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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】きのこ類具材含有食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20241025BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20241025BHJP
【FI】
A23L19/00 101
A23L5/10 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023545610
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2022032634
(87)【国際公開番号】W WO2023032993
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2021141817
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514057743
【氏名又は名称】株式会社Mizkan Holdings
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】香月 真央
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 智加
(72)【発明者】
【氏名】笠井 誠
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-023327(JP,A)
【文献】ファンファン福岡 [オンライン], 2020.12.31 [検索日 2022.10.28], インターネット:<URL:https://fanfunfukuoka.nishinippon.co.jp/561540/>
【文献】クックパッド [オンライン], 2011.11.05 [検索日 2022.10.28], インターネット:<URL:https://cookpad.com/recipe/1619250>
【文献】ライブドアブログ [オンライン], 2017.12.04 [検索日 2022.10.28], インターネット:<URL:http://yamamoto-ricopin.blog.jp/archives/27561689.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/00
A23L 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
きのこ類具材を含有する食品であって、次の(1)~(3)を全て充足するレンジ加熱用パウチ容器入り食品。
(1)最短辺長が5mm超10mm以下かつ体積125mm 3 超1950mm 3 以下のきのこ類具材を、食品中に湿潤質量換算で1.0質量%以上含有する。
(2)1メッシュパス10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超10mm以下かつ体積125mm 3 超1950mm 3 以下のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材の含有量比が、湿潤質量換算で0.01倍以上20倍以下である。
(3)10メッシュパス画分を、下記<方法α>によって測定した場合の80℃到達時点における最高粘度が1200cP未満である。
<方法α>
ラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いて測定試料25gを50℃から80℃まで昇温速度6℃/分で昇温させる。
【請求項2】
(2)における、1メッシュパス10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材の含有量比が、湿潤質量換算で0.01倍以上20倍以下である、請求項1に記載の食品。
【請求項3】
(3)における、10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の80℃到達時点における最高粘度がcP以上である、請求項1に記載の食品。
【請求項4】
きのこ類具材がエリンギ、マッシュルーム、シイタケ、エノキ及びシメジから選択される1又は2以上である、請求項1に記載の食品。
【請求項5】
10メッシュパス画分に食用植物を含有する、請求項1に記載の食品。
【請求項6】
食用植物が、野菜類、穀類、きのこ類、果実類、イモ類、藻類、種実類及び豆類から選択される1又は2以上の食用植物を含む、請求項5に記載の食品。
【請求項7】
10メッシュパス画分における不溶性食物繊維の含有率が湿潤質量換算で0.001質量%以上である、請求項1~6の何れか一項に記載の食品。
【請求項8】
10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の下記[値β]/[値α]が5.0以下となる、請求項1~6の何れか一項に記載の食品。
[値α]:50℃における粘度(cP)。
[値β]:80℃における粘度(cP)。
【請求項9】
10メッシュパス画分にでんぷんを湿潤質量換算で1.0質量%以下含有する、請求項1~6の何れか一項に記載の食品。
【請求項10】
請求項1~6の何れか一項に記載の食品を製造する方法であって、下記段階(i)を含む方法。
(i)下記(1)~(3)をすべて充足する混合物を調製する段階。
(1)最短辺長が5mm超10mm以下かつ体積125mm 3 超1950mm 3 以下のきのこ類具材を、混合物中に湿潤質量換算で1.0質量%以上含有する。
(2)1メッシュパス10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超10mm以下かつ体積125mm 3 超1950mm 3 以下のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材含有量比が、湿潤質量換算で0.01倍以上20倍以下である。
(3)10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の80℃到達時点における最高粘度が1200cP未満である。
【請求項11】
きのこ類具材を含有するパウチ容器入り食品のレンジ加熱調理時の突沸を抑制する方法であって、下記段階(i)を含む方法。
(i)下記(1)~(3)をすべて充足する混合物を調製する段階。
(1)最短辺長が5mm超10mm以下かつ体積125mm 3 超1950mm 3 以下のきのこ類具材を、混合物中に湿潤質量換算で1.0質量%以上含有する。
(2)1メッシュパス10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超10mm以下かつ体積125mm 3 超1950mm 3 以下のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材含有量比が、湿潤質量換算で0.01倍以上20倍以下である。
(3)10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の80℃到達時点における最高粘度が1200cP未満である。
【請求項12】
きのこ類具材を含有するパウチ容器入り食品のレンジ加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえを維持する方法であって、下記段階(i)を含む方法。
(i)下記(1)~(3)をすべて充足する混合物を調製する段階。
(1)最短辺長が5mm超10mm以下かつ体積125mm 3 超1950mm 3 以下のきのこ類具材を、混合物中に湿潤質量換算で1.0質量%以上含有する。
(2)1メッシュパス10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超10mm以下かつ体積125mm 3 超1950mm 3 以下のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材含有量比が、湿潤質量換算で0.01倍以上20倍以下である。
(3)10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の80℃到達時点における最高粘度が1200cP未満である。
【請求項13】
きのこ類具材を含有するパウチ容器入り食品のレンジ加熱調理時の突沸を抑制すると共に加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえを維持する方法であって、下記段階(i)を含む方法。
(i)下記(1)~(3)をすべて充足する混合物を調製する段階。
(1)最短辺長が5mm超10mm以下かつ体積125mm 3 超1950mm 3 以下のきのこ類具材を、混合物中に湿潤質量換算で1.0質量%以上含有する。
(2)1メッシュパス10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超10mm以下かつ体積125mm 3 超1950mm 3 以下のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材含有量比が、湿潤質量換算で0.01倍以上20倍以下である。
(3)10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の80℃到達時点における最高粘度が1200cP未満である。
【請求項14】
段階(i)において、混合物の10メッシュパス画分におけるでんぷん含有割合が湿潤質量換算で1.0質量%以下である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
下記段階(ii)を更に含む、請求項10に記載の方法。
(ii)前記段階(i)の混合物を60℃以上で0.1分間以上加熱する段階。
【請求項16】
段階(i)において、混合物の10メッシュパス画分におけるでんぷん含有割合が湿潤質量換算で1.0質量%以下である、請求項1113の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
下記段階(ii)を更に含む、請求項1113の何れか一項に記載の方法。
(ii)前記段階(i)の混合物を60℃以上で0.1分間以上加熱する段階。
【請求項18】
段階(ii)において、混合物の10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の下記[値β]/[値α]が、5.0以下となるように加熱処理を行う、請求項15に記載の方法。
[値α]:50℃における粘度(cP)。
[値β]:80℃における粘度(cP)。
【請求項19】
段階(ii)において、混合物の10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の下記[値β]/[値α]が、5.0以下となるように加熱処理を行う、請求項17に記載の方法。
[値α]:50℃における粘度(cP)。
[値β]:80℃における粘度(cP)。
【請求項20】
(2)における、1メッシュパス10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材の含有量比が、湿潤質量換算で0.8倍以下である、請求項1~6の何れか一項に記載の食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、きのこ類具材を含有する食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、きのこ類具材を含有する食品は、種々知られている。特許文献1には、きのこ類具材を含有するレトルト容器入り液状食品において、電子レンジ加熱をした際にきのこ類具材が破裂することを防ぐ技術として、きのこ類具材のサイズを一定以下にすると共に、液性媒体の粘度を所定の範囲内に調整する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-023327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に代表される従来のきのこ類具材含有食品では、加熱調理時に突沸を生じる恐れがあると共に、加熱調理後にきのこ類具材の歯ごたえが損なわれやすいという課題があった。そのため、斯かる課題の改善が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討した結果、所定値を超えるサイズを有するきのこ類具材の含有量を所定割合超に調整すると共に、所定値以下のサイズを有するきのこ類具材の含有量と所定値を超えるサイズを有するきのこ類具材の含有量との割合を所定範囲内に調整し、且つ、所定値以下のサイズを有するきのこ類と、その他の食用植物等を含有する画分のラピッドビスコアナライザ(RVA)による昇温時粘度特性を所定の範囲に調整することにより、加熱調理時の突沸を抑制すると共に、加熱調理後でもきのこ類具材の歯ごたえを維持することが可能となり、バランスに優れたきのこ類具材含有食品が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
即ち、本発明の趣旨は、例えば以下に関する。
[項1]きのこ類具材を含有する食品であって、次の(1)~(3)を全て充足する食品。
(1)最短辺長が5mm超、又は5.5mm超、又は6.0mm超、又は6.5mm超、又は7.0mm超、又は7.5mm超、又は8.0mm超であり、また、上限は限定されないが、例えば通常25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パス未満のきのこ類具材を、食品中に湿潤質量換算で1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は1.8質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、又は3.0質量%以上、又は3.5質量%以上、又は4.0質量%以上、又は4.5質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10.0質量%以上であり、また、上限は限定されないが、例えば60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は26質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下含有する。
(2)10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超、又は5.5mm超、又は6.0mm超、又は6.5mm超、又は7.0mm超、又は7.5mm超、又は8.0mm超であり、また、上限は限定されないが、例えば通常25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パス未満のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下、又は4.8mm以下、又は4.4mm以下、又は4.1mm以下であり、また、下限は限定されないが、例えば2.0mm超、又は10メッシュ(目開き2.00mm、線径0.90mm)オン超のきのこ類具材の含有量比が、湿潤質量換算で20倍以下、又は18倍以下、又は16倍以下、又は14倍以下、又は12倍以下、又は10倍以下、又は8倍以下、又は6倍以下、又は4倍以下、又は3倍以下、又は2倍以下、又は1.8倍以下、又は1.6倍以下、又は1.4倍以下、又は1.2倍以下、又は1.0倍以下、又は0.8倍以下、又は0.7倍以下、又は0.6倍以下、又は0.5倍以下であり、また、下限は限定されないが、例えば通常0倍以上、又は0.01倍以上である。
(3)10メッシュパス画分を、下記<方法α>によって測定した場合の80℃到達時点における最高粘度が1200cP未満、又は1100cP未満、又は1000cP未満、又は900cP未満、又は830cP未満、又は800cP未満、又は730cP未満、又は700cP未満、又は640cP未満、又は600cP未満、又は500cP未満、又は400cP未満、又は300cP未満、又は200cP未満、特に100cP未満であり、また、下限は限定されないが、例えば1cP以上、又は3cP以上、又は5cP以上、又は10cP以上、又は30cp以上、又は65cp以上である。
<方法α>
ラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いて測定試料25gを50℃から80℃まで昇温速度6℃/分で昇温させる。
[項2]体積125mm3超、又は190mm3超、又は210mm3超、又は250mm3超、又は300mm3超、又は400mm3超、又は510mm3超であり、また、上限は限定されないが、例えば15cm3以下のきのこ類具材を、食品中に湿潤質量換算で1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は1.8質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、又は3.0質量%以上、又は3.5質量%以上、又は4.0質量%以上、又は4.5質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10.0質量%以上であり、また、上限は限定されないが、例えば60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は26質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下含有する、項1に記載の食品。
