(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】無線通信システム、中継装置、無線通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/185 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
H04B7/185
(21)【出願番号】P 2022570878
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2020048435
(87)【国際公開番号】W WO2022137424
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂元 一光
(72)【発明者】
【氏名】藤野 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】五藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】小島 康義
(72)【発明者】
【氏名】糸川 喜代彦
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0051511(KR,A)
【文献】特開2014-204177(JP,A)
【文献】特開2018-007212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムであって、
前記中継装置は、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、を備え、
前記第二通信装置は、
前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信部と、
前記第二信号受信部が受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理部と、
前記第二信号受信処理部が取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理部と、を備
え、
前記伝送データ制御部は、複数の前記受信アンテナのうち波形データを得る対象の前記受信アンテナの数を増減することにより、前記第一信号受信部が生成する波形データのデータ量を制御する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記伝送データ制御部は、前記第一信号の波形データを得る対象の前記受信アンテナを、選択された受信アンテナ間の距離が広くなるように選択する、
請求項
1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムであって、
前記中継装置は、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、を備え、
前記第二通信装置は、
前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信部と、
前記第二信号受信部が受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理部と、
前記第二信号受信処理部が取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理部と、を備
え、
通信品質に関する前記情報は、前記中継装置と通信する前記第一通信装置が設置されているエリア内の所定位置から前記中継装置位置に対する仰角の情報、又は、前記中継装置と通信する前記第一通信装置が設置されているエリアの人口密度の情報である、
無線通信システム。
【請求項4】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムであって、
前記中継装置は、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、を備え、
前記第二通信装置は、
前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信部と、
前記第二信号受信部が受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理部と、
前記第二信号受信処理部が取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理部と、を備
え、
通信品質に関する前記情報は、過去に前記受信アンテナにより受信した第一信号を、前記第一信号受信処理部において受信処理した際に得られる前記第一信号の受信品質の情報である、
無線通信システム。
【請求項5】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムであって、
前記中継装置は、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、を備え、
前記第二通信装置は、
前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信部と、
前記第二信号受信部が受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理部と、
前記第二信号受信処理部が取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理部と、を備
え、
通信品質に関する前記情報は、測定装置により測定された干渉信号の情報である、
無線通信システム。
【請求項6】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムであって、
前記中継装置は、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、を備え、
前記第二通信装置は、
前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信部と、
前記第二信号受信部が受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理部と、
前記第二信号受信処理部が取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理部と、を備
え、
通信品質に関する前記情報は、複数の前記受信アンテナそれぞれが受信した前記第一信号に基づいて推定される前記第一通信装置の数と前記第一信号の到来方向との一方又は両方である、
無線通信システム。
【請求項7】
前記伝送データ制御部は、前記波形データの生成に用いられる量子化ビット数を変更することにより前記第一信号受信部が生成する波形データのデータ量を制御する、
請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムであって、
前記中継装置は、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、を備え、
前記第二通信装置は、
前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信部と、
前記第二信号受信部が受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理部と、
前記第二信号受信処理部が取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理部と、を備
え、
前記第二通信装置は、前記第一信号受信処理部における受信処理の際に通信品質の低下を検出した場合に、波形データのデータ量の増加指示を前記中継装置に指示する指示部をさらに備える、
無線通信システム。
【請求項9】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムであって、
前記中継装置は、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、を備え、
前記第二通信装置は、
前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信部と、
前記第二信号受信部が受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理部と、
前記第二信号受信処理部が取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理部と、
前記中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質の情報に基づいて、前記中継装置位置において前記第一信号受信部が生成する波形データのデータ量を前記伝送データ制御部が制御するための制御値を決定する制御量決定部と、を備
え、
前記伝送データ制御部は、所定タイミングにおいて、前記所定タイミングの前記中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する前記情報に応じた波形データ量よりも多い波形データ量の波形データを生成するよう前記第一信号受信部を制御し、
前記制御量決定部は、前記第二信号受信処理部が前記第二信号の受信処理を行って得られた前記所定タイミングにおける前記波形データに基づいて、前記所定タイミングの前記中継装置位置に応じた前記制御値を決定する、
無線通信システム。
【請求項10】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムであって、
前記中継装置は、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、を備え、
前記第二通信装置は、
前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信部と、
前記第二信号受信部が受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理部と、
前記第二信号受信処理部が取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理部と、を備
え、
前記第二信号送信部は、複数の送信アンテナにより無線の前記第二信号を送信し、
前記中継装置は、前記第二信号により送信する前記波形データのデータ量に応じた送信アンテナ数の前記送信アンテナにより前記第二信号を送信するよう前記第二信号送信部を制御する送信アンテナ制御部をさらに備える、
無線通信システム。
【請求項11】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムであって、
前記中継装置は、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて
得られた制御値に従って、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、を備え、
前記第二通信装置は、
前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信部と、
前記第二信号受信部が受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理部と、
前記第二信号受信処理部が取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理部と、
前記中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質の情報に基づいて、前記中継装置位置において前記第一信号受信部が生成する波形データのデータ量を前記伝送データ制御部が制御するための前記制御値を決定する制御量決定部と、
前記制御量決定部が決定した前記制御値の情報を、前記中継装置へ送信する送信部と、を備える、
無線通信システム。
【請求項12】
前記中継装置は、飛行体に備えられる、
請求項1から請求項
11のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記中継装置は、低軌道衛星に備えられ、
前記第一通信装置及び前記第二通信装置は、地球上に設置される、
請求項1から請求項
12のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項14】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、
を備え
、
前記伝送データ制御部は、複数の前記受信アンテナのうち波形データを得る対象の前記受信アンテナの数を増減することにより、前記第一信号受信部が生成する波形データのデータ量を制御する、
中継装置。
【請求項15】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、
を備え
、
通信品質に関する前記情報は、前記中継装置と通信する前記第一通信装置が設置されているエリア内の所定位置から前記中継装置位置に対する仰角の情報、又は、前記中継装置と通信する前記第一通信装置が設置されているエリアの人口密度の情報である、
中継装置。
【請求項16】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、
を備え
、
前記第二通信装置は、前記第二信号に基づいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得し、
通信品質に関する前記情報は、過去に前記受信アンテナにより受信した第一信号を、前記第二通信装置において受信処理した際に得られる前記第一信号の受信品質の情報である、
中継装置。
【請求項17】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、
を備え
、
通信品質に関する前記情報は、測定装置により測定された干渉信号の情報である、
中継装置。
【請求項18】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、
を備え
、
通信品質に関する前記情報は、複数の前記受信アンテナそれぞれが受信した前記第一信号に基づいて推定される前記第一通信装置の数と前記第一信号の到来方向との一方又は両方である、
中継装置。
【請求項19】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、
を備え
、
前記伝送データ制御部は、前記第二信号に基づいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行うことにより前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する前記中継装置において前記受信処理の際に通信品質の低下が検出された場合に、前記第二通信装置から前記波形データのデータ量の増加指示を受信する、
中継装置。
【請求項20】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、
前記中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質の情報に基づいて決定された制御値であって、前記中継装置位置において前記第一信号受信部が生成する波形データのデータ量を前記伝送データ制御部が制御するための前記制御値を前記第二通信装置から受信する制御値受信部と、
を備え
、
前記伝送データ制御部は、所定タイミングにおいて、前記所定タイミングの前記中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する前記情報に応じた波形データ量よりも多い波形データ量の波形データを生成するよう前記第一信号受信部を制御し、
前記所定タイミングの前記中継装置位置に応じた前記制御値は、前記第二通信装置が前記第二信号の受信処理を行って得られた前記所定タイミングにおける前記波形データに基づいて決定される、
中継装置。
【請求項21】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを
無線の第二信号により
、複数の送信アンテナを用いて前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、
前記第二信号により送信する前記波形データのデータ量に応じた送信アンテナ数の前記送信アンテナにより前記第二信号を送信するよう前記第二信号送信部を制御する送信アンテナ制御部と、
を備える中継装置。
【請求項22】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、
前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて
得られた制御値に従って、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、
前記中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質の情報に基づいて前記第二通信装置により決定された前記制御値であって、前記中継装置位置において前記第一信号受信部が生成する波形データのデータ量を前記伝送データ制御部が制御するための前記制御値を前記第二通信装置から受信する制御値受信部と、
を備える中継装置。
【請求項23】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムが実行する無線通信方法であって、
前記中継装置が、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
前記第二通信装置が、前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信ステップにおいて受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信処理ステップにおいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理ステップと、
を有
し、
前記伝送データ制御ステップにおいては、複数の前記受信アンテナのうち波形データを得る対象の前記受信アンテナの数を増減することにより、前記第一信号受信ステップにおいて生成する波形データのデータ量を制御する、
無線通信方法。
【請求項24】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムが実行する無線通信方法であって、
前記中継装置が、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
前記第二通信装置が、前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信ステップにおいて受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信処理ステップにおいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理ステップと、
を有
し、
通信品質に関する前記情報は、前記中継装置と通信する前記第一通信装置が設置されているエリア内の所定位置から前記中継装置位置に対する仰角の情報、又は、前記中継装置と通信する前記第一通信装置が設置されているエリアの人口密度の情報である、
無線通信方法。
【請求項25】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムが実行する無線通信方法であって、
前記中継装置が、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
前記第二通信装置が、前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信ステップにおいて受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信処理ステップにおいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理ステップと、
を有
し、
通信品質に関する前記情報は、過去に前記受信アンテナにより受信した第一信号を、前記第一信号受信処理ステップにおいて受信処理した際に得られる前記第一信号の受信品質の情報である、
無線通信方法。
【請求項26】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムが実行する無線通信方法であって、
前記中継装置が、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
前記第二通信装置が、前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信ステップにおいて受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信処理ステップにおいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理ステップと、
を有
し、
通信品質に関する前記情報は、測定装置により測定された干渉信号の情報である、
無線通信方法。
【請求項27】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムが実行する無線通信方法であって、
前記中継装置が、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
前記第二通信装置が、前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信ステップにおいて受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信処理ステップにおいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理ステップと、
を有
し、
通信品質に関する前記情報は、複数の前記受信アンテナそれぞれが受信した前記第一信号に基づいて推定される前記第一通信装置の数と前記第一信号の到来方向との一方又は両方である、
無線通信方法。
【請求項28】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムが実行する無線通信方法であって、
前記中継装置が、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
前記第二通信装置が、前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信ステップにおいて受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信処理ステップにおいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理ステップと、
前記第二通信装置が、前記第一信号受信処理ステップにおける受信処理の際に通信品質の低下を検出した場合に、波形データのデータ量の増加指示を前記中継装置に指示する指示ステップと、
を有する無線通信方法。
【請求項29】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムが実行する無線通信方法であって、
前記中継装置が、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
前記第二通信装置が、前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信ステップにおいて受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信処理ステップにおいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理ステップと、
前記第二通信装置が、前記中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質の情報に基づいて、前記中継装置位置において前記第一信号受信ステップにより生成される波形データのデータ量を前記伝送データ制御ステップにより制御するための制御値を決定する制御量決定ステップと、
を有
し、
前記伝送データ制御ステップにおいては、所定タイミングにおいて、前記所定タイミングの前記中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する前記情報に応じた波形データ量よりも多い波形データ量の波形データを生成するよう前記第一信号受信ステップを制御し、
前記制御量決定ステップにおいては、前記第二信号受信処理ステップにおいて前記第二信号の受信処理を行って得られた前記所定タイミングにおける前記波形データに基づいて、前記所定タイミングの前記中継装置位置に応じた前記制御値を決定する、
無線通信方法。
【請求項30】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムが実行する無線通信方法であって、
前記中継装置が、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを
無線の第二信号により
、複数の送信アンテナを用いて前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
前記第二通信装置が、前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信ステップにおいて受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信処理ステップにおいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理ステップと、
前記中継装置が、前記第二信号により送信する前記波形データのデータ量に応じた送信アンテナ数の前記送信アンテナにより前記第二信号を送信するよう前記第二信号送信ステップを制御する送信アンテナ制御ステップと、
を有する無線通信方法。
【請求項31】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムが実行する無線通信方法であって、
前記中継装置が、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記中継装置が、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて
得られた制御値に従って、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
