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特許7577060MRAM応用のための構造を形成する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-24
(45)【発行日】2024-11-01
(54)【発明の名称】MRAM応用のための構造を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 61/00 20230101AFI20241025BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20241025BHJP
   H10N 50/20 20230101ALI20241025BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
H10B61/00
H10N50/10 Z
H10N50/20
H01L29/82 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021526558
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019056818
(87)【国際公開番号】W WO2020106387
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】16/195,313
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ツェン, シンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】パク, チャンド
(72)【発明者】
【氏名】アン, ジェス
(72)【発明者】
【氏名】シュエ, リン
(72)【発明者】
【氏名】パカラ, マヘンドラ
【審査官】渡邊 佑紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112358(JP,A)
【文献】国際公開第2017/090733(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0225423(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0279040(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0351792(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0061467(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0151210(US,A1)
【文献】国際公開第2016/011435(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 61/00
H10N 50/10
H10N 50/20
H01L 29/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互接続構造において、
基板上に配置された少なくとも3つの磁気トンネル接合構造であって、当該少なくとも3つの磁気トンネル接合構造のそれぞれが、
第1の強磁性層と、
第1の下部相互接続構造の上方に配置された第2の強磁性層と、ここで前記第1の強磁性層と前記第2の強磁性層はトンネルバリア層を挟み、
前記第1の強磁性層上に配置されたハードマスク層と
を含む、磁気トンネル接合構造
前記ハードマスク層の上面に接触して当該上面上に配置された最底面を有する、導電性のスピン軌道トルク(SOT)層及び
前記SOT層上に配置された2つ以上のバックエンド構造
を含み、前記2つ以上のバックエンド構造の数は前記少なくとも3つの磁気トンネル接合構造の数より少ない、相互接続構造。
【請求項2】
前記ハードマスク層が、前記SOT層と同じ材料から形成される、請求項1に記載の相互接続構造。
【請求項3】
前記ハードマスク層の材料が、CoFeB、MgO、Ta、W、Pt、CuBi、Mo、及びRuである、請求項1に記載の相互接続構造。
【請求項4】
前記2つ以上のバックエンド構造のうちの少なくとも1つがデュアルダマシン構造である、請求項1に記載の相互接続構造。
【請求項5】
前記第1の下部相互接続構造が前記少なくとも3つの磁気トンネル接合構造のそれぞれの下に形成されている、請求項1に記載の相互接続構造。
【請求項6】
前記SOT層が、前記少なくとも3つの磁気トンネル接合構造のそれぞれを介して前記2つ以上のバックエンド構造のうちの少なくとも1つを前記第1の下部相互接続構造に接続する、請求項1に記載の相互接続構造。
【請求項7】
前記2つ以上のバックエンド構造のうちの少なくとも1つが第2の下部相互接続構造に接続される、請求項5に記載の相互接続構造。
【請求項8】
前記少なくとも3つの磁気トンネル接合構造のうちの3つが前記SOT層に接続される、請求項1に記載の相互接続構造。
【請求項9】
前記少なくとも3つの磁気トンネル接合構造のそれぞれが、
当該磁気トンネル接合構造の底部に形成されたシード層
をさらに含む、請求項1に記載の相互接続構造。
【請求項10】
当該少なくとも3つの磁気トンネル接合構造のそれぞれの下にピン止め層又は結合層が配置される、請求項1に記載の相互接続構造。
【請求項11】
前記SOT層の幅が、前記ハードマスク層の幅よりも大きい、請求項1に記載の相互接続構造。
【請求項12】
前記2つ以上のバックエンド構造のうちの少なくとも1つが、前記少なくとも3つの磁気トンネル接合構造のそれぞれの縁の外に配置されている、請求項1に記載の相互接続構造。
【請求項13】