[項3]10メッシュパス画分に食用植物を含有する、項1又は2に記載の食品。
[項4]食用植物が、野菜類、穀類、きのこ類、果実類、イモ類、藻類、種実類及び豆類から選択される1又は2以上の食用植物を含む、項3に記載の食品。
[項5]10メッシュパス画分における不溶性食物繊維の含有率が湿潤質量換算で0.001質量%以上、又は0.01質量%以上、又は0.1質量%以上、又は0.5質量%以上、又は1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、特に3.0質量%以上であり、また、上限は限定されないが、例えば、通常40質量%以下、30質量%以下、10質量%以下、5質量%以下である、項1~4の何れか一項に記載の食品。
[項6]10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の下記[値β]/[値α]が5.0以下、又は4.5以下、又は4.0以下、又は3.5以下、又は3.0以下、又は2.5以下、又は2.0以下、又は1.7以下、又は1.4以下、又は1.0以下、又は0.9以下であり、また、下限は限定されないが、例えば0.10以上、又は0.20以上、又は0.30以上、又は0.40以上、又は0.45以上、又は0.50以上、又は0.55以上、又は0.60以上となる、項1~5の何れか一項に記載の食品。
[値α]:50℃における粘度(cP)。
[値β]:80℃における粘度(cP)。
[項7]10メッシュパス画分にでんぷんを湿潤質量換算で1.0質量%以下、又は0.9質量%以下、又は0.8質量%以下、又は0.7質量%以下、又は0.6質量%以下、又は0.5質量%以下であり、また、下限は限定されないが、例えば実質的に含有しない態様、又は0質量%、又は0質量%超、又は0.1質量%以上含有する、項1~6の何れか一項に記載の食品。
[項8]マイクロ波加熱調理用途に用いられる、項1~7の何れか一項に記載の食品。
[項9]項1~8の何れか1項に記載の食品を製造する方法であって、下記段階(i)を含む方法。
(i)下記(1)~(3)をすべて充足する混合物を調製する段階。
(1)最短辺長が5mm超、又は5.5mm超、又は6.0mm超、又は6.5mm超、又は7.0mm超、又は7.5mm超、又は8.0mm超であり、また、上限は限定されないが、例えば通常25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パス未満のきのこ類具材を、混合物中に湿潤質量換算で1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は1.8質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、又は3.0質量%以上、又は3.5質量%以上、又は4.0質量%以上、又は4.5質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10.0質量%以上であり、また、上限は限定されないが、例えば60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は26質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下含有する。
(2)10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超、又は5.5mm超、又は6.0mm超、又は6.5mm超、又は7.0mm超、又は7.5mm超、又は8.0mm超であり、また、上限は限定されないが、例えば通常25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パス未満のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下、又は4.8mm以下、又は4.4mm以下、又は4.1mm以下であり、また、下限は限定されないが、例えば2.0mm超、又は10メッシュ(目開き2.00mm、線径0.90mm)オン超のきのこ類具材含有量比が、湿潤質量換算で20倍以下、又は18倍以下、又は16倍以下、又は14倍以下、又は12倍以下、又は10倍以下、又は8倍以下、又は6倍以下、又は4倍以下、又は3倍以下、又は2倍以下、又は1.8倍以下、又は1.6倍以下、又は1.4倍以下、又は1.2倍以下、又は1.0倍以下、又は0.8倍以下、又は0.7倍以下、又は0.6倍以下、又は0.5倍以下であり、また、下限は限定されないが、例えば通常0倍以上、又は0.01倍以上である。
(3)10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の80℃到達時点における最高粘度が1200cP未満、又は1100cP未満、又は1000cP未満、又は900cP未満、又は830cP未満、又は800cP未満、又は730cP未満、又は700cP未満、又は640cP未満、又は600cP未満、又は500cP未満、又は400cP未満、又は300cP未満、又は200cP未満、特に100cP未満であり、また、下限は限定されないが、例えば1cP以上、又は3cP以上、又は5cP以上、又は10cP以上、又は30cp以上、又は65cp以上である。
[項10]
きのこ類具材を含有する食品の加熱調理時の突沸を抑制する方法であって、下記段階(i)を含む方法。
(i)下記(1)~(3)をすべて充足する混合物を調製する段階。
(1)最短辺長が5mm超、又は5.5mm超、又は6.0mm超、又は6.5mm超、又は7.0mm超、又は7.5mm超、又は8.0mm超であり、また、上限は限定されないが、例えば通常25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パス未満のきのこ類具材を、混合物中に湿潤質量換算で1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は1.8質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、又は3.0質量%以上、又は3.5質量%以上、又は4.0質量%以上、又は4.5質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10.0質量%以上であり、また、上限は限定されないが、例えば60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は26質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下含有する。
(2)10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超、又は5.5mm超、又は6.0mm超、又は6.5mm超、又は7.0mm超、又は7.5mm超、又は8.0mm超であり、また、上限は限定されないが、例えば通常25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パス未満のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下、又は4.8mm以下、又は4.4mm以下、又は4.1mm以下であり、また、下限は限定されないが、例えば2.0mm超、又は10メッシュ(目開き2.00mm、線径0.90mm)オン超のきのこ類具材含有量比が、湿潤質量換算で20倍以下、又は18倍以下、又は16倍以下、又は14倍以下、又は12倍以下、又は10倍以下、又は8倍以下、又は6倍以下、又は4倍以下、又は3倍以下、又は2倍以下、又は1.8倍以下、又は1.6倍以下、又は1.4倍以下、又は1.2倍以下、又は1.0倍以下、又は0.8倍以下、又は0.7倍以下、又は0.6倍以下、又は0.5倍以下であり、また、下限は限定されないが、例えば通常0倍以上、又は0.01倍以上である。
(3)10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の80℃到達時点における最高粘度が1200cP未満、又は1100cP未満、又は1000cP未満、又は900cP未満、又は830cP未満、又は800cP未満、又は730cP未満、又は700cP未満、又は640cP未満、又は600cP未満、又は500cP未満、又は400cP未満、又は300cP未満、又は200cP未満、特に100cP未満であり、また、下限は限定されないが、例えば1cP以上、又は3cP以上、又は5cP以上、又は10cP以上、又は30cp以上、又は65cp以上である。
[項11]
きのこ類具材を含有する食品の加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえを維持する方法であって、下記段階(i)を含む方法。
(i)下記(1)~(3)をすべて充足する混合物を調製する段階。
(1)最短辺長が5mm超、又は5.5mm超、又は6.0mm超、又は6.5mm超、又は7.0mm超、又は7.5mm超、又は8.0mm超であり、また、上限は限定されないが、例えば通常25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パス未満のきのこ類具材を、混合物中に湿潤質量換算で1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は1.8質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、又は3.0質量%以上、又は3.5質量%以上、又は4.0質量%以上、又は4.5質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10.0質量%以上であり、また、上限は限定されないが、例えば60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は26質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下含有する。
(2)10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超、又は5.5mm超、又は6.0mm超、又は6.5mm超、又は7.0mm超、又は7.5mm超、又は8.0mm超であり、また、上限は限定されないが、例えば通常25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パス未満のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下、又は4.8mm以下、又は4.4mm以下、又は4.1mm以下であり、また、下限は限定されないが、例えば2.0mm超、又は10メッシュ(目開き2.00mm、線径0.90mm)オン超のきのこ類具材含有量比が、湿潤質量換算で20倍以下、又は18倍以下、又は16倍以下、又は14倍以下、又は12倍以下、又は10倍以下、又は8倍以下、又は6倍以下、又は4倍以下、又は3倍以下、又は2倍以下、又は1.8倍以下、又は1.6倍以下、又は1.4倍以下、又は1.2倍以下、又は1.0倍以下、又は0.8倍以下、又は0.7倍以下、又は0.6倍以下、又は0.5倍以下であり、また、下限は限定されないが、例えば通常0倍以上、又は0.01倍以上である。
(3)10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の80℃到達時点における最高粘度が1200cP未満、又は1100cP未満、又は1000cP未満、又は900cP未満、又は830cP未満、又は800cP未満、又は730cP未満、又は700cP未満、又は640cP未満、又は600cP未満、又は500cP未満、又は400cP未満、又は300cP未満、又は200cP未満、特に100cP未満であり、また、下限は限定されないが、例えば1cP以上、又は3cP以上、又は5cP以上、又は10cP以上、又は30cp以上、又は65cp以上である。
[項12]
きのこ類具材を含有する食品の加熱調理時の突沸を抑制すると共に加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえを維持する方法であって、下記段階(i)を含む方法。
(i)下記(1)~(3)をすべて充足する混合物を調製する段階。
(1)最短辺長が5mm超、又は5.5mm超、又は6.0mm超、又は6.5mm超、又は7.0mm超、又は7.5mm超、又は8.0mm超であり、また、上限は限定されないが、例えば通常25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パス未満のきのこ類具材を、混合物中に湿潤質量換算で1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は1.8質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、又は3.0質量%以上、又は3.5質量%以上、又は4.0質量%以上、又は4.5質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10.0質量%以上であり、また、上限は限定されないが、例えば60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は26質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下含有する。
(2)10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超、又は5.5mm超、又は6.0mm超、又は6.5mm超、又は7.0mm超、又は7.5mm超、又は8.0mm超であり、また、上限は限定されないが、例えば通常25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パス未満のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下、又は4.8mm以下、又は4.4mm以下、又は4.1mm以下であり、また、下限は限定されないが、例えば2.0mm超、又は10メッシュ(目開き2.00mm、線径0.90mm)オン超のきのこ類具材含有量比が、湿潤質量換算で20倍以下、又は18倍以下、又は16倍以下、又は14倍以下、又は12倍以下、又は10倍以下、又は8倍以下、又は6倍以下、又は4倍以下、又は3倍以下、又は2倍以下、又は1.8倍以下、又は1.6倍以下、又は1.4倍以下、又は1.2倍以下、又は1.0倍以下、又は0.8倍以下、又は0.7倍以下、又は0.6倍以下、又は0.5倍以下であり、また、下限は限定されないが、例えば通常0倍以上、又は0.01倍以上である。
(3)10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の80℃到達時点における最高粘度が1200cP未満、又は1100cP未満、又は1000cP未満、又は900cP未満、又は830cP未満、又は800cP未満、又は730cP未満、又は700cP未満、又は640cP未満、又は600cP未満、又は500cP未満、又は400cP未満、又は300cP未満、又は200cP未満、特に100cP未満であり、また、下限は限定されないが、例えば1cP以上、又は3cP以上、又は5cP以上、又は10cP以上、又は30cp以上、又は65cp以上である。
[項13]段階(i)において、混合物の10メッシュパス画分におけるでんぷん含有割合が湿潤質量換算で1.0質量%以下、又は0.9質量%以下、又は0.8質量%以下、又は0.7質量%以下、又は0.6質量%以下、又は0.5質量%以下であり、また、下限は限定されないが、例えば0質量%以上、又は0.1質量%以上である、項9~12のいずれか1項に記載の方法。
[項14]下記段階(ii)を更に含む、項9~13のいずれか1項に記載の方法。
(ii)前記段階(i)の混合物を60℃以上、又は70℃以上、又は80℃以上、又は90℃以上、又は100℃以上、又は110℃以上、又は120℃以上であり、また、上限は限定されないが、例えば200℃以下、又は190℃以下、又は180℃以下、又は170℃以下、又は160℃以下、又は150℃以下、又は140℃以下、又は130℃以下、又は125℃以下で0.1分間以上、又は0.3分間以上、又は0.5分間以上、又は1分間以上、又は3分間以上、又は5分間以上、又は7分間以上、又は10分間以上であり、また、上限は限定されないが、例えば10時間未満、中でも5時間未満、更には3時間未満、又は1時間未満、又は50分未満、又は40分未満、又は30分未満加熱する段階。
