(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】非対称複合材
(51)【国際特許分類】
B32B 37/02 20060101AFI20241022BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20241022BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20241022BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B32B37/02
B05D7/14 Z
B05D7/24 301B
B32B15/08 M
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023083291
(22)【出願日】2023-05-19
(62)【分割の表示】P 2021503044の分割
【原出願日】2019-08-06
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0091348
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ミン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ウ・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・キュ・イ
【審査官】山下 航永
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03711363(US,A)
【文献】特開平10-165311(JP,A)
【文献】実開昭62-121928(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0189808(US,A1)
【文献】特開2019-011039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
B05D 1/00 - 7/26
H01M 4/00 - 4/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非対称複合材を製造するための方法であって、
樹脂層が存在している第1表面と、前記第1表面の反対側の第2表面とを有する金属多孔体を提供することと、
前記金属多孔体の第2表面に第1高分子層を適用することと、
前記第1高分子層を適用した後に前記第1高分子層を硬化又は架橋することと、
前記第1高分子層を硬化又は架橋した後に前記樹脂層を除去することと、
前記樹脂層を除去した後に、前記金属多孔体の第1表面に第2高分子層を適用することと、を備
え、
前記第1高分子層と前記第2高分子層は互いに異なる成分を有する、方法。
【請求項2】
前記樹脂層が粘着剤層である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1高分子層を適用することが、第1高分子層溶液を塗布することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記樹脂層を除去した後に樹脂層の残余物を洗浄することを更に備える請求項
1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2高分子層を適用した後に前記第2高分子層を硬化又は架橋することを更に備える請求項
1から4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2018年8月6日に提出された韓国特許出願第10-2018-0091348号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本出願は、非対称複合材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
金属フォーム(metal foam)は、軽量性、エネルギー吸収性、断熱性、耐火性又は環境親和性などの多様で有用な特性を具備することで、軽量構造物、輸送機械、建築資材又はエネルギー吸収装置などを含む多様な分野に適用され得る。
【0004】
金属フォームは、高い比表面積を有するだけでなく、液体、気体などの流体又は電子の流れをより向上させることができるので、熱交換装置用基板、触媒、センサー、アクチュエータ、2次電池、燃料電池、ガス拡散層(GDL:gas diffusion layer)又はマイクロ流体フローコントローラ(microfluidic flow controller)などに適用されて有用に用いられ得る。
【0005】
金属フォームの適用分野の拡大や物性の補強などを目的で前記金属フォームと樹脂成分を複合化した複合材を製造することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、非対称複合材及び前記非対称複合材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は、非対称複合材及び前記非対称複合材の製造方法に関する。用語「複合材」は、金属多孔体(金属フォームなど)と高分子成分を含む材料を意味することができる。
【0008】
例示的な非対称複合材10は、
図1に示したように、第1高分子層1、金属多孔体3及び第2高分子層2を順に含み、前記第1高分子層1と第2高分子層2は、互いに異なる成分を有することができる。「前記第1高分子層と第2高分子層が互いに異なる成分を有する」とは、後述する樹脂成分又はその他添加剤などの組成が互いに異なることを意味する。従来に一般的に金属多孔体に樹脂成分を複合化した複合材を製造する方法は広く知られている。一般的に金属多孔体をディップコーティング又はブレードコーティング方式で高分子をコーティングする場合、金属多孔体の表面に同一な特性を有する高分子層を形成するしかないので、その応用範囲が制限される。本出願は、金属多孔体の両面に互いに異なる特性を有する高分子層を有する非対称複合材を提供することで、多様な応用分野を有する複合材を提供する。
