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特許7576358急性骨髄性白血病の遺伝子パネル検査のためのアンプリコンDNAライブラリー、キット及びそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】急性骨髄性白血病の遺伝子パネル検査のためのアンプリコンDNAライブラリー、キット及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20241024BHJP
   C12Q 1/6886 20180101ALI20241024BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20241024BHJP
   C40B 40/06 20060101ALI20241024BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20241024BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12Q1/6886 Z
C12Q1/686 Z
C40B40/06
C12Q1/6869 Z
C12N15/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023520879
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2022013161
(87)【国際公開番号】W WO2022239485
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2021081309
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002480
【氏名又は名称】弁理士法人IPアシスト
(72)【発明者】
【氏名】小野澤 真弘
【審査官】平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-519345(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0377935(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0052571(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0244901(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110511983(CN,A)
【文献】DOHNER, H. et al.,Blood,2017年,Vol.129, No.4,pp.424-447
【文献】日本血液学会監訳,急性骨髄性白血病,NCCN Clinical Practice Guidelines in oncology(NCCN Guicelines),第2版,2014年
【文献】TSAI, H. K. et al.,The Journal of Molecular Diagnostics,2020年,Vol.22, No.9,pp.1162-1178
【文献】小林孝史 イルミナ株式会社,NGSの新たな利用法 Tailed PCR法を用いたライブラリー調製,ウェビナー資料,2014年,https://jp.illumina.com/content/dam/illumina-marketing/apac/japan/documents/pdf/2014_techsupport_session5.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12Q 1/00- 3/00
C40B 40/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項5】
表2-1及び2-2に示されるプライマーセット1~19を含む、次世代シークエンシングによる急性骨髄性白血病の遺伝子パネル検査のためのキットであって、プライマーセットを構成するフォワードプライマーの5’末端側にフォワードオーバーハング配列が、リバースプライマーの5’末端側にリバースオーバーハング配列がさらに付加されていてもよく、ここでフォワードオーバーハング配列は次世代シークエンシングのための第一のアダプター配列を付加するための配列であり、リバースオーバーハング配列は次世代シークエンシングのための第二のアダプター配列を付加するための配列である、前記キット。
【表2-1】
【表2-2】
【請求項12】
請求項8、10又は11に記載の方法によって製造されたアンプリコンDNAライブラリーに含まれるアンプリコンの塩基配列を次世代シーケンサーにより解析することを含む、患者の造血系細胞における遺伝子変異を解析する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急性骨髄性白血病の遺伝子パネル検査のためのアンプリコンDNAライブラリー、アンプリコンDNAライブラリー調製用キット、アンプリコンDNAライブラリーを製造する方法、及び患者の造血系細胞における遺伝子変異を解析する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
造血器腫瘍においては、治療標的のみならず、診断、予後予測にも遺伝子変異解析が必要である。欧米のガイドラインでは予後予測のために急性骨髄性白血病(AML)診断時に複数の遺伝子変異の有無を確認することが推奨されているが(例えば欧州についてはEuropean Leukemia Netガイドライン(非特許文献1)、米国についてはNational Comprehensive Cancer Networkガイドライン(非特許文献2)を参照されたい)、現在の日本では、造血器腫瘍に対して多くの遺伝子変異を調べることができるパネル検査に保険は適用されない。
【0003】
固形がんについては標準治療のない症例で治療標的薬を見つけるための網羅的遺伝子変異解析が保険適用となっているが、造血器腫瘍では固形がんと異なる遺伝子や融合遺伝子を標的とする必要がある。造血器腫瘍の網羅的遺伝子変異解析を可能にする大規模シークエンスパネルの開発も進められているが、使用するシークエンスパネルが高額である、1遺伝子領域あたりのシークエンス深度が浅くなるため微小残存病変の評価には適さない等の問題が指摘されている。
【0004】
AMLに関しては、分子標的療法の標的となるFLT3変異の解析を目的としたコンパニオン試薬(リューコストラットCDx FLT3変異検査)が、保険適用となっている。しかし、検査に要する費用は高額であり、1症例につき保険算定は一回のみいう制限がある。この回数制限のため、AMLの初発時や再発時などその時々に遺伝子変異解析を行うことができない。例えばFLT3変異の一つである内部縦列重複変異(internal tandem duplication、ITD)は、AML発症時には変異陰性でも経過中に変異陽性に転じたり、AML発症時には変異陽性でも治療経過中に消失したりすることがあるが、検査回数の制限は、分子標的治療の有効な症例を見逃したり、高額なFLT阻害剤の無駄な投与を招く等の問題を生じさせる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Dohner H, et al: Diagnosis and management of AML in adults: 2017 ELN recommendations from an international expert panel. Blood 129:424-447, 2017.
【文献】O'Donnell MR, et al: Acute Myeloid Leukemia, Version 3.2017, NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. J Natl Compr Canc Netw 15:926-957, 2017.
