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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び、画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20241024BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241024BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 510
B41J29/393 107
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021007806
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2021167934
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2020071108
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】舘 昌志
(72)【発明者】
【氏名】竹中 友英
(72)【発明者】
【氏名】助迫 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】曽根 慶太
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-037217(JP,A)
【文献】特開2019-155819(JP,A)
【文献】特開2002-049189(JP,A)
【文献】特開2019-101125(JP,A)
【文献】特開2020-052239(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0092408(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
B41J 29/38
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送方向に搬送される画像担持体の表面に画像を形成する画像形成部と、
前記画像担持体の表面に形成された画像における前記搬送方向に直交する幅方向の画像濃度偏差を検出する濃度偏差検出手段と、
前記画像形成部によって形成する画像における幅方向の画像濃度偏差を調整する調整手段と、
を備え、
前記画像形成部は、所定方向に回転する感光体の表面に露光光を幅方向にわたって照射して所望の画像に対応した潜像を形成する露光装置を具備し、
前記調整手段は、前記露光装置から射出される前記露光光の光量を幅方向に複数分割した領域ごとに調整する手段であって、
前記画像形成部によって前記画像担持体の表面に、幅方向の画像濃度が同等となるように画像パターンを形成して、前記濃度偏差検出手段によって前記画像パターンの幅方向の画像濃度偏差を検出して、その検出結果に基づいて前記調整手段によって幅方向の画像濃度偏差を調整して、その調整後に前記画像形成部によって前記画像担持体の表面に第2の画像パターンを形成して、前記濃度偏差検出手段によって前記第2の画像パターンの幅方向の画像濃度偏差を検出して、その検出結果に基づいて前記調整手段によって幅方向の画像濃度偏差を調整するときの光量感度を補正する濃度偏差調整モードを実行可能に構成し、
前記調整手段によって幅方向の画像濃度偏差を調整するときの前記光量感度は、前記領域ごとの、前記露光光の光量の変化と画像濃度の変化との関係から得られる直線の傾きとしての光量感度であって、
前記第2の画像パターンの検出結果に基づいて補正される前記光量感度は、前記領域ごとの画像濃度が狙いの画像濃度になるように、前記領域ごとに補正される前記光量感度であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像担持体は、シートであって、
前記第2の画像パターンが形成されるシートは、前記画像パターンが形成されるシートとは別のシートであって、
前記濃度偏差検出手段は、前記画像形成部を通過したシートが搬送される搬送経路中において、当該シートに対向するとともに幅方向に延在するよう配置されたラインセンサであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記濃度偏差調整モードが実行された後に前記調整手段によって前記光量感度が補正されて調整されたまま画像形成動作がおこなわれて、次に前記濃度偏差調整モードが実行されたときに前記光量感度が更新されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像パターンは、幅方向の画像濃度が同等となり搬送方向の画像濃度が段階的に異なるように形成された階調画像パターンであって、
前記濃度偏差調整モードは、前記調整手段によって幅方向の画像濃度偏差を調整するときの前記光量感度を、異なる画像濃度ごとに補正することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像担持体の表面に、幅方向の画像濃度が同等となるように画像パターンを形成する工程と、
前記画像パターンの幅方向の画像濃度偏差を検出する第1検出工程と、
前記第1検出工程の検出結果に基づいて幅方向の画像濃度偏差を調整する調整工程と、
第2の画像パターンの幅方向の画像濃度偏差を検出する第2検出工程と、
前記第2検出工程の検出結果に基づいて幅方向の画像濃度偏差を調整するときの光量感度を補正する補正工程と、
を備え、
前記調整工程は、所定方向に回転する感光体の表面に露光光を幅方向にわたって照射して所望の画像に対応した潜像を形成するために露光装置から射出される前記露光光の光量を幅方向に複数分割した領域ごとに調整する工程であって、
前記調整工程において幅方向の画像濃度偏差を調整するときの前記光量感度は、前記領域ごとの、前記露光光の光量の変化と画像濃度の変化との関係から得られる直線の傾きとしての光量感度であって、