前記SOT層が、前記2つ以上のバックエンド構造のうちの少なくとも1つを前記少なくとも3つの磁気トンネル接合構造のそれぞれに電気的に接続するように構成されている、請求項1に記載の相互接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)応用に用いられる構造を製造するための方法に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、MRAM応用のための磁気トンネル接合構造を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)は、電荷の代わりに抵抗値を使用してデータを格納するMRAMセルのアレイを含むメモリデバイスの一種である。概して、各MRAMセルは、磁気トンネル接合(MTJ)構造を含む。MTJ構造は、論理状態「0」又は「1」を表すために調整可能な抵抗を有しうる。MTJ構造は、典型的には、2つの強磁性層が、薄い非磁性誘電体、例えば絶縁トンネル層によって分離されている構成を有する磁性層のスタックを含む。上部電極と下部電極を利用してMTJ構造を挟み、上部電極と下部電極の間に電流が流れるようにする。
【0003】
1つの強磁性層、例えば基準層は、固定方向を有する磁化によって特徴付けられる。他方の強磁性層、例えば貯蔵層は、磁場を印加することなどによるデバイスの書き込みの際に、磁化の方向が変化することによって特徴付けられる。幾つかのデバイスでは、誘電体酸化物層などの絶縁体材料が、強磁性層の間に挟まれた薄いトンネルバリア層として形成されうる。これらの層は通常、上層ブランケット(overlying blanketed)膜として逐次的に堆積する。続いて、強磁性層及び絶縁体材料は、デバイスの特徴を形成するために、1つ以上の層が部分的に又は全体的に除去されるさまざまなエッチングプロセスによってパターン化される。
【0004】
基準層と貯蔵層のそれぞれの磁化が逆平行である場合、磁気トンネル接合の抵抗は高く、高い論理状態「1」に対応する抵抗値Rmaxを有する。一方、それぞれの磁化が平行である場合、磁気トンネル接合の抵抗は低く、すなわち、低い論理状態「0」に対応する抵抗値Rminを有する。MRAMセルの論理状態は、その抵抗値を基準抵抗値Rrefと比較することによって読み取られ、この基準抵抗値Rrefは、基準セル又は参照セルの群から導出され、高論理状態「1」と低論理状態「0」との中間の抵抗値を表す。
【0005】
スピン移動トルク磁気ランダムアクセスメモリ(STT MRAM)及びスピン軌道トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT MRAM)は、それぞれ独自の電気的性能とエネルギー効率を有する、異なるチップアーキテクチャである。ハイブリッドかつ統合型のスピン軌道トルク磁気スピン移動トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT-STT MRAM)に対する需要は、その複合的な利点を理由として、最近増加している。しかしながら、磁気トンネル接合(MTJ)構造にとって望ましい生産収率と十分に統合された成膜スキームを備えたSOT-STT MRAMをいかにして製造するかは依然として課題である。
【0006】
したがって、MRAM応用のためのMTJ構造を製造するための改善された方法及び装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の実施形態は、MRAM応用、特に、ハイドライド(hydride)スピン軌道トルク磁気スピン移動トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT-STT MRAM)応用のための磁気トンネル接合(MTJ)構造をバックエンド相互接続構造とともに基板上に製造するための方法及び装置を提供する。一実施形態では、相互接続構造は、基板上に配置された磁気トンネル接合構造を含む。磁気トンネル接合構造は、トンネルバリア層を挟む第1の強磁性層と第2の強磁性層、磁気トンネル接合構造上に配置されたスピン軌道トルク(SOT)層、及び該スピン軌道トルク(SOT)層上に配置されたバックエンド構造を含む。
【0008】
別の実施形態では、相互接続構造を形成する方法は、トンネルバリア層を挟む第1の強磁性層と第2の強磁性層とを有する膜スタックを基板上に形成すること、膜スタック上にパターン化されたハードマスク層を形成すること、パターン化用ハードマスク層をエッチングマスク層として使用して膜スタックをパターン化すること、第1の絶縁材料を形成して基板上のパターン化されたハードマスク層及び膜スタックを覆うこと、ハードマスク層の上面が露出するまで第1の絶縁材料を研磨すること、ハードマスク層の上面にスピン軌道トルク(SOT)層を形成すること、及びスピン軌道トルク(SOT)層上にバックエンド相互接続構造を形成することを含む。
【0009】
さらに別の実施形態では、メモリデバイスのための相互接続構造は、SOT層に接続された複数の磁気トンネル接合構造を含み、ここで、磁気トンネル接合構造は、SOT層と同じ材料から製造された、SOT層を接続するキャッピング層と、SOT層に接続されたデュアルダマシンバックエンド構造とを有する。
【0010】
本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することにより、上に簡単に要約されている本開示のより詳細な説明を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態を実施するためのクラスタ処理システムの一実施形態
図2】本開示の一実施形態を実施するためのクラスタ処理システムの別の実施形態
図3】本開示の一実施形態による、磁気トンネル接合(MTJ)構造をバックエンド相互接続構造とともに製造するための方法を示すフロー図
図4A図3の方法のさまざまな段階における基板の断面図
図4B図3の方法のさまざまな段階における基板の断面図
図4C図3の方法のさまざまな段階における基板の断面図