【発明の概要】
【0006】
本発明は、AMLにおいて臨床上有用とされる遺伝子変異を安価かつ迅速に検査する手段を提供する。
【0007】
本発明者らは、AMLにおいて報告されている多数の遺伝子変異の中から高い臨床上有用性を持つ遺伝子変異を選抜し、それらを含む所定の範囲内の長さのゲノム領域を標的変異領域として設定した。さらに当該領域を特異的に増幅するためのプライマーセットを選抜し、これを用いたターゲットリシーケンス解析によって有用な遺伝子変異を簡便かつ安価に検出することができる事を見出した。
【0008】
本開示は、以下を提供する。
項1. 表1に示されるアンプリコン1~9を含む、次世代シークエンシングによる急性骨髄性白血病の遺伝子パネル検査のためのアンプリコンDNAライブラリーであって、
アンプリコンが、5'末端側から順に、次世代シークエンシングのための第一のアダプター配列と、患者の造血系細胞ゲノムDNA中の表1に示される標的変異領域の塩基配列と、次世代シークエンシングのための第二のアダプター配列とを含むDNA鎖、及びその相補鎖から構成され、前記アダプター配列の少なくとも一方に5~20塩基のインデックス配列を含む、前記DNAライブラリー。
【表1】
項2. 表1に示されるアンプリコン1~19を含む、項1に記載のDNAライブラリー。
項3. 第一のアダプター配列が、5'末端側から順に、配列番号20の塩基配列、インデックス配列1、及び配列番号21の塩基配列が連結された配列からなり、第二のアダプター配列が、5'末端側から順に、配列番号22の塩基配列、インデックス配列2、及び配列番号23の塩基配列が連結された配列からなり、インデックス配列1が0個又は8個の塩基からなり、インデックス配列2が8個の塩基からなる、項1又は2に記載のDNAライブラリー。
項4. 項1~3のいずれか一項に記載のDNAライブラリーに含まれるアンプリコンの塩基配列を次世代シーケンサーにより解析することを含む、患者の造血系細胞における遺伝子変異を解析する方法。
項5. 表2-1に示されるプライマーセット1~9を含む、次世代シークエンシングによる急性骨髄性白血病の遺伝子パネル検査のためのキットであって、プライマーセットを構成するフォワードプライマーの5'末端側にフォワードオーバーハング配列が、リバースプライマーの5'末端側にリバースオーバーハング配列がさらに付加されていてもよく、ここでフォワードオーバーハング配列は次世代シークエンシングのための第一のアダプター配列を付加するための配列であり、リバースオーバーハング配列は次世代シークエンシングのための第二のアダプター配列を付加するための配列である、前記キット。
【表2-1】
項6. さらに表2-2に示されるプライマーセット10~19を含む、項5に記載のキットであって、プライマーセットを構成するフォワードプライマーの5'末端側にフォワードオーバーハング配列が、リバースプライマーの5'末端側にリバースオーバーハング配列がさらに付加されていてもよく、ここでフォワードオーバーハング配列は次世代シークエンシングのための第一のアダプター配列を付加するための配列であり、リバースオーバーハング配列は次世代シークエンシングのための第二のアダプター配列を付加するための配列である、前記キット。
【表2-2】
項7. プライマーセットを構成するフォワードプライマーの5'末端側に配列番号21の塩基配列からなるフォワードオーバーハング配列が、リバースプライマーの5'末端側に配列番号62の塩基配列からなるリバースオーバーハング配列がさらに付加されている、項5又は6に記載のキット。
項8. 表2-1に示されるプライマーセット1~9を用いて、患者の造血系細胞ゲノムDNAを鋳型としたPCR反応を行うことを含む、アンプリコンDNAライブラリーを製造する方法であって、プライマーセットを構成するフォワードプライマーの5'末端側にフォワードオーバーハング配列が、リバースプライマーの5'末端側にリバースオーバーハング配列がさらに付加されていてもよく、ここでフォワードオーバーハング配列は次世代シークエンシングのための第一のアダプター配列を付加するための配列であり、リバースオーバーハング配列は次世代シークエンシングのための第二のアダプター配列を付加するための配列である、前記方法。
項9. 表2-2に示されるプライマーセット10~19を用いて、患者の造血系細胞ゲノムDNAを鋳型としたPCR反応を行うことをさらに含む、項8に記載の方法であって、プライマーセットを構成するフォワードプライマーの5'末端側にフォワードオーバーハング配列が、リバースプライマーの5'末端側にリバースオーバーハング配列がさらに付加されていてもよく、ここでフォワードオーバーハング配列は次世代シークエンシングのための第一のアダプター配列を付加するための配列であり、リバースオーバーハング配列は次世代シークエンシングのための第二のアダプター配列を付加するための配列である、前記方法。
項10. プライマーセットを構成するフォワードプライマーの5'末端側に配列番号21の塩基配列からなるフォワードオーバーハング配列が、リバースプライマーの5'末端側に配列番号62の塩基配列からなるリバースオーバーハング配列がさらに付加されている、項8又は9に記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、患者の造血系細胞由来ゲノムDNAに含まれる遺伝子変異を並列的に検査し、AMLの診断や治療方針決定に資する情報を、次世代シークエンス(NGS)を利用した従来の網羅的なAML遺伝子パネルと比較して安価かつ簡便に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】アンプリコン1に含まれる標的変異領域を示す図である。
図2】アンプリコン2に含まれる標的変異領域を示す図である。
図3】アンプリコン3に含まれる標的変異領域を示す図である。
図4】アンプリコン4に含まれる標的変異領域を示す図である。
図5】アンプリコン5に含まれる標的変異領域を示す図である。
図6】アンプリコン6に含まれる標的変異領域を示す図である。
図7】アンプリコン7に含まれる標的変異領域を示す図である。
図8】アンプリコン8に含まれる標的変異領域を示す図である。
図9】アンプリコン9に含まれる標的変異領域を示す図である。
図10】アンプリコン10に含まれる標的変異領域を示す図である。
図11】アンプリコン11に含まれる標的変異領域を示す図である。
図12】アンプリコン12に含まれる標的変異領域を示す図である。
図13】アンプリコン13に含まれる標的変異領域を示す図である。
図14】アンプリコン14に含まれる標的変異領域を示す図である。
図15】アンプリコン15に含まれる標的変異領域を示す図である。
図16】アンプリコン16に含まれる標的変異領域を示す図である。
図17】アンプリコン17に含まれる標的変異領域を示す図である。
図18】アンプリコン18に含まれる標的変異領域を示す図である。
図19】アンプリコン19に含まれる標的変異領域を示す図である。
図20】AMLコンパクトパネルに相当するアンプリコンDNAライブラリーに含まれる各標的変異領域のリード数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、一態様において、表1に示されるアンプリコン1~19(以下、各々、単にアンプリコン1~19と呼ぶ)よりなる群から選択される少なくとも2種類のアンプリコンを含む、NGSによるAMLの遺伝子パネル検査のためのアンプリコンDNAライブラリー(以下、単にライブラリーとも呼ぶ)を提供する。
【0012】
アンプリコン
