(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 B
H02M3/28 C
(21)【出願番号】P 2020208600
(22)【出願日】2020-12-16
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三添 公義
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-165550(JP,A)
【文献】特開2016-082818(JP,A)
【文献】実開平05-041391(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00- 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチングトランジスタと、
前記スイッチングトランジスタがONしたときに流れる電流に応じたセンス電圧を生成するセンス抵抗と、
前記スイッチングトランジスタがONすることで入力電圧が印加する1次巻線と、負荷が接続される2次巻線とを有するトランスと、
1次側に設けられるフォトトランジスタと、2次側に設けられるフォトダイオードとを有し、前記フォトダイオードに流れる電流に応じて前記フォトトランジスタにおいてフォトカプラ電流を発生するフォトカプラと、
前記2次巻線に発生する電圧を整流平滑した出力電圧が予め定められた目標電圧より高いとき、前記出力電圧及び前記目標電圧の差分に応じた前記フォトカプラ電流を前記フォトダイオードに発生させる出力電圧フィードバック回路と
を有する絶縁型のスイッチング電源装置において、
前記フォトカプラのフォトダイオードのカソードに接続された電流源と、
前記出力電圧が前記目標電圧より低いとき、前記電流源に電流を発生させることにより、前記目標電圧より低い前記出力電圧に応じた前記フォトカプラ電流を前記フォトダイオードに発生させ、前記出力電圧が予め定められた検出電圧に達したとき、前記電流源による電流の発生を停止する電圧検出回路と、
前記センス電圧及び前記フォトカプラ電流に基づいて前記スイッチングトランジスタのON/OFF動作を制御する制御回路と
を具備
し、
前記出力電圧フィードバック回路は、前記出力電圧の抵抗分圧と、前記目標電圧に応じて設定された基準電圧との差分に応じた吸込電流を発生するシャントレギュレータを有し、
前記検出電圧は、前記シャントレギュレータが前記出力電圧の上昇に伴い動作し始める前に、前記電圧検出回路が前記電流源による電流の発生を停止するように設定され、前記目標電圧より小さい、
絶縁型のスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記出力電圧フィードバック回路は、
グランド電位と前記2次巻線との間に直列に接続され、前記出力電圧の抵抗分圧を発生する第1抵抗及び第2抵抗と、
前記2次巻線と前記フォトダイオードのアノードとの間に接続された第3抵抗と、
前記フォトダイオードのアノードとカソードとの間に接続された第4抵抗と、
一端が前記第1抵抗及び前記第2抵抗の間に接続された第5抵抗と、
前記第5抵抗の他端と前記フォトダイオードのアノードとの間に接続されたキャパシタと、をさらに有し、
前記シャントレギュレータは、アノードが前記グランド電位に接続され、カソードが前記フォトダイオードのアノードに接続され、リファレンスが前記第1抵抗及び前記第2抵抗の間に接続され、
前記電流源の前記フォトダイオードのカソードとは反対側の一端は、前記グランド電位に接続される、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
スイッチングトランジスタと、
前記スイッチングトランジスタがONしたときに流れる電流に応じたセンス電圧を生成するセンス抵抗と、
前記スイッチングトランジスタがONすることで入力電圧が印加する1次巻線と、負荷が接続される2次巻線とを有するトランスと、
1次側に設けられるフォトトランジスタと、2次側に設けられるフォトダイオードとを有し、前記フォトダイオードに流れる電流に応じて前記フォトトランジスタにおいてフォトカプラ電流を発生するフォトカプラと、
前記2次巻線に発生する電圧を整流平滑した出力電圧が予め定められた目標電圧より高いとき、前記出力電圧及び前記目標電圧の差分に応じた前記フォトカプラ電流を前記フォトダイオードに発生させる出力電圧フィードバック回路と
を有する絶縁型のスイッチング電源装置において、
前記フォトカプラのフォトダイオードのカソードに接続され、発生する電流が前記出力電圧の上昇に比例して増加する電流源と、
前記出力電圧が前記目標電圧より低いとき、前記電流源に電流を発生させることにより、前記目標電圧より低い前記出力電圧に応じた前記フォトカプラ電流を前記フォトダイオードに発生させ、前記出力電圧が予め定められた検出電圧に達したとき、前記電流源による電流の発生を停止する電圧検出回路と、
前記センス電圧及び前記フォトカプラ電流に基づいて前記スイッチングトランジスタのON/OFF動作を制御する制御回路と
