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特許7576191プラズマを生成するためのコイル構造及び半導体プロセス装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】プラズマを生成するためのコイル構造及び半導体プロセス装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
H05H1/46 L
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023571583
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 CN2022104068
(87)【国際公開番号】W WO2023280196
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】202110776478.3
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ ジンロン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ソン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ガン
(72)【発明者】
【氏名】チェン シン
(72)【発明者】
【氏名】シュ ジンジー
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン イン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-501123(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111785605(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル構造であって、
前記コイル構造は少なくとも1つのコイル群を備え、前記コイル群は同軸に設けられた第1サブコイル群と第2サブコイル群を備え、前記第1サブコイル群は第1平面内に位置する少なくとも1つの第1平面コイルを備え、前記第2サブコイル群は前記第1平面に平行な第2平面内に位置する少なくとも1つの第2平面コイルを備え、前記第1平面コイルは前記第2平面コイルに直列接続され、前記第2平面コイルの前記第1平面における正投影は前記第1平面コイルと鏡像非対称である、ことを特徴とする半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル構造。
【請求項2】
前記第1サブコイル群は複数の前記第1平面コイルを備え、複数の前記第1平面コイルは、形状が同じであり、互いに間隔を空けて設けられ、複数の前記第1平面コイルの第1端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、複数の前記第1平面コイルの第2端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、
前記第2サブコイル群は複数の前記第2平面コイルを備え、複数の前記第2平面コイルは、形状が同じであり、互いに間隔を空けて設けられ、複数の前記第2平面コイルの第1端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、複数の前記第2平面コイルの第2端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、
複数の前記第1平面コイルと複数の前記第2平面コイルとは1対1で対応し、複数の前記第1平面コイルの第1端は並列接続され、複数の前記第2平面コイルの第1端は並列接続され、複数の前記第1平面コイルの第2端は複数の前記第2平面コイルの第2端に1対1で対応して直列接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のコイル構造。
【請求項3】
記第1サブコイル群と前記第2サブコイル群との間の軸方向ピッチは前記所定の軸方向ピッチより大きい、ことを特徴とする請求項に記載のコイル構造。
【請求項4】
前記所定の軸方向ピッチは5mmである、ことを特徴とする請求項3に記載のコイル構造。
【請求項5】
前記第1サブコイル群と前記第2サブコイル群との間の軸方向ピッチの範囲は4mm以上であり、20mm以下である、ことを特徴とする請求項に記載のコイル構造。
【請求項6】
前記第1平面コイルと前記第2平面コイルの形状はいずれもインボリュート形状である、ことを特徴とする請求項に記載のコイル構造。
【請求項7】
記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルとのインボリュートの開始半径、回転数及び半径変化率のうちの少なくとも1つが異なる、ことを特徴とする請求項6に記載のコイル構造。
【請求項8】
前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの回転数を、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの他方のインボリュートの回転数よりも大きく又は小さくすることにより、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルの下方に形成された結合エネルギーの大きさを増減させ、及び/又は、
前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの半径変化率を、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの他方のインボリュートの半径変化率よりも大きく又は小さくすることにより、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルの下方に形成された結合エネルギーの密度振幅を減少又は増大させ、及び/又は、
前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの開始半径を、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの他方のインボリュートの開始半径よりも大きく又は小さくすることにより、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルの下方に形成された結合エネルギーのピークを、前記コイル群の径方向に沿って前記コイル群の軸線から離れ、又は軸線に近づく方向に移動させる、ことを特徴とする請求項7に記載のコイル構造。
【請求項9】
前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの回転数の他方のインボリュートの回転数に対する変化範囲は-5%以上+12%以下であり、
前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの半径変化率の他方のインボリュートの半径変化率に対する変化範囲は-10%以上+30%以下であり、
前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの開始半径の他方のインボリュートの開始半径に対する変化範囲は-10%以上+10%以下である、ことを特徴とする請求項8に記載のコイル構造。
【請求項10】
前記第1平面コイルはN個であり、Nは2以上の偶数であり、N個の前記第1平面コイルは前記コイル群の円周方向にN/2対の第1コイル対に分けられ、各対の前記第1コイル対はいずれも2つの隣接する前記第1平面コイルを備え、2つの隣接する前記第1平面コイルの第1端の間に両者を並列接続するための第1延長セグメントが接続され、前記N/2対の第1コイル対における前記第1延長セグメント同士は並列接続され、
