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特許7576097感光性樹脂組成物、これを用いて製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルタ
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  • 特許-感光性樹脂組成物、これを用いて製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、これを用いて製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20241023BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20241023BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20241023BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20241023BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241023BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20241023BHJP
   C08G 63/13 20060101ALN20241023BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/004 505
G03F7/033
G03F7/027
G03F7/004 504
G03F7/075 501
G02B5/20 101
C08F220/06
C08G63/13
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022557728
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 KR2021002996
(87)【国際公開番号】W WO2021210783
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0046181
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,イジュ
(72)【発明者】
【氏名】キー,ソンボム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ジュホ
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-282082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/033
G03F 7/027
G03F 7/075
G02B 5/20
C08F 220/06
C08G 63/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)バインダー樹脂;
(B)着色剤;
(C)重合性化合物;
(D)光重合開始剤および熱重合開始剤を含む開始剤;および
(E)溶媒
を含み、
前記熱重合開始剤は、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートおよびt-ブチルパーオキシネオデカノエートのうちの少なくとも1つであり
前記熱重合開始剤は前記光重合開始剤と同じかより多い含量で含まれる、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~2重量%で含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記着色剤は、顔料、染料またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記染料は、フタロシアニン系化合物を含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記着色剤は顔料および染料を含み、
前記染料は前記顔料より多い含量で含まれる、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記アクリル系バインダー樹脂およびカルド系バインダー樹脂は、1:1の重量比で含まれる、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記重合性化合物は、光重合性化合物および熱重合性化合物を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記光重合性化合物および熱重合性化合物は、1:1の重量比で含まれる、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物総量に対して、
前記(A)バインダー樹脂1重量%~10重量%;
前記(B)着色剤50重量%~80重量%;
前記(C)重合性化合物1重量%~10重量%;
前記(D)開始剤1.1重量%~5重量%;および
前記(E)溶媒残部量
を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;カップリング剤;レベリング剤;および界面活性剤から選択される少なくとも一つの添加剤をさらに含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1~11のうちのいずれか一項による感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜。
【請求項13】
請求項12の感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、感光性樹脂組成物、これを用いて製造された感光性樹脂膜およびカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置の一つである液晶ディスプレイ装置は軽量化、薄型化、低価、低消費電力駆動化および優れた集積回路との接合性の長所を有していて、ノートパソコン、モニターおよびTV画像用にその使用範囲が拡大されている。このような液晶ディスプレイ装置は、光の三原色に該当する赤(R)、緑(G)、青(B)のサブピクセルが集合された単位ピクセルが反復的に形成されたカラーフィルタを備える。各サブピクセルを隣接するように配置させた状態でそれぞれのサブピクセルに色信号を印加して明るさを制御すると三原色の合成によって単位ピクセルに特定の色が表示される。カラーフィルタは赤(R)、緑(G)、青(B)の染料または顔料で製造され、このような着色材はバックライトユニットの白色光をそれぞれの該当する色に変える役割を果たすことになる。着色材のスペクトルが、要求される吸収波長以外に不必要な波長がなく幅が狭い吸収バンドを有するほど色純度が向上する。また、カラーレジストのエッチング過程で露出される紫外線、酸、塩基条件下で退色または変色されない優れた耐熱性、耐光性および耐化学性を有しなければならない。感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタは、主に染色法、電着法、印刷法、顔料分散法などによって3種以上の色を透明基板上にコーティングして製造することができる。
