(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】メタルハードマスクのエッチング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20241023BHJP
C23F 1/12 20060101ALI20241023BHJP
C23F 4/00 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101H
C23F1/12
C23F4/00 A
(21)【出願番号】P 2023534136
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 CN2021138270
(87)【国際公開番号】W WO2022127813
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】202011499448.4
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン ユー
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲亜▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】ホーァ シャオミン
(72)【発明者】
【氏名】リィゥ ヂャオチォン
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-187516(JP,A)
【文献】特開2007-258426(JP,A)
【文献】特開2001-176842(JP,A)
【文献】特開2006-319041(JP,A)
【文献】特開2017-045849(JP,A)
【文献】特開2006-269879(JP,A)
【文献】特開平10-189555(JP,A)
【文献】特開2006-295171(JP,A)
【文献】特開2010-135624(JP,A)
【文献】特開2011-192664(JP,A)
【文献】特開2008-251897(JP,A)
【文献】国際公開第2020/176502(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103903972(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101937832(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101866876(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23F 1/12
C23F 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタルハードマスク層及び少なくとも1つの機能膜層をウェハー表面に前記ウェハー表面から離れる方向に沿って順に形成するメタルハードマスクのエッチング方法であって、
少なくとも1つの前記機能膜層及び前記メタルハードマスク層を前記ウェハー表面に近い方向に沿って順にエッチングする複数のエッチングプロセスを含み、
前記機能膜層をエッチングする全てのエッチングプロセスのうち、少なくとも1つのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスは水素元素及びフッ素元素を含み、且つフッ化水素副生成物の生成を減少させるために、前記エッチングガス中の前記フッ素元素の含有量に対する前記水素元素の含有量の比は予め設定された閾値よりも小さく、
前記エッチングガスに含まれる複数のガスの流量を調節することにより前記比を調節することができ、前記フッ化水素副生成物とチャンバの内面の材料との反応により生成される粒子を減少させ
、
前記機能膜層は、それぞれ前記ウェハー表面から離れる方向に沿って前記メタルハードマスク層に順に設置された誘電体材料層及び有機材料マスク層を含み、
前記有機材料マスク層、前記誘電体材料層及び前記メタルハードマスク層を前記ウェハー表面に近づく方向に沿って順にエッチングする3つのエッチングプロセスを含み、
前記有機材料マスク層及び前記誘電体材料層をそれぞれエッチングするための2つのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスはいずれも水素元素及びフッ素元素を含み、
前記有機材料マスク層及び前記誘電体材料層をそれぞれエッチングするための前記2つのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスはいずれもCF
4
、CHF
