(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】レーザダイシング用の自動カーフオフセットマッピング及び補正システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20241023BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241023BHJP
B23K 26/364 20140101ALI20241023BHJP
【FI】
H01L21/78 L
H01L21/78 B
H01L21/78 S
H01L21/302 105A
B23K26/364
(21)【出願番号】P 2022578617
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 US2021033416
(87)【国際公開番号】W WO2021262352
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-02-17
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バラクリシュナン, カルティク
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジョンネ
(72)【発明者】
【氏名】タン, ザビエル ツァイ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】アビナンド, サイ
(72)【発明者】
【氏名】パパヌ, ジェームス エス.
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-46891(JP,A)
【文献】特開2017-34007(JP,A)
【文献】特開2015-47618(JP,A)
【文献】特開昭61-206584(JP,A)
【文献】特開2011-49454(JP,A)
【文献】特開2009-21317(JP,A)
【文献】特開平10-58173(JP,A)
【文献】特開2004-288792(JP,A)
【文献】特開2019-121686(JP,A)
【文献】特開2017-92363(JP,A)
【文献】特開2018-202468(JP,A)
【文献】特開2015-93304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/3065
B23K 26/364
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクライビングオフセットを特定する方法であって、
半導体ウエハの上にマスクを形成することであって、前記半導体ウエハは、ストリートによって互いに分離された複数のダイを含む、マスクを形成すること、
レーザスクライビングプロセスで前記マスク及び前記半導体ウエハをパターニングすることであって、前記ストリート内に開口部を設ける、パターニングすること、
前記マスクを除去すること、並びに
前記ストリートに対する前記開口部のスクライビングオフセットを測定することを含
み、
前記ストリート内のスクライブラインは、非直線的なS字形状のパターンを有し、
前記スクライビングオフセットを測定することは、
前記スクライブラインの前記非直線的なS字形状のパターンの長さに沿った複数の箇所におけるオフセットを測定すること、及び
前記複数の箇所のオフセットの平均オフセットを計算すること、を含む、方法。
【請求項2】
前記スクライビングオフセットは、平行移動オフセットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スクライビングオフセットは、角度オフセットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スクライビングオフセットを測定することは、前記半導体ウエハ上の前記開口部の全てのオフセットを測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
オフセット補正を計算すること、及び
前記オフセット補正を記憶することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記オフセット補正を使用して、後続の半導体ウエハのスクライビングプロセスにおいて使用されるウエハマップを更新する、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記半導体ウエハは、生産ウエハである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記半導体ウエハは、短ループウエハである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記短ループウエハは、生産ウエハと同じバンピング及びダイ寸法を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
半導体ウエハを個片化する方法であって、
半導体ウエハの上にマスクを形成することであって、前記半導体ウエハは、ストリートによって互いに分離された複数のダイを含む、マスクを形成すること、並びに
オフセット補正を統合したウエハマップを利用するレーザスクライビングプロセスで前記マスク及び前記半導体ウエハをパターニングすることであって、前記マスクを貫通して前記半導体ウエハの前記ストリート内に開口部を設ける、パターニングすることを含
み、
前記ストリート内のスクライブラインは、非直線的なS字形状のパターンを有し、
前記オフセット補正は、
前記スクライブラインの前記非直線的なS字形状のパターンの長さに沿った複数の箇所におけるオフセットを測定すること、及び
前記複数の箇所のオフセットの平均オフセットを計算すること、に基づいて特定され、
前記平均オフセットは、前記ウエハマップに追加される、方法。
【請求項11】
前記レーザスクライビングプロセスは、前記半導体ウエハの前記複数のダイを個片化する、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記開口部を介して前記半導体ウエハをプラズマエッチングすることを更に含み、前記プラズマエッチングは、前記半導体ウエハの前記複数のダイを個片化する、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
前記オフセット補正は、平行移動オフセットを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
前記オフセット補正は、角度オフセットを含む、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月22日に出願された米国特許出願第16/908,537号の優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の複数の実施形態は、半導体処理の分野に関し、特に、各ウエハがその上に複数の集積回路を有する複数の半導体ウエハをダイシングする方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウエハの処理では、集積回路が、シリコン又は他の半導体材料で構成されるウエハ(基板とも称される)上に形成される。一般的には、集積回路を形成するために、半導電性、導電性、又は絶縁性のいずれかである、様々な材料の層が利用される。これらの材料は、集積回路を形成するために、様々な周知のプロセスを使用して、ドープされ、堆積され、エッチングされる。各ウエハは、処理されて、ダイとして知られる集積回路を含む多数の個片領域を形成する。
