(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-23
(45)【発行日】2024-10-31
(54)【発明の名称】機械学習装置、設定装置、推論装置、機械学習方法、設定方法、推論方法、機械学習プログラム、設定プログラム、及び、推論プログラム
(51)【国際特許分類】
E03B 5/00 20060101AFI20241024BHJP
G05B 13/02 20060101ALI20241024BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20241024BHJP
G16Y 40/35 20200101ALI20241024BHJP
F04B 49/06 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
E03B5/00 Z
G05B13/02 L
G06N20/00 130
G16Y40/35
F04B49/06 321A
(21)【出願番号】P 2021021745
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】杉山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰雅
(72)【発明者】
【氏名】原田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】関口 孝志
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-256867(JP,A)
【文献】特開2001-188614(JP,A)
【文献】特開2020-016924(JP,A)
【文献】特開2020-184118(JP,A)
【文献】国際公開第2019/082185(WO,A1)
【文献】特開2001-005531(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111576543(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 5/00
G05B 13/02
G06N 20/00
G16Y 40/35
F04B 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータによって回転が制御されるモータと、前記モータを駆動源とし流体を移送す
るポンプと、を有し、建物内に設置される流体供給ユニットと、
前記建物内の需要家における流体の利用動向を取得する利用動向取得部と、を含む流
体供給装置を制御する際の設定の学習モデルを生成する機械学習装置であって、
前記利用動向取得部で取得される流体の利用動向に係るデータを入力データとして少な
くとも含む学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
前記学習モデルに前記学習用データを複数組入力することで、前記入力データと、前記
インバータが前記モータを制御する際のパラメーターと、の相関関係を前記学習モデルに
学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、
を備える機械学習装置。
【請求項2】
前記入力データは、
需要家において取得される流体の圧力に関するデータ、
需要家空間に対する人の入退に関するデータ、
需要家における電気の使用量に関するデータ、
需要家におけるガスの使用量に関するデータ、又は
需要家における人の活動に関するデータ、
のうち、少なくとも1つである請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項3】
前記学習用データは、
前記入力データに対応付けられて、前記ポンプの吐出側の流体の圧力を出力データとし
て含み、
前記機械学習部は、
前記入力データと前記出力データとの相関関係を前記学習モデルに学習させる請求項1
又は請求項2に記載の機械学習装置。
【請求項4】
前記学習用データは、
前記入力データに対応付けられて、前記インバータの起動と停止のタイミングを出力デ
ータとして含み、
前記機械学習部は、
前記入力データと前記出力データとの相関関係を前記学習モデルに学習させる請求項1
乃至請求項3のいずれか1項に記載の機械学習装置。
【請求項5】
前記学習用データは、
前記入力データに対応付けられて、前記インバータが前記モータを制御する際の回転数
を出力データとして含み、
前記機械学習部は、
前記入力データと前記出力データとの相関関係を前記学習モデルに学習させる請求項1
乃至請求項4のいずれか1項に記載の機械学習装置。
【請求項6】
インバータによって回転が制御されるモータと、前記モータを駆動源とし流体を移送するポンプと、を有し、建物内に設置される
複数の流体供給ユニット
と、
前記建物内の需要家における流体の利用動向を取得する利用動向取得部と、を含む流体供給装置を制御する際の設定の学習モデルを生成する機械学習装置であって、
前記利用動向取得部で取得される流体の利用動向に係るデータを入力データとして少なくとも含む学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
前記学習モデルに前記学習用データを複数組入力することで、前記入力データと、複数の流体供給ユニットの前記インバータが前記モータを制御する際のパラメーターと、の相関関係を前記学習モデルに学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、を備える機械学習装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の機械学習装置により生成された学習モデ
ルを用いて、前記インバータが前記モータを制御する際のパラメーターを設定する設定装
置であって、
前記建物内の需要家における流体の利用動向に係るデータを含む入力データを取得する
入力データ取得部と、
前記入力データ取得部により取得された前記入力データを前記学習モデルに入力し、前
記インバータが前記モータを制御する際の設定値を推論する推論部と、を備える設定装置
。
【請求項8】
インバータによって回転が制御されるモータと、前記モータを駆動源とし流体を移送す
るポンプと、を有し、建物内に設置される流体供給ユニットと、
前記建物内の需要家における流体の利用動向を取得する利用動向取得部と、を含む流体
供給装置を制御する際の設定を推論処理する推論装置であって、
前記推論装置は推論部を備え、
前記推論部は、
前記利用動向取得部で取得される流体の利用動向に係るデータを入力データとして取得
する入力データ取得処理と、
前記入力データ取得処理にて前記入力データを取得すると、前記インバータが前記モー
タを制御する際のパラメーターを推論する推論処理と、を実行する推論装置。
【請求項9】
インバータによって回転が制御されるモータと、前記モータを駆動源とし流体を移送す
るポンプと、を有し、建物内に設置される流体供給ユニットと、
前記建物内の需要家における流体の利用動向を取得する利用動向取得部と、を含む流体
供給装置を制御する際の設定の学習モデルを生成する機械学習方法であって、
前記利用動向取得部で取得される流体の利用動向に係るデータを入力データとして少な
くとも含む学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶工程と、
前記学習モデルに前記学習用データを複数組入力することで、前記入力データと、前記
インバータが前記モータを制御する際のパラメーターと、の相関関係を前記学習モデルに
学習させる機械学習工程と、
前記機械学習工程により学習させた前記学習モデルを学習済みモデル記憶部に記憶する
学習済みモデル記憶工程と、を備える機械学習方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の機械学習装置により生成された学習モデ
ルを用いて、前記インバータが前記モータを制御する際のパラメーターを設定する設定方
法であって、
前記建物内の需要家における流体の利用動向に係るデータを含む入力データを取得する
