイルス。
【請求項5】
前記NAウイルスセグメントが、N1、N4、N5、N6、N8、N10又はN11をコードする、請求項1又は2に記載の単離された組換えインフルエンザウイルス。
【請求項6】
ヘマグルチニン(HA)のサブタイプH1、H3、H5、H7、又はH9を含む、請求項1~5の何れか1項に記載の単離された組換えインフルエンザウイルス。
【請求項7】
前記ウイルスが、A型インフルエンザウイルスである、請求項1~6の何れか1項に記載の単離された組換えインフルエンザウイルス。
【請求項8】
48K、151E、347G及び369Kの変異;153N、329T、347Q及び369Kの変異;153N、329D、347Q及び369Kの変異;147N、329D及び347Qの変異;148K、151E、245D及び346Vの変異;又は、148K、151E及び245Sの変異をコードするNAウイルスセグメントをコードするインフルエンザウイルスNAの核酸配列を含む単離された組換えインフルエンザウイルスであって、番号付けは配列番号3に対し、
ここで、当該NAウイルスセグメントがコードするNAポリペプチドが、配列番号1、配列番号2又は配列番号3に対し、少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有し、
前記組換えインフルエンザウイルスを卵中で培養した場合に、前記組換えインフルエンザウイルスは、148K、151E、347G及び369Kの変異;153N、329T、347Q及び369Kの変異;153N、329D、347Q及び369Kの変異;147N、329D及び347Qの変異;148K、151E、245D及び346Vの変異;又は、148K、151E及び245Sの変異のないNAポリペプチドをコードするNAウイルスセグメントを有するインフルエンザウイルスを培養した場合と比較して、増殖能力が増加し、及び/又は、卵の継代中にもHA突然変異が存在しないとの特徴を有する、単離された組換えインフルエンザウイルス。
【請求項9】
インフルエンザウイルスを調製する方法であって、細胞を、
(1)転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスのPA DNAに動作可能に連結されたプロモーター含むvRNA産生用ベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスのPB1 DNAに動作可能に連結されたプロモーター含むvRNA産生用ベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスのPB2 DNAに動作可能に連結されたプロモーター含むvRNA産生用ベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスのHA DNAに動作可能に連結されたプロモーター含むvRNA産生用ベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスのNP DNAに動作可能に連結されたプロモーター含むvRNA産生用ベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスのNA DNAに動作可能に連結されたプロモーター含むvRNA産生用ベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスのM DNAに動作可能に連結されたプロモーター含むvRNA産生用ベクター、及び転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスのNS DNAに動作可能に連結されたプロモーター含むvRNA産生用ベクター、ここで、前記vRNA産生用ベクターにおける前記PB1、PB2、PA、NP、NS、及びM DNAが、1つ以上のインフルエンザワクチンウイルス単離株に由来し、前記vRNA産生用ベクターの前記NA DNAが、48K、151E、347G及び369Kの変異;153N、329T、347Q及び369Kの変異;153N、329D、347Q及び369Kの変異;147N、329D及び347Qの変異;148K、151E、245D及び346Vの変異;又は、148K、151E及び245Sの変異を有するNAをコードし、番号付けは配列番号3に対する;並びに、
(2)インフルエンザウイルスのPAをコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスのPB1をコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスのPB2をコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、及びインフルエンザウイルスのNPをコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、
と感染可能なインフルエンザウイルスを産生するための有効な量で接触させることを含
ここで、当該NAウイルスセグメントがコードするNAポリペプチドが、配列番号1、配列番号2又は配列番号3に対し、少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有し、
前記組換えインフルエンザウイルスを卵中で培養した場合に、前記組換えインフルエンザウイルスは、148K、151E、347G及び369Kの変異;153N、329T、347Q及び369Kの変異;153N、329D、347Q及び369Kの変異;147N、329D及び347Qの変異;148K、151E、245D及び346Vの変異;又は、148K、151E及び245Sの変異のないNAポリペプチドをコードするNAウイルスセグメントを有するインフルエンザウイルスを培養した場合と比較して、増殖能力が増加し、及び/又は、卵の継代中にもHA突然変異が存在しないとの特徴を有する、方法。
【請求項10】
前記NAが、配列番号1、配列番号2又は配列番号3に対し、少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記NAが、N2、N3、N7、又はN9である、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記HAが、H1、H3、H7、又はH9である、請求項9~11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記HAが、H2,H4、H5、H6、H8、又はH10~H18の何れかである、請求項9~11の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項9~13の何れか1項に記載の方法によって調製された単離されたウイルス。
【請求項15】
請求項1~及び14の何れか1項に記載の有効量のウイルスを含む、鳥類又は哺乳類を免疫化するための医薬組成物。
【請求項16】
少なくとも1つの他の異なるインフルエンザウイルスを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記哺乳類が、ヒトである、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
鼻腔内又は注射を介して投与される、請求項15~17の何れか1項に記載の組成物。
【請求項19】
請求項1~8及び14の何れか1項に記載のウイルスを卵中で継代することを含む方法。
【請求項20】
前記細胞を、インフルエンザウイルスHAをコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスNAをコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスM1をコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスM2をコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、又は、インフルエンザウイルスNS2をコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、と感染可能なインフルエンザウイルスを産生するための有効な量で接触させることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願との相互参照
本願は、2017年10月25日に提出された米国出願62/577,049、及び2018年2月21日に提出された米国出願62/633,400の提出日の利益を主張し、それらを参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府資金の申告
本発明は、国立衛生研究所によって与えられたHHSO100201500033Cに基づく政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
研究背景
インフルエンザは、ウマを含む一部の哺乳動物の主要な呼吸器疾患であり、毎年かなりの罹患率と経済的損失の原因となっている。加えて、インフルエンザウイルス感染は、いくつかの鳥類の種に深刻な全身性疾患を引き起こし、死に至らしめる可能性がある。インフルエンザウイルスゲノムのセグメント化された性質により、2つ以上のインフルエンザウイルスに感染した細胞におけるウイルス複製中のセグメントの再集合が可能になる。セグメントの再集合は、遺伝子突然変異及び遺伝的浮動と組み合わせて、時間の経過と共に無数の多様なインフルエンザウイルス系統を生じさせる可能性がある。新しい系統は、ヘマグルチニン(HA)及び/又はノイラミニダーゼ(NA)タンパク質に抗原変異を示し、特にHAタンパク質をコードする遺伝子は、変動率が高い。インフルエンザの予防のための主の現在の実践は、ワクチン接種である。最も一般的には、不活化ウイルスワクチンが使用される。インフルエンザHAタンパク質は、ウイルスに対する宿主の免疫防御応答の主要な標的抗原であり、非常に多様性に富み、インフルエンザウイルスの単離及び近年の流行に関連するウイルスのHA抗原の同定及び特性評価は、ワクチンの製造にとって重要である。有病率及び予測に基づき、ワクチンは、優性でありかつ、予想されるインフルエンザウイルス系統に対する免疫防御応答を刺激するように設計されている。
【0004】
インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型、及びD型の4つの一般的なタイプがあり、それらは、内部タンパク質間の血清学的交差反応がないことによって定義される。A型インフルエンザウイルスは、それらの糖タンパク質、HA及びNAタンパク質の抗原的及び遺伝的違いに基づき、サブタイプにさらに分類される。既知の全てのHA及びNAサブタイプ(H1~H18及びN1~N11)は、インフルエンザの天然の保有体として働くと思われる水鳥から単離されている。
【0005】
ほとんどのインフルエンザワクチンは、孵化鶏卵で産生される。しかしながら、WHO推奨のインフルエンザワクチン系統は、孵化鶏卵においては効率的に複製されないことが多く、ウイルスの適応のために卵の連続的な継代が必要である。卵の適応及び増幅中に、インフルエンザワクチンヘマグルチニン(HA)タンパク質は、多くの場合、卵適応突然変異を獲得する。HAのこれらの卵適応突然変異は、多くの場合、ウイルスの抗原性を変化させ、その結果、流行しているウイルス系統に最適ではなくなったワクチンウイルスとなる。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載されているように、インフルエンザウイルスは、適応中に6つの非免疫原性ウイルスセグメントで発生した変異を研究するために、卵(3組)において7回継代された。驚くべきことに、ウイルスは、HA突然変異を獲得せず、代わりにNA、PB2、NP及びM1タンパク質に突然変異を有した。NA突然変異は、3つの実験全てで同一であり、それらには、欠失及び4つのアミノ酸突然変異が含まれていた。NA突然変異は、単独で試験され、それらが、例えば単独又は様々な組み合わせで、HA突然変異を伴わない卵における効率的な増殖を可能にする効果の要因であることが分かった。
【0007】
従って、本開示は、卵における増殖中のインフルエンザウイルスのヘマグルチニン(HA)セグメントにおける抗原性を損なう突然変異の獲得を妨げるインフルエンザ突然変異に関する。ヒトインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)タンパク質の突然変異は、卵の継代中にHAを「安定化」させること、例えば、NAに突然変異が存在する場合、HAタンパク質は、卵適応突然変異を獲得しないことが見出された。これらNA突然変異はまた、ワクチンウイルスの収量を増加させる可能性がある。
【0008】
本開示は、NAにおける特定の位置で選択されたアミノ酸残基又は欠失を有する、単離された組換え体、例えば、再集合体インフルエンザウイルスを提供する。一実施形態において、NAは、残基32でスレオニンをコードしないように選択される。一実施形態において、NAは、147位のアスパラギン酸をコードしないように選択される。一実施形態において、329位のアスパラギンをコードしないように選択される。一実施形態において、NAは、残基329でスレオニンをコードしないように選択される。一実施形態において、NAは、残基346でグリシンをコードしないように選択される。一実施形態において、NAは、残基347でヒスチジンをコードしないように選択される。一実施形態において、NAは、残基347のアルギニン又はアスパラギンをコードしないように選択される。一実施形態において、NAは、148位でスレオニンを有するNAをコードしないように選択される。一実施形態において、NAは、151位でアスパラギン酸を有するNAをコードしないように選択される。一実施形態において、NAは、245位でアスパラギンを有するNAをコードしないように選択される。一実施形態において、NAは、346位でグリシンを有するNAをコードしないように選択される。一実施形態において、NAは、残基46~50の1つ以上の欠失を有するように選択される。NAの番号付けは、N2に基づく。一実施形態において、本開示は、ワクチンインフルエンザウイルス、例えば、PR8UW、1つ以上の特定の位置で特定の残基又は特定の残基の欠失を有するNAウイルスセグメント、又はそれら何れかの組み合わせ、及びHAウイルスセグメント、例えば、流行しているインフルエンザウイルス由来のH1~H18の何れかに由来する6個の「内部」ウイルスセグメントを有する単離組換え再集合体インフルエンザウイルスを提供する。組換えインフルエンザウイルスを含む組成物、ワクチン等の医薬組成物も提供される。
【0009】
従って、細胞中、例えば卵中で増殖又は継代されるワクチンウイルスについて、32、147、329、347位の残基での置換、又は1つ以上の46~50残基の欠失、又はそれら何れかの組み合わせ、NAにおいて、例えば、突然変異によって、又はNAが残基32でスレオニンをコードしないように、147位でアスパラギン酸コードしないように、329位でアスパラギンをコードしないように、347位でヒスチジンをコードしないように、又は1つ以上の46~50残基の欠失を有するように、又はそれら何れかの組み合わせは、HAの安定化及び/又はより高いウイルス力価をもたらし得、ここで、上記番号付けはN2に基づく。一実施形態において、細胞中、例えば卵中で増殖又は継代されるワクチンウイルスについて、148、151、245、346位で残基の置換、又はそれら何れかの組み合わせ、NAにおいて、例えば、突然変異によって、又はNAが、残基148でスレオニンをコードしないように、151位でアスパラギン酸をコードしないように、残基245でアスパラギンをコードしないように、残基346でグリシンをコードしないように、又はそれら何れかの組み合わせの選択されたNAウイルスセグメントは、HAの安定化及び/又はより高いウイルス力価をもたらし得、ここで、上記番号付けはN2に基づく。
【0010】
一実施形態において、本開示は、PA、PB1、PB2、NP、NS、M及びHAウイルスセグメント及び32残基でスレオニンをコードしないように、147位でアスパラギン酸をコードしないように、残基329でアスパラギンをコードしないように、残基347でヒスチジンをコードしないように、又は1つ以上の46~50残基の欠失を有しないように、又はそれら何れかの組み合わせから選択されたNAをコードするNAウイルスセグメント、ここで、上記番号付けはN2に基づく、を含む単離組換えインフルエンザウイルスを提供し、ここで、当該組換えインフルエンザウイルスは、鳥類の卵中で強化された複製能を有するか又は鳥類の卵で増殖した際、残基32でスレオニンをコードし、残基46~50の欠失を有せず、147位でアスパラギン酸をコードし、残基329でアスパラギンをコードし、残基347でヒスチジンをコードする、又はそれら何れかの組み合わせのNAを有する対応するインフルエンザウイルスと比較してHA突然変異が減少している。一実施形態において、本開示は、PA、PB1、PB2、NP、NS、M及びHAウイルスセグメント及び残基148でスレオニンをコードしない、151位でアスパラギン酸をコードしない、残基245でアスパラギンをコードしない、残基346でグリシンをコードしない、又はそれら何れかの組み合わせの選択されたNAウイルスセグメントを含む単離組換えインフルエンザウイルスを提供し、ここで、上記番号付けは、N2に基づき、当該組換えインフルエンザウイルスは、鳥類の卵中で強化された複製能を有するか又は鳥類の卵で増殖した際、残基148でスレオニンをコードし、151位でアスパラギン酸をコードし、残基245でアスパラギンをコードし、残基346でグリシンをコードし、又はそれら何れかの組み合わせのNAを有する対応するインフルエンザウイルスと比較してHA突然変異が減少している。一実施形態において、単離組換えインフルエンザウイルスは、再集合体である。一実施形態において、NAウイルスセグメントは、配列番号1~3、30~38、48~50、又は54の何れか1つと少なくとも80%、85%、90%、95%、又は99%のアミノ酸配列同一性を有するNAをコードする。一実施形態において、NAウイルスセグメントは、配列番号2又は配列番号3と100%未満のアミノ酸配列同一性を有するNAをコードする。一実施形態において、NAウイルスセグメントは、N2、N3、N7、又はN9をコードし、及び特定の残基を有するN3、N7、又はN9の位置は、N2の特定の位置に相当する。一実施形態において、NAウイルスセグメントは、N1、N4、N5、N6、N8、N10又はN11をコードし、特定の残基を有するN1、N4、N5、N6、N8、N10又はN11の位置は、N2の特定の位置に相当する。一実施形態において、32位の残基は、A、I、G、又はLである。一実施形態において、欠失は、残基46~50の欠失である。一実施形態において、147位の残基は、N又はQである。一実施形態において、329位の残基は、D又はEである。一実施形態において、347位の残基は、Q、N、S、T、Y、C又はWである。一実施形態において、HAは、H1、H3、H7、又はH9である。一実施形態において、ウイルスは、A型インフルエンザウイルスである。一実施形態において、PA、PB1、PB2、NP、M及びNSウイルスセグメントは、配列番号24~29と少なくとも85%の核酸配列同一性を有するか、又は配列番号24~29又は39~44によってコードされるポリペプチドに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする。一実施形態において、PB2は、残基147でI、A、L、又はGを有する。一実施形態において、ウイルスは、B型インフルエンザウイルスである。一実施形態において、選択されたNAウイルスセグメントは、147位でアスパラギン酸を有せず、残基329でアスパラギンを有せず、及び残基347でアルギニン又はヒスチジン有しない。一実施形態において、選択されたNAウイルスセグメントは、148位にスレオニンを有せず、151位にアスパラギン酸を有せず、245位にアスパラギンを有しない。一実施形態において、選択されたNAウイルスセグメントは、147位でN又はQ、残基329でD又はE、又は残基347でQ又はGの少なくとも2つを有する。一実施形態において、選択されたNAウイルスセグメントは、148位でK、R又はH、151位でE又はQ、又は245位でS、I、T、V又はGの少なくとも2つを有する。一実施形態において、選択されたNAウイルスセグメントは、147位でN又はQ、残基329D又はE、及び残基347でQ又はGを有する。一実施形態において、選択されたNAウイルスセグメントは、147位にN又はQ、残基329でD又はE、及び残基346でV、S、I又はLを有する。一実施形態において、選択されたNAウイルスセグメントは、148位でK、R又はH、151位でE又はQ、及び245位でS、I、T、V又はGを有する。
【0011】