【0004】
集積回路形成プロセスに続いて、ウエハは、パッケージ化されるため、又は、より大型の回路内でパッケージ化されていない形態で使用されるために、「ダイシングされ(diced)」て、互いとは別個のダイに分離される。ウエハをダイシングするために使用される2つの主な技法は、スクライビングとソーイングである。スクライビングでは、先端がダイヤモンドのスクライバが、予め形成されたスクライブラインに沿って、ウエハ表面の端から端まで移動する。このようなスクライブラインは、ダイ間のスペースに沿って延在する。これらのスペースは、一般的に「ストリート(street)」と称される。ダイヤモンドのスクライバは、ストリートに沿って、ウエハ表面に浅いキズ(scratch)を形成する。ローラなどで圧力が印加されると、ウエハはスクライブラインに沿って分離する。このウエハの割れは、ウエハ基板の結晶格子構造に沿ったものになる。スクライビングは、厚さが約10ミル(千分の1インチ)以下のウエハ向けに使用され得る。もっと厚いウエハをダイシングするには、現時点では、ソーイングが好ましい方法である。
【0005】
ソーイングでは、高い毎分回転数で回転する、先端がダイヤモンドの切断ソーが、ウエハ表面に接触し、ストリートに沿ってウエハを切断する。ウエハはフィルムフレームに張り渡された接着フィルムなどの支持部材に装着され、切断ソーが、垂直ストリートと水平ストリートの両方に繰り返し当たる。スクライビングとソーイングのいずれにおいても問題となるのは、ダイの切断エッジに沿って、チップ及び溝が形成され得ることである。加えて、亀裂が形成され、ダイのエッジから基板内まで伝播して、集積回路が動作不能になる可能性もある。結晶構造の<110>方向においては、正方形又は長方形のダイの片側しかスクライビングできないので、スクライビングに関してはチッピング(欠け:chipping)と亀裂形成が特に問題となる。結果として、ダイの別の側の割れ(cleaving)により、ぎざぎざの分離線が生じる。チッピング及び亀裂の形成により、集積回路への損傷を防止するためには、ウエハ上でダイ間が更に離隔する(例えば、チップ及び亀裂が実際の集積回路から一定の距離を保つ)ことが必要になる。この離隔要件の結果として、標準サイズのウエハにあまり多くのダイを形成することができなくなり、回路のために使用できるはずであったウエハの面積が無駄になる。切断ソーを使用することで、半導体ウエハの面積(real estate)の無駄は悪化する。切断ソーの刃の厚さは、およそ15ミクロンである。このため、切断ソーによって生じた切断部周辺の亀裂やその他の損傷によって集積回路が悪影響を受けないようにするためには、しばしば、各ダイの回路を300から500ミクロン離さなければならない。更に切断後、ソーイングプロセスで生じた粒子及びその他の汚染物質を除去するために、各ダイをしっかりと洗浄することが必要になる。
【0006】
プラズマダイシングも使用されてきたが、これにも制約があり得る。例えば、プラズマダイシングの実装を阻む制約の1つはコストであり得る。レジストをパターニングするための標準的なリソグラフィ工程により、実装費用は大変高額になり得る。プラズマダイシングの実装を妨げる可能性がある別の制約は、ストリートに沿ったダイシングにおける、よくある金属(銅など)のプラズマ処理が、製造上の問題又はスループット限界を引き起こし得ることである。
【発明の概要】
【0007】
本開示の複数の実施形態は、ハイブリッドなレーザスクライビング及びプラズマダイシングプロセスにおいてスクライビングオフセットを特定する方法を含む。一実施形態では、該方法が、半導体ウエハの上にマスクを形成することを含む。一実施形態では、半導体ウエハが、ストリートによって互いに分離された複数のダイを含む。一実施形態では、該方法が、レーザスクライビングプロセスでマスク及び半導体ウエハをパターニングすることを更に含む。一実施形態では、パターニングが、ストリート内に開口部を設ける。一実施形態では、該方法が、マスクを除去すること、及び、ストリートに対する開口部のスクライビングオフセットを測定することを更に含む。
【0008】
本明細書で開示される複数の実施形態はまた、半導体ウエハを個片化する方法も含んでよい。一実施形態では、該方法が、半導体ウエハの上にマスクを形成することを含んでよい。その場合、半導体ウエハは、ストリートによって互いに分離された複数のダイを含む。一実施形態では、該方法が、オフセット補正を統合したウエハマップを利用するレーザスクライビングプロセスでマスク及び半導体ウエハをパターニングすることを更に含んでよい。一実施形態では、パターニングにより、マスクを貫通して半導体ウエハのストリート内に開口部が形成される。
【0009】
本明細書で開示される複数の実施形態はまた、半導体基板も含んでよい。一実施形態では、半導体基板が、半導体基板の上にデバイス層を含んでよい。一実施形態では、複数のダイがデバイス層内にあり、ダイはストリートによって互いに分離されている。一実施形態では、半導体基板が、ストリート内にトレンチを更に含んでよい。その場合、トレンチのうちの1以上は、ストリートと位置合わせされていない(ストリートから位置ずれしている)。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態による、レーザスクライビングプロセス用のオフセット補正を特定するための動作を表すフローチャートである。
【
図2A】
図2A~
図2Cは、一実施形態による、レーザスクライビングプロセス用のオフセット補正を特定するためのプロセスを描く断面図である。
【
図2B】
図2A~
図2Cは、一実施形態による、レーザスクライビングプロセス用のオフセット補正を特定するためのプロセスを描く断面図である。
【
図2C】
図2A~
図2Cは、一実施形態による、レーザスクライビングプロセス用のオフセット補正を特定するためのプロセスを描く断面図である。
【
図3A】一実施形態による、ストリートによって分離された複数のダイを有するウエハの平面図であり、スクライブラインがストリートに沿って設けられている。
【
図3B】一実施形態による、ストリートの中心線からの平行移動オフセットを有するスクライブラインの平面図である。
【
図3C】一実施形態による、ストリートの中心線からの角度オフセットを有するスクライブラインの平面図である。
【
図3D】一実施形態による、ストリート内の非直線的なスクライブラインの平面図である。
【
図4】一実施形態による、半導体ウエハを個片化するための動作を表すフローチャートである。
【
図5A】
図5A~
図5Cは、一実施形態による、オフセット補正を有するウエハマップを使用して半導体ウエハを個片化するためのプロセスを描く断面図である。
【
図5B】
図5A~
図5Cは、一実施形態による、オフセット補正を有するウエハマップを使用して半導体ウエハを個片化するためのプロセスを描く断面図である。
【
図5C】
図5A~
図5Cは、一実施形態による、オフセット補正を有するウエハマップを使用して半導体ウエハを個片化するためのプロセスを描く断面図である。
【
図6】一実施形態による、半導体ウエハを個片化するための動作を表すフローチャートである。
【
図7A】
図7A及び
図7Bは、一実施形態による、オフセット補正を有するウエハマップを使用して半導体ウエハを個片化するためのプロセスを描く断面図である。