入力データ取得工程と、
前記入力データ取得工程により取得された前記入力データを前記学習モデルに入力し、
前記インバータが前記モータを制御する際の設定値を推論する推論工程と、を備える設定
方法。
【請求項11】
インバータによって回転が制御されるモータと、前記モータを駆動源とし流体を移送す
るポンプと、を有し、建物内に設置される流体供給ユニットと、
前記建物内の需要家における流体の利用動向を取得する利用動向取得部と、を含む流体
供給装置を制御する際の設定を推論処理する推論装置であって、
前記利用動向取得部で取得される流体の利用動向に係るデータを入力データとして取得
する入力データ取得工程と、
前記入力データ取得工程にて前記入力データを取得すると、前記インバータが前記モー
タを制御する際のパラメーターを推論する推論工程と、を実行する推論方法。
【請求項12】
コンピュータに、請求項9に記載の機械学習方法が備える各工程を実行させるための
機械学習プログラム。
【請求項13】
コンピュータに、請求項10に記載の設定方法が備える各工程を実行させるための 機
械学習プログラム。
【請求項14】
コンピュータに、請求項11に記載の推論方法が備える各工程を実行させるための推論プ
ログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械学習装置、設定装置、推論装置、機械学習方法、設定方法、推論方法、
機械学習プログラム、設定プログラム、及び、推論プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
流体供給装置の一例である給水装置は、例えば、マンションやオフィスビル等にて水(
流体)を供給するための装置として広く使用されている。給水装置は、一般に、水を移送
するポンプと、ポンプの運転を制御する制御部と、ポンプの吐出側の給水配管に設けられ
た圧力タンクとを備える。
【0003】
最近では、高層建築物への給水に直結式の給水装置が使用されつつある。このような給
水装置においては、低層階用の第1の給水ユニットと、高層階用の第2の給水ユニットと
を備えており、これらは直列に連結されている。第1の給水ユニットの吸込口は水道本管
に直結されており、建物の低層階には、この第1の給水ユニットによって水が供給される
。一方、第2の給水ユニットは建物の中間層階に配置され、第1の給水装置から供給され
た水を増圧して高層階に供給する。
【0004】
なお、給水ユニットの内部基本構成は、連結されず単独で用いられる給水装置と同様の
ものであるが、本明細書では、給水装置は直結された複数の給水ユニットによって構成さ
れているものと定義する。また、給水ユニットが直結される段数は、上記のように2段に
限らず、3段以上であってもよい。また、給水ユニットは、本明細書では流体供給ユニッ
トの一例として定義される。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2020-45747号公報)には、複数の給水装置によっ
て建物内の給水対象に給水する給水システムにおいて、複数の給水装置は、建物の電力線
を通信回線として利用する電力線通信により互いに通信可能である給水システムが記載さ
れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の給水ユニットによって建物内に給水する給水装置においては、第1の給水ユニッ
トと第2の給水ユニットとが通信によって互いの運転状態をやりとりするように構成され
ている。これにより、それぞれの給水ユニットは互いの給水ユニットの運転状態に応じて
自己の運転制御を行うことが可能となる。特許文献1記載の発明では、通信の異常が検出
されると、第2の給水ユニットにおけるポンプが、通常の始動速度より緩やかな始動速度
で始動するように構成されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の従来技術においては、各給水ユニットは、通信回線を
介して互いのポンプの吐出側の圧力に係るデータや、ポンプを駆動するモータの回転数に
係るデータなどを交換して、自らの給水ユニット内の制御を行うようにしているが、基本
的にはそれぞれの給水ユニットは独立的に運転されているため、給水装置として全体を俯
瞰的にみた効率的な運用を可能とするものではなかった。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑み、互いの給水ユニットの運転状況に係るデータを参照す
るだけではなく、より広汎なデータを参照し、各給水ユニットを運用する流体供給装置に
好適な機械学習装置、推論装置、機械学習方法、推論方法、機械学習プログラム、及び、
推論プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の態様に係る機械学習装置は、
インバータによって回転が制御されるモータと、前記モータを駆動源とし流体を移送す
るポンプと、を有し、建物内に設置される流体供給ユニットと、
前記建物内の需要家における流体の利用動向を取得する利用動向取得部と、を含む流
体供給装置を制御する際の設定の学習モデルを生成する機械学習装置であって、
前記利用動向取得部で取得される流体の利用動向に係るデータを入力データとして少な
くとも含む学習用データを複数組記憶する学習用データ記憶部と、
前記学習モデルに前記学習用データを複数組入力することで、前記入力データと、前記
インバータが前記モータを制御する際のパラメーターと、の相関関係を前記学習モデルに
学習させる機械学習部と、
前記機械学習部により学習させた前記学習モデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の機械学習装置によれば、建物内の需要家における流体の利用動向を取得する利
用動向取得部(センサ群45)で取得される流体の利用動向に基づいた、給水ユニットの
運転のための制御の設定が機械学習されるので、給水装置全体を俯瞰的にみた効率的な運
用が可能となる。
【0012】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにさ
れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る給水装置10が適用された建物1の一例を示す模式図である。
【
図2】給水装置10における給水ユニットWSU
nの構造を説明する模式図である。
【
図3】コンピュータ200の一例を示すハードウエア構成図である。
【
図4】需要家に設けられる計測器・センサ等を例示するイメージ図である。
【
図5】需要家に設けられる計測器・センサ等で取得されるデータの一例を示すテーブルである。
【
図6】本発明に係る機械学習装置14の一例を示すブロック図である。
【
図7】本発明に係る機械学習装置14で使用されるデータ(教師あり学習)の一例を示すデータ構成図である。
【
図8】給水ユニットWSU
1の状態データの一例を示す図である。
【
図9】各給水ユニットWSU
nの起動/停止タイミング(各INV
nの動作順序)の一例を示す図である。
【
図10】本発明に係る機械学習装置14で使用されるニューラルネットワークモデルの一例を示す模式図である。
【
図11】本発明に係る機械学習装置14による機械学習方法の一例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明に係る推論装置19の一例を示すブロック図である。
【
図13】本発明に係る推論装置19による推論に基づく給水ユニットWSU
1の制御例を示すフローチャートである。
【
図14】本発明に係る推論装置19に基づく制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、
本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説
明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術による
ものとする。
【0015】
本発明に係る給水装置10は、例えば、マンション、オフィスビル、公共施設、商業施