【0003】
このようなLCDの工程以外にも染料や顔料技術を基盤とした次世代ディスプレイ工程にも感光性樹脂組成物を使用しようとする試みが最近になって急増している。
【0004】
既存のLCD工程は高温工程での耐久性のために設計されているが、次世代ディスプレイ工程の場合、薄膜の材質的特性によって、熱変形損失を最小化するために、低温工程を必要とし、有機発光素子(OLED)用材料も低温工程のみ可能なので、これに使用される感光性樹脂組成物は低温硬化特性に優れなければならないが、既存のLCD工程に使用される感光性樹脂組成物は高温硬化特性に優れるだけで、低温硬化特性は非常に劣等である。よって、最近は低温硬化型樹脂組成物に対する要求が非常に高いのが実情である。しかし、現在まで知られた低温硬化型樹脂組成物の場合、大部分が低温硬化時十分に硬化されなくて耐熱性および耐化学性がぜい弱な問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一実施形態は、低温、例えば80℃~100℃での硬化特性に優れた感光性樹脂組成物を提供するためのものである。
【0006】
他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供するためのものである。
【0007】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂膜を用いて製造されたカラーフィルタを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、(A)バインダー樹脂;(B)着色剤;(C)重合性化合物;(D)光重合開始剤および熱重合開始剤を含む開始剤;および(E)溶媒を含み、前記熱重合開始剤は50以下の半減期(t1/2=10h)を有し、前記熱重合開始剤は前記光重合開始剤と同じかより多い含量で含まれる感光性樹脂組成物を提供する。
【0009】
前記熱重合開始剤は、ペルオキシド系化合物であってもよい。
【0010】
前記熱重合開始剤は、ペルオキシジカーボネート系化合物、ペルオキシエステル系化合物またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0011】
前記熱重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~2重量%で含まれてもよい。
【0012】
前記着色剤は、顔料、染料またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0013】
前記染料は、フタロシアニン系化合物を含むことができる。
【0014】
前記着色剤は顔料および染料を含み、前記染料は前記顔料より多い含量で含まれてもよい。
【0015】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0016】
前記アクリル系バインダー樹脂およびカルド系バインダー樹脂は、1:1の重量比で含まれてもよい。
【0017】
前記重合性化合物は、光重合性化合物および熱重合性化合物を含むことができる。
【0018】
前記光重合性化合物および熱重合性化合物は、1:1の重量比で含まれてもよい。
【0019】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物総量に対して、前記(A)バインダー樹脂1重量%~10重量%;前記(B)着色剤50重量%~80重量%;前記(C)重合性化合物1重量%~10重量%;前記(D)開始剤1.1重量%~5重量%;および前記(E)溶媒残部量を含むことができる。
【0020】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;カップリング剤;レベリング剤;および界面活性剤から選択される少なくとも一つの添加剤をさらに含むことができる。
【0021】
他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0022】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0023】
その他本発明の側面の具体的な事項は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0024】
一実施形態による感光性樹脂組成物は高温だけでなく、低温、例えば80℃~100℃の温度でも硬化度が高くて、優れた耐熱性および耐化学性を有するカラーフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例1による感光性樹脂組成物を用いて製造されたパターンをPGMEA溶液に常温(15℃~25℃)で30分間浸漬した後の光学顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求範囲の範疇によってのみ定義される。
【0027】
本明細書で特別な言及がない限り、“置換”とは化合物中の少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸やその塩、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数3~20のシクロアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルケニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキニル基基またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたことを意味する。
【0028】
