(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】高エッチング選択性かつ低応力のアッシャブルカーボンハードマスク
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20241023BHJP
C23C 16/26 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/26
(21)【出願番号】P 2021557313
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 US2020023239
(87)【国際公開番号】W WO2020197866
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-28
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】マヌンピル・マリー・アン
(72)【発明者】
【氏名】リー・シー-ケッド
(72)【発明者】
【氏名】タン・サマンサ・シャンファ
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0276743(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0354804(US,A1)
【文献】特表2017-504209(JP,A)
【文献】特開2015-070270(JP,A)
【文献】米国特許第06989332(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/312-21/32
H01L 21/365
H01L 21/469-21/475
H01L 21/86
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にカーボンアッシャブルハードマスク層を堆積するための方法であって、
(a)処理チャンバ内に前記基板を配置する工程と、
(b)チャンバ圧を所定圧力範囲内に設定する工程と、
(c)基板温度を-20℃から200℃の所定温度範囲内に設定する工程と、
(d)炭化水素前駆体および1つ以上の他のガスを含むガス混合物を供給する工程と、
(e)第1所定期間に
第1電力レベルでRFプラズマ電力を供給
し、かつ、前記第1所定期間に第2電力レベルでRFバイアス電力を供給することによって、プラズマを発生させて、前記基板上に前記カーボンアッシャブルハードマスク層を堆積する工程と、
(f)前記第1所定期間の後に、前記炭化水素前駆体の流れを停止する工程と、
(g)応力を低減するために前記基板上で基板処理を行う工程と、
を含み、
(g)は、
(g1)不活性ガス混合物を供給する工程と、
(g2)前記第1電力レベルよりも低い第3電力レベルで前記RFプラズマ電力を供給する工程と、
(g3)前記第2電力レベルよりも低い第4電力レベルで前記RFバイアス電力を供給する工程と、
を含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記処理チャンバは、誘導結合プラズマチャンバである、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
(e)における前記RFプラズマ電力は、30Wから3000Wの範
囲で供給され、
(e)における前記RFバイアス電力は、0Wよりも大きく1000Wまでの範囲
で供給
される、方法。
【請求項4】
請求項
1に記載の方法であって、さらに、
前記カーボンアッシャブルハードマスク層の前記堆積および前記基板処理を、さらに1回以上行う工程を含む、方法。
【請求項5】
請求項
1に記載の方法であって、
前記カーボンアッシャブルハードマスク層の前記堆積は、堆積/処理期間の30%から95%を構成し、前記基板処理は、前記堆積/処理期間の70%から5%を構成する、方法。
【請求項6】
請求項
1に記載の方法であって、
前記カーボンアッシャブルハードマスク層の前記堆積および前記基板処理は、0.05Hzから1000Hzの範囲の周波数で繰り返される、方法。
【請求項7】
請求項
1に記載の方法であって、
(g)は、さらに、
(g4)前記第4電力レベルにおける第2所定期間の後、第3所定期間に前記第4電力レベルよりも高い第5電力レベルで前記RFバイアス電力を供給する工程と、
(g5)前記第3所定期間の後、第4所定期間に前記第4電力レベルよりも低い第6電力レベルで前記RFバイアス電力を供給する工程と、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項
7に記載の方法であって、さらに、
(c)から(g5)を1回以上繰り返す工程を含む、方法。
【請求項9】
請求項
8に記載の方法であって、
前記第3電力レベルは、0Wから500Wの範囲であり、
前記第4電力レベルは、30Wから1000Wの範囲であり、
前記第5電力レベルは、100Wから1500Wの範囲であり、
前記第6電力レベルは、30Wから1000Wの範囲である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記所定温度範囲は、0℃から80℃である、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記所定圧力範囲は、5mTから450mTである、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記所定圧力範囲は、5mTから35mTである、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記処理チャンバは、容量結合プラズマチャンバである、方法。
【請求項14】
基板上にカーボンアッシャブルハードマスク層を堆積するための方法であって、
(a)処理チャンバ内に前記基板を配置する工程と、
(b)チャンバ圧を所定圧力範囲内に設定する工程と、
(c)基板温度を所定温度範囲内に設定する工程と、
