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特許7575645分岐用トラフ、曲がりトラフ、分岐用トラフの接続構造、トラフ線路、分岐用トラフの固定構造、曲がりトラフの固定構造、分岐用トラフに対するケーブル保護部材の接続方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】分岐用トラフ、曲がりトラフ、分岐用トラフの接続構造、トラフ線路、分岐用トラフの固定構造、曲がりトラフの固定構造、分岐用トラフに対するケーブル保護部材の接続方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 9/04 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
H02G9/04
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2024542091
(86)(22)【出願日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2024010570
【審査請求日】2024-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2023137553
(32)【優先日】2023-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】堀 高誌
(72)【発明者】
【氏名】小澤 聡
(72)【発明者】
【氏名】白山 雄一
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-130726(JP,A)
【文献】特開2011-061997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側面を形成する側板と、底面を構成する底板とからなり、前記底板を囲うように両方の前記側板が起立し、断面がU字状の分岐用トラフであって、
前記底板が平面視で略T字形状で、略長方形状の主幹部と、前記主幹部の一方の長辺側に前記主幹部の長手方向に直交する方向に向けて、徐々に略円弧状に縮径して延出して形成された分岐部とから構成され、
前記側板は、前記主幹部の一方の長辺側に形成される直線部と、略円弧状に縮径して延出する前記分岐部の外縁を形成する曲がり部とにより形成され、
前記分岐部の端部と前記主幹部の長手方向の両端部のそれぞれの開口部には、それぞれ同様の構造の雌継手構造が形成され、
前記雌継手構造は、相互に所定距離離間した略平行な縦リブを有する、平面視で相互に対向する一対の略U字型にそれぞれ形成されたもので、
前記側板の折り曲げ部の上部には、相互に所定距離離間して形成されたそれぞれの前記折り曲げ部の縦リブを繋ぐように蓋取り付け用の固定金具を取り付ける固定金具取り付け部を兼ねる横リブが形成され、
略円弧状の前記曲がり部の側板の外側には、縦リブが設けられないことを特徴とする分岐用トラフ。
【請求項2】
前記主幹部の両端部の開口部に形成された前記雌継手構造は、前記主幹部の側板の直線部と前記曲がり部の側板とに対して直交する方向に内方に向いて延出するようにそれぞれ形成された雌継手構造で、
さらに前記分岐部の先端の開口部に形成された前記雌継手構造は、前記曲がり部と直交する方向に内方に向いて延出するように形成された雌継手構造であり、
前記主幹部及び前記分岐部に形成される前記折り曲げ部は、いずれも前記主幹部及び前記分岐部の開口部の端部に設けられるそれぞれの雌継手構造の内側の縦リブを兼ねるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の分岐用トラフ。
【請求項3】
前記雌継手構造の底板面は、前記雌継手構造以外の部位の底板面より所定高さ低く形成され、
前記雌継手構造の前記側板の足部が所定高さで前記底板の裏面に突出して形成され、前記足部により、前記底板が、地盤面から所定高さ上方に支持されることで、前記底板の裏面に空間が形成され、
前記主幹部と前記分岐部の裏面に形成される前記空間の所定位置に、前記底板から下方に向けて所定高さで突出する中空柱状突出部が形成され、
前記中空柱状突出部の天面は、前記底板により閉塞されているか、あるいは前記中空柱状突出部の天面が開口されているかのいずれかであり、
前記中空柱状突出部は、少なくとも1つ以上アンカーボルト固定部として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の分岐用トラフ。
【請求項4】
略T字形状を有する分岐用トラフの前記底板の裏面には、前記主幹部の直線状の前記側板の長手方向の中央からそれぞれ所定距離ずれた位置から、これと対向するように延出した前記分岐部の前記開口部に向けて、両者を結ぶように所定長さの底面補強リブが相互に平行に複数本形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の分岐用トラフ。
【請求項5】
両側面を形成する側板と、底面を構成する底板とからなり、前記底板を囲うように両方の前記側板が起立する断面がU字状の曲がりトラフであって、
前記底板は、平面視で所定の方向に所定角度の曲がり部を有し、前記底板の曲がり部を囲うように内側曲がり部を形成する前記側板と外側曲がり部を形成する前記側板の両側の前記側板が上方に向かって略円弧状の曲がり部を形成するように起立して、
前記側板の両端部には、それぞれ略U字状の開口部が形成され、
前記側板の両端部の前記開口部の端部と、両端部の前記開口部の端部の近傍には、それぞれの前記側板の曲がり部の両側に前記曲がり部と直交する方向に内方に向いて延出する相互に所定距離離間した略平行な縦リブが形成されることで、前記縦リブを有する、平面視で相互に対向する1対の略U字型形状の雌継手構造がそれぞれ形成され、
前記内側曲がり部と前記外側曲がり部の前記側板には、開口部の近傍の所定位置と曲がり部の中間の所定位置において、内方に突出する縦リブを兼ねる折り曲げ部がそれぞれ相互に所定距離離間して形成され、
前記側板の前記開口部の近傍の所定位置と曲がり部の中間の所定位置に所定距離離間して形成されたそれぞれの縦リブを兼ねる前記折り曲げ部の上部には、前記縦リブ同士を繋ぐように蓋取り付け用の固定金具が取り付け可能な横リブが形成され、
前記外側曲がり部の前記横リブが、前記内側曲がり部の前記横リブよりも長く、前記内側曲がり部と前記外側曲がり部を形成するそれぞれの前記側板の外側には、縦リブが設けられないことを特徴とする曲がりトラフ。
【請求項6】
前記曲がり部の一方の端部から所定距離離間した前記曲がり部の中間の所定位置と、前記曲がり部の中間の所定位置の近傍には、前記側板の両端部の前記開口部と同様な別の雌継手構造が形成され、
前記開口部の近傍の所定位置に設けられる折り曲げ部は、前記開口部の近傍の前記雌継手構造の内側の縦リブを兼ね、さらに前記曲がり部の中間の所定位置に形成される折り曲げ部は、前記別の雌継手構造の内側の縦リブを兼ねることを特徴とする請求項5に記載の曲がりトラフ。
【請求項7】
少なくとも前記曲がり部の両端部に形成された前記雌継手構造の底板面は、前記雌継手構造以外の部位の底板面より所定高さ低く形成され、
前記雌継手構造の側板の足部が所定高さで前記底板の裏面に突出して形成され、前記足部により、前記底板が、地盤面から所定高さ上方に支持されることで、前記底板の裏面に空間が形成され、
前記底板の裏面に形成される前記内側曲がり部と前記外側曲がり部が作る前記空間の所定位置に、前記底板から下方に向けて所定高さで突出する中空柱状突出部が形成され、
前記中空柱状突出部の天面が、前記底板により閉塞されているか、あるいは前記中空柱状突出部の天面が開口しているかのいずれかであり、前記中空柱状突出部は、少なくとも1つ以上アンカーボルト固定部として形成されていることを特徴とする請求項5に記載の曲がりトラフ。
【請求項8】
トラフの両端に形成された前記曲がり部の一方の端部から所定距離離間した他方の端部との中間の所定位置とその近傍の所定位置に形成された前記別の雌継手構造の、
前記側板から内方に延出するように前記底板に対して垂直な方向に所定高さの相互に略平行に形成された前記別の雌継手構造の外側の縦リブに対して、
前記曲がり部を形成する曲線に対して直交するように形成された前記内側曲がり部と前記外側曲がり部の前記縦リブの外側面を繋ぐように前記縦リブに沿って切断した場合に得ることができる、切断前の曲がり角度より小さい曲がり角を有する曲がりトラフの構造が内装されていることを特徴とする請求項に記載の曲がりトラフ。
【請求項9】
請求項1に記載の分岐用トラフと直線状トラフの接続構造であって、
略T字形状を有する分岐用トラフの少なくとも1カ所の前記開口部の前記雌継手構造に、トラフ本体の断面寸法が略同一の所定長さの直線状トラフの雄継手構造が接続されることを特徴とする分岐用トラフの接続構造。
【請求項10】
請求項1に記載の分岐用トラフと直線状トラフの接続構造であって、
略T字形状を有する分岐用トラフの少なくとも1カ所の前記開口部の前記雌継手構造に、トラフ本体の断面寸法が略同一の所定長さの直線状トラフの雌継手構造が、雄雄変換接続用アダプターを介して接続されることを特徴とする分岐用トラフの接続構造。
【請求項11】
請求項1に記載の分岐用トラフと、請求項3に記載の曲がりトラフとの接続構造であって、
略T字形状を有する分岐用トラフの少なくとも1カ所の前記開口部の前記雌継手構造に、曲がりトラフの一方の端部の開口部に形成された前記雌継手構造が、雄雄変換接続用アダプターを介して接続されることを特徴とする分岐用トラフの接続構造。
【請求項12】
請求項1に記載の分岐用トラフと小径トラフの接続構造であって、
略T字形状を有する分岐用トラフの少なくとも1カ所の前記開口部の前記雌継手構造に、前記雌継手構造の対向する前記縦リブ間の距離より幅広の四角形状の端面板が挿入され、
前記端面板は、下方または上方のいずれかに所定サイズの開口部が形成された略U字型であり、前記端面板の開口部に、小径トラフの雄継手構造を配置して、前記小径トラフの雄継手構造のフランジ部を抜け止め構造として前記端面板の開口部に嵌合させて接続することで、前記小径トラフの雄継手構造が前記端面板に固定されることを特徴とする分岐用トラフの接続構造。
【請求項13】
請求項1に記載の分岐用トラフと電線管の接続構造であって、
略T字形状を有する分岐用トラフに接続される電線管は、独立波構造を有し、前記電線管は、断面円形の大径部と小径部が交互に形成された独立波電線管、または断面矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成された角型電線管のいずれかであり、
略T字形状を有する分岐用トラフのいずれかの前記開口部の前記雌継手構造に、半割構造であって上下に分割可能な端面板が配置され、
前記端面板は、分割した際に対向する部位に開口部を有し、前記電線管の小径部を、前記端面板の開口部に挟み込むことで、前記電線管が前記端面板に固定されることを特徴とする分岐用トラフの接続構造。
【請求項14】
請求項1に記載の分岐用トラフと電線管の接続構造であって、
略T字形状を有する分岐用トラフに接続される電線管は、断面円形のらせん波構造を有する電線管であり、
前記電線管の内周面に嵌合可能ならせん溝を有する円形断面の筒状部と、当該筒状部の端部に形成されるフランジ部とを有する内側接続部材と、
前記電線管の外周面に嵌合可能ならせん溝を有する円形断面の筒状部と、当該筒状部の端部に形成されるフランジ部とを有する外側接続部材と、を用い、
前記内側接続部材と前記外側接続部材の前記筒状部が、前記電線管の内周面と外周面とにそれぞれ螺合されて、前記電線管の端部に取り付けられ、
前記外側接続部材は、前記内側接続部材よりも前記電線管の端部から奥側に配置され、前記開口部の前記雌継手構造に、前記電線管を挿通可能な開口を有する端面板が配置され、前記端面板が前記内側接続部材のフランジ部と前記外側接続部材のフランジ部とで挟み込まれることで前記電線管が固定されることを特徴とする分岐用トラフの接続構造。
【請求項15】
相互に対向する略U字型の前記雌継手構造の底部である前記底板の表面の略中央に、トラフの幅方向に所定長さを有する溝が形成されていて、前記端面板の底部先端には、前記溝に嵌合可能な突出部が設けられることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれかに記載の分岐用トラフの接続構造。
【請求項16】
請求項9または請求項10に記載の分岐用トラフの接続構造を用いたトラフ線路であって、
略T字形状を有する分岐用トラフは主幹部の両端の開口部と、分岐部に設けられた別の開口部を有し、前記主幹部の両端の開口部と前記別の開口部に、複数の所定長さの直線状トラフが連結されたトラフ線路が接続され、
前記別の開口部の前記雌継手構造には、複数連結された直線状トラフの連結構造の一方の端部に配置された雄継手構造が接続されるか、複数連結された直線状トラフの連結構造の他方の端部に配置された雌継手構造が雄雄変換接続用アダプターを介して接続され、
前記分岐用トラフの内部において、ケーブルが、分岐構造あるいは曲がり構造のいずれかを有するように配置されて、さらにトラフ蓋が被冠されていることを特徴とするトラフ線路。
【請求項17】
一方の端部に雄継手構造が配置された直線状トラフの連結構造か、他方の端部に雌継手構造が配置された直線状トラフの連結構造のいずれかのトラフ線路の少なくとも一部に、両端部に雌継手構造を有する曲がりトラフが雄雄変換接続用アダプターを介して配置され、前記分岐用トラフの内部において、ケーブルが、分岐構造あるいは曲がり構造のいずれかを有するように配置されて、
さらにトラフ蓋が被冠されていることを特徴とする請求項16に記載のトラフ線路。
【請求項18】
前記トラフ線路を形成するトラフ内に配置されたケーブルが、前記分岐用トラフ内で曲がり構造のみを有し、さらに、相互に対向する開口部の一方の側にはケーブルが配置され、他方の側には、遮蔽板が配置され、残りの分岐部の開口部をケーブルが挿通することを特徴とする請求項16に記載のトラフ線路。
【請求項19】
前記トラフ線路を形成するトラフ内に配置されたケーブルが、前記分岐用トラフ内で曲がり構造のみを有し、さらに、前記分岐用トラフの相互に対向する前記開口部の一方の側と、前記分岐部の開口部には、ケーブルが配置され、前記分岐用トラフの相互に対向する前記開口部の他方の側には、遮蔽板が配置されることを特徴とする請求項17に記載のトラフ線路。
【請求項20】
請求項3に記載の分岐用トラフの固定構造であって、
前記主幹部と前記分岐部の境界の略中央の近傍の所定位置に、前記底板の裏面から下方に向けて所定高さで突出する前記中空柱状突出部がアンカーボルト固定部として形成され、
前記中空柱状突出部は中空円筒構造を有していて、前記中空円筒構造の中空部にアンカーボルトを挿通して締めることで、アスファルト又はコンクリート地盤に略T字形状を有する分岐用トラフが固定されることを特徴とする分岐用トラフの固定構造。
【請求項21】
