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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/04 20060101AFI20241028BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20241028BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20241028BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
B24B7/04 A
B24B49/10
B24B41/06 L
H01L21/304 631
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020176544
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067769
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】小澤 寛修
(72)【発明者】
【氏名】上野 文弘
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 厚紀
(72)【発明者】
【氏名】大沼 広希
(72)【発明者】
【氏名】國武 尊貴
(72)【発明者】
【氏名】浅井 宏平
(72)【発明者】
【氏名】岩下 健一
(72)【発明者】
【氏名】呂 志強
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-049557(JP,A)
【文献】特開2020-066112(JP,A)
【文献】特開2017-013144(JP,A)
【文献】特開2018-062048(JP,A)
【文献】特開2015-037140(JP,A)
【文献】国際公開第2013/187164(WO,A1)
【文献】特開2013-141725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 7/04
B24B 49/10、49/12
B24B 41/06
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を研削する研削装置であって、
該被加工物を保持する保持面を上部に備えたチャックテーブルと、
複数の研削砥石が環状に配置されてなる研削ホイールを下端部に装着可能なスピンドルを備え、該スピンドルに装着された該研削ホイールで該チャックテーブルに保持された該被加工物を研削する研削ユニットと、
該保持面の中心を通るように並ぶ複数の位置での該保持面の高さを示す高さの分布を該保持面の形状として測定する非接触式の形状測定ユニットと、
該チャックテーブル及び該研削ユニットを制御する制御ユニットと、を含み、
該制御ユニットは、
該高さの分布の許容範囲を示す情報を該保持面の形状の許容範囲を示す情報として記憶する形状許容範囲記憶部
形状測定ユニットによって測定された該高さの分布が示す該保持面の高さが、該複数の位置のいずれかにおいて、該形状許容範囲記憶部に記憶されている情報が示す許容範囲を超えた場合に該保持面の整形が必要と判定する判定部と、
該判定部により該保持面の整形が必要と判定された場合に、該スピンドルに装着された該研削ホイールで該保持面を研削するように該チャックテーブル及び該研削ユニットを動作させる整形実行部と、を備える研削装置。
【請求項2】
被加工物を研削する研削装置であって、
該被加工物を保持する保持面を上部に備えたチャックテーブルと、
複数の研削砥石が環状に配置されてなる研削ホイールを下端部に装着可能なスピンドルを備え、該スピンドルに装着された該研削ホイールで該チャックテーブルに保持された該被加工物を研削する研削ユニットと、
該スピンドルに装着された該研削ホイールで該チャックテーブルに保持された該被加工物を研削した後に、該保持面の中心を通るように並ぶ複数の位置での該チャックテーブルに保持された該被加工物の厚みを示す厚みの分布該被加工物の厚みのばらつきとして測定する厚み測定ユニットと、
該チャックテーブル及び該研削ユニットを制御する制御ユニットと、を含み、
該制御ユニットは、
該厚みの分布の許容範囲を示す情報を研削後の該被加工物の厚みのばらつきの許容範囲を示す情報として記憶する厚みばらつき許容範囲記憶部
厚み測定ユニットによって測定された該被加工物の厚みのばらつきが該厚みばらつき許容範囲記憶部に記憶されている情報が示す許容範囲を超え、かつ、該厚みの分布が対称と見なせない場合に該保持面の整形が必要と判定する判定部と、