[項15]段階(ii)において、混合物の10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の下記[値β]/[値α]が、5.0以下、又は4.5以下、又は4.0以下、又は3.5以下、又は3.0以下、又は2.5以下、又は2.0以下、又は1.7以下、又は1.4以下、又は1.0以下、又は0.9以下であり、また、下限は限定されないが、例えば0.10以上、又は0.20以上、又は0.30以上、又は0.40以上、又は0.45以上、又は0.50以上、又は0.55以上、又は0.60以上となるように加熱処理を行う、項14に記載の方法。[値α]:50℃における粘度(cP)。
[値β]:80℃における粘度(cP)。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加熱調理時の突沸が抑制され、且つ、加熱調理後でもきのこ類具材の歯ごたえが維持された、バランスに優れたきのこ類具材含有食品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を具体的な実施の形態に即して詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施の形態に束縛されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、任意の形態で実施することが可能である。
【0009】
本明細書において、数値範囲の規定について複数の上限値及び/又は複数の下限値を示す場合、特に明示されない場合であっても少なくとも上限規定の最大値と下限規定の最小値とを組み合わせた数値範囲の規定が直接的に記載されているものとし、さらに当該上限値のうち任意の上限値と当該下限値のうち任意の下限値とを組み合わせて得られる全ての数値範囲が本発明の一実施形態に含まれるものとする。また、本明細書において、「~」で結ばれた数値範囲は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に示されている場合、任意の下限値と上限値を選択し、「~」で結ぶことができるものとする。
【0010】
[本発明のきのこ類具材含有食品]
本発明の一態様は、きのこ類具材を含有する食品であって、後述の各要件を充足するきのこ類具材含有食品(これを適宜「本発明のきのこ類具材含有食品」或いは単に「本発明の食品」と称する。)に関する。
【0011】
本開示において「具材」とは通常10メッシュオンのサイズを有する固形状食品を表す。また、「液性媒体」とは、食品試料中の成分のうち、通常10メッシュパスのサイズを有する成分を表す。
【0012】
・きのこ類具材:
本発明の食品は、きのこ類を具材として含有する。きのこ類の種類は限定されないが、エノキタケ、キクラゲ、クロアワビタケ、シイタケ、シメジ(特にブナシメジ、ハタケシメジ、ホンシメジ)、タモギタケ、ナメコ、ヌメリスギタケ、ヒラタケ、エリンギ、マイタケ、マッシュルーム、マツタケ、ヤナギマツタケなどを好適に用いることができる。
【0013】
本発明の食品は、1種のきのこ類のみを含有していてもよく、2種以上のきのこ類を含有していてもよい。本発明の食品が2種以上のきのこ類を含有する場合、それらのきのこ類の組み合わせ及び比率は任意である。10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)画分と10メッシュパス(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)画分は各々独立に、1種のきのこ類のみを含有していてもよく、2種以上のきのこ類を含有していてもよい。10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)画分又は10メッシュパス(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)画分が各々2種以上のきのこ類を含有する場合、それらのきのこ類の組み合わせ及び比率は任意である。なお、メッシュオン・メッシュパスについては後述する。
【0014】
本発明の食品中の各きのこ類は、少なくとも具材として存在していればよいが、その一部が液性媒体中に微細化して分散し、或いは液性媒体に溶解して存在していてもよい。また、10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)画分と10メッシュパス(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)画分とは、それぞれ異なる1種又は2種以上のきのこ類のみを含んでいてもよく、前記メッシュオン画分とメッシュパス画分とにそれぞれ異なる1種又は2種以上のきのこ類に加えて、共通の1種又は2種以上のきのこ類を含んでいてもよく、前記メッシュオン画分とメッシュパス画分とに全て共通の1種又は2種以上のきのこ類のみを含んでいてもよい。
【0015】
・食用植物:
本発明の食品は、きのこ類具材に加えて、1種又は2種以上の食用植物を含有していてもよい。本発明における「食用植物」とは、その可食部及び/又は非可食部を含有する、ヒトの飲食に供される植物を指す。本発明における食用植物としては、ヒトの飲食に供されるものであれば何ら制限されるものではないが、野菜類、穀類、きのこ類、果実類、イモ類、藻類、種実類、豆類等が挙げられるが、野菜類、穀類、きのこ類、種実類に対して特に有用である。具体的には、たとえば、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年」(厚生労働省が定めている食品成分表、特に第236頁表1参照)に記載された分類のうち、野菜類、穀類、きのこ類、果実類、イモ類、藻類、種実類、豆類等を参照することで、いかなる食品が食用植物に該当するかを理解することができる。これらの食用植物は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。また、これらの食用植物はそのまま用いてもよく、各種の処理(例えば乾燥、加熱、灰汁抜き、皮むき、種実抜き、追熟、塩蔵、果皮加工等)を加えてから使用してもよい。また、食材は、非可食部と合わせた植物全体の状態でその分類や具体的な種類(名称)を判断することができる。
【0016】
本発明の食品は、1種の食用植物のみを含有していてもよく、2種以上の食用植物を含有していてもよい。本発明の食品が2種以上の食用植物を含有する場合、それらの食用植物の組み合わせ及び比率は任意である。即ち、それら2種以上の食用植物は、同一の分類に属する食用植物であってもよく、異なる2種以上の分類に属する食用植物であってもよい。10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)画分と10メッシュパス(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)画分は各々独立に、1種の食用植物のみを含有していてもよく、2種以上の食用植物を含有していてもよい。10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)画分又は10メッシュパス(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)画分が各々2種以上の食用植物を含有する場合、それらの食用植物の組み合わせ及び比率は任意である。
【0017】
本発明の食品中の各食用植物は、具材として存在していてもよいが、その一部又は全部が液性媒体中に微細化して分散し、或いは液性媒体に溶解して存在していてもよい。また、10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)画分と10メッシュパス(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)画分とは、それぞれ異なる1種又は2種以上の食用植物のみを含んでいてもよく、前記メッシュオン画分とメッシュパス画分とにそれぞれ異なる1種又は2種以上の食用植物に加えて、共通の1種又は2種以上の食用植物を含んでいてもよく、前記メッシュオン画分とメッシュパス画分とに全て共通の1種又は2種以上の食用植物のみを含んでいてもよい。なお、10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)画分と10メッシュパス(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)画分とは、少なくとも同一分類に属する食用植物を含むことが好ましく、また、同一種類の食用植物を含むことがより好ましい。
【0018】
本開示において、食用植物の「非可食部」とは、食用植物の通常飲食に適さない部分や、通常の食習慣では廃棄される部分を表し、「可食部」とは、食用植物全体から廃棄部位(非可食部)を除いた部分を表す。また、本発明に使用される食用植物における非可食部の部位や比率は、斯かる食用植物やその加工品を取り扱う当業者であれば、当然に理解することが可能である。例としては、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載の「廃棄部位」及び「廃棄率」を参照し、これらをそれぞれ非可食部の部位及び比率として扱うことができる。以下の表1に、主な食用植物について日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載されている「廃棄部位」及び「廃棄率」(すなわち非可食部の部位及び比率)を挙げる。また、食用植物における非可食部の部位や比率から、可食部の部位や比率についても理解することができる。
【0019】
【表1】
【0020】
前記野菜類に分類される食用植物の種類の例としては、ダイコン、ニンジン、ルタバガ、パースニップ、カブ、ブラック・サルシファイ、レンコン、ビート(好適にはビーツ(ビートルート):ビートの根を食用とするために改良された品種)、クワイ、エシャロット、ニンニク、ラッキョウ、ユリネ、ケール、タマネギ(特にペコロス)、アスパラガス、ウド、キャベツ、レタス、ホウレンソウ、ハクサイ、アブラナ、コマツナ、チンゲンサイ、ニラ、ネギ、ノザワナ、フキ、フダンソウ(不断草、スイスチャード)、ミズナ、トマト(トマトの一種であるミニトマトを含む)、ナス、カボチャ、ピーマン、キュウリ、ミョウガ、カリフラワー、ブロッコリー、食用菊、ニガウリ、オクラ、アーティチョーク、ズッキーニ、てんさい、タイガーナッツ、ショウガ、シソ、ワサビ、パプリカ、ハーブ類(クレソン、コリアンダー、クウシンサイ、セロリ、タラゴン、チャイブ、チャービル、セージ、タイム、ローレル、パセリ、マスタードグリーン(からしな)、ヨモギ、バジル、オレガノ、ローズマリー、ペパーミント、サボリー、レモングラス、ディル、ワサビ葉、山椒の葉、ステビア)、ワラビ、ゼンマイ、タケノコ等が挙げられる。中でも、ナス科植物(トマト、ナス)、ネギ科植物(タマネギ(特にペコロス))、ニンニクを使用することが好ましい。なお、上記の各食材は、その可食部と非可食部の区別を問わず使用できる。
【0021】
本開示において、前述の野菜類に分類される食用植物が1種類以上含まれる場合、その合計含有量は湿潤質量換算で、きのこ類具材含有食品全体の通常5質量%以上、中でも10質量%以上、更には15質量%以上、とりわけ20質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、きのこ類具材含有食品全体の通常99質量%、又は99質量%以下とすることができる。なお、本発明の食品に、同一又は異なる1種又は2種以上の野菜類が上記の割合で含有されることが好ましく、同一の1種又は2種以上の野菜類が上記の割合で含有されることが好ましい。
【0022】
前記穀類に分類される食用植物の種類の例としては、コーン(未熟なコーンであるスイートコーンやスイートコーンよりさらに未熟なコーンであるヤングコーンを含む)、コメ、コムギ、オオムギ、モロコシ、エンバク、ライコムギ、ライムギ、ソバ、フォニオ、キノア、ひえ、アワ、きび、ジャイアントコーン、サトウキビ、アマランサス等が挙げられる。中でも、コーン(未熟なコーンであるスイートコーンやヤングコーンを含む)が好ましい。なお、上記の各食材は、その可食部と非可食部の区別を問わず使用できる。
【0023】
本開示において、前述の穀類に分類される食用植物が1種類以上含まれる場合、その合計含有量は湿潤質量換算で、きのこ類具材含有食品全体の通常5質量%以上、中でも10質量%以上、更には15質量%以上、とりわけ20質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、きのこ類具材含有食品全体の通常99質量%、又は99質量%以下とすることができる。なお、本発明の食品に、同一又は異なる1種又は2種以上の穀類が上記の割合で含有されることが好ましく、同一の1種又は2種以上の穀類が上記の割合で含有されることが好ましい。
【0024】
前記きのこ類に分類される食用植物の種類としては、エノキタケ、キクラゲ、クロアワビタケ、シイタケ、シメジ(特にブナシメジ、ハタケシメジ、ホンシメジ)、タモギタケ、ナメコ、ヌメリスギタケ、ヒラタケ、エリンギ、マイタケ、マッシュルーム、マツタケ、ヤナギマツタケなどを好適に用いることができる。中でも、エノキタケ、シイタケ、ブナシメジ、マッシュルーム、エリンギが好ましい。なお、上記の各食材は、その可食部と非可食部の区別を問わず使用できる。
【0025】
本開示において、前述のきのこ類に分類される食用植物が1種類以上含まれる場合、その合計含有量は湿潤質量換算で、きのこ類具材含有食品全体の通常5質量%以上、中でも10質量%以上、更には15質量%以上、とりわけ20質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、きのこ類具材含有食品全体の通常100質量%以下、又は100質量%以下とすることができる。なお、本発明の食品に、同一又は異なる1種又は2種以上のきのこ類が上記の割合で含有されることが好ましく、同一の1種又は2種以上のきのこ類が上記の割合で含有されることが好ましい。
【0026】
前記種実類に分類される食用植物としては、アーモンド、アサ、アマニ、エゴマ、カシューナッツ、カボチャの種、カヤ、ギンナン、クリ、クルミ、ケシ、ココナツ、ゴマ、シイ、トチ、ハスの実、ヒシ、ピスタチオ、ヒマワリの種、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ペカン、マカダミアナッツ、マツ、ラッカセイが挙げられる。中でも、ゴマ、アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツ等が好ましい。なお、上記の各食材は、その可食部と非可食部の区別を問わず使用できる。
【0027】
本開示において、前述の種実類に分類される食用植物が1種類以上含まれる場合、その合計含有量は湿潤質量換算で、きのこ類具材含有食品全体の通常5質量%以上、中でも10質量%以上、更には15質量%以上、とりわけ20質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、きのこ類具材含有食品全体の通常99質量%、又は99質量%以下とすることができる。なお、本発明の食品に、同一又は異なる1種又は2種以上の種実類が上記の割合で含有されることが好ましく、同一の1種又は2種以上の種実類が上記の割合で含有されることが好ましい。
【0028】
食用植物は、その一部又は全部が加工品の形態であってもよい。食用植物加工品の形態は、液体状でも固体状でもペースト状でもよいが、通常は10メッシュパス100メッシュオン画分に含有される。よって、食用植物加工品は、きのこ類具材含有食品において液状部が多く占める画分(10メッシュパス100メッシュオン画分)を構成することになる。また、食用植物加工品の粒子の大部分(例えば80質量%以上)のサイズが100メッシュオンであることが好ましい。また、10メッシュパス画分(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン画分)における食用植物加工品の由来となる食用植物の種類は、制限されないが、一態様によれば、野菜類、穀類、きのこ類、果実類、イモ類、藻類、種実類、豆類等から選ばれる1種以上の食用食物を使用することができるが、野菜類、穀類、きのこ類、種実類に対して特に有用である。これらの具体例は前述の通りである。なお、当該食用植物に関する規定について、特に10メッシュパス画分(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)で充足することが好ましい。
【0029】
食用植物加工品の性状は、制限されないが、食用植物の粉末、食用植物のペースト、又は食用植物の水系抽出物から選ばれる1種以上であることが好ましい。例えば、食用植物に対して乾燥処理、ロースト処理、熱水抽出処理等の加熱処理(例えば80℃以上)を加えた加工品であることが好ましい。
【0030】
・液性媒体:
本発明の食品は、液性媒体(これを適宜「媒体」と称する。)を含有する。液性媒体の組成は限定されないが、通常は少なくとも水又は水を主成分とする水性媒体である。また、後述する各種の調味料や食品添加物等の任意成分を、その中に含有していてもよい。更には、前述のきのこ類具材及び/又は食用植物の一部(又は全部)が液性媒体中に微細化して分散し、或いは液性媒体に溶解して存在していてもよい。
【0031】
