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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20241023BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20241023BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20241023BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/02
A61K8/06
A61Q19/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020085136
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021178796
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】福寿 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】吉村 典子
(72)【発明者】
【氏名】有福 直樹
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-523938(JP,A)
【文献】特開2018-177620(JP,A)
【文献】特開2018-143242(JP,A)
【文献】特表2020-503337(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198737(WO,A1)
【文献】特開2014-070025(JP,A)
【文献】特開2014-218433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C01B 33/00-33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー回折法で測定した体積基準のメジアン径が1~30μmであり、細孔容積が3~6ml/g、細孔半径のピーク値が10~40nm、比表面積が350~1000m /gである疎水性球状シリカエアロゲルを含む事を特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
前記疎水性球状シリカエアロゲルの含有割合が0.01~2.0質量%である請求項1記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型乳化化粧料に関する。更に詳しくは、使用感触に優れ、化粧持ちが良い水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
乳化化粧料には、水中油型化粧料と油中水型化粧料がある。水中油型化粧料は、水相の中に油相の液滴が分散しており、肌と直接触れるのは水相であるため、みずみずしい触感が得られ、化粧落しも容易であるという特徴を有する。その反面、汗や皮脂で流れやすく、化粧持ちが良くないという課題がある。化粧持ちを改善された水中油型化粧料として、特許文献1~4では、特定の組成を有する化粧料が提案されているが、未だ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-16587
【文献】特開2018-62467
【文献】特開2018-172305
【文献】特開2018-95637
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の目的は、みずみずしい触感を維持しつつ、化粧持ちが改善された水中油型化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するための手段として、皮脂の吸収と撥水性の付与を目的として、疎水性の球状多孔質シリカを水中油型化粧料に添加することを検討した。その結果、化粧持ちの改善は見られたが、別の課題として配合されたシリカに由来して白浮きが多く見られるようになった。そこでさらに、疎水性の球状多孔質シリカとして、空隙率の高いシリカエアロゲルを用いると、添加量を半分以下にしても化粧持ちを改善することができ、且つシリカに起因した白浮きを少なく抑えることが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
即ち本発明は、レーザー回折法で測定した体積基準のメジアン径が1~30μmであり、細孔容積が3~6ml/g、細孔半径のピーク値が10~40nm、比表面積が350~1000m /gである疎水性球状シリカエアロゲルを含む事を特徴とする水中油型乳化化粧料である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、みずみずしい使用感を維持しつつ、化粧持ちが良好である水中油型化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明がこれらの形態に限定されるものではない。また、特に断らない限り、数値範囲について「A~B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。かかる表記において数値Bのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Aにも適用されるものとする。
【0009】
本発明の水中油型乳化化粧料に含まれる疎水性球状シリカエアロゲルは公知のものでよく、例えば、特開2018-177620号公報記載の方法により製造したものを使用することができる。
