(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20241022BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H02G3/04 087
B60R16/02 623U
(21)【出願番号】P 2021026698
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】丸橋 卓也
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-299046(JP,A)
【文献】特開平02-026208(JP,A)
【文献】特開2005-185010(JP,A)
【文献】特開2000-166058(JP,A)
【文献】特開2019-161926(JP,A)
【文献】特開2020-124038(JP,A)
【文献】特開2008-125274(JP,A)
【文献】特開平09-191527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスを収容するプロテクタであって、
ワイヤハーネスを通過させる収容凹部が形成されたベース部と、
前記ベース部の前記収容凹部を閉鎖可能な蓋部と、
を備え、
前記収容凹部は、第1方向で対向するように設けられた2つの壁部と、前記第1方向と垂直な第2方向における前記壁部の一端側で当該2つの前記壁部を連結する底部と、から構成され、
前記ベース部の前記壁部には、前記第2方向の他端側を開放させる切欠部が形成され、
前記蓋部は、前記切欠部を覆うことが可能な遮蔽部を備え
、
前記第1方向と前記第2方向との何れにも垂直な第3方向で見た場合、前記ベース部に前記切欠部が形成された部分における前記底部は、略U字状に形成されたワイヤ支持部と、前記第1方向における前記ワイヤ支持部の両側のそれぞれに設けられたフランジ部と、を備えることを特徴とするプロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロテクタであって、
前記ベース部は、前記第2方向で見た場合に分岐状に形成され、前記遮蔽部に嵌合するベース側スライド部を備え、
前記ベース側スライド部は、前記第1方向と前記第2方向との何れにも垂直な第3方向において、前記切欠部の両側のそれぞれに位置することを特徴とするプロテクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプロテクタであって、
前記切欠部が前記遮蔽部により遮蔽された状態において、前記ベース側スライド部の分岐部分によって前記遮蔽部が挟まれることを特徴とするプロテクタ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のプロテクタであって、
前記ベース側スライド部の分岐部分は、前記ベース部の前記壁部の一部と、前記壁部より前記第1方向外側に突出した部分と、により形成されることを特徴とするプロテクタ。
【請求項5】
請求項1に記載のプロテクタであって、
前記遮蔽部は、前記第2方向で見た場合に分岐状に形成され、前記ベース部と嵌合するための蓋側スライド部を備え、
前記蓋側スライド部は、前記第1方向と前記第2方向との何れにも垂直な第3方向において、前記遮蔽部の両側のそれぞれに位置することを特徴とするプロテクタ。
【請求項6】
請求項5に記載のプロテクタであって、
前記切欠部が前記遮蔽部により遮蔽された状態において、前記蓋側スライド部の分岐部分によって前記ベース部が挟まれることを特徴とするプロテクタ。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載のプロテクタであって、
前記ベース部は、前記切欠部とは異なる場所に設けられた少なくとも1つのベース側ロック部を備え、
前記蓋部は、前記遮蔽部とは異なる場所であって、前記ベース側ロック部と対応して設けられた少なくとも1つの蓋側ロック部を備え、
前記ベース側ロック部と前記蓋側ロック部とを介して、前記蓋部が前記ベース部に固定されることを特徴とするプロテクタ。
【請求項8】
請求項7に記載のプロテクタであって、
前記ベース側ロック部は、前記切欠部の近傍に設けられ、
前記蓋側ロック部は、前記ベース側ロック部に対応して、前記遮蔽部の近傍に設けられていることを特徴とするプロテクタ。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載のプロテクタであって、
前記遮蔽部は、前記フランジ部に対応して形成された張出し部を備え、
前記切欠部が前記遮蔽部により遮蔽された状態において、前記張出し部は、前記フランジ部の前記第1方向外側を覆うことを特徴とするプロテクタ。
【請求項10】
請求項
9に記載のプロテクタであって、
前記フランジ部と前記張出し部との間に前記第1方向の隙間が形成されていることを特徴とするプロテクタ。
【請求項11】
請求項
9又は
10に記載のプロテクタであって、
前記フランジ部と前記張出し部との間に前記第2方向の隙間が形成されていることを特徴とするプロテクタ。
【請求項12】
請求項
1から
11までの何れか一項に記載のプロテクタであって、
前記ベース部は、前記第2方向で見た場合に分岐状に形成され、前記遮蔽部を嵌合するためのベース側スライド部を備え、