を具備する絶縁型のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記電流源は、
ゲートが前記電圧検出回路の出力に接続され、ソースが前記2次側のマイナス側の電圧端に接続され、ドレインが前記フォトカプラのカソードに接続されるMOSトランジスタと、
ベースが前記電圧検出回路の出力に接続され、エミッタが前記2次側のマイナス側の電圧端に接続され、コレクタが前記フォトカプラのカソードに接続されるバイポーラトランジスタと
のうちいずれか一方を含む、請求項1
から請求項3のうちのいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、スイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トランスとフォトカプラとを使用した、DC/DCコンバータとしての絶縁型のスイッチング電源装置が知られている。このスイッチング電源装置においては、2次側の出力電圧が設定値に達したことに応じてフォトカプラ電流が流れ始め、1次側の制御回路によるスイッチング制御が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、出力電圧の設定値への到達に応じて発生するフォトカプラ電流によりスイッチング制御を開始する構成では、電源起動時に出力電圧が急激に上昇すると、制御開始時点で出力電圧が設定値を超えてしまい、出力電圧にオーバーシュートが発生する場合があった。
【0005】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであって、絶縁型のスイッチング電源装置において、電源起動時の出力電圧のオーバーシュートの発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係るスイッチング電源装置は、スイッチングトランジスタと、センス抵抗と、トランスと、フォトカプラと、出力電圧フィードバック回路と、電流源と、電圧検出回路と、制御回路とを備える絶縁型のスイッチング電源装置である。前記センス抵抗は、前記スイッチングトランジスタがONしたときに流れる電流に応じたセンス電圧を生成する。前記トランスは、前記スイッチングトランジスタがONすることで入力電圧が印加する1次巻線と、負荷が接続される2次巻線とを有する。前記フォトカプラは、1次側に設けられるフォトトランジスタと、2次側に設けられるフォトダイオードとを有し、前記フォトダイオードに流れる電流に応じて前記フォトトランジスタにおいてフォトカプラ電流を発生する。前記出力電圧フィードバック回路は、前記2次巻線に発生する電圧を整流平滑した出力電圧が予め定められた目標電圧を超えたとき、前記出力電圧及び前記目標電圧の差分に応じた前記フォトカプラ電流を前記フォトダイオードに発生させる。前記電流源は、前記フォトカプラのフォトダイオードのカソードに接続されている。前記電圧検出回路は、前記出力電圧が前記目標電圧より低いとき、前記電流源に電流を発生させることにより、前記目標電圧より低い前記出力電圧に応じた前記フォトカプラ電流を前記フォトダイオードに発生させ、前記出力電圧が予め定められた検出電圧に達したとき、前記電流源による電流の発生を停止する。前記制御回路は、前記センス電圧及び前記フォトカプラ電流に基づいて前記スイッチングトランジスタのON/OFF動作を制御する。前記出力電圧フィードバック回路は、前記出力電圧の抵抗分圧と、前記目標電圧に応じて設定された基準電圧との差分に応じた吸込電流を発生するシャントレギュレータを有する。前記検出電圧は、前記シャントレギュレータが前記出力電圧の上昇に伴い動作し始める前に、前記電圧検出回路が前記電流源による電流の発生を停止するように設定され、前記目標電圧より小さい。
また、実施形態に係るスイッチング電源装置は、スイッチングトランジスタと、センス抵抗と、トランスと、フォトカプラと、出力電圧フィードバック回路と、電流源と、電圧検出回路と、制御回路とを備える絶縁型のスイッチング電源装置である。前記センス抵抗は、前記スイッチングトランジスタがONしたときに流れる電流に応じたセンス電圧を生成する。前記トランスは、前記スイッチングトランジスタがONすることで入力電圧が印加する1次巻線と、負荷が接続される2次巻線とを有する。前記フォトカプラは、1次側に設けられるフォトトランジスタと、2次側に設けられるフォトダイオードとを有し、前記フォトダイオードに流れる電流に応じて前記フォトトランジスタにおいてフォトカプラ電流を発生する。前記出力電圧フィードバック回路は、前記2次巻線に発生する電圧を整流平滑した出力電圧が予め定められた目標電圧を超えたとき、前記出力電圧及び前記目標電圧の差分に応じた前記フォトカプラ電流を前記フォトダイオードに発生させる。前記電流源は、前記フォトカプラのフォトダイオードのカソードに接続され、発生する電流が前記出力電圧の上昇に比例して増加する。