該判定部により該保持面の整形が必要と判定された場合に、該スピンドルに装着された該研削ホイールで該保持面を研削するように該チャックテーブル及び該研削ユニットを動作させる整形実行部と、を備える研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の被加工物を研削する際に使用される研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型で軽量なデバイスチップを実現するために、集積回路等のデバイスが表面に設けられたウェーハを薄く加工する機会が増えている。例えば、ウェーハの表面側をチャックテーブルで保持し、研削ホイールと呼ばれる工具と、チャックテーブルと、をともに回転させて、純水等の液体を供給しながらウェーハの裏面に研削ホイールを押し当てることで、このウェーハを研削して薄くできる。
【0003】
ところで、ウェーハのような板状の被加工物を研削し続けると、この被加工物を保持するチャックテーブルの保持面が、研削ホイールに対して傾いたり、変形したりして、被加工物を高い精度で研削できなくなる可能性がある。そこで、保持面を研削ホイールで研削して整形するセルフグラインドと呼ばれる処理を定期的に行うことが推奨されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-94671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際にセルフグラインドを実施するタイミングは、上述したチャックテーブル等を含む研削装置を使用する者の判断に委ねられている。そのため、必ずしも研削装置を製造する者が想定している適切なタイミングでセルフグラインドが実施されるとは限らない。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、研削装置を使用する者の判断を必要とせずに、適切なタイミングでチャックテーブルの保持面を整形できる研削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば被加工物を研削する研削装置であって、該被加工物を保持する保持面を上部に備えたチャックテーブルと、複数の研削砥石が環状に配置されてなる研削ホイールを下端部に装着可能なスピンドルを備え、該スピンドルに装着された該研削ホイールで該チャックテーブルに保持された該被加工物を研削する研削ユニットと、該保持面の中心を通るように並ぶ複数の位置での該保持面の高さを示す高さの分布を該保持面の形状として測定する非接触式の形状測定ユニットと、該チャックテーブル及び該研削ユニットを制御する制御ユニットと、を含み、該制御ユニットは、該高さの分布の許容範囲を示す情報を該保持面の形状の許容範囲を示す情報として記憶する形状許容範囲記憶部と、該形状測定ユニットによって測定された該高さの分布が示す該保持面の高さが、該複数の位置のいずれかにおいて、該形状許容範囲記憶部に記憶されている情報が示す許容範囲を超えた場合に該保持面の整形が必要と判定する判定部と、該判定部により該保持面の整形が必要と判定された場合に、該スピンドルに装着された該研削ホイールで該保持面を研削するように該チャックテーブル及び該研削ユニットを動作させる整形実行部と、を備える研削装置が提供される
【0009】
本発明の別の側面によれば被加工物を研削する研削装置であって、該被加工物を保持する保持面を上部に備えたチャックテーブルと、複数の研削砥石が環状に配置されてなる研削ホイールを下端部に装着可能なスピンドルを備え、該スピンドルに装着された該研削ホイールで該チャックテーブルに保持された該被加工物を研削する研削ユニットと、該スピンドルに装着された該研削ホイールで該チャックテーブルに保持された該被加工物を研削した後に、該保持面の中心を通るように並ぶ複数の位置での該チャックテーブルに保持された該被加工物の厚みを示す厚みの分布を測定する厚み測定ユニットと、該チャックテーブル及び該研削ユニットを制御する制御ユニットと、を含み、該制御ユニットは、該厚みの分布の許容範囲を示す情報を研削後の該被加工物の厚みのばらつきの許容範囲を示す情報として記憶する厚みばらつき許容範囲記憶部と、該厚み測定ユニットによって測定された該被加工物の厚みのばらつきが該厚みばらつき許容範囲記憶部に記憶されている情報が示す許容範囲を超え、かつ、該厚みの分布が対称と見なせない場合に該保持面の整形が必要と判定する判定部と、該判定部により該保持面の整形が必要と判定された場合に、該スピンドルに装着された該研削ホイールで該保持面を研削するように該チャックテーブル及び該研削ユニットを動作させる整形実行部と、を備える研削装置が提供される
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面にかかる研削装置は、保持面の整形が必要か否かを判定する判定部と、判定部により保持面の整形が必要と判定された場合に、スピンドルに装着された研削ホイールで保持面を研削するようにチャックテーブル及び研削ユニットを動作させる整形実行部と、を備える制御ユニットを含むので、研削装置は、チャックテーブルの保持面を整形する適切なタイミングを判定して、この保持面を整形できる。つまり、本発明の一側面にかかる研削装置は、研削装置を使用する者の判断を必要とせずに、適切なタイミングでチャックテーブルの保持面を整形できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、研削装置を示す斜視図である。