前記遮蔽部は、前記ベース側スライド部と嵌合する遮蔽本体部と、前記遮蔽本体部から前記第1方向外側に突出する遮蔽リブと、を備え、
前記ベース側スライド部は、前記切欠部と前記遮蔽部とが嵌合された状態で、前記遮蔽本体部の前記第3方向両側のそれぞれを、前記第1方向外側から覆うベース側カバー部を備え、
前記遮蔽リブは、前記第3方向に前記ベース側カバー部が突出する部分の突出側端面を覆うことを特徴とするプロテクタ。
【請求項13】
請求項
12に記載のプロテクタであって、
前記遮蔽リブは、前記ベース側カバー部が前記遮蔽本体部をカバーしている範囲の全てにわたって、前記ベース側カバー部の前記突出側端面を覆うことを特徴とするプロテクタ。
【請求項14】
請求項
12又は
13に記載のプロテクタであって、
前記ベース側スライド部には、前記遮蔽部を前記ベース側スライド部に嵌合させるときに前記遮蔽リブを案内可能なテーパ状の案内部が形成され、
前記遮蔽リブは、前記案内部に沿うように傾斜した部分を有し、
前記切欠部が前記遮蔽部により遮蔽された状態において、前記傾斜した部分が前記案内部を覆うことを特徴とするプロテクタ。
【請求項15】
請求項
12から
14までの何れか一項に記載のプロテクタであって、
前記遮蔽本体部の先端部には、前記遮蔽本体部より前記第1方向外側に突出するように形成された張出し部が形成されており、
前記遮蔽リブの長手方向端部が前記張出し部と連結していることを特徴とするプロテクタ。
【請求項16】
請求項1から
15までの何れか一項に記載のプロテクタであって、
前記切欠部を介して、前記収容凹部に収容されるワイヤハーネスをテープで前記ベース部に固定することが可能であることを特徴とするプロテクタ。
【請求項17】
請求項1から
16までの何れか一項に記載のプロテクタであって、
前記ベース部は、前記ベース部に前記切欠部が形成されている部分の前記底部のうち、前記収容凹部とは反対の面に形成された補強リブ部を備え、
前記補強リブ部が形成されている範囲は、前記第1方向と前記第2方向との何れにも垂直な第3方向において、前記切欠部より長いことを特徴とするプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ワイヤハーネスを保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の電装品、モータ等の駆動源に電力を供給するワイヤハーネスを保護するプロテクタが知られている。特許文献1は、この種のプロテクタを開示する。
【0003】
特許文献1のプロテクタは、電線束がロール方向に回転することを規制する電線規制部を内部に複数設け、結束バンドを介して、電線束を電線規制部に締め付ける構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の構成は、複雑になるとともに、電線束(ワイヤハーネス)をプロテクタ内で固定する作業が煩雑であるという点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、簡素な構成で、ワイヤハーネスを容易に固定できるプロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成のプロテクタが提供される。即ち、このプロテクタは、ワイヤハーネスを収容する。前記プロテクタは、ベース部と、蓋部と、を備える。前記ベース部には、ワイヤハーネスを通過させる収容凹部が形成されている。前記蓋部は、前記ベース部の前記収容凹部を閉鎖可能である。前記収容凹部は、第1方向で対向するように設けられた2つの壁部と、前記第1方向と垂直な第2方向における前記壁部の一端側で当該2つの前記壁部を連結する底部と、から構成される。前記ベース部の壁部には、切欠部が形成されている。前記切欠部は、前記壁部の前記第2方向他端側を開放させる。前記蓋部は、遮蔽部を備える。前記遮蔽部は、前記切欠部を覆うことが可能である。前記第1方向と前記第2方向との何れにも垂直な第3方向で見た場合、前記ベース部に前記切欠部が形成された部分における前記底部は、ワイヤ支持部と、フランジ部と、を備える。前記ワイヤ支持部は、略U字状に形成される。前記フランジ部は、前記ワイヤ支持部の前記第1方向両側のそれぞれに設けられている。
【0009】
これにより、蓋部がベース部を閉鎖していない状態で、かつ、ワイヤハーネスを収容凹部に収容した状態で、テープ等を切欠部の部分でベース部及びワイヤハーネスに対して容易に巻き付けることができる。従って、切欠部の部分でワイヤハーネスをベース部に強く拘束することができるので、プロテクタの内部でワイヤハーネスがバタつくのを防止することができる。この結果、ワイヤハーネスの損傷を防止することができる。切欠部が形成された部分においても、ワイヤ支持部によってワイヤハーネスを好適に支持することができる。ワイヤ支持部が略U字状に形成されているので、強度を向上することができる。テープを使ってワイヤハーネスをワイヤ支持部に固定する場合、フランジ部の端部でテープが強く屈曲する形になるので、粘着テープによるワイヤハーネスの固定が強固になる。
【0010】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ベース部は、ベース側スライド部を備える。前記ベース側スライド部は、前記第2方向で見た場合に分岐状に形成され、前記遮蔽部に嵌合する。前記ベース側スライド部は、前記第1方向と前記第2方向との何れにも垂直な第3方向において、前記切欠部の両側のそれぞれに位置する。