前記第二通信装置が、前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信ステップにおいて受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理ステップと、
前記第二通信装置が、前記第二信号受信処理ステップにおいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理ステップと、
前記第二通信装置が、前記中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質の情報に基づいて、前記中継装置位置において前記第一信号受信ステップにより生成される波形データのデータ量を前記伝送データ制御ステップにより制御するための前記制御値を決定する制御量決定ステップと、
前記第二通信装置が、前記制御量決定ステップにおいて決定した前記制御値の情報を、前記中継装置へ送信する送信ステップと、
を有する無線通信方法。
【請求項32】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置が実行する無線通信方法であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
を有
し、
前記伝送データ制御ステップにおいては、複数の前記受信アンテナのうち波形データを得る対象の前記受信アンテナの数を増減することにより、前記第一信号受信ステップにおいて生成する波形データのデータ量を制御する、
無線通信方法。
【請求項33】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置が実行する無線通信方法であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
を有
し、
通信品質に関する前記情報は、前記中継装置と通信する前記第一通信装置が設置されているエリア内の所定位置から前記中継装置位置に対する仰角の情報、又は、前記中継装置と通信する前記第一通信装置が設置されているエリアの人口密度の情報である、
無線通信方法。
【請求項34】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置が実行する無線通信方法であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
を有
し、
前記第二通信装置は、前記第二信号に基づいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得し、
通信品質に関する前記情報は、過去に前記受信アンテナにより受信した第一信号を、前記第二通信装置において受信処理した際に得られる前記第一信号の受信品質の情報である、
無線通信方法。
【請求項35】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置が実行する無線通信方法であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
を有
し、
通信品質に関する前記情報は、測定装置により測定された干渉信号の情報である、
無線通信方法。
【請求項36】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置が実行する無線通信方法であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
を有
し、
通信品質に関する前記情報は、複数の前記受信アンテナそれぞれが受信した前記第一信号に基づいて推定される前記第一通信装置の数と前記第一信号の到来方向との一方又は両方である、
無線通信方法。
【請求項37】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置が実行する無線通信方法であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
を有
し、
前記伝送データ制御ステップにおいては、前記第二信号に基づいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行うことにより前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する前記中継装置において前記受信処理の際に通信品質の低下が検出された場合に、前記第二通信装置から前記波形データのデータ量の増加指示を受信する、
無線通信方法。
【請求項38】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置が実行する無線通信方法であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
前記中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質の情報に基づいて決定された制御値であって、前記中継装置位置において前記第一信号受信ステップにより生成される波形データのデータ量を前記伝送データ制御ステップにより制御するための前記制御値を前記第二通信装置から受信する制御値受信ステップと、
を有
し、
前記伝送データ制御ステップにおいては、所定タイミングにおいて、前記所定タイミングの前記中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する前記情報に応じた波形データ量よりも多い波形データ量の波形データを生成するよう前記第一信号受信ステップを制御し、
前記所定タイミングの前記中継装置位置に応じた前記制御値は、前記第二通信装置が前記第二信号の受信処理を行って得られた前記所定タイミングにおける前記波形データに基づいて決定される、
無線通信方法。
【請求項39】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置が実行する無線通信方法であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを
無線の第二信号により
、複数の送信アンテナを用いて前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
前記第二信号により送信する前記波形データのデータ量に応じた送信アンテナ数の前記送信アンテナにより前記第二信号を送信するよう前記第二信号送信ステップを制御する送信アンテナ制御ステップと、
を有する無線通信方法。
【請求項40】
第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置が実行する無線通信方法であって、
前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、
前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、
前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて
得られた制御値に従って、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、
前記中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質の情報に基づいて前記第二通信装置により決定された前記制御値であって、前記中継装置位置において前記第一信号受信ステップにより生成される波形データのデータ量を前記伝送データ制御ステップにより制御するための前記制御値を前記第二通信装置から受信する制御値受信ステップと、
を有する無線通信方法。
【請求項41】
コンピュータ
を、
請求項14から請求項22のいずれか一項に記載の中継装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、中継装置、無線通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)技術の発展により、各種センサを備えたIoT端末を様々な場所に設置することが検討されている。IoT端末は、例えば、海上のブイや船舶、山岳地帯など、基地局の設置が困難な場所に設置される場合もある。そこで、様々な場所に設置されたIoT端末が収集したデータを、低軌道衛星に搭載された中継装置により地上に設置された基地局に中継することが考えられている。例えば、低軌道衛星に搭載された中継装置は、IoT端末からデータを受信し、アンテナにおける受信波形データを基地局に送信する(例えば、非特許文献1参照)。基地局は、中継装置から受信した受信波形データを用いて、中継局の各アンテナが受信した信号を復元する。基地局は、復元した信号に信号処理及び復号などの受信処理を行って、IoT端末から送信されたデータを得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】糸川 喜代彦,五藤 大介,小島 康義,山下 史洋,吉澤 健人,坂元 一光,藤野 洋輔,加藤 智隼,中台 光洋,「低軌道衛星MIMO技術を活用した920MHz帯衛星IoTプラットフォームの提案」,電子情報通信学会,2020年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,B-3-12,2020年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低軌道衛星に搭載された中継装置が、IoT端末からのデータを受信したアンテナの波形データを地上に伝送する場合、データ量が膨大なために、中継装置から基地局への通信帯域が逼迫することがある。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、中継装置が移動しながら受信したデータを中継する際のデータ量を低減することができる無線通信システム、中継装置、無線通信方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムであって、前記中継装置は、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、を備え、前記第二通信装置は、前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信部と、前記第二信号受信部が受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理部と、前記第二信号受信処理部が取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理部と、を備える、無線通信システムである。
【0007】
本発明の一態様は、第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置であって、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信部と、前記第一信号受信部が取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信部と、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信部が生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御部と、を備える中継装置である。
【0008】
本発明の一態様は、第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムが実行する無線通信方法であって、前記中継装置が、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、前記中継装置が、前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、前記中継装置が、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、前記第二通信装置が、前記中継装置から送信された前記第二信号を受信する第二信号受信ステップと、前記第二通信装置が、前記第二信号受信ステップにおいて受信した前記第二信号の受信処理を行って前記波形データを取得する第二信号受信処理ステップと、前記第二通信装置が、前記第二信号受信処理ステップにおいて取得した前記波形データが示す前記第一信号の受信処理を行って、前記第一通信装置が前記第一信号に設定したデータを取得する第一信号受信処理ステップと、を有する無線通信方法である。
【0009】
本発明の一態様は、第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置が実行する無線通信方法であって、前記第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、前記受信アンテナが受信した前記第一信号の波形データを取得する第一信号受信ステップと、前記第一信号受信ステップにおいて取得した前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信する第二信号送信ステップと、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、前記第一信号受信ステップにおいて生成する前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、を有する無線通信方法である。
【0010】
本発明の一態様は、第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置のプログラムであって、コンピュータに、受信アンテナが受信した前記第一通信装置からの無線の第一信号の波形データを取得するよう制御する受信制御ステップと、前記波形データを第二信号により前記第二通信装置に送信するよう制御する送信制御ステップと、前記第一信号を受信した中継装置位置における前記中継装置と前記第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、生成される前記波形データのデータ量を制御する伝送データ制御ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、中継装置が移動しながら受信したデータを中継する際のデータ量を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態による無線通信システムを説明するための図である。
【
図2】第1の実施形態による無線通信システムの構成図である。
【
図3】同実施形態による無線通信システムの処理を示すフロー図である。
【
図4】同実施形態による移動中継局の処理を示すフロー図である。
【
図5】同実施形態による無線通信システムの処理を示すフロー図である。
【
図6】同実施形態による無線通信システムの構成図である。
【
図7】同実施形態による基地局通信部の構成図である。
【
図8】同実施形態による無線通信システムの処理を示すフロー図である。
【
図9】第2の実施形態による無線通信システムの構成図である。
【
図10】同実施形態による移動中継局の処理を示すフロー図である。
【
図11】同実施形態による無線通信システムの構成図である。
【
図12】同実施形態による無線通信システムの処理を示すフロー図である。
【
図13】第3の実施形態による無線通信システムの構成図である。
【
図14】同実施形態による移動中継局の処理を示すフロー図である。
【
図15】同実施形態による無線通信システムの処理を示すフロー図である。
【
図16】同実施形態による移動中継局の処理を示すフロー図である。
【
図17】同実施形態による基地局の処理を示すフロー図である。
【
図18】同実施形態による基地局の処理を示すフロー図である。
【
図19】第4の実施形態による無線通信システムの構成図である。
【
図20】第5の実施形態による移動中継局の構成図である。
【
図21】第6の実施形態による移動中継局の構成図である。
【
図22】第7の実施形態による無線通信システムの構成図である。
【
図23】同実施形態による移動中継局の処理を示すフロー図である。
【
図24】同実施形態による無線通信システムの構成図である。
【
図25】同実施形態による無線通信システムの処理を示すフロー図である。
【
図26】第8の実施形態による無線通信システムの構成図である。
【
図27】同実施形態による移動中継局の処理を示すフロー図である。
【
図28】同実施形態による無線通信システムの構成図である。
【
図29】同実施形態による無線通信システムの処理を示すフロー図である。
【
図30】第9の実施形態による無線通信システムの構成図である。
【
図31】同実施形態による移動中継局の処理を示すフロー図である。
【
図32】同実施形態による無線通信システムの処理を示すフロー図である。
【
図33】同実施形態による移動中継局の処理を示すフロー図である。
【
図34】同実施形態による基地局の処理を示すフロー図である。
【
図35】同実施形態による基地局の処理を示すフロー図である。
【
図36】第10の実施形態による無線通信システムの構成図である。
【
図37】第11の実施形態による移動中継局の構成図である。
【
図38】第12の実施形態による移動中継局の構成図である。
【
図39】第13の実施形態による移動中継局の構成図である。
【
図40】同実施形態による移動中継局の構成図である。
【
図41】第1~第13の実施形態による移動中継局のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に説明する各実施形態において、他の実施形態における構成要素と同じ構成要素に対しては同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。
【0014】
図1は、本発明の実施形態による無線通信システム1の概要を説明するための図である。無線通信システム1は、移動中継局2と、端末局3と、基地局4とを有する。無線通信システム1が有する移動中継局2、端末局3及び基地局4それぞれの数は任意であるが、端末局3の数は多数であることが想定される。
【0015】
移動中継局2は、移動体に搭載され、通信可能なエリアが時間の経過により移動する中継装置の一例である。本実施形態の移動中継局2は、LEO(Low Earth Orbit)衛星に備えられる。LEO衛星の高度は2000km以下であり、地球の上空を1周約1.5時間程度で周回する。端末局3及び基地局4は、地上や海上など地球上に設置される。端末局3は、例えば、IoT端末である。端末局3から移動中継局2への無線信号を端末アップリンク信号と記載し、移動中継局2から基地局4への無線信号を基地局ダウンリンク信号と記載し、基地局4から移動中継局2への無線信号を基地局アップリンク信号と記載する。
【0016】
端末局3は、センサが検出した環境データ等のデータを収集し、収集したデータが設定された端末アップリンク信号を移動中継局2へ送信する。移動中継局2は、地球の上空を移動しながら、複数の端末局3それぞれから送信された端末アップリンク信号を受信する。
図1においては、移動中継局2は、ある時刻において、通信先のエリアA1内に設置された端末局3から端末アップリンク信号を受信する。その後、移動中継局2は、通信先のエリアA2内に設置された端末局3から端末アップリンク信号を受信する。移動中継局2は、端末局3から端末アップリンク信号により受信したデータを蓄積し、蓄積しておいたデータを、基地局4との通信が可能なタイミングで基地局ダウンリンク信号により基地局4へ無線送信する。基地局4は、受信した基地局ダウンリンク信号から、端末局3が収集したデータを取得する。
【0017】
移動中継局2は、端末局3との無線通信に使用するアンテナと、基地局4との無線通信に使用するアンテナとを有している。そのため、移動中継局2は、端末局3との無線通信と、基地局4との無線通信とを並行して行うことも可能である。以下では、移動中継局2が端末局3から送信された端末アップリンク信号を受信するアンテナを受信アンテナとも記載し、移動中継局2が基地局4へ基地局ダウンリンク信号を送信するアンテナを送信アンテナとも記載する。
【0018】
移動中継局として、静止衛星や、ドローン、HAPS(High Altitude Platform Station)などの無人航空機に搭載された中継局を用いることが考えられる。しかし、静止衛星に搭載された中継局の場合、地上のカバーエリア(フットプリント)は広いものの、高度が高いために、地上に設置されたIoT端末に対するリンクバジェットは非常に小さい。一方、ドローンやHAPSに搭載された中継局の場合、リンクバジェットは高いものの、カバーエリアが狭い。さらには、ドローンにはバッテリーが、HAPSには太陽光パネルが必要である。本実施形態では、LEO衛星に移動中継局2を搭載する。よって、リンクバジェットは限界内に収まることに加え、LEO衛星は、大気圏外を周回するために空気抵抗がなく、燃料消費も少ない。また、ドローンやHAPSに中継局を搭載する場合と比較して、フットプリントも大きい。
【0019】
LEO衛星に搭載された移動中継局2は、高速で移動しながら通信を行うため、個々の端末局3や基地局4が移動中継局2と通信可能な時間が限られている。具体的には、地上で見ると、移動中継局2は、数分程度で上空を通り過ぎる。また、端末局3には、様々な仕様の無線通信方式が使用される。そこで、移動中継局2は、移動中の現在位置におけるカバレッジ内の端末局3から端末アップリンク信号を受信し、受信した端末アップリンク信号の波形をサンプリングして得られた波形データを保存しておく。移動中継局2は、カバレッジに基地局4が存在するタイミングにおいて、保存しておいた波形データを設定した基地局ダウンリンク信号を、基地局4に無線送信する。基地局4は、移動中継局2から受信した基地局ダウンリンク信号を復調して波形データを得る。基地局4は、波形データが表す端末アップリンク信号に対して信号処理及び復号を行うことにより、端末局3が送信したデータである端末送信データを得る。
【0020】
また、LEO衛星に搭載された移動中継局2は、ドローンやHAPSに中継局を搭載する場合よりもリンクバジェットが小さい。そこで、移動中継局2は、複数の受信アンテナにより端末アップリンク信号を受信してもよい。複数の受信アンテナによる受信には、例えば、MIMO(Multiple Input Multiple Output)が用いられる。複数の受信アンテナを用いた通信のダイバーシティー効果、ビームフォーミング効果により、通信品質を高めることができる。以下では、移動中継局2のある受信アンテナが受信した端末アップリンク信号の波形をサンプリングして得られた波形データを、その受信アンテナの波形データとも記載する。
【0021】
基地局4が波形データから正常に端末送信データを得るためには、移動中継局2が品質の良い波形データを基地局4に送信する必要がある。品質の良い波形データは、複数の受信アンテナにより端末アップリンク信号を受信することや、波形データを生成する際の量子化ビット数を多くすることにより得られる。しかし、移動中継局2がこのように取得した波形データを基地局4に地上に伝送すると、データ量が膨大となる。そのため、移動中継局2と基地局4との間のダウンリンクの通信帯域が逼迫する可能性がある。さらには、移動中継局2の消費電力が大きくなる可能性もある。そこで、本実施形態においては、移動中継局2と端末局3との通信品質が良好であると想定される場合、移動中継局2は、受信処理において生成される波形データのデータ量を低減する。具体的には、移動中継局2は、複数の受信アンテナを備える場合、通信品質が良好である、又は、良好であると想定されるほど、少ない受信アンテナ数の受信アンテナにより端末アップリンク信号を受信する。あるいは、移動中継局2は、通信品質が良好である、又は、良好であると想定されるほど、量子化ビット数を低減してサンプリングした波形データを生成する。
【0022】
例えば、端末局3から移動中継局2への仰角が大きいほど(90度に近いほど)、通信品質は良好であると想定される。端末局3は移動しないか、移動が低頻度であることが多いため、端末局3から移動中継局2への仰角は、移動中継局2の位置により決まる。また、例えば、端末局3が設置されている地域の人口密度が低いほど、通信品質が良好であると想定される。
図1に示すように、人口密度の低いエリアA1においては、破線の矢印で示される干渉波が少ない。よって、エリアA1に設置されている端末局3からの端末アップリンク信号の通信品質は高いと想定される。一方で、人口密度の高いエリアA2においては、破線の矢印で示される干渉波が多い。よって、エリアA2に設置されている端末局3からの端末アップリンク信号の通信品質は、エリアA1に設置されている端末局3からの端末アップリンク信号の通信品質よりも低いと想定される。
【0023】
また、移動中継局2は、地球の上空を周回しており、同一のパスを何度も通過する。基地局4は、移動中継局2が過去に同一のパスを移動したときに得られた波形データの復号結果に基づいて、エリアごとに何本の受信アンテナの波形データが必要であるかの所要受信アンテナ数、又は、エリアごとの所要量子化ビット数を決定する。正常に復号された割合が多いほど通信品質は高いため、受信アンテナ数を少なく、又は、量子化ビット数を少なくすることができる。基地局4は、エリア毎に決定した所要受信アンテナ数又は所要量子化ビット数を移動中継局2に通知する。
以下に、無線通信システムの詳細な実施形態を説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の無線通信システムは、移動中継局の通信先である地球上のエリアにおける所定位置から移動中継局に対する仰角に応じて受信アンテナ数を決定する。所定位置は、例えば、エリアの中心である。
【0025】
図2は、第1の実施形態による無線通信システム101の構成図である。無線通信システム101は、移動中継局201と、端末局301と、基地局401とを有する。移動中継局201は、
図1の移動中継局2として用いられ、端末局301は、
図1の端末局3として用いられ、基地局401は、
図1の基地局4として用いられる。
【0026】
移動中継局201の受信アレーアンテナ面の正面方向ほど、基地局401における後処理によって形成する衛星受信ビームを鋭くすることができる。つまり、所望信号と干渉信号の分離に必要な地上の離隔距離が小さくなる。そのため、移動中継局201が地球の中心方向(地心方向)に受信アレーアンテナ面を向けていることを前提とした場合、端末局301から移動中継局201への仰角が大きい場合は、移動中継局201が受信した端末アップリンク信号の信号分離が容易である。そこで、移動中継局201は、高仰角では、複数の受信アンテナのうち一部の受信アンテナにより端末アップリンク信号を受信する。
【0027】