【
図7B】
図7A及び
図7Bは、一実施形態による、オフセット補正を有するウエハマップを使用して半導体ウエハを個片化するためのプロセスを描く断面図である。
【
図8】本開示の一実施形態による、ウエハ又は基板をレーザ及びプラズマでダイシングするためのツールレイアウトのブロック図を示す。
【
図9】本発明の一実施形態による、例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各々が上に複数の集積回路(IC)を有する、複数の半導体ウエハのダイシング方法が説明される。以下の説明では、本開示の複数の実施形態の完全な理解を提供するために、ハイブリッドなレーザ及びプラズマダイシングプロセス用のオフセットマッピングアプローチなどの、多数の具体的な詳細が説明される。本開示の複数の実施形態が、これらの具体的な詳細がなくとも実施されてよいことは、当業者には明らかであろう。他の事例では、本開示の複数の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、集積回路の製造といった周知の態様については、詳細に説明していない。更に、図面で示されている様々な実施形態は、例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りには描かれていないことが、理解されるべきである。
【0012】
ダイを個片化するために、先ずレーザスクライブを行い、続いてプラズマエッチングを行うことを含む、ハイブリッドなウエハ又は基板のダイシングプロセスが実施されてよい。レーザスクライブプロセスは、マスク層、有機及び無機の誘電体層、並びにデバイス層をクリーンに除去するために使用されてよい。次いで、レーザスクライブプロセスは、ウエハ若しくは基板が露出されると、又はそれらが部分的にスクライブされると終了してよい。次いで、バルク単結晶シリコンといったウエハ又は基板のバルクを貫通エッチングして、ダイ又はチップの個片化又はダイシングをもたらすために、ダイシングプロセスのうちのプラズマエッチングの部分が用いられてよい。より具体的には、1以上の実施形態が、例えばダイシング用途のために、レーザ生成スクライブラインのオフセット補正を実施することを対象とする。
【0013】
レーザダイシング動作用の自動オフセットマッピング及び補正が、本明細書で説明される。一実施形態では、犠牲ウエハを使用して、ダイ間のストリートの中心線に対するレーザスクライブラインのオフセットを特定する。レーザダイシング動作は、高度に反復(再現)可能なので、犠牲ウエハ上で特定されるオフセットは、生産ウエハの後続のレーザダイシング動作中に使用されてよい。一実施形態では、犠牲ウエハが、後に個片化される製造ウエハと実質的に同様である。他の複数の実施形態では、犠牲ウエハが短ループウエハである。
【0014】
文脈を提供するために、ハイブリッドなウエハ又は基板ダイシングプロセスにおいて、レーザスクライブライン用のレイアウトを生成するために、ウエハマップが使用される。ウエハマップが生成された後で、レーザスクライビングプロセスが実施される。現在、スクライブラインは、レーザスクライビングプロセス中に、コーティングされたウエハ上でマシンビジョンを使用してその場(in-situ)で測定される。次いで、特定されたオフセットが、測定されたオフセットを相殺するために、オンザフライ(on the fly)で、後続のスクライブラインに適用される。そのような状況では、コーティングの存在に起因して、測定されたオフセットに誤差が生じることがある。特に、オフセットの誤差は、コーティングの屈折効果に起因することがある。加えて、オフセットは、典型的には、ウエハ全体にわたって均一ではない。したがって、単一のスクライブラインのオフセット測定値を使用することは、後続のスクライブラインにおけるオフセットを考慮する正確なやり方ではない。
【0015】
位置合わせされていない(位置ずれした)スクライブラインは、スクライブラインがダイのエッジに近過ぎることをもたらすことがある。スクライブラインがダイのエッジに近過ぎると、個片化プロセスに起因するチッピング及び/又は他の損傷が、ダイの集積回路に損傷を与える可能性がある。したがって、不適切に位置合わせされた(位置ずれした)スクライブラインは、ウエハからのダイの歩留まりの低下につながる。位置合わせされていない(位置ずれした)スクライブラインを考慮するために、ダイ間のストリートの幅を増加させてよい。しかし、これは、ウエハの使用可能面積を低減させ、ウエハ当たりのダイの数を低減させる。したがって、本明細書で説明される1以上の実施形態を実装する利点は、(1)より正確に位置合わせされたスクライブライン、(2)ウエハ上のダイ密度の増加、及び/又は(3)より高いウエハ歩留まりのうちの1以上を含んでよい。
【0016】
本開示の複数の実施形態は、ウエハ全体にわたるスクライブラインのオフセットを特定するためのプロセスを含んでよい。特に、オフセットは、犠牲ウエハ上で特定され、次いで、測定されたオフセットが、その後に個片化される生産ウエハに適用されてよい。本明細書で開示される複数の実施形態に従って測定されるオフセットは、上述されたその場の測定よりも正確である。というのも、測定が行われる前に、コーティング(すなわち、マスク層)が除去されるからである。したがって、測定には屈折誤差がない。更に、幾つかの実施形態では、ウエハ上の各スクライブラインのオフセット誤差が測定されてよい。これは、各スクライブラインが独立して調整されることを可能にし、ウエハ全体にわたるより正確な位置合わせを提供する。
【0017】
本開示の1以上の実施形態によれば、集積回路を含む半導体ウエハ上のスクライブラインのオフセット補正を特定するための方法が提供される。
図1は、本開示の一実施形態による、複数の集積回路を含む半導体ウエハについてスクライブラインオフセットを特定する方法における動作を表すフローチャート120である。
図2A~
図2Cは、本開示の一実施形態による、フローチャート120の動作に対応する、半導体ウエハ上のスクライブラインのオフセット補正を特定するための方法を実行中の、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示している。
【0018】
フローチャート120の動作121、及び対応する
図2Aを参照すると、半導体ウエハ又は基板231の上にマスク234が形成されている。マスク234は、半導体ウエハ231の表面上に形成された集積回路232を覆い且つ保護する層で構成されている。マスク234はまた、各集積回路232の間に形成された、介在するストリート233も覆っている。
【0019】
本開示の一実施形態によれば、マスク234を形成することは、非限定的に、フォトレジスト層又はIラインパターニング層などの、層を形成することを含む。例えば、フォトレジスト層などのポリマー層は、通常であればリソグラフィプロセスで使用されるのに適しているはずの材料で構成されてよい。一実施形態では、フォトレジスト層が、非限定的に、248ナノメートル(nm)レジスト、193nmレジスト、157nmレジスト、極紫外光(EUV)レジスト、又はジアゾナフトキノン感作物質を有するフェノール樹脂マトリクスなどの、ポジ型フォトレジスト材料で構成される。別の一実施形態では、フォトレジスト層が、非限定的に、ポリシスイソプレンやポリビニルシンナメートなどの、ネガ型フォトレジスト材料で構成される。
【0020】