【0011】
これにより、遮蔽部とベース側スライド部とがしっかり嵌合することができ、砂等の侵入を好適に回避することができる。
【0012】
前記のプロテクタにおいては、前記切欠部が前記遮蔽部により遮蔽された状態において、前記ベース側スライド部の分岐部分によって前記遮蔽部が挟まれることが好ましい。
【0013】
これにより、砂等の侵入経路が複雑になる挟み込み構造が形成されるので、砂等の侵入を一層好適に回避することができる。
【0014】
前記のプロテクタにおいて、前記ベース側スライド部の分岐部分は、前記ベース部の前記壁部の一部と、前記壁部より前記第1方向外側に突出した部分と、により形成されることが好ましい。
【0015】
これにより、ベース側スライド部が壁部から収容凹部側へ突出しないので、ワイヤハーネスと干渉することを防止できる。従って、ワイヤハーネスの損傷を防止できる。
【0016】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることもできる。即ち、前記遮蔽部は、蓋側スライド部を備える。前記蓋側スライド部は、前記第2方向で見た場合に分岐状に形成され、前記ベース部と嵌合する。前記蓋側スライド部は、前記第1方向と前記第2方向との何れにも垂直な第3方向において、前記遮蔽部の両側のそれぞれに位置する。
【0017】
これにより、遮蔽部の蓋側スライド部とベース部とがしっかり嵌合することができ、砂等の侵入を好適に回避することができる。
【0018】
前記のプロテクタにおいて、前記切欠部が前記遮蔽部により遮蔽された状態において、前記蓋側スライド部の分岐部分によって前記ベース部が挟まれることが好ましい。
【0019】
これにより、砂等の侵入経路が複雑になる挟み込み構造が形成されるので、砂等の侵入を一層好適に回避することができる。
【0020】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ベース部は、少なくとも1つのベース側ロック部を備える。前記ベース側ロック部は、前記切欠部とは異なる場所に設けられている。前記蓋部は、少なくとも1つの蓋側ロック部を備える。前記蓋側ロック部は、前記遮蔽部とは異なる場所であって、前記ベース側ロック部と対応して設けられている。前記ベース側ロック部と前記蓋側ロック部とを介して、前記蓋部が前記ベース部に固定される。
【0021】
これにより、蓋部がベース部をしっかりカバーすることができる。
【0022】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ベース側ロック部は、前記切欠部の近傍に設けられる。前記蓋側ロック部は、前記ベース側ロック部に対応して、前記遮蔽部の近傍に設けられている。
【0023】
これにより、蓋部がベース部に固定される箇所が、切欠部が形成されている箇所の近傍に位置する。従って、切欠部の周辺部分におけるプロテクタの強度低下を効果的に抑制できる。
【0026】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記遮蔽部は、前記フランジ部に対応して形成された張出し部を備える。前記切欠部が前記遮蔽部により遮蔽された状態において、前記張出し部は、前記フランジ部の前記第1方向外側を覆う。
【0027】
これにより、遮蔽部によってワイヤハーネスを広い範囲にわたって保護することができる。また、張出し部によってフランジ部を保護することができる。
【0028】
前記のプロテクタにおいて、前記フランジ部と前記張出し部との間に前記第1方向の隙間が形成されていることが好ましい。
【0029】
これにより、ベース部材にワイヤハーネスを固定するための手段を隙間に通すことができる。
【0030】
前記のプロテクタにおいて、前記フランジ部と前記張出し部との間に前記第2方向の隙間が形成されていることが好ましい。
【0031】
これにより、ベース部材にワイヤハーネスを固定するための手段を隙間に通すことができる。
【0032】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ベース部は、ベース側スライド部を備える。前記ベース側スライド部は、前記第2方向で見た場合に分岐状に形成され、前記遮蔽部に嵌合する。前記遮蔽部は、遮蔽本体部と、遮蔽リブと、を備える。前記遮蔽本体部は、前記ベース側スライド部に嵌合する。前記遮蔽リブは、前記遮蔽本体部から前記第1方向外側に突出する。前記ベース側スライド部は、ベース側カバー部を備える。前記ベース側カバー部は、前記切欠部と前記遮蔽部とが嵌合された状態で、前記遮蔽本体部の前記第3方向両側のそれぞれを、前記第1方向外側から覆う。前記遮蔽リブは、前記第3方向に前記ベース側カバー部が突出する部分の突出側端面を覆う。
【0033】
これにより、遮蔽部の強度を向上することができるとともに、砂等の侵入を一層回避することができる。
【0034】
前記のプロテクタにおいては、前記遮蔽リブは、前記ベース側カバー部が前記遮蔽本体部をカバーしている範囲の全てにわたって、前記ベース側カバー部の前記突出側端面を覆うことが好ましい。
【0035】
これにより、砂等の侵入を好適に回避することができる。