具体的には、移動中継局201は、ある時刻において特定のエリアの端末局301からデータを収集する場合、そのエリアの中心位置からその時刻における移動中継局201への仰角を算出する。移動中継局201は、仰角をパラメータに用いて受信アンテナ数を算出する関係式に、算出した仰角の値を代入することにより、受信アンテナ数を計算する。移動中継局201は、計算された受信アンテナ数の受信アンテナの波形データを、基地局ダウンリンク信号により基地局401に伝送する。以下では、移動中継局201は、基地局ダウンリンク信号を、複数の送信アンテナによりMIMOで基地局401へ中継する場合を例に説明する。
【0028】
移動中継局201は、N本(Nは2以上の整数)のアンテナ210と、端末通信部220と、データ記憶部230と、伝送データ制御部240と、基地局通信部260と、M本(Mは2以上の整数)のアンテナ270とを備える。
【0029】
アンテナ210は、端末局301から送信される端末アップリンク信号を受信する受信アンテナである。N本のアンテナ210を、アンテナ210-1~210-Nと記載する。
【0030】
端末通信部220は、N個の受信部221と、N個の受信波形記録部222とを有する。N個の受信部221を、受信部221-1~221-Nと記載し、N個の受信波形記録部222を、受信波形記録部222-1~222-Nと記載する。
【0031】
受信部221-n(nは1以上N以下の整数)は、アンテナ210-nにより端末アップリンク信号を受信する。受信部221-nによる受信処理には、LNA(Low Noise Amplifier)による増幅や、BPF(Band Pass Filter)による周波数帯域のフィルタリングを含み得る。受信波形記録部222-nは、受信部221-nが受信した端末アップリンク信号の受信波形をRF(Radio Frequency:無線周波数)信号のままサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部222-nは、アンテナ210-nのアンテナ識別情報と、アンテナ210-nにおける端末アップリンク信号の受信時刻と、生成した波形データと、波形データの生成に用いられた量子化ビット数とを設定した受信波形情報をデータ記憶部230に書き込む。アンテナ識別情報は、各アンテナ210を特定する情報である。量子化ビット数が固定の場合、受信波形情報は量子化ビット数の情報を含まなくてもよい。
【0032】
データ記憶部230は、受信波形記録部222が生成した受信波形情報を記憶する。
【0033】
伝送データ制御部240は、記憶部241と、アンテナ数決定部242と、アンテナ選択部243と、受信制御部244とを備える。記憶部241は、軌道情報と、通信エリア情報とを記憶している。軌道情報は、自局を搭載しているLEO衛星の任意の時刻における位置、速度、移動方向などを得ることが可能な情報である。通信エリア情報は、各時刻における通信エリアの位置の情報が取得可能な情報である。例えば、通信エリア情報は、開始時刻及び終了時刻により示される時間帯と、その時間帯における通信エリアの位置とを対応づけた情報である。通信エリアは、移動中継局201の通信先となる地球上のエリアである。移動中継局201は、通信エリアに設置されている端末局301からの端末アップリンク信号を受信する。通信エリアは、LEO衛星の軌道情報に基づいて予め算出される。換言すれば、通信エリアは、移動中継局201の位置によって定められる。
【0034】
アンテナ数決定部242は、各時刻におけるLEO衛星の位置と通信エリアの位置の情報とを用いて、通信エリアの中心位置からLEO衛星への仰角を算出する。アンテナ数決定部242は、各時刻におけるLEO衛星の位置を記憶部241に記憶される軌道情報に基づいて取得する。また、アンテナ数決定部242は、各時刻における通信エリアの位置の情報を、記憶部241に記憶されるエリア情報から取得する。アンテナ数決定部242は、仰角をパラメータに用いて受信アンテナ数を算出する関係式に、算出した仰角の値をパラメータ値として代入することにより、受信アンテナ数を計算する。この関係式は、事前に定義される。あるいは、記憶部241に仰角の範囲と、受信アンテナ数とを対応付けた関係データを記憶しておき、アンテナ数決定部242は、算出した仰角の値に対応する受信アンテナ数を関係データから読み出してもよい。仰角が90度に近いほど、受信アンテナ数は少ない。
【0035】
アンテナ選択部243は、N本のアンテナ210から、アンテナ数決定部242が決定した受信アンテナ数のアンテナ210を選択する。以下では、選択されたアンテナ210を選択受信アンテナとも記載する。アンテナ選択部243は、選択受信アンテナにより形成される領域がなるべく広く、かつ、その領域における選択受信アンテナの密度が均等に近くなるように、受信アンテナ数のアンテナ210を選択する。なお、記憶部241は、受信アンテナ数と、選択受信アンテナとして選択すべきアンテナ210のアンテナ識別情報とを対応づけたアンテナ選択情報を予め記憶してもよい。アンテナ選択部243は、受信アンテナ数に対応したアンテナ識別情報をアンテナ選択情報から読み出し、読み出したアンテナ識別情報により特定されるアンテナ210を選択受信アンテナとする。
【0036】
受信制御部244は、アンテナ選択部243が決定した選択受信アンテナによる受信を行い、アンテナ選択部243が決定した選択受信アンテナ以外のアンテナ210による受信を停止するように制御する。アンテナ210は、受動素子であるため、電源は不要である。そこで、例えば、受信制御部244は、選択受信アンテナのアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nを動作させ、選択受信アンテナ以外のアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nの動作を停止するよう制御する。
【0037】
基地局通信部260は、MIMOにより基地局401へ基地局ダウンリンク信号を送信する。基地局通信部260は、記憶部261と、制御部262と、送信データ変調部263と、送信部264とを備える。記憶部261は、自局を搭載しているLEO衛星の軌道情報と、基地局401の位置とに基づいて、予め計算された送信開始タイミングを記憶する。さらに、記憶部261は、各アンテナ270から送信する基地局ダウンリンク信号の送信時刻毎のウェイトを予め記憶している。送信時刻毎のウェイトは、LEO衛星の軌道情報と、基地局401が備える各アンテナ局410の位置とに基づいて計算される。なお、基地局通信部260は、送信時刻によらず、一定のウェイトを使用してもよい。
【0038】
制御部262は、記憶部261に記憶された送信開始タイミングにおいて、基地局ダウンリンク信号を基地局401に送信するように送信データ変調部263及び送信部264を制御する。さらに、制御部262は、記憶部261から読み出した送信時刻毎のウェイトを送信部264に指示する。送信データ変調部263は、データ記憶部230から受信波形情報を読み出し、読み出した受信波形情報を送信データとする。送信データ変調部263は、送信データをパラレル信号に変換した後、変調する。
【0039】
送信部264は、変調されたパラレル信号に、制御部262から指示されたウェイトにより重み付けを行い、各アンテナ270から送信する基地局ダウンリンク信号を生成する。図示を省略しているが、送信部264は、各アンテナ270に対応した電力増幅器を備えている。送信部264は、あるアンテナ270から送信する基地局ダウンリンク信号を、そのアンテナ270に対応した電力増幅器により増幅し、アンテナ270に出力する。これにより、M本のアンテナ270からMIMOにより基地局ダウンリンク信号が送信される。なお、基地局通信部260は、基地局ダウンリンク信号の送信にウェイトを用いず、基地局401における基地局ダウンリンク信号の受信にのみウェイトを用いてもよい。
【0040】
アンテナ270は、基地局ダウンリンク信号を無線により送信する送信アンテナとして動作する。また、アンテナ270は、基地局401から無線により送信された基地局アップリンク信号を受信してもよい。
【0041】
端末局301は、地上に設置されたIoT端末(地上IoT端末)である。端末局301は、データ記憶部310と、送信部320と、1本または複数本のアンテナ330とを備える。データ記憶部310は、センサデータなどを記憶する。送信部320は、データ記憶部310からセンサデータを端末送信データとして読み出し、読み出した端末送信データを設定した端末アップリンク信号をアンテナ330から無線により送信する。送信部320は、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)により信号を送信する。LPWAには、LoRaWAN(登録商標)、Sigfox(登録商標)、LTE-M(Long Term Evolution for Machines)、NB(Narrow Band)-IoT等があるが、任意の無線通信方式を用いることができる。また、送信部320は、他の端末局301と時分割多重、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)などにより送信を行ってもよい。送信部320は、使用する無線通信方式において予め決められた方法により、自局が端末アップリンク信号の送信に使用するチャネル及び送信タイミングを決定する。
【0042】
基地局401は、複数のアンテナ局410と、受信部420と、基地局信号受信処理部430と、端末信号受信処理部440とを備える。アンテナ局410は、移動中継局201の複数のアンテナ270それぞれからの信号の到来角差が大きくなるように他のアンテナ局410と離れた位置に配置される。各アンテナ局410は、移動中継局201から受信した基地局ダウンリンク信号を電気信号に変換して受信部420に出力する。
【0043】
受信部420は、複数のアンテナ局410から受信した基地局ダウンリンク信号を集約する。受信部420は、LEO衛星の軌道情報と、各アンテナ局410の位置とに基づいて、各アンテナ局410それぞれが受信した基地局ダウンリンク信号に対する受信時刻毎のウェイトを記憶している。受信部420は、各アンテナ局410から入力した基地局ダウンリンク信号に対して、その基地局ダウンリンク信号の受信時刻に対応したウェイトを乗算し、ウェイトが乗算された受信信号を合成する。なお、受信時刻によらず同じウェイトを用いてもよい。基地局信号受信処理部430は、合成された受信信号の復調及び復号を行い、受信波形情報を得る。基地局信号受信処理部430は、受信波形情報を端末信号受信処理部440に出力する。
【0044】
端末信号受信処理部440は、受信波形情報が示す端末アップリンク信号の受信処理を行う。このとき、端末信号受信処理部440は、端末局301が送信に使用した無線通信方式により受信処理を行って端末送信データを取得する。端末信号受信処理部440は、分配部441と、N個の周波数変換部442と、信号処理部443と、端末信号復号部444とを備える。N個の周波数変換部442をそれぞれ、周波数変換部442-1~442-Nと記載する。
【0045】
分配部441は、受信波形情報から同じ受信時刻の波形データとその波形データの量子化ビット数を読み出す。分配部441は、読み出した波形データ及び波形データの量子化ビット数を、その波形データに対応付けられたアンテナ識別情報に応じて周波数変換部442-1~442-Nに出力する。つまり、分配部441は、アンテナ210-nのアンテナ識別情報に対応付けられた波形データ及び量子化ビット数を、周波数変換部442-nに出力する。なお、アンテナ210-nが選択受信アンテナではない場合、周波数変換部442-nには波形データが出力されない。また、分配部441は、受信波形情報から得られた波形データ及び量子化ビット数をそれぞれ、波形データに対応付けられたアンテナ識別情報にかかわらず、異なる周波数変換部442に出力してもよい。量子化ビット数が固定の場合、分配部441は、量子化ビット数を周波数変換部442に出力しなくてもよい。
【0046】
分配部441から波形データを入力した周波数変換部442はそれぞれ、量子化ビット数に基づいて、波形データを受信部221が受信した信号波形に復元する。周波数変換部442は、復元した信号波形が表す信号をRF信号からベースバンド信号に周波数変換する。周波数変換には、直交復調器等が用いられる。周波数変換部442-1~442-Nはそれぞれ、周波数変換された受信信号を信号処理部443に出力する。
【0047】
信号処理部443は、周波数変換部442-1~442-Nのうち、波形データを入力した周波数変換部442のそれぞれから受信信号を入力する。信号処理部443は、入力した受信信号に対して、フレーム検出(端末信号検出)、ドップラーシフト補償、及び、オフラインビーム制御等の処理を行う。フレーム検出は、波形データから端末送信信号(端末送信フレーム)が含まれる区間を検出する処理である。信号処理部443は、波形データが表す受信信号に含まれる無線通信方式固有の情報に基づいて、端末局301が端末アップリンク信号の送信に用いた無線通信方式を特定し、特定した無線通信方式に従って端末送信フレームを検出する。オフラインビーム制御は、移動中継局201が受信ビーム制御を行うことなく、記録した波形データを基地局401に送信し、基地局401が後処理として受信ビーム制御を行う処理である。信号処理部443は、受信ビーム制御において、各受信系統の受信信号が強め合って合成されるように、それら信号に振幅補正及び位相補正を行うウェイトを乗算してから加算合成する。なお、信号処理部443は、受信ビーム制御を行わずに、各受信系統の受信信号を単純に加算合成してもよい。信号処理部443は、加算合成した受信信号から得られるシンボルを端末信号復号部444に出力する。端末信号復号部444は、信号処理部443が出力したシンボルを復号し、端末局301から送信された端末送信データを得る。端末信号復号部444は、SIC(Successive Interference Cancellation)のように、計算負荷が大きな復号方式を用いることも可能である。
【0048】
無線通信システム101の動作を説明する。
図3は、端末局301から端末アップリンク信号を送信する場合の無線通信システム101の処理を示すフロー図である。端末局301は、外部又は内部に備えられた図示しないセンサが検出したデータを随時取得し、取得したデータをデータ記憶部310に書き込む(ステップS111)。送信部320は、データ記憶部310からセンサデータを端末送信データとして読み出す。送信部320は、移動中継局201を搭載したLEO衛星の軌道情報に基づいて予め得られた送信開始タイミングにおいて、端末送信データを設定した端末アップリンク信号をアンテナ330から無線送信する(ステップS112)。端末局301は、ステップS111からの処理を繰り返す。なお、端末局301は、他の端末局301と時分割多重、OFDM、MIMOなどにより送信を行ってもよい。
【0049】
移動中継局201の受信部221は、端末局301から送信された端末アップリンク信号を受信する(ステップS121)。送信元の端末局301の無線通信方式によって、同一の周波数については時分割で1台の端末局301からのみ端末アップリンク信号を受信する場合と、同一の周波数で同時に複数台の端末局301から端末アップリンク信号を受信する場合がある。受信波形記録部222-nは、受信部221-nが受信した端末アップリンク信号の波形データを生成する。受信波形記録部222-nは、生成した波形データと、受信時刻と、アンテナ210-nのアンテナ識別情報と、量子化ビット数とを対応付けた受信波形情報をデータ記憶部230に書き込む(ステップS122)。移動中継局201は、ステップS121からの処理を繰り返す。
【0050】
なお、
図4に示す受信制御部244の制御により、現在時刻の選択受信アンテナではないアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nは、ステップS121及びステップS122の処理を行わない。
【0051】
図4は、移動中継局201による伝送データ制御処理を示すフロー図である。移動中継局201のアンテナ数決定部242は、受信時刻tに初期値tsを設定する(ステップS211)。受信時刻tは、受信アンテナによる端末アップリンク信号の受信時刻を表す。ここでは、受信時刻tは、基準時刻から経過した単位時間のカウント値により表わされる。初期値tsは、現在時刻である。
【0052】
アンテナ数決定部242は、受信時刻tにおけるLEO衛星の位置を記憶部241に記憶される軌道情報に基づいて取得する。さらに、アンテナ数決定部242は、受信時刻tにおける通信エリアの位置の情報を、記憶部241に記憶される通信エリア情報から取得する。アンテナ数決定部242は、通信エリアの中心位置から、移動中継局201を搭載しているLEO衛星の受信時刻tにおける位置への仰角を算出する(ステップS212)。
【0053】
アンテナ数決定部242は、仰角をパラメータに用いて受信アンテナ数を算出する関係式に、ステップS212において算出された仰角の値をパラメータ値として代入することにより、受信アンテナ数を計算する(ステップS213)。アンテナ選択部243は、N本のアンテナ210から、ステップS213において計算された受信アンテナ数のアンテナ210を選択する(ステップS214)。なお、ステップS213において計算された受信アンテナ数が、時刻(t-1)における受信アンテナ数と同じである場合、アンテナ選択部243は、時刻(t-1)における選択受信アンテナをそのまま用いてもよい。
【0054】
受信制御部244は、ステップS214においてアンテナ選択部243が選択した選択受信アンテナのアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nを動作させ、選択受信アンテナ以外のアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nの動作を停止する(ステップS215)。アンテナ数決定部242は、受信時刻tに1を加算し(ステップS216)、ステップS212からの処理を繰り返す。
【0055】
伝送データ制御部240は、現在時刻よりも先の時刻を受信時刻tとして
図4に示す処理を行ってもよい。これより、伝送データ制御部240は、端末アップリンク信号の受信前に予め選択受信アンテナを決定しておくことができる。この場合、ステップS211において、アンテナ数決定部242は、初期値tsに現在時刻よりも先の時刻を用いる。そして、ステップS214において、アンテナ選択部243は、受信時刻tにおける選択受信アンテナを示すアンテナ選択情報を記憶部241に記憶する処理をさらに行う。伝送データ制御部240は、ステップS214の後、ステップS215の処理を行わずにステップS216の処理に進む。受信制御部244は、現在時刻に対応した選択受信アンテナの情報を記憶部241に記憶されているアンテナ選択情報から読み出す。受信制御部244は、読み出した選択受信アンテナのアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nを動作させ、選択受信アンテナ以外のアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nの動作を停止する。
【0056】
図5は、移動中継局201から基地局ダウンリンク信号を送信する場合の無線通信システム101の処理を示すフロー図である。移動中継局201の基地局通信部260が有する制御部262は、記憶部261に記憶された送信開始タイミングであることを検出すると、受信波形情報の送信を送信データ変調部263及び送信部264に指示する(ステップS311)。
【0057】
送信データ変調部263は、データ記憶部230に蓄積されている受信波形情報を、送信データとして読み出す(ステップS312)。ここで、送信データ変調部263が読み出す受信波形情報は、最後に基地局401に送信された受信波形情報に設定されている受信時刻以降の受信時刻が設定されている受信波形情報である。送信データ変調部263は、取得した送信データをパラレル変換した後、変調する。
【0058】
送信部264は、送信データ変調部263が変調した送信データに制御部262から指示されたウェイトにより重み付けを行って、各アンテナ270から送信する送信信号である基地局ダウンリンク信号を生成する。送信部264は、生成した各基地局ダウンリンク信号をアンテナ270からMIMOにより送信する(ステップS313)。移動中継局201は、ステップS311からの処理を繰り返す。
【0059】
基地局401の各アンテナ局410は、移動中継局201から基地局ダウンリンク信号を受信する(ステップS321)。各アンテナ局410は、受信した基地局ダウンリンク信号を電気信号に変換した受信信号を受信部420に出力する。受信部420は、各アンテナ局410から受信した受信信号のタイミングを同期させる。受信部420は、各アンテナ局410が受信した受信信号にウェイトを乗算して加算する。基地局信号受信処理部430は、加算された受信信号を復調し、復調した受信信号を復号する。これにより、基地局信号受信処理部430は、受信波形情報を得る(ステップS322)。基地局信号受信処理部430は、受信波形情報を端末信号受信処理部440に出力する。
【0060】
端末信号受信処理部440は、受信波形情報が示す端末アップリンク信号の受信処理を行う(ステップS323)。具体的には、分配部441は、受信波形情報から受信時刻が同じ波形データ及び量子化ビット数を読み出す。分配部441は、読み出した波形データ及び量子化ビット数を、その波形データに対応付けられたアンテナ識別情報に応じて周波数変換部442-1~442-Nに出力する。周波数変換部442-1~442-Nのうち波形データを入力した周波数変換部442はそれぞれ、量子化ビット数に基づいて、波形データから信号波形を復元する。周波数変換部442は、復元した信号波形が表す受信信号をRF信号からベースバンド信号に周波数変換し、周波数変換された受信信号を信号処理部443に出力する。
【0061】
信号処理部443は、波形データを入力した周波数変換部442のそれぞれからベースバンド信号の受信信号を入力する。信号処理部443は、入力した受信信号それぞれに対して、フレーム検出(端末信号検出)、ドップラーシフト補償、及び、オフラインビーム制御を行って加算合成する。加算合成により、端末局301が送信した信号は相関があるために強調されるが、ランダムに付加される雑音の影響は低減される。そのため、移動中継局201が同時に1台の端末局301からのみ受信した端末アップリンク信号についてはダイバーシティー効果が得られる。また、移動中継局201が同時に複数台の端末局301から受信した端末アップリンク信号についてはMIMO通信を行うことに相当する。信号処理部443は、加算合成した受信信号のシンボルを端末信号復号部444に出力する。端末信号復号部444は、信号処理部443から入力したシンボルを復号し、端末局301から送信された端末送信データを得る。
【0062】
なお、
図6に示すように、移動中継局201が有する伝送データ制御部240の一部の機能を、基地局が備えてもよい。
図6は、無線通信システム101aの構成図である。
図6において、
図2に示す無線通信システム101と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム101aは、移動中継局201aと、端末局301と、基地局401aとを有する。移動中継局201aは、
図1の移動中継局2として用いられ、基地局401aは、
図1の基地局4として用いられる。
【0063】
図6に示す移動中継局201aが、
図2に示す移動中継局201と異なる点は、伝送データ制御部240に代えて伝送データ制御部240a備える点と、基地局通信部260に代えて基地局通信部260aを備える点である。
【0064】
伝送データ制御部240aは、記憶部241aと、受信制御部244aとを備える。記憶部241aは、アンテナ選択情報を記憶する。アンテナ選択情報は、各受信時刻における選択受信アンテナを示す情報である。受信制御部244aは、現在時刻に対応した選択受信アンテナの情報を記憶部241aに記憶されているアンテナ選択情報から読み出す。受信制御部244aは、読み出した選択受信アンテナの情報に基づいて、
図2に示す受信制御部244と同様の制御を行う。
【0065】
基地局通信部260aは、基地局401aと無線信号を送受信する。基地局通信部260aの詳細は、
図7を用いて後述する。
【0066】
図6に示す基地局401aが、
図2に示す基地局401と異なる点は、制御情報生成部450と、基地局信号送信処理部460と、送信部470とをさらに備える点である。なお、基地局401aと接続される外部の装置が、制御情報生成部450を備えてもよい。
【0067】
制御情報生成部450は、各移動中継局201aのアンテナ選択情報を生成する。制御情報生成部450は、記憶部451と、アンテナ数決定部452と、アンテナ選択部453とを有する。
【0068】
記憶部451は、移動中継局201a毎に、移動中継局201aを搭載しているLEO衛星の軌道情報と、通信エリア情報とを記憶している。アンテナ数決定部452は、移動中継局201a毎に、
図2に示すアンテナ数決定部242と同様の処理を行う。これにより、アンテナ数決定部452は、移動中継局201a毎に、各受信時刻における受信アンテナ数を計算する。アンテナ選択部453は、移動中継局201a毎に、
図2に示すアンテナ選択部243と同様の処理を行う。これにより、アンテナ選択部453は、移動中継局201a毎に、移動中継局201aが有するN本のアンテナ210からアンテナ数決定部452が決定した受信アンテナ数のアンテナ210を選択する。
【0069】
基地局信号送信処理部460は、送信データを、各アンテナ局410から送信するパラレル信号に変換した後、変調する。送信部470は、各アンテナ局410から送信するパラレル信号に送信ウェイトにより重み付けを行い、各アンテナ局410から送信する基地局アップリンク信号を生成する。送信部470は、生成した基地局アップリンク信号を、対応するアンテナ局410に出力する。アンテナ局410は、基地局アップリンク信号を無線により送信する。
【0070】
図7は、移動中継局201aが備える基地局通信部260aの構成図である。基地局通信部260aが、
図2に示す移動中継局201が備える基地局通信部260と異なる点は、記憶部261に代えて記憶部261aを備える点と、制御部262に代えて制御部262aを備える点と、受信部265及び受信処理部266をさらに備える点である。記憶部261aは、
図2に示す記憶部261と同様の情報に加え、各アンテナ270が通信先の基地局401aから受信した基地局アップリンク信号に適用する受信ウェイトを受信時刻毎に記憶する。受信時刻毎の受信ウェイトは、LEO衛星の軌道情報と、通信先の基地局401aの各アンテナ局410の位置とに基づいて計算される。
【0071】
制御部262aは、