3
及びCH
2
F
2
を含み、且つ、前記エッチングガス中の前記CF
4
、CHF
3
及びCH
2
F
2
における前記フッ素元素の含有量に対する前記水素元素の含有量の比が前記予め設定された閾値よりも小さいように、前記CF
4
、CHF
3
及びCH
2
F
2
のガス流量比を設定することを特徴とするメタルハードマスクのエッチング方法。
【請求項2】
前記予め設定された閾値は1以下であることを特徴とする請求項1に記載のメタルハードマスクのエッチング方法。
【請求項3】
前記予め設定された閾値は0.5以下であることを特徴とする請求項2に記載のメタルハードマスクのエッチング方法。
【請求項4】
前記エッチングガスが水素元素及びフッ素元素を含むエッチングプロセスにおいて、プロセスチャンバに前記エッチングガスを導入すると同時に、前記エッチングガスのイオン化を促進し、フッ化水素副生成物の生成を減少させるための第1の補助ガスを前記プロセスチャンバに導入することを特徴とする請求項1に記載のメタルハードマスクのエッチング方法。
【請求項5】
前記第1の補助ガスはアルゴンガス、ヘリウムガス及び酸素ガスのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項4に記載のメタルハードマスクのエッチング方法。
【請求項6】
前記メタルハードマスクのエッチング方法は、
全ての前記エッチングプロセスが完了した後に、前記エッチングプロセスによってプロセスチャンバ内で生成された少なくとも1種の反応副生成物を除去するための少なくとも1つの洗浄プロセスを前記プロセスチャンバに対して行うことを更に含み、
前記反応副生成物にシリコン含有副生成物が含まれ、前記シリコン含有副生成物を洗浄するための前記洗浄プロセスで用いられる洗浄ガスはフッ素含有ガスと、前記フッ素含有ガスのイオン化によって形成されたプラズマ中のフッ素含有粒子の生成を減少させるための第2の補助ガスとを含むことを特徴とする請求項1に記載のメタルハードマスクのエッチング方法。
【請求項7】
前記第2の補助ガスはアルゴンガス、ヘリウムガス及び酸素ガスのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項6に記載のメタルハードマスクのエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、半導体製造分野に関し、具体的には、メタルハードマスクのエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子制御能力は集積回路の製造プロセスにおける装置の安定性及びプロセスの安定性を評価するための重要な指標であり、現在のプロセスの粒子制御に対する要求がますます高くなるにつれて、集積回路装置にとってより大きな課題となっている。
【0003】
粒子源は主にプロセス形成及び外部導入を含む。そのうち、プロセス形成とはプロセス反応中にプロセスにより粒子を生成することを指し、外部導入は主にシリコンウエハーの搭載中に粒子を導入することを指す。現在ウェハーの搭載中に導入された粒子は効果的に抑えられているが、プロセス形成による粒子は常にエッチングプロセス技術が下位のテクノロジノードに拡張する過程での大きな問題である。
【0004】
たとえば、28nm以下のプロセスでは、メタルハードマスクのエッチングプロセスの粒子に対する要求は非常に高く、しかし、従来技術で用いられるメタルハードマスクのエッチング方法は、エッチング装置を長期間使用して量産する過程で、生成されたフッ化水素(HF)などの副生成物によりチャンバの内面の材料(Y2O3コーティングなど)の損失をもたらし、更にコーティングの破損によりチャンバの使用が不可能になり、また、生成されたHFなどの副生成物はY2O3コーティングと反応してイットリウム含有粒子を形成し、粒子の問題や欠陥の問題が引き起こされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術に存在する技術的課題の少なくとも1つを解決することを目的とし、フッ化水素の副生成物の生成を減少させることができ、それによりチャンバの内面の材料(Y2O3コーティングなど)の損失により生成された粒子を減少させることができるメタルハードマスクのエッチング方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するために、メタルハードマスク層及び少なくとも1つの機能膜層をウェハー表面に前記ウェハー表面から離れる方向に沿って順に形成するメタルハードマスクのエッチング方法を提供し、
前記メタルハードマスクのエッチング方法は、少なくとも1つの前記機能膜層及び前記メタルハードマスク層を前記ウェハー表面に近い方向に沿って順にエッチングする複数のエッチングプロセスを含み、