設、工場等の建物や施設に設置され利用され得る。
図1は本発明に係る給水装置10が適
用された建物1の一例を示す模式図である。 本発明に係る給水装置10においては、直
結式の増圧給水システムが採用されている。このような直結式の増圧給水システムは、高
層建築物(例えば、16階以上の建物)に使用されるものである。
【0016】
なお、以下の実施形態では、1棟の建物1に対して本発明に係る給水装置10を適用し
た例に基づいて説明を行うが、本発明の考え方を複数棟の建物に対して鳥瞰的に適用する
ことも可能である。また、本発明に係る概念は、給水ユニット単体における制御等にも適
用し得るものである。
【0017】
図1に示すように、この給水装置10は、水道本管2に連結された第1の給水ユニット
WSU
1と、第1の給水ユニットWSU
1に直列に連結された第2の給水ユニットWSU
2と、第2の給水ユニットWSU
2に直列に連結された第3の給水ユニットWSU
3とを
有している。第1の給水ユニットWSU
1は、グランドレベルまたは地下に設置されてお
り、第2の給水ユニットWSU
2は、例えば、建物1の16階に設置されており、第3の
給水ユニットWSU
3は、例えば、建物1の30階に設置されている。
【0018】
本実施形態では、給水装置10が
図1に示すように3段の給水ユニットWSUが連結さ
れた例にて説明するが、給水ユニットWSUの段数は2段でもよいし、4段以上であって
もよい。また、本実施形態では、給水ユニットを一般化してWSU
nとして説明すること
がある。この場合、建物1のより下層側に設置される給水ユニットWSU
nのnの数字が
小さいものとする。また、給水ユニットWSU
nの吐出側に連結される配水管には7
nの
参照符号をふり、配水管7
nから分岐し水を建物1内の各需要家へ導く管を分岐枝管9
n
と称する。
【0019】
また、本実施形態では、給水ユニットWSUnは、流体として水を供給する場合を例に
して説明するが、給水ユニットWSUnは、燃料及び薬品等の水以外の液体、並びに、ガ
ス、水素及び酸素等の気体を含む流体を供給するものでもよい。
【0020】
第1の給水ユニットWSU1の吸込口は、配水管70を介して水道本管2に接続されて
いる。この配水管70中で、 給水ユニットWSU1の吸込口の前段には減圧式逆流防止
器8が接続されている。この減圧式逆流防止器8は、水道本管2への水の逆流を確実に防
止するために設置することが義務付けられているものである。なお、減圧式逆流防止器と
は、逃し弁が配置された中間室を2つの逆止弁が挟むように配置された構成を有する逆流
防止器である。
【0021】
第1の給水ユニットWSU1の吐出口と第2の給水ユニットWSU2の吸込口とは配水
管71によって連結されており、この配水管71は、建物1の15階まで(低層階)の各
需要家に分岐枝管91を介して連通している。
【0022】
第2の給水ユニットWSU2の吐出口と第3の給水ユニットWSU3の吸込口とは配水
管72によって連結されており、この配水管72は、建物1の16階から29階まで(中
層階)の各需要家に分岐枝管92を介して連通している。
【0023】
第3の給水ユニットWSU3の吐出口には、配水管73が接続されており、この配水管
73は、建物1の30階を含め、これより高い階(高層階)の各需要家に分岐枝管93を
介して連通している。
【0024】
第1の給水ユニットWSU1は、水道本管2からの水を増圧して建物1の低層階の各需
要家に水を供給すると共に給水ユニットWSU2に水を供給し、第2の給水ユニットWS
U2は、第1の給水ユニットWSU1から移送された水を増圧して建物1の中層階の各需
要家に水を供給すると共に第3の給水ユニットWSU3に水を供給し、第3の給水ユニッ
トWSU3は、第2の給水ユニットWSU2から移送された水を増圧して建物1の高層階
の各需要家に水を供給するようになっている。
【0025】
図2は給水装置10における給水ユニットWSU
nの構造を説明する模式図である。
図2(A)は学習フェーズに用いられる給水ユニットWSU
nの構造を示しており、
図2
(B)は推論フェーズに用いられる給水ユニットWSU
nに好適な構造を示している。な
お、
図2(A)で説明した構造の給水ユニットWSU
nは本発明に用いることができ、必
ずしも
図2(B)に示す構造の給水ユニットWSU
nを本発明に用いる必要はない。配管
系統に関しては、
図2(B)の構造は、
図2(A)の構造から一部を省いたものとなって
いる。以下、配管系統に関しては、特に
図2(A)の構造を基本として説明する。
【0026】
図2(A)に示すように、給水ユニットWSU
nは、配水管7
n-1はを介して水道本管
2や、給水ユニットWSU
n-1と連結されるポンプP
nと、このポンプP
nを駆動する駆
動源としてのモータM
nと、モータM
nの回転速度を増減するインバータINV
nと、ポ
ンプP
nの吸込側に配置された吸込側圧力センサPS
n1と、ポンプP
nの吐出側に配置
された逆止弁CV
nと、逆止弁CV
nの吐出側に配置されたフロースイッチSW
n、吐出
側圧力センサPS
n2、および圧力タンクPT
nとを備えている。これら構成要素は、例
えば、キャビネット内に収容されている。本実施形態では、1組のポンプP
n、モータM
n、インバータINV
n、逆止弁CV
n、およびフロースイッチSW
nが配置されている
が、2組以上のポンプ、モータ、インバータ、逆止弁、およびフロースイッチを並列的に
設けてもよい。
【0027】
逆止弁CVnは、ポンプPnの吐出口に接続された吐出管に設けられており、ポンプP
nが停止したときの水の逆流を防止するための弁である。フロースイッチSWnは吐出管
を流れる水の流量が所定の値にまで低下したことを検知する流量検知器である。吸込側圧
力センサPSn1は、給水ユニットWSUnの吸込側圧力を測定するための水圧測定器で
ある。吐出側圧力センサPSn2は、給水ユニットWSUnの吐出側圧力を測定するため
の水圧測定器である。圧力タンクPTnは、ポンプPnが停止している間の吐出側圧力を
保持するための圧力保持器である。圧力タンクPTnは、容器内部を空気室と水室とに分
ける隔膜(不図示)を有している。空気室は、その内部に空気が予め封入されており、水
室は、前記吐出管に連通される。
【0028】
給水ユニットWSU
nは、給水動作を制御する制御部CU
nをさらに備えており、イン
バータINV
n、フロースイッチSW
n、吸込側圧力センサPS
n1、吐出側圧力センサ
PS
n2は、制御部CU
nに信号線を介して接続されている。図面において一点鎖線はデ
ータ通信線を示している。
図2(A)の構造の下では、フロースイッチSW
nにより水の
流量が所定の値にまで低下したことが検知されると、制御部CU
nはポンプP
nの運転速
度を一時的に上げるようインバータINV
nに指令を出し、吐出側圧力を所定の停止圧力
にまで昇圧してからポンプP
nの運転を停止させるようになっている。一方、吐出側圧力
が所定の始動圧力にまで低下すると、制御部CU
nはポンプP
nの運転を開始するようイ
ンバータINV
nに指令を出す。この始動圧力は、ポンプP
nを始動させるトリガーとな
るしきい値である。
【0029】
図2(A)の給水ユニットWSU
nにおいては、フロースイッチSW
nや吐出側圧力
センサPS
n2の出力信号に基づいて、ポンプP
nがインバータINV
nによって可変速
駆動される。ポンプP
nの運転状況は、制御部CU
nからインバータINV
nへ送信され
る制御信号(ポンプP
nのON又はOFFの制御指令値、モータM
nの回転数の制御指令
値等、モータM
nに印加する電圧とその周波数等)に基づいて取得することができる。ま
た、インバータINV
nの出力周波数からポンプP
nの運転状況を取得してもよい。
【0030】
一般的には、吐出側圧力センサPSn2により測定された圧力信号が設定された目標圧
力と一致するようにポンプPnの運転速度を制御してポンプPnの吐出側圧力が一定にな
るように制御する吐出圧力一定制御や、ポンプPnの吐出側圧力の目標値を適切に変化さ
せることにより末端の給水栓における供給水圧を一定に制御する推定末端圧力一定制御な