図2図2は、ターンテーブル及びその周辺を示す平面図である。
図3図3は、制御ユニットの機能的な構造の一部を示す機能ブロック図である。
図4図4は、保持面の形状に基づいて整形の要否を判定する場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。
図5図5は、第2測定器によって得られる保持面の高さの分布の例を示すグラフである。
図6図6は、研削後の被加工物の厚みのばらつきに基づいて整形の要否を判定する場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。
図7図7は、第2測定器によって得られる被加工物の厚みの分布の例を示すグラフである。
図8図8は、保持面の整形が実行されてから経過した時間に基づいて整形の要否を判定する場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。
図9図9は、保持面の整形が実行されてから研削された被加工物の数に基づいて整形の要否を判定する場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる研削装置2を示す斜視図である。なお、図1では、研削装置2を構成する一部の要素が機能ブロックで表現されている。また、以下の説明において使用されるX軸方向(前後方向)、Y軸方向(左右方向)、及びZ軸方向(鉛直方向)は、互いに垂直である。
【0015】
図1に示すように、研削装置2は、この研削装置2を構成する各種の要素を支持する基台4を備えている。基台4の上面前端側には、開口4aが形成されており、開口4a内には、板状の被加工物11の搬送に使用される第1搬送機構6が設けられている。この第1搬送機構6は、代表的には、複数の関節を持つロボットアームであり、被加工物11を搬送できるだけでなく、被加工物11の上下を反転させることもできる。
【0016】
被加工物11は、例えば、シリコン等の材料によって構成される円盤状のウェーハである。被加工物11の表面11a側は、互いに交差する複数のストリート(分割予定ライン)で複数の小領域に区画されており、各小領域には、IC(Integrated Circuit)等のデバイスが形成されている。
【0017】
例えば、上述した被加工物11の表面11aとは反対の裏面11b側が、研削装置2によって研削される。この場合には、被加工物11の表面11a側に、樹脂等で構成される保護部材を貼付することが望ましい。被加工物11の表面11a側に保護部材を貼付することで、裏面11b側を研削する際に表面11a側に加わる衝撃を緩和して、被加工物11のデバイス等を保護できる。
【0018】
なお、本実施形態では、シリコン等の材料によって構成される円盤状のウェーハを被加工物11としているが、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料によって構成される基板等を被加工物11として用いることもできる。
【0019】
図1に示すように、開口4aの前方には、複数の被加工物11を収容できるカセット8a、8bが載せられるカセットテーブル10a、10bが設けられている。また、開口4aの斜め後方には、被加工物11の位置を調整するための位置調整機構12が設けられている。
【0020】
位置調整機構12は、例えば、円盤状のテーブルと、テーブルの周囲に配置された複数のピンと、を備える。テーブルの径方向に沿って複数のピンが移動することで、例えば、カセット8aから第1搬送機構6によって搬出され位置調整機構12のテーブルに載せられた被加工物11の中心が、X軸方向及びY軸方向において所定の位置に合わせられる。なお、本実施形態では、裏面11b側を上方に露出させるように被加工物11が位置調整機構12のテーブルに載せられる。
【0021】
位置調整機構12に隣接する位置には、被加工物11を保持して後方に搬送する第2搬送機構14が設けられている。第2搬送機構14は、被加工物11の上面(本実施形態では、裏面11b)側を吸引して保持する保持パッドと、この保持パッドに接続されたアームと、を備え、アームによって保持パッドを旋回させることで、位置調整機構12で位置が調整された被加工物11を後方に搬送する。
【0022】
第2搬送機構14の後方には、ターンテーブル16が設けられている。ターンテーブル16は、モーター等の回転駆動源(不図示)に接続されており、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りに回転する。ターンテーブル16の上面には、被加工物11の保持に使用される3個のチャックテーブル18が概ね等しい角度の間隔で設けられている。なお、ターンテーブル16上に設けられるチャックテーブル18の数等に制限はない。
【0023】
図2は、ターンテーブル16及びその周辺の構造を示す平面図である。なお、この図2では、説明の便宜上、一部の要素が破線で表現されている。第2搬送機構14は、保持パッドで保持した被加工物11を、第2搬送機構14に隣接する搬入搬出領域A(図2)に配置されたチャックテーブル18へと搬入する。ターンテーブル16は、例えば、図1及び図2の矢印で示す向きに回転し、各チャックテーブル18を、搬入搬出領域A、粗研削領域B、仕上げ研削領域Cの順に移動させる。