NGSは、多数のシークエンシング反応を並行して同時に実行することで、多数のDNA断片の塩基配列を同時に決定することができる技術であり、様々な原理に基づいたプラットフォームが開発されている。例えば、Illumina社の次世代シークエンサー(MiSeq、HiSeq、NextSeq、MiniSeq等)は、ブリッジPCR法及びSequencing By Synthesis (SBS) 法を採用したNGSプラットフォームであり、フローセル上で1種類のDNAクラスターを形成させ、それぞれ異なる蛍光色素で標識された4種のヌクレオチド(可逆的ターミネーター)を用いて一塩基ずつシークエンスが行われる。また、Thermo Fisher Scientific社の次世代シークエンサー(Ion Torrentシステム、例えばIon GeneStudioTM S5、Ion PGMTM、Ion ProtonTM等)は、エマルジョンPCR法及び半導体による検出を採用したNGSプラットフォームであり、ビーズ上で1種類のDNAをクローン増幅し、DNAポリメラーゼによってヌクレオチドがDNA鎖に取り込まれる際に放出される水素イオンによるpH変化を半導体チップで検出することでシークエンスが行われる。
【0013】
本発明の一態様において提供されるライブラリーは、AMLの遺伝子パネル検査のために用いられる。遺伝子パネル検査は、患者の造血系細胞ゲノムDNA中の表1に示される標的変異領域(以下、患者造血系細胞ゲノム中の標的変異領域とも呼ぶ)に存在する遺伝子変異を、NGSを用いて検出することで行われる。NGSを用いた塩基配列解析を可能にするため、アンプリコンは、患者造血系細胞ゲノム中の標的変異領域の塩基配列に加えて、その5'末端側及び3'末端側にNGSのための第一のアダプター配列及び第二のアダプター配列(以下、それぞれ単に第一のアダプター配列及び第二のアダプター配列とも呼ぶ)を含む。すなわち、アンプリコンは、5'末端側から順に、第一のアダプター配列と、患者の造血系細胞ゲノムDNA中の標的変異領域の塩基配列と、第二のアダプター配列とを含む又はこれらからなるDNA鎖、及びその相補鎖から構成される。
【0014】
アダプター配列
アダプター配列は、NGSを用いた解析のために解析対象の塩基配列に付加される配列である。アダプター配列は、使用されるNGSプラットフォームに応じて適宜設定することができ、例えば支持体結合配列、シークエンスプライマー結合配列及びインデックス配列を含む。
【0015】
支持体結合配列は、支持体(フローセル、ビーズ等)上に固定されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることで、解析対象DNA分子を支持体に結合させる塩基配列である。支持体結合配列の例としては、Illumina社のNGSプラットフォームで使用されるP5配列及びP7配列、Thermo Fisher Scientific社のNGSプラットフォームで使用されるP1アダプター等を挙げることができる。
【0016】
シークエンスプライマー結合配列は、シークエンス反応において使用されるシークエンスプライマーとハイブリダイズする配列である。シークエンスプライマー結合配列の例としては、Illumina社のNGSプラットフォームで使用されるリード1シークエンスプライマー(R1SP)及びリード2シークエンスプライマー(R2SP)、Thermo Fisher Scientific社のNGSプラットフォームで使用されるAアダプター等を挙げることができる。
【0017】
インデックス配列(インデックス、バーコード配列とも呼ばれる)は、NGSにおいて異なる複数の検体由来のライブラリーを一度のランで同時に塩基配列解析(マルチプレックス解析)するために用いられる、各検体に固有の識別配列である。本発明において、アンプリコンは、アダプター配列中に5~20塩基、好ましくは6~16塩基のインデックス配列を含むことができる。インデックス配列は、第一のアダプター配列及び第二のアダプター配列の一方に含まれても(シングルインデックス)、両方に含まれてもよい(デュアルインデックス)。シングルインデックス、デュアルインデックスのいずれを採用するか、また使用するインデックス配列の塩基数は、同時並行で解析する検体の数に応じて選択すればよい。
【0018】
Illumina社のNGSプラットフォームを使用する場合の好ましい実施形態において、第一のアダプター配列は、5'末端側から順に、配列番号20の塩基配列(5'-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC-3'、P5配列)、インデックス配列1、及び配列番号21の塩基配列(5'-TCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACAG-3'、R1SP)が連結された配列からなり、第二のアダプター配列は、5'末端側から順に、配列番号22の塩基配列(5'-CTGTCTCTTATACACATCTCCGAGCCCACGAGAC -3'、R2SPの相補配列)、インデックス配列2、及び配列番号23の塩基配列(5'- ATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG -3'、P7配列の相補配列)が連結された配列からなり、ここでインデックス配列1は0個又は8個の塩基からなり、インデックス配列2は8個の塩基からなる。
【0019】
標的変異領域
本発明において利用される標的変異領域は、遺伝子変異が高頻度で起こる部位(ホットスポット)を含むヒトゲノムDNA領域である。標的変異領域の位置、サイズ及び塩基配列の配列番号は、ヒトリファレンスゲノムGRCh38/hg38の座標を参照して表1に示される。
【0020】
標的変異領域は、表2-1及び表2-2に示される各プライマーセットを用いたPCRによって増幅することができる、したがって、標的変異領域は、ヒトゲノムDNA中の、当該標的変異領域の増幅のための表2-1及び表2-2に示されるプライマーセットを構成するフォワードプライマーの塩基配列をその5'末端に、リバースプライマーの塩基配列に相補的な塩基配列をその3'末端に有する領域と表すこともできる。各々の標的変異領域とその両端に存在するプライマーの塩基配列を、図1~19にヒトリファレンスゲノム配列(GRCh38/hg38)を参照して示す。
【0021】
標的変異領域において高頻度で発生する遺伝子変異は、AMLの診断、治療法選択及び予後予測の各観点で十分なエビデンスを有しており、臨床的有用性が高いと評価されている変異である(日本血液学会・造血器腫瘍ゲノム検査ガイドライン2020年度版、URL http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_1.html)。以下、標的変異領域に含まれる遺伝子変異の代表例について、上記のガイドライン等の文献から公知の情報に基づいて臨床的意義を説明する。
【0022】
なお、臨床的意義の説明において言及されるFLT3阻害剤とは、受容体型チロシンキナーゼであるFLT3に対する分子標的薬である。遺伝子変異を生じたFLT3はその変異の種類に応じて不活性型又は活性型の立体構造をとるが、FLT3阻害剤のタイプ1は不活性型構造及び活性型構造両方のFLT3に、タイプ2は不活性型構造のFLT3のみに作用する。タイプ1のFLT3阻害剤としては、第1世代のミドスタウリン及びレスタウルチニブ、第2世代のギルテリチニブ及びクレノラニブ等を挙げることができる。タイプ2のFLT3阻害剤としては、第1世代のソラフェニブ、第2世代のキザルチニブ等を挙げることができる。以下の説明において単にFLT3阻害剤と呼ぶ場合は、タイプ1、タイプ2両方のFLT3阻害剤を指す。
【0023】
アンプリコン1に含まれる標的変異領域は、FLT3遺伝子のエクソン14及び15を含む領域である(図1)。FLT3遺伝子のエクソン14には縦列重複配列挿入(ITD: internal tandem duplication)と呼ばれる変異が集積する部位が存在し、ITD変異が起こるとこの部位に6~100bp程度の塩基の挿入が生じることが確認されている。