前記電圧検出回路は、前記出力電圧が前記目標電圧より低いとき、前記電流源に電流を発生させることにより、前記目標電圧より低い前記出力電圧に応じた前記フォトカプラ電流を前記フォトダイオードに発生させ、前記出力電圧が予め定められた検出電圧に達したとき、前記電流源による電流の発生を停止する。前記制御回路は、前記センス電圧及び前記フォトカプラ電流に基づいて前記スイッチングトランジスタのON/OFF動作を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、絶縁型のスイッチング電源装置において、電源起動時の出力電圧のオーバーシュートの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るスイッチング電源装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る出力電圧検出回路の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るスイッチング電源装置とは異なり、フォトカプラ電流調整回路が搭載されていないスイッチング電源装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3のスイッチング電源装置における電源起動時の各信号の動作波形の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る出力電圧検出回路における電源起動時の各信号の動作波形の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るスイッチング電源装置における電源起動時の各信号の動作波形の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る出力電圧検出回路の構成の別の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るスイッチング電源装置の構成の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、スイッチング電源装置の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明は適宜省略する。なお、以下の実施形態において、「接続」とは、「電気的な接続」を意味するとする。
【0010】
図1は、実施形態に係るスイッチング電源装置1の構成の一例を示す図である。スイッチング電源装置1は、DC/DCコンバータとしての絶縁型のスイッチング電源回路である。スイッチング電源装置1は、1次側の一対の入力端子から供給される直流電圧の入力電圧V
INを用いて、2次側の一対の出力端子に接続される負荷に応じて設定された直流電圧の出力電圧V
OUTを供給するように構成される。負荷としては、任意の回路素子又は回路構成が適宜利用可能である。
【0011】
スイッチング電源装置1は、
図1に示すように、キャパシタC
IN、トランス11、ダイオードD
1、キャパシタC
OUT、NMOSスイッチングトランジスタM
PW、センス抵抗R
S、制御回路13、出力電圧フィードバック(FB)回路15、フォトカプラPC
1及びフォトカプラ電流調整回路17を有する。
【0012】
1次側の一対の入力端子には、キャパシタCINが、並列に接続される。キャパシタCINは、1次側の一対の入力端子から供給される電荷を蓄える容量素子である。1次側の一対の入力端子のマイナス側の入力端子は、グランド電位に接続される。1次側の一対の入力端子のプラス側の入力端子は、トランス11の1次巻線T1の一端及び制御回路13に接続される。
【0013】
1次巻線T1のプラス側の入力端子とは反対側の一端は、NMOSスイッチングトランジスタMPWのドレインに接続される。つまり、1次巻線T1は、NMOSスイッチングトランジスタMPWがONすることで入力電圧VINが印加する。トランス11の2次巻線T2には、ダイオードD1及びキャパシタCOUTによる整流平滑回路が接続される。具体的には、2次巻線T2の一端には、ダイオードD1のアノードが接続される。2次巻線T2の他の一端とダイオードD1のカソードとの間には、キャパシタCOUTが接続される。キャパシタCOUTは、2次巻線T2から供給される電荷を蓄える容量素子である。
【0014】
2次側の一対の出力端子は、キャパシタCOUTに並列に接続される。つまり、2次側の一対の出力端子は、ダイオードD1及びキャパシタCOUTによる整流平滑回路に接続される。2次側の一対の出力端子のマイナス側の出力端子は、グランド電位に接続される。2次側の一対の出力端子は、スイッチング電源装置1の外部の負荷に接続される。換言すれば、スイッチング電源装置1の外部の負荷は、2次側の一対の出力端子を介して2次巻線T2に接続される。
【0015】
NMOSスイッチングトランジスタMPWは、制御回路13からのPWM(Pulse Width Modulation)信号に応じて動作するスイッチング素子である。
【0016】