【0010】
本発明で用いる球状シリカエアロゲルは、レーザー回折式測定による体積頻度の粒度分布におけるメジアン径(以下、単に「メジアン径」と記す場合がある)が1~30μmの範囲である。当該疎水性シリカエアロゲルのメジアン径がこの範囲にあることで、外観保持性が良く、滑らかな触感の化粧料を得ることができる。また、当該メジアン径は1~20μmの範囲にあることが好ましく、5~20μmが特に好ましい。
【0011】
本発明で用いる球状シリカエアロゲルは疎水性である。疎水性であるどうかについては、50mlのガラス製のサンプル瓶に25mlの水を入れ、0.1gのシリカエアロゲルを添加して良く振り混ぜた後に、当該シリカエアロゲルが、水に馴染まないことで確認できる。
【0012】
上記球状シリカエアロゲルの疎水性の程度は、M値により測定することができる。当該M値の測定方法は、次の通りである。球状シリカエアロゲル0.2gを容量250mLのビーカー中の50mLの水に添加し、メタノールをビュレットから徐々に滴下する。この際ビーカー内の溶液をマグネティックスターラーで常時攪拌しておく。添加した球状シリカエアロゲル粉末の全量が液中に懸濁された時点を終点とし、終点におけるビーカーの液体混合物のメタノールの容量百分率(%)がM値となる。
【0013】
上記球状シリカエアロゲルの疎水性の指標であるM値は、20~60、好ましくは、30~50であることが好ましい。M値がこの範囲にあることで、化粧料を塗った後に形成される被膜に対して撥水性を与えることが可能となり、被膜が汗で流れ落ちることを抑制することが可能となる。
【0014】
上記球状シリカエアロゲルにおいて、疎水性が付与される態様の具体例としては、シリル化剤で処理されていることにより、表面に有機シリル基が導入された形態を挙げることができる。当該有機シリル基としては前記したM値の範囲となりやすい点でトリメチルシリル基であることが好適である。
【0015】
上記シリル化剤の具体例としては、クロロトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、トリクロロメチルシラン等のクロロシラン類、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン等のシラザン類、ヘキサメチルシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等のシロキサン類、シロキサンオクタメチルシクロテトラシラザン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサンなどが挙げられる。そのうち、M値を前記した範囲に制御しやすい点で、クロロトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、トリクロロメチルシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサンが特に好ましい。一般的には、上記シリル化剤とシリカエアロゲル表面のシラノール基とが反応し、シリカエアロゲルの表面に対応する疎水基が導入される。
【0016】
本発明で用いる疎水性球状シリカエアロゲルは、細孔容積が3~6mL/gであることが好ましい。下限値は、3.5mL/g以上、特に、4mL/g以上であることがより好ましい。また、上限は6mL/g以下であることがより好ましい。細孔容積は高いほど好ましいが、6mL/gを超えて大きいものを得ることは困難である。
【0017】
上記細孔容積は、上記のBET比表面積測定の際と同様に吸着等温線を取得し、BJH法(Barrett, E. P.; Joyner, L. G.; Halenda, P. P., J. Am. Chem. Soc. 73, 373 (1951)により解析して得られたものである(以下、「BJH細孔容積」ということがある。)。当該方法により測定される細孔は、半径1~100nmの細孔であり、この範囲の細孔の容積の積算値が本発明における細孔容積となる。
【0018】
本発明で用いる疎水性シリカエアロゲルは、その細孔半径のピークは、10~40nm、更には10~30nmのものが推奨される。細孔半径のピークがこの範囲にシャープに存在していることにより、疎水性シリカエアロゲルの透明性が高くなる傾向にあり、化粧品添加した場合に白浮きを起こし難くなる。
【0019】
上記細孔径の分布がシャープである疎水性シリカエアロゲルは、細孔半径が5~50nm、特に、10~40nmの範囲内に70%以上が存在することが一般的である。
【0020】
尚、本発明において、細孔半径のピーク、及び範囲は、前記と同様に取得した吸着側の吸着等温性をBJH法によって解析して得られる、細孔半径の対数による累積細孔容積(体積分布曲線)より求めたものである。
【0021】
本発明において、上記特徴的細孔を有する球状シリカエアロゲルのBET法による比表面積(BET比表面積)は、一般に、350~1000m/gであり、好ましくは、400~850m/gである。
【0022】
ここで、上記BET法による比表面積は、測定対象のサンプルを、1kPa以下の真空下において、200℃の温度で3時間以上乾燥させ、その後、液体窒素温度における窒素の吸着側のみの吸着等温線を取得し、BET法により解析して求めた値である。
【0023】
本発明において、前記疎水性シリカエアロゲルは、前述のとおり比表面積、細孔容積共に大きいため、その吸油量は、通常、200mL/100g以上を有する。より好ましい吸油量は300mL/100g以上であり、さらには350mL/100g以上、特に好ましくは400mL/100g以上である。上限は特に限定されるものではないが、粒子強度を考慮すると800mL/100g以下であることが好ましく、700mL/100g以下であることがより好ましい。当該吸油量は、JIS K5101-13-1「精製あまに油法」記載の方法により測定した値である。
