(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】曲げ規制具
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
H02G3/04 075
(21)【出願番号】P 2021011344
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】奥本 一哉
(72)【発明者】
【氏名】東山 正弘
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-284692(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0345245(US,A1)
【文献】特開2003-232937(JP,A)
【文献】特開2003-319539(JP,A)
【文献】特開2012-223013(JP,A)
【文献】特開2012-037694(JP,A)
【文献】特開2008-295289(JP,A)
【文献】特開2000-209732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスの配索経路における、曲げ変形された曲げ変形箇所において、該ワイヤハーネスに備えられたケーブルの曲げ部分であるケーブル曲げ部を、上記曲げ変形箇所に対応する所定の曲げ形状に規制する曲げ規制具であって、
上記ケーブル曲げ部が所定の曲げ形状に維持されるようにガイドするガイド部材が複数備えられ、
複数の上記ガイド部材は、上記ケーブル曲げ部の配索方向に沿って直列に配置され、
互いに隣接する一対の上記ガイド部材の対向部分には、
互いに回動自在に連結される連結部と、
上記ケーブル曲げ部の曲げ半径が、上記ケーブルの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように上記一対の上記ガイド部材の相対回動を規制する回動規制部とが設けら
れ、
第1ケーブルから構成される主線部と、所定の最小曲げ半径に規定された第2ケーブルから構成される副線部とが備えられた上記ワイヤハーネスにおける、上記副線部の曲げ部分である副線曲げ部が上記第2ケーブルの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように、上記ガイド部材は、上記主線部の曲げ部分である主線曲げ部とは独立して上記副線曲げ部をガイドする構成とした
曲げ規制具。
【請求項2】
上記ガイド部材は、上記主線曲げ部の配策方向の直交断面視において、該主線曲げ部の径方向に直交する直交方向における、上記主線曲げ部に対する少なくとも一方側に配置された上記副線曲げ部と、上記主線曲げ部との間に配置され、上記副線曲げ部をガイドする構成とした
請求項1に記載の曲げ規制具。
【請求項3】
複数の上記ガイド部材は、上記副線部の配索方向における、上記副線曲げ部と、該副線曲げ部に対して少なくとも一方側へ延伸する副線延伸部とをガイドする構成とし、
複数の上記ガイド部材のうち、上記副線延伸部に対応する部位には、該副線延伸部をガイドする副線延伸ガイド部材が配置された
請求項1又は2に記載の曲げ規制具。
【請求項4】
上記副線延伸ガイド部材は、上記副線部の配索方向における、上記副線曲げ部に対して両側に備えられ、
上記副線曲げ部に対して両側の上記副線延伸ガイド部材には、上記副線延伸部を保持する副線保持部が設けられた
請求項3に記載の曲げ規制具。
【請求項5】
上記副線保持部に、上記副線延伸部を径内側および径外側のうち、少なくとも一方側からガイドするガイド壁が備えられた
請求項4に記載の曲げ規制具。
【請求項6】
上記副線延伸ガイド部材には、該副線延伸ガイド部材を上記主線部に取り付ける主線取付け部を有しており、
上記主線取付け部は、上記副線部の上記配索方向において、上記副線延伸ガイド部材における、上記副線保持部に対して上記副線曲げ部の側と反対側の位置に設けられた
請求項4又は5に記載の曲げ規制具。
【請求項7】
上記連結部は、
互いに連結された一対の上記ガイド部材のうち、一方の上記ガイド部材における、他方の上記ガイド部材との上記対向部分に設けられた回動軸と、
他方の上記ガイド部材における、一方の上記ガイド部材との上記対向部分において、上記回動軸を軸支可能に設けられた軸支部とで構成され、
上記回動規制部は、上記軸支部と、一方の上記ガイド部材に設けられた回動規制突起とで構成され、
上記回動規制突起は、一対の上記ガイド部材が所定角度で相対回転時に、一方の上記ガイド部材における、上記軸支部に当接する箇所に設けられた
請求項1乃至6の何れか1項に記載の曲げ規制具。
【請求項8】
上記ガイド部材は、
上記副線部をガイドするガイド面を有する平板状に形成されるとともに、
一対の上記ガイド部材の上記対向部分において、板厚方向に互いに重合するように配置された
請求項1乃至7の何れか1項に記載の曲げ規制具。
【請求項9】
複数の上記ガイド部材は、夫々が直列に配置される直列配置方向において、上記板厚方向の一方側と他方側とに交互に配置された
請求項8に記載の曲げ規制具。
【請求項10】
上記ガイド部材は、合成樹脂で形成された
請求項1乃至9の何れか1項に記載の曲げ規制具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ワイヤハーネスの配索経路における、曲げ変形された曲げ変形箇所において、該ワイヤハーネスに備えられたケーブルの曲げ部分であるケーブル曲げ部を、上記曲げ変形箇所に対応する所定の曲げ形状に規制する曲げ規制具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両に搭載される死角検知用カメラなど各種電気・電子機器の高性能化、高機能化に伴って、車両内の通信情報量が増大している。これに伴って、車両内の情報伝達媒体として、導電性材質によって形成される導体を備えた通常のケーブルとしての第1のケーブルに加えて、伝送容量が、第1のケーブルよりも大きい例えば、光ファイバケーブル等の第2ケーブルが使用されるようになっている。第2ケーブルは、例えば、いわゆる伝送損失の発生やノイズの影響を極力抑制するために、一般に、曲げ部分の最小曲げ半径が、第1のケーブルの最小曲げ半径より大きな半径となることが要求される。
【0003】
一方、複数のケーブル(電線)を束ねて構成されるワイヤハーネスは、自動車等の車両における所定の配索経路に沿って配索される。ワイヤハーネスを構成する複数のケーブルのうち、少なくとも一部に、上述した第2ケーブルが含まれている場合、ワイヤハーネスの配索経路における、曲げ変形された曲げ変形箇所においても、第2ケーブルが最小曲げ半径を満たすようにワイヤハーネスを所定の曲げ形状に規制する必要がある。
【0004】
そこで、特許文献1に例示されるように、例えば、エンジンと車体ボディとの間に架け渡されるワイヤハーネスに外装して該ワイヤハーネスを所定の曲げ形状に規制する曲げ規制部材としての保護材が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1の保護材は、例えば、S字形状に屈曲されたチューブ状に形成され、この保護材にワイヤハーネスを挿通させることで、ワイヤハーネスを上記S字形状にガイドすることができる。
【0006】
ここで、一般に、ワイヤハーネスの配索経路上において、曲げ変形箇所は複数存在し、夫々曲げ半径等が異なる曲げ形状で曲げ変形されている。さらに、ワイヤハーネスの配索経路は、車両におけるワイヤハーネスの搭載箇所や、車種等に応じて異なるものである。
【0007】
しかし、特許文献1の保護材は、例えば、繊維強化樹脂等の材料により、該保護材自体の形状が一定の曲げ形状に保たれる剛性を有して形成された構成においては、曲げ変形箇所が保護材自体の曲げ形状とは異なる曲げ形状である場合、ワイヤハーネスの曲げ部分を適切な曲げ形状に規制することができないおそれがある。
【0008】
そうすると、特許文献1の保護材は、ワイヤハーネスの配索経路上に複数存在する曲げ変形箇所における、ワイヤハーネスの曲げ部分の様々な曲げ形状に対応して複数備える必要があり、製造効率や在庫管理効率の点で難点がある。
【0009】
なお、特許文献1の保護材は、例えば、繊維強化ゴム等の材料により弾性変形可能に形成された構成を採用することができる。この場合、曲げ変形箇所が保護材自体の定常時(非弾性変形時)における曲げ形状とは異なる曲げ形状であって、特許文献1の保護材が該異なる曲げ形状に弾性変形することで異なる曲げ変形箇所に対応できるとも考えられる。
【0010】