前記機能膜層をエッチングする全てのエッチングプロセスのうち、少なくとも1つのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスは水素元素及びフッ素元素を含み、且つフッ化水素副生成物の生成を減少させるために、前記エッチングガス中の前記水素元素の含有量と前記エッチングガス中の前記フッ素元素の含有量との比は予め設定された閾値よりも小さい。
【0007】
選択的に、前記比は1以下である。
【0008】
選択的に、前記比は0.5以下である。
【0009】
選択的に、前記エッチングガスが水素元素及びフッ素元素を含むエッチングプロセスにおいて、プロセスチャンバに前記エッチングガスを導入すると同時に、前記エッチングガスのイオン化を促進し、フッ化水素副生成物の生成を減少させるための第1の補助ガスを前記プロセスチャンバに導入する。
【0010】
選択的に、前記第1の補助ガスはアルゴンガス、ヘリウムガス及び酸素ガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0011】
選択的に、前記メタルハードマスクのエッチング方法は、
全ての前記エッチングプロセスが完了した後に、前記エッチングプロセスによって前記プロセスチャンバ内で生成された少なくとも1種の反応副生成物を除去するための少なくとも1つの洗浄プロセスをプロセスチャンバに対して行うことを更に含み、
前記反応副生成物にシリコン含有副生成物が含まれ、前記シリコン含有副生成物を洗浄するための前記洗浄プロセスで用いられる洗浄ガスはフッ素含有ガスと、前記フッ素含有ガスのイオン化によって形成されたプラズマ中のフッ素含有粒子の生成を減少させるための第2の補助ガスとを含む。
【0012】
選択的に、前記第2の補助ガスの流量と前記フッ素含有ガスの流量との比の範囲は0.3~2である。
【0013】
選択的に、前記第2の補助ガスはアルゴンガス、ヘリウムガス及び酸素ガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0014】
選択的に、前記機能膜層は2層であり、それぞれ前記ウェハー表面から離れる方向に沿って前記メタルハードマスク層に順に設置された誘電体材料層及び有機材料マスク層であり、
前記メタルハードマスクのエッチング方法は、前記有機材料マスク層、前記誘電体材料層及び前記メタルハードマスク層を前記ウェハー表面に近い方向に沿って順にエッチングする3つのエッチングプロセスを含み、
前記有機材料マスク層及び前記誘電体材料層をそれぞれエッチングするための2つのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスはいずれも水素元素及びフッ素元素を含む。
【0015】
選択的に、前記有機材料マスク層及び前記誘電体材料層をそれぞれエッチングするための前記2つのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスはいずれもCF4、CHF3及びCH2F2を含み、且つ、前記エッチングガス中の前記CF4、CHF3及びCH2F2における水素元素の含有量と、前記エッチングガス中の前記フッ素元素の含有量との比が前記予め設定された閾値よりも小さいように、前記CF4、CHF3及びCH2F2のガス流量比を設定する。
【0016】
本発明の実施例は以下の有益な効果を有する。
本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法は、機能膜層をエッチングする全てのエッチングプロセスのうち、少なくとも1つのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスが水素元素及びフッ素元素を含み、且つエッチングガス中の水素元素の含有量とエッチングガス中のフッ素元素の含有量との比は予め設定された閾値よりも小さい。エッチングガス中の水素元素の含有量とエッチングガス中のフッ素元素の含有量との比を予め設定された閾値よりも小さくすることにより、フッ化水素副生成物の生成を減少させることができ、それによりチャンバの内面の材料(Y2O3コーティングなど)の損失により生成された粒子を減少させることができ、更に粒子の問題や欠陥の問題を効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法のプロセス図である。
【
図3】本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法の別のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法のさらなるフローチャートである。
