(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】ハイブリッドなレーザスクライビング及びプラズマエッチングアプローチを用いたウエハダイシングにおけるレーザスクライビングトレンチ開口制御
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
H01L21/78 Q
H01L21/78 S
H01L21/78 B
(21)【出願番号】P 2022578613
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(86)【国際出願番号】 US2021033613
(87)【国際公開番号】W WO2021262361
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-02-17
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジョンネ
(72)【発明者】
【氏名】タン, ザビエル ツァイ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】バラクリシュナン, カルティク
(72)【発明者】
【氏名】パパヌ, ジェームス エス.
(72)【発明者】
【氏名】レイ, ウェイ-ション
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-175976(JP,A)
【文献】特開2017-92363(JP,A)
【文献】特開2020-27889(JP,A)
【文献】特開2014-107283(JP,A)
【文献】特開2020-96057(JP,A)
【文献】特表2014-523113(JP,A)
【文献】特表2014-523112(JP,A)
【文献】特開2020-96186(JP,A)
【文献】特表2016-539497(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0091001(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の集積回路を備える半導体ウエハをダイシングする方法であって、
前記半導体ウエハの上にマスクを形成すること、
第1のレーザプロセスで前記マスク及び前記半導体ウエハをパターニングすること、
前記第1のレーザプロセスとは異なる第2のレーザプロセスで前記マスク及び前記半導体ウエハをパターニングすること、
並びに
前記複数の集積回路を個片化するために、プラズマエッチングプロセスで前記半導体ウエハをエッチングすることを含
み、
前記第1のレーザプロセスは、前記マスクを貫通して前記半導体ウエハのデバイス層内に先細りした側壁プロファイルを有するトレンチを形成し、
前記第2のレーザプロセスは、前記デバイス層を貫通するよう前記トレンチの深さを増加させ、前記第2のレーザプロセスは、前記デバイス層における前記トレンチの幅を増加させることなしに維持しながら、前記マスクにおける前記トレンチの幅を増加させ、
前記マスクを貫通する前記トレンチの最小幅が、前記デバイス層を貫通する前記トレンチの最大幅よりも大きい、
方法。
【請求項2】
前記第1のレーザプロセスは第1の強度を有し、前記第2のレーザプロセスは第2の強度を有し、前記第2の強度は前記第1の強度よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の強度と前記第1の強度との比が、
3:1以上である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の強度は6μJ以上であり、前記第1の強度は
3μJ以下である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のレーザプロセスの後に、前記マスクと前記半導体ウエハとの間の界面に後退が実質的に存在しない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のレーザプロセスと前記プラズマエッチングプロセスとの間に、プラズマ洗浄動作を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のレーザプロセスが、フェムト秒光源レーザビームを使用して実行され、
前記
フェムト秒光源レーザ
ビームは、10フェムト秒と100ピコ秒との間のパルス幅を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数の集積回路を備える半導体ウエハをダイシングする方法であって、
前記半導体ウエハの上にマスクを形成すること、
前記マスクを貫通して前記半導体ウエハのデバイス層内に
先細りした側壁プロファイルを有する開口部を形成するために、第1のレーザプロセスを実行すること、及び
前記複数の集積回路を個片化するために、第2のレーザプロセスを実行することを含
み、
前記第2のレーザプロセスは、前記デバイス層を貫通するよう前記開口部の深さを増加させ、前記デバイス層における前記開口部の幅を増加させることなしに維持しながら、前記マスクにおける前記開口部の幅を増加させ、前記マスクを貫通する前記開口部の最小幅が、前記デバイス層を貫通する前記開口部の最大幅よりも大きい、方法。
【請求項9】
前記第1のレーザプロセスは第1の強度を有し、前記第2のレーザプロセスは第2の強度を有し、前記第2の強度は前記第1の強度よりも大きい、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の強度と前記第1の強度との比が、3:1以上である、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の強度は6μJ以上であり、前記第1の強度は3μJ以下である、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のレーザプロセスの後に、前記マスクと前記半導体ウエハとの間の界面に前記マスクの後退が実質的に存在しない、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のレーザプロセスの後に、前記マスクと前記半導体ウエハとの間の前記界面に前記マスクの後退が存在する、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記半導体ウエハを貫通する開口部の最大幅は、前記マスクを貫通する開口部の最小幅よりも小さい、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
複数の集積回路を備える半導体ウエハをダイシングするためのシステムであって、
ファクトリインターフェース、
前記ファクトリインターフェースと結合され、第1のレーザプロセス及び第2のレーザプロセスを提供するように構成されたレーザアセンブリを備える、レーザスクライブ装置、並びに
前記ファクトリインターフェースに結合されたプラズマエッチングチャンバを備え
、
前記レーザアセンブリは、
前記第1のレーザプロセスで前記半導体ウエハの上に形成されたマスク及び前記半導体ウエハをパターニングすること、
前記第1のレーザプロセスとは異なる前記第2のレーザプロセスで前記マスク及び前記半導体ウエハをパターニングすること、並びに
前記複数の集積回路を個片化するために、プラズマエッチングプロセスで前記半導体ウエハをエッチングすること、を実行するよう構成され、
前記第1のレーザプロセスは、前記マスクを貫通して前記半導体ウエハのデバイス層内に先細りした側壁プロファイルを有するトレンチを形成し、
前記第2のレーザプロセスは、前記デバイス層を貫通するよう前記トレンチの深さを増加させ、前記第2のレーザプロセスは、前記デバイス層における前記トレンチの幅を増加させることなしに維持しながら、前記マスクにおける前記トレンチの幅を増加させ、前記マスクを貫通する前記トレンチの最小幅が、前記デバイス層を貫通する前記トレンチの最大幅よりも大きい、システム。
【請求項16】
前記第1のレーザプロセスは第1の強度を有し、前記第2のレーザプロセスは第2の強度を有し、前記第2の強度は前記第1の強度よりも大きい、請求項