図2に示す制御部262と同様の処理を行う。さらに、制御部262aは、受信時刻毎の各アンテナ270の受信ウェイトを記憶部261aから読み出し、読み出した受信ウェイトを受信部265に指示する。受信部265は、各アンテナ270により基地局アップリンク信号を受信し、各アンテナ270が受信した受信信号に制御部262aから指示された受信ウェイトを乗算した後、加算合成する。受信処理部266は、受信部265により加算合成された受信信号に復調及び復号を行って、基地局401aが送信した送信データを得る。
【0072】
無線通信システム101aは、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信については
図3と同様に動作し、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号の送受信については
図5と同様に動作する。また、無線通信システム101aは、各移動中継局201aが伝送データ制御に使用する情報を生成するために、移動中継局201a毎に
図8の処理を行う。
【0073】
図8は、無線通信システム101aによる情報生成処理を示すフロー図である。基地局401aのアンテナ数決定部452は、受信時刻tに初期値tsを設定する(ステップS411)。初期値tsは、現在時刻よりも先の時刻である。
【0074】
アンテナ数決定部452は、記憶部451に記憶される軌道情報及び通信エリア情報を参照して、
図4のステップS212と同様の処理を行う。これにより、アンテナ数決定部452は、受信時刻tにおける通信エリアの中心位置から、移動中継局201aを搭載しているLEO衛星の位置への仰角を算出する(ステップS412)。アンテナ数決定部452は、
図4のステップS213と同様の処理により、ステップS412において算出された仰角の値に基づく受信アンテナ数を計算する(ステップS413)。アンテナ選択部453は、移動中継局201aのN本のアンテナ210から、ステップS413において計算された受信アンテナ数のアンテナ210を選択する(ステップS414)。アンテナ選択部453は、受信時刻tと、ステップS414において選択されたアンテナ210のアンテナ識別情報とを対応付けたアンテナ選択情報を生成する(ステップS415)。アンテナ識別情報は、選択受信アンテナの情報である。
【0075】
アンテナ数決定部452は、所定の終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS416)。終了条件は、例えば、受信時刻tが所定時刻に達した場合や、ステップS412からステップS417のループ処理を所定回行った場合などとすることができる。
【0076】
アンテナ数決定部452は、終了条件を満たしていないと判定した場合(ステップS416:NO)、受信時刻tに1を加算し(ステップS417)、ステップS412からの処理を繰り返す。アンテナ数決定部452が終了条件を満たしたと判定した場合(ステップS416:YES)、アンテナ選択部453は、生成したアンテナ選択情報を基地局信号送信処理部460に出力する。
【0077】
基地局信号送信処理部460は、アンテナ選択部453から入力したアンテナ選択情報を、送信データとする。基地局信号送信処理部460は、送信データを、パラレル信号に変換した後、変調する。送信部470は、変調されたパラレル信号に送信ウェイトにより重み付けを行い、基地局アップリンク信号を生成する。送信部470は、生成した基地局アップリンク信号を、対応するアンテナ局410に出力する。アンテナ局410は、基地局アップリンク信号を無線により送信する(ステップS418)。
【0078】
移動中継局201aの各アンテナ270は、基地局アップリンク信号を受信する(ステップS421)。制御部262aは、受信時刻毎の各アンテナ270の受信ウェイトを記憶部261aから読み出し、読み出した受信ウェイトを受信部265に指示する。受信部265は、各アンテナ270が受信した基地局アップリンク信号に、制御部262aから指示された受信ウェイトを乗算した後、加算合成する。受信処理部266は、受信部265により加算合成された受信信号に復調及び復号を行って、基地局401aが送信したアンテナ選択情報を得る(ステップS422)。受信処理部266は、アンテナ選択情報を受信制御部244aに出力する。受信制御部244aは、アンテナ選択情報を記憶部241aに記憶する(ステップS423)。
【0079】
伝送データ制御部240aは、以下の点を除き、
図4の伝送データ制御処理を行う。すなわち、ステップS212~ステップS214の処理に代えて、受信制御部244aは、現在時刻を表す受信時刻tに対応した選択受信アンテナのアンテナ識別情報を記憶部241aに記憶されているアンテナ選択情報から読み出す処理を行う。
【0080】
図6に示す移動中継局201aの伝送データ制御部240aがアンテナ選択部243を備え、基地局401aの制御情報生成部450がアンテナ選択部453を備えない構成としてもよい。この場合、基地局401aは、
図8のステップS414の処理を行わず、ステップS415において、アンテナ数決定部452は、受信時刻tと、受信アンテナ数とを対応づけたアンテナ数情報を生成する。そして、ステップS418において、アンテナ数決定部452は、生成したアンテナ数情報を基地局信号送信処理部460に出力する。これにより、基地局401aは、アンテナ数情報を設定した基地局アップリンク信号を無線により送信する。
【0081】
ステップS422において、移動中継局201aの基地局通信部260aは、基地局アップリンク信号からアンテナ数情報を取得し、伝送データ制御部240aに出力する。ステップS423において、アンテナ選択部243は、アンテナ数情報を記憶部241aに記憶する。そして、伝送データ制御部240aは、以下の点を除き、
図4の伝送データ制御処理を行う。すなわち、伝送データ制御部240aは、ステップS212及びステップS213の処理に代えて、アンテナ選択部243が、現在時刻を表す受信時刻tに対応した受信アンテナ数の情報を、記憶部241aに記憶されているアンテナ数情報から読み出す処理を行う。
【0082】
図2に示す移動中継局201が、基地局通信部260に代えて
図6及び
図7に示す基地局通信部260aを備えてもよい。この場合、
図2に示す基地局401は、
図6に示す基地局信号送信処理部460及び送信部470を備える。基地局401は、移動中継局201の記憶部241に記憶される軌道情報又は通信エリア情報が更新された場合、もしくは、アンテナ数決定部242において用いられる関係式又は関係データが更新された場合に、更新された軌道情報、通信エリア情報、関係式又は関係データを移動中継局201に送信してもよい。移動中継局201は、記憶している軌道情報、通信エリア情報、関係式又は関係データを、受信した軌道情報、通信エリア情報、関係式又は関係データに更新する。
【0083】
また、上述した本実施形態では、移動中継局201と基地局401、及び、移動中継局201aと基地局401aが、MIMOによる通信を行っているが、これに限られない。例えば、移動中継局201、201aは、一本のアンテナ270により基地局と通信してよい。同様に、基地局401、401aは、アンテナ局410に代えて一本のアンテナにより移動中継局と信号を送受信してもよい。
【0084】
第1の実施形態によれば、移動中継局は、通信エリアからの仰角が大きく、端末局からのアップリンク信号の通信品質が良いと想定される場合には、基地局へ送信する波形データのデータ量を低減する。よって、移動中継局から基地局へのダウンリンクの帯域を低減することが可能となる。さらには、移動中継局の消費電力を低減することも可能となる。
【0085】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の無線通信システムは、移動中継局が通信するエリア内の人口密度に応じて、移動中継局の複数の受信アンテナのうち受信を行うアンテナの数を制御する。LEO衛星が大都市から遠いほど、LEO衛星に搭載された移動中継局と通信する地上のIoT端末に対する干渉源となる他の地上のIoT端末などからの干渉量が少なくなる。干渉量が少ない場合、受信品質が良好であるために所要受信アンテナ数も少ない。
【0086】
地上IoT端末の配置分布は、人口分布と同じ傾向がある。つまり、人口が集中する地域ほど、地上IoT端末も密集する傾向がある。そこで、第2の実施形態の無線通信システムは、各時刻において移動中継局がデータ収集を行うエリアの人口密度のデータをもとに受信アンテナ数を決定し、その受信アンテナ数分の波形データを移動中継局から基地局に伝送する。地上IoT端末の配置分布と、人口分布とが同じ傾向にあることは、例えば、以下の参考文献に記載されている。参考文献では、LPWAの地域毎の同時通信平均台数を計算するにあたり、人口密度に比例して端末が利用されるという仮定を用いている。
【0087】
(参考文献)総務省 情報通信審議会,“「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「920MHz帯小電力無線システムの高度化に係る技術的条件」”,pp. 40-44,2020年1月
【0088】
また、地上IoT端末の配置場所が全て管理されている場合がある。この場合、人口密度の情報に代えて、地上IoT端末の位置の情報から得られる地上IoT端末の設置密度の情報を用いてもよい。ここでは、人口密度を用いる場合を例に説明する。また、第2の実施形態を、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0089】
図9は、第2の実施形態による無線通信システム102の構成図である。
図9において、
図2に示す第1の実施形態による無線通信システム101と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム102は、移動中継局202と、端末局301と、基地局401とを有する。移動中継局202は、
図1の移動中継局2として用いられる。
【0090】
移動中継局202と、
図2に示す移動中継局201とが異なる点は、伝送データ制御部240に代えて、伝送データ制御部245を備える点である。伝送データ制御部245は、記憶部246と、アンテナ数決定部247と、アンテナ選択部243と、受信制御部244とを備える。
【0091】
記憶部246は、人口密度情報を記憶している。人口密度情報は、各時刻の通信エリアの人口密度を示す。通信エリアは、移動中継局202を搭載しているLEO衛星の軌道情報に基づいて予め決定される。アンテナ数決定部247は、記憶部246に記憶される人口密度情報から、端末アップリンク信号の受信時刻における通信エリアの人口密度の値を読み出す。アンテナ数決定部247は、人口密度をパラメータに用いて受信アンテナ数を算出する関係式に、取得した人口密度の値をパラメータ値として代入することにより、受信アンテナ数を計算する。この関係式は、事前に定義される。あるいは、記憶部246に人口密度の値の範囲と、受信アンテナ数とを対応付けた関係データを記憶してもよい。アンテナ数決定部247は、人口密度の値に対応する受信アンテナ数を関係データから読み出す。
【0092】
無線通信システム102は、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図3と同様に動作し、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図5と同様に動作する。また、移動中継局202は、
図10に示す伝送データ制御処理を行う。
【0093】
図10は、移動中継局202による伝送データ制御処理を示すフロー図である。
図10において、
図4に示す第1の実施形態による伝送データ制御処理と同一の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。移動中継局202のアンテナ数決定部247は、受信時刻tに初期値tsを設定する(ステップS1211)。受信時刻tは、移動中継局202における端末アップリンク信号の受信時刻を表す。ここでは、受信時刻tは、基準時刻から経過した単位時間のカウント値により表わされる。初期値tsは、現在時刻である。
【0094】
アンテナ数決定部247は、受信時刻tにおける人口密度の値を、記憶部246に記憶される人口密度情報から取得する(ステップS1212)。アンテナ数決定部247は、人口密度をパラメータに用いて受信アンテナ数を算出する関係式に、ステップS1212において取得した人口密度情報の値をパラメータ値として代入することにより、受信アンテナ数を計算する(ステップS1213)。アンテナ選択部243は、
図4のステップS214の処理を行い、受信制御部244は、
図4のステップS215の処理を行う。アンテナ数決定部247は、受信時刻tに1を加算し(ステップS1216)、ステップS1212からの処理を繰り返す。
【0095】
また、伝送データ制御部245は、現在時刻よりも先の時刻を受信時刻tとして
図10に示す処理を行ってもよい。これより、伝送データ制御部245は、端末アップリンク信号の受信前に予め選択受信アンテナを決定しておくことができる。この場合、ステップS1211において、アンテナ数決定部247は、初期値tsに現在時刻よりも先の時刻を用いる。そして、ステップS214において、アンテナ選択部243は、受信時刻tにおける選択受信アンテナを示すアンテナ選択情報を記憶部246に記憶する処理をさらに行う。伝送データ制御部245は、ステップS214の後、ステップS215の処理を行わずにステップS1216の処理に進む。受信制御部244は、現在時刻に対応した選択受信アンテナの情報を記憶部246に記憶されているアンテナ選択情報から読み出す。受信制御部244は、読み出した選択受信アンテナが示すアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nを動作させ、選択受信アンテナ以外のアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nの動作を停止する。
【0096】
また、
図11に示すように、移動中継局202が有する伝送データ制御部245の一部の機能を、基地局が備えてもよい。
図11は、無線通信システム102aの構成図である。
図11において、
図6に示す無線通信システム101aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム102aは、移動中継局201aと、端末局301と、基地局402とを有する。基地局402は、
図1の基地局4として用いられる。
【0097】
図11に示す基地局402が、
図6に示す基地局401aと異なる点は、制御情報生成部450に代えて制御情報生成部455を備える点である。制御情報生成部455は、記憶部456と、アンテナ数決定部457と、アンテナ選択部453とを有する。
【0098】
記憶部456は、移動中継局201a毎の人口密度情報を記憶している。アンテナ数決定部457は、移動中継局201a毎に、
図9に示すアンテナ数決定部247と同様の処理を行う。これにより、アンテナ数決定部457は、移動中継局201a毎に、各受信時刻における受信アンテナ数を計算する。
【0099】
無線通信システム102aは、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図3と同様に動作し、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図5と同様に動作する。また、無線通信システム102aは、各移動中継局201aが伝送データ制御に使用する情報を生成するために、移動中継局201a毎に
図12の処理を行う。
図12は、無線通信システム102aによる情報生成処理を示すフロー図である。
図12において、
図8に示す第1の実施形態による情報生成処理と同一の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0100】
基地局402のアンテナ数決定部457は、受信時刻tに初期値tsを設定する(ステップS1411)。受信時刻tsは、現在時刻よりも先の時刻である。アンテナ数決定部457は、受信時刻tにおける人口密度の値を、記憶部456に記憶される人口密度情報から取得する(ステップS1412)。アンテナ数決定部457は、
図10のステップS1213と同様の処理により、人口密度に基づいて受信アンテナ数を計算する(ステップS1413)。
【0101】
アンテナ選択部453は、
図8のステップS414及びステップS415の処理を行う。アンテナ数決定部457は、所定の終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS1416)。終了条件は、
図8のステップS416と同様とすることができる。アンテナ数決定部457は、終了条件を満たしていないと判定した場合(ステップS1416:NO)、受信時刻tに1を加算し(ステップS1417)、ステップS1412からの処理を繰り返す。アンテナ数決定部457が終了条件を満たしたと判定した場合(ステップS1416:YES)、基地局402は、
図8のステップS418と同様の処理を行い、アンテナ選択情報を移動中継局201aに送信する。移動中継局201aは、
図8のステップS421~ステップS423の処理を行う。
【0102】
図11に示す移動中継局201aの伝送データ制御部240aがアンテナ選択部243を備え、基地局402の制御情報生成部455がアンテナ選択部453を備えない構成としてもよい。この場合、基地局402は、
図12のステップS414の処理を行わず、ステップS415において、アンテナ数決定部457は、受信時刻tと、受信アンテナ数とを対応づけたアンテナ数情報を生成する。そして、ステップS418において、アンテナ数決定部457は、生成したアンテナ数情報を基地局信号送信処理部460に出力する。これにより、基地局402は、アンテナ数情報を設定した基地局アップリンク信号を無線により送信する。
【0103】
図9に示す移動中継局202が、基地局通信部260に代えて
図6及び
図7に示す基地局通信部260aを備え、
図9に示す基地局401が、
図6に示す基地局信号送信処理部460及び送信部470を備えてもよい。基地局401は、移動中継局202の記憶部246に記憶される人口密度情報が更新された場合、もしくは、アンテナ数決定部247において用いられる関係式又は関係データが更新された場合に、更新された人口密度情報、関係式又は関係データを移動中継局202に送信してもよい。移動中継局202は、記憶している人口密度情報、関係式又は関係データを、受信した人口密度情報、関係式又は関係データに更新する。
【0104】
無線通信システム102、102aは、人口密度の情報に代えて地上IoT端末の密度の情報を用いてもよい。地上IoT端末の密度として、端末局301の密度を用いることもできる。また、上述した本実施形態では、移動中継局202と基地局401、及び、移動中継局201aと基地局402が、MIMOによる通信を行っているが、これに限られない。例えば、移動中継局202、201aは、一本のアンテナ270により基地局と通信してよい。同様に、基地局401、402は、アンテナ局410に代えて一本のアンテナにより移動中継局と信号を送受信してもよい。
【0105】
第2の実施形態によれば、移動中継局は、通信エリアの人口密度が低く、端末局からのアップリンク信号の通信品質が良いと想定される場合には、基地局へ送信する波形データのデータ量を低減することができる。
【0106】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の無線通信システムは、過去の同一パスにおける通信成功率をもとに、通信エリアごとに必要な受信アンテナ数を決定する。すなわち、無線通信システムは、過去に移動中継局が各通信エリアの上空を通過したときに受信した端末アップリンク信号の復号成功率と、復号を行った際の受信アンテナ数とに基づいて、所要受信アンテナ数を決定する。復号成功率などの通信成功率は、基地局において端末アップリンク信号の受信処理を行った際に得られる端末アップリンク信号の信号品質の一例である。所要受信アンテナ数を決定するためのデータを収集し、収集したデータを解析して所要アンテナ数を決定する段階を解析フェーズ、解析フェーズで決定された所要アンテナ数で通信を行う段階を通常運用フェーズと記載する。解析フェーズは、移動中継局が同一パスを複数回通過する時間継続する。第3の実施形態を、第1及び第2の実施形態との差分を中心に説明する。
【0107】
図13は、第3の実施形態による無線通信システム103の構成図である。
図13において、
図2に示す第1の実施形態による無線通信システム101及び
図6に示す第1の実施形態による無線通信システム101aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム103は、移動中継局203と、端末局301と、基地局403とを有する。移動中継局203は、
図1の移動中継局2として用いられ、基地局403は、
図1の基地局4として用いられる。
【0108】
移動中継局203と、
図2に示す移動中継局201とが異なる点は、伝送データ制御部240に代えて伝送データ制御部280を備える点と、基地局通信部260に代えて
図6及び
図7に示す基地局通信部260aを備える点である。伝送データ制御部280は、記憶部281と、アンテナ数決定部282と、アンテナ選択部243と、受信制御部244とを備える。
【0109】
記憶部281は、通信エリア情報と、エリア別アンテナ数情報を記憶する。エリア別アンテナ数情報は、通信エリアと、受信アンテナ数とを対応付けた情報である。アンテナ数決定部282は、受信アンテナ数を決定する。解析フェーズにおいて、アンテナ数決定部282は、異なるタイミングの同一パスについて複数種の受信アンテナ数を決定する。通常運用フェーズにおいて、アンテナ数決定部282は、記憶部281に記憶される通信エリア情報から各時刻における通信エリアを読み出し、記憶部281に記憶されるエリア別アンテナ数情報から通信エリアに対応した受信アンテナ数の情報を読み出す。ただし、通常運用フェーズにおいて、アンテナ数決定部282は、同一のパスを所定回通過するたびに、エリア別アンテナ数情報が示す受信アンテナ数よりも多い受信アンテナ数を用いると決定する。例えば、アンテナ数決定部282は、全アンテナ210の数Nを受信アンテナ数として決定する。また、アンテナ数決定部282は、基地局403から送信された通信エリア情報により、記憶部281に記憶されるエリア別アンテナ数情報を更新する。また、アンテナ数決定部282は、基地局403からの指示により、エリア別アンテナ数情報に設定されている受信アンテナ数を増加させる。
【0110】
図13に示す基地局403が、
図2に示す基地局401と異なる点は、
図6に示す基地局信号送信処理部460及び送信部470と、指示部480と、解析用受信処理部490とをさらに備える点である。なお、基地局403と接続される外部の装置が、指示部480及び解析用受信処理部490の一方又は両方を備えてもよい。
【0111】
指示部480は、記憶部481と、解析部482とを有する。記憶部481は、各移動中継局203の通信エリア情報を記憶する。解析フェーズにおいて、解析部482は、移動中継局203毎に、端末信号受信処理部440における復号成功率に基づいて、各通信エリアにおける所要受信アンテナ数を決定する。解析部482は、通信エリアと所要受信アンテナ数とを対応付けたエリア別アンテナ数情報を移動中継局203毎に生成する。解析部482は、各移動中継局203に、その移動中継局について生成したエリア別アンテナ数情報を通知する。また、通常運用フェーズにおいて、解析部482は、端末信号受信処理部440における復号成功率が所定よりも低下した場合に、受信アンテナ数の増加を移動中継局203に指示する。また、解析部482は、通常運用フェーズにおいて移動中継局203から周期的に送信される全アンテナ210の波形データを用いて、所要受信アンテナ数の解析を行う。この解析のため、解析部482は、受信アンテナ数を変更しながら、解析用受信処理部490にその受信アンテナ数分の波形データを出力し、受信処理を実行させ、復号成功率を得る。解析部482は、受信アンテナ数と復号成功率との関係に基づいて、移動中継局203の所要受信アンテナ数を決定する。
【0112】
解析用受信処理部490は、分配部491と、N個の周波数変換部492と、信号処理部493と、端末信号復号部494とを備える。N個の周波数変換部492をそれぞれ、周波数変換部492-1~492-Nと記載する。分配部491は、解析部482から波形データを受信し、受信した波形データをそれぞれ、異なる周波数変換部492に出力する。周波数変換部492-1~492-N、信号処理部493、及び、端末信号復号部494はそれぞれ、周波数変換部442-1~442-N、信号処理部443、及び、端末信号復号部444と同様の機能を有する。なお、端末信号受信処理部440が解析用受信処理部490を兼ねてもよい。
【0113】
解析フェーズの処理について説明する。無線通信システム103は、解析フェーズにおいて、
図3に示す第1の実施形態と同様の処理により、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信を行う。
【0114】
図14は、移動中継局203の解析フェーズにおける伝送データ制御処理を示すフロー図である。まず、移動中継局203のアンテナ数決定部282は、同一パス通過回数pに初期値1を設定する(ステップS511)。アンテナ数決定部282は、同一パス通過回数pに応じて受信アンテナ数を決定する(ステップS512)。例えば、アンテナ数決定部282は、現在のパスと同一のパスにおいて過去に決定された回数が閾値に満たない受信アンテナ数を決定する。なお、閾値は、1以上の整数である。アンテナ数決定部282は、同一パスを通過する度に受信アンテナ数を変えてもよく、同一パスを所定の複数回通過する度に、受信アンテナ数を変更してもよい。アンテナ選択部243は、N本のアンテナ210から、ステップS512において決定された受信アンテナ数のアンテナ210を選択する(ステップS513)。
【0115】
受信制御部244は、ステップS514においてアンテナ選択部243が選択した選択受信アンテナのアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nを動作させ、選択受信アンテナ以外のアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nの動作を停止する(ステップS514)。端末通信部220は、
図3のステップS121及びステップS122の処理を行って、選択受信アンテナの受信波形情報をデータ記憶部230に書き込む(ステップS515)。アンテナ数決定部282は、同一パス通過回数pに1を加算する(ステップS516)。移動中継局203は、ステップS512からの処理を繰り返す。
【0116】
移動中継局203は、解析フェーズにおいて、