請求項7に記載の曲がりトラフの固定構造であって、
前記底板の裏面から下方に向けて所定高さで突出する前記中空柱状突出部がアンカーボルト固定部として形成され、
前記中空柱状突出部は中空円筒構造を有していて、前記中空円筒構造の中空部にアンカーボルトを挿通して締めることで、アスファルト又はコンクリート地盤に前記曲がりトラフが固定されることを特徴とする曲がりトラフの固定構造。
【請求項22】
請求項1に記載の分岐用トラフに対するケーブル保護部材の接続方法であって、
分岐用トラフの3つの前記開口部のうち、少なくともいずれかの前記開口部の端部と、前記開口部の端部近傍の前記開口部の端部から所定距離離間した位置とに、略平行に所定高さの前記縦リブが前記側板から内方の垂直な方向に相互に対向するように延出して形成される前記雌継手構造において、
前記縦リブによって形成される両端面が略平行な空間に対し、直接的にトラフの雄継手構造のフランジ部を固定するか、トラフの雌継手構造を雄雄変換接続用アダプターを介して固定するか、または端面板を介して小径トラフの雄継手構造のフランジ部を固定するか、あるいは円形または矩形断面を有する独立波電線管の小径部を端面板に挟み込むことで固定するか、またはらせん波電線管の端部に、端面板を介して内側接続部材と外側接続部材を螺合させて、前記内側接続部材のフランジ部と前記外側接続部材のフランジ部で端面板を挟み込むことで固定することを特徴とする分岐用トラフに対するケーブル保護部材の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にケーブルが敷設される略T字形状を有する分岐用トラフ及び曲がりトラフと、これらが用いられた分岐用トラフの接続構造、トラフ線路、分岐用トラフの固定構造、曲がりトラフの固定構造、分岐用トラフに対するケーブル保護部材の接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電力の輸送等に使用されるケーブルの敷設において、種々の構造が提案されている。例えば、樹脂製のトラフを設置して、トラフの内部にケーブルが敷設されたトラフ線路が提案されている。
【0003】
このような、トラフ線路に用いられるトラフとしては、例えば、側面に切欠き部を有するトラフ本体と、一端が切り欠き部に対応して接合される分岐トラフとを備える分岐ケーブル敷設用トラフが提案されている(特許文献1)。特許文献1のトラフは、切り欠き部の切断面に長溝を設け、分岐トラフの切り欠きとの接合面は、長溝に挿脱自在に装着されたゲート板により閉塞される。
【0004】
また、側面に開口部を有するトラフ本体と、一端が開口部に対向され、かつ接合された分岐トラフとを一体に成形してなることを特徴とする分岐ケーブル敷設用トラフが提案されている(特許文献2)。特許文献2のトラフは、特許文献1のトラフとは異なり、各部が分割された構造ではなく、一体に形成されたものである。
【0005】
また、U字溝の底板と側面とをコーナー部材を用いて現場で容易に組立てられるようにして、保管時の減容を達成したトラフが提案されている(特許文献3)。特許文献3のトラフは、プラスチック材料を用いることによって、軽量化を達成すると共に、側壁部に予め穴を設けたものを用意することで分岐が容易となる。また、プラスチック材料の一部又は全部に再生材料を用いることで、原価の上昇を抑制することができる。
【0006】
また、方向性のあるトラフのボディの両端部に、凹状接続部を形成し、隣接するトラフの凹状接続部との間を、U字状の連結部材により接続したケーブルトラフが提案されている(特許文献4)。特許文献4のトラフは、ボディの基端と先端とをひっくり返して使用することにより、左右いずれの側に湾曲させたり、分岐させたりすることが可能となる。このため、右側湾曲用(右側分岐用)と左側湾曲用(左側分岐用)の2種類のトラフを準備しておく必要がない。
【0007】
また、各種ケーブル類を収容保護する略筒状のケーブル保護材を挿入接続することが可能なトラフ接続部品が提案されている(特許文献5)。特許文献5では、ケーブル保護材の接続部分に配置されるケーブル保護材接続部品であるトラフ接続部品の本体が、合成樹脂製の胴体と上蓋とを組み合わせて中空箱状に形成される。また、トラフ接続部品の本体の側壁面に切削ガイドラインである内側リブと外側リブを設け、この内側リブ、外側リブに沿って被接続ケーブル保護材に対応した開口部を切削形成する。この開口部にケーブル保護材を挿入して接続することができる。
【0008】
また、両端部に雄継手構造を有する曲がりトラフが提案されている(特許文献6)。特許文献6の曲がりトラフは、端部の雄継手構造に、他のトラフの端部に設けられる雌継手構造を嵌合することで、トラフ同士を連結して接続することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実開昭61-98328号公報
【文献】実開昭61-982329号公報
【文献】特開2005-245186号公報
【文献】実開平6-5334号公報
【文献】実開平6-024321号公報
【文献】US2020/0277739 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1~特許文献6では、折り曲げ部の上部に折り曲げ部の両側を繋ぐ横リブを有し、さらにそれぞれ対向する折り曲げが縦リブを兼ねる構造を有し、その折り曲げ部の上部に横リブを設けて補強すると同時に、横リブをトラフ固定金具取り付け部を設けることは記載されていない。さらにその折り曲げ部が雌継手構造の内側の縦リブを兼ねるものであることは開示されていない。またいずれのトラフにおいても、トラフを設置地盤に固定するための構造を有していない。
【0011】
また、従来のトラフを、例えば斜面等に安定して固定しようとすると、トラフの底部に直接穴を開けて、ボルトで底板を締め付けて固定するなどの必要がある。しかし、トラフの底板に穴をあけてボルト等で締めこむと、トラフの底部にクラックが入ったり、変形したりする場合がある。このため、トラフを斜面等に安定してトラフを固定することが困難であるなどの問題があった。
【0012】
通常、直線状トラフの外方には、トラフ側板の外側面には補強のため、外リブを設けることが多い。これは、特に樹脂製トラフの特徴である薄肉軽量の特徴を活かしながらも強度を担保するためである。しかし、分岐トラフの突出部や曲がりトラフの曲がり部の側板に外方に突出する外リブが設けられると、直線状トラフの場合に比べて外リブの突出するリブ構造が外部に及ぼす影響が大きく、例えば作業時にリブを損傷したり、作業者がリブにつまずいて転んだりする可能性がある。また、台風などの自然災害による飛来物に対しても、直線状トラフの場合に比べて、飛来物がリブに当たり易いことやリブ部に衝突のエネルギーが集中し易いことによりリブを損傷するリスクが高くなる。この点、側板の曲線状部を繋ぐ輪郭線より外方に突出するリブのない簡易な構造で、さらに不安定な地盤面に安定して固定可能な構造を有すると同時に、接続部材としての接続性に優れた薄肉軽量な分岐トラフや曲がりトラフの開発が望まれていたが、このようなトラフは存在しない。
【0013】
本発明の第1の特徴は、トラフの側板に相互に所定距離離間して形成される縦リブを有する折り曲げ部を設け、前記側板の前記折り曲げ部の上部には、相互に所定距離離間して形成されたそれぞれの前記折り曲げ部の縦リブを繋ぐように横リブが設けられ、これにより、トラフの側板の補強構造を形成するとともに、その横リブが固定金具を取り付ける固定金具取り付け部を兼ねる構造を有する分岐トラフや曲がりトラフを提供できることである。その結果、分岐トラフや曲がりトラフの曲がり部の側板の外側には、縦リブを設けなくても、トラフの構造強度を確保できることから、側板の曲がり部の外側には、縦リブが設ける必要がない。
またトラフの開口部の近傍に設けられた折り曲げ部の縦リブは、雌継手構造の内側の縦リブを兼ねるように形成されているため、トラフの側板の構造強度を高めるだけでなく、分岐トラフや曲がりトラフの構造を簡素化できるという特徴がある。
【0014】
本発明は第1の特徴に加えて第2の特徴を有する。本発明の第2の特徴は、設置対象地面が斜面である場合等に対しても、アンカーボルトなどで地盤に固定することが容易であるボルト固定用リブ構造としての中空柱状突出部を有する設置性に優れた分岐用トラフや曲がりトラフ等を提供することを目的とする。このような構造とすることで、底板をボルト固定しても、ボルトの締め付け荷重をトラフ底板の裏面に形成された中空柱状突出部で受けるため、底板を薄肉化しても底板に変形やクラックを生じることなく、固定することが可能になる。さらに、底板の裏面に空間を確保できるため、地盤に多少の障害や凹凸が存在したり、地盤が傾斜面であったとしてもトラフを固定することができる。さらに底板が薄肉化できるため、軽量化が可能なことと、トラフ接続部を含むトラフ上にケーブルを安定的に保持しやすい。
【0015】
本発明は第1の特徴、第2の特徴に加えて第3の特徴を有する。第3の特徴は、分岐トラフの雌部に雄雄変換接続用アダプターや端面板を取り付けることで、多様なトラフや電線管との接続構造を得ることができることである。具体的には、これにより、直線状の同一構造のトラフ、曲がりトラフ、小径トラフ、断面円形の独立波電線管、または断面矩形状の角型電線管、断面円形のらせん波電線管等との多様な接続構造を得ることができる。
【0016】
さらに、第3の特徴の接続構造を用いることで、分岐用トラフに複数の所定長さの直線状トラフが連結されたトラフ線路や、あるいはこれに曲がりトラフや遮蔽板が接続されたトラフ線路などの発明を得ることができる。また、分岐用トラフや曲がりトラフの中空柱状突出部をアンカーボルトで固定することでアスファルト又はコンクリート地盤へのこれらのトラフの固定構造を得ることができる。また、最後に、前記の分岐用トラフに対するケーブル保護部材の多様な接続構造を得る接続方法の発明も得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述した目的を達するために第1の発明は、
両側面を形成する側板と、底面を構成する底板とからなり、前記底板を囲うように両方の前記側板が起立し、断面がU字状の分岐用トラフであって、
前記底板が平面視で略T字形状で、略長方形状の主幹部と、前記主幹部の一方の長辺側に前記主幹部の長手方向に直交する方向に向けて、徐々に略円弧状に縮径して延出して形成された分岐部とから構成され、
前記側板は、前記主幹部の一方の長辺側に形成される直線部と、略円弧状に縮径して延出する前記分岐部の外縁を形成する曲がり部とにより形成され、
前記分岐部の先端の開口部と前記主幹部の長手方向の両端部の開口部のそれぞれ開口部には、それぞれ同様の構造の雌継手構造が形成され、
前記雌継手構造は、相互に所定距離離間した略平行な縦リブを有する平面視で相互に対向する一対の略U字型にそれぞれ形成されたもので、
前記側板の折り曲げ部の上部には、相互に所定距離離間して形成されたそれぞれの前記折り曲げ部の縦リブを繋ぐように蓋取り付け用の固定金具を取り付ける固定金具取り付け部を兼ねる横リブが形成され、
略円弧状の前記曲がり部の側板の外側には、縦リブが設けられないことを特徴とする分岐用トラフである。
【0018】
また、本発明の分岐用トラフは、前記主幹部の両端部の開口部に形成された前記雌継手構造は、前記主幹部の側板の直線部と前記曲がり部の側板とに対して直交する方向に内方に向いて延出するようにそれぞれ形成された雌継手構造で、
さらに前記分岐部の先端の開口部に形成された前記雌継手構造は、前記曲がり部と直交する方向に内方に向いて延出するように形成された雌継手構造であり、
前記主幹部及び前記分岐部に形成される前記折り曲げ部は、いずれも前記主幹部及び前記分岐部の開口部の端部に設けられるそれぞれの雌継手構造の内側の縦リブを兼ねるように形成されている分岐用トラフであってもよい。
【0019】
ここで、本発明の分岐用トラフにおいて、主幹部の長手方向の両端部に形成される雌継手構造は、一方の略U字型の構造が直線部の端部に設けられ、他方の略U字型の構造が分岐部につながる曲線部の端部に形成されたものである。しかし、いずれも主幹部の略長方形状の領域に形成されているため、直線部と曲線部の端部にそれぞれ形成された一対の略U字型の構造を、主幹部の雌継手構造とする。また、これに対し分岐部の先端の開口部に形成される雌継手構造を分岐部側の雌継手構造とする。
また、本発明の分岐用トラフでは、折り曲げ部は、主幹部の直線部又は分岐部へつながる曲線部を所定位置で、側板の両側を折り曲げて内方に突出するようにして形成される。この際、折り曲げ部は、両側の折り曲げた部分を含めた内方に突出した部分全体ではなく、片側の折り曲げた部分を意味するものとする。
【0020】
前記雌継手構造の底板面は、前記雌継手構造以外の部位の底板面より所定高さ低く形成され、
前記雌継手構造の側板の足部が所定高さで前記底板の裏面に突出して形成され、前記足部により、前記底板が、地盤面から所定高さ上方に支持されることで、前記底板の裏面に空間が形成され、
前記主幹部と前記分岐部の裏面に形成される前記空間の所定位置に、前記底板から下方に向けて所定高さで突出する中空柱状突出部が形成され、
前記中空柱状突出部の天面は、前記底板により閉塞されているか、あるいは前記中空柱状突出部の天面が開口されているかのいずれかであり、
前記中空柱状突出部は、少なくとも1つ以上アンカーボルト固定部として形成されていることを特徴とする分岐用トラフであってもよい。
【0021】
略T字形状を有する分岐用トラフの前記底板の裏面には、前記主幹部の直線状の前記側板の長手方向の中央からそれぞれ所定距離ずれた位置から、これと対向するように延出した前記分岐部の前記開口部に向けて、両者を結ぶように所定長さの底面補強リブが相互に平行に複数本形成されてもよい。
【0022】
第1の発明によれば、分岐用トラフの開口部の雌継手構造の形状として、側板の開口部端部と、開口部の端部から所定距離の部位に、内方に向けて相互に略平行なリブが側板の両側に形成され、側板の両側のそれぞれの縦リブが相互に対向するように形成される。このように、開口部に形成される雌継手構造がリブ構造であるため、側板の分岐部の端部を補強する効果を得ることができる。
【0023】
また、側板に折り曲げ部が形成され、折り曲げ部とそこに配置された横リブにより、側板の曲げ及び圧縮強度も高めることができる。さらに、折り曲げ部は縦リブを兼ねるため、各開口部の端部に形成される縦リブの補強効果を高めることができる。また、主幹部と分岐部のそれぞれの端部近傍に形成された、折り曲げ部を構成する縦リブは、各開口部に形成される雌継手構造の略平行な内方の縦リブを兼ねる。このため、内方の他の縦リブを形成せずに、外方の縦リブのみを形成すればよく、分岐用トラフの構造を簡素化できる。同時に、縦リブの上部が横リブにより支持されているため、この縦リブは雌継手構造を補強する効果がある。
【0024】