本明細書で特別な言及がない限り、“アルキル基”とは炭素数1~20のアルキル基を意味し、“アルケニル基”とは炭素数2~20のアルケニル基を意味し、“シクロアルケニル基“とは炭素数3~20のシクロアルケニル基を意味し、“ヘテロシクロアルケニル基”とは炭素数3~20のヘテロシクロアルケニル基を意味し、“アリール基”とは炭素数6~20のアリール基を意味し、“アリールアルキル基”とは炭素数6~20のアリールアルキル基を意味し、“アルキレン基”とは炭素数1~20のアルキレン基を意味し、“アリーレン基”とは炭素数6~20のアリーレン基を意味し、“アルキルアリーレン基”とは炭素数6~20のアルキルアリーレン基を意味し、“ヘテロアリーレン基”とは炭素数3~20のヘテロアリーレン基を意味し、“アルコキシレン基”とは炭素数1~20のアルコキシレン基を意味する。
【0029】
本明細書で特別な言及がない限り、“ヘテロ”とは、化学式内にN、O、SおよびPのうちの少なくとも一つのヘテロ原子が少なくとも一つ含まれたことを意味する。例えば、“ヘテロシクロアルキル基”、“ヘテロシクロアルケニル基”、“ヘテロシクロアルキニル基”および“ヘテロシクロアルキレン基”とはそれぞれシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよびシクロアルキレンの環化合物内に少なくとも一つのN、O、SまたはPのヘテロ原子が存在することを意味する。
【0030】
本明細書で特別な言及がない限り、“(メタ)アクリレート”は“アクリレート”と“メタクリレート”の両方とも可能であるのを意味し、“(メタ)アクリル酸”は“アクリル酸”と“メタクリル酸”の両方とも可能であるのを意味する。
【0031】
本明細書で別途の定義がない限り、“組み合わせ”とは、混合または共重合を意味する。また、“共重合”とはブロック共重合乃至ランダム共重合を意味し、“共重合体”とはブロック共重合体乃至ランダム共重合体を意味する。
【0032】
本明細書内化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれなければならない位置に化学結合が描かれていない場合は、前記位置に水素原子が結合されているのを意味する。
【0033】
本明細書でカルド系樹脂とは、下記化学式1-1~化学式1-11からなる群より選択された一つ以上の官能基が樹脂内主骨格(backbone)に含まれる樹脂を意味する。
【0034】
また、本明細書で別途の定義がない限り、“*”は同一であるか異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0035】
一実施形態は、(A)バインダー樹脂;(B)着色剤;(C)重合性化合物;(D)光重合開始剤および熱重合開始剤を含む開始剤;および(E)溶媒を含み、前記熱重合開始剤は50以下の半減期(t1/2=10h)を有し、前記熱重合開始剤は前記光重合開始剤と同じかより多い含量で含まれる感光性樹脂組成物を提供する。
【0036】
前述のように、感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタは主に染色法、電着法、印刷法、顔料分散法などによって3種以上の色を透明基板上にコーティングして製造することができ、最近は顔料分散技術が向上して優れた色再現性と熱、光、湿度に対する耐久性が確保された顔料分散法が主に用いられている。このような顔料分散法によるカラーフィルタは顔料微細化および表面処理などを用いて高輝度、高明暗比を実現するか、最近は染料を適用した高性能カラーフィルタの開発が行われている。また、ディスプレイのフレキシブル化のために基板の種類が多様になっており、特に有機プラスチック基板内にカラーフィルタを製作するために制約的な工程条件を満たすことができるカラーフィルタ用感光性樹脂組成物の開発が必要な状況である。
【0037】
特にプラスチック基板を用いたディスプレイの場合、高温工程時熱変形が発生するため低温工程を必要とし、有機発光素子(OLED)用材料も低温工程のみ可能であるため低温硬化型樹脂組成物に対する要求が増加している。しかし、低温硬化時、十分に硬化されなくて耐熱性および耐化学性がぜい弱な問題がある。一実施形態は、50以下の半減期(t1/2=10h)を有する熱重合開始剤を光重合開始剤と共に使用し、その含量が光重合開始剤の使用含量以上になるようにすることによって、低温での硬化度を高めて、低温硬化工程でも高解像度、高耐熱性および高耐化学性を有するカラーフィルタ用感光性樹脂組成物に関するものである。
【0038】
以下、各成分について具体的に説明する。
【0039】
(D)開始剤
既存の感光性樹脂組成物を構成する開始剤としては大部分光重合開始剤が単独で使用されたが、このような感光性樹脂組成物は高温硬化特性は優れるが、低温硬化特性が非常に劣等であるという問題がある。よって、光重合開始剤の代わりに熱重合開始剤を使用しようとする試みがあったが、この場合にも低温硬化特性が非常に若干改善される程度に過ぎなかった。
【0040】
一実施形態によれば、熱重合開始剤と光重合開始剤を混用しながら同時に熱重合開始剤の含量が光重合開始剤の含量以上になるようにすることによって高温および低温で両方とも硬化がよく行われるようにし、特に熱重合開始剤として半減期(t1/2=10h)が50以下、例えば40~50である化合物を使用することによって、低温硬化特性を極大化した。前記熱重合開始剤の含量が前記光重合開始剤の含量より小さい場合、低温硬化特性が低下し、半減期(t1/2=10h)が50を超過する熱重合開始剤を使用する場合にも低温硬化特性が低下するようになって、好ましくない。
【0041】
一方、熱重合開始剤別半減期(t1/2=10h)を下記表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
例えば、前記熱重合開始剤はペルオキシド系化合物であってもよい。この場合、他の系列の化合物を熱重合開始剤として使用する場合より低温硬化特性をさらに向上させることができる。
【0044】
例えば、前記熱重合開始剤は、ペルオキシジカーボネート系化合物、ペルオキシエステル系化合物またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0045】
例えば、前記熱重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~2重量%で含まれてもよい。前記熱重合開始剤が前記範囲で含まれる場合、常温安定性に優れることになる。即ち、前記熱重合開始剤が前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%未満に含まれる場合、その含量が過度に小さくて低温硬化特性の極大化に寄与しにくいことがあり、前記熱重合開始剤が前記感光性樹脂組成物総量に対して2重量%超過で含まれる場合、常温安定性が低下してゲル化(gelation)することがあって好ましくないことがある。
【0046】
前記光重合開始剤は、感光性樹脂組成物に一般に使用される開始剤であって、例えばアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0047】