図5のステップS311~ステップS313に示す処理を行って、受信波形情報が設定された基地局ダウンリンク信号をMIMOにより送信する。無線通信システム103は、解析フェーズにおいて、
図15に示す処理を行う。
【0117】
図15は、解析フェーズにおける無線通信システム103の情報生成処理を示すフロー図である。基地局403は、移動中継局203から基地局ダウンリンク信号を受信し、
図5のステップS321~ステップS323と同様の処理を行う(ステップS611~ステップS613)。
【0118】
解析部482は、基地局ダウンリンク信号から読み出された移動中継局203の識別情報を基地局信号受信処理部430から取得する。さらに解析部482は、その基地局ダウンリンク信号から得られた受信波形情報に付与されている受信時刻の情報と、その受信時刻における受信アンテナ数の情報と、その受信時刻の受信波形情報から得られた波形データの復号成功率の情報とを端末信号受信処理部440から受信する。例えば、受信アンテナ数の情報は、同じ受信時刻が付与されている受信波形情報の数として得られる。解析部482は、移動中継局203の識別情報と対応付けて記憶部481に記憶されている通信エリア情報から、受信時刻に対応した通信エリアの情報を読み出す。解析部482は、移動中継局203の識別情報と、受信時刻の情報と、通信エリアの情報と、受信アンテナ数の情報と、復号成功率とを対応付けた第一復号結果情報を生成し、生成した第一復号結果情報を記憶部481に書き込む(ステップS614)。
【0119】
基地局403は、解析用データの受信が終了していない場合(ステップS615:NO)、ステップS611からの処理を繰り返す。基地局403は、解析用データの受信が終了すると(ステップS615:YES)、ステップS616の処理を行う。
【0120】
解析部482は、ステップS614において生成した第一復号結果情報を用いて、受信アンテナ数と復号成功率との関係を通信エリア毎に解析し、通信エリア別の所要受信アンテナ数を決定する(ステップS616)。具体的には、ある通信エリアにおいて、所定以上の復号成功率が得られた受信アンテナ数の平均がNa、最大値がNmaxであったとする。解析部482は、所要受信アンテナ数を、Na又はNmaxとしてもよく、Na又はNmaxに所定数を加算した数としてもよく、Na又はNmaxを所定割合増加させた数としてもよい。解析部482は、通信エリアと、通信エリアについて決定した所要受信アンテナ数とを対応付けたエリア別アンテナ数情報を生成する。
【0121】
移動中継局203は、移動しながら同一の通信エリアと通信を行う。そのため、解析部482は、移動中継局203がある特定の位置のときの受信波形情報を受信処理した結果だけではなく、その近傍に位置したときの受信波形情報を受信処理した結果も用いて、所要受信アンテナ数を決定している。復号が成功したか否かの受信処理の結果は、移動中継局203と端末局301との間の通信品質を表す。
【0122】
解析部482は、移動中継局203のエリア別アンテナ数情報を基地局信号送信処理部460に出力する。これにより、基地局403は、エリア別アンテナ数情報が設定された基地局アップリンク信号を、移動中継局203に送信する(ステップS617)。
【0123】
移動中継局203の各アンテナ270は、基地局アップリンク信号を受信する(ステップS621)。基地局通信部260aは、
図8のステップS422と同様の受信処理を行って、エリア別アンテナ数情報を取得する(ステップS622)。基地局通信部260aは、取得したエリア別アンテナ数情報を伝送データ制御部280に出力する。伝送データ制御部280のアンテナ数決定部282は、エリア別アンテナ数情報を記憶部281に書き込む(ステップS623)。
【0124】
解析フェーズの後、無線通信システム103は、通常運用フェーズを開始する。無線通信システム103は、通常運用フェーズにおいて、
図3に示す第1の実施形態と同様の処理により、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信を行う。
【0125】
図16は、移動中継局203の通常運用フェーズにおける伝送データ制御処理を示すフロー図である。移動中継局203のアンテナ数決定部282は、所要受信アンテナ数の更新を行う周期Pを決定する(ステップS711)。周期Pは、任意に決定することができる。アンテナ数決定部282は、同一パス通過回数pに初期値1を設定する(ステップS712)。
【0126】
アンテナ数決定部282は、同一パス通過回数pが周期Pに達していないと判定した場合(ステップS713:NO)、エリア別アンテナ数情報に基づき、受信アンテナ数を決定する(ステップS714)。すなわち、アンテナ数決定部282は、現在時刻における通信エリアの情報を、記憶部281に記憶されるエリア情報から取得する。さらにアンテナ数決定部282は、読み出した通信エリアにおける受信アンテナ数を、記憶部281に記憶されているエリア別アンテナ数情報から読み出す。アンテナ数決定部282は、同一パス通過回数pに1を加算する(ステップS715)。
【0127】
アンテナ選択部243は、N本のアンテナ210から、ステップS714において決定された受信アンテナ数のアンテナ210を選択する(ステップS716)。受信制御部244は、ステップS716においてアンテナ選択部243が選択した選択受信アンテナのアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nを動作させ、選択受信アンテナ以外のアンテナ210-nに対応した受信部221-n及び受信波形記録部222-nの動作を停止する(ステップS717)。端末通信部220は、
図3のステップS121~ステップS122の処理を行う(ステップS718)。
【0128】
一方、アンテナ数決定部282は、同一パス通過回数pが周期Pに達したと判定した場合(ステップS713:YES)、受信アンテナ数を最大値に決定する(ステップS719)。ここでは、最大値を、全アンテナ210の数Nとする。アンテナ数決定部282は、同一パス通過回数pに1を設定する(ステップS720)。アンテナ選択部243は、アンテナ210-1~210-Nを選択する(ステップS716)。受信制御部244は、受信部221-1~221-N及び受信波形記録部222-1~222-Nを動作させる(ステップS717)。端末通信部220は、
図3のステップS121~ステップS122の処理を行う(ステップS718)。
【0129】
移動中継局203は、基地局403から受信アンテナ数増加指示を受信した場合(ステップS721:YES)、受信アンテナ数増加指示に設定されている通信エリアに対応してエリア別アンテナ数情報に記憶されている受信アンテナ数を増加させる(ステップS722)。移動中継局203は、基地局403から受信アンテナ数増加指示を受信しない場合(ステップS721:NO)、又は、ステップS722の処理の後、ステップS713からの処理を繰り返す。
【0130】
移動中継局203は、通常運用フェーズにおいて
図5のステップS311~ステップS313の処理を行い、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号を基地局403に送信する。
【0131】
図17は、基地局403の通常運用フェーズにおける基地局ダウンリンク信号受信処理を示すフロー図である。基地局403は、移動中継局203から基地局ダウンリンク信号を受信し、
図15のステップS611~ステップS613と同様の処理を行う(ステップS811~ステップS813)。
【0132】
解析部482は、現在が周期Pであるか否かを判定する(ステップS814)。解析部482は、周期Pであると判定した場合(ステップS814:YES)、解析用波形データを記憶部481に書き込む(ステップS815)。解析部482は、受信アンテナ数が全アンテナ210の数Nである場合に周期Pと判定してもよい。解析用波形データは、移動中継局203の識別情報と、波形データに付与されていた受信時刻と、各アンテナ210のアンテナ識別情報と、各アンテナ210の受信波形データと、量子化ビット数と、通信エリアとを対応付けた情報である。解析部482は、移動中継局203の識別情報と、受信時刻と、各アンテナ210のアンテナ識別情報と、各アンテナ210の受信波形データと、量子化ビット数とを基地局ダウンリンク信号から読み出す。また、解析部482は、受信時刻に対応した通信エリアの情報を、移動中継局203の通信エリア情報から読み出す。量子化ビット数が固定の場合、解析用波形データに量子化ビット数が含まれなくてもよい。基地局403は、ステップS811からの処理を繰り返す。
【0133】
一方、解析部482は、周期Pではないと判定した場合(ステップS814:NO)、復号成功率が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS816)。解析部482は、復号成功率が閾値以上であると判定した場合(ステップS816:YES)、ステップS811からの処理を繰り返す。
【0134】
解析部482は、復号成功率が閾値に満たないと判定した場合(ステップS816:NO)、記憶部481に記憶されている通信エリア情報から、その復号成功率が得られたときの受信時刻の情報に対応した通信エリアの情報を読み出す。解析部482は、読み出した通信エリアの情報を設定した受信アンテナ数増加指示を基地局信号送信処理部460に出力する。解析部482は、量子化ビット数増加指示により、移動中継局203が生成する波形データのデータ量を増加させる。これにより、基地局403は、受信アンテナ数増加指示が設定された基地局アップリンク信号を、移動中継局203に送信し(ステップS817)、ステップS811からの処理を繰り返す。
【0135】
移動中継局203は、ステップS817において送信された基地局アップリンク信号を受信する(
図16のステップS721:YES)。移動中継局203の基地局通信部260aは、基地局アップリンク信号の受信処理を行って、受信アンテナ数増加指示を取得する。基地局通信部260aは、取得した受信アンテナ数増加指示を伝送データ制御部280に出力する。
図16のステップS722において、伝送データ制御部280のアンテナ数決定部282は、受信アンテナ数増加指示に設定されている通信エリアに対応してエリア別アンテナ数情報に記憶されている受信アンテナ数を所定数又は所定割合増加させる。基地局403の解析部482は、受信アンテナ数増加指示に受信アンテナ数を増加させる数や割合の情報を設定してもよい。また、解析部482は、同一の通信エリアについて復号成功率が閾値に満たなかった回数が所定回に達した場合に、受信アンテナ数増加指示を送信してもよい。
【0136】
上記により、移動中継局203は、正確な所要アンテナ数の把握のために、通常運用フェーズにおいても、1ヶ月に1回など定期的に全受信アンテナの波形データを基地局403に伝送する。基地局403又は地上の解析装置は、受信した全受信アンテナの波形データのうち、使用する波形データの受信アンテナ数を変えながら受信処理を行い、所要アンテナ数を解析する。1ヶ月に1回解析を行う場合、周期Pは、1か月におけるパス通過数である。
【0137】
図18は、基地局403による受信アンテナ数の解析処理を示すフロー図である。基地局403は、周期Pにおける復号結果を用いて受信アンテナ数の解析処理を行う。基地局403は、移動中継局203毎に、
図18の処理を行う。解析部482は、記憶部481から解析用波形データを読み出す(ステップS911)。解析部482は、解析用波形データから各受信アンテナの波形データを読み出す。解析部482は、受信アンテナ数kに初期値Nを設定する(ステップS912)。
【0138】
解析部482は、解析用波形データから読み出した受信アンテナ数N分の波形データから、受信アンテナ数k分の波形データを選択する。解析部482は、選択した波形データと、解析用波形データから読み出した量子化ビット数の情報を解析用受信処理部490に出力する。解析部482は、選択した波形データに、その波形データが得られたアンテナ210のアンテナ識別情報を付与してもよい。解析用受信処理部490は、解析部482から入力した波形データ及び量子化ビット数を用いて、受信処理を実行する(ステップS913)。すなわち、分配部491は、解析部482から受信した波形データをそれぞれ、k個の異なる周波数変換部492に出力する。波形データにアンテナ識別情報が付与されている場合、分配部491は、アンテナ210-nのアンテナ識別情報が付与されている波形データと、量子化ビット数とを周波数変換部492-nに出力する。分配部491から波形データを入力した周波数変換部492はそれぞれ、量子化ビット数に基づいて、波形データから信号波形を復元する。周波数変換部442は、復元した信号波形が表す受信信号をRF信号からベースバンド信号に周波数変換し、周波数変換した受信信号を信号処理部493に出力する。信号処理部493は、周波数変換部492-1~492-Nのうち、波形データを入力した周波数変換部492のそれぞれからベースバンド信号の受信信号を入力する。信号処理部493は、入力した受信信号それぞれに対して、フレーム検出(端末信号検出)、ドップラーシフト補償、及び、オフラインビーム制御を行って加算合成し、加算合成した受信信号のシンボルを端末信号復号部494に出力する。端末信号復号部494は、信号処理部493から入力されたシンボルを復号し、端末送信データを得る。端末信号復号部494は、復号成功率を解析部482に通知する。
【0139】
解析部482は、受信アンテナ数kが予め決められた最小値に達したという条件と、復号成功率が閾値以下であるという条件との少なくとも一方を満たしたか否かを判定する(ステップS914)。解析部482は、いずれの条件も満たさないと判定した場合(ステップS914:NO)、受信アンテナ数kの値から1を減算する(ステップS915)。解析部482は、ステップS913からの処理を繰り返す。
【0140】
ステップS914において、解析部482は、受信アンテナ数kが予め決められた最小値に達したという条件と、復号成功率が閾値以下であるという条件との一方又は両方を満たすと判定した場合(ステップS914:YES)、ステップS911において読み出した解析用波形データについて、受信アンテナ数を決定する(ステップS916)。例えば、解析部482は、復号成功率が閾値に満たない場合はk+1を受信アンテナ数とし、復号成功率が閾値以上である場合は現在のkを受信アンテナ数とする。解析部482は、決定した受信アンテナ数の情報を、解析用波形データに付加する。
【0141】
解析部482は、記憶部481に記憶されている解析用波形データに、未処理のデータがあるか否かを判定する(ステップS917)。解析部482は、未処理の解析用波形データがあると判定した場合(ステップS917:YES)、ステップS911からの処理を行う。そして、解析部482は、未処理の解析用波形データがないと判定した場合(ステップS917:NO)、ステップS918の処理を行う。
【0142】
解析部482は、同じ通信エリアが設定されている解析用波形データについて決定した受信アンテナ数に基づいて、その通信エリアの受信アンテナ数を決定する(ステップS918)。例えば、解析部482は、同じ通信エリアが設定されている解析用波形データについて決定した受信アンテナ数の平均、最大値、平均に所定数を加算した数、最大値に所定数を加算した数、平均を所定割合増加させた数、最大値を所定割合増加させた数などに決定してもよい。
【0143】
解析部482は、通信エリア毎に決定した受信アンテナ数を示すエリア別アンテナ数情報を生成する。解析部482は、移動中継局203のエリア別アンテナ数情報を基地局信号送信処理部460に出力する。これにより、基地局403は、エリア別アンテナ数情報が設定された基地局アップリンク信号を、移動中継局203に送信する(ステップS919)。
【0144】
移動中継局203は、
図15のステップS621~ステップS623の処理を行う。すなわち、基地局通信部260aは、基地局アップリンク信号の受信処理を行って、エリア別アンテナ数情報を取得する。伝送データ制御部280のアンテナ数決定部282は、基地局通信部260aが取得したエリア別アンテナ数情報を記憶部281に書き込む。
【0145】
第3の実施形態によれば、無線通信システムは、過去の実際の通信品質に基づいて、移動中継局の通信エリア毎の受信アンテナ数を決定することができる。
【0146】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、移動中継局が基地局ダウンリンク信号により波形データを送信する前に、地上の多地点に設置した波形サンプリング装置で取得した波形データから地上IoT干渉信号の発生状況を解析して所要受信アンテナ数を算出し、移動中継局に通知する。移動中継局は、通知された所要受信アンテナ数のアンテナの波形データを基地局ダウンリンク信号により送信する。第4の実施形態を、上述した実施形態との差分を中心に説明する。
【0147】
図19は、第4の実施形態による無線通信システム104の構成図である。
図19において、
図2に示す第1の実施形態による無線通信システム101及び
図13に示す第3の実施形態による無線通信システム103と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム104は、移動中継局204と、端末局301と、基地局404と、波形サンプリング装置810と、解析装置820とを有する。移動中継局204は、
図1の移動中継局2として用いられ、基地局404は、
図1の基地局4として用いられる。
【0148】
移動中継局204が
図13に示す移動中継局203と異なる点は、伝送データ制御部280に代えて、伝送データ制御部285を備える点である。伝送データ制御部285が、伝送データ制御部280と異なる点は、アンテナ数決定部282に代えて、アンテナ数決定部287を備える点である。アンテナ数決定部287は、記憶部281に記憶される通信エリア情報から各時刻における通信エリアを読み出し、記憶部281に記憶されるエリア別アンテナ数情報から通信エリアに対応した受信アンテナ数の情報を読み出す。
【0149】
基地局404は、受信部420と、基地局信号受信処理部430と、端末信号受信処理部440と、基地局信号送信処理部460と、送信部470とを備える。複数の波形サンプリング装置810は、地上の多地点に設定される。波形サンプリング装置810は、端末アップリンク信号に使用される帯域の無線を受信し、受信した無線のサンプリング結果を解析装置820に通知する。
【0150】
解析装置820は、移動中継局204の通信エリア又はその通信エリアの周辺に設置されている波形サンプリング装置810から受信した波形データに基づいて、通信エリアに発生する干渉を検出する。解析装置820は、干渉の強さと、受信アンテナ数の関係とを示す計算式又は関係データを予め記憶している。解析装置820は、検出した干渉と、記憶している計算式又は関係データとに基づいて受信アンテナ数を決定する。解析装置820は、通信エリアと、その通信エリアについて決定した受信アンテナ数とを設定したアンテナ数情報を基地局404に通知する。基地局404は、解析装置820から受信したアンテナ数情報を設定した基地局アップリンク信号を移動中継局204に送信する。
【0151】
移動中継局204は、
図15のステップS621~ステップS622の処理を行う。すなわち、基地局通信部260aは、基地局アップリンク信号の受信処理を行って、アンテナ数情報を取得する。アンテナ数決定部287は、基地局通信部260aが基地局アップリンク信号から取得したアンテナ数情報に基づいて、記憶部281に記憶されているエリア別アンテナ数情報を更新する。
【0152】
無線通信システム104は、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図3と同様に動作し、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図5と同様に動作する。また、移動中継局204は、以下の点を除いて、第1の実施形態の
図4と同様の伝送データ制御処理を行う。すなわち、移動中継局204は、ステップS212~ステップS213の処理に代えて、
図16のステップS714と同様の処理により、アンテナ数決定部287が、受信アンテナ数を決定する処理を行う。具体的には、アンテナ数決定部287は、現在時刻における通信エリアの情報を、記憶部281に記憶されるエリア情報から取得する。さらに、アンテナ数決定部287は、読み出した通信エリアにおける受信アンテナ数を、記憶部281に記憶されているエリア別アンテナ数情報から読み出す。
【0153】
第4の実施形態によれば、地上における実際の観測結果に基づいて、移動中継局の所要受信アンテナ数を決定することができる。
【0154】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、無線通信システムは、移動中継局が到来方向推定処理を行い、到来信号の数や方向の粗推定結果に基づいて、地上への伝送データ量、すなわち、受信アンテナ数を制御する。第5の実施形態を、上述した実施形態との差分を中心に説明する。
【0155】
図20は、第5の実施形態の移動中継局205の構成図である。
図20において、
図2に示す第1の実施形態による移動中継局201と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。移動中継局205は、
図1の移動中継局2として用いられる。
【0156】
移動中継局205が、
図2に示す移動中継局201と異なる点は、伝送データ制御部240に代えて伝送データ制御部290を備える点である。伝送データ制御部290は、推定部291と、アンテナ数決定部292と、アンテナ選択部243と、受信制御部244とを備える。
【0157】
推定部291は、受信部221-1~221-Nのそれぞれが受信した端末アップリンク信号に基づいて、信号の到来方向と信号を送信した端末数とを推定する。推定には、既存の任意の技術が使用される。アンテナ数決定部292は、推定部291による推定結果に基づいて、受信アンテナ数を決定する。アンテナ数決定部292は、信号の到来方向及び端末数をパラメータに用いて受信アンテナ数を算出するための計算式に、推定結果を代入することにより、受信アンテナ数を決定する。計算式は、予め定義される。端末数が多いほど、移動中継局205における受信品質は低下するため、受信アンテナ数が多い。また、到来方向により表される仰角が大きいほど、移動中継局205における受信品質は良好であるため、受信アンテナ数は少なくてよい。
【0158】
第5の実施形態の無線通信システムは、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図3と同様に動作し、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図5と同様に動作する。また、第5の実施形態の移動中継局205は、以下の点を除いて、第1の実施形態の
図4と同様の伝送データ制御処理を行う。すなわち、移動中継局205は、ステップS212~ステップS213の処理に代えて、以下の処理を行う。推定部291は、受信部221-1~221-Nのそれぞれが受信した端末アップリンク信号に基づいて、信号の到来方向と信号を送信した端末数とを推定する。アンテナ数決定部292は、推定部291による推定結果に基づいて、受信アンテナ数を決定する。
【0159】
第5の実施形態によれば、移動中継局において推定した受信状態に基づいて、受信アンテナ数を制御することができる。
【0160】
(第6の実施形態)
第6の実施形態では、移動中継局が受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号を送信するために用いる送信アンテナの数を制御する。
【0161】
図21は、第6の実施形態の移動中継局206を示す図である。移動中継局206は、アンテナ210-1~210-Nと、端末通信部220と、データ記憶部230と、伝送データ制御部295と、送信アンテナ制御部296と、基地局通信部297と、M本のアンテナ270とを備える。
【0162】
伝送データ制御部295は、上述した第1~第5の実施形態の伝送データ制御部240、240a、245、280、285、290である。送信アンテナ制御部296は、伝送データ制御部295が決定した受信アンテナ数に対応した送信アンテナ数を決定する。基地局通信部297は、基地局通信部260又は基地局通信部260aである。基地局通信部297は、記憶部298と、制御部299と、送信データ変調部263と、送信部264とを備える。記憶部298及び制御部299は、記憶部261及び制御部262に、又は、記憶部261a及び制御部262aに相当する。
【0163】
伝送データ制御部295として用いられる伝送データ制御部240、240a、245、280、285、290それぞれのアンテナ数決定部242、247、282、287、292は、受信時刻tの受信アンテナ数に加え、受信時刻tの送信アンテナ数を決定する。アンテナ数決定部242、247、282、287、292は、上述した実施形態において受信アンテナ数を決定する場合と同様の処理により、送信アンテナ数を決定してもよい。あるいは、アンテナ数決定部242、247、282、287、292は、予め決められた受信アンテナ数と送信アンテナ数との対応関係に基づいて、各受信時刻tにおける受信アンテナ数に対応した送信アンテナ数を決定してもよい。
【0164】
伝送データ制御部295として用いられる伝送データ制御部240、240a、245、280、285、290それぞれのアンテナ選択部243は、M本のアンテナ270から、アンテナ数決定部242、247、282、287、292により決定された送信アンテナ数のアンテナ270を選択する。例えば、アンテナ選択部243は、この選択を、受信アンテナ数のアンテナ210を選択する場合と同様の処理により行う。選択されたアンテナ270を、選択送信アンテナと記載する。送信アンテナ制御部296は、受信時刻tの送信アンテナ数m(mはM以下の整数)及び選択送信アンテナを基地局通信部297に通知する。
【0165】
送信データ変調部263は、データ記憶部230から受信時刻tの受信波形情報を送信データとして読み出す。送信データ変調部263は、送信データを、m本の選択送信アンテナにより送信するパラレル信号に変換する。送信データ変調部263は、生成されたパラレル信号を変調する。これにより、m本の各選択送信アンテナにより送信する基地局ダウンリンク信号が生成される。
【0166】
送信部264は、各アンテナ270に対応した電力増幅器を有している。送信アンテナ制御部296は、送信データ変調部263により生成された基地局ダウンリンク信号をm本の各選択送信アンテナから送信する際に、選択送信アンテナに対応した電力増幅器へ電源を供給し、選択送信アンテナ以外のアンテナ270に対応した電力増幅器への電源供給をオフにする。これにより、選択送信アンテナから基地局ダウンリンク信号が送信される。