センス抵抗RSは、NMOSスイッチングトランジスタMPWに流れるドレイン電流を検出する抵抗素子である。換言すれば、センス抵抗RSは、NMOSスイッチングトランジスタMPWがONしたときに流れる電流に応じたセンス電圧を生成する抵抗素子である。センス抵抗RSは、一端がNMOSスイッチングトランジスタMPWのソースに接続され、他の一端がグランド電位に接続される。
【0017】
制御回路13は、センス抵抗RSからのセンス電圧と、フォトカプラPC1からのフォトカプラ電流とに基づいて、NMOSスイッチングトランジスタMPWのON/OFF動作を制御する回路である。制御回路13は、NMOSスイッチングトランジスタMPWのゲート及びソースにそれぞれ接続される。また、制御回路13は、フォトカプラPC1のフォトトランジスタのコレクタに接続される。制御回路13は、センス抵抗RSに発生するセンス電圧と、フォトカプラPC1のフォトトランジスタからのフォトカプラ電流とに基づいてPWM信号を生成し、生成されたPWM信号をNMOSスイッチングトランジスタMPWのゲートに出力するように構成された回路である。つまり、制御回路13は、PWM信号の変調により、出力電圧制御時のデューティDを変更することができる。
【0018】
ここで、フライバック方式のスイッチング電源装置1における出力電圧制御時のデューティDは、以下の式(1)により表現することができる。ここで、N1及びN2は、それぞれ、トランス11の1次巻線T1及び2次巻線T2の巻線数である。
【0019】
【0020】
出力電圧FB回路15は、2次巻線T
2に発生する電圧を整流平滑した出力電圧V
OUTが予め定められた目標電圧値V
OUT1を超えたとき、出力電圧V
OUTと、目標電圧値V
OUT1(
図5参照)との差分に応じた電流をフォトカプラPC
1のフォトダイオードに発生するように構成された回路である。出力電圧FB回路15は、
図1に示すように、抵抗R
1、抵抗R
2、抵抗R
3、抵抗R
4、抵抗R
NF、キャパシタC
NF及びシャントレギュレータICを有する。
【0021】
抵抗R1及び抵抗R2は、直列に接続される。抵抗R2の一端はプラス側の出力端子に接続され、抵抗R2の他端は抵抗R1の一端に接続される。抵抗R1の他端はグランド電位に接続される。抵抗R3及び抵抗R4は、直列に接続される。抵抗R3の一端はプラス側の出力端子に接続され、抵抗R3の他端は抵抗R4の一端に接続される。抵抗RNF及びキャパシタCNFは、直列に接続される。抵抗RNFの一端は抵抗R1及び抵抗R2の間に接続され、抵抗RNFの他端はキャパシタCNFの一端に接続され、キャパシタCNFの他端は抵抗R4の他端に接続される。
【0022】
シャントレギュレータICのアノードは、グランド電位に接続される。シャントレギュレータICのカソードは、抵抗R4の他端に接続される。シャントレギュレータICのリファレンスは、抵抗R1及び抵抗R2の間に接続される。
【0023】
フォトカプラPC1は、フォトダイオード及びフォトトランジスタを有する。フォトカプラPC1は、フォトダイオードに流れる電流に応じてフォトトランジスタにおいてフォトカプラ電流を発生する回路素子である。フォトダイオードは、2次側に設けられ、抵抗R4に並列に接続される。具体的には、フォトダイオードのアノードは、抵抗R3及び抵抗R4の間に接続される。フォトダイオードのカソードは、抵抗R4及びシャントレギュレータICのカソードの間に接続される。フォトトランジスタは、1次側に設けられる。フォトトランジスタのベースは、フォトダイオードからの光を入力するように構成される。フォトトランジスタのエミッタは、グランド電位に接続される。
【0024】
フォトカプラ電流調整回路17は、目標電圧値VOUT1より低い出力電圧VOUTに応じて、フォトカプラPC1にフォトカプラ電流を発生させるように構成された回路である。フォトカプラ電流調整回路17は、電流源及び出力電圧検出回路19(電圧検出回路)を有する。
【0025】
電流源は、NMOSトランジスタMSF及び抵抗RSFを有する。電流源は、NMOSトランジスタMSFがONされると、抵抗RSFに電流を発生する。電流源の一端は、フォトカプラPC1のフォトダイオードのカソードに接続される。具体的には、NMOSトランジスタMSFのドレインは、フォトカプラPC1のフォトダイオードのカソードに接続される。NMOSトランジスタMSFのソースは、抵抗RSFの一端に接続される。抵抗RSFの他端は、グランド電位に接続される。つまり、電流源の他端(フォトダイオードのカソードとは反対側の一端)は、グランド電位に接続される。
【0026】
なお、本実施形態では、NMOSトランジスタMSF及び抵抗RSFを有する電流源を例示するが、これに限らない。例えば、NMOSトランジスタMSFに代えて、バイポーラトランジスタを用いることもできる。この場合、実施形態の説明において、NMOSトランジスタMSFのゲート、ソース及びドレインは、それぞれ、バイポーラトランジスタのベース、エミッタ及びコレクタに読み替えることができる。