しかし、特許文献1の保護材は、弾性力によって元の形状に復元しようとするため、ワイヤハーネスの曲げ部を所定の曲げ形状に規制された状態を維持するためには、保持部の復元力に抗して該曲げ部を所定の曲げ形状に維持するための工夫が別途必要となるという点で不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、ワイヤハーネスの配索経路における、曲げ変形された様々な曲げ変形箇所に対応して、ワイヤハーネスが所定の曲げ半径よりも大きな曲げ半径となるように曲げ規制できる曲げ規制具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の曲げ規制具は、ワイヤハーネスの配索経路における、曲げ変形された曲げ変形箇所において、該ワイヤハーネスに備えられたケーブルの曲げ部分であるケーブル曲げ部を、上記曲げ変形箇所に対応する所定の曲げ形状に規制する曲げ規制具であって、上記ケーブル曲げ部が所定の曲げ形状に維持されるようにガイドするガイド部材が複数備えられ、複数の上記ガイド部材は、上記ケーブル曲げ部の配索方向に沿って直列に配置され、互いに隣接する一対の上記ガイド部材の対向部分には、互いに回動自在に連結される連結部と、上記ケーブル曲げ部の曲げ半径が、上記ケーブルの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように上記一対の上記ガイド部材の相対回動を規制する回動規制部とが設けられ、第1ケーブルから構成される主線部と、所定の最小曲げ半径に規定された第2ケーブルから構成される副線部とが備えられた上記ワイヤハーネスにおける、上記副線部の曲げ部分である副線曲げ部が上記第2ケーブルの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように、上記ガイド部材は、上記主線部の曲げ部分である主線曲げ部とは独立して上記副線曲げ部をガイドする構成としている。
【0014】
上記構成によれば、複数の上記ガイド部材が互いに回動自在に連結部によって連結されているため、互いに連結された一対の上記ガイド部材を相対回動させることで、複数の上記ガイド部材をケーブル曲げ部に応じた所定の曲げ形状に沿って直列に配置することができる。
【0015】
従って、曲げ規制具は、複数の上記ガイド部材によってケーブル曲げ部を所定の曲げ形状にガイドすることができる。例えば、上記曲げ規制具は、上記ケーブル曲げ部の曲率が途中で変化しても、それに対応して複数の上記ガイド部材によって、該ケーブル曲げ部を所定の曲げ形状にガイドすることができる。
【0016】
さらに上記構成によれば、回動規制部によって、ケーブル曲げ部の曲げ半径がケーブルの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように互いに連結された上記ガイド部材同士の相対回動を規制することができる。
【0017】
なお、互いに連結された一対の上記ガイド部材が、複数存在する場合は、複数存在する一対の上記ガイド部材は、夫々異なる相対角度であってもよい。
【0018】
また、第1ケーブルから構成される主線部と、所定の最小曲げ半径に規定された第2ケーブルから構成される副線部とが備えられた上記ワイヤハーネスにおける、上記副線部の曲げ部分である副線曲げ部が上記第2ケーブルの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように、上記ガイド部材は、上記主線部の曲げ部分である主線曲げ部とは独立して上記副線曲げ部をガイドする構成としている。
【0019】
上記構成によれば、上記ワイヤハーネスの上記曲げ変形箇所において、上記主線曲げ部の曲げ半径に関わらず、上記副線曲げ部の曲げ半径が第2ケーブルの最小曲げ半径以上の曲げ半径になるように上記副線曲げ部を規制することができる。
【0020】
ここで、上記第1のケーブルは、通常の導電性材質から成るケーブルを挙げることができる。これに対して、上記2ケーブルは、車載カメラの映像信号を伝送する通信ケーブルとしての品質を満足することは勿論、上記通信ケーブルとして適用するうえで所定の規格に準拠するという観点からも、第1のケーブルよりも大きな最小曲げ半径とすることが要求されるケーブルを挙げることができる。
【0021】
上記第2ケーブルは、光通信ケーブル(光ファイバケーブル)、同軸ケーブル、或いはツイスト・ペア・ケーブルも含み、第2ケーブルが適用される通信方法として、例えば、GMSL(Gigabit Multimedia Serial Link)といった高速通信ケーブル用の規格が挙げられる。
【0022】
この発明の態様として、上記ガイド部材は、上記主線曲げ部の配策方向の直交断面視において、該主線曲げ部の径方向に直交する直交方向における、上記主線曲げ部に対する少なくとも一方側に配置された上記副線曲げ部と、上記主線曲げ部との間に配置され、上記副線曲げ部をガイドする構成としてもよい。
【0023】
上記構成によれば、上記副線曲げ部は、上記主線曲げ部に対して、上記直交方向の両側のうち、少なくとも一方側に配索されるとともに、上記ガイド部材は、上記副線曲げ部と上記主線曲げ部との間に配置されている。このため、上記ワイヤハーネスの上記曲げ変形箇所において、上記副線曲げ部が、上記主線曲げ部とは異なる曲げ形状(曲げ半径)で上記ガイド部材によってガイドされる場合においても、上記副線曲げ部および上記ガイド部材を上記主線曲げ部と干渉することなく配置することができる。
【0024】
この発明の態様として、複数の上記ガイド部材は、上記副線部の配索方向における、上記副線曲げ部と、該副線曲げ部に対して少なくとも一方側へ延伸する副線延伸部とをガイドする構成とし、複数の上記ガイド部材のうち、上記副線延伸部に対応する部位には、該副線延伸部をガイドする副線延伸ガイド部材が配置されてもよい。
【0025】
上記構成によれば、上記副線延伸ガイド部材を、上記副線延伸部に対して絶縁テープで巻き付けるなどにより一体に取り付けるなどにより、副線曲げ部に対して少なくとも一方側から上記副線延伸ガイド部材によって、上記副線曲げ部が第2ケーブルの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるようにガイドすることができる。
【0026】
この発明の態様として、上記副線延伸ガイド部材は、上記副線部の配索方向における、上記副線曲げ部に対して両側に備えられ、上記副線曲げ部に対して両側の上記副線延伸ガイド部材には、上記副線延伸部を保持する副線保持部が設けられてもよい。
【0027】
上記構成によれば、上記副線部の配索方向における、上記副線曲げ部に対して両側の上記副線保持部によって、夫々に対応する上記副線延伸部を保持することができ、結果として上記副線曲げ部が所定の曲げ形状に維持されるようにしっかりと保持することができる。
【0028】
この発明の態様として、上記副線保持部に、上記副線延伸部を径内側および径外側のうち、少なくとも一方側からガイドするガイド壁が備えられてもよい。
【0029】
上記構成によれば、上記副線保持部には、上記副線延伸部を上記副線曲げ部の径方向においてガイドするガイド壁が備えられているため、上記副線曲げ部を所定の曲げ形状に維持されるように径方向においてしっかりとガイドすることができる。
【0030】
しかも、上記副線保持部に備えられたガイド壁は、上記副線延伸部を、上記副線曲げ部の径方向においてガイドするため、上記副線曲げ部の曲げ形状の違い(曲げ半径の大小)の影響を受けることがなく、該副線曲げ部が所望の曲げ形状になるようにガイドすることができる。
【0031】
この発明の態様として、上記副線延伸ガイド部材には、該副線延伸ガイド部材を上記主線部に取り付ける主線取付け部を有しており、上記主線取付け部は、上記副線部の上記配索方向において、上記副線延伸ガイド部材における、上記副線保持部に対して上記副線曲げ部の側と反対側の位置に設けられてもよい。
いる。
【0032】
上記構成によれば、複数の上記ガイド部材を直列に配置した方向(直列配置方向)の両側のガイド部材に相当する上記副線延伸ガイド部材(主線線取付け部)を、上記主線部に取り付けることができる。これにより、複数の上記ガイド部材が、夫々の連結部分において意に反して回動することを抑制することができる。
【0033】
すなわち、上記副線延伸ガイド部材に備えられた上記主線取付け部を主線に取り付けることで、複数の上記ガイド部材を、所定の曲げ形状に沿った配置形態に維持し易くなるため、結果として複数の上記ガイド部材による、上記副線曲げ部のガイド機能を高めることができる。
【0034】
この発明の態様として、上記連結部は、互いに連結された一対の上記ガイド部材のうち、一方の上記ガイド部材における、他方の上記ガイド部材との上記対向部分(連結部分)に設けられた回動軸と、他方の上記ガイド部材における、一方の上記ガイド部材との上記対向部分において、上記回動軸を軸支可能に設けられた軸支部とで構成され、上記回動規制部は、上記軸支部と、一方の上記ガイド部材に設けられた回動規制突起とで構成され、上記回動規制突起は、一方の上記ガイド部材と他方の上記ガイド部材とが所定角度で相対回転時に、一方の上記ガイド部材における、上記軸支部に当接する箇所に設けられてもよい。
【0035】