図4D図3の方法のさまざまな段階における基板の断面図
図4E図3の方法のさまざまな段階における基板の断面図
図4F図3の方法のさまざまな段階における基板の断面図
図4G図3の方法のさまざまな段階における基板の断面図
図4H図3の方法のさまざまな段階における基板の断面図
図4I図3の方法のさまざまな段階における基板の断面図
図4J図3の方法のさまざまな段階における基板の断面図
図4K図3の方法のさまざまな段階における基板の断面図
図5】基板上にバックエンド相互接続構造が形成された、磁気トンネル接合(MTJ)構造の別の例の断面図
図6】バックエンド相互接続構造が基板上に形成された、磁気トンネル接合(MTJ)構造のさらに別の例の断面図
図7図4A~4I、図5、又は図6で用いられる磁気トンネル接合(MTJ)構造の一例の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするため、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が用いられる。一実施形態で開示される要素は、具体的な記述がなくとも、他の実施形態において有益に利用することができることが想定されている。
【0013】
しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、添付の図面はこの開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【0014】
本開示の実施形態は、概して、MTJ構造と、MRAM応用のために基板上に配置されたMTJ構造に電気的に接続されたバックエンド相互接続構造とを形成するための装置及び方法を提供する。本開示の実施形態は、スピン移動トルク磁気ランダムアクセスメモリ(STT MRAM)、スピン軌道トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT MRAM)、及び/又はハイブリッド(又は統合型と呼ばれる)スピン軌道トルク磁気スピン移動トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT-STT MRAM)応用に使用することができる。一実施形態では、MTJ構造を形成するために膜スタックをパターン化する一方で、ハードマスクを利用することができる。このようなハードマスク層は、MTJ構造上に配置されたスピン軌道トルク(SOT)層と同じ材料でありうる。幾つかの例では、ハードマスク層はまた、MTJ構造がパターン化及び形成されるときに、スピン軌道トルク(SOT)層としても機能しうる。MTJ構造及びその上にSOT層が形成された後、バックエンド(例えば、単一ダマシン又はデュアルダマシン)相互接続構造は、該バックエンド相互接続構造がMTJ構造に電気的に通信するように、SOT層上に形成されうる。化学機械研磨プロセス(CMP)は、MTJ構造とバックエンド相互接続構造とを形成する際に利用することができる。MTJ構造とバックエンド相互接続構造は、基板をシステムから移動させることなく、かつ真空を破壊することなく、クラスタ処理システムに一体的に形成することができる。幾つかの例では、複数のMTJ構造を、バックエンド(例えば、単一ダマシン又はデュアルダマシン)相互接続構造にさらに電気的に接続されているSOT層に接続することができる。
【0015】
図1は、その中に組み込まれ、統合された処理チャンバ111、121、132、128、120のうちの1つ以上を含む、例示的なクラスタ処理システム100の概略的な上面図である。一実施形態では、クラスタ処理システム100は、米国カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials,Inc.社から市販されているCentura(登録商標)又はEndura(登録商標)統合処理システムでありうる。他の処理システム(他の製造業者からのものを含む)が、本開示から利益を得るように適合することができることが想定されている。
【0016】
クラスタ処理システム100は、真空気密処理プラットフォーム104、ファクトリインターフェース102、及びシステムコントローラ144を含む。プラットフォーム104は、複数の処理チャンバ111、121、132、128、120、及び真空基板移送チャンバ136に結合された少なくとも1つのロードロックチャンバ122を含む。2つのロードロックチャンバ122が図1に示されている。ファクトリインターフェース102は、ロードロックチャンバ122によって移送チャンバ136に結合される。
【0017】
一実施形態では、ファクトリインターフェース102は、基板の移送を容易にするために、少なくとも1つのドッキングステーション108と、少なくとも1つのファクトリインターフェースロボット114とを含む。ドッキングステーション108は、1つ以上の前方開口型統一ポッド(FOUP)を受け入れるように構成される。2つのFOUP106A-Bが、図1の実施形態に示されている。ロボット114の一端に配置されたブレード116を有するファクトリインターフェースロボット114は、ロードロックチャンバ122を介して処理するために、基板をファクトリインターフェース102から処理プラットフォーム104へと移送するように構成される。任意選択的に、1つ以上の計測ステーション118を、FOUP106A~Bからの基板の測定を容易にするためにファクトリインターフェース102の端子126に接続することができる。
【0018】
ロードロックチャンバ122の各々は、ファクトリインターフェース102に結合した第1のポートと、移送チャンバ136に結合した第2のポートとを有する。ロードロックチャンバ122は、該ロードロックチャンバ122をポンプダウン及びベントして、移送チャンバ136の真空環境とファクトリインターフェース102の実質的に周囲(例えば、大気)環境との間の基板の通過を容易にする、圧力制御システム(図示せず)に結合される。
【0019】