さらに提供されるのは、単離組換え核酸、例えば、残基32でスレオニンをコードしないように、1つ以上の残基46~50の欠失を有するように、147位でアスパラギン酸をコードしないように、残基329でアスパラギンをコードしないように、又は残基347でアスパラギンをコードしないように、又はそれら何れかの組み合わせを含むウイルスベクター等のベクターであり、ここで、上記番号付けはN2に基づく。一実施形態において、単離組換え核酸は、残基148でスレオニンをコードせず、151位でアスパラギン酸をコードしないように、残基245でアスパラギンをコードしないように、残基346でグリシンをコードしないように、又はそれら何れかの組み合わせである。一実施形態において、NAは、配列番号1、配列番号3、配列番号48、又は配列番号49と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態において、NAは、配列番号2又は配列番号3に対して100%未満のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態において、NAは、N2、N3、N7、又はN9である。一実施形態において、NAは、N1、N4、N5、N6、N8、N10又はN11である。一実施形態において、32位の残基は、A、I、G、又はLである。一実施形態において、欠失は、残基46~50の欠失である。一実施形態において、147位の残基は、N又はQである。一実施形態において、329位の残基は、D又はEである。一実施形態において、347位の残基は、Q、N、S、T、Y、C又はWである。一実施形態において、148位の残基は、K、R又はHである。一実施形態において、151位の残基は、E、N又はQである。一実施形態において、245位の残基は、S、T、I、L、A、N、又はVである。
【0012】
インフルエンザウイルスを治療する方法もまた、提供される。当該方法は、細胞を以下のベクターと感染性インフルエンザウイルスを産生するために有効な量で接触させることを含む; 転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスPA DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むvRNA産生用ベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスPB1 DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むvRNA産生用ベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスPB2 DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むvRNA産生用ベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスHA DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むvRNA産生用ベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスNP DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むvRNA産生用ベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスNA DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むvRNA産生用ベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスM DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むvRNA産生用ベクター、及び転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスNS DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むvRNA産生用ベクター、ここで、vRNA産生用のベクター中のPB1、PB2、PA、NP、NS、及びM DNAは、1つ以上のインフルエンザワクチンウイルス単離株由来のものであり、vRNA産生用ベクターのNA DNAは、残基32でスレオニンをコードしないように、147位でアスパラギン酸をコードしないように、残基329でアスパラギンをコードしないように、残基347でヒスチジンをコードしないように、残基148でスレオニンをコードしないように、151位でアスパラギン酸をコードしないように、残基245でアスパラギンをコードしないように、残基346でグリシンをコードしないように、又は1つ以上の残基46~50の欠失を有するように、又はそれら何れかの組み合わせから選択されるNAをコードし、上記NA残基の番号付けはN2番号付けである;
及びインフルエンザウイルスPAをコードするDNAセグメントに動作可能で連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスPB1をコードするDNAセグメントに動作可能で連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスPB2をコードするDNAセグメントに動作可能で連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、及びインフルエンザウイルスNPをコードするDNAセグメントに動作可能で連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、及び任意に、インフルエンザウイルスHAをコードするDNAセグメントに動作可能で連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスNAをコードするDNAセグメントに動作可能で連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスM1をコードするDNAセグメントに動作可能で連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスM2をコードするDNAセグメントに動作可能で連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスNS1をコードするDNAセグメントに動作可能で連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、又はインフルエンザウイルスNS2をコードするDNAセグメントに動作可能で連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、の1つ以上を含むmRNA産生用ベクター。一実施形態において、NAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号48、又は配列番号49に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は99%のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態において、NAは、配列番号2又は配列番号3に対して100%未満のアミノ酸配列同一性を有する。一実施形態において、NAは、N2、N3、N7、又はN9である。一実施形態において、NAは、N1、N4、N5、N6、N8、N10又はN11である。一実施形態において、32位の残基は、A、I、G、又はLである。一実施形態において、欠失は、残基46~50の欠失である。一実施形態において、147位の残基は、N又はQである。一実施形態において、329位の残基は、D又はEである。一実施形態において、347位の残基は、Q、N、S、T、Y、C又はWである。一実施形態において、148位の残基は、K、R又はHである。一実施形態において、151位の残基は、E、N又はQである。一実施形態において、245位の残基は、S、T、I、L、A、N、又はVである。
【0013】
一実施形態において、HAは、H1、H3、H5、H7、又はH9である。一実施形態において、ウイルスは、A型インフルエンザウイルスである。一実施形態において、PA、PB1、PB2、NP、M、及びNSウイルスセグメントは、配列番号24~29又は39~44に対して少なく~とも85%、85%、90%、95%、又は99%の核酸配列同一性を有するか、又は配列番号24~29又は39~44によってコードされるポリペプチドに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする。一実施形態において、PB2は、残基147でI、A、L、又はGを有する。一実施形態において、HAは、H2、H4、H5、H6、H8、又はH10~H18の何れかである。一実施形態において、ウイルスは、B型インフルエンザウイルスである。
【0014】
本明細書に記載の有効量のウイルスを有する組成物での鳥類又は哺乳動物を免疫化する方法がさらに提供される。一実施形態において、組成物は、少なくとも1つの他の異なるインフルエンザウイルスを含む。一実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。一実施形態において、組成物は、鼻腔内又は注射により投与される。
【0015】
従って、本発明は、細胞培養における強化された複製能を有する、例えば発育卵において強化された複製能を有するインフルエンザウイルスを選択する方法を提供する。当該方法は、インフルエンザワクチンの産生に適した細胞を提供すること; 1つ以上のインフルエンザウイルス単離系統を卵中で連続培養すること; 及び連続培養前の1つ以上の単離系統と比較して、増殖が強化された連続的に培養されたウイルスを単離することを含む。HAを安定化する及び/又は例えば卵中で組換えインフルエンザウイルスの増殖の変化をもたらすNAを同定する方法も提供される。当該方法は、本明細書に記載される1つ以上の置換又は欠失をNAウイルスセグメントに導入し、突然変異NAウイルスセグメント得ること; 及び任意に、突然変異NAウイルスセグメントが、複製能力を有する組換えインフルエンザウイルスが存在する場合、卵中で組換えインフルエンザウイルスの複製能が強化されるか、及びNAにおいて1つ以上の置換及び/又は欠失を有せず、対応する複製能を有するインフルエンザウイルスと比較して、任意にHA突然変異を阻害するか否かを識別することを含む。
【0016】
一実施形態において、本開示は、本明細書に記載のNAにおいて特徴的な残基及び/又は欠失、又はそれらの組み合わせを有する単離A型インフルエンザウイルスを提供する。一実施形態において、特徴的な残基及び/又は欠失、又はそれらの組み合わせを有する単離A型インフルエンザウイルスは、配列番号1、2、3、又は30~38の何れか1つによりコードされるポリペプチドに対し、少なくとも80%、例えば、90%、92%、95%、97%又は99%(80~99の間の何れかの整数を含む)の連続したアミノ酸配列同一性を有するNAアミノ酸配列を有する。一実施形態において、特徴的な残基及び/又は欠失、又はそれらの組み合わせを有する本発明の単離A型インフルエンザウイルスは、HAのサブタイプ1~18の何れか1つ由来のHAを有する。一実施形態において、特徴的な残基は、例えば、配列番号2又は配列番号3と比較して、保存的置換である。保存的アミノ酸置換は、同様の側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンである; 脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びスレオニンである; アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギン及びグルタミンである; 芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンである; 塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン及びヒスチジンである; 及び硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システイン及びメチオニンである。一実施形態において、保存的アミノ酸置換の群は以下の通りである: スレオニン-バリン-ロイシン-イソロイシン-アラニン;フェニルアラニン-チロシン; リジン-アルギニン; アラニン-バリン; グルタミン酸-アスパラギン酸; 及びアスパラギン-グルタミン。
【0017】
一実施形態において、突然変異は、例えば、部位特異的突然変異誘発を含む組換えDNA技術を介して、又はNAコード配列の一部を特徴的な残基又は欠失を含む部分で置き換えることにより、インフルエンザ単離系統のNAウイルスセグメントに導入される。一実施形態において、本明細書に記載される特徴的な残基及び/又は欠失を有するNAウイルスセグメントは、HAセグメント、及びインフルエンザワクチンウイルスの内部ウイルスセグメントと組み合わされる。
【0018】
本開示は、本発明の複数のインフルエンザウイルスベクター、例えば、6:1:1の再集合体、6:2の再集合体及び7:1の再集合体を含む再集合体ウイルスを調製するために有用なものを提供する。6:1:1の再集合体は、本明細書で記載されるワクチンウイルス由来の6つの内部ウイルスセグメント、ワクチンウイルスとは異なる(第2の)ウイルス単離株由来のHAウイルスセグメント、及び特徴的な残基及び/又は欠失を有するNAウイルスセグメント、又はそれらの組み合わせを有し、HAセグメント及びワクチンウイルスとは異なるウイルスソース由来であるインフルエンザウイルスであり; 6:2の再集合体は、ワクチンウイルス由来の6つの内部ウイルスセグメント、ワクチンウイルスとは異なる(第2の)ウイルス単離株由来のHAウイルスセグメント、及び特徴的な残基及び/又は欠失を有するNAウイルスセグメント、又はそれらの組み合わせを有し、ここで、セグメントは、HAセグメントと同じソース由来であり、及びワクチンウイルスとは異なるウイルス単離株由来のHAウイルスセグメントを有するインフルエンザウイルスである; 及び7:1の再集合体は、一実施形態において、6つの内部ウイルスセグメント及びワクチンウイルス由来のHAセグメント、並びに特徴的な残基及び/又は欠失を含むように改変されたNAセグメント、又はこれらの組み合わせを有し、ここで、NAセグメントは、ワクチンウイルスとは異なるウイルスソースに由来するインフルエンザウイルスである。
【0019】
本発明の一実施形態において、複数は、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスPA DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスPB1 DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスPB2 DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスHA DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスNP DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスNA DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスM DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、及び転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスNS DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、から選択されたvRNA産生用ベクターを含む。一実施形態において、PB1、PB2、PA、NP、M、及びNSのvRNA産生のためのDNAは、MDCK細胞、Vero細胞、PER.C6(登録商標)細胞又は発育卵等の培養哺乳類細胞で高い力価で複製されるインフルエンザウイルス、及び/又は例えばヒトにおいて重大な疾患を引き起こさないウイルス由来のワクチンウイルスに由来する配列を有する。NAのvRNA産生のためのDNAは、何れかのNA、例えば、N1~N9の何れかであり得、及びHAのvRNA産生のためのDNAは、何れかのHA、例えば、H1~H18由来であり得る。一実施形態において、vRNA産生のためのDNAは、B型又はC型インフルエンザウイルスのためであり得る。例えば、vRNA産生のためのDNAは、B型インフルエンザウイルスのPA、PB1、PB2、NP、NS、及びM又はB型インフルエンザウイルスのPA、PB1、PB2、NP、NS、M、及びNAを含み、ここで、NAのためのvRNAは、本明細書に記載される特徴的な残基及び/又は欠失を有するNAを有する。NA及びHAのvRNA産生のためのDNAは、異なる系統若しくは単離株(6:1:1の再集合体)又は同じ系統若しくは単離株(6:2の再集合体)由来であり得、又はNA又はHAは、内部遺伝子と同じ系統又は単離株(7:1の再集合体)に由来し得る。複数はまた、インフルエンザウイルスのPAをコードするベクター、インフルエンザウイルスのPB1をコードするベクター、インフルエンザウイルスのPB2をコードするベクター、及びインフルエンザウイルスのNPをコードするベクター、及び任意にNP、NS、M、例えばM1及びM2、HA又はNA等をコードする1つ以上のベクターを含む。ウイルスタンパク質をコードするベクターは、転写終結配列をさらに含み得る。
【0020】
本発明の範囲内の再集合体の内部遺伝子を提供し得るウイルスは、高い力価、例えば、少なくとも約10 PFU/mL、例えば少なくとも10 PFU/mL、10 PFU/mL又は10 PFU/mLの力価; 発育卵において高い力価、例えば少なくとも約10 EID50/mL、例えば少なくとも10 EID50/mL、10 EID50/mL又は1010 EID50/mLの力価; MDCKにおいて高い力価、例えば少なくとも約10 PFU/mL、例えば少なくとも10 PFU/mLの力価、又はそれら宿主細胞の2つ以上における高い力価を有するウイルスを含む。
【0021】
他のPR8単離株又はワクチンウイルス由来の内部遺伝子を有する他の再集合体は、組換え再集合体ウイルスで用いられ得る。
【0022】
一実施形態において、PB1、PB2、PA、NP、M及びNSの内部遺伝子のDNAは、配列番号24~29又は39~44のうちの1つによってコードされる対応するポリペプチドと実質的に同じ活性を有するタンパク質をコードする。本明細書で用いられる場合、「実質的に同じ活性」は、約0.1%、1%、10%、30%、50%、90%、例えば100%以上までの活性、又は約80%、90%又はそれ以上である検出可能なタンパク質レベル、対応する完全長ポリペプチドの活性又はタンパク質レベルのそれぞれを含む。一実施形態において、核酸は、例えば、配列番号24~29又は39~44のうちの1つによってコードされるポリペプチドと実質的に同じ、例えば少なくとも80%、例えば、90%、92%、95%、97%又は99%(80~99の間の何れかの整数を含む)の連続したアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする配列である。一実施形態において、単離及び/又は精製された核酸分子は、例えば、配列番号24~29又は39~44のうちの1つに対し少なくとも50%、例えば60%、70%、80%又は90%(50~100の間の何れかの整数を含む)を有する核酸配列と実質的に同一又はより連続した核酸配列同一性を有し、及び一実施形態において、また、配列番号24~29又は39~44のうちの1つによってコードされるポリペプチドに対し少なくとも80%、例えば、90%、92%、95%、97%又は99%(80~99の間の何れかの整数を含む)の連続したアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一実施形態において、インフルエンザウイルスポリペプチドは、1つ以上、例えば、2、5、10、15、20又はそれ以上の保存的アミノ酸置換、例えば配列番号24~29又は39~44のうちの1つによってコードされるポリペプチドと比較して最大10%又は20%の保存的置換を有する。保存的アミノ酸置換は、同様の側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンである; 脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びスレオニンである; アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギン及びグルタミンである; 芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンである; 塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン及びヒスチジンである; 硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システイン及びメチオニンである。一実施形態において、保存的アミノ酸置換の群は、以下の通りである:バリン-ロイシン-イソロイシン;フェニルアラニン-チロシン; リジン-アルギニン; アラニン-バリン; グルタミン酸-アスパラギン酸; 及びアスパラギン-グルタミン。一実施形態において、インフルエンザウイルスポリペプチドは、配列番号24~29のうちの1つによってコードされるポリペプチドと比較して、1つ以上、例えば2、3、又は4個の非保存的アミノ酸置換を有する。
【0023】