(d)炭化水素前駆体および1つ以上のガスを含むガス混合物を供給する工程と、
(e)第1所定期間に
第1電力レベルでRFプラズマ電力を供給
し、かつ、前記第1所定期間に第2電力レベルでRFバイアス電力を供給することによりプラズマを発生させて、前記カーボンアッシャブルハードマスク層を堆積する工程と、
(f)前記第1所定期間の後に、前記炭化水素前駆体の流れを停止する工程と、
(g)応力を低減するために前記基板上で基板処理を行う工程と、
を含み、
(g)は、
(g1)不活性ガス混合物を供給する工程と、
(g2)前記第1電力レベルよりも低い第3電力レベルで前記RFプラズマ電力を供給する工程と、
(g3)前記第2電力レベルよりも低い第4電力レベルで前記RFバイアス電力を供給する工程と、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項1
4に記載の方法であって、さらに、
前記カーボンアッシャブルハードマスク層の前記堆積および前記基板処理をさらに1回以上行う工程を含む、方法。
【請求項16】
請求項1
5に記載の方法であって、
前記カーボンアッシャブルハードマスク層の前記堆積は、堆積/処理期間の30%から95%について行われ、前記基板処理は、前記堆積/処理期間の70%から5%について行われる、方法。
【請求項17】
請求項1
5に記載の方法であって、
前記カーボンアッシャブルハードマスク層の前記堆積および前記基板処理は、0.05Hzから1000Hzの範囲の周波数で繰り返される、方法。
【請求項18】
請求項1
4に記載の方法であって、
(e)における前記RFプラズマ電力は、30Wから3000Wの範
囲で供給され、
(e)における前記RFバイアス電力は、0Wよりも大きく1000Wまでの範囲
で供給
される、方法。
【請求項19】
請求項
14に記載の方法であって、
(g)は、さらに、
(g4)前記第4電力レベルにおける第2所定期間の後、第3所定期間に前記第4電力レベルよりも高い第5電力レベルで前記RFバイアス電力を供給する工程と、
(g5)前記第3所定期間の後、第4所定期間に前記第4電力レベルよりも低い第6電力レベルで前記RFバイアス電力を供給する工程と、
を含む、方法。
【請求項20】
請求項
19に記載の方法であって、さらに、
(c)から(g5)を1回以上繰り返す工程を含む、方法。
【請求項21】
請求項
19に記載の方法であって、
前記第3電力レベルは、0Wから500Wの範囲であり、
前記第4電力レベルは、30Wから1000Wの範囲であり、
前記第5電力レベルは、100Wから1500Wの範囲であり、
前記第6電力レベルは、30Wから1000Wの範囲である、方法。
【請求項22】
請求項1
4に記載の方法であって、
前記所定温度範囲は、0℃から80℃である、方法。
【請求項23】
請求項1
4に記載の方法であって、
前記所定圧力範囲は、5mTから450mTである、方法。
【請求項24】
請求項1
4に記載の方法であって、
前記所定圧力範囲は、5mTから35mTである、方法。
【請求項25】
請求項1
4に記載の方法であって、
前記処理チャンバは、容量結合プラズマチャンバである、方法。
【請求項26】
請求項
1に記載の方法であって、
(g)は、前記基板上で前記基板処理を行いながら前記プラズマを維持する工程を含む、方法。
【請求項27】
請求項
1に記載の方法であって、
(g)は、前記基板上で前記基板処理を行いながら前記プラズマを消弧する工程を含む、方法。
【請求項28】
請求項
1に記載の方法であって、
(g)は
、
前記プラズマを消弧する工程と、
前記RFバイアス電力を供給する工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本開示は、2019年3月25日出願の米国特許出願第62/823,211号のPCT国際出願である。上記出願の全ての開示は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、一般に基板処理システムに関し、特に、アッシャブルカーボンハードマスクを堆積するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載の背景技術は、本開示の内容を一般的に提示するためである。現在名前が挙げられている発明者の発明は、本背景技術欄、および出願時の先行技術に該当しない説明の態様において記載される範囲で、本開示に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【0004】
基板処理システムは、半導体ウエハなどの基板に処理を施す。基板処理の例は、堆積、アッシング、エッチング、洗浄、および/または、他の処理を含む。エッチングは通常、化学的ウェットエッチングまたはドライエッチングのいずれかを含む。ドライエッチングは、誘導結合プラズマ(ICP)または容量結合プラズマ(CCP)によって生成されたプラズマを用いて行われてよい。
【0005】
ICPシステムは、誘電体窓に隣接する処理チャンバの外側に配置されたコイルにRFプラズマ電力を供給することによりプラズマを生成する。処理チャンバの内部に流れる処理ガス混合物は、プラズマを生成するために磁場によって点火される。
【0006】
CCPシステムは、処理チャンバ内に配置された電極を用いてプラズマを生成する。例えば、1つの電極が基板下方の基板支持体に配置され、シャワーヘッドなどの別の電極が基板上方に配置される。電極間に位置するガスを点火するために、電極全体にRFプラズマ電力が供給される。
【発明の概要】
【0007】
基板上にカーボンアッシャブルハードマスク層を堆積するための方法は、(a)処理チャンバ内に基板を配置する工程と、(b)チャンバ圧を所定圧力範囲内に設定する工程と、(c)基板温度を-20℃から200℃の所定温度範囲内に設定する工程と、(d)炭化水素前駆体および1つ以上の他のガスを含むガス混合物を供給する工程と、(e)第1所定期間にRFプラズマ電力を供給することによりプラズマを発生させて、基板上にカーボンアッシャブルハードマスク層を堆積する工程と、を含む。
【0008】