15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月22日に出願された米国特許出願第16/908,542号の優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の複数の実施形態は、半導体処理の分野に関し、特に、各ウエハがその上に複数の集積回路を有する複数の半導体ウエハをダイシングする方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウエハの処理では、集積回路が、シリコン又は他の半導体材料で構成されるウエハ(基板とも称される)上に形成される。一般的には、集積回路を形成するために、半導電性、導電性、又は絶縁性のいずれかである、様々な材料の層が利用される。これらの材料は、集積回路を形成するために、様々な周知のプロセスを使用して、ドープされ、堆積され、エッチングされる。各ウエハは、処理されて、ダイとして知られる集積回路を含む多数の個片領域を形成する。
【0004】
集積回路形成プロセスに続いて、ウエハは、パッケージ化されるため、又は、より大型の回路内でパッケージ化されていない形態で使用されるために、「ダイシングされ(diced)」て、互いとは別個のダイに分離される。ウエハをダイシングするために使用される2つの主な技法は、スクライビングとソーイングである。スクライビングでは、先端がダイヤモンドのスクライバが、予め形成されたスクライブラインに沿って、ウエハ表面の端から端まで移動する。このようなスクライブラインは、ダイ間のスペースに沿って延在する。これらのスペースは、一般的に「ストリート(street)」と称される。ダイヤモンドのスクライバは、ストリートに沿って、ウエハ表面に浅いキズ(scratch)を形成する。ローラなどで圧力が印加されると、ウエハはスクライブラインに沿って分離する。このウエハの割れは、ウエハ基板の結晶格子構造に沿ったものになる。スクライビングは、厚さが約10ミル(千分の1インチ)以下のウエハ向けに使用され得る。もっと厚いウエハをダイシングするには、現時点では、ソーイングが好ましい方法である。
【0005】
ソーイングでは、高い毎分回転数で回転する、先端がダイヤモンドの切断ソーが、ウエハ表面に接触し、ストリートに沿ってウエハを切断する。ウエハはフィルムフレームに張り渡された接着フィルムなどの支持部材に装着され、切断ソーが、垂直ストリートと水平ストリートの両方に繰り返し当たる。スクライビングとソーイングのいずれにおいても問題となるのは、ダイの切断エッジに沿って、チップ及び溝が形成され得ることである。加えて、亀裂が形成され、ダイのエッジから基板内まで伝播して、集積回路が動作不能になる可能性もある。結晶構造の<110>方向においては、正方形又は長方形のダイの片側しかスクライビングできないので、スクライビングに関してはチッピング(欠け:chipping)と亀裂形成が特に問題となる。結果として、ダイの別の側の割れ(cleaving)により、ぎざぎざの分離線が生じる。チッピング及び亀裂の形成により、集積回路への損傷を防止するためには、ウエハ上でダイ間が更に離隔する(例えば、チップ及び亀裂が実際の集積回路から一定の距離を保つ)ことが必要になる。この離隔要件の結果として、標準サイズのウエハにあまり多くのダイを形成することができなくなり、回路のために使用できるはずであったウエハの面積が無駄になる。切断ソーを使用することで、半導体ウエハの面積(real estate)の無駄は悪化する。切断ソーの刃の厚さは、およそ15ミクロンである。このため、切断ソーによって生じた切断部周辺の亀裂やその他の損傷によって集積回路が悪影響を受けないようにするためには、しばしば、各ダイの回路を300から500ミクロン離さなければならない。更に切断後、ソーイングプロセスで生じた粒子及びその他の汚染物質を除去するために、各ダイをしっかりと洗浄することが必要になる。
【0006】
プラズマダイシングも使用されてきたが、これにも制約があり得る。例えば、プラズマダイシングの実装を阻む制約の1つはコストであり得る。レジストをパターニングするための標準的なリソグラフィ工程により、実装費用は大変高額になり得る。プラズマダイシングの実装を妨げる可能性がある別の制約は、ストリートに沿ったダイシングにおける、よくある金属(銅など)のプラズマ処理が、製造上の問題又はスループット限界を引き起こし得ることである。
【発明の概要】
【0007】
本明細書で開示される一実施形態は、複数の集積回路を備えるウエハをダイシングする方法を含む。一実施形態では、該方法が、半導体ウエハの上にマスクを形成すること、及び、第1のレーザプロセスでマスク及び半導体ウエハをパターニングすることを含む。該方法は、第2のレーザプロセスでマスク及び半導体ウエハをパターニングすることを更に含んでよい。その場合、第2のレーザプロセスは、第1のレーザプロセスとは異なる。一実施形態では、該方法が、集積回路を個片化するために、プラズマエッチングプロセスで半導体ウエハをエッチングすることを更に含んでよい。
【0008】
本明細書で開示される更なる実施形態によれば、複数の集積回路を備える半導体ウエハをダイシングする方法が提供される。一実施形態では、該方法が、半導体ウエハの上にマスクを形成すること、及び、マスクを貫通して半導体ウエハのデバイス層内に開口部を形成するために、第1のレーザプロセスを実行することを含む。一実施形態では、該方法が、複数の集積回路を個片化するために、第2のレーザプロセスを実行することを更に含む。
【0009】
本明細書で開示される更なる実施形態によれば、複数の集積回路を備える半導体ウエハをダイシングするためのシステムが提供される。一実施形態では、該システムが、ファクトリインターフェース、及びファクトリインターフェースに結合されたレーザスクライブ装置を備える。該レーザスクライブ装置は、第1のレーザプロセス及び第2のレーザプロセスを提供するように構成されたレーザアセンブリを備える。一実施形態では、該システムが、ファクトリインターフェースに結合されたプラズマエッチングチャンバを更に備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態による、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法の動作を表すフローチャートである。
【
図2A】本開示の一実施形態による、
図1のフローチャートの動作121に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実行中の、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示す。
【
図2B】本開示の一実施形態による、
図1のフローチャートの動作122に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実行中の、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示す。
【
図2C】本開示の一実施形態による、
図1のフローチャートの動作123に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実行中の、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示す。
【
図2D】本開示の一実施形態による、
図1のフローチャートの動作125に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実行中の、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示す。
【
図3】本開示の一実施形態による、半導体ウエハ又は基板のストリート領域に使用されてよい材料のスタックの断面図を示す。
【
図4A】
図4A~
図4Eは、本開示の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法の様々な動作の断面図を示す。
【
図4B】
図4A~
図4Eは、本開示の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法の様々な動作の断面図を示す。
【