移送チャンバ136は、該チャンバ内に配置された真空ロボット130を有する。真空ロボット130は、ロードロックチャンバ122、計測システム110、及び処理チャンバ111、121、132、128、120の間で基板124を移送可能なブレード134を有する。
【0020】
クラスタ処理システム100の一実施形態では、該クラスタ処理システム100は、堆積チャンバ(例えば、物理的気相堆積チャンバ、化学気相堆積、又は他の堆積チャンバ)、アニーリングチャンバ(例えば、高圧アニーリングチャンバ、RTPチャンバ、レーザアニーリングチャンバ)、エッチングチャンバ、洗浄チャンバ、硬化チャンバ、リソグラフィ露光チャンバ、又は他の同様のタイプの半導体処理チャンバでありうる、1つ以上の処理チャンバ111、121、132、128、120を含むことができる。クラスタ処理システム200の幾つかの実施形態では、処理チャンバ111、121、132、128、120のうち1つ以上、移送チャンバ136、ファクトリインターフェース102、及び/又はロードロックチャンバ122の少なくとも1つ。
【0021】
システムコントローラ144は、クラスタ処理システム100に結合される。コンピューティングデバイス101を含みうる、又はコンピューティングデバイス101内に含まれうるシステムコントローラ144は、クラスタ処理システム100の処理チャンバ111、121、132、128、120の直接制御を使用して、クラスタ処理システム100の動作を制御する。あるいは、システムコントローラ144は、処理チャンバ111、121、132、128、120及びクラスタ処理システム100に関連するコンピュータ(又はコントローラ)を制御することができる。動作中、システムコントローラ144はまた、それぞれのチャンバからのデータ収集及びフィードバックを可能にし、クラスタ処理システム100の性能を最適化する。
【0022】
システムコントローラ144は、上述のコンピューティングデバイス101と同様に、概して、中央処理装置(CPU)138、メモリ140、及びサポート回路142を含む。CPU138は、産業環境で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つでありうる。サポート回路142は、慣例的にCPU138に結合され、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源などを含みうる。ソフトウェアルーチンは、CPU138を特定の目的のコンピュータ(コントローラ)144へと変換する。ソフトウェアルーチンはまた、クラスタ処理システム100から離れて配置された第2のコントローラ(図示せず)によって格納及び/又は実行させることもできる。
【0023】
図2は、本明細書に記載される方法を実施することができるクラスタ処理システム200の別の例の平面図である。本開示から利益を得るように適合されうる1つの処理システムは、米国カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials,Inc.社から市販されている、300mm又は450mmのPRODUCER(登録商標)処理システムである。クラスタ処理システム200は、概して、FOUP214に含まれる基板カセット218が支持され、基板がロードロックチャンバ209にロードされ、ロードロックチャンバ209からアンロードされる正面プラットフォーム202と、基板ハンドラ213を収容する移送チャンバ211と、該移送チャンバ211に取り付けられた一連のタンデム処理チャンバ206とを含む。
【0024】
タンデム処理チャンバ206の各々は、基板を処理するための2つの処理領域を含む。2つの処理領域は、共通のガス供給、共通の圧力制御、及び共通のプロセスガス排気/ポンプシステムを共有する。本システムのモジュール設計により、1つの構成から他の任意の構成への迅速な変換が可能となる。チャンバの配置及び組合せは、具体的な処理ステップを実施するという目的のために、変更することができる。タンデム処理チャンバ206のいずれも、1つ以上のチャンバ構成を含む、後述する本開示の態様によるリッドを含みうる。クラスタ処理システム200は、必要に応じて、堆積プロセス、エッチングプロセス、硬化プロセス、リソグラフィ露光プロセス、又は加熱/アニーリングプロセスを実行するように構成することができることに留意されたい。
【0025】
一実装形態では、クラスタ処理システム200は、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、原子層堆積(ALD)、スピンコーティング、エッチング、硬化、リソグラフィ露光、又は加熱/アニーリングプロセスなどの他のさまざまな既知のプロセスに対応することが知られている支持チャンバハードウェアを有するタンデム処理チャンバの1つ以上に適合させることができる。例えば、クラスタ処理システム200は、基板上に形成されたパッシベーション層、若しくは金属含有誘電体層、金属層、又は絶縁材料を形成するための化学気相堆積処理チャンバ又は物理的気相堆積チャンバとしての処理チャンバ206の1つによって構成することができる。このような構成は、研究開発の製造利用を強化し、必要に応じて、大気へのエッチングされたフィルムの露出を実質的に排除することができる。
【0026】
本開示のプロセスの制御を促進するために、中央処理装置(CPU)244、メモリ242、及びサポート回路246を含むコントローラ240が、クラスタ処理システム200のさまざまな構成要素に結合される。メモリ242は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスクなどの任意のコンピュータ可読媒体、若しくは、クラスタ処理システム200又はCPU244に対してローカル又は遠隔の他の任意の形態のデジタルストレージでありうる。サポート回路246は、従来の方法でCPUを支持するためにCPU244に結合される。これらの回路には、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、及びサブシステムなどが含まれる。メモリ242に格納されたソフトウェアルーチン又は一連のプログラム命令は、CPU244によって実行されると、タンデム処理チャンバ206を実行する。
