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特許7576195ガスハイドレート含有氷の製造装置及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-22
(45)【発行日】2024-10-30
(54)【発明の名称】ガスハイドレート含有氷の製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/00 20060101AFI20241023BHJP
   B01F 23/231 20220101ALI20241023BHJP
   B01F 23/232 20220101ALI20241023BHJP
   B01F 23/80 20220101ALI20241023BHJP
   A23G 9/20 20060101ALI20241023BHJP
   B01F 101/06 20220101ALN20241023BHJP
【FI】
F25C1/00 B
B01F23/231
B01F23/232
B01F23/80
A23G9/20
B01F101:06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024034426
(22)【出願日】2024-03-06
【審査請求日】2024-04-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 薫
(72)【発明者】
【氏名】白根 正太
(72)【発明者】
【氏名】河本 政人
(72)【発明者】
【氏名】大村 亮
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-081964(JP,A)
【文献】特開2016-087594(JP,A)
【文献】特開2022-013500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00
B01J 19/00
A23G 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料溶液が循環する循環路と、
前記循環路内に設けられ、前記原料溶液と原料ガスとを混合する気液混合部と、
前記循環路内の前記気液混合部の下流に設けられ、前記原料溶液と前記原料ガスの混合液からガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成部と、
前記ガスハイドレートと前記原料溶液の一部とを含むガスハイドレートスラリーを凍結してガスハイドレート含有氷を生成する凍結部と、
前記原料溶液の濃度を調整するための濃度調整部と、
を備える、ガスハイドレート含有氷の製造装置。
【請求項2】
前記ガスハイドレート生成部と前記凍結部との間に、前記ガスハイドレートスラリーと残存原料溶液とを分離する分離部を備える、請求項1に記載のガスハイドレート含有氷の製造装置。
【請求項3】
原料溶液が循環する循環路と、
前記循環路内に設けられ、前記原料溶液と原料ガスとを混合する気液混合部と、
前記循環路内の前記気液混合部の下流に設けられ、前記原料溶液と前記原料ガスの混合液からガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成部と、
前記ガスハイドレートと前記原料溶液の一部とを含むガスハイドレートスラリーを凍結してガスハイドレート含有氷を生成する凍結部と、
前記ガスハイドレート生成部と前記凍結部との間に、前記ガスハイドレートスラリーと残存原料溶液とを分離する分離部と、
を備え、前記分離部及び/又は前記ガスハイドレート生成部と前記分離部とを通じる前記循環路にバッフル板を備える、ガスハイドレート含有氷の製造装置。
【請求項4】
前記ガスハイドレートスラリーを脱水する脱水部を備える、請求項1~3の何れか一項に記載のガスハイドレート含有氷の製造装置。
【請求項5】
前記分離部は、前記ガスハイドレートスラリーと残存原料ガスを含む前記残存原料溶液とを分離する、請求項2又は3に記載のガスハイドレート含有氷の製造装置。
【請求項6】
前記残存原料ガスを含む前記残存原料溶液から、前記残存原料溶液と前記残存原料ガスとを分離する気液分離部をさらに備える、請求項に記載のガスハイドレート含有氷の製造装置。
【請求項7】
原料ガスを原料溶液に混合させる気液混合工程と、
前記原料溶液と前記原料ガスの混合液からガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成工程と、
貯蔵タンクに、前記の前記原料溶液と前記原料ガスの混合液中に前記ガスハイドレートを含む混合溶液を流入させる工程と、
前記ガスハイドレートと前記原料溶液の一部とを含むガスハイドレートスラリーを凍結してガスハイドレート含有氷を生成する凍結工程と、
を備え
前記ガスハイドレート生成工程は、前記の前記原料溶液と前記原料ガスの混合液を一方向に流しながら冷却することにより行い、
前記貯蔵タンクに前記混合溶液を流入させる際に、前記混合溶液の流速を抑え、