さらに、曲がり部の両端部とその両端部近傍に形成される側板の内側の縦リブと、縦リブ間を繋ぐ横リブは、両者ともに曲がり部の側板を補強する効果がある。このように側板の折り曲げ部、横リブ、縦リブが横リブを挟んで一体的に形成されることで、補強効果が重畳される。また、横リブは縦リブを補強すると同時に、トラフ蓋を固定するための固定金具取り付け部としても活用することができる。
【0025】
ここで、固定金具取付け部は、主幹部側の両端部近傍に形成された相互に所定距離離間した折り曲げ部とその折り曲げ部の近傍に形成された外リブとの間にそれぞれ形成されるとともに、分岐部の両側の略円弧状に縮径して延出する相互に所定距離離間した折り曲げ部を繋ぐようにそれぞれ形成される。この際、トラフ蓋を固定するための固定金具は、主幹部側と分岐部側の対角位置に2個のみ取付けてもよいし、主幹部側2個、分岐部側2個の合計4個全周に取り付けてもよい。また、固定金具取り付け部にはボルト取付け穴が設けられているので、トラフ蓋をボルトにより固定してもよい。
【0026】
また、分岐用トラフの底板の裏面に、底面から下方に突出する内部が中空の中空柱状突出部が設けられていてもよい。中空柱状突出部は、ボルト固定用構造として機能するため、通常の砂利敷設面や地面の他、アスファルトやコンクリートなどの路面や傾斜面にもボルト固定用構造にアンカーボルトを固定することができ、設置場所の地盤に関係なく設置が可能である。
【0027】
また、分岐用トラフに中空柱状突出部を形成することで、薄板状の底板を補強する効果があり、薄板状の底板に削孔加工を行っても、分岐用トラフは中空柱状突出部により支持されるため、底板の穴加工部に微小クラックなどが生じることがない。また、アンカーボルト固定時のボルト締め付けによる荷重を中空柱状突出部で受けるため、底板に直接アンカーボルト固定孔を設ける場合に比べて底板の変形や微小クラックの発生を防止することができる。また、中空柱状突出部の上部に、薄板状の底板が存在し、柱状突出部の内部が中空であるため、底板への穴あけ加工が容易であり、分岐用トラフと接続する他のトラフのケーブル収納部との高さを略同一にすることが可能である。
【0028】
この際、分岐用トラフに形成された雌継手構造の底板面は、雌継手構造以外の部位の底板面より所定高さだけ低く形成されていてもよい。このようにすることで、分岐用トラフの雌継手構造に他のトラフの雄継手構造を重ねて接続した際、分岐用トラフの底部のケーブル収納部の上面位置のレベルを、接続された他のトラフの雄継手構造の底部やケーブル収納部の高さと合わせることができる。その結果、トラフ内にケーブルが略水平に配置されることで、ケーブルが斜めに配置されてケーブルに余分な張力が働くことを防止できる。
【0029】
また、側板が所定高さで底板の裏面に突出して足部が形成され、足部によって、地盤面から所定高さ上方に底板が支持される構造であってもよい。この場合、底板の裏面に空間を形成することができる。例えば、通常、地盤調整の必要がない場合には、底板を下げることができるが、地盤に凹凸がある場合には、底板を下げると分岐用トラフの底面と干渉して設置に問題が生じる。しかし、所定の高さ底板が地面から離れているため、分岐用トラフを設置する際に、地盤の凹凸の影響を受けることを抑制することができ、地盤の整地や転圧作業が不要であるか少なくて済むため、敷設性が向上する。また、底板が地面より少し高く設置されているので、他のトラフなどに接続して使用する時にケーブルを設置しやすい。
【0030】
また、中空柱状突出部から所定距離離間した位置であって、底板の裏面に底面補強リブが形成されることで、底板をより効率よく補強することができる。
【0031】
第2の発明は、
両側面を形成する側板と、底面を構成する底板とからなり、前記底板を囲うように両方の前記側板が起立する断面がU字状の曲がりトラフであって、
前記底板は、平面視で所定の方向に所定角度の曲がり部を有し、前記底板の曲がり部を囲うように内側曲がり部を形成する前記側板と外側曲がり部を形成する前記側板の両側の前記側板が上方に向かって略円弧状の曲がり部を形成するように起立して、
前記側板の両端部には、それぞれ略U字状の開口部が形成され、
前記側板の両端部の前記開口部の端部と、両端部の前記開口部の端部の近傍には、それぞれの前記側板の曲がり部の両側に前記曲がり部と直交する方向に内方に向いて延出する相互に所定距離離間した略平行な縦リブが形成されることで、前記縦リブを有する、平面視で相互に対向する1対の略U字型形状の雌継手構造がそれぞれ形成され、
前記内側曲がり部と前記外側曲がり部の側板には、開口部の近傍の所定位置と曲がり部の中間の所定位置において、内方に突出する縦リブを兼ねる折り曲げ部がそれぞれ相互に所定距離離間して形成され、
前記側板の前記開口部の近傍の所定位置と曲がり部の中間の所定位置に所定距離離間して形成されたそれぞれの縦リブを兼ねる前記折り曲げ部の上部には、前記縦リブ同士を繋ぐように蓋取り付け用の固定金具が取り付け可能な横リブが形成され、
前記外側曲がり部の前記横リブが、前記内側曲がり部の前記横リブよりも長く、前記内側曲がり部と前記外側曲がり部を形成するそれぞれの前記側板の外側には、縦リブが設けられない曲がりトラフであってもよい。
【0032】
また、本発明の曲がりトラフは、前記曲がり部の一方の端部から所定距離離間した前記曲がり部の中間の所定位置と、前記曲がり部の中間の所定位置の近傍には、前記側板の両端部の前記開口部と同様な別の雌継手構造が形成され、
前記開口部の近傍の所定位置に設けられる折り曲げ部は、前記開口部の近傍の前記雌継手構造の内側の縦リブを兼ね、さらに前記曲がり部の中間の所定位置に形成される折り曲げ部は、前記別の雌継手構造の内側の縦リブを兼ねる曲がりトラフであってもよい。さらに、前記曲がりトラフは、平面視で相互に対向する略U字型の前記雌継手構造の前記底板の表面の略中央には、トラフの幅方向に所定長さを有する溝が形成されている曲がりトラフであってもよい。
【0033】
また、本発明において、折り曲げ部は、内側曲がり部と外側曲がり部を形成するそれぞれの曲線に対して、それぞれの曲がり部の所定位置で折り曲げて内方に突出するように形成される。この際、折り曲げ部は、両側の折り曲げた部分を含めた内方に突出した部分全体ではなく、それぞれの片側の折り曲げた部分を意味するものとする。
【0034】
少なくとも前記曲がり部の両端部に形成された前記雌継手構造の底板面は、前記雌継手構造以外の部位の底板面より所定高さ低く形成され、
前記雌継手構造の側板の足部が所定高さで前記底板の裏面に突出して形成され、前記足部により、前記底板が、地盤面から所定高さ上方に支持されることで、前記底板の裏面に空間が形成され、
前記底板の裏面に形成される前記内側曲がり部と前記外側曲がり部が作る前記空間の所定位置に、前記底板から下方に向けて所定高さで突出する中空柱状突出部が形成され、
前記中空柱状突出部の天面は、前記底板により閉塞されているか、あるいは前記中空柱状突出部の天面が開口し、
前記中空柱状突出部は、少なくとも1つ以上アンカーボルト固定部として形成されていて、
平面視で相互に対向する略U字型の前記雌継手構造の前記底板の表面の略中央には、トラフの幅方向に所定長さを有する溝が形成されていることを特徴とする曲がりトラフであってもよい。
【0035】
トラフの両端に形成された前記曲がり部の一方の端部から所定距離離間した他方の端部との中間の所定位置とその近傍の所定位置に形成された前記別の雌継手構造の、前記側板から内方に延出するように前記底板に対して垂直な方向に所定高さの相互に略平行に形成された前記別の雌継手構造の外側の縦リブに対して、
前記曲がり部を形成する曲線に対して直交するように形成された前記内側曲がり部と前記外側曲がり部の前記縦リブの外側面を繋ぐように前記縦リブに沿って切断した場合に得ることができる、切断前の曲がり角度より小さい曲がり角を有する曲がりトラフの構造が内装されていてもよい。このため、必要に応じて内装された曲がりトラフを切断により、切り出すことができる。
【0036】
第2の発明によれば、第1の発明と同様に、曲がりトラフの開口部の雌継手構造の形状として、側板の開口部端部と開口部の端部から所定距離の部位に内方に向かって相互に略平行なリブが側板の両側に形成され、側板の両側のそれぞれの縦リブが相互に対向するように1対の略U字型形状からなる雌継手構造が形成される。このように、開口部に形成される雌継手構造がリブ構造であるため、側板の端部を補強する効果を得ることができる。また、曲がり部の両端に同一の雌継手構造が形成されているので、曲がり部の曲がり方向が左方向でも、右方向でも使用することができる。一方、もし両端の継手構造が同一でない場合、一方が雌継手構造、他方が雄継手構造の場合には、曲がり方向によって、接続する継手構造が異なるため、必ずしも同様に使用することができない。
【0037】
また、側板に折り曲げ部が形成され、折り曲げ部とそこに配置された横リブにより、側板の曲げ及び圧縮強度も高めることができる。さらに、曲がり部の両端部と曲がり部の中間の所定位置に形成される側板の内側の縦リブと、縦リブ間を繋ぐ横リブは、両者ともに曲がり部の側板を補強する効果がある。このように側板の折り曲げ部、横リブ、縦リブが横リブを挟んで一体的に形成されることで、補強効果が重畳される。
【0038】
また、折り曲げ部に形成された縦リブは、各開口部に形成されるか、または曲がり部の中間の所定位置に形成される雌継手構造の略平行な内方の縦リブを兼ねる。このため、開口部または折り曲げ部に設ける略U字型の雌継手構造の略平行な縦リブのみを形成すればよく、曲がりトラフの構造を簡素化できる。また、縦リブの上部が横リブにより支持されているため、雌継手構造を補強する効果がある。さらに、内側曲がり部と外側曲がり部の2つの側板の外側には、補強用縦リブを設ける必要がなく、さらに横リブは縦リブを補強すると同時に、トラフ蓋を固定するための固定金具取り付け部としても活用することができる。
【0039】
ここで、固定金具取付け部は、内側曲がり部と外側曲がり部の2つの側板の相互に対向する折り曲げ部に設けられる横リブの略中央に、曲率中心としての中心線を共有して相互に対向するように設けられ、固定金具を取り付けることができる。また、固定金具取り付け部には、ボルト取付け穴が設けられているので、トラフ蓋は、ボルトにより固定してもよい。
【0040】
また、曲がりトラフの底板の裏面に、底面から下方に突出する内部が中空の中空柱状突出部が設けられていてもよい。中空柱状突出部は、ボルト固定用構造として機能するため、通常の砂利敷設面や地面の他、アスファルトやコンクリートなどの路面や傾斜面にも中空柱状突出部にアンカーボルトを固定することができ、設置場所の地盤に関係なく設置が可能である。
【0041】
この際、曲がり部の両端部に形成された雌継手構造の底板面及び/または曲がり部の中間の所定位置に形成された雌継手構造の底板面は、前記雌継手構造以外の部位である雄継手構造やトラフ収納部の底板面より所定高さだけ低く形成されていてもよい。
【0042】
このようにすることで、通常の曲がりトラフの場合、あるいは切断した曲がり角の小さい曲がりトラフの場合であっても、曲がりトラフの雌継手構造に他のトラフの雄継手構造を重ねて接続した際、曲がりトラフの底部の上面位置レベルと接続された他のトラフの雄継手構造やケーブル収納部の高さに対して高さを合わせることができ、その結果トラフ内にケーブルが略水平に配置されることで、ケーブルが斜めに配置されてケーブルに余分な張力が働くことを防止できる。
【0043】
また、中空柱状突出部を形成することで、薄板状の底板を補強する効果があり、薄板状の底板に削孔加工を行っても、底板の穴加工部に微小クラックなどが生じることがない。また、アンカーボルト固定時のボルト締め付けによる荷重を中空柱状突出部で受けるため、底板に直接アンカーボルト固定孔を設ける場合に比べて、底板の変形や微小クラックの発生を防止することができる。また、中空柱状突出部の上部に、薄板状の底板が存在し、柱状突出部の内部が中空であるため、底板への穴あけ加工が容易であり、曲がりトラフと接続する他のトラフのケーブル収納部との高さを略同一にすることが可能である。このため、曲がりトラフと他のトラフ内に配置されたケーブルに余分な張力が働くことを防止できる。
【0044】
また、側板が所定高さで底板の裏面に突出して足部が形成され、足部によって、底板が、地盤面から所定高さ上方に支持される。このため、底板の裏面に空間を形成することができる。例えば、通常、地盤調整の必要がない場合には、底板を下げることができるが、底板を下げると、地盤に凹凸がある場合には、曲がりトラフの底面と干渉して設置に問題が生じる。しかし、所定の高さ曲がりトラフの底板が地面から離れているため、曲がりトラフを設置する際に、地盤の凹凸の影響を受けることを抑制することができ、地盤の整地や転圧作業が不要であるか少なくて済むため、敷設性が向上する。また、底板が地面より少し高く設置されているので、他のトラフなどに接続して使用する時にケーブルを設置しやすい。
【0045】
また、側板の両側の雌継手構造には、他のトラフの雄継手構造や、他の接続部材、端面板などを挟み込んで曲がりトラフの接続構造とすることができる。この際、雌継手構造における底部に溝を設け、この溝に端面板の底部先端を挿入することで、端面板をより安定して固定すると同時に端面板の幅方向の回転を防止することができる。また、半割構造の端面板を用いる場合にも、下部端面板の凹部に上部端面板を差し込む構造とすれば、同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、両端部の開口部の他、曲がり部の中間の所定位置にも雌継手構造を形成するための相互に平行なリブが形成される。つまり、曲がりトラフ全体の中に、曲がり角の小さい曲がりトラフが内装されていてもよい。このため、当該曲がり部の中間の所定位置の雌継手構造の平行なリブの外方に沿って切断して使用することができる。すなわち、内装された雌継手構造の端部で切断することによって、切断部に雌継手構造を形成することができるため、切断前の曲がり角度より小さい曲がり角を有する曲がりトラフとして利用することができる。また、この際、曲がり部の中間の所定位置の縦リブを切断時の切断位置の目印として使用することができる。ここで、前記のように曲がり角の小さいトラフの曲がり部の中間の所定位置に形成される雌継手構造の底板も、ケーブル収納部より低く形成されることが望ましい。
【0047】
第3の発明は、第1の発明に係る分岐用トラフと直線状トラフの接続構造であって、略T字形状を有する分岐用トラフの少なくとも1カ所の前記開口部の前記雌継手構造に、トラフ本体の断面寸法が略同一の所定長さの直線状トラフの雄継手構造が接続されることを特徴とする分岐用トラフの接続構造である。
【0048】
また、第1の発明に係る分岐用トラフと直線状トラフの接続構造であって、略T字形状を有する分岐用トラフの少なくとも1カ所の前記開口部の前記雌継手構造に、トラフ本体の断面寸法が略同一の所定長さの直線状トラフの雌継手構造が、雄雄変換接続用アダプターを介して接続されることを特徴とする分岐用トラフの接続構造であってもよい。
【0049】