【0009】
本明細書で用語「金属多孔体(金属フォームなど)又は金属骨格」は、金属を主成分で含む多孔性構造体を意味する。上記で「金属を主成分で含む」とは、金属多孔体(金属フォームなど)又は金属骨格の全体重量を基準で金属の割合が55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上又は95重量%以上である場合を意味する。前記主成分で含まれる金属の割合の上限は特に制限されず、例えば、100重量%、99重量%又は98重量%程度であってもよい。
【0010】
本明細書で用語「多孔性」は、気孔度(porosity)が少なくとも30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上又は80%以上である場合を意味することができる。前記気孔度の上限は特に制限されず、例えば、約99%以下、約98%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下又は75%以下程度であってもよい。前記気孔度は、金属多孔体(金属フォームなど)などの密度を計算して公知の方式で算出することができる。
【0011】
本出願の複合材に含まれる金属多孔体(金属フォームなど)は、フィルム形状であってもよい。本出願の複合材は、上記のようなフィルム形態の金属多孔体(金属フォームなど)及び前記金属多孔体(金属フォームなど)の対向する両表面に存在する高分子成分を含むことができる。上記で対向する両表面は、フィルム形態の金属多孔体(金属フォームなど)の上部と下部表面や両側面などのように互いに対向する表面を意味することができる。以下、便宜上前記金属多孔体の互いに対向する表面のうち第1高分子層が存在する表面を第1表面と称し、その反対側表面として前記第2高分子層が存在する表面を第2表面と称することができる。一つの例示で、前記第1表面には、第2高分子層成分が存在しなくてもよく、前記第2表面には、第1高分子層成分が存在しなくてもよい。一つの例示で、前記高分子層の高分子成分が前記金属多孔体の気孔に浸透することができ、例えば、前記第1高分子層の高分子成分が第2高分子層の高分子成分よりさらに多量浸透され得る。しかし、これに限定されず、第2高分子層の高分子成分が前記金属多孔体の気孔に第1高分子層の高分子成分よりさらに多量浸透され得る。すなわち、前記金属多孔体の気孔に浸透されている第1高分子層成分と第2高分子層成分の含量が互いに相違に存在することができる。
【0012】
一つの例示で、金属多孔体は、内部に前記第1高分子層の高分子成分が存在する第1領域及び前記第2高分子層の高分子成分が存在する第2領域を含むことができる。本明細書で用語「高分子成分」とは、後述する樹脂成分又はその他前記高分子層に含まれる添加剤などを意味することができ、後述する高分子溶液を意味してもよい。本出願の具体例で、前記金属多孔体の厚さに対する第1領域の厚さは、0.01~0.99、0.05~0.95、0.08~0.9、0.1~0.8、0.2~0.7、0.25~0.65、0.3~0.6、0.35~0.55又は0.4~0.5の範囲内であってもよい。また、前記金属多孔体の厚さに対する第2領域の厚さは、0.01~0.99、0.05~0.95、0.08~0.9、0.1~0.8、0.2~0.7、0.25~0.65、0.3~0.6、0.35~0.55又は0.4~0.5の範囲内であってもよい。本出願は、前記互いに異なる成分を有する第1高分子層及び第2高分子層を金属多孔体の両面に配置させ得、また、金属多孔体は、気孔内部に前記第1高分子層の高分子成分及び第2高分子層の高分子成分が一緒に存在してもよく、必要に応じて、前記第1領域及び第2領域の厚さを調節することができる。
【0013】
複合材で金属多孔体(金属フォームなど)は、気孔度(porosity)が約30%~99%の範囲内であってもよい。一つの例示で、後述する方式で前記複合材を形成することにおいて、目的とする非対称構造を考慮して前記金属多孔体(金属フォームなど)の気孔度や空隙のサイズなどを制御することができる。例えば、後述する方式で非対称構造を形成することにおいて、金属多孔体(金属フォームなど)の気孔度が小さいか、空隙のサイズが小さい場合には、一表面から照射された光が他の表面に到逹する程度が小さくなり、反対に、大きい場合には、前記他の表面に到逹する程度が大きくなって、反対表面の光硬化性組成物の硬化度が制御され得る。他の例示で、前記気孔度は、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上又は80%以上であるか、95%以下、90%以下、85%以下又は80%以下程度であってもよい。
【0014】
金属多孔体(金属フォームなど)は、フィルム形態であってもよい。前記フィルムの厚さは、例えば、約5μm~5cmの範囲内であってもよい。前記厚さは、他の例示で、4cm以下、3cm以下、2cm以下又は1cm以下、9000μm以下、8000μm以下、7000μm以下、6000μm以下、5000μm以下、4000μm以下、3000μm以下、2000μm以下、1000μm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下又は200μm以下程度であるか、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上又は10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上又は95μm以上程度であってもよい。
【0015】