【0024】
本発明において、疎水性球状シリカエアロゲルの粒子形状は特に制限されないが、その平均円形度が0.8以上であることが好ましく、特に、0.85以上であることが好ましい。
【0025】
上記「平均円形度」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、二次電子検出、低加速電圧(1kV~3kV)、倍率1000倍で観察したSEM像を得、個々の粒子について下記式(1)によって定義される値C(円形度)を求め(画像解析)、この円形度Cを2000個以上の粒子について相加平均値として出した値である(画像解析法)。この際、一個の凝集粒子を形成している粒子群は1粒子として計数する。
【0026】
C=4πS/L (1)
上記式(1)において、Sは当該粒子が画像中に占める面積(投影面積)を表す。Lは画像中における当該粒子の外周部の長さ(周囲長)を表す。
【0027】
上記平均円形度が0.8より大きくなって1に近くなるほど、個々の粒子は真球に近い形状となり、凝集粒子も少なくなる。よって平均円形度が高ければ化粧料添加剤として利用したときにローリング性が良くなり、優れた触感が得られる。
【0028】
本発明の水中油型乳化化粧料において、疎水性球状シリカエアロゲルの配合量は、0.01~2.0質量%であることが好ましく、更には、0.03~0.5質量%であることが好ましい。配合量がこの範囲よりも小さい場合には、化粧持ちを改善する効果が現れにくく、この範囲を超えて大きい場合には、白浮きが見られる傾向にある。
【0029】
本発明の化粧料は、水中油型のものである。即ち、水相からなるマトリックス中に、油相からなる液滴が分散した状態をもつ。ここで、前記疎水性球状シリカアエロゲルは、油相側に存在していてもよいし、水相側に存在していてもよく、両相に存在していてもよい。なお、当該シリカアエロゲルは疎水性であるが、本発明の化粧料の成分として界面活性剤あるいはこれと同様の作用を呈する成分が配合されている場合、水相側にも存在しうる。
【0030】
本発明の水中油型乳化化粧料において、疎水性球状シリカエアロゲル以外の成分としては、水中油型乳化化粧料の含有成分として公知の成分を、当該化粧料の目的・用途に合わせて特に限定なく含有することができる。当該成分としては水に加え、油相を形成する各種成分が挙げられる。主に油相に存在してこれを形成する成分としては、油脂、炭化水素、脂肪酸および有機酸、エーテル、エステル、シリコーン油、フッ素油等が挙げられる。また、これら以外の成分としては、アルコール、多価アルコール、糖類、高分子、界面活性剤、粉体、色材、植物・海藻エキス、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、紫外線防御剤、殺菌・防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、香料等が挙げられる。これらの成分は、通常は複数の組み合わせで用いられる。
【0031】
上記油脂としては、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サンフラワー油、大豆油、トウモロコシ胚芽油、ナタネ油、バーシック油、パーム核油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ブドウ種子油、綿実油等が挙げられ、本発明の水中油型乳化化粧料の油相形成成分として配合することができる。
【0032】
また、前記の炭化水素としては、α―オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、スクワラン、セレシン、パラフィン、フィルネサン等が挙げられ、本発明の水中油型乳化化粧料の油相形成成分として配合することができる
また、前記の脂肪酸および有機酸としては、オレイン酸、イソステアリン酸、乳酸等が挙げられ、本発明の水中油型乳化化粧料の油相形成成分として配合することができる。
【0033】
また、前記のアルコールとしては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、防腐剤等の目的で本発明の水中油型乳化化粧料に配合することができる。
【0034】
また、前記のエーテルとしては、ジイソノニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アルキルグリセリルエーテルバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられ、本発明の水中油型乳化化粧料の油相形成成分として配合することができる。
【0035】