また、第1の発明に係る分岐用トラフと、第2の発明に係る曲がりトラフとの接続構造であって、略T字形状を有する分岐用トラフの少なくとも1カ所の前記開口部の前記雌継手構造に、曲がりトラフの一方の端部の開口部に形成された前記雌継手構造が、雄雄変換接続用アダプターを介して接続されることを特徴とする分岐用トラフの接続構造であってもよい。
【0050】
また、第1の発明に係る分岐用トラフと小径トラフの接続構造であって、略T字形状を有する分岐用トラフの少なくとも1カ所の前記開口部の前記雌継手構造に、前記雌継手構造の対向する前記縦リブ間の距離より幅広の四角形状の端面板が挿入され、前記端面板は、下方または上方のいずれかに所定サイズの開口部が形成された略U字型であり、前記端面板の開口部に、小径トラフの雄継手構造を配置して、前記小径トラフの雄継手構造のフランジ部を抜け止め構造として前記端面板の開口部に嵌合させて接続することで、前記小径トラフの雄継手構造が前記端面板に固定されることを特徴とする分岐用トラフの接続構造であってもよい。
【0051】
また、第1の発明に係る分岐用トラフと電線管の接続構造であって、略T字形状を有する分岐用トラフに接続される電線管は、独立波構造を有し、前記電線管は、断面円形の大径部と小径部が交互に形成された独立波電線管、または断面矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成された角型電線管のいずれかであり、略T字形状を有する分岐用トラフのいずれかの前記開口部の前記雌継手構造に、半割構造であって上下に分割可能な端面板が配置され、前記端面板は、分割した際に対向する部位に開口部を有し、前記電線管の小径部を、前記端面板の開口部に挟み込むことで、前記電線管が前記端面板に固定されることを特徴とする分岐用トラフの接続構造であってもよい。この際、接続された電線管に引き抜き力がかかっても、前記電線管の大径部が端面板に当接するため、電線管が外れることがない。
【0052】
また、第1の発明に係る分岐用トラフと電線管の接続構造であって、略T字形状を有する分岐用トラフに接続される電線管は、断面円形のらせん波構造を有する電線管であり、前記電線管の内周面に嵌合可能ならせん溝を有する円形断面の筒状部と、当該筒状部の端部に形成されるフランジ部とを有する内側接続部材と、前記電線管の外周面に嵌合可能ならせん溝を有する円形断面の筒状部と、当該筒状部の端部に形成されるフランジ部とを有する外側接続部材と、を用い、前記内側接続部材と前記外側接続部材の前記筒状部が、前記電線管の内周面と外周面とにそれぞれ螺合されて、前記電線管の端部に取り付けられ、前記外側接続部材は、前記内側接続部材よりも前記電線管の端部から奥側に配置され、前記開口部の前記雌継手構造に、前記電線管を挿通可能な開口を有する端面板が配置され、前記端面板が前記内側接続部材のフランジ部と前記外側接続部材のフランジ部とで挟み込まれることで前記電線管が固定されることを特徴とする分岐用トラフの接続構造であってもよい。
【0053】
第3の発明において、相互に対向する略U字型の前記雌継手構造の底部である前記底板の表面の略中央に、トラフの幅方向に所定長さを有する溝が形成されていて、前記端面板の底部先端には、前記溝に嵌合可能な突出部が設けられてもよい。
【0054】
第3の発明によれば、分岐用トラフの雌継手構造のリブが作る略平行な空間に、トラフの雄継手構造を上方から落とし込むように配置することで、分岐用トラフの開口部に直線状のトラフを直接接続することができる。
【0055】
また、雄雄変換接続用アダプターを用いることで、分岐用トラフの雌継手構造と、他の直線状トラフや曲がりトラフの雌継手構造とを対向させて接続することもできる。
【0056】
また、中央部の下方または上方に、所定サイズの開口部が形成された略U字型の全体が四角形状の端面板を用いることで、小径の直線状トラフと分岐用トラフとを接続することもできる。
【0057】
また、所定サイズの開口部を有する上下に分割可能な端面板を使用することで、独立波形状の断面円形の電線管と、矩形の大径部と小径部を有する角型電線管のいずれも、分岐用トラフに接続することもできる。
【0058】
また、フランジ部を有する内側接続部材と、フランジ部を有する外側接続部材を、らせん波電線管の端部に取り付け、分岐用トラフの開口部に固定された端面板を両フランジ部で挟み込むことで、分岐用トラフとらせん波電線管とを接続することもできる。
【0059】
第4の発明は、第3の発明に係る分岐用トラフの接続構造を用いたトラフ線路であって、略T字形状を有する分岐用トラフは主幹部の両端の開口部と、分岐部に設けられた別の開口部を有し、前記主幹部の両端の開口部と前記別の開口部に、複数の所定長さの直線状トラフが連結されたトラフ線路が接続され、前記別の開口部の前記雌継手構造には、複数連結された直線状トラフの連結構造の一方の端部に配置された雄継手構造が接続されるか、複数連結された直線状トラフの連結構造の他方の端部に配置された雌継手構造が雄雄変換接続用アダプターを介して接続され、前記分岐用トラフの内部において、ケーブルが、分岐構造あるいは曲がり構造のいずれかを有するように配置されて、さらにトラフ蓋が被冠されていることを特徴とするトラフ線路である。
【0060】
一方の端部に雄継手構造が配置された直線状トラフの連結構造か、他方の端部に雌継手構造が配置された直線状トラフの連結構造のいずれかのトラフ線路の少なくとも一部に、両端部に雌継手構造を有する曲がりトラフが雄雄変換接続用アダプターを介して配置され、前記分岐用トラフの内部において、ケーブルが、分岐構造あるいは曲がり構造のいずれかを有するように配置されて、さらにトラフ蓋が被冠されていてもよい。
【0061】
前記トラフ線路を形成するトラフ内に配置されたケーブルが、前記分岐用トラフ内で曲がり構造のみを有し、さらに、相互に対向する開口部の一方の側にはケーブルが配置され、他方の側には、遮蔽板が配置され、残りの分岐部の開口部をケーブルが挿通してもよい。
【0062】
前記トラフ線路を形成するトラフ内に配置されたケーブルが、前記分岐用トラフ内で曲がり構造のみを有し、さらに、前記分岐用トラフの相互に対向する前記開口部の一方の側と、前記分岐部の開口部には、ケーブルが配置され、前記分岐用トラフの相互に対向する前記開口部の他方の側には、遮蔽板が配置されてもよい。
【0063】
第4の発明によれば、分岐用トラフに、直線状トラフ、曲がりトラフ、小径トラフなどの他のトラフや、各種の電線管と接続されたトラフ線路を得ることができる。この際、ケーブルの分岐構造を有するトラフ線路とすることもできるし、遮蔽板を設けることで、ケーブルの分岐構造がない曲がり構造のみを有するトラフ線路とすることもできる。
【0064】
第5の発明は、第1の発明に係る分岐用トラフの固定構造であって、前記主幹部と前記分岐部の境界の略中央の近傍の所定位置に、前記底板の裏面から下方に向けて所定高さで突出する前記中空柱状突出部がアンカーボルト固定部として形成され、前記中空柱状突出部は中空円筒構造を有していて、前記中空円筒構造の中空部にアンカーボルトを挿通して締めることで、アスファルト又はコンクリート地盤に略T字形状を有する分岐用トラフが固定されることを特徴とする略T字形状を有する分岐用トラフの固定構造である。
【0065】
第5の発明によれば、中空柱状突出部を用いて地面にアンカーボルトで固定することで、例えば斜面等に対しても、確実に分岐用トラフを地面に固定することができる。この際、中空柱状突出部により、薄板状の底板を補強することができるため、底板のクラック等の発生を抑制することができる。
【0066】
第6の発明は、第2の発明に係る曲がりトラフの固定構造であって、前記底板の裏面から下方に向けて所定高さで突出する前記中空柱状突出部がアンカーボルト固定部として形成され、前記中空柱状突出部は中空円筒構造を有していて、前記中空円筒構造の中空部にアンカーボルトを挿通して締めることで、アスファルト又はコンクリート地盤に前記曲がりトラフが固定されることを特徴とする曲がりトラフの固定構造である。
【0067】
第6の発明によれば、分岐用トラフ固定構造と同様に、中空柱状突出部を用いて地面にアンカーボルトで固定することで、例えば斜面等に対しても、確実に曲がりトラフを地面に固定することができる。この際、中空柱状突出部により、薄板状の底板を補強することができるため、底板のクラック等の発生を抑制することができる。
【0068】
第7の発明は、第1の発明に係る分岐用トラフに対するケーブル保護部材の接続方法であって、
分岐用トラフの3つの前記開口部のうち、少なくともいずれかの前記開口部の端部と、前記開口部の端部近傍の前記開口部の端部から所定距離離間した位置とに、略平行に所定高さの前記縦リブが前記側板から内方の垂直な方向に相互に対向するように延出して形成される前記雌継手構造において、
前記縦リブによって形成される両端面が略平行な空間に対し、直接的にトラフの雄継手構造のフランジ部を固定するか、トラフの雌継手構造を雄雄変換接続用アダプターを介して固定するか、または端面板を介して小径トラフの雄継手構造のフランジ部を固定するか、あるいは円形または矩形断面を有する独立波電線管の小径部を端面板に挟み込むことで固定するか、またはらせん波電線管の端部に、端面板を介して内側接続部材と外側接続部材を螺合させて、前記内側接続部材のフランジ部と前記外側接続部材のフランジ部で端面板を挟み込むことで固定することを特徴とする分岐用トラフに対するケーブル保護部材の接続方法である。
【0069】
第7の発明によれば、分岐用トラフの雌継手構造に、端面板を介して種々のケーブル保護部材を接続することが可能になる。ここで、第7の発明は、雌継手構造が第7の発明と同様のトラフであれば、他の構造のトラフにも適用可能であることから、本願では、特に規定していないが、曲がりトラフや直線状トラフに対するケーブル保護部材の接続方法を得ることができる。
【発明の効果】
【0070】
本発明は、トラフ側板の形状を工夫して折り曲げ部を設けることにより、トラフ側板の外側に縦リブを設けないでも、トラフの構造強度を向上させるとともに、側板の折り曲げ部の縦リブを雌継手構造や折り曲げ部に接続する横リブ部の補強構造と同時にトラフ蓋固定用構造も兼ねるという特徴を有する軽量で薄肉な分岐用トラフや曲がりトラフを得ることができる。
【0071】
また、本発明の一態様によれば、例えば、設置対象地面に凹凸があったり、斜面である場合等に対しても、アンカーボルトで地盤に固定することが容易で、ケーブルが敷設しやすい分岐用トラフや曲がりトラフ等を提供することができる。さらに、分岐用トラフや曲がりトラフの中空柱状突出部をアンカーボルトで固定することでアスファルト又はコンクリート地盤へのこれらのトラフの固定構造を得ることができる。
【0072】
また、分岐用トラフの雌継手構造に雄雄変換接続用アダプターや端面板を取り付けることで、分岐用トラフと他のトラフや電線管との多様な接続構造やこの接続構造を実現する接続方法を得ることができる。さらに、この接続構造を用いて複数の所定長さの直線状トラフが連結されたトラフ線路等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】分岐用トラフ1とトラフ蓋3を示す上方斜視図。
図2】分岐用トラフ1の下方斜視図。
図3A】分岐用トラフ1の平面図。
図3B】分岐用トラフ1の底面図。
図4A】中空柱状突出部27の拡大図であって穴加工前の状態を示す図。
図4B】中空柱状突出部27の拡大図であって底板への案内穴加工後の状態を示す図。
図4C】中空柱状突出部27の拡大図であって中空柱状突出部への貫通孔加工後の状態を示す図。
図5】分岐用トラフ固定構造40を示す図。
図6A】それぞれ他の分岐用トラフ1の底面図。
図6B】それぞれ他の分岐用トラフ1の底面図。
図7】曲がりトラフ41とトラフ蓋43を示す上方斜視図。
図8】曲がりトラフ41の下方斜視図。
図9A】曲がりトラフ41の平面図。
図9B】曲がりトラフ41の底面図。
図10】他の曲がりトラフ41の下方斜視図。
図11A】中空柱状突出部67の拡大図であって穴加工前の状態を示す図。
図11B】中空柱状突出部67の拡大図であって底板への案内穴加工後の状態を示す図。
図11C】中空柱状突出部67の拡大図であって中空柱状突出部への貫通孔加工後の状態を示す図。
図12】曲がりトラフ固定構造40aを示す図。
図13A】切断前の曲がりトラフ41の平面図。
図13B】切断後の曲がりトラフ41の平面図。
図14】曲がりトラフ41の角度を示す図。
図15A】トラフ接続構造90に対し、分岐用トラフ1と直線状トラフ81の接続前の状態を示す図。
図15B】分岐用トラフ1と直線状トラフ81を接続したトラフ接続構造90を示す図。
図16】トラフ接続構造90の拡大図。
図17A】トラフ接続構造90aに対し、分岐用トラフ1と直線状トラフ81の接続前の状態を示す図。
図17B】分岐用トラフ1と直線状トラフ81を接続したトラフ接続構造90aを施工する工程を示す図。
図18A】トラフ接続構造90aに対し、分岐用トラフ1と直線状トラフ81の接続前の状態を示す拡大図。
図18B】分岐用トラフ1と直線状トラフ81を接続したトラフ接続構造90aを示す拡大図。
図19A】トラフ接続構造90bに対し、分岐用トラフ1と曲がりトラフ41の接続前の状態を示す図。
図19B】分岐用トラフ1と曲がりトラフ41を接続したトラフ接続構造90bを示す図。
図20A】トラフ接続構造90cに対し、分岐用トラフ1と小径トラフ87の接続前の状態を示す図。
図20B】分岐用トラフ1と小径トラフ87を接続したトラフ接続構造90cを示す図。
図21A】端面板93を示す正面図。
図21B】小径トラフ87の雄継手構造83aを示す平面図。
図22A】トラフ接続構造90dに対し、分岐用トラフ1と角型電線管101の接続前の状態を示す図。
図22B】分岐用トラフ1と角型電線管101を接続したトラフ接続構造90dを示す図。
図23A】トラフ接続構造90dに対し、分岐用トラフ1と角型電線管101の接続前における端面板93aの拡大図。
図23B】分岐用トラフ1と角型電線管101を接続したトラフ接続構造90dにおける端面板93aの拡大図。
図24A】分岐用トラフ1と独立波電線管101aを接続したトラフ接続構造90eを示す図。
図24B】分岐用トラフ1と独立波電線管101aを接続したトラフ接続構造90eの端面板93aの拡大図。
図25A】らせん波電線管101bに内側接続部材97aと外側接続部材97bを固定する前の状態を示す図。
図25B】らせん波電線管101bに外側接続部材97bのみを接続した状態を示す図。
図25C】らせん波電線管101bに内側接続部材97aと外側接続部材97bの両者を接続した状態を示す図。
図26】分岐用トラフ1とらせん波電線管101bを接続したトラフ接続構造90fを示す図。
図27】端面板93bを示す図。
図28A】トラフ線路100を示す図であって、トラフ蓋を外した状態を示す図。
図28B】トラフ線路100を示す図であって、トラフ蓋を被せた状態を示す図。
図29A】トラフ線路100aを示す図であって、トラフ蓋を外した状態を示す図。
図29B】トラフ線路100aを示す図であって、トラフ蓋を被せた状態を示す図。
図30A】トラフ線路100bを示す図。
図30B】トラフ線路100cを示す図。