【0024】
各チャックテーブル18は、モーター等の回転駆動源(不図示)に接続されており、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りに回転する。各チャックテーブル18の上端側の一部は、例えば、多孔質材によって構成されており、その上面が、被加工物11の下面(本実施形態では、表面11a)側を保持する保持面18aとして機能する。すなわち、各チャックテーブル18は、被加工物11を保持する保持面18aを上部に備えている。
【0025】
この保持面18aは、チャックテーブル18の内部に形成された吸引路(不図示)等を介して真空ポンプ等の吸引源(不図示)に接続されている。チャックテーブル18に搬入された被加工物11は、保持面18aに作用する吸引源の負圧によって下面側を吸引される。
【0026】
図1に示すように、粗研削領域B及び仕上げ研削領域Cの後方(ターンテーブル16の後方)には、それぞれ、柱状の支持構造20が設けられている。各支持構造20の前面側には、Z軸移動機構22が設けられている。各Z軸移動機構22は、Z軸方向に概ね平行な一対のガイドレール24を備えており、ガイドレール24には、移動プレート26がスライドできる態様で取り付けられている。
【0027】
各移動プレート26の後面側(裏面側)には、ボールねじを構成するナット(不図示)が固定されており、このナットには、ガイドレール24に対して概ね平行なねじ軸28が回転できる態様で連結されている。ねじ軸28の一端部には、モーター30が接続されている。モーター30によってねじ軸28を回転させることで、移動プレート26はガイドレール24に沿ってZ軸方向に移動する。
【0028】
各移動プレート26の前面(表面)には、固定具32が設けられている。各固定具32には、被加工物11を研削(加工)するための研削ユニット(加工ユニット)34が支持されている。各研削ユニット34は、固定具32に固定されるスピンドルハウジング36を備えている。
【0029】
各スピンドルハウジング36には、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸となるスピンドル38が回転できる態様で収容されている。各スピンドル38の下端部は、スピンドルハウジング36の下端面から露出している。このスピンドル38の下端部には、円盤状のマウント40が固定されている。
【0030】
粗研削領域B側の研削ユニット34のマウント40の下面には、粗研削用の第1研削ホイール42aが装着されている。粗研削用の第1研削ホイール42aは、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属でマウント40と概ね同径に形成された第1ホイール基台を備えている。第1ホイール基台の下面には、粗研削に適したダイヤモンド等の砥粒がビトリファイドやレジノイド等のボンドで固定されてなる複数の第1研削砥石が環状に配置されている。
【0031】
この第1研削ホイール42aの第1研削砥石は、被加工物11と、チャックテーブル18の保持面18aと、の双方を研削できるように構成されることが望ましい。言い換えれば、チャックテーブル18の保持面18aは、被加工物11の研削に使用される第1研削砥石によって研削できる材質で構成されることが望ましい。これにより、第1研削ホイール42aを交換することなく、保持面18aを整形できるようになる。
【0032】
また、粗研削領域B側の研削ユニット34のスピンドルハウジング36には、スピンドル38の上端側に接続されるモーター等の第1回転駆動源(不図示)が収容されている。第1回転駆動源の動力によって、スピンドル38とともに第1研削ホイール42aが回転する。
【0033】
第1研削ホイール42aの傍には、被加工物11と第1研削砥石とが接触する部分(加工点)に純水等の液体(研削液)を供給できる液体供給用ノズル(不図示)が設けられている。ただし、この液体供給用ノズルの代わりに、又は、液体供給用ノズルとともに、液体の供給に使用される液体供給口を第1研削ホイール42aに設けても良い。
【0034】
また、図2に示すように、第1研削ホイール42aの傍には、チャックテーブル18によって保持された被加工物11の厚み等を測定できる非接触式の第1測定器(厚み測定ユニット、形状測定ユニット)44aが設けられている。第1測定器44aは、例えば、レーザービーム等の光を下方に放射する光源と、光源から放射された後に対象で反射した光を検出する受光素子と、を備え、対象までの距離を測定できるように構成される。
【0035】
第1測定器44aは、移動機構46aによって支持されており、粗研削領域Bに配置されたチャックテーブル18(保持面18a)の中心の直上を通るように円弧状の軌跡に沿って水平に移動する。第1測定器44aを移動させながら、対象までの距離を第1測定器44aで測定することにより、チャックテーブル18に保持された被加工物11の厚みを広い範囲で測定できる。なお、この第1測定器44aを用いて、保持面18aの形状等を測定することも可能である。