【0036】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ベース側スライド部には、前記遮蔽部を前記ベース側スライド部に嵌合させるときに前記遮蔽リブを案内可能なテーパ状の案内部が形成される。前記遮蔽リブは、前記案内部に沿うように傾斜した部分を有する。前記切欠部が前記遮蔽部により遮蔽された状態において、前記傾斜した部分が前記案内部を覆う。
【0037】
これにより、遮蔽部をベース側スライド部に円滑に嵌合させることができる。また、砂等の侵入経路をしっかり塞ぐことができる。
【0038】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記遮蔽本体部の先端部には、前記遮蔽本体部より前記第1方向外側に突出するように形成された張出し部が形成されている。前記遮蔽リブの長手方向端部が前記張出し部と連結している。
【0039】
これにより、遮蔽部の強度を向上することができる。
【0040】
前記のプロテクタにおいては、前記切欠部を介して、前記収容凹部に収容されるワイヤハーネスをテープで前記ベース部に固定することが可能であることが好ましい。
【0041】
これにより、収容凹部に収容されたワイヤハーネスをしっかり固定することができる。従って、バタツキによるワイヤハーネスの損傷を防止できる。
【0042】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ベース部は、補強リブ部を備える。前記補強リブ部は、前記ベース部に前記切欠部が形成されている部分の前記底部のうち、前記収容凹部とは反対の面に形成されている。前記補強リブ部が形成されている範囲は、前記第1方向と前記第2方向との何れにも垂直な第3方向において、前記切欠部より長い。
【0043】
これにより、切欠部が形成されることによるベース部の強度低下を、補強リブ部によって効果的に抑制することができる。補強リブ部が収容凹部側に露出しないので、ワイヤハーネスが補強リブ部に擦れて損傷することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプロテクタの全体的な構成を示す斜視図。
【
図3】ベース側スライド部及び遮蔽部の構成を示す部分断面図。
【
図4】切欠部に対応する底部の部分の構成を示す部分断面図。
【
図5】切欠部が遮蔽部により遮蔽された状態を示す部分斜視図。
【
図6】ワイヤハーネスが粘着テープによりベース部に巻き付けられた状態を示す部分断面図。
【
図7】径が異なるワイヤハーネスが粘着テープにより巻き付けられる場合を説明する部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプロテクタ100の全体的な構成を示す斜視図である。
図2は、切欠部4及び遮蔽部6の構成を示す部分斜視図である。
図3は、ベース側スライド部5及び遮蔽部6の構成を示す部分断面図である。
図4は、切欠部4に対応する底部の部分の構成を示す断面図である。
図5は、切欠部4が遮蔽部6により遮蔽された状態を示す部分斜視図である。
図6は、ワイヤハーネス10が粘着テープ20によりベース部1に巻き付けられた状態を示す部分断面図である。
図7は、径が異なるワイヤハーネス10が粘着テープ20により巻き付けられる場合を説明する部分断面図である。
図8は、補強リブ部14の構成を示す部分斜視図である。
【0046】
図1に示すプロテクタ100は、ワイヤハーネス10を保護するとともに、ワイヤハーネス10の配索経路を案内する部材である。このプロテクタ100は、ベース部1と、蓋部2と、を備える。
【0047】
ベース部1には、収容凹部3が設けられている。収容凹部3は、ワイヤハーネス10を収容し、その経路を規制する。蓋部2は、この収容凹部3を閉鎖することができる。
【0048】
ベース部1は、予め設定されたワイヤハーネス10の配索経路に沿うように屈曲状に形成されている。ただし、ワイヤハーネス10が配置される経路の形状は任意である。ベース部1は、2つの壁部11と、底部12と、を備える。この2つの壁部11と底部12から収容凹部3が構成される。
【0049】
壁部11は、ほぼ一定の厚みを有する細長い板状に形成されている。2つの壁部11は、互いに対面するように設けられている。2つの壁部11は、ほぼ平行に配置されている。
【0050】
なお、以下の説明においては、2つの壁部11が対向する方向(言い換えれば、2つの壁部11が並ぶ方向)を第1方向と称し、収容凹部3の開口が向く方向に平行な方向を第2方向と称し、第1方向及び第2方向の何れにも垂直な方向を第3方向と称する場合がある。第2方向は第1方向に対して垂直である。
【0051】
底部12は、収容凹部3の開口側とは反対側で、2つの壁部11を第1方向で連結する。底部12の第1方向両端のそれぞれに壁部11が垂直に接続されている。
【0052】
本実施形態のベース部1には、複数対(
図1の例においては2対)の切欠部4が形成されている。ベース部1は、この切欠部4のそれぞれに対応して設けられたベース側スライド部5を備える。
【0053】
それぞれの切欠部4は、壁部11に形成されている。一側の壁部11に切欠部4が形成され、この切欠部4に位置を対応させるように、他側の壁部11に切欠部4が形成される。対をなす2つの切欠部4は、収容凹部3を挟んで(言い換えれば、第1方向で)互いに対面して配置される。