前記補正工程において前記第2検出工程の検出結果に基づいて補正される前記光量感度は、前記領域ごとの画像濃度が狙いの画像濃度になるように、前記領域ごとに補正される前記光量感度であることを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、画像形成装置でおこなわれる画像形成方法と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、画像の主走査方向の画像濃度偏差を調整する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における画像形成装置は、用紙上の補正用パターンを形成して、その補正用パターンの主走査方向の画像濃度偏差(濃度ムラ)を測定している。そして、その測定結果に基づいて、濃度ムラの位置に応じた露光部(露光装置)による露光パワーを調整している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、画像の主走査方向の画像濃度偏差を測定した結果に基づいて画像濃度偏差を調整しているため、主走査方向の画像濃度偏差が軽減される効果がある程度期待できるものの、その効果は充分なものではなかった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、主走査方向の画像濃度偏差が充分に軽減される、画像形成装置、及び、画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における画像形成装置は、所定の搬送方向に搬送される画像担持体の表面に画像を形成する画像形成部と、前記画像担持体の表面に形成された画像における前記搬送方向に直交する幅方向の画像濃度偏差を検出する濃度偏差検出手段と、前記画像形成部によって形成する画像における幅方向の画像濃度偏差を調整する調整手段と、を備え、前記画像形成部は、所定方向に回転する感光体の表面に露光光を幅方向にわたって照射して所望の画像に対応した潜像を形成する露光装置を具備し、前記調整手段は、前記露光装置から射出される前記露光光の光量を幅方向に複数分割した領域ごとに調整する手段であって、前記画像形成部によって前記画像担持体の表面に、幅方向の画像濃度が同等となるように画像パターンを形成して、前記濃度偏差検出手段によって前記画像パターンの幅方向の画像濃度偏差を検出して、その検出結果に基づいて前記調整手段によって幅方向の画像濃度偏差を調整して、その調整後に前記画像形成部によって前記画像担持体の表面に第2の画像パターンを形成して、前記濃度偏差検出手段によって前記第2の画像パターンの幅方向の画像濃度偏差を検出して、その検出結果に基づいて前記調整手段によって幅方向の画像濃度偏差を調整するときの光量感度を補正する濃度偏差調整モードを実行可能に構成し、前記調整手段によって幅方向の画像濃度偏差を調整するときの前記光量感度は、前記領域ごとの、前記露光光の光量の変化と画像濃度の変化との関係から得られる直線の傾きとしての光量感度であって、前記第2の画像パターンの検出結果に基づいて補正される前記光量感度は、前記領域ごとの画像濃度が狙いの画像濃度になるように、前記領域ごとに補正される前記光量感度であるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、主走査方向の画像濃度偏差が充分に軽減される、画像形成装置、及び、画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】露光装置を示す構成図である。
図3】ラインセンサと、階調画像パターンが形成されたシートと、を示す概略斜視図である。
図4】ラインセンサを主走査方向に示す概略図である。
図5】ラインセンサを示す構成図である。
図6】画像形成装置のハードフェアを示す構成図である。
図7】画像形成装置の機能を示すブロック図である。
図8】濃度偏差調整モードを実行するときの操作パネルの画面を示す図である。
図9】濃度偏差調整モード時のフローを示す模式図である。
図10】ラインセンサと、階調画像パターンが形成されたシートと、を示す概略上面図である。
図11】濃度偏差調整モード時の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、カラープリンタであって、その筐体90内部に、露光装置101、作像部102、転写部103、定着装置104、濃度偏差検出手段としてのラインセンサ70(濃度センサ)、などが設けられている。また、筐体90の上部には、操作部としての操作パネル60が設けられている。
本実施の形態では、露光装置101、作像部102、転写部103、などからなるプリンタエンジン100が、画像担持体としてのシートPに画像を形成する画像形成部として機能することになる。
【0011】
作像部102には、4つの感光体(イエロー(Y)用感光体120y、ブラック(K)用感光体120k、マゼンタ(M)用感光体120m、シアン(C)用感光体120cである。)が、中間転写ベルト130に対向するように並設されている。
また、感光体120y、120k、120m、120cの周囲には、それぞれ、現像器121y、121k、121m、121c、帯電器122y、122k、122m、122c、クリーニング部、除電部などが配置されている。
また、転写部103には、中間転写ベルト130、2次転写ベルト133などが設けられている。
また、定着装置104には、定着ローラ141、定着ローラ141に圧接する加圧ローラ、排出ローラ142などが設けられている。
【0012】
以下、図1を用いて、通常の画像形成動作時における画像形成装置1の動作について説明する。
まず、露光装置101は、作像部102の感光体120y~120cの表面に向けて露光光を照射して、各感光体上に画像データ(所望の画像)に対応した潜像を形成する。すなわち、露光装置101は、画像データの画像パターンに対応した書き込み位置に、画像濃度に応じた書き込み光量(露光光の出力)で、選択的に露光光を出射する。露光光としては、レーザー光源やLED光源から射出される光などを用いることができる。ここで、光源から出射された露光光BMは、ポリゴンミラー110により偏向され、それぞれがfθレンズを含む走査レンズ111a、111bに入射する。なお、光源から露光光が射出される動作については、後でさらに詳しく説明する。
【0013】
ここで、露光光は、イエロー(Y)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の画像に対応してそれぞれ射出されて、それぞれ走査レンズ111a、111bを通過した後、反射ミラー112y~112cで反射される。