一実施形態において、核酸は、配列番号1、3、30~35、48~49のうちの1つ、又はアクセッション番号ACP41107.1(N1)(配列番号36)、AIK26357.1(N7)(配列番号37)、ALH21372.1(N9)(配列番号45)、又はBAK86313.1(N2)(配列番号50)(これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる)のうちの1つによってコードされるポリペプチドと実質的に同じ、例えば、少なくとも80%、例えば90%、92%、95%、97%又は99%(80~99の間の何れかの整数を含む)を有する連続したアミノ酸配列と実質的に同一であるNAポリペプチドをコードする配列である。一実施形態において、単離及び/又は精製された核酸分子は、配列番号1、3、30~35、48~49によってコードされるポリペプチド、又はアクセッション番号ACP41107.1(N1)、AIK26357.1(N7)、ALH21372.1(N9)、又はBAK86313.1(N2)(これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる)のうちの1つによってコードされるポリペプチドに対し、少なくとも80%、例えば90%、92%、95%、97%又は99%(80~99の間の何れかの整数を含む)の連続したアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする。一実施形態において、インフルエンザウイルスポリペプチドは、配列番号1、3、30~35、48~49のうちの1つ、又はアクセッション番号ACP41107.1(N1)、AIK26357.1(N7)、ALH21372.1(N9)、又はBAK86313.1(N2)(これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる)のうちの1つによってコードされるポリペプチドと比較して、1つ以上、例えば、2、5、10、15、20、又はそれ以上の保存的アミノ酸置換、例えば、残基の最大10%又は20%の保存的置換を有する。保存的アミノ酸置換は、同様の側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンである; 脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びスレオニンである; アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギン及びグルタミンである; 芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンである; 塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン及びヒスチジンである; 及び硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システイン及びメチオニンである。一実施形態において、保存的アミノ酸置換の群は、以下の通りである: バリン-ロイシン-イソロイシン; フェニルアラニン-チロシン; リジン-アルギニン; アラニン-バリン; グルタミン酸-アスパラギン酸; 及びアスパラギン-グルタミン。一実施形態において、インフルエンザウイルスポリペプチドは、配列番号1、3、30~35、48~49のうちの1つ、又はアクセッション番号ACP41107.1(N1)、AIK26357.1(N7)、ALH21372.1(N9)、又はBAK86313.1(N2)(これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる)のうちの1つによってコードされるポリペプチドと比較して、1つ以上、例えば、2、3又は4個の非保存的アミノ酸置換を有する。
【0024】
従って、本発明は、インフルエンザウイルスタンパク質を発現する若しくはコードする、又はインフルエンザvRNA(天然及び組換えvRNAの両方)を発現する若しくはコードする、単離及び精製されたベクター若しくはプラスミドの使用を含む。ベクターは、インフルエンザcDNA、例えば、A型インフルエンザ(例えば、18HA又は11NAサブタイプの何れかを含む何れかのA型インフルエンザ遺伝子)、B型インフルエンザ又はC型インフルエンザDNAを含む(Fields Virology (Fields et al. (eds.), Lippincott, Williams and Wickens (2013)参照、これらは参照により本明細書に具体的に組み込まれる)。何れかの適切なプロモーター又は転写終結配列を使用して、タンパク質又はペプチド、例えばウイルスタンパク質又はペプチド、非ウイルス病原体のタンパク質又はペプチド、又は治療用タンパク質又はペプチドを発現させることができる。
【0025】
本発明の組成物又は複数のベクターはまた、目的の異種遺伝子又はオープンリーディングフレーム、例えば、ワクチンとして又は遺伝子置換において有用な免疫原性ペプチド又はタンパク質をコードする外来遺伝子を含み得、例えば、癌治療若しくはワクチンにおいて有用なエピトープ、又は遺伝子治療に有用なペプチド若しくはポリペプチドをコードし得る。ウイルスを調製する際、目的の遺伝子若しくはcDNAを含むベクター若しくはプラスミドは、インフルエンザウイルス遺伝子のベクター若しくはプラスミドの代わりになり得る又はインフルエンザウイルス遺伝子のベクター若しくはプラスミドに加えられ得る。従って、本発明の他の実施形態は、ベクターの1つが、所望の核酸配列、例えば所望のcDNAに連結された、3’インフルエンザウイルスコード配列又はその一部を仁井に含む3’インフルエンザウイルス配列に連結された5’インフルエンザウイルスコード配列又はその一部を任意に含む5’インフルエンザウイルス配列で置換されるか又はさらに含む。一実施形態において、cDNA等の所望の核酸配列は、アンチセンス(アンチゲノム)方向である。そのようなベクターを上記の他のベクターと結合させインフルエンザウイルスの複製を許容する宿主細胞に導入すると、ベクターの異種配列に対応するvRNAを含む組換えウイルスが生じる。
【0026】
vRNA産生用のベクターのプロモーターは、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、又はT3プロモーターであり得、及び任意でベクターは、RNAポリメラーゼI転写終結配列、RNAポリメラーゼII転写終結配列、RNAポリメラーゼIII転写終結配列、又はリボザイム等の転写終結配列を含み得る。本発明の範囲内のリボザイムは、限定されないが、テトラヒメナリボザイム、RNase P、ハンマーヘッドリボザイム、ヘアピンリボザイム、肝炎リボザイム、並びに合成リボザイムを含む。一実施形態において、RNAポリメラーゼIプロモーターは、ヒトRNAポリメラーゼIプロモーターである。
【0027】
vRNA又はウイルスタンパク質発現ベクターのプロモーター又は転写終結配列は、プロモーター又は他の何れかのベクターと比較して同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、インフルエンザウイルスのvRNAを発現するベクター又はプラスミドは、少なくとも1つの特定の宿主細胞、例えば、鳥類又はイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、又はヒト細胞を含む霊長類細胞等の等の哺乳類宿主細胞、又は2つ以上の宿主における発現に適したプロモーターを含む。
【0028】
一実施形態において、vRNA用のベクターの少なくとも1つは、他のリボザイム配列に連結されたウイルスコード配列に連結されたリボザイム配列に連結され、任意でRNAポリメラーゼII転写終結配列に連結されたRNAポリメラーゼIIプロモーターを含む。一実施形態において、vRNA産生用の少なくとも2つ、例えば、3、4、5、6、7又は8つのベクターは、RNAポリメラーゼIIプロモーター、ウイルスコード配列を含むウイルス配列に対応する配列に対して5’である第1のリボザイム配列、これは、転写終結配列に対して5’である、を含む。各vRNAベクターの各RNAポリメラーゼIIプロモーターは、他の何れかのvRNAベクターにおけるRNAポリメラーゼIIプロモーターと同じであっても異なっていてもよい。同様に、各vRNAベクターの各リボザイム配列は、他の何れかのvRNAベクターにおけるリボザイム配列と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、単一のベクターにおけるリボザイム配列は、同じではない。
【0029】
一実施形態において、少なくとも1つのベクターは、配列番号24~29のうちの1つによってコードされるポリペプチドに対し、配列番号24~29又は39~44のうちの一つによってコードされる対応するポリペプチド、例えば、少なくとも80%、例えば85%、90%、92%、95%、98%、99%又は100%(80~100の間の何れかの整数を含む)アミノ酸同一性を有するポリペプチドをコードする配列と実質的に同じ活性を有する、PB1、PB2、PA、NP、M、又はNS、又はそれらの一部をコードする対応する配列を含む。任意に、2つのベクターは、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスM cDNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、例えば、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスM1 cDNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、及び転写終結配列に連結されたインフルエンザM2 cDNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクターの代わりに用いられ得る。
【0030】
本発明の複数のベクターは、物理的に連結され得るか、又は各ベクターが、個々のプラスミド又はその他、例えば線形、核酸送達ビヒクル上に存在し得る。一実施形態において、各vRNA産生ベクターは、別々のプラスミド上にある。一実施形態において、各mRNA産生ベクターは、別々のプラスミド上にある。
【0031】
本発明はまた、インフルエンザウイルスを調製する方法を提供する。当該方法は、感染性インフルエンザウイルスを産生するための有効な量で、細胞を本発明の複数のベクターと、例えば連続的又は同時に接触させることを含む。本発明はまた、複数のベクターと接触した細胞からウイルスを単離することを含む。従って、本発明はさらに、単離されたウイルス、並びに本発明の複数のベクター又はウイルスと接触した宿主細胞を提供する。一実施形態において、本発明は、細胞をvRNA又はタンパク質産生ベクターの何れかである他のベクターの前に、vRNA又はタンパク質産生ベクターの何れかである1つ以上のベクターと接触させることを含む。一実施形態において、当該方法で使用されるvRNAベクターのためのプロモーターは、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T3プロモーター又はT7プロモーターである。一実施形態において、RNAポリメラーゼIプロモーター、は、ヒトRNAポリメラーゼIプロモーターである。一実施形態において、当該方法で使用されるvRNAベクターは、別々のプラスミド上にある。一実施形態において、当該方法で使用されるvRNAベクターは、1つのプラスミド又は2つ又は3つの異なるプラスミド上にある。一実施形態において、当該方法で使用されるmRNAベクターは、別々のプラスミド上にある。一実施形態において、当該方法で使用されるPA、PB1、PB2、及びNPのmRNAベクターは、1つのプラスミド又は2つ又は3つの異なるプラスミド上にある。
【0032】
ヘルパーウイルス感染を必要としない、本明細書に記載されるウイルスを産生する方法は、ウイルス突然変異研究、及びワクチンの製造(例えば、AIDS、インフルエンザ、B型肝炎、C型肝炎、ライノウイルス、フィロウイルス、マラリア、ヘルペス、及び口蹄疫)、及び遺伝子治療ベクター(例えば、癌、AIDS、アデノシンデアミナーゼ、筋ジストロフィー、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症及び中枢神経腫瘍のため)産生において有用である。従って、医学的治療(例えば、ワクチン又は遺伝子治療)に使用するためのウイルスが提供される。
【0033】
本発明はまた、単離されたウイルスポリペプチド、並びに本発明の組換えウイルスを調製及び使用する方法を提供する。当該方法は、宿主生物、例えば哺乳動物に、有効量の本発明のインフルエンザウイルス、例えば不活性化ウイルス調製物を、任意にアジュバント及び/又は担体と組み合わせて、例えばそのウイルス又は抗原的に密接に関連するウイルスによる哺乳動物等の動物の感染症を防止又は緩和するために有効な量で投与することを含む。一実施形態において、ウイルスは、筋肉内投与されるが、他の実施形態においては、ウイルスは、鼻腔内投与される。いくつかの投与プロトコルにおいて、全ての用量は、筋肉内又は鼻腔内に投与されてもよく、他の投与プロトコルにおいては、筋肉内投与と鼻腔内投与の組み合わせが用いられる。ワクチンは、例えば、多価ワクチンを形成するために、組換えインフルエンザウイルスを含むインフルエンザの他の分離株、さらなる生物学的因子又は微生物成分をさらに含み得る。一実施形態において、例えば、不活性化インフルエンザウイルスを含む鼻腔内ワクチン接種および粘膜アジュバントは、鼻咽頭及び血清IgGにおいてウイルス特異的IgA及び中和抗体を誘導する可能性がある。
【0034】
本発明のインフルエンザウイルスは、他の抗ウイルス剤、例えば、アマンタジン、リマンタジン、及び/又はノイラミニダーゼ阻害剤と共に使用することができ、例えば、抗ウイルス剤と別々に組み合わせて、例えば投与前、投与中及び/又は投与後に投与することができる。
【0035】
従って、改変ノイラミニダーゼは、少なくとも1つ、又は少なくとも2つ、又は少なくとも3つの改変を含み、ここで、当該改変は、29~35位内に1つ以上のアミノ酸、44~52位内に1つ以上のアミノ酸、144~154位内に1つ以上のアミノ酸、240~250位内に1つ以上のアミノ酸、326~333位内に1つ以上のアミノ酸、344~350位内に1つ以上のアミノ酸、365~375位内に1つ以上のアミノ酸、又はそれらの組み合わせを含み、ここで、番号付けはN2の番号付けである。一実施形態において、NAは、プロリン、アスパラギン、グルタミン、バリンの少なくとも1つ、又は44~52位内のプロリン、1つ以上のアスパラギン、グルタミン、及びバリンの組み合わせ; 29~35位内のスレオニンの置換(取替); 145~155位内のスレオニン又はアスパラギン酸の置換(取替); 240~250又は326~350位内のヒスチジンの置換(取替); 又はそれらの組み合わせの欠失を含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1-1】図1-1~図1-12は、A/Yokohama/2017/2003(配列番号4~11)のウイルスセグメントのヌクレオチド配列、及びA/Yokohama/2017/2003(配列番号3)のNAのアミノ酸配列を示す。
図1-2】図1-1~図1-12は、A/Yokohama/2017/2003(配列番号4~11)のウイルスセグメントのヌクレオチド配列、及びA/Yokohama/2017/2003(配列番号3)のNAのアミノ酸配列を示す。
図1-3】図1-1~図1-12は、A/Yokohama/2017/2003(配列番号4~11)のウイルスセグメントのヌクレオチド配列、及びA/Yokohama/2017/2003(配列番号3)のNAのアミノ酸配列を示す。
図1-4】図1-1~図1-12は、A/Yokohama/2017/2003(配列番号4~11)のウイルスセグメントのヌクレオチド配列、及びA/Yokohama/2017/2003(配列番号3)のNAのアミノ酸配列を示す。
図1-5】図1-1~図1-12は、A/Yokohama/2017/2003(配列番号4~11)のウイルスセグメントのヌクレオチド配列、及びA/Yokohama/2017/2003(配列番号3)のNAのアミノ酸配列を示す。
図1-6】図1-1~図1-12は、A/Yokohama/2017/2003(配列番号4~11)のウイルスセグメントのヌクレオチド配列、及びA/Yokohama/2017/2003(配列番号3)のNAのアミノ酸配列を示す。
図1-7】図1-1~図1-12は、A/Yokohama/2017/2003(配列番号4~11)のウイルスセグメントのヌクレオチド配列、及びA/Yokohama/2017/2003(配列番号3)のNAのアミノ酸配列を示す。
図1-8】図1-1~図1-12は、A/Yokohama/2017/2003(配列番号4~11)のウイルスセグメントのヌクレオチド配列、及びA/Yokohama/2017/2003(配列番号3)のNAのアミノ酸配列を示す。
図1-9】図1-1~図1-12は、A/Yokohama/2017/2003(配列番号4~11)のウイルスセグメントのヌクレオチド配列、及びA/Yokohama/2017/2003(配列番号3)のNAのアミノ酸配列を示す。
図1-10】図1-1~図1-12は、A/Yokohama/2017/2003(配列番号4~11)のウイルスセグメントのヌクレオチド配列、及びA/Yokohama/2017/2003(配列番号3)のNAのアミノ酸配列を示す。
図1-11】図1-1~図1-12は、A/Yokohama/2017/2003(配列番号4~11)のウイルスセグメントのヌクレオチド配列、及びA/Yokohama/2017/2003(配列番号3)のNAのアミノ酸配列を示す。
図1-12】図1-1~図1-12は、A/Yokohama/2017/2003(配列番号4~11)のウイルスセグメントのヌクレオチド配列、及びA/Yokohama/2017/2003(配列番号3)のNAのアミノ酸配列を示す。
図2】A/Saitama/103/2014のNAのアミノ酸配列(配列番号2)。
図3-1】図3-1~図3-7は、NAウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12)及びA/Yokohama/2017/2003の突然変異体のNAのアミノ酸配列(配列番号1)、及び突然変異体の他のウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12~21)を示す。
図3-2】図3-1~図3-7は、NAウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12)及びA/Yokohama/2017/2003の突然変異体のNAのアミノ酸配列(配列番号1)、及び突然変異体の他のウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12~21)を示す。
図3-3】図3-1~図3-7は、NAウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12)及びA/Yokohama/2017/2003の突然変異体のNAのアミノ酸配列(配列番号1)、及び突然変異体の他のウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12~21)を示す。
図3-4】図3-1~図3-7は、NAウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12)及びA/Yokohama/2017/2003の突然変異体のNAのアミノ酸配列(配列番号1)、及び突然変異体の他のウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12~21)を示す。
図3-5】図3-1~図3-7は、NAウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12)及びA/Yokohama/2017/2003の突然変異体のNAのアミノ酸配列(配列番号1)、及び突然変異体の他のウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12~21)を示す。
図3-6】図3-1~図3-7は、NAウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12)及びA/Yokohama/2017/2003の突然変異体のNAのアミノ酸配列(配列番号1)、及び突然変異体の他のウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12~21)を示す。
図3-7】図3-1~図3-7は、NAウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12)及びA/Yokohama/2017/2003の突然変異体のNAのアミノ酸配列(配列番号1)、及び突然変異体の他のウイルスセグメントのヌクレオチド配列(配列番号12~21)を示す。
図4】突然変異体及び野生型A/Yokohama/2017/2003のPB2、M、NA及びNPセグメントを有する様々な再集合体の卵における力価を示すグラフ。ウイルス摂取:尿膜腔液内で2×10pfu/卵、37℃で72時間のインキュベーション。
図5】N2 NAの3D構造上のNA突然変異の位置。