別の一実施形態では、マスク234を形成することが、プラズマ堆積プロセスにおいて堆積される層を形成することを含む。例えば、そのような一実施形態では、マスク234が、プラズマ堆積されたテフロン層又はテフロン様(高分子CF2)層で構成される。特定の一実施形態では、高分子CF2層が、ガスC4F8を含むプラズマ堆積プロセスにおいて堆積される。
【0021】
別の一実施形態では、マスク234を形成することが、水溶性マスク層を形成することを含む。一実施形態では、水溶性マスク層が、水性媒体中で容易に溶解可能である。例えば、一実施形態では、水溶性マスク層が、アルカリ性溶液、酸性溶液、又は脱イオン水のうちの1以上の中で可溶性である材料で構成される。一実施形態では、水溶性マスク層は、加熱プロセスに暴露され(例えば、摂氏約50~160度の範囲で加熱され)ても、その水溶性を維持する。例えば、一実施形態では、水溶性マスク層が、レーザ及びプラズマエッチング個片化プロセスで使用されるチャンバ条件に暴露された後も、水溶液中で可溶性である。一実施形態では、水溶性マスク層が、非限定的に、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、デキストラン、ポリメタクリル酸、ポリエチレンイミン、又はポリエチレンオキシドなどの、材料で構成される。特定の一実施形態では、水溶性マスク層が、毎分約1~15ミクロンの範囲の、特に、毎分約1.3ミクロンの、水溶液中でのエッチング速度を有する。
【0022】
別の一実施形態では、マスク232を形成することが、UV硬化性マスク層を形成することを含む。一実施形態では、マスク層が、UV硬化層の接着性を少なくとも約80%低減させる、UV光に対する感受性を有する。そのような一実施形態では、UV層が、ポリ塩化ビニル又はアクリル系材料で構成される。一実施形態では、UV硬化層が、UV光に曝露されると接着特性が弱まる材料又はかかる材料のスタックで構成される。一実施形態では、UV硬化性接着膜が、約365nmのUV光に感応する。そのような一実施形態では、この感光性により、硬化を実行するためにLED光を使用することが可能になる。
【0023】
一実施形態では、半導体ウエハ又は基板231が、製造プロセスに耐えるのに適した材料で構成され、その上に半導体処理層が適切に配置されてよい。例えば、一実施形態では、半導体ウエハ又は基板231が、非限定的に、結晶シリコン、ゲルマニウム、又はシリコン/ゲルマニウムなどの、IV族系材料で構成される。ある特定の実施形態では、半導体ウエハ231を提供することは、単結晶シリコン基板を提供することを含む。特定の一実施形態では、単結晶シリコン基板が、不純物原子でドープされる。別の一実施形態では、半導体ウエハ又は基板204が、例えば、発光ダイオード(LED)の製作に使用されるIII‐V材料基板などの、III‐V材料で構成される。
【0024】
一実施形態では、半導体ウエハ又は基板231が、集積回路232の一部分として、半導体デバイスのアレイを上部又は内部に配置している。そのような半導体デバイスの複数の実施例は、非限定的に、シリコン基板内で製作されて誘電体層内に封入された、メモリデバイス又は相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタを含む。複数の金属相互接続が、デバイス又はトランジスタの上、及び周辺の誘電体層内に形成されてよく、デバイス又はトランジスタを電気的に結合して集積回路232を形成するために使用されてよい。ストリート233を構成している材料は、集積回路232を形成するために使用されている材料と類似し又は同一であってよい。例えば、ストリート233は、誘電材料、半導体材料、及びメタライズの層で構成されてよい。一実施形態では、ストリート233のうちの1以上が、集積回路232の実際のデバイスと同様の試験デバイスを含む。
【0025】
フローチャート120の動作122、及び対応する
図2Bを参照すると、間隙235を有するパターニングされたマスク234を提供するために、マスク234が、レーザスクライビングプロセスでパターニングされ、集積回路232間の半導体ウエハ又は基板231の領域を露出させる。したがって、レーザスクライビングプロセスは、集積回路232間に元々形成されているストリート233の材料を除去するために使用される。本開示の一実施形態によれば、レーザスクライビングプロセスでマスク234をパターニングすることは、
図2Bで破線で描かれているように、集積回路232間の半導体ウエハ231の領域内に部分的にトレンチ235を形成することを含む。
【0026】
一実施形態では、レーザスクライビングプロセスが、ガウス光源レーザビームを使用することを含む。そのような一実施形態では、レーザスクライビングプロセスが、フェムト秒光源レーザビームを使用することを含む。例えば、一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザパルスを提供するために、可視スペクトルに紫外線(UV)及び赤外線(IR)の範囲を加えた(三つ合わせて広帯域光学スペクトル)波長を有するレーザが使用され、フェムト秒ベースのレーザパルスは、フェムト秒(10-15秒)単位のパルス幅を有する。一実施形態では、アブレーションが、波長に依存するものではないか、又は実質的に依存するものではなく、したがって、マスク234、ストリート233、及び場合によっては半導体ウエハ又は基板231の一部分の膜などの、複合膜に適している。
【0027】
クリーンなレーザスクライブ切断を実現するために、チッピング、微小亀裂、及び層間剥離を最小化する、良好なレーザスクライビング及びダイシングのプロセスを発現させるには、ビームプロファイルなどのレーザパラメータの選択が重要になるだろう。レーザスクライブ切断が、よりクリーンになるほど、最終的なダイ個片化のために実施されてよいエッチングプロセスがより滑らかになる。半導体デバイスのウエハでは、通常、その上に種々の材料タイプ(例えば、導体、絶縁体、半導体)及び種々の厚さの多数の機能層が配置される。こうした材料は、限定しないが、ポリマーといったような有機材料、金属、又は二酸化ケイ素及び窒化ケイ素といったような無機誘電体を含んでよい。
【0028】
そのような一実施形態では、フェムト秒レーザ光源が、約10フェムト秒から500フェムト秒の範囲、但し好適には100フェムト秒から400フェムト秒の範囲のパルス幅を有する。一実施形態では、フェムト秒レーザ光源が、約1570ナノメートルから200ナノメートルの範囲、但し好適には約540ナノメートルから250ナノメートルの範囲の波長を有する。一実施形態では、レーザ及びそれに対応する光学システムが、加工面に、約3ミクロンから15ミクロンの範囲、但し好適には約5ミクロンから10ミクロンの範囲、又は10~15ミクロンの間の焦点(focal spot)を提供する。
【0029】
一実施形態では、レーザ源が、200kHzから10MHzの範囲、但し好適には約500kHzから5MHzの範囲のパルス繰返し率を有する。一実施形態では、レーザ源が、加工面に、約0.5μJから100μJの範囲、但し好適には約1μJから5μJの範囲のパルスエネルギーを供給する。一実施形態では、レーザスクライビングプロセスが、ワークピース面に沿って、約500mm/秒から5m/秒の範囲、但し好適には約600mm/秒から2m/秒の範囲の速度で進む。
【0030】