【0054】
切欠部4は、矩形状に形成されている。切欠部4は、第2方向のうち底部12から遠い側を開放させている。切欠部4が開放される側は、収容凹部3が開放される側と同じ側である。切欠部4の幅は、後述の粘着テープ20の幅よりも大きい。切欠部4の部分において、壁部11は底部12の近傍付近まで切り欠かれている。切欠部4による開口は、第2方向において壁部11の半分以上にわたって形成されている。粘着テープ20による固定の容易さを重視するならば、切欠部4の開口は、第2方向において壁部11の3/4以上にわたって形成されることが好ましい。
【0055】
図1に示すように、1対の切欠部4が対向するように形成されることで、ベース部1の2つの壁部11が第1方向に貫通される。この構成により、
図6及び
図7等に示すように、粘着テープ20でワイヤハーネス10をベース部1に巻き付けて固定することができる。
【0056】
切欠部4の対が形成されている部分では、壁部11がなく、実質的に考えると、底部12がワイヤハーネス10に近接して配置されているだけである。従って、
図7等に示すように、ワイヤハーネス10の直径の大小に関わらず、粘着テープ20を、第3方向で見た場合に略三角形となる軌跡で巻き付けることができる。この結果、粘着テープ20により、ワイヤハーネス10を底部12側に押さえるように、しっかりと固定することができる。
【0057】
ベース側スライド部5は、後述の蓋部2の遮蔽部6を嵌合するために用いられる。ベース側スライド部5は、切欠部4の第3方向両側のそれぞれに形成されている。
【0058】
ベース側スライド部5は、
図2に示すように、ベース側フランジ部(ベース側カバー部)51と、切欠部4の近傍の壁部11の一部からなる内側壁部52と、から構成されている。
【0059】
ベース側フランジ部51は、
図2及び
図3に示すように、壁部11から第1方向外側に突出するように設けられている。
図3に示すように、ベース側フランジ部51は、壁部11に垂直な部分と、壁部11に平行な部分と、から構成されている。ベース側フランジ部51の形状は、第2方向で見た場合にL字状となっている。
【0060】
内側壁部52は、壁部11のうち、ベース側フランジ部51と対応する部分である。
図3等に示すように、内側壁部52は、ベース側フランジ部51と接続している位置から、切欠部4との境界まで延びている。
【0061】
ベース側スライド部5は、第2方向で見た場合、
図3に示すように分岐状に形成されている。ベース側スライド部5は、切欠部4を向くように第3方向に開口したC字状に形成される。切欠部4の第3方向両側に形成された1対のベース側スライド部5は、その開口同士を第3方向で互いに対面させている。
【0062】
ベース側スライド部5の分岐部分は、壁部11に対して同じ向きで連続する部分と、壁部11から第1方向外側に突出する部分と、を有する。従って、簡素な形状のベース側スライド部5を実現できる。ベース側スライド部5は、壁部11から収容凹部3の内部に突出する部分を有していない。従って、収容凹部3に収容されるワイヤハーネス10との干渉を防止できる。
【0063】
ベース部1の底部12において、少なくとも切欠部4に対応する部分は、
図4に示すように、ワイヤ支持部12aと、フランジ部12bと、を備える。
【0064】
ワイヤ支持部12aは、第1方向と第2方向の何れにも垂直である第3方向で見た場合、
図4に示すように、高さの短いU字のような形状に形成されている。ワイヤ支持部12aは、ワイヤハーネス10を支持する。即ち、ワイヤハーネス10が、ワイヤ支持部12aに載せられた状態で、収容凹部3に収容される。
【0065】
フランジ部12bは、ほぼ一定の幅を有し、第3方向に延びる細長い板状に形成されている。フランジ部12bは、ワイヤ支持部12aの第1方向両側の端部それぞれに設けられている。フランジ部12bは、ワイヤ支持部12aの上端部から第1方向外側に突出するように設けられている。フランジ部12bが突出する方向は、壁部11に対して垂直である。
【0066】
フランジ部12bを設けることで、
図7等に示すように、巻かれた粘着テープ20がフランジ部12bを境に強く屈曲する。従って、フランジ部12bが粘着テープ20に良好に食い込む形となるので、粘着テープ20によるワイヤハーネス10の底部12への固定が強固になる。
【0067】
蓋部2は、
図1及び
図2に示すように、天板部21と、側板部22と、遮蔽部6と、を備える。
【0068】
天板部21は、細長い板状に形成されている。天板部21は、ベース部1が備える底部12と平行に設けられている。
【0069】
側板部22は、天板部21の幅方向における端部に垂直に接続するように形成されている。側板部22は、ベース部1が備える1対の壁部11に対応して、天板部21の第1方向両側(幅方向両側)のそれぞれに設けられている。側板部22は、天板部21から離れるように第2方向に延びている。
図5に示すように、ベース部1が蓋部2によりカバーされた状態において、側板部22は、ベース部1の収容凹部3を構成する壁部11の一部を、第1方向の外側から覆っている。
【0070】
遮蔽部6は、側板部22と同じように、天板部21の幅方向端部に垂直に接続するように形成されている。遮蔽部6は、天板部21から離れるように第2方向に延びている。遮蔽部6が第2方向に延びる長さは、側板部22が第2方向に延びる長さよりも長い。遮蔽部6は、互いに対をなすように、第1方向における天板部21の両端のそれぞれに設けられている。遮蔽部6は、ベース部1が備える切欠部4に対応して設けられている。