また、前記エステルとしては、直鎖脂肪酸と低級アルコールのエステルであるオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等、直鎖脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステルであるパルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミルスチル等、直鎖脂肪酸と分岐高級アルコールとのエステルであるミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル等、直鎖脂肪酸と多価アルコールとのエステルである中鎖脂肪酸トリグリセリド等、分岐脂肪酸と低級アルコールのエステルであるイソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル等、分岐脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステルである2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸ステアリル等、分岐脂肪酸と分岐高級アルコールとのエステルであるイソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル等、水酸基をもつ脂肪酸とアルコールとのエステルである乳酸ミルスチル、乳酸セチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル等、二塩基酸とアルコールとのエステルであるアジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル等、脂肪酸とステロール類のエステルであるヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル等が挙げられ、本発明の水中油型乳化化粧料の油相形成成分として配合することができる。また、上記のエステルのうち、10~30℃で液状のものを、好適に配合することができる。
【0036】
また、前記のシリコーン油としては、ジメチルシリコーン油、メチルフェニルニルシリコーン油、環状シリコーン油、メチルハイドロジェンシリコーン油、アルコール変性シリコーン油、アルキル変性シリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン油、アミノ変性シリコーン油等ば挙げられ、本発明の水中油型乳化化粧料の油相形成成分として配合することができる。
【0037】
また、前記の多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられ、保湿効果を高める目的等で、本発明の水中油型乳化化粧料に配合することができる。
【0038】
また、前記の高分子としては、増粘を目的としたポリアクリル酸ナトリウム、セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウム等、撥水性付与を目的としたアクリル酸アニオン高分子、変性シリコーン、ウレタン系高分子等、被膜形成を目的としたポリビニルアルコール、プルラン、アクリル酸アルキル共重合体アンモニウム塩、プルラン、アクリル酸アルキル共重合体アンモニウム塩等、保湿を目的としたヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、ペプチド等、経費吸収促進を目的としたウレタン系高分子、ポリエチレン、ナイロン、ウレタン等の各種粉体等が挙げられ、その目的に応じて本発明の水中油型乳化化粧料に配合することができる。
【0039】
また、前記の界面活性剤としては、アニオン界面活性剤であるカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩等、カチオン界面活性剤である脂肪族アミン塩、4級アンモニウム塩等、両性界面活性剤としては、グリシン型、アミノプロピオン酸型、カルボキシベタイン型、イミダゾリニウム型、スルホベタイン型、スルホン酸型、硫酸型、リン酸型、非イオン性界面活性剤としては、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンコレステロール、ポリオキシエチレンコレスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン動植物油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルメルカプタンが挙げれら、好ましくはHLB値が10~15、更に好ましくは12~15のものを本発明の水中油型乳化化粧料に配合することができる。配合量としては、好ましくは、0.1~2質量%程度である。
【0040】
また、前記の粉体としては、タルク、カオリン、シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成金雲母、酸化セリウム、セリサイト、タルク、窒化ホウ素、マイカ、硫酸バリウム等の無機粉体、麻セルロース末、小麦デンプン、シルク末、トウモロコシデンプン等の有機天然粉体、シリコーン、ナイロン、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ乳酸等の合成高分子粉体等が挙げられ、感触性改善やソフトフォーカス効果を付与する等の目的で、本発明の水中油型乳化化粧料に配合することができる。
【0041】
また、前記の紫外線防御剤としては、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、エチルヘキシルトリアゾン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等の有機系紫外線吸収剤、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化クロム等の無機系紫外線防御剤等を本発明の水中油型乳化化粧料に配合することができる。
【0042】
また、前記の殺菌・防腐剤としては、サリチル酸、イソプロピルメチルフェノール、イオウ、レゾルシン、フェノキシエタノール等が挙げられ、ニキビ予防や腋臭防止の目的、または、化粧料中の細菌やかびなどの微生物の発生の防止を目的等で、本発明の水中油型乳化化粧料に配合することができる。