他の特徴では、処理チャンバは誘導結合プラズマチャンバである。(e)におけるRFプラズマ電力は、30Wから3000Wの範囲の第1電力レベルで供給される。この方法は、0Wよりも大きく1000Wまでの範囲の第2電力レベルで第1所定期間にRFバイアス電力を供給する工程を含む。
【0009】
他の特徴では、この方法は、(f)第1所定期間の後に、炭化水素前駆体の流れを停止する工程と、(g)応力を低減するために基板上で基板処理を行う工程と、を含む。この方法は、カーボンアッシャブルハードマスクの堆積および基板処理をさらに1回以上行う工程を含む。
【0010】
他の特徴では、カーボンアッシャブルハードマスクの堆積は、堆積/処理期間の30%から95%を構成し、基板処理は堆積/処理期間の70%から5%を構成する。カーボンアッシャブルハードマスクの堆積および基板処理は、0.05Hzから1000Hzの範囲の周波数で繰り返される。
【0011】
他の特徴では、(g)は、(g1)不活性ガス混合物を供給する工程と、(g2)第1電力レベルよりも低い第3電力レベルでRFプラズマ電力を供給する工程と、(g3)第2電力レベルよりも低い第4電力レベルでRFバイアス電力を供給する工程と、を含む。
【0012】
他の特徴では、(g)はさらに、(g4)第4電力レベルにおける第2所定期間の後、第3所定期間に第4電力レベルよりも高い第5電力レベルでRFバイアス電力を供給する工程と、(g5)第3所定期間の後、第4所定期間に第4電力レベルよりも低い第6電力レベルでRFバイアス電力を供給する工程と、を含む。
【0013】
他の特徴では、この方法は、(c)から(g5)を1回以上繰り返す工程を含む。第3電力レベルは、0Wから500Wの範囲である。第4電力レベルは、30Wから1000Wの範囲である。第5電力レベルは、100Wから1500Wの範囲である。第6電力レベルは、30Wから1000Wの範囲である。
【0014】
他の特徴では、所定温度範囲は、0℃から80℃である。所定圧力範囲は、5mTから450mTである。所定圧力範囲は、5mTから35mTである。処理チャンバは、容量結合プラズマチャンバである。
【0015】
基板上にカーボンアッシャブルハードマスク層を堆積する方法は、(a)処理チャンバ内に基板を配置する工程と、(b)チャンバ圧を所定圧力範囲内に設定する工程と、(c)基板温度を所定温度範囲内に設定する工程と、(d)炭化水素前駆体および1つ以上のガスを含むガス混合物を供給する工程と、(e)第1所定期間にRFプラズマ電力を供給することによりプラズマを発生させて、アッシャブルハードマスク層を堆積する工程と、(f)第1所定期間の後に、炭化水素前駆体の流れを停止する工程と、(g)応力を低減するために基板上で基板処理を行う工程と、を含む。
【0016】
他の特徴では、この方法は、カーボンアッシャブルハードマスクの堆積および基板処理をさらに1回以上行う工程を含む。カーボンアッシャブルハードマスクの堆積は、堆積/処理期間の30%から95%について行われ、基板処理は、堆積/処理期間の70%から5%について行われる。カーボンアッシャブルハードマスクの堆積および基板処理は、0.05Hzから1000Hzの範囲の周波数で繰り返される。
【0017】
他の特徴では、(g)は、(g1)不活性ガス混合物を供給する工程と、(g2)第1電力レベルよりも低い第3電力レベルでRFプラズマ電力を供給する工程と、(g3)第2電力レベルよりも低い第4電力レベルでRFバイアス電力を供給する工程と、を含む。
【0018】
他の特徴では、(g)は、(g4)第4電力レベルにおける第2所定期間の後、第3所定期間に第4電力レベルよりも高い第5電力レベルでRFバイアス電力を供給する工程と、(g5)第3所定期間の後、第4所定期間に第4電力レベルよりも低い第6電力レベルでRFバイアス電力を供給する工程と、を含む。(e)におけるRFプラズマ電力は、30Wから3000Wの範囲の第1電力レベルで供給され、さらに、第1所定期間に0Wよりも大きく1000Wまでの範囲の第2電力レベルでRFバイアス電力を供給する工程を含む。
【0019】
他の特徴では、この方法は、(c)から(g5)を1回以上繰り返す工程を含む。第3電力レベルは、0Wから500Wの範囲である。第4電力レベルは30Wから1000Wの範囲であり、第5電力レベルは100Wから1500Wの範囲であり、第6電力レベルは30Wから1000Wの範囲である。
【0020】
他の特徴では、所定温度範囲は、0℃から80℃である。所定圧力範囲は、5mTから450mTである。所定圧力範囲は、5mTから35mTである。処理チャンバは、容量結合プラズマチャンバである。
【0021】
本開示のさらなる適用分野は、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、および図面から明らかになるだろう。発明を実施するための形態および特定の例は、例示のみの目的を意図し、本開示の範囲の限定を意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示は、発明を実施するための形態および添付の図面からより深く理解されるだろう。
【0023】
【
図1】本開示による、アッシャブルハードマスクを堆積するための例示的な誘導結合プラズマ(ICP)基板処理システムの機能ブロック図。
【0024】
【
図2】本開示によるRFプラズマ電力、RFバイアス電力、およびガス流の例示的なタイミングを表すグラフ。
【0025】
【
図3】本開示による様々な膜の例示的なsp
3/sp
2比率を表すグラフ。
【0026】
【
図4】処理電力の関数として例示的な膜応力を表すグラフ。
【0027】
【
図5】本開示による様々なAHM膜の例示的なエッチング速度を表すグラフ。
【0028】
【
図6】本開示によるカーボンAHM膜を堆積するための例示的方法のフローチャート。
【0029】
【
図7】本開示による、アッシャブルハードマスクを堆積するための例示的な容量結合プラズマ(CCP)基板処理システムの機能ブロック図。
【0030】
図面では、類似および/または同一の要素を識別するために、参照番号は繰り返し用いられてよい。
【発明を実施するための形態】
【0031】