・篩分画に関する特徴:
本発明の食品は、当該食品を目開きの異なる篩によって分画することによって得られる特定メッシュオン及び/又は特定メッシュパスの画分によって特徴づけることが可能である。本開示において、「メッシュオン」とは、特定サイズの篩上にとどまる画分を指し、「メッシュパス」とは、特定サイズの篩を通過する画分を指す。例えば、「1メッシュパス」とは、1メッシュの篩を通過する画分を意味し、「10メッシュオン」とは、10メッシュの篩上にとどまる画分を意味する。
【0032】
本開示における「メッシュ」とは、金網・篩・フィルター等の目の密度を表す単位であり、1インチあたりの網目の数を表す。すなわち、例えば、「1メッシュパス」とは、目開き25.0mm、線径3.55mmの篩を通過する画分を意味し、「10メッシュオン」とは、目開き2.00mm、線径0.90mmの篩上にとどまる画分を意味する。具体的には、各篩の針金の太さと目の間隔は、U.S.A. Standard Testing Sieves ASTM Specifications E 11-04Jにて規定されている数値(例えば1メッシュは、同文献中のNominal Dimensions, Permissible Variation for Wire Cloth of Standard Testing Sieves (U.S.A.) Standard Seriesにおける「Alternative」に規定された「1.00」と対応し、4メッシュは同箇所における「No.4」と対応し、10メッシュは同箇所における「No.10」と対応し、100メッシュは同箇所における「No.100」と対応する。)又はそれに準じた数値を採用する。
【0033】
本開示において、ある食品試料の特定メッシュオン画分及び/又はメッシュパス画分の含有量を測定する場合には、湿状態の食品試料の質量を測定する。より具体的には、測定したいきのこ類具材含有食品試料(20℃)100gを、1メッシュ(任意)、4メッシュ(任意)、10メッシュ、及び100メッシュ(任意)の順番に上から重ねた篩上に薄く均等に広げて、10分間放置した後、各篩上の残分質量を分子とし、きのこ類具材含有食品全体における質量を分母として質量%で表した値を計測することで、本発明の食品中におけるメッシュオン画分、メッシュパス画分の含有割合を湿潤質量基準割合として測定することができる。
【0034】
本開示において、特定メッシュオン画分及び/又は特定メッシュパス画分の「画分」とは、特定メッシュオン画分及び/又は特定メッシュパス画分の各性質について挙動を一にするきのこ類具材含有食品の部分組成物を意味する。斯かる「画分」は、通常は1種又は2種以上の具材と1種又は2種以上の液性媒体から構成される。ここで留意すべきは、特定メッシュオンの「画分」には、特定メッシュオンのサイズを有する組成物のみならず、特定メッシュパスのサイズを有する組成物も含まれうるという点である(例えば、4メッシュオンの画分には、4メッシュオンのサイズの具材のみならず、4メッシュパスのサイズの具材や液性媒体が含まれる可能性があり、10メッシュパス100メッシュオンの画分には、10メッシュパス100メッシュオンの具材のみならず、100メッシュパスのサイズの具材や液性媒体が含まれる可能性がある。)。これは、特定メッシュパスのサイズを有する具材や液性媒体であっても、併存する他の具材及び液性媒体との組合せや食品試料の性状等によっては、当該特定メッシュの篩を通過せずその篩上に残る可能性があることに起因する。このように特定メッシュパスのサイズを有する具材や液性媒体を含む画分であっても、前記の手順で食品試料を篩分画した場合に挙動を一にし、特定メッシュの篩上にとどまる画分であれば、特定メッシュオンの画分に該当する。
【0035】
各メッシュで篩分けされた各画分におけるきのこ類及び/又は食用植物は、具材として存在していてもよいが、その一部又は全部が液性媒体中に微細化して分散し、或いは液性媒体に溶解して存在していてもよい。また、当該画分は、それぞれ異なる1種又は2種以上のきのこ類及び/又は食用植物のみから構成されていてもよく、それぞれ異なる1種又は2種以上のきのこ類及び/又は食用植物に加えて、共通の1種又は2種以上のきのこ類及び/又は食用植物を含んでいてもよく、全て共通の1種又は2種以上のきのこ類及び/又は食用植物物のみから構成されていてもよい。なお、当該画分は、少なくとも同一分類に属するきのこ類及び/又は食用植物を含むことが好ましく、また、同一種類のきのこ類及び/又は食用植物を含むことがより好ましい。
【0036】
・きのこ類具材の最短辺長に関する特徴:
本発明の食品は、当該食品を篩分画によって特定メッシュオン画分及び/又は特定メッシュパス画分の複数の画分に分別すると共に、当該食品に含まれるきのこ類具材をその最短辺長によって特定サイズの複数の群に分別した場合に、当該食品画分及び/又は当該きのこ類具材群が特定の要件を充足することによって特徴づけることができる。
【0037】
本開示において「寸法」とは、具材が内接する最小体積の仮想直方体において、当該仮想直方体の幅、奥行き、高さの長さを指し、「幅×奥行き×高さ」と表記する。
「体積」とは、具材が内接する最小体積の仮想直方体において、当該仮想直方体の幅、奥行き、高さの3辺を乗算したものを指す。
「最短辺長」とは、具材が内接する最小体積の仮想直方体において、当該仮想直方体の最も小さい辺の長さを指す。例えば、当該仮想直方体の3辺が、5mm×8mm×8mmであった場合、最短辺長は5mmとなる。その測定に際しては、例えば10メッシュオンの画分から、ピンセットできのこ類具材を採取し、定規で当該きのこ類具材を測定する。即ち、10メッシュサイズの篩を用いてきのこ類具材含有食品を篩分けした場合に、後述の「最短辺長5mm超のきのこ類具材」とは、10メッシュオンの画分から、ピンセットできのこ類具材を採取し、定規でサイズ測定をした際に最短辺長が5mm超であったきのこ類具材を指す。同様に、後述の「最短辺長5mm以下のきのこ類具材」は、10メッシュオンの画分から、ピンセットできのこ類具材を採取し、定規でサイズ測定をした際に最短辺長が5mm以下であったきのこ類具材を指す。メッシュサイズについては前述した通りである。
【0038】
本開示において、最短辺長5mm超のきのこ類具材及び最短辺長5mm以下のきのこ類具材の各含有量を測定する場合には、湿状態の具材質量を測定する。より具体的には、1メッシュ及び10メッシュの篩を上から順に重ねて、測定したいきのこ類具材含有食品試料(20℃)100gを1メッシュの篩上に薄く均等に広げて、10分間放置した後、10メッシュオン画分からピンセットできのこ類具材を採取し、定規でサイズ測定をした際に最短辺長が5mm超であったきのこ類具材を最短辺長5mm超のきのこ類具材とし、定規でサイズ測定をした際に最短辺長が5mm以下であったきのこ類具材を最短辺長5mm以下のきのこ類具材とし、10メッシュパス画分をきのこ類具材含有食品全体における質量とみなし、分母として質量%で表した値を計測することで、本発明の食品中における最短辺長5mm超のきのこ類具材の含有量と、最短辺長5mm以下のきのこ類具材の含有割合とを湿潤質量換算として測定することができる。
【0039】
本開示において「湿潤質量換算」(単に「湿潤質量基準」と称する場合もある。)とは、試料の水分を含む湿潤質量を分母、試料中の対象成分の含有質量を分子として算出される、試料中の対象成分の含有比率を表す。また、本開示において「乾燥質量換算」(単に「乾燥質量基準」と称する場合もある)とは、試料の水分を除く乾燥質量を分母、試料中の対象成分の含有質量を分子として算出される、試料中の対象成分の含有比率を表す。また、本発明における割合規定において、特に指定なく単に「質量%」と記載される場合、「湿潤質量換算」の割合を表す。
【0040】
・最短辺長が所定下限値を超えるきのこ類具材の含有量:
本発明の食品は、最短辺長が5mm超のきのこ類具材を、当該食品中に湿潤質量換算で所定割合以上含有することを特徴の一つとする。具体的には、本発明の食品における、最短辺長が5mm超のきのこ類具材の含有量は、湿潤質量換算で例えば1.0質量%以上60質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が通常1.0質量%以上である。中でも1.5質量%以上、更には1.8質量%以上、とりわけ2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、又は3.0質量%以上、又は3.5質量%以上、又は4.0質量%以上、又は4.5質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、特に10.0質量%以上であることが好ましい。その原理は不明であるが、最短辺長(抵抗が小さいため、対流によって生じる水流に配向すると考えられる)が所定値超であることで、当該食品中で複雑な水流を生じ、突沸を抑制できると考えられる。一方、その上限は特に制限されないが、例えば通常60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は26質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下とすることができる。なお、10メッシュオン画分(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン画分)における最短辺長が5mm超のきのこ類具材含有量が当該規定を充足することが好ましい。
【0041】
本発明の食品は、湿潤質量換算で所定割合以上の含有量を占めるきのこ類具材が、所定値を超える最短辺長を有することが好ましい。具体的には、本発明の食品に対して、湿潤質量換算で例えば1.0質量%以上60質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が通常1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は1.8質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、又は3.0質量%以上、又は4.0質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10.0質量%以上の含有比率を占めるきのこ類具材が、例えば5.0mm超25mm未満、又は、5.0mm超1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パスの範囲とすることができる。より具体的には、その下限が通常5.0mm超、又は5.5mm超、又は6.0mm超、又は6.5mm超、又は7.0mm超、又は7.5mm超、又は8.0mm超の最短辺長を有することが好ましい。最短辺長が5mm超のきのこ類具材の含有量が前記下限値を満たすことで、突沸を抑制することができるので好ましい。また、最短辺長(抵抗が小さいため、対流によって生じる水流に配向すると考えられる)が前記下限値を満たすことで、きのこ類具材含有食品中で複雑な水流を生じ、突沸を抑制できると考えられる。なお、斯かるきのこ類具材の当該食品に対する含有量の上限は特に制限されないが、例えば通常60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は26質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下とすることができる。また、斯かるきのこ類具材の最短辺長の上限についても特に制限されないが、具材の均等加熱の観点から、例えば通常25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パスとすることができる。なお、10メッシュオン画分(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン画分)における湿潤質量換算で所定割合以上の含有量を占める、所定値を超える最短辺長を有するきのこ類具材が当該規定を充足することが好ましい。
【0042】
本発明の食品は、最短辺長が5mm以下のきのこ類具材を、湿潤質量換算で所定割合以下含有することが好ましい。具体的には、最短辺長が5mm以下のきのこ類具材が、きのこ類具材含有食品中に湿潤質量換算で例えば0質量%以上70質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が例えば70質量%以下存在することで、突沸を抑制することができるため好ましい。また、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられやすくなるため好ましい。中でも60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は20質量%以下、又は18質量%以下、又は14質量%以下、又は10質量%以下、又は8.5質量%以下、又は7.0質量%以下、又は6.5質量%以下、又は6.0質量%以下、又は5.5質量%以下、又は5.0質量%以下、又は4.5質量%以下、特に4.0質量%以下であることが好ましい。一方で、下限については特に制限されないが、通常0質量%以上、又は0.1質量%以上、又は0.3質量%以上とすることができる。なお、10メッシュパス画分(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン画分)における最短辺長が5mm以下のきのこ類具材含有量が当該規定を充足することが好ましい。
【0043】
本発明の食品は、湿潤質量換算で所定割合以下の含有量を占めるきのこ類具材が、所定値以下である最短辺長を有することが好ましい。具体的には、本発明の食品に対して、例えば0質量%以上70質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が例えば通常70質量%以下、又は60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は20質量%以下、又は18質量%以下、又は14質量%以下、又は10質量%以下、又は8.5質量%以下、又は7.0質量%以下、又は6.5質量%以下、又は6.0質量%以下、又は5.5質量%以下、又は5.0質量%以下、又は4.5質量%以下、又は4.0質量%以下の含有量を占めるきのこ類具材が、例えば2.0mm超5.0mm以下、又は、10メッシュ(目開き2.00mm、線径0.90mm)オン超5.0mm以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が通常5.0mm以下、中でも4.8mm以下、更には4.4mm以下、特に4.1mm以下の最短辺長を有することが好ましい。最短辺長が5mm以下のきのこ類具材の含有量が前記上限値を満たすことで、突沸を抑制することができるので好ましい。また、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられやすくなるため好ましい。また、最短辺長が前記上限値を満たすことで、突沸を抑制することができるので好ましい。なお、斯かるきのこ類具材の当該食品に対する含有量の下限は特に制限されないが、例えば通常0質量%以上、又は0.1質量%以上、又は0.3質量%以上とすることができる。また、斯かるきのこ類具材の最短辺長の下限についても特に制限されないが、通常最短辺長2.0mm超である。又は、10メッシュ(目開き2.00mm、線径0.90mm)オンとすることができる。なお、10メッシュパス画分(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン画分)における湿潤質量換算で所定割合以下の含有量を占める、所定値以下である最短辺長を有するきのこ類具材が当該規定を充足することが好ましい。
【0044】
本発明の食品は、特定サイズのきのこ類具材を湿潤質量換算で所定割合以下含有することで、突沸が抑えられるので好ましい。具体的に、斯かる特定サイズのきのこ類具材のサイズは、例えば4メッシュ(目開き4.75mm、線径1.60mm)パス以上18メッシュ(目開き1.00mm、線径0.56mm)オン以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が通常4メッシュ(目開き4.75mm、線径1.60mm)パス、5メッシュ(目開き4.00mm、線径1.40mm)パス、6メッシュ(目開き3.35mm、線径1.25mm)パスとすることができる。また、斯かる特定サイズのきのこ類具材のサイズの下限は、例えば通常10メッシュ(目開き2.00mm、線径0.90mm)オン、例えば、12メッシュ(目開き1.70mm、線径0.80mm)オン、14メッシュ(目開き1.40mm、線径0.71mm)オン、16メッシュ(目開き1.18mm、線径0.63mm)オン、18メッシュ(目開き1.00mm、線径0.56mm)オンとすることができる。また、きのこ類具材含有食品中に対する斯かる特定サイズのきのこ類具材の含有量は、湿潤質量換算で例えば0質量%以上70質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が例えば通常70質量%以下、中でも60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、とりわけ20質量%以下、又は18質量%以下、又は14質量%以下、又は10質量%以下、又は8.5質量%以下、又は7.0質量%以下、又は6.5質量%以下、又は6.0質量%以下、又は5.5質量%以下、又は5.0質量%以下、又は4.5質量%以下、特に4.0質量%以下とすることが好ましい。一方、下限については特に制限されないが、例えば通常0質量%以上、又は0.1質量%以上、又は0.3質量%以上とすることができる。