前記金属多孔体(金属フォームなど)の骨格は、多様な種類の金属や金属合金からなってもよく、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、銅、リン、モリブデン、亜鉛、マンガン、クロム、インジウム、スズ、銀、白金、金、アルミニウム、ステンレス及びマグネシウムからなる群より選択された一つ以上の金属又は金属合金を含むか、あるいは前記金属又は金属合金からなってもよい。
【0016】
このような金属多孔体(金属フォームなど)は、多様に公知されており、金属多孔体(金属フォームなど)を製造する方法も多様に公知されている。本出願ではこのような公知の金属多孔体(金属フォームなど)や前記公知の方式で製造した金属多孔体(金属フォームなど)が適用され得る。
【0017】
金属多孔体(金属フォームなど)を製造する方式としては、塩などの気孔形成剤と金属の複合材料を焼結する方式、高分子フォームなどの支持体に金属をコーティングし、その状態で焼結する方式や、バインダー、溶媒及び分散剤をスラリーで製造して塗布乾燥及び焼結するスラリー法などが知られている。本出願は、前記方法を通じて目的とする気孔サイズ、厚さ及び気孔度を有する金属フォームを具現することができる。また、前記金属多孔体(金属フォームなど)は、本出願人の先行出願である韓国特許出願第2017-0086014号、第2017-0040971号、第2017-0040972号、第2016-0162154号、第2016-0162153号又は第2016-0162152号などに開示された方式によっても製造され得る。
【0018】
また、前記金属多孔体(金属フォームなど)は、前記先行出願に開示された方式のうち誘導加熱方式でも製造され得るが、このような場合に金属多孔体(金属フォームなど)は、伝導性磁性金属を少なくとも含むことができる。この場合、金属多孔体(金属フォームなど)は、前記伝導性磁性金属を重量基準で30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上又は50重量%以上含むことができる。他の例示で、前記金属多孔体(金属フォームなど)内の伝導性磁性金属の割合は、約55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上又は90重量%以上であってもよい。前記伝導性磁性金属の割合の上限は特に制限されず、例えば、約100重量%未満又は95重量%以下であってもよい。
【0019】
本出願において用語「伝導性磁性金属」は、所定の比透磁率と伝導度を有する金属であって、誘導加熱方式によって金属の焼結が可能である程度に発熱が可能な金属を意味することができる。
【0020】
一つの例示で、前記伝導性金属としては、比透磁率が90以上である金属が用いられ得る。比透磁率(μr)は、該当物質の透磁率(μ)と真空中の透磁率(μ0)の割合(μ/μ0)である。前記金属は、比透磁率が95以上、100以上、110以上、120以上、130以上、140以上、150以上、160以上、170以上、180以上、190以上、200以上、210以上、220以上、230以上、240以上、250以上、260以上、270以上、280以上、290以上、300以上、310以上、320以上、330以上、340以上、350以上、360以上、370以上、380以上、390以上、400以上、410以上、420以上、430以上、440以上、450以上、460以上、470以上、480以上、490以上、500以上、510以上、520以上、530以上、540以上、550以上、560以上、570以上、580以上又は590以上であってもよい。比透磁率が高いほど後述する誘導加熱のための電磁気場の印加時により高い熱を発生するようになるので、その上限は特に制限されない。一つの例示で、前記比透磁率の上限は、例えば、約300,000以下であってもよい。
【0021】
前記伝導性磁性金属は、20℃での伝導度が約8MS/m以上、9MS/m以上、10MS/m以上、11MS/m以上、12MS/m以上、13MS/m以上又は14.5MS/m以上であってもよい。前記伝導度の上限は特に制限されず、例えば、前記伝導度は、約30MS/m以下、25MS/m以下又は20MS/m以下であってもよい。
【0022】
このような伝導性磁性金属の具体的な例には、ニッケル、鉄又はコバルトなどがあるが、これに制限されるものではない。
【0023】
上述したように、本出願の複合材は、非対称複合材であってもよい。前記非対称複合材は、金属多孔体の両面に存在する前記第1高分子層と第2高分子層が互いに異なる成分を有することを意味することができる。前記第1高分子層及び第2高分子層の成分は、後述する高分子成分あるいは樹脂成分が互いに相違であるか、その他添加剤が互いに相違である場合を意味する。上記で、高分子成分と樹脂成分は同一な意味で用いられ得る。
【0024】
一つの例示で、前記第1高分子層又は第2高分子層に含まれる樹脂成分は、例えば、スチレン系樹脂又はエラストマー、ポリオレフィン系樹脂又はエラストマー、その他エラストマー、ポリオキシアルキレン系樹脂又はエラストマー、ポリエステル系樹脂又はエラストマー、ポリ塩化ビニル系樹脂又はエラストマー、ポリカーボネート系樹脂又はエラストマー、ポリフェニレンスルフィド系樹脂又はエラストマー、炭化水素の混合物、ポリアミド系樹脂又はエラストマー、アクリレート系樹脂又はエラストマー、エポキシ系樹脂又はエラストマー、シリコン系樹脂又はエラストマー、フッ素系樹脂又はエラストマー又はこれらの混合物などを含むことができる。
【0025】