図4C】
図4A~
図4Eは、本開示の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法の様々な動作の断面図を示す。
【
図4D】
図4A~
図4Eは、本開示の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法の様々な動作の断面図を示す。
【
図4E】
図4A~
図4Eは、本開示の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法の様々な動作の断面図を示す。
【
図5】本開示の一実施形態による、ウエハ又は基板をレーザ及びプラズマでダイシングするためのツールレイアウトのブロック図を示す。
【
図6】本開示の一実施形態による、例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各々が上に複数の集積回路(IC)を有する、複数の半導体ウエハのダイシング方法が説明される。以下の説明では、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、デュアルレーザスクライビングプロセス、プラズマエッチング条件、及び材料レジームなどの、多数の具体的な詳細が説明される。本開示の複数の実施形態が、これらの具体的な詳細がなくとも実施されてよいことは、当業者には明らかであろう。他の事例では、本開示の複数の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、集積回路の製造といった周知の態様については、詳細に説明していない。更に、図面で示されている様々な実施形態は、例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りには描かれていないことが、理解されるべきである。
【0012】
ダイを個片化するために、先ずレーザスクライブを行い、続いてプラズマエッチングを行うことを含む、ハイブリッドなウエハ又は基板のダイシングプロセスが実施されてよい。レーザスクライブプロセスは、マスク層、有機及び無機の誘電体層、並びにデバイス層をクリーンに除去するために使用されてよい。次いで、レーザスクライブプロセスは、ウエハ若しくは基板が露出されると、又はそれらが部分的にスクライブされると終了してよい。次いで、バルク単結晶シリコンといったウエハ又は基板のバルクを貫通エッチングして、ダイ又はチップの個片化又はダイシングをもたらすために、ダイシングプロセスのうちのプラズマエッチングの部分が用いられてよい。より具体的には、1以上の実施形態が、例えばダイシング用途のために、第1のレーザプロセス及び第2のレーザプロセスを含むデュアルレーザスクライビングプロセスを実施することを対象とする。
【0013】
ハイブリッドなレーザスクライビング及びプラズマエッチングアプローチのためのデュアルレーザスクライビングプロセスが説明される。例えば、デュアルレーザスクライビングプロセスは、第1のレーザ条件を有する第1のレーザスクライビングプロセス、及び、第2のレーザ条件を有する第2のレーザスクライビングプロセスを提供することによって実施されてよい。第1の条件及び第2の条件は、レーザフルエンス、ビームサイズ、ビーム偏光などのパラメータを含んでよい。本明細書で説明されるデュアルレーザスクライビングプロセスは、ハイブリッドなレーザスクライビング及びプラズマエッチングプロセスの改良されたカーフ幅制御を提供するために実施されてよい。複数の実施形態はまた、レーザダイシングプロセスの改良されたカーフ幅制御を提供するために実装されてもよい。一実施形態では、第1のレーザスクライビングプロセスが、半導体ウエハのデバイス層内にカーフ幅を設定し、第2のレーザスクライビングプロセスが、デバイス層の上のマスク層を貫通するトレンチの幅を広げる。一実施形態では、第2のレーザスクライビングプロセスが、所望のカーフ幅を維持し、また、デバイス層内の表面の品質を改善して、後続のプラズマエッチングの準備をする。第2のレーザスクライビングプロセスは、第1のレーザスクライビングプロセスによって設定されるカーフ幅を大きく変えることはないだろう。
【0014】
文脈を提供するために、レーザスクライビング動作用のレーザの使用は、現在、マスクを貫通して下地層の半導体ウエハ内にトレンチを形成するレーザで実施される。レーザスクライビングは、マスクを貫通して半導体ウエハのデバイス層内に所望の幅を有するトレンチ開口部を提供する。所望の幅(すなわち、カーフ幅)は、カーフ幅が半導体ウエハ上のダイ間のストリートの幅以下となるように選択される。しかし、マスクを貫通する小さな幅は、ダイを個片化するために使用される後続のプラズマエッチングにおいて困難性をもたらす。したがって、カーフ幅は、その後のプラズマエッチングのための適切な条件を提供するために増加される必要がある。
【0015】
その課題に対処するために、本明細書で開示される複数の実施形態は、半導体ウエハ内の小さなカーフ幅、及びマスク層を貫通する幅の広いトレンチを可能にするデュアルレーザスクライビングプロセスを含む。一実施形態では、マスクを貫通して半導体ウエハのデバイス層内に第1の開口部を提供するために、第1のレーザスクライビング動作が、第1のレーザ強度で実施され得る。次いで、デバイス層内カーフ幅を著しく増加させることなしに、マスク層を貫通するトレンチ開口部を広げるために、第2のレーザスクライビング動作が、第2の(より高い)レーザ強度を使用して実施される。より高い強度のレーザはまた、下層のバルク半導体基板を露出させるために、デバイス層を貫通するトレンチの形成を完了してもよい。レーザパルスのテールがマスク層によって実質的にブロックされるので、カーフ幅は増加しない。
【0016】
本明細書で説明される1以上の実施形態を実装する利点は、(1)より小さいカーフ幅、(2)ウエハ上の増加したダイ密度、及び/又は(3)より高いウエハ歩留まりのうちの1以上を含んでよい。カーフ幅を増加させる必要なしに開口部の幅を増加させるように、マスクが引き続きエッチングされるので、より小さいカーフ幅が得られてよい。したがって、ストリートの幅は低減されてよく、ダイ密度が増加する。更に、デバイス層を通るダイエッジの表面は、第2のレーザスクライビング動作によってより滑らかにされてよい。それは、改善されたプラズマエッチングをもたらす。これは、より高いウエハ歩留まりをもたらしてよい。
【0017】
本開示の1以上の実施形態によれば、ハイブリッドなレーザダイシングにおけるレーザスクライビング動作を改善するためのデュアルレーザスクライビングプロセスが開示される。したがって、本開示の一態様は、デュアルレーザスクライビングプロセスとプラズマエッチングプロセスとの組み合わせを使用して、半導体ウエハを個片化された集積回路にダイシングすることができる。
図1は、本開示の一実施形態による、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法の動作を表すフローチャート120である。
図2A~
図2Dは、本開示の一実施形態による、フローチャート120の動作に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実行中の、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示している。
【0018】
フローチャート120の動作121、及び対応する
図2Aを参照すると、半導体ウエハ又は基板204の上にマスク202が形成される。マスク202は、半導体ウエハ204の表面上に形成された集積回路206を覆い且つ保護する層で構成されている。マスク202はまた、各集積回路206の間に形成された、介在するストリート207も覆っている。
【0019】
本開示の一実施形態によれば、マスク202を形成することが、非限定的に、フォトレジスト層又はIラインパターニング層などの、層を形成することを含む。例えば、フォトレジスト層などのポリマー層は、通常であればリソグラフィプロセスで使用されるのに適しているはずの材料で構成されてよい。一実施形態では、フォトレジスト層が、非限定的に、248ナノメートル(nm)レジスト、193nmレジスト、157nmレジスト、極紫外光(EUV)レジスト、又はジアゾナフトキノン感作物質を有するフェノール樹脂マトリクスなどの、ポジ型フォトレジスト材料で構成される。別の一実施形態では、フォトレジスト層が、非限定的に、ポリシスイソプレンやポリビニルシンナメートなどの、ネガ型フォトレジスト材料で構成される。