【0071】
遮蔽部6は、
図2等に示すように、遮蔽本体部61と、遮蔽リブ62と、を備える。
【0072】
遮蔽本体部61は、板状に形成され、天板部21に対して垂直に設けられている。遮蔽本体部61は、切欠部4をカバーするために用いられる。
【0073】
遮蔽本体部61の第3方向両端は、切欠部4の両側に配置されたベース側スライド部5に挿入可能であり、ベース側スライド部5に対して第2方向にスライドすることができる。蓋部2がベース部1に固定されるとき、遮蔽本体部61がベース側スライド部5に嵌合される。
【0074】
遮蔽本体部61とベース側スライド部5とが嵌合された状態では、
図3に示すように、ベース側フランジ部51の一部と、遮蔽本体部61の一部と、内側壁部52と、の順に第1方向に重なった挟み込み構造が構成される。この挟み込み構造においては、ベース側スライド部5の分岐部分(C字状の部分)によって遮蔽本体部61が挟まれている。
【0075】
遮蔽部6には、
図2等に示すように、張出し部63が形成されている。張出し部63は、遮蔽本体部61において天板部21から遠い側の端部(言い換えれば、先端部)が、第1方向外側に突出するように湾曲されて形成される。張出し部63は、傾斜部分を有している。この傾斜部分は、例えば
図4に示すように、天板部21から第2方向に離れるにつれて第1方向外側となるように傾いている。
【0076】
図4に示すように、ベース部1が蓋部2によりカバーされた状態において、この張出し部63は、フランジ部12bよりも天板部21に近い側、及び、第1方向外側に位置する。フランジ部12bの上面と、張出し部63の傾斜部分との間には、第2方向の隙間である三角形状の小さな空間30sが形成されている。空間30sは、ワイヤ支持部12aと天板部21とに挟まれた空間と接続されている。突出状に形成されたフランジ部12bの先端面は、張出し部63により覆われる。フランジ部12bの先端面と、張出し部63と、の間には、第1方向の隙間30gが形成される。隙間30gは、空間30sと接続されている。
【0077】
この張出し部63により、ワイヤハーネス10のテープ巻き部分を広い範囲にわたって保護することができる。従って、耐久性を高めることができる。また、空間30s及び隙間30gにより、
図6に示すように、ワイヤハーネス10を固定する粘着テープ20と、遮蔽部6と、の干渉を回避することができる。この結果、ワイヤハーネス10が粘着テープ20によりベース部1に固定された状態で、蓋部2をベース部1に円滑に固定することができる。
【0078】
遮蔽リブ62は、遮蔽本体部61の第3方向両側にそれぞれ設けられている。それぞれの遮蔽リブ62は、概ね第2方向に延びるように細長く形成されている。遮蔽リブ62は、
図2及び
図3に示すように、遮蔽本体部61より第1方向外側に突出するように設けられている。
【0079】
図3に示すように、遮蔽本体部61とベース側スライド部5とが嵌合された状態において、遮蔽リブ62は、ベース側フランジ部51の近傍に位置する。ベース側フランジ部51において切欠部4に近づくように延びた部分の縁部が、遮蔽リブ62により覆われる。
【0080】
遮蔽リブ62のうち天板部21から遠い側の端部は、張出し部63と連結されている。これにより、遮蔽部6の強度を向上することができる。
【0081】
1対のベース側フランジ部51の間に1対の遮蔽リブ62を円滑に差し込むために、それぞれのベース側フランジ部51には、
図2に示すようにテーパ状の案内部51aが形成されている。この案内部51aに沿うように、遮蔽リブ62において天板部21に近い側の一部は、傾斜した部分(傾斜部62a)を有している。
【0082】
上記のように構成された遮蔽リブ62は、ベース側フランジ部51が第3方向に突出する突出側端面を、テーパ状の案内部51aを含めて広い範囲で覆うことができる。これにより、砂等が前述の挟み込み構造から収容凹部3に侵入することを抑制することができ、収容されたワイヤハーネス10を好適に保護することができる。
【0083】
本実施形態のベース部1と蓋部2とをロックするために、ベース部1には、ベース側ロック部13が形成され、蓋部2には、蓋側ロック部23が形成されている。
【0084】
ベース側ロック部13は、第1方向で対となるように、対面する2つの壁部11のそれぞれに形成されている。ベース側ロック部13は、例えば、蓋側ロック部23を差し込んで固定できるように構成される。
【0085】
蓋側ロック部23は、ベース側ロック部13に対応する位置に配置される。蓋側ロック部23は、第1方向で対となるように、対面する2つの側板部22のそれぞれに形成されている。蓋側ロック部23は、例えば、ベース側ロック部13に差し込む爪部として構成される。
【0086】
ベース側ロック部13及び蓋側ロック部23は、プロテクタ100の長手方向において複数箇所に設けられている。本実施形態のプロテクタ100においては、
図1等に示すように、切欠部4の近傍に少なくとも1対のベース側ロック部13及び蓋側ロック部23が設けられている。蓋部2とベース部1との結合箇所を切欠部4の近傍部分に配置することで、切欠部4の近傍部分におけるプロテクタ100の機械的強度を確保することができる。