上記でスチレン系樹脂又はエラストマーとしては、例えば、スチレン‐エチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SIS)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(ABS)、アクリロニトリル‐スチレン‐アクリレートブロック共重合体(ASA)、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン系単独重合体又はこれらの混合物が例示され得る。前記オレフィン系樹脂又はエラストマーとしては、例えば、高密度ポリエチレン系樹脂又はエラストマー、低密度ポリエチレン系樹脂又はエラストマー、ポリプロピレン系樹脂又はエラストマー又はこれらの混合物が例示され得る。前記エラストマーとしては、例えば、エステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系エラストマー、シリコン系エラストマー、アクリル系エラストマー又はこれらの混合物などを用いることができる。そのうちオレフィン系熱可塑性エラストマーとしてポリブタジエン樹脂又はエラストマー又はポリイソブチレン樹脂又はエラストマーなどが用いられ得る。前記ポリオキシアルキレン系樹脂又はエラストマーとしては、例えば、ポリオキシメチレン系樹脂又はエラストマー、ポリオキシエチレン系樹脂又はエラストマー又はこれらの混合物などが例示され得る。前記ポリエステル系樹脂又はエラストマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂又はエラストマー、ポリブチレンテレフタレート系樹脂又はエラストマー又はこれらの混合物などが例示され得る。前記ポリ塩化ビニル系樹脂又はエラストマーとしては、例えば、ポリビニリデンクロリドなどが例示され得る。前記炭化水素の混合物としては、例えば、ヘキサトリアコタン(hexatriacotane)又はパラフィンなどが例示され得る。前記ポリアミド系樹脂又はエラストマーとしては、例えば、ナイロンなどが例示され得る。前記アクリレート系樹脂又はエラストマーとしては、例えば、ポリブチル(メタ)アクリレートなどが例示され得る。前記エポキシ系樹脂又はエラストマーとしては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型及びこれらの水添加物などのビスフェノール型;フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型などのノボラック型;トリグリシジルイソシアヌレート型やヒダントイン型などの含窒素環型;脂環式型;脂肪族型;ナフタリン型、ビフェニル型などの芳香族型;グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型などのグリシジル型;ジシクロペンタジエン型などのジシクロ型;エステル型;エーテルエステル型又はこれらの混合物などが例示され得る。前記シリコン系樹脂又はエラストマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサンなどが例示され得る。また、前記フッ素系樹脂又はエラストマーとしては、ポリトリフルオロエチレン樹脂又はエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン樹脂又はエラストマー、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂又はエラストマー、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂又はエラストマー、ポリフルオリン化ビニリデン、ポリフルオリン化ビニル、ポリフルオリン化エチレンプロピレン又はこれらの混合物などが例示され得る。
【0026】
前記羅列した樹脂又はエラストマーは、例えば、マレイン酸無水物などとグラフトされて用いられてもよく、羅列された他の樹脂又はエラストマー乃至は樹脂又はエラストマーを製造するための単量体と共重合されて用いられてもよく、その外、他の化合物により変性させて用いてもよい。上記他の化合物の例としては、カルボキシル‐末端ブタジエン‐アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
【0027】
一方、より具体的に、高分子層が硬化性組成物の硬化物である場合、前記樹脂成分は、光の照射又は熱の印加などによって硬化される高分子を含むことができる。用語「熱硬化性樹脂」は、適切な熱の印加又は熟成(aging)工程を通じて硬化され得る樹脂を意味し、用語「光硬化性樹脂」は、電磁気波の照射によって硬化され得る樹脂を意味する。また、前記硬化性樹脂は、熱硬化と光硬化の特性を全て含むデュアル硬化型樹脂であってもよい。本明細書で光の照射には、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線及びガンマ線は勿論、アルファ粒子ビーム(alpha‐particle beam)、陽子ビーム(proton beam)、中性子ビーム(neutron beam)及び電子線(electron beam)のような粒子ビームなどの照射も含まれ得る。
【0028】
このような硬化性組成物としては、アクリル系硬化性組成物、エポキシ系硬化性組成物、イソシアネート系硬化性組成物、ウレタン系硬化性組成物、ポリエステル系硬化性組成物、ポリアミック酸系硬化性組成物、ポリアミド系硬化性組成物、フタロニトリル系硬化性組成物又はシリコン系硬化性組成物などが例示され得る。前記各組成物は、それぞれ硬化されてアクリル系高分子成分、エポキシ系高分子成分、イソシアネート系高分子成分、ウレタン系高分子成分、ポリエステル系高分子成分、ポリアミック酸系高分子成分、ポリアミド系高分子成分、フタロニトリル樹脂系高分子成分又はシリコン系高分子成分を形成することができる組成物であり、このような組成物は、高分子組成物業界に多様に公知されており、本出願では、このような公知の成分のうち適正成分を選択して用いることができ、必要な場合に、上記のうち2種以上の成分を用いて複合高分子を形成してもよい。
【0029】