【0027】
図3は、本開示の一実施形態によるMRAM応用のための基板上にMTJ構造及びバックエンド相互接続構造を製造するためのプロセス300を示すフロー図である。MTJ構造及びバックエンド相互接続構造を製造するためのプロセス300は、スピン移動トルク磁気ランダムアクセスメモリ(STT MRAM)、スピン軌道トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT MRAM)、及び/又はハイブリッド(又は統合型と呼ばれる)スピン軌道トルク磁気スピン移動トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT-STT MRAM)応用、特に、ハイブリッド(又は統合型と呼ばれる)スピン軌道トルク磁気スピン移動トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT-STT MRAM)応用に利用することができることに留意されたい。図4A~4Kは、図3のプロセスのさまざまな段階における基板402上に形成された相互接続構造450の概略的な断面図である。プロセス300は、堆積チャンバ、エッチングチャンバ、又は図1及び2に示されるクラスタ処理システム100又は200に組み込まれた他の適切な処理チャンバを含む、適切な処理チャンバにおいて実行することができることが想定されている。また、プロセス300は、他の製造業者からのものを含む適切な処理チャンバにおいて実行することができることにも留意されたい。
【0028】
プロセス300は、図4Aに示されるように、第1の絶縁構造404内に形成された第1の相互接続構造407を有する基板402などの基板を提供することによって、動作302から開始される。第1の相互接続構造407及び第1の絶縁構造404は、図1及び2に示されるクラスタ処理システム100又は200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内に形成されうる。一実施形態では、基板402は、金属又は、ガラス、ケイ素、誘電体バルク材料、及び金属合金又は、複合ガラス、結晶シリコン(例えば、Si<100>又はSi<111>)、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ドープされた又はドープされていないポリシリコン、ドープされた又はドープされていないシリコンウエハ、及びパターン化された又はパターン化されていないウエハシリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、又はサファイアを含む。基板402は、200mm、300mm、450mm、又は他の直径などのさまざまな寸法を有してよく、また、長方形又は正方形のパネルであってもよい。別途明記されない限り、本明細書に記載される例は、直径200mm、直径300mm、又は直径450mmの基板上で実施される。一実施形態では、基板402は、図4Aに示されるように、基板402上に配置された第1の絶縁構造404内に形成された第1の相互接続構造407を含む。
【0029】
第1の絶縁構造404は、SiN、SiCN、SiO、SiON、SiC、アモルファスカーボン、SiOC、又は他の適切な低誘電率材料などの誘電体材料を含みうる。第1の相互接続構造407は、アルミニウム、タングステン、銅、ニッケルなどの金属含有材料を含む。一例では、第1の絶縁構造404は、SiOCなどの低誘電率の誘電体材料を含み、第1の相互接続構造407は銅を含む。
【0030】
動作304では、図4Bに示されるように、膜スタック406及びハードマスク層414が、基板402上に配置される。膜スタック406及びハードマスク層414は、図1及び2に示されるクラスタ処理システム100又は200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内に形成されうる。膜スタック406は、トンネルバリア層410を挟む第1の強磁性層412と第2の強磁性層408とをさらに含む。図4B~4Kに記載された膜スタック406は3つの層のみを含んでいるが、必要に応じて、追加の又は複数の膜層が、膜スタック406内にさらに形成されうることに留意されたい。膜スタック406内に形成された追加の又は複数の膜層の例の1つについて、図7を参照して以下にさらに説明する。トンネルバリア層410は、トンネル接合磁気抵抗(TMR)センサの場合は酸化物バリア層であってよく、あるいは、巨大磁気抵抗(GMR)センサの場合は導電層でありうる。膜スタック406がTMRセンサを形成するように構成される場合、トンネルバリア層410は、MgO、HfO、TiO、TaO、Al、又は他の適切な材料を含みうる。図4B~4Kに示される実施形態では、トンネルバリア層410は、約10オングストロームなど、約1から約15オングストロームの厚さを有するMgOを含みうる。
【0031】
第1及び第2の強磁性層412、408は、金属含有材料又は磁性材料、例えば、Mo、Ir、Ru、Ta、MgO、Hf、CoFe、CoFeBなどでありうる。第1及び第2の強磁性層412、408は、必要に応じて、同じ材料又は異なる材料から製造されうることに留意されたい。
【0032】
ハードマスク層414は、膜スタック406上に配置され、後で、その後のパターン化プロセス及び/又はエッチングプロセス中にエッチングマスク層として利用される。ハードマスク層414は、後でその上に形成されるスピン軌道トルク(SOT)層424(図4Iに示される)に似た、又はそれと同じ材料から形成される。一例では、ハードマスク層414は、CoFeB、MgO、Ta、W、Pt、CuBi、Mo、Ru、それらの合金、又はそれらの組合せから製造される。