【0045】
・きのこ類具材の体積に基づく特徴:
本発明の食品は、体積125mm3超のきのこ類具材がきのこ類具材含有食品中に湿潤質量換算で所定割合以上含有されることが好ましい。具体的には、体積125mm3超のきのこ類具材がきのこ類具材含有食品中に湿潤質量換算で例えば1.0質量%以上60質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、斯かるきのこ類具材の含有量の下限が1.0質量%以上である。中でも1.5質量%以上、更には1.8質量%以上、とりわけ2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、又は3.0質量%以上、又は3.5質量%以上、又は4.0質量%以上、又は4.5質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、特に10.0質量%以上であることが好ましい。これにより、突沸を抑制することができるので好ましい。その原理は不明であるが、体積が所定値超のきのこ類具材の含有量が前記下限値を満たすことで、きのこ類具材含有食品中で複雑な水流を生じ、突沸を抑制できると考えられる。一方、その上限は特に制限されないが、通常60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は26質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下とすることができる。なお、10メッシュオン画分(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン画分)における体積125mm3超のきのこ類具材含有量が当該規定を充足することが好ましい。
【0046】
また、本発明の食品中に湿潤質量換算で所定割合含有されるきのこ類具材の体積が所定値以上であることで、突沸が抑えられるため好ましい。具体的には、本発明の食品中に、例えば1.0質量%以上60質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が通常1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は1.8質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、又は3.0質量%以上、又は4.0質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10.0質量%以上含有されるきのこ類具材が、例えば125mm3超15cm3以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が通常125mm3超、中でも190mm3超、更には210mm3超、とりわけ250mm3超、又は300mm3超、又は400mm3超、特に510mm3超の体積を有することが好ましい。その原理は不明であるが、きのこ類具材の体積を所定値超とすることで、当該きのこ類具材が対流を受ける体積が増し、きのこ類具材含有食品中で複雑な水流を生じ、突沸を抑制できると考えられる。なお、斯かるきのこ類具材の当該食品に対する含有量の上限は特に制限されないが、例えば通常60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、又は30質量%以下、又は26質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下とすることができる。また、斯かるきのこ類具材の体積の上限についても特に制限されないが、例えば具材の均等加熱の観点から通常15cm3以下であることが好ましい。なお、10メッシュパス画分(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン画分)における湿潤質量換算で所定割合以上の含有量を占める、所定値超である体積を有するきのこ類具材が当該規定を充足することが好ましい。
【0047】
なお、本開示において、「体積」とは、具材が内接する最小体積の仮想直方体において、当該仮想直方体の3辺(幅、奥行き、高さ)の長さを乗じた数値を指す。例えば、当該仮想直方体の3辺が、8mm×8mm×8mmであった場合、体積は512mm3となる。
【0048】
・10メッシュオン画分における最短辺長5mm超のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材の含有量比:
本発明の食品は、10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)画分における、最短辺長5mm超のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材含有量比が、湿潤質量換算で所定値以下であることを特徴の一つとする。具体的には、本発明の食品の10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)画分における、最短辺長5mm超のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材の含有量比(即ち{(最短辺長5mm以下のきのこ類具材含有量)/(最短辺長5mm超のきのこ類具材含有量)}の値)が、湿潤質量換算で例えば0倍以上20倍以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が通常20倍以下である。中でも18倍以下、更には16倍以下、とりわけ14倍以下、又は12倍以下、又は10倍以下、又は8倍以下、又は6倍以下、又は4倍以下、又は3倍以下、又は2倍以下、又は1.8倍以下、又は1.6倍以下、又は1.4倍以下、又は1.2倍以下、又は1.0倍以下、又は0.8倍以下、又は0.7倍以下、又は0.6倍以下、特に0.5倍以下であることが好ましい。本特徴により、本発明の食品は、突沸が顕著に抑制される。また、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられやすくなる。その原理は不明であるが、最短辺長(抵抗が小さいため、対流によって生じる水流に配向すると考えられる)が所定値超であるきのこ類具材を所定割合含有することで、きのこ類具材含有食品中で複雑な水流を生じ、突沸を抑制できると共に、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられやすくなると考えられる。その下限は特に制限されないが、例えば通常0倍以上、又は0.01倍以上とすることができる。また、最短辺長5mm超のきのこ類具材のサイズは具材の均等加熱の観点から、例えばかかる最短辺長は2.0mm超25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パス10メッシュ(目開き2.00mm、線径0.90mm)オンの範囲とすることができる。より具体的には、その上限が例えば通常最短辺長25mm未満、又は、1メッシュ(目開き25mm、線径3.55mm)パスとすることができる。また、最短辺長5mm以下のきのこ類具材のサイズ下限は、例えば通常最短辺長2.0mm超、又は、10メッシュ(目開き2.00mm、線径0.90mm)オンとすることができる。
【0049】
本発明の食品は、特定サイズの食用植物具材を含有することが好ましい。具体的には、10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)の食用植物含有具材画分をきのこ類具材含有食品中に湿潤質量換算で例えば1.0質量%超80質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が1.0質量%超含有することで、最短辺長5mm超のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材含有量比(最短辺長5mm以下のきのこ類具材含有量/最短辺長5mm超のきのこ類具材含有量)を調製することができ、突沸を抑制することが可能となると共に、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられやすくなるため好ましい。中でも1.5質量%超、更には1.7質量%超、とりわけ2.0質量%超、又は2.5質量%超、又は3.0質量%超、又は3.5質量%超、又は4.0質量%超、又は4.5質量%超、又は5.0質量%超、又は6.0質量%超、又は7.0質量%超、又は8.0質量%超、又は9.0質量%超、特に10質量%超であることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下とすることができる。
【0050】
本発明の食品は、当該食用植物具材の含有量を前述の割合とすることに加えて、10メッシュオンの食用植物含有具材画分における最短辺長が5mm以下のきのこ類具材の含有量比(最短辺長が5mm以下のきのこ類具材の含有量/10メッシュオンの食用植物含有具材画分)をきのこ類具材含有食品中に湿潤質量換算で所定割合以下とすることで、本発明の効果が十分に奏されるため好ましい。具体的には、例えば0質量%以上95質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が通常95質量%以下、中でも90質量%以下、更には81質量%以下、とりわけ75質量%以下、又は45質量%以下又は30質量%以下、又は22質量%以下、又は10質量%以上、又は6質量%以下となることが好ましい。一方、その下限は特に制限されないが、例えば通常0質量%以上、又は0.1質量%以上、又は1質量%以上とすることができる。
【0051】
本発明の食品は、特定サイズの食用植物を含有することが好ましい。本発明の食品に特定サイズの食用植物を含有させることで、後述の粘度(ラピッドビスコアナライザーを用いて測定した値)が所定の値に調整されるため好ましい。具体的には、10メッシュパス(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)の食用植物含有画分をきのこ類具材含有食品中に湿潤質量換算で例えば1.0質量%超80質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が1.0質量%超含有することが好ましい。中でも1.5質量%超、更には1.7質量%超、とりわけ2.0質量%超、又は2.5質量%超、又は3.0質量%超、又は3.5質量%超、又は4.0質量%超、又は4.5質量%超、又は5.0質量%超、又は6.0質量%超、又は7.0質量%超、又は8.0質量%超、又は9.0質量%超、特に10.0質量%超であることが好ましい。上限は特に制限されないが、例えば通常80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下とすることができる。
【0052】
本発明の食品は、10メッシュパス画分に食用植物(でんぷん含有食用植物以外のその他食用植物であってもよく、その他食用植物とでんぷん含有食用植物とを合計した全食用植物であってもよい。)を湿潤質量換算で所定割合以上含有することが好ましい。当該画分に食用植物を含有させることで、後述の粘度(ラピッドビスコアナライザーを用いて測定した値)が所定の値に調整されるためである。具体的に、10メッシュパス画分中に食用植物を湿潤質量換算で例えば0.01質量%以上80質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が0.01質量%以上含有することが好ましい場合がある。中でも0.1質量%以上、更には0.5質量%以上、とりわけ1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、特に3.0質量%以上であることが好ましい場合がある。一方、上限は特に限定されないが、通常80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下とすることができる。特に、10メッシュパス100メッシュオン画分における食用植物(でんぷん含有食用植物以外のその他食用植物であってもよく、その他食用植物とでんぷん含有食用植物とを合計した全食用植物であってもよい。)が当該規定を充足することが好ましい。
【0053】
更に、本発明の食品は、きのこ類がきのこ類具材含有食品中に湿潤質量換算で所定割合以上含有することが好ましい。具体的には、きのこ類がきのこ類具材含有食品中に湿潤質量換算で例えば5.0質量%超80質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が5.0質量%超含有することが好ましい。中でも5.5質量%超、更には6.0質量%超、とりわけ6.5質量%超、又は7.0質量%超、又は8.0質量%超、又は9.0質量%超、又は10質量%超、特に11質量%超であることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下とすることができる。なお、10メッシュオン画分(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン画分)におけるきのこ類が該規定を充足することが好ましい。
【0054】
本発明の食品において、きのこ類がきのこ類具材含有食品中に湿潤質量換算で所定割合(例えば5.0質量%超80質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限は通常5.0質量%超、又は5.5質量%超、又は6.0質量%超、又は6.5質量%超、又は7.0質量%超、又は8.0質量%超、又は9.0質量%超、又は10質量%超、又は11質量%超、上限は80質量%以下、又は70質量%以下、又は60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下とすることができる。)含有されていればよいが、最短辺長5mm超のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材含有量比(最短辺長5mm以下のきのこ類具材含有量/最短辺長5mm超のきのこ類具材含有量)が、湿潤質量換算で例えば0倍以上20倍以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が20倍以下、好ましくは18倍以下、又は16倍以下、又は14倍以下、又は12倍以下、又は10倍以下、又は8倍以下、又は6倍以下、又は4倍以下、又は3倍以下、又は2倍以下、又は1.8倍以下、又は1.6倍以下、又は1.4倍以下、又は1.2倍以下、又は1.0倍以下、又は0.8倍以下、又は0.7倍以下、又は0.6倍以下、又は0.5倍以下)であることが好ましい。その下限は特に制限されないが、例えば0倍以上、又は0.01倍以上となることで、本発明の効果が十分に奏されるためより好ましい。
【0055】
・10メッシュパス画分のラピッドビスコアナライザー(RVA)による粘度特性:
本発明の食品は、その10メッシュパス画分をラピッドビスコアナライザー(Rapid-Visco-Analyser:RVA)を用いて測定した粘度特性が、以下に説明する種々の特徴を満たすことが好ましい。
【0056】
ラピッドビスコアナライザー(RVA)は、試料を攪拌しながら所定の温度プロファイル下で昇温及び降温した場合における、不可逆的な粘度プロファイルを測定する装置である。RVAとしては、測定対象物を95℃まで昇温可能な装置であれば任意の装置を用いることができるが、具体例としてはPerten社製RVA4800が挙げられる。本装置の測定原理は、試料を測定用アルミニウムカップ(容積約70mL)に入れ、50℃で測定を開始し、測定開始時~測定開始10秒後までの回転数を960rpm、測定開始10秒後~測定終了までの回転数を160rpmとし、所定の温度プロファイルの下で昇温及び降温しながら、13mm×19mm程度の2枚のパドル(羽根)を回転させながら試料を攪拌し、パドルに加わる抵抗に基づいてその粘度特性を測定するものである。ここで、試料の粘度が高い場合はパドルに加わる抵抗が強くなり、粘度が低い場合には抵抗が低くなることから、パドルに加わる抵抗に基づいて試料の粘度特性を測定することが可能となる。なお、後述の<方法α>、即ち、測定試料25gを50℃から80℃(又は少なくとも85℃、又は少なくとも90℃、又は少なくとも95℃)まで昇温速度6℃/分で昇温させる測定方法において、50℃とは測定試料が50℃に達した時点を指す。例えば、測定試料25gを50℃で任意の時間保持し、試料温度が50℃に到達した時点の粘度を指す。なお、本発明の食品のRVA粘度測定は、湿潤質量25.0gの10メッシュパス画分をRVA測定用アルミカップに量りとり、そのまま後述の<方法α>でのRVA粘度測定に供して行う。
【0057】