上記のような組成物は、一般的に光の照射又は熱の印加によって硬化され得る官能基を有する高分子成分、オリゴマー成分及び/又は単量体成分を含み、光の照射及び/又は熱の印加によって硬化反応を開始させ得る開始剤、例えば、ラジカル開始剤や陽イオン開始剤などやその他硬化剤などを含む。上記で光の照射又は熱の印加などによって硬化され得る官能基としては、アクリロイル基やメタクリロイル基などのラジカル重合性の二重結合を含む官能基や、グリシジル基、脂環式エポキシ基、オキセタニル基などの陽イオン重合性の官能基など又はケイ素原子に結合された水素原子、ビニル基などのアルケニル基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、アジリジン基などが例示され得るが、これに制限されない。
【0030】
一つの例示で、第1又は第2高分子層で前記樹脂成分は、高分子層がフィルム形状で成形が可能な程度の重量平均分子量(Mw:Weight Average Molecular Weight)を有することができる。例えば、前記樹脂成分は、約10万~200万、12万~150万又は15万~100万程度の重量平均分子量を有することができる。本明細書で用語「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味する。ただし、上記言及された重量平均分子量を前記樹脂成分が必ず有する必要なない。例えば、樹脂成分の分子量がフィルムを形成する程度のレベルではない場合には、別途のバインダー樹脂が組成物に配合され得る。
【0031】
本出願の具体例で、前記第1高分子層又は第2高分子層は、上記の樹脂成分及びこれによる硬化剤又は開始剤を含むことができ、これは通常の技術者が目的とする技術分野で目的とする物性によって適切に組み合わせることができる。例えば、金属多孔体の一面には粘着性を有する高分子成分が含まれ得、他の一面には接着性を有する高分子成分が含まれ得る。また、これに限定されず、金属多孔体の一面には電気伝導性を有する高分子層が形成され、他の一面には電気絶縁性を有する高分子層が形成され得る。また、金属多孔体の一面には引張特性に優れた高分子層が形成され、他の一面には圧縮に対する特性に優れた高分子層が形成され得る。上記の例示は、通常の技術者が金属多孔体の用途によって必要な物性を考慮して設計することができる。
【0032】
一つの例示で、第1高分子層は、JIS K 7194規格によって測定した表面抵抗が10Ω/□以下の範囲内である電気伝導層であり、第2高分子層は、JIS K 7194規格によって測定した表面抵抗が1000Ω/□以上の範囲内である電気絶縁層であってもよい。一つの例示で、前記電気伝導層は、その表面抵抗の範囲が0.01~9Ω/□又は0.1~5Ω/□の範囲内であってもよく、前記電気絶縁層は、その表面抵抗の範囲が1000~5000Ω/□又は1500~4000Ω/□の範囲内であってもよい。また、一つの例示で、第1高分子層は、銅金属板に対する剥離力(剥離速度:0.3m/min、剥離角度:180゜)が0.1~100g/mm又は1~90g/mmであり、第2高分子層は、銅金属板に対する剥離力(剥離速度:0.3m/min、剥離角度:180゜)が10~1000g/mm又は100g/mm超過、1000g/mm以下であってもよい。また、一つの例示で、第1高分子層は、25℃で引張弾性率が0.01MPa~10MPa又は0.1MPa~5MPaの範囲内であり、第2高分子層は、25℃で引張弾性率が100MPa~1000MPa又は300MPa~800MPaの範囲内であってもよい。本出願は、前記複合材の適用用途によって、また、その必要に応じて、前記第1高分子層及び第2高分子層に目的とする物性を満足するように複合材を構成することができる。
【0033】
本出願の具体例で、第1又は第2高分子層は、樹脂成分の種類によってラジカル開始剤をさらに含むことができる。ラジカル開始剤は、光開始剤又は熱開始剤であってもよい。光開始剤の具体的な種類は、硬化速度及び黄変可能性などを考慮して適切に選択され得る。例えば、ベンゾイン系、ヒドロキシケトン系、アミノケトン系又はホスフィンオキシド系光開始剤などを用いることができ、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルホリノ‐プロパン‐1‐オン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐2‐(ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p‐フェニルベンゾフェノン、4,4’‐ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、2‐t‐ブチルアントラキノン、2‐アミノアントラキノン、2‐メチルチオキサントン(thioxanthone)、2‐エチルチオキサントン、2‐クロロチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4‐ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p‐ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐[4‐(1‐メチルビニル)フェニル]プロパノン]及び2,4,6‐トリメチルベンゾイル‐ジフェニル‐ホスフィンオキシドなどを用いることができる。
【0034】
ラジカル開始剤は、前記樹脂成分100重量部に対して、0.2重量部~20重量部、0.5~18重量部、1~15重量部又は2重量部~13重量部の割合で含まれてもよい。
【0035】
本出願の具体例で、第1又は第2高分子層は、樹脂成分の種類によって硬化剤をさらに含むことができる。例えば、上述した樹脂成分と反応して架橋構造などを形成することができる硬化剤をさらに含むことができる。
【0036】