【0033】
動作304では、パターン化プロセス、例えばエッチングプロセスは、最初に、ハードマスク層414をパターン化し、図4Cに示されるように、ハードマスク層414に開口部領域416を形成するように実行される。第1のパターン化プロセスは、図1及び2に示されるクラスタ処理システム100又は200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内で実行することができる。ハードマスク層414に形成された開口部領域416は、膜スタック406から、所望の寸法を有する磁気トンネル接合(MTJ)構造452(図4Dに示される)を形成するようにパターン化するために膜スタック406の一部を露出させる。
【0034】
動作308では、第2のパターン化プロセスは、パターン化されたハードマスク層414によって露出された膜スタック406を、図4Dに示されるように、下にある第1の絶縁材料404が露出するまでパターン化(例えば、エッチング)して、磁気トンネル接合(MTJ)構造452を形成するように実行される。第2のパターン化プロセスは、図1及び2に示されるクラスタ処理システム100又は200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内で実行することができる。パターン化されたハードマスク層414は、膜スタック406上に残されたままであり、動作308で実行されるパターン化プロセスの後に磁気トンネル接合(MTJ)構造452の一部として形成されるように意図されていることに留意されたい。したがって、第2のパターン化プロセスの後にハードマスク層414を除去するために、追加の灰又はストリッピングプロセスは必要ではない。膜スタック406をパターン化するための第2のパターン化プロセスは、各層に含まれる材料に従って異なる層をエッチングするために異なるガス混合物又はエッチング液を供給するように構成された幾つかのステップ又は異なる方策を含みうる。
【0035】
パターン化中、エッチングガス混合物又は異なるエッチング種を有する幾つかのガス混合物が基板表面に順次供給され、パターン化されたハードマスク層414によって露出された膜スタック406の部分が基板402から除去される。
【0036】
動作308におけるパターン化プロセスの終点は、時間又は他の適切な方法によって制御することができる。例えば、パターン化プロセスは、図4Dに示されるように、下にある第1の絶縁材料404が露出されるまで、約200秒から約10分の間実行した後で終了させることができる。パターン化プロセスは、必要に応じて、OES検出器又は他の適切な検出器などの終点検出器からの決定によって終了させることができる。
【0037】
膜スタック406をパターン化した後に形成された磁気トンネル接合(MTJ)構造452のプロファイルはテーパ状の側壁を有するが、磁気トンネル接合(MTJ)構造452は、実質的に垂直な側壁プロファイル、又は必要に応じて所望の傾斜を有する任意の適切な側壁プロファイルを有していてよいことに留意されたい。
【0038】
動作310では、パターン化プロセスの後、堆積プロセスが実行されて、図4Eに示されるように、磁気トンネル接合(MTJ)構造452上に第2の絶縁構造418(例えば、パターン化されたハードマスク層414及びパターン化された膜スタック406を含む)を形成する。第2の絶縁構造418は、図1及び2に示されるクラスタ処理システム100又は200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内で形成されうる。第2の絶縁構造418は、磁気トンネル接合(MTJ)構造452を覆うのに十分な厚さを有するように形成される。第2の絶縁構造418は、動作308でのパターン化プロセスの後に実行される堆積プロセスによって形成された誘電体層でありうる。第2の絶縁構造418は、第1の絶縁構造404と同じであっても、類似していてもよい。一例では、第2の絶縁構造418は、SiOCを含む低誘電率材料を含む。
【0039】
動作312では、化学機械研磨プロセスが実行されて、図4Fに示されるように、磁気トンネル接合(MTJ)構造452の上面435(例えば、パターン化されたハードマスク層414の上面435)が露出するように過剰な第2の絶縁構造418を研磨除去し、その結果、パターン化されたハードマスク層414の上面435が第2の絶縁構造418と実質的に同一平面上になるようにする。実行されるCMPプロセスは、磁気トンネル接合(MTJ)構造452が露出されたときに、近くの材料に悪影響を与えること又は過度に研磨することなく、過剰な第2の絶縁構造418を除去することができる。比較的低い研磨ダウンフォース及び遅い研磨速度を使用することにより、材料を損傷すること又は過度に研磨することなく、第2の絶縁構造418を磁気トンネル接合(MTJ)構造452から除去することができる。
【0040】
化学機械研磨プロセスは、研磨プロセス中に供給される流体を使用することによって、又はDI水によって、第2の絶縁構造418を除去又は研磨することができる。化学機械研磨プロセス中は、90%を超える弾性を有するパッドなどの比較的柔らかい研磨パッドを使用することができる。研磨中、選択された研磨パッドは比較的柔らかい表面を有しており、したがって、必要に応じて、スラリー又は他の化学流体を排除してもよい。一例では、化学機械研磨プロセス中にDI水を利用することができる。化学機械研磨プロセスの後に、基板表面の清浄度を高めるために、必要に応じて洗浄プロセスが行われる。
【0041】