スクライビングプロセスは、1回のみの通過又は複数回の通過で行われてよいが、一実施形態では、好適には1~2回の通過で行われてよい。一実施形態では、ワークピース内のスクライビング深さが、約5ミクロンから50ミクロンの範囲、好適には約10ミクロンから20ミクロンの範囲の深さである。一実施形態では、生成されたレーザビームのカーフ幅が、約2ミクロンから15ミクロンの範囲、但し好適にはシリコンウエハのスクライビング/ダイシングにおいては(デバイス/シリコンの界面で測定されると)約6ミクロンから10ミクロンの範囲である。
【0031】
レーザパラメータは、例えば、無機誘電体(例えば、二酸化ケイ素)のイオン化を実現するために十分に高いレーザ強度を提供すること、並びに無機誘電体の直接的なアブレーションの前に下地層の損傷によって層間剥離及びチッピングが生じるのを最小化すること、などの利益及び利点によって選択されてよい。また、パラメータは、アブレーションの幅(カーフ幅など)及び深さを正確に制御することで、産業上の用途にとって有意義なプロセススループットを提供するように選択されてよい。
【0032】
フローチャート120の動作123、及び対応する
図2Cを参照すると、マスク234が除去されている。マスク234は、マスク234向けに使用される材料に応じて、任意の適切なプロセスで除去されてよい。特定の一実施形態では、マスク234が、アッシングプロセスで、又はマスク234を溶解するのに適した溶液への曝露で除去されてよい。UV硬化性マスクの場合、マスク234は、除去前にUV光に曝露されてよい。マスク234が除去された後で、ストリート233に対する開口部235のオフセットOが測定される。例えば、オフセットOは、ストリート233の中心線に対する開口部235の中心線のオフセットの測定値であってよい。そのようなオフセットは、平行移動オフセットと呼ばれてよい。しかし、他のオフセットタイプも測定されてよいことを理解されたい。例えば、オフセットは、幾つかの実施形態では、角度オフセットであってよい。角度オフセットは、以下でより詳細に説明される。一実施形態では、測定が、レーザスクライビングツールと統合されたマシンビジョン機能を使用して行われてよい。代替的な一実施形態では、オフセットを測定するために使用されるマシンビジョンが、レーザスクライビングツール以外のツール内に設けられてもよい。
【0033】
フローチャート120の動作125を参照すると、オフセット補正が計算される。オフセット補正は、測定されたオフセットを考慮するためにウエハマップに追加されてよい補正パラメータである。一実施形態では、フローチャート120の動作126が、オフセット補正を記憶することを含んでよい。オフセット補正は、メモリ内に記憶されてよく、生産ウエハの後続のレーザスクライビングにおいて使用されてよい。
【0034】
次に、
図3Aを参照すると、一実施形態によるウエハ330の平面図が示されている。ウエハ330は、ウエハ330の表面全体にわたって分布している複数のダイ336を含んでよい。ダイ336は、ストリート337によって互いに離隔されてよい。ウエハ330は、犠牲ウエハである。すなわち、ウエハ330は、スクライブライン335についてのオフセット補正値を提供するために使用されてよい。ウエハ330は、更に処理されなくてよい(例えば、ウエハ330は、スクライブライン335が形成された後で、個片化されなくてよい)。
【0035】
幾つかの実施形態では、ウエハ330が、後に個片化されることとなる生産ウエハと実質的に同様である。他の実施形態では、ウエハ330が短ループウエハである。短ループウエハは、生産ウエハを提供するために使用される処理動作のサブセットで製造されたウエハである。例えば、短ループウエハは、生産ウエハ内のダイの寸法に等しい寸法を有する構造を含んでよい。短ループウエハはまた、ダイ336上のバンプを含んでもよい。短ループのウエハを使用することによって、オフセット測定値を提供するために生産ウエハを犠牲にする必要がないので、製造コストの低減が可能になる。
【0036】
一実施形態では、レーザスクライブライン335が、ウエハ330のストリート337内に設けられている。レーザスクライブライン335を測定して、上のフローチャート120で説明されたプロセスと同様なプロセスを使用して、ストリート337からの任意のオフセットを特定することができる。一実施形態では、ウエハ上のスクライブライン335の全てが、ウエハ330全体についてのオフセット補正を提供するために測定される。他の複数の実施形態では、スクライブライン335のサブセットが、オフセット補正を提供するために測定される。
【0037】
次に、
図3B~
図3Dを参照すると、様々な実施形態による、異なるカテゴリのオフセットを描く一連の平面図が示されている。
【0038】
次に、
図3Bを参照すると、一実施形態による平行移動オフセットが示されている。図示されているように、スクライブライン335の中心線339は、ストリート337の中心線338から横にオフセットされている。そのような一実施形態では、オフセット補正が、スクライブライン335の中心線339をストリート337の中心線338と位置合わせするために、スクライブライン335を移動させることを含んでよい。
【0039】
次に、
図3Cを参照すると、一実施形態による角度オフセットが示されている。図示されているように、スクライブライン335の中心線339は、ストリート337の中心線338から角度θだけ回転方向にオフセットされている。そのような一実施形態では、オフセット補正が、スクライブライン335の中心線339をストリート337の中心線338と位置合わせするために、スクライブライン335を角度θだけ回転させることを含んでよい。
【0040】
図3B及び
図3Cでは、単一のタイプのオフセット(すなわち、
図3Bの平行移動オフセット及び
図3Cの角度オフセット)が提供されている。しかし、幾つかの実施形態では、オフセットがまた、平行移動オフセットと角度オフセットとの両方を含んでもよいことを理解されたい。
【0041】
次に、
図3Dを参照すると、更なる一実施形態による、ストリート337内のスクライブライン335の平面図が示されている。図示されているように、スクライブライン335は、非直線的な形状を有してよい。例えば、
図3Dのスクライブライン335は、S字形状のパターンを有する。そのような複数の実施形態では、オフセットが、複数の箇所におけるオフセットを測定し、平均オフセットを特定することによって、特定されてよい。例えば、スクライブライン335の長さに沿ったポイントA~Eにおけるオフセットが測定されてよく、ポイントA~Eの平均オフセットを使用して、スクライブライン335の平均オフセットを提供することができる。平均オフセットは、平行移動オフセットと角度オフセットとの一方又は両方を含んでよい。
【0042】
本開示の1以上の実施形態によれば、オフセット補正を使用して集積回路を含む半導体ウエハをダイシングするための方法が提供される。
図4は、本開示の一実施形態による、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法の動作を表すフローチャート440である。
図5A~
図5Cは、本開示の一実施形態による、フローチャート440の動作に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実行中の、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示している。
【0043】
フローチャート440の動作441、及び対応する