本発明の食品は、その10メッシュパス画分の測定試料25gを50℃から少なくとも80℃(又は少なくとも85℃、又は少なくとも90℃、又は少なくとも95℃)まで昇温速度6℃/分で昇温しながらRVAにより粘度測定した場合(斯かる測定方法を適宜「<方法α>」と呼ぶ。)に、80℃到達時点における最高粘度が所定値未満となる特徴を有する。なお、本開示においてRVAにより得られる特定温度(例えば80℃)到達時点における最高粘度とは、50℃から当該特定温度(例えば80℃)に達した時点までにおける最高粘度値を表す。具体的には、10メッシュパスの画分の80℃到達時点における最高粘度が、例えば1cP以上1200cP未満の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が通常1200cP未満である。当該粘度の上限は、中でも1100cP未満、又は1000cP未満、又は900cP未満、又は830cP未満、又は800cP未満、又は730cP未満、又は700cP未満、又は640cP未満、又は600cP未満、又は500cP未満、又は400cP未満、又は300cP未満、又は200cP未満、特に100cP未満であることが好ましい。当該粘度が前記上限値未満であることで、加熱時の熱対流が均一となり、具材を均一に加熱し易くなると共に、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられやすくなるため好ましい。一方、当該粘度が前記上限値以上となると、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられなくなる場合がある。その原理は不明であるが、当該値が所定値を超えると、加熱時の熱対流が不十分となることで、きのこ類具材が過加熱となり、破裂によって歯ごたえが感じにくくなるものと考えられる。下限は特に制限されないが、通常1cP以上、又は3cP以上、又は5cP以上、又は10cP以上、又は30cp以上、又は65cp以上とすることができる。なお、本発明の食品は、その10メッシュパス画分の85℃、又は90℃、又は95℃到達時点における最高粘度が上記粘度範囲であってもよい。なお、当該最高粘度に関する規定について、後述の製法段階(ii)を実施する場合は、段階(ii)の後でその規定を充足すればよいが、段階(ii)の前と後とで共にその規定を充足する事が好ましい。
【0058】
本発明の食品における10メッシュパス画分は、ラピッドビスコアナライザー(Rapid-Visco-Analyser:RVA)を用いて前記<方法α>で測定した場合の、50℃における粘度(cP)(以下適宜「値α」と称する場合がある。)に対する、80℃における粘度(cP)(以下適宜「値β」と称する場合がある。)の割合(以下適宜「値β/値α」又は「β/α」と称する場合がある。)が、所定値以下であることで、加熱時の熱対流が均一となり、具材を均一に加熱し易くなると共に、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられやすくなるため好ましい。一方、当該「β/α」が下記上限を超えると、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられなくなる場合がある。その原理は不明であるが、当該値が所定値を超えると、加熱時の熱対流が不十分となることで、きのこ類具材が過加熱となり、破裂によって歯ごたえが感じにくくなると考えられる。具体的には、本発明の食品における10メッシュパス画分の「β/α」は、例えば0.10以上5.0以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が通常5.0以下、又は4.5以下、又は4.0以下、又は3.5以下、又は3.0以下、又は2.5以下、又は2.0以下、又は1.7以下、又は1.4以下、又は1.0以下、又は0.9以下であることが好ましい。一方、でんぷん粒が含まれるきのこ類具材含有食品において、本パラメーターは、50℃から80℃へ加熱していくことで、でんぷん粒が吸水し膨潤するという糊化現象がみられ、粘度は上昇していく。そのため、50℃における粘度(値α)よりも80℃における粘度(値β)の方が値が高くなり、「β/α」が2.0を超える蓋然性が高くなり、特に1.0を超える蓋然性が高くなる。一方、下限は通常0.10以上とすることができる。中でも0.20以上、更には0.30以上、とりわけ0.40以上、又は0.45以上、又は0.50以上、又は0.55以上、又は0.60以上とすることができる。なお、当該「β/α」に関する規定について、後述の製法段階(ii)を実施する場合は、段階(ii)の後でその規定を充足すればよいが、段階(ii)の前と後とで共にその規定を充足する事が好ましい。
【0059】
本発明の食品における10メッシュパス画分の「α値」は、例えば0.1cP以上1200cP未満の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が1200cP未満、又は1100cP未満、又は1000cP未満、又は900cP未満であることが好ましい。下限は特に制限されないが、例えば通常0.1cP以上、又は1cP以上、又は5cP以上、又は10cP以上、又は15cP以上とすることができる。
【0060】
本発明の食品における10メッシュパス画分の「β値」は、例えば0.1cP以上1200cP未満の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が1200cP未満、又は1100cP未満、又は1000cP未満、又は900cP未満であることが好ましい。下限は特に制限されないが、例えば通常0.1cP以上、又は1cP以上、又は3cP以上、又は9cP以上とすることができる。尚、値αが上記範囲を満たしていればよく、値βが上記範囲を満たしていればよいが、値αと値βがともに上記範囲を満たしているのがよい。さらに「β/α」を満たしているのが好ましい。
【0061】
また、本発明の食品における10メッシュパス画分は、ラピッドビスコアナライザーを用いて前記<方法α>で測定した場合の、50℃における粘度(cP)(以下適宜「値α」と称する場合がある。)に対する、85℃以上の任意の温度における粘度(cP)(以下適宜「値γ」と称する場合がある。)の割合(以下適宜「値γ/値α」又は「γ/α」と称する場合がある。)が、所定値以下とすることで、加熱時の熱対流が均一となり、具材を均一に加熱することが可能となる。また、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられるため好ましい。一方、当該「γ/α」が所定値を超えると、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられなくなる場合がある。その原理は不明であるが、当該「γ/α」が所定値を超えると、加熱時の熱対流が不十分となることで、きのこ類具材が過加熱となり、破裂によって歯ごたえが感じにくくなると考えられる。具体的には、10メッシュパス画分の「γ/α」が例えば0.10以上5.0以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が5.0以下、又は4.5以下、又は4.0以下、又は3.5以下、又は3.0以下、又は2.5以下、又は2.0以下、又は1.7以下、又は1.4以下、又は1.0以下、又は0.9以下であることが好ましい。でんぷん粒が含まれるきのこ類具材含有食品は、50℃から95℃へ加熱していくことで、でんぷん粒が吸水し膨潤するという糊化現象がみられ、粘度は上昇していく。そのため、値αよりも値γの方が値が高くなり、「γ/α」が2.0を超える蓋然性が高くなり、特に1.0を超える蓋然性が高くなる。一方、下限は制限されないが、例えば通常0.10以上、又は0.20以上、又は0.30以上、又は0.40以上、又は0.45以上、又は0.50以上、又は0.55以上、又は0.60以上とすることができる。なお、値γは85℃、又は90℃、又は95℃における粘度であってもよい。なお、当該「γ/α」に関する規定について、後述の製法段階(ii)を実施する場合は、段階(ii)の後でその規定を充足すればよいが、段階(ii)の前と後とで共にその規定を充足する事が好ましい。
【0062】
・10メッシュオン画分と10メッシュパス画分:
本発明の食品は、10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)画分を所定の割合で含有することが好ましい。具体的には、10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)の食用植物含有具材画分をきのこ類具材含有食品中に湿潤質量換算で例えば1.0質量%超80質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が1.0質量%超、中でも1.5質量%超、更には1.7質量%超、とりわけ2.0質量%超、又は2.5質量%超、又は3.0質量%超、又は3.5質量%超、又は4.0質量%超、又は4.5質量%超、又は5.0質量%超、又は6.0質量%超、又は7.0質量%超、又は8.0質量%超、又は9.0質量%超、特に10質量%超含むことが好ましい。上限は特に制限されないが、通常80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下とすることができる。
【0063】
本発明の食品は、10メッシュパス画分(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)を所定の割合で含有することが好ましい。具体的には、10メッシュパス(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)の食用植物含有画分をきのこ類具材含有食品中に湿潤質量換算で例えば1.0質量%超80質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が1.0質量%超、中でも1.5質量%超、更には1.7質量%超、とりわけ2.0質量%超、又は2.5質量%超、又は3.0質量%超、又は3.5質量%超、又は4.0質量%超、又は4.5質量%超、又は5.0質量%超、又は6.0質量%超、又は7.0質量%超、又は8.0質量%超、又は9.0質量%超、特に10質量%超含むことが好ましい。上限は特に制限されないが、通常80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下とすることができる。
【0064】
また、10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)画分は固形分(具材)と媒体とから構成されるが、10メッシュオン(好ましくは1メッシュパス10メッシュオン)画分における固形分の割合が湿潤質量換算で所定割合以上であることが好ましい。具体的には、湿潤質量換算で例えば50質量%以上100質量%、又は50質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が通常50質量%以上、中でも55質量%以上、更には60質量%以上、とりわけ65質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、又は100質量%となることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下である。
【0065】
また、10メッシュパス(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)画分は固形分と媒体からとから構成されるが、10メッシュパス(好ましくは10メッシュパス100メッシュオン)画分における媒体の割合が湿潤質量換算で所定割合以上であることが好ましい。具体的には、湿潤質量換算で例えば50質量%以上100質量%、又は50質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が通常50質量%以上、又は55質量%以上、又は60質量%以上、又は65質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、又は100質量%となることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。
【0066】
すなわち、これらの画分の媒体は、それぞれ互いに同一の媒体であってもよく、異なる媒体であってもよい。また、各画分が1種の媒体のみを含んでいてもよく、2種以上の媒体を任意の組み合わせ及び比率で含んでいてもよい。各媒体の種類も制限されず、水等の水性媒体、水混和性の有機媒体、水非混和性・親油性の有機媒体、乳化状態の媒体(例えば水中油滴型(O/W型)、油中水滴型(W/O型)、それらがさらに分散された複合エマルジョン(O/W/O型、W/O/型))、液性油脂等の種々の媒体中から、任意に選択することができる。また、具材を構成する食用植物に含まれる液体が、各画分に媒体として含まれていてもよく、逆に媒体が具材に浸入することで各画分に具材の一部として含まれてもよい。また、各画分内及び/又は複数画分間で、水相と油相のように相分離を生じていてもよい。
【0067】
・不溶性食物繊維:
本発明の食品は、10メッシュパス画分に不溶性食物繊維を湿潤質量換算で所定割合以上含有することが好ましい。当該画分に不溶性食物繊維を含有させることで、前述の粘度(ラピッドビスコアナライザーを用いて測定した値)が所定の値に調整されるためである。具体的に、10メッシュパス画分中に不溶性食物繊維含有量を湿潤質量換算で例えば0.001質量%以上40質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が0.001質量%以上含有することが好ましい場合がある。中でも0.01質量%以上、更には0.1質量%以上、とりわけ0.5質量%以上、又は1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、特に3.0質量%以上であることが好ましい場合がある。一方、上限は特に限定されないが、通常40質量%以下、30質量%以下、10質量%以下、5質量%以下とすることができる。しかしながら、前述のRVAによる粘度が上記範囲を満たしていれば、当該画分の不溶性食物繊維含有量は限定されない。なお、食物繊維総量及び不溶性食物繊維の測定には、一般的に食品の成分測定に用いる方法を用いることができ、例えば日本食品標準成分表に記載の方法に準じて測定方法を用いることができる。具体的には、食品食物繊維及び不溶性食物繊維の定量法としては、試料をプロスキー変法に供する方法を用いる。
【0068】
なお、本発明の食品に含有される不溶性食物繊維湿潤質量換算割合(例えば0.001質量%以上40質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限は通常0.001質量%以上、又は0.01質量%以上、又は0.1質量%以上、又は0.5質量%以上、又は1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は2.0質量%以上、又は2.5質量%以上、又は3.0質量%以上、上限は40質量%以下、又は30質量%以下、10質量%以下、5質量%以下とすることができる。)に対して、最短辺長5mm超のきのこ類具材に由来する不溶性食物繊維湿潤質量換算割合(最短辺長5mm超のきのこ類具材に由来する不溶性食物繊維湿潤質量換算割合/きのこ類具材含有食品に含有される不溶性食物繊維湿潤質量換算割合)が、例えば2.0以上100以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が2.0以上であることが好ましい。中でも2.5以上、更には3.0以上、とりわけ3.5以上、又は4.0以上、又は4.5以上、又は5.0以上、特に5.5以上であることが好ましい。一方で、上限については特に制限されないが、通常100以下、又は90以下、又は80以下とすることができる。特に、10メッシュオン画分に含有される不溶性食物繊維湿潤質量換算割合に対して、最短辺長5mm超のきのこ類具材に由来する不溶性食物繊維含有量の割合(最短辺長5mm超のきのこ類具材に由来する不溶性食物繊維湿潤質量換算割合/10メッシュオン画分に含有される不溶性食物繊維湿潤質量換算割合)が、当該範囲内であることが好ましい。
【0069】
本発明の食品は、10メッシュオン画分および/又は10メッシュパス画分に不溶性食物繊維を含有してもよく、それら画分における不溶性食物繊維含有量は、不溶性食物繊維を単独で含有させてもよく、不溶性食物繊維局在部位を含む食用植物又はその加工品の状態で含有させてもよいが、同一種類の食用植物における不溶性食物繊維局在部位とそれ以外の部位を共に含有することが好ましく、同一個体の食用植物における不溶性食物繊維局在部位とそれ以外の部位を共に含有することが特に好ましい。同一種類又は同一個体の食用植物における不溶性食物繊維局在部位を含む食用植物又はその加工品は、食用植物(又はその加工品)中の不溶性食物繊維局在部位とそれ以外の部位を別個に含有させてもよいし、不溶性食物繊維局在部位を含んだ状態の食用植物(又はその加工品)を含有させてもよい。
【0070】