どが行われる。これらの制御によれば、その時々の需要水量に見合った回転速度でポンプ
Pnが駆動されるので、省エネルギーを達成することができる。上記の吐出圧力一定制御
や推定末端圧力一定制御は、機械学習による学習モデル16を構築する際に適宜実行され
る。
【0031】
制御部CUnは、ネットワークモジュールNWMnとデータ通信可能に接続されており
、さらにネットワークモジュールNWMnはネットワーク240とデータ通信可能とされ
ている。これにより、例えば、制御部CUnからコンピュータ200に対しては、フロー
スイッチSWn、吸込側圧力センサPSn1、吐出側圧力センサPSn2による検知結果
に係るデータを送信することが可能となり、また、コンピュータ200から制御部CUn
に対しては、インバータINVnがモータMnを制御する際のパラメーター(インバータ
のON/OFF、回転数指令値、周波数、電圧等)を送信することが可能となる。なお、
コンピュータ200は、汎用のものであってもよいし、本発明に係る給水装置10に特化
した専用のものであってもよい。
【0032】
図1に示されているように、本発明に係る給水装置10を構成する給水ユニットWSU
1、給水ユニットWSU
2、給水ユニットWSU
3は全て、ネットワーク240を介して
コンピュータ200とデータ通信可能に接続されており、給水装置10はコンピュータ2
00によって制御可能とされている。なお、本実施形態では、各給水ユニットWSU
nが
ネットワーク240を介してコンピュータ200と接続する例を示しているが、各給水ユ
ニットWSU
nをネットワーク240を介することなくコンピュータ200と接続するよ
うにしてもよい。
【0033】
各需要家においては、水を含めた流体に係るデータの検出や、その他需要家における動
向などを検知することができるセンサ群45が設けられており、コンピュータ200には
これらセンサ群45で収集されたデータが、ネットワーク240を介して送信されるよう
になっている。コンピュータ200では、センサ群45で収集されたデータを受信して、
これらに基づいて、給水装置10における各給水ユニットWSUnを制御する際の設定を
演算する。
【0034】
上記のようなセンサ群45に含まれるセンサの一例を説明する。各需要家に水を供給す
る分岐枝管9nには、それぞれの供給先にて使用された水の使用量を計測する流量計47
が設けられる。複数の供給先が存在する場合、流量計47は、複数の供給先の流量を合計
した合計使用流量を測定することもできる。また、流量計47としては、例えば、水道メ
ータを使用することもできる。流量計47で計測されたデータは、ネットワーク240を
介してコンピュータ200に送信される。なお、センサ群45はこのような流量計47に
限らず、より広汎な需要家に係るデータを取得することを意図したものであり、センサ群
45の他の例については後述する。
【0035】
図3は、コンピュータ200の一例を示すハードウエア構成図である。コンピュータ2
00としては、汎用のもの、専用のものいずれも利用することができる。給水ユニットW
SU
nにおける制御部CU
nもコンピュータ200を利用することができる。
【0036】
コンピュータ200は、
図2に示すように、その主要な構成要素として、バス210、
プロセッサ212、メモリ214、入力デバイス216、表示デバイス218、ストレー
ジ装置220、通信I/F(インターフェース)部222、外部機器I/F部224、I
/O(入出力)デバイスI/F部226、及び、メディア入出力部228を備える。なお
、上記の構成要素は、コンピュータ200が使用される用途に応じて適宜省略されてもよ
い。
【0037】
プロセッサ212は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU、MPU、GPU、DSP
等)で構成され、コンピュータ200全体を統括する制御部として動作する。メモリ21
4は、各種のデータ及びプログラム230を記憶し、例えば、メインメモリとして機能す
る揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモ
リ等)とで構成される。
【0038】
入力デバイス216は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成さ
れる。表示デバイス218は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子
ペーパー、プロジェクタ等で構成される。入力デバイス216及び表示デバイス218は
、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置
220は、例えば、HDD、SSD等で構成され、オペレーティングシステムやプログラ
ム230の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0039】
通信I/F部222は、インターネットやイントラネット等のネットワーク240に有
線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの
送受信を行う。外部機器I/F部224は、プリンタ、スキャナ等の外部機器250に有
線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器250との間でデータの送
受信を行う。なお、外部機器I/F部224の無線通信の手段としては、典型的には国際
規格の通信手段が用いることができる。国際規格の通信手段としては、IEEE802.
15.4、IEEE802.15.1、IEEE802.15.11a、11b、11g
、11n、11ac、11ad、ISO/IEC14513-3-10、IEEE802
.15.4gなどの方式がある。また、外部機器I/F部224の無線通信の手段として
、Bluetooth(登録商標)、BluetoothLowEnergy、Wi-F
i、ZigBee(登録商標)、Sub-GHz、EnOcean(登録商標)等を用い
ることもできる。II/OデバイスI/F部226は、各種のセンサ、アクチュエータ等
のI/Oデバイス260に接続され、I/Oデバイス260との間で、例えば、センサに
よる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う。メ
ディア入出力部228は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置で構
成され、DVD、CD等のメディア270に対してデータの読み書きを行う。
【0040】
上記構成を有するコンピュータ200において、プロセッサ212は、プログラム23
0をメモリ214のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス210を介してコンピュ
ータ200の各部を制御する。なお、プログラム230は、メモリ214の代わりに、ス
トレージ装置220に記憶されていてもよい。プログラム230は、インストール可能な
ファイル形式又は実行可能なファイル形式でCD、DVD等の非一時的な記録媒体に記録
され、メディア入出力部228を介してコンピュータ200に提供されてもよい。プログ
ラム230は、通信I/F部222を介してネットワーク240経由でダウンロードする
ことによりコンピュータ200に提供されてもよい。また、コンピュータ200は、プロ
セッサ212がプログラム230を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FP
GA、ASIC等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0041】
コンピュータ200は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され
、任意の形態の電子機器である。コンピュータ200は、クライアント型コンピュータで
もよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。