【0024】
この部位においてITD変異が検出されたAML患者は、予後不良であると予測することができる。またITD変異はFLT3の機能亢進をきたす変異であることから、ITD変異が検出されたAML患者は、FLT3阻害剤への適応があると判定することができる。
【0025】
また、NGSによって検出された1塩基変異は、患者のゲノムDNA上の変異を反映したものではなくPCRやシークエンスの際のエラーである可能性もあるため、特に微小残存病変の評価のように微量の変異DNAの検出が求められる場合に評価指標として適切でないこともある。ITD変異は特定の部位に配列が重複挿入される変異であり、上記のようなエラーでは生じ得ない変異であることから、ITD変異が検出されたAML患者は、微小残存病変を有する可能性が高いと判定することができる。
【0026】
アンプリコン2に含まれる標的変異領域は、FLT3遺伝子のエクソン16を含む(図2)。FLT遺伝子エクソン16にはN676K/D/I/S変異を生じる部位が存在する。N676K/D/I/S変異はFLT3の機能獲得変異であることから、この変異が検出されたAML患者は、FLT3阻害剤への適応があると判定することができる。また、この変異が検出されたAML患者は、ミドスタウリン耐性である可能性が高いと判定することができる。
【0027】
アンプリコン3に含まれる標的変異領域は、FLT3遺伝子のエクソン17を含む(図3)。FLT遺伝子エクソン17にはF691L変異を生じる部位が存在する。F691L変異は、FLT3のATP結合ポケット内のゲートキーパー部位における変異(ゲートキーパー変異)であり、FLT3阻害剤に対する耐性を付与する。したがって、F691L変異が検出されたAML患者は、全てのFLT3阻害剤に対して耐性である可能性が高いと判定することができる。
【0028】
アンプリコン4に含まれる標的変異領域は、FLT3遺伝子のエクソン20を含む(図4)。FLT遺伝子エクソン20にはD835Y/F/I/H/V/A変異及びY842C/H/N変異を生じる部位が存在する。D835Y/F/I/H/V/A変異及びY842C/H/N変異はいずれもFLT3の機能獲得変異である。これらの変異が検出されたAML患者は、タイプ1のFLT3阻害剤への適応があり、一方、タイプ2のFLT3阻害剤に耐性である可能性が高いと判定することができる。
【0029】
アンプリコン5~8に含まれる標的変異領域は、CEBPA遺伝子のエクソン1を含む(図5~8)。CEBPA遺伝子エクソン1の5'末端側配列及び3'末端側配列の両方に変異(CEBPA二重変異)が検出されたAML患者は、予後良好であると予測することができる。また、CEBPA遺伝子エクソン1にはc.578_583del6多型と呼ばれる6塩基が欠失する遺伝子多型が存在する(図7、遺伝子多型番号 rs1002805239)。
【0030】
アンプリコン9に含まれる標的変異領域は、NPM1遺伝子のエクソン11を含む(図9)。NPM1遺伝子エクソン11には956~959番目の4塩基が重複挿入される変異を生じる部位が存在する。この挿入変異が検出されたAML患者は、予後良好であると予測することができる。また、この挿入変異は特定の部位に配列が重複挿入される変異であり、PCRやシークエンスの際のエラーでは生じ得ない変異であることから、この挿入変異が検出されたAML患者は、微小残存病変を有する可能性が高いと判定することができる。
【0031】
アンプリコン10に含まれる標的変異領域は、KIT遺伝子のエクソン17を含む(図10)。KIT遺伝子エクソン17にはD816V/H/Y変異及びN822K/H/I変異を生じる部位が存在する。これらの変異のいずれかが検出されたCore binding factor-AML(CBF-AML)患者は、予後不良であると予測することができる。
【0032】
アンプリコン11に含まれる標的変異領域は、ASXL1遺伝子のエクソン13を含む(図11)。ASXL1遺伝子エクソン13にはY591*変異及びR693*変異を生じる部位が存在する。この変異が検出されたAML患者は、予後不良であると予測することができる。
【0033】
アンプリコン12に含まれる標的変異領域はTP53遺伝子のエクソン3-4を含み、アンプリコン13に含まれる標的変異領域はTP53遺伝子のエクソン5を含み、アンプリコン14に含まれる標的変異領域はTP53遺伝子のエクソン6-7を含む(図12~14)。TP53遺伝子エクソン3~7のいずれかに変異が検出されたAML患者は、予後不良であると予測することができる。
【0034】
アンプリコン15に含まれる標的変異領域は、IDH1遺伝子のエクソン2を含む(図15)。IDH1遺伝子エクソン2にはR132H変異を生じる部位が存在する。この変異が検出されたAML患者は、IDH1阻害剤、例えばイボシデニブ等への適応があると判定することができる。
【0035】
アンプリコン16に含まれる標的変異領域は、IDH2遺伝子のエクソン4-5を含む(図16)。IDH2遺伝子エクソン4-5にはR140Q変異を生じる部位が存在する。この変異が検出されたAML患者は、IDH2阻害剤、例えばエナシデニブ等への適応があると判定することができる。
【0036】
アンプリコン17に含まれる標的変異領域はRUNX1遺伝子のエクソン3を含み、アンプリコン18に含まれる標的変異領域はRUNX1遺伝子のエクソン4を含み、アンプリコン19に含まれる標的変異領域はRUNX1遺伝子のエクソン5を含む(図17~19)。RUNX1遺伝子のエクソン3~5のいずれかに変異が検出されたAML患者は、予後不良であると予測することができる。
【0037】
上で説明した各アンプリコンに含まれる遺伝子変異の臨床的意義を表3に簡潔にまとめる。また、表4に、これらの遺伝子変異によって可能になる予後分類(表中の網掛けの箇所)を、公知のガイドライン(2017 ELN & 2019 NCCN Guideline)を参照して示す。なお、上で説明した具体的な遺伝子変異は代表的なものであり、各アンプリコンには他の遺伝子変異が含まれ得る。
【表3】
【表4】
【0038】
本発明において、アンプリコンに含まれる患者造血系細胞ゲノム中の標的変異領域の塩基配列は、患者の造血系細胞ゲノムDNAに含まれる遺伝子変異に応じて、ヒトゲノムリファレンス配列と異なるものであり得て、また患者ごとに異なるものであり得る。例えば、FLT3遺伝子のITD変異では6~100bp程度の塩基の挿入が生じるため、ITD変異を有する患者造血系細胞ゲノムDNAを鋳型として調製されるアンプリコンは、ヒトゲノムリファレンス配列中の標的変異領域よりも、6~100bp程度の長い標的変異領域の塩基配列を有する。
【0039】
本発明において、標的変異領域は、ヒトゲノムリファレンス配列の場合で297bp~400bpと、既存のAML遺伝子パネルで検査される領域よりも長く設定されており、これにより既存のAML遺伝子パネルよりも多くの変異情報を得ることができる。また、標的変異領域は、その長さが一定の範囲内に収まるように設定されており、これによってNGSプラットフォームやシークエンス条件を変えることなく、各アンプリコンの解析が可能である。
【0040】
アンプリコンDNAライブラリー
本発明におけるアンプリコンDNAライブラリーは、アンプリコン1~19のうちの少なくとも2種のアンプリコンを含むアンプリコンの集合体である。ライブラリーに含まれるアンプリコンの種類は、遺伝子パネル検査を実施する目的に応じて適宜選択することができる。
【0041】