【0020】
別の一実施形態では、マスク202を形成することが、プラズマ堆積プロセスにおいて堆積される層を形成することを含む。例えば、そのような一実施形態では、マスク202が、プラズマ堆積されたテフロン層又はテフロン様(高分子CF2)層で構成される。特定の一実施形態では、高分子CF2層が、ガスC4F8を含むプラズマ堆積プロセスにおいて堆積される。
【0021】
別の一実施形態では、マスク202を形成することが、水溶性マスク層を形成することを含む。一実施形態では、水溶性マスク層が、水性媒体に容易に溶解可能である。例えば、一実施形態では、水溶性マスク層が、アルカリ性溶液、酸性溶液、又は脱イオン水のうちの1以上の中で可溶性である材料で構成される。一実施形態では、水溶性マスク層が、加熱プロセスに暴露され(例えば、摂氏約50~160度の範囲で加熱され)ても、その水溶性を維持する。例えば、一実施形態では、水溶性マスク層が、レーザ及びプラズマエッチング個片化プロセスで使用されるチャンバ条件に暴露された後も、水溶液中で可溶性である。一実施形態では、水溶性マスク層が、非限定的に、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、デキストラン、ポリメタクリル酸、ポリエチレンイミン、又はポリエチレンオキシドなどの、材料で構成される。特定の一実施形態では、水溶性マスク層が、毎分約1~15ミクロンの範囲の、特に、毎分約1.3ミクロンの、水溶液中でのエッチング速度を有する。
【0022】
別の一実施形態では、マスク202を形成することが、UV硬化性マスク層を形成することを含む。一実施形態では、マスク層が、UV硬化層の接着性を少なくとも約80%低減させる、UV光に対する感受性を有する。そのような一実施形態では、UV層が、ポリ塩化ビニル又はアクリル系材料で構成される。一実施形態では、UV硬化層が、UV光に曝露されると接着特性が弱まる材料又はかかる材料のスタックで構成される。一実施形態では、UV硬化性接着膜が、約365nmのUV光に感応する。そのような一実施形態では、この感光性により、硬化を実行するためにLED光を使用することが可能になる。
【0023】
一実施形態では、半導体ウエハ又は基板204が、製造プロセスに耐えるのに適した材料で構成され、その上に半導体処理層が適切に配置されてよい。例えば、一実施形態では、半導体ウエハ又は基板204が、非限定的に、結晶シリコン、ゲルマニウム、又はシリコン/ゲルマニウムなどの、IV族系材料で構成される。特定の一実施形態では、半導体ウエハ204を提供することが、単結晶シリコン基板を提供することを含む。特定の一実施形態では、単結晶シリコン基板が、不純物原子でドープされる。別の一実施形態では、半導体ウエハ又は基板204が、例えば、発光ダイオード(LED)の製作に使用されるIII‐V材料基板などの、III‐V材料で構成される。
【0024】
一実施形態では、半導体ウエハ又は基板204が、集積回路206の一部分として、半導体デバイスのアレイを上部又は内部に配置している。そのような半導体デバイスの複数の実施例は、非限定的に、シリコン基板内で製作されて誘電体層内に封入された、メモリデバイス又は相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタを含む。複数の金属相互接続が、デバイス又はトランジスタの上、及び周辺の誘電体層内に形成されてよく、デバイス又はトランジスタを電気的に結合して集積回路206を形成するために使用されてよい。ストリート207を構成している材料は、集積回路206を形成するために使用されている材料と類似し又は同一であってよい。例えば、ストリート207は、誘電材料、半導体材料、及びメタライズの層で構成されてよい。一実施形態では、ストリート207のうちの1以上が、集積回路206の実際のデバイスと同様の試験デバイスを含む。
【0025】
一実施形態では、集積回路206及びストリート207が、第1の厚さを有してよく、マスク202は、第2の厚さを有してよい。第2の厚さは、第1の厚さよりも大きくてよい。例えば、第1の厚さは3μmと6μmとの間であってよく、第2の厚さは30μmと40μmとの間であってよい。
【0026】
フローチャート120の動作122、及び対応する
図2Bを参照すると、マスク202が、第1のレーザスクライビングプロセスでパターニングされて、トレンチ210を有するパターニングされたマスク208を提供する。トレンチ210は、パターニングされたマスク208を貫通してストリート207内に延在してよい。一実施形態では、パターニングされたマスク208とデバイス層(集積回路206及びストリート207を含む)との間の界面において、後退がない(又は実質的に後退がない)。すなわち、パターニングされたマスク208を貫通するトレンチ210の側壁は、ストリート207内のトレンチ210の側壁と実質的に同一平面上にあってよい。幾つかの実施形態では、トレンチ210の側壁が、先細りしてよい(すなわち、パターニングされたマスク208の上面と直交しない)。一実施形態では、第1のレーザスクライビングプロセスが、ガウス光源レーザビームを使用することを含む。そのような一実施形態では、第1のレーザスクライビングプロセスが、フェムト秒光源レーザビームを使用することを含む。
【0027】
一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザを、第1のレーザスクライビングプロセスのための光源として使用する。例えば、一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザパルスを提供するために、可視スペクトルに紫外線(UV)及び赤外線(IR)の範囲を加えた(三つ合わせて広帯域光学スペクトル)波長を有するレーザが使用され、フェムト秒ベースのレーザパルスは、フェムト秒(10-15秒)単位のパルス幅を有する。一実施形態では、アブレーションが、波長依存性ではないか、又は本質的に波長依存性ではなく、したがって、マスク202やストリート207の膜などの複合膜に適している。
【0028】
クリーンなレーザスクライブ切断を実現するために、チッピング、微小亀裂、及び層間剥離を最小化する、良好なレーザスクライビング及びダイシングのプロセスを発現させるには、ビームプロファイルなどのレーザパラメータの選択が重要になるだろう。レーザスクライブ切断が、よりクリーンになるほど、最終的なダイ個片化のために実施されてよいエッチングプロセスがより滑らかになる。半導体デバイスのウエハでは、通常、その上に種々の材料タイプ(例えば、導体、絶縁体、半導体)及び種々の厚さの多数の機能層が配置される。こうした材料は、限定しないが、ポリマーといったような有機材料、金属、又は二酸化ケイ素及び窒化ケイ素といったような無機誘電体を含んでよい。
【0029】
ウエハ又は基板上に配置された個々の集積回路の間のストリートは、集積回路自体と類似又は同一の層を含んでいてよい。例えば、
図3は、本開示の一実施形態による、半導体ウエハ又は基板のストリート領域に使用されてよい、材料のスタックの断面図を示している。
【0030】
図3を参照すると、ストリート領域300は、シリコン基板の最上部302、第1の二酸化ケイ素層304、第1のエッチング停止層306、第1の低誘電率誘電体層308(例えば、二酸化ケイ素の誘電率4.0よりも低い誘電率を有する)、第2のエッチング停止層310、第2の低誘電率誘電体層312、第3のエッチング停止層314、非ドープシリカガラス(USG)層316、第2の二酸化ケイ素層318、及びフォトレジスト320の層を含み、これらの相対的な厚さが描かれている。銅メタライゼーション322が、第1のエッチング停止層306と第3のエッチング停止314との間で、第2エッチング停止層310を貫通して配置されている。特定の一実施形態では、第1のエッチング停止層306、第2のエッチング停止層310、及び第3のエッチング停止層314が、窒化ケイ素で構成される一方、低誘電率誘電体層308及び312が、炭素がドープされた酸化ケイ素材料で構成される。