【0167】
なお、送信部264が各アンテナ270により送信する基地局ダウンリンク信号にウェイトを乗算する場合、送信アンテナ数によって適切なウェイトが異なる。そこで、記憶部298に、送信アンテナ数と、各選択送信アンテナの時刻毎の送信ウェイトとを対応付けた情報を予め記憶しておく。制御部299は、送信アンテナ数mの各選択送信アンテナから基地局ダウンリンク信号を送信する際、送信時刻及び送信アンテナ数mに対応した各選択送信アンテナの送信ウェイトを記憶部298から読み出す。制御部299は、送信データ変調部263が変調した各パラレル信号に、そのパラレル信号を送信する選択送信アンテナの送信ウェイトにより重み付けを行うよう送信部264に指示する。送信部264は、送信データ変調部263が生成したパラレル信号に制御部299から指示されたウェイトにより重み付けを行って、各選択送信アンテナから送信する基地局ダウンリンク信号を生成する。
【0168】
また、移動中継局206と
図6に示す基地局401a又は
図11に示す基地局402が通信する場合、基地局401aのアンテナ数決定部452又は基地局402のアンテナ数決定部457は、受信アンテナ数を決定する場合と同様の処理により各受信時刻tの送信アンテナ数を決定してもよい。あるいは、アンテナ数決定部452又はアンテナ数決定部457は、予め決められた受信アンテナ数と送信アンテナ数との対応関係に基づいて、各受信時刻tにおける受信アンテナ数に対応した送信アンテナ数を決定してもよい。アンテナ選択部453は、受信アンテナ数のアンテナ210を選択する場合と同様の処理により、M本のアンテナ270から送信アンテナ数の送信アンテナを選択する。アンテナ選択部453は、移動中継局に送信するアンテナ選択情報に、受信時刻tにおける選択送信アンテナのアンテナ識別情報をさらに設定する。あるいは、アンテナ数決定部452、457は、移動中継局206に送信するアンテナ数情報に各受信時刻tの送信アンテナ数をさらに設定する。送信アンテナ制御部296は、基地局通信部297が受信時刻tの受信波形情報を基地局ダウンリンク信号で送信する際に、アンテナ数情報から受信時刻tの送信アンテナ数を、あるいは、アンテナ選択情報から受信時刻tの選択送信アンテナを読み出す。送信アンテナ制御部296は、送信アンテナ数を読み出した場合は、その送信アンテナ数の選択送信アンテナを決定する。送信アンテナ制御部296は、受信時刻tの送信アンテナ数及び選択送信アンテナを基地局通信部297に通知する。
【0169】
また、移動中継局206と
図13に示す基地局403が通信する場合、基地局403の解析部482は、受信アンテナ数に応じて決定した送信アンテナ数の情報をエリア別アンテナ数情報に設定してもよい。また、移動中継局206と
図19に示す基地局404が通信する場合、基地局404の解析装置820は、受信アンテナ数に応じて決定した送信アンテナ数の情報をアンテナ数情報に設定してもよい。送信アンテナ制御部296は、基地局通信部297が受信時刻tの受信波形情報を基地局ダウンリンク信号で送信する際に、エリア別アンテナ数情報から受信時刻tの通信エリアに対応した送信アンテナ数を読み出す。送信アンテナ制御部296は、読み出した送信アンテナ数の選択送信アンテナを決定する。送信アンテナ制御部296は、受信時刻tの送信アンテナ数及び選択送信アンテナを基地局通信部297に通知する。
【0170】
第6の実施形態によれば、移動中継局が基地局ダウンリンク信号を送信する際に不要なMIMO送信系の電源をオフにするため、さらに消費電力を抑えることが可能になる。
【0171】
(第7の実施形態)
第7の実施形態の無線通信システムは、移動中継局の通信先である地球上のエリアにおける所定位置から移動中継局に対する仰角に応じて量子化ビット数を決定する。所定位置は、例えば、エリアの中心である。第7の実施形態を、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0172】
図22は、第7の実施形態による無線通信システム111の構成図である。
図22において、
図2に示す第1の実施形態による無線通信システム101と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム111は、移動中継局501と、端末局301と、基地局401とを有する。移動中継局501は、
図1の移動中継局2として用いられる。
【0173】
移動中継局501と、
図2に示す移動中継局201とが異なる点は、端末通信部220及び伝送データ制御部240に代えて、端末通信部520及び伝送データ制御部540を備える点である。
【0174】
端末通信部520は、N個の受信部221と、N個の受信波形記録部522とを有する(Nは1以上の整数)。N個の受信波形記録部522を、受信波形記録部522-1~522-Nと記載する。受信波形記録部522-nは、
図2に示す受信波形記録部222-nと同様の処理を行う。ただし、受信波形記録部522-nは、受信部221-nが受信した端末アップリンク信号の受信波形を、伝送データ制御部540から指示された量子化ビット数によりRF信号のままサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部522-nは、アンテナ210-nのアンテナ識別情報と、アンテナ210-nにおける端末アップリンク信号の受信時刻と、生成した波形データと、波形データの生成に用いた量子化ビット数とを設定した受信波形情報をデータ記憶部230に書き込む。
【0175】
伝送データ制御部540は、記憶部541と、量子化ビット数決定部542と、量子化ビット数指示部543とを備える。記憶部541は、第1の実施形態の記憶部241と同様に、軌道情報と、通信エリア情報とを記憶している。量子化ビット数決定部542は、各時刻におけるLEO衛星の位置と通信エリアの位置の情報とを用いて、通信エリアの中心位置からLEO衛星への仰角を算出する。量子化ビット数決定部542は、各時刻におけるLEO衛星の位置を記憶部541に記憶される軌道情報に基づいて取得する。また、量子化ビット数決定部542は、各時刻における通信エリアの位置の情報を、記憶部541に記憶されるエリア情報から取得する。量子化ビット数決定部542は、仰角をパラメータに用いて量子化ビット数を算出する関係式に、算出した仰角の値をパラメータ値として代入することにより、量子化ビット数を計算する。この関係式は、事前に定義される。あるいは、記憶部541に仰角の範囲と、量子化ビット数とを対応付けた関係データを記憶しておき、量子化ビット数決定部542は、算出した仰角の値に対応する量子化ビット数を関係データから読み出してもよい。仰角が90度に近いほど、量子化ビット数は少ない。
【0176】
量子化ビット数指示部543は、量子化ビット数決定部542が決定した量子化ビット数により波形データをサンプリングするよう端末通信部520の受信波形記録部522に指示する。
【0177】
無線通信システム111は、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図3と同様に動作し、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図5と同様に動作する。ただし、
図3のステップS122において、全ての受信波形記録部522-nは、量子化ビット数指示部543から指示された量子化ビット数により、受信部221-nが受信した端末アップリンク信号をサンプリングし、波形データを生成する。以降の実施形態においても同様である。受信波形記録部522-nは、生成した波形データと、受信時刻と、アンテナ210-nのアンテナ識別情報と、量子化ビット数とを対応付けた受信波形情報をデータ記憶部230に書き込む。また、移動中継局501は、量子化ビット数を制御するために、
図23に示す伝送データ制御処理を行う。
【0178】
図23は、移動中継局501による伝送データ制御処理を示すフロー図である。移動中継局501の量子化ビット数決定部542は、受信時刻tに初期値tsを設定する(ステップS2101)。受信時刻tは、移動中継局501における端末アップリンク信号の受信時刻を表す。受信時刻tは、基準時刻から経過した単位時間のカウント値により表わされる。初期値tsは、現在時刻である。
【0179】
量子化ビット数決定部542は、受信時刻tにおけるLEO衛星の位置を記憶部541に記憶される軌道情報に基づいて取得する。さらに、量子化ビット数決定部542は、受信時刻tにおける通信エリアの位置の情報を、記憶部541に記憶される通信エリア情報から取得する。量子化ビット数決定部542は、通信エリアの中心位置から、移動中継局501を搭載しているLEO衛星の受信時刻tにおける位置への仰角を算出する(ステップS2102)。
【0180】
量子化ビット数決定部542は、仰角をパラメータに用いて量子化ビット数を算出する関係式に、ステップS2102において算出された仰角の値をパラメータ値として代入することにより、量子化ビット数を計算する(ステップS2103)。量子化ビット数指示部543は、ステップS2103において量子化ビット数決定部542が計算した量子化ビット数を受信波形記録部522に指示する(ステップS2104)。これにより、
図3のステップS122において、移動中継局501の受信波形記録部522は、量子化ビット数指示部543により指示された量子化ビット数により端末アップリンク信号をサンプリングして波形データを生成する。量子化ビット数決定部542は、受信時刻tに1を加算し(ステップS2105)、ステップS2102からの処理を繰り返す。
【0181】
伝送データ制御部540は、現在時刻よりも先の時刻を受信時刻tとして
図23に示す処理を行ってもよい。これより、伝送データ制御部540は、端末アップリンク信号の受信前に予め量子化ビット数を決定しておくことができる。この場合、ステップS2101において、量子化ビット数決定部542は、初期値tsに現在時刻よりも先の時刻を用いる。そして、ステップS2103において、量子化ビット数決定部542は、受信時刻tにおける量子化ビット数を示す量子化ビット数制御情報を記憶部541に記憶する処理をさらに行う。伝送データ制御部540は、ステップS2103の後、ステップS2104の処理を行わずにステップS2105の処理に進む。量子化ビット数指示部543は、現在時刻に対応した量子化ビット数の情報を記憶部541に記憶されている量子化ビット数制御情報から読み出す。量子化ビット数指示部543は、読み出した量子化ビット数を受信波形記録部522に指示する。
【0182】
なお、
図24に示すように、移動中継局501が有する伝送データ制御部540の一部の機能を、基地局が備えてもよい。
図24は、無線通信システム111aの構成図である。
図24において、
図22に示す無線通信システム111と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム111aは、移動中継局501aと、端末局301と、基地局601とを有する。移動中継局501aは、
図1の移動中継局2として用いられ、基地局601は、
図1の基地局4として用いられる。
【0183】
図24に示す移動中継局501aが、
図22に示す移動中継局501と異なる点は、伝送データ制御部540に代えて伝送データ制御部540a備える点と、基地局通信部260に代えて
図6及び
図7に示す基地局通信部260aを備える点である。
【0184】
伝送データ制御部540aは、記憶部541aと、量子化ビット数指示部543aとを備える。記憶部541aは、量子化ビット数制御情報を記憶する。量子化ビット数制御情報は、各受信時刻における量子化ビット数を示す情報である。量子化ビット数指示部543aは、現在時刻に対応した量子化ビット数の情報を記憶部541aに記憶されている量子化ビット数制御情報から読み出す。量子化ビット数指示部543aは、読み出した量子化ビット数により波形データをサンプリングするよう受信波形記録部522に指示する。
【0185】
図24に示す基地局601が、
図22に示す基地局401と異なる点は、制御情報生成部650と、
図6に示す基地局信号送信処理部460及び送信部470とをさらに備える点である。なお、基地局601と接続される外部の装置が、制御情報生成部650を備えてもよい。
【0186】
制御情報生成部650は、各移動中継局501aの量子化ビット数制御情報を生成する。制御情報生成部650は、記憶部651と、量子化ビット数決定部652とを有する。
【0187】
記憶部651は、移動中継局501a毎に、移動中継局501aを搭載しているLEO衛星の軌道情報と、通信エリア情報とを記憶している。量子化ビット数決定部652は、移動中継局501a毎に、
図22に示す量子化ビット数決定部542と同様の処理を行う。これにより、量子化ビット数決定部652は、移動中継局501a毎に、各受信時刻における量子化ビット数を計算する。量子化ビット数決定部652は、移動中継局501a毎に、各受信時刻の量子化ビット数を示す量子化ビット数制御情報を生成する。
【0188】
無線通信システム111aは、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図3と同様に動作し、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図5と同様に動作する。また、無線通信システム111aは、各移動中継局501aが伝送データ制御に使用する情報を生成するために、移動中継局501a毎に
図25の処理を行う。
【0189】
図25は、無線通信システム111aによる情報生成処理を示すフロー図である。基地局601の量子化ビット数決定部652は、受信時刻tに初期値tsを設定する(ステップS2211)。初期値tsは、現在時刻よりも先の時刻である。
【0190】
量子化ビット数決定部652は、記憶部651に記憶される軌道情報及び通信エリア情報を参照して、
図23のステップS2102と同様の処理を行う。これにより、量子化ビット数決定部652は、受信時刻tにおける通信エリアの中心位置から、移動中継局501aを搭載しているLEO衛星の位置への仰角を算出する(ステップS2212)。量子化ビット数決定部652は、記憶部651に記憶される軌道情報及び通信エリア情報を参照して、
図22のステップS2103と同様の処理により、ステップS2212において算出された仰角の値に基づく量子化ビット数を計算する(ステップS2213)。量子化ビット数決定部652は、受信時刻tと、ステップS2213において計算された量子化ビット数とを対応付けた量子化ビット数制御情報を生成する(ステップS2214)。
【0191】
量子化ビット数決定部652は、所定の終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS2215)。終了条件は、例えば、受信時刻tが所定時刻に達した場合や、ステップS2212からステップS2216のループ処理を所定回行った場合などとすることができる。
【0192】
量子化ビット数決定部652は、終了条件を満たしていないと判定した場合(ステップS2215:NO)、受信時刻tに1を加算し(ステップS2216)、ステップS2212からの処理を繰り返す。量子化ビット数決定部652は、終了条件を満たしたと判定した場合(ステップS2215:YES)、生成した量子化ビット数制御情報を基地局信号送信処理部460に出力する。基地局信号送信処理部460は、アンテナ選択部453から入力した量子化ビット数制御情報を送信データとして設定した基地局アップリンク信号をアンテナ局410に出力する。アンテナ局410は、基地局アップリンク信号を無線により送信する(ステップS2217)。
【0193】
移動中継局501aの各アンテナ270は、基地局アップリンク信号を受信する(ステップS2221)。移動中継局501aの基地局通信部260aは、
図8のステップS422と同様の処理を行って、基地局601が送信した量子化ビット数制御情報を得る(ステップS2222)。受信処理部266は、量子化ビット数制御情報を量子化ビット数指示部543aに出力する。量子化ビット数指示部543aは、量子化ビット数制御情報を、記憶部541aに記憶する(ステップS2223)。
【0194】
伝送データ制御部540aは、以下の点を除き、
図23の伝送データ制御処理を行う。すなわち、ステップS2102~ステップS2103の処理に代えて、量子化ビット数指示部543aが、現在時刻を表す受信時刻tに対応した量子化ビット数の情報を記憶部541aに記憶されている量子化ビット数制御情報から読み出す処理を行う。
【0195】
図22に示す移動中継局501が、基地局通信部260に代えて
図6及び
図7に示す基地局通信部260aを備えてもよい。この場合、
図22に示す基地局401は、
図6に示す基地局信号送信処理部460及び送信部470を備える。基地局401は、移動中継局501の記憶部541に記憶される軌道情報又は通信エリア情報が更新された場合、もしくは、量子化ビット数決定部542において用いられる関係式又は関係データが更新された場合に、更新された軌道情報、通信エリア情報、関係式又は関係データを移動中継局501に送信してもよい。移動中継局501は、記憶している軌道情報、通信エリア情報、関係式又は関係データを、受信した軌道情報、通信エリア情報、関係式又は関係データに更新する。
【0196】
また、上述した本実施形態では、移動中継局501と基地局401、及び、移動中継局501aと基地局601が、MIMOによる通信を行っているが、これに限られない。例えば、移動中継局501、501aは、一本のアンテナ270により基地局と通信してよい。同様に、基地局401、601は、アンテナ局410に代えて一本のアンテナにより移動中継局と信号を送受信してもよい。
【0197】
第7の実施形態によれば、移動中継局の通信エリアからの仰角が大きく、端末局からのアップリンク信号の通信品質が良いと想定される場合には、量子化ビット数を低減する。これにより、波形データのデータ量を低減することができる。よって、移動中継局から基地局へのダウンリンクの帯域を低減することが可能となる。さらには、移動中継局の消費電力を低減することも可能となる。
【0198】
(第8の実施形態)
第8の実施形態の無線通信システムは、移動中継局が通信するエリア内の人口密度に応じて、量子化ビット数を制御する。なお、人口密度の情報に代えて、地上IoT端末の位置の情報から得られる地上IoT端末の設置密度の情報を用いてもよい。ここでは、人口密度を用いる場合を例に説明する。また、第8の実施形態を、第7の実施形態との差分を中心に説明する。
【0199】
図26は、第8の実施形態による無線通信システム112の構成図である。
図26において、
図22に示す第7の実施形態による無線通信システム111と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム112は、移動中継局502と、端末局301と、基地局401とを有する。移動中継局502は、
図1の移動中継局2として用いられる。
【0200】
移動中継局502と、
図22に示す移動中継局501とが異なる点は、伝送データ制御部540に代えて、伝送データ制御部545を備える点である。伝送データ制御部545は、記憶部546と、量子化ビット数決定部547と、量子化ビット数指示部543とを備える。
【0201】
記憶部546は、第2の実施形態の記憶部246と同様に人口密度情報を記憶している。量子化ビット数決定部547は、記憶部546に記憶される人口密度情報から、端末アップリンク信号の受信時刻における通信エリアの人口密度の値を読み出す。量子化ビット数決定部547は、人口密度をパラメータに用いて量子化ビット数を算出する関係式に、取得した人口密度の値をパラメータ値として代入することにより、量子化ビット数を計算する。この関係式は、事前に定義される。あるいは、記憶部546に人口密度の値の範囲と、量子化ビット数とを対応付けた関係データを記憶してもよい。量子化ビット数決定部547は、人口密度の値に対応する量子化ビット数を関係データから読み出す。
【0202】
無線通信システム112は、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図3と同様に動作し、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図5と同様に動作する。また、移動中継局502は、
図27に示す伝送データ制御処理を行う。
【0203】
図27は、移動中継局502による伝送データ制御処理を示すフロー図である。移動中継局502の量子化ビット数決定部547は、受信時刻tに初期値tsを設定する(ステップS2301)。受信時刻tは、移動中継局502における端末アップリンク信号の受信時刻を表す。受信時刻tは、基準時刻から経過した単位時間のカウント値により表わされる。初期値tsは、現在時刻である。
【0204】
量子化ビット数決定部547は、受信時刻tにおける人口密度の値を、記憶部546に記憶される人口密度情報から取得する(ステップS2302)。量子化ビット数決定部547は、人口密度をパラメータに用いて量子化ビット数を算出する関係式に、ステップS2302において取得した人口密度情報の値をパラメータ値として代入することにより、量子化ビット数を計算する(ステップS2303)。量子化ビット数指示部543は、ステップS2303において量子化ビット数決定部547が計算した量子化ビット数を受信波形記録部522に指示する(ステップS2304)。量子化ビット数決定部547は、受信時刻tに1を加算し(ステップS2305)、ステップS2302からの処理を繰り返す。
【0205】
なお、伝送データ制御部545は、現在時刻よりも先の時刻を受信時刻tとして
図27に示す処理を行ってもよい。これより、伝送データ制御部545は、端末アップリンク信号の受信前に予め量子化ビット数を決定しておくことができる。この場合、ステップS2301において、量子化ビット数決定部547は、初期値tsに現在時刻よりも先の時刻を用いる。そして、ステップS2303において、量子化ビット数決定部547は、受信時刻tにおける量子化ビット数を示す量子化ビット数制御情報を記憶部546に記憶する処理をさらに行う。伝送データ制御部545は、ステップS2303の後、ステップS2304の処理を行わずにステップS2305の処理に進む。量子化ビット数指示部543は、現在時刻に対応した量子化ビット数の情報を記憶部546に記憶されている量子化ビット数制御情報から読み出す。量子化ビット数指示部543は、読み出した量子化ビット数を受信波形記録部522に指示する。
【0206】
また、
図28に示すように、移動中継局502が有する伝送データ制御部545の一部の機能を、基地局が備えてもよい。
図28は、無線通信システム112aの構成図である。
図28において、
図24に示す無線通信システム111aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム112aは、移動中継局501aと、端末局301と、基地局602とを有する。基地局602は、
図1の基地局4として用いられる。
【0207】
図28に示す基地局602が、
図24に示す基地局601と異なる点は、制御情報生成部650に代えて制御情報生成部655を備える点である。制御情報生成部655は、記憶部656と、量子化ビット数決定部657とを有する。
【0208】
記憶部656は、移動中継局501a毎の人口密度情報を記憶している。量子化ビット数決定部657は、移動中継局501a毎に、
図26に示す量子化ビット数決定部547と同様の処理を行う。これにより、量子化ビット数決定部657は、移動中継局501a毎に、各受信時刻における量子化ビット数を計算する。
【0209】
無線通信システム112aは、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図3と同様に動作し、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図5と同様に動作する。また、無線通信システム112aは、各移動中継局501aが伝送データ制御に使用する情報を生成するために、移動中継局501a毎に
図29の処理を行う。
図29は、無線通信システム112aによる情報生成処理を示すフロー図である。
図29において、
図25に示す第7の実施形態による情報生成処理と同一の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0210】
基地局602の量子化ビット数決定部657は、受信時刻tに初期値tsを設定する(ステップS2411)。受信時刻tsは、現在時刻よりも先の時刻である。量子化ビット数決定部657は、受信時刻tにおける人口密度の値を、記憶部656に記憶される人口密度情報から取得する(ステップS2412)。量子化ビット数決定部657は、
図27のステップS2303と同様の処理により、人口密度に基づいて量子化ビット数を計算する(ステップS2413)。量子化ビット数決定部657は、受信時刻tと、ステップS2413において計算された量子化ビット数とを対応付けた量子化ビット数制御情報を生成する(ステップS2414)。
【0211】
量子化ビット数決定部657は、所定の終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS2415)。終了条件は、
図25のステップS2215と同様とすることができる。量子化ビット数決定部657は、終了条件を満たしていないと判定した場合(ステップS2415:NO)、受信時刻tに1を加算し(ステップS2416)、ステップS2412からの処理を繰り返す。量子化ビット数決定部657は、終了条件を満たしたと判定した場合(ステップS2415:YES)、生成した量子化ビット数制御情報を基地局信号送信処理部460に出力する。基地局602は、
図25のステップS2217と同様の処理を行い、量子化ビット数制御情報を移動中継局501aに送信する。移動中継局501aは、
図25のステップS2221~ステップS2223の処理を行う。
【0212】
図26に示す移動中継局502が、基地局通信部260に代えて
図6及び
図7に示す基地局通信部260aを備え、
図26に示す基地局401が、
図6に示す基地局信号送信処理部460及び送信部470を備えてもよい。基地局401は、移動中継局502の記憶部546に記憶される人口密度情報が更新された場合、もしくは、量子化ビット数決定部547において用いられる関係式又は関係データが更新された場合に、更新された人口密度情報、関係式又は関係データを移動中継局502に送信してもよい。移動中継局502は、記憶している人口密度情報、関係式又は関係データを、受信した人口密度情報、関係式又は関係データに更新する。
【0213】