【0042】
次に、需要家において各種データを取得するセンサ群45について説明する。
図4は需
要家に設けられる計測器・センサ等を例示するイメージ図であり、需要家であるマンショ
ン等の一室内を斜視的に表している。また、
図5は需要家に設けられる計測器・センサ等
で取得されるデータの一例を示すテーブルである。センサ群45において主となるものは
、流体(本実施形態では水)の流量を直接的に計測するものとなるが、これに限らず、本
発明では、各需要家における流体の利用動向を間接的にでも把握可能な計測器・センサ等
も含まれる。これらのセンサ群45を、流体の利用動向取得部とも称する。
【0043】
センサ群45として、主となるものは、各需要家の分岐枝管9nに接続されている流量
計47及び圧力計49であり、これらによって計測された計測データはコンピュータ20
0に送信される。分岐枝管9nの末端に設けられている各需要家における圧力計49で取
得される流体(水)の圧力データは、各需要家における流体(水)の出具合などの流体(
水)の使用感に直結するデータであり、センサ群45で取得され得るデータのうちでも最
も重要なもの一つである。
【0044】
また、センサ群45には、水道以外のライフラインに係るデータを取得するものを含め
ることができる。図に示す需要家には、電力供給線50、ガス配管52が通じているが、
それぞれに電力計54、ガス流量計56が取り付けられており、それぞれで取得される電
力データ、ガス流量データもコンピュータ200に送信される。着目する流体(水)以外
の使用量に関するデータ、すなわち、電力計54や、ガス流量計56で取得される電気の
使用量に関するデータや、ガスの使用量に関するデータは、需要家の流体(水)の使用量
との相関関係が大きいことという知見を得ており、本発明においては、各需要家における
流体の利用動向を把握する上でのデータとして利用している。
【0045】
さらに、センサ群45には需要内の各所における水の使用動向を検出する計測器を含め
ることができる。具体的には、センサ群45には、洗面台における水道の使用量を計測す
る洗面台水道流量計61、洗濯機における水道の使用量を計測する洗濯機水道流量計62
、浴室における水道の使用量を計測する浴室水道流量計63、台所における水道の使用量
を計測する台所水道流量計64、トイレにおける水道の使用量を計測するトイレ水道流量
計65などの計測器を含めることができる。これらで計測される流量データについても、
コンピュータ200に送信される。
【0046】
さらに、センサ群45には需要内の各所におけるドア等の開閉を検知するセンサを含め
ることができる。具体的には、センサ群45には、玄関のドアの開閉を検知する玄関ドア
開閉センサ67、浴室のドアの開閉を検知する浴室ドア開閉センサ(不図示)、シャワー
カーテンの開閉を検知するシャワーカーテンセンサ(不図示)、トイレのドアの開閉を検
知するトイレドア開閉センサ(不図示)を含めることができる。これらで取得される検知
データについても、コンピュータ200に送信される。例えば、浴室のドアの開閉に基づ
いて、人の入退室記録が把握できれば、その入退室記録から流体の使用流量を推測するこ
とが可能となる。本発明においては、玄関ドア開閉センサ67などの上記各センサで取得
され得る管理情報を、需要家空間に対する人の入退に関するデータと称する。
【0047】
さらに、センサ群45には需要内の各所における照明の点灯状況を検知するセンサを含
めることができる。具体的には、センサ群45には、浴室照明の点灯状態を検出する浴室
照明スイッチ状態検出センサ(不図示)、トイレの照明の点灯状態を検出するトイレ照明
スイッチ状態検出センサ(不図示)を含めることができる。これらで取得される検出デー
タについても、コンピュータ200に送信される。例えば、トイレの照明が点灯したこと
を把握できれば、それによりトイレにおける使用流量を推測することが可能となる。上記
のような照明の点灯状況を検出するセンサで取得されるデータは、需要家における人の活
動に関するデータとして、把握することができる。
【0048】
さらに、センサ群45には、需要家における流体の利用動向を間接的に推測可能な、図
4及び
図5に示されないものを含めることができる。例えば、流体の利用可能性がある各
室、すなわち、トイレ、浴室、台所等に人感センサを取り付け、その人感センサの検出結
果から使用流量を推測することができる。さらに、各室に設けられた電気メータによる電
気使用量又はガスメータによるガス使用量から使用流量を推測することも可能である。
【0049】
本実施形態では、機械学習による学習モデル16を用いて、給水装置10を構成する各
給水ユニットWSUnの制御の設定を導出するように構成する。学習モデル16を用いて
先の制御の設定を求めるフェーズを推論フェーズと称することができる。学習モデル16
を構築する学習フェーズにおける機械学習の手法としては「教師あり学習」を採用するこ
とができる。また、教師あり学習の具体的な手法として、ニューラルネットワークを採用
することができる。
【0050】
機械学習でニューラルネットワークを採用する場合、ニューラルネットワークの入力層
のノード(ニューロン)には、建物1内の需要家のセンサ群45で収集される各データを
入力することができる。一方、出力層のノード(ニューロン)には、給水ユニットWSU
nの状態データに関連する値が出力されるように構成することができる。ここで、給水ユ
ニットWSUnの状態データには、INVnのON/OFFデータ、回転数指令値、周波
数、電圧等のデータ、ポンプPnの吐出側圧力センサPSn2での検出データが含まれ得
る。(ポンプPnの吸込側圧力センサPSn1での検出データについては、給水ユニット
WSUnの運用上、吐出側圧力センサPSn2での検出データに比して重要度が低いので
割愛される。)
【0051】
機械学習による学習済みの学習モデル16がコンピュータ200に格納され、コンピュ
ータ200により推論フェーズが実行される場合、コンピュータ200が機械学習の推論
フェーズの主体として動作する。また、コンピュータ200を機械学習装置14として用
いる場合、コンピュータ200が機械学習の学習フェーズの主体として動作し、給水ユニ
ットWSUnの制御設定に用いられる学習モデル16を機械学習により生成することとな
る。
【0052】
(機械学習装置14)
図6は、本発明に係る機械学習装置14の一例を示すブロック図である。
【0053】
機械学習装置14は、学習用データ取得部40と、学習用データ記憶部41と、機械学
習部42と、学習済みモデル記憶部43とを備える。機械学習装置14は、例えば、
図3
に示すコンピュータ200で構成される。その場合、学習用データ取得部40は、通信I
/F部222又はI/OデバイスI/F部226で構成され、機械学習部42は、プロセ
ッサ212で構成され、学習用データ記憶部41及び学習済みモデル記憶部43は、スト
レージ装置220で構成される。
【0054】
学習用データ取得部40は、各種の外部装置と通信網を介して接続され、入力データを
少なくとも含む学習用データを取得するインタフェースユニットである。当該外部装置と
しては、本実施形態では給水ユニットWSUnや、建物1内の需要家におけるセンサ群4
5等である。また、当該入力データとしては建物内の需要家のセンサ群45で収集される
データである。
【0055】
学習用データ記憶部41は、学習用データ取得部40で取得した学習用データを複数組
記憶するデータベースである。なお、学習用データ記憶部41を構成するデータベースの
具体的な構成は適宜設計すればよい。
【0056】
機械学習部42は、学習用データ記憶部41に記憶された学習用データを用いて機械学
習を実施する。すなわち、機械学習部42は、学習モデル16に学習用データを複数組入
力することで、学習用データに含まれる入力データと、給水ユニットWSUnの状態デー
タ(教師データ)との相関関係を学習モデル16に学習させることで、学習済みの学習モ
デル16を生成する。ここで、給水ユニットWSUnの状態データには、INVnのON
/OFFデータ、回転数指令値、周波数、電圧等のデータ、ポンプPnの吐出側圧力セン