【0031】
レーザビームが、フェムト秒ベースのレーザビームである場合、一実施形態では、適切なフェムト秒ベースのレーザプロセスが、通常、様々な材料において非線形相互作用をもたらす、高いピーク強度(放射照度)によって特徴付けられる。そのような一実施形態では、フェムト秒レーザ光源が、約10フェムト秒から500フェムト秒の範囲、但し好適には100フェムト秒から400フェムト秒の範囲のパルス幅を有する。一実施形態では、レーザビームが、約10フェムト秒から100ピコ秒の範囲のパルス幅を有してよい。一実施形態では、フェムト秒レーザ光源が、約1570ナノメートルから200ナノメートルの範囲、但し好適には約540ナノメートルから250ナノメートルの範囲の波長を有する。一実施形態では、レーザ及びそれに対応する光学システムが、加工面に、約3ミクロンから15ミクロンの範囲、但し好適には約5ミクロンから10ミクロンの範囲、又は10~15ミクロンの間の焦点(focal spot)を提供する。
【0032】
一実施形態では、第1のレーザスクライビングプロセスが、第1のレーザ条件212で実施される。レーザ条件212は、所望のトポグラフィを有するトレンチを提供するために使用される一組のレーザパラメータを含んでよい。例えば、レーザ条件212は、非限定的に、パルス繰返し率、レーザフルエンス、表面にわたるレーザ速度、及びカーフ幅などのパラメータを含んでよい。
【0033】
一実施形態では、第1のレーザ条件212が、約200kHzから10MHzの範囲、但し好適には約500kHzから5MHzの範囲のパルス繰返し率を含む。一実施形態では、レーザ条件212が、加工面に、約1μJから3μJの範囲のパルスエネルギーを供給する。一実施形態では、レーザスクライビングプロセスが、ワークピース面に沿って、約500mm/秒から5m/秒の範囲、但し好適には約600mm/秒から2m/秒の範囲の速度で進む。
【0034】
レーザスクライビングプロセスは、1回のみの通過で又は複数回の通過で行われてよいが、一実施形態では、好適には1~2回の通過によって行われてよい。一実施形態では、生成されたレーザビームのカーフ幅が、約2ミクロンから15ミクロンの範囲、但し、シリコンウエハのスクライビング/ダイシングにおいては、(デバイス/シリコンの界面で測定して)好適には約6ミクロンから10ミクロンの範囲である。
【0035】
フローチャート120の動作123、及び対応する
図2Cを参照すると、マスク208は、第2のレーザスクライビングプロセスでパターニングされて、トレンチ211を有するパターニングされたマスク208’を提供する。一実施形態では、第2のレーザスクライビングプロセスが、第2のレーザ条件214で実施される。第2のレーザスクライビングプロセスの第2のレーザ条件は、レーザフルエンスを除いて、説明された第1のレーザスクライビングプロセスの第1のレーザ条件の複数の実施形態と同様であってよい。例えば、第2のレーザ条件214は、第1のレーザ条件のレーザフルエンスよりも高いレーザフルエンスを含む。例えば、レーザ条件214は、加工面に、約6μJから8μJの範囲のパルスエネルギーを供給する。一実施形態では、第2のレーザスクライビングプロセスと第1のレーザスクライビングプロセスとの間のレーザフルエンスの比は、約3:1以上であってよい。
【0036】
一実施形態では、第2のレーザスクライビングプロセスが、パターニングされたマスク208’内のトレンチ211の幅を増加させる。しかし、ストリート207内のカーフ幅は、実質的に増加しない。したがって、複数の実施形態は、ストリート207との界面において、パターニングされたマスク208’のわずかな量の後退を含んでよい。例えば、ストリート207の上面217の一部分は、第2のレーザスクライビングプロセス中に露出されてよい。一実施形態では、パルスの低強度テールが、マスク層によって遮断されるため、マスク/デバイス層界面におけるマスクの後退はわずかである。一実施形態では、パターニングされたマスク208’'を貫通するトレンチ211の最小幅が、ストリート207を貫通するトレンチ211の最大幅よりも大きい。
【0037】
一実施形態では、第2のレーザスクライビングプロセスが、ストリート207を通るトレンチ211の深さを増加させる。幾つかの実施形態では、トレンチ211が、ストリート207の下方の基板204内に延在してよい。第2のレーザスクライビングプロセスはまた、幾つかの実施形態では、トレンチ211の表面を洗浄してもよい。
【0038】
一実施形態では、第1のレーザスクライビングプロセスと第2のレーザスクライビングプロセスが、単一のレーザ光源で実施されてよい。例えば、単一のレーザ光源は、第1の強度で第1のパス(又は複数のパス)を行ってよく、その単一のレーザ光源が、第2の強度で第2のパス(又は複数のパス)を行ってよい。他の複数の実施形態では、第1のレーザ光源が、第1のレーザスクライビングプロセスを実施してよく、第2のレーザ光源が、第2のレーザスクライビングプロセスを実施してよい。
【0039】
第1のレーザプロセス及び第2のレーザプロセスのためのレーザパラメータは、無機誘電体(例えば、二酸化ケイ素)のイオン化を実現するために十分に高いレーザ強度を提供すること、並びに無機誘電体の直接的なアブレーションの前に下地層損傷によって生じる層間剥離及びチッピングを最小限にすることなどの、利益及び利点を有するように選択されてよい。また、パラメータは、アブレーションの幅(例えば、カーフ幅)及び深さを正確に制御することで、産業上の用途にとって有意義なプロセススループットを提供するように選択されてよい。一実施形態では、第1のレーザスクライビングプロセス及び第2のレーザスクライビングプロセスが、そのような利点を提供するのに適している。
【0040】
レーザスクライビングが、マスクをパターニングし、ならびにダイを個片化するためにウエハ又は基板を完全に貫通してスクライブするのにも使用される場合、上述のデュアルレーザスクライビングプロセスの後で、ダイシング又は個片化プロセスが停止され得ることは、理解されるべきである。したがって、そのような場合では、更なる個片化処理は必要とされないことになる。しかし、完全な個片化のためにレーザスクライビングだけが実施されるのではない場合、以下の実施形態が検討されてよい。
【0041】
次に、フローチャート120の任意選択的な動作124を参照すると、中間的なマスク開口後の洗浄動作が実施される。一実施形態では、マスク開口部洗浄動作が、プラズマベースの洗浄プロセスである。第1の実施例では、後述されるように、プラズマベースの洗浄プロセスが、トレンチ211によって露出された基板204の領域と反応する。反応性プラズマベースの洗浄プロセスの場合、洗浄プロセス自体が、基板204内にトレンチ211を形成してよく又は延在させてよい。というのも、反応性プラズマベースの洗浄動作は、基板204に対して少なくとも何らかのエッチャントとなるからである。第2の異なる一実施例では、同じく後述されるように、プラズマベースの洗浄プロセスが、トレンチ211によって露出された基板204の領域と反応しない。
【0042】
第1の実施形態によれば、プラズマベースの洗浄プロセスは、基板204の露出された領域と反応し、露出された領域は、洗浄プロセスにおいて部分的にエッチングされる。そのような一実施形態では、Ar又は別の非反応性ガス(若しくはその混合物)が、スクライブされた開口部を洗浄するための高バイアスプラズマ処理用のSF6と組み合わされる。マスク開口された領域に衝突して、マスク開口された領域の洗浄を実現するために、高バイアス電力のもとで混合ガス(Ar+SF6)を使用してプラズマ処理が実行される。反応性貫通(breakthrough)プロセスでは、Ar及びSF6による物理的衝突と、SF6及びFイオンによる化学エッチングとの両方が、マスク開口された領域の洗浄に寄与する。このアプローチは、フォトレジスト又はプラズマ堆積されたテフロンマスク202に適していてよい。その場合、貫通処理は、かなり均一なマスク厚さの低減及び穏やかなSiエッチングをもたらす。しかし、そのような貫通エッチングプロセスは、水溶性マスク材料にとって、最適でないことがある。
【0043】