半導体メモリなどの基板は、メモリ容量を向上させるためにより多くの対のメモリセルをより一層必要としている。メモリ対を増加させるために、高アスペクト比(HAR)エッチングが行われる。ハードマスクはエッチング中に用いられて、いくつかの露出材料をエッチングする間に他の露出材料をエッチングすることを防ぐ。HARエッチングを可能にするためには、高選択性かつ低応力のアッシャブルハードマスク(AHM)が必要である。
【0032】
候補AHM膜は、高選択透過性(HST)膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜、およびアッシャブルカーボンエクステンション(ACE)膜を含む。しかし、これらの膜は各々、欠点を有する。これらの膜は、低密度、高水素(H)含有、および/または高応力を有する。低密度および高Hは、エッチング耐性を低減させる。高応力は、膜剥離を誘発する。
【0033】
本開示によるカーボン系AHM膜は、低応力で比較的高いエッチング耐性を有する。カーボン系AHM膜は、比較的低温で、炭化水素前駆体および1つ以上の他のガスを用いて堆積される。低温で行われる堆積は、sp3結合を維持する。プラズマ処理は、応力を低減し、H成分を最小にするために堆積後に行われうる。
【0034】
例えば、炭化水素前駆体はCxHyを含む(xは1から10の整数、yは2から24の整数)。例えば、炭化水素前駆体は、メタン(CH4)、アセチレン(C2H2)、または他の炭化水素ガスを含みうる。1つ以上の他のガスは、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、ネオン(Ne)、窒素分子(N2)、および水素分子(H2)からなる群より選択される。
【0035】
いくつかの例では、堆積および処理は、所望の膜厚に達するまで行われる。いくつかの例では、循環堆積またはパルス堆積のいずれかが行われる。堆積速度が遅い場合は、循環堆積モードが用いられる。堆積速度が速い場合は、パルス堆積モードが用いられる。いくつかの例では、処理は、堆積膜を処理することで膜応力を低減し、H成分を最小にするために、不活性プラズマガス混合物の使用を含む。いくつかの例では、不活性プラズマガス混合物は、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、およびネオン(Ne)からなる群より選択された1つ以上のガスを含む。
【0036】
ここで
図1を参照すると、本開示による例示的な基板処理システム110が示されている。基板処理システム110は、コイル駆動回路111を備える。いくつかの例では、コイル駆動回路111は、RF源112、パルス回路114、および同調回路113を含む。パルス回路114は、RF信号のTCPエンベロープを制御し、動作中にTCPエンベロープのデューティサイクルを1%から99%の間で変更する。理解されうるように、パルス回路114およびRF源112は組み合わせることができる、または分離できる。
【0037】
同調回路113は、1つ以上の誘導コイル116に直結されてよい。同調回路113は、RF源112の出力を所望の周波数および/または所望の位相に合わせ、コイル116のインピーダンスを一致させる、および/または、電力をコイル116の間で分割する。複数のコイルを含む例が示されているが、単一導体または複数導体を含む単一コイルが用いられうる。
【0038】
誘電体窓124は、処理チャンバ128の一側面に沿って配置される。処理チャンバ128はさらに、基板134を支持するために基板支持体(または、台座)132を備える。基板支持体132は、静電チャック(ESC)、機械式チャック、または他の種類のチャックを備えてよい。処理ガスは処理チャンバ128に供給され、プラズマ140は処理チャンバ128の内部で生成される。RFバイアス駆動回路152は、イオンエネルギを制御するために、動作中にRFバイアスを基板支持体132に供給するのに用いられてよい。RFバイアス駆動回路152は、RF源およびインピーダンス整合回路(図示せず)を含んでよい。
【0039】
ガス供給システム156は、処理チャンバ128に処理ガス混合物を供給するのに用いられてよい。ガス供給システム156は、ガス源157(例えば、前駆体、蒸気、1つ以上の他のガス、不活性ガス)、弁およびマスフローコントローラなどのガス計量システム158、ならびにマニホールド159を備えてよい。ガスインジェクタ(図示せず)は、誘電体窓124の中心(または、他の位置)に配置されてよく、ガス供給システム156から処理チャンバ128にガス混合物を注入するのに用いられる。
【0040】
ヒータ/クーラ164は、基板支持体132を所定温度に加熱/冷却するのに用いられてよい。排気システム165は、処理チャンバの圧力を制御する、および/または、パージもしくは排気によって処理チャンバ128から反応剤を除去するために、弁166およびポンプ167を備える。
【0041】
コントローラ154は、プロセスを制御するのに用いられてよい。コントローラ154は、システムパラメータを監視し、ガス混合物の供給、ストライキング、プラズマの維持および消弧、反応剤の除去、冷却ガスの供給などを制御する。
【0042】
ここで
図2を参照すると、ガス混合物(炭化水素前駆体および1つ以上の他のガスを含む)、不活性ガス混合物、RFプラズマ電力、およびRFバイアス電力の供給についての例示的なタイミング図が示されている。カーボンアッシャブルハードマスクは、ガス混合物を供給し、RFプラズマ電力および/またはRFバイアス電力を供給することにより堆積される。いくつかの例では、堆積工程の一部または全ての後に、不活性プラズマガス混合物を用いるプラズマ処理(前駆体なし)が続く。いくつかの例では、反応剤は、堆積後で処理前にチャンバからパージまたは排気される。他の例では、前駆体流は、パージまたは排気なしで処理工程の前に停止される。
【0043】
いくつかの例では、堆積工程および処理工程は、0.05Hzから1000Hzの範囲の周波数で行われる。いくつかの例では、堆積工程および処理工程は、0.1Hzから200Hzの範囲の周波数で行われる。堆積は、各期間またはサイクルの30%から95%を構成し、処理は、各期間またはサイクルの70%から5%を構成してよい。一例では、堆積は、12秒(s)の期間のうちの10s間行われ、処理は、12sの期間またはサイクルのうちの2s間行われるが、他の長さの期間またはサイクルが用いられてよい。