上記構成によれば、互いに連結された一対のガイド部材が所定角度になるまで相対回転した時に、上記回動規制突起が上記軸支部に当接することで、上記一対のガイド部材のそれ以上の相対回動を規制することができる。
【0036】
これにより上述したように、曲げ規制具は、ケーブル曲げ部の曲げ半径がケーブルの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように、互いに連結された一対の上記ガイド部材の相対回動を規制することができる。
【0037】
また、連結部の構造の一部と、回動規制部の一部とを、上記軸支部によって兼用することで、全体としての構造を簡素化することができる。
【0038】
ここで、上記所定角度とは、複数の上記ガイド部材の夫々を、第2ケーブルの最小曲げ半径以上の所定の曲げ半径を有する曲げ形状となるように配置した場合の、互いに連結された一対の上記ガイド部材のなす角度を示す。
【0039】
この発明の態様として、上記ガイド部材は、副線部をガイドするガイド面を有する平板状に形成されるとともに、一対の上記ガイド部材の上記対向部分において、板厚方向に互いに重合するように配置されている。
【0040】
上記構成によれば、一対の上記ガイド部材は、板厚方向に対向する同士が接触した状態で滑らかに相対回転させることができる。
【0041】
この発明の態様として、複数の上記ガイド部材は、夫々が直列に配置される直列配置方向において、上記板厚方向の一方側と他方側とに交互に配置されてもよい。
【0042】
上記構成によれば、複数の上記ガイド部材を上記直列配置方向において、上記板厚方向に互い違いに配置することで、複数の上記ガイド部材を、例えば、上記直列配置方向の一方側から他方側に沿って、板厚方向の一方側からのみ重合するように階段状に配置した場合と比して、複数の上記ガイド部材が板厚方向に傾くように配置されることを抑制することができる。
【0043】
これにより、複数の上記ガイド部材を、上記板厚方向において略水平になるように上記直列配置方向に沿って配置することができる。
【0044】
この発明の態様として、上記ガイド部材は、合成樹脂で形成されてもよい。
【0045】
上記構成によれば、上記ガイド部材は、エラストマー系の樹脂やゴム等よりも硬質な合成樹脂で形成されるため、一対の上記ガイド部材の相対回動を規制時に上記回動規制突起が上記軸支部に当接した際に、これら上記回動規制突起や上記軸支部等が意に反して弾性変形することがない。
【0046】
従って、互いに連結された一対のガイド部材の相対回動を厳密に規制することができ、結果として複数のガイド部材を所望の曲げ半径を正確に保つことができる。
【発明の効果】
【0047】
上記構成によれば、ワイヤハーネスの配索経路における、曲げ変形された様々な曲げ変形箇所に対応して、ワイヤハーネスが所定の曲げ半径よりも大きな曲げ半径となるように曲げ規制できる曲げ規制具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本実施形態の曲げ規制具を備えたワイヤハーネスの曲げ変形箇所およびその周辺部を示す外観図
【
図2】本実施形態の曲げ規制具を備えたワイヤハーネスの曲げ変形箇所およびその周辺部を示す平面図
【
図3】(a)は
図2中のA-A線に沿った要部拡大断面図、(b)は
図2中のB-B線に沿った要部拡大断面図、(c)は
図2中のC-C線に沿った要部拡大断面図
【
図4】(a)は本実施形態の曲げ規制具を上方から視た外観図、(b)は本実施形態の曲げ規制具を下方から視た外観図
【
図5】(a)は本実施形態の曲げ規制具の平面図、(b)は本実施形態の曲げ規制具を配索方向の他方側から視た側面図、(c)は本実施形態の曲げ規制具を配索方向の一方側から視た側面図
【
図6】(a)は本実施形態の曲げ規制具の底面図、(b)は
図5(a)中のD-D線に沿った要部拡大断面図
【
図7】(a)、(b)は回動規制部の構成の違いに応じて、互いに隣接する一対のガイド部材の対向部分を、
図5(c)中のE-E線に沿った要部断面により拡大して夫々示した、連結部および回動規制部の構成説明図
【
図8】本発明の曲げ規制具の他の適用例を示すワイヤハーネスの曲げ変形箇所およびその周辺部を示す外観図
【発明を実施するための形態】
【0049】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
自動車等の車両には、例えば、バッテリー(電源)(図示略)と各種電気部品(図示略)とを繋ぐように複数のワイヤハーネス1が配索されている。
図1、
図2は、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおいて、曲げ変形されたワイヤハーネス1の曲げ変形箇所Raを示している。
【0050】
なお、図中、矢印Wはワイヤハーネス1の配索方向、矢印Zは曲げ変形箇所Raの上下方向、矢印Dは曲げ変形箇所Raの径方向を示している。矢印Wsはワイヤハーネス1の配索方向の一方側、矢印Wtはワイヤハーネス1の配索方向の他方側を示している。矢印Zuは曲げ変形箇所Raの上方向、矢印Zdは曲げ変形箇所Raの下方向、矢印Doは曲げ変形箇所Raの径方向外側(径外方向)、矢印Diは曲げ変形箇所Raの径方向内側(径内方向)を示している。また図中のワイヤハーネス1の断面において、主線部2および副線部3の内部構造の詳細は省略している。
【0051】
ワイヤハーネス1は、曲げ変形箇所Raにおいて、該曲げ変形箇所Raに対して一方側Wsと他方側Wtとの夫々の配索方向の違いに応じた角度で曲げ変形されている。本実施形態においては
図1、
図2に示すように、ワイヤハーネス1は、曲げ変形箇所Raにおいて、略直角に方向転換するように緩やかな円弧形状に曲げ変形されている。なお、本実施形態において、ワイヤハーネス1は、便宜上、曲げ変形箇所Raおよびその周辺の配索箇所において、水平に配索されているが、水平方向に加え、鉛直方向や斜め方向に曲げて配索されてもよい。
【0052】
図1、
図2に示すように、本実施形態のワイヤハーネス1は、主線部2と副線部3とが備えられ、共にワイヤハーネス1の配索経路Rに沿って配索されている。
【0053】
すなわち、
図1に示すように、副線部3は、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、少なくとも曲げ変形箇所Raにおいて、主線部2に対して上方位置において並列配置されている。
【0054】
主線部2と副線部3とは、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、曲げ変形箇所Raにおいて、ワイヤハーネス1の配索方向Wに沿って、夫々の曲げ形状(曲げ半径)で配索されている。
【0055】
換言すると、副線部3は、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、少なくとも曲げ変形箇所Raにおいて、主線部2に沿って配索されながらも主線部2とは独立した曲げ形状で配索されている。
【0056】
なお、本実施形態において、副線部3は、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、少なくとも曲げ変形箇所Raおよび周辺部において、主線部2と並列配置されているため、副線部3と主線部2との夫々の配索方向は、ワイヤハーネス1の配索方向Wと一致するものとする。
【0057】
また、図示省略するが、本実施形態の主線部2と副線部3とは、ワイヤハーネス1の配索方向Wにおける、曲げ変形箇所Raから両側Ws,Wtへ延伸する延伸部分における、曲げ変形箇所Raの周辺部よりもさらに延伸する部分において、互いに合流した状態で配索されている。
【0058】
主線部2は、少なくとも1本の第1ケーブル2Cで構成されるとともに、副線部3は、少なくとも1本の第2ケーブル3Cで構成されている。本実施形態において主線部2は、複数本の第1ケーブル2Cを束ねて構成されるのに対して、副線部3は、1本の第2ケーブル3Cで構成されている。
【0059】
第1ケーブル2Cと第2ケーブル3Cとは、曲げ特性(最小曲げ半径)の違いに応じて設定されており、ワイヤハーネス1は、これら第1ケーブル2Cと第2ケーブル3Cとの少なくとも2種類のケーブルが備えられている。
【0060】
第1ケーブル2Cは、例えば、通常の導電性材質で形成された導体を有するケーブルである。一方、第2ケーブル3Cは、伝送容量が第1ケーブル2Cより大きい例えば、光ファイバケーブル等の高速通信ケーブルである。
【0061】
第2ケーブル3Cの最小曲げ半径は、該第2ケーブル3Cを曲げ変形させた際に、例えば、いわゆる伝送損失やノイズ等の影響を抑制する観点で要求される性能を満足する曲げ半径に設定されている。
【0062】
具体的に、第2ケーブル3Cは、ワイヤハーネス1における曲げ変形箇所Raにおいて、第1ケーブル2Cの最小曲げ半径よりも大きな最小曲げ半径に設定されている。すなわち、第2ケーブル3Cは、第1ケーブル2Cよりも緩やかな曲げ形状となる最小曲げ半径に設定されている。