図5Aを参照すると、マスク層534が半導体ウエハの上に形成されて、ハイブリッドなレーザアブレーション及びプラズマエッチングダイシング用の材料スタック530を提供する。一実施形態では、材料スタック530が、マスク層534、デバイス層532、及び基板531を含む。マスク層、デバイス層、及び基板は、支持テープ510に付着しているダイ付着膜508の上に配置されている。一実施形態では、マスク層534が、マスク234に関連して上述された水溶性の層などの水溶性の層である。デバイス層532は、1以上の金属層(銅層など)及び1以上の低誘電率誘電体層(炭素がドープされた酸化物層など)の上に配置された無機誘電体層(二酸化ケイ素層など)を含む。デバイス層532はまた、集積回路間に配置されたストリート533も含み、ストリートは、集積回路と同じか又はそれに類似した層を含む。基板531は、バルク単結晶シリコン基板である。
【0044】
一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板531が、ダイ付着膜508に付着されるのに先立って裏側から薄化(thinning)される。薄化は、裏側研削プロセスによって実行されてよい。一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板531が、約50~100ミクロンの範囲の厚さまで薄化される。一実施形態では、薄化が、レーザアブレーション及びプラズマエッチングのダイシングプロセスに先立って実行されることに留意するのは重要である。一実施形態では、フォトレジスト層534が、約5ミクロンの厚さを有し、デバイス層532は、約2~3ミクロンの範囲の厚さを有する。一実施形態では、ダイ付着膜508(又は薄化された若しくは薄型のウエハ若しくは基板を支持テープ510に接合可能な任意の好適な代替物)が、約20ミクロンの厚さを有する。
【0045】
フローチャート440の動作442、及び対応する
図5Bを参照すると、マスク層534及び半導体ウエハが、オフセット補正を有するレーザスクライビングプロセスでパターニングンされる。一実施形態では、オフセット補正が、材料スタック530のダイシングの前に犠牲ウエハを使用して(例えば、フローチャート120で説明されるプロセスなどのプロセスを使用して)特定されてもよい。したがって、パターニングされたトレンチ535は、ストリート533と実質的に位置合わせされてよい。一実施形態では、動作442が、マスク534、デバイス層532、及び基板531の一部分を、レーザスクライビングプロセスでパターニングして、基板531内にトレンチ535を形成することを含んでよい。
【0046】
動作443、及び対応する
図5Cを参照すると、シリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセスを使用して、トレンチ535をダイ付着膜508まで下げて延在させ、ダイ付着膜508の最上部分を露出させて、シリコン基板531を個片化する。シリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセス中、デバイス層532は、マスク層534によって保護されている。一実施形態では、個片化プロセスが、ダイ付着膜508をパターニングすること、支持テープ510の最上部を露出させること、及びダイ付着膜508を個片化することを更に含んでよい。一実施形態では、ダイ付着膜が、レーザプロセスによって、又はエッチングプロセスによって個片化される。更なる複数の実施形態は、その後に、支持テープ510から基板531の個片化された部分を(例えば、個々の集積回路として)取り外すことを含んでよい。一実施形態では、個片化されたダイ付着膜508が、基板531の個片化された部分の裏側に保持される。他の複数の実施形態は、マスク層534をデバイス層532から除去することを含んでよい。
【0047】
一実施形態では、基板531をエッチングすることが、プラズマエッチングプロセスを使用することを含む。一実施形態では、シリコン貫通電極式のエッチングプロセスが使用される。例えば、特定の一実施形態では、基板531の材料のエッチング速度が、毎分25ミクロンを超える。ダイ個片化プロセスのプラズマエッチング部分向けに、超高密度プラズマ源が使用されてよい。そのようなプラズマエッチングプロセスを実行するのに適切な処理チャンバの一例は、米国カリフォルニア州サニーベールのアプライドマテリアルズから入手可能なApplied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムである。Applied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムは、容量性RF結合と誘導性RF結合を組み合わせたものである。これによって、容量性結合のみで可能であったよりも更に独立してイオン密度とイオンエネルギーを制御することができ、それと共に磁気強化による改良さえも得ることができる。この組み合わせによって、イオン密度をイオンエネルギーから効果的に切り離して、かなりの低圧においても、潜在的に損傷を与え得る高いDCバイアスレベルを用いることなしに、比較的高密度のプラズマを実現することが可能になる。これにより、並外れて広い処理ウインドウがもたらされる。しかし、シリコンをエッチングできる任意のプラズマエッチングチャンバが使用されてよい。例示的な一実施形態では、基本的に正確なプロファイル制御と、基本的に波形状(scallop)を有さない側壁とを維持しつつ、単結晶シリコンの基板又はウエハ531を、従来のシリコンエッチング速度の約40%よりも速いエッチング速度でエッチングするために、ディープシリコンエッチングが使用される。特定の一実施形態では、シリコン貫通電極式のエッチングプロセスが使用される。エッチングプロセスは、一般的には、SF
6、C
4F
8、CHF
3、XeF
2といったフッ素系のガスである反応ガス、又は比較的速いエッチング速度でシリコンをエッチングすることができる何らかの他の反応ガスから生成される、プラズマに基づいている。別の一実施形態では、
図5Cに関連して説明されるプラズマエッチング動作が、基板531を貫通してエッチングするために、従来型のボッシュ式の堆積/エッチング/堆積プロセスを採用する。通常、ボッシュ式プロセスは、3つの下位動作(sub-operation)から構成される。すなわち、堆積、指向性ボンバードエッチング、及び等方性化学エッチングが、シリコンが貫通エッチングされるまで、多数回の繰り返し(サイクル)で実行される。
【0048】
したがって、フローチャート440及び
図5A~
図5Cを再び参照すると、ウエハダイシングは、マスク層を貫通し、ウエハストリート(メタライゼーションを含む)を貫通し、部分的にシリコン基板内にアブレートするために、レーザスクライビングプロセスを使用する初期アブレーションによって実行されてよい。次いで、ダイ個片化は、後続のシリコン貫通ディーププラズマエッチングによって完了されてよい。
【0049】
本開示の1以上の実施形態によれば、オフセット補正を使用して集積回路を含む半導体ウエハをダイシングするための方法が提供される。
図6は、本開示の一実施形態による、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法の動作を表すフローチャート650である。
図7A~
図7Bは、本開示の一実施形態による、フローチャート650の動作に対応する、半導体ウエハをダイシングする方法を実行中の、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示している。
【0050】
フローチャート650の動作651、及び対応する