【0036】
同様に、仕上げ研削領域C側の研削ユニット34のマウント40の下面には、仕上げ研削用の第2研削ホイール42bが装着されている。仕上げ研削用の第2研削ホイール42bは、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属でマウント40と概ね同径に形成された第2ホイール基台を備えている。第2ホイール基台の下面には、仕上げ研削に適したダイヤモンド等の砥粒がビトリファイドやレジノイド等のボンドで固定されてなる複数の第2研削砥石が環状に配置されている。
【0037】
この第2研削ホイール42bの第2研削砥石は、被加工物11と、チャックテーブル18の保持面18aと、の双方を研削できるように構成されることが望ましい。言い換えれば、チャックテーブル18の保持面18aは、被加工物11の研削に使用される第2研削砥石によって研削できる材質で構成されることが望ましい。これにより、第2研削ホイール42bを交換することなく、保持面18aを整形できるようになる。
【0038】
また、仕上げ研削領域C側の研削ユニット34のスピンドルハウジング36には、スピンドル38の上端側に接続されるモーター等の第2回転駆動源(不図示)が収容されている。第2回転駆動源の動力によって、スピンドル38とともに第2研削ホイール42bが回転する。
【0039】
第2研削ホイール42bの傍には、被加工物11と第2研削砥石とが接触する部分(加工点)に純水等の液体(研削液)を供給できる液体供給用ノズル(不図示)が設けられている。ただし、この液体供給用ノズルの代わりに、又は、液体供給用ノズルとともに、液体の供給に使用される液体供給口を第2研削ホイール42bに設けても良い。
【0040】
また、図2に示すように、第2研削ホイール42bの傍には、チャックテーブル18によって保持された被加工物11の厚み等を測定できる非接触式の第2測定器(厚み測定ユニット、形状測定ユニット)44bが設けられている。第2測定器44bの構造及び機能は、第1測定器44aの構造及び機能と同じで良い。
【0041】
第2測定器44bは、移動機構46bによって支持されており、仕上げ研削領域Cに配置されたチャックテーブル18(保持面18a)の中心の直上を通るように円弧状の軌跡に沿って水平に移動する。第2測定器44bを移動させながら、対象までの距離を第2測定器44bで測定することにより、チャックテーブル18に保持された被加工物11の厚みを広い範囲で測定できる。なお、この第2測定器44bを用いて、保持面18aの形状等を測定することも可能である。
【0042】
各チャックテーブル18に保持された被加工物11は、上述した2組の研削ユニット34によって順に研削される。具体的には、粗研削領域Bのチャックテーブル18に保持された被加工物11は、粗研削領域B側の研削ユニット34で研削され、仕上げ研削領域Cのチャックテーブル18に保持された被加工物11は、仕上げ研削領域C側の研削ユニット34で研削される。
【0043】
図1に示すように、搬入搬出領域Aの前方、且つ第2搬送機構14の側方の位置には、研削された後の被加工物11を保持して前方に搬送する第3搬送機構48が設けられている。第3搬送機構48は、被加工物11の上面(本実施形態では、裏面11b)側を吸引して保持する保持パッドと、この保持パッドに接続されたアームと、を備え、アームによって保持パッドを旋回させることで、研削された後の被加工物11をチャックテーブル18から前方に搬送する。
【0044】
第3搬送機構48の前方には、第3搬送機構48で搬出された被加工物11を洗浄する洗浄ユニット50が設けられている。洗浄ユニット50は、例えば、被加工物11の下面(本実施形態では、表面11a)側を保持した状態で回転するスピンナーテーブルと、スピンナーテーブルによって保持された被加工物11の上面(本実施形態では、裏面11b)側に洗浄用の流体を噴射するノズルと、を備えている。この洗浄ユニット50で洗浄された被加工物11は、第1搬送機構6で搬送され、例えば、カセット8bに収容される。
【0045】
研削装置2の各要素には、制御ユニット52が接続されている。制御ユニット52は、例えば、処理装置と、記憶装置と、入力装置と、を含むコンピュータによって構成され、被加工物11が適切に研削されるように各要素の動作等を制御する。処理装置は、代表的には、CPU(Central Processing Unit)であり、上述した要素を制御するために必要な種々の処理を行う。
【0046】
記憶装置は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含む。入力装置は、例えば、タッチパネルであり、出力装置(表示装置)を兼ねている。なお、キーボードやマウス等が入力装置として採用されることもある。この制御ユニット52の機能は、例えば、記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置が動作することによって実現される。ただし、制御ユニット52の機能は、ハードウェアのみによって実現されても良い。
【0047】