【0063】
ワイヤハーネス1における曲げ変形箇所Raには、主線部2の曲げ部分である主線曲げ部2aが構成されるとともに、副線部3の曲げ部分である副線曲げ部3aが構成されている。すなわち、複数本の第1ケーブル2Cは、主線曲げ部2aにおいて曲げ変形されるとともに、1本の第2ケーブル3Cは、副線曲げ部3aにおいて曲げ変形されている。
【0064】
副線部3の配索方向Wにおける、該副線曲げ部3aに対して両側Ws,Wtには、副線曲げ部3aの各側の端部から略直線状に延伸する副線延伸部3bが構成されている。主線部2の配索方向Wにおける、該主線曲げ部2aに対して両側Ws,Wtには、主線曲げ部2aの夫々に対応する側の端部から略直線状に延伸する主線延伸部2bが構成されている。
【0065】
なお、本実施形態においては、主線延伸部2bと副線延伸部3bとは、何れもワイヤハーネス1の曲げ変形箇所Raから両側Ws,Wtへ延伸する延伸部分における、曲げ変形箇所Raの周辺部に相当する部位を示すものとする。
【0066】
本実施形態のワイヤハーネス1には、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、少なくとも曲げ変形箇所Raにおいて曲げ規制具10を備えている。本実施形態の曲げ規制具10は、主線曲げ部2aと副線曲げ部3aとのうち、副線曲げ部3aが第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の所定の曲げ半径となるように曲げ規制する。
【0067】
図1、
図2、
図3(a)(b)(c)、
図4(a)(b)、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)(b)に示すように、曲げ規制具10は、副線曲げ部3aが第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の所定の曲げ半径を有する略円弧形状に維持されるように主線部2とは独立して副線部3をガイドする複数(当例では5枚)のガイド部材11として副線曲げガイド部材12と副線延伸ガイド部材13とが備えられている。
【0068】
図1、
図2に示すように、複数のガイド部材11は、副線部3の配索方向Wにおける、副線曲げ部3aと、該副線曲げ部3aに対して両側Ws,Wtの副線延伸部3bとに亘って直列に配置されている。
【0069】
副線曲げガイド部材12は、副線曲げ部3aをガイドするために、該副線曲げ部3aに対応する部位に配置され、副線部3の配索方向Wにおける、副線曲げ部3aに対応して複数(当例では3枚)が備えられている。すなわち、副線曲げガイド部材12は、直列に配置された複数のガイド部材11のうち、後述する一対の副線延伸ガイド部材13の間に位置する各ガイド部材11に相当する。
【0070】
本実施形態において、副線曲げガイド部材12は、副線曲げ部3aの配索方向Wの中間に位置する中間副線曲げガイド部材12mと、中間副線曲げガイド部材12mに対して各側に位置する外側副線曲げガイド部材12t,12sとの合計3枚が備えられている。
【0071】
なお、以下の説明において、3枚の外側副線曲げガイド部材12のうち、副線部3の配索方向Wにおける、中間副線曲げガイド部材12mに対して一方側Wsを一方側外側副線曲げガイド部材12sとも称するとともに、他方側Wtを他方側外側副線曲げガイド部材12tとも称する。
【0072】
一方、副線延伸ガイド部材13は、副線延伸部3bをガイドするために、該副線延伸部3bに対応する部位に配置されている。副線延伸ガイド部材13は、副線部3の配索方向Wにおける、副線曲げ部3aに対して一方側Wsに位置する副線延伸部3bと、他方側Wtに位置する副線延伸部3bとの夫々に対応して1枚ずつ合計2枚が備えられている。すなわち、副線延伸ガイド部材13は、直列に配置された複数のガイド部材11のうち、両端に位置する各ガイド部材11に相当する。
【0073】
なお、以下の説明において、2枚の副線延伸ガイド部材13のうち、副線部3の配索方向Wにおける、一方側Wsを一方側副線延伸ガイド部材13sとも称するとともに、他方側Wtを他方側副線延伸ガイド部材13tとも称する。
【0074】
複数のガイド部材11は、何れも合成樹脂材料を用いて主要部が板状に成形されている。3枚の副線曲げガイド部材12は、夫々略同じ形状および大きさに形成されるとともに、2枚の副線延伸ガイド部材13は、夫々略同じ形状および大きさに形成されている。
【0075】
また、本実施形態において3枚の副線曲げガイド部材12は、副線延伸ガイド部材13よりも板厚が若干厚く形成されているが、複数のガイド部材11は、略同じ板厚に形成されている。
【0076】
図1、
図2、
図3(a)(b)(c)に示すように、複数のガイド部材11は、主線部2の上方かつ副線部3の下方に配置され、こられ主線部2と副線部3との間において、各ガイド部材11の板厚方向が上下方向Zに略一致するように配置されている。
【0077】
さらに、複数のガイド部材11は、何れも平面視で、副線部3の配索方向W(ガイド部材11の長手方向Y(
図5参照))の長さが、平面視で副線部3の配索方向Wに直交する方向の長さ(ガイド部材11の幅方向X(同図参照))に対して長い長方形状に形成されている。複数のガイド部材11は、副線部3を下方からガイド(支持)可能に上面が、略平坦状に形成されたガイド面12a,13aとして形成されている。
【0078】
複数のガイド部材11は、夫々が副線部3の配索方向W(複数のガイド部材11が直列に配置される直列配置方向)に沿って、上下方向Z(板厚方向)の一方側と他方側とに交互に配置されるとともに、互いに隣接する一対のガイド部材11の端部同士が上下方向Zに重合(対向)するように配置されている。
【0079】
具体的には、特に
図4(a)(b)、
図6(b)に示すように、中間副線曲げガイド部材12mと一方側副線延伸ガイド部材13sとは、これらの間に位置する一方側外側副線曲げガイド部材12sよりも下方に配置されている。同様に、中間副線曲げガイド部材12mと他方側副線延伸ガイド部材13tとは、これらの間に位置する他方側外側副線曲げガイド部材12tよりも下方に配置されている。
【0080】
図4(a)(b)、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)(b)に示すように、複数のガイド部材11のうち、互いに隣接する一対のガイド部材11の夫々における対向部分には、該対向部分を回動自在に連結する連結部14(15,16)と、一対のガイド部材11の相対回動を規制する回動規制部18(16,19(22))とが設けられている。
【0081】
すなわち、連結部14と回動規制部18は共に、互いに隣接する一対の副線曲げガイド部材12の対向部分のみならず、互いに隣接する副線曲げガイド部材12と副線延伸ガイド部材13との対向部分にも設けられている。
【0082】
連結部14は、回動軸15と、回動軸15を軸支する軸支部16とで構成され、これら回動軸15と軸支部16とによって互いに連結された一対のガイド部材11を互いに回動自在に連結する。
【0083】
図5(a)、
図6(a)(b)、
図7(a)(b)に示すように、回動軸15は、副線部3の配索方向Wにおいて互いに隣接する一対のガイド部材11の対向部分ごとにおいて、他方側Wtのガイド部材11における、一方側Wsのガイド部材11と隣接する側の端部に設けられている。
【0084】
なお、
図7(a)は、中間副線曲げガイド部材12mと一方側外側副線曲げガイド部材12sとの連結部分を、
図7(b)は、他方側外側副線曲げガイド部材12tと他方側副線延伸ガイド部材13tとの連結部分を、夫々
図5(c)中のE-E線に沿った断面により示した要部拡大図である。
【0085】
本実施形態においては、
図6(b)に示すように、回動軸15は、一方側外側副線曲げガイド部材12sにおける、一方側副線延伸ガイド部材13sと隣接する側の端部に設けられている。同様に、回動軸15は、中間副線曲げガイド部材12mにおける、一方側外側副線曲げガイド部材12sと隣接する側の端部に設けられるとともに、他方側外側副線曲げガイド部材12tにおける、中間副線曲げガイド部材12mと隣接する側の端部に設けられている。さらに、回動軸15は、他方側副線延伸ガイド部材13tにおける、他方側外側副線曲げガイド部材12tと隣接する側の端部に設けられている。
【0086】
このように、回動軸15は、複数のガイド部材11のうち、一方側副線延伸ガイド部材13sを除く全てのガイド部材11(他方側副線延伸ガイド部材13tおよび3枚の副線曲げガイド部材12)の夫々における、長手方向Yの一方側Wsの端部に設けられている。
【0087】
本実施形態においては、中間副線曲げガイド部材12mと他方側副線延伸ガイド部材13tとに形成された回動軸15は、夫々に対応するガイド部材12m,13tのガイド面12a,13a(上面)から上方に向けて突出形成されている。