【
図5】従来のメタルハードマスクのエッチング方法で生成されたチャンバ粒子とプロセス時間の折れ線グラフである。
【
図6】本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法で生成されたチャンバ粒子とプロセス時間の折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、当業者が本発明の技術的解決手段をよりよく理解できるように、図面を参照しながら本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法を詳細に説明する。
【0019】
本発明の実施例は、メタルハードマスク層及び少なくとも1つの機能膜層をウェハー表面にウェハー表面から離れる方向(下から上へなど)に沿って順に形成するメタルハードマスクのエッチング方法を提供し、実際の応用では、技術世代に応じて機能膜層の数及び種類が異なり、たとえば、28nm技術世代では、機能膜層は2層であり、それぞれウェハー表面から離れる方向に沿ってメタルハードマスク層に順に設置された誘電体材料層及び有機材料マスク層であり、しかし、14nm技術世代では、機能膜層は少なくとも3層であり、たとえば、上記誘電体材料層及び有機材料マスク層に加えて、誘電体材料層と有機材料マスク層との間にアモルファスカーボン層又はその他の有機材料膜層が更に設置される。また、これらの機能膜層をエッチングする前に、機能膜層のエッチングプロセスを行う際に各機能膜層及びメタルハードマスク層のパターンを定義するために、最上層の機能膜層にパターン化されたフォトレジスト層を形成する必要がある。
【0020】
実際の応用では、上記ウェハーは、シリコン基板などの通常の半導体基板であってもよく、互いに配線するための金属層、層間絶縁層などの積層構造であってもよく、メタルハードマスク層はたとえば窒化チタン(TiN)層を含み、誘電体材料層はたとえば二酸化シリコン(SiO2)層及び窒化シリコン(SiN)層を含み、有機材料マスク層はたとえばシリコン反射防止層(Si-arc層)及び底部反射防止層(B-arc層)を含む。本発明の実施例は機能膜層の種類を特に制限しない。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法は、
少なくとも1つの機能膜層及びメタルハードマスク層をウェハー表面に近い方向に沿って順にエッチングする複数のエッチングプロセスであるステップS1を含み、複数の機能膜層をエッチングする全てのエッチングプロセスのうち、少なくとも1つのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスは水素元素及びフッ素元素を含む。
【0022】
たとえば、メタルハードマスクのエッチング方法は、有機材料マスク層、誘電体材料層及びメタルハードマスク層をウェハー表面に近い方向に沿って順にエッチングする3つのエッチングプロセスを含む。そのうち、有機材料マスク層及び誘電体材料層をそれぞれエッチングするための2つのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスはいずれもCF4、CHF3及びCH2F2を含み、メタルハードマスク層をエッチングするためのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスはCl2、CH4及びBCl3などを含む。この場合、有機材料マスク層及び誘電体材料層をそれぞれエッチングするための2つのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスはいずれも水素元素及びフッ素元素を含む。もちろん、実際の応用では、各機能膜層のエッチングプロセスで用いられるエッチングガスの種類を具体的なプロセス要求に応じて自在に選択することができ、本発明の実施例はこれを特に制限しない。
【0023】
エッチングプロセスを行う過程で、エッチングガスに水素元素及びフッ素元素が含有されると、フッ化水素副生成物が生成されて、チャンバの内面の材料と反応してしまい、チャンバの内面の材料がY2O3コーティング材料であることを例とし、フッ化水素副生成物はY2O3コーティング材料と反応してフッ化イットリウム(YxFy)を生成し、フッ化イットリウムの分子体積がY2O3の分子体積よりも小さいため、Y2O3コーティングに浅いクラックが発生し、それによりイットリウム含有粒子が形成されやすい。エッチング装置を長期間使用して量産する過程で、生成されたフッ化水素副生成物によりY2O3コーティングの損失をもたらし、更にコーティングの破損によりチャンバの使用が不可能になり、また、イットリウム含有粒子が形成され、粒子の問題や欠陥の問題が引き起こされる。