図6】A/Yokohama/2017/2003(「Y2017-M3L4」)の突然変異体で見られた特定の突然変異を有する組換えウイルスの卵における力価を示すグラフ。ウイルス摂取:尿膜腔液内で2×10pfu/卵、37℃で72時間のインキュベーション。
図7】2つの頃なるバックボーン(PA、PB1、PB2、NP、NS及びM)及び2つの異なるHA及びNAの組み合わせ(PB2-I504V、PB1-M40L/G180W、PA-R401K、NP-I116L、NS1-A30P/R118K; 及び突然変異を含むY2017-M3L4のNA; NA-T32A、D147N、N329D、H347Q及び46-50aaの欠失)を備えた再集合体の卵のウイルス力価のグラフ。ウイルス摂取:尿膜腔液内で2×10pfu/卵、37℃で72時間のインキュベーション。
図8】Yokohama/2017/2003の野生型NA(配列番号3)及びY2017-M3L4(配列番号1)のアミノ酸配列の比較。
図9-1】図9-1~図9-2は、N3、N4、N6、N7、N8、及びN9の例示的なNAの配列(配列番号30~35)を示す。
図9-2】図9-1~図9-2は、N3、N4、N6、N7、N8、及びN9の例示的なNAの配列(配列番号30~35)を示す。
図10-1】図10-1~図10-6は、マスターワクチン系統の内部ウイルスセグメントの例示的な配列(配列番号39~44)を示す。
図10-2】図10-1~図10-6は、マスターワクチン系統の内部ウイルスセグメントの例示的な配列(配列番号39~44)を示す。
図10-3】図10-1~図10-6は、マスターワクチン系統の内部ウイルスセグメントの例示的な配列(配列番号39~44)を示す。
図10-4】図10-1~図10-6は、マスターワクチン系統の内部ウイルスセグメントの例示的な配列(配列番号39~44)を示す。
図10-5】図10-1~図10-6は、マスターワクチン系統の内部ウイルスセグメントの例示的な配列(配列番号39~44)を示す。
図10-6】図10-1~図10-6は、マスターワクチン系統の内部ウイルスセグメントの例示的な配列(配列番号39~44)を示す。
図11-1】図11-1~図11-2は、例示的なNAの配列(配列番号51~54)を示す。
図11-2】図11-1~図11-2は、例示的なNAの配列(配列番号51~54)を示す。
図12】様々なNAの突然変異の卵における力価。
図13】HK4801HA、Y2017-M3L4NA及びHY-PR8(PB2 C4U、I504V; PB1 C4U、M40L/G180W; PA C4U、R401K; NP I116L; NS A30P/R118K)の力価及び感染した卵におけるHA突然変異の経時的分析。
図14図14は、特定のNA突然変異を有する卵において継代されたが、HAの置換には至らなかったウイルスのデータを示す。
図15図15は、特定のNAの残基の位置の概略図である。
図16図16は、特定のNAの残基の位置の概略図である。
図17図17は、卵を継代した分離株(HK4801NA(T148K、D151E、H347G、及びT369K))のウイルス力価が、尿膜腔においてHK4801HA又はSingapore0019(HY-PR8バックボーン)の何れかを有するウイルスに対し、効率的な複製能を与えたことを示す。
図18図18は、NAの153、329、347、369の位置での選択された残基の異なる組み合わせの卵の力価を示す。
図19図19は、ウイルス力価(HK4801HA、Y2017-M3L4NA及びHY-PR8(PB2 C4U、I504V; PB1 C4U、M40L/G180W; PA C4U、R401K; NP I116L; NS A30P/R118K)及びHA状態の経時的変化のまとめである。
図20図20は、異なるNAを有するウイルスのウイルス力価及びHAの状態のまとめである。
図21図21は、尿膜腔における接種及び回収されたウイルス力価を示す(HA-K189E/N158K/A212T突然変異ウイルス)。
図22図22は、複数回継代後のHAの状態の検出を示す。
図23図23A及び図23Bは、異なるNAを有するウイルスの卵の力価を示す。
図24図24は、NA活性の中心の拡大図である。ほとんどの卵に適応した突然変異は、NAの活性部位の中/周辺に位置する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な説明
定義
本明細書で用いられる場合、「単離された」という用語は、本発明の核酸分子、例えば、ベクター若しくはプラスミド、ペプチド若しくはポリペプチド(タンパク質)、又はウイルスのインビトロ調製及び/又は単離を指し、それにより、インビボの物質と関連しないか、又はインビトロの物質から実質的に精製される。単離されたウイルス調製物は、一般に、インビトロでの培養及び増殖によって、及び/又は卵における継代によって得られ、他の感染因子を実質的に含まない。
【0038】
本明細書で用いられる場合、「実質的に精製された」とは、対象の種が、優勢な種、例えば、モルベースで組成物中の他の何れか別個の種よりも豊富であり、好ましくは存在する種の少なくとも約80%、及び任意に、組成物中に存在する種の90%以上、例えば95%、98%、99%以上を意味する。
【0039】
本明細書で用いられる場合、「実質的に含まない」とは、特定の感染性因子のその因子の標準的な検出方法を使用して、その感染性因子の検出限界を下回ることを意味する。
【0040】
「組換え」ウイルスは、ウイルスゲノムに変化を導入するために、例えば組換えDNA技術を使用して、インビトロで操作されたウイルスである。再集合体ウイルスは、組換え又は非組換え技術によって調製され得る。
【0041】
本明細書で用いられる場合、「組換え核酸」又は「組換えDNA配列又はセグメント」という用語は、ソースから派生する又はソースから単離された核酸、例えばDNAを指し、その後、インビトロで化学的に変化させることができるため、その配列が、天然に発生しない、又は天然のゲノムに配置されるように配置されない天然に発生する配列に対応する。ソースから「派生した」DNAの例は、有用なフラグメントとして識別されたDNA配列であり、これは次いで、本質的に純粋な形態に化学的に合成される。ソースから「単離された」そのようなDNAの例は、例えば、制限エンドヌクレアーゼの使用により化学的手段により前記ソースから切除又は除去される有用なDNA配列であり、それにより、遺伝子工学の方法により、本開示で使用するため、さらに操作、例えば増幅され得る。
【0042】
本明細書で用いられる場合、「異種」インフルエンザウイルス遺伝子又はウイルスセグメントは、組換え、例えば、再集合体インフルエンザ中の他のインフルエンザウイルス遺伝子又はウイルスセグメントの主要部分とは異なるインフルエンザソースに由来する。
【0043】
「単離されたポリペプチド」、「単離されたペプチド」又は「単離されたタンパク質」という用語は、合成元の1つを含むcDNA又は組換えRNA、又はそれらいくつかの組み合わせを含む。
【0044】
本明細書で用いられる「組換えタンパク質」又は「組換えポリペプチド」という用語は、組換えDNA分子から発現されたタンパク質分子を指す。対照的に、「天然タンパク質」という用語は、天然に発生する(すなわち、非組換え)ソースから単離されたタンパク質を示すために用いられる。分子生物学的技術を使用して、タンパク質の天然型と比較して同一の特性を有する組換え型のタンパク質を生産することができる。
【0045】
比較のために配列をアライメントさせる方法は、当該技術分野で周知である。従って、何れか2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して実行できる。
【0046】
これらの数学的アルゴリズムのコンピュータ実装は、配列の同一性を決定するための配列の比較に利用することができる。これらのプログラムを使用したアライメントは、デフォルトのパラメーターを使用して実行され得る。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センターを通じて公開されている(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。このアルゴリズムでは、クエリ配列での長さWの短いワード(word)を特定することにより、最初に高いスコアの配列ペア(HSP)を特定する。これは、データーベース配列中の同じ名側の文字と位置を合わせた際に正しい閾値スコアTに一致する又は満たすものの何れかである。Tは、近傍ワードスコア閾値と呼ばれる。これら最初の近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけるための検索を開始する起点として機能する。次に、ヒットワードは、累積アライメントスコアを増加でき限り、各配列に沿って両方向に拡張される。ヌクレオチド配列の場合、累積スコアは、パラメーターM(一致する残基のペアのリワードスコア; 常に>0)及びN(不一致残基のペナルティスコア; 常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列の場合、スコアリングマトリックスを使用して累積スコアが計算される。累積アライメントスコアが、最大達成値からX量だけ低下した場合、各方向でのワードヒットの拡張は停止し、1つ以上のネガティブスコアリング残基アライメントの累積により、又は何れかの配列の最後に達すると累積スコアがゼロ以下になる。
【0047】
パーセント配列同一性の計算に加え、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計分析も実行できる。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小合計確立(P(N))であり得、これは、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致が偶然起こる確率の指標を提供する。例えば、テスト核酸配列と参照核酸配列の比較における最小合計確率が、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、及び最も好ましくは約0.001未満である場合、テスト核酸配列は、参照配列と同様であるとみなされる。
【0048】
BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトでワード長(W)11、期待値(E)10、カットオフ100、M=5、N=4、及び両方のストランド比較を使用できる。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとしてワード長(W)3、期待値(E)10、及びBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用できる。http://www.ncbi.n1m.nih.gov.参照。アライメントは、検査によって主導で行うこともできる。
【0049】
配列比較では、通常、1つの配列は、テスト配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、テスト配列及び参照配列はコンピュータに入力され、必要に応じてサブ配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。次に、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対するテスト配列の配列同一性%を計算する。
【0050】
インフルエンザウイルスの構造及び増殖
A型インフルエンザは、少なくとも10個のタンパク質をコードする8個の一本鎖ネガティブセンスウイルスRNA(vRNA)のゲノムを有する。インフルエンザウイルスのライフサイクルは、赤血球凝集素(HA)が宿主細胞の表面にあるシアル酸含有受容体に結合することから始まり、受容体を介したエンドサイトーシスがそれに続く。後期エンドソームの低pHは、HA立体構造変化を引き起こし、それによってHA2サブユニット(いわゆる融合ペプチド)のN末端が露出する。融合ペプチドは、ウイルスとエンドソーム膜の融合を開始し、マトリックスタンパク質(M1)とRNP複合体が、細胞質に放出される。RNPは、vRNAをキャプシド化する核タンパク質(NP)と、PA、PB1、及びPB2タンパク質によって形成されるウイルスポリメラーゼ複合体で構成される。RNPは、転写と複製が行われる核に輸送される。RNAポリメラーゼ複合体は、3つの異なる反応を触媒する:5’キャップと3’ポリA構造を有するmRNAの合成、完全長相補的RNA(cRNA)、及びcRNAをテンプレートとして使用するゲノムvRNAの合成。次に、新しく合成されたvRNA、NP、及びポリメラーゼタンパク質が、RNPに組み立てられ、核からエクスポートされ、細胞膜に輸送され、そこで子孫ウイルス粒子の出芽が起こる。ノイラミニダーゼ(NA)タンパク質は、シアリルオリゴ糖からシアル酸を除去することにより感染後期に重要な役割を果たし、従って、細胞表面から新たに構築されたビリオンを放出しウイルス粒子の自己凝集を防ぐ。ウイルスの組み立ては、タンパク質-タンパク質及びタンパク質-vRNA相互作用が含まれるが、これらの相互作用の性質は、ほとんどわかっていない。
【0051】
B型インフルエンザウイルス及びC型インフルエンザウイルスは、構造的及び機能的にA型インフルエンザウイルスに類似するが、いくつかの違いがある。例えば、B型インフルエンザウイルスは、イオンチャネル活性を有するM2タイプのタンパク質を有さないが、BM2を有し、NA及びNB配列の両方を有するウイルスセグメントを有する。C型インフルエンザウイルスは、7個のウイルスセグメントのみ有する。
【0052】
ウイルス産生に使用できる細胞
何れかの細胞、例えば鳥類又は哺乳類細胞の何れか、例えば鳥類の卵、ヒト、例えば293T又はPER.C6(登録商標)細胞、又はイヌ、ウシ、ウマ、ネコ、ブタ、ヒツジ、げっ歯類、例えばミンク、例えばMvLu1細胞、又はハムスター、例えばCHO細胞、又は非ヒト霊長類、例えばVero細胞、これらは突然変異細胞を含み、ここで、インフルエンザウイルスの効率的複製を補助するものは、インフルエンザウイルスを単離及び/又は増殖するために使用することができる。単離されたウイルスは、再集合体ウイルスを調製するために用いられ得る。一実施形態において、ワクチン製造のための宿主細胞は、継代哺乳類細胞株若しくは細胞系統又は継代鳥類細胞株若しくは細胞系統である。最終産物の純度の適切なテストを行うことを可能にするために、使用する細胞の完全な特性評価を含むことができる。細胞の特性評価に使用できるデータは、以下を含む:(a)その起源、由来、継代歴に関する情報; (b)その増殖及び形態学的特徴に関する情報; (c)外来因子のテスト結果; (d)生化学的、免疫学的及び細胞遺伝学的パターン等の他の細胞系統の中で細胞を明確に認識できるようにする特徴的な特徴; 及び(e)腫瘍形成能のテスト結果。一実施形態において、使用される宿主細胞の継代レベル、又は集団倍加は、可能な限り低い。
【0053】
一実施形態において、細胞は、WHO認定、又は認知可能な細胞株である。そのような細胞株を認証するための要件として、系統図、増殖特性、免疫学的マーカー、ウイルス感受性腫瘍形成及び保存条件のうち少なくとも1つに関する特性評価、並びに動物、卵、及び細胞培養でのテストが含まれる。そのような特徴付けは、細胞が検出可能な外来性因子を含まないことを確認するために使用される。一部の国では、核学も必要になる場合がある。加えて、腫瘍形成は、ワクチン製造に使用されるものと同じ継代レベルにある細胞でテストすることができる。ウイルスは、ワクチン製造前に、一貫した結果が得られることが示されているプロセスによって精製することが可能である(例えば、World Health Organization, 1982参照)。
【0054】
宿主細胞によって産生されたウイルスは、ワクチン又は遺伝子治療製剤になる前に高度に精製され得る。一般に、精製手順により、細胞DNA及びその他の細胞成分、及び外来因子が幅広く除去される。DNAを大幅に分解又は変性させる手順も使用できる。
【0055】
インフルエンザワクチン
ワクチンは、本発明の単離された組換えインフルエンザウイルス、及び任意で、他の単離されたインフルエンザウイルスを含む1つ以上の他の単離されたインフルエンザウイルス、1つ以上の他の単離されたインフルエンザウイルス又は1つ以上の他の病原体、例えば、1つ以上の細菌、非インフルエンザウイルス、酵母又は真菌由来の免疫原生タンパク質、又は本発明の単離されたインフルエンザウイルスの1つ以上の免疫原性タンパク質を含む1つ以上のウイルスタンパク質(例えば、DNAワクチン)をコードする単離された核酸、を含む1つ以上の他の単離されたウイルスを含む。一実施形態において、本発明のインフルエンザウイルスは、インフルエンザウイルス又は他の病原体のためのワクチンベクターであり得る。
【0056】
完全なビリオンワクチンは、限外濾過によって濃縮され得、次いで、ゾーン遠心分離又はクロマトグラフィーによって精製され得る。本発明のウイルス以外のウイルス、例えば多価ワクチンに含まれるウイルスは、例えば、ホルマリン又はベータプロピオラクトンを使用する精製の前又は後に不活化され得る。
【0057】
サブユニットワクチンは、精製された糖タンパク質を含む。そのようなワクチンは、以下のように調製され得る: 界面活性剤での処理により断片化されたウイルス懸濁液を使用して、例えば、超遠心分離により表面抗原が精製される。従って、サブユニットワクチンは、主にHAタンパク質とNAも含まれる。使用される界面活性剤は、例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(Bachmeyer, 1975)等のカチオン性界面活性剤、デオキシコール酸アンモニウム等のアニオン性界面活性剤(Laver & Webster, 1976); 又はTRITON X100の名称で商品化されている非イオン性界面活性剤であり得る。ヘマグルチニンはまた、ブロメリン等のプロテアーゼによるビリオンの処理後に単離され、次いで精製され得る。サブユニットワクチンは、多価ワクチンにおいて本発明の弱毒化ウイルスと組み合わせられ得る。
【0058】
分割ワクチンは、脂質を溶解する薬剤による処理を受けたビリオンを含む。分割ワクチンは、以下のように調製され得る:上記のようにしていられた不活化又は不活化されていない精製ウイルスの水性懸濁液を、攪拌下で、界面活性剤に関連するエチルエーテル又はクロロホルム等の脂質溶媒で処理する。ウイルスエンベロープ脂質の溶解は、ウイルス粒子の断片化をもたらす。水性相は、元の脂質環境が取り除かれたヘマグルチニン及びノイラミニダーゼ、並びにコア又はその分解産物で主に構成される分割ワクチンと接触することにより再生される。次に、これがまだ行われていな場合、残りの感染性粒子は、不活化される。分割ワクチンは、多価ワクチンにおいて本発明の弱毒化ウイルスと組み合わせられ得る。
【0059】
不活化ワクチン。
不活化インフルエンザウイルスワクチンは、限定されないが、ホルマリン又はβ-プロピオラクトン処理等の既知の方法を使用して複製ウイルスを不活化することにより提供される。本発明で使用できる不活化ワクチンの種類は、全ウイルス(WV)ワクチン又はサブビリオン(SV)(分割)ワクチンが含まれ得る。WVワクチンには無傷の不活化ウイルスが含まれているが、SVワクチンは、脂質含有ウイルスエンベロープを可溶化する界面活性剤で破壊され、その後、残留ウイルスが化学的に破壊された精製ウイルスを含む。
【0060】
加えて、使用可能なワクチンは、表面抗原又はサブユニットワクチンと呼ばれる、単離されたHA表面タンパク質及びNA表面タンパク質を含むワクチンが含まれ得る。
【0061】
弱毒化生ワクチンウイルス
本発明の組換えウイルスを含むもの等の弱毒化生ワクチンウイルスは、インフルエンザウイルス感染を予防又は治療するために使用することが可能である。弱毒化は、弱毒化されたドナーウイルス由来の弱毒化された遺伝子を既知の方法に従って複製された単離ウイルス又は再集合されたウイルスに移すことにより、単一ステップで達成することが可能である。A型インフルエンザウイルスに対する耐性は、主にHA及び/又はNA糖タンパク質に対する免疫応答の発達によって媒介されるため、これらの表面抗原をコードする遺伝子は、再集合ウイルス又は臨床分離株に由来する。弱毒化された遺伝子は、弱毒化された親に由来する。このアプローチにおいて、弱毒化をもたらす遺伝子は一般に、HA及びNA糖タンパク質をコードしない。
【0062】
インフルエンザウイルスを再現可能に弱毒化できるウイルス(ドナーインフルエンザウイルス)が利用可能であり、例えば、低温適用(ca)ドナーウイルスが、弱毒化ウイルスの製造に用いられ得る。弱毒化生再集合体ウイルスワクチンは、caドナーウイルスを病原性複製ウイルスと交配させることで生成され得る。次いで、再集合体の子孫は、弱毒化されたcaドナーウイルスの表面抗原を有するウイルスの複製を阻害する適切な抗血清の存在下で、25℃(病原性ウイルスの複製が制限される)で選択される。有用な再集合体は、以下の通りである:(a)感染性、(b)血清陰性の非成体の哺乳動物及び免疫学的に刺激を受けた成体哺乳動物での弱毒化、(c)免疫原性、及び(d)遺伝的に安定。ca再集合体の免疫原性は、複製のレベルに対応する。従って、新しい野生型ウイルスによるcaドナーウイルスの6つの伝達可能な遺伝子の獲得により、成体及び非成体の両方の感受性を有する哺乳動物へのワクチン接種に使用するために、これらのウイルスが再現可能に弱毒化された。
【0063】