前記第2平面コイルはN個であり、N個の前記第2平面コイルは前記コイル群の円周方向にN/2対の第2コイル対に分けられ、各対の前記第2コイル対はいずれも2つの隣接する前記第2平面コイルを備え、2つの隣接する前記第2平面コイルの第1端の間に両者を並列接続するための第2延長セグメントが接続され、前記N/2対の第2コイル対における前記第2延長セグメント同士は並列接続される、ことを特徴とする請求項2に記載のコイル構造。
【請求項11】
前記Nは6以上10以下である、ことを特徴とする請求項10に記載のコイル構造。
【請求項12】
各前記第1平面コイルの第2端とそれに対応する前記第2平面コイルの第2端との間に接続セグメントが接続され、両者を直列接続することに用いられ、前記接続セグメントの延在方向は前記コイル群の軸線と互いに平行である、ことを特徴とする請求項2に記載のコイル構造。
【請求項13】
前記コイル群は複数であり、複数群の前記コイル群のサイズはそれぞれ異なり、互いに嵌め込まれる、ことを特徴とする請求項に記載のコイル構造。
【請求項14】
半導体プロセス装置であって、
RF源、反応チャンバ、及び請求項1~13のいずれか1項に記載のコイル構造を備え、前記反応チャンバの頂部に誘電体窓が設けられ、前記コイル構造は前記誘電体窓の上方に設けられ、前記RF源はRF電力を前記コイル構造に供給することに用いられる、ことを特徴とする半導体プロセス装置。
【請求項15】
半導体プロセス装置であって、
RF源、反応チャンバ、及びコイル構造を備え、前記反応チャンバの頂部に誘電体窓が設けられ、前記コイル構造は前記誘電体窓の上方に設けられ、前記RF源はRF電力を前記コイル構造に供給することに用いられ、
前記コイル構造は請求項2~13のいずれか1項に記載のコイル構造を採用し、
プラズマ加工装置は接続構造をさらに備え、前記接続構造は第1接続部材及び第2接続部材を備え、前記第1接続部材は前記第1サブコイル群における複数の前記第1平面コイルの第1端に電気的に接続され、前記第2接続部材は前記第2サブコイル群における複数の前記第2平面コイルの第1端に電気的に接続され、
前記第1接続部材と前記第2接続部材のうちの一方は前記RF源の入力端に電気的に接続され、前記第1接続部材と前記第2接続部材のうちの他方は前記RF源の出力端に電気的に接続される、ことを特徴とする半導体プロセス装置。
【請求項16】
半導体プロセス装置であって、
RF源、反応チャンバ、及びコイル構造を備え、前記反応チャンバの頂部に誘電体窓が設けられ、前記コイル構造は前記誘電体窓の上方に設けられ、前記RF源はRF電力を前記コイル構造に供給することに用いられ、
プラズマ加工装置は接続構造をさらに備え、前記接続構造は第1接続部材及び第2接続部材を備え、前記第1接続部材は前記第1サブコイル群における複数の前記第1平面コイルの第1端に電気的に接続され、前記第2接続部材は前記第2サブコイル群における複数の前記第2平面コイルの第1端に電気的に接続され、
前記第1接続部材と前記第2接続部材のうちの一方は前記RF源の入力端に電気的に接続され、前記第1接続部材と前記第2接続部材のうちの他方は前記RF源の出力端に電気的に接続され、
前記コイル構造は請求項10又は11に記載のコイル構造を採用し、
前記第1接続部材はN/2個の第1接続棒を備え、前記N/2個の第1接続棒の一端はそれぞれ、前記N/2対の第1コイル対における前記第1延長セグメントに電気的に接続され、前記N/2個の第1接続棒の他端は前記第1平面の上方の第1高さ位置に集合して電気的に接続され、前記第2接続部材はN/2個の第2接続棒を備え、前記N/2個の第2接続棒の一端はそれぞれ、前記N/2対の第2平面コイル対における前記第2延長セグメントに電気的に接続され、前記N/2個の第2接続棒の他端は前記第1平面の上方の第2高さ位置に集合して電気的に接続され、前記第2高さ位置と前記第1高さ位置との間に高さ差を有する、ことを特徴とする半導体プロセス装置。
【請求項17】
各前記第1接続棒の一端は対応する前記第1延長セグメントの中点で前記第1延長セグメントに電気的に接続され、各前記第2接続棒の一端は対応する前記第2延長セグメントの中点で前記第2延長セグメントに電気的に接続される、ことを特徴とする請求項16に記載の半導体プロセス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体加工の技術分野に関し、具体的には、半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル構造及び半導体プロセス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導結合プラズマ(Inductive Coupled Plasma、ICP)源は半導体分野においてドライエッチング及び薄膜堆積を行うときに一般的に用いられるプラズマ源である。ICP源は、高周波電流がコイルを介して生成された高周波電磁界によってガスを励起してプラズマを生成し、比較的低いチャンバ圧力で動作することができ、プラズマの密度が高く、ワークに対する損傷が小さい等の特徴を有する。特徴スケールの益々縮小に伴い、プロセス加工過程において直面する挑戦もますます厳しくなり、ここではの1つの重要な要件はプラズマ源の一致性であり、ICP源については、コイル分布がエッチングの形状及びその均一性に重要な役割を果たし、プラズマ加工装置が高度集積デバイスを製造するプロセス能力をさらに向上させるように、コイル電流の径方向及び角度方向分布の均一対称性を絶えず最適化する必要がある。
【0003】
図1は従来のコイル構造の概略図である。図2は従来技術における電磁界分布の概略図である。図1及び図2に示すように、該コイル構造は内コイル群11及び外コイル群12を備え、両者はいずれも2つの平面コイルで構成され、2つの平面コイルはその軸方向に対して180°回転対称分布し、各平面コイルのその径方向断面における正投影の形状はいずれもインボリュート形状であり、コイル巻き数は1.5ターンである。内コイル群11と外コイル群12のそれぞれの2つの平面コイルの外輪に位置する外端は並列接続され、整合器13の出力端に電気的に接続され、内輪に位置する内端は並列接続され、整合器13の入力端に電気的に接続される。
【0004】
図2に示すように、単一平面コイルの形状はインボリュート形状であり、かつ該インボリュートは1.5ターンであることを例とし、該インボリュートは図2に示す破線の両側に位置する左、右2つの部分の幾何学的分布が不均等であり、径方向における分布も不均等であり、その結果、電磁界の左右分布が非対称になり、また、上記インボリュートは径方向における分布も不均等であり、その結果、コイルの左、右及び径方向における電流が異なり、これは、プロセス過程においてプラズマにおけるラジカル及びイオン密度の分布不均一を引き起こし、すなわちプラズマの分布不均一を引き起こし、その結果、ウェハのエッチングが不均一になり、エッチング品質又は効率に悪影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくとも従来技術に存在する技術的課題の1つを解決することを目的とし、コイルの径方向における電流分布の差を補償し、コイルの下方に生成された結合エネルギーの径方向における分布均一性を向上させることに用いられ、それにより、プラズマにおけるラジカル及びイオン密度の径方向における分布均一性を向上させる、半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル構造及び半導体プロセス装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル構造を提供し、前記コイル構造は少なくとも1つのコイル群を備え、前記コイル群は同軸に設けられた第1サブコイル群と第2サブコイル群を備え、前記第1サブコイル群は第1平面内に位置する少なくとも1つの第1平面コイルを備え、前記第2サブコイル群は前記第1平面に平行な第2平面内に位置する少なくとも1つの第2平面コイルを備え、前記第1平面コイルは前記第2平面コイルに直列接続され、前記第2平面コイルの前記第1平面における正投影は前記第1平面コイルと鏡像対称又は鏡像非対称である。
