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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】カカオ原料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 1/02 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
A23G1/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020163095
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055591
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397059157
【氏名又は名称】大東カカオ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大野 勇司
(72)【発明者】
【氏名】春成 麻未
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-104016(JP,A)
【文献】特開2015-070811(JP,A)
【文献】特開2000-093077(JP,A)
【文献】特開2019-201553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0324798(US,A1)
【文献】特開平09-299031(JP,A)
【文献】藤森 もも子,フレーバーチョコって?マジドゥショコラの進化系ビーントゥバーから目が離せない!,ぐるなび目利きシリーズ ippin [online],2017年12月27日,[検索日2024.3.22], <URL:https://ippin.gnavi.co.jp/article-12370/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 1/00- 9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローストされたカカオニブ、ローストされたカカオマス又はローストされたココアパウダーを、ハーブ又は香辛料を加熱することで発生する煙で燻煙する工程を含むカカオ原料の製造方法。
【請求項2】
加熱する前のハーブ又は香辛料が、加湿されている請求項1に記載のカカオ原料の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のカカオ原料の製造方法で製造されたカカオ原料を、配合するチョコレートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カカオ原料の製造方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
チョコレートは、菓子の中でも一般消費者に広く好まれている商品である。チョコレートは嗜好品であることから、チョコレートの風味はチョコレートを特徴付ける上で非常に重要である。チョコレートの風味を特徴付けるのは、カカオ豆から得られるカカオ原料である。カカオ原料を改良する方法としては、例えば、特許文献1~5等が提案されている。
【0003】
チョコレートには、カカオ原料以外の原料で風味が付与されたチョコレートが存在する。カカオ原料以外の原料で風味が付与されたチョコレートの代表例としては、ホワイトチョコレートに、果実粉末や抹茶粉末が添加されたチョコレートが挙げられる。また、近年は、ホワイトチョコレートに、今までチョコレートでは使用されていなかったハーブや香辛料等の原料で風味付けした製品が存在する。さらに、ハーブや香辛料は、カカオ原料が配合されたチョコレートに、風味付けすることがある。カカオ原料が配合されたチョコレートに、ハーブや香辛料で風味付けする方法としては、香料を添加する方法や粉末化した原料を添加する方法がある。しかしながら、香料の添加によってハーブや香辛料の風味を付与する方法では、添加物の添加が望まれない場合には、使用できないという問題があった。また、粉末化した原料の添加によってハーブや香辛料の風味を付与する方法では、ハーブや香辛料の種類によっては、カカオ原料が配合されたチョコレートに混ざりにくい等の製造上のトラブルが発生することがあった。従って、カカオ原料が配合されたチョコレートに、ハーブや香辛料の風味を付与する方法として、新たな方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-246539号公報
【文献】国際公開第00/072694号
【文献】特開平4-94647号公報
【文献】特開平3-43044号公報
【文献】特開平1-34247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、カカオ原料が配合されたチョコレートに、ハーブや香辛料の風味を付与する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、ローストされたカカオニブ、ローストされたカカオマス又はローストされたココアパウダーを、ハーブ又は香辛料を加熱することで発生する煙で燻煙したカカオ原料を使用することにより、本課題が解決できることが見いだされた。これにより、本発明が完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の第1の発明は、ローストされたカカオニブ、ローストされたカカオマス又はローストされたココアパウダーを、ハーブ又は香辛料を加熱することで発生する煙で燻煙する工程を含むカカオ原料の製造方法である。
本発明の第2の発明は、加熱する前のハーブ又は香辛料が、加湿されている第1の発明に記載のカカオ原料の製造方法である。