図31】遮蔽板113を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、分岐用トラフ1及びトラフ蓋3を示す上方斜視図であり、図2は、分岐用トラフ1の下方斜視図、図3Aは、分岐用トラフ1の平面図、図3Bは、分岐用トラフ1の底面図である。分岐用トラフ1は、主に、両側面を形成する側板7と、底面を構成する底板5とからなり、底板5を囲うように両方の側板7が起立し、断面が略U字状であり、平面視が略T字形状を有するトラフである。
【0075】
なお、分岐用トラフ1及びトラフ蓋3は、例えば樹脂製であり、プレス成型や射出成型によって成型される。分岐用トラフ1には、トラフ蓋3が被冠されて用いられる。なお、以下の説明において、特に示さない場合には、トラフ蓋3の図示を省略する。
【0076】
図3A等に示すように、底板5は、略長方形状の主幹部9と、主幹部9の長辺と対向して一方の長辺側に主幹部9の長手方向に直交するように延出して形成された分岐部11とが連続した一体の板部材として形成される。すなわち、底板5は、平面視で略T字形状であり、分岐用トラフ1は、主幹部9と分岐部11とを有する。分岐部11は、主幹部9の一方の長辺側に、主幹部9の一方の長辺側から主幹部9の長手方向に直交する方向に向けて、徐々に略円弧状に縮径して延出して形成される。
【0077】
側板7は、底板5の外形に沿って形成される。すなわち、側板7は、主幹部9の一方の長辺側に形成される直線部と、略円弧状に縮径して延出する分岐部11の外縁を形成する曲がり部13が形成される。
【0078】
略T字形状の分岐用トラフ1は、3方向に開口する。すなわち、主幹部9の長手方向の両端部に、所定幅の2つの開口部15aがそれぞれ相互に対称に形成され、さらに、分岐部11の先端には、主幹部9の2つの開口部15aと略直交する、主幹部9の2つの開口部15aとは別の開口部15bが形成される。
【0079】
主幹部9の長手方向の両端部の開口部15aには、後述するケーブル保護部材を接続するための雌継手構造23aがそれぞれ形成される。雌継手構造23aは、所定距離離間した平行な縦リブ21を有する。同様に、分岐部11の先端の開口部15bには、後述するケーブル保護部材を接続するための雌継手構造23bが形成される。雌継手構造23bは、所定距離離間した平行な縦リブ21を有する。すなわち、分岐部11の端部の雌継手構造23bは、主幹部9の長手方向の両端部にそれぞれ形成された開口部15aにおける、平行な縦リブ21を有する雌継手構造23aと同様の構造である。
【0080】
より詳細には、主幹部9の長手方向の両端部の開口部15aと開口部15aの近傍には、主幹部9の直線部の側板7と曲がり部の側板7とに対して直交する方向に内方に向いて延出する相互に所定距離離間した略平行な縦リブ21を有する、平面視で相互に対向する1対の略U字型の雌継手構造23aがそれぞれに形成される。また、分岐部11の先端の開口部15bと開口部15bの近傍には、曲がり部と直交する方向に内方に向いて延出する相互に所定距離離間した略平行な縦リブ21が設けられ、縦リブ21が相互に対向する、平面視で略U字型に形成され、主幹部9の開口部15aに形成された雌継手構造23aとは別の1対の略U字型の雌継手構造23bが形成される。
【0081】
すなわち、雌継手構造23aは、それぞれの開口部15aの端部と、開口部15aの端部から所定距離離間した開口部15aの端部近傍の位置とに、略平行に所定高さの縦リブ21が設けられる。それぞれの縦リブ21は、対向するそれぞれの側板7から、互いに内方に、側板7と直交する方向に相互に対向するように延出して形成されることで、平面視で相互に対向する略U字型に形成される。同様に、雌継手構造23bは、開口部15bの端部と、開口部15bの端部から所定距離離間した開口部15bの端部近傍の位置とに、略平行に所定高さの縦リブ21が設けられる。それぞれの縦リブ21は、対向するそれぞれの側板7から、互いに内方に、側板7と直交する方向に相互に対向するように延出して形成されることで、平面視で相互に対向する1対の略U字型形状に形成される。このように、分岐部11の先端の雌継手構造23bは、主幹部9の長手方向の両端部に形成された雌継手構造23aと同様の構造である。
【0082】
雌継手構造23a、23bの底板面は、雌継手構造23a、23b以外の部位の底板面より所定高さ低く形成される。このようにすることで、雌継手構造23a、23bに他のトラフの雄継手構造を重ねて接続した際、他のトラフと分岐用トラフ1の底部の上面位置のレベルを合わせることができる。なお、相互に対向する略U字型の雌継手構造23a、23bの底部である底板5の表面の略中央には、トラフの幅方向に所定長さを有する溝31が形成されている。溝31の機能については後述する。
【0083】
主幹部9の直線部と分岐部11の曲がり部13(すなわち、主幹部9から分岐部11へ向けて縮径する部位)のそれぞれの側板7の各端部近傍には、それぞれ内方に突出する折り曲げ部17が相互に所定距離離間して形成される。折り曲げ部17は、主幹部9の一方の端部の開口部15aの内側、または主幹部9の他方の端部の開口部15aの内側と、分岐部11の端部の開口部15bの内側を繋ぐように設けられる。すなわち、主幹部9に形成された折り曲げ部17は、主幹部9の長辺側の両端部近傍を繋ぐように形成され、曲がり部に形成された折り曲げ部17は、曲がり部の両端部近傍を繋ぐように形成されたものである。
【0084】
側板7の上部であって、直線部の上部と、曲がり部の折り曲げ部17の上部には、相互に所定距離離間して形成された、それぞれの折り曲げ部17の両端を繋ぐように横リブ19が形成される。横リブ19は、略鉛直方向に設けられる縦リブ21に対して直交するように、略水平方向に形成される。横リブ19は、トラフ蓋取り付け用の固定金具を取り付けるための固定金具取り付け部を兼ねるものである。すなわち、分岐用トラフ1にトラフ蓋3を被せた際に、図示を省略した固定金具を用いて、トラフ蓋3を分岐用トラフ1の横リブ19へ固定することができる。
【0085】
主幹部9の一方の端部の開口部15aの内側、または主幹部9の他方の端部の開口部15aの内側と、分岐部11の端部の開口部15bの内側を繋ぐように設けられた折り曲げ部17のそれぞれの端部は、いずれも、主幹部9及び分岐部11の開口部15a、15bの端部に設けられるそれぞれの雌継手構造23a、23bの内側の縦リブ21を兼ねるものである。すなわち、略円弧状の曲がり部13の側板7の外側には、補強用の縦リブが形成されない構造である。
【0086】
また、図2図3Bに示すように、雌継手構造23a、23bにおいて、側板7が所定高さで底板5の裏面に突出して、足部25が形成される。すなわち、分岐用トラフ1の底面側において、足部25が下方に突出し、足部25以外の大部分の底板5の底面が、足部25よりも上方に位置する。このため、地面に分岐用トラフ1を設置した際に、足部25によって、底板5が、地盤面から所定高さ上方に支持され、底板5の裏面には空間が形成される。
【0087】
主幹部9と分岐部11の裏面において、前述した空間の所定位置には、底板5から下方に向けて所定高さで突出する中空柱状突出部27が形成される。また、略T字形状を有する分岐用トラフ1の底板5の裏面には、中空柱状突出部27とは異なる部位に、下方に突出する底面補強リブ29が設けられる。所定長さの底面補強リブ29は、主幹部9の直線状の側板7の長手方向の中央からそれぞれ所定距離ずれた位置から、これと対向するように延出した分岐部11の開口部15bに向けて、両者を結ぶように相互に平行に複数本形成される。
【0088】
図4Aは、中空柱状突出部27近傍の拡大断面図である。図示したように、中空柱状突出部27は、略円形(円筒形)であり、下方において中空である。すなわち、中空柱状突出部27の上方は底板5によって閉塞される。また、中空柱状突出部27の上部の底板5の上面には微小な凹部が形成される。例えば、中空柱状突出部27の外径は約33mm、内径(穴部)は10mm、高さ(底板5の底面からの突出高さ)が少なくとも8mm以上で30mm以下であることが望ましい。
【0089】
中空柱状突出部27を利用するためには、まず、図4Bに示すように、中空柱状突出部27の上方における底板5に、前述した微小凹部を目印として、所定のサイズの案内穴を設ける。この際、底板5に設けられる案内穴は、中空柱状突出部27の中空の内径よりも大きい。次に、図4Cに示すように、上方又は下方から、中空柱状突出部27の中空部と略同径の穴を設けて、底板5の上面側と中空柱状突出部27の下方とを貫通孔により連通させる。このように、案内穴の下部に案内穴より小さい2段の中空柱状突出部27の中空部と略同径の穴を設けて、2段孔を設けてもよいし、案内穴を設けずに中空柱状突出部27の中空部と略同径の1段の貫通孔とすることもできる。
【0090】
図5は、このようにして加工した後に、分岐用トラフ1を地盤面33へ固定した略T字形状を有する分岐用トラフ固定構造40を示す図である。主幹部9と分岐部11の境界から所定距離離間した主幹部9の所定位置に、底板5の裏面から下方に向けて所定高さで突出する中空柱状突出部27がアンカーボルト37の固定部として形成される。中空柱状突出部27は中空円筒構造を有していて、中空円筒構造の中空部にアンカーボルト37を挿通して締めることで、アスファルト又はコンクリート地盤などの地盤面33に略T字形状を有する分岐用トラフ1が固定される。
【0091】
この際、前述したように、分岐用トラフ1の端部には、下方に突出する足部25が形成される。このため、分岐用トラフ1を地盤面33に固定した際に、底板5と地盤面33との間に空間35を形成することができる。
【0092】
なお、図4Aに示すように、アンカーボルト固定孔の加工を行わずにアンカーボルト37による固定を行わない場合には、底板5において中空柱状突出部27の天面部が塞がれているため、下方から分岐用トラフ1の内部への異物の侵入を防ぐことができる。一方、アンカーボルト37による固定を行う場合には、あらかじめ中空柱状突出部27の天面が開口したものであってもよい。すなわち、中空柱状突出部27の天面は、底板5により閉塞されていてもよく、あるいは中空柱状突出部27の天面が開口していてもよい。
【0093】
なお、中空柱状突出部27の形状は、図示したような略円筒状の他に、略四角柱状、略多角形形状などのアンカーボルト固定孔を形成できる形状であれば、その他の形状でもよい。また、図6A図6Bに示すように、中空柱状突出部27を複数個所に配置してもよい。すなわち、中空柱状突出部27は、少なくとも1つ以上設けられ、アンカーボルト固定部として形成されていればよい。
【0094】
図6Aは、主幹部9の所定位置に中空柱状突出部27を3つ略等間隔で設け、各中空柱状突出部27の間に底面補強リブ29を、主幹部9の長辺側からこれと対向する分岐部11の開口部側を繋ぐように設けた場合である。図6Bは、主幹部9の所定位置に中空柱状突出部27を3つ略等間隔で直線状に設けた例を示す。図3Bには、中空柱状突出部27を略中央に配置し、これを挟むように底面補強リブ29を図6Aの場合と同様に2本設けた場合を示す。上記のように、両者を適宜組み合わせて底板を補強することで、底板を補強すると同時に、トラフの底板5の裏面に所定の空間を確保しやすくなる。
【0095】
また、図6A図6Bを対比すると分かるように、通常は中空柱状突出部27を複数個設ければ、アンカーボルトの固定孔としての効果と底面を補強する効果の両方を得ることができる。また、中空柱状突出部27に加えて、底面補強リブ29を合わせて設けてもよいが、中空柱状突出部27を所定距離離間して複数個設ける方が、アンカーボルト固定位置の選択性を増やすと同時に、複数個所ボルト固定することで、分岐用トラフ1を強固に固定することもできる。また、底面補強リブ29を併せて設けるよりもトラフの裏面に障害物のない空間を多く確保することもできるので、中空柱状突出部27を複数個設けることが望ましい。この際、側板7の端部には、図示のように側板7の端部近傍のみに折り曲げ構造の短尺リブが設けられても良いし、設けられなくてもよい。中空柱状突出部は底面補強リブよりも占有長さや面積が少なく施工性に優れ、アンカーボルト固定位置の選択性を増やすと同時に、複数個所ボルト固定することで、分岐用トラフ1を強固に固定することができる。
【0096】
次に、曲がりトラフについて説明する。図7は、曲がりトラフ41及びトラフ蓋43を示す上方斜視図であり、図8は、曲がりトラフ41の下方斜視図、図9Aは、曲がりトラフ41の平面図、図9Bは、曲がりトラフ41の底面図である。曲がりトラフ41は、主に、両側面を形成する側板47と、底面を構成する底板45とからなり、底板45の曲がり部を囲うように両方の側板47が起立し、断面が略U字状である。なお、曲がりトラフ41及びトラフ蓋43も、分岐用トラフ1等と同様に、例えば樹脂製であり、プレス成型や射出成型によって成型される。
【0097】
図9A等に示すように、底板45は、平面視で所定の方向に所定角度の曲がり部を有する。曲がり部は、曲がりの内側を形成する内側曲がり部59と、曲がりの外側を形成する外側曲がり部61からなる。底板45の曲がり部を囲うように内側曲がり部59を形成する側板47と、外側曲がり部61を形成する側板47の両側の側板47が底板45の曲がり部から上方に向かって略円弧状の曲がり部を形成するように起立する。内側曲がり部59を形成する側板47と外側曲がり部61を形成する側板47の両端部には、それぞれ略U字状の開口部49が形成される。
【0098】
側板47の両端部の開口部49の端部と、両端部の開口部49の端部近傍の所定位置には、それぞれの側板47の曲がり部の両側に、曲がり部と直交する方向に内方に向いて延出する相互に所定距離離間した略平行な縦リブ55が形成される。これにより、縦リブ55を有する平面視で相互に対向する1対の略U字型形状の雌継手構造57aがそれぞれ形成される。雌継手構造57aは、それぞれの縦リブ55が、対向するそれぞれの側板47から曲がり部と直交する方向に内方に向いて形成される。すなわち、雌継手構造57aは、平面視で相互に対向する1対の略U字型形状をなす。
【0099】
曲がり部の一方の端部から所定距離離間した曲がり部の中間の所定位置と曲がり部の中間の所定位置の近傍には、側板47の両端部の開口部49と同様に、相互に対向する1対の略U字型形状の別の雌継手構造57bが形成される。曲がり部の中間の所定位置に形成された雌継手構造57bは、曲がり部の一方の端部から所定距離離間した曲がり部の中間の所定位置と、曲がり部の中間の所定位置の近傍に、略平行な所定高さの縦リブ55が、対向するそれぞれの側板47から曲がり部と直交する内方に向けて相互に対向するように形成される。
【0100】
前述したように、側板47は、外側曲がり部61と内側曲がり部59を形成する略円弧状の曲がり部を形成するものである。内側曲がり部59と外側曲がり部61の側板47には、開口部49近傍の所定位置と曲がり部の中間の所定位置において、内方に突出する縦リブ55を兼ねる折り曲げ部51が所定距離離間して形成される。折り曲げ部51は、曲がりトラフ41の一方の端部の開口部49と、曲がり部の中間の所定位置を繋ぐように設けられる。すなわち、開口部49の近傍の所定位置に設けられる折り曲げ部51は、開口部49の近傍の雌継手構造57aの内側の縦リブ55を兼ね、さらに曲がり部の中間の所定位置に形成される折り曲げ部51は、別の雌継手構造57bの内側の縦リブ55を兼ねるものである。