【0044】
期間またはサイクルの堆積工程中に、炭化水素前駆体ガスおよび1つ以上の他のガスを含むガス混合物が処理チャンバに供給される。RFプラズマ電力は第1電力レベルで供給され、RFバイアス電力は第2電力レベルで供給される。いくつかの例では、第1電力レベルは30Wから3000Wの範囲であり、第2電力レベルは0Wから1000Wの範囲である。
【0045】
期間またはサイクルの処理工程中に、炭化水素前駆体の供給は停止され、不活性ガス混合物の供給が開始する、または継続する(前の堆積工程で不活性ガス混合物が用いられた場合)。継続する場合は、不活性ガス混合物の流量は、増加、減少、または変更なく継続できる。プラズマは、維持または消弧されてよい。処理中にRFプラズマ電力は、第1電力レベルよりも低い第3電力レベルで供給される。いくつかの例では、第3電力レベルは0Wから500Wの範囲である。
【0046】
RFバイアス電力は、堆積および処理の間に変化してよい。例えば、RFバイアスは最初に第4電力レベルで供給され、第2電力レベルよりも高い第5電力レベルに増加され、そして第6電力レベル(第2電力レベルよりも低く、第4電力レベルと同じであってよい、または異なってよい)に戻される。いくつかの例では、RFバイアス電力は低減され、堆積中にRFバイアス電力よりも高くパルス化され、そして堆積中にRFバイアス電力よりも低く戻される。いくつかの例では、第4電力レベルは30Wから1000Wの範囲であり、第5電力レベルは100Wから1500Wの範囲であり、第6電力レベルは30Wから1000Wの範囲である。説明のために例示的な特定のRFバイアスプロファイルが示されているが、他のRFバイアスプロファイルも用いられうる。
【0047】
いくつかの例では、堆積および処理は、-20℃から200℃の範囲の温度で行われる。他の例では、堆積および処理は、-20℃から100℃の範囲の温度で行われる。さらに他の例では、堆積および処理は、0℃から80℃の範囲の温度で行われる。
【0048】
いくつかの例では、堆積および処理は、5mTから450mTの範囲の圧力で行われる。他の例では、堆積および処理は、5mTから150mTの範囲の圧力で行われる。さらに他の例では、堆積および処理は、5mTから35mTの範囲の圧力で行われる。
【0049】
ここで
図3を参照すると、様々な異なるハードマスクのsp
3/sp
2比率が示されている。例は、HST、20℃で堆積した(処理なしの)カーボンAHM、80℃で堆積した(処理なしの)カーボンAHM、および20℃で堆積した(処理なしの)カーボンAHMを含む。以下にさらに説明されるように、20℃で堆積した(処理なしの)カーボンAHMは、低膜応力かつ低温で形成される。
【0050】
次に
図4を参照すると、カーボンAHMの応力の調整は、各期間またはサイクルの処理部分に電力を調節することによって行われうる。図から分かるように、膜応力は電力が増加するにつれて減少する。カーボンAHMの応力は、処理なしの約-2350MPaで最も高く、応力は処理に伴って減少する。
【0051】
次に
図5を参照すると、窒化シリコン(Si
xN
y)、二酸化シリコン(SiO
2)、シリコン(Si)、およびタングステン(W)を含む様々な種類の膜のエッチング中の、様々なハードマスク(HST、処理ありのCH
4系AHM、および処理ありのC
2H
2系AHM)のエッチング速度が示されている。この例では、C
2H
2系AHMは、HSTよりもわずかに低いエッチング速度を有する。この例では、CH
4系AHMは、HSTよりもわずかに高いエッチング速度を有する。
【0052】
次に
図6を参照すると、カーボンAHMを堆積するための方法600が示されている。610では、
図1の処理チャンバなどの処理チャンバに基板が配置される。614では、チャンバ圧および基板温度は、所定圧力および温度範囲に調節される。618では、炭化水素前駆体および1つ以上の他のガスを含むガス混合物が処理チャンバに供給される。622では、第1電力レベルでRFプラズマ電力を供給することにより、処理チャンバ内でプラズマが生成される。628では、RFバイアス電力が第2電力レベルで供給される。
【0053】
632においてこの方法は、所定期間が終了したかどうかを決定する。632が偽の場合、この方法は618に戻る。そうでなければ、この方法は640に続き、炭化水素前駆体の供給を停止し、不活性ガス混合物の供給を開始する、または継続する。
【0054】
644では、RFプラズマ電力が第3電力レベルで供給される。648では、RFバイアス電力が第4電力レベルで供給される。いくつかの例では、RFバイアス電力は、処理期間中は第4電力レベルで継続する。
【0055】
他の例では、RFバイアス電力は、処理期間中一時的にパルス化される。例えば、RFバイアス電力は、第1所定期間に第4電力レベルで継続する。652では、RFバイアス電力は第2所定期間に第5電力レベルで供給される。656では、RFバイアス電力は第3所定期間に第6電力レベルで供給される。いくつかの例では、第5電力レベルは第2電力レベル、第4電力レベル、および第6電力レベルよりも高い。いくつかの例では、第4電力レベルおよび第6電力レベルは同じである。
【0056】
660においてこの方法は、追加の期間またはサイクルを行う必要があるかどうかを決定する。660が真の場合、この方法は618に続く。そうでなければ、この方法は終了する。
【0057】
次に
図7を参照すると、本開示による別の例示的な基板処理システム720が示されている。基板処理システム720は、基板処理システム720の他の構成部品を取り囲み、RFプラズマ(用いられる場合)を含む処理チャンバ722を備える。基板処理システム720は、上部電極724および静電チャック(ESC)などの基板支持体726を備える。動作中に、基板728は基板支持体726の上に配置される。
【0058】