本発明の第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載のカカオ原料の製造方法で製造されたカカオ原料を、配合するチョコレートの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、カカオ原料が配合されたチョコレートに、ハーブや香辛料の風味を付与する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法は、ローストされたカカオニブ、ローストされたカカオマス又はローストされたココアパウダーを、ハーブ又は香辛料を加熱することで発生する煙で燻煙する工程を含む。
【0010】
本発明でカカオ原料とは、カカオ豆を加工して得られる原料のことであり、主にチョコレートの原料として使用される。カカオ原料の具体例は、カカオニブ、カカオマス、ココアパウダー等である。カカオニブは、カカオ豆からシェルを除去することで得られる。また、カカオマスは、カカオニブを磨砕することで得られる。また、ココアパウダーは、カカオマスからココアバターを除去することで得られる。
本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法で使用されるカカオ豆は、好ましくは発酵させたカカオ豆である。なお、カカオ豆の発酵は、通常の方法で行われる。
本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法で製造されるカカオ原料は、好ましくはカカオマスである。
【0011】
本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法の燻煙する工程で使用されるカカオニブ、カカオマス又はココアパウダーは、ローストされたカカオニブ、ローストされたカカオマス又はローストされたココアパウダーである。すなわち、本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法では、カカオニブ、カカオマス又はココアパウダーをローストする工程を含み、該ローストする工程は燻煙する工程の前に行われる。また、前記ローストされたカカオニブ、ローストされたカカオマス又はローストされたココアパウダーは、直接又は間接的にローストされたカカオニブ、直接又は間接的にローストされたカカオマス又は直接又は間接的にローストされたココアパウダーが使用されるが、好ましくは間接的にローストされたカカオニブが使用される。なお、本発明で間接的にローストされたカカオニブとは、ローストしたカカオ豆からシェルを除去することで得られるカカオニブのことである。また、本発明で間接的にローストされたカカオマスとは、ローストしたカカオ豆を加工して得られるカカオマス又はローストしたカカオニブを磨砕して得られるカカオマスのことである。また、本発明で間接的にローストされたココアパウダーとは、ローストしたカカオ豆を加工することで得られるココアパウダー、ローストしたカカオニブを加工することで得られるココアパウダー又はローストしたカカオマスを搾油することで得られるココアパウダーのことである。
本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法の燻煙する工程では、好ましくはローストされたカカオニブが使用される。
【0012】
本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法の燻煙する工程で使用されるカカオニブ、カカオマス又はココアパウダーのロースト条件は、特に制限されることはない。本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法の燻煙する工程で使用されるカカオニブ、カカオマス又はココアパウダーのロースト温度は、好ましくは90~130℃であり、より好ましくは90~125℃であり、さらに好ましくは95~120℃である。また、本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法の燻煙する工程で使用されるカカオニブ、カカオマス又はココアパウダーのロースト時間は、好ましくは50~120分間であり、より好ましくは55~110分間であり、さらに好ましくは60~100分間であり、最も好ましくは70~90分間である。
【0013】
本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法の燻煙する工程では、ローストされたカカオニブ、ローストされたカカオマス又はローストされたココアパウダーが、ハーブ又は香辛料を加熱することで発生する煙で燻煙される。本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法の燻煙する工程で使用されるハーブは、エルダーフラワー、オレンジピール、サフラワー、ジャーマンカモミール、ジャスミンフラワー、ジュニパー、ハイビスカス、ブルーマロウ、ペパーミント、レッドグレープリーフ、レモングラス、レモンバーベナ、ローズマリー等であり、好ましくはオレンジピール、ハイビスカス、レッドグレープリーフ、レモングラス、ローズマリーである。また、本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法の燻煙する工程で使用される香辛料は、クミンシード、グリーンカルダモン、クローブ、ナツメグ、アジョワン、フェヌグリーク、キャラウェイシード、フェンネル、コリアンダーシードであり、好ましくはコリアンダーシードである。
【0014】
本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法の燻煙する工程で使用されるハーブ又は香辛料は、好ましくは加熱する前に加湿されている。前記加湿は、好ましくは水で行われる。加熱する前のハーブ又は香辛料が加湿されていると、チョコレートにハーブ又は香辛料の風味がより付きやすくなる。