【0101】
側板47の開口部49近傍の所定位置と曲がり部の中間の所定位置に所定距離離間して形成された、それぞれの縦リブを兼ねる折り曲げ部51の上部の両端には、横リブ53が設けられる。横リブ53は、雌継手構造57aの内側の縦リブ55と、曲がり部の中間の所定位置に形成される雌継手構造57bの内側の縦リブ55とを繋ぐように形成される。すなわち、横リブ53は、折り曲げ部51の両端に形成された縦リブ55を繋ぐように形成される。横リブ53は、トラフ蓋43を取り付けるための固定金具が取り付け可能である。このように、横リブ53が、トラフ蓋取り付け用の固定金具を取り付けるための固定金具取り付け部を兼ねるため、曲がりトラフ41にトラフ蓋43を被せた際に、図示を省略した固定金具を用いて、トラフ蓋43を曲がりトラフ41の横リブ53へ固定することができる。
【0102】
なお、横リブ53は、略鉛直方向に設けられる縦リブ55に対して直交するように、略水平方向に形成される。内側曲がり部59の横リブ53の両端部と外側曲がり部61の横リブ53の両端部は、曲がり部の曲率中心からそれぞれ同一中心線上にそれぞれ配置される。すなわち、外側曲がり部61の横リブ53は、内側曲がり部59の横リブ53よりも長く形成される。また、内側曲がり部59と外側曲がり部61を形成するそれぞれの側板47の外側には、補強用の縦リブは設ける必要がない。この際、内側曲がり部の縦リブ55及び外側曲がり部の縦リブ55はともに、同一中心線上に形成されるため、1対の略U字型の雌継手構造57aを形成する外側曲がり部61側の略U字型の開口部の縦リブ55間の幅は、これと対向する内側曲がり部59側の略U字型の開口部の縦リブ55間の幅より大きい。
【0103】
少なくとも曲がり部の両端部に形成された雌継手構造57aの底板面は、雌継手構造57a以外の部位の底板面より所定高さ低く形成される。このようにすることで、雌継手構造57aに他のトラフの雄継手構造を重ねて接続した際、他のトラフと曲がりトラフ41の底部の上面位置のレベルを合わせることができる。なお、平面視で相互に対向する1対の略U字型形状の雌継手構造57aの底部である底板5の表面の略中央には、トラフの幅方向に所定長さを有する溝63が形成されている。溝63の機能については後述する。
【0104】
図8図9Bに示すように、雌継手構造57aにおいて、側板47が所定高さで底板45の裏面に突出して足部65が形成される。すなわち、曲がりトラフ41の底面側において、足部65が下方に突出し、足部65以外の大部分の底板45の底面が、足部65よりも上方に位置する。このため、地面に曲がりトラフ41を設置した際に、足部65によって、底板45が、地盤面から所定高さ上方に支持され、底板45の裏面には空間が形成される。
【0105】
図8には、底板45の裏面において、内側曲がり部59と外側曲がり部61が作る、前述した空間の所定位置には、底板45から下方に向けて所定高さで突出する中空柱状突出部67が形成される。また、底板45の裏面には、中空柱状突出部67のみが必要に応じて1個または複数個形成されてもよいし、あるいはこれに加えて底板45の裏面には、内側曲がり部59と外側曲がり部61とを結ぶ底面補強リブ69が形成されてもよい。なお、底面補強リブ69は、内側曲がり部59と外側曲がり部61の曲率中心に向かう方向に沿って形成される。この際、底面補強リブ69は、中空柱状突出部67を含む同一直線上に中空柱状突出部67を挟み込むように形成されてもよいが、所定距離離間されてもよい。
【0106】
また、図10に示すように、中空柱状突出部67を複数個配置してもよい。図示した例では、中空柱状突出部67は、側板47の内側曲がり部59の折り曲げ部51と外側曲がり部61の折り曲げ部51の間の底板45の幅方向中央の裏面と、さらにその先の一方の端部から所定距離離間した曲がり部の中間に設けられた雌継手構造57bと曲がり部の他方の端部に設けられる雌継手構造57aとの中間の底板45の幅方向中央の裏面とに設けられる。
【0107】
この際、通常は中空柱状突出部67を複数個設ければ、アンカーボルトの固定孔としての効果と底面を補強する効果の両方を得ることができる。また、中空柱状突出部67に加えて、底面補強リブ69を併せて設けてもよいが、中空柱状突出部67を所定距離離間して複数個設ける方が、アンカーボルト固定位置の選択性を増やすと同時に、複数個所ボルト固定することで、曲がりトラフ1を強固に固定することができる。
また、底面補強リブ69を併せて設けるよりもトラフの裏面に障害物のない空間を多く確保することもできるので、中空柱状突出部67を複数個設けることが望ましい。この際、側板の端部には、側板の端部近傍のみに折り曲げ構造の短尺リブが設けられても良いし、設けられなくてもよい。
【0108】
図11Aは、中空柱状突出部67近傍の拡大断面図である。図示したように、中空柱状突出部67は、略円形(円筒形)であり、下方において中空である。すなわち、中空柱状突出部67の上方は底板45によって閉塞される。また、中空柱状突出部67の上部の底板45の上面には微小な凹部が形成される。例えば、中空柱状突出部67の外径は約33mm、内径(穴部)は10mm、高さ(底板45の底面からの突出高さ)が少なくとも8mm以上で30mm以下であることが望ましい。
【0109】
中空柱状突出部27を利用するためには、前述した分岐用トラフ1と同様に、まず、図11Bに示すように、中空柱状突出部67の上方における底板45に、前述した微小凹部を目印として、所定のサイズの案内穴を設ける。この際、底板45に設けられる案内穴は、中空柱状突出部67の中空の内径よりも大きい。次に、図11Cに示すように、上方又は下方から、中空柱状突出部67の中空部と略同径の穴を設けて、底板45の上面側と中空柱状突出部67の下方とを貫通孔により連通させる。中空柱状突出部67を2段の穴として設けることができるが、案内穴を設けずに中空柱状突出部67の中空部と略同径の1段の貫通孔とすることもできる。
【0110】
図12は、このようにして加工した後に、曲がりトラフ41を地盤面71へ固定した曲がりトラフ固定構造40aを示す図である。底板45の裏面から下方に向けて所定高さで突出する中空柱状突出部67がアンカーボルト75の固定部として形成される。中空柱状突出部67は中空円筒構造を有していて、中空円筒構造の中空部にアンカーボルト75を挿通して締めることで、アスファルト又はコンクリート地盤などの地盤面71に曲がりトラフ41が固定される。
【0111】
この際、前述したように、曲がりトラフ41の端部には、下方に突出する足部65が形成されるため、曲がりトラフ41を地盤面71に固定した際に、底板45と地盤面71との間に空間73が形成される。
【0112】
なお、図11Aに示すように、アンカーボルト75による固定を行わない場合には、底板45において中空柱状突出部67の天面部が塞がれているため、曲がりトラフ41の下方から内部への異物の侵入を防ぐことができる。一方、アンカーボルト75による固定を行う場合には、あらかじめ中空柱状突出部67の天面が開口したものであってもよい。すなわち、中空柱状突出部67の天面は、底板45により閉塞されていてもよく、あるいは中空柱状突出部67の天面が開口していてもよい。
【0113】
なお、中空柱状突出部67の形状は、図示したような略円筒状の他に、略四角柱状、略多角形形状などのアンカーボルト固定孔を形成できる形状であれば、その他の形状でもよい。また、中空柱状突出部67を複数個所に配置してもよい。すなわち、中空柱状突出部67は、少なくとも1つ以上設けられ、アンカーボルト固定部として形成されていればよい。
【0114】
次に、曲がりトラフ41の使用方法の一例について説明する。図13Aは、曲がりトラフ41の平面図である。前述したように、曲がりトラフ41は、両端部の開口部49に形成された雌継手構造57aとは別に、曲がり部の中間に、雌継手構造57bが形成される。すなわち、曲がりトラフ41の曲がり部の一方の端部から所定距離離れた他方の端部との中間の所定位置の折り曲げ部51と、その近傍の所定位置に、側板47から内方に延出するように底板45に対して垂直な方向に所定高さの相互に略平行に縦リブ55が形成されて、雌継手構造57bが形成される。
【0115】
側板47から内方に延出するように底板45に対して垂直な方向に所定高さの相互に略平行に形成された雌継手構造57bの外側の縦リブ55に対して、曲がり部を形成する曲線に対して直交するように形成された内側曲がり部59と外側曲がり部61の縦リブ55の外側面を繋ぐように縦リブ55に沿って切断する(図中線A)。このようにして切断することで、図13Bに示すように、切断前の曲がり角度より小さい曲がり角を有する曲がりトラフ41として使用することができる。すなわち、切断前の曲がりトラフ41には、切断した場合に得ることができる、切断前の曲がり角度より小さい曲がり角を有する曲がりトラフの構造が内装されている。
【0116】
このようにして切断された曲がりトラフ41は、一方の端部に切断前の開口部49に形成されていた雌継手構造57aが形成され、他方の端部には、切断前には曲がり部の中間の所定位置に形成されていた雌継手構造57bが形成される。すなわち、曲がり形状の両端部にそれぞれ雌継手構造57a、57bが形成されるため、切断前の曲がりトラフ41と同じように、他のトラフ等をそれぞれの端部に接続して使用することができる。
【0117】
図14は、このような曲がりトラフ41の曲がり角度を示す図である。例えば、曲がりトラフ41の切断前の両端の開口部49を結ぶ曲がり部の曲がり角(図中θ1)が45°の場合には、切断後の曲がり角(図中θ2)は30°である。曲がりトラフ41の切断前の両端の開口部49を結ぶ曲がり部の曲がり角(図中θ1)が60°の場合には、切断後の曲がり角(図中θ2)は45°である。また、曲がりトラフ41の切断前の両端の開口部49を結ぶ曲がり部の曲がり角(図中θ1)が90°の場合には、切断後の曲がり角(図中θ2)が60°である。このように、切断することで、曲がり角度を調整することができる。また、前述したように、切断後の曲がり角度の小さい曲がりトラフ41であっても、その両端部に雌継手構造57a、57bを有するため、他のトラフ等と接続することができる。この際、曲がり部の中間の所定位置に形成される雌継手構造57bに対する曲がりトラフ41の開口端からの角度が、切断前の上記角度に応じて60°、45°、30°に設定される必要があることは言うまでもない。
【0118】
次に、分岐用トラフ1を用いたトラフの接続構造について説明する。図15A図15Bは、略T字形状を有する分岐用トラフ1と直線状トラフ81の接続構造(トラフ接続構造90)の接続工程を示す図である。直線状トラフ81は、一方の端部に雄継手構造83を有し、他方の端部に雌継手構造85が形成される。複数の直線状トラフ81を長手方向に配置し、隣り合う一方の直線状トラフ81の雄継手構造83を隣り合う他の直線状トラフ81の雌継手構造85の上方から落とし込むように接続することで、雌継手構造85と雄継手構造83とを互いに嵌合させることができる。
【0119】
トラフ接続構造90では、図15Aに示すように、分岐用トラフ1の開口部15aにおける雌継手構造23aと、直線状トラフ81の雄継手構造83とを対向配置させ、図15Bの直線状トラフ81の雄継手構造83を分岐用トラフ1の雌継手構造23aに落とし込むことで、分岐用トラフ1と直線状トラフ81とが連結される。ここで、分岐用トラフ1の横リブ19は、金具取り付け部とすることができるが、図示のように主幹部9と曲がり部13の対角の2カ所のみとすることもできる。同様に主幹部9の2カ所、分岐部11の2カ所の全ての横リブ19の4カ所に設置することも可能である。図16以降の番号の図面では、簡単のため、対角2カ所のみに金具取り付け部を形成した図面を示すが、必ずしも金具取り付け部を対角2カ所に形成することを意図したものではなく、曲がり部13の2カ所のみに取り付けてもよいし、横リブ19の4カ所すべてに金具取り付け部を形成してもよく、これらの場合すべてを含むものとする。
【0120】
図16は、トラフ接続構造90の部分拡大図である。前述したように、雌継手構造23aは、互いに平行な縦リブによって形成される。また、雄継手構造83は、端部が拡幅されるフランジ部を有し、このフランジ部が、雌継手構造23aの縦リブ間に嵌ることで両者が連結される。なお、直線状トラフ81は、分岐用トラフ1の主幹部9の開口部15aに接続されるのではなく、分岐部11の開口部15bに接続されてもよい。このように、トラフ接続構造90では、略T字形状を有する分岐用トラフ1の少なくとも1カ所の開口部15a、15bの雌継手構造23a、23bに、トラフ本体の断面寸法が略同一の所定長さの直線状トラフ81の雄継手構造83が接続される。
【0121】
次に、分岐用トラフ1を用いた他のトラフの接続構造について説明する。図17A図17Bは、略T字形状を有する分岐用トラフ1と直線状トラフ81の接続構造(トラフ接続構造90a)の接続工程を示す図である。
【0122】
トラフ接続構造90aでは、図17Aに示すように、分岐用トラフ1の開口部15aにおける雌継手構造23aと、直線状トラフ81の雌継手構造85とを対向配置させる。すなわち、分岐用トラフ1と直線状トラフ81の互いに雌継手構造同士が対向する。ここで、図17Bに示すように、前記分岐用トラフ1と直線状トラフ81の対向配置された雌継手構造同士が雄雄変換接続用アダプター91で接続される。
【0123】
図18Aは、分岐用トラフ1の雌継手構造23aと、直線状トラフ81の雌継手構造85とを対向配置した状態の拡大図である。前述したように、それぞれの雌継手構造23a、85は、互いに平行な縦リブによって略U字状に形成される。すなわち、それぞれの雌継手構造23a、85のU字部分が併設されて、開口部同士が対向配置される。
【0124】
図18Bに示すように、本実施形態では、雄雄変換接続用アダプター91が用いられる。雄雄変換接続用アダプター91は、幅方向の両端部において、厚み方向の中央部が切り欠かれた形態である。すなわち、雄雄変換接続用アダプター91の幅方向の両端部は、平面視で外方に開口した略U字型となる。
【0125】
雄雄変換接続用アダプター91は、両端部に外方に開口した略U字型の開口を有する平板状の構造の開口または、略U字状の折り曲げ構造を有し、略U字状の略平行な嵌合部が中央に切り欠き部を設け外方に向かって開口した略U字型形状切り欠き部を、対向する2つの雌継手構造を嵌合させるものであってもよい。
【0126】
雄雄変換接続用アダプター91を、分岐用トラフ1の雌継手構造23aと、直線状トラフ81の雌継手構造85とにまたがるように配置し、雄雄変換接続用アダプター91の中央部の切り欠き部に雌継手構造23aと雌継手構造85の縦リブを嵌合させることで、雌継手構造23aと雌継手構造85を接続することができる。このように、トラフ接続構造90aでは、略T字形状を有する分岐用トラフ1の少なくとも1カ所の開口部15a、15bの雌継手構造23a、23bに、トラフ本体の断面寸法が略同一の所定長さの直線状トラフの雌継手構造85が、雄雄変換接続用アダプター91を介して接続される。