【0088】
一方、一方側外側副線曲げガイド部材12sと他方側外側副線曲げガイド部材12tとに形成された回動軸15は、夫々に対応するガイド部材12s,12tの下面から下方に向けて突出形成されている。
【0089】
すなわち、回動軸15は、一方側副線延伸ガイド部材13sを除くガイド部材11の上下各側の面のうち、一方側Wsのガイド部材11が重合する側の面から板厚方向に突出形成されている。
【0090】
さらに、
図5(b)(c)、
図6(b)に示すように、回動軸15は、一方側Wsのガイド部材11に形成された軸支部16に軸支可能(すなわち回動自在に係止可能)に、該一方側Wsのガイド部材11の板厚よりも若干長い突出長さで円柱状に形成されている。
【0091】
さらにまた、
図6(b)、
図7(a)(b)に示すように、回動軸15は、回動軸本体部15aと、該回動軸15の突出方向の先端部に備えられた拡径部15bとで一体に形成されている。拡径部15bは、一方側Wsのガイド部材11に形成された軸支部16に対して板厚方向に抜けないように、回動軸本体部15aと比して大径に形成されている。
【0092】
図5(a)、
図6(a)(b)、
図7(a)(b)に示すように、軸支部16は、副線部3の配索方向Wにおいて互いに隣接する一対のガイド部材11のうち、一方側Wsのガイド部材11における、他方側Wtのガイド部材11と隣接する側の端部に設けられている。
【0093】
本実施形態においては、
図6(b)に示すように、軸支部16は、一方側副線延伸ガイド部材13sにおける、一方側外側副線曲げガイド部材12sと隣接する側の端部に設けられている。同様に、軸支部16は、一方側外側副線曲げガイド部材12sにおける、中間副線曲げガイド部材12mと隣接する側の端部に設けられるとともに、中間副線曲げガイド部材12mにおける、他方側外側副線曲げガイド部材12tと隣接する側の端部に設けられている。さらに、軸支部16は、他方側外側副線曲げガイド部材12tにおける、他方側副線延伸ガイド部材13tと隣接する側の端部に設けられている。
【0094】
このように、軸支部16は、複数のガイド部材11のうち、他方側副線延伸ガイド部材13tを除く全てのガイド部材11(一方側副線延伸ガイド部材13sおよび3枚の副線曲げガイド部材12)の夫々における、長手方向Yの他方側Wtの端部に設けられている。
【0095】
図7(a)(b)に示すように、軸支部16は、一方側Wsのガイド部材11における、他方側Wtのガイド部材11と隣接する側の端部に形成された嵌合溝17の周縁によって回動軸15を軸支可能に形成されている。
【0096】
嵌合溝17は、一方側Wsのガイド部材11の幅方向Xの中間位置において、長手方向Yの他方側Wtの端部から一方側Wsへ沿って切り欠き状に形成されるとともに板厚方向に貫通形成されている。これにより、嵌合溝17の溝形成方向(Y)の他方側Wtの端部には、該他方側Wtに向けて開口する開口部17aが形成されている。
【0097】
嵌合溝17の長手方向Yの一方側Wsの部位17b(つまり嵌合溝17の奥部17b)は、回動軸15を板厚方向に挿通可能に回動軸15よりも若干大きな内径を有する平面視円弧状に形成されている。具体的には、嵌合溝17の長手方向Yの一方側Wsの部位17bは、回動軸15の回動軸本体部15aよりも若干大径に形成されるとともに、回動軸15の拡径部15bよりも小径に形成されている(
図6(b)、
図7(a)(b)参照)。
【0098】
一方、嵌合溝17の開口部17aは、該開口部17aを通じて回動軸15が嵌合溝17の外側へ抜けないように、回動軸15が開口部17aの縁部に係止可能に嵌合溝17の長手方向Yの一方側Wsの部位17bよりも幅小に形成されている。
【0099】
上記構成により、軸支部16は、嵌合溝17の開口部17aの縁部を含めた周縁に形成されている。そして、互いに隣接する一対のガイド部材11の端部同士を板厚方向に重合させた状態において、嵌合溝17に差し込まれた回動軸15は、軸支部16によって軸支(回動自在に係止)された状態となる。
【0100】
また、
図4(a)(b)、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)(b)、
図7(a)(b)に示すように、上記回動規制部18は、軸支部16と回動規制突起19(22)とで構成されている。
回動規制部18は、複数のガイド部材11のうち、互いに隣接する一対のガイド部材11の対向部分ごとに形成されている。
【0101】
但し、
図5(a)、
図6(b)、
図7(b)に示すように、他方側副線延伸ガイド部材13tの回動規制突起(22)については、他のガイド部材11の回動規制突起19と異なり、回動規制機能を有する後述する副線保持部22(一対のガイド壁22o,22i)によって構成されている。なお、副線保持部22が有する回動規制機能については後述する。
【0102】
図6(b)に示すように、回動規制突起19は、後述する副線保持部22も含めて互いに隣接する一対のガイド部材11同士の対向部分のうち、回動軸15と同様に他方側Wtのガイド部材11の側に形成されている。
【0103】
具体的に、複数のガイド部材11のうち、3枚の副線曲げガイド部材12にのみ夫々形成された回動規制突起19は、回動軸15と同様に副線曲げガイド部材12の長手方向(X)における、一方側Wsの端部に形成されている。
【0104】
回動規制突起19は、副線曲げガイド部材12の板厚方向の両側のうち、回動軸15を設けた側の面から回動軸15と同一方向に突出形成されるとともに、副線曲げガイド部材12の板厚相当の突出長さで円柱状に突出形成されている。
【0105】
本実施形態においては、
図6(b)に示すように、3枚の副線曲げガイド部材12のうち、一方側外側副線曲げガイド部材12sと、他方側外側副線曲げガイド部材12tとに形成された回動規制突起19は、夫々に対応するガイド部材12s,12tの下面から下方に向けて突出形成されている。
【0106】
一方、3枚の副線曲げガイド部材12のうち、中間副線曲げガイド部材12mに形成された回動規制突起19は、ガイド面12a(上面)から上方に向けて突出形成されている。
【0107】
回動規制突起19は、副線曲げガイド部材12の長手方向(X)における、一方側Wsにおける、幅方向Xの中間位置かつ回動軸15よりも長手方向Yの他方側Wt寄りの位置に形成されている。
【0108】
換言すると、
図7(a)に示すように、互いに連結された一対のガイド部材11のうち、一方側Wsを、他方側Wtに対して連結部14(回動軸15)を中心として回動させる。その際、一対のガイド部材11の相対角度が所定角度αになると、回動規制突起19は、他方側Wtのガイド部材11における、一方側Wsに設けられた軸支部16に当接する箇所に設けられている。
【0109】
すなわち、回動規制突起19が軸支部16に当接することで、互いに連結された一対のガイド部材11が所定角度αより小さくなるように相対回動することが規制される。
【0110】
上記所定角度αとは、複数のガイド部材11の夫々を、第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の所定の曲げ半径を有する円弧状に沿って配置した場合において、互いに連結された一対のガイド部材11のなす角度(相対角度)を示す。
【0111】
本実施形態の曲げ規制具10は、複数存在する一対のガイド部材11における、夫々のなす角度が全て上記所定角度αとなり、結果として副線曲げ部3aの半径が最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように、該副線曲げ部3aを規制することができる。
【0112】
但し、複数存在する一対のガイド部材11は、夫々のなす角度が本実施形態のように同じ角度で規制されるとは限らず、副線曲げ部3aの半径が最小曲げ半径以上の曲げ半径を満たす範囲で夫々異なる相対角度で規制される構成であってもよい。
【0113】
また、互いに連結された一対のガイド部材11は、互いの連結部14を中心として他方側Wtを、一方側Wsに対して時計回りと反対時計回りとの何れの方向にも回動可能に構成されている(例えば、
図4(a)、
図7(a)中の仮想線で示したガイド部材11参照)。
【0114】
そして、一対のガイド部材11のうち、他方側Wtを一方側Wsに対して時計回りと反対時計回りとの何れの方向に回動させた場合においても、互いのなす角度(相対角度)が上記所定角度αになると、一方側Wsのガイド部材11の側に形成された軸支部16と、他方側Wtのガイド部材11の側に形成された回動規制突起19とが当接するように構成されている。
【0115】
続いて、副線延伸ガイド部材13について説明する。
図5(a)、
図6(a)に示すように、副線延伸ガイド部材13は、上述したように、副線部3の配索方向Wにおける、副線曲げ部3aに対して両側Ws,Wtに位置する副線延伸部3b(