無線通信システム112、112aは、人口密度の情報に代えて地上IoT端末の密度の情報を用いてもよい。地上IoT端末の密度として、端末局301の密度を用いることもできる。また、上述した本実施形態では、移動中継局502と基地局401、及び、移動中継局501aと基地局602が、MIMOによる通信を行っているが、これに限られない。例えば、移動中継局502、501aは、一本のアンテナ270により基地局と通信してよい。同様に、基地局401、602は、アンテナ局410に代えて一本のアンテナにより移動中継局と信号を送受信してもよい。
【0214】
第8の実施形態によれば、移動中継局は、通信エリアの人口密度が低く、端末局からのアップリンク信号の通信品質が良いと想定される場合には、量子化ビット数を低減することにより、基地局へ送信する波形データのデータ量を低減することができる。
【0215】
(第9の実施形態)
第9の実施形態の無線通信システムは、過去の同一パスにおける通信成功率をもとに、通信エリアごとに必要な量子化ビット数を決定する。すなわち、無線通信システムは、過去に移動中継局が各通信エリアの上空を通過したときに受信した端末アップリンク信号の復号成功率と、復号を行った際の量子化ビット数とに基づいて、所要量子化ビット数を決定する。所要量子化ビット数を決定するためのデータを収集し、収集したデータを解析して所要量子化ビット数を決定する段階を解析フェーズ、解析フェーズで決定された所要量子化ビット数で通信を行う段階を通常運用フェーズと記載する。解析フェーズは、移動中継局が同一パスを複数回通過する時間継続する。第9の実施形態を、第7及び第8の実施形態との差分を中心に説明する。
【0216】
図30は、第9の実施形態による無線通信システム113の構成図である。
図30において、
図22に示す第7の実施形態による無線通信システム111及び
図24に示す第7の実施形態による無線通信システム111aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム113は、移動中継局503と、端末局301と、基地局603とを有する。移動中継局503は、
図1の移動中継局2として用いられ、基地局603は、
図1の基地局4として用いられる。
【0217】
移動中継局503と、
図22に示す移動中継局501とが異なる点は、伝送データ制御部540に代えて伝送データ制御部580を備える点と、基地局通信部260に代えて基地局通信部260aを備える点である。伝送データ制御部580は、記憶部581と、量子化ビット数決定部582と、量子化ビット数指示部543とを備える。
【0218】
記憶部581は、通信エリア情報と、エリア別量子化ビット数情報を記憶する。エリア別量子化ビット数情報は、通信エリアと、量子化ビット数とを対応付けた情報である。量子化ビット数決定部582は、量子化ビット数を決定する。解析フェーズにおいて、量子化ビット数決定部582は、異なるタイミングの同一パスについて複数種の量子化ビット数を決定する。通常運用フェーズにおいて、量子化ビット数決定部582は、記憶部581に記憶される通信エリア情報から各時刻における通信エリアを読み出し、記憶部581に記憶されるエリア別量子化ビット数情報から通信エリアに対応した量子化ビット数の情報を読み出す。ただし、通常運用フェーズにおいて、量子化ビット数決定部582は、同一のパスを所定回通過するたびに、通信エリア情報が示す量子化ビット数よりも多い量子化ビット数を用いると決定する。例えば、量子化ビット数決定部582は、とり得る最大の量子化ビット数に決定する。また、量子化ビット数決定部582は、基地局603から送信された通信エリア情報により、記憶部581に記憶されるエリア別量子化ビット数情報を更新する。また、量子化ビット数決定部582は、基地局603からの指示により、エリア別量子化ビット数情報に設定されている量子化ビット数を増加させる。
【0219】
図30に示す基地局603が、
図22に示す基地局401と異なる点は、
図6に示す基地局信号送信処理部460及び送信部470と、指示部680と、
図13に示す解析用受信処理部490とをさらに備える点である。なお、基地局603と接続される外部の装置が、指示部680及び解析用受信処理部490の一方又は両方を備えてもよい。
【0220】
指示部680は、記憶部681と、解析部682とを有する。記憶部681は、各移動中継局503の通信エリア情報を記憶する。解析フェーズにおいて、解析部682は、移動中継局503毎に、端末信号受信処理部440における復号成功率に基づいて、各通信エリアにおける所要量子化ビット数を決定する。解析部682は、通信エリアと所要量子化ビット数とを対応付けたエリア別量子化ビット数情報を移動中継局503毎に生成する。解析部682は、各移動中継局503に、その移動中継局について生成したエリア別量子化ビット数情報を通知する。また、通常運用フェーズにおいて、解析部682は、端末信号受信処理部440における復号成功率が所定よりも低下した場合に、量子化ビット数の増加を移動中継局503に指示する。また、解析部682は、通常運用フェーズにおいて移動中継局503から周期的に送信される波形データを用いて、所要量子化ビット数の解析を行う。この解析のため、解析部682は、量子化ビット数を変更しながら、解析用受信処理部490にその量子化ビット数によりサンプリングされた端末アップリンク信号の波形データを出力し、受信処理を実行させ、復号成功率を得る。解析部682は、量子化ビット数と復号成功率との関係に基づいて、移動中継局503の所要量子化ビット数を決定する。
【0221】
解析フェーズの処理について説明する。無線通信システム113は、解析フェーズにおいて、
図3に示す第1の実施形態と同様の処理により、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信を行う。
【0222】
図31は、移動中継局503の解析フェーズにおける伝送データ制御処理を示すフロー図である。まず、移動中継局503の量子化ビット数決定部582は、同一パス通過回数pに初期値1を設定する(ステップS2511)。量子化ビット数決定部582は、同一パス通過回数pに応じて量子化ビット数を決定する(ステップS2512)。例えば、量子化ビット数決定部582は、現在のパスと同一のパスにおいて過去に決定された回数が閾値に満たない量子化ビット数を決定する。なお、閾値は、1以上の整数である。量子化ビット数決定部582は、同一パスを通過する度に量子化ビット数を変えてもよく、同一パスを所定の複数回通過する度に、量子化ビット数を変更してもよい。量子化ビット数指示部543は、ステップS2512において決定された量子化ビット数を受信波形記録部522に指示する(ステップS2513)。端末通信部520は、
図3のステップS121及びステップS122の処理を行って、各アンテナ210の受信波形情報をデータ記憶部230に書き込む(ステップS2514)。量子化ビット数決定部582は、同一パス通過回数pに1を加算する(ステップS2515)。移動中継局503は、ステップS2512からの処理を繰り返す。
【0223】
移動中継局503は、解析フェーズにおいて、
図5のステップS311~ステップS313に示す処理を行って、受信波形情報が設定された基地局ダウンリンク信号をMIMOにより送信する。無線通信システム113は、解析フェーズにおいて、
図32に示す処理を行う。
【0224】
図32は、解析フェーズにおける無線通信システム113の情報生成処理を示すフロー図である。基地局603は、移動中継局503から基地局ダウンリンク信号を受信し、
図5のステップS321~ステップS323と同様の処理を行う(ステップS2611~ステップS2613)。
【0225】
解析部682は、基地局ダウンリンク信号から読み出された移動中継局503の識別情報を基地局信号受信処理部430から取得する。さらに解析部682は、その基地局ダウンリンク信号から得られた受信波形情報に付与されている受信時刻の情報及び量子化ビット数の情報と、その受信時刻の受信波形情報から得られた波形データの復号成功率の情報とを端末信号受信処理部440から受信する。解析部682は、移動中継局503の識別情報と対応付けて記憶部681に記憶されている通信エリア情報から、受信時刻に対応した通信エリアの情報を読み出す。解析部682は、移動中継局503の識別情報と、受信時刻の情報と、通信エリアの情報と、量子化ビット数の情報と、復号成功率とを対応付けた第二復号結果情報を生成し、生成した第二復号結果情報を記憶部681に書き込む(ステップS2614)。
【0226】
基地局603は、解析用データの受信が終了していない場合(ステップS2615:NO)、ステップS2611からの処理を繰り返す。基地局603は、解析用データの受信が終了すると(ステップS2615:YES)、ステップS2616の処理を行う。
【0227】
解析部682は、ステップS2614において生成した第二復号結果情報を用いて、量子化ビット数と復号成功率との関係を通信エリア毎に解析し、通信エリア別の所要量子化ビット数を決定する(ステップS2616)。具体的には、ある通信エリアにおいて、所定以上の復号成功率が得られた量子化ビット数の平均がNa、最大値がNmaxであったとする。解析部682は、所要量子化ビット数を、Na又はNmaxとしてもよく、Na又はNmaxに所定数を加算した数としてもよく、Na又はNmaxを所定割合増加させた数としてもよい。量子化ビット数が段階的な値をとる場合、解析部682は、上記のように計算された値を超え、かつ、計算された値に最も近い段階的な値を量子化ビット数とする。解析部682は、通信エリアと、通信エリアについて決定した所要量子化ビット数とを対応付けたエリア別量子化ビット数情報を生成する。
【0228】
移動中継局503は、移動しながら同一の通信エリアと通信を行う。そのため、解析部682は、移動中継局503がある特定の位置のときの受信波形情報を受信処理した結果だけではなく、その近傍に位置したとき受信波形情報を受信処理した結果も用いて、所要量子化ビット数を決定している。復号が成功したか否かの受信処理の結果は、移動中継局503と端末局301との間の通信品質を表す。
【0229】
解析部682は、移動中継局503のエリア別量子化ビット数情報を基地局信号送信処理部460に出力する。これにより、基地局603は、エリア別量子化ビット数情報が設定された基地局アップリンク信号を、移動中継局503に送信する(ステップS2617)。
【0230】
移動中継局503の各アンテナ270は、基地局アップリンク信号を受信する(ステップS2621)。移動中継局503の基地局通信部260aは、
図8のステップS422と同様の処理を行って、基地局603が送信したエリア別量子化ビット数情報を得る(ステップS2622)。受信処理部266は、エリア別量子化ビット数情報を量子化ビット数決定部582に出力する。量子化ビット数決定部582は、エリア別量子化ビット数情報を、記憶部581に記憶する(ステップS2623)。
【0231】
解析フェーズの後、無線通信システム113は、通常運用フェーズを開始する。無線通信システム113は、通常運用フェーズにおいて、
図3に示す第1の実施形態と同様の処理により、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信を行う。
【0232】
図33は、移動中継局503の通常運用フェーズにおける伝送データ制御処理を示すフロー図である。移動中継局503の量子化ビット数決定部582は、所要量子化ビット数の更新を行う周期Pを決定する(ステップS2711)。周期Pは、任意に決定することができる。量子化ビット数決定部582は、同一パス通過回数pに初期値1を設定する(ステップS2712)。
【0233】
量子化ビット数決定部582は、同一パス通過回数pが周期Pに達していないと判定した場合(ステップS2713:NO)、エリア別量子化ビット数情報に基づき、量子化ビット数を決定する(ステップS2714)。すなわち、量子化ビット数決定部582は、現在時刻における通信エリアの情報を、記憶部581に記憶されるエリア情報から取得する。さらに量子化ビット数決定部582は、読み出した通信エリアにおける量子化ビット数を、記憶部581に記憶されているエリア別量子化ビット数情報から読み出す。量子化ビット数決定部582は、同一パス通過回数pに1を加算する(ステップS2715)。
【0234】
一方、量子化ビット数決定部582は、同一パス通過回数pが周期Pに達したと判定した場合(ステップS2713:YES)、量子化ビット数を最大値に決定する(ステップS2716)。量子化ビット数決定部582は、同一パス通過回数pに1を設定する(ステップS2717)。
【0235】
量子化ビット数指示部543は、ステップS2714又はステップS2717において量子化ビット数決定部582が決定した量子化ビット数を受信波形記録部522に指示する(ステップS2718)。端末通信部520は、
図3のステップS121~ステップS122の処理を行う(ステップS2719)。
【0236】
移動中継局503は、基地局603から量子化ビット数増加指示を受信した場合(ステップS2720:YES)、量子化ビット数増加指示に設定されている通信エリアに対応してエリア別量子化ビット数情報に記憶されている量子化ビット数を増加させる(ステップS2721)。移動中継局503は、基地局603から量子化ビット数増加指示を受信しない場合(ステップS2720:NO)、又は、ステップS2721の処理の後、ステップS2713からの処理を繰り返す。
【0237】
移動中継局503は、通常運用フェーズにおいて
図5のステップS311~ステップS313の処理を行い、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号を基地局603に送信する。
【0238】
図34は、基地局603の通常運用フェーズにおける基地局ダウンリンク信号受信処理を示すフロー図である。基地局603は、波形データが設定された基地局ダウンリンク信号を移動中継局503から受信する。基地局ダウンリンク信号に設定されている波形データは、
図33の処理により量子化ビット数が制御されている。基地局603は、
図32のステップS2611~ステップS2613と同様の処理を行う(ステップS2811~ステップS2813)。
【0239】
解析部682は、現在が周期Pであるか否かを判定する(ステップS2814)。解析部682は、周期Pであると判定した場合(ステップS2814:YES)、解析用波形データを記憶部681に書き込む(ステップS2815)。解析部682は、量子化ビット数が最大値である場合に周期Pと判定してもよい。解析用波形データは、移動中継局503の識別情報と、波形データに付与されていた受信時刻と、各アンテナ210のアンテナ識別情報と、各アンテナ210の受信波形データと、量子化ビット数と、通信エリアとを対応付けた情報である。解析部682は、移動中継局503の識別情報と、受信時刻と、各アンテナ210のアンテナ識別情報と、各アンテナ210の受信波形データと、量子化ビット数とを基地局ダウンリンク信号から読み出す。また、解析部682は、受信時刻に対応した通信エリアの情報を、移動中継局503の通信エリア情報から読み出す。基地局603は、ステップS2811からの処理を繰り返す。
【0240】
一方、解析部682は、周期Pではないと判定した場合(ステップS2814:NO)、復号成功率が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS2816)。解析部682は、復号成功率が閾値以上であると判定した場合(ステップS2816:YES)、ステップS2811からの処理を繰り返す。
【0241】
解析部682は、復号成功率が閾値に満たないと判定した場合(ステップS2816:NO)、記憶部681に記憶されている通信エリア情報から、その復号成功率が得られたときの受信時刻の情報に対応した通信エリアの情報を読み出す。解析部682は、読み出した通信エリアの情報を設定した量子化ビット数増加指示を基地局信号送信処理部460に出力する。解析部682は、量子化ビット数増加指示により、移動中継局503が生成する波形データのデータ量を増加させる。これにより、基地局603は、量子化ビット数増加指示が設定された基地局アップリンク信号を、移動中継局503に送信し(ステップS2817)、ステップS2811からの処理を繰り返す。
【0242】
移動中継局503は、ステップS2817において送信された基地局アップリンク信号を受信する(
図33のステップS2720:YES)。移動中継局503の基地局通信部260aは、基地局アップリンク信号の受信処理を行って、量子化ビット数増加指示を取得する。基地局通信部260aは、取得した量子化ビット数増加指示を伝送データ制御部580に出力する。
図33のステップS2721において、伝送データ制御部580の量子化ビット数決定部582は、量子化ビット数増加指示に設定されている通信エリアに対応してエリア別量子化ビット数情報に記憶されている量子化ビット数を所定数又は所定割合増加させる。基地局603の解析部682は、量子化ビット数増加指示に量子化ビット数を増加させる数や割合の情報を設定してもよい。量子化ビット数が段階的な値をとる場合、解析部682は、現在の段階よりも所定段階多い量子化ビット数に増加させる。また、解析部682は、同一の通信エリアについて復号成功率が閾値に満たなかった回数が所定回に達した場合に、量子化ビット数増加指示を送信してもよい。
【0243】
上記により、移動中継局503は、正確な所要量子化ビット数の把握のために、通常運用フェーズにおいても、1ヶ月に1回など定期的に最大の量子化ビット数によりサンプリングを行った波形データを基地局603に伝送する。基地局603又は地上の解析装置は、受信した波形データを信号に復元し、復元した信号の波形データを、量子化ビット数を変えながら生成する。基地局603は、各量子化ビット数の波形データを用いて受信処理を行い、所要量子化ビット数を解析する。1ヶ月に1回解析を行う場合、周期Pは、1か月におけるパス通過数である。
【0244】
図35は、基地局603による量子化ビット数の解析処理を示すフロー図である。基地局603は、周期Pにおける復号結果を用いて量子化ビット数の解析処理を行う。基地局603は、移動中継局503毎に、
図35の処理を行う。解析部682は、記憶部681から解析用波形データを読み出す(ステップS2911)。解析部682は、解析用波形データから各受信アンテナの波形データ及び量子化ビット数を読み出す。解析部682は、量子化ビット数に基づいて、各受信アンテナの波形データから信号波形を復元する(ステップS2912)。解析部682は、量子化ビット数qに初期値を設定する(ステップS2913)。
【0245】
解析部682は、ステップS2912により復元した各信号波形を量子化ビット数qでサンプリングし、波形データを生成する(ステップS2914)。解析部682は、生成した波形データ及び量子化ビット数を解析用受信処理部490に出力する。解析部682は、波形データに、その波形データが得られたアンテナ210のアンテナ識別情報を付与してもよい。解析用受信処理部490は、解析部682から入力した波形データ及び量子化ビット数を用いて、受信処理を実行する(ステップS2915)。すなわち、分配部491は、解析部682から受信した波形データをそれぞれ、周波数変換部492-1~492-Nに出力する。波形データにアンテナ識別情報が付与されている場合、分配部491は、アンテナ210-nのアンテナ識別情報が付与されている波形データを周波数変換部492-nに出力する。周波数変換部492はそれぞれ、量子化ビット数に基づいて、波形データから信号波形を復元する。周波数変換部492は、復元した信号波形が表す信号をRF信号からベースバンド信号に周波数変換し、周波数変換された受信信号を信号処理部493に出力する。信号処理部493は、周波数変換部492-1~492-Nのそれぞれから入力した受信信号に対して、フレーム検出(端末信号検出)、ドップラーシフト補償、及び、オフラインビーム制御等の処理を行って加算合成する。信号処理部443は、加算合成した受信信号のシンボルを端末信号復号部494に出力する。端末信号復号部494は、信号処理部493から入力したシンボルを復号し、端末送信データを得る。端末信号復号部494は、復号成功率を解析部682に通知する。
【0246】
解析部682は、量子化ビット数qが予め決められた最小値に達したという条件と、復号成功率が閾値以下であるという条件との少なくとも一方を満たしたか否かを判定する(ステップS2916)。解析部682は、いずれの条件も満たさないと判定した場合(ステップS2916:NO)、量子化ビット数qの値を、現在よりも小さな値に更新する(ステップS2917)。解析部682は、ステップS2914からの処理を繰り返す。
【0247】
ステップS2916において、解析部682は、量子化ビット数qが予め決められた最小値に達したという条件と、復号成功率が閾値以下であるという条件との一方又は両方を満たすと判定した場合(ステップS2916:YES)、ステップS2911において読み出した解析用波形データについて量子化ビット数を決定する(ステップS918)。例えば、解析部682は、復号成功率が閾値に満たない場合は、現在のqの直前に用いたqの値を量子化ビット数とし、復号成功率が閾値以上である場合は現在のqを量子化ビット数とする。解析部682は、決定した量子化ビット数の情報を、解析用波形データに付加する。
【0248】
解析部682は、記憶部681に記憶されている解析用波形データに、未処理のデータがあるか否かを判定する(ステップS2919)。解析部682は、未処理の解析用波形データがあると判定した場合(ステップS2919:YES)、ステップS2911からの処理を行う。そして、解析部682は、未処理の解析用波形データがないと判定した場合(ステップS2919:NO)、ステップS2920の処理を行う。
【0249】
解析部682は、同じ通信エリアが設定されている解析用波形データについて決定した量子化ビット数に基づいて、その通信エリアの量子化ビット数を決定する(ステップS2920)。例えば、解析部682は、同じ通信エリアが設定されている解析用波形データについて決定した量子化ビット数の平均、最大値、平均に所定数を加算した数、最大値に所定数を加算した数、平均を所定割合増加させた数、最大値を所定割合増加させた数などに決定してもよい。量子化ビット数が段階的な値をとる場合、解析部682は、上記のように計算された値を超え、かつ、計算された値に最も近い段階的な値を量子化ビット数とする。
【0250】
解析部682は、通信エリア毎に決定した量子化ビット数を示すエリア別量子化ビット制御数情報を生成する。解析部682は、移動中継局503のエリア別量子化ビット数情報を基地局信号送信処理部460に出力する。これにより、基地局603は、エリア別量子化ビット数情報が設定された基地局アップリンク信号を、移動中継局503に送信する(ステップS2921)。
【0251】
移動中継局503は、
図32のステップS2621~ステップS2623の処理を行う。すなわち、基地局通信部260aは、基地局アップリンク信号の受信処理を行って、エリア別量子化ビット数情報を取得する。伝送データ制御部580の量子化ビット数決定部582は、基地局通信部260aが取得したエリア別量子化ビット数情報を記憶部581に書き込む。
【0252】
第9の実施形態によれば、無線通信システムは、過去の実際の通信品質に基づいて、移動中継局の通信エリア毎の量子化ビット数を決定することができる。
【0253】
(第10の実施形態)
第10の実施形態では、移動中継局が基地局ダウンリンク信号により波形データを送信する前に、地上の多地点に設置した波形サンプリング装置で取得した波形データから地上IoT干渉信号の発生状況を解析して所要量子化ビット数を算出し、移動中継局に通知する。移動中継局は、通知された所要量子化ビット数によりサンプリングした端末アップリンク信号の波形データを、基地局ダウンリンク信号により送信する。第10の実施形態を、第7~第9の実施形態との差分を中心に説明する。
【0254】
図36は、第10の実施形態による無線通信システム114の構成図である。
図36において、
図19に示す第4の実施形態による無線通信システム104及び
図30に示す第9の実施形態による無線通信システム113と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム114は、移動中継局504と、端末局301と、基地局404と、波形サンプリング装置810と、解析装置830とを有する。移動中継局504は、
図1の移動中継局2として用いられる。
【0255】
移動中継局504が
図30に示す移動中継局503と異なる点は、伝送データ制御部580に代えて、伝送データ制御部585を備える点である。伝送データ制御部585が、伝送データ制御部580と異なる点は、量子化ビット数決定部582に代えて、量子化ビット数決定部587を備える点である。量子化ビット数決定部587は、記憶部581に記憶される通信エリア情報から各時刻における通信エリアを読み出し、記憶部581に記憶されるエリア別量子化ビット数情報から通信エリアに対応した量子化ビット数の情報を読み出す。
【0256】
解析装置830は、移動中継局504の通信エリア又はその通信エリアの周辺に設置されている波形サンプリング装置810から受信した波形データに基づいて、通信エリアに発生する干渉を検出する。解析装置830は、干渉の強さと、量子化ビット数の関係とを示す計算式又は関係データを予め記憶している。解析装置830は、検出した干渉と、記憶している計算式又は関係データとに基づいて量子化ビット数を決定する。解析装置830は、通信エリアと、その通信エリアについて決定した量子化ビット数とを設定した量子化ビット数通知情報を基地局404に通知する。基地局404は、解析装置830から受信した量子化ビット数通知情報を設定した基地局アップリンク信号を移動中継局504に送信する。
【0257】
移動中継局504は、
図32のステップS2621~ステップS2622の処理を行う。すなわち、基地局通信部260aは、基地局アップリンク信号の受信処理を行って、量子化ビット数通知情報を取得する。量子化ビット数決定部587は、基地局通信部260aが基地局アップリンク信号から取得した量子化ビット数通知情報に基づいて、記憶部581に記憶されているエリア別量子化ビット数情報を更新する。
【0258】
無線通信システム114は、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図3と同様に動作し、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図5と同様に動作する。また、無線通信システム114は、以下の点を除いて、第7の実施形態の
図23と同様の伝送データ制御処理を行う。すなわち、ステップS2102~ステップS2103の処理に代えて、
図33のステップS2714と同様の処理により、量子化ビット数決定部587が、量子化ビット数を決定する処理を行う。具体的には、量子化ビット数決定部587は、現在時刻における通信エリアの情報を、記憶部581に記憶されるエリア情報から取得する。さらに、量子化ビット数決定部587は、読み出した通信エリアにおける量子化ビット数を、記憶部581に記憶されているエリア別量子化ビット数情報から読み出す。