図3は、制御ユニット52の機能的な構造の一部を示す機能ブロック図である。制御ユニット52は、チャックテーブル18の保持面18aを適切なタイミングで整形できるように構成されており、保持面18aの整形が必要か否かを種々のパラメーターに基づいて判定する判定部52aを備えている。
【0048】
判定部52aでの判定に使用されるパラメーターとしては、保持面18aの形状や、研削後の被加工物11の厚みのばらつき、保持面18aの整形が実行されてから経過した時間、保持面18aの整形が実行されてから研削された被加工物11の数等がある。また、チャックテーブル18の内部に形成された吸引路の圧力、チャックテーブル18の吸引路に気体を供給することで保持面18aに発生する気泡の分布等をパラメーターとして、判定部52aでの判定に使用することもできる。
【0049】
制御ユニット52は、判定部52aでの判定に使用されるパラメーターに関する基準(条件)を記憶する記憶部(形状許容範囲記憶部、厚みばらつき許容範囲記憶部、時間情報記憶部、数量情報記憶部)52bを更に備えている。
【0050】
例えば、保持面18aの形状が判定のパラメーターとして使用される場合には、保持面18aの形状の許容範囲を示す情報が、判定の基準として記憶部52bに記憶される。この場合には、記憶部52bは、形状許容範囲記憶部として機能する。判定部52aは、例えば、第1測定器44aや第2測定器44bによって測定された保持面18aの形状が、記憶部52bに記憶されている情報が示す許容範囲を超えた場合に、保持面18aの整形が必要と判定する。
【0051】
また、例えば、研削後の被加工物11の厚みのばらつきが判定のパラメーターとして使用される場合には、研削後の被加工物11の厚みのばらつきの許容範囲を示す情報が、判定の基準として記憶部52bに記憶される。この場合には、記憶部52bは、厚みばらつき許容範囲記憶部として機能する。判定部52aは、例えば、第1測定器44aや第2測定器44bによって測定された研削後の被加工物11の厚みのばらつきが、記憶部52bに記憶されている情報が示す許容範囲を超えた場合に、保持面18aの整形が必要と判定する。
【0052】
更に、例えば、保持面18aの整形が実行されてから経過した時間が判定のパラメーターとして使用される場合には、保持面18aの整形が実行されてから再び保持面18aの整形が必要になるまでの時間に関する情報が、判定の基準として記憶部52bに記憶される。この場合には、記憶部52bは、時間情報記憶部として機能する。
【0053】
なお、制御ユニット52は、保持面18aの整形が実行されてから経過した時間を計ることのできる計時部52cを更に備えている。判定部52aは、例えば、計時部52cの計った時間が、記憶部52bに記憶されている情報が示す時間を超えた場合に、保持面18aの整形が必要と判定する。
【0054】
そして、例えば、保持面18aの整形が実行されてから研削された被加工物11の数が判定のパラメーターとして使用される場合には、保持面18aの整形が実行されてから再び保持面18aの整形が必要になるまでに研削できる被加工物11の数に関する情報が、判定の基準として記憶部52bに記憶される。この場合には、記憶部52bは、数量情報記憶部として機能する。
【0055】
なお、制御ユニット52は、保持面18aの整形が実行されてから研削された被加工物11の数を数えることのできる計数部52dを更に備えている。判定部52aは、例えば、計数部52dの数えた数が、記憶部52bに記憶されている情報が示す数を超えた場合に、保持面18aの整形が必要と判定する。
【0056】
また、制御ユニット52は、判定部52aにより保持面18aの整形が必要と判定された場合に保持面18aの整形を実行する整形実行部52eを備えている。例えば、整形実行部52eは、判定部52aにより保持面18aの整形が必要と判定されると、スピンドル38に装着された第1研削ホイール42a又は第2研削ホイール42bで保持面18aを研削するように、チャックテーブル18、Z軸移動機構22、及び研削ユニット34を動作させる。
【0057】
具体的には、整形実行部52eは、対象のチャックテーブル18と、これに対応するスピンドル38(第1研削ホイール42a又は第2研削ホイール42b)とをそれぞれ回転させる。そして、整形実行部52eは、対応するZ軸移動機構22で研削ユニット34を下降させ、対象のチャックテーブル18の保持面18aに対して、第1研削ホイール42a又は第2研削ホイール42bを接触させる。これにより、第1研削ホイール42a又は第2研削ホイール42bで保持面18aを研削して整形できる。
【0058】
チャックテーブル18の回転数は、例えば、20rpm~60rpmに設定され、スピンドル38(第1研削ホイール42a又は第2研削ホイール42b)の回転数は、例えば、1000rpm~2000rpmに設定され、研削ユニット34の下降の速度は、例えば、0.2μm/s~0.4μm/sに設定され、研削ユニット34を下降させる距離は、例えば、80μm~120μmに設定される。ただし、保持面18aの整形の条件は、これらに限定されない。
【0059】