【0015】
本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法の燻煙する工程での燻煙は、ローストされたカカオニブ、ローストされたカカオマス又はローストされたココアパウダーを、ハーブ又は香辛料を加熱することで発生する煙で十分に燻すことができれば、特に装置、条件等は制限されず、通常の装置、条件で行うことができる。燻煙は、例えば、燻煙させるカカオニブ、カカオマス又はココアパウダーの量に応じた箱等に、網かご等に入れたカカオニブ、カカオマス又はココアパウダーを吊るした後、箱等の中でハーブ又は香辛料を加熱することで煙を発生させ、カカオニブ、カカオマス又はココアパウダーを発生した煙で燻すことで行われる。本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法の燻煙する工程での燻煙は、好ましくは5~60分間、より好ましくは8~45分間、さらに好ましくは10~30分間、最も好ましくは10~25分間行われる。
【0016】
本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法で得られるカカオ原料を使用することで、ハーブ又は香辛料の香料や粉末化物を使用せずに、チョコレートに、ハーブ又は香辛料の風味を付与することができる。
【0017】
本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法は、カカオニブが燻煙される場合、好ましくは燻煙されたカカオニブを磨砕する工程を含む。本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法では、燻煙されたカカオニブを磨砕する工程は、燻煙する工程の後に行われる。燻煙されたカカオニブを磨砕する工程を行うことで、カカオマスが得られる。また、本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法は、さらに得られたカカオマスを搾油する工程を含む。カカオマスを搾油する工程を行うことで、ココアパウダー及びココアバターが得られる。前記ココアパウダーが凝集している場合は、ココアパウダーを粉砕する工程を施すこともできる。
【0018】
本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法は、カカオマスが燻煙される場合、好ましくはカカオマスを搾油する工程を含む。カカオマスを搾油する工程を行うことで、ココアパウダー及びココアバターが得られる。前記ココアパウダーが凝集している場合は、ココアパウダーを粉砕する工程を施すこともできる。
【0019】
本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法は、本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法で製造されたカカオ原料を配合することを特徴とする。
なお、本発明でチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上で規定されたチョコレートに限定されない。また、本発明でチョコレートとは、食用油脂、糖質、カカオ原料(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、乳化剤等を原料とし、チョコレートの製造工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、成形工程、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造され、油脂が連続相をなし、実質的に水を含有しない食品のことである。また、本発明の実施の形態のチョコレートは、好ましくは水分が3質量%以下である。
【0020】
本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法では、本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法で製造されたカカオ原料を好ましくは15~80質量%配合し、より好ましくは35~75質量%配合し、さらに好ましくは55~70質量%配合する。
【0021】
本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法では、油脂を好ましくは28~50質量%配合し、より好ましくは32~46質量%配合し、さらに好ましくは35~42質量%配合する。
なお、本発明で油脂は、チョコレートに含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分である。例えば、チョコレートがカカオマス、全脂粉乳、油脂aを含む場合、油脂は、カカオマスに含まれるココアバターと、全脂粉乳に含まれる乳脂と、油脂aとの混合油である。すなわち、本発明で油脂は、配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)に含まれる油脂(ココアバター、乳脂等)を含む。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法で使用される油脂は、特に制限されることない。本発明の実施の形態のチョコレートの製造には、通常のチョコレートの製造に使用される食用油脂(ココアバター、大豆油、菜種油、高エルシン酸菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、イリッペ脂、サル脂、乳脂や、これらの油脂の混合油、これらの油脂又は混合油の加工油脂(エステル交換油、分別油、水素添加油等)等)を使用することができる。
【0022】
本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法では、糖質を好ましくは10~40質量%配合し、より好ましくは15~37質量%配合し、さらに好ましくは25~34質量%配合する。