具体的に、イエロー用の露光光Yは走査レンズ111aを透過して反射ミラー112yで反射されてWTLレンズ113yへ入射される。ブラック用、マゼンタ用、シアン用の各色の露光光K、M、Cについても同じように進んでいく。
WTLレンズ113y~113cは、それぞれ入射された各露光光Y、K、M、Cを整形した後、反射ミラー114y~114cへと各露光光Y、K、M、Cを偏向させる。そして、その各露光光Y、K、M、Cは、さらに反射ミラー115y~115cで反射されて、各感光体120y、120k、120m、120cの表面に照射される。
感光体120y、120k、120m、120cへの露光光Y、K、M、Cの照射は、感光体120y、120k、120m、120cに対する主走査方向および副走査方向に関して、タイミング同期がおこなわれている。本実施の形態において、感光体Y、K、M、Cは、主走査方向を回転軸方向として図1の反時計方向に回転するドラム状部材(感光体ドラム)である。
なお、感光体120y、120k、120m、120cに対する主走査方向を、露光光の走査方向として定義して、副走査方向を、主走査方向に対して直交する方向(感光体120y、120k、120m、120cが回転する方向であって、回転軸方向に直交する方向である。)として定義する。すなわち、図1の紙面垂直方向が「主走査方向」になる。
さらに換言すると、画像担持体としてのシートPは、所定の搬送方向(図3の「用紙搬送方向」である。)に搬送される。したがって、シートPにおける「主走査方向」は、シートPの搬送方向に直交する「幅方向」になる。また、シートPにおける「副走査方向」は、シートPの「搬送方向」になる。
【0014】
ここで、感光体120y、120k、120m、120cは、アルミニウムなどの導電性ドラム上に、電荷発生層や電荷輸送層を含む光導電層が形成されたものである。
そして、感光体120y、120k、120m、120cの表面は、帯電器122y、122k、122m、122cにより帯電されて、その後に露光光が照射されて静電潜像が形成される。
その後、感光体120y、120k、120m、120cの表面に形成された静電潜像は、現像器121y、121k、121m、121cによって現像されて画像(トナー像)が形成されることになる。
そして、感光体120y、120k、120m、120cの表面に形成された画像は、1次転写ローラ132y、132k、132m、132cの位置で、搬送ローラ131a~131cにより矢印Dの方向に移動する中間転写ベルト130上に重ねて1次転写される。こうして、中間転写ベルト130上に、カラー画像が形成されることになる。
【0015】
その後、中間転写ベルト130上に形成されたカラー画像は、2次転写位置F(中間転写ベルト130と2次転写ベルト133とが圧接する位置である。)に移動する。2次転写ベルト133は、搬送ローラ134a、134bによって張架・支持されていて、搬送ローラ134a、134bの回転により矢印Eの方向に移動する。
2次転写位置Fには、給紙カセットなどのシート収容部Tから用紙などのシートPが搬送ローラ135により給送される。そして、2次転写位置Fで、2次転写バイアスが印加されて、中間転写ベルト130上に担持された画像が、2次転写ベルト133上に吸着保持されたシートPに2次転写されることになる。なお、2次転写位置Fを通過した後の中間転写ベルト130は、クリーニング部139の位置に達して、その位置で中間転写ベルト130上に残留した未転写トナーが除去される。
その後、シートPは、2次転写ベルト133の搬送によって、定着装置104に搬送される。そして、定着装置104によって、シートP上に2次転写された画像(未定着画像)が加圧加熱されて定着されることになる。そして、画像が定着されたシートPは、排出ローラ142によって画像形成後のシートP′として定着装置104から排出されることになる。そして、定着装置104から排出されたシートP´は、ラインセンサ70の位置を通過した後に、出力画像として画像形成装置1の外部に排出される。
こうして、画像形成装置1における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0016】
なお、本実施の形態では、定着装置104の下流側に、シートP´(画像担持体)の表面に形成された画像における主走査方向の画像濃度偏差を検出する濃度偏差検出手段としてのラインセンサ70が設置されていて、ラインセンサ70の検知結果に基づいて主走査方向の画像濃度偏差(濃度ムラ)が補正されることになるが、これについては後で詳しく説明する。
【0017】
ここで、本実施の形態において、感光体120y、120k、120m、120cの回転方向、中間転写ベルト130の搬送方向、シートP、P・の搬送方向は、いずれも、主走査方向に対して直交する方向であり、副走査方向と同じ方向になる。
【0018】
以下、図2を用いて、先に図1を用いて説明した露光装置101の構成や、露光光BMの光路についてさらに詳しく説明する。
図2に示すように、露光装置101には、光源である2つのLDユニット116-1、116-2が設けられている。2つのLDユニット116-1、116-2には、それぞれ、レーザー素子が設けられている。そして、それらのレーザー素子は、画像データに応じた書き込み位置(露光位置)に、画像データに応じた露光量で選択的に露光光を出射するように駆動される。
第1のLDユニット116-1から出射された露光光は、シリンダレンズ117-1を通過して、ポリゴンモータによって回転するポリゴンミラー110に入射する。なお、このLDユニット116-1は、上部と下部とにLDを有しており、上部のLDから出射されたマゼンタ用の露光光は、ポリゴンミラー110の上方面に入射し、下部のLDから出射されたシアン用の露光光は、ポリゴンミラー110の下方面に入射するようになっている。
ポリゴンミラー110の上方面に入射したマゼンタ用の露光光は、ポリゴンミラー110が回転することにより偏向され、偏向された露光光は、走査レンズ111bを通り、反射ミラー112mに入射する。そして、マゼンタ用の感光体120m上を走査する。
他方、ポリゴンミラー110の下方面に入射したシアン用の露光光は、ポリゴンミラー110が回転することにより偏向され、偏向されたシアン用の露光光は、走査レンズ111bを通り、反射ミラー112cに入射する。そして、マゼンタ用の感光体120m上を走査する。