サPSn2での検出データが含まれ得る。本実施形態では、機械学習部42による教師あ
り学習の具体的な手法として、ニューラルネットワークを採用する場合について説明する
。
【0057】
学習済みモデル記憶部43は、機械学習部42により生成された学習済みの学習モデル
16を記憶するデータベースである。学習済みモデル記憶部43に記憶された学習済みの
学習モデル16は、任意の通信網や記録媒体等を介して実システム(例えば、給水装置1
0の各給水ユニットWSU
nを制御するコンピュータ200。
図2参照)に提供される。
なお、
図6では、学習用データ記憶部41と、学習済みモデル記憶部43とが別々の記憶
部として示されているが、これらは単一の記憶部で構成されてもよい。
【0058】
図7は、本発明に係る機械学習装置14で使用されるデータ(教師あり学習)の一例を
示すデータ構成図である。
【0059】
学習用データは、入力データとして、需要家における流体(水)の利用動向を取得する
センサ群45に基づくデータセットを含めることができる。本発明に係る機械学習装置1
4においては、需要家において取得される流体の圧力に関するデータと出力データとの相
関関係、需要家空間に対する人の入退に関するデータと出力データとの相関関係、需要家
における電気の使用量に関するデータと出力データとの相関関係、需要家におけるガスの
使用量に関するデータと出力データとの相関関係、需要家における人の活動に関するデー
タと出力データとの相関関係等を学習するために、機械学習を行っている。本発明に係る
機械学習装置14では、これらの相関関係のうち、少なくとも1つが用いられていればよ
い。入力データには、これまでに説明したのものに加え、他のデータをさらに含むもので
もよい。例えば、需要家の室内の温度データや湿度データ、建物1が存在する場所の天候
データなども入力データに含めることができる。
【0060】
入力データとするセンサ群45で取得されるデータセットは、現時点でのデータセット
とすることもできるし、所定の過去(例えば、10分前)に遡って現在までの時系列(例
えば、1秒ごと)のデータセットとすることもできる。また、入力データとするデータセ
ットは、所定の過去に遡って現在までの時系列のデータセットの平均を取るなどの加工を
行ったデータセットとすることもできる。
【0061】
機械学習として「教師あり学習」を採用する場合、学習用データは、入力データに対応
付けられた出力データとして、給水ユニットWSUnの状態データが含まれる。ここで、
給水ユニットWSUnの状態データには、INVnのON/OFFデータ、回転数指令値
、周波数、電圧等のデータ、ポンプPnの吐出側圧力センサPSn2での検出データから
なるデータセットが想定される。出力データは、教師あり学習において、例えば、教師デ
ータや正解ラベルと称される。
【0062】
学習用データにおいて、入力データされるデータセットの取得タイミングと、出力デー
タとなるデータセットが想定するタイミングについては一対一とする必要はなく、ある程
度の時間幅を持たせることができる。例えば、時刻Tにおける入力データと時刻Tにおけ
る出力データとに基づく学習用データ、時刻Tにおける入力データと時刻T+Δtにおけ
る出力データとに基づく学習用データ、時刻Tにおける入力データと時刻T+2Δtにお
ける出力データとに基づく学習用データ、・・・・というような学習データを用いること
で、現時点と近い将来(例えば、10分程度)とにわたる相関関係を機械学習装置14が
学習することができるようになる。
【0063】
上記のように、入力データされるデータセットの取得タイミングと、出力データとなる
データセットが想定するタイミングとの間に、ある程度の時間幅を持たせた学習を行うこ
とで、例えば、
図7の推論フェーズにおける推論結果Raで、現在から近い将来における
インバータの起動/停止(ON/OFF)タイミングについての推論を行うことが可能と
なる。
【0064】
ここで、本発明において機械学習装置14される時系列データの一例について説明する
。
図8は給水ユニットWSU
1の状態データの一例を示す図である。一例として、第1の
給水ユニットWSU
1の状態データを示している。
図8において横軸は時間軸を示してい
る。また、
図8(A)はインバータINV
1の制御設定用パラメータの一例としてパーセ
ントによる回転数指令値が示されている。(なお、インバータの制御設定用パラメータと
しては、他に周波数や電圧等を適宜用い得る。)また、
図8(B)は、インバータINV
1のON/OFFのタイミング、すなわち起動と停止のタイミングを示している。
図8(
C)は、ポンプP
1の吐出側圧力センサPS
12での検出データを示している。機械学習
装置14では、これらのデータを出力データとして学習することで、学習モデル16を生
成する。1点鎖線で囲まれたデータは、一例として、時刻T+2Δtにおける出力データ
のデータセットを示すものである。出力データのデータセットは、時刻T+2Δtの一時
点のものに限らず、例えば、2点鎖線で囲まれた時刻T+4Δt~時刻T+7Δtの一連の
時系列のデータセットも一つの学習用の出力データとして扱うことができる。
【0065】
図9は各給水ユニットWSU
nの起動/停止タイミング(各INV
nの動作順序)の一
例を示す図である。
図9において横軸は時間軸を示している。また、
図9(A)乃至(C
)は、インバータINV
1乃至インバータINV
3のON/OFFのタイミングである。
図9全体として、それぞれのインバータの動作順序が示されている。このような出力デー
タに基づいて、学習モデル16が生成される。1点鎖線で囲まれたデータは、一例として
、時刻T+2Δtにおける出力データのデータセットを示すものである。出力データのデ
ータセットは、時刻T+2Δtの一時点のものに限らず、例えば、2点鎖線で囲まれた時
刻T+4Δt~時刻T+7Δtの一連の時系列のデータセットも一つの学習用の出力データ
として扱うことができる。
【0066】
図10は、本発明に係る機械学習装置14で使用されるニューラルネットワークモデル
の一例を示す模式図である。
【0067】
学習モデル16は、
図10に示すニューラルネットワークモデルとして構成される。ニ
ューラルネットワークモデルは、入力層にあるl個のニューロン(x1~xl)、第1中
間層にあるm個のニューロン(y11~y1m)、第2中間層にあるn個のニューロン(
y21~y2n)、及び、出力層にあるo個のニューロン(z1~zo)から構成される
。
【0068】
入力層の各ニューロンには、学習用データに含まれる入力データのそれぞれが対応付け
られる。出力層の各ニューロンには、学習用データに含まれる出力データのそれぞれが対
応付けられる。なお、入力層に入力する前の入力データに対して所定の前処理を施しもよ
いし、出力層から出力された後の出力データに対して所定の後処理を施しもてもよい。
【0069】
第1中間層及び第2中間層は、隠れ層とも呼ばれており、ニューラルネットワークとし
ては、第1中間層及び第2中間層の他に、さらに複数の隠れ層を有するものでもよいし、
第1中間層のみを隠れ層とするものでもよい。また、入力層と第1中間層との間、第1中
間層と第2中間層との間、第2中間層と出力層との間には、各層のニューロンの間を接続
するシナプスが張られており、それぞれのシナプスには、重みwi(iは自然数)が対応
付けられる。
【0070】
ニューラルネットワークモデルは、学習用データを用いて、当該学習用データに含まれ
る入力データを入力層に入力し、その推論結果として出力層から出力された出力データと
、当該学習用データに含まれる出力データ(教師データ)とを比較することで、入力デー
タと出力データとの相関関係を学習する。
【0071】
具体的には、入力層の各ニューロンには、学習用データに含まれる入力データのそれぞ
れが入力される。そして、出力層の各ニューロンの値は、当該ニューロンに接続される入
力側のニューロンの値と、出力側のニューロンと入力側のニューロンとを接続するシナプ
スに対応付けられた重みwiとの乗算値の数列の和として算出する処理を、入力層以外の
全てのニューロンに対して行うことで算出される。
【0072】