【0087】
本実施形態のベース部1は、補強リブ部14を更に備えている。補強リブ部14は、
図8に示すように、切欠部4が形成されている部分の底部12に設けられている。補強リブ部14は、底部12のうち、収容凹部3から遠い側の面に設けられている。補強リブ部14は、互いに垂直に交差する複数本のリブから構成され、全体として格子状に形成されている。
【0088】
図8に示すように、第3方向において、補強リブ部14の幅は、切欠部4の幅より長く形成されている。具体的には、補強リブ部14は、切欠部4に対応する部分より第3方向の両外側に延びて形成されている。
【0089】
切欠部4が形成された部分は、壁部11がないために強度が低下し易い。底部12に補強リブ部14を形成することにより、強度の低下を抑制することができる。補強リブ部14は複数本のリブが互いに交差する構成となっているため、ベース部1の様々な方向の曲げに対して強度を発揮することができる。
【0090】
以上に説明したように、本実施形態のプロテクタ100は、ワイヤハーネス10を収容する。プロテクタ100は、ベース部1と、蓋部2と、を備える。ベース部1には、ワイヤハーネス10を通過させる収容凹部3が形成されている。蓋部2は、ベース部1の収容凹部3を閉鎖可能である。収容凹部3は、第1方向で対向するように設けられた2つの壁部11と、壁部11の第2方向一端側において当該2つの壁部11を連結する底部12と、から構成される。第2方向は、第1方向と垂直である。ベース部1の壁部11には、切欠部4が形成されている。切欠部4は、壁部11の第2方向他端側を開放させる。蓋部2は、遮蔽部6を備える。遮蔽部6は、切欠部4を覆うことが可能である。
【0091】
これにより、ベース部1から蓋部2を取り外した状態で、かつ、ワイヤハーネス10を収容凹部3に収容した状態で、粘着テープ20等を切欠部4の部分でベース部1及びワイヤハーネス10に対して容易に巻き付けることができる。従って、切欠部4の部分でワイヤハーネス10をベース部1に強く拘束することができるので、プロテクタ100の内部でワイヤハーネス10がバタつくのを防止することができる。この結果、ワイヤハーネス10の損傷を防止することができる。
【0092】
また、本実施形態のプロテクタ100において、ベース部1は、ベース側スライド部5を備える。ベース側スライド部5は、第2方向で見た場合に分岐状に形成され、遮蔽部6を嵌合する。ベース側スライド部5は、第1方向と第2方向との何れにも垂直な第3方向において、切欠部4の両側にそれぞれ位置する。
【0093】
これにより、遮蔽部6とベース側スライド部5とがしっかり嵌合することができ、砂等の侵入を好適に回避することができる。
【0094】
また、本実施形態のプロテクタ100においては、切欠部4が遮蔽部6により遮蔽された状態において、ベース側スライド部5の分岐部分によって遮蔽部6が挟まれる。
【0095】
これにより、砂等の侵入経路が複雑になる挟み込み構造が形成されるので、砂等の侵入を一層好適に回避することができる。
【0096】
また、本実施形態のプロテクタ100において、ベース側スライド部5の分岐部分は、ベース部1の壁部11の一部と、壁部11より第1方向外側に突出した部分と、により形成される。
【0097】
これにより、ベース側スライド部5が壁部11から収容凹部3側へ突出しないので、ワイヤハーネス10と干渉することを防止できる。従って、ワイヤハーネス10の損傷を防止できる。
【0098】
また、本実施形態のプロテクタ100において、ベース部1は、少なくとも1つのベース側ロック部13を備える。ベース側ロック部13は、切欠部4とは異なる場所に設けられている。蓋部2は、少なくとも1つの蓋側ロック部23を備える。蓋側ロック部23は、遮蔽部6とは異なる場所であって、ベース側ロック部13と対応して設けられている。ベース側ロック部13と蓋側ロック部23とを介して、蓋部2がベース部1に固定される。
【0099】
これにより、蓋部2がベース部1をしっかりカバーすることができる。
【0100】
また、本実施形態のプロテクタ100において、ベース側ロック部13は、切欠部4の近傍に設けられる。蓋側ロック部23は、ベース側ロック部13に対応して、遮蔽部6の近傍に設けられている。
【0101】
これにより、蓋部2がベース部1に固定される箇所が、切欠部4が形成されている箇所の近傍に位置する。従って、切欠部4の周辺部分におけるプロテクタ100の強度低下を効果的に抑制できる。
【0102】
また、本実施形態のプロテクタ100において、第1方向と第2方向との何れにも垂直な第3方向で見た場合、切欠部4が形成された部分におけるベース部1の底部12は、ワイヤ支持部12aと、フランジ部12bと、を備える。ワイヤ支持部12aは、略U字状に形成される。フランジ部12bは、ワイヤ支持部12aの第1方向両側のそれぞれに設けられている。
【0103】
これにより、切欠部4が形成された部分においても、ワイヤ支持部12aによってワイヤハーネス10を好適に支持することができる。ワイヤ支持部12aが略U字状に形成されているので、強度を向上することができる。フランジ部12bの端部で粘着テープ20が強く屈曲する形になるので、粘着テープ20によるワイヤハーネス10の固定が強固になる。
【0104】