硬化剤は、樹脂成分又はその樹脂に含まれる官能基の種類によって適切な種類が選択及び用いられ得る。
【0037】
一つの例示で、樹脂成分がエポキシ樹脂である場合、硬化剤としては、この分野で公知されているエポキシ樹脂の硬化剤として、例えば、アミン硬化剤、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤、リン硬化剤又は酸無水物硬化剤などの一種又は二種以上を用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0038】
一つの例示で、前記硬化剤としては、常温で固相であり、融点又は分解温度が80℃ 以上であるイミダゾール化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えば、2‐メチルイミダゾール、2‐ヘプタデシルイミダゾール、2‐フェニルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチルイミダゾール又は1‐シアノエチル‐2‐フェニルイミダゾールなどが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0039】
硬化剤の含量は、組成物の組成、例えば、樹脂成分の種類や割合によって選択され得る。例えば、硬化剤は、樹脂成分100重量部に対して、1重量部~20重量部、1重量部~10重量部又は1重量部~5重量部で含むことができる。しかし、前記重量割合は、樹脂成分又はその樹脂の官能基の種類及び割合又は具現しようとする架橋密度などによって変更され得る。
【0040】
樹脂成分が活性エネルギー線の照射により硬化され得る樹脂である場合、開始剤としては、例えば、陽イオン光重合開始剤を用いることができる。
【0041】
陽イオン光重合開始剤としては、オ二ウム塩(onium salt)又は有機金属塩(organometallic salt)系列のイオン化陽イオン開始剤又は有機シラン又は潜在性硫酸(latent sulfonic acid)系列や非イオン化陽イオン光重合開始剤を用いることができる。オ二ウム系列の開始剤としては、ジアリールヨードニウム塩(diaryliodonium salt)、トリアリールスルホ二ウム塩(triarylsulfonium salt)又はアリールジアゾニウム塩(aryldiazonium salt)などが例示され得、有機金属塩系列の開始剤としては、鉄アレン(iron arene)などが例示され得、有機シラン系列の開始剤としては、o‐ニトリルベンジルトリアリールシリルエーテル(o‐nitrobenzyl triaryl silyl ether)、トリアリールシリルペルオキシド(triaryl silyl peroxide)又はアシルシラン(acyl silane)などが例示され得、潜在性硫酸系列の開始剤としては、α‐スルホニルオキシケトン又はα‐ヒドロキシメチルベンゾインスルホネートなどが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0042】
一つの例示で、陽イオン開始剤としては、イオン化陽イオン光重合開始剤を用いることができる。
【0043】
一つの例示で、第1又は第2高分子層は、必要に応じて無機粒子をさらに含むことができる。本出願で用いられる無機粒子(又はフィラー)の具体的な種類は特に制限されず、例えば、クレイ、タルク、アルミナ、炭酸カルシウム、ジルコニア又はシリカなどの一種又は二種以上の混合を用いることができる。
【0044】
本出願の無機粒子は、前記樹脂成分100重量部に対して、1~70重量部又は25~50重量部で含まれ得る。また、前記無機粒子は、D50粒度分析機で測定した平均粒径が5~100nm又は8~40nmの範囲内であってもよい。また、前記無機粒子は、屈折率が1.2~2.0又は1.4~1.7の範囲内であってもよい。本出願の第1又は第2高分子層は、前記無機粒子を含むことで目的とする物性の硬化物を製造することができる。
【0045】
一つの例示で、第1又は第2高分子層は、必要に応じて導電性粒子をさらに含むことができる。前記導電性粒子は、伝導性金属、例えば、銀、銅、ニッケル、金、アルミニウム又はグラファイトを含むことができる。また、前記導電性粒子は、単一伝導性金属粒子であるか、第1伝導性金属粒子に第2伝導性金属がコーティングされた形態であってもよい。例えば、前記導電性粒子は、グラファイト粉末、銅粉末、銀粉末、ニッケル粉末、銀コーティング銅粉末(AgコーティングCu粉末)、金コーティング銅粉末、銀コーティングニッケル粉末(AgコーティングNi粉末)、金コーティングニッケル粉末のうち一つ以上を含むことができる。前記導電性粒子は、球形、デンドライト(dendrite)型、ロッド型、針状型、フレーク型、ラグビーボール型の形状を有することができる。具体的に、前記導電性粒子は、デンドライト(dendrite)型を用いることができ、この場合、高分子層は、導電性粒子の含量に比べて伝導性に優れる。前記導電性粒子が含まれる場合、前記導電性粒子は、樹脂成分100重量部に対して3~50重量部又は5~30重量部で含まれ得る。
【0046】
高分子層には、上述した構成外にも用途及び後述する複合材の製造工程によって多様な添加剤が含まれ得る。例えば、第1又は第2高分子層は、粘着付与剤、多官能性の活性エネルギー線硬化性物質、架橋剤又はフィラーなどを目的とする物性によって適正範囲の含量で含むことができる。
【0047】
一つの例示で、前記第1高分子層又は第2高分子層は、5~100μm、8~80μm、12~60μm、15~40μm又は18~28μmの厚さ範囲を有することができる。前記第1高分子層の厚さと第2高分子層の厚さは、互いに相異なっているか同一であってもよい。本出願の複合材は、上述した二つの高分子層の物性によって前記厚さを同一にするか第1高分子層の厚さを第2高分子層の厚さよりさらに厚くすることができる。本出願は、反対に、第2高分子層の厚さを第1高分子層の厚さよりさらに厚くしてもよい。