そして、推論結果として出力層の各ニューロンに出力された値(z1~zo)と、学習
用データに含まれる出力データのそれぞれに対応する教師データの値(t1~to)とを
それぞれ比較して誤差を求め、その誤差が小さくなるように、各シナプスに対応付けられ
た重みwiを調整する処理(バックプロバケーション)が実施される。
【0073】
上記の一連の工程を所定回数反復実施すること、又は、上記の誤差が許容値より小さく
なること等の所定の学習終了条件が満たされた場合には、機械学習を終了し、学習済みの
ニューラルネットワークモデル(シナプスのそれぞれに対応付けられた全ての重みwi)
として生成される。
【0074】
(機械学習方法)
図11は、本発明に係る機械学習装置14による機械学習方法の一例を示すフローチャ
ートである。なお、機械学習方法は、
図11の学習フェーズに該当する。
【0075】
まず、ステップS100において、学習用データ取得部40は、機械学習を開始するため
の事前準備として、所望の数の学習用データを準備し、その準備した学習用データを学習
用データ記憶部41に記憶する。ここで準備する学習用データの数については、最終的に
得られる学習モデル16に求められる推論精度を考慮して設定すればよい。
【0076】
学習用データを準備する方法としては、センサ群45でデータを取得しつつ、各給水ユ
ニットWSUnにおいては、前記した吐出圧力一定制御や推定末端圧力一定制御を実行し
、各給水ユニットWSUnでの状態データ(INVnのON/OFFデータ、回転数指令
値、周波数、電圧等のデータ、ポンプPnの吐出側圧力センサPSn2での検出データ)
を取得するようにする。
【0077】
次に、ステップS110において、機械学習部42は、機械学習を開始すべく、学習前
の学習モデル16を準備する。ここで準備する学習前の学習モデル16は、
図10に例示
したニューラルネットワークモデルで構成されており、各シナプスの重みが初期値に設定
されている。入力層の各ニューロンには、学習用データに含まれる入力データとしての逆
流時発電量のデータのそれぞれが対応付けられる。出力層の各ニューロンには、学習用デ
ータに含まれる出力データとしての診断情報のそれぞれが対応付けられる。
【0078】
次に、ステップS120において、機械学習部42は、学習用データ記憶部41に記憶
された複数組の学習用データから、例えば、ランダムに一の学習用データを取得する。
【0079】
次に、ステップS130において、機械学習部42は、一の学習用データに含まれる入
力データを、準備された学習前(又は学習中)の学習モデル16の入力層に入力する。そ
の結果、学習モデル16の出力層から推論結果として出力データが出力されるが、当該出
力データは、学習前(又は学習中)の学習モデル16によって生成されたものである。そ
のため、学習前(又は学習中)の状態では、推論結果として出力された出力データは、学
習用データに含まれる出力データ(教師データ)とは異なる情報を示す。
【0080】
次に、ステップS140において、機械学習部42は、ステップS120において取得
された一の学習用データに含まれる出力データ(教師データ)と、ステップS130にお
いて出力層から推論結果として出力された出力データとを比較し、各シナプスの重みを調
整することで、機械学習を実施する。これにより、機械学習部42は、入力データ(セン
サ群45収集データ)と出力データ(給水ユニットWSUnでの状態データ)との相関関
係を学習モデル16に学習させる。
【0081】
次に、ステップS150において、機械学習部42は、機械学習を継続する必要がある
か否かを、例えば、出力データと教師データとの誤差や、学習用データ記憶部41内に記
憶された未学習の学習用データの残数に基づいて判定する。
【0082】
ステップS150において、機械学習部42が機械学習を継続すると判定した場合(ス
テップS150でNo)、ステップS120に戻り、学習中の学習モデル16に対してス
テップS120~S140の工程を未学習の学習用データを用いて複数回実施する。一方
、ステップS150において、機械学習部42が機械学習を終了すると判定した場合(ス
テップS150でYes)、ステップS160に進む。
【0083】
そして、ステップS160において、機械学習部42は、各シナプスに対応付けられた
重みが調整されることで生成された学習済みの学習モデル16を学習済みモデル記憶部4
3に記憶し、
図7に示す一連の機械学習方法を終了する。機械学習方法において、ステッ
プS100が学習用データ記憶工程、ステップS110~S150が機械学習工程、ステ
ップS160が学習済みモデル記憶工程に相当する。
【0084】
以上のように、本実施形態に係る機械学習装置14及び機械学習方法によれば、建物1
内の需要家における流体の利用動向を取得する利用動向取得部(センサ群45)で取得さ
れる流体の利用動向に基づいた、給水ユニットの運転のための制御の設定が機械学習され
るので、給水装置10全体を俯瞰的にみた効率的な運用が可能となる。
【0085】
(機械学習プログラム)
本発明は、
図3に示すコンピュータ200に、上記実施形態に係る機械学習方法が備え
る各工程を実行させるためのプログラム(機械学習プログラム)230の態様で提供する
こともできる。
【0086】
(推論装置19)
図12は、本発明に係る推論装置19の一例を示すブロック図である。
【0087】
推論装置19は、入力データ取得部20と、推論部21と、学習済みモデル記憶部22
と、出力処理部23とを備える。推論装置19は、例えば、
図3に示すコンピュータ20
0で構成される。その場合、入力データ取得部20は、通信I/F部222又はI/Oデ
バイスI/F部226で構成され、推論部21及び出力処理部23は、プロセッサ212
で構成され、学習済みモデル記憶部22は、ストレージ装置220で構成される。本実施
形態では、推論装置19は、汎用、専用のいずれのコンピュータ(
図3参照)で構成され
てもよい。
【0088】
入力データ取得部20は、センサ群45に通信可能に接続され、センサ群45により取
得された流体(水)の利用動向を取得するインタフェースユニットである。
【0089】
推論部21は、入力データ取得部20により取得された入力データを学習モデル16に
入力し、給水ユニットWSUnの状態データを推論する推論処理を行う。推論処理には、
機械学習装置14及び機械学習方法にて教師あり学習が実施された学習済みの学習モデル
16が用いられる。
【0090】
推論部21は、学習モデル16を用いた推論処理を行う機能のみならず、推論処理の前
処理として、入力データ取得部20により取得された入力データを所望の形式等に調整し
て学習モデル16に入力する前処理機能や、推論処理の後処理として、学習モデル16か
ら出力された出力データの値に所定の論理式や計算式を適用する後処理機能をも含んでい
る。なお、推論部21の推論結果は、学習済みモデル記憶部22や他の記憶装置(不図示
)に記憶することが好ましく、過去の推論結果は、例えば、学習モデル16の推論精度の
更なる向上のため、オンライン学習や再学習に用いられる学習用データとして利用するこ
とが可能である。
【0091】
学習済みモデル記憶部22は、推論部21の推論処理にて用いられる学習済みの学習モ
デル16を記憶するデータベースである。なお、学習済みモデル記憶部22に記憶される
学習モデル16の数は1つに限定されない。例えば、入力データの数が異なる、又は、機
械学習の手法が異なる複数の学習モデル16が記憶され、選択的に利用可能としてもよい
。
【0092】
出力処理部23は、推論部21の推論結果、すなわち、給水ユニットWSUnの状態デ
ータを出力する出力処理を行う。出力処理部23で出力された給水ユニットWSUnの状
態データは、各給水ユニットWSUnに送信されて、各給水ユニットWSUnにおけるI
NVnのON/OFFの設定、INVnによるモータMnに対する指令値(回転数指令値
、周波数、電圧等)の設定、ポンプPnの吐出側圧力センサPSn2の目標値の設定に供
される。
【0093】
上記のように構成される推論装置19の利用態様を説明する。
図13は本発明に係る推
論装置19による推論に基づく給水ユニットWSU