例えば、目的が予後予測である場合、ライブラリーは、アンプリコン1、5~14及び17~19のうちの少なくとも2種のアンプリコンを含むことが好ましく、アンプリコン1及び5~9を含むことがより好ましい。また、目的が微小残存病変検出である場合、ライブラリーは、アンプリコン1及び9を含むことが好ましい。さらに、目的が分子標的検出である場合、ライブラリーは、アンプリコン1、2、4、15及び16のうちの少なくとも2種のアンプリコンを含むことが好ましく、アンプリコン1、2及び4を含むことがより好ましい。加えて、目的がFLT3阻害剤への耐性の検出である場合、ライブラリーは、アンプリコン2~4のうちの少なくとも2種のアンプリコンを含むことが好ましく、アンプリコン2~4を含むことがより好ましい。
【0042】
本発明の好ましい実施形態において、ライブラリーは、アンプリコン1~9を含む。また、本発明のさらに好ましい実施形態において、ライブラリーは、アンプリコン1~9に加えて、アンプリコン10~19のうちの1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種又は10種を含む。本発明の特に好ましい実施形態において、ライブラリーは、アンプリコン1~19を含む。上記のような構成のライブラリーを使用することによって、複数の目的に適合した遺伝子パネル検査を実施することができる。
【0043】
アンプリコン及びアンプリコンDNAライブラリーの製造
アンプリコン1~19は、個々のアンプリコンに対応する表2-1及び表2-2に示されるプライマーセットを用いて患者の造血系細胞由来のゲノムDNAを鋳型としたPCRを行い、得られた増幅産物に対して第一のアダプター配列及び第二のアダプター配列を付加することによって調製することができる。表2-1及び表2-2に示されるプライマーセットは、各アンプリコンに含まれる標的変異領域を特異的に増幅するためのプライマーセットである。
【0044】
また、アンプリコン1~19は、2-step tailed PCR法によって調製することもできる。具体的には、各アンプリコンに対応するプライマーセットを構成するフォワードプライマーの5'末端側にフォワードオーバーハング配列を、リバースプライマーの5'末端側にリバースオーバーハング配列を付加し、これらのオーバーハング配列を付加したプライマーセットを用いて患者の造血系細胞由来のゲノムDNAを鋳型とした1st PCRを行う。次いで、オーバーハング配列の全長又はその5'末端側部分配列とハイブリダイズする2nd PCR用プライマーセットを用いて1st PCRの増幅産物を鋳型とした2nd PCRを行うことによって、アンプリコン1~19を調製することができる。
【0045】
フォワードオーバーハング配列及びリバースオーバーハング配列は、次世代シークエンシングのためのアダプター配列を付加するための配列である。フォワードオーバーハング配列は、第一のアダプター配列の3'末端側部分配列に相当し、リバースオーバーハング配列は、第二のアダプター配列の5'末端側部分配列の相補配列に相当する。
【0046】
2nd PCR用プライマーの塩基配列は、オーバーハング配列の全長又はその5'末端側部分配列とハイブリダイズし、かつアンプリコン1~19を増幅することができるように、すなわち5'末端側から順に、第一のアダプター配列と、患者造血系細胞ゲノムDNA中の標的変異領域の塩基配列と、第二のアダプター配列とを含む又はこれらからなるDNA鎖及びその相補鎖から構成される二本鎖DNAを増幅することができるように、適宜設計することができる。
【0047】
2-step tailed PCR法によってIllumina社のNGSプラットフォームで解析されるアンプリコンを調製する実施形態において、好ましくは、以下のオーバーハング配列を有する1st PCR用プライマーセットが1st PCRに、以下の2nd PCR用プライマーセットが2nd PCRに用いられる。
1st PCR用プライマーセット フォワードプライマーのオーバーハング配列:
5'-TCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACAG-3'(配列番号21)
1st PCR用プライマーセット リバースプライマーのオーバーハング配列:
5'-GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAG-3'(配列番号62)
2nd PCR用プライマーセット フォワードプライマー:
5'-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC(配列番号20)-インデックス配列1-TCGTCGGCAGCGTC(配列番号63)-3'
2nd PCR用プライマーセット リバースプライマー:
5'- CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号64)-インデックス配列2- GTCTCGTGGGCTCGG(配列番号65)-3'
ここで好ましくは、インデックス配列1は0個又は8個の塩基からなり、インデックス配列2は8個の塩基からなる。2nd PCR用プライマーセットの例は、Nextera XT Index kit(Illumina社)に含まれるインデックスプライマーのセットである。
【0048】
あるいは、各アンプリコンに対応するプライマーセットを構成するフォワードプライマーの5'末端側に第一のアダプター配列を、リバースプライマーの5'末端側に第二のアダプター配列の相補配列を付加し、これらの配列を付加したプライマーセットを用いて患者の造血系細胞由来のゲノムDNAを鋳型としたPCRを行うことによって、アンプリコン1~19を調製することもできる。
【0049】
PCR反応の鋳型となる患者の造血系細胞由来のゲノムDNAは、患者から採取された造血系細胞を含む試料、例えば血液又は骨髄から、常法に従って抽出・精製することで調製することができる。
【0050】
患者の造血系細胞由来のゲノムDNAを鋳型としたPCR(2-step tailed PCR法の場合は1st PCR)の反応液組成及び反応条件等の反応系は、プライマーセット毎に異なるものであってもよいが、複数種のプライマーセットで同一とすることができ、後者の場合、複数種のプライマーセットを混合して1つの反応系でPCR反応を行う、いわゆるマルチプレックスPCRを行うこともできる。表2-1及び表2-2に示されるプライマーセット1~19は、全て同一条件でのPCR反応が可能である。
【0051】
アンプリコンDNAライブラリーは、各々個別に調製された少なくとも2種のアンプリコンを混合することで調製してもよく、マルチプレックスPCRを利用して少なくとも2種のアンプリコンを同時並行で増幅することで調製してもよい。2-step tailed PCR法の場合、1st PCRを各々個別に又はマルチプレックスで行い、得られた増幅産物を混合した後、2nd PCRをマルチプレックスで行うことでアンプリコンDNAライブラリーを調製することもできる。なお、使用するマルチプレックスPCRの反応系は、1種類であっても複数種であってもよく、例えばライブラリーに含まれる各アンプリコン数をより均一なものとするために2種又はそれ以上の反応系を使用することができる。
【0052】
ある実施形態において、プライマーセット1~4及び8~19を混合したプライマーミックスを用いてマルチプレックスPCRを行い、プライマーセット5~7を混合したプライマーミックスを用いて別のマルチプレックスPCRを行うことで、アンプリコンDNAライブラリーを調製することができる。
【0053】
PCR反応系の各条件、例えば反応液の組成(例えばプライマー濃度、鋳型DNA濃度、基質となる各ヌクレオチドの濃度、バッファー組成等)及び反応条件(例えば、熱変性・アニーリング・伸長の各サイクル数及び温度等)は、PCR反応を実施する際に通常考慮される各種因子、例えば使用する酵素の種類やプライマーのTm値等を考慮して、適宜設定することができる。