【0127】
次に、分岐用トラフ1を用いた他のトラフの接続構造について説明する。図19A図19Bは、略T字形状を有する分岐用トラフ1と、曲がりトラフ41との接続構造(トラフ接続構造90b)の接続工程を示す図である。
【0128】
トラフ接続構造90bでは、図19Aに示すように、分岐用トラフ1の開口部15aにおける雌継手構造23aと、曲がりトラフ41の雌継手構造57aとを対向配置させる。すなわち、分岐用トラフ1と曲がりトラフ41の互いに雌継手構造同士が対向する。
【0129】
本実施形態でも、前述したトラフ接続構造90aと同様に、雄雄変換接続用アダプター91が用いられる。雄雄変換接続用アダプター91を、分岐用トラフ1の雌継手構造23aと、曲がりトラフ41の雌継手構造57aとにまたがるように配置し、雄雄変換接続用アダプター91の中央部の切り欠き部に雌継手構造23aと雌継手構造57aの縦リブを嵌合させることで、雌継手構造23aと雌継手構造57aを接続することができる。このように、トラフ接続構造90bでは、略T字形状を有する分岐用トラフの少なくとも1カ所の開口部15a、15bの雌継手構造23a、23bに、曲がりトラフ41の一方の端部の開口部49に形成された雌継手構造57aが、雄雄変換接続用アダプター91を介して接続される。また、雄雄変換接続用アダプター91は、略U字状の略平行な直線状部の外方が外方に向かって開口した略U字型形状の断面の中央部の切り欠き部に、対向する2つの雌継手構造を嵌合させるものであってもよい。
【0130】
次に、分岐用トラフ1を用いた他のトラフの接続構造について説明する。図20A図20Bは、略T字形状を有する分岐用トラフ1と、小径トラフ87との接続構造(トラフ接続構造90c)の接続工程を示す図である。
【0131】
小径トラフ87は、前述した直線状トラフ81と同様に、略同一断面形態の直線状のトラフであり、一方の端部に雄継手構造83aを有し、他方の端部に雌継手構造85aが形成される。前述したとおり、小径トラフ87同士は、互いの雄継手構造83aと雌継手構造85aとを連結して接続することができる。一方、小径トラフ87は、直線状トラフ81と比較して、幅及び高さが小さい。このため、分岐用トラフ1の雌継手構造23aと、小径トラフ87の雄継手構造83aとを直接接続することができない。
【0132】
そこで、本実施形態では、端面板93が用いられる。図21Aは、端面板93の正面図である。端面板93は、下方または上方のいずれかに所定サイズ(図中Bの幅)の開口部95が形成された略U字型である。一方、図21Bに示すように、小径トラフ87の雄継手構造83aでは、先端のフランジ部の幅がDであり、その奥側の幅が、フランジ部の幅Dよりも小さい幅Cで構成される。この際、それぞれの寸法は、D>B>Cで構成されるため、端面板93を小径トラフ87の雄継手構造83aの幅C部に差し込むことで、幅の広い雄継手構造83aのフランジ部が端面板93によって係止される。
【0133】
図20Bに示すように、トラフ接続構造90cでは、端面板93の開口部95に、小径トラフ87の雄継手構造83aが配置され、小径トラフ87の雄継手構造83aのフランジ部を抜け止め構造として端面板93の開口部95に嵌合させて接続される。このようにすることで、小径トラフ87の雄継手構造83aが、端面板93に対して固定される。ここで、小径トラフ87に引き抜き力がかかった場合でも、雄継手構造83aが端面板93に当接することで、小径トラフ87が分岐用トラフ1から抜けることがない。
【0134】
また、端面板93は、略T字形状を有する分岐用トラフ1の少なくとも1カ所の開口部15a、15bの雌継手構造23a、23bの対向する縦リブ21間の距離より幅広の四角形状である。このため、雌継手構造23a、23bの縦リブ間に端面板93を挿入すると、端面板93は雌継手構造23a、23bに固定される。なお、端面板93の厚さは、開口部15aの雌継手構造23aに配置した場合に、端面板93が開口部15aから斜め方向に回転しないように所定厚さを有していることが望ましい。端面板は、図21Aのように、端面板の中央の下側が開口した形状であっても、後述するように、端面板の開口の両側の下端部に突出部が形成されて、突出部が分岐用トラフ1の雌継手構造23a、23bに形成された溝31に嵌合可能であることが望ましい。このように、端面板を雌継手構造の溝に嵌合させることでも、端面板の斜め方向の回転を防止できる。
【0135】
次に、分岐用トラフ1を用いた他のケーブル保護部材である電線管との接続構造について説明する。図22A図22Bは、略T字形状を有する分岐用トラフと電線管の接続構造(トラフ接続構造90d)の接続工程を示す図である。
【0136】
本実施形態において、分岐用トラフ1に接続される電線管は、独立波構造を有する角型電線管101である。角型電線管101は、断面矩形状の大径部103と断面円形の小径部105が交互に形成される。また、略T字形状を有する分岐用トラフ1のいずれかの開口部15a、15bの雌継手構造23a、23bには、半割構造であって上下に分割可能な端面板93aが配置される。
【0137】
図23Aは、端面板93aを示す正面図である。前述したように、端面板93aは、上下に分割可能であり、分割した際に互いに対向する部位に開口部95aが形成される。図示した例では、開口部95aは半円形であり、分割された端面板93a同士を突き合わせると、略円形の開口部95aとなる。なお、端面板93aの厚さも、開口部15aの雌継手構造23aに配置した場合に、端面板93aが開口部15aから斜め方向に回転しないように所定厚さを有していることが望ましい。端面板は、後述するように、端面板の下端部には突出部が形成され、突出部が分岐用トラフ1の雌継手構造23a、23bに形成された溝31に嵌合可能であることが望ましい。このように、端面板を雌継手構造の溝に嵌合させることでも、端面板の斜め方向の回転を防止できる。
【0138】
この際に形成される略円形の開口部95aの内径は、角型電線管101の小径部105の外径よりもわずかに大きく、また、角型電線管101の大径部103の外径(辺の長さ)よりも小さい。このため、図23Bに示すように、角型電線管101の小径部105を、端面板93aの開口部95aで挟み込むことで、角型電線管101が端面板93aに固定される。ここで、角型電線管101に引き抜き力がかかった場合でも、大径部103が端面板93aに当接することで、角型電線管101が分岐用トラフ1から抜けることがない。なお、一つの端面板93aに固定される電線管は、必ずしも一つである必要はなく、二つ以上であってもよい。
【0139】
また、独立波を有する電線管としては、角型電線管101には限られない。図24Aは、分岐用トラフ1と独立波電線管101aとが接続されたトラフ接続構造90eを示す図である。独立波電線管101aは、大径部103と小径部105が交互に形成される点では角型電線管101と同様であるが、大径部103の断面形状が矩形ではなく、円形である。すなわち、独立波電線管101aは、大径部103と小径部105のいずれも断面円形である。
【0140】
端面板93aに形成される略円形の開口部95aの内径は、独立波電線管101aの小径部105の外径よりもわずかに大きく、また、独立波電線管101aの大径部103の外径よりも小さい。このため、図24Bに示すように、独立波電線管101aの小径部105を、端面板93aの開口部95aで挟み込むことで、独立波電線管101aが端面板93aに固定される。独立波電線管101aに引き抜き力がかかった場合でも、大径部103が端面板93aに当接することで、独立波電線管101aが分岐用トラフ1から抜けることがない。このように、トラフ接続構造90d、90eでは、端面板93aの開口部95aに、角型電線管101又は独立波電線管101aが固定され、端面板93aが、分岐用トラフ1の雌継手構造に固定されることで、分岐用トラフ1と電線管が接続される。
【0141】
次に、分岐用トラフ1を用いた他のトラフの接続構造について説明する。図25A図25Cは、らせん波電線管101bの端部に、内側接続部材97aと外側接続部材97bを固定する方法を示す図である。本実施形態では、略T字形状を有する分岐用トラフ1に接続される電線管が、断面円形のらせん波構造を有するらせん波電線管101bである。
【0142】
内側接続部材97aは、らせん波電線管101bの内周面のらせん形状に嵌合可能ならせん溝が外周面に形成された円形断面の筒状部107aと、当該筒状部107aの端部に形成されて拡径されたフランジ部109aとを有する。また、外側接続部材97bは、らせん波電線管101bの外周面のらせん形状に嵌合可能ならせん溝が内周面に形成された円形断面の筒状部107bと、当該筒状部107bの端部に形成されて拡径されたフランジ部109bとを有する。
【0143】
まず、図25Bに示すように、外側接続部材97bをらせん波電線管101bの端部に装着する。すなわち、らせん波電線管101bの外周部のらせん波に外側接続部材97bの筒状部107bの内周面のらせん波を螺合させる。次に、図25Cに示すように、内側接続部材97aをらせん波電線管101bの端部に装着する。すなわち、らせん波電線管101bの内周部のらせん波に内側接続部材97aの筒状部107aの外周面のらせん波を螺合させる。このように、内側接続部材97aと外側接続部材97bのそれぞれの筒状部107a、107bが、らせん波電線管101bの内周面と外周面とにそれぞれ螺合されて、内側接続部材97aと外側接続部材97bが、らせん波電線管101bの端部に取り付けられる。
【0144】
ここで、外側接続部材97bは、内側接続部材97aよりもらせん波電線管101bの端部から奥側に配置される。また、外側接続部材97bのフランジ部109bと内側接続部材97aのフランジ部109aとの間には隙間が形成される。例えば、内側接続部材97aの筒状部107aをらせん波電線管101bの内部に完全に螺合させた際、外側接続部材97bの筒状部107bをらせん波電線管101bの外周で回転させることで、外側接続部材97bのフランジ部109bと内側接続部材97aのフランジ部109aとの間の隙間の大きさを調整することができる。
【0145】
図26は、略T字形状を有する分岐用トラフ1とらせん波電線管の接続構造(トラフ接続構造90f)を示す図である。分岐用トラフ1の開口部15aの雌継手構造23aには、電線管を挿通可能な開口部95aを有する端面板93aが配置される。この際、端面板93aに形成される略円形の開口部95aの内径は、らせん波電線管101bの外径よりもわずかに大きく、また、外側接続部材97bのフランジ部109bと内側接続部材97aのフランジ部109aの外径よりも小さい。このため、端面板93aが内側接続部材97aのフランジ部109aと外側接続部材97bのフランジ部109bとで挟み込まれることで、らせん波電線管101bが端面板93aに固定される。
【0146】
このように、トラフ接続構造90fでは、らせん波電線管101bの端部に、内側接続部材97aと外側接続部材97bが固定される。また、端面板93aの開口部95aにらせん波電線管101bが配置され、らせん波電線管101bに固定された内側接続部材97aのフランジ部109aと外側接続部材97bのフランジ部109bとで端面板93aが挟みこまれて、分岐用トラフ1に固定されることから、端面板93aに引き抜き力がかかっても、らせん波電線管101bが分岐用トラフ1の雌継手構造23aから抜けることがない。また、端面板93aが、分岐用トラフ1の雌継手構造23a、23bに固定されることで、分岐用トラフ1とらせん波電線管101bが接続される。
【0147】
なお、前述したように、各電線管や各トラフは、略T字形状を有する分岐用トラフ1の開口部15aに接続されてもよく、開口部15bに接続されてもよい。また、端面板93aを用いる場合には、より確実に雌継手構造23a、23bに固定することができるように、端面板93aに代えて、図27に示すような端面板93bを用いてもよい。
【0148】
端面板93bは、端面板93aと略同様の構造であるが、下方の端面板93bの底部先端に、突出部99が形成される。前述したように、分岐用トラフ1の雌継手構造23a、23bの底部の表面の略中央には、トラフの幅方向に所定長さを有する溝31が形成される。また、曲がりトラフ41の雌継手構造57aの底部の表面の略中央には、トラフの幅方向に所定長さを有する溝63が形成される。端面板93bの突出部99は、分岐用トラフ1の雌継手構造23a、23bに形成された溝31や、曲がりトラフ41の雌継手構造57aに形成された溝63に嵌合可能である。
【0149】
このように、溝31、63に端面板93bの突出部99を嵌合することで、端面板93bをより確実に各トラフに固定することができ、例えば、端面板93bの斜め方向への回転を防止することができる。なお、上方に開口した端面板93に対して、下方に突出部99を形成しても同様の効果を得ることができる。
【0150】
以上のように、略T字形状を有する分岐用トラフ1に対する、直線状トラフ81、曲がりトラフ41、小径トラフ87及び各電線管(これらを含めて単にケーブル保護部材という場合がある)の接続方法によれば、分岐用トラフ1と各種のケーブル保護部材との接続構造を得ることができる。
【0151】
より詳細には、分岐用トラフ1の3つの開口部15a、15bには、それぞれ、開口部15a、15bの端部と、開口部15a、15bの端部近傍の開口部15a、15bの端部から所定距離離間した位置とに、略平行に所定高さの縦リブ21が側板7から内方の垂直な方向に相互に対向するように延出して一対の略U字型形状の雌継手構造23a、23bが形成される。この際、分岐用トラフ1の3つの開口部15a、15bのうち、少なくともいずれかの開口部15a、15bの端部に形成される雌継手構造23a、23bにおいて、縦リブ21によって形成される両端面が略平行な空間に対し、直接的にトラフの雄継手構造のフランジ部を固定するか、トラフの雌継手構造を雄雄変換接続用アダプター91を介して固定するか、または端面板を介して小径トラフの雄継手構造の小径部フランジ部を固定するか、円形または矩形断面を有する独立波電線管の小径部を端面板に挟み込むことで固定するか、またはらせん波電線管の端部に、端面板を介して内側接続部材97aと外側接続部材97bを螺合させて、内側接続部材97aのフランジ部109aと外側接続部材97bのフランジ部109bで端面板を挟み込むことで固定することができる。
【0152】
ここで、本発明においては、曲がりトラフ41の場合も、分岐用トラフ1と同様の縦リブ55を使用した雌継手構造57a、57bを有するため、曲がりトラフ41においても分岐用トラフ1の場合と同様に、曲がりトラフ41と、直線状トラフ81の雄継手構造83、雄雄変換接続用アダプター91を介した直線状トラフ81の雌継手構造85、端面板93、93a、93bのいずれかを介した小径トラフ87及び各電線管(角型電線管101、独立波電線管101a、らせん波電線管101b)の各種のケーブル保護部材との接続構造を得ることができる。