【0259】
第10の実施形態によれば、地上における実際の観測結果に基づいて、移動中継局の所要量子化ビット数を決定することができる。
【0260】
(第11の実施形態)
第11の実施形態では、無線通信システムは、移動中継局が到来方向推定処理を行い、到来信号の数や方向の粗推定結果に基づいて、量子化ビット数を制御する。第11の実施形態を、第7~第10の実施形態との差分を中心に説明する。
【0261】
図37は、第11の実施形態の移動中継局505の構成図である。
図37において、
図20に示す第5の実施形態による移動中継局205及び
図22に示す第7の実施形態による移動中継局501と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。移動中継局505は、
図1の移動中継局2として用いられる。
【0262】
移動中継局505が、
図22に示す移動中継局501と異なる点は、伝送データ制御部540に代えて伝送データ制御部590を備える点である。また、アンテナ210の数Nは2以上の整数である。伝送データ制御部590は、推定部291と、量子化ビット数決定部592と、量子化ビット数指示部543とを備える。
【0263】
推定部291は、受信部221-1~221-Nのそれぞれが受信した端末アップリンク信号に基づいて、信号の到来方向と信号を送信した端末数とを推定する。量子化ビット数決定部592は、推定部291による推定結果に基づいて、量子化ビット数を決定する。量子化ビット数決定部592は、信号の到来方向及び端末数をパラメータに用いて量子化ビット数を算出するための計算式に、推定結果を代入することにより、量子化ビット数を決定する。計算式は、予め定義される。端末数が多いほど、移動中継局505における受信品質は低下するため、量子化ビット数が多い。また、到来方向により表される仰角が大きいほど、移動中継局505における受信品質は良好であるため、量子化ビット数は少なくてよい。
【0264】
第11の実施形態の無線通信システムは、端末送信データが設定された端末アップリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図3と同様に動作し、受信波形情報を設定した基地局ダウンリンク信号の送受信については第1の実施形態の
図5と同様に動作する。また、第11の実施形態の無線通信システムは、以下の点を除いて、第7の実施形態の
図23と同様の伝送データ制御処理を行う。すなわち、ステップS2102~ステップS2103の処理に代えて、以下の処理を行う。推定部291は、受信部221-1~221-Nのそれぞれが受信した端末アップリンク信号に基づいて、信号の到来方向と信号を送信した端末数とを推定する。量子化ビット数決定部592は、推定部291による推定結果に基づいて、受信アンテナ数を決定する。
【0265】
第11の実施形態によれば、移動中継局において推定した受信状態に基づいて、量子化ビット数を制御することができる。
【0266】
(第12の実施形態)
第12の実施形態では、移動中継局が量子化ビット数を制御して生成した受信波形情報を基地局ダウンリンク信号により送信するために用いる送信アンテナの数を制御する。第12の実施形態を、上述した第7~第11の実施形態との差分を中心に説明する。
【0267】
図38は、第12の実施形態の移動中継局506を示す図である。移動中継局506は、アンテナ210-1~210-Nと、端末通信部520と、データ記憶部230と、伝送データ制御部595と、送信アンテナ制御部596と、基地局通信部297と、M本のアンテナ270とを備える。
【0268】
伝送データ制御部595は、上述した第7~第11の実施形態の伝送データ制御部540、540a、545、580、585、590である。送信アンテナ制御部596は、伝送データ制御部595が決定した量子化ビット数に対応した送信アンテナ数を決定する。基地局通信部297は、基地局通信部260又は基地局通信部260aである。
【0269】
送信アンテナ制御部596は、例えば、伝送データ制御部540が決定した受信時刻tにおける量子化ビット数に対応した送信アンテナ数を、予め決められた量子化ビット数と送信アンテナ数との対応関係に基づいて決定する。送信アンテナ制御部596は、M本のアンテナ270から、決定した送信アンテナ数のアンテナ270を選択する。選択されたアンテナ270を、選択送信アンテナと記載する。例えば、送信アンテナ制御部596は、選択送信アンテナにより形成される領域がなるべく広く、かつ、その領域における選択送信アンテナの密度が均等に近くなるように、送信アンテナ数のアンテナ270を選択する。送信アンテナ制御部596は、基地局通信部297が受信時刻tの受信波形情報を基地局ダウンリンク信号で送信する際に、受信時刻tの送信アンテナ数m(mは1以上M以下の整数)及び選択送信アンテナを基地局通信部297に通知する。基地局通信部297は、第6の実施形態と同様に動作し、選択送信アンテナのアンテナ270から基地局ダウンリンク信号を送信する。
【0270】
また、移動中継局506と
図24に示す基地局601又は
図28に示す基地局602が通信する場合、基地局601の量子化ビット数決定部652又は基地局602の量子化ビット数決定部657は、予め決められた量子化ビット数と送信アンテナ数との対応関係に基づいて、各受信時刻tの量子化ビット数に対応した送信アンテナ数を決定してもよい。あるいは、量子化ビット数決定部652又は量子化ビット数決定部657は、各受信時刻tの量子化ビット数に対応した送信アンテナ数を決定し、決定した送信アンテナ数の選択送信アンテナを決定してもよい。量子化ビット数決定部652、657は、移動中継局506に送信する量子化ビット数制御情報に、各受信時刻tの送信アンテナ数又は選択送信アンテナをさらに設定する。送信アンテナ制御部596は、基地局通信部297が受信時刻tの受信波形情報を基地局ダウンリンク信号で送信する際に、量子化ビット数制御情報から受信時刻tの送信アンテナ数又は選択送信アンテナを読み出す。送信アンテナ制御部596は、送信アンテナ数を読み出した場合は、その送信アンテナ数の選択送信アンテナを決定する。送信アンテナ制御部596は、受信時刻tの送信アンテナ数及び選択送信アンテナを基地局通信部297に通知する。
【0271】
また、移動中継局506と
図30に示す基地局603が通信する場合、基地局603の解析部682は、エリア毎の量子化ビット数に対応した送信アンテナ数を決定してもよく、量子化ビット数に対応した送信アンテナ数の選択送信アンテナを決定してもよい。解析部682は、量子化ビット数に応じて決定した送信アンテナ数又は選択送信アンテナの情報をエリア別量子化ビット数情報に設定してもよい。
【0272】
また、移動中継局506と
図36に示す基地局404が通信する場合、解析装置830は、量子化ビット数に対応した送信アンテナ数を決定してもよく、量子化ビット数に対応した送信アンテナ数の選択送信アンテナを決定してもよい。解析装置830は、量子化ビット数に応じて決定した送信アンテナ数又は選択送信アンテナの情報を量子化ビット数通知情報に設定してもよい。送信アンテナ制御部596は、基地局通信部297が受信時刻tの受信波形情報を基地局ダウンリンク信号で送信する際に、エリア別量子化ビット数情報から受信時刻tの通信エリアに対応した送信アンテナ数又は選択送信アンテナをエリア別量子化ビット数情報から読み出す。送信アンテナ制御部596は、送信アンテナ数を読み出した場合は、その送信アンテナ数の選択送信アンテナを決定する。送信アンテナ制御部596は、受信時刻tの送信アンテナ数及び選択送信アンテナを基地局通信部297に通知する。
【0273】
第12の実施形態によれば、移動中継局が基地局ダウンリンク信号を送信する際に不要なMIMO送信系の電源をオフにするため、さらに消費電力を抑えることが可能になる。
【0274】
(第13の実施形態)
上記の実施形態においては、端末アップリンク信号の周波数変換を基地局で行っている。本実施形態では、移動中継局において周波数変換を行う。移動中継局は、周波数変換された端末アップリンク信号の波形データを基地局に送信する。
【0275】
図39は、無線通信システム101bの構成図である。ここでは、無線通信システム101bと、第1の実施形態の無線通信システム101との差分を説明するが、同様の差分を第1の実施形態の無線通信システム101a、及び、第2~第6の実施形態の無線通信システムに適用可能である。
図39において、
図2に示す無線通信システム101と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム101bは、移動中継局201bと、端末局301と、基地局401bとを有する。移動中継局201bは、
図1の移動中継局2として用いられ、基地局401bは、
図1の基地局4として用いられる。
【0276】
図39に示す移動中継局201bが、
図2に示す移動中継局201と異なる点は、端末通信部220に代えて端末通信部220bを備える点と、伝送データ制御部240に代えて伝送データ制御部240bを備える点である。端末通信部220bは、N個の受信部221と、N個の周波数変換部223と、N個の受信波形記録部224とを備える。受信部221-nと接続される周波数変換部223を周波数変換部223-nと記載し、周波数変換部223-nと接続される受信波形記録部224を受信波形記録部224-nと記載する。
【0277】
周波数変換部223-nは、受信部221-nが受信した端末アップリンク信号をRF信号からベースバンド信号に周波数変換する。受信波形記録部224-nは、周波数変換部223-nが周波数変換した端末アップリンク信号の波形をサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部224-nは、アンテナ210-nのアンテナ識別情報と、アンテナ210-nにおける端末アップリンク信号の受信時刻と、生成した波形データとを設定した受信波形情報をデータ記憶部230に書き込む。
【0278】
伝送データ制御部240bと、伝送データ制御部240とが異なる点は、受信制御部244に代えて受信制御部244bを備える点である。受信制御部244bは、選択受信アンテナ以外のアンテナ210-nに対応した受信部221-n、周波数変換部223-n及び受信波形記録部224-nの動作を停止する。
【0279】
基地局401bが、
図2に示す基地局401と異なる点は、端末信号受信処理部440に代えて端末信号受信処理部440bを備える点である。端末信号受信処理部440bは、分配部441bと、信号処理部443と、端末信号復号部444とを備える。分配部441bは、受信波形情報から同じ受信時刻の各受信アンテナの波形データを読み出し、読み出した波形データが表す受信信号を信号処理部443に出力する。
【0280】
図3のステップS122において、移動中継局201bの周波数変換部223-nは、受信部221-nが受信した端末アップリンク信号をRF信号からベースバンド信号に周波数変換する。受信波形記録部224-nは、周波数変換部223-nが周波数変換した端末アップリンク信号の波形をサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部224-nは、アンテナ210-nのアンテナ識別情報と、アンテナ210-nにおける端末アップリンク信号の受信時刻と、生成した波形データとを設定した受信波形情報をデータ記憶部230に書き込む。
【0281】
また、
図5のステップS323において、基地局401bの分配部441bは、受信波形情報から受信時刻が同じ波形データを読み出す。分配部441bは、読み出した波形データを、その波形データに対応付けられたアンテナ識別情報を付加して信号処理部443に出力する。信号処理部443に受信信号が入力された以降の処理は上述した実施形態と同様である。
【0282】
なお、
図13に示す第3の実施形態の基地局403が端末信号受信処理部440に代えて端末信号受信処理部440bを備える場合、解析用受信処理部490は、周波数変換部492を備えない。分配部491は、解析部482から受信した波形データを信号処理部493へ出力する。
【0283】
図40は、無線通信システム111bの構成図である。ここでは、無線通信システム111bと、第7の実施形態の無線通信システム111との差分を説明するが、同様の差分を第7の実施形態の無線通信システム111a、及び、第8~第12の実施形態の無線通信システムに適用可能である。
図40において、
図22に示す無線通信システム111及び
図39に示す無線通信システム101bと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム111bは、移動中継局501bと、端末局301と、基地局401bとを有する。移動中継局501bは、
図1の移動中継局2として用いられる。
【0284】
移動中継局501bは、アンテナ210-1~210-Nと、端末通信部520bと、データ記憶部230と、伝送データ制御部540bと、基地局通信部260と、M本のアンテナ270とを備える。
【0285】
端末通信部520bは、N個の受信部221と、N個の周波数変換部223と、N個の受信波形記録部524とを備える。受信部221-nと接続される周波数変換部223を周波数変換部223-nと記載し、周波数変換部223-nと接続される受信波形記録部524を受信波形記録部524-nと記載する。
【0286】
受信波形記録部524-nは、周波数変換部223-nが周波数変換した端末アップリンク信号の波形を、伝送データ制御部540bから指示された量子化ビット数によりサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部524-nは、アンテナ210-nのアンテナ識別情報と、アンテナ210-nにおける端末アップリンク信号の受信時刻と、生成した波形データとを設定した受信波形情報をデータ記憶部230に書き込む。
【0287】
伝送データ制御部540bと、伝送データ制御部540とが異なる点は、量子化ビット数指示部543に代えて量子化ビット数指示部543bを備える点である。量子化ビット数指示部543bは、量子化ビット数決定部542が決定した量子化ビット数により波形データをサンプリングするよう端末通信部520bの受信波形記録部524に指示する。受信波形記録部524-nは、周波数変換部223-nが周波数変換した端末アップリンク信号を、量子化ビット数指示部543bから指示された量子化ビット数によりサンプリングし、波形データを生成する。
【0288】
図3のステップS122において、移動中継局501bの周波数変換部223-nは、受信部221-nが受信した端末アップリンク信号をRF信号からベースバンド信号に周波数変換する。受信波形記録部224-nは、周波数変換部223-nが周波数変換した端末アップリンク信号の波形をサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部524-nは、アンテナ210-nのアンテナ識別情報と、アンテナ210-nにおける端末アップリンク信号の受信時刻と、生成した波形データとを設定した受信波形情報をデータ記憶部230に書き込む。
【0289】
なお、
図30に示す第9の実施形態の基地局603が端末信号受信処理部440に代えて端末信号受信処理部440bを備える場合、解析用受信処理部490は、周波数変換部492を備えない。分配部491は、解析部482から受信した波形データを信号処理部493へ出力する。
【0290】
本実施形態によれば、移動中継局は、周波数変換後の端末アップリンク信号の波形データを記録するため、波形データのデータ量を低減することができる。従って、第1~第12の実施形態と比較して、基地局ダウンリンク信号のデータ量を低減することができる。
【0291】
移動中継局201、201a、201b、202、203、204、205、206、501、501a、501b、502、503、504、505、506のハードウェア構成例を説明する。
図41は、移動中継局201、201a、201b、202、203、204、205、206、501、501a、501b、502、503、504、505、506のハードウェア構成例を示す装置構成図である。移動中継局201、201a、201b、202、203、204、205、206、501、501a、501b、502、503、504、505、506は、プロセッサ901と、記憶部902と、通信インタフェース903と、ユーザインタフェース904とを備える。
【0292】
プロセッサ901は、演算や制御を行う中央演算装置である。プロセッサ901は、例えば、CPU(central processing unit)である。記憶部902は、各種メモリやハードディスクなどの記憶装置である。プロセッサ901が記憶部902からプログラムを読み出して実行することにより、伝送データ制御部240、240a、240b、245、280、285、290、540、540a、540b、545、580、585、590、595、及び、送信アンテナ制御部596が実現される。伝送データ制御部240、240a、240b、245、280、285、290、540、540a、540b、545、580、585、590、595、及び、送信アンテナ制御部596の機能の一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。記憶部902は、さらに、プロセッサ901が各種プログラムを実行する際のワークエリアなどを有する。通信インタフェース903は、他装置と通信可能に接続するものである。通信インタフェース903は、端末通信部220、220b、520、520b、及び、基地局通信部260、260a、297に相当する。ユーザインタフェース904は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の入力装置や、ディスプレイなどの表示装置である。ユーザインタフェース904により、人為的な操作が入力される。
【0293】
基地局401、401a、401b、402、403、404、601、602、603のハードウェア構成も
図41と同様である。プロセッサ901が記憶部902からプログラムを読み出して実行することにより、制御情報生成部450、455、655、及び、指示部480、680が実現される。通信インタフェース903は、受信部420、基地局信号受信処理部430、端末信号受信処理部440、440b、基地局信号送信処理部460、送信部470に相当する。
【0294】
また、解析装置820、830のハードウェア構成も
図41と同様である。通信インタフェース903は、波形サンプリング装置810及び基地局404と通信する。
【0295】
以上説明した実施形態によれば、中継装置が移動しながら受信したデータを中継する際のデータ量を低減することが可能となる。なお、上記実施形態において、移動中継局が搭載される移動体は、LEO衛星である場合を説明したが、静止衛星、ドローンやHAPSなど上空を飛行する他の飛行体であってもよい。
【0296】
上述した実施形態によれば、無線通信システムは、第一通信装置と、第二通信装置と、移動する中継装置とを有する。例えば、第一通信装置は、端末局3、301であり、第二通信装置は、基地局4、401、401a、401b、402、403、404、601、602、603であり、中継装置は、移動中継局201、201a、201b、202、203、204、205、206、501、501a、501b、502、503、504、505、506である。
【0297】
中継装置は、第一信号受信部と、第二信号送信部と、伝送データ制御部とを備える。例えば、第一信号受信部は、端末通信部220、220b、520、520bであり、第二信号送信部は、基地局通信部260、260a、297であり、伝送データ制御部は、伝送データ制御部240、240a、240b、245、280、285、290、295、540、540a、540b、545、580、585、590、595である。第一信号受信部は、第一通信装置が送信した無線の第一信号を受信アンテナにより受信し、受信アンテナが受信した第一信号の波形データを取得する。第二信号送信部は、第一信号受信部が取得した記波形データを第二信号により第二通信装置に送信する。伝送データ制御部は、第一信号を受信した中継装置位置における中継装置と第一通信装置との間の通信品質に関する情報に基づいて、第一信号受信部が生成する波形データのデータ量を制御する。
【0298】
第二通信装置は、第二信号受信部と、第二信号受信処理部と、第一信号受信処理部とを備える。例えば、第二信号受信部は、受信部420であり、第二信号受信処理部は、基地局信号受信処理部430であり、第一信号受信処理部は、端末信号受信処理部440、440bである。第二信号受信部は、中継装置から送信された第二信号を受信する。第二信号受信処理部は、第二信号受信部が受信した第二信号の受信処理を行って波形データを取得する。第一信号受信処理部は、第二信号受信処理部が取得した波形データが示す第一信号の受信処理を行って、第一通信装置が第一信号に設定したデータを取得する。
【0299】
伝送データ制御部は、波形データの生成に用いられる量子化ビット数を変更することにより第一信号受信部が生成する波形データのデータ量を制御してもよい。
【0300】
また、伝送データ制御部は、複数の受信アンテナのうち波形データを得る対象の受信アンテナの数を増減することにより、第一信号受信部が生成する波形データのデータ量を制御してもよい。この場合、伝送データ制御部は、第一信号の波形データを得る対象の受信アンテナを、選択された受信アンテナ間の距離が広くなるように選択する。
【0301】
通信品質に関する情報は、中継装置と通信する第一通信装置が設置されているエリア内の所定位置から中継装置位置に対する仰角の情報でもよく、中継装置と通信する第一通信装置が設置されているエリアの人口密度の情報でもよい。また、通信品質に関する情報は、過去に受信アンテナにより受信した第一信号を、第一信号受信処理部において受信処理した際に得られる第一信号の受信品質の情報でもよい。また、通信品質に関する情報は、測定装置により測定された干渉信号の情報でもよい。通信品質に関する情報は、複数の受信アンテナそれぞれが受信した第一信号に基づいて推定される第一通信装置の数と第一信号の到来方向との一方又は両方でもよい。
【0302】
第二通信装置は、指示部をさらに備えてもよい。指示部は、第一信号受信処理部における受信処理の際に通信品質の低下を検出した場合に、波形データのデータ量の増加指示を中継装置に指示する。例えば、指示部は、解析部482、682であり、波形データのデータ量の増加指示は、受信アンテナ数増加指示又は量子化ビット数増加指示である。
【0303】
無線通信システムは、制御量決定部をさらに備えてもよい。例えば、制御量決定部は、アンテナ数決定部242、247、282、287、292、452、457、解析部482、682、量子化ビット数決定部542、547、582、587、592、652、657、解析装置820、830である。制御量決定部は、中継装置位置における中継装置と第一通信装置との間の通信品質の情報に基づいて、中継装置位置において第一信号受信部が生成する波形データのデータ量を伝送データ制御部が制御するための制御値を決定する。制御量は、アンテナ数又は量子化ビット数である。
【0304】
伝送データ制御部は、所定タイミングにおいて、その所定タイミングの中継装置位置における中継装置と第一通信装置との間の通信品質に関する情報に応じた波形データ量よりも多い波形データ量の波形データを生成するよう第一信号受信部を制御する。制御量決定部は、第二信号受信処理部が第二信号の受信処理を行って得られた所定タイミングにおける波形データに基づいて、所定タイミングの中継装置位置に応じた制御値を決定する。制御量決定部は、例えば、解析部482、682である。
【0305】
第二信号送信部は、複数の送信アンテナにより無線の前記第二信号を送信してもよい。この場合、中継装置は、送信アンテナ制御部をさらに備えてもよい。送信アンテナ制御部は、第二信号により送信する波形データのデータ量に応じた送信アンテナ数の送信アンテナにより第二信号を送信するよう第二信号送信部を制御する。
【0306】
なお、中継装置は、低軌道衛星などの飛行体に備えられてもよい。第一通信装置及び第二通信装置は、地球上に設置されてもよい。
【0307】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0308】
1、101、101a、101b、102、102a、103、104、111、111a、111b、112、112a、113、114…無線通信システム,
2、201、201a、201b、202、203、204、205、206、501、501a、501b、502、503、504、505、506…移動中継局,
3、301…端末局,
4、401、401a、401b、402、403、404、601、602、603…基地局,
210-1~210-N、270、330…アンテナ,
220、220b、520、520b…端末通信部,
221-1~221-N、265、420…受信部,
222-1~222-N、224-1~224-N、522-1~522-N、524-1~524-N…受信波形記録部,
223-1~223-N、442-1~442-N、492-1~492-N…周波数変換部,
230、310…データ記憶部,
240、240a、240b、245、280、285、290、295、540、540a、540b、545、580、585、590、595…伝送データ制御部,
241、241a、246、261、261a、281、298、451、456、481、541、541a、546、581、651、656、681、902…記憶部,
242、247、282、287、292、452、457…アンテナ数決定部,
243、453…アンテナ選択部,
244、244a、244b…受信制御部,
260、260a、297…基地局通信部,
262、262a、299…制御部,
263…送信データ変調部,
264、320、470…送信部,
266…受信処理部,
281…記憶部,
291…推定部,
296、596…送信アンテナ制御部,
410…アンテナ局,
430…基地局信号受信処理部,
440、440b…端末信号受信処理部,
441、441b、491…分配部,
443、493…信号処理部,
444、494…端末信号復号部,
450、455、650、655…制御情報生成部,
460…基地局信号送信処理部,
480、680…指示部,
482、682…解析部,
490…解析用受信処理部,
542、547、582、587、592、652、657…量子化ビット数決定部,
543、543a、543b…量子化ビット数指示部,
810…波形サンプリング装置,
820、830…解析装置,
901…プロセッサ,
903…通信インタフェース,
904…ユーザインタフェース