【0054】
キット
本発明は、一態様において、プライマーセット1~9を含む、次世代シークエンシングによる急性骨髄性白血病の遺伝子パネル検査のためのキットを提供する。キットは、さらにプライマーセット10~19のうちの1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種又は10種を含んでもよい。
【0055】
キットに含まれるプライマーセット1~19は、アンプリコン及びアンプリコンDNAライブラリーの製造に関連して既に説明したとおり、それぞれを構成するフォワードプライマーの5'末端側にフォワードオーバーハング配列が、リバースプライマーの5'末端側にリバースオーバーハング配列がさらに付加されていてもよく、ここでフォワードオーバーハング配列は次世代シークエンシングのための第一のアダプター配列を付加するための配列であり、リバースオーバーハング配列は次世代シークエンシングのための第二のアダプター配列を付加するための配列である。ある実施形態において、フォワードオーバーハング配列は、配列番号21の塩基配列からなる。ある実施形態において、リバースオーバーハング配列は配列番号62の塩基配列からなる。
【0056】
キットは、プライマーセット1~19のほか、上述の2nd PCR用プライマーセット、PCR反応用試薬(dNTP、酵素、緩衝液、pH調整剤、安定剤等)、細胞からゲノムDNAを抽出するための試薬、固相支持体、反応容器、取扱説明書等をさらに含んでもよい。
【0057】
NGSを用いた塩基配列決定
アンプリコンDNAライブラリーのシークエンスには、アンプリコン塩基配列の全長を決定することができる仕様のNGSプラットフォームを使用すればよい。具体的には、1種類のアンプリコンの両末端からのシークエンス(ペアエンドシークエンス)を行うことができるNGSプラットフォームであれば最大リード長250bp以上のプラットフォーム(Illumina社のMiSeq、NovaSeq等)を、1種類のアンプリコンの一方の末端からのシークエンス(シングルエンドシークエンス)が行われるNGSプラットフォームであれば、最大リード長500bp以上のプラットフォーム(Thermo Fisher Scientific社のIon GeneStudioTM S5 チップタイプIon 520TM Chip、Ion 530TM Chip等)を使用することができる。
【0058】
あるいは、標的変異領域の塩基配列を両末端からシークエンスできるように2種類のアンプリコンを用意することで、最大リード長250bp以上のシングルエンドシークエンスのNGSプラットフォーム(Thermo Fisher Scientific社のIon GeneStudioTM S5 チップタイプIon 510TM Chip等)を使用することもできる。ここで2種類のアンプリコンとは、5'末端側から順に、第一のアダプター配列と、患者の造血系細胞ゲノムDNA中の標的変異領域の塩基配列と、第二のアダプター配列とを含む又はこれらからなるDNA鎖及びその相補鎖から構成される第一のアンプリコン;並びに5'末端側から順に、第一のアダプター配列と、患者の造血系細胞ゲノムDNA中の標的変異領域の塩基配列の相補的塩基配列と、第二のアダプター配列とを含む又はこれらからなるDNA鎖及びその相補鎖から構成される第二のアンプリコンをいう。
【0059】
シークエンスのためのアンプリコンの支持体上でのクローン増幅を含めた一連のシークエンスのワークフローは、使用されるNGSプラットフォームに応じて適宜条件を設定し、実施することができる。
【0060】
データの前処理及び解析
NGSによって取得された一次データであるリードデータは、アンプリコンがインデックス配列を有する場合はそれに基づいて検体毎に分けられた後、インデックス配列が除去され、FASTQファイルとして保存される。その後、クオリティチェック、マッピング、バリアントコール(変異検出)及びアノテーションを含む一連の解析を、NGSを用いた遺伝子変異解析において通常用いられる手法を参照して行うことで、患者の造血系細胞由来ゲノムDNAに存在する遺伝子変異を並列的に検査し、AMLの診断や治療方針決定に資する情報を提供することができる。
【0061】
本発明において使用される標的変異領域の長さ、並びに2-step tailed PCR法によってアンプリコンを調製する実施形態の説明において具体的に例示したオーバーハング配列を有する1st PCR用プライマーセット及び2nd PCR用プライマーセットは、細菌16S rRNAのNGS解析において多用されているIllumina社のMiSeq及びNextera XT Index kitの使用に適したものである。本発明の実施にあたってこれらを利用することで、従来のAML遺伝子パネルと比較して安価かつ簡便に遺伝子変異を検査することができる。
【0062】
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例
【0063】
材料及び方法
ヒト急性骨髄性白血病細胞株であるKasumi1(JCRB細胞バンク(https://cellbank.nibiohn.go.jp)より購入)及びMV4_11(DSMZ(https://www.dsmz.de)より購入)から、QIAampR DNA Mini Kit(250) (QIAGEN)を用いてゲノムDNAを抽出した。1検体あたり10 ngのゲノムDNAを鋳型として、表5に示すプライマーセット1~4及び8~19を混合したプライマーミックスと、GC rich領域を標的としたプライマーセット5~7を混合したプライマーミックスをそれぞれ用いて、1検体につき2チューブでマルチプレックスPCR(1st PCR)を行った。PCR反応は、いずれもMultiplex PCR Assay Kit Ver. 2 (Takara)を、説明書に従って用いた。反応条件は、98℃、10秒間の熱変性、60℃、15秒間のアニーリング及び68℃、30秒間の伸長反応を34サイクルで行なった。
【表5】
【0064】
1st PCR後の反応液をアガロースゲル電気泳動に供して目的サイズのアンプリコンが増幅されていることを確認した後、再度アガロースゲル電気泳動を行って目的サイズのアンプリコンを含むバンドを切り出し、QIAquickR Gel Extraction Kit(250) (Qiagen)によって精製した。
【0065】
精製によって得られた1検体あたり2つのライブラリーに対して、Nextera XT Index kit(Illumina社)を説明書に従って用いてインデックス付加反応(2nd PCR)を行った。1st PCRの際にGC rich領域を標的としたプライマーミックスを用いて調製したサンプルはDMSOを添加した。2nd PCR後の反応液から目的サイズのアンプリコンを回収して各ライブラリーを精製し、Illumina MiSeqシステム及びMiSeq Reagent kit v2を用いてシークエンスを行い(リード長250 bpのペアエンドシークエンス)、データを解析した。
【0066】
解析の結果得られた各ライブラリーのリード数を標的変異領域ごとに図20に示す。リード数はGC rich領域以外の16領域で平均7000以上であり、微小残存病変マーカーとなるNPM1, FLT3エクソン14,15領域についても5000リード以上を確保でき、全ての標的変異領域に対して十分なカバレッジ深度が得られた。
【0067】