【0027】
出力電圧検出回路19は、目標電圧値V
OUT1より低い出力電圧V
OUTに応じて、電流源のNMOSトランジスタM
SFのON/OFF動作を制御するように構成された回路である。具体的には、出力電圧検出回路19は、予め定められた出力電圧に関する検出電圧値V
OUT2(
図5及び
図6参照)より出力電圧V
OUTが低いとき、NMOSトランジスタM
SFをONにするように構成された回路である。後述するように、検出電圧値V
OUT2は、目標電圧値V
OUT1より小さいとする。また、出力電圧検出回路19は、出力電圧V
OUTが検出電圧値V
OUT2に達したとき、NMOSトランジスタM
SFをOFF状態にするように構成された回路である。
【0028】
図2は、実施形態に係る出力電圧検出回路19の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、出力電圧検出回路19は、NMOSトランジスタM
S11、抵抗R
S11、抵抗R
S12及び抵抗R
S13を有する。NMOSトランジスタM
S11のドレインは、抵抗R
S11を介して、プラス側の出力端子に接続される。NMOSトランジスタM
S11のドレイン及びゲートの間には、抵抗R
S12が接続される。NMOSトランジスタM
S11のゲート及びソースの間には、抵抗R
S13が接続される。NMOSトランジスタM
S11のソースは、グランド電位に接続される。また、NMOSトランジスタM
S11のドレインは、NMOSトランジスタM
SFのゲートに接続される。
【0029】
ここで、本実施形態に係るスイッチング電源装置1とは異なり、フォトカプラ電流調整回路17が搭載されていないスイッチング電源装置3について、
図3及び
図4を参照しつつ説明する。
【0030】
図3は、実施形態に係るスイッチング電源装置1とは異なり、フォトカプラ電流調整回路17が搭載されていないスイッチング電源装置3の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、スイッチング電源装置3には、
図1に示す実施形態に係るスイッチング電源装置1とは異なり、フォトカプラ電流調整回路17が搭載されていない。一方で、
図3のスイッチング電源装置3は、フォトカプラ電流調整回路17が搭載されていないこと以外、
図1に示す実施形態に係るスイッチング電源装置1と同一の構成を有する。
【0031】
図4は、
図3のスイッチング電源装置3における電源起動時の各信号の動作波形の一例を示す図である。
【0032】
スイッチング電源装置3が起動されたとき、1次側の一対の入力端子への入力電圧VINの供給が開始される。
【0033】
制御回路13は、キャパシタCINで安定化された入力電圧VINを入力し、入力電圧VINを電源電圧として用いて動作を開始する。制御回路13は、センス抵抗RSに発生するセンス電圧を入力し、センス電圧に基づいてPWM信号を生成し、生成されたPWM信号をNMOSスイッチングトランジスタMPWのゲートに出力する。また、1次巻線T1は、キャパシタCINで安定化された入力電圧VINを入力し、NMOSスイッチングトランジスタMPWのON/OFF動作により生じる励磁エネルギーを、2次巻線T2に伝達する。2次側の一対の出力端子は、2次巻線T2に接続されたダイオードD1及びキャパシタCOUTによる整流平滑回路からの出力電圧VOUTを出力する。
【0034】
出力電圧FB回路15は、出力電圧VOUTと、目標電圧値VOUT1との差分に応じた電流を発生する。例えばシャントレギュレータICは、出力電圧VOUTの抵抗R1及び抵抗R2による分圧と、目標電圧値VOUT1に応じて設定された基準電圧との差分に応じた吸込電流を発生する。したがって、シャントレギュレータICからの吸込電流の大きさは、出力電圧VOUTの増加に伴い増加する。
【0035】
なお、シャントレギュレータICからの吸込電流により発生する抵抗R4の電圧降下がフォトカプラPC1のフォトダイオードの順方向電圧より小さいとき、フォトトランジスタからのフォトカプラ電流は発生しない。このとき、式(1)により規定されるスイッチング電源装置3の出力電圧制御時のデューティDは、フォトカプラ電流ゼロによるデューティD1(最大)となる。
【0036】
その後、スイッチング電源装置3において出力電圧VOUTが目標電圧値VOUT1に達したとき、シャントレギュレータICからの吸込電流に応じた抵抗R4の電圧降下がフォトカプラPC1のフォトダイオードの順方向電圧を超える。これにより、フォトカプラPC1のフォトダイオードは、抵抗R4の電圧降下に応じた光量で発光する。また、フォトカプラPC1のフォトトランジスタは、ベース入力電流をフォトダイオードの光で入力し、その発光量に比例したフォトカプラ電流を発生する。なお、フォトトランジスタは、出力電圧VOUTが目標電圧値VOUT1に対して大きくなるほど、大きなフォトカプラ電流を発生する。
【0037】