【0024】
また、全てのエッチングプロセスが完了した後に、反応副生成物を除去するために、チャンバに対して洗浄プロセスを行う必要がある。
図2を参照すると、そのプロセスは、具体的には、まず、ウェハーをプロセスチャンバに搬送し、エッチングプロセスを行い、エッチングプロセスが完了した後に、ウェハーをプロセスチャンバから搬出し、次にプロセスチャンバに対して洗浄プロセスを行うことを含む。
【0025】
洗浄プロセスを行う過程で、洗浄ガスは通常フッ化窒素(NF3)ガスを含み、該ガスにより生成されたプラズマは非常に高い腐食性を有し、更にY2O3コーティングに浸透してフッ化イットリウム(YxFy)を生成する。また、洗浄ガスがO2を含むと、Y2O3コーティングと反応してYOFを生成し、最終的にYOFは脱落して粒子を生成する。
【0026】
上記問題を解決するために、エッチングガスが水素元素及びフッ素元素を含むエッチングプロセスに対して、エッチングガス中の水素元素の含有量とエッチングガス中のフッ素元素の含有量との比を、予め設定された閾値よりも小さい範囲内に制御することにより、フッ化水素副生成物の生成を減少させることができ、それによりフッ化水素副生成物とチャンバの内面の材料との反応により生成された粒子(フッ化イットリウム粒子など)を減少させることができるとともに、チャンバの内面の材料(Y2O3コーティングなど)の損失を減少させることができ、更に粒子の問題や欠陥の問題を効果的に抑えることができる。
【0027】
なお、エッチングガス中の上記水素元素の含有量とエッチングガス中のフッ素元素の含有量とは、具体的には、プロセスチャンバ中のエッチングガスに含まれる水素元素及びフッ素元素のそれぞれの含有量を指す。
【0028】
いくつかの選択可能な実施例では、エッチングガス中の水素元素の含有量とエッチングガス中のフッ素元素の含有量との比は1以下であり、たとえば0.5以下である。該比を該数値範囲内に制御することにより、フッ化水素副生成物とチャンバの内面の材料との反応により生成された粒子(フッ化イットリウム粒子など)を効果的に減少させることができるとともに、チャンバの内面の材料(Y2O3コーティングなど)の損失を減少させることができる。
【0029】
いくつかの選択可能な実施例では、エッチングガスに含まれる様々なガスの流量を調節することにより上記比を調節することができる。たとえば、有機材料マスク層及び誘電体材料層をそれぞれエッチングするための2つのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスがいずれもCF4、CHF3を含むと、両者のガス流量をそれぞれ20sccm及び100sccmに設定することができ、この場合、エッチングガス中の水素元素の含有量とエッチングガス中のフッ素元素の含有量との比は0.26であり、1よりも小さく、フッ化水素副生成物とチャンバの内面の材料との反応により生成された粒子を効果的に減少させることができる。また、有機材料マスク層及び誘電体材料層をそれぞれエッチングするためのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスがいずれもO2、CH2F2を含むと、両者のガス流量をそれぞれ80sccm及び100sccmに設定することができ、この場合、エッチングガス中の水素元素の含有量とエッチングガス中のフッ素元素の含有量との比は1であり、同様に、フッ化水素副生成物とチャンバの内面の材料との反応により生成された粒子を効果的に減少させることができる。
【0030】
いくつかの選択可能な実施例では、エッチングガスが水素元素及びフッ素元素を含むエッチングプロセスにおいて、プロセスチャンバに上記エッチングガスを導入すると同時に、エッチングガスのイオン化を促進し、フッ化水素副生成物の生成を更に減少させるための第1の補助ガスをプロセスチャンバに導入する。たとえば、エッチングガスがCHF3ガスを含むと、第1の補助ガスはCHF3ガスの更なるイオン化を促進してCF2
+及びCF3
+などのフリーラジカル及びイオンを形成することができ、それによりフッ化水素副生成物の生成を減少させることができる。選択的に、上記第1の補助ガスはアルゴンガス、ヘリウムガス及び酸素ガスのうちの少なくとも1種を含む。そのうち、酸素ガスはCHF3ガスの更なるイオン化を促進してCF2
+及びCF3
+などのフリーラジカル及びイオンを形成できるだけでなく、Hイオンと反応してHOを生成し、フッ化水素副生成物の生成を更に減少させることができる。
【0031】
いくつかの選択可能な実施例では、
図3に示すように、上記メタルハードマスクのエッチング方法は、