本開示において、ある食用植物の「不溶性食物繊維局在部位」とは、当該食用植物中の不溶性食物繊維が局在する部位を意味し、言い換えれば、当該食用植物の可食部よりも、相対的に高い不溶性食物繊維含有割合を有する部位を表す。より具体的には、ある食用植物の「不溶性食物繊維局在部位」とは、乾燥状態において、当該食用植物の可食部の例えば通常1.1倍以上、又は1.2倍以上、又は1.3倍以上、又は1.4倍以上、又は1.5倍以上、又は1.6倍以上、又は1.7倍以上、又は1.8倍以上、又は1.9倍以上、又は2.0倍以上の不溶性食物繊維含有割合を有する部位を表すものとする。例えば、トマトにおいて可食部(果肉部等)における不溶性食物繊維含有割合よりも相対的に高い不溶性食物繊維含有割合を有する種子及び/又は皮が不溶性食物繊維局在部位に該当する。
【0071】
・10メッシュパス画分のでんぷん含有量:
本発明の食品は、10メッシュパス画分における、でんぷん含有量を所定割合以下とすることが好ましい。具体的には、当該画分におけるでんぷん含有量は湿潤質量換算で例えば0質量%以上1.0質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が通常1.0質量%以下であることが好ましい。中でも0.9質量%以下、更には0.8質量%以下、とりわけ0.7質量%以下、特に0.6質量%以下、特に0.5質量%以下であることが好ましい。当該画分において、でんぷん含有量を所定割合以下とすることで、きのこ類具材含有食品の粘度が抑えられ、加熱時の熱対流が均一となり、具材を均一に加熱することが可能となる。また、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられるため好ましい。所定割合を超えると、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられなくなる場合がある。その原理は不明であるが、当該でんぷん含有量が所定割合を超えると、加熱時の熱対流が不十分となることで、きのこ類具材が過加熱となり、破裂によって歯ごたえが感じにくくなると考えられる。下限は特に制限されないが、工業上の生産効率という観点から、例えば実質的に含有しない態様、又は0質量%、又は0質量%超、又は0.1質量%以上とすることができる。
【0072】
また、本発明の食品は、10メッシュパス画分にでんぷんを主成分(例えばでんぷん含有量が乾燥質量換算で50質量%以上、又は70質量%以上)とするでんぷん含有食用植物を湿潤質量換算で所定割合以下含有することが好ましい。具体的には、当該画分におけるでんぷん含有食用植物の含有量は湿潤質量換算で例えば0質量%以上1.0質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が通常1.0質量%以下であることが好ましい。中でも0.9質量%以下、更には0.8質量%以下、とりわけ0.7質量%以下、特に0.6質量%以下、特に0.5質量%以下であることが好ましい。一方下限は特に限定されないが、例えば実質的に含有しない態様、又は0質量%、又は0質量%超とすることができる。当該画分において、でんぷん含有食用植物の含有量を所定割合以下とすることで、きのこ類具材含有食品の粘度が抑えられ、加熱時の熱対流が均一となり、具材を均一に加熱することが可能となる。また、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられるため好ましい。所定割合を超えると、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえが感じられなくなる場合がある。その原理は不明であるが、当該でんぷん含有食用植物含有量が所定割合を超えると、加熱時の熱対流が不十分となることで、きのこ類具材が過加熱となり、破裂によって歯ごたえが感じにくくなると考えられる。
【0073】
本発明の食品中におけるでんぷん含有量の測定方法としては、定法を用いることができる。例としては、「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)」及び「日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル」に記載の方法に準じた方法が挙げられる。具体的には、AOAC996.11の方法に従い、80%エタノール抽出処理により、測定値に影響する可溶性炭水化物(ぶどう糖、麦芽糖、マルトデキストリン等)を除去した方法があげられる。
【0074】
・10メッシュパス画分の可溶性糖類含有量:
また、本発明の食品は、10メッシュパス画分における、可溶性糖類含有量を所定割合以下とすることが好ましい。当該画分における可溶性糖類含有量を所定範囲とすることで、きのこ類具材含有食品の粘度が抑えられ、加熱時の熱対流が均一となり、具材を均一に加熱することが可能となる。具体的には、本発明の食品における可溶性糖類の含有量は湿潤質量換算で例えば0.1質量%以上10質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が10質量%以下であることが好ましい。中でも9.0質量%以下、更には8.0質量%以下、とりわけ7.0質量%以下、又は6.0質量%以下、又は5.0質量%以下、又は4.5質量%以下、又は4.0質量%以下、又は3.5質量%以下、又は3.0質量%以下、又は2.5質量%以下、又は2.0質量%以下、又は1.5質量%以下、特に1.0質量%以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが、工業上の生産効率という観点から、例えば0.1質量%以上とすることができる。なお、本発明における「可溶性糖類」とは、例えば単糖類や少糖類を指す。
【0075】
・湿潤質量換算含水率:
本発明の食品の湿潤質量換算含水率は、制限されないが、例えば40質量%以上100質量%未満の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上とすることができる。一方、その上限は、制限されないが、例えば100質量%未満、又は90質量%以下、又は80質量%以下とすることができる。なお、湿潤質量換算含水率は、10メッシュオン画分においても、前述の数値範囲であることが好ましい。また、10メッシュパス画分においても、前述の数値範囲であることが好ましい。
【0076】
本開示において、「湿潤質量換算含水率」とは、食品試料の原料に由来する水分量と別途添加した水分量の合計量の、食品試料に対する割合を意味する。その数値は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、減圧加熱乾燥法で90℃に加温することで測定する。具体的には、予め恒量になったはかり容器(その質量をW0とする。)に適量の試料を採取して秤量し(その質量をW1とする。)、常圧において、所定の温度(より詳しくは90℃)に調節した減圧電気定温乾燥器中に、はかり容器の蓋をとるか、口を開けた状態で入れ、扉を閉じ、真空ポンプを作動させて、所定の減圧度において一定時間乾燥し、真空ポンプを止め、乾燥空気を送って常圧に戻し、はかり容器を取り出し、蓋をしてデシケーター中で放冷後、質量をはかる。そのようにして恒量になるまで乾燥、放冷、秤量する(その質量をW2とする。)ことを繰り返し、次の計算式で水分含量(湿潤質量換算含水率)(質量%)を求める。
【数1】
【0077】
・全油脂分含有量:
本発明の食品中の全油脂分含有量は、制限されないが、湿潤質量換算で例えば1質量%以上50質量%未満の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が1質量%以上、中でも3質量%以上、又は5質量%以上、又は7質量%以上、又は8質量%以上、又は9質量%以上、特に10質量%以上とすることができる。一方、きのこ類具材含有食品中の全油脂分含有量の上限は特に制限されないが、湿潤質量換算で例えば50質量%未満とすることができる。なお、油脂含有量は、10メッシュオン画分においても、前述の数値範囲であることが好ましい。また、10メッシュパス画分においても、前述の数値範囲であることが好ましい。
【0078】
本発明の食品中における油脂分含有量の測定方法としては、定法を用いることができる。例としては、「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)」及び「日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル」に記載の方法に準じた方法が挙げられる。具体的には、クロロホルム・メタノール混液抽出法又はソックスレー抽出法等が挙げられる。
【0079】
本発明の食品中の油脂分の由来は特に制限されない。例としては、植物由来のものや動物由来のものが挙げられるが、植物由来の油脂分が好ましい。本発明において、きのこ類具材含有食品全体の総油脂分含有量に対する、植物由来油脂分含有量の割合は所定割合以上であるのが好ましい。具体的には、きのこ類具材含有食品全体の総油脂分含有量に対する、植物由来油脂分含有量の割合は、湿潤質量換算で例えば50質量%以上100質量%、又は50質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が例えば50質量%以上、中でも60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%であることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。植物由来油脂分の例としては、穀類由来のもの、豆類由来のもの、芋類由来のもの、野菜類由来のもの、種実類由来のもの、果実類由来のもの等が挙げられる。
【0080】
本発明の食品中の油脂分は、単離された純品として本発明の食品及び/又は組成物に配合されたものであってもよいし、食用植物に含有された状態で本発明の食品及び/又は組成物に配合されたものであってもよい。具体的には、きのこ類具材含有食品中の総油脂分含有量に対する、単離された純品として本発明の食品及び/又は組成物に配合されている油脂分含有量が、湿潤質量換算で例えば50質量%以上100質量%、又は50質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が50質量%以上、中でも60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%であることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。
【0081】
・他の成分:
本発明の食品は、上記の各種成分に加えて、任意の1種又は2種以上の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、調味料や食品添加物等が挙げられる。
【0082】
本発明の食品が含んでいてもよい調味料や食品添加物等の具体例としては、醤油、味噌、アルコール類、糖類(例えばブドウ糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖等)、糖アルコール(例えばキシリトール、エリスリトール、マルチトール等)、人工甘味料(例えばスクラロース、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK等)、ミネラル(例えばカルシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、亜鉛、マグネシウム等、及びこれらの塩類等)、香料、pH調整剤(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸及び酢酸等)、シクロデキストリン、酸化防止剤(例えばビタミンE、ビタミンC、茶抽出物、生コーヒー豆抽出物、クロロゲン酸、香辛料抽出物、カフェ酸、ローズマリー抽出物、ビタミンCパルミテート、ルチン、ケルセチン、ヤマモモ抽出物、ゴマ抽出物等)、乳化剤(例としてはグリセリン脂肪酸エステル、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リノシール酸エステル、キラヤ抽出物、ダイズサポニン、チャ種子サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等)、着色料、増粘安定剤等が挙げられる。
【0083】
但し、昨今の自然志向の高まりからは、本発明の食品は、いわゆる乳化剤、着色料、及び増粘安定剤(例えば、食品添加物表示ポケットブック(平成23年版)の「表示のための食品添加物物質名表」に「着色料」、「増粘安定剤」、「乳化剤」として記載されているもの)から選ばれる何れか1種を含有しないことが好ましく、何れか2種を含有しないことがより好ましく、3種全てを含有しないことが更に好ましい。特に、本発明の食品は、代表的な増粘安定剤であるキサンタンガムを、実質的に含有しないこと(又は含有しないこと)が好ましい。
【0084】
[本発明の食品の製造方法]
・概要:
本発明の一態様は、本発明のきのこ類具材を含有する食品の製造方法であって、食品に特定のサイズのきのこ具材を特定の割合で含有させることを含む方法に関する。本発明の食品を製造するには、その原料として、所定のサイズを有するきのこ類具材及び液性媒体を、任意により他の食用植物及び他の各種の調味料や食品添加物等の任意成分と共に混合すればよい。具体例としては、原料のうち固体原料を、水や酢などの液体原料に攪拌混合した後、次いで残りの液体原料を添加し、混合機で混合しながら固体原料を溶解させることにより製造することができる。また、必要に応じて加熱滅菌処理、冷却処理、容器充填処理等を施してもよい。
【0085】
中でも、本発明の食品は、以下に説明する段階(i)を少なくとも含む特定の製造方法(これを適宜「本発明の製造方法」と称する。)で製造することが好ましい。
(i)下記(1)~(3)をすべて充足する混合物を調製する段階。
(1)最短辺長が5mm超のきのこ類具材を、混合物中に湿潤質量換算で1質量%以上含有する。
(2)10メッシュオン画分における、最短辺長5mm超のきのこ類具材に対する最短辺長5mm以下のきのこ類具材含有量比が、湿潤質量換算で20倍以下である。
(3)10メッシュパス画分を前記<方法α>によって測定した場合の80℃到達時点における最高粘度が1200cP未満である。
【0086】
また、本発明の製造方法は、任意により、以下の方法を含んでいてもよい。
(ii)前記段階(i)の混合物を80℃以上で0.1分間以上加熱する段階。
【0087】
・段階(i):
本段階(i)では、本発明の食品の元となる混合物を調製する。混合物は、基本的には本発明の食品の組成、物性、その他の詳細について先に詳述した内容をそのまま採用して、これを調製することができる。
【0088】
なお、混合物の調製時には、最短辺長が5mm超のきのこ類具材と、最短辺長が5mm以下のきのこ類具材と、10メッシュパス画分の媒体とを個別に調製し、これらを混合すればよい。或いは、具材と媒体とを共に構成する1種の食用植物、或いは2種以上の食用植物の混合物に対して、切削・粉砕・圧潰・加熱等の処理を加えてそのサイズを調節することにより、所望サイズの具材を含む混合物を形成してもよい。更には、これらの手法を適宜組み合わせてもよい。
【0089】
・段階(ii):
段階(ii)では、前記段階(i)で調製された混合物に対して、加熱処理を行う。段階(ii)は任意であるが、殺菌のため行うことが好ましい場合がある。加熱処理における加熱温度(加熱時の最高温度)は制限されるものではないが、例えば60℃以上200℃以下の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が通常60℃以上、中でも70℃以上、更には80℃以上とすることが好ましい。加熱温度が前記下限よりも低いと、殺菌が十分ではない品質となる場合がある。なお、態様によっては、加熱温度の下限をこれよりも高く、例えば90℃以上、又は100℃以上、又は110℃以上、又は120℃以上としてもよい。加熱温度の上限も制限されるものではないが、通常200℃以下、中でも190℃以下、更には180℃以下、更には170℃以下、更には160℃以下、更には150℃以下とすることが好ましい。加熱温度が前記上限よりも高いと、本発明の食品に加熱臭が付与された品質となる場合がある。なお、態様によっては、加熱温度の上限をこれよりも低く、例えば140℃以下、又は130℃以下、又は125℃以下としてもよい。
【0090】
加熱処理における加熱時間(前記加熱温度の好適範囲に維持される時間)も制限されるものではないが、例えば0.1分間以上10時間未満の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が通常0.1分間以上、中でも0.3分間以上、更には0.5分間以上、とりわけ1分間以上、又は3分間以上、又は5分間以上、又は7分間以上、又は10分間以上とすることが好ましい。加熱時間が前記下限よりも短いと、殺菌が十分ではない品質となる場合がある。なお、態様によっては、加熱時間の下限をこれよりも長く、例えば15分間以上、又は20分間以上としてもよい。加熱時間の上限も制限されるものではないが、通常10時間未満、中でも5時間未満、更には3時間未満、又は1時間未満とすることが好ましい。加熱時間が前記上限よりも短いと、本発明の食品に加熱臭が付与された品質となる場合がある。なお、態様によっては、加熱時間の上限をこれよりも短く、例えば50分間未満、又は40分間未満、又は30分間未満としてもよい。
【0091】