他の弱毒化変異は、部位特異的突然変異誘発によってインフルエンザウイルス遺伝子に導入され得、これらの突然変異遺伝子を有する感染性ウイルスを回復させる。弱毒化突然変異は、ゲノムの非コード領域だけではなく、コード領域にも導入することができる。そのような弱毒化突然変異はまた、HA又はNA以外の遺伝子、例えばPB2ポリメラーゼ遺伝子に導入することができる。従って、部位特異的突然変異誘発によって導入された弱毒化突然変異を含む新規ドナーウイルスを生成することが可能であり、そのような新規ドナーウイルスは、caドナーウイルスについて、上記と同様の方法で弱毒化生再集合体ワクチン候補のために使用することができる。同様に、他の既知の適切な弱毒化ドナー系統を再集合させ、哺乳動物のワクチン接種での使用に適した弱毒化ワクチンを得ることが可能である。
【0064】
一実施形態において、そのような弱毒化ウイルスは、元の臨床単離株のものと実質的に同様の抗原決定基をコードするウイルス由来の遺伝子を維持する。これは、弱毒化ワクチンの目的が、ウイルスの元の臨床株と実質的に同じ抗原性を提供することであるのと同時に、ワクチンが、ワクチン接種された哺乳動物において深刻な疾患病状を誘発する可能性を最小限に抑える程度に病原性を欠いているためである。
【0065】
従って、多価ワクチン中のウイルスは、既知の方法に従って、動物、例えば哺乳動物において免疫応答を誘導するためのワクチンとして弱毒化又は不活化、製剤化及び投与され得る。このような弱毒化又は不活化ワクチンが、臨床単離株又はそれに由来する高増殖系統と同様の抗原性を維持しているか否かを判定する方法は、当該技術分野で公知である。そのような公知の方法は、ドナーウイルスの抗原決定基を発現するウイルスを排除するための抗血清又は抗体の使用;化学物質選択(例えば、アマンタジン又はリマンチジン); HA及びNA活性と阻害; 及び抗原決定基をコードするドナー遺伝子(例えば、HA又はNA遺伝子)が、弱毒化ウイルスに存在しないことを確認するための核酸スクリーニング(例えば、プローブハイブリダイゼーション又はPCR)を含む。
【0066】
医薬組成物
摂取、例えば、経鼻、非経口又は経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1つ以上のインフルエンザウイルス単離株、例えば、1つ以上の弱毒化又は不活化インフルエンザウイルス、そのサブユニット、その単離タンパク質、及び/又は1つ以上のそのタンパク質をコードする単離核酸を含み、任意で無菌水性又は非水性溶液、懸濁液、及び乳濁液をさらに含む。組成物は、当該技術分野で知られているように、補助剤又は賦形剤をさらに含み得る。本発明の組成物は、一般に、個別の用量(単位用量)の形態で提供される。
【0067】
従来のワクチンは、一般的に、約0.1~200μg、例えば、30~100μg、0.1~2μg、0.5~5μg、1~10μg、10~20μg、15μg~30μg、又は10~30μg等のそれら組成に含まれる各系統由来のHAを含む。本発明のワクチン組成物の主成分を形成するワクチンは、単一のインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスの組み合わせ、例えば、1つ以上の再集合体を含む少なくとも2つ又は3つのインフルエンザウイルスを含み得る。
【0068】
非経口投与のための調製物は、滅菌水性溶液又は滅菌非水性溶液、懸濁液、及び/又は乳濁液を含み、これらは、当該分野で公知の補助剤又は賦形剤を含み得る。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、及びオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルである。担体又は密封包帯を使用して、皮膚透過性を高め、抗原吸収を増強することも可能である。経口投与用の液体剤形は、一般に、液体剤形を含むリポソーム溶液を含み得る。リポソームを懸濁させるために適した形態は、精製水等の当該分野で一般に使用される不活性希釈剤を含む乳濁液、懸濁液、溶液、シロップ、及びエリキシルが含まれる。不活性希釈剤に加えて、そのような組成物はまた、アジュバント、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、又は甘味剤、香味剤、又は芳香剤を含み得る。
【0069】
本発明の組成物が、固体への投与に使用される場合、それは、組成物の有効性を改善するために望ましい塩、緩衝液、アジュバント、又は他の物質をさらに含むことができる。ワクチンには、アジュバント、特定の免疫応答を増強することができる物質を使用することができる。通常、アジュバント及び組成物は、免疫系への提示前に混合されるか、又は別々に提示されるが、免疫される生物の同じ部位に提示される。
【0070】
ワクチンにおける不均一性は、2~20系統又はその中の何れかの範囲若しくは値等の少なくとも2つのインフルエンザ系統によって複製されたインフルエンザウイルスを混合することによって提供され得る。当該技術分野で公知の技法を使用して、インフルエンザウイルスの単一の系統におけるバリエーションのワクチンを提供することができる。
【0071】
本発明に係る医薬組成物は、例えば、遺伝子療法剤、免疫抑制剤、抗炎症剤又は免疫増強剤のための少なくとも1つの化学療法化合物、及びワクチンのための、限定されないがガンマグロブリン、アマンタジン、グアニジン、ヒドロキシベンズイミダソール、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、腫瘍壊死因子アルファ、チオセミカルバルゾン、メチサゾン、リファンピン、リバビリン、ピリミジン類似体、プリン類似体、ホスカルネット、ホスホノ酢酸、アシクロビル、ジデオキシヌクレオシド、プロテアーゼ阻害剤、又はガンシクロビルを含む化学療法剤をさらに又は追加的に含み得る。
【0072】
組成物はまた、可変であるが少量のエンドトキシンを含まないホルムアルデヒド、及び安全であり、組成物が投与される生物において望ましくない影響を与えないことがわかっている防腐剤を含み得る。
【0073】
製薬目的
組成物(又はそれが誘発する抗血清)の投与は、「予防的」又は「治療的」目的の何れかであり得る。予防的に提供される場合、ワクチンである本発明の組成物は、病原体感染の症状又は臨床的徴候が明らかになる前に提供される。組成物の予防的投与は、その後の感染の何れかを予防又は軽減するために役立つ。予防的に提供される場合、本発明の遺伝子療法組成物は、疾患の症状又は臨床的徴候が明らかになる前に提供される。組成物の予防的投与は、疾患に関連する1つ以上の症状又は臨床的徴候を予防又は軽減するために役立つ。
【0074】
治療的に提供される場合、ウイルスワクチンは、実際の感染の症状又は臨床的徴候が検出されたときに提供される。化合物の治療的投与は、実際の感染の何れかを軽減するために役立つ。治療的に提供される場合、遺伝子療法組成物は、疾患の症状又は臨床的徴候の検出時に提供される。化合物の治療的投与は、その疾患の症状又は臨床的徴候を軽減するために役立つ。
【0075】
従って、本発明のワクチン組成物は、(予想される感染を防止又は軽減するために)感染の発症前、又は実際の感染の開始後の何れかに提供され得る。同様に、遺伝子療法の場合、組成物は、障害又は疾患の症状又は臨床的徴候の何れかが現れる前、又は1つ以上の症状が検出された後に提供され得る。
【0076】
受領哺乳動物がその投与に耐えることができる場合、組成物は、「薬理学的に許容される」と言われる。そのような薬剤は、投与される量が、生理学的に有意である場合、「治療有効量」で投与されると言われる。本発明の組成物は、その存在が受領患者の生理学的に検出可能な変化をもたらす場合、例えば、感染性インフルエンザウイルスの少なくとも1つの系統に対する少なくとも1つの一次又は二次の体液性又は細胞性免疫応答を増強する場合、生理学的に重要である。
【0077】
提供される「防御」は、絶対である必要はない、すなわち、コントロール集団又は哺乳動物のセットと比較して統計的に有意な改善があれば、インフルエンザ感染を完全に防止又は根絶する必要はない。防御は、インフルエンザウイルス感染の症状又は臨床的徴候の発症の重症度又は迅速性の緩和に限定される場合がある。
【0078】
医薬的投与
本発明の組成物は、受動免疫又は能動免疫の何れかによって、1つ以上の病原体、例えば、1つ以上のインフルエンザウイルス系統に対する耐性を付与することができる。能動免疫において、弱毒化生ワクチン組成物は、宿主(例えば、哺乳動物)に予防的に投与され、投与に対する宿主の免疫応答は、感染及び/又は疾患から保護する。受動免疫の場合、誘発された抗血清を回収し、少なくとも1つのインフルエンザウイルス系統による感染が疑われる受領者に投与することができる。本発明の遺伝子療法組成物は、能動免疫化により、予防的又は治療的レベルの所望の遺伝子産物を得ることができる。
【0079】
一実施形態において、ワクチンは、哺乳動物の雌に(妊娠又は出産時又はその前に)雌と胎児及び新生児の両方を保護するために役立つ免疫応答を引き起こすために十分な時間と量の条件下で(胎盤全体又は母乳中の抗体の受動的取り込みを介して)、提供される。
【0080】
従って、本発明は、障害又は疾患、例えば、病原体の少なくとも1つの系統による感染を予防又は軽減するための方法を含む。本明細書で使用される場合、ワクチンは、その投与の結果、疾患の臨床的徴候又は症状の全体的又は部分的な軽減(すなわち、抑制)、又は疾患に対する個体の全体的又は部分的な免疫の何れかをもたらす場合、疾患を予防又は軽減すると言える。本明細書で使用される場合、遺伝子療法組成物は、その投与が疾患の臨床的徴候又は症状の全体的又は部分的な軽減(すなわち、抑制)、又は疾患に対する個体の全体的又は部分的な免疫の何れかをもたらす場合、疾患を予防又は軽減すると言える。
【0081】
本発明の少なくとも1つのインフルエンザウイルス(弱毒化されたウイルス及び他の単離ウイルス、1つ以上のその単離ウイルスタンパク質、1つ以上のそのウイルスタンパク質をコードする1つ以上の単離核酸、又はそれらの組み合わせ)を有する組成物、又はその組み合わせは、意図された目的を達成する何れかの手段によって投与され得る。
【0082】
例えば、そのような組成物の投与は、皮下、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、経口又は経皮経路などの様々な非経口経路によるものであり得る。非経口投与は、ボーラス注射又は時間をかけて徐々に灌流することによって達成され得る。
【0083】
インフルエンザウイルス関連の病状を予防、抑制、又は治療するための典型的なレジメンは、本明細書に記載の有効量のワクチンの投与、単一の治療としての投与、又は増強又は追加投与として、1週間から約24か月までの期間、又はその中の何れかの範囲又は値にわたり繰り返される。
【0084】
本発明によると、組成物の「有効量」は、所望する効果を達成するために十分な量である。有効投与量は、受領者の種、年齢、性別、健康状態、及び体重、もしあれば並行治療の種類、治療の頻度、及び望まれる効果の性質に依存し得ることが理解される。以下に提供される有効用量の範囲は、本発明を限定することを意図せず、用量の範囲を示す。
【0085】
哺乳類成体等の動物のための弱毒化生ウイルスワクチン又は死滅型ウイルスワクチンの投与は、約10~1020、例えば、10~1012、10~1010、10~1011、10~1015、10~1010、又は1015~1020プラーク形成単位(PFU)/kg、又はその中の何れかの範囲又は値であり得る。例えば、不活化ワクチンの中のウイルス単離ワクチンの一用量は、約0.1~1000、例えば、0.1~10μg、1~20μg、30~100μg、10~50μg、50~200μg、又は150~300μgのHAタンパク質であり得る。しかしながら、投与量は、既存のワクチンを出発点として使用して、従来の方法によって決定される安全かつ、有効な量でなければならない。
【0086】
複製されたウイルスワクチンの各用量における免疫反応性HAの投与量は、適切な量、例えば、0.1μg~1μg、0.5μg~5μg、1μg~10μg、10μg~20μg、15μg~30μg、又は30μg~100μg、又はその中の何れかの範囲又は値、又は政府機関又は認定された専門組織によって推奨される量を含むように標準化することができる。NAの量も標準化することができるが、この糖タンパク質は、精製及び保管中に不安定な場合がある。
【0087】
複製されたウイルスワクチンの各用量における免疫応答性のHAの投与量は、適切な量、例えば1~50μg又はその何れかの範囲又は値、又は米国公衆衛生局(PHS)が推奨する量を含むように標準化され得る。これは、通常3歳超の年長の子供はコンポーネント当たり15μg、3歳未満の子供は、コンポーネント当たり7.5gである。NAの量も標準化することができるが、この糖タンパク質は、プロセッサーの精製及び保管中に不安定になる可能性がある(Kendal et al., 1980; Kerr et al., 1975)。ワクチンの各0.5ml用量には、約1億~5億のウイルス粒子、5~20億のウイルス粒子、10~100億のウイルス粒子、200~400億のウイルス粒子、10~50億のウイルス粒子、又は400~800億のウイルス粒子を含む場合がある。
【0088】
ウイルスの例
インフルエンザノイラミニダーゼ(NA)タンパク質の有用な改変は、それら改変されたノイラミニダーゼタンパク質を発現するインフルエンザウイルスの卵での継代中にヘマグルチニン(HA)タンパク質を安定化させるために本明細書で記載される。そのような改変ノイラミニダーゼタンパク質をコードする改変されたアミノ酸もまた記載される。改変は、ノイラミニダーゼタンパク質及び核酸配列内の欠失、置換及びそれらの組み合わせを含み得る。そのような改変されたノイラミニダーゼタンパク質を発現するウイルスは、卵におけるインフルエンザの増殖中にヘマグルチニン(HA)の抗原性を損なう突然変異の獲得を大幅に減少させる。
【0089】
例えば、場合によっては、改変ノイラミニダーゼは、少なくとも1つ、又は少なくとも2つ、又は少なくとも3つの改変を有することができる。改変可能なインフルエンザノイラミニダーゼタンパク質内のアミノ酸位置は、例えば、N2番号付けに基づき、29~35位内の1つ以上のアミノ酸、44~52位内の1つ以上のアミノ酸、144~154位内の1つ以上のアミノ酸、240~250位内の1つ以上のアミノ酸、326~333位内の1つ以上のアミノ酸、344~350位内の1つ以上のアミノ酸、365~375位内の1つ以上のアミノ酸、及びそれらの組み合わせを含む。例えば、アミノ酸は、これらの位置内の何れかのアミノ酸、例えば、以下の表に挙げられているアミノ酸の何れかであり得る。
【0090】
【表1】
【0091】
いくつかの場合において、29~35位、44~52位、144~154位、326~333位、344~350位、365~375位内の選択されたアミノ酸は、保存的置換を有することができる。しかしながら、他の場合において、29~35位、44~52位、144~154位、326~333位、344~350位、365~375位内の選択されたアミノ酸は、非保存的アミノ酸置換を有することができる。
【0092】
例えば、改変されたノイラミニダーゼは、改変されたノイラミニダーゼの44~52位内で少なくとも1つのプロリン、アスパラギン、グルタミン、バリン、又はプロリン、1つ以上のアスパラギン、グルタミン、及びバリンの組み合わせを欠失することが可能である。改変されたノイラミニダーゼは、29~35位内のスレオニンの置換(取替)を有することができ、ここで、取替は、何れかのアミノ酸である。改変されたノイラミニダーゼは、145~154位又は365~375位内にスレオニン又はアスパラギン酸の置換(取替)を有することができ、ここで、取替は、何れかのアミノ酸である。改変されたノイラミニダーゼは、326~333位内にアスパラギンの置換(取替)を有することができ、ここで、取替は、何れかのアミノ酸である。改変されたノイラミニダーゼは、345~350位内にヒスチジンの置換(取替)を有することができ、ここで、取替は、何れかのアミノ酸である。様々なタイプのアミノ酸の例示的な置換(取替)が、上記の表に示されている。
【0093】
A型インフルエンザウイルス(A/Yokohama/2013/2003(H3N2))ノイラミニダーゼタンパク質配列の一例を以下に示す。
【表2】
【0094】
共発現されたHAの安定性を改善するために改変できるアミノ酸は、太字で強調され、上記配列内で下線が引かれている。このようなA型インフルエンザウイルス(A/Yokohama/2013/2003(H3N2))ノイラミニダーゼタンパク質配列をコードする核酸を以下に示す。
【表3】
【0095】
ノイラミニダーゼの特定の位置での改変は、ウイルスの増殖を促進することができる。
【0096】
A型インフルエンザウイルスの他の例A/Yokohama/2013/2003(H3N2))ノイラミニダーゼ配列を以下に示す。改変の位置は、太字で強調され、下線が引かれている。
【表4】
【0097】
共発現されたHAの安定性を改善するために改変できるアミノ酸は、太字で強調され、上記配列内で下線が引かれている。
【0098】
いくつかの場合において、HA、PA、PB1、PB2、NP、M1、M2、NS2、PB1-F2、PA-X、及び/又はNS1タンパク質(及びそのようなタンパク質をコードする核酸)に1つ以上の改変を導入することができる。
【0099】
発育鶏卵又は培養細胞を継代した際のウイルスの増殖の増強は、改変されたNAタンパク質が発現する際に観察され、そのような発現は、著しく高いウイルス力価をもたらす。従って、本発明は、細胞培養又は発育鶏卵における複製が増強されたインフルエンザウイルスを作製するための方法を提供する。当該方法は、インフルエンザワクチンの産生に適した細胞を提供すること; ノイラミニダーゼをコードする核酸を改変すること; 及び1つ以上の未改変ウイルス単離株と比較して増殖が増強されたウイルス系統を単離することを含む。いくつかの場合において、細胞培養で複製が増強されたインフルエンザウイルスを作製する方法は、発育鶏卵で1つ以上のインフルエンザウイルス単離株を連続培養すること; 及び連続培養前の1つ以上の単離株と比較して増殖が増強された連続培養ウイルスを単離することを含む。いくつかの場合において、ウイルスは、培養中の細胞、例えば、MDCK又はVero細胞内で増殖又は継代され得る。
【0100】
改変されたノイラミニダーゼは、様々なインフルエンザ系統で発現され得る。例えば、A/Puerto Rico/8/34(H1N1)、「PR8」ウイルスは、不活化インフルエンザワクチンを生成するための遺伝的バックボーンとして機能することが多い。PR8に基づく一部のワクチン系統は、卵及び細胞培養で比較的低い力価で複製できるため、ワクチン産生が遅れ、ワクチン不足になる。しかしながら、本明細書に記載される改変されたノイラミニダーゼの発現は、PR8(及び他の)インフルエンザ系統の複製を改善することができる。
【0101】
本発明の一実施形態において、vRNA産生用のベクターは、転写終結配列に連結された改変NA DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に連結されたPB1 DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に連結されたPB2 DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に連結されたHA DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に連結されたNP DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に連結されたNA DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター転写終結配列に連結されたM DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクター、及び転写終結配列に連結されたNS DNAに動作可能で連結されたプロモーターを含むベクターを含むことができる。一実施形態において、PB1、PB2、PA、NP、M、及びNSのvRNA産生用のDNAは、MDCK細胞、Vero細胞、又はPER.C6(登録商標)等の培養哺乳類細胞又は発育卵等において高い力価で複製するインフルエンザウイルス由来の、及び/又は、例えば、ヒトに重大な疾患を引き起こさないワクチンウイルス由来の配列を有する。NAのvRNA産生のためのDNAは、何れかのNA、例えばN1~N11の何れか由来であり得、及びHAのvRNA産生のためのDNAは、何れかのHA、例えばH1~H18の何れか由来であり得る。一実施形態において、vRNA産生のためのDNAは、B型インフルエンザ又はC型インフルエンザのためである場合がある。NA及びHAのvRNA産生のためのDNAは、異なる系統若しくは単離株(6:1:1の再集合体)由来又は同じ系統若しくは単離株(6:2)であり得、又はNAは、内部遺伝子と同じ系統若しくは単離株(7:1再集合体)に由来し得る。mRNA産生用ベクターは、改変NAをコードするベクター、インフルエンザウイルスPAをコードするベクター、インフルエンザウイルスPB1をコードするベクター、インフルエンザウイルスPB2をコードするベクター、及びインフルエンザウイルスNPをコードするベクター、及び任意でNP、NS、M、例えばM1及びM2、HA又はNAをコードする1つ以上のベクターを含むことができる。ウイルスタンパク質をコードするベクターは、転写終結配列をさらに含み得る。