前記アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0048】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0049】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0050】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0051】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0052】
前記オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、および1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0053】
前記光重合開始剤は、前記化合物以外にも、カルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0054】
前記光重合開始剤は、光を吸収して励起状態となったのち、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用されてもよい。
【0055】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0056】
前記光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~5重量%、例えば0.1重量%~3重量%で含まれてもよい。光重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時、硬化が十分に起こって優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐化学性に優れ、解像度および密着性も優れ、未反応開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0057】
一実施形態による感光性樹脂組成物内開始剤(熱重合開始剤および光重合開始剤)は感光性樹脂組成物総量に対して1.1重量%~5重量%で含まれてもよく、但し、この場合、前記熱重合開始剤の含量が前記光重合開始剤の含量以上であってこそ低温硬化特性を大きく改善させることができる。
【0058】
(A)バインダー樹脂
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0059】
前記アクリル系バインダー樹脂は第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0060】
前記第1エチレン性不飽和単量体は一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0061】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、前記アクリル系バインダー樹脂総量に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれてもよい。
【0062】
前記第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0063】
前記アクリル系バインダー樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるのではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0064】
前記アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量は3,000g/mol~150,000g/mol、例えば5,000g/mol~50,000g/mol、例えば20,000g/mol~30,000g/molであってもよい。前記アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、前記感光性樹脂組成物の物理的および化学的物性に優れ、粘度が適切であり、カラーフィルタ製造時基板との密着性に優れる。
【0065】
例えば、前記カルド系樹脂は、下記化学式1で表すことができる。
【0066】
【化1】
【0067】
上記化学式1中、
101およびR102はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基であり、
103およびR104はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
は、単一結合、O、CO、SO、CR107108、SiR109110(ここで、R107~R110はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である)または下記化学式1-1~1-11で表される連結基のうちのいずれか一つであり、
【0068】
【化2】
【0069】
(上記化学式1-5中、
は、水素原子、エチル基、CCl、COH、CHCH=CHまたはフェニル基である。)
【0070】
【化3】
【0071】
は酸無水物残基または酸二無水物残基であり、
z1およびz2はそれぞれ独立して、0~4の整数である。
【0072】
前記カルド系樹脂の重量平均分子量は、500g/mol~50,000g/mol、例えば1,000g/mol~30,000g/molであってもよい。前記カルド系樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、遮光層製造時、残渣なくパターン形成がよく行われ、現像時、膜の厚さの損失がなく、良好なパターンを得ることができる。
【0073】
前記カルド系樹脂は、両末端のうちの少なくとも一つに下記化学式2で表される官能基を含むことができる。
【0074】
【化4】
【0075】
上記化学式2中、
は、下記化学式2-1~2-7で表すことができる。
【0076】
【化5】
【0077】
(上記化学式2-1中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、エステル基またはエーテル基である。)
【0078】
【化6】
【0079】
(上記化学式2-5中、Rは、O、S、NH、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、炭素数1~20のアルキルアミン基または炭素数2~20のアルケニルアミン基である。)
【0080】
【化7】
【0081】