【0007】
任意選択的に、前記第1サブコイル群は複数の前記第1平面コイルを備え、複数の前記第1平面コイルは、形状が同じであり、互いに間隔を空けて設けられ、複数の前記第1平面コイルの第1端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、複数の前記第1平面コイルの第2端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、
前記第2サブコイル群は複数の前記第2平面コイルを備え、複数の前記第2平面コイルは、形状が同じであり、互いに間隔を空けて設けられ、複数の前記第2平面コイルの第1端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、複数の前記第2平面コイルの第2端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、
複数の前記第1平面コイルと複数の前記第2平面コイルとは1対1で対応し、複数の前記第1平面コイルの第1端は並列接続され、複数の前記第2平面コイルの第1端は並列接続され、複数の前記第1平面コイルの第2端は複数の前記第2平面コイルの第2端に1対1で対応して直列接続される。
【0008】
任意選択的に、前記第1サブコイル群と前記第2サブコイル群との間の軸方向ピッチは所定軸方向ピッチ以下であり、前記第2平面コイルの前記第1平面における正投影は前記第1平面コイルと鏡像対称であり、又は、
前記第1サブコイル群と第2サブコイル群との間の軸方向ピッチは前記所定軸方向ピッチより大きく、前記第2平面コイルの前記第1平面における正投影は前記第1平面コイルと鏡像非対称である。
【0009】
任意選択的に、前記所定軸方向ピッチは5mmである。
【0010】
任意選択的に、前記第1サブコイル群と第2サブコイル群との間の軸方向ピッチの範囲は4mm以上であり、20mm以下である。
【0011】
任意選択的に、前記第1平面コイルと前記第2平面コイルの形状はいずれもインボリュート形状である。
【0012】
任意選択的に、前記第2平面コイルの前記第1平面における正投影は前記第1平面コイルと鏡像非対称であり、
前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルとのインボリュートの開始半径、回転数及び半径変化率のうちの少なくとも1つが異なる。
【0013】
任意選択的に、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの回転数を、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの他方のインボリュートの回転数よりも大きく又は小さくすることにより、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルの下方に形成された結合エネルギーの大きさを増減させ、及び/又は、
前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの半径変化率を、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの他方のインボリュートの半径変化率よりも大きく又は小さくすることにより、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルの下方に形成された結合エネルギーの密度振幅を減少又は増大させ、及び/又は、
前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの開始半径を、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの他方のインボリュートの開始半径よりも大きく又は小さくすることにより、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルの下方に形成された結合エネルギーのピークを、前記コイル群の径方向に沿って前記コイル群の軸線から離れ、又は軸線に近づく方向に移動させる。
【0014】
任意選択的に、前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの回転数の他方のインボリュートの回転数に対する変化範囲は-5%以上+12%以下であり、
前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの半径変化率の他方のインボリュートの半径変化率に対する変化範囲は-10%以上+30%以下であり、
前記第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの開始半径の他方のインボリュートの開始半径に対する変化範囲は-10%以上+10%以下である。
【0015】
任意選択的に、前記第1平面コイルはN個であり、Nは2以上の偶数であり、N個の前記第1平面コイルは前記コイル群の円周方向にN/2対の第1コイル対に分けられ、各対の前記第1コイル対はいずれも2つの隣接する前記第1平面コイルを備え、2つの隣接する前記第1平面コイルの第1端の間に両者を並列接続するための第1延長セグメントが接続され、前記N/2対の第1コイル対における前記第1延長セグメント同士は並列接続され、
前記第2平面コイルはN個であり、N個の前記第2平面コイルは前記コイル群の円周方向にN/2対の第2コイル対に分けられ、各対の前記第2コイル対はいずれも2つの隣接する前記第2平面コイルを備え、2つの隣接する前記第2平面コイルの第1端の間に両者を並列接続するための第2延長セグメントが接続され、前記N/2対の第2コイル対における前記第2延長セグメント同士は並列接続される。
【0016】
任意選択的に、前記Nは6以上10以下である。
【0017】
任意選択的に、各前記第1平面コイルの第2端とそれに対応する前記第2平面コイルの第2端との間に接続セグメントが接続され、両者を直列接続することに用いられ、前記接続セグメントの延在方向は前記コイル群の軸線と互いに平行である。
【0018】
任意選択的に、前記コイル群は複数であり、複数群の前記コイル群のサイズはそれぞれ異なり、互いに嵌め込まれる。
【0019】
別の技術的解決手段として、本発明は半導体プロセス装置をさらに提供し、RF源、反応チャンバ、及び本発明に係る上記コイル構造を備え、前記反応チャンバの頂部に誘電体窓が設けられ、前記コイル構造は前記誘電体窓の上方に設けられ、前記RF源はRF電力を前記コイル構造に供給することに用いられる。
【0020】
任意選択的に、前記コイル構造は請求項2~13のいずれか1項に記載のコイル構造を採用し、
前記プラズマ加工装置は接続構造をさらに備え、前記接続構造は第1接続部材及び第2接続部材を備え、前記第1接続部材は前記第1サブコイル群における複数の前記第1平面コイルの第1端に電気的に接続され、前記第2接続部材は前記第2サブコイル群における複数の前記第2平面コイルの第1端に電気的に接続され、
前記第1接続部材と前記第2接続部材のうちの一方は前記RF源の入力端に電気的に接続され、前記第1接続部材と前記第2接続部材のうちの他方は前記RF源の出力端に電気的に接続される。
【0021】
任意選択的に、前記コイル構造は請求項10又は11に記載のコイル構造を採用し、