第2の実施形態によれば、プラズマベースの洗浄プロセスは、基板204の露出された領域と反応せず、露出された領域は、洗浄プロセス中にエッチングされないか、又は無視できる程度にしかエッチングされない。そのような一実施形態では、非反応性ガスのプラズマ洗浄のみが使用される。例えば、マスクの凝縮とスクライブされた開口部の洗浄との両方の目的で、高バイアスプラズマ処理を実行するために、Ar又は別の非反応性ガス(若しくは混合物)が使用される。このアプローチは、水溶性マスク又はより薄いプラズマ堆積されたテフロン202に適していてよい。別のそのような一実施形態では、個別のマスクの凝縮とスクライブされたトレンチ洗浄動作とが使用される。例えば、マスク凝縮用のAr又は非反応性ガス(若しくはその混合物)による高バイアスプラズマ処理が最初に実行され、次いで、Ar+SF6による、レーザスクライブされたトレンチのプラズマ洗浄が実行される。この実施形態は、マスク材料が厚すぎるために、Ar洗浄がトレンチ洗浄には不十分である場合に、適していることがある。より薄いマスクでは、洗浄効率は向上するが、マスクエッチング速度は大幅に低下し、後続のディープシリコンエッチングプロセスではほとんど消費されない。更に別のそのような一実施形態では、(a)マスク凝縮のためのAr又は非反応性ガス(または混合物)による高バイアスプラズマ処理、(b)レーザスクライブされたトレンチのAr+SF6による高バイアスプラズマ洗浄、及び(c)マスク凝縮のためのAr又は非反応性ガス(若しくはその混合物)による高バイアスプラズマ処理の、3つの動作の洗浄が実行される。本開示の別の一実施形態によれば、プラズマ洗浄動作が、動作106の第1の態様で上述されたような反応性プラズマ洗浄処理の最初の使用を含む。次いで、反応性プラズマ洗浄処理に続いて、動作106の第2の態様に関連して説明されたような非反応性プラズマ洗浄処理が行われる。
【0044】
フローチャート120の動作125、及びそれに対応する
図2Dを参照すると、半導体ウエハ204は、集積回路206を個片化するために、パターニングされたマスク208の間隙211を介してエッチングされる。本開示の一実施形態によれば、半導体ウエハ204をエッチングすることは、
図2Dで描かれているように、デュアルレーザスクライビングプロセスで最初に形成されたトレンチ211をエッチングすることによって、最終的には半導体ウエハ204を貫通して完全にエッチングすることを含む。
【0045】
一実施形態では、レーザスクライビングプロセスでマスクをパターニングすることが、半導体ウエハの集積回路間の領域内にトレンチを形成することを含み、半導体ウエハをプラズマエッチングすることは、対応するトレンチの延在部を形成するために、トレンチを延在させることを含む。そのような一実施形態では、トレンチの各々が幅を有し、対応するトレンチの延在部の各々がその幅を有する。
【0046】
本開示の一実施形態によれば、レーザスクライビングからもたらされるマスク開口部の粗さは、後続のプラズマエッチングされたトレンチの形成からもたらされるダイ側壁の品質に影響を与え得る。リソグラフィにより開口されたマスクは、円滑なプロファイルを有することが多く、それに対応する、プラズマエッチングされたトレンチの滑らかな側壁につながる。対照的に、従来型のレーザで開口されたマスクは、不適切なレーザプロセスパラメータが選択された場合、スクライビング方向に沿って、非常に粗いプロファイルを有し得る(例えば、プラズマエッチングされたトレンチの側壁の水平方向の粗さにつながるスポット重複)。更なるプラズマプロセスによって表面粗さは滑らかにされ得るが、かかる課題を解決することと、コスト及びスループットとの相克が生じる。したがって、本明細書で説明される複数の実施形態は、個片化プロセスのレーザスクライビング部分から、より滑らかなスクライビングプロセス及び/又はより信頼性の高いトレンチ形成プロセスを提供するのに有利であってよい。
【0047】
一実施形態では、半導体ウエハ204をエッチングすることが、プラズマエッチングプロセスを使用することを含む。一実施形態では、シリコン貫通電極式のエッチングプロセスが使用される。例えば、特定の一実施形態では、半導体ウエハ204の材料のエッチング速度が、毎分25ミクロンを上回る。ダイ個片化プロセスのプラズマエッチング部分向けに、超高密度プラズマ源が使用されてよい。そのようなプラズマエッチングプロセスを実行するのに適切な処理チャンバの一例は、米国カリフォルニア州サニーベールのアプライドマテリアルズから入手可能なApplied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムである。Applied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムは、容量性RF結合と誘導性RF結合を組み合わせたものである。これによって、容量性結合のみで可能であったよりもさらに独立してイオン密度とイオンエネルギーを制御することができ、それと共に磁気強化による改良さえも得ることができる。この組み合わせによって、イオン密度をイオンエネルギーから効果的に切り離して、かなりの低圧においても、潜在的に損傷を与え得る高いDCバイアスレベルを用いることなしに、比較的高密度のプラズマを実現することが可能になる。これにより、並外れて広い処理ウインドウがもたらされる。しかし、シリコンをエッチングできる任意のプラズマエッチングチャンバが使用されてよい。例示的な一実施形態では、基本的に正確なプロファイル制御と、基本的に波形状(scallop)を有しない側壁とを維持しつつ、単結晶シリコンの基板又はウエハ204を、従来のシリコンエッチング速度の約40%よりも速いエッチング速度でエッチングするために、ディープシリコンエッチングが使用される。特定の一実施形態では、シリコン貫通電極式のエッチングプロセスが使用される。エッチングプロセスは、一般的には、SF
6、C
4F
8、CHF
3、XeF
2といったフッ素系のガスである反応ガス、又は比較的速いエッチング速度でシリコンをエッチングすることができる何らかの他の反応ガスから生成される、プラズマに基づいている。一実施形態では、マスク層208は、
図2Dで描かれているように、個片化プロセスの後に除去される。別の一実施形態では、
図2Dに関連して説明されるプラズマエッチング動作が、基板204を貫通してエッチングするために、従来型のボッシュ式の堆積/エッチング/堆積プロセスを採用する。通常、ボッシュ式プロセスは、3つの下位動作(sub-operation)から構成される。すなわち、堆積、指向性ボンバードエッチング、及び等方性化学エッチングが、シリコンが貫通エッチングされるまで、多数回の繰り返し(サイクル)で実行される。
【0048】
したがって、フローチャート120及び
図2A~
図2Dを再び参照すると、ウエハダイシングは、マスク層を貫通し、ウエハストリート(メタライゼーションを含む)を貫通し、部分的にシリコン基板内にアブレートするために、デュアルレーザスクライビングプロセスを使用する初期アブレーションによって実行されてよい。次いで、ダイ個片化は、後続のシリコン貫通ディーププラズマエッチングによって完了されてよい。本開示の一実施形態による、ダイシングのための材料スタックの特定の一実施例が、
図4A~
図4Eに関連して以下で説明される。
【0049】
図4Aを参照すると、ハイブリッドレーザアブレーション及びプラズマエッチングダイシングのための材料スタックは、マスク層402、デバイス層404、及び基板406を含む。マスク層、デバイス層、及び基板は、支持テープ410に付着しているダイ付着膜408の上に配置されている。一実施形態では、マスク層402が、水溶性の層(マスク202に関連して上述された水溶性の層など)である。デバイス層404は、1以上の金属層(銅層など)及び1以上の低誘電率誘電体層(炭素がドープされた酸化物層など)の上に配置された無機誘電体層(二酸化ケイ素層など)を含む。デバイス層404はまた、集積回路間に配置されたストリートも含み、ストリートは、集積回路と同じか又はそれに類似した層を含む。基板406は、バルク単結晶シリコン基板である。
【0050】