図7Aを参照すると、マスク層734が半導体ウエハの上に形成され、ハイブリッドなレーザアブレーション及びプラズマエッチングダイシング用の材料スタック730を提供する。一実施形態では、材料スタック730が、マスク層734、デバイス層732、及び基板731を含む。マスク層、デバイス層、及び基板は、支持テープ710に付着しているダイ付着膜708の上に配置されている。一実施形態では、マスク層734が、マスク234に関連して上述された水溶性の層などの水溶性の層である。デバイス層732は、1以上の金属層(銅層など)及び1以上の低誘電率誘電体層(炭素がドープされた酸化物層など)の上に配置された無機誘電体層(二酸化ケイ素層など)を含む。デバイス層732はまた、集積回路間に配置されたストリート733も含み、ストリートは、集積回路と同じか又はそれに類似した層を含む。基板731は、バルク単結晶シリコン基板である。
【0051】
一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板731が、ダイ付着膜708に付着されるのに先立って、裏側から薄化(thinning)される。薄化は、裏側研削プロセスによって実行されてよい。一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板731が、約50ミクロン未満の厚さに薄化される。一実施形態では、薄化が、レーザアブレーション及びプラズマエッチングのダイシングプロセスに先立って実行されることに留意するのは重要である。一実施形態では、フォトレジスト層734が、約5ミクロンの厚さを有し、デバイス層732が、約2~3ミクロンの範囲の厚さを有する。一実施形態では、ダイ付着膜708(又は薄化された若しくは薄型のウエハ若しくは基板を支持テープ710に接合可能な任意の好適な代替物)が、約20ミクロンの厚さを有する。
【0052】
フローチャート650の動作652、及び対応する
図7Bを参照すると、マスク層734及び半導体ウエハが、オフセット補正を有するレーザスクライビングプロセスでパターニングされる。一実施形態では、オフセット補正が、材料スタック730のダイシングの前に犠牲ウエハを使用して(例えば、フローチャート120で説明されるプロセスなどのプロセスを使用して)特定されてよい。したがって、パターニングされたトレンチ735は、ストリート733と実質的に位置合わせされてよい。一実施形態では、動作652が、マスク734、デバイス層732、及び基板731の一部分を、レーザスクライビングプロセスでパターニングして、基板731内にトレンチ735を形成することを含んでよい。
【0053】
レーザスクライビングが、マスクをパターニングするのと共に、ダイを個片化するためにウエハ又は基板を完全に貫通してスクライブするのにも使用される場合では、上述されたレーザスクライビングの後でダイシング処理又は個片化処理が停止され得ることは、理解すべきである。したがって、こうした場合では、更なる個片化処理が必要とされないだろう。
【0054】
単一のプロセスツールが、レーザアブレーション及びプラズマエッチングによる個片化プロセスにおける動作の多く又は全てを実行するように構成されてよい。例えば、
図8は、本開示の一実施形態による、ウエハ又は基板のレーザ及びプラズマダイシング用のツールレイアウトのブロック図を示している。
【0055】
図8を参照すると、処理ツール800は、複数のロードロック804が結合されたファクトリインターフェース802(FI)を含む。クラスタツール806が、ファクトリインターフェース802に結合されている。クラスタツール806は、プラズマエッチングチャンバ808などの、1以上のプラズマエッチングチャンバを含む。レーザスクライビング装置810もまた、ファクトリインターフェース802に結合されている。プロセスツール800の全体の設置面積は、一実施形態では、
図8で示されているように、約3500ミリメートル(3.5メートル)×約3800ミリメートル(3.8メートル)であってよい。
【0056】
一実施形態では、レーザスクライビング装置810が、レーザビームを提供するよう構成されたレーザアセンブリを収容する。そのような一実施形態では、レーザアセンブリが、ダイ間のストリートに対するスクライブラインのオフセットを測定するのに適したマシンビジョン機能を提供するように構成される。一実施形態では、レーザスクライブ装置810が、ウエハ上のレーザスクライブラインの全てについてオフセット測定値を提供するように構成される。一実施形態では、レーザアセンブリが、ガウス光源レーザビームを含む。一実施形態では、レーザアセンブリが、フェムト秒光源レーザビームを含む。
【0057】
一実施形態では、レーザが、ハイブリッドなレーザ及びエッチング個片化プロセスのうちのレーザアブレーション部分(上述されたレーザアブレーションプロセスなど)を実行するのに適している。一実施形態では、レーザスクライブ装置810がまた、レーザに対してウエハ又は基板(又はそのキャリア)を動かすよう構成された移動可能な載物台も含む。特定の一実施形態では、レーザもまた移動可能である。レーザスクライブ装置810の全体の設置面積は、一実施形態では、
図8で描かれているように、約2240ミリメートル×約1270ミリメートルであってよい。
【0058】
一実施形態では、1以上のプラズマエッチングチャンバ808が、パターニングされたマスク内の間隙を介してウエハ/基板をエッチングし、複数の集積回路を個片化するように構成されている。そのような一実施形態では、1以上のプラズマエッチングチャンバ808が、ディープシリコンエッチングプロセスを実行するように構成されている。特定の一実施形態では、1以上のプラズマエッチングチャンバ808が、米国カリフォルニア州サニーベールのApplied Materialsから入手可能なApplied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムである。エッチングチャンバは、単結晶シリコン基板又はウエハの上又は中に収容される個片化された集積回路を作製するのに使用されるディープシリコンエッチング用に、特別に設計されてよい。一実施形態では、シリコンエッチング速度を高めるために、プラズマエッチングチャンバ808内に高密度プラズマ源が含まれている。一実施形態では、個片化又はダイシングプロセスの製造スループットを高くすることが可能なように、プロセスツール800のクラスタツール806の部分に、2つ以上のエッチングチャンバが含まれている。
【0059】
ファクトリインターフェース802は、レーザスクライビング装置810を有する外部製造設備とクラスタツール806との間のインターフェースとなるのに好適な大気ポートであってよい。ファクトリインターフェース802には、ストレージユニット(例えば前面開口型統一ポッド)からクラスタツール806又はレーザスクライビング装置810のうちの何れか又は両方へとウエハ(又はそのキャリア)を移動するためのアーム又はブレードを有するロボットが含まれてよい。
【0060】
クラスタツール806は、個片化の方法における機能を実行するのに適切な他のチャンバを含んでよい。例えば、一実施形態では、更なるエッチングチャンバの代わりに堆積チャンバ812が含まれる。堆積チャンバ812は、ウエハ/基板のレーザスクライビングに先立って、ウエハ/基板のデバイス層上又はその上方にマスクを堆積させるように構成されてよい。そのような一実施形態では、堆積チャンバ812が、フォトレジスト層の堆積に適している。別の一実施形態では、更なるエッチングチャンバの代わりに湿式/乾式ステーション814が含まれる。湿式/乾式ステーションは、基板又はウエハのレーザスクライビング及びプラズマエッチングによる個片化プロセスの後に、残留物及び断片を洗浄すること又はマスクを除去することに適していてよい。更に別の一実施形態では、更なるディープシリコンエッチングチャンバの代わりに、プラズマエッチングチャンバが含まれ、このプラズマエッチングチャンバは、プラズマベースの洗浄プロセスを実施するように構成される。一実施形態では、処理ツール800の構成要素として計測ステーションも含まれる。