前記第1接続部材はN/2個の第1接続棒を備え、前記N/2個の第1接続棒の一端はそれぞれ、前記N/2対の第1コイル対における前記第1延長セグメントに電気的に接続され、前記N/2個の第1接続棒の他端は前記第1平面の上方の第1高さ位置に集合して電気的に接続され、前記第2接続部材はN/2個の第2接続棒を備え、前記N/2個の第2接続棒の一端はそれぞれ、前記N/2対の第2平面コイル対における前記第2延長セグメントに電気的に接続され、前記N/2個の第2接続棒の他端は前記第1平面の上方の第2高さ位置に集合して電気的に接続され、前記第2高さ位置と前記第1高さ位置との間に高さ差を有する。
【0022】
任意選択的に、各前記第1接続棒の一端は対応する前記第1延長セグメントの中点で前記第1延長セグメントに電気的に接続され、各前記第2接続棒の一端は対応する前記第2延長セグメントの中点で前記第2延長セグメントに電気的に接続される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0024】
本発明に係る半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル構造は、少なくとも1群のコイル群を備え、該コイル群は第1サブコイル群と第2サブコイル群を備え、第1サブコイル群は第1平面内に位置する少なくとも1つの第1平面コイルを備え、第2サブコイル群は第1平面に平行な第2平面内に位置する少なくとも1つの第2平面コイルを備え、第1平面コイルは第2平面コイルに直列接続され、第2平面コイルの第1平面における正投影は第1平面コイルと鏡像対称又は鏡像非対称である。第2平面コイルの第1平面における正投影を第1平面コイルと鏡像対称又は鏡像非対称とすることにより、第1サブコイル群及び第2サブコイル群によって生成された磁界と電界を互いに補償させることができ、すなわち、両者によって生成された磁界と電界が互いに重畳して形成された総磁界と総電界の分布が鏡像対称であり、それにより、コイルの径方向における電流分布の差を補償し、コイルの下方に生成された結合エネルギーの径方向における分布均一性を向上させることができ、それにより、プラズマにおけるラジカル及びイオン密度の径方向における分布均一性を向上させる。
【0025】
本発明に係る半導体プロセス装置は、本発明に係る上記コイル構造を採用することにより、コイルの径方向における電流分布の差を補償し、コイルの下方に生成された結合エネルギーの径方向における分布均一性を向上させることができ、それにより、プラズマにおけるラジカル及びイオン密度の径方向における分布均一性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は従来のコイル構造の概略図である。
図2図2は従来技術における電磁界分布の概略図である。
図3A図3Aは本発明の第1実施例に採用される第1種の単一第1平面コイルとそれに直列接続される第2平面コイルの第1平面における正投影の概略図である。
図3B図3B図3Aにおける単一第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルの鏡像の第1平面における正投影の概略図である。
図4図4はインボリュートのパラメータの概略図である。
図5A図5Aは本発明の第1実施例に採用される第2種の単一第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルの鏡像の第1平面における正投影の概略図である。
図5B図5Bは本発明の第1実施例に採用される第3種の単一第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルの鏡像の第1平面における正投影の概略図である。
図5C図5Cは本発明の第1実施例に採用される第4種の単一第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルの鏡像の第1平面における正投影の概略図である。
図5D図5Dは本発明の第1実施例に採用される第5種の単一第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルの鏡像の第1平面における正投影の概略図である。
図6A図6A図5Cにおける第4種の単一第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのコイル巻き数が異なる場合の結合エネルギー分布曲線の比較図である。
図6B図6B図5Bにおける第3種の単一第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルの半径変化率が異なる場合の結合エネルギー分布曲線の比較図である。
図6C図6C図5Dにおける第5種の単一第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルの開始半径が異なる場合の結合エネルギー分布曲線の比較図である。
図7図7図1のコイル構造の径方向断面における投影図である。
図8図8は本発明の第2実施例に係るコイル構造の構造概略図である。
図9A図9Aは本発明の第3実施例に採用される第1サブコイル群の第1平面における正投影の概略図である。
図9B図9Bは本発明の第3実施例に採用される第1サブコイル群及び第2サブコイル群の第1平面における正投影の概略図である。
図10A図10A図9Aのコイル構造における複数の第1平面コイルの第1端の並列接続された場合の正投影の概略図である。
図10B図10B図9Aのコイル構造における複数の第1平面コイルの第1端の並列接続された場合の斜視図である。
図11図11図8のコイル構造における複数の第1平面コイルと複数の第2平面コイルとを電気的に接続した場合の斜視図である。
図12図12は本発明の第2実施例に係る別のコイル構造の斜視図である。
図13図13は本発明の第3実施例に係るプラズマ加工装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
当業者が本発明の技術的解決手段をよりよく理解するために、以下、図面を参照して本発明に係る半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル構造及び半導体プロセス装置について詳細に説明する。
第1実施例
【0028】
本実施例は、半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル構造を提供し、上記半導体プロセス装置は、ウェハに対してエッチングプロセスを行うことに用いられ得て、該コイル構造は、上部電極として反応チャンバにおけるプロセスガスを励起してプラズマを形成することに用いられる。
【0029】
該コイル構造は少なくとも1つのコイル群を備え、該コイル群は同軸に設けられた第1サブコイル群と第2サブコイル群を備え、第1サブコイル群は第1平面内に位置する少なくとも1つの第1平面コイルを備え、該第1平面は上記コイル群の軸線に垂直であり、第2サブコイル群は上記第1平面に平行な第2平面内に位置する少なくとも1つの第2平面コイルを備え、第1平面コイルは第2平面コイルに直列接続され、第2平面コイルの第1平面における正投影は第1平面コイルと鏡像対称又は鏡像非対称である。上記第2平面は、例えば、上記第1平面コイルが位置する第1平面の下方から一定の間隔を有するところに位置し、すなわち、第2平面コイルは第1平面コイルの下方に位置し、かつ、両者の間には垂直間隔を有する。
【0030】
鏡像は、第1平面コイルの第1平面における正投影(以下、第1投影Aと略称)と第2平面コイルの第1平面における正投影(以下、第2投影Bと略称)の形状が同じ又は類似であるが、配列方向が逆であることを指し、具体的には、第1投影Aと第2投影Bは、いずれも第1平面に平行な表裏両面を有し、第1投影Aと第2投影Bのうちの一方の表面形状は、第1投影Aと第2投影Bのうちの他方の裏面形状と同じ又は類似である。対称は、第1投影Aと第2投影Bのうちの一方の表面形状と、第1投影Aと第2投影Bのうちの他方の裏面形状との全てのパラメータが完全に同じであることを指し、非対称は、第1投影Aと第2投影Bのうちの一方の表面形状と、第1投影Aと第2投影Bうちのの他方の裏面形状とが類似であるが、一部のパラメータが異なることを指す。