全てのエッチングプロセスが完了した後に、エッチングプロセスによってプロセスチャンバ内で生成された少なくとも1種の反応副生成物を除去するための少なくとも1つの洗浄プロセスをプロセスチャンバに対して行うステップS2をさらに含む。
【0032】
実際の応用では、プロセスチャンバ内で生成された反応副生成物の種類に応じて、洗浄プロセスの数及び各洗浄プロセスで用いられる洗浄ガスの種類を選択することができる。
【0033】
反応副生成物にシリコン含有副生成物が含まれると、該シリコン含有副生成物を洗浄するための洗浄プロセスで用いられる洗浄ガスはフッ素含有ガスと、第2の補助ガスとを含み、そのうち、フッ素含有ガスはたとえばNF3及びSF6などを含み、フッ素含有ガスにより生成されたプラズマは非常に高い腐食性を有し、更にY2O3コーティングに浸透してフッ化イットリウム(YxFy)を生成する。該問題を解決するために、上記フッ素含有ガスを導入すると同時に、フッ素含有ガスのイオン化によって形成されたプラズマ中のフッ素含有粒子(フッ素ラジカルなど)の生成を減少させるための上記第2の補助ガスを導入することができ、それによりフッ素含有粒子とY2O3コーティングとの反応により形成されたイットリウム含有粒子を減少させることができる。
【0034】
いくつかの選択可能な実施例では、第2の補助ガスの流量とフッ素含有ガスの流量との比を制御することにより、第2の補助ガスとフッ素含有ガスとのイオン化によって形成されたプラズマの成分を制御することができ、それにより、洗浄の目的を達成した上で、第2の補助ガスのイオン化によって形成されたプラズマが、フッ素含有ガスのイオン化によって形成されたプラズマ中のフッ素含有粒子(フッ素ラジカルなど)の生成を効果的に減少させることができることが確保される。選択的に、第2の補助ガスの流量とフッ素含有ガスの流量との比の範囲は0.3~2である。該数値範囲内に、フッ素含有ガスのイオン化によって形成されたプラズマ中のフッ素含有粒子(フッ素ラジカルなど)の生成を効果的に減少させることができるのを確保できる。
【0035】
いくつかの選択可能な実施例では、上記第2の補助ガスはアルゴンガス、ヘリウムガス及び酸素ガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0036】
以下、メタルハードマスクのエッチング方法が、有機材料マスク層、誘電体材料層及びメタルハードマスク層をウェハー表面に近い方向に沿って順にエッチングする3つのエッチングプロセス及び対応する洗浄プロセスを含むことを例として、本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法を詳細に説明する。
【0037】
具体的には、
図4に示すように、メタルハードマスクのエッチング方法は、以下のステップS101~ステップS103を含む。
【0038】
S101、有機材料マスク層のエッチングプロセスを行う。
【0039】
有機材料マスク層のエッチングプロセスはたとえば、下記プロセスパラメータを用いてもよい。
【0040】
エッチングガスは、CF4、CHF3及びCH2F2などの水素元素及びフッ素元素を含むガスを用いてもよく、又は、Cl2及びO2、あるいはCl2、O2及びCH4などの水素元素及びフッ素元素を含まないガスを用いてもよい。プロセス圧力の範囲は3mT~40mT、好ましくは5mT~20mTであり、励起電力の範囲は200W~2000W、好ましくは400W~1200Wであり、バイアス電力の範囲は20W~500W、好ましくは60W~200Wである。エッチングガスがCl2及びO2を含み、又はCl2、O2及びCH4を含むと、Cl2のガス流量は50sccm~200sccm、O2のガス流量は10sccm~35sccm、CH4のガス流量は0sccm~20sccmである。エッチングガスがCF4、CHF3及びCH2F2を含むと、CF4のガス流量は0sccm~200sccm、CHF3のガス流量は0sccm~200sccm、CH2F2のガス流量は0sccm~200sccmである。且つ、エッチングガスがCF4、CHF3及びCH2F2を含むと、選択的に、Ar、He及びO2のうちの少なくとも1種を含む第1の補助ガスをさらに導入することができ、そのうち、Arのガス流量は0sccm~200sccm、Heのガス流量は0sccm~300sccm、O2のガス流量は0sccm~150sccmである。
【0041】
有機材料マスク層のエッチングプロセスが完了した後に、チャンバ内に炭素含有副生成物が形成される。
【0042】
S102、誘電体材料層のエッチングプロセスを行う。
【0043】
誘電体材料層のエッチングプロセスはたとえば、下記プロセスパラメータを用いてもよい。
【0044】