制御回路13は、センス抵抗RSに発生するセンス電圧と、フォトカプラPC1のフォトトランジスタから吸込電流として出力されるフォトカプラ電流とを入力する。制御回路13は、センス電圧と、フォトカプラ電流に応じた電圧とに基づいてPWM信号を生成し、生成されたPWM信号をNMOSスイッチングトランジスタMPWのゲートに出力する。ここで、制御回路13は、フォトカプラ電流が大きいほど、NMOSスイッチングトランジスタMPWがONしている期間が短くなるように制御する。一例として、式(1)により規定されるスイッチング電源装置3の出力電圧制御時のデューティDは、シャントレギュレータICによる出力電圧制御によるデューティD3となる。シャントレギュレータICによる出力電圧制御によるデューティD3は、フォトカプラ電流ゼロによるデューティD1より小さい。
【0038】
このようにして、スイッチング電源装置3は、出力電圧VOUTが目標電圧値VOUT1に達したとき、フォトカプラ電流に基づくスイッチング制御を開始し、出力電圧VOUTが目標電圧値VOUT1になるように出力電圧制御を行う。
【0039】
しかしながら、出力電圧V
OUTが目標電圧値V
OUT1に達してからフォトカプラ電流による出力制御が開始されるまでには時間を要する。このフォトカプラPC
1の動作遅延に伴い、スイッチング電源装置3では、
図4に示すように、フォトカプラ電流による出力制御の開始は、出力電圧V
OUTが目標電圧値V
OUT1を超えた時点となり、出力電圧におけるオーバーシュートOSが発生する。
【0040】
そこで、本実施形態に係るスイッチング電源装置1は、
図1及び
図2を参照して上述したように、フォトカプラ電流調整回路17を搭載する。なお、以下の説明では、主として
図4を参照して説明した
図3のスイッチング電源装置3との相違点を説明する。
【0041】
図5は、実施形態に係る出力電圧検出回路19における電源起動時の各信号の動作波形の一例を示す図である。
図6は、実施形態に係るスイッチング電源装置1における電源起動時の各信号の動作波形の一例を示す図である。
【0042】
図5の上段は、出力電圧V
OUT及びNMOSトランジスタM
SFのゲート電圧の動作波形を例示する。
図5の上段において、縦軸及び横軸は、それぞれ電圧[V]及び時間[s]を示す。
図5の下段は、NMOSトランジスタM
SFのドレイン電流及びシャントレギュレータICのカソード電流の動作波形を例示する。
図5の下段において、縦軸及び横軸は、それぞれ電流[mA]及び時間[s]を示す。
【0043】
出力電圧検出回路19は、目標電圧値V
OUT1より低い出力電圧V
OUTに応じて、NMOSトランジスタM
SFのON/OFF動作を制御する。具体的には、
図2に示すように、NMOSトランジスタM
SFのゲート電圧は、出力電圧V
OUTの増加に伴い、抵抗R
S11及び(抵抗R
S12+抵抗R
S13)の分圧により徐々に増加する。したがって、
図5に示すように、目標電圧値V
OUT1より低い出力電圧V
OUTであっても、その増加に伴いNMOSトランジスタM
SFのゲート電圧が増加する。また、NMOSトランジスタM
SFのソース側には抵抗R
SFが設けられているため、NMOSトランジスタM
SFのドレイン電流もまた、出力電圧V
OUTの増加に伴い(線形比例して)増加する。このように、出力電圧検出回路19は、出力電圧V
OUTが検出電圧値V
OUT2より低いとき、NMOSトランジスタM
SFをONにして、抵抗R
SFに電流を発生させる。NMOSトランジスタM
SFのドレインがフォトカプラPC
1のフォトダイオードのカソードに接続されているので、NMOSトランジスタM
SF及び抵抗R
SFを含む電流源で発生する電流により、抵抗R
4の電圧降下を発生する。つまり、出力電圧検出回路19は、目標電圧値V
OUT1より低い出力電圧V
OUTであっても、
図6に示すように、出力電圧V
OUTに応じてフォトカプラ電流をフォトカプラPC
1のフォトダイオードに発生することができる。
【0044】
制御回路13は、センス抵抗RSに発生するセンス電圧と、フォトカプラPC1のフォトトランジスタから吸込電流として出力されるフォトカプラ電流に応じた電圧とに基づいてPWM信号を生成し、生成されたPWM信号をNMOSスイッチングトランジスタMPWのゲートに出力する。このとき、出力電圧VOUTの増加に伴いフォトカプラ電流が徐々に増加するように、式(1)により規定されるスイッチング電源装置1の出力電圧制御時のデューティDは、出力電圧検出によるデューティD2となる。出力電圧検出によるデューティD2は、フォトカプラ電流ゼロによるデューティD1より小さく、かつ、シャントレギュレータICによる出力電圧制御によるデューティD3より大きい。これにより、出力電圧VOUTは、なだらかに増加するようになる。
【0045】
また、出力電圧VOUTがさらに増加して検出電圧値VOUT2に達すると、出力電圧検出回路19において、抵抗RS12及び抵抗RS13の分圧によりNMOSトランジスタMS11のゲート-ソース間の電圧が増加する。これにより、NMOSトランジスタMS11がONされ、NMOSトランジスタMS11のドレイン電流によりNMOSトランジスタMSFがOFFされる。