【0031】
例えば、図3Aを参照し、第1平面コイル及び第2平面コイルの形状はいずれもインボリュート形状であり、第1平面コイルの形状は第1インボリュート31であり、第2平面コイルの形状は第2インボリュート32である。該第2インボリュート32の第1平面における正投影は第1インボリュート31と鏡像非対称である。具体的には、図4に示すように、インボリュートの回転中心は点0、始点はC0、開始半径はR0、終点はC1、終了半径はR1である。本実施例では、図3Aにおける第1インボリュート31と第2インボリュート32の開始半径、回転数、半径変化率の少なくとも1つを異ならせることで、両者を鏡像非対称とする。
【0032】
例えば、図3Bに示すように、比較しやすいように、図3Aにおける第1インボリュート31と第2インボリュート32のうちの一方の表、裏面を反転させ、すなわち、図3Bにおける第1インボリュート31と第2インボリュート32のうちの一方は鏡像化した形状である。比較から分かるように、図3Bにおける第1インボリュート31と第2インボリュート32の始点は重なり、開始半径は同じであるが、第1インボリュート31の回転数は第2インボリュート32の回転数よりも大きく、第1インボリュート31の半径変化率は第2インボリュート32の半径変化率よりも小さい。このことから分かるように、第1インボリュート31と第2インボリュート32との回転数及び半径変化率は異なり、それにより、両者を鏡像非対称とする。
【0033】
いくつかの任意選択的な実施例では、第1平面コイルの第2端312は第2平面コイルの第2端322に直列接続され、それにより、第1平面コイルと第2平面コイルを直列接続することを実現する。
【0034】
第2平面コイルの第1平面における正投影を第1平面コイルと鏡像対称又は鏡像非対称とすることにより、第1平面コイルと第2平面コイルによって生成される磁界と電界を互いに補償させることができ、すなわち、両者によって生成された磁界と電界が互いに重畳して形成された総磁界と総電界の分布は鏡像対称であり、それにより、コイルの径方向における電流分布の差を補償し、コイルの下方に生成された結合エネルギーの径方向における分布均一性を向上させることができ、それにより、プラズマにおけるラジカル及びイオン密度の径方向における分布均一性を向上させる。
【0035】
いくつかの好ましい実施例では、第1平面コイル及び第2平面コイルの形状は、例えば、渦巻き状のインボリュート、又は、多角形(例えば四角形)のインボリュートなど形状である。勿論、実際の応用には、第1平面コイル及び第2平面コイルの形状は他の任意の形状であってもよく、例えば円弧状などである。
【0036】
上記第1サブコイル群と上記第2サブコイル群との間の軸方向ピッチの大きさは、上部電極電源から出力された電力の大きさに応じて設定され、例えば、上部電極電源から出力された電力が中、小電力範囲(一般的に<2000W)である場合、上記軸方向ピッチを比較的小さい範囲内に設定してもよく、上部電極電源から出力された電力が大電力範囲(一般的に≧2000W)である場合、上記第1サブコイル群と第2サブコイル群との間の距離が近すぎることによる点火現象を回避するように、上記軸方向ピッチを比較的大きい範囲内に設定すべきであり、しかし、上記軸方向ピッチは大きすぎるべきではなく、そうでなければ、電流分布の差に対する上記第1サブコイル群と前記第2サブコイル群との間の差補償作用が失効する。
【0037】
いくつかの好ましい実施例では、前記第1サブコイル群と前記第2サブコイル群との間の軸方向ピッチの範囲は、4mm以上20mm以下である。軸方向ピッチを該数値範囲内に設定することにより、上記第1サブコイル群と第2サブコイル群との間の距離が近すぎることによる点火現象を回避することができるだけでなく、電流分布の差に対する第1サブコイル群と前記第2サブコイル群との間の差補償作用を実現することができる。
【0038】
いくつかの任意選択的な実施例では、上記所定の軸方向ピッチは5mmである。
【0039】
いくつかの任意選択的な実施例では、第1サブコイル群と第2サブコイル群との間の軸方向ピッチが所定の軸方向ピッチ(例えば5mm)以下である場合、上記第1投影Aと第2投影Bは鏡像対称である。軸方向ピッチが小さい場合、上記第1投影Aと第2投影Bは鏡像対称であり、電流分布の差に対する第1サブコイル群と前記第2サブコイル群との間の補償作用を実現することができる。
【0040】
しかし、第1サブコイル群と第2サブコイル群との間の軸方向ピッチが上記所定の軸方向ピッチより大きい場合、上記補償作用が不足する状況があり、このような状況に対して、上記第1投影Aと第2投影Bを鏡像非対称的にすることができ、このようにして、補償作用を補強する効果を奏することができる。すなわち、第2平面コイルの第1平面における正投影を第1平面コイルと鏡像非対称とすることは、両者の部分パラメータの間の差差を利用して上記補償作用が不足する状況を補い、最終的な総磁界と総電界との分布が鏡像対称であることを保証する。
【0041】
なお、図3A及び図3Bには、上記第1投影Aと第2投影Bが鏡像非対称であることを実現する第1平面コイル及び第2平面コイルのうちの一方のみを示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、実際の応用には、第1平面コイルとそれに直列接続される第2平面コイルのインボリュートの開始半径、回転数及び半径変化率のうちの少なくとも1つを異ならせることにより、上記第1投影Aと第2投影Bを鏡像非対称とすることを実現できる。以下に、第1平面コイルの第1インボリュート31とそれに直列接続された第2平面コイルの第2インボリュート32の開始半径、回転数及び半径変化率のうちの少なくとも1つが異なるいくつかのことが挙げられる。
【0042】
図5Aに示すように、第1インボリュート31と第2インボリュート32とは、始点が重なり、開始半径が同じであるが、第1インボリュート31の回転数が第2インボリュート32の回転数よりも小さく、第1インボリュート31の半径変化率が第2インボリュート32の半径変化率よりも小さい。
【0043】
図5Bに示すように、第1インボリュート31と第2インボリュート32とは、始点が重なり、開始半径が同じで、回転数が同じであり、第1インボリュート31の半径変化率が第2インボリュート32の半径変化率よりも小さい。
【0044】
図5Cに示すように、第1インボリュート31と第2インボリュート32とは、始点が重なり、開始半径が同じであり、半径変化率が同じであり、第1インボリュート31の回転数が第2インボリュート32の回転数よりも小さい。
【0045】
図5Dに示すように、第1インボリュート31と第2インボリュート32とは、始点が重ならず、半径変化率が同じで、回転数が同じであり、第1インボリュート31の開始半径が第2インボリュート32の開始半径よりも大きい。
【0046】