【0153】
次に、分岐用トラフの接続構造を用いたトラフ線路について説明する。図28Aは、トラフ線路100を示す図である。トラフ線路100は、略T字形状を有する分岐用トラフ1に複数の直線状トラフ81が接続されて構成される。例えば、分岐用トラフ1の主幹部9の両端の開口部15aと、分岐部11に設けられた別の開口部15bに、複数の所定長さの直線状トラフ81が連結されたトラフ線路が接続される。なお、前述したように、隣り合う直線状トラフ81同士は、互いの雄継手構造83と雌継手構造85(図15A等参照)を連結することで、直線状のトラフ線路が形成される。
【0154】
図示したように、開口部15bの雌継手構造23bには、複数連結された直線状トラフ81の連結構造の一方の端部に配置された雄継手構造83が接続される。なお、開口部15bの雌継手構造23bに、複数連結された直線状トラフ81の連結構造の他方の端部に配置された雌継手構造85が雄雄変換接続用アダプター91を介して接続されてもよい。
【0155】
トラフ線路100の内部には、ケーブル115が敷設される。ここで、分岐用トラフ1の内部において、ケーブル115が、分岐構造あるいは曲がり構造のいずれかを有するように配置される。すべてのケーブル115が敷設された状態で、図28Bに示すように、分岐用トラフ1には、トラフ蓋3が被冠され、直線状トラフ81には、トラフ蓋111が被冠される。
【0156】
次に、他のトラフ線路について説明する。図29Aは、トラフ線路100aを示す図である。トラフ線路100aは、トラフ線路100と略同様であるが、一部に曲がりトラフ41が用いられる点で異なる。
【0157】
前述したように、トラフ線路100aにおいても、分岐用トラフ1の開口部15a、15bに複数の直線状トラフ81が接続される。すなわち、トラフ線路100aは、一方の端部に雄継手構造83が配置された直線状トラフ81の連結構造か、他方の端部に雌継手構造85が配置された直線状トラフ81の連結構造のいずれかを有する。このトラフ線路の少なくとも一部には、両端部に雌継手構造57aを有する曲がりトラフ41が雄雄変換接続用アダプター91を介して配置される。
【0158】
トラフ線路100aにおいては、分岐用トラフ1の内部に、ケーブル115が、分岐構造あるいは曲がり構造のいずれかを有するように配置される。この状態で、図29Bに示すように、分岐用トラフ1には、トラフ蓋3が被冠され、直線状トラフ81には、トラフ蓋111が被冠され、曲がりトラフ41には、トラフ蓋43が被冠される。
【0159】
図30Aは、さらに他のトラフ線路100bを示す図である。トラフ線路100bは、トラフ線路100と略同様であるが、分岐用トラフ1の一方の開口部15aに遮蔽板113が配置される点で異なる。
【0160】
トラフ線路100bにおいては、分岐用トラフ1の主幹部9の一方の開口部15aと分岐部11の開口部15b(図1等参照)に、複数の直線状トラフ81が接続される。なお、分岐用トラフ1の雌継手構造23a、23bに対して、直線状トラフ81の雄継手構造83を直接接続してもよく、又は、分岐用トラフ1の雌継手構造23a、23bに対して、直線状トラフ81の雌継手構造85を雄雄変換接続用アダプター91を介して接続してもよい(図17A等参照)。
【0161】
図31は、分岐用トラフ1の主幹部9の他方の開口部15a(複数の直線状トラフ81が接続された開口部15aとは逆側の開口部15a)の近傍の拡大図である。分岐用トラフ1の主幹部9の他方の開口部15aの雌継手構造23aには、遮蔽板113が配置される。遮蔽板113は、前述した端面板のような開口部を有さない板状部材である。雌継手構造23aの縦リブ間同士の空間に遮蔽板113を嵌めることで、分岐用トラフ1の一端側の開口部15aを塞ぐことができる。
【0162】
このようなトラフ線路100bを形成するそれぞれのトラフ内に配置されたケーブル115は、分岐用トラフ1内で曲がり構造のみを有する。すなわち、相互に対向する開口部15aの一方の側にはケーブル115が配置され、他方の側には、遮蔽板113が配置され、残りの分岐部11の開口部15bをケーブル115が挿通される。なお、トラフ線路100bにおいても、各トラフに対して図示を省略したトラフ蓋が被冠される。
【0163】
図30Bは、さらに他のトラフ線路100cを示す図である。トラフ線路100cは、トラフ線路100aと略同様であるが、トラフ線路100bと同様に、分岐用トラフ1の一方の開口部15aに遮蔽板113が配置される点で異なる。
【0164】
トラフ線路100bと同様に、トラフ線路100cを形成する各トラフ内に配置されたケーブル115は、分岐用トラフ1内で曲がり構造のみを有する。すなわち、分岐用トラフ1の相互に対向する開口部15aの一方の側と、分岐部11の開口部15bには、ケーブル115が配置され、分岐用トラフ1の相互に対向する開口部15aの他方の側には、遮蔽板113が配置される。なお、トラフ線路100cにおいても、各トラフに対して図示を省略したトラフ蓋が被冠される。
【0165】
以上説明したように、本実施形態によれば、分岐用トラフ1の底板5の裏面に、底面から下方に突出する内部が中空の中空柱状突出部27が設けられ、ボルト固定用構造として利用可能であり、底板5が地盤面より所定高さ高く保持されるため、通常の砂利敷設面や地面の他、アスファルトやコンクリートなどの路面や傾斜面にもアンカーボルト37で固定することが可能である。また、分岐用トラフ1をアンカーボルト37で固定する場合に、中空柱状突出部27を設けることで、底板5への応力集中を避けることができる。
【0166】
また、内部が中空の中空柱状突出部27を底板5の裏面に設けることで、底板5を補強することができる。このため、分岐用トラフ1の底板5を薄肉化することができ、分岐用トラフ1の軽量化が達成できる。
【0167】
この際、中空柱状突出部27の上部に、薄板状の底板5が存在することで、分岐用トラフ1と接続する他のトラフのケーブル収納部との高さを略同一にすることが可能である。例えば、ケーブルの引き込み性などを考えた場合には、底板5は、地盤面33よりも少し高い位置に設けることができるので、これと接続する各トラフの底板の高さと略同一にすることができ、ケーブルの引き込み性に優れる。
【0168】
なお、中空柱状突出部27をボルト固定用構造として使用しない場合においても、中空柱状突出部27の基部側の底板5の表面の中空部を遮蔽する遮蔽部を除去して貫通孔を形成することで、分岐用トラフ1の水抜き孔にも利用することができる。
【0169】
また、分岐用トラフ1の裏面に突出する足部25を設けることで、底板5を地盤面33から所定の高さに配置することができる。このように、底板5が地盤面33から所定距離離れていることで、地盤面33に凹凸がある場合であっても、地盤面33の凹凸と分岐用トラフ1の干渉を避けることができる。このように、底板5の裏面の地盤面33との間に所定の空間ができるので、地盤面33の状態の影響を受けにくく、さらにアスファルトやコンクリートなどの路面や傾斜面にも固定することができる。
【0170】
また、分岐用トラフ1の側板7に折り曲げ部17を設けて、折り曲げ構造とすることで、側板7を補強することができる。また、横リブ19を側板7の折り曲げ部17を繋ぐように設けることにより、折り曲げ部17の両端部を横リブ19で支持することが可能になることから、側板7の折り曲げ部17を横リブ19により更に補強することができる。また、折り曲げ部17の両端部が、分岐用トラフ1の外周の側板7の曲がり部の曲がり方向に直交する縦リブ21として側板7を補強する効果がある。このため、側板7の肉厚がそれほど大きく無くても全体として構造強度を保つことができる。分岐用トラフ1の折り曲げ部17の縦リブが雌継手構造23a、23bのU字型形状の略平行な内側の縦リブを兼ねることから、雌継手構造23a、23bの外側の縦リブのみを設ければよく、側板7の分岐部11の曲がり部の外方に縦リブを設ける必要がない。
【0171】
また、横リブ19を、分岐用トラフ1の上部にトラフ蓋3を固定するための固定金具の固定部として利用することで、分岐用トラフ1にトラフ蓋3を被冠する際に、容易にトラフ蓋3を固定することができる。
【0172】
ここで、前述したように、分岐用トラフ1は、略T字形状で直線状の主幹部9と分岐部11からなり、直線状の主幹部9の両端部には開口部15aが設けられ、主幹部9から分岐する分岐部11の端部には、主幹部9と直交する方向の開口部15bが設けられる。また、分岐用トラフ1に設けられる開口部15a、15bには、側板7から所定高さで内方に延出する相互に対向する略平行な1対のU字型形状のリブ構造である雌継手構造23a、23bが作られる。この開口部15a、15bに設けられた雌継手構造23a、23bにより、他のトラフの雄継手構造や雄雄変換接続用アダプター91を介して他の直線状トラフ、曲がりトラフ等の雌継手構造との接続が可能になり、各種のトラフが接続されたトラフ線路を形成することができる。
【0173】
また、雌継手構造23a、23bは、相互に対向する側板7と、これを挟む2本の平行な縦リブ21及び両者間を繋ぐように形成される底板5により構成される。また、折り曲げ部17の両端部は、平面視で略U字型の開口部15a、15bに設けられる雌継手構造23a、23bの内側の縦リブ21であるため、前述した補強構造としての縦リブ21の役割を果たすだけでなく、雌継手構造23a、23bの嵌合部を形成する縦リブ21としての役割を果たす。このため、雌継手構造23a、23bの外側の縦リブ21以外に、別途新たな縦リブを設ける必要がない。
【0174】
また、開口部15a、15bの雌継手構造23a、23bに端面板93等を設けることで、通常の直線状トラフ81だけでなく断面寸法の小さい小径トラフ87や、独立波構造の角型電線管101、独立波電線管101aや、らせん波構造のらせん波電線管101b等の各種電線管を分岐用トラフ1に端面板93等を介して接続した接続構造を形成することができる。この際、雌継手構造23a、23bは、接続相手のトラフや電線管の小径部などの接続を安定してできるように、すべての接続構造に対応できるような寸法形状にする必要がある。
【0175】
また、相互に対向する略U字型の雌継手構造23a、23bの底部の略中央に、分岐用トラフ1の幅方向に所定長さを有する浅い溝31が形成されることで、突出部99を有する端面板93bを効率よく固定することができると同時に、端面板93bの斜め方向への回転を防止することができる。このように、雌継手構造23a、23bの底板5に溝31を設け、端面板93bを使用することで、通常の雌継手構造23a、23bを利用した接続構造の他、多様なトラフや電線管などの固定構造に利用することができる。
【0176】
このように、分岐用トラフ1の開口部15a、15bに、他のトラフや種々の電線管を接続することで、各種のトラフ線路を構築することができる。この際、分岐用トラフ1内に配置されたケーブル115が、主幹部9を挿通するケーブルと、分岐部11に分岐される分岐構造が形成されてもよく、あるいは分岐用トラフ1内に配置されたケーブル115が主幹部9から分岐部11に折れ曲がって配置される曲がり構造を有してもよく、主幹部9のケーブル115が配置されていない開口部15aには、遮蔽板113が配置される曲がり線路が形成されてもよい。
【0177】
なお、曲がりトラフ41の場合であっても、上述した分岐用トラフ1と同様の構造を有するため、上述した分岐用トラフ1における、底板5の裏面の中空柱状突出部27を設けることによる効果、側板7に折り曲げ構造と横リブ19を設けることによる側板7の補強効果、雌継手構造としての縦リブ21の役割を兼ねる効果及び舗装路面や傾斜面などへ分岐用トラフ1を固定する場合における効果などに対しては、曲がりトラフ41でも同様の効果を得ることができる。
【0178】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0179】
例えば、前述した各実施形態は互いに組み合わせることができることは言うまでもない。また、各トラフ線路におけるトラフの組み合わせや配置数などは、適宜設定可能である。
【符号の説明】
【0180】
1………分岐用トラフ
3………トラフ蓋
5………底板
7………側板
9………主幹部
11………分岐部
13………曲がり部
15a、15b………開口部
17………折り曲げ部
19………横リブ
21………縦リブ
23a、23b………雌継手構造
25………足部
27………中空柱状突出部
29………底面補強リブ
31………溝
33………地盤面
35………空間
37………アンカーボルト
40………分岐用トラフ固定構造
40a………曲がりトラフ固定構造
41………曲がりトラフ
43………トラフ蓋
45………底板
47………側板
49………開口部
51………折り曲げ部
53………横リブ
55………縦リブ
57a、57b………雌継手構造
59………内側曲がり部
61………外側曲がり部
63………溝
65………足部
67………中空柱状突出部
69………底面補強リブ
71………地盤面
73………空間
75………アンカーボルト
81………直線状トラフ
83、83a………雄継手構造
85、85a………雌継手構造
87………小径トラフ
90、90a、90b、90c、90d、90e、90f………トラフ接続構造
91………雄雄変換接続用アダプター
93、93a、93b………端面板
95、95a………開口部
97a………内側接続部材
97b………外側接続部材
99………突出部
100、100a、100b、100c………トラフ線路
101………角型電線管
101a………独立波電線管
101b………らせん波電線管
103………大径部
105………小径部
107a、107b………筒状部
109a、109b………フランジ部
111………トラフ蓋
113………遮蔽板
115………ケーブル
【要約】
分岐用トラフ1は、主に、両側面を形成する側板7と、底面を構成する底板5とからなり、底板5を囲うように両方の側板7が起立し、断面が略U字状であり、平面視が略T字形状を有するトラフである。主幹部9の長手方向の両端部の開口部15aには、ケーブル保護部材を接続するための雌継手構造23aがそれぞれ形成される。同様に、分岐部11の先端の開口部15bには、ケーブル保護部材を接続するための雌継手構造23bが形成される。側板7の折り曲げ部17の縦リブ21が雌継手構造23aの内側の縦リブを兼ねることができる。主幹部9と分岐部11の裏面において、前述した空間の所定位置には、底板5から下方に向けて所定高さで突出する中空柱状突出部27が形成される。側板47の折り曲げ部51が雌継手構造57aの内側の縦リブ55を兼ねる同様の雌継手構造と中空柱状突出部67とを有する曲がりトラフ41も発明に加えた。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図25C
図26
図27
図28A
図28B
図29A
図29B
図30A
図30B
図31