例えのみで、上部電極724は、処理ガスを導入および分配するシャワーヘッドなどのガス分配装置729を備える。ガス分配装置729は、処理チャンバの上面に接続された一端を含むステム部を備えてよい。ベース部は一般に円筒状で、処理チャンバの上面から離れた位置でステム部のもう一端から放射状に外向きに伸びる。シャワーヘッドのベース部の基板対向面またはフェースプレートは、前駆体、反応剤、エッチングガス、不活性ガス、キャリアガス、他の処理ガス、またはパージガスが流れる複数の穴を備える。あるいは、上部電極724は導電板を備えてよく、処理ガスは別の方法で導入されてよい。
【0059】
基板支持体726は、下部電極として機能するベースプレート730を備える。べースプレート730は、セラミックマルチゾーン加熱プレートに相当しうる加熱プレート732を支持する。加熱プレート732とベースプレート730との間には、熱抵抗層734が配置されてよい。ベースプレート730は、ベースプレート730を通じて冷媒を流すための1つ以上の流路736を備えてよい。
【0060】
RF生成システム740は、RF電圧を生成し、上部電極724および下部電極(例えば、ESC726のベースプレート730)のいずれかに出力する。上部電極724およびベースプレート730のもう一方は、DC設置されてよい、AC設置されてよい、または浮遊状態であってよい。例えのみで、RF生成システム740は、整合分配ネットワーク744によって上部電極724またはベースプレート730に供給されるRFプラズマ電極を生成するRF発生器742を備えてよい。他の例では、プラズマは誘導的にまたは遠隔的に生成されてよい。
【0061】
ガス供給システム750は、1つ以上のガス源752-1、752-2、・・・、および752-N(総称して、ガス源752)を備える(Nはゼロよりも大きい整数)。ガス源752は、弁754-1、754-2、・・・、および754-N(総称して、弁754)、ならびに、MFC756-1、756-2、・・・、および756-N(総称して、MFC756)によってマニホールド760に接続されている。MFC756とマニホールド760との間に、二次弁が用いられてよい。単一のガス供給システム750が示されているが、2つ以上のガス供給システムが用いられてよい。
【0062】
温度コントローラ763は、加熱プレート732に配置された複数の熱制御素子(TCE)764に接続されてよい。温度コントローラ763は、基板支持体726および基板728の温度を制御するように複数のTCE764を制御するために用いられてよい。温度コントローラ763は、流路736を通る冷媒流を制御するために冷媒アセンブリ766と連通してよい。例えば、冷媒アセンブリ766は、冷媒ポンプ、貯留槽、および/または、1つ以上の温度センサを備えてよい。温度コントローラ763は、基板支持体726を冷却するために、流路736を通る冷媒を選択的に流すように冷媒アセンブリ766を操作する。弁770およびポンプ772は、処理チャンバ722から反応剤を排気するのに用いられてよい。システムコントローラ780は、基板処理システム720の構成部品を制御するのに用いられてよい。
【0063】
いくつかの例では、RF発生器742は、高周波(HF)源784および低周波(LF)源786を備える。HF源784は、13MHzから800MHzの周波数範囲で動作する。例えばHF源784は、27MHzまたは60MHzで動作する。いくつかの例では、HF源784は、50Wから3000Wの範囲の電力を出力する。LF源786は、200kHzから13MHzの周波数範囲で動作する。例えばLF源786は、400kHz、2MHz、または12.5MHzで動作する。いくつかの例では、LF源786は、100Wから3000Wの範囲の電力を出力する。理解されうるように、堆積は、HFおよびLFのRF電力、HFのRF電力、またはLFのRF電力で行われうる。
【0064】
いくつかの例では、RF電力は、1つ以上のレベルの間で連続的であってよい、またはパルス化されてよい。パルス動作が用いられた場合、パルス化は1Hzから1MHzの範囲の周波数で行われうる。いくつかの例では、チャンバ圧は、5mTから450mTの範囲の所定圧で維持される。他の例では、堆積および処理は、5mTから150mTの範囲の圧力で行われる。さらに他の例では、堆積および処理は、5mTから35mTの範囲の圧力で行われる。上述のように、不活性ガスを用いるプラズマ処理は、膜応力を低減するために上述のように行われうる。
【0065】
前述は本質的に単なる例示であり、断じて本開示、その適用または使用を限定する意図はない。本開示の広義の教示は、様々な形態で実施されうる。よって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すると他の変更が明らかになるため、本開示の真の範囲はそれほど限定されるべきでない。方法内の1つ以上の工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または、同時に)実行されてよいことを理解されたい。さらに、各実施形態は特定の特徴を有すると上述されているが、本開示の実施形態に関して説明されたそれらの特徴の任意の1つ以上は、他の実施形態において実施されうる、および/または、他の実施形態の特徴と組み合わせて(その組み合わせが明記されていない場合でも)実施されうる。つまり、記載の実施形態は互いに排他的でなく、1つ以上の実施形態の相互の並べ替えは、本開示の範囲内に留まる。
【0066】
要素間(例えば、モジュール間、回路素子間、半導体層間など)の空間的関係および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「近接する」、「上に」、「上方」、「下方」、および「配置された」を含む様々な用語を用いて説明される。上記の開示で第1要素と第2要素との関係が説明されるときは、「直接的」であると明記されない限り、その関係は、第1要素と第2要素との間に他の介在要素がない直接的関係でありうるが、第1要素と第2要素との間に1つ以上の介在要素が(空間的または機能的に)ある間接的関係でもありうる。本明細書で用いられる、A、B、およびCのうちの少なくとも1つという表現は、非排他的論理ORを用いる論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきでない。