図6Aは、図5Cにおける第4種の単一第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのコイル巻き数が異なる場合の結合エネルギー分布曲線の比較図である。図6Aにおける横座標は反応チャンバの径方向半径(コイル群の径方向)である。縦座標は結合エネルギーの大きさである。曲線S1は、第1インボリュート31に対応する第1平面コイルの下方に形成された結合エネルギーの曲線であり、曲線S2は、第2インボリュート32に対応する第2平面コイルの下方に形成された結合エネルギーの曲線である。図5Cに示すように、第2インボリュート32の回転数(0.9ターン)が第1インボリュート31の回転数(0.75ターン)よりも大きく、この場合には、第2平面コイルの有効長さが第1平面コイルの有効長よりも大きくなり、このようにして、曲線S1に対する曲線S2の被覆面積がより大きくなり、第2平面コイルの下方に形成された結合エネルギーが第1平面コイルの下方に形成された結合エネルギーよりも大きくなるが、第2平面コイルの下方に形成された結合エネルギーのピークのみが第1平面コイルに対して僅かに小さくなる。このことから分かるように、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの回転数を増減させ、すなわち、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの回転数を、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの他方のインボリュートの回転数よりも大きく、又は小さくすることにより、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの一方の下方に形成された結合エネルギーの大きさを増減させることができ、それにより、電流分布の差を補償する役割を果たすことができる。実際の応用には、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのインボリュートの回転数のうちの一方のみを調整することができ、又は第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのインボリュートの回転数を同時に調整することもできる。
【0047】
いくつかの任意選択的な実施例では、第1平面コイルとそれに直列接続された前記第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの回転数の他方のインボリュートの回転数に対する変化範囲は-5%以上+12%以下である。ここで、記号「-」は減少を意味し、記号「+」は増加を意味する。
【0048】
図6Bは、図5Bの第3種の単一第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルの半径変化率が異なる場合の結合エネルギー分布曲線の比較図である。図6Bにおける横座標は反応チャンバの径方向半径であり、縦座標は結合エネルギーの大きさである。曲線S1は、第1インボリュート31に対応する第1平面コイルの下方に形成された結合エネルギーの曲線であり、曲線S2は、第2インボリュート32に対応する第2平面コイルの下方に形成された結合エネルギーの曲線である。図5Bに示すように、第1インボリュート31の半径変化率(70mm/巻き数)が第2インボリュート32の半径変化率(90mm/巻き数)よりも小さく、この場合、第1平面コイルは第2平面コイルよりも径方向にコンパクトになり、このようにして、第1平面コイル21の下方に形成された結合エネルギーの密度振幅が大きくなり、図6Bに示すように、曲線S1は曲線S2よりも結合エネルギーの密度振幅が大きくなる。このことから分かるように、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの半径変化率を増減させ、すなわち、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの半径変化率を第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの他方のインボリュートの半径変化率よりも大きく、又は小さくすることにより、各第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのそれぞれの下方に形成された結合エネルギーの密度振幅を減少又は増大させることができ、それにより、電流分布の差を補償する役割を果たすことができる。実際の応用には、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのインボリュートの半径変化率のうちの一方のみを調整することができ、又は第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのインボリュートの半径変化率を同時に調整することもできる。
【0049】
いくつかの任意選択的な実施例では、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの半径変化率の他方のインボリュートの半径変化率に対する変化範囲は、-10%以上+30%以下である。
【0050】
図6Cは、図5Dにおける第5種の単一第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルの開始半径が異なる場合の結合エネルギー分布曲線の比較図である。図6Cにおける横座標は反応チャンバの径方向半径であり、縦座標は結合エネルギーの大きさである。曲線S1は、第1インボリュート31に対応する第1平面コイルの下方に形成された結合エネルギーの曲線であり、曲線S2は、第2インボリュート32に対応する第2平面コイルの下方に形成された結合エネルギーの曲線である。図5Dに示すように、第1インボリュート31の開始半径(150mm)は、第2インボリュート32の開始半径(120mm)よりも大きく、この場合、インボリュートの開始半径が大きいほど、結合エネルギーのピークは反応チャンバの径方向の半径が大きい位置に近くなり、このようにして、曲線S1の結合エネルギーのピークは曲線S2よりも反応チャンバの径方向の半径が大きい位置に近くなる。このことから分かるように、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの開始半径を増減させ、すなわち、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの開始半径を、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの他方のインボリュートの開始半径よりも大きく、又は小さくすることにより、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの一方の下方に形成された結合エネルギーのピークをコイル群の径方向に沿って(すなわち、反応チャンバの径方向)コイル群の軸線から離れ、又は軸線に近づく方向に移動させ、それにより、電流分布の差に対する補償作用を果たすことができる。実際の応用には、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのインボリュートの開始半径のうちの一方のみを調整することができ、又は第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのインボリュートの開始半径を同時に調整することもできる。
【0051】
いくつかの任意選択的な実施例では、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの一方のインボリュートの開始半径の、第1平面コイルとそれに直列接続された第2平面コイルのうちの他方のインボリュートの開始半径に対する変化範囲は-10%以上+10%以下である。
【0052】
なお、実際の応用には、第1平面コイル及び第2平面コイルの形状は他の任意の形状であってもよく、例えば円弧状などであり、この場合、異なる形状の特性に応じて、該形状の関連パラメータを調整することができ、電流分布の差異に対する補償作用を果たすことができればよい。
第2実施例
【0053】
図1に示すコイル構造について、その径方向断面における正投影の形状は円周方向(すなわち、角度方向)において非対称性を有し、具体的には、図7に示すように、該径方向断面を4つの象限領域(I、II、III、IV)に区分し、各平面コイルのインボリュートは内端から外端に延びる過程でその半径が徐々に大きくなるため、コイル構造の第1象限領域I及び第3象限領域IIIにおける部分と第2象限領域II及び第4象限領域IVにおける部分とに明らかな差があり、その結果、上記コイル構造の円周方向(すなわち、角度方向)における電流分布に差を生じさせ、それにより、電磁界の分布不均一を引き起こし、プロセス処理過程において、プラズマにおけるラジカル及びイオン密度分布の非対称を引き起こし、さらにプラズマ密度の角度方向の分布不均一を引き起こし、最終的にプロセスの均一性に影響を与える。