【0102】
他のPR8単離株又はワクチンウイルス由来の内部遺伝子を有する他の再集合体は、本発明の組換え再集合体ウイルスにおいて使用され得る。特に、UW-PR8 PB1、PB2、PA、NP、及びM(「5」)及びPR8(Cam)NS(「1」)を有する5:1:2再集合体;UW-PR8(改変) NA、PB1、PB2、PA、NP、及びM(「6」)及びPR8(Cam)NS(「1」)を有する6:1:1再集合体; 及びUW-PR8 PB1、PB2、PA、NP、及びM、(改変)NA、及びNS(「7」)を有する7:1再集合体が使用され得る。
【0103】
改変され得るノイラミニダーゼは、本明細書に記載されるものと異なる配列を有し得る。しかしながら、いくつかの場合において、改変ノイラミニダーゼは、本明細書における配列により記載される対応するポリペプチドと実質的に同じ活性を有し得る。本明細書で用いられる場合、「実質的に同じ活性」は、本明細書に記載の対応するタンパク質の約0.1%、1%、10%、30%、50%、90%、例えば最大100%以上の活性、又は約80%、90%以上のタンパク質レベルである検出可能なタンパク質レベルの活性が含まれる。一実施形態において、核酸は、本明細書に記載される配列の1つによりコードされるポリペプチドに対し、例えば、少なくとも80%、例えば、90%、92%、95%、97%、98%、又は99%(80~99の間の何れかの整数を含む)の連続したアミノ酸配列同一性を有するものと実質的に同じポリペプチドをコードする。一実施形態において、単離及び/又は精製された核酸分子は、本明細書に記載される核酸配列の1つに対し、例えば、少なくとも50%、例えば、60%、70%、80%又は90%(50~100の間の何れかの整数を含む)、又はより連続した核酸配列の同一性の実質的に同じ核酸配列を含む。一実施形態において、核酸はまた、本明細書に記載されるポリペプチドに対し、少なくとも80%、例えば90%、92%、95%、97%、98%、又は99%(80~99の間の何れかの整数を含む)の連続したアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする。
【0104】
一実施形態において、改変されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、1つ以上、例えば、保存的及び非保存的アミノ酸置換の組み合わせ、例えば、残基の最大10%又は20%の保存的置換、又は本明細書に記載の配列の1つを有するポリペプチドと比較しての2、5、10、15、20、又はそれ以上の保存的アミノ酸置換、例えば、2、5、10、15、20又はそれ以上の最大10%又は20%の保存的アミノ酸置換を有する。
【0105】
従って、本発明は、インフルエンザウイルスタンパク質を発現又はコードする、又はインフルエンザvRNA(天然及び組換えvRNAの両方)を発現又はコードする、単離及び精製されたベクター又はプラスミドの使用を含む。ベクターは、インフルエンザcDNA、例えば、A型インフルエンザ(例えば、何れかの18HA又は11NAサブタイプを含む何れかのA型インフルエンザ遺伝子)、B型又はC型DNA(Fields Virology (Fields et al. (eds.), Lippincott, Williams and Wickens (2006)参照、これは参照により本明細書に具体的に組み込まれる。)を含む。何れかの適切なプロモーター又は転写終結配列を使用して、タンパク質又はペプチド、例えばウイルスタンパク質又はペプチド、非ウイルス病原体のタンパク質又はペプチド、又は治療用タンパク質又はペプチドを発現させることができる。
【0106】
本発明の組成物又は複数のベクターはまた、目的遺伝子の異種遺伝子又はオープンリーディングフレーム、例えば、ワクチンとして又は遺伝子置換において有用な免疫原性ペプチド又はタンパク質をコードする外来遺伝子を含み得、例えば、癌治療又はワクチンに有用なエピトープ、又は遺伝子療法に有用なペプチド又はポリペプチドをコードし得る。ウイルスを調製する場合、目的の遺伝子又はcDNAを含むベクター又はプラスミドは、インフルエンザウイルス遺伝子のベクター又はプラスミドの代わりになり得るか、又は全てのインフルエンザウイルス遺伝子のベクター又はプラスミドに追加され得る。従って、本発明の他の実施形態は、ベクターの1つが、3’インフルエンザウイルスコード配列又はその一部を任意に含む3’インフルエンザウイルス配列に連結した、所望の核酸配列、例えば所望のcDNAに連結した、5’インフルエンザウイルスコード配列又はその一部を任意に含む5’インフルエンザウイルス配列で置換されるか、又はさらに含む上記組成物又は複数のベクターを含む。一実施形態において、cDNA等の所望の核酸配列は、アンチセンス(アンチゲノム)方向にある。そのようなベクターを上記の他のベクターとコンジュゲートさせ、インフルエンザウイルスの複製を許容する宿主細胞に導入すると、ベクターの異種配列に対応するvRNAを含む組換えウイルスが生じる。
【0107】
vRNA産生用のベクターのプロモーターは、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、又はT3プロモーターであり得、及び任意で、RNAポリメラーゼI転写終結配列、RNAポリメラーゼII転写終結配列、RNAポリメラーゼIII転写終結配列等の転写終結配列、又はリボザイムを含む。本発明の範囲内のリボザイムは、限定されないが、テトラヒメナリボザイム、RNase P、ハンマーヘッドリボザイム、ヘアピンリボザイム、肝炎リボザイム、並びに合成リボザイムを含む。一実施形態において、RNAポリメラーゼIプロモーターは、ヒトRNAポリメラーゼIプロモーターである。
【0108】
vRNA又はウイルスタンパク質発現ベクターのプロモーター又は転写終結配列は、プロモーター又は何れか他のベクターと比較して同じであっても異なってもよい。一実施形態において、インフルエンザvRNAを発現するベクター又はプラスミドは、少なくとも1つの特定の宿主細胞、例えば、鳥類細胞又はイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、又はヒト細胞を含む霊長類細胞における発現、又は1より多い宿主における発現に適したプロモーターを含む。
【0109】
一実施形態において、vRNAのための少なくとも1つのベクターは、他のリボザイム配列に連結され、任意にRNAポリメラーゼII転写終結配列に連結されたRNAポリメラーゼIIプロモーターを含む。一実施形態において、vRNA産生用の少なくとも2つ、例えば、3、4、5、6、7又は8個のベクターは、RNAポリメラーゼIIプロモーター、第1のリボザイム配列を含み、これは、ウイルスコード配列を含むウイルス配列に対応する配列の5’であり、第2のリボザイム配列の5’であり、転写終結配列の5’である。各vRNAベクターの各RNAポリメラーゼIIプロモーターは、他の何れかのvRNAベクターのRNAポリメラーゼIIプロモーターと同じであっても異なっていてもよい。同様に、各vRNAベクターの各リボザイム配列は、他の何れかのvRNAベクターのリボザイム配列と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、単一のベクター中のリボザイム配列は同一ではない。
【0110】
一実施形態において、本発明は、転写終結配列に連結された改変インフルエンザウイルスNA DNAに動作可能に連結されたプロモーターを含むvRNA産生用のベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスPA DNAに動作可能に連結されたプロモーターを含むvRNA産生用のベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスPB1 DNAに動作可能に連結されたプロモーターを含むvRNA産生用のベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスPB2 DNAに動作可能に連結されたプロモーターを含むvRNA産生用のベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスHA DNAに動作可能に連結されたプロモーターを含むvRNA産生用のベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスNP DNAに動作可能に連結されたプロモーターを含むvRNA産生用のベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスNA DNAに動作可能に連結されたプロモーターを含むvRNA産生用のベクター、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスM DNAに動作可能に連結されたプロモーターを含むvRNA産生用のベクター、及び転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスNS DNAに動作可能に連結されたプロモーターを含むvRNA産生用のベクターを含み、ここで、改変されたNA、PB1、PB2、PA、NP、NS、及びMのDNAが、1つ以上のインフルエンザワクチンシードウイルス由来であり、特定の位置に2つ以上の特徴的な残基を有する; 及びインフルエンザウイルスのNAをコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用のベクター、インフルエンザウイルスのPAをコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用のベクター、インフルエンザウイルスのPB1をコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用のベクター、インフルエンザウイルスのPB2をコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用のベクター、インフルエンザウイルスのNPをコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用のベクター、及び任意に、インフルエンザウイルスのHAをコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスのNAをコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスのM1をコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスのM2をコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、インフルエンザウイルスのNS1をコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクター、又はインフルエンザウイルスのNS2をコードするDNAセグメントに動作可能に連結されたプロモーターを含むmRNA産生用ベクターを含む、再集合体のための複数のインフルエンザウイルスベクターを提供する。一実施形態において、少なくとも1つのベクターは、PB1、PB2、PA、NP、M、又はNS、又はその一部をコードする配列に対応する配列尾含み、本明細書に記載の対応するポリペプチド又は本明細書に記載される核酸によってコードされる対応するポリペプチドと実質的に同一の活性を有する。任意に、2つのベクターは、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスのMのcDNAに動作可能に連結されたプロモーターを含むベクター、例えば、転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスのM1のcDNAに動作可能に連結されたプロモーターを含むベクター及び転写終結配列に連結されたインフルエンザウイルスのM2のcDNAに動作可能に連結されたプロモーターを含むベクターの代わりに用いられ得る。
【0111】
本発明の複数のベクターは、物理的に連結され得るか、又は各ベクターが、個々のプラスミド又はその他、例えば線形の核酸送達ビヒクル上に存在し得る。一実施形態において、各vRNA産生ベクターは、個々のプラスミド上に存在する。一実施形態において、各mRNA産生ベクターは、個々のプラスミド上にある。
【0112】
本発明はまた、インフルエンザウイルスを調製する方法を提供する。当該方法は、感染性インフルエンザウイルスを産生するために有効な量で、細胞を本発明の複数のベクターと、例えば、連続的又は同時に接触させることを含む。本発明はまた、複数のベクターと接触した細胞からウイルスを単離することを含む。従って、本発明は、単離されたウイルス並びに本発明の複数のベクター又はウイルスと接触させた宿主細胞をさらに提供する。他の実施形態において、本発明は、細胞を、vRNA又はタンパク質産生ベクターの何れかである他のベクターの前に、vRNA又はタンパク質産生ベクターに何れかである1つ以上のベクターと接触させることを含む。一実施形態において、当該方法で用いられるvRNAベクターのためのプロモーターは、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T3プロモーター又はT7プロモーターである。一実施形態において、RNAポリメラーゼIプロモーターは、ヒトRNAポリメラーゼIプロモーターである。一実施形態において、当該方法で用いられる各vRNAベクターは、個別のプラスミド上に存在する。一実施形態において、当該方法で用いられる各vRNAベクターは、1つのプラスミド上又は2つ若しくは3つの異なるプラスミド上に存在する。一実施形態において、当該方法で用いられるmRNAベクターは、個別のプラスミド上に存在する。一実施形態において、当該方法で用いられるPA、PB1、PB2及びNPのためのmRNAベクターは、1つのプラスミド上又は2つ若しくは3つの異なるプラスミド上に存在する。
【0113】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって理解されるだろう。
【実施例
【0114】
実施例1
マスターワクチン系統(PR8UW)のウイルス配列の例
HA
AGCAAAAGCAGGGGAAAATAAAAACAACCAAAATGAAGGCAAACCTACTGGTCCTGTTATGTGCACTTGCAGCTGCAGATGCAGACACAATATGTATAGGCTACCATGCGAACAATTCAACCGACACTGTTGACACAGTACTCGAGAAGAATGTGACAGTGACACACTCTGTTAACCTGCTCGAAGACAGCCACAACGGAAAACTATGTAGATTAAAAGGAATAGCCCCACTACAATTGGGGAAATGTAACATCGCCGGATGGCTCTTGGGAAACCCAGAATGCGACCCACTGCTTCCAGTGAGATCATGGTCCTACATTGTAGAAACACCAAACTCTGAGAATGGAATATGTTATCCAGGAGATTTCATCGACTATGAGGAGCTGAGGGAGCAATTGAGCTCAGTGTCATCATTCGAAAGATTCGAAATATTTCCCAAAGAAAGCTCATGGCCCAACCACAACACAAACGGAGTAACGGCAGCATGCTCCCATGAGGGGAAAAGCAGTTTTTACAGAAATTTGCTATGGCTGACGGAGAAGGAGGGCTCATACCCAAAGCTGAAAAATTCTTATGTGAACAAAAAAGGGAAAGAAGTCCTTGTACTGTGGGGTATTCATCACCCGCCTAACAGTAAGGAACAACAGAATCTCTATCAGAATGAAAATGCTTATGTCTCTGTAGTGACTTCAAATTATAACAGGAGATTTACCCCGGAAATAGCAGAAAGACCCAAAGTAAGAGATCAAGCTGGGAGGATGAACTATTACTGGACCTTGCTAAAACCCGGAGACACAATAATATTTGAGGCAAATGGAAATCTAATAGCACCAATGTATGCTTTCGCACTGAGTAGAGGCTTTGGGTCCGGCATCATCACCTCAAACGCATCAATGCATGAGTGTAACACGAAGTGTCAAACACCCCTGGGAGCTATAAACAGCAGTCTCCCTTACCAGAATATACACCCAGTCACAATAGGAGAGTGCCCAAAATACGTCAGGAGTGCCAAATTGAGGATGGTTACAGGACTAAGGAACATTCCGTCCATTCAATCCAGAGGTCTATTTGGAGCCATTGCCGGTTTTATTGAAGGGGGATGGACTGGAATGATAGATGGATGGTATGGTTATCATCATCAGAATGAACAGGGATCAGGCTATGCAGCGGATCAAAAAAGCACACAAAATGCCATTAACGGGATTACAAACAAGGTGAACACTGTTATCGAGAAAATGAACATTCAATTCACAGCTGTGGGTAAAGAATTCAACAAATTAGAAAAAAGGATGGAAAATTTAAATAAAAAAGTTGATGATGGATTTCTGGACATTTGGACATATAATGCAGAATTGTTAGTTCTACTGGAAAATGAAAGGACTCTGGATTTCCATGACTCAAATGTGAAGAATCTGTATGAGAAAGTAAAAAGCCAATTAAAGAATAATGCCAAAGAAATCGGAAATGGATGTTTTGAGTTCTACCACAAGTGTGACAATGAATGCATGGAAAGTGTAAGAAATGGGACTTATGATTATCCCAAATATTCAGAAGAGTCAAAGTTGAACAGGGAAAAGGTAGATGGAGTGAAATTGGAATCAATGGGGATCTATCAGATTCTGGCGATCTACTCAACTGTCGCCAGTTCACTGGTGCTTTTGGTCTCCCTGGGGGCAATCAGTTTCTGGATGTGTTCTAATGGATCTTTGCAGTGCAGAATATGCATCTGAGATTAGAATTTCAGAGATATGAGGAAAAACACCCTTGTTTCTACT (配列番号22)
【0115】
NA
AGCAAAAGCAGGGGTTTAAAATGAATCCAAATCAGAAAATAATAACCATTGGATCAATCTGTCTGGTAGTCGGACTAATTAGCCTAATATTGCAAATAGGGAATATAATCTCAATATGGATTAGCCATTCAATTCAAACTGGAAGTCAAAACCATACTGGAATATGCAACCAAAACATCATTACCTATAAAAATAGCACCTGGGTAAAGGACACAACTTCAGTGATATTAACCGGCAATTCATCTCTTTGTCCCATCCGTGGGTGGGCTATATACAGCAAAGACAATAGCATAAGAATTGGTTCCAAAGGAGACGTTTTTGTCATAAGAGAGCCCTTTATTTCATGTTCTCACTTGGAATGCAGGACCTTTTTTCTGACCCAAGGTGCCTTACTGAATGACAAGCATTCAAGTGGGACTGTTAAGGACAGAAGCCCTTATAGGGCCTTAATGAGCTGCCCTGTCGGTGAAGCTCCGTCCCCGTACAATTCAAGATTTGAATCGGTTGCTTGGTCAGCAAGTGCATGTCATGATGGCATGGGCTGGCTAACAATCGGAATTTCAGGTCCAGATAATGGAGCAGTGGCTGTATTAAAATACAACGGCATAATAACTGAAACCATAAAAAGTTGGAGGAAGAAAATATTGAGGACACAAGAGTCTGAATGTGCCTGTGTAAATGGTTCATGTTTTACTATAATGACTGATGGCCCGAGTGATGGGCTGGCCTCGTACAAAATTTTCAAGATCGAAAAGGGGAAGGTTACTAAATCAATAGAGTTGAATGCACCTAATTCTCACTATGAGGAATGTTCCTGTTACCCTGATACCGGCAAAGTGATGTGTGTGTGCAGAGACAATTGGCATGGTTCGAACCGGCCATGGGTGTCTTTCGATCAAAACCTGGATTATCAAATAGGATACATCTGCAGTGGGGTTTTCGGTGACAACCCGCGTCCCGAAGATGGAACAGGCAGCTGTGGTCCAGTGTATGTTGATGGAGCAAACGGAGTAAAGGGATTTTCATATAGGTATGGTAATGGTGTTTGGATAGGAAGGACCAAAAGTCACAGTTCCAGACATGGGTTTGAGATGATTTGGGATCCTAATGGATGGACAGAGACTGATAGTAAGTTCTCTGTGAGGCAAGATGTTGTGGCAATGACTGATTGGTCAGGGTATAGCGGAAGTTTCGTTCAACATCCTGAGCTGACAGGGCTAGACTGTATGAGGCCGTGCTTCTGGGTTGAATTAATCAGGGGACGACCTAAAGAAAAAACAATCTGGACTAGTGCGAGCAGCATTTCTTTTTGTGGCGTGAATAGTGATACTGTAGATTGGTCTTGGCCAGACGGTGCTGAGTTGCCATTCAGCATTGACAAGTAGTCTGTTCAAAAAACTCCTTGTTTCTACT (配列番号23)