また、AML患者10症例より採取した骨髄液からゲノムDNAを抽出し、上記と同様にしてNGSを用いた遺伝子変異解析を行った。データ解析は、FASTQファイルのヒトゲノム参照配列GRCh38へのアラインメントをBurrows-Wheeler Aligner(Li H et al., Bioinformatics, 2009, 25: 1754、http://bio-bwa.sourceforge.net/)を用いて、バリアントコール及びフィルタリング(デプス10未満のSNP、Indelを削除)をGenome Analysis Toolkit(McKenna A et al., Genome Research, 2010, 20(9): 1297-1303、https://gatk.broadinstitute.org/hc/en-us)を用いて、アノテーションをEnsembl Variant Effect Predictor(McLaren W et al. Genome Biol, 2016, 17(1): 122. https://asia.ensembl.org/info/docs/tools/vep/index.html)を用いて行った。
【0068】
遺伝子変異解析及び解析結果に基づいて予測された予後分類を表6に示す。表6では、上から順に染色体核型、骨髄有核細胞に占める芽球の割合(表中、Blast)、NGS解析によって検出された遺伝子変異とそのアレル頻度(表中、FLT3からIDH2まで)、NCCNガイドラインversion 3. 2017に従った核型のみによる予後分類、NCCNガイドラインversion 3. 2017又はNCCNガイドラインversion 1. 2022に従った遺伝子変異に基づく予後分類を示している。また、右側の2列は、NCCNガイドラインversion 3. 2017及びNCCNガイドラインversion 1. 2022において採用されている遺伝子評価項目をチェックで示している。
【表6】
【0069】
各症例において検出された変異のうち、CEBPAの変異はアンプリコン6及び8で検出され、他の遺伝子の変異は図に示された部位で検出された。大半の症例において、染色体核型のみによって予測された予後分類は、NGSを用いた遺伝子変異解析によって予測された予後分類と異なっていた。遺伝子変異に基づく予後分類は、精度のよい予後予測であることが報告されている(例えば、Hidaka D et al. Clinical Lymphoma Myeloma and Leukemia 2018, 18(11), 2018, e469-e479)。したがって、表5に示されるプライマーセットを用いて調製したアンプリコンDNAライブラリーを利用した遺伝子パネル検査は、AMLの診療において有用な情報を提供できることが示された。
【配列表フリーテキスト】
【0070】
配列番号1 標的変異領域(FLT3_exon14-15)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号2 標的変異領域(FLT3_exon16)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号3 標的変異領域(FLT3_exon17)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号4 標的変異領域(FLT3_exon20)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号5 標的変異領域(CEBPA_exon1)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号6 標的変異領域(CEBPA_exon1)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号7 標的変異領域(CEBPA_exon1)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号8 標的変異領域(CEBPA_exon1)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号9 標的変異領域(NPM1_exon11)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号10 標的変異領域(KIT_exon17)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号11 標的変異領域(ASXL1_exon13)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号12 標的変異領域(TP53_exon3-4)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号13 標的変異領域(TP53_exon5)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号14 標的変異領域(TP53_exon6-7)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号15 標的変異領域(IDH1_exon2)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号16 標的変異領域(IDH2_exon4-5)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号17 標的変異領域(RUNX1_exon3)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号18 標的変異領域(RUNX1_exon4)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号19 標的変異領域(RUNX1_exon5)のヒトリファレンスゲノム上の塩基配列
配列番号20 P5配列の塩基配列
配列番号21 R1SPの塩基配列
配列番号22 R2SPの相補的塩基配列
配列番号23 P7配列の相補的塩基配列
配列番号24 標的変異領域(FLT3_exon14-15)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号25 標的変異領域(FLT3_exon14-15)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号26 標的変異領域(FLT3_exon16)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号27 標的変異領域(FLT3_exon16)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号28 標的変異領域(FLT3_exon17)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号29 標的変異領域(FLT3_exon17)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号30 標的変異領域(FLT3_exon20)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号31 標的変異領域(FLT3_exon20)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号32 標的変異領域(CEBPA_exon1)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号33 標的変異領域(CEBPA_exon1)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号34 標的変異領域(CEBPA_exon1)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号35 