前記カルド系樹脂は、例えば、9,9-ビス(4-オキシラニルメトキシフェニル)フルオレンなどのフルオレン含有化合物;ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフタル酸無水物などの無水物化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどのアルコール化合物;プロピレングリコールメチルエチルアセテート、N-メチルピロリドンなどの溶媒類化合物;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物;およびテトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ベンジルジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどのアミンまたはアンモニウム塩化合物のうちの二つ以上を混合して製造することができる。
【0082】
前記バインダー樹脂が前記アクリル系バインダー樹脂およびカルド系バインダー樹脂を全て含む場合、前記アクリル系バインダー樹脂およびカルド系バインダー樹脂は1:1の重量比で含まれてもよい。この場合、感光性樹脂組成物の現像性に優れ、光硬化時、感度が良くて微細パターン形成性に優れることになる。
【0083】
前記バインダー樹脂は、前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~10重量%、例えば3重量%~8重量%で含まれてもよい。バインダー樹脂が前記範囲内に含まれる場合、カラーフィルタ製造時、現像性に優れ、架橋性が改善されて優れた表面平滑度を得ることができる。
【0084】
(B)着色剤
一実施形態による感光性樹脂組成物内着色剤は、顔料、染料またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0085】
例えば、前記染料は、フタロシアニン系化合物を含むことができる。
【0086】
前記フタロシアニン系化合物を染料として使用時、少量でも高色の発現が可能で、輝度などの色特性に優れたディスプレイ素子の製造が可能である。
【0087】
例えば、前記フタロシアニン系化合物を染料として使用時、これを顔料分散液、例えば黄色または緑色顔料分散液と共に使用する場合、着色力、輝度特性および耐化学性を含む信頼性が向上した高色座標の実現が可能である。例えば、一実施形態による感光性樹脂組成物耐着色剤は顔料(顔料分散液)および染料(フタロシアニン系化合物)を含み、前記染料は前記顔料より多い含量で含まれてもよいる。前記フタロシアニン系化合物を含む染料が前記顔料(顔料分散液)より多い含量範囲で含まれる場合、感光性樹脂組成物の信頼性を改善させることができる。
【0088】
例えば、前記着色剤は、感光性樹脂組成物総量に対して50重量%~80重量%、例えば60重量%~75重量%に含まれてもよい。前記着色剤が前記含量範囲で含まれる場合、高色座標実現時、改善された耐溶出性を確保することができる。
【0089】
例えば、前記顔料は、緑色顔料、黄色顔料またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0090】
前記緑色顔料は、緑色顔料C.I.顔料緑色7、C.I.顔料緑色36、C.I.顔料緑色37、C.I.顔料緑色58、C.I.顔料緑色59、C.I.顔料緑色62またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0091】
前記黄色顔料は、C.I.顔料黄色11、C.I.顔料黄色24、C.I.顔料黄色31、C.I.顔料黄色53、C.I.顔料黄色83、C.I.顔料黄色93、C.I.顔料黄色99、C.I.顔料黄色108、C.I.顔料黄色109、C.I.顔料黄色110、C.I.顔料黄色138、C.I.顔料黄色139、C.I.顔料黄色147、C.I.顔料黄色150、C.I.顔料黄色151、C.I.顔料黄色154、C.I.顔料黄色155、C.I.顔料黄色167、C.I.顔料黄色180、C.I.顔料黄色185、C.I.顔料黄色199、C.I.顔料黄色215、C.I.顔料黄色231またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0092】
前記緑色顔料および黄色顔料を分散させるために分散剤と共に使用することができる。具体的には、前記顔料を分散剤で予め表面処理して使用するか、組成物製造時、顔料と共に分散剤を添加して使用することができる。
【0093】
前記分散剤としては、非イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、陽イオン性分散剤などを使用することができる。前記分散剤の具体的な例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0094】
前記分散剤の市販される製品を例として挙げれば、BYK社のDISPERBYK-101、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-160、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-165、DISPERBYK-166、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-182、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001など;EFKAケミカル社のEFKA-47、EFKA-47EA、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-100、EFKA-400、EFKA-450など;Zeneka社のSolsperse 5000、Solsperse 12000、Solsperse 13240、Solsperse 13940、Solsperse 17000、Solsperse 20000、Solsperse 24000GR、Solsperse 27000、Solsperse 28000など;またはAjinomoto社のPB711、PB821などがある。
【0095】
前記分散剤は、感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~15重量%で含まれてもよい。分散剤が前記範囲内に含まれる場合、組成物の分散性が優れることによってブラックカラムスペーサ製造時、安定性、現像性およびパターン性に優れる。
【0096】
前記顔料は、水溶性無機塩および湿潤剤を用いて前処理して使用することもできる。顔料を前記前処理して使用する場合、顔料の平均粒径を微細化することができる。
【0097】
前記前処理は、前記顔料を水溶性無機塩および湿潤剤と共にニーディング(kneading)する段階、そして前記ニーディング段階で得られた顔料をろ過および水洗する段階を経て行うことができる。