次に、保持面18aの整形にかかる処理の流れ(保持面18aの整形方法)の例を説明する。なお、以下では、仕上げ研削用の第2研削ホイール42bを用いて保持面18aを整形する場合の処理の流れを説明するが、粗研削用の第1研削ホイール42aを用いて保持面18aを整形する場合の処理の流れも同様である。
【0060】
図4は、保持面18aの形状に基づいて整形の要否を判定する場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。例えば、制御ユニット52は、ある被加工物11の研削が完了すると、被加工物11を第3搬送機構48によってチャックテーブル18から搬出した後に、搬入搬出領域Aのチャックテーブル18を仕上げ研削領域Cへと移動させる。
【0061】
そして、制御ユニット52は、仕上げ研削領域C側の第2測定器44bで、この仕上げ研削領域Cへと移動させたチャックテーブル18の保持面18aの形状を測定する(形状測定ステップST11)。具体的には、第2測定器44bによって、保持面18aの形状に相当する保持面18aの高さの分布を測定する。図5は、第2測定器44bによって得られる保持面18aの高さの分布の例を示すグラフである。
【0062】
なお、図5では、第2測定器44bによって得られる保持面18aの高さの分布が実線L11で表され、保持面18aの理想的な高さの分布が破線L12で表されている。また、図5では、保持面18aの中心に相当する水平方向の位置(横軸)での保持面18aの高さ(縦軸)を一致させるように、実線L11及び破線L12の縦軸の値が調整されている。
【0063】
その後、制御ユニット52の判定部52aは、第2測定器44bで測定された保持面18aの形状と、予め記憶部52bに記憶されている情報が示す保持面18aの形状の許容範囲とを比較して、保持面18aの整形が必要か否かを判定する(判定ステップST12)。例えば、記憶部52bには、保持面18aの理想的な高さの分布に対して許容されるズレを考慮して決定された許容範囲の上限(図5の一点鎖線L13)と、許容範囲の下限(図5の二点鎖線L14)と、に関する情報が予め記憶されている。
【0064】
例えば、保持面18aの高さと理想的な高さとのズレが±1.5μmを超えると、被加工物11の適切な研削が難しくなる。そのため、例えば、許容範囲の上限は、保持面18aの理想的な高さから+1.0μm以上+1.5μm以下の範囲に設定され、許容範囲の下限は、保持面18aの理想的な高さから-1.5μm以上-1.0μm以下の範囲に設定されることが望ましい。ただし、許容範囲はこれらに限定されず、求められる研削の精度等に応じて適切に設定されていれば良い。
【0065】
判定部52aは、第2測定器44bで測定された保持面18aの高さの分布を、記憶部52bに記憶されている情報が示す許容範囲と比較して、保持面18aの高さの分布が許容範囲を超えている場合に、保持面18aの整形が必要と判定する(判定ステップST12でYES)。具体的には、図5の一点鎖線L13と二点鎖線L14とで挟まれる範囲(高さ)から実線L11がはみ出している場合に、保持面18aの整形が必要と判定する。
【0066】
判定部52aにより保持面18aの整形が必要と判定されると、整形実行部52eは、仕上げ研削領域C側のスピンドル38に装着された第2研削ホイール42bで保持面18aを研削するように、チャックテーブル18、Z軸移動機構22、及び研削ユニット34を動作させる(整形実行ステップST13)。
【0067】
その結果、チャックテーブル18の保持面18aが整形され、保持面18aの形状が理想的な形状に近づく。その後、制御ユニット52は、例えば、次の被加工物11の研削を開始する(研削開始ステップST14)。判定部52aにより保持面18aの整形が必要と判定されなかった場合には(判定ステップST12でNO)、保持面18aの整形を実行することなく、次の被加工物11の研削を開始すれば良い(研削開始ステップST14)。
【0068】
図6は、研削後の被加工物11の厚みのばらつきに基づいて整形の要否を判定する場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。例えば、制御ユニット52は、ある被加工物11の仕上げ研削が完了すると、この被加工物11の厚みを仕上げ研削領域C側の第2測定器44bで測定する(厚み測定ステップST21)。
【0069】
具体的には、研削後の被加工物11の厚みの分布を第2測定器44bで測定する。被加工物11の厚みの分布を測定した後には、第3搬送機構48によって被加工物11をチャックテーブル18から搬出すると良い。また、本実施形態では、研削後の被加工物11の厚みを研削装置2内の第2測定器44bで測定しているが、研削装置2外の測定器で研削後の被加工物11の厚みを測定することもできる。
【0070】
図7は、第2測定器44bによって得られる被加工物11の厚みの分布の例を示すグラフである。なお、図7では、第2測定器44bによって得られる被加工物11の厚みの分布が実線L21で表され、被加工物11の理想的な厚みの分布を破線L22で表されている。また、図7では、被加工物11の中心に相当する水平方向の位置(横軸)での被加工物11の厚み(縦軸)を一致させるように、実線L21及び破線L22の縦軸の値が調整されている。