【0054】
上記技術的課題を解決するために、本実施例では、上記第1実施例を基にして、コイルの構造を改進する。具体的には、図8を参照し、第1サブコイル群はいずれも上記第1平面内に位置する複数の第1平面コイル21を備え、複数の第1平面コイル21は、形状が同じであり、互いに間隔を空けて設けられ、複数の第1平面コイル21の第1端211はコイル群の円周方向に沿って均等に分布し、複数の第1平面コイル21の第2端212はコイル群の円周方向に沿って均等に分布し、換言すれば、複数の第1平面コイル21は、異なる回転角度で円周方向に配列され、いずれかの第1平面コイル21は、コイル群の円周方向に沿って時計回り又は反時計回りに一定の角度だけ回転した後、隣接する別の第1平面コイル21と重なる。第2サブコイル群は複数の第2平面コイル22を備え、複数の第2平面コイル22は、形状が同じであり、互いに間隔を空けて設けられ、複数の第2平面コイル22の第1端221はコイル群の円周方向に沿って均等に分布し、複数の第2平面コイル22の第2端はコイル群の円周方向に沿って均等に分布し、換言すれば、複数の第2平面コイル22は、異なる回転角度で円周方向に配列され、いずれかの第2平面コイル22は、コイル群の円周方向に沿って時計回り又は反時計回りに一定の角度だけ回転した後、隣接する別の第2平面コイル22と重なる。そして、複数の第1平面コイル21と複数の第2平面コイル22とは1対1で対応し、複数の第1平面コイル21の第1端211は並列接続され、複数の第2平面コイル22の第1端221は並列接続され、複数の第1平面コイル21の第2端212はそれぞれ複数の第2平面コイル22の第2端222に直列接続される。
【0055】
具体的には、図9Aに示すように、複数の第1平面コイル21を例にし、複数の第1平面コイル21の形状は同じであり、例えば、いずれもインボリュート形状であり、そして、複数の第1平面コイル21の第1端211のうち、任意の隣接する2つの第1平面コイル21の第1端211同士は、コイル群の円周方向に間隔を有し、換言すれば、いずれかの第1平面コイル21の第1端211は、コイル群の軸線の周りに時計回り又は反時計回りに一定の角度(上記間隔に対応する中心角)だけ回転した後、隣接する別の第1平面コイル21の第1端211に重なり、複数の第1平面コイル21の形状が同じであるため、いずれかの第1平面コイル21は、コイル群の軸線の周りに時計回り又は反時計回りに一定の角度回転した後、隣接する別の第1平面コイル21と完全に重なり、例えば、図9Aに8つの第1平面コイル21が示され、この場合、いずれかの第1平面コイル21は、コイル群の軸線の周りに時計回り又は反時計回りに45°回転した後、隣接する別の第1平面コイル21と完全に重なる。
【0056】
複数の第1平面コイル21は同じ形状であり、かつ、上記コイル群の円周方向に均等に分布し得、このようにして、複数の第1平面コイル21は、コイル群の円周方向に角度方向対称性、すなわち、コイル群の円周方向に対称性を有し、それにより円周方向における電流分布に差が生じることを回避でき、さらにプラズマ密度の角度方向分布均一性を向上させて、プロセスの均一性を向上させることができる。
【0057】
同じコイル群における第1平面コイル21の数が多いほど、複数の第1平面コイル21が共同で第1平面上において構成する投影の角度方向対称性が良くなり、プラズマ密度の角度方向分布対称性を向上させる上で有利となる。いくつかの好ましい実施例では、第1平面コイル21の数は6以上10以下である。
【0058】
複数の第2平面コイル22は、上記第1平面コイル21と同様に、いずれも第2平面内に位置しており、かつ形状が同じであり、例えば、いずれもインボリュート形状である。複数の第2平面コイル22は、コイル群の円周方向において、同様に角度方向対称性を有し、それにより、円周方向における電流分布に差が生じることを回避することができ、さらにプラズマ密度の角度方向分布均一性を向上させ、プロセスの均一性を向上させることができる。
【0059】
そして、複数の第2平面コイル22の第1端221は並列接続され、複数の第1平面コイル21の第2端212はそれぞれ、複数の第2平面コイル22の第2端222に直列接続される。この場合、複数の第2平面コイル22の第1端部221と複数の第1平面コイル21の第1端部211とのうちの一方は、RF給電端としてRF源の出力端に電気的に接続され、他方は、RF出力端としてRF源の入力端に電気的に接続される。
【0060】
図9Bに示すように、複数の第1平面コイル21からなる第1サブコイル群が共同で第1平面上において構成する正投影は第3投影Cであり、複数の第2平面コイル22からなる第2サブコイル群が共同で第1平面上において構成する正投影は第4投影Dであり、該第3投影Cは第4投影Dと鏡像対称又は鏡像非対称である。このようにして、複数の第1平面コイル21及び複数の第2平面コイル22は、すべてコイル群の円周方向に角度方向対称性を有した上で、第1サブコイル群及び第2サブコイル群によって生成された磁界と電界を互いに補償させることができ、最終的に両者の総磁界と総電界との分布を鏡像対称にさせ、それにより、コイルの径方向における電流分布の差を補償し、コイルの下方に生成された結合エネルギーの径方向における分布均一性を向上させることができ、それにより、プラズマにおけるラジカル及びイオン密度の径方向における分布均一性を向上させる。
【0061】
いくつかの任意選択的な実施例では、複数の第1平面コイル21の第1端211が並列接続される形態及び複数の第2平面コイル22の第1端221が並列接続される形態は様々であり、例えば、図10A及び図10Bに示すように、複数の第1平面コイル21の第1端211の並列を例とし、第1平面コイル21をN個とすれば、Nは2以上の偶数であり、例えばNは6以上10以下である。図10AにN=8である。N個の第1平面コイル21はコイル群の円周方向にN/2対の第1コイル対に分けられ、例えば、図10Aにおける8つの第1平面コイル21は4対の第1コイル対(2つずつ)に分けられ、各対の第1コイル対はいずれも2つの隣接する第1平面コイル(21a、21b)を備え、2つの隣接する第1平面コイル(21a、21b)の第1端(211a、211b)の間に両者を並列接続するための第1延長セグメント23が接続され、そして、N/2対の第1コイル対における第1延長セグメント23同士は並列接続され、例えば、図10Bに示すように、N/2対の第1コイル対における第1延長セグメント23同士は接続構造4を介して並列接続される。
【0062】
いくつかの任意選択的な実施例では、図10Bに示すように、各第1延長セグメント23の中点をRF給電点又はRF出力点とし、このようにして、隣接する2つの第1平面コイル(21a、21b)の長さを同じにすることができ、それにより、第1平面コイル(21a、21b)を流れる電流の経路を同じにすることができる。
【0063】
複数の第2平面コイル22の第1端221が並列接続される態様は、上記複数の第1平面コイル21の第1端211が並列接続される態様と同様である。具体的には、第2平面コイル22はN個であり、N個の第2平面コイル22はコイル群の円周方向にN/2対の第2コイル対に分けられ、各対の第2コイル対はいずれも2つの隣接する第2平面コイル22を備え、2つの隣接する第2平面コイル22の第1端221の間に両者を並列接続するための第2延長セグメントが接続され、N/2対の第2コイル対における第2延長セグメント同士は並列接続される。
【0064】
なお、複数の第2平面コイル22の第1端221が並列接続される態様と、上記複数の第1平面コイル21の第1端211が並列接続される態様とは、他の任意の形態を採用することができ、例えば、複数の第1平面コイル21の第1端211が直接並列接続され、かつ複数の第2平面コイル22の第1端221が直接並列接続される。