前記貯蔵タンク内においては、前記原料溶液が流動している、ガスハイドレート含有氷の製造方法。
【請求項8】
前記ガスハイドレートスラリーと残存原料溶液とを分離する固液分離工程を含む、請求項7に記載のガスハイドレート含有氷の製造方法。
【請求項9】
原料ガスを原料溶液に混合させる気液混合工程と、
前記原料溶液と前記原料ガスの混合液からガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成工程と、
前記ガスハイドレートと前記原料溶液の一部とを含むガスハイドレートスラリーを凍結してガスハイドレート含有氷を生成する凍結工程と、
前記ガスハイドレートスラリーと残存原料溶液とを分離する固液分離工程と、を備え、
前記残存原料溶液を前記原料溶液の一部に用い、前記気液混合工程、前記ガスハイドレート生成工程、及び、前記凍結工程、を繰り返し行うガスハイドレート含有氷の製造方法において、
前記残存原料溶液が混合された前記原料溶液の濃度を調整する濃度調整工程を備える、ガスハイドレート含有氷の製造方法。
【請求項10】
前記ガスハイドレートスラリーを脱水する脱水工程を含む、請求項7~9の何れか一項に記載のガスハイドレート含有氷の製造方法。
【請求項11】
前記原料溶液が、香料、甘味料、酸味料、乳化剤、安定剤、塩類及びアミノ酸からなる群から選ばれる1又は2以上の成分を含む水溶液である、請求項7~9の何れか一項に記載のガスハイドレート含有氷の製造方法。
【請求項12】
さらに、前記残存原料溶液と残存原料ガスとを分離する気液分離工程を備え、前記残存原料ガスを、前記気液混合工程で用いることを含む、請求項8又は9に記載のガスハイドレート含有氷の製造方法。
【請求項13】
前記凍結工程で生成されたガスハイドレート含有氷を砕氷して、複数の小塊を得る砕氷工程を備える、請求項7~9の何れか一項に記載のガスハイドレート含有氷の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスハイドレート含有氷の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新しい食品素材としてガスハイドレート含有氷の開発が進められている。ガスハイドレートとは、一般的にメタン、エタン、及び、二酸化炭素などのガスと水が作る氷状の固体結晶のことをいう。
【0003】
ガスハイドレート含有氷は、例えば特許文献1に記載の方法で製造される。特許文献1に記載の方法は、いわゆるバッチ式と呼ばれる方法であり、ガスハイドレート含有氷を製造するために用意した酸味料含有水を全て次の工程に送る仕組みになっている。
【0004】
特許文献2には、循環式でハイドレートを製造する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-148370号公報
【文献】特開2020-081964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的なバッチ式により製造されたガスハイドレート含有氷は、ガスハイドレート生成容器でそのまま冷却するため、下部にガスハイドレートが多く、上部にガスハイドレートが少ない構成となり、バッチ内でガスハイドレートの分布にばらつきが生じる問題があった。
また、バッチ式で作製された酸味料含有COハイドレートは取り出されるが、一部の溶液はスラリー作製容器に残存する。ハイドレートの生成により、残存した溶液に含まれる水の量が減少しているため、残存した溶液の濃度はハイドレートの生成前の濃度よりも濃くなっている。そのため、連続的にガスハイドレート含有氷を作製しようとすると、残存した溶液により、スラリー作製容器内の溶液の濃度が濃くなり、バッチ間でガスハイドレート含有氷の味にばらつきが生じる問題があった。
さらに、バッチ式では水とガスを攪拌しながらハイドレート生成反応を進行させるが、大量生産時には攪拌量が増えるため、攪拌時のエネルギーが大きくなる問題があった。
【0007】
したがって、本発明は、ガスハイドレートの分布に偏りが少ないガスハイドレート含有氷を作製するための新規な製造装置及び製造方法を提供することを課題とする。また、本発明の好ましい形態では、溶液を用いてガスハイドレート含有氷を作製する際、味にばらつきが少ないガスハイドレート含有氷を作製するための新規な製造装置及び製造方法を提供することも課題とする。また、本発明の好ましい形態では、ガスハイドレートを生成する際、攪拌のエネルギーが小さい新規な製造装置及び製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明は、下記の[1]~[13]である。
[1]原料溶液が循環する循環路と、前記循環路内に設けられ、前記原料溶液と原料ガスとを混合する気液混合部と、前記循環路内の前記気液混合部の下流に設けられ、前記原料溶液と前記原料ガスの混合液からガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成部と、前記ガスハイドレートと前記原料溶液の一部とを含むガスハイドレートスラリーを凍結してガスハイドレート含有氷を生成する凍結部と、を備える、ガスハイドレート含有氷の製造装置。