図1、
図2参照)に対応して一対が備えられ、互いに略同一形状および大きさで形成される。
【0116】
但し、
図6(b)に示すように、一方側副線延伸ガイド部材13sは、隣接する一方側外側副線曲げガイド部材12sとの対向端部(すなわち他方側Wtの端部)に、軸支部16が形成されている。一方、他方側副線延伸ガイド部材13tは、隣接する他方側外側副線曲げガイド部材12tとの対向端部(すなわち一方側Wsの端部)に、後述する回動軸15が形成されている。
【0117】
図4(a)(b)、
図5(a)(b)(c)に示すように、副線延伸ガイド部材13は、該副線延伸ガイド部材13の長手方向Yの全長に亘って板状に形成された副線延伸ガイド部材本体21が備えられている。副線延伸ガイド部材本体21は、副線曲げガイド部材12よりも長手方向Yの長さが長い長方形状に形成されている。
【0118】
副線延伸ガイド部材13は、副線延伸部3bを保持する副線保持部22と、主線部2に絶縁テープT等を用いて取り付けられる主線取付け部24とが備えられている。一対の副線延伸ガイド部材13s,13tの何れにおいても、副線保持部22は、副線延伸部3bの配索方向Wにおける、主線取付け部24よりも副線曲げ部3aに隣接する側に配設されている。
【0119】
図3(b)、
図4(a)(b)、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)に示すように、副線保持部22は、板状の副線延伸ガイド部材本体21から上方に立設された一対のガイド壁22o,22iによって形成されている。
【0120】
図5(a)(b)(c)に示すように、これら一対のガイド壁22o,22iは、副線部3を保持可能に幅方向Xに互いに対峙するように設けられている。
【0121】
具体的には、一対のガイド壁22o,22iは、径内側ガイド壁22iと径外側ガイド壁22oとで構成されている。径内側ガイド壁22iは、副線延伸部3bを幅方向Xの一方側から、すなわち、副線曲げ部3aの径方向の内側Diに相当する側からガイドする。径外側ガイド壁22oは、副線延伸部3bを幅方向Xの他方側から、すなわち、副線曲げ部3aの径方向の外側Doに相当する側からガイドする。
【0122】
一対のガイド壁22o,22iの突出方向の先端部(上端部)の夫々には、夫々に対応する先端部から一対のガイド壁22o,22iの間に配置された副線部3に向けて突出し、該副線部3に対して上方から抜けないように係止する係止突起23が一体に形成されている。
【0123】
上述した一対のガイド壁22o,22iは、これらの間に備えられた副線延伸部3bを挟み込むようにして保持することで、該副線延伸部3bが径方向および配索方向に位置ずれすることを規制できる。
【0124】
なお、
図3(b)、
図4(b)、
図6(a)に示すように、板状の副線延伸ガイド部材本体21の長手方向Yにおける、副線保持部22を設けた部位に相当する部位であって、一対のガイド壁22o,22iの幅方向Xの間部分には、副線延伸ガイド部材13の成形時に成形型の抜き穴として利用される貫通穴29が板厚方向に貫通形成されている。
【0125】
ここで、他方側副線延伸ガイド部材13tに設けられた、回動規制突起として機能する副線保持部22は、
図7(b)に示すように、3枚の副線曲げガイド部材12の夫々に設けられた回動規制突起19のような構成(例えば、
図7(a)参照)を採用しておらず、上述したように、一対のガイド壁22o,22iを備えた構成を採用している。すなわち、他方側副線延伸ガイド部材13tに設けられた副線保持部22は、副線部3を保持する機能に加えて一対のガイド部材12t,13tの相対回動を規制する機能を有する。
【0126】
詳述すると、
図7(b)に示すように、他方側副線延伸ガイド部材13tと、これに隣接する他方側外側副線曲げガイド部材12tとは、互いの連結部14を中心として相対回動する。例えば、
図7(b)中の実線で示すように、他方側副線延伸ガイド部材13tを他方側外側副線曲げガイド部材12tに対して平面視で反時計回りに回動させた場合、一対のガイド部材12t,13tの相対角度が所定角度αになると、他方側副線延伸ガイド部材13tに設けられた径内側ガイド壁22iが、他方側外側副線曲げガイド部材12tに設けられた軸支部16に当接する。
【0127】
一方、例えば、
図7(b)中の仮想線で示すように、他方側副線延伸ガイド部材13tを他方側外側副線曲げガイド部材12tに対して平面視で時計回りに回動させた場合、一対のガイド部材12t,13tの相対角度が所定角度αになると、他方側副線延伸ガイド部材13tに設けられた径外側ガイド壁22oが他方側外側副線曲げガイド部材12tに設けられた軸支部16に当接する。
【0128】
このように何れの場合においても、一対のガイド部材12t,13tは、相対角度が所定角度αになると、該所定角度αよりも小さくなるまで相対回動することが規制される。
【0129】
また、
図4(a)(b)、
図5(a)、
図6(a)に示すように、主線取付け部24は、一方側副線延伸ガイド部材13sにおいては、長手方向Yの一方側Wsの部位に、他方側副線延伸ガイド部材13tにおいては、長手方向Yの他方側Wtの部位に、夫々設けられている。
【0130】
図4(a)に示すように、主線取付け部24は、板状の副線延伸ガイド部材本体21の長手方向Yにおける主線取付け部24に相当する部分である主線取付け本体部25と、主線取付け本体部25に対して上方向に突出する上方向突出ガイド部26と、幅方向Xに突出する幅方向突出ガイド27とで一体形成されている。
【0131】
上方向突出ガイド部26は、主線取付け本体部25に対して、長手方向Yにおいて夫々離間するように複数(当例では2つ)配設され、共に、主線取付け本体部25のガイド面23aにおいて幅方向Xに直線状に延びている。
【0132】
幅方向突出ガイド27は、主線取付け本体部25の長手方向Yにおける他方側Wtの端部において幅方向Xの両外側へ突出形成されている。
【0133】
図1、
図2、
図3(a)に示すように、主線取付け部24は、板状の主線取付け本体部25を、主線延伸部2bに沿って配置した状態で該主線延伸部2bにテープTによって巻き付けることにより固定される。その際、上方向突出ガイド部26と幅方向突出ガイド27とは共に、主線取付け本体部25に巻き付けた絶縁テープTが、主に長手方向Yにずれないようにガイドする。
【0134】
上述した本実施形態の曲げ規制具10は、
図1、
図2に示すように、ワイヤハーネス1の配索経路Rにおける、曲げ変形された曲げ変形箇所Raにおいて、該ワイヤハーネス1に備えられた第2ケーブル3C(ケーブルC)の曲げ部分である副線曲げ部3a(ケーブル曲げ部)を、曲げ変形箇所Raに対応する所定の曲げ形状に規制する。
【0135】
さらに、
図1、
図2、
図4(a)(b)、
図5(a)、
図6(a)に示すように、本実施形態の曲げ規制具10は、副線曲げ部3aが所定の曲げ形状に維持されるようにガイドするガイド部材11が複数備えられ、複数のガイド部材11は、副線曲げ部3aの配索方向Wに沿って直列に配置され、互いに隣接する一対のガイド部材11の対向部分には、互いに回動自在に連結される連結部14(
図4(a)(b)、
図6(b)、
図7(a)(b)参照)と、副線曲げ部3aの曲げ半径が、第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように一対のガイド部材11の相対回動を規制する回動規制部18,(16,22)(同図参照)とが設けられている。
【0136】
上記構成によれば、複数のガイド部材11が互いに回動自在に連結部14によって連結されているため、互いに連結された一対のガイド部材11を相対回動させることで、複数のガイド部材11を曲げ変形箇所Raに応じた所定の曲げ形状に沿って直列に配置することができる。
【0137】
従って、曲げ規制具10は、複数のガイド部材11によって副線曲げ部3aを所定の曲げ形状にガイドすることができる。
【0138】
さらに上記構成によれば、回動規制部18,(16,22)によって、副線曲げ部3aの曲げ半径が第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように互いに連結されたガイド部材11同士の相対回動を規制することができる。
【0139】
また、
図1、
図2、
図3(a)(b)(c)に示すように、本実施形態の曲げ規制具10は、第1ケーブル2Cから構成される主線部2と、所定の最小曲げ半径に規定された第2ケーブル3Cから構成される副線部3とが備えられたワイヤハーネス1における、副線部3の曲げ部分である副線曲げ部3aが第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の所定の曲げ半径となるように、ガイド部材11のうち、副線曲げガイド部材12は、主線部2の曲げ部分である主線曲げ部2aとは独立して副線曲げ部3aをガイドする構成としている。