【0043】
また、前記の酸化防止剤は、化粧料中の油脂、ロウ類、脂肪酸、エステル類、界面活性剤、香料等の原料が空気中の酸素により酸化されることを防ぐ目的で本発明の水中油型乳化化粧料に配合することができ、トコフェロール、ノルジヒドログアイレチン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、p-ヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0044】
また、前記のキレート剤は、エデト酸塩、ポリリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸、酒石酸等が挙げられ、化粧料の劣化に繋がる金属イオンを補足する目的で、本発明の水中油型乳化化粧料に配合することができる。
【0045】
本発明の水中油型乳化化粧料は、公知の方法に従って製造することができる。手順の一例を以下に示す。水を入れた配合槽に水溶性の成分を添加して水に溶解させることで、主に水相を形成する成分を含む液体を得る(以下、B液)。一方で、前記エステルや前記シリコーン油等に対して、油に溶解する成分を加える事で、主に油相を形成する成分を含む液体(以下、A液)を得る。前記B液を撹拌しながら、A液を添加していくことで、水中油型乳化物を得る。必要に応じて、ホモミキサーや高圧ホモジナイザー等によりせん断力を加えることで、乳化物中の油相の液滴の大きさを調整する。疎水性球状シリカエアロゲルは、A液側に加えても、B液側に加えても、A液とB液を混合後に加えても良いが、化粧料として良好な感触のものを得る上では、B液側に添加することが好ましい。なおこの場合、B液が疎水性シリカエロゲルを含む分散液となるよう、B液側に界面活性剤等を配合する必要がある。また、前記した粉体のような非溶解性の成分も、適宜、A液及び/又はB液に加えて分散液として混合すればよい。A液、B液を混合した後に、粘度調整等を目的として、更に、水やアルコール等を加えることも可能である。
【0046】
本発明の水中油型乳化化粧料は、公知の各用途に使用でき、例えば、化粧下地、ファンデーション等のメイクアップ化粧料、日焼け止めやスキンケアー化粧料が含まれる。剤型としては、たとえば、ジェル、乳液類、クリーム類等とすることができる。
【実施例
【0047】
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではない。
【0048】
<疎水性シリカエアロゲル>
疎水性球状シリカエアロゲルA、B共に、トリメチルシリル基により表面が修飾されており、特開2018-177620号公報に記載されている方法により製造したものである。他の使用粉体と合わせて、物性は表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
<評価方法>
添加した疎水性球状シリカエアロゲルの物性値については、以下の方法により評価を行った。
【0051】
(平均円形度、および画像解析によるメジアン径の測定)
2000個以上の疎水化金属酸化物エアロゲル粉末粒子についてSEM(日立ハイテクノロジーズ製S-5500、加速電圧3.0kV、二次電子検出)を用いて倍率1000倍で観察したSEM像を画像解析し、上述の定義に従って平均円形度、およびメジアン径を算出した。
【0052】
(レーザー回折による粒度分布、メジアン径の測定)
40mlのエタノールに対して当該疎水化金属酸化物エアロゲル粉末を0.3g添加し、シャープマニュファクチュアリング株式会社製の超音波洗浄機UT-105Sを用いて、出力100wで5分間分散させた。尚、上記分散は、容量50mlのラボランスクリュー管瓶を使用し、適正量の水を入れた洗浄槽内に設置して行った。
【0053】
その分散液の粒度分布を日揮装置株式会社社製 Microtrac MT3000を用いて測定を行った。溶媒の屈折率は1.38とし、粒子の屈折率は1.46とした。得られた粒度分布から、体積分布に対するメジアン径を評価した。
【0054】
(その他の物性値の測定)
BET比表面積、及びBJH細孔容積の測定は、上述の定義に従って日本ベル株式会社製BELSORP-maxにより行った。吸油量の測定は、JIS K5101-13-1に規定されている「精製あまに油法」により行った。
【0055】
炭素含有量(表1中の「C値」)の測定はelementar社 variO MICRO CUBEを用いて、温度1150℃において酸素とヘリウムをフローしながらで酸化処理し、発生した二酸化炭素の量を定量することにより測定し、疎水化金属酸化物エアロゲル粉末全量を基準(100質量%)とする質量%で算出した。
【0056】
(化粧料の官能性試験)
実施例及び比較例に従って製造した化粧料について、試験者5名による官能試験を行った。評価項目は、伸びやすさ、べたつきの無さ、肌への密着性、白浮き、化粧持ち(塗布後2時間後の変化の有無)、耐水性(水に濡らした後の変化の有無)であり、評価基準は、優れているものが5、良くないものを1とした5段階評価を行い、その平均値とした。
【0057】
<実施例1~5、比較例1~3>
表2の配合に従って、日焼け止め用の水中油型化粧品を作成した。作成は、まず、A成分、B成分をそれぞれ80℃で均一に分散し、ホモジナイザー(IKA製、T25型)にて、12,000rpmでB成分を撹拌しながら、A成分を徐々に、30秒間位で加え、乳化させ、その後スリーワンモーターで撹拌しながら冷却し、40℃でC成分を加える方法によりおこなった。各評価結果を表3に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】