【0009】
[2]前記ガスハイドレート生成部と前記凍結部との間に、前記ガスハイドレートスラリーと残存原料溶液とを分離する分離部を備える、[1]に記載のガスハイドレート含有氷の製造装置。
【0010】
[3]前記ガスハイドレートスラリーを脱水する脱水部を備える、[2]に記載のガスハイドレート含有氷の製造装置。
【0011】
[4]前記分離部は、前記ガスハイドレートスラリーと残存原料ガスを含む前記残存原料溶液とを分離する、[3]に記載のガスハイドレート含有氷の製造装置。
【0012】
[5]前記残存原料ガスを含む前記残存原料溶液から、前記残存原料溶液と前記残存原料ガスとを分離する気液分離部をさらに備える、[4]に記載のガスハイドレート含有氷の製造装置。
【0013】
[6]前記原料溶液の濃度を調整するための濃度調整部を備える、[1]~[5]の何れかに記載のガスハイドレート含有氷の製造装置。
【0014】
[7]前記分離部にバッフル板を備える、[1]~[5]の何れかに記載のガスハイドレート含有氷の製造方法。
【0015】
[8]原料ガスを原料溶液に混合させる気液混合工程と、前記原料溶液と前記原料ガスの混合液からガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成工程と、前記ガスハイドレートと前記原料溶液の一部とを含むガスハイドレートスラリーを凍結してガスハイドレート含有氷を生成する凍結工程と、を備える、ガスハイドレート含有氷の製造方法。
【0016】
[9]前記気液混合工程、前記ガスハイドレート生成工程、及び、前記凍結工程、を繰り返し行う[8]に記載のガスハイドレート含有氷の製造方法において、前記ガスハイドレートスラリーと残存原料溶液とを分離する固液分離工程、及び、前記ガスハイドレートスラリーを脱水する脱水工程、を含む、ガスハイドレート含有氷の製造方法。
【0017】
[10]前記残存原料溶液を前記原料溶液と混合して前記気液混合工程で用いることを含み、前記残存原料溶液が混合された前記原料溶液の濃度を調整する濃度調整工程を備える、[9]に記載のガスハイドレート含有氷の製造方法。
【0018】
[11]前記原料溶液が、香料、甘味料、酸味料、乳化剤、安定剤、塩類及びアミノ酸からなる群から選ばれる1又は2以上の成分を含む水溶液である、[8]~[10]の何れかに記載のガスハイドレート含有氷の製造方法。
【0019】
[12]さらに、前記残存原料溶液と前記残存原料ガスとを分離する気液分離工程を備え、前記残存原料ガスを、前記気液混合工程で用いることを含む、[8]~[10]の何れかに記載のガスハイドレート含有氷の製造方法。
【0020】
[13]前記凍結工程で生成されたガスハイドレート含有氷を砕氷して、複数の小塊を得る砕氷工程を備える、[8]~[10]の何れかに記載のガスハイドレート含有氷の製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ガスハイドレートの分布に偏りが少ないガスハイドレート含有氷を作製することができる。また、本発明の好ましい形態では、味にばらつきが少ないガスハイドレート含有氷を作製することができる。また、本発明の好ましい形態では、ガスハイドレートを生成する際、攪拌のエネルギーが小さい新規な製造装置及び製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態にかかるガスハイドレート含有氷の製造装置及び製造方法の概要を説明するための説明図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるバッフル板を説明する図である。
図3】本発明の一実施形態にかかるガスハイドレート含有氷の製造方法の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の一実施形態にかかるガスハイドレート含有氷の製造装置及び製造方法の概要を説明するための説明図である。まず、図1を参照して、ガスハイドレート含有氷の製造装置の概要を説明する。
【0024】
図1に示すように、製造装置1は、循環路11、原料溶液供給部12、原料ガス供給部13、気液混合部14、ガスハイドレート生成部15、分離部16、凍結部17、気液分離部18、補給液供給部19、循環ポンプ20、脱水処理溶液供給管21、残存原料ガス供給管22を備える。
【0025】
循環路11は複数の循環路を有する。例えば、循環路111、循環路112、循環路113、循環路114、循環路115、及び循環路116を含む。
【0026】
循環路111は、原料溶液供給部12と循環ポンプ20と通じている。循環路112は、循環ポンプ20と気液混合部14と通じている。循環路113は、気液混合部14とガスハイドレート生成部15と通じている。循環路114は、ガスハイドレート生成部15と分離部16と通じている。循環路115は、分離部16と気液分離部18と通じている。循環路116は、気液分離部18と原料溶液供給部12と通じている。