【0140】
上記構成によれば、主線曲げ部2aとは独立して副線曲げ部3aを、副線曲げガイド部材12によってガイドすることで、副線曲げ部3aが第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の所定の曲げ半径となるように規制しながら副線曲げ部3aを配索することができる。
【0141】
詳しくは、ワイヤハーネス1が仮に第1ケーブル2Cと第2ケーブル3Cとの2種類のケーブルが1本の主線部2としてまとめて配索された構成である場合、ワイヤハーネス1の曲げ変形箇所Raにおいて、例えば、2種類のケーブル2C,3C(第1ケーブル2Cと第2ケーブル3C)の曲げ特性の違いによって、ひとまとめにした主線部2の中で2種類のケーブル2C,3Cが一様に曲がらず、主線部2の配索方向Wの直交断面において2種類のケーブル2C,3Cの相対位置が該主線部2の配索方向Wに沿って変動するおそれがある。
【0142】
そうすると、ワイヤハーネス1の曲げ変形箇所Raにおいて、例えば、第2ケーブル3Cは、複数の第1ケーブル2Cの曲げ部分に沿った配索経路に対してショートカットするように配索されることがある。
【0143】
その結果、ワイヤハーネス1の中心軸(2種類のケーブル2C,3Cをひとまとめにした主線部2自体の中心軸)が、第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように曲げ変形されていたとしても、主線部2の中で、第2ケーブル3Cの曲げ半径が、該第2ケーブル3Cの最小曲げ半径を下回る配索経路で配索されるおそれがある。
【0144】
これに対して、本実施形態の曲げ規制具10は、上述したように、主線曲げ部2aとは独立して副線曲げ部3aを副線曲げガイド部材12によってガイドすることで、副線曲げ部3aが第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように副線部3を規制しながら配索することができる。
【0145】
また、
図1、
図2、
図3(a)(b)(c)に示すように、副線曲げガイド部材12は、主線曲げ部2aと、該主線曲げ部2aに対して上方に配置された副線曲げ部3aとの間に配置され、副線曲げ部3aをガイドする構成としている。
【0146】
上記構成によれば、副線曲げ部3aは、主線曲げ部2aに対して上方に配索されるとともに、副線曲げガイド部材12は、副線曲げ部3aと主線曲げ部2aとの間に配置されているため、ワイヤハーネス1の曲げ変形箇所Raにおいて、副線曲げ部3aが、主線曲げ部2aとは異なる曲げ形状(曲げ半径)で副線曲げガイド部材12によってガイドされる場合においても、副線曲げ部3aおよび副線曲げガイド部材12を主線曲げ部2aと干渉することなく配置することができる。
【0147】
さらに、副線曲げガイド部材12は、直交方向における、主線部2と副線部3との間に介在するように配置されるため、副線曲げガイド部材12は、主線部2に取り付けられた状態で副線部3をガイドし易い構成とすることができる。
【0148】
また、
図1、
図2に示すように、複数のガイド部材11は、副線部3の配索方向Wにおける、副線曲げ部3aと、該副線曲げ部3aに対して両側Ws,Wtへ延伸する一対の副線延伸部3bとをガイドする構成とし、
図1、
図2、
図3(b)に示すように、複数のガイド部材11のうち、副線延伸部3bに対応する部位には、該副線延伸部3bをガイドする副線延伸ガイド部材13が配置されている。
【0149】
上記構成によれば、副線延伸ガイド部材13を、副線延伸部3bに対して絶縁テープTで巻き付けるなどにより一体に取り付けることにより(
図1中の仮想線で示したテープT参照)、副線曲げ部3aの曲げ形状に影響を及ぼすことがなく、副線曲げ部3aが第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるようにガイドすることができる。
【0150】
また、
図1、
図2、
図3(b)、
図4(a)(b)、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)に示すように、副線部3の配索方向Wにおける、副線曲げ部3aに対して両側Ws,Wtに備えられた副線延伸ガイド部材13は、夫々に対応する側に有する副線延伸部3bを保持する副線保持部22が設けられている。
【0151】
上記構成によれば、副線曲げ部3aに対して両側Ws,Wtの副線保持部22によって、夫々に対応する副線延伸部3bを保持することで、副線曲げ部3aが所定の曲げ形状に維持されるようにしっかりと保持することができる。
【0152】
すなわち、副線保持部22は、副線部3の配索方向Wにおける、副線曲げ部3aの途中部分を保持するのではなく、副線曲げ部3aに対して両側を保持することで、該副線曲げ部3aが途中部分を保持する場合のように、該副線曲げ部3aが局所的に屈曲することがなく、該副線曲げ部3aの全体を所望の曲げ形状に保持することができる。
【0153】
また、同図に示すように、副線保持部22には、副線延伸部3bを径内側からガイドするガイド壁22iと、径外側からガイドするガイド壁22oが備えられている。
【0154】
上記構成によれば、一対のガイド壁22i,22oによって副線曲げ部3aが所定の曲げ形状に維持されるように、その両側の副線延伸部3bを径方向Dにおいてしっかりとガイドすることができる。
【0155】
しかも、
図1、
図2に示すように、本実施形態においては、一対のガイド壁22i,22oに係止突起23が備えられ、これら係止突起23によって副線延伸部3bを挟み込むようにして係止することができる。
【0156】
これにより、副線保持部22は、仮に副線曲げガイド部材12が副線曲げ部3aと共にテープTによって巻き付ける等により固定されていない場合においても、副線曲げ部3aが
図2中の仮想線に示す副線曲げ部3aのように配索方向Wにずれないように保持することができる。
【0157】
また、
図1、
図2、
図3(a)、
図4(a)(b)、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)に示すように、副線延伸ガイド部材13には、該副線延伸ガイド部材13を主線延伸部2bに取り付ける主線取付け部24を有しており、主線取付け部24は、副線部3の配索方向Wにおいて、副線延伸ガイド部材13における、副線保持部22に対して副線曲げ部3aの側と反対側の位置に設けられている。
【0158】
上記構成によれば、複数のガイド部材11の直列配置方向(W)の両側に位置する副線延伸ガイド部材13(主線取付け部24)を、テープTによって巻き付ける等により主線部2に取り付けることで、
図1、
図2、
図3(a)に示すように、一対の副線延伸ガイド部材13Wt,13Wsの間に配置された副線曲げガイド部材12が、夫々の連結部分(対向部分)において意に反して回動することを抑制することができる。これにより、複数のガイド部材11を、所定の曲げ形状に沿った配置形態に維持し易くなるため、結果として複数のガイド部材11による、副線曲げ部3aのガイド機能を高めることができる。
【0159】
また、
図4(a)(b)、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)(b)、
図7(a)に示すように、上述した連結部14は、回動軸15と軸支部16とで構成されている。
【0160】
特に、
図6(b)に示すように、回動軸15は、互いに連結された一対のガイド部材11のうち、他方側Wt(本発明の一方側のガイド部材に相当)における、一方側Ws(本発明の他方側のガイド部材に相当)との連結部分に設けられている。
【0161】
また、軸支部16は、一方側Wsのガイド部材11(本発明の他方側のガイド部材に相当)における、他方側Wtのガイド部材11(本発明の一方側のガイド部材に相当)との連結部分において、回動軸15を軸支可能に設けられている。
【0162】
さらに、上述したように、上述した回動規制部18は、軸支部16と回動規制突起19(22)とで構成されている(
図6(b)参照)。
【0163】
上述したように、回動規制突起19は、互いに連結された一対のガイド部材11のうち、他方側副線延伸ガイド部材13tを除いて他方側Wtのガイド部材11に設けられている。一方、他方側副線延伸ガイド部材13tには、回動規制突起として機能する副線保持部22が設けられている。なお、他方側Wtのガイド部材11と他方側副線延伸ガイド部材13tは共に、本発明の一方側のガイド部材に相当する。
【0164】
上記構成によれば、例えば、
図7(b)に示すように、一方側Wsのガイド部材11と他方側Wtのガイド部材11とが所定の角度αとなる相対回転時に、回動規制突起19(22)と軸支部16とが当接することで、それ以上、一方側Wsのガイド部材11と他方側Wtのガイド部材11との相対回動を規制することができる。
【0165】