【0061】
本開示の複数の実施形態は、指示命令が記憶されているマシン可読媒体を含んでよいコンピュータプログラム製品又はソフトウェアとして提供されてよく、これらの指示命令は、コンピュータシステム(又は他の電子デバイス)を、本開示の実施形態によるプロセスを実行するようにプログラミングするために使用されてよい。一実施形態では、コンピュータシステムが、
図8に関連して説明されているプロセスツール800に結合される。マシン可読媒体が、マシン(例えば、コンピュータ)によって可読な形態で情報を記憶又は送信するための、あらゆる機構を含む。例えば、マシン可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)、マシン(例えば、コンピュータ)可読伝送媒体(電気的形態、光学的形態、音響的形態、又はその他の伝播される信号の形態(例えば、赤外線信号、デジタル信号など))などを含む。
【0062】
図9は、本明細書で説明される方法のうちの任意の1以上をマシンに実行させるための一組の指示命令が内部で実行され得る、コンピュータシステム900という例示的な形態を採るマシンの概略図を示している。代替的な実施形態では、マシンが、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットにおいて、他のマシンに接続(例えばネットワーク化)されていてよい。マシンは、クライアントサーバネットワーク環境においてサーバ若しくはクライアントマシンとして機能してよく、又は、ピアツーピア(若しくは分散)ネットワーク環境においてピアマシンとして機能してよい。このマシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯型情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブ機器、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又は、当該マシンによって実行される動作を規定する(シーケンシャルな若しくはそれ以外の)一組の指示命令を実行可能な任意のマシンであってよい。更に、単一のマシンが図示されているが、「マシン」という用語は、本明細書で説明される方法のうちの任意の1以上を実行するために、一組の(又は複数組の)指示命令を、個別に又は合同して実行する、マシン(例えば、コンピュータ)の任意の集合体を含んでいるとも解釈されるべきである。
【0063】
例示的なコンピュータシステム900は、バス930を介して互いに通信する、プロセッサ902、メインメモリ904(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)又はランバスDRAM(RDRAM)といったダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など)、スタティックメモリ906(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、MRAMなど)、及び、二次的メモリ918(データ記憶デバイスなど)を含む。
【0064】
プロセッサ902は、マイクロプロセッサや中央処理装置などのような1以上の汎用処理デバイスを表している。より具体的には、プロセッサ902が、複合命令セット演算(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セット演算(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであってよい。プロセッサ902はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどといった、1以上の専用処理デバイスであってもよい。プロセッサ902は、本明細書で説明される工程を実行するための処理論理926を実行するように構成されている。
【0065】
コンピュータシステム900は、ネットワークインターフェースデバイス908を更に含んでよい。コンピュータシステム900はまた、ビデオディスプレイ装置910(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、又は陰極線管(CRT))、英数字入力デバイス912(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス914(例えば、マウス)、及び信号生成デバイス916(例えば、スピーカー)を含んでよい。
【0066】
二次的メモリ918は、本明細書で説明される1以上の任意の方法又は機能を具現化する1以上の組の指示命令(例えば、ソフトウェア922)が記憶されたマシンアクセス可能記憶媒体(又はより具体的にはコンピュータ可読記憶媒体)932を含んでよい。このソフトウェア922はまた、コンピュータシステム900によって実行されている最中に、完全に又は少なくとも部分的に、メインメモリ904内及び/又はプロセッサ902内に存在してもよい。メインメモリ904及びプロセッサ902もまた、マシン可読記憶媒体を構成している。このソフトウェア922は更に、ネットワークインターフェースデバイス908を介してネットワーク920上で送信又は受信されてよい。
【0067】
例示的な実施形態において、マシンアクセス可能記憶媒体932を単一の媒体として示したが、「マシン可読記憶媒体」という用語は、1以上の組の指示命令を記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば集中データベース若しくは分散データベース、並びに/又は関連キャッシュ及びサーバ)を含むと理解されたい。「マシン可読記憶媒体」という用語は、マシンによって実行される一組の指示命令であって、本開示の方法のうちの任意の1以上をマシンに実行させる指示命令を、記憶又は符号化することが可能なあらゆる媒体を含むとも解釈すべきである。したがって、「マシン可読記憶媒体」という用語は、固体メモリ、光媒体、及び磁気媒体を含むが、それらに限定されないと解釈すべきである。
【0068】
本発明の一実施形態により、マシンアクセス可能記憶媒体には、複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法をデータ処理システムに実施させる指令が、記憶されている。方法は、集積回路を覆いかつ保護する層で構成されたマスクを、半導体ウエハ上に形成することを含む。次いで、マスクは、レーザスクライビングプロセスでパターニングされ、パターニングにより、ストリートに開口部が設けられる。一実施形態では、マスクが除去され、ストリートに対する開口部のスクライビングオフセットが測定される。次いで、測定されたオフセットは、後続のウエハのダイシングに使用されてよい。
【0069】
かくして、レーザビーム及びプラズマエッチングプロセスにおけるレーザスクライブラインのオフセットマッピングを使用するハイブリッドなウエハダイシングアプローチが開示された。