また、主走査方向の非画像書き込み領域の画像書き出し位置より前方である主走査方向書出し側端部には、同期ミラー118-1及び同期センサ119-1が設けられている。走査レンズ111bを透過したマゼンタ用、シアン用の露光光は、同期ミラー118-1によって反射され、同期センサ119-1に入射する。同期センサ119-1は、マゼンタ用、シアン用の露光光が入射されることで、それぞれの露光光の主走査の書き出しタイミングを決定するための同期検知信号を出力する。
【0019】
同様に、第2のLDユニット116-2から出射された露光光は、シリンダレンズ117-2を通り、ポリゴンモータによって回転するポリゴンミラー110に入射する。なお、このLDユニット116-2も、上部と下部とにLDを有しており、上部のLDから出射されたブラック用の露光光は、ポリゴンミラー110の上方面に入射し、下部のLDから出射されたイエロー用の露光光は、ポリゴンミラー110の下方面に入射するようになっている。
ポリゴンミラー110の上方面に入射したブラック用の露光光は、ポリゴンミラー110が回転することにより偏向され、偏向されたブラック用の露光光は、走査レンズ111aを通り、反射ミラー112kに入射する。そして、ブラック用の感光体120k上を走査する。
他方、ポリゴンミラー110の下方面に入射したイエロー用の露光光は、ポリゴンミラー110が回転することにより偏向され、偏向されたイエロー用の露光光は、走査レンズ111aを通り、反射ミラー112yに入射する。そして、イエロー用の感光体120k上を走査する。
また、主走査方向の非画像書き込み領域の画像書き出し位置より前方である主走査方向書出し側端部には、同期ミラー118-2及び同期センサ119-2が設けられている。走査レンズ111aを透過したブラック用、イエロー用の露光光は、同期ミラー118-2によって反射され、同期センサ119-2に入射する。同期センサ119-2は、ブラック用、イエロー用の露光光が入射されることで、当該色の主走査の書き出しタイミングを決定するための同期検知信号を出力する。
【0020】
以下、図3図5を用いて、ラインセンサ70(濃度偏差検出手段)の構成について説明する。
図3図4に示すように、ラインセンサ70は、その長手方向が主走査方向に延在するように配置されている。ラインセンサ70は、長手方向(主走査方向)に延びた画像素子71(複数の受光素子72-0~72-nが長手方向に並設されたものである。)が設けられている。これらの複数の受光素子72-0~72-nが並んだ範囲が、ラインセンサ70の主走査方向の検知幅となる。ラインセンサ70は、図3にて破線で示した主走査方向の範囲を検知幅としていて、所定の搬送方向(副走査方向)に搬送されるシートP´(用紙)の全域にわたり画像濃度を検出することができるように構成されている。
なお、本実施の形態において、ラインセンサ70は、シートP´に形成された画像の主走査方向の画像濃度偏差を検出する濃度偏差検出手段として機能するものである。したがって、濃度偏差検出手段としては、ラインセンサ70のように主走査方向にわたって画像濃度を検知できるものに限定されることなく、主走査方向の複数箇所(例えば、両端と中央の3箇所である。)の画像濃度を検知できるものであってもよい。また、主走査方向の両端にそれぞれ濃度センサを配置して、画像濃度を直接検出ができない中央の領域の画像濃度は線形補完などの方式で近似する、といったものを、濃度偏差検出手段として用いることもできる。
【0021】
また、図5に示すように、ラインセンサ70には、画像素子71の他に、光源73、レンズアレイ74、出力回路75などが設けられている。なお、図5中の破線は、光源73から出射された光を表している。
光源73としては、発光素子が導光体の端部に設けられたものや、LEDアレイなどを用いることができる。光源73は、RGBの光を照射する。レンズアレイ74としては、セルフォックレンズなどを用いることができる。
光源73から出射された光は、シートP・上で反射され、レンズアレイ74により結像される。画像素子71は、レンズアレイ74により結像された光を、図4で示した各受光素子72で受光し、受光した光に応じた信号を出力する。画像素子71としては、CMOSセンサやCCDセンサなどを用いることができる。
出力回路75としては、一例としてASICなどを用いることができ、画像素子71上の各受光素子72からの信号に基づき、シートP・上の主走査方向の位置に対応した画像濃度を示すデータに変換して出力する。例えば、8bitで表される0~255階調を出力する。
【0022】
以下、図6を用いて、画像形成装置1のハードウェアの構成について説明する。
図6に示すように、画像形成装置1は、CPU10、ROM20、RAM30、HDD40、外部通信I/F50、操作パネル60(操作部)、ラインセンサ70(濃度センサ)、プリンタエンジン100、などで構成されている。また、これらを相互接続するシステムバス80が設けられている。
CPU10は、画像形成装置1の動作を制御する。すなわち、CPU10は、RAM30をワークエリア(作業領域)として、ROM20又はHDD40に記憶されたプログラムを実行することで、画像形成装置1全体の動作を制御し、上述したプリンタ機能(又は、コピー機能、スキャナ機能、ファクス機能)などの各種機能を実現する。
ROM20は、電源を切ってもデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。RAM30は、プログラムやデータを一時記憶する揮発性の半導体メモリである。
HDD40は、プログラムやデータを記憶している不揮発性のメモリである。HDD40に記憶されるプログラムやデータには、画像形成装置1の全体を制御する基本ソフトウェアであるOSやOS上で動作する各種アプリケーションプログラム、上述したコピー機能などの各種機能の動作条件等がある。これらの各種機能が実行した動作(ジョブ)は、その都度、画像形成装置1の動作なども記憶可能である。
外部通信I/F50は、画像形成装置1をインターネットやLANなどのネットワークに接続するためのインターフェースである。画像形成装置1は、外部通信I/F50を介して、外部装置からの印刷指示や画像データ等を受信することができる。