【0027】
図1において、実線の矢印は、循環路11を流れる原料溶液の流れを示している。具体的には、原料溶液供給部12から循環路111に供給された原料溶液は、循環ポンプ20により循環路112に送り込まれ、気液混合部14に流れ込む。そして、気液混合部14において原料ガスと混合された原料溶液は、循環路113を介してガスハイドレート生成部15に流れ込む。そして、ガスハイドレート生成部15は、原料溶液、原料ガス、及び、ガスハイドレートを含む混合溶液を、循環路114を介して分離部16に流出する。ここで、前記混合溶液のうち、ガスハイドレートと原料溶液の一部とを含むガスハイドレートスラリーは、弁162の開放により凍結部17に流れ込み、残存原料溶液は循環路115を介して気液分離部18に流れ込む。そして、分離された残存原料ガスと残存原料溶液は、原料溶液供給部12に戻され、次のガスハイドレートの生成のために用いられる。
【0028】
ここで、残存原料溶液は、前記混合溶液のうち、前記ガスハイドレートスラリーに含まれない残りの原料溶液である。
また、残存原料ガスは、前記混合溶液のうち、前記ガスハイドレートスラリーに含まれない残りの原料ガスである。
【0029】
原料溶液供給部12は、原料溶液タンク121を含む。原料溶液タンク121は、原料溶液を収容している。原料溶液タンク121から流出する原料溶液の流量は、例えば、原料溶液タンク121の近傍かつ循環路111上に設けられた流量計により検出することができる。
また、後述の循環ポンプ20の送り出し量により、原料溶液タンク121から流出する原料溶液の流量を検出してもよい。
【0030】
原料溶液としては、ガスハイドレートを生成することができれば特に限定されないが、香料、甘味料、酸味料、乳化剤、安定剤、塩類、アミノ酸、着色料、食物繊維、増粘多糖類、ビタミン類、ミネラル類、及び/又は果汁等の成分を含む溶液を原料溶液とすることができる。好ましくは、香料、甘味料、酸味料、乳化剤、安定剤、塩類及びアミノ酸からなる群から選ばれる1又は2以上の成分を含む水溶液である。
本発明のガスハイドレート含有氷の製造装置によれば、原料溶液に添加物が含まれていた場合であっても、ガスハイドレートの分布に偏りが少ないガスハイドレート含有氷を作製することができる。
また、本発明においては、ガスハイドレート含有氷の原料として添加物を含まない原料水を用いることもできる。
【0031】
循環ポンプ20は、原料溶液供給部12から循環路111に供給された原料溶液を循環路112に循環させる。また、後述する補給液供給部19から循環路111に供給された補給液を循環路112に循環させ得る。循環ポンプ20は循環路111と循環路112の間に配置される。
【0032】
原料ガス供給部13は、原料ガスタンク131、原料ガス供給管132、及びマスフローコントローラ133を含む。原料ガスタンク131は、原料ガスを収容している。原料ガスは、原料ガスタンク131から原料ガス供給管132に流入し、原料ガス供給管132から循環路112に吐出される。マスフローコントローラ133は、原料ガス供給管132から循環路112への原料ガスの流入を制御する。
【0033】
原料ガスとしては、ガスハイドレートを生成することができれば特に限定されないが、食品に使用できるガスであることが好ましい。例えば、二酸化炭素、ヘリウム、酸素、窒素、亜酸化窒素、アルゴン等が挙げられる。生成されるガスハイドレートとしては、二酸化炭素ハイドレート、ヘリウムハイドレート、酸素ハイドレート等が挙げられる。
本発明における原料ガスは、好ましくは二酸化炭素である。
【0034】
原料ガス供給部13から供給される原料ガスは、3MPaの圧力であることが好ましい。原料ガス供給部13から原料ガスを供給することにより、ガスハイドレート含有氷の製造装置内の圧力は一定に保たれている。
【0035】
ここで、本発明の製造装置内での原料ガスの流れの一例を説明する。まず、原料ガス供給部13から供給された原料ガスは、原料ガス供給管132を介して循環路112に供給される。そして、循環路112を介して気液混合部14に流れ込む。気液混合部14において原料ガスは原料溶液と混合され、循環路113を介してガスハイドレート生成部15に流れ込む。その後、残存原料ガスは、残存原料溶液に溶け込んだ状態及び/又は気泡状で残存原料溶液と混合された状態で分離部16においてガスハイドレートスラリーと分離されたのち、循環路115を介して気液分離部18に流れ込む。気液分離部18において残存原料溶液と分離された残存原料ガスは、循環路116を介して原料溶液タンク121に流れ込む。そして、残存原料ガスは、残存原料ガス供給管22を介して循環路112に戻され、次のガスハイドレートの生成のために用いられる。
前記ガスハイドレートスラリーには、ガスハイドレートの生成に用いられなかった原料ガスの一部が原料溶液の一部に溶け込んだ状態及び/又は気泡状で含まれることがあり、前記原料ガスの一部はガスハイドレートスラリーとともに凍結部17に流れ込むことがある。