なお、加熱処理中、前記加熱温度の好適範囲に維持される連続時間が、前記加熱時間の好適範囲を満たしていてもよいが、加熱処理中、前記加熱温度の好適範囲よりも低い温度が介在していても、前記加熱温度の好適範囲を断続的に満たす時間帯が存在しており、斯かる時間帯の合計が前記加熱時間の好適範囲を満たしていてもよい。また、前記加熱温度の好適範囲を満たす時間帯の合計が前記加熱時間の好適範囲を満たさなくとも、前記加熱温度に近い範囲の温度で長時間に亘って保持されることにより、前記加熱時間の好適範囲を満たしているのと同様の効果が得られる場合もある。特に、前記の混合物を、通常60℃以上、又は70℃以上、又は80℃以上、中でも90℃以上、更には100℃以上、又は110℃以上、特に120℃以上に保持した状態で、0.1分間以上加熱することが好ましく、0.3分間以上加熱することが好ましく、0.5分間以上加熱することが好ましく、1分間以上加熱することが好ましく、5分間以上加熱することが好ましく、特に10分間以上加熱することが好ましい。
【0092】
加熱処理における圧力も制限されるものではないが、通常は常圧又は加圧下である。加熱処理におけるその他の条件も制限されず、適宜選択すればよい。殺菌方法の具体例としては、ジャケットタンク、蛇管タンク、プレートヒーターなどの熱交換器を用いる方法や、蒸気を混入したりする方法や、高温高圧条件下でのレトルト殺菌等を挙げることができる。
【0093】
本発明の食品の製造段階(i)において、本発明の食品の10メッシュパス画分におけるでんぷん含有量が湿潤質量換算で所定割合以下であることが好ましい。加熱処理時に液部に流動性が生じやすく、本発明の効果が奏されやすくなるためである。具体的には、本発明の食品の10メッシュパス画分におけるでんぷん含有量は、湿潤質量換算で例えば0質量%以上1.0質量%以下の範囲とすることができる。より具体的には、その上限が1.0質量%以下であることが好ましい。中でも0.9質量%以下、更には0.8質量%以下、とりわけ0.7質量%以下、特に0.6質量%以下、特に0.5質量%以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが、工業上の生産効率という観点から、例えば0質量%以上、又は0.1質量%以上とすることができる。
【0094】
・その他の処理:
本発明の食品の製造時には、上記の各処理の他に、任意の処理を加えてもよい。斯かる任意の処理としては、容器充填処理、殺菌処理、攪拌処理、乳化処理、混練処理、ストレーナー処理、ろ過処理、発酵処理、スチーム処理、活性炭処理等が挙げられる。
【0095】
本発明の食品を容器に充填する場合、その詳細は任意である。但し、例えば本発明の食品をドライグロサリー製品とする場合は、容器内の微生物汚染を防止するために、容器を無菌状態にした後に同じく無菌状態の中身液を充填するアセプティック充填、加熱滅菌後の中身液を高温状態で容器に充填し、中身液の熱で容器内の微生物を制御するホットパック充填、中身液充填後の容器をパストライザーやレトルト釜で加熱して容器内の微生物を制御する充填後殺菌等の方法により充填が行われる。
【0096】
本発明の食品を充填する容器には、あらゆる容器が使用できる。例えば、レトルトパウチ、ペットボトル、ビン、缶、紙パック、アルミパウチ、ビニール袋、バッグインボックス、一部又は全部に樹脂を使用した容器、樽、枡、陶器など一般的に使用される調味液容器に充填することができる。例えば、製造からの賞味期限が4ヶ月よりも長いロングライフ常温(本開示において20℃)保存容器、開栓後に容器開口部を密封して複数回に亘って使用することができる非使い切り容器、中身液が漏出しない程度の再密封可能なキャップや栓などの機構を持つ再密封可能な容器など、中身のきのこ類具材含有食品が劣化しやすい容器であっても使用できる。
【0097】
また、プラスチックフィルム、アルミニウム箔などの柔らかい柔軟性に富む材料で構成したパウチ容器を包装容器として採用する場合、耐熱性のある容器であることが好ましい。具体的にはレンジ加熱(これを適宜「マイクロ波加熱」と称する。)調理可能な耐熱パウチであることが好ましい。また、パウチ容器が、横や底に折り込みの「マチ」がついており自立性のあるスタンディングパウチであることが好ましい。また、保存や輸送等、流通時に求められるシール強度の基準を満たしながら、マイクロ波加熱調理時には自動的に蒸気口から水蒸気を逃がし破裂を防ぐことで、そのままマイクロ波加熱調理可能なレンジパウチであってもよい。なお、本開示において、おいしさと使い勝手の良さという観点から、マイクロ波加熱調理可能なパウチ容器を使用することが好ましい。また、本発明には、加熱調理時の突沸を抑制すると共に、加熱調理後でもきのこ類具材の歯ごたえを維持するという未知の属性により、マイクロ波加熱調理用途という新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく用途発明が含まれる。具体的には、本発明の食品をマイクロ波加熱調理用途に用いられる発明が含まれる。特に、本発明は、食品を容器ごとマイクロ波加熱調理用途に用いられる発明であることが好ましい。さらに、容器がマイクロ波加熱調理可能な容器であることが好ましく、パウチ容器であることがより好ましい。また、マイクロ波加熱調理の条件は、調理対象となる食品の特性によって出力と加熱調理時間が適宜調整されればよいが、所定値以上の熱量が加わる条件で加熱調理することが好ましい。具体的には、例えば10000J以上90000J未満の範囲とすることができる。より具体的には、その下限が通常10000J以上、又は12000J以上、又は14000J以上、又は16000J以上、又は18000J以上、又は20000J以上、又は22000J以上、24000J以上であればよい。一方で、その上限は制限されるものではないが、例えば90000J未満、又は85000J未満、又は80000J未満、又は75000J未満、又は70000J未満、又は65000J未満、又は62000J未満、又は58000J未満、又は52000J未満、又は48000J未満とすることができる。例えば、18000J以上のマイクロ波加熱調理を行う場合、その加熱条件は、100Wであれば180秒間以上であればよく、200Wであれば90秒間以上であればよく、300Wであれば60秒間以上であればよく、400Wであれば45秒間以上であればよく、500Wであれば36秒間以上であればよく、600Wであれば30秒間以上であればよく、800Wであれば22.5秒間以上であればよく、1000Wであれば18秒間以上であればよく、1200Wであれば15秒間以上であればよい。
【0098】
また、本発明の食品の保存の方法も限定されず、常温保存であって冷蔵保存であってもよい。特に常温で流通し長期(本開示において4か月以上、6か月以上、8か月以上、より好ましくは10か月以上)保存可能なドライグロサリー製品として提供しても、中身液の劣化が進みにくいため好ましい。特に常温における賞味期限が4か月よりも長いロングライフ常温保存きのこ類具材含有食品とすることが好ましい。
【0099】
本発明の食品の使用方法・喫食方法も特に制限されない。一例としては、調味料として用い、他の食品と一緒に喫食することができる。本発明の食品と組み合わせて喫食される食品としては、これらに限定されるものではないが、未調理又は調理済の肉類、魚介類、食用植物類(例えば野菜類、穀物類、果実類)等の各種の食材、又はこれらの食材の1種又は2種以上を用いた各種の加工食品等が挙げられる。本発明の食品と組み合わせて喫食される加工食品の一例としては、各種の食用植物(例えば豆類)を用いた麺(例えばパスタ、ラーメン、うどん、そうめん・ひやむぎ、そば等)が挙げられる。この場合、本発明の食品をスープ・つゆとして用い、麺と組み合わせて喫食すればよい。組み合わせる態様も限定されず、本発明の食品に麺を浸漬して喫食してもよく、本発明の食品を麺にかけて喫食してもよい。また、当然ながら加熱処理等の調理を適宜加えてから喫食してもよい。或いは、本発明の食品は、他の食品と組み合わせず、単独で(そのまま或いは水等の媒体で希釈して)例えばスープ等の形態として喫食してもよい。
【0100】
[本発明のきのこ類具材を含有する食品の加熱調理時の突沸を抑制及び/又は加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえを維持する方法]
本発明の別の一態様は、きのこ類具材を含有する食品の加熱調理時の突沸を抑制する方法に関する。本発明の更に別の一態様は、きのこ類具材を含有する食品の加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえを維持する方法に関する。本発明の更に別の一態様は、きのこ類具材を含有する食品の加熱調理時の突沸を抑制すると共に加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえを維持する方法に関する。これらの方法は、本発明の製造方法と同様、上記段階(i)を含み、場合により上記段階(ii)を更に含む。その他の詳細は、既に詳述した通りである。
【実施例
【0101】
以下、本発明を実施例に則して更に詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されるものではない。
【0102】
[きのこ類具材含有食品試料の調製]
きのこ類及び食用植物を調製し、各試験例及び比較例に記載の含有量となるよう加え、更にこめ油を加えて混合し、各試験例及び比較例の混合物を得た。野菜類としてタマネギ、トマトを、きのこ類としてエリンギ、マッシュルーム、エノキタケ、シイタケ、ブナシメジを、種実類としてカシューナッツを、豆類としてエンドウ豆をそれぞれ用いた。また、こめ油は、各試験例及び比較例の全ての食品試料中に湿潤質量換算で10質量%含有するように調整した。また、本開示の「ばれいしょ」とは、ばれいしょから抽出されたでんぷんを指す。これらの混合物を電子レンジ加熱可能なパウチ容器(例えばMRGLPET12/PET12/CPP60、凸版社製)に充填して、各試験例及び比較例のきのこ類具材含有食品試料を得た。
【0103】
[きのこ類具材含有食品試料の物性・特性評価]
90℃で1分加熱後の各試験例及び比較例のきのこ類具材含有食品試料100g(20℃)を、1メッシュ、10メッシュの順番に上から重ねた篩上に薄く均等に広げて、10分間放置後の10メッシュオン画分から最短辺長5mm超のきのこ類具材と最短辺長5mm以下のきのこ類具材を採取し、そのサイズ(形状)として寸法と体積を測定した。また、10メッシュパス画分を液性媒体画分として採取し、湿質量を計測した。
【0104】
各試験例及び比較例の成分含有量のうち、「でんぷん」については、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、AOAC996.11の方法に従い、80%エタノール抽出処理により、測定値に影響する可溶性炭水化物(ぶどう糖、麦芽糖、マルトデキストリン等)を除去した方法で測定した。
【0105】
各試験例及び比較例の成分含有量のうち、「不溶性食物繊維」については、日本食品標準成分表に記載の方法に準じ、プロスキー変法に供する方法で測定した。
【0106】
各試験例及び比較例に示すラピッドビスコアナライザー(RVA)粘度測定による粘度測定は、以下の手順で行った。即ち、ラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いて測定試料25gを50℃から80℃まで昇温速度6℃/分で昇温させて測定した。具体的には、ラピッドビスコアナライザー(RVA)としてPerten社製RVA4800を用い、各例の食品試料の10メッシュパス画分25.0gを測定用アルミニウムカップ(容積約70mL)に入れ、50℃で測定を開始し、測定開始時~測定開始10秒後までの回転数を960rpm、測定開始10秒後~測定終了までの回転数を160rpmとし、昇温速度6℃/分で昇温しながら、13mm×19mm程度の2枚のパドル(羽根)を回転させて試料を攪拌しつつ、RVA粘度プロファイルを測定した。なお、実施例において、10メッシュパス画分を、ラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いて測定試料25gを50℃から80℃まで昇温速度6℃/分で昇温させて測定した場合の80℃到達時点における最高粘度(cP)を「最高粘度」、50℃における粘度(cP)を「50℃粘度」、[値β(80℃における粘度(cP))]/[値α(50℃における粘度(cP))]を「[値β]/[値α]比」と表す。
【0107】
[きのこ類具材含有食品試料の官能評価]
各試験例及び比較例で調製されたきのこ類具材含有食品の官能評価は、訓練された官能検査員10名によって行った。各例の手順に従い製造された食品組成物について、20℃保管試料を500W90秒で電子レンジ(例えば、Panasonic社製、NE-MS264)により加熱調理を行い、加熱調理時の蒸気口からのきのこ類具材含有食品の吹きこぼれ度合いや、パウチ容器内部における食品の気泡、並びに電子レンジによる加熱調理後に食品を取り出す際の気泡の発生度合いを観察し、(1)加熱調理時の突沸の抑制度合いとして評価した。
【0108】
また、加熱調理後のきのこ類具材含有食品における、1メッシュパス10メッシュオン具材画分を喫食し、(2)加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえを評価した。併せて、具材が均一に加熱されているかについてコメントを記載した。
【0109】
また、加熱による突沸が抑制され使い勝手が良く、加熱調理後も歯ごたえの残ったきのこ類具材を含有した、おいしさと使い勝手とのバランスが良いきのこ類具材含有食品となっているかを(3)総合評価で記載した。
【0110】
なお、本発明の食品の内容物を、平皿に取り出して20℃保管試料を500W90秒で電子レンジ加熱を実施した場合においても(1)加熱調理時の突沸の抑制度合い(2)加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえ(3)総合評価について、同様の効果が認められた。
【0111】
各官能試験を行う官能検査員としては、予め下記A)~C)の識別訓練を実施した上で、特に成績が優秀で、商品開発経験があり、食品の味や食感といった品質についての知識が豊富で、各官能検査項目に関して絶対評価を行うことが可能な検査員を選抜した。
【0112】
A)五味(甘味:砂糖の味、酸味:酒石酸の味、旨み:グルタミン酸ナトリウムの味、塩味:塩化ナトリウムの味、苦味:カフェインの味)について、各成分の閾値に近い濃度の水溶液を各1つずつ作製し、これに蒸留水2つを加えた計7つの試料から、それぞれの味の試料を正確に識別する味質識別試験。
B)濃度がわずかに異なる5種類の食塩水溶液、酢酸水溶液の濃度差を正確に識別する濃度差識別試験。
C)メーカーA社醤油2つにメーカーB社醤油1つの計3つの試料からB社醤油を正確に識別する3点識別試験。
【0113】
また、前記の何れの評価項目でも、事前に検査員全員で標準試料の評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、10名によって客観性のある官能検査を行った。各評価項目の評価は、各項目の5段階の評点の中から、各検査員が自らの評価と最も近い数字をどれか一つ選択する方式で評価した。評価結果の集計は、10名のスコアの算術平均値から算出し、小数第1位を四捨五入して最終評点とした。
【0114】
各例のきのこ類具材含有食品について、加熱調理時の突沸の抑制度合いを下記の5段階で評価した。
5:突沸が抑制され、非常に好ましい。
4:突沸がほとんど抑制され、好ましい。
3:突沸が多少抑制され、許容範囲である。
2:突沸がほとんど抑制されておらず、やや好ましくない。
1:突沸が抑制されておらず、好ましくない。
【0115】
各例のきのこ類具材含有食品について、加熱調理後のきのこ類具材の歯ごたえについて下記の5段階で評価した。なお、具材が不均一に加熱されているものについてはコメントを記載した。
5:きのこ類具材の歯ごたえが良く感じられ、非常においしい。
4:きのこ類具材の歯ごたえが感じられ、おいしい。
3:きのこ類具材の歯ごたえが若干感じられ、おいしさは許容範囲である。
2:きのこ類具材の歯ごたえがほとんど感じられず、ややおいしくない。
1:きのこ類具材の歯ごたえが感じられず、おいしくない。
【0116】
各例のきのこ類具材含有食品について、おいしさと使い勝手とのバランスとについて、総合的に下記の5段階で評価した。
5:おいしさと使い勝手とのバランスが良好で、非常に好ましい。
4:おいしさと使い勝手とのバランスが比較的良好で、やや好ましい。
3:おいしさと使い勝手とのバランスが許容範囲である。
2:おいしさと使い勝手とのバランスが若干悪く、やや好ましくない。
1:おいしさと使い勝手とのバランスが非常に悪く、好ましくない。
【0117】
[評価結果]
結果を表2~4に示す。
【0118】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0119】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0120】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、きのこ類具材を含有する各種食品の分野に広く適用でき、その利用価値は極めて大きい。