標的変異領域(CEBPA_exon1)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号36 標的変異領域(CEBPA_exon1)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号37 標的変異領域(CEBPA_exon1)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号38 標的変異領域(CEBPA_exon1)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号39 標的変異領域(CEBPA_exon1)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号40 標的変異領域(NPM1_exon11)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号41 標的変異領域(NPM1_exon11)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号42 標的変異領域(KIT_exon17)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号43 標的変異領域(KIT_exon17)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号44 標的変異領域(ASXL1_exon13)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号45 標的変異領域(ASXL1_exon13)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号46 標的変異領域(TP53_exon3-4)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号47 標的変異領域(TP53_exon3-4)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号48 標的変異領域(TP53_exon5)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号49 標的変異領域(TP53_exon5)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号50 標的変異領域(TP53_exon6-7)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号51 標的変異領域(TP53_exon6-7)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号52 標的変異領域(IDH1_exon2)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号53 標的変異領域(IDH1_exon2)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号54 標的変異領域(IDH2_exon4-5)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号55 標的変異領域(IDH2_exon4-5)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号56 標的変異領域(RUNX1_exon3)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号57 標的変異領域(RUNX1_exon3)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号58 標的変異領域(RUNX1_exon4)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号59 標的変異領域(RUNX1_exon4)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号60 標的変異領域(RUNX1_exon5)増幅用フォワードプライマーの塩基配列
配列番号61 標的変異領域(RUNX1_exon5)増幅用リバースプライマーの塩基配列
配列番号62 2-step tailed PCR法において用いられる1st PCR用プライマーセット リバースプライマーのオーバーハング部分の塩基配列
配列番号63 2-step tailed PCR法において用いられる2nd PCR用プライマーセット フォワードプライマーの部分配列
配列番号64 2-step tailed PCR法において用いられる2nd PCR用プライマーセット リバースプライマーの部分配列
配列番号65 2-step tailed PCR法において用いられる2nd PCR用プライマーセット リバースプライマーの部分配列
配列番号66 プライマーFLT3-ITD Fの塩基配列
配列番号67 プライマーFLT3-ITD Rの塩基配列
配列番号68 プライマーFLT3 i15 Fの塩基配列
配列番号69 プライマーFLT3 i16 Rの塩基配列
配列番号70 プライマーFLT3 i16 Fの塩基配列
配列番号71 プライマーFLT3 i17 Rの塩基配列
配列番号72 プライマーFLT3-TKD Fの塩基配列
配列番号73 プライマーFLT3-TKD Rの塩基配列
配列番号74 プライマーCEBPA F1の塩基配列
配列番号75 プライマーCEBPA R1の塩基配列
配列番号76 プライマーCEBPA F2の塩基配列
配列番号77 プライマーCEBPA R2の塩基配列
配列番号78 プライマーCEBPA F3の塩基配列
配列番号79 プライマーCEBPA R3の塩基配列
配列番号80 プライマーCEBPA F4の塩基配列
配列番号81 プライマーCEBPA R4の塩基配列
配列番号82 プライマーNPM1 Fの塩基配列
配列番号83 プライマーNPM1 Rの塩基配列
配列番号84 プライマーKIT i16 Fの塩基配列
配列番号85 プライマーKIT i17 Rの塩基配列
配列番号86 プライマーASXL1 Fの塩基配列
配列番号87 プライマーASXL1 Rの塩基配列
配列番号88 プライマーTP53 e3 Fの塩基配列
配列番号89 プライマーTP53 e4 Rの塩基配列
配列番号90 プライマーTP53 i4 Fの塩基配列
配列番号91 プライマーTP53 i5 Rの塩基配列
配列番号92 プライマーTP53 i5 Fの塩基配列
配列番号93 プライマーTP53 i7 Rの塩基配列
配列番号94 プライマーIDH1 i1 Fの塩基配列
配列番号95 プライマーIDH1 i2 Rの塩基配列
配列番号96 プライマーIDH2 i3 Fの塩基配列
配列番号97 プライマーIDH2 e5 Rの塩基配列
配列番号98 プライマーRUNX1 i2 Fの塩基配列
配列番号99 プライマーRUNX1 i3 Rの塩基配列
配列番号100 プライマーRUNX1 i3 Fの塩基配列
配列番号101 プライマーRUNX1 i4 Rの塩基配列
配列番号102 プライマーRUNX1 i4 Fの塩基配列
配列番号103 プライマーRUNX1 i5 Rの塩基配列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図20
【配列表】
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