また、気液分離部18において残存原料溶液と分離されなかった残存原料ガスが、残存原料溶液に溶け込んだ状態で原料溶液タンク121に流れ込むことがある。
【0036】
気液混合部14には、原料溶液供給部12及び原料ガス供給部13から供給された原料溶液及び原料ガスが流入される。また、気液混合部14には、原料溶液として補給液供給部19から供給された原料溶液が流入することがある。気液混合部14は、原料溶液及び原料ガスを混合する。そして、気液混合部14は、原料溶液及び原料ガスの混合液を流出する。
また、気液混合部14には、後述の気液分離部18で分離された残存原料ガスが流入され得る。この場合、気液混合部14は、原料溶液、原料ガス、及び残存原料ガスを混合し、原料溶液、原料ガス、及び残存原料ガスの混合液を流出する。
【0037】
気液混合部14としては、原料溶液と原料ガスとを充分混合することができれば特に制限はないが、例えば、攪拌装置を有する容器、スタティックミキサー等の静止型混合器などが挙げられる。また、攪拌翼や静止翼を設置し、攪拌翼や静止翼の抵抗により、原料溶液と原料ガスとを混合してもよい。
本発明では、ガスハイドレート生成部15においてガスハイドレートを連続的に生成するため、ガスハイドレートを大量生産する場合であっても、バッチ式で製造する場合に比べ、攪拌のエネルギーが小さい。また、バッチ式の製造装置は、大規模化するにつれて生成物に対する攪拌のエネルギー効率が悪くなるが、本発明の製造装置は、大規模化するにつれて生成物に対する攪拌のエネルギー効率が良くなる。
【0038】
ガスハイドレート生成部15は、循環路113と接続されており、気液混合部14の下流に設けられている。ガスハイドレート生成部15には、気液混合部14で混合された原料溶液及び原料ガスが流入される。ガスハイドレート生成部15は、気液混合部14で混合された原料溶液と原料ガスの混合液からガスハイドレートを生成する。そして、ガスハイドレート生成部15は、原料溶液、原料ガス、及び、ガスハイドレートを含む混合溶液を流出する。
【0039】
ガスハイドレート生成部15は、原料ガスが二酸化炭素(CO)である場合、例えば、前記原料溶液と前記原料ガスを0~10℃の温度で1~5MPaの圧力、好ましくは1.3~3.2MPaをかけることができる冷却された高圧反応容器であることが好ましい。
上記条件により、ガスハイドレート(COハイドレート)を生成することができる。
【0040】
分離部16は、貯蔵タンク161、弁162、及びバッフル板163を含む。貯蔵タンク161には、ガスハイドレート生成部15からの前記混合溶液が流入される。そして、ガスハイドレート生成部15で生成されたガスハイドレートと原料溶液の一部とを含むガスハイドレートスラリーと、残存原料溶液と、を分離する。
重力によって、ガスハイドレートは貯蔵タンク161の底部に沈降し、貯蔵タンク161の底部に沈降したガスハイドレートと原料溶液の一部とを含むガスハイドレートスラリーは、弁162を開放することにより、凍結部17へ流出する。
また、分離部16から残存原料溶液が循環路115に流出する。
【0041】
ここで、分離部16はガスハイドレートスラリーと残存原料ガスを含む前記残存原料溶液とを分離することがより好ましい。なお、原料ガスは、ガスハイドレートスラリーに含まれる原料溶液に溶解した状態又は溶解していない気泡状態で、ガスハイドレートスラリーとともに凍結部17に流出する場合がある。
【0042】
本発明において、分離部16に、原料溶液、原料ガス、及びガスハイドレートを含む混合溶液の流速を抑えるためのバッフル板163を備えることが好ましい。
上記構成とすることで、分離部16において、ガスハイドレート生成部15から流出した前記混合溶液の流れが緩やかになり、ガスハイドレートを貯蔵タンク161の底部に沈降しやすくすることができる。バッフル板163がない場合、分離部16においてガスハイドレートがまきあがってしまい、ガスハイドレートが沈降しづらい。
【0043】
バッフル板163は、前記混合溶液の流速を抑えることができれば、形状、設置角度、及び設置枚数等に特に制限はない。バッフル板163の形状として、例えば、平板や多孔板(パンチングプレート等)が挙げられる。多孔板(パンチングプレート等)は、ガスハイドレートが詰まらずに通過できる大きさの孔を有している。バッフル板163は、地面と水平に設置してもよく、ガスハイドレートがバッフル板163に積載しないように斜めに設置してもよい。バッフル板163は、図1に示す通り、分離部16に設置することが好ましいが、循環路114に設置することもできる。
図1において、バッフル板163は、分離部16における循環路114との接続孔付近に、地面と水平に設置されている。
【0044】
バッフル板を循環路114に設置する場合、図2(a)に示すように、一般的なバッフル板23aを設置したり、図2(b)に示すように、複数のバッフル板23bを迷路状に設置したり、図2(c)に示すように、多孔板(パンチングプレート等)であるバッフル板23cを設置したりすることができる。循環路114内を、原料溶液、原料ガス、及びガスハイドレートを含む混合溶液が流れることができ、流速を抑えることができるものであれば、これら以外のものをバッフル板として設置してもよい。