これにより上述したように、曲げ規制具10は、副線曲げ部3aの曲げ半径が第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の曲げ半径となるように、互いに連結された一対のガイド部材11の相対回動を規制することができる。
【0166】
また、
図1、
図2、
図4(a)、
図5(a)(b)(c)、
図6(b)、
図7(a)(b)に示すように、ガイド部材11は、副線部3をガイドするガイド面12a,13aを有する平板状に形成されるとともに、一対のガイド部材11の連結部分において、上下方向Z(板厚方向)に互いに重合するように配置されている。
【0167】
上記構成によれば、一対のガイド部材11を、互いに対向する部位同士が面接触した状態で滑らかに相対回転させることができる。
【0168】
また、
図1、
図2、
図4(a)(b)、
図5(a)(b)(c)、
図6(a)(b)に示すように、複数のガイド部材11は、夫々が直列に配置される直列配置方向(W)において、上方向Zuと下方向Zd(板厚方向の一方側と他方側)とに交互に配置されている。
【0169】
上記構成によれば、複数のガイド部材11を上記直列配置方向(W)において、上下方向Zに互い違いに配置することで、例えば、複数のガイド部材11を、上記直列配置方向(W)の一方側Wsから他方側Wtに沿って板厚方向の一方側Wsからのみ重合する場合と比して、上記直列配置方向の一方側Wsと他方側Wtとで複数のガイド部材11が板厚方向に偏ることを抑制することができる。
【0170】
これにより、複数のガイド部材11を、上記板厚方向において略水平になるように上記直列配置方向に沿って配置することができる。
【0171】
また、ガイド部材11は、合成樹脂で形成されている。
【0172】
上記構成によれば、ガイド部材11は、例えば、エラストマー系の樹脂やゴム等よりも硬質な合成樹脂で形成されるため、一対のガイド部材11の相対回動を規制時に回動規制突起19が軸支部16に当接した際に、これら回動規制突起19や軸支部16等が意に反して弾性変形することがない。
【0173】
従って、一対のガイド部材11の相対回動を厳密に規制することができ、結果として複数のガイド部材11を所望の曲げ半径を正確に保つことができる。
【0174】
この発明は、上述した実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態または実施例で形成することができる。
【0175】
例えば、ワイヤハーネス1は、
図1に示すように、その配索経路R上における上述した曲げ変形箇所Raのように、主線部2と副線部3との双方を曲げ変形させた曲げ形状に限らず、
図8に示すように、主線部2と副線部3とのうち副線部3のみを曲げ変形させてもよい。
図8は本実施形態の曲げ規制具10を備えた他の曲げ変形箇所Ra’を
図1に対応して示した図である。
【0176】
具体的には、
図8に示すように、ワイヤハーネス1は、曲げ変形箇所Ra’において、主線部2が直線状に配索されるとともに、主線部2に対して副線部3が枝分かれするように該副線部3のみが曲げ変形されている。
【0177】
そして、本実施形態の曲げ規制具10は、複数のガイド部材11における、互いに隣接する一対のガイド部材11を、これらの対向部分に設けた連結部14において相対回動させることで、複数のガイド部材11を副線曲げ部3aの曲げ形状に沿って直列に配置されている。
【0178】
さらに、本実施形態の曲げ規制具10は、副線曲げ部3aに対して両側Ws,Wtの副線延伸部3bを、副線延伸ガイド部材13に備えられた副線保持部22によって保持しつつ、副線曲げ部3aを複数の副線曲げガイド部材12によってテープTによって巻き付ける等で固定されている。
【0179】
加えて、本実施形態の曲げ規制具10は、回動規制部18,(19,22)によって、一対のガイド部材11のなす角が、副線曲げ部3aが第2ケーブル3Cの最小曲げ半径以上の曲げ半径で曲げ変形される所定の角度に規制することができる。
【0180】
また、本実施形態の曲げ規制具10は、
図8に示すように、ワイヤハーネス1の配索方向Wにおける、副線曲げ部3aに対して両側Ws,Wtに位置する副線延伸ガイド部材13のうち、一方側副線延伸ガイド部材13sのみがテープTによる巻き付けによって主線部2に固定されている。
【0181】
なお、図示省略するが、副線部3の配索方向Wにおける、他方側Wtの副線延伸部3bは、他方側Wtの先端部に一方側のコネクタが取り付けられ、車体側に備えた他方側のコネクタに接続されている。他方側のコネクタは、適宜、車体ボディに取り付けられている、或いは、車体に搭載される電気機器に設けられている。
【0182】
また他の実施形態として、本発明の曲げ規制具は、図示省略するが、3枚の副線曲げガイド部材12に、ガイド面12aの直上に配置される副線部3を径方向の内側Diおよび外側Doのうち、少なくとも一方からガイドするガイド壁が、ガイド面12aから上方へ突出形成された構成としてもよい。
【0183】
また他の実施形態として、本発明の曲げ規制具は、図示省略するが、上述した実施形態の曲げ規制具10のように、主線部2に対して上方に配置したが、これに限らず、主線部2に対して下方、径内側および径外側のうち、少なくとも一つの側に配置してもよい。
【0184】
また他の実施形態として、本発明の曲げ規制具は、上述した実施形態の曲げ規制具10のように、3枚の副線曲げガイド部材12と2枚の副線延伸ガイド部材13とが備えられた構成に限定せず、例えば、副線延伸ガイド部材13を備えずに副線曲げガイド部材12のみで構成してもよい。或いは、一方側副線延伸ガイド部材13sと他方側副線延伸ガイド部材13tとの間に、副線曲げガイド部材12を1枚のみ備えた構成を採用してもよい。
【0185】
ここで、複数のガイド部材11は、直列に配設された構成において、例えば、ガイド部材11(2,3)の数が少ない程、或いは上記副線曲げ部3aの曲げ半径が小さくなる程、上記ワイヤハーネス1の曲げ変形箇所Raに沿って緩やかに配索されずに、多角形状に配置される場合がある。
【0186】
このため、複数の上記ガイド部材11が、上記ワイヤハーネス1の曲げ変形箇所Raに沿って所定の曲げ半径を有する曲げ形状に配設されるとは、複数の上記ガイド部材11(ガイド面12a,13a)の夫々の中心を通過する仮想円弧が、ハーネス曲げ部の円弧状の配索経路に略一致するように配設されていればよい。
【0187】
また、上述した本実施形態においては、3枚の副線曲げガイド部材12のうち、外側副線曲げガイド部材12t,12sを副線曲げ部3aと共にテープ巻きすることで互いに固定したが、本発明は、この実施形態に限定しない。例えば、本発明は、中間副線曲げガイド部材12mも含めて、或いは、中間副線曲げガイド部材12mのみを副線曲げ部3aと共にテープ巻きしてもよい。さらに、本発明は、副線曲げガイド部材12は、副線曲げ部3aと共にテープ巻き等によって固定せずに単に副線曲げ部3aを下側から支持する構成であってもよい。
【0188】
また、上述した本実施形態においては、主線取付け部24は、主線部2と共にテープTによって巻き付けて互いに固定したが(
図1参照)、本発明は、この実施形態に限定せず、
図1中の仮想線で示したように、主線取付け部24を副線部3と共にテープTによって巻き付けて互いに固定してもよい。或いは、本発明は、主線部2と副線部3とを、主線取付け部24を介した状態で絶縁テープTを用いてまとめて巻き付けて固定してもよい。
【0189】
また、主線部2は、本実施形態のように、第1ケーブル2Cを複数本備えた構成に限らず、1本のみを備えた構成であってもよく、副線部3は、本実施形態のように、第2ケーブル3Cを1本のみ備えた構成に限らず、複数本を備えた構成であってもよい。
【0190】
また、本実施形態の曲げ変形箇所Raにおいては、主線曲げ部2aと副線曲げ部3aとを、略同じ曲げ半径で曲げ変形されているが、これに限らず、主線曲げ部2aを、第1ケーブル2Cの最小曲げ半径以上の曲げ半径となる範囲で副線曲げ部3aとは異なる曲げ半径で曲げ変形させてもよい。
【符号の説明】
【0191】
1…ワイヤハーネス
2…主線部
2a…主線曲げ部
3…副線部
3a…副線曲げ部
3b…副線延伸部
2C…第1ケーブル
3C…第2ケーブル(ケーブル、第2ケーブル)
3a…副線曲げ部(ケーブル曲げ部、副線曲げ部)
10…曲げ規制具
11(12,13)…ガイド部材
12a,13a…ガイド面
13…副線延伸ガイド部材
14(15,16)…連結部
18(16,19(22))…回動規制部
15…回動軸
16…軸支部
19…回動規制突起
22…副線保持部
22i…副線延伸部を径内側からガイドするガイド壁
22o…径外側からガイドするガイド壁
24…主線取付け部
R…ワイヤハーネスの配索経路
Ra,Ra’…曲げ変形箇所
W…配索方向(ワイヤハーネス(副線部)の配索方向、複数のガイド部材の夫々が直列に配置される直列配置方向)
Z…上下方向(板厚方向)