【0046】
このようにして、出力電圧V
OUTが検出電圧値V
OUT2に達すると、NMOSトランジスタM
SFはOFF状態になる。つまり、出力電圧V
OUTが検出電圧値V
OUT2に達すると、フォトカプラ電流調整回路17は、電流源による電流の発生を停止する。これにより、フォトカプラPC
1のフォトダイオードにおけるフォトカプラ電流の発生が終了する。その後、
図3及び
図4を参照して説明したように、スイッチング電源装置1において、シャントレギュレータICによる出力電圧制御が開始される。
【0047】
なお、シャントレギュレータICの動作開始後にNMOSトランジスタMSFがON状態である場合、フォトカプラ電流は、シャントレギュレータICの動作により発生する電流と、フォトカプラ電流調整回路17により発生する電流とを含む。つまり、シャントレギュレータICの動作開始後にNMOSトランジスタMSFがON状態である場合、フォトカプラ電流の増加に伴いNMOSスイッチングトランジスタMPWのOFF時間が増加し、出力電圧VOUTが低下する場合がある。
【0048】
そこで、本実施形態に係るスイッチング電源装置1において、検出電圧値VOUT2は、目標電圧値VOUT1以下である。好ましくは、検出電圧値VOUT2は、目標電圧値VOUT1より小さい。具体的には、検出電圧値VOUT2は、シャントレギュレータICが出力電圧VOUTの上昇に伴い動作し始める前に、出力電圧検出回路19がNMOSトランジスタMSFをOFF状態にできるように設定されることが好ましい。
【0049】
以上説明したように、実施形態に係るスイッチング電源装置1は、フォトカプラ電流調整回路17を搭載する。フォトカプラ電流調整回路17は、フォトカプラPC1のフォトダイオードのカソードにドレインが接続されるNMOSトランジスタMSFと、NMOSトランジスタMSFのソースに接続される抵抗RSFとを有する。また、フォトカプラ電流調整回路17は、スイッチング電源装置1の2次側において、目標電圧値VOUT1以下の出力電圧VOUTを検出し、NMOSトランジスタMSFのON/OFF動作を制御する出力電圧検出回路19をさらに有する。
【0050】
この構成によれば、目標電圧値VOUT1より低い出力電圧VOUTに応じて、フォトカプラPC1にフォトカプラ電流を発生させることができる。したがって、実施形態に係る技術によれば、出力電圧VOUTが目標電圧値VOUT1以下の時点でフォトカプラ電流によるスイッチング制御を開始することができるため、電源起動時の出力電圧におけるオーバーシュートの発生を抑制することができる。
【0051】
(出力電圧検出回路の変形例)
なお、実施形態に係る出力電圧検出回路19は、
図2の構成に限らず、他の構成とすることもできる。
図7は、実施形態に係る出力電圧検出回路19の構成の別の一例を示す図である。
図7の出力電圧検出回路19は、抵抗R
S21、抵抗R
S22、抵抗R
S23、抵抗R
S24、抵抗R
S25、シャントレギュレータIC
S1及びコンパレータCOMP
S1を有する。
【0052】
コンパレータCOMPS1は、反転入力端子(-)と非反転入力端子(+)との間の電位差に応じた比較結果を出力する差動増幅回路(比較回路)である。コンパレータCOMPS1の電源端子の一方は、プラス側の出力端子に接続される。コンパレータCOMPS1の電源端子の他の一方は、グランド電位に接続される。コンパレータCOMPS1の反転入力端子(-)は、抵抗RS21を介して、プラス側の出力端子に接続される。また、コンパレータCOMPS1の反転入力端子(-)は、抵抗RS22を介して、グランド電位に接続される。コンパレータCOMPS1の非反転入力端子(+)は、シャントレギュレータICS1のカソード及びリファレンスに接続される。シャントレギュレータICS1のカソードとプラス側の出力端子との間には、抵抗RS23が接続される。シャントレギュレータICS1のアノードは、グランド電位に接続される。コンパレータCOMPS1の出力端子は、抵抗RS24を介して、NMOSトランジスタMSFのゲートに接続される。また、コンパレータCOMPS1の出力端子は、抵抗RS24及び抵抗RS25を介して、グランド電位に接続される。
【0053】
この構成によれば、コンパレータCOMPS1の出力が出力電圧VOUTの増加に伴い「H」になり、コンパレータCOMPS1の出力端子に抵抗RS24を介して接続されたNMOSトランジスタMSFをONすることができる。これにより、NMOSトランジスタMSFのドレイン電流を出力電圧VOUTに応じて増加させて、出力電圧VOUTが目標電圧値VOUT1以下の時点でフォトカプラ電流によるスイッチング制御を開始することができる。
【0054】