【0045】
凍結部17は、前記ガスハイドレートスラリーを凍結してガスハイドレート含有氷を生成する。凍結部17は、ガスハイドレート含有氷を生成することができれば特に制限はないが、前記ガスハイドレートスラリーを-5℃以下の温度条件で凍結することできる凍結装置等であることが好ましい。より好ましくは、前記ガスハイドレートスラリーを-5℃以下の温度条件で凍結することできる高圧凍結装置である。
本発明におけるガスハイドレート含有氷とは、前記ガスハイドレートスラリーを凍結させた氷のことである。
【0046】
本発明において、前記ガスハイドレートスラリーを凍結前に脱水処理することが好ましい。この場合、分離部16と凍結部17との間に、脱水処理する機能を有する脱水部を設けてもよい。また、凍結処理する機能と脱水処理する機能とを有する脱水凍結部を設けてもよい。
【0047】
脱水処理において、前記ガスハイドレートスラリーに含まれる原料溶液の一部を分離する。
上記構成とすることにより、ガスハイドレート含有率を高くすることができる。
【0048】
脱水方法としては、遠心分離、圧力分離、沈降分離等の一般的な脱水方法を用いることができる。
また、脱水構造としては、固形分離ができる構造を含み、焼結板、メッシュ、ろ紙、フィルター等の一般的な構造とすることができる。
本発明の脱水処理において、一端にフィルターを有する脱水装置にガスハイドレートスラリーを注入し、他端から押圧手段によりガスハイドレートスラリーを加圧してフィルターろ過することが好ましい。
【0049】
脱水処理により、ガスハイドレート含有氷のハイドレート率を所望のハイドレート率とすることが好ましい。
脱水量は、風味や刺激感の設計に応じて調整することが可能であるが、ハイドレート率が20~60%、好ましくは30~50%となるように脱水することが、風味と刺激感のバランスの観点で好ましい。脱水処理を行うことにより、ハイドレート率を高めることができる。
【0050】
本発明において、前記ガスハイドレートスラリーを凍結前に脱圧処理することが好ましい。この場合、分離部16と凍結部17との間に、脱圧処理する機能を有する脱圧部を設けてもよい。また、凍結処理する機能と脱圧処理する機能とを有する脱圧凍結部を設けてもよい。
本発明の脱圧処理において、一端にフィルターを有する脱圧装置にガスハイドレートスラリーを注入し、他端から押圧手段によりガスハイドレートスラリーを加圧して脱圧することが好ましい。この場合、ガスハイドレートスラリーは脱圧と同時に脱水処理されることになる。
したがって、本発明において、脱水処理する機能と脱圧処理する機能とを有する脱水脱圧部を設けてもよい。また、凍結処理する機能と脱水処理する機能と脱圧処理する機能とを有する脱水脱圧凍結部を設けてもよい。本発明の実施形態において、凍結部17は脱水脱圧凍結部である。
【0051】
脱圧処理において、前記ガスハイドレートスラリーに残存する原料ガスを分離する。
上記構成とすることにより、前記ガスハイドレート含有氷に含まれるガスハイドレートに用いられなかった原料ガスの含有量を少なくすることができる。このことにより、前記ガスハイドレート含有氷の安定性が向上する。
【0052】
脱水処理溶液供給管21は、凍結部17と循環路111と通じている。
凍結部17において、前記ガスハイドレートスラリーから脱水された脱水処理溶液は、脱水処理溶液供給管21を介して、原料溶液供給部12から供給される原料溶液と混合される。
本実施形態において、脱水処理溶液供給管21は、循環路111の補給液供給部19より上流において、循環路111と接続される。
本発明において、前記ガスハイドレートスラリーから脱水された脱水処理溶液が、原料溶液タンク121内で原料溶液と混合されるように、原料溶液供給部12と、凍結部17と、が配管で繋がれていてもよい。具体的には、原料溶液タンク121と脱水処理溶液供給管21とが通じていてもよい。
【0053】
気液分離部18は、分離部16において分離された残存原料溶液と、残存原料ガスと、を分離する。分離する方法としては、前記残存原料溶液及び前記残存原料ガスを加熱する方法が挙げられる。したがって、気液分離部18は、ヒーターを備えることが好ましい。
気液分離部18は、残存原料ガスと残存原料溶液とを分離し、分離された残存原料溶液と残存原料ガスとを循環路116に供給する。そして、残存原料溶液は、循環路116を介して、原料溶液供給部12に流入し、ガスハイドレートの生成に再利用され得る。
また、気液分離部18は、残存原料溶液と分離された残存原料ガスを、循環路116を介して、原料溶液供給部12に接続された残存原料ガス供給管22に流出する。そして、残存原料ガスは、循環路112を介して、気液混合部14へと供給され、ガスハイドレートの生成に再利用され得る。
【0054】