【0065】
いくつかの任意選択的な実施例では、複数の第1平面コイル21の第2端212がそれぞれ複数の第2平面コイル22の第2端222に直列接続される形態は様々であり、例えば、図8に示すように、各第1平面コイル21の第2端212とそれに対応する第2平面コイル22の第2端222との間に接続セグメント24が接続され、両者を直列接続することに用いられ、該接続セグメント24の延在方向はコイル群の軸線と互いに平行である。
【0066】
いくつかの任意選択的な実施例では、図11に示すように、コイル群は1つであり、第1サブコイル群と第2サブコイル群を備え、かつ、両者はコイル群の軸線に沿って間隔をあけて設けられる。そして、上記第1サブコイル群は、上記第1平面内に位置する複数の第1平面コイル21を備え、上記第2サブコイル群は、上記第1平面に平行な第2平面内に位置する複数の第2平面コイル22を備える。そして、第1サブコイル群における異なる第1延長セグメント23同士は、接続構造4における第1接続部材41を介して並列接続され、第2サブコイル群における異なる第2延長セグメント25同士は、接続構造4における第2接続部材42を介して並列接続され、各第1平面コイル21の第2端と、それに対応する第2平面コイル22の第2端とは、接続セグメント24を介して直列接続される。第1接続部材41と第2接続部材42のうちの一方はRF源の入力端に電気的に接続することに用いられ、他方はRF源の出力端に電気的に接続することに用いられる。
【0067】
いくつかの任意選択的な実施例では、図12は別のコイル構造2’を示し、上記コイル構造2に比べて、該コイル構造2’の違いは以下のとおりである:コイル構造2’は2群のコイル群(2a、2b)を備え、2群のコイル群(2a、2b)は、サイズが異なり、互いに嵌め込まれる。2群のコイル群(2a、2b)はそれぞれ半導体プロセス装置の反応チャンバの異なる直径の円周に設けられる。例えば、コイル群2aはコイル群2bの周囲に周設され、2群のコイル群(2a、2b)はそれぞれ反応チャンバの中央領域と周辺領域に対応する。このようにして、反応チャンバの径方向におけるプラズマの分布均一性を向上させることができる。当然のことながら、実際の応用には、コイル群は3群又は4群以上であってもよく、本発明の実施例はこれについて特に限定しない。
【0068】
以上により、本発明に係る半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル構造は、少なくとも1群のコイル群を備え、該コイル群は同軸に設けられた第1サブコイル群及び第2サブコイル群を備え、第1サブコイル群は第1平面内に位置する少なくとも1つの第1平面コイルを備え、第2サブコイル群は第1平面に平行な第2平面内に位置する少なくとも1つの第2平面コイルを備え、第1平面コイルは第2平面コイルに直列接続され、第2平面コイルの第1平面における正投影は第1平面コイルと鏡像対称又は鏡像非対称である。第2平面コイルの第1平面における正投影を第1平面コイルと鏡像対称又は鏡像非対称とすることにより、第1サブコイル群及び第2サブコイル群によって生成された磁界と電界を互いに補償させることができ、最終的に両者の総磁界と総電界との分布を鏡像対称にさせ、それにより、コイルの径方向及び角度方向における電流分布の差を補償することができ、コイルの下方に生成された結合エネルギーの分布均一性を向上させ、それにより、プラズマにおけるラジカル及びイオン密度の分布均一性を向上させる。
第3実施例
【0069】
別の技術的解決手段として、本実施例は半導体プロセス装置をさらに提供し、例えば、図13に示すように、該半導体プロセス装置は上部電極のRF源105、反応チャンバ100、コイル構造2’を備え、反応チャンバ100の頂部に誘電体窓101が設けられ、該コイル構造2’は誘電体窓101の上方に設けられ、コイル構造2’は、本発明の上記各実施例に係るコイル構造、例えば、図12に示すコイル構造2’を採用する。
【0070】
RF源105は、RF電力をコイル構造2’に供給し、反応チャンバ100におけるプロセスガスを励起してプラズマ(Plasma)を形成することに用いられる。RF電源105は、例えば、RF電源及び整合器を備え、或いは、RF電源のみが設けられてもよい。また、反応チャンバ100には、ウェハを載置するためのベース102がさらに設けられ、該ベース102は下部電極のRF源103に電気的に接続される。該RF源103はベース102にRFバイアスを印圧することに用いられ、プラズマを吸着してウェハ表面に向かって移動させる。
【0071】
いくつかの任意選択的な実施例では、コイル構造は、上記第2実施例におけるコイル構造、例えば図11又は図12におけるコイル構造を採用する。この場合、上記半導体プロセス装置は接続構造4をさらに備え、該接続構造4は第1接続部材41及び第2接続部材42を備え、第1接続部材41は上記第1サブコイル群における複数の第1平面コイル21の第1端211に電気的に接続され、それにより、複数の第1平面コイル21の第1端211の並列接続を実現し、第2接続部材42は上記第2サブコイル群における複数の第2平面コイル22の第1端221を電気的に接続することに用いられ、それにより、複数の第2平面コイル22の第1端221の並列接続を実現し、そして、第1接続部材41と第2接続部材42のうちの一方は、上記RF源105の入力端に電気的に接続され、第1接続部材41と第2接続部材42のうちの他方は、上記RF源105の出力端に電気的に接続される。
【0072】
いくつかの任意選択的な実施例では、コイル構造は図11又は図12におけるコイル構造を採用する。この場合、図11及び図12に示すように、上記第1接続部材41はN/2個の第1接続棒を備え、例えば、図11及び図12に4つの第1接続棒を示す。N/2個の第1接続棒の一端は、それぞれN/2対の第1コイル対における第1延長セグメント23に電気的に接続され、N/2個の第1接続棒の他端は、上記第1平面の上方の第1高さ位置に集合して電気的に接続され、該集合箇所は、すなわち、上記RF源105の入力端又は出力端に電気的に接続される接続位置として用いられる。
【0073】
同様に、第2接続部材42はN/2個の第2接続棒を備え、N/2個の第2接続棒の一端は、それぞれ、N/2対の第2平面コイル対における第2延長セグメント25に電気的に接続され、N/2個の第2接続棒の他端は、上記第1平面の上方の第2高さ位置に集合して電気的に接続され、かつ、第1接続部材41と第2接続部材42が接触しないことを保証するように、該第2高さ位置と上記第1高さ位置との間に高さ差を有する。
【0074】
いくつかの任意選択的な実施例では、各第1延長セグメント23の中点がRF給電点又はRF出力点として用いられ、各第2延長セグメント25の中点がRF出力点又はRF給電点として用いられ、このようにして、2つの隣接する第1平面コイル21の長さ及び2つの隣接する第2平面コイル22の長さが同じであることを保証することができ、それにより、各第1平面コイル21を流れる経路と各第2平面コイル22を流れる経路をすべて同じにする。
【0075】
本発明に係る半導体プロセス装置は、本発明に係る上記コイル構造を採用することにより、コイルの径方向における電流分布の差を補償し、コイルの下方に生成された結合エネルギーの径方向における分布均一性を向上させることができ、それにより、プラズマにおけるラジカル及びイオン密度の径方向における分布均一性を向上させる。
【0076】
理解できるように、以上の実施形態は、本発明の原理を説明するために採用された例示的な実施形態にすぎないが、本発明はこれに限定されない。当業者であれば、本発明の精神及び本質を逸脱せずに様々な変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良も本発明の保護範囲とみなされる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13