また、出力電圧VOUTが検出電圧値VOUT2まで増加したとき、抵抗RS21及び抵抗RS22の分圧により反転入力端子(-)の電位が増加する。一方で、非反転入力端子(+)の電位はシャントレギュレータICS1により一定電圧となっており、出力電圧VOUTが検出電圧値VOUT2まで増加したとき、反転入力端子(-)の電位が非反転入力端子(+)の電位を超えてコンパレータCOMPS1の出力は「L」になり、NMOSトランジスタMSFをOFFすることができる。これにより、出力電圧検出回路19は、目標電圧値VOUT1より低い出力電圧VOUTに応じてNMOSトランジスタMSFをONしつつ、シャントレギュレータICが出力電圧VOUTの上昇に伴い動作し始める前に、NMOSトランジスタMSFをOFFすることができる。
【0055】
(スイッチング電源装置の変形例)
なお、上述の実施形態では、PWM方式によりデューティDを変更する場合を例示したが、これに限らない。
図8は、実施形態に係るスイッチング電源装置1の構成の別の一例を示す図である。
【0056】
図8のスイッチング電源装置1において、トランス11は、補助巻線T
3をさらに有する。また、
図8のスイッチング電源装置1は、抵抗R
SUB、ダイオードD
SUB1、キャパシタC
SUB1及び抵抗R
ST1をさらに有する。
【0057】
補助巻線T3は、トランス11の1次側に設けられる。補助巻線T3には、ダイオードDSUB1及びキャパシタCSUB1による整流平滑回路が、抵抗RSUBを介して接続される。具体的には、補助巻線T3は、一端がグランド電位に接続され、他の一端が抵抗RSUBに接続される。抵抗RSUBの補助巻線T3とは反対側の一端は、ダイオードDSUB1のアノードに接続される。ダイオードDSUB1のカソードとグランド電位との間には、キャパシタCSUB1が接続される。キャパシタCSUB1は、補助巻線T3から供給される電荷を蓄える容量素子である。ダイオードDSUB1のカソードは、抵抗RST1と制御回路13との間に接続される。抵抗RST1は、プラス側の入力端子と、制御回路13との間に接続される。
【0058】
補助巻線T3には、1次巻線T1に流れる電流に対応して発生する電圧が発生する。制御回路13の電源端子へは、補助巻線T3に接続されたダイオードDSUB1及びキャパシタCSUB1による整流平滑回路からの電源電圧VDDが供給される。
【0059】
この構成であっても、上述の実施形態と同様にして、目標電圧値VOUT1より低い出力電圧VOUTに応じて、フォトカプラPC1にフォトカプラ電流を発生させることができる。したがって、上述の実施形態と同様にして、出力電圧VOUTが目標電圧値VOUT1以下の時点でフォトカプラ電流によるスイッチング制御を開始することができるため、電源起動時の出力電圧におけるオーバーシュートの発生を抑制することができる。
【0060】
また、
図8に示すスイッチング電源装置1においては、制御回路13の電源電圧VDDは、補助巻線T
3から供給されている。また、制御回路13はリンギングチョークコンバータ(RCC)のフォトカプラによる出力電圧制御のように、フォトカプラ電流が大きくなる出力の負荷電流が小さい時の不連続モードでスイッチング周波数が低く、フォトカプラ電流が小さくなる出力の負荷電流が大きく臨界モードでスイッチング周波数が高くなる出力電圧制御を行うとする。
図8に示すスイッチング電源装置1にフォトカプラ電流調整回路17が設けられていない場合、
図3に示すスイッチング電源装置3と同様に、電源起動時の出力電圧V
OUTの立ち上がりにオーバーシュートが発生する。シャントレギュレータICによる出力電圧制御においては、オーバーシュートによる高い出力電圧V
OUTが保持されてフォトカプラ電流が大きくなると、制御回路13によるNMOSスイッチングトランジスタM
PWへの信号のデューティDが小さく、さらにスイッチング周波数は低くなる。このため、NMOSスイッチングトランジスタM
PWのOFF時間が長くなり、スイッチング停止に伴いキャパシタC
SUB1に補助巻線T
3からの電荷が供給されなくなり、電源電圧VDDの低下が発生する。
【0061】
このような中、
図8に示すスイッチング電源装置1によれば、電源起動時の出力電圧におけるオーバーシュートの発生を抑制することができるため、NMOSスイッチングトランジスタM
PWのOFF時間の増加を防ぎ、スイッチング停止に伴う電源電圧VDDの低下の発生も抑制することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 スイッチング電源装置
11 トランス
13 制御回路
15 出力電圧フィードバック(FB)回路
17 フォトカプラ電流調整回路
19 出力電圧検出回路(電圧検出回路)
CIN,CNF,COUT,CSUB1 キャパシタ
COMPS1 コンパレータ
D1,DSUB1 ダイオード
IC,ICS1 シャントレギュレータ
MPW NMOSスイッチングトランジスタ
MS11,MSF NMOSトランジスタ
PC1 フォトカプラ
R1,R2,R3,R4,RNF,RS11,RS12,RS13,RS21,RS22,RS23,RS24,RS25,RSF,RST1,RSUB 抵抗
RS センス抵抗
T1 1次巻線
T2 2次巻線
T3 補助巻線