動作314では、図4Gに示されるように、磁気トンネル接合(MTJ)構造452及び第2の絶縁構造418上に第3の絶縁構造420が形成される。第3の絶縁構造420は、図1及び2に示されるクラスタ処理システム100又は200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内で形成されうる。同様に、第3の絶縁構造420は、CVD、ALD、PVD、スピンコーティング、スプレーコーティング、又は任意の適切な堆積プロセスなど、任意の適切な堆積技術から形成することができる。第3の絶縁構造420は、第1又は第2の絶縁構造404、418と同じであっても、類似していてもよい。一例では、第3の絶縁構造420は、SiOCを含む低誘電率材料を含む。
【0042】
動作316では、別のパターン化プロセスが実行されて、図4Hに示されるように、磁気トンネル接合(MTJ)構造452の上面435を露出するように第3の絶縁構造420に開口部422を形成する。パターン化プロセスは、図1及び2に示されるクラスタ処理システム100又は200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内で実行することができる。第3の絶縁構造420における開口部422の形成を支援するために、1つ以上のパターン化用マスク(図示せず)を利用することができる。パターン化プロセスは、磁気トンネル接合(MTJ)構造452の上面435が露出するまで、第3の絶縁構造420をパターン化するように実行される。
【0043】
動作318では、基板上にスピン軌道トルク(SOT)層424を形成し、図4Iに示されるように、第3の絶縁構造420内及びその上に画成された開口部422を満たすように、堆積プロセスが実行される。堆積プロセスは、図1及び2に示されるクラスタ処理システム100又は200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内で実行することができる。スピン軌道トルク(SOT)層424の材料は、磁気トンネル接合(MTJ)構造452の電気的性能を促進するように、ハードマスク層414と類似するか、又は同一になるように選択される。さらには、スピン軌道トルク(SOT)層424及びハードマスク層414の材料は類似又は同一であるため、スピン軌道トルク(SOT)層424とハードマスク層414との間の界面での接着制御が比較的容易であり、適合性があることから、製造上の懸念又は複雑さを軽減することができる。磁気トンネル接合(MTJ)構造452内に残されたハードマスク層414はまた、スピン軌道トルク(SOT)層424への良好な電気的接触を提供するためのキャッピング層として機能することができる。一実施形態では、スピン軌道トルク(SOT)層424は、Ta、Ru、MgO、W、Pt、CuBi、Mo、又はそれらの組合せから製造される。
【0044】
動作320では、化学機械研磨プロセスをさらに実行して、図4Jに示されるように、スピン軌道トルク(SOT)層424の上面425が第3の絶縁構造420の上面426と実質的に同一平面になるように、過剰なスピン軌道トルク(SOT)層424を研磨除去する。実行されるCMPプロセスは、近くの材料に悪影響を与えること又は過度に研磨することなく、過剰なスピン軌道相互作用(SOT)層424を除去することができ、その結果、過剰なスピン軌道トルク(SOT)層424は、下にある磁気トンネル接合(MTJ)構造452への電気的接続を提供するように、所望の寸法で第3の絶縁構造420を満たすことができる。比較的低い研磨ダウンフォース及び遅い研磨速度を使用することにより、磁気トンネル接合(MTJ)構造452及び第3の絶縁構造420から材料を損傷すること又は過度に研磨することなく、過剰なスピン軌道トルク(SOT)層424を除去することができる。
【0045】
SOT層424が第3の絶縁構造420に形成された後、追加の相互接続構造432がスピン軌道トルク(SOT)層424の上に形成されて、図4Kに示されるように、磁気トンネル接合(MTJ)構造452への電気的接続及び/又は通信を提供する。追加の相互接続構造432は、第4の絶縁構造430内にも形成されて、バックエンド構造を形成する。第4の絶縁構造430内に形成された追加の相互接続構造432は、単一のダマシン構造である。追加の相互接続構造は、デュアルダマシン構造又は他の適切な構造など、他の形態で形成されてもよいことに留意されたい。
【0046】
図5は、基板402上に形成された相互接続構造550の別の例を示している。図4Kに示された相互接続構造450と同様に、相互接続構造550は、第1の絶縁構造404内に形成された第1の相互接続構造407、該第1の相互接続構造407上に形成された磁気トンネル接合(MTJ)構造452、及び該磁気トンネル接合(MTJ)構造452上に形成されたSOT層424を含む。しかしながら、図5に示されるこの例のSOT層424は、その上に追加の2つの上部相互接続構造504a、504bの形成を可能にする比較的長い幅を有している。2つの上部相互接続構造504a、504bはそれぞれ、SOT層424に接続する第1の導電線506a、506bと、2つの下部相互接続構造502a、502bに接続する第2の導電線508a、508bとを有する。本明細書で用いられる上部相互接続構造504a、504bは、デュアルダマシン構造である。2つの上部相互接続構造504a、504bは、第2の導電線508a、508bを介して2つの下部相互接続構造502a、502bと直接接触し、電気的に接続/通信している。第1の相互接続構造407及び磁気トンネル接合(MTJ)構造452は、図5に示されるように、2つの上部相互接続構造504a、504bと2つの下部相互接続構造502a、502bとの間に垂直に挿入されうる。
【0047】