操作部としての操作パネル60は、ユーザーの操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報(例えば、受け付けた操作を示す情報、画像形成装置1の動作状況を示す情報、画像形成装置1の設定状態を示す情報など)を表示する。操作パネル60としては、タッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD)などを用いることができる。また、操作パネル60に、ハードウェアキー等の操作部やランプ等の表示部を設けることもできる。操作パネル60は、CPU10により制御される
画像形成部であるプリンタエンジン100は、プリンタ機能などを実現させるためのハードウェアである。
なお、ROM20やHDD40に記憶されたプログラムは、コンピュータで処理可能なプログラムである。画像形成装置1の製造時や出荷時にROM20やHDD40にインストールしてもよいし、販売後にインストールすることもできる。
【0023】
以下、図7の機能ブロック図を用いて、画像形成装置1について説明する。
図7に示すように、入力受付部150は、操作パネル60によって実現され、ユーザーに対し操作に必要な情報を表示し、ユーザーによる各種入力を受け付ける機能を実行する。また、入力受付部150は、外部通信I/F50の処理によっても実現され、外部機器からLANやインターネット経由で入力されるユーザーによるプリント指示や設定変更を受け付ける機能を実行する。
表示制御部160は、CPU10がRAM30を作業領域としてROM20又はHDD40に記憶されたプログラムを実行することで実現され、入力受付部150に表示する表示画面を制御する機能を実行する。
通信制御部170は、外部通信I/F50の処理によって実現され、画像情報を外部へメール送信したり、各種設定情報を外部機器から設定可能な場合には、外部装置とネットワーク経由で通信したりする機能を実行する。
制御部180は、CPU10がRAM30を作業領域としてROM20又はHDD40を実行することによって実現され、画像形形成装置1全体の機能を実行する。
制御部180は、補正制御部181と、補正量算出部と、プリンタ制御部183とを有する。補正制御部181は、プリンタ機能における濃度ムラ補正を制御する機能を実行する。補正量算出部182は、濃度ムラを補正するための、画像形成条件の補正量を算出する機能を実行する。プリンタ制御部は、特にプリンタエンジン100を制御する機能を実行する。この制御部180は、主走査方向の画像濃度偏差を調整する調整手段として機能して、所定のタイミングで「濃度偏差調整モード」を実行することになるが、これについては後で詳しく説明する。
濃度検知部190は、ラインセンサ70によって実現され、プリンタエンジン100によって形成された階調画像パターンの濃度を検知し、検知した結果を出力する機能を実行する。
【0024】
読出・書込処理部200は、CPU10がRAM30を作業領域としてROM20又はHDD40を実行することによって実現され、記憶部210に各種データを記憶したり、記憶された各種データを読み出したりする機能を実行する。
記憶部210は、ROM2又はHDD40の処理によって実行され、プログラムや文書データ、画像形成装置1の動作に必要な画像形成条件や各種設定情報、画像形成装置1の動作ログ等を記憶する機能を実行する。画像形成条件の例としては、帯電バイアス、現像バイアス、露光光量(光書き込み光量)、転写バイアスなどが挙げられる。
なお、記憶部210に記憶される各種情報は、画像形成装置1の出荷前に設定してもよいし、販売後に更新されてもよい。なお、記憶される情報によって、RAM30の一時的な記憶機能により実行してもよい。
記憶部210は、補正内容記憶部211と、パターン記憶部212と、を有する。補正内容記憶部211は、各種画像形成条件の補正内容を記憶する機能を実行する。
【0025】
図8は、ユーザーやサービスマンなどの操作者が、手動操作で画像の主走査方向の濃度偏差を調整(補正)するときの操作画面を示すものである。
本実施の形態における画像形成装置1は、後述する、自動で画像の主走査方向の濃度偏差を調整する「濃度偏差調整モード」とは別に、ユーザーが手動操作で画像の主走査方向の濃度偏差を調整できるように構成されている。この手動操作は、後述する「濃度偏差調整モード」と同様、通常の画像形成動作(プリント動作)とは別におこなわれる。
まず、ユーザーは、出力画像の主走査方向の濃度偏差(濃度ムラ)を補正するため、操作パネル60にて「濃度ムラ補正レベル選択モード」の画面(図8参照)を開く。そして、その画面上で、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色について、希望する補正レベル(基準となる画像濃度)を選択する。図8の例では、レベル1~7のうち各色でレベル4が選択されている。なお、レベル1~7の順に画像濃度が高くなる。
そして、このように操作パネル60を用いた手動操作で濃度ムラ補正の指令がされると、後述する図9(A)~(G)の手順で主走査方向の濃度偏差を補正する制御(濃度偏差調整モード)がおこなわれることになる。すなわち、各色について操作者が選択した画像濃度がムラなく形成されるように、濃度偏差調整モードが実行されることになる。
【0026】
以下、図9図11等を用いて、本実施の形態における画像形成装置1において、特徴的な構成・動作について詳しく説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、所定のタイミングで「濃度偏差調整モード」がおこなわれて、先に図8を用いて説明した手動でおこなった濃度補正レベル(基準となる画像濃度)の選択が、自動で設定されて出力画像の主走査方向の濃度偏差が調整されるものである。
【0027】
まず、先に図1等を用いて説明したように、画像形成装置1には、画像形成部としてのプリンタエンジン100や、濃度検出手段としてのラインセンサ70や、調整手段としての制御部180などが設けられている。
画像形成部としてのプリンタエンジン100は、画像担持体としてのシートPの表面に画像を形成するものであって、露光装置101や作像部102や転写部103などで構成されている。
濃度偏差検出手段としてのラインセンサ70は、シートP´(画像担持体)の表面に形成された画像における主走査方向の画像濃度偏差を検出するものである。ラインセンサ70は、画像形成部を通過したシートPが搬送される搬送経路中(本実施の形態では、定着装置104の下流側である。)において、シートPに対向するとともに主走査方向に延在するよう配置されている。