補給液供給部19は、補給液導水管191、逆止弁192、及び送液ポンプ193を含む。補給液導水管191は、例えば水道水管と循環路11とを接続する。逆止弁192を開放することにより、水道水管を流れる水道水(補給液)が補給液導水管191を介して循環路11に導水される。なお、補給液は水道水に限定されず、精製水であってもよい。この場合、補給液導水管191は、精製水を貯蔵するタンクと循環路11とを接続する。
本発明において、補給液導水管191は、原料溶液タンク121内に補給液を供給するように、原料溶液供給部12と、補給液導水管191と、が配管で繋がれていてもよい。具体的には、原料溶液タンク121と補給液導水管191とが通じていてもよい。
【0055】
補給液供給部19は、ガスハイドレートの生成によって減少した分の水を循環路111に供給する。具体的には、補給液供給部19と循環路111とは接続され、原料溶液供給部12から供給される原料溶液、又は、原料溶液供給部12から供給される原料溶液と前記脱水処理により生じた脱水処理溶液の混合液、に水を加える。
【0056】
前記原料溶液に添加物を含む場合、前記残存原料溶液が流入した原料溶液供給部12内の原料溶液の濃度は、製造装置1の連続稼働により高くなる。また、前記脱水処理溶液と混合されることにより濃度が変化することがある。製造装置1の連続稼働において原料溶液供給部12から供給される前記原料溶液の濃度を一定にするために、補給液供給部19から水を供給することができる。この場合、補給液供給部19は、前記残存原料溶液が混合された前記原料溶液の濃度を調整するための濃度調整部として機能する。ここで、濃度調整部は、前記原料溶液の濃度を測定する機能を有していてもよい。また、循環路111内の補給液供給部19よりも上流において、Brixメーターを設置して、所定のBrix上限を上回った場合に水を加える形態としてもよい。
【0057】
補給液供給部19は、例えば、凍結部17で生成されたガスハイドレート含有氷から、ガスハイドレートの生成によって減少した水の量を計算し、減少した分の水を循環路111に供給するように、逆止弁192の開閉が制御される。別の形態では、予め原料溶液の濃度を一定にするために必要な水の量を計算しておき、必要な量の水を循環路111に供給するように、逆止弁192の開閉が制御される。
【0058】
また、補給液供給部19は、前記原料溶液を循環路111に導水することもできる。この場合、補給液導水管191は、原料溶液を貯蔵するタンクと循環路111とを接続する。
【0059】
補給液供給部19は、前記原料溶液を循環路111に導水する場合、例えば、原料溶液タンク121内に設置したレベル計で原料溶液タンク121内の原料ガスと原料溶液の圧力差から水位を測ることにより、ガスハイドレート含有氷の製造のために用いられた原料溶液の量を計算し、減少した分の原料溶液を循環路111に供給するように、逆止弁192の開閉が制御される。別の形態では、ガスハイドレート含有氷の生成に使われた原料溶液の量を計算し、減少した分の原料溶液を循環路111に供給するように、逆止弁192の開閉が制御される。計算方法としては、例えば、原料ガス供給部13からの原料ガス供給量からガスハイドレート生成量を求め、ガスハイドレート含有氷の生成に使われた原料溶液の量を求めることができる。
【0060】
次に、図3を参照して、本発明の一実施形態にかかるガスハイドレート含有氷の製造方法の概要を説明する。具体的には、製造装置1を用いたガスハイドレート含有氷の製造方法について説明する。図3は、本発明の一実施形態にかかるガスハイドレート含有氷の製造方法の流れを説明するフローチャートである。製造装置1は上述した構成を有する。また、各構成の好ましい形態については、製造装置1の説明を援用することができる。
【0061】
まず、気液混合部14において、原料ガスを原料溶液に混合させる(S11;気液混合工程)。前記原料溶液は原料溶液供給部12から循環路111、112を介して供給され、前記原料ガスは原料ガス供給部13から循環路112に供給される。
【0062】
次に、前記原料溶液と前記原料ガスの混合液からガスハイドレートを生成する(S12;ガスハイドレート生成工程)。ガスハイドレートは、ガスハイドレート生成部15において生成することができる。
【0063】
そして、前記ガスハイドレートと前記原料溶液の一部とを含むガスハイドレートスラリーと、残存原料溶液と、を分離する(S13;固液分離工程)。前記ガスハイドレートスラリーと前記残存原料溶液とは、分離部16において分離することができる。
分離部16において、前記残存原料溶液ともに残存原料ガスが分離される場合がある。
【0064】
最後に、前記ガスハイドレートスラリーを凍結して、ガスハイドレート含有氷を生成する(S14;凍結工程)。ガスハイドレート含有氷は、凍結部17において生成することができる。
【0065】
本発明において、凍結工程の前に、ガスハイドレートスラリーを脱水処理する脱水工程を備えることが好ましい。脱水処理を行うことにより、ガスハイドレート含有率を高くすることができる。脱水処理は、脱水部において行われる。
【0066】
また、本発明において、凍結工程の前に、ガスハイドレートスラリーを脱圧処理する脱圧工程を備えることが好ましい。脱圧処理は、脱圧部において行われる。