また、本実施形態のプロテクタ100において、遮蔽部6は、フランジ部12bに対応して形成された張出し部63を備える。切欠部4が遮蔽部6により遮蔽された状態において、張出し部63は、フランジ部12bの第1方向外側を覆う。
【0105】
これにより、遮蔽部6によってワイヤハーネス10を広い範囲にわたって保護することができる。また、張出し部63によってフランジ部12bを保護することができる。
【0106】
また、本実施形態のプロテクタ100において、フランジ部12bと張出し部63との間には、第1方向の隙間30gが形成されている。
【0107】
これにより、隙間30gを介して粘着テープ20を通すことができる。
【0108】
また、本実施形態のプロテクタ100において、フランジ部12bと張出し部63との間には、第2方向の隙間としての空間30sが形成されている。
【0109】
これにより、空間30sを介して粘着テープ20を通すことができる。
【0110】
また、本実施形態のプロテクタ100において、ベース部1は、ベース側スライド部5を備える。ベース側スライド部5は、第2方向で見た場合に分岐状に形成され、遮蔽部6を嵌合するために用いられる。遮蔽部6は、遮蔽本体部61と、遮蔽リブ62と、を備える。遮蔽本体部61は、ベース側スライド部5に嵌合する。遮蔽リブ62は、遮蔽本体部61から第1方向外側に突出する。ベース側スライド部5は、ベース側フランジ部51を備える。ベース側フランジ部51は、切欠部4と遮蔽部6とが嵌合された状態で、遮蔽本体部61の第3方向両側のそれぞれを、第1方向外側から覆う。遮蔽リブ62は、第3方向にベース側フランジ部51が突出する部分の突出側端面を覆う。
【0111】
これにより、遮蔽部6の強度を向上することができるとともに、砂等の侵入を一層回避することができる。
【0112】
また、本実施形態のプロテクタ100において、遮蔽リブ62は、ベース側フランジ部51が遮蔽本体部61をカバーしている範囲の全てにわたって、ベース側フランジ部51の前記突出側端面を覆う。
【0113】
これにより、砂等の侵入を好適に回避することができる。
【0114】
また、本実施形態のプロテクタ100において、ベース側フランジ部51には、テーパ状の案内部51aが形成されている。案内部51aは、遮蔽部6をベース側スライド部5に嵌合させるときに、遮蔽リブ62を案内可能である。遮蔽リブ62は、テーパ状の案内部に沿うように傾斜した傾斜部62aを有する。この傾斜部62aが、
図5に示すように案内部51aを覆う。
【0115】
これにより、遮蔽部6をベース側スライド部5に円滑に嵌合させることができる。また、砂等の侵入経路をしっかり塞ぐことができる。
【0116】
また、本実施形態のプロテクタ100において、遮蔽本体部61の先端部には、遮蔽本体部61より第1方向外側に突出するように形成された張出し部63が形成されている。遮蔽リブ62の長手方向端部が張出し部63と連結している。
【0117】
これにより、遮蔽部6の強度を向上することができる。
【0118】
また、本実施形態のプロテクタ100においては、切欠部4を介して、収容凹部3に収容されるワイヤハーネス10を粘着テープ20でベース部1に固定することが可能である。
【0119】
これにより、収容凹部3に収容されたワイヤハーネス10をしっかり固定することができる。従って、バタツキによるワイヤハーネス10の損傷を防止できる。
【0120】
また、本実施形態のプロテクタ100において、ベース部1は、補強リブ部14を備える。補強リブ部14は、ベース部1に切欠部4が形成されている部分の底部12のうち、収容凹部3とは反対の面に設けられている。補強リブ部14が形成されている範囲は、第1方向と第2方向との何れも垂直な第3方向において、切欠部4より長い。
【0121】
これにより、切欠部4が形成されることによるベース部1の強度低下を、補強リブ部14によって効果的に抑制することができる。補強リブ部14が収容凹部3側に露出しないので、ワイヤハーネス10が補強リブ部14に擦れて損傷することを防止できる。
【0122】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0123】
図示は省略するが、遮蔽部6が、ベース部1に嵌合する、第2方向で見た場合に分岐状の蓋側スライド部を備えても良い。蓋側スライド部は、第2方向で見た場合にC字状に形成され、遮蔽本体部61の第3方向両側のそれぞれに位置する。切欠部4が遮蔽部6により遮蔽された状態において、蓋側スライド部の分岐部分によって、ベース部1が挟まれる挟み込み構造が構成される。
【0124】
蓋側スライド部は、ベース側フランジ部51を挟むように構成することができる。この場合、内側壁部52を省略することができる。蓋側スライド部は、内側壁部52を挟むように構成することもできる。この場合、ベース側フランジ部51を省略することもできる。
【0125】
ベース部1に対して切欠部4が形成される数は1対であっても良いし、3対以上であっても良い。
【0126】
フランジ部12b、遮蔽リブ62、張出し部63のうち少なくとも何れかを省略することができる。
【0127】
プロテクタ100が使用される向きは任意である。例えば、底部12及び天板部21が横向きとなるように、又は上下が逆となるように、プロテクタ100を車両に取り付けて用いることができる。
【符号の説明】
【0128】
1 ベース部
2 蓋部
3 収容凹部
4 切欠部
6 遮蔽部
10 ワイヤハーネス
100 プロテクタ