【0098】
前記ニーディングは40℃~100℃の温度で行うことができ、前記ろ過および水洗は水などを使用して無機塩を水洗した後、ろ過して行うことができる。
【0099】
前記水溶性無機塩の例としては塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。前記湿潤剤は前記顔料および前記水溶性無機塩が均一に混合されて顔料が容易に粉砕される媒介体役割を果たし、その例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのようなアルキレングリコールモノアルキルエーテル;エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンポリエチレングリコールなどのようなアルコールなどが挙げられ、これらを単独または二つ以上混合して使用することができる。
【0100】
前記ニーディング段階を経た顔料は5nm~200nm、例えば5nm~150nmの平均粒径を有することができる。顔料の平均粒径が前記範囲内である場合、顔料分散液での安定性に優れ、ピクセルの解像性低下の恐れがない。
【0101】
前記顔料分散液を形成する溶剤としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができる。
【0102】
具体的に、前記顔料は前記分散剤および後述の溶媒を含む顔料分散液の形態で使用することができ、前記顔料分散液は固形分の顔料、分散剤および溶媒を含むことができる。前記固形分の顔料は、前記顔料分散液総量に対して5重量%~30重量%、例えば8重量%~20重量%で含まれてもよい。
【0103】
(C)重合性化合物
前記重合性化合物は、光重合性化合物および熱重合性化合物を含むことができる。
【0104】
前記光重合性化合物は、少なくとも一つのエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを使用することができる。
【0105】
前記光重合性化合物は前記エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時十分な重合を起こすことによって耐熱性、耐光性および耐化学性に優れたパターンを形成することができる。
【0106】
前記光重合性化合物の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0107】
前記光重合性化合物の市販される製品を例として挙げれば次の通りである。前記(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-101(登録商標)、同M-111(登録商標)、同M-114(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TC-110S(登録商標)、同TC-120S(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-158(登録商標)、V-2311(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-210(登録商標)、同M-240(登録商標)、同M-6200(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD HDDA(登録商標)、同HX-220(登録商標)、同R-604(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-260(登録商標)、V-312(登録商標)、V-335HP(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-309(登録商標)、同M-400(登録商標)、同M-405(登録商標)、同M-450(登録商標)、同M-710(登録商標)、同M-8030(登録商標)、同M-8060(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TMPTA(登録商標)、同DPCA-20(登録商標)、同-30(登録商標)、同-60(登録商標)、同-120(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-295(登録商標)、同-300(登録商標)、同-360(登録商標)、同-GPT(登録商標)、同-3PA(登録商標)、同-400(登録商標)などが挙げられる。前記製品を単独使用または2種以上共に使用することができる。
【0108】
前記光重合性化合物は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0109】
前記光重合性化合物は、前記感光性樹脂組成物総量に対して0.5重量%~5重量%、例えば1重量%~4重量%で含まれてもよい。光重合性化合物が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時、硬化が十分に起こって信頼性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れる。
【0110】
前記熱重合性化合物は、(メタ)アクリレート系化合物、オキセタン系化合物、チオール基含有化合物またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0111】
前記熱重合性化合物は、オキセタニル基、チオール基、(メタ)アクリレート基などを官能基として含んで光硬化および熱硬化時硬化度を増大させることができる。
【0112】
具体的に、オキセタン系化合物、(メタ)アクリレート系化合物またはチオール基含有化合物を熱重合性化合物として使用しながら前述の光重合性化合物と混用する場合、前述の熱重合開始剤、より具体的にペルオキシド系化合物の反応性を大きく向上させることができる。また、カラーフィルタ工程中に発生する悪臭問題も改善させることができる。
【0113】
また、前記(メタ)アクリレート系化合物を熱重合性化合物として使用する場合、(メタ)アクリレート系化合物内エチレン性不飽和二重結合によって、パターン形成工程で露光時、十分な重合が行われて耐熱性、耐光性および耐化学性に優れたパターンを形成することができる。
【0114】
前記重合性化合物は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0115】
前記光重合性化合物および熱重合性化合物は1:1の重量比で含まれてもよい。この場合、パターン形成工程で露光時、硬化が十分に起こって信頼性に優れる。
【0116】