一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板406が、ダイ付着膜408に付着されるのに先立って、裏側から薄化(thinning)される。薄化は、裏側研削プロセスによって実行されてよい。一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板406が、約50~100ミクロンの範囲の厚さまで薄化される。一実施形態では、薄化が、レーザアブレーション及びプラズマエッチングのダイシングプロセスに先立って実行されることに留意するのは重要である。一実施形態では、フォトレジスト層402が、約30ミクロンから40ミクロンの厚さを有し、デバイス層404は、約2~6ミクロンの範囲の厚さを有する。一実施形態では、ダイ付着膜408(又は薄化された若しくは薄型のウエハ若しくは基板を支持テープ410に接合可能な任意の好適な代替物)が、約20ミクロンの厚さを有する。
【0051】
図4Bを参照すると、マスク402及びデバイス層404の一部分を第1のレーザスクライビングプロセス412でパターニングして、トレンチ410を形成する。一実施形態では、第1のレーザスクライビングプロセス412が、第1のレーザ条件を有する。特定の一実施形態では、第1のレーザ条件が、加工面に、約2μJから3μJの範囲のパルスエネルギーを供給する。トレンチ410は、先細りした側壁プロファイルを有してよく、デバイス層404内のトレンチ410の側壁は、マスク層402内のトレンチの側壁と実質的に同一平面上にあってよい。
【0052】
図4Cを参照すると、マスク402内のトレンチ410を広げ、デバイス層404を貫通してトレンチ410を延在させるために、第2のレーザスクライビングプロセス414が実施される。修正されたトレンチ411はまた、シリコン基板406内に延在してもよい。一実施形態では、第2のレーザスクライビングプロセス414が、第2のレーザ条件で実施される。特定の一実施形態では、第2のレーザ条件が、加工面に、約6μJから8μJの範囲のパルスエネルギーを供給する。一実施形態では、第2のレーザ条件のフルエンスと第1のレーザ条件のフルエンスとの比が、約3:1以上であってよい。
【0053】
一実施形態では、第2のレーザスクライビングプロセスが、パターニングされたマスク402内のトレンチ411の幅を増加させる。しかし、デバイス層404内のカーフ幅は、実質的に増加しない。したがって、複数の実施形態は、デバイス層404との界面においてパターニングされたマスク402のわずかな量の後退を含んでよい。例えば、デバイス層404の上面417の一部分は、第2のレーザスクライビングプロセス中に露出されてよい。一実施形態では、パルスの低強度テールが、マスク層によって遮断されるため、マスク/デバイス層界面におけるマスクの後退はわずかである。一実施形態では、マスク402を貫通するトレンチ411の最小幅が、デバイス層404を貫通するトレンチ411の最大幅よりも大きい。
【0054】
図4Dを参照すると、シリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセス416を使用して、トレンチ413をダイ付着膜408まで下げて延在させ、ダイ付着膜408の最上部分を露出させて、シリコン基板406を個片化する。シリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセス416中、デバイス層404は、マスク層402によって保護される。
【0055】
図4Eを参照すると、個片化プロセスは、ダイ付着膜408をパターニングすることを更に含んでよく、支持テープ410の最上部分を露出させて、ダイ付着膜408を個片化する。一実施形態では、ダイ付着膜は、レーザプロセスによって、又はエッチングプロセスによって個片化される。更なる複数の実施形態は、続いて、支持テープ410から基板406の個片化された部分を(例えば、個々の集積回路として)取り外すことを含んでよい。一実施形態では、個片化されたダイ付着膜408が、基板406の個片化された部分の裏側上に保持される。他の複数の実施形態は、マスク層402をデバイス層404から除去することを含んでよい。代替的な一実施形態では、基板406が約50ミクロンよりも薄い場合、デュアルレーザスクライビングプロセス412/414を使用して、更なるプラズマプロセスの使用なしに、基板406を完全に個片化する。
【0056】
単一のプロセスツールが、デュアルレーザアブレーション及びプラズマエッチングによる個片化プロセスにおける動作の多く又は全てを実行するように構成されてよい。例えば、
図5は、本開示の一実施形態による、ウエハ又は基板のレーザ及びプラズマダイシング用のツールレイアウトのブロック図を示している。
【0057】
図5を参照すると、プロセスツール500が、複数のロードロック504が結合されているファクトリインターフェース502(FI)を含む。ファクトリインターフェース502に、クラスタツール506が結合されている。クラスタツール506は、プラズマエッチングチャンバ508などの、1以上のプラズマエッチングチャンバを含む。レーザスクライブ装置510もまた、ファクトリインターフェース502に結合されている。プロセスツール500の全体の設置面積は、一実施形態では、
図5で示されているように、約3500ミリメートル(3.5メートル)×約3800ミリメートル(3.8メートル)であってよい。
【0058】
一実施形態では、レーザスクライブ装置510が、デュアルレーザスクライビングプロセスを提供するように構成されたレーザアセンブリを収容する。そのような一実施形態では、レーザアセンブリが、第1のレーザ条件を有する第1のレーザスクライビングプロセス、及び、第2のレーザ条件を有する第2のレーザスクライビングプロセスを提供するように構成される。第1のレーザ条件は、半導体ウエハのデバイス層内にカーフ幅を設定し、第2のレーザ条件は、デバイス層の上のマスク層を貫通するトレンチの幅を増加させる。第2のレーザ条件は、デバイス層内のカーフ幅を著しく増加させることがないだろう。一実施形態では、レーザアセンブリが、ガウス光源レーザビームを含む。一実施形態では、レーザアセンブリが、フェムト秒光源レーザビームを含む。
【0059】
一実施形態では、レーザが、ハイブリッドなレーザ及びエッチング個片化プロセスのうちのレーザアブレーション部分(上述されたレーザアブレーションプロセスなど)を実行するのに適している。一実施形態では、レーザスクライブ装置510がまた、レーザに対してウエハ又は基板(又はそのキャリア)を動かすよう構成された移動可能な載物台も含む。特定の一実施形態では、レーザもまた移動可能である。レーザスクライブ装置510の全体の設置面積は、一実施形態では、
図5で描かれているように、約2240ミリメートル×約1270ミリメートルであってよい。
【0060】
一実施形態では、1以上のプラズマエッチングチャンバ508が、複数の集積回路を個片化するために、パターニングされたマスク内の間隙を介してウエハ又は基板をエッチングするように構成されている。そのような一実施形態では、1以上のプラズマエッチングチャンバ508が、ディープシリコンエッチングプロセスを実行するように構成されている。特定の一実施形態では、1以上のプラズマエッチングチャンバ508が、米国カリフォルニア州サニーベールのアプライドマテリアルズから入手可能なApplied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムである。エッチングチャンバは、単結晶シリコン基板又はウエハの上又は中に収容される個片化された集積回路を作製するのに使用されるディープシリコンエッチング用に、特別に設計されてよい。一実施形態では、シリコンエッチング速度を高めるために、プラズマエッチングチャンバ508内に高密度プラズマ源が含まれている。一実施形態では、個片化又はダイシングプロセスの製造スループットを高くすることが可能なように、プロセスツール500のクラスタツール506部分に、2つ以上のエッチングチャンバが含まれている。
【0061】
ファクトリインターフェース502は、レーザスクライブ装置510を備えた外部製造設備とクラスタツール506との間のインターフェースに適した大気ポートであってよい。ファクトリインターフェース502は、(前面開口型統一ポッドといった)ストレージユニットから、クラスタツール506又はレーザスクライブ装置510のいずれかの中へ又はその両方へと、ウエハ(又はそのキャリア)を搬送するためのアーム又はブレードを備えたロボットを含んでよい。