【0067】
いくつかの実施形態では、コントローラは、上述の例の一部でありうるシステムの一部である。かかるシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理構成部品(ウエハ台座、ガス流システムなど)を備える半導体処理装置を含みうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と統合されてよい。これらの電子機器は「コントローラ」と呼ばれてよく、システムの様々な構成部品または副部品を制御してよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置動作設定、ツールおよび他の搬送ツールに対するウエハ搬入出、ならびに/または、特定のシステムに接続もしくは結合されたロードロックに対するウエハ搬入出を含む、本明細書に開示されたあらゆるプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0068】
概してコントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(または、プログラムファイル)の形式でコントローラに伝達される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ウエハダイの製造時における1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、コントローラは、システムと統合もしくは結合された、そうでなければシステムにネットワーク結合された、またはこれらが組み合わされたコンピュータの一部であってよい、またはそのコンピュータに結合されてよい。例えばコントローラは、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にする「クラウド」内にあってよい、またはファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよい。コンピュータはシステムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または実施の基準を調査して、現行の処理のパラメータを変更し、現行の処理に続く処理工程を設定し、または、新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含みうるネットワークを通じて、プロセスレシピをシステムに提供できる。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよい。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の動作中に実施される各処理工程のパラメータを特定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスの種類、および、コントローラが結合するまたは制御するように構成されたツールの種類に固有であってよいことを理解されたい。よって、上述のようにコントローラは、例えば互いにネットワーク結合される1つ以上の別々のコントローラを含むことと、本明細書に記載のプロセスや制御などの共通の目的に向けて協働することとによって分散されてよい。かかる目的で分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、または、リモートコンピュータの一部として)設置され、協働して室内のプロセスを制御する1つ以上の集積回路と連通する、室内の1つ以上の集積回路だろう。
【0070】
制限するのではなく、例示のシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはプラズマエッチングモジュール、堆積チャンバまたは堆積モジュール、スピンリンスチャンバまたはスピンリンスモジュール、金属めっきチャンバまたは金属めっきモジュール、洗浄チャンバまたは洗浄モジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはベベルエッジエッチングモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはPVDモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはCVDモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはALDモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはALEモジュール、イオン注入チャンバまたはイオン注入モジュール、トラックチャンバまたはトラックモジュール、ならびに、半導体ウエハの製作および/もしくは製造において関連もしくは使用しうる他の半導体処理システムを含んでよい。
【0071】
上記のようにコントローラは、ツールによって行われる処理工程に応じて、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1つ以上と連通してよい。本開示は以下の適用例を含む。
[適用例1]
基板上にカーボンアッシャブルハードマスク層を堆積するための方法であって、
(a)処理チャンバ内に基板を配置する工程と、
(b)チャンバ圧を所定圧力範囲内に設定する工程と、
(c)基板温度を-20℃から200℃の所定温度範囲内に設定する工程と、
(d)炭化水素前駆体および1つ以上の他のガスを含むガス混合物を供給する工程と、
(e)第1所定期間にRFプラズマ電力を供給することによりプラズマを発生させて、前記基板上にカーボンアッシャブルハードマスク層を堆積する工程と、
を含む、方法。
[適用例2]
適用例1に記載の方法であって、
前記処理チャンバは、誘導結合プラズマチャンバである、方法。
[適用例3]