前記熱重合性化合物は、感光性樹脂組成物総量に対して0.5重量%~5重量%、例えば1重量%~4重量%で含まれてもよい。前記熱重合性単量体が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時、硬化が十分に起こって信頼性に優れ、低温硬化時に前記信頼性がさらに向上できる。
【0117】
一実施形態による感光性樹脂組成物は、前記重合性化合物を前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~10重量%、例えば3重量%~8重量%で含むことができる。この場合、パターンの耐熱性、耐光性、耐化学性、解像度および密着性に優れる。
【0118】
(E)溶媒
前記溶媒は、一実施形態によるバインダー樹脂、着色剤、重合性化合物および開始剤との相溶性を有するが反応しない物質が使用することができる。
【0119】
前記溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類;2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0120】
これらのうち、良くは相溶性および反応性を考慮して、シクロヘキサノンなどのケトン類;エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、シクロヘキサノンなどのケトン類を使用することができる。
【0121】
前記溶媒は、前記感光性樹脂組成物総量に対して残部量、例えば、5重量%~30重量%で含まれてもよい。前記溶媒が前記範囲内に含まれる場合、感光性樹脂組成物の塗布性に優れ、平坦性に優れた塗膜を得ることができる。
【0122】
(F)その他の添加剤
前記感光性樹脂組成物は、塗布時、染みや斑点を防止し、レベリング性能を改善するために、また未現像による残渣の生成を防止するために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;カップリング剤;レベリング剤;および界面活性剤から選択される少なくとも一つの添加剤をさらに含むことができる。
【0123】
前記添加剤は、所望の物性によって容易に調節することができる。
【0124】
前記カップリング剤はシラン系カップリング剤であってもよく、前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γイソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、βエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0125】
前記シラン系カップリング剤は、具体的に、前記感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~1重量部で使用することができる。
【0126】
また、前記カラーフィルタ用感光性樹脂組成物は、必要によって界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0127】
前記フッ素系界面活性剤の例としては、DIC社製のF-482、F-484、F-478などがあり、これに限定されるのではない。
【0128】
前記界面活性剤は、感光性樹脂組成物総量に対して、0.01重量%~5重量%で含まれるのが好ましく、0.01重量%~2重量%で含まれるのがより好ましい。前記範囲を逸脱する場合、現像後異物が発生する問題点が発生することがあって好ましくない。
【0129】
また、前記感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で、酸化防止剤、安定剤などのその他の添加剤が一定量添加されてもよい。
【0130】
他の一実施形態によれば、一実施形態による感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0131】
また他の一実施形態によれば、前述の感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタを提供する。
【0132】
前記カラーフィルタの製造方法は、次の通りである。
【0133】
ガラス基板の上にスピン塗布、ローラー塗布、スプレー塗布などの適当な方法を使用して、例えば、0.5μm~10μmの厚さで前述の感光性樹脂組成物を塗布して感光性樹脂組成物層を形成する。
【0134】
その次に、前記感光性樹脂組成物層が形成された基板にカラーフィルタに必要なパターンを形成するように光を照射する。照射に使用される光源としてはUV、電子線またはX線を使用することができ、例えば、190nm~450nm、具体的には200nm~400nm領域のUVを照射することができる。前記照射する工程でフォトレジストマスクをさらに使用して実施することもできる。このように照射する工程を実施した後、前記光源が照射された感光性樹脂組成物層を現像液で処理する。この時、感光性樹脂組成物層で非露光部分は溶解されることによってカラーフィルタに必要なパターンが形成される。このような工程を必要な色の数によって繰り返すことにより所望のパターンを有するカラーフィルタを得ることができる。また、前記工程で現像によって得られた画像パターンを再び加熱するか化学線照射などによって硬化させれば、耐クラック性、耐溶剤性などを向上させることができる。
【0135】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明が下記実施例に限定されるのではない。
【0136】
[実施例]
(感光性樹脂組成物の合成)
実施例1~実施例4および比較例1~比較例6
下記言及された構成成分を下記表2に示した組成で混合して実施例1~実施例4および比較例1~比較例6による感光性樹脂組成物を製造した。
【0137】
具体的に、溶媒に開始剤を溶かした後、常温で攪拌した後、ここにバインダー樹脂および重合性化合物を添加して常温で攪拌した。その次に、得られた前記反応物に着色剤およびその他の添加剤を入れて常温で攪拌した。その次に、前記生成物を3回ろ過して不純物を除去することによって、感光性樹脂組成物を製造した。
【0138】
【表2】
【0139】
(A)バインダー樹脂
(A-1)アクリル系バインダー樹脂(RY-25、昭和電工)
(A-2)カルド系バインダー樹脂(KBR101、京仁洋行)。
【0140】
(B)着色剤
(B-1)フタロシアニン系染料(GD17、京仁洋行)
(B-2)黄色顔料分散液(Y231、東洋インキ)
(B-3)黄色顔料分散液(Y139、東洋インキ)。
【0141】
(C)重合性化合物
(C-1)M300(Trimethylolpropane triacrylate、Miwon Specialty Chemical Co., Ltd.)