【0067】
ガスハイドレート含有氷をバッチ式で製造する場合、ガスハイドレート生成容器でそのまま、ガスハイドレートと原料溶液のほとんどを含むガスハイドレートスラリーを凍結してガスハイドレート含有氷を生成する。この場合、重力により、ガスハイドレート含有氷の下部分はハイドレートが多く、上部分はハイドレートが少ないガスハイドレート含有氷が生成される。つまり、ガスハイドレート含有氷においてガスハイドレートの分布に偏りが生じ、品質が不安定となる。
本発明は、前記ガスハイドレートと前記原料溶液の一部とを含むガスハイドレートスラリーを凍結してガスハイドレート含有氷を生成する。その結果、ガスハイドレート含有氷においてガスハイドレートの分布に偏りが生じない。
【0068】
以下、S11~S14を繰り返し行うガスハイドレート含有氷の製造方法について説明する。
【0069】
S11~S14を繰り返し行うガスハイドレート含有氷の製造方法において、前記残存原料溶液を気液混合工程に用いることができる。この場合、前記残存原料溶液は、固液分離工程の後に、原料溶液供給部12に流入し、原料溶液供給部12内の原料溶液と混合される。
【0070】
また、前記残存原料溶液と、前記残存原料溶液に含まれる残存原料ガスと、を分離することが好ましい(気液分離工程)。前記残存原料溶液と、前記残存原料溶液に含まれる残存原料ガスと、は、気液分離部18において分離することができる。
好ましくは、前記残存原料溶液と、前記残存原料溶液に含まれる残存原料ガスと、が分離された前記残存原料溶液を気液混合工程に用いる。
【0071】
また、ガスハイドレートスラリーの脱水処理により生じた脱水処理溶液を気液混合工程に用いることもできる。この場合、前記脱水処理溶液は、脱水処理溶液供給管21を介して原料溶液供給部12に流入してもよいし、原料溶液供給部12から供給された原料溶液と、循環路111において、混合されてもよい。
【0072】
S11~S14を繰り返し行うガスハイドレート含有氷の製造方法において、前記残存原料溶液及び/又は前記脱水処理溶液が混合された前記原料溶液の濃度を調整する濃度調製工程を備えることが好ましい。
前記残存原料溶液及び/又は前記脱水処理溶液が混合された前記原料溶液は、ガスハイドレート生成により前記原料溶液に含まれる水が減少するため、S11~S14を繰り返すたびに、前記原料溶液の濃度が変化することが考えられる。
【0073】
前記残存原料溶液及び/又は前記脱水処理溶液が混合された前記原料溶液の濃度は、補給液供給部19により調製することができる。
【0074】
S11~S14を繰り返し行うガスハイドレート含有氷の製造方法において、気液分離部18において分離された残存原料ガスを気液混合工程に用いることができる。
【0075】
本発明によれば、ガスハイドレート含有氷を連続製造する際に、原料溶液の濃度を一定にすることができ、ガスハイドレートの分布に偏りが生じず、かつ、ガスハイドレート含有氷の味にばらつきが生じない。
【0076】
本発明において、前記凍結工程で生成されたガスハイドレート含有氷を砕氷して、複数の小塊を得る砕氷工程を備えることが好ましい。
本発明によれば、ガスハイドレート含有氷の複数の小塊同士においても、ガスハイドレートの分布に偏りが生じず、かつ、ガスハイドレート含有氷の味にばらつきが生じない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、ガスハイドレートの分布に偏りが少ないガスハイドレート含有氷を作製することができる。また、味にばらつきが少ないガスハイドレート含有氷を作製することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 製造装置
11 循環路
12 原料溶液供給部
121 原料溶液タンク
13 原料ガス供給部
131 原料ガスタンク
132 原料ガス供給管
133 マスフローコントローラ
14 気液混合部
15 ガスハイドレート生成部
16 分離部
161 貯蔵タンク
162 弁
163 バッフル板
17 凍結部
18 気液分離部
19 補給液供給部
191 補給液導水管
192 逆止弁
193 送液ポンプ
20 循環ポンプ
21 脱水処理溶液供給管
22 残存原料ガス供給管
23a バッフル板
23b バッフル板
23c バッフル板
【要約】
【課題】ガスハイドレートの分布に偏りが少ないガスハイドレート含有氷を作製するための新規な製造装置及び製造方法を提供すること。
【解決手段】原料溶液が循環する循環路と、前記循環路内に設けられ、前記原料溶液と原料ガスとを混合する気液混合部と、前記循環路内の前記気液混合部の下流に設けられ、前記原料溶液と前記原料ガスの混合液からガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成部と、前記ガスハイドレートと前記原料溶液の一部とを含むガスハイドレートスラリーを凍結してガスハイドレート含有氷を生成する凍結部と、を備える、ガスハイドレート含有氷の製造装置。
【選択図】図1
図1
図2
図3