【0028】
調整手段としての制御部180は、プリンタエンジン100(画像形成部)によって形成する画像における主走査方向の画像濃度偏差を調整するものである。
詳しくは、プリンタエンジン100(画像形成部)には、所定方向に回転する感光体120y、120k、120m、120cの表面に露光光を主走査方向にわたって照射して所望の画像に対応した潜像を形成する露光装置101が設けられている。そして、制御部180(調整手段)による制御によって、その露光装置101から射出される露光光の光量(レーザーパワー)が主走査方向に複数分割した領域ごとに調整されることになる。主走査方向に複数分割した領域ごとに感光体の表面に照射される露光光の光量(出力)が最適化されることで、感光体表面上の露光電位(潜像電位)が領域ごとに最適化されて、主走査方向にわたって画像濃度が均一化されることになる。
【0029】
そして、本実施の形態における画像形成装置1は、「濃度偏差調整モード」を実行可能に構成されている。
図9(A)に示すように、「濃度偏差調整モード」が実行されると、まず、プリンタエンジン100(画像形成部)によってシートP´(画像担持体)の表面に、主走査方向(シートPの搬送方向に直交する方向であって、「幅方向」である。)の画像濃度が同等となる画像パターンとしての階調パターンパターンPY、PK、PM、PC(図10参照)を形成する。具体的に、階調画像パターンPY、PK、PM、PCは、図10に示すように、主走査方向(幅方向)の画像濃度が同等となり副走査方向(シートPの搬送方向である。)の画像濃度が段階的に異なるように形成された画像パターンである。
詳しくは、図10に示すように、本実施の形態では、イエローで形成した階調画像パターンPYと、ブラックで形成した階調画像パターンPKと、マゼンタで形成した階調画像パターンPMと、シアンで形成した階調画像パターンPCと、が1枚のシートP´(調整シート)に、通常の画像形成動作とは異なるタイミング(例えば、ウォーミングアップ時である。)で形成される。4色の階調画像パターンPY、PK、PM、PCは、いずれも、主走査方向(幅方向)の画像濃度(画像面積率)が同等となるように形成された4つの帯状のパターン(階調部分P1~P4)が副走査方向(搬送方向)に間隔をあけて形成されたものである。また、それぞれの階調部分P1~P4は、画像濃度(画像面積率)が段階的に異なるように形成されている。具体的に、P1、P2、P3、P4の順に画像濃度(画像面積率)が20%、40%,70%、100%と高くなるように形成されている。
なお、本実施の形態では、1つのシートPに、4色の階調画像パターンPY、PK、PM、PCを形成したが、1つのシートPごとに1色の階調パターンを形成しても良い。また、本実施の形態では、階調画像パターンに4段階の階調部分P1~P4を形成したが、階調部分の個数はこれに限定されない。
また、本実施の形態では、階調画像パターンにおける4つの階調部分P1~P4の画像濃度(画像面積率)がそれぞれ20%、40%,70%、100%となるように設定したが、これらの階調部分P1~P4の画像濃度(画像面積率)はこれらの数値に限定されず、使用環境などに応じて適宜最適な数値に設定することができる。
【0030】
そして、「濃度偏差調整モード」では、次に、ラインセンサ70(濃度偏差検出手段)によって、図9(B)に示すように、階調画像パターンPY、PK、PM、PC(画像パターン)の主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を検出する(第1検出工程である。)。
具体的に、ラインセンサ70によって、階調画像パターンPY、PK、PM、PCの主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差が、副走査方向(搬送方向)の段階的に画像濃度の異なる複数の階調部分P1~P4についてそれぞれ検出される。すなわち、各色のそれぞれの階調部分P1~P4について、主走査方向(幅方向)の画像濃度の分布が、ラインセンサ70によって光学的に検出されることになる。
【0031】
そして、図9(C)に示すように、第1検出工程の検出結果に基づいて制御部180(調整手段)によって主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差が調整されることになる。
詳しくは、図9(B)に示す検出結果から、各色の階調部分P1~P4ごとの画像濃度偏差(画像差)が求められる。そして、設定された画像濃度(狙いの画像濃度)になるように、図9(C)に示すように、主走査方向(幅方向)にわたって書込み補正量が求められる。具体的には、先に説明したように、主走査方向(幅方向)に複数分割した領域ごとに感光体の表面に照射される露光光の光量(出力)が最適化されて、感光体表面上の露光電位(潜像電位)が領域ごとに最適化されて、調整前に比べて主走査方向(幅方向)にわたって画像濃度が均一化されることになる。
しかし、装置の使用環境の変動や機械差や機械劣化などによる光量感度(露光装置101から射出される露光光の変化に対する画像濃度の変化の度合いである。)の違いによって、そのままでは、主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差のバラツキが充分に解消していない可能性がある。そのため、本実施の形態では、「濃度偏差調整モード」において、以下のような工程を追加しておこなっている。
【0032】
図9(C)で説明した調整工程がおこなわれた後(調整後)に、図9(D)に示すように、プリンタエンジン100(画像形成部)によって画像担持体としてのシートP´´(図9(A)にて画像パターンPY、PK、PM、PCが形成されたシートP´とは別のシートである。)の表面に、第2の画像パターンとして階調パターンパターンPY、PK、PM、PC(図10参照)を形成する。この第2の画像パターンとして階調パターンパターンPY、PK、PM、PCを形成する工程は、図9(C)で説明した調整が反映されている点を除き、図9(A)のものと同様の工程となる。