(C-2)V1000(下記化学式Eで表示、大阪化学)
【0142】
【化8】
【0143】
(上記化学式E中、Rは下記化学式E-1で表され、
【0144】
【化9】
【0145】
上記化学式E-1中、
は水素または*-C(=O)-CR=CHであり、
は*-C(=O)-CR=CHであり、
ここで、Rは水素原子または炭素数1~10のアルキル基である。)。
【0146】
(D-1)光重合開始剤
(D-1-1)SPI-05(三養社)
(D-1-2)SPI-03(三養社)。
【0147】
(D-2)熱重合開始剤
(D-2-1)PeroylTCP(Peroxydicarbonate)(DONGSUNG HIGHCHEM CO.LTD)
(D-2-2)PerbutylND(Peroxyester)(DONGSUNG HIGHCHEM CO.LTD)
(D-2-3)Peroyl-L(Lauroyl Peroxide)(DONGSUNG HIGHCHEM CO.LTD)
(D-2-4)ChemexBO(tert-butyl peroxy-2-ethylhexanoate)(DONGSUNG HIGHCHEM CO.LTD)
(D-2-5)PerbutylIB(tert-butyl peroxy isobutyrate)(DONGSUNG HIGHCHEM CO.LTD)
(D-2-6)PerhexaC(1,1-Bis(t-butylperoxy cyclohexane)(DONGSUNG HIGHCHEM CO.LTD)。
【0148】
(E)溶媒
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(Sigma-Aldrich社)。
【0149】
(F)その他の添加剤
(F-1)レベリング剤(F-554、DIC)
(F-2)シラン系カップリング剤(KBM503、信越)。
【0150】
評価1:耐化学性
スピン-コーター(spin-coater、KDNS社のK-Spin8)を用いて、脱脂洗浄した透明なガラス基板(bare glass)上に3μmの厚さで前記実施例1~実施例4および比較例1~比較例6で製造した感光性樹脂組成物を塗布し、80℃のホットプレート上で120秒間乾燥させて塗膜を得た。続いて365nmの主波長を有するランプを使用して50mJ/cmの出力(power)で露光した後、85℃の熱風循環式オーブン(convection oven)で60分間ベーキング(baking)して試片を製造した。前記試片を2×2cm大きさで製作後、PGMEA溶液に30分間浸漬して残っているパターンの剥離有無を光学顕微鏡で確認した。剥離されずパターンが残っている場合は“”と表記し、剥離されたが、パターンが少し残っている場合は“△”と表記し、剥離されパターンが残っていない場合は“”と表記して、下記表3に示した。また、実施例1による感光性樹脂組成物を用いて製造された試片をPGMEA溶液に30分間浸漬した後のパターン写真を図1に示した。
【0151】
【表3】
【0152】
評価2:保存安定性
常温(25℃)で2週間実施例1~実施例4および比較例1~比較例6による感光性樹脂組成物を放置し、液がゲル化(gelation)されたか振って確認した。ゲル化(Gelation)された場合を“”と、変化せず液状に維持している場合“”と表記して、その結果を下記表4に示した。
【0153】
【表4】
【0154】
図1、表3および表4から、一実施形態による感光性樹脂組成物は85℃の低温硬化特性が非常に優れるのを確認することができ、熱重合開始剤の含量が過量で含まれる場合、感光性樹脂組成物の保存安定性が低下するのも確認することができる。
【0155】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。
図1