なお、本発明で糖質は、炭水化物から食物繊維を除いたもののことである。糖質の具体例は、糖類、糖アルコール(マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトール、還元水飴等)、でんぷん、オリゴ糖、デキストリン等である。また、本発明で糖類は、単糖類、二糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース、砂糖(ショ糖)、乳糖、麦芽糖等)のことである。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法で使用される糖類は、好ましくは糖類であり、より好ましくは砂糖、乳糖である。
【0023】
本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法で使用されるその他の原料は、例えば、アスパルテーム、ステビア、サッカリン等の甘味料、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、コーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等の乳化剤、酸化防止剤、着色料、香料等である。
【0024】
本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法は、本発明の実施の形態のカカオ原料の製造方法で製造されたカカオ原料を配合すること以外、従来公知のチョコレートの製造方法が使用される。本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法は、例えば、油脂、糖質、カカオマス、乳製品、香料、乳化剤等を原料とし、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、冷却工程等を有する。本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法は、好ましくは微粒化工程を有する。
【0025】
本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法によると、ハーブ又は香辛料の香料や粉末化物を使用せずに、チョコレートに、ハーブ又は香辛料の風味を付与することができる。また、本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法によると、今までにない方法で、チョコレートに、ハーブ又は香辛料の風味を付与することができる。
【0026】
本発明の実施の形態のチョコレートの製造方法で製造されたチョコレートは、菓子、パン等の他の食品と組みわせることもできる。チョコレートと他の食品を組み合わせる手段は、包む、巻く、混合、接着、被覆、挟む、注入、埋没、トッピング等である。
【実施例
【0027】
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。しかし、本発明はこれらに何ら制限されない。
【0028】
〔カカオ原料の製造〕
発酵させたカカオ豆を、ロースターを使用して、100℃で40分間ローストした後、さらに115℃で40分間ローストした。ローストされたカカオ豆からシェルを取り除くことで、ローストされたカカオニブを得た。
底面が開いたスチール製の箱(縦24cm、横24cm、高さ35cm)の上面に、ローストされたカカオニブ500gを入れた網かごを吊るし、乾燥したハーブ(オレンジピール、ローズマリー、レモングラス、ハイビスカス又はレッドグレープリーフ)又は乾燥した香辛料(コリアンダーシード)4gが載せられたアルミニウム製の板を箱の底面に置き、ハーブ又は香辛料が載せられたアルミニウム製の板を、板の下からガスで加熱することで、ハーブ又は香辛料から発生する煙でローストされたカカオニブを燻煙した。燻煙は、1分30秒から2分30秒加熱した後、火を止めてから、10分間行った。また、オレンジピール及びローズマリーについては、水で加湿したものでも燻煙した。
ハーブ又は香辛料で燻煙された各カカオニブを磨砕機で磨砕することで、カカオマスを得た。
【0029】
〔チョコレートの製造及び評価〕
各カカオマスを64質量部、砂糖を31質量部、ココアバターを5質量部、乳化剤を0.5質量部の配合で、通常のチョコレートの製造方法(混合、微粒化、精練、冷却)でチョコレートを製造した(チョコレート中のカカオ原料の含有量は63.7質量%、油脂含有量は40質量%、糖質含有量は30.8質量%、水分は3質量%以下だった。)。また、比較対照として、ハーブ又は香辛料での燻煙を行っていないカカオマスを使用して、比較対照のチョコレートを製造した。
得られたチョコレートを8名の専門パネルが食し、チョコレートの風味を評価した。評価は、ハーブ又は香辛料での燻煙を行ったカカオマスを使用したチョコレートの風味と、比較対照のチョコレートの風味との比較を行い、下記評価基準により評価した。結果を表1~2に示した。なお、チョコレートの風味を評価した専門パネルは、チョコレートの風味等の官能評価の訓練を定期的に受けており、チョコレートの風味等の官能評価結果に個人差が少ない。
【0030】
〔チョコレートの風味の評価基準〕
◎:比較対照のチョコレートよりも、ハーブ又は香辛料の風味が非常に強く感じる。
○:比較対照のチョコレートよりも、ハーブ又は香辛料の風味が強く感じる。
×:比較対照のチョコレートと風味に差がない。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
表1、2からわかるように、ハーブ又は香辛料で燻煙されたカカオ原料を使用することにより、チョコレートにハーブ又は香辛料の風味を付与することができた。また、加湿したハーブ又は香辛料で燻煙すると、ハーブ又は香辛料の風味がより強くなることが分かった。