そして、ラインセンサ70(濃度偏差検出手段)によって、図9(E)の左図に示すように、階調画像パターンPY、PK、PM、PC(第2の画像パターン)の主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を検出する(第2検出工程である。)。すなわち、調整後の主走査方向の画像濃度の分布が、図9(B)の調整前のものと同様に、ラインセンサ70によって光学的に検出されることになる。
【0033】
そして、図9(F)、(G)に示すように、その第2検出工程の検出結果に基づいて制御部180(調整手段)によって主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を調整するときの割合(光量感度である。)が補正されることになる。
ここで、図9(E)の右図を参照して、この「光量感度(割合)」(調整手段によって主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を調整するときの割合である。)は、主走査方向(幅方向)の領域ごとの、露光光の光量の変化と、画像濃度の変化と、の関係から得られる直線の傾きaとしての光量感度である。すなわち、主走査方向(幅方向)の各領域について、調整前後のデータから、図9(E)の右図に示すような、露光量(X)と画像濃度(Y)との関係式(直線:Y=aX)を導くことができ、その直線の傾きaを光量感度としている。この光量感度(傾きa)は、装置の使用環境の変動や機械差や機械劣化などにより変化するものであるため、調整工程において同じように濃度偏差調整をしても、その結果にバラツキが生じてしまうものである。
【0034】
具体例として、低温低湿環境下では、トナーの帯電量が上がるので、画像濃度を確保するために現像ポテンシャルを大きくするように露光光の光量を強めることになる。このときの光量を仮に100%として、光量を1%変化させたときに、画像濃度が「1(1/100)」変わることになる。
これに対して、高温高湿環境下では、トナーの帯電量が下がるので、低温低湿環境下と同じ画像濃度を得るためには、現像ポテンシャルを小さくするように露光光の光量を弱めることになる。このときの光量を仮に50%として、光量を1%変化させたときには、画像濃度が「2(1/50)」変わることになる。
なお、露光光の光量と画像濃度との関係は、常に1対1となるものではなく、上記具体例は、あくまで一例である。
【0035】
そのため、本実施の形態では、図9(F)に示すように、調整後の画像濃度が狙いの画像濃度になるように光量感度の補正(傾きaから傾きa´への補正である。)をおこなっている。すなわち、調整後の画像濃度(Y)が狙いの画像濃度になるように、露光量(X)と画像濃度(Y)との関係式(直線:Y=a´X)を補正している。
換言すると、第2の画像パターンの検出結果に基づいて補正される「光量感度(割合)」は、主走査方向(幅方向)の領域ごとの画像濃度が狙いの画像濃度になるように、領域ごとに補正される光量感度であることになる。
そのため、図9(G)に示すように、主走査方向(幅方向)にわたって画像濃度が均一化されることになる。
そして、このようにして濃度偏差調整モードが完了した後は、このように補正された光量感度(関係式(Y=a´X))にて、露光装置101が駆動されて通常の画像形成動作(印刷)がおこなわれることになる。
【0036】
このように、本実施の形態では、従来のもののように使用環境の変動を現像ガンマ(作像能力)の変化量で管理するのではなく、画像の幅方向(主走査方向)の濃度偏差の調整が実行されるたびに、光量感度の更新をおこなっている。
特に、本実施の形態では、トナーやシートPの余計な消費をせずに、画像の幅方向(主走査方向)の濃度偏差の調整が実行されるたびに光量感度を再取得して、常に最新の光量感度で幅方向(主走査方向)の濃度偏差の補正制御をおこなっている。
【0037】
ここで、本実施の形態では、濃度偏差調整モードが実行された後に制御部180(調整手段)によって光量感度(割合)が補正されて調整されたまま画像形成動作がおこなわれて、次に前記濃度偏差調整モードが実行されたときに光量感度(割合)が更新されるようにしている。
すなわち、濃度偏差調整モードが実行されるたびに、光量感度が更新されて、次に濃度偏差調整モードが実行されるまで、更新された光量感度にて画像形成動作(印刷)がおこなわれることになる。
これにより、経時においても、主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差が充分に軽減されることになる。
【0038】
なお、本実施の形態において、濃度偏差調整モードは、制御部180(調整手段)によって主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を調整するときの光量感度(割合)を、異なる画像濃度ごとに補正している。
すなわち、各色の階調パターンパターンPY、PK、PM、PC(図10参照)に基づいて、各色の各階調ごとに主走査方向の各領域の光量感度を補正している。
これにより、印刷される画像の色や画像濃度に関わらず、主走査方向(幅方向)の画像濃度ムラの発生を減ずることが可能になる。
【0039】
このように、本実施の形態における画像形成装置1においておこなわれる画像形成方法は、以下のような特徴的な工程を備えたものである。
すなわち、図9(A)に示すように画像担持体(シートP´)の表面に主走査方向(幅方向)の画像濃度が同等となるように画像パターン(階調パターンPY、PK、PM、PC)を形成する工程と、図9(B)に示すように画像パターンの主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を検出する第1検出工程と、図9(C)に示すように第1検出工程の検出結果に基づいて主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を調整する調整工程と、図9(D)に示すように調整工程の後に前記画像担持体の表面に第2の前記画像パターン(階調パターンPY、PK、PM、PC)を形成する工程と、図9(E)に示すように第2の画像パターンの主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を検出する第2検出工程と、図9(F)、(G)に示すように第2検出工程の検出結果に基づいて主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を調整するときの割合(光量感度)を補正する工程と、を備えている。