エッチングガスは、CF4、CHF3及びCH2F2などの水素元素及びフッ素元素を含むガスを用いてもよく、そのうち、CF4のガス流量は0sccm~200sccm、CHF3のガス流量は0sccm~200sccm、CH2F2のガス流量は0sccm~200sccmである。且つ、誘電体材料層のエッチングプロセスで用いられるエッチングガスの総流量は上記有機材料マスク層のエッチングプロセスで用いられるエッチングガスの総流量と一致し、プロセス圧力の範囲は3mT~80mT、好ましくは5mT~50mTであり、励起電力の範囲は200W~2000W、好ましくは400W~1600Wであり、バイアス電力の範囲は20W~500W、好ましくは60W~400Wである。
【0045】
誘電体材料層のエッチングプロセスが完了した後に、チャンバ内にシリコン含有副生成物が形成される。
【0046】
S103、メタルハードマスク層のエッチングプロセスを行う。
【0047】
メタルハードマスク層のエッチングプロセスはたとえば、下記プロセスパラメータを用いてもよい。
【0048】
エッチングガスはCl2、CH4及びBCl3を含み、そのうち、Cl2のガス流量は0sccm~200sccm、CH4のガス流量は0sccm~30sccm、BCl3のガス流量は0sccm~200sccmであり、選択的に、具体的なプロセスのニーズに応じて、エッチングガスを導入すると同時に、形状修飾ガス又はその他の機能を実現する補助ガス(プラズマの分散を促進できるガスなど)を導入することもでき、形状修飾ガスはたとえばNF3及びSiCl4などであり、NF3のガス流量は0sccm~200sccm、SiCl4のガス流量は0sccm~100sccmであり、その他の機能の補助ガスはたとえばAr、He及びO2などであり、Arのガス流量は0sccm~200sccm、Heのガス流量は0sccm~300sccm、O2のガス流量は0sccm~150sccmである。プロセス圧力の範囲は3mT~40mT、好ましくは5mT~20mTであり、励起電力の範囲は200W~2000W、好ましくは400W~1200Wであり、バイアス電力の範囲は20W~300W、好ましくは60W~200Wである。
【0049】
メタルハードマスク層のエッチングプロセスが完了した後に、チャンバ内に金属副生成物が形成される。
【0050】
上記ステップ1及びステップ3の2つのエッチングプロセスにおいて、エッチングガスがCF4、CHF3及びCH2F2などの水素元素及びフッ素元素を含むガスを用いると、該エッチングガス中の水素元素の含有量とフッ素元素の含有量との比を予め設定された閾値よりも小さい範囲内に制御し、たとえば該比の範囲は0~1、好ましくは0~0.5であり、このように、フッ化水素副生成物の生成を減少させることができ、それによりフッ化水素副生成物とチャンバの内面の材料との反応により生成された粒子(フッ化イットリウム粒子など)を減少させることができると同時に、チャンバの内面の材料(Y2O3コーティングなど)の損失を減少させることができ、更に粒子の問題や欠陥の問題を効果的に抑えることができる。
【0051】
更に、上記ステップ1及びステップ3の2つのエッチングプロセスにおいて、エッチングガスがCF4、CHF3及びCH2F2などの水素元素及びフッ素元素を含むガスを用いると、上記エッチングガスを導入すると同時に、エッチングガスのイオン化を促進し、フッ化水素副生成物の生成を更に減少させるための第1の補助ガスを導入することもできる。
【0052】
上記メタルハードマスクのエッチング方法で現在のウェハーのエッチングプロセスを完了した後に、プロセスチャンバ内に形成された様々な副生成物、すなわち、炭素含有副生成物、シリコン含有副生成物及び金属副生成物に対して、次のウェハーのエッチングプロセスを行う前に、下記洗浄方法でプロセスチャンバを洗浄することができ、具体的には、以下のステップS104~ステップS106を含む。
【0053】
S104、メタルハードマスク層のエッチングプロセスにより生成された金属副生成物に対して洗浄プロセスを行う。
【0054】
具体的に用いられるプロセスパラメータは以下のとおりである。
【0055】
洗浄ガスはCl2を含み、そのガス流量は0sccm~500sccmであり、プロセス圧力の範囲は3mT~40mT、好ましくは5mT~20mTであり、励起電力の範囲は200W~2000W、好ましくは400W~1200Wである。
【0056】
S105、誘電体材料層のエッチングプロセスにより生成されたシリコン含有副生成物に対して洗浄プロセスを行う。
【0057】
具体的に用いられるプロセスパラメータは以下のとおりである。
【0058】