【0116】
PA
AGCGAAAGCA GGTACTGATC CAAAATGGAA GATTTTGTGC GACAATGCTT CAATCCGATG ATTGTCGAGC TTGCGGAAAA AACAATGAAA GAGTATGGGG AGGACCTGAA AATCGAAACA AACAAATTTG CAGCAATATG CACTCACTTG GAAGTATGCT TCATGTATTC AGATTTTCAC TTCATCAATG AGCAAGGCGA GTCAATAATC GTAGAACTTG GTGATCCAAA TGCACTTTTG AAGCACAGAT TTGAAATAAT CGAGGGAAGA GATCGCACAA TGGCCTGGAC AGTAGTAAAC AGTATTTGCA ACACTACAGG GGCTGAGAAA CCAAAGTTTC TACCAGATTT GTATGATTAC AAGGAGAATA GATTCATCGA AATTGGAGTA ACAAGGAGAG AAGTTCACAT ATACTATCTG GAAAAGGCCA ATAAAATTAA ATCTGAGAAA ACACACATCC ACATTTTCTC GTTCACTGGG GAAGAAATGG CCACAAAGGC AGACTACACT CTCGATGAAG AAAGCAGGGC TAGGATCAAA ACCAGACTAT TCACCATAAG ACAAGAAATG GCCAGCAGAG GCCTCTGGGA TTCCTTTCGT CAGTCCGAGA GAGGAGAAGA GACAATTGAA GAAAGGTTTG AAATCACAGG AACAATGCGC AAGCTTGCCG ACCAAAGTCT CCCGCCGAAC TTCTCCAGCC TTGAAAATTT TAGAGCCTAT GTGGATGGAT TCGAACCGAA CGGCTACATT GAGGGCAAGC TGTCTCAAAT GTCCAAAGAA GTAAATGCTA GAATTGAACC TTTTTTGAAA ACAACACCAC GACCACTTAG ACTTCCGAAT GGGCCTCCCT GTTCTCAGCG GTCCAAATTC CTGCTGATGG ATGCCTTAAA ATTAAGCATT GAGGACCCAA GTCATGAAGG AGAGGGAATA CCGCTATATG ATGCAATCAA ATGCATGAGA ACATTCTTTG GATGGAAGGA ACCCAATGTT GTTAAACCAC ACGAAAAGGG AATAAATCCA AATTATCTTC TGTCATGGAA GCAAGTACTG GCAGAACTGC AGGACATTGA GAATGAGGAG AAAATTCCAA AGACTAAAAA TATGAAGAAA ACAAGTCAGC TAAAGTGGGC ACTTGGTGAG AACATGGCAC CAGAAAAGGT AGACTTTGAC GACTGTAAAG ATGTAGGTGA TTTGAAGCAA TATGATAGTG ATGAACCAGA ATTGAGGTCG CTTGCAAGTT GGATTCAGAA TGAGTTTAAC AAGGCATGCG AACTGACAGA TTCAAGCTGG ATAGAGCTCG ATGAGATTGG AGAAGATGTG GCTCCAATTG AACACATTGC AAGCATGAGA AGGAATTATT TCACATCAGA GGTGTCTCAC TGCAGAGCCA CAGAATACAT AATGAAGGGA GTGTACATCA ATACTGCCTT GCTTAATGCA TCTTGTGCAG CAATGGATGA TTTCCAATTA ATTCCAATGA TAAGCAAGTG TAGAACTAAG GAGGGAAGGC GAAAGACCAA CTTGTATGGT TTCATCATAA AAGGAAGATC CCACTTAAGG AATGACACCG ACGTGGTAAA CTTTGTGAGC ATGGAGTTTT CTCTCACTGA CCCAAGACTT GAACCACATA AATGGGAGAA GTACTGTGTT CTTGAGATAG GAGATATGCT TATAAGAAGT GCCATAGGCC AGGTTTCAAG GCCCATGTTC TTGTATGTGA GAACAAATGG AACCTCAAAA ATTAAAATGA AATGGGGAAT GGAGATGAGG CGTTGCCTCC TCCAGTCACT TCAACAAATT GAGAGTATGA TTGAAGCTGA GTCCTCTGTC AAAGAGAAAG ACATGACCAA AGAGTTCTTT GAGAACAAAT CAGAAACATG GCCCATTGGA GAGTCCCCCA AAGGAGTGGA GGAAAGTTCC ATTGGGAAGG TCTGCAGGAC TTTATTAGCA AAGTCGGTAT TCAACAGCTT GTATGCATCT CCACAACTAG AAGGATTTTC AGCTGAATCA AGAAAACTGC TTCTTATCGT TCAGGCTCTT AGGGACAACC TGGAACCTGG GACCTTTGAT CTTGGGGGGC TATATGAAGC AATTGAGGAG TGCCTGATTA ATGATCCCTG GGTTTTGCTT AATGCTTCTT GGTTCAACTC CTTCCTTACA CATGCATTGA GTTAGTTGTG GCAGTGCTAC TATTTGCTAT CCATACTGTC CAAAAAAGTA CCTTGTTTCT ACT (配列番号24)
【0117】
PB1
AGCGAAAGCAGGCAAACCATTTGAATGGATGTCAATCCGACCTTACTTTTCTTAAAAGTGCCAGCACAAAATGCTATAAGCACAACTTTCCCTTATACTGGAGACCCTCCTTACAGCCATGGGACAGGAACAGGATACACCATGGATACTGTCAACAGGACACATCAGTACTCAGAAAAGGGAAGATGGACAACAAACACCGAAACTGGAGCACCGCAACTCAACCCGATTGATGGGCCACTGCCAGAAGACAATGAACCAAGTGGTTATGCCCAAACAGATTGTGTATTGGAGGCGATGGCTTTCCTTGAGGAATCCCATCCTGGTATTTTTGAAAACTCGTGTATTGAAACGATGGAGGTTGTTCAGCAAACACGAGTAGACAAGCTGACACAAGGCCGACAGACCTATGACTGGACTCTAAATAGAAACCAACCTGCTGCAACAGCATTGGCCAACACAATAGAAGTGTTCAGATCAAATGGCCTCACGGCCAATGAGTCTGGAAGGCTCATAGACTTCCTTAAGGATGTAATGGAGTCAATGAACAAAGAAGAAATGGGGATCACAACTCATTTTCAGAGAAAGAGACGGGTGAGAGACAATATGACTAAGAAAATGATAACACAGAGAACAATGGGTAAAAAGAAGCAGAGATTGAACAAAAGGAGTTATCTAATTAGAGCATTGACCCTGAACACAATGACCAAAGATGCTGAGAGAGGGAAGCTAAAACGGAGAGCAATTGCAACCCCAGGGATGCAAATAAGGGGGTTTGTATACTTTGTTGAGACACTGGCAAGGAGTATATGTGAGAAACTTGAACAATCAGGGTTGCCAGTTGGAGGCAATGAGAAGAAAGCAAAGTTGGCAAATGTTGTAAGGAAGATGATGACCAATTCTCAGGACACCGAACTTTCTTTCACCATCACTGGAGATAACACCAAATGGAACGAAAATCAGAATCCTCGGATGTTTTTGGCCATGATCACATATATGACCAGAAATCAGCCCGAATGGTTCAGAAATGTTCTAAGTATTGCTCCAATAATGTTCTCAAACAAAATGGCGAGACTGGGAAAAGGGTATATGTTTGAGAGCAAGAGTATGAAACTTAGAACTCAAATACCTGCAGAAATGCTAGCAAGCATCGATTTGAAATATTTCAATGATTCAACAAGAAAGAAGATTGAAAAAATCCGACCGCTCTTAATAGAGGGGACTGCATCATTGAGCCCTGGAATGATGATGGGCATGTTCAATATGTTAAGCACTGTATTAGGCGTCTCCATCCTGAATCTTGGACAAAAGAGATACACCAAGACTACTTACTGGTGGGATGGTCTTCAATCCTCTGACGATTTTGCTCTGATTGTGAATGCACCCAATCATGAAGGGATTCAAGCCGGAGTCGACAGGTTTTATCGAACCTGTAAGCTACTTGGAATCAATATGAGCAAGAAAAAGTCTTACATAAACAGAACAGGTACATTTGAATTCACAAGTTTTTTCTATCGTTATGGGTTTGTTGCCAATTTCAGCATGGAGCTTCCCAGTTTTGGGGTGTCTGGGATCAACGAGTCAGCGGACATGAGTATTGGAGTTACTGTCATCAAAAACAATATGATAAACAATGATCTTGGTCCAGCAACAGCTCAAATGGCCCTTCAGTTGTTCATCAAAGATTACAGGTACACGTACCGATGCCATATAGGTGACACACAAATACAAACCCGAAGATCATTTGAAATAAAGAAACTGTGGGAGCAAACCCGTTCCAAAGCTGGACTGCTGGTCTCCGACGGAGGCCCAAATTTATACAACATTAGAAATCTCCACATTCCTGAAGTCTGCCTAAAATGGGAATTGATGGATGAGGATTACCAGGGGCGTTTATGCAACCCACTGAACCCATTTGTCAGCCATAAAGAAATTGAATCAATGAACAATGCAGTGATGATGCCAGCACATGGTCCAGCCAAAAACATGGAGTATGATGCTGTTGCAACAACACACTCCTGGATCCCCAAAAGAAATCGATCCATCTTGAATACAAGTCAAAGAGGAGTACTTGAGGATGAACAAATGTACCAAAGGTGCTGCAATTTATTTGAAAAATTCTTCCCCAGCAGTTCATACAGAAGACCAGTCGGGATATCCAGTATGGTGGAGGCTATGGTTTCCAGAGCCCGAATTGATGCACGGATTGATTTCGAATCTGGAAGGATAAAGAAAGAAGAGTTCACTGAGATCATGAAGATCTGTTCCACCATTGAAGAGCTCAGACGGCAAAAATAGTGAATTTAGCTTGTCCTTCATGAAAAAATGCCTTGTTTCTACT (配列番号25)
【0118】
PB2
AGCGAAAGCA GGTCAATTAT ATTCAATATG GAAAGAATAA AAGAACTACG AAATCTAATG TCGCAGTCTC GCACCCGCGA GATACTCACA AAAACCACCG TGGACCATAT GGCCATAATC AAGAAGTACA CATCAGGAAG ACAGGAGAAG AACCCAGCAC TTAGGATGAA ATGGATGATG GCAATGAAAT ATCCAATTAC AGCAGACAAG AGGATAACGG AAATGATTCC TGAGAGAAAT GAGCAAGGAC AAACTTTATG GAGTAAAATG AATGATGCCG GATCAGACCG AGTGATGGTA TCACCTCTGG CTGTGACATG GTGGAATAGG AATGGACCAA TAACAAATAC AGTTCATTAT CCAAAAATCT ACAAAACTTA TTTTGAAAGA GTCGAAAGGC TAAAGCATGG AACCTTTGGC CCTGTCCATT TTAGAAACCA AGTCAAAATA CGTCGGAGAG TTGACATAAA TCCTGGTCAT GCAGATCTCA GTGCCAAGGA GGCACAGGAT GTAATCATGG AAGTTGTTTT CCCTAACGAA GTGGGAGCCA GGATACTAAC ATCGGAATCG CAACTAACGA TAACCAAAGA GAAGAAAGAA GAACTCCAGG ATTGCAAAAT TTCTCCTTTG ATGGTTGCAT ACATGTTGGA GAGAGAACTG GTCCGCAAAA CGAGATTCCT CCCAGTGGCT GGTGGAACAA GCAGTGTGTA CATTGAAGTG TTGCATTTGA CTCAAGGAAC ATGCTGGGAA CAGATGTATA CTCCAGGAGG GGAAGTGAGG AATGATGATG TTGATCAAAG CTTGATTATT GCTGCTAGGA ACATAGTGAG AAGAGCTGCA GTATCAGCAG ATCCACTAGC ATCTTTATTG GAGATGTGCC ACAGCACACA GATTGGTGGA ATTAGGATGG TAGACATCCT TAGGCAGAAC CCAACAGAAG AGCAAGCCGT GGATATATGC AAGGCTGCAA TGGGACTGAG AATTAGCTCA TCCTTCAGTT TTGGTGGATT CACATTTAAG AGAACAAGCG GATCATCAGT CAAGAGAGAG GAAGAGGTGC TTACGGGCAA TCTTCAAACA TTGAAGATAA GAGTGCATGA GGGATATGAA GAGTTCACAA TGGTTGGGAG AAGAGCAACA GCCATACTCA GAAAAGCAAC CAGGAGATTG ATTCAGCTGA TAGTGAGTGG GAGAGACGAA CAGTCGATTG CCGAAGCAAT AATTGTGGCC ATGGTATTTT CACAAGAGGA TTGTATGATA AAAGCAGTCA GAGGTGATCT GAATTTCGTC AATAGGGCGA ATCAACGATT GAATCCTATG CATCAACTTT TAAGACATTT TCAGAAGGAT GCGAAAGTGC TTTTTCAAAA TTGGGGAGTT GAACCTATCG ACAATGTGAT GGGAATGATT GGGATATTGC CCGACATGAC TCCAAGCATC GAGATGTCAA TGAGAGGAGT GAGAATCAGC AAAATGGGTG TAGATGAGTA CTCCAGCACG GAGAGGGTAG TGGTGAGCAT TGACCGTTTT TTGAGAATCC GGGACCAACG AGGAAATGTA CTACTGTCTC CCGAGGAGGT CAGTGAAACA CAGGGAACAG AGAAACTGAC AATAACTTAC TCATCGTCAA TGATGTGGGA GATTAATGGT CCTGAATCAG TGTTGGTCAA TACCTATCAA TGGATCATCA GAAACTGGGA AACTGTTAAA ATTCAGTGGT CCCAGAACCC TACAATGCTA TACAATAAAA TGGAATTTGA ACCATTTCAG TCTTTAGTAC CTAAGGCCAT TAGAGGCCAA TACAGTGGGT TTGTAAGAAC TCTGTTCCAA CAAATGAGGG ATGTGCTTGG GACATTTGAT ACCGCACAGA TAATAAAACT TCTTCCCTTC GCAGCCGCTC CACCAAAGCA AAGTAGAATG CAGTTCTCCT CATTTACTGT GAATGTGAGG GGATCAGGAA TGAGAATACT TGTAAGGGGC AATTCTCCTG TATTCAACTA TAACAAGGCC ACGAAGAGAC TCACAGTTCT CGGAAAGGAT GCTGGCACTT TAACTGAAGA CCCAGATGAA GGCACAGCTG GAGTGGAGTC CGCTGTTCTG AGGGGATTCC TCATTCTGGG CAAAGAAGAC AAGAGATATG GGCCAGCACT AAGCATCAAT GAACTGAGCA ACCTTGCGAA AGGAGAGAAG GCTAATGTGC TAATTGGGCA AGGAGACGTG GTGTTGGTAA TGAAACGGAA ACGGGACTCT AGCATACTTA CTGACAGCCA GACAGCGACC AAAAGAATTC GGATGGCCAT CAATTAGTGT CGAATAGTTT AAAAACGACC TTGTTTCTAC T (配列番号26)
【0119】
NP
AGCAAAAGCA GGGTAGATAA TCACTCACTG AGTGACATCA AAATCATGGC GTCTCAAGGC ACCAAACGAT CTTACGAACA GATGGAGACT GATGGAGAAC GCCAGAATGC CACTGAAATC AGAGCATCCG TCGGAAAAAT GATTGGTGGA ATTGGACGAT TCTACATCCA AATGTGCACC GAACTCAAAC TCAGTGATTA TGAGGGACGG TTGATCCAAA ACAGCTTAAC AATAGAGAGA ATGGTGCTCT CTGCTTTTGA CGAAAGGAGA AATAAATACC TTGAAGAACA TCCCAGTGCG GGGAAAGATC CTAAGAAAAC TGGAGGACCT ATATACAGGA GAGTAAACGG AAAGTGGATG AGAGAACTCA TCCTTTATGA CAAAGAAGAA ATAAGGCGAA TCTGGCGCCA AGCTAATAAT GGTGACGATG CAACGGCTGG TCTGACTCAC ATGATGATCT GGCATTCCAA TTTGAATGAT GCAACTTATC AGAGGACAAG AGCTCTTGTT CGCACCGGAA TGGATCCCAG GATGTGCTCT CTGATGCAAG GTTCAACTCT CCCTAGGAGG TCTGGAGCCG CAGGTGCTGC AGTCAAAGGA GTTGGAACAA TGGTGATGGA ATTGGTCAGA ATGATCAAAC GTGGGATCAA TGATCGGAAC TTCTGGAGGG GTGAGAATGG ACGAAAAACA AGAATTGCTT ATGAAAGAAT GTGCAACATT CTCAAAGGGA AATTTCAAAC TGCTGCACAA AAAGCAATGA TGGATCAAGT GAGAGAGAGC CGGAACCCAG GGAATGCTGA GTTCGAAGAT CTCACTTTTC TAGCACGGTC TGCACTCATA TTGAGAGGGT CGGTTGCTCA CAAGTCCTGC CTGCCTGCCT GTGTGTATGG ACCTGCCGTA GCCAGTGGGT ACGACTTTGA AAGGGAGGGA TACTCTCTAG TCGGAATAGA CCCTTTCAGA CTGCTTCAAA ACAGCCAAGT GTACAGCCTA ATCAGACCAA ATGAGAATCC AGCACACAAG AGTCAACTGG TGTGGATGGC ATGCCATTCT GCCGCATTTG AAGATCTAAG AGTATTAAGC TTCATCAAAG GGACGAAGGT GCTCCCAAGA GGGAAGCTTT CCACTAGAGG AGTTCAAATT GCTTCCAATG AAAATATGGA GACTATGGAA TCAAGTACAC TTGAACTGAG AAGCAGGTAC TGGGCCATAA GGACCAGAAG TGGAGGAAAC ACCAATCAAC AGAGGGCATC TGCGGGCCAA ATCAGCATAC AACCTACGTT CTCAGTACAG AGAAATCTCC CTTTTGACAG AACAACCATT ATGGCAGCAT TCAATGGGAA TACAGAGGGG AGAACATCTG ACATGAGGAC CGAAATCATA AGGATGATGG AAAGTGCAAG ACCAGAAGAT GTGTCTTTCC AGGGGCGGGG AGTCTTCGAG CTCTCGGACG AAAAGGCAGC GAGCCCGATC GTGCCTTCCT TTGACATGAG TAATGAAGGA TCTTATTTCT TCGGAGACAA TGCAGAGGAG TACGACAATT AAAGAAAAAT ACCCTTGTTT CTACT (配列番号27)
【0120】