1の制御例を示すフローチャートであ
る。
【0094】
センサ群45においては、ステップS210で、建物1内のセンサ群45から計測デー
タや、ドア開閉等の検知結果を取得すると、続いて、ステップS220で、取得した計測
データや検知結果を推論装置19に対して送信する。
【0095】
推論装置19では、ステップS310において、センサ群45から受信した計測データ
や検知結果を入力データ取得部20で取得すると、推論部21が学習モデル16を用いた
推論処理を実行する。続く、ステップS320では、得られた推論結果を得られた推論結
果(状態データ)を出力処理部23から、給水ユニットWSU1、WSU2、WSU3に
対して送信する。
【0096】
給水ユニットWSU1、WSU2、WSU3においては、ステップS410で、推論装
置19から受信した推論結果に基づいて、給水ユニットWSU1、WSU2、WSU3の
制御を実行する。
【0097】
次に、推論装置19による給水装置10の制御例について説明する。
図14は本発明に
係る推論装置19に基づく制御を説明する図である。
図14は給水装置10の主要構成を
抜き出して示したものである。
【0098】
これまで説明したようなセンサ群45によって収集された需要家における流体(本実施
形態では水)の利用動向は推論装置19に送信される。これに基づいて推論装置19では
、それぞれの給水ユニットWSUnにおけるインバータINVnがモータMnを制御する
際のパラメーターを推論する。ここで、当該パラメーターとは、モータMnに対する回転
数指令値、周波数、電圧等を挙げることができる。先の推論結果は各給水ユニットWSU
nに送信される。
【0099】
図14の本実施形態の例では、インバータINV
1がモータM
1を制御する際のパラメ
ーター、インバータINV
2がモータM
2を制御する際のパラメーター、インバータIN
V
3がモータM
3を制御する際のパラメーターが、推論装置19によって推論され、推論
された各パラメーターが、給水ユニットWSU
1、WSU
2、WSU
3に送信され、各給
水ユニットWSUにおけるインバータINVの制御に供される。
【0100】
また、推論装置19は、受信したセンサ群45による計測データや検出結果に基づいて
、それぞれの給水ユニットWSUnにおけるインバータINVnの起動/停止のタイミン
グを推論して、推論の結果を各給水ユニットWSUnに送信する。
【0101】
図14の本実施形態の例では、インバータINV
1、インバータINV
2、インバータ
INV
3それぞれが起動するタイミング、及び、停止するタイミングを推論し、それぞれ
を給水ユニットWSU
1、WSU
2、WSU
3に送信する。給水ユニットWSU
1、WS
U
2、WSU
3は、受信した起動/停止のタイミングに基づいて、インバータINV
1、
インバータINV
2、インバータINV
3の起動/停止を行う。
【0102】
また、推論装置19は、受信したセンサ群45による計測データや検出結果に基づいて
、それぞれのポンプPnの吐出側圧力センサPSn2の目標値を推論して、推論の結果を
各給水ユニットWSUnに送信する。
【0103】
図14の本実施形態の例では、吐出側圧力センサPS
12、吐出側圧力センサPS
22
、吐出側圧力センサPS
32の目標値が推論装置19で推論され、それぞれを給水ユニッ
トWSU
1、WSU
2、WSU
3に送信する。。給水ユニットWSU
1、WSU
2、WS
U
3は、吐出側圧力センサPS
12、吐出側圧力センサPS
22、吐出側圧力センサPS
32の目標値に基づいて、インバータINV
1、インバータINV
2、インバータINV
3の制御パラメーターを補正することなどができる。
【0104】
以上、本実施形態に係る推論装置19及び推論方法によれば、建物1内の需要家におけ
る流体の利用動向を取得する利用動向取得部(センサ群45)で取得される流体の利用動
向に基づいて機械学習されたモデルで推論処理が実行されるので、給水装置10全体を俯
瞰的にみた効率的な運用が可能となる。
【0105】
(推論方法及び推論プログラム)
本発明は、上記実施形態に係る推論装置19の態様によるもののみならず、推論方法又
は推論プログラムの態様で提供することもできる。その場合、推論装置(推論方法又は推
論プログラム)としては、メモリと、プロセッサとを含み、このうちのプロセッサが、一
連の処理を実行するものとすることができる。当該一連の処理とは、センサ群45で取得
されるデータを入力データとして取得する入力データ取得処理(入力データ取得工程)と
、入力データ取得処理にて入力データを取得すると、給水ユニットWSUnの状態データ
を推論する推論処理(推論工程)とを含む。
【0106】
推論装置(推論方法又は推論プログラム)の態様で提供することで、推論装置19を実
装する場合に比して簡単に種々の装置への適用が可能となる。推論装置(推論方法又は推
論プログラム)が給水ユニットWSUnの状態データを推論する際、上記実施形態に係る
機械学習装置14及び機械学習方法により生成された学習済みの学習モデル16を用いて
、推論装置19の推論部21が実行する推論手法を適用してもよいことは、当業者にとっ
て当然に理解され得るものである。
【0107】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲
内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思
想に含まれるものである。
【0108】
上記実施形態では、機械学習部42による機械学習の具体的な手法として、ニューラル
ネットワークを採用した場合について説明したが、機械学習部42は、任意の他の機械学
習の手法を採用してもよい。他の機械学習の手法としては、例えば、決定木、回帰木等の
ツリー型、バギング、ブースティング等のアンサンブル学習、再帰型ニューラルネットワ
ーク、畳み込みニューラルネットワーク等のニューラルネット型(ディープラーニングを
含む)、階層型クラスタリング、非階層型クラスタリング、k近傍法、k平均法等のクラ
スタリング型、主成分分析、因子分析、ロジスティク回帰等の多変量解析、サポートベク
ターマシン等が挙げられる。
【符号の説明】
【0109】
1・・・建物
2・・・水道本管
7n・・・配水管
8・・・減圧式逆流防止器
9n・・・分岐枝管
10・・・給水装置(流体供給装置の一例)
14・・・機械学習装置
16・・・学習モデル
19・・・推論装置
20・・・入力データ取得部
21・・・推論部
22・・・学習済みモデル記憶部
23・・・出力処理部
40・・・学習用データ取得部
41・・・学習用データ記憶部
42・・・機械学習部
43・・・モデル記憶部
45・・・センサ群
47・・・流量計
49・・・圧力計
50・・・電力供給線
52・・・ガス配管
54・・・電力計
56・・・ガス流量計
61・・・洗面台水道流量計
62・・・洗濯機水道流量計
63・・・浴室水道流量計
64・・・台所水道流量計
65・・・トイレ水道流量計
67・・・玄関ドア開閉センサ
200・・・コンピュータ
210・・・バス
212・・・プロセッサ
214・・・メモリ
216・・・入力デバイス
218・・・表示デバイス
220・・・ストレージ装置
222・・・通信I/F(インターフェース)部
224・・・外部機器I/F部
226・・・I/O(入出力)デバイスI/F部
228・・・メディア入出力部
230・・・プログラム
240・・・ネットワーク
250・・・外部機器
260・・・I/Oデバイス
270・・・メディア
WSUn(例:n=1,2,3)・・・給水ユニット(流体供給ユニットの一例)
NWMn(例:n=1,2,3)・・・ネットワークモジュール
CUn(例:n=1,2,3)・・・制御部
INVn(例:n=1,2,3)・・・インバータ
Mn(例:n=1,2,3)・・・モータ
Pn(例:n=1,2,3)・・・ポンプ
PSn1(例:n=1,2,3)・・・ポンプPnの吸込側圧力センサ
PSn2(例:n=1,2,3)・・・ポンプPnの吐出側圧力センサ
CVn(例:n=1,2,3)・・・逆止弁
SWn(例:n=1,2,3)・・・フロースイッチ
PTn(例:n=1,2,3)・・・圧力タンク