これにより、光量感度(割合)の補正を行わない場合に比べて、主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を充分に軽減することができる。
【0040】
図11は、濃度偏差調整モード時の制御を示すフローチャートである。
図11に示すように、まず、「濃度偏差調整モード」を実行するタイミングであるかが判別されて(ステップS1)、実行するタイミングであると判別された場合に階調画像パターンPY、PK、PM、PCが形成されたシートP´(1枚目のシート)がラインセンサ70の位置に向けて搬送される(ステップS2)。なお、「濃度偏差調整モード」を実行するタイミングは、例えば、累積プリント枚数が所定枚数に達した後のウォーミングアップ時などのように、予め設定されている。また、先に図8を用いて説明したように、ユーザーなどの操作者による操作によって、任意のタイミングで「濃度偏差調整モード」を実行することもできる。
その後、ラインセンサ70によって、階調画像パターンPY、PK、PM、PCのすべての階調部分P1~P4の主走査方向の画像濃度偏差が検出される(ステップS3)。そして、それらの検出結果に基づいて画像濃度偏差調整がおこなわれる(ステップS4)。すなわち、領域ごとの露光量が調整される。
その後、ステップS4の調整結果を反映して、階調画像パターンPY、PK、PM、PCが形成された別のシートP´´(2枚目のシート)がラインセンサ70の位置に向けて搬送される(ステップS5)。そして、ラインセンサ70によって、階調画像パターンPY、PK、PM、PCのすべての階調部分P1~P4の主走査方向の画像濃度偏差が検出される(ステップS6)。
そして、最後に、それらの検出結果に基づいて光量感度の補正がおこなわれる(ステップS7)。すなわち、領域ごとの露光量が再調整される。
こうして、一連の濃度偏差調整モードが終了する。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置1は、所定の搬送方向に搬送されるシートP(画像担持体)の表面に画像を形成するプリンタエンジン100(画像形成部)と、シートPの表面に形成された画像におけるにおける主走査方向(シートPの搬送方向に直交する幅方向である。)の画像濃度偏差を検出するラインセンサ70(濃度偏差検出手段)と、プリンタエンジン100によって形成する画像における主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を調整する制御部180(調整手段)と、が設けられている。そして、プリンタエンジン100によってシートPの表面に、主走査方向(幅方向)の画像濃度が同等となるように階調画像パターンPY、PK、PM、PC(画像パターン)を形成して、ラインセンサ70によって階調画像パターンPY、PK、PM、PCの主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を検出して、その検出結果に基づいて制御部180によって主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を調整して、その調整後にプリンタエンジン100によってシートPの表面に階調パターンPY、PK、PM、PC(第2の前記画像パターン)を形成して、ラインセンサ70によって階調パターンPY、PK、PM、PC(第2の画像パターン)の主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を検出して、その検出結果に基づいて制御部によって主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を調整するときの光量感度(割合)を補正する「濃度偏差調整モード」を実行可能に構成している。
これにより、主走査方向(幅方向)の画像濃度偏差を充分に軽減することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、ラインセンサ70(濃度偏差検出手段)を定着装置104の下流側に設置したが、ラインセンサ70の位置はこれに限定されることなく、画像形成部を通過したシートP(画像パターンが形成されたシートP´)が搬送される搬送経路中であれば良い。
また、本実施の形態では、画像担持体としてのシートPに階調画像パターンを形成して、シートP上の階調画像パターンの濃度偏差をラインセンサ70(濃度偏差検出手段)で検出した。しかし、階調画像パターンが形成される画像担持体はシートに限定されることなく、例えば、画像担持体としての中間転写ベルト130に階調画像パターンを形成して、中間転写ベルト130上の階調画像パターンの濃度偏差を、中間転写ベルト130に対向するように配置された濃度偏差検出手段で検出することもできる。
また、本実施の形態では、中間転写ベルト130に対向するように並設された4色の感光体の配列が、上流側からシアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、イエロー(Y)の順となる画像形成装置1に対して本発明を適用したが、感光体の配列はこれに限定されることなく、例えば、4色の感光体の配列が、上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順となる画像形成装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0043】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 画像形成装置、
70 ラインセンサ(濃度偏差検出手段)、
101 露光装置(画像形成部)、
120y、120k、120m、120c 感光体(画像形成部)、
130 中間転写ベルト(画像形成部)、
180 制御部(調整手段)、
P、P´、P´´ シート(画像担持体)、
PY、PK、PM、PC 階調画像パターン(画像パターン)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【文献】特開2019-101125号公報
図1
図2
図3
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図5
図6
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図11