AGCAAAAGCA GGTAGATATT GAAAGATGAG TCTTCTAACC GAGGTCGAAA CGTACGTACT CTCTATCATC CCGTCAGGCC CCCTCAAAGC CGAGATCGCA CAGAGACTTG AAGATGTCTT TGCAGGGAAG AACACCGATC TTGAGGTTCT CATGGAATGG CTAAAGACAA GACCAATCCT GTCACCTCTG ACTAAGGGGA TTTTAGGATT TGTGTTCACG CTCACCGTGC CCAGTGAGCG AGGACTGCAG CGTAGACGCT TTGTCCAAAA TGCCCTTAAT GGGAACGGGG ATCCAAATAA CATGGACAAA GCAGTTAAAC TGTATAGGAA GCTCAAGAGG GAGATAACAT TCCATGGGGC CAAAGAAATC TCACTCAGTT ATTCTGCTGG TGCACTTGCC AGTTGTATGG GCCTCATATA CAACAGGATG GGGGCTGTGA CCACTGAAGT GGCATTTGGC CTGGTATGTG CAACCTGTGA ACAGATTGCT GACTCCCAGC ATCGGTCTCA TAGGCAAATG GTGACAACAA CCAATCCACT AATCAGACAT GAGAACAGAA TGGTTTTAGC CAGCACTACA GCTAAGGCTA TGGAGCAAAT GGCTGGATCG AGTGAGCAAG CAGCAGAGGC CATGGAGGTT GCTAGTCAGG CTAGACAAAT GGTGCAAGCG ATGAGAACCA TTGGGACTCA TCCTAGCTCC AGTGCTGGTC TGAAAAATGA TCTTCTTGAA AATTTGCAGG CCTATCAGAA ACGAATGGGG GTGCAGATGC AACGGTTCAA GTGATCCTCT CACTATTGCC GCAAATATCA TTGGGATCTT GCACTTGACA TTGTGGATTC TTGATCGTCT TTTTTTCAAA TGCATTTACC GTCGCTTTAA ATACGGACTG AAAGGAGGGC CTTCTACGGA AGGAGTGCCA AAGTCTATGA GGGAAGAATA TCGAAAGGAA CAGCAGAGTG CTGTGGATGC TGACGATGGT CATTTTGTCA GCATAGAGCT GGAGTAAAAA ACTACCTTGT TTCTACT (配列番号28)
【0121】
NS
AGCAAAAGCA GGGTGACAAA AACATAATGG ATCCAAACAC TGTGTCAAGC TTTCAGGTAG ATTGCTTTCT TTGGCATGTC CGCAAACGAG TTGCAGACCA AGAACTAGGC GATGCCCCAT TCCTTGATCG GCTTCGCCGA GATCAGAAAT CCCTAAGAGG AAGGGGCAGT ACTCTCGGTC TGGACATCAA GACAGCCACA CGTGCTGGAA AGCAGATAGT GGAGCGGATT CTGAAAGAAG AATCCGATGA GGCACTTAAA ATGACCATGG CCTCTGTACC TGCGTCGCGT TACCTAACTG ACATGACTCT TGAGGAAATG TCAAGGGACT GGTCCATGCT CATACCCAAG CAGAAAGTGG CAGGCCCTCT TTGTATCAGA ATGGACCAGG CGATCATGGA TAAGAACATC ATACTGAAAG CGAACTTCAG TGTGATTTTT GACCGGCTGG AGACTCTAAT ATTGCTAAGG GCTTTCACCG AAGAGGGAGC AATTGTTGGC GAAATTTCAC CATTGCCTTC TCTTCCAGGA CATACTGCTG AGGATGTCAA AAATGCAGTT GGAGTCCTCA TCGGAGGACT TGAATGGAAT GATAACACAG TTCGAGTCTC TGAAACTCTA CAGAGATTCG CTTGGAGAAG CAGTAATGAG AATGGGAGAC CTCCACTCAC TCCAAAACAG AAACGAGAAA TGGCGGGAAC AATTAGGTCA GAAGTTTGAA GAAATAAGAT GGTTGATTGA AGAAGTGAGA CACAAACTGA AGATAACAGA GAATAGTTTT GAGCAAATAA CATTTATGCA AGCCTTACAT CTATTGCTTG AAGTGGAGCA AGAGATAAGA ACTTTCTCGT TTCAGCTTAT TTAGTACTAA AAAACACCCT TGTTTCTACT (配列番号29)
【0122】
実施例2
ノイラミニダーゼの改変
材料
ウイルス: Y2017: A/Yokohama/2017/2003 (H3N2)
HK4801: A/Hong Kong/4801/2014(H3N2)
Y2017-M3L4: Y2017 卵において7回継代
HY-PR8:高収量(high yield)PR8 (H1N1)
【0123】
結果
Y2017ウイルスは、卵において7回継代された(羊膜腔で3回、その後尿膜腔で4回)。子孫ウイルスであるY2017-M3L4は、尿膜腔で効率的に増殖したが(10~約10 PFU/mL)、元のY2017ウイルスは全く増殖しなかった(<10 PFU/mL)。
【0124】
Y2017-M3L4ウイルスで観察された突然変異は、以下の通りである。
【表5】
【0125】
尿膜腔液における逆遺伝学によって生成された突然変異体Y2017ウイルスの増殖能力を比較し、NA突然変異が、Y2017-M3L4ウイルスの高い増殖の原因であることが明らかになった(図4)。PB2-T147Iを含むプラスミドウイルスをウイルス生成に使用した(PB2-T147I、V344L及びPB2-T147I、V344L、E358Kは、分析に用いなかった)。突然変異NAセグメントを有するウイルスのHA遺伝子及び尿膜腔液での複製後に野生型Y2017由来の他の遺伝子に突然変異が見られなかった(図4)。
【0126】
図5は、3DモデルのY2017-M3L4におけるNA突然変異の位置を示す。
【0127】
Y2017ウイルスとNA突然変異の増殖能力を比較すると、NA-D147N、N329D、及びH347Qが、尿膜腔液における増殖能力の増加に一般的に寄与していることが明らかになった(図6)。
【0128】
Y2017-M3L4のNAにより、HK4801HAを有するウイルスが、尿膜腔で効率的に複製され、HY-PR8バックボーンが、このウイルスの増殖をさらに増強した(図7)。
【0129】
要約すると、本明細書に記載されるものは、卵の成長中にインフルエンザのヘマグルチニン(HA)タンパク質における抗原性を損なう突然変異の獲得を阻害(例えば、防止)し、及び/又は複製の増強を可能にするインフルエンザウイルスの突然変異である。一実施形態において、突然変異は、ヒトインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)ウイルスセグメント内にあり、突然変異NAタンパク質は、卵の継代中のHAタンパク質を安定化させる。従って、突然変異NAタンパク質の存在下では、HAタンパク質は、卵に適応する突然変異を獲得しない。いくつかの場合において、NAにおけるそれぞれの突然変異はまた、ワクチンウイルスの収量を増やすことが可能である。
【0130】
実施例3
NA突然変異ウイルスの増殖能力の分析により、NA-D147N、N329D、及びH347Qが、尿膜腔液中のウイルスの増殖能力の増加に寄与していることが明らかになった(図12)。尿膜腔で3回継代した後、HK4801HA、Y2017-M3L4NA、及びHY-PR8バックボーン(図3)を有するウイルスにおいてHA突然変異は、観察されなかった。
【0131】
卵にHK4801NA(T148K及び飽和突然変異N329X及びH347X)及びHK4801HAを有するHY-PR8バックボーンウイルスを継代することによって、尿膜腔で効率的に複製されるHK4801NAを有するウイルスが出現した(図14; 4M=T148K、D151E、H347G、及びT369K)。卵の継代中(羊膜腔で1回、その後尿膜腔で5回)にHA突然変異は観察されなかった。
【0132】
HK4801NA(T148K、D151E、H347G、及びT369K)は、尿膜腔における効率的な複製を、HK4801NA又はSingapore0019HAの何れかを有するHY-PR8バックボーンウイルスに付与した。ウイルス摂取: 尿膜腔液での2×10pfu/卵、37℃、72時間インキュベーション(図16)。
【0133】
Singapore0019のHAコード核酸配列及びNAコード核酸及びアミノ酸配列を以下に示す。
【0134】
A/Singapore/INFINH-16-0019/2016(H3N2) HA
atgaagactatcattgctttgagctacattctatgtctggttttcgctcaaaaaattcctggaaatgacaatagcacggcaacgctgtgccttgggcaccatgcagtaccaaacggaacgatagtgaaaacaatcacaaatgaccgaattgaagttactaatgctactgagttggttcagaattcctcaataggtgaaatatgcgacagtcctcatcagatccttgatggagagaactgcacactaatagatgctctattgggagaccctcagtgtgatggctttcaaaataagaaatgggacctttttgttgaacgaagcaaagcctacagcaactgttacccttatgatgtgccggattatgcctcccttaggtcactagttgcctcatccggcacactggagtttaaaaatgaaagcttcaattggactggagtcactcaaaacggaacaagttctgcttgcataaggggatctagtagtagtttctttagtagattaaattggttgacccacttaaactacacatatccagcattgaacgtgactatgccaaacaaggaacaatttgacaaattgtacatttggggggttcaccacccgggtacggacaaggaccaaatcttcctgtatgctcaatcatcaggaagaatcacagtatctaccaaaagaagccaacaagctgtaatcccaaatatcggatctagacccagaataagggatatccctagcagaataagcatctattggacaatagtaaaaccgggagacatacttttgattaacagcacagggaatctaattgctcctaggggttacttcaaaatacgaagtgggaaaagctcaataatgagatcagatgcacccattggcaaatgcaagtctgaatgcatcactccaaatggaagcattcccaatgacaaaccattccaaaatgtaaacaggatcacatacggggcctgtcccagatatgttaagcatagcactctgaaattggcaacaggaatgcgaaatgtaccagagaaacaaactagaggcatatttggcgcaatagcgggtttcatagaaaatggttgggagggaatggtggatggttggtacggtttcaggcatcaaaattctgagggaagaggacaagcagcagatctcaaaagcactcaagcagcaatcgatcaaatcaatgggaagctgaataggttgatcggaaaaaccaacgagaaattccatcagattgaaaaagaattctcagaagtagaaggaagagttcaagaccttgagaaatatgttgaggacactaaaatagatctctggtcatacaacgcggagcttcttgttgccctggagaaccaacatacaattgatctaactgactcagaaatgaacaaactgtttgaaaaaacaaagaagcaactgagggaaaatgctgaggatatgggaaatggttgtttcaaaatataccacaaatgtgacaatgcctgcatagaatcaataagaaatgaaacttatgaccacaatgtgtacagggatgaagcattgaacaaccggttccagatcaagggagttgagctgaagtcaggatacaaagattggatcctatggatttcctttgccatatcatgttttttgctttgtgttgctttgttggggttcatcatgtgggcctgccaaaagggcaacattagatgcaacatttgcatttga (配列番号46)
【0135】
A/Singapore/INFINH-16-0019/2016(H3N2) NA
atgaatccaaatcaaaagataataacgattggctctgtttctctcaccatttccacaatatgcttcttcatgcaaattgccatcctgataactactgtaacattgcatttcaagcaatatgaattcaactcccccccaaacaaccaagtgatgctgtgtgaaccaacaataatagaaagaaacataacagagatagtgtatttgaccaacaccaccatagagaaggaaatatgccccaaaccagcagaatacagaaattggtcaaaaccgcaatgtggcattacaggatttgcacctttctctaaggacaattcgattaggctttccgctggtggggacatctgggtgacaagagaaccttatgtgtcatgcgatcctgacaagtgttatcaatttgcccttggacagggaacaacactaaacaacgtgcattcaaataacacagtacgtgataggaccccttatcggactctattgatgaatgagttgggtgttcctttccatctggggaccaagcaagtgtgcatagcatggtccagctcaagttgtcacgatggaaaagcatggctgcatgtttgtataacgggggatgataaaaatgcaactgctagcttcatttacaatgggaggcttatagatagtgttgtttcatggtccaaagatattctcaggacccaggagtcagaatgcgtttgtatcaatggaacttgtacagtagtaatgactgatggaaatgctacaggaaaagctgatactaaaatactattcattgaggaggggaaaatcgttcatactagcaaattgtcaggaagtgctcagcatgtcgaagagtgctcttgctatcctcgatatcctggtgtcagatgtgtctgcagagacaactggaaaggatccaaccggcccatcgtagatataaacataaaggatcatagcattgtttccagttatgtgtgttcaggacttgttggagacacacccagaaaaaacgacagctccagcagtagccattgtttgaatcctaacaatgaagaaggtggtcatggagtgaaaggctgggcctttgatgatggaaatgacgtgtggatggggagaacaatcaacgagacgtcacgcttagggtatgaaaccttcaaagtcgttgaaggctggtccaaccctaagtccaaattgcagataaataggcaagtcatagttgacagaggtgataggtccggttattctggtattttctctgttgaaggcaaaagctgcatcaatcggtgcttttatgtggagttgattaggggaagaaaagaggaaactgaagtcttgtggacctcaaacagtattgttgtgttttgtggcacctcaggtacatatggaacaggctcatggcctgatggggcggacctcaatctcatgcatatataa (配列番号47)
これは、以下をコードする
M N P N Q K I I T I G S V S L T I S T I C F F M Q I A I L I T T V T L H F K Q Y E F N S P P N N Q V M L C E P T I I E R N I T E I V Y L T N T T I E K E I C P K P A E Y R N W S K P Q C G I T G F A P F S K D N S I R L S A G G D I W V T R E P Y V S C D P D K C Y Q F A L G Q G T T L N N V H S N N T V R D R T P Y R T L L M N E L G V P F H L G T K Q V C I A W S S S S C H D G K A W L H V C I T G D D K N A T A S F I Y N G R L I D S V V S W S K D I L R T Q E S E C V C I N G T C T V V M T D G N A T G K A D T K I L F I E E G K I V H T S K L S G S A Q H V E E C S C Y P R Y P G V R C V C R D N W K G S N R P I V D I N I K D H S I V S S Y V C S G L V G D T P R K N D S S S S S H C L N P N N E E G G H G V K G W A F D D G N D V W M G R T I N E T S R L G Y E T F K V V E G W S N P K S K L Q I N R Q V I V D R G D R S G Y S G I F S V E G K S C I N R C F Y V E L I R G R K E E T E V L W T S N S I V V F C G T S G T Y G T G S W P D G A D L N L M H I (配列番号48)。
【0136】
NA突然変異T153N、N329T、及びT369Kにより、A/Saitama/102/2014(H3N2)が、尿膜腔で効率的に複製できるようになった(Kuwahara et al., 2018)。従って、NA-T153N、N329T(又はD)、T369K、及びH347QをHK4801NA(T148K)に導入する効果を調べた。図18は、スクリーニングで同定されたNA残基の様々な組み合わせのウイルス力価を示す。図19及び20は、選択したNA残基の異なる組み合わせを有するウイルスのウイルス力価を示す。
【0137】
実施例4
Alaska/232/2015_HY-PR8(H3N2)WT/突然変異ウイルスは、卵で継代され、HA及びNAセグメントの配列が決定された。Alaska WT(2015年より前にWTが245Nである近年のH3N2ウイルスは、245Sであった)、HA-R142S、-K189Eウイルスは、3回の羊膜及び10回の尿膜での継代後でもHAに突然変異を生じなかった。HA-K189E/N158K/A212T突然変異は、HAに突然変異を有しなかったが、NAにいくつかの突然変異があり、p6以降卵の成長が改善された(図21)。p4(正常な成長)(NA-N245S突然変異、ウイルスは、NA-245Nよりも1000倍以上成長する)及びp6(良好な成長)の間のNA突然変異の違いは、G346Vであった(図22)。従って、G346Vも卵への適応に貢献する可能性がある。
【0138】
A/Alaska/232/2015のNAの配列を以下に示す。
【表6】
【0139】
NA pHH21プラスミドが構築された: Alaska NA-T148K/D151E/N245S (E4に見られる); Alaska NA-G346V; 及びAlaska NA-T148K/D151E/N245S/G346V (E6に見られる)。突然変異NAは、WT Alaska HA又はHY-PR8バックボーンと組み合わされた。卵に同じ用量のWT/突然変異Alaskaウイルスを接種し、回収したウイルスを滴定した(図23)。NA-T148K/D151E/N245S/G346V突然変異ウイルスは、WTよりも力価が向上したが、単一の突然変異G346Vは、WTと比較してウイルスの増殖を増加させなかった。これらの結果は、G346Vと他の1つ(又は2つ~3つ)の突然変異、例えばT148K、D151E及びN245S等の3つの突然変異の組み合わせが、ウイルスAlaskaウイルスが卵中で効率的に増殖するために重要である可能性を示唆する。高い力価を有する回収されたウイルスサンプル(>5Log10 PFT/mL)の配列を決定したが、HA及びNAにさらなる突然変異はなかった。
【0140】
参考文献
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【0141】
全ての出版物、特許及び特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。前述の明細書においては、本発明をその特定の好ましい実施形態に関連させて説明し、例示の目的で多くの詳細を示してきた。これは、本発明にさらなる実施形態が加えられ得ること、及び本明細書に記載される特定の詳細な説明は、本発明の基本原理から逸脱することなく大幅に変更できることは、当業者に明らかであろう。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図1-6】
図1-7】
図1-8】
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図2
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図5
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【配列表】
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