【0062】
クラスタツール506は、個片化の方法における機能を実行するのに適した他のチャンバを含んでよい。例えば、一実施形態では、更なるエッチングチャンバの代わりに堆積チャンバ512が含まれる。堆積チャンバ512は、ウエハ又は基板のレーザスクライビングに先立って、ウエハ又は基板のデバイス層上又は上方にマスクを堆積させるように構成されてよい。そのような一実施形態では、堆積チャンバ512が、フォトレジスト層の堆積に適している。別の一実施形態では、更なるエッチングチャンバの代わりに湿式/乾式ステーション514が含まれる。湿式/乾式ステーションは、基板又はウエハのレーザスクライビング及びプラズマエッチングによる個片化プロセスの後に、残留物及び断片を洗浄すること又はマスクを除去することに適していてよい。更に別の一実施形態では、更なるディープシリコンエッチングチャンバの代わりに、プラズマエッチングチャンバが含まれ、このプラズマエッチングチャンバは、プラズマベースの洗浄プロセスを実施するように構成される。一実施形態では、プロセスツール500の構成要素として、計測ステーションも含まれる。
【0063】
本開示の実施形態は、指示命令が記憶されているマシン可読媒体を含んでよいコンピュータプログラム製品又はソフトウェアとして提供されてよく、これらの指示命令は、コンピュータシステム(又は他の電子デバイス)を、本開示の実施形態によるプロセスを実行するようにプログラミングするために使用されてよい。一実施形態では、コンピュータシステムは、
図5に関連して説明されているプロセスツール500に結合される。マシン可読媒体が、マシン(例えば、コンピュータ)によって可読な形態で情報を記憶又は送信するための、あらゆる機構を含む。例えば、マシン可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)、マシン(例えば、コンピュータ)可読伝送媒体(電気的形態、光学的形態、音響的形態、又はその他の伝播される信号の形態(例えば、赤外線信号、デジタル信号など))などを含む。
【0064】
図6は、本明細書で説明される方法のうちの任意の1以上をマシンに実行させるための一組の指示命令が内部で実行されてよい、コンピュータシステム600という例示的な形態のマシンの概略図を示している。代替的な実施形態では、マシンが、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットにおいて、他のマシンに接続(例えばネットワーク化)されていてよい。マシンは、クライアントサーバネットワーク環境においてサーバ若しくはクライアントマシンとして機能してよく、又は、ピアツーピア(若しくは分散)ネットワーク環境においてピアマシンとして機能してよい。このマシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯型情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブ機器、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又は、当該マシンによって実行される動作を規定する(シーケンシャルな若しくはそれ以外の)一組の指示命令を実行可能な任意のマシンであってよい。更に、単一のマシンが図示されているが、「マシン」という用語は、本明細書で説明される方法のうちの任意の1以上を実行するために、一組の(又は複数組の)指示命令を、個別に又は合同して実行する、マシン(例えば、コンピュータ)の任意の集合体を含んでいるとも解釈されるべきである。
【0065】
例示的なコンピュータシステム600は、バス630を介して互いに通信する、プロセッサ602、メインメモリ604(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)又はランバスDRAM(RDRAM)といったダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など)、スタティックメモリ606(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、MRAMなど)、及び、二次的メモリ618(データ記憶デバイスなど)を含む。
【0066】
プロセッサ602は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などといった、1以上の汎用処理デバイスを表す。特に、プロセッサ602が、複合命令セット演算(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セット演算(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであってよい。プロセッサ602は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどといった、1以上の特殊用途処理デバイスであってもよい。プロセッサ602は、本明細書で説明される動作を実施するための処理論理626を実行するように構成されている。
【0067】
コンピュータシステム600は、ネットワークインターフェースデバイス608を更に含んでよい。コンピュータシステム600は、ビデオディスプレイユニット610(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、又は陰極線管(CRT))、英数字入力デバイス612(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス614(例えば、マウス)、及び信号生成デバイス616(例えば、スピーカ)も、また含んでよい。
【0068】
二次的メモリ618は、本明細書で説明される方法又は機能のうちの任意の1以上を具現化する1以上の組の指示命令(例えば、ソフトウェア622)が保存されている、マシンアクセス可能記憶媒体(又は具体的にはコンピュータ可読記憶媒体)632を含んでよい。ソフトウェア622は、コンピュータシステム600によって実行されている最中、完全に又は少なくとも部分的にメインメモリ604及び/又はプロセッサ602の内部に常駐していてもよい。メインメモリ604及びプロセッサ602も、マシン可読記憶媒体を構成している。このソフトウェア622は更に、ネットワークインターフェースデバイス608を介して、ネットワーク620上で送信又は受信されてよい。
【0069】
例示的な一実施形態では、マシンアクセス可能記憶媒体632を単一の媒体として示しているが、「マシン可読記憶媒体(machine-readable storage medium)」という語は、1以上の命令セットを記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中データベース若しくは分散データベース、並びに/又は、関連のキャッシュ及びサーバ)を含むと、解釈すべきである。「マシン可読記憶媒体」という用語は、マシンによって実行される一組の指示命令であって、本開示の方法のうちの任意の1以上をマシンに実行させる指示命令を、記憶又は符号化することが可能なあらゆる媒体を含むとも解釈すべきである。したがって、「マシン可読記憶媒体」という用語は、固体メモリ、光媒体、及び磁気媒体を含むが、それらに限定されないと解釈すべきである。
【0070】
本発明の一実施形態により、マシンアクセス可能記憶媒体には、複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法をデータ処理システムに実施させる指令が、記憶されている。方法は、集積回路を覆いかつ保護する層で構成されたマスクを、半導体ウエハ上に形成することを含む。間隙を有するパターニングされたマスクを提供するために、マスクは次いでデュアルレーザスクライビングプロセスを用いてパターニングされ、半導体ウエハの集積回路間の領域が露出される。半導体ウエハは次いで、集積回路を個片化するために、パターニングされたマスクの間隙を通じてプラズマエッチングされる。
【0071】
したがって、デュアルレーザスクライビングプロセス及びプラズマエッチングプロセスを使用するハイブリッドなウエハダイシングアプローチが開示された。