図6は、基板402上に形成された相互接続構造650のさらに別の例を示している。相互接続構造650は、それぞれが下部相互接続構造602a、602b、602c上に形成された、複数、例えば3つの磁気トンネル接合(MTJ)構造452a、452b、452cを含む。SOT層424は、追加の2つの上部相互接続構造640a、640bをSOT層424上に形成可能にするために、比較的長い幅を有している。この例では、上部相互接続構造640a、640bは、下部相互接続構造602a、602b、602cと直接接触していない。代わりに、上部相互接続構造640a、640bは、SOT層424及びそれらの間に介在する3つの磁気トンネル接合(MTJ)構造452a、452b、452cを介して下部相互接続構造602a、602b、602cと電気的に接続/通信している。複数の磁気トンネル接合(MTJ)構造452a、452b、452c及び相互接続構造602a、602b、602c、640a、640bを利用することにより、電気的性能が向上し、デバイス密度を増加させることができる。
【0048】
図7は、磁気トンネル接合(MTJ)702の別の例を示している。磁気トンネル接合(MTJ)702は、図4K、5及び6に示される磁気トンネル接合(MTJ)452としても利用することができる。磁気トンネル接合(MTJ)702は、トンネルバリア層410を挟む第1の強磁性層412及び第2の強磁性層408を備えた、上に示された膜スタック406を含む。膜スタック406に加えて、シード層710が磁気トンネル接合(MTJ)702の底部に形成されうる。材料は、NiCr、Pt、Cr、CoFeB、Ta、Ru、TaN、合金、又はそれらの組合せを含むシード層710を形成するために利用されうる。ピン止め層708がシード層710上に形成されうる。ピン止め層708は、単純なピン止め、逆平行ピン止め、自己ピン止め、又は反強磁性ピン止めセンサなどの、幾つかのタイプのピン止め層のうちの1つ以上を含みうる。一例では、図7に示されるように、ピン止め層708は、複数の層、例えば4つの層を含む。ピン止め層708の数は、必要に応じて任意の数であってよいことに留意されたい。ピン止め層708は、ホウ素ドーパント、酸素ドーパント、又は他の適切な材料などのドーパントを含む、金属合金などの幾つかの磁性材料で構成することができる。金属合金は、ニッケル含有材料、白金含有材料、Ru含有材料、コバルト含有材料、タンタル含有材料、及びパラジウム含有材料でありうる。ピン止め層708を含みうる磁性材料の適切な例には、Ru、Ta、Co、Pt、Ni、TaN、NiFeO、NiFeB、CoFeOB、CoFeB、CoFe、NiOB、CoBO、FeBO、CoFeNiB、CoPt、CoPd、TaOなどが含まれる。
【0049】
ルーダーマン-キッテル-カスヤ-ヨシダ(RKKY)層706(結合層とも呼ばれる)が、膜スタック406の下のピン止め層708上に配置されうる。RKKY層706は、磁気トンネル接合(MTJ)702におけるスピン方向を制御するために形成されうる。RKKY層706の製造に利用される材料には、Ir、Ru、Ta、W、Mo、それらの合金、又はそれらの組合せが含まれる。
【0050】
キャッピング層704が、膜スタック406上に形成されうる。上に示した例では、キャッピング層704は、図4I、5、及び6を参照して上で説明したパターン化されたハードマスク層414でありうる。幾つかの例では、追加のキャッピング層は、必要に応じて、膜スタック406上、パターン化されたハードマスク層414上、又は磁気トンネル接合(MTJ)702内の他の適切な位置に形成されうる。キャッピング層704(又はパターン化されたハードマスク層414)の適切な例には、CoFeB、MgO、Ta、W、Pt、CuBi、Mo、Ru、それらの合金、及びそれらの組合せのうちの1つ以上での1つ以上の層が含まれる。一例では、膜スタック710は、合計で、TaN、NiCr、Co、Ni、Ir、Co又はNi、Mo、CoFeB、MgO、CoFeB、Mo、CoFeB、MgO、CoFeB、Mo、及びRu層を含む複数の層を含む。
【0051】
図7に示される例では、これらすべての層又は膜スタック710、708、706、406、704は、CVD、PVD、ALD、スピンコーティング、スプレーコーティング、及び任意の適切な方法など、任意の適切な技術によって形成されうる。これらの層を形成するために使用することができるシステムの一例には、CENTURA(登録商標)、PRECISION5000(登録商標)、及びPRODUCER(登録商標)堆積システムが含まれ、これらはすべて、米国カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials Inc.社又は他の製造業者から入手可能である。他の製造業者から入手可能なものを含む他の処理システムが、本開示を実施するために適合されうることが想定される。磁気トンネル接合(MTJ)702内のこれらすべての層及び膜スタック 710、708、706、406、704が、図1及び2に示されるクラスタ処理システム100、200に組み込まれた1つ以上の処理チャンバ内に形成することができることに留意されたい。
【0052】
したがって、MRAMのため、特に、ハイブリッド(又は統合型と呼ばれる)スピン軌道トルク磁気スピン移動トルク磁気ランダムアクセスメモリ(SOT-STT MRAM)応用のためのMTJデバイス構造を形成するプロセス及び装置が提供される。一実施形態では、MTJ構造を形成するために膜スタックをパターン化する一方で、ハードマスクを利用することができる。このようなハードマスク層は、MTJ構造上に配置されたスピン軌道トルク(SOT)層と同じ材料でありうる。幾つかの例では、ハードマスク層はまた、MTJ構造がパターン化及び形成されるときに、スピン軌道トルク(SOT)層としても機能しうる。MTJ構造及びその上にSOT層が形成された後、バックエンド(例えば、単一ダマシン又はデュアルダマシン)相互接続構造は、該バックエンド相互接続構造がMTJ構造に電気的に通信するように、SOT層上に形成されうる。複数のバックエンド構造及びMTJ構造を利用して、MRAMデバイスの密度及び電気的性能を向上させることができる。
【0053】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されうる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図5
図6
図7