洗浄ガスはNF3及びSF6を含み、そのうち、NF3のガス流量は0sccm~300sccm、SF6のガス流量は0sccm~100sccmである。該洗浄ガスはフッ素含有ガスを含み、該フッ素含有ガスにより生成されたプラズマは非常に高い腐食性を有し、更にY2O3コーティングに浸透してフッ化イットリウム(YxFy)を生成する。該問題を解決するために、上記フッ素含有ガスを導入すると同時に、フッ素含有ガスのイオン化によって形成されたプラズマ中のフッ素含有粒子(フッ素ラジカルなど)の生成を減少させるための第2の補助ガスを導入することができ、それによりフッ素含有粒子とY2O3コーティングとの反応により形成されたイットリウム含有粒子を減少させることができる。上記第2の補助ガスはAr、He及びO2のうちの少なくとも1種を含み、そのうち、O2のガス流量は0sccm~500sccm、Arのガス流量は0sccm~500sccm、Heのガス流量は0sccm~500sccmである。更に、上記第2の補助ガスの流量とフッ素含有ガスの流量との比の範囲は0.3~2である。該数値範囲内に、フッ素含有ガスのイオン化によって形成されたプラズマ中のフッ素含有粒子(フッ素ラジカルなど)の生成を効果的に減少させることができるのを確保できる。プロセス圧力の範囲は5mT~250mT、好ましくは20mT~90mTであり、励起電力の範囲は200W~2000W、好ましくは800W~1800Wである。
【0059】
S106、有機材料マスク層のエッチングプロセスにより生成された炭素含有副生成物に対して洗浄プロセスを行う。
【0060】
具体的に用いられるプロセスパラメータは以下のとおりである。
【0061】
洗浄ガスはO2を含み、そのガス流量は0sccm~500sccmであり、プロセス圧力の範囲は3mT~40mT、好ましくは5mT~20mTであり、励起電力の範囲は200W~2000W、好ましくは400W~1200Wである。
【0062】
本願は上記ステップS104~ステップS106の順序で洗浄を行うことに限定されず、上記ステップS104~ステップS106は、上記各種の副生成物の洗浄を実現するために、その他の順序で行われてもよく、本願はこれを限定しない。
【0063】
図5は従来のメタルハードマスクのエッチング方法で生成されたチャンバ粒子とプロセス時間の折れ線グラフであり、
図6は本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法で生成されたチャンバ粒子とプロセス時間の折れ線グラフである。
図5及び
図6に示すように、PAはプロセスチャンバ内の総粒子数であり、Y
2O
3はプロセスチャンバ内のY
2O
3の粒子数である。
図5と
図6を比較して分かるように、従来のメタルハードマスクのエッチング方法では、プロセスチャンバ内に生成された総粒子数はプロセス時間の経過とともに徐々に70に増加し、Y
2O
3の粒子数はプロセス時間の経過とともに徐々に60に増加する。これに比べて、本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法では、プロセスチャンバ内に生成された総粒子数及びY
2O
3の粒子数は異なるプロセス時間(0~100h)でいずれも10未満に制御され、それによりチャンバの内面の材料(Y
2O
3コーティングなど)の損失により生成された粒子を顕著に減少させ、更に粒子の問題や欠陥の問題を効果的に抑えることができる。
【0064】
本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法は、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)及びマイクロプロセッサ(MPU)などのロジックチップ類製品の製造に適用される。
【0065】
以上のように、本発明の実施例に係るメタルハードマスクのエッチング方法は、機能膜層をエッチングする全てのエッチングプロセスのうち、少なくとも1つのエッチングプロセスで用いられるエッチングガスが水素元素及びフッ素元素を含み、且つエッチングガス中の水素元素の含有量とエッチングガス中のフッ素元素の含有量との比は予め設定された閾値よりも小さい。エッチングガス中の水素元素の含有量とエッチングガス中のフッ素元素の含有量との比を予め設定された閾値よりも小さくすることにより、フッ化水素副生成物の生成を減少させることができ、それによりチャンバの内面の材料(Y2O3コーティングなど)の損失により生成された粒子を減少させることができ、更に粒子の問題や欠陥の問題を効果的に抑えることができる。
【0066】
理解されるように、以上の実施形態は単に本願の原理を説明するために用いた例示的な実施形態であるが、本願はこれに限定されるものではない。当業者であれば、本願の主旨及び本質を逸脱せずに、種々の変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良も本願の保護範囲として見なされる。