【0048】
本出願の複合材は、断熱素材、放熱素材、防音素材、軽量化素材、構造材又は電極素材などで用いられ得る。
【0049】
また、本出願は、非対称複合材の製造方法に関する。上述した非対称複合材は、下記の製造方法で製造され得る。
【0050】
前記製造方法は、一面に樹脂層に付着されている金属多孔体の他の一面に第1高分子層を適用する段階を含むことができる。前記金属多孔体の他の一面は、前記金属多孔体(金属フォームなど)で前記樹脂層が付着されていない面を意味することができる。前記樹脂層は、粘着剤層であってもよいが、これに限定されるものではない。また、前記第1高分子層を適用する段階は、第1高分子層の高分子成分を含む第1高分子層溶液を塗布することを含むことができる。
【0051】
一つの例示で、
図2に示したように、金属多孔体(金属フォームなど)3などの一面を樹脂層11に付着させると、金属多孔体(金属フォームなど)3の多孔性により樹脂層11の少なくとも一部が前記金属多孔体(金属フォームなど)3の気孔内に浸透するようになる。その後に樹脂層11が存在しない金属多孔体(金属フォームなど)3の表面に第1高分子層1を適用すると、少なくとも前記樹脂層11が存在する気孔には第1高分子層1が浸透しない。勿論、第1高分子層1の粘度などを調節すると、気孔への浸透程度を調節して、樹脂層11がない気孔中の一部にも第1高分子層1が浸透しない。このような状態で、本出願の製造方法は、前記第1高分子層1を硬化又は架橋させる段階を含むことができる。
図2で、符号12は、樹脂層11を支持する基材フィルム又は離型フィルムである。
【0052】
本出願の前記方法では、樹脂層の金属多孔体の気孔内部への浸透程度を調節するために、金属多孔体(金属フォームなど)を樹脂層上に位置させ、前記金属多孔体を加圧して粘着剤層を付着する段階を行ってもよい。すなわち、このような加圧によってより多い気孔内に粘着剤層が浸透するようにすることができ、それによって、非対称フィルムの構造を調節することができる。
【0053】
また、他の方式で樹脂層の厚さを制御する方式を通じても樹脂層の気孔浸透程度を制御して非対称フィルムの構造を制御することができる。
【0054】
本出願で適用できる前記樹脂層の種類は特に制限されず、公知の一般的な種類の樹脂層又は粘着剤層が用いられ得る。例えば、一面に前記粘着剤層が形成された粘着シート乃至粘着フィルムを用いて前記方法を進行することができる。このとき、適用できる粘着剤は、公知のアクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤又はエポキシ系粘着剤などがあり、これに制限されない。
【0055】
本出願の製造方法は、前記第1高分子層1を硬化又は架橋させる段階を含むことができる。前記過程で硬化又は架橋を行う方法は特に制限されず、適用された高分子層の樹脂成分の種類によって適切な光の照射や熱の印加などの方式を適用することができる。必要に応じて、前記硬化又は架橋後に未硬化又は未架橋された組成物を除去する段階をさらに行ってもよい。
【0056】
上記のような方式によるとき、硬化又は架橋の条件、例えば、光の照射程度や方向、熱の印加程度などや、粘着剤層の厚さ、高分子層の厚さ及び/又は金属多孔体(金属フォームなど)の厚さ、金属多孔体(金属フォームなど)の気孔度や空隙のサイズを制御すると、該当非対称構造の形態も多様に調節することができる。
【0057】
一つの例示で、前記工程では、前記第1高分子層を多孔性構造体(金属フォームなど)の第1及び第2表面のうち少なくとも一つ以上の表面上に約1nm~2cm範囲内の厚さで形成することができる。
【0058】
本出願の製造方法では、前記硬化又は架橋後に未硬化又は未架橋された高分子層成分を除去する段階をさらに行うことができる。
【0059】
このような工程によって上述した非対称構造が形成され得る。前記未硬化又は未架橋された高分子層成分を除去する段階は、現像(developing)と呼称され得る。このような現像工程は、公知の方式で行うことができ、例えば、前記現像工程は、未硬化又は未架橋された組成物を除去することができると知られた処理剤などを用いて行うことができる。前記処理剤としては、エタノール、塩基水、N‐メチルピロリドン、メチレンクロライド、クロロホルム、トルエン、エチレングリコール又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの現像液などが知られている。上記のような現像液を用いた適切な処理を通じて現像工程が進行され得、例えば、約2bar以上の圧力と20℃ ~50℃の温度範囲内でスプレー現像方式で前記現像液を適用して現像工程を行うことができる。
【0060】
本出願の方法では、前記硬化又は架橋段階以後に樹脂層を除去する段階をさらに行うことができる。樹脂層の除去方法は特に制限されない。樹脂層は、圧力の印加によって被着体に付着され、剥離すると除去される特性を有するので、適用された樹脂層の種類によって適切な除去方式を選択すれば良い。
【0061】
必要に応じて、本出願では、前記段階に引き続き樹脂層の残余物を洗浄する段階をさらに行うことができ、この段階は、上述した現像段階に準ずる方式で行われ得る。
【0062】
本出願の製造方法は、前記樹脂層11を除去する段階後に、前記樹脂層11が除去された金属多孔体3の一面に第2高分子層2を適用する段階をさらに含むことができる。前記第2高分子層2は、上述した第1高分子層1の適用と同一の方法で適用され得る。また、本出願の製造方法は、前記第2高分子層2を硬化又は架橋する段階をさらに行うことができ、前記硬化又は架橋は、樹脂成分の種類によって進行することができる。
【発明の効果】
【0063】