適用例2に記載の方法であって、
(e)における前記RFプラズマ電力は、30Wから3000Wの範囲の第1電力レベルで供給され、
さらに、前記第1所定期間中に、0Wよりも大きく1000Wまでの範囲の第2電力レベルでRFバイアス電力を供給する工程を含む、方法。
[適用例4]
適用例1に記載の方法であって、さらに、
(f)前記第1所定期間の後に、前記炭化水素前駆体の流れを停止する工程と、
(g)応力を低減するために前記基板上で基板処理を行う工程と、
を含む、方法。
[適用例5]
適用例4に記載の方法であって、さらに、
前記カーボンアッシャブルハードマスクの前記堆積および前記基板処理を、さらに1回以上行う工程を含む、方法。
[適用例6]
適用例4に記載の方法であって、
前記カーボンアッシャブルハードマスクの前記堆積は、堆積/処理期間の30%から95%を構成し、前記基板処理は、前記堆積/処理期間の70%から5%を構成する、方法。
[適用例7]
適用例4に記載の方法であって、
前記カーボンアッシャブルハードマスクの前記堆積および前記基板処理は、0.05Hzから1000Hzの範囲の周波数で繰り返される、方法。
[適用例8]
適用例4に記載の方法であって、
(g)は、
(g1)不活性ガス混合物を供給する工程と、
(g2)前記第1電力レベルよりも低い第3電力レベルで前記RFプラズマ電力を供給する工程と、
(g3)前記第2電力レベルよりも低い第4電力レベルで前記RFバイアス電力を供給する工程と、
を含む、方法。
[適用例9]
適用例8に記載の方法であって、
(g)は、さらに、
(g4)前記第4電力レベルにおける第2所定期間の後、第3所定期間に前記第4電力レベルよりも高い第5電力レベルで前記RFバイアス電力を供給する工程と、
(g5)前記第3所定期間の後、第4所定期間に前記第4電力レベルよりも低い第6電力レベルで前記RFバイアス電力を供給する工程と、
を含む、方法。
[適用例10]
適用例9に記載の方法であって、さらに、
(c)から(g5)を1回以上繰り返す工程を含む、方法。
[適用例11]
適用例10に記載の方法であって、
前記第3電力レベルは、0Wから500Wの範囲であり、
前記第4電力レベルは、30Wから1000Wの範囲であり、
前記第5電力レベルは、100Wから1500Wの範囲であり、
前記第6電力レベルは、30Wから1000Wの範囲である、方法。
[適用例12]
適用例1に記載の方法であって、
前記所定温度範囲は、0℃から80℃である、方法。
[適用例13]
適用例1に記載の方法であって、
前記所定圧力範囲は、5mTから450mTである、方法。
[適用例14]
適用例1に記載の方法であって、
前記所定圧力範囲は、5mTから35mTである、方法。
[適用例15]
適用例1に記載の方法であって、
前記処理チャンバは、容量結合プラズマチャンバである、方法。
[適用例16]
基板上にカーボンアッシャブルハードマスク層を堆積するための方法であって、
(a)処理チャンバ内に基板を配置する工程と、
(b)チャンバ圧を所定圧力範囲内に設定する工程と、
(c)基板温度を所定温度範囲内に設定する工程と、
(d)炭化水素前駆体および1つ以上のガスを含むガス混合物を供給する工程と、
(e)第1所定期間にRFプラズマ電力を供給することによりプラズマを発生させて、カーボンアッシャブルハードマスク層を堆積する工程と、
(f)前記第1所定期間の後に、前記炭化水素前駆体の流れを停止する工程と、
(g)応力を低減するために前記基板上で基板処理を行う工程と、
を含む、方法。
[適用例17]
適用例16に記載の方法であって、さらに、
前記カーボンアッシャブルハードマスクの前記堆積および前記基板処理をさらに1回以上行う工程を含む、方法。
[適用例18]
適用例17に記載の方法であって、
前記カーボンアッシャブルハードマスクの前記堆積は、堆積/処理期間の30%から95%について行われ、前記基板処理は、前記堆積/処理期間の70%から5%について行われる、方法。
[適用例19]
適用例17に記載の方法であって、
前記カーボンアッシャブルハードマスクの前記堆積および前記基板処理は、0.05Hzから1000Hzの範囲の周波数で繰り返される、方法。
[適用例20]
適用例16に記載の方法であって、
(g)は、
(g1)不活性ガス混合物を供給する工程と、
(g2)前記第1電力レベルよりも低い第3電力レベルで前記RFプラズマ電力を供給する工程と、
(g3)前記第2電力レベルよりも低い第4電力レベルで前記RFバイアス電力を供給する工程と、
を含む、方法。
[適用例21]
適用例20に記載の方法であって、
(g)は、さらに、
(g4)前記第4電力レベルにおける第2所定期間の後、第3所定期間に前記第4電力レベルよりも高い第5電力レベルで前記RFバイアス電力を供給する工程と、
(g5)前記第3所定期間の後、第4所定期間に前記第4電力レベルよりも低い第6電力レベルで前記RFバイアス電力を供給する工程と、
を含む、方法。
[適用例22]
適用例21に記載の方法であって、
(e)における前記RFプラズマ電力は、30Wから3000Wの範囲の第1電力レベルで供給され、
さらに、前記第1所定期間に0Wよりも大きく1000Wまでの範囲の第2電力レベルでRFバイアス電力を供給する工程を含む、方法。
[適用例23]
適用例21に記載の方法であって、さらに、
(c)から(g5)を1回以上繰り返す工程を含む、方法。
[適用例24]
適用例21に記載の方法であって、
前記第3電力レベルは、0Wから500Wの範囲であり、
前記第4電力レベルは、30Wから1000Wの範囲であり、
前記第5電力レベルは、100Wから1500Wの範囲であり、
前記第6電力レベルは、30Wから1000Wの範囲である、方法。
[適用例25]
適用例16に記載の方法であって、
前記所定温度範囲は、0℃から80℃である、方法。
[適用例26]
適用例16に記載の方法であって、
前記所定圧力範囲は、5mTから450mTである、方法。
[適用例27]
適用例16に記載の方法であって、
前記所定圧力範囲は、5mTから35mTである、方法。
[適用例28]
適用例16に記載の方法であって、
前記処理チャンバは、容量結合プラズマチャンバである、方法。