本出願では、金属多孔体(金属フォームなど)と高分子成分を含む複合材を提供し、前記高分子成分が前記金属多孔体(金属フォームなど)の両面で非対称的な構造で形成された複合材を製造する方法とそのような方式で製造された複合材を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図2】本出願の非対称複合材の製造方法を説明するための例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、実施例及び比較例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記提示された実施例によって限定されるものではない。
【0066】
<実施例1>
金属多孔体としては、銅金属フォームとして、厚さが100μmであるフィルム形態であり、気孔度が約75%程度である銅金属フォームを用いた。厚さが10μmであるアクリル系粘着剤層を有する粘着シート(基材はPET)の前記粘着剤層上に前記金属フォームを位置させた後に約3kgの荷重で加圧した。その後、ポリジメチルシロキサン(PDMS、Sylgard184)をフィルムアプリケーターを用いて前記加圧された銅フォームの粘着剤層と接触した一面の反対面に20μmの厚さでコーティングし、120℃のオーブンで20分間加熱して、第1高分子層を形成した。硬化後に粘着シート(PET‐粘着剤層)を除去して複合材を製造した。この後、前記複合材の粘着シートを除去した面に第2高分子層の形成のために、エポキシ樹脂(KUKDO CHEMICAL、レジンYD‐128 + 硬化剤G640)をフィルムアプリケーターを用いて20μmの厚さでコーティングし、80℃のオーブンで60分間加熱して、非対称複合材を製造した。
【0067】
<実施例2>
第2高分子層として、熱硬化性アクリル樹脂(LG化学)をフィルムアプリケーターを用いて20μmの厚さでコーティングし、80℃のオーブンで60分間加熱したこと以外は、実施例1と同一の方法で非対称複合材を製造した。
【0068】
<実施例3>
第2高分子層として、ポリジメチルシロキサン(PDMS、Sylgard184)及び銅粉末(粒径10μm、デンドライト型)が90:10の重量割合で混合されたコーティング液をフィルムアプリケーターを用いて20μmの厚さでコーティングし、120℃のオーブンで20分間加熱したこと以外は、実施例1と同一の方法で非対称複合材を製造した。
【0069】
<実施例4>
第2高分子層として、ポリジメチルシロキサン(PDMS、Sylgard184)及びグラファイト粉末(粒径5μm、フレーク型)が90:10の重量割合で混合されたコーティング液をフィルムアプリケーターを用いて20μmの厚さでコーティングし、120℃のオーブンで20分間加熱したこと以外は、実施例1と同一の方法で非対称複合材を製造した。
【0070】
<実施例5>
第1高分子層として、ポリジメチルシロキサン(PDMS、Sylgard184)及び銅粉末(粒径10μm、デンドライト型)が90:10の重量割合で混合されたコーティング液をフィルムアプリケーターを用いて20μmの厚さでコーティングし、120℃のオーブンで20分間加熱して第1高分子層を形成し、第2高分子層として、ポリジメチルシロキサン(PDMS、Sylgard184)及び銅粉末(粒径10μm、デンドライト型)が70:30の重量割合で混合されたコーティング液をフィルムアプリケーターを用いて20μmの厚さでコーティングし、120℃のオーブンで20分間加熱して第2高分子層を形成したこと以外は、実施例1と同一の方法で非対称複合材を製造した。
【0071】
<比較例1>
実施例1でアクリル系粘着剤層を有する粘着シートを金属フォームに適用しないこと以外は、同一の方法で複合材を製造した。具体的に、実施例1の銅金属フォーム上にポリジメチルシロキサン(PDMS、Sylgard184)をフィルムアプリケーターを用いて前記銅フォームの一面に20μmの厚さでコーティングし、120℃のオーブンで20分間加熱して、第1高分子層を形成した。硬化後、前記銅フォームの反対面に第2高分子層の形成のためにエポキシ樹脂(KUKDO CHEMICAL、レジンYD‐128 + 硬化剤G640)をフィルムアプリケーターを用いて20μmの厚さでコーティングし、80℃のオーブンで60分間加熱して、複合材を製造した。
【0072】
<実験例1‐表面抵抗の測定>
実施例3~実施例5で製造した複合材の高分子層に対して、三菱ケミカル社のMCP‐HT450表面抵抗測定機で標準試験方法によって表面抵抗を測定した。表面抵抗の測定は、23℃及び50%の相対湿度環境下で表面抵抗数値を測定した。
【0073】
<実験例2‐剥離力の測定>
実施例1及び実施例2で製造した複合材の第1高分子層又は第2高分子層を25℃、50%の相対湿度下で3日間保管した後、銅プレートに対する前記第1又は第2高分子層の剥離力(剥離速度:5mm/sec、剥離角度:180度)を測定した。
【0074】
前記測定は、恒温恒湿条件下で測定し、前記剥離力は、テクスチャーアナライザー(texture analyzer)を用い、ASTM3330に根拠して測定した。
【0075】
【0076】
実施例1の第2高分子層は、再剥離性がなく、硬化されて粘着特性を有しない。
【0077】
【0078】
比較例1は、第1高分子層としてポリジメチルシロキサン(PDMS、Sylgard184)をコーティングするとき、前記液状のポリジメチルシロキサンが銅フォームの第1表面(第1高分子層が適用される銅フォームの面)に塗布された後に気孔に浸透されながら第2表面(第1表面の反対面)まで浸透されて出るので、結果的に、前記金属銅フォームの両面に全て第1高分子層が形成された。その後、第2高分子層を適用しても前記第2表面に既に形成された第1高分子層上に第2高分子層が形成されるようになる。
【符号の説明】
【0079】
1:第1高分子層
2:第2高分子層
3:金属多孔体
11:樹脂層
12:基材又は離型フィルム