【0071】
その後、制御ユニット52の判定部52aは、第2測定器44bで測定された被加工物11の厚みと、予め記憶部52bに記憶されている情報が示す被加工物11の厚みのばらつき許容範囲とを比較して、保持面18aの整形が必要か否かを判定する(判定ステップST22)。例えば、記憶部52bには、被加工物11の理想的な厚みの分布に対して許容されるズレを考慮して決定された許容範囲の上限(図7の一点鎖線L23)と、許容範囲の下限(図7の二点鎖線L24)と、に関する情報が予め記憶されている。
【0072】
例えば、許容範囲の上限は、被加工物11の理想的な厚みから+1.0μm以上+1.5μm以下の範囲に設定され、許容範囲の下限は、被加工物11の理想的な厚みから-1.5μm以上-1.0μm以下の範囲に設定されることが望ましい。ただし、許容範囲はこれらに限定されず、求められる研削の精度等に応じて適切に設定されていれば良い。
【0073】
判定部52aは、第2測定器44bで測定された被加工物11の厚みの分布を、記憶部52bに記憶されている情報が示す許容範囲と比較して、被加工物11の厚みのばらつきが許容範囲を超えている場合に、保持面18aの整形が必要と判定する(判定ステップST22でYES)。具体的には、図7の一点鎖線L23と二点鎖線L24とで挟まれる範囲(厚み)から実線L21がはみ出している場合に、保持面18aの整形が必要と判定する。
【0074】
なお、研削後の被加工物11の厚みのばらつきに基づいて整形の要否を判定する場合には、例えば、上述した許容範囲との比較に加えて、研削後の被加工物11の厚みの分布が被加工物11の中心に関して対称と見なせるか否かを確認することが望ましい。判定部52aは、研削後の被加工物11の厚みの分布が対称と見なせない場合に、被加工物11が適切に研削されておらず、保持面18aの整形が必要と判定する。
【0075】
判定部52aにより保持面18aの整形が必要と判定されると、整形実行部52eは、仕上げ研削領域C側のスピンドル38に装着された第2研削ホイール42bで保持面18aを研削するように、チャックテーブル18、Z軸移動機構22、及び研削ユニット34を動作させる(整形実行ステップST23)。なお、この場合には、対象のチャックテーブル18を予め仕上げ研削領域Cへと移動させておく。
【0076】
その結果、チャックテーブル18の保持面18aが整形され、保持面18aの形状が理想的な形状に近づく。その後、制御ユニット52は、例えば、次の被加工物11の研削を開始する(研削開始ステップST24)。判定部52aにより保持面18aの整形が必要と判定されなかった場合には(判定ステップST22でNO)、保持面18aの整形を実行することなく、次の被加工物11の研削を開始すれば良い(研削開始ステップST24)。
【0077】
図8は、保持面18aの整形が実行されてから経過した時間に基づいて整形の要否を判定する場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。この場合には、例えば、計時部52cは、直前の保持面18aの整形が実行されてから経過した時間を計る(計時ステップST31)。
【0078】
また、制御ユニット52の判定部52aは、計時部52cで計った時間と、予め記憶部52bに記憶されている情報が示す基準の時間(再び保持面18aの整形が必要になるまでの時間)とを比較して、保持面18aの整形が必要か否かを判定する(判定ステップST32)。基準の時間は、例えば、180日(4320時間)に設定される。ただし、記憶部52bに記憶される基準の時間はこれに限定されない。
【0079】
判定部52aは、計時部52cで計った時間を、記憶部52bに記憶されている基準の時間と比較して、計った時間が基準の時間を超えている場合に、保持面18aの整形が必要と判定する(判定ステップST32でYES)。
【0080】
判定部52aにより保持面18aの整形が必要と判定されると、整形実行部52eは、仕上げ研削領域C側のスピンドル38に装着された第2研削ホイール42bで保持面18aを研削するように、チャックテーブル18、Z軸移動機構22、及び研削ユニット34を動作させる(整形実行ステップST33)。なお、この場合には、対象のチャックテーブル18を予め仕上げ研削領域Cへと移動させておく。
【0081】
その結果、チャックテーブル18の保持面18aが整形され、保持面18aの形状が理想的な形状に近づく。その後、制御ユニット52は、例えば、次の被加工物11の研削を開始する(研削開始ステップST34)。判定部52aにより保持面18aの整形が必要と判定されなかった場合には(判定ステップST32でNO)、保持面18aの整形を実行することなく、次の被加工物11の研削を開始すれば良い(研削開始ステップST34)。
【0082】
図9は、保持面18aの整形が実行されてから研削された被加工物11の数に基づいて整形の要否を判定する場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。この場合には、例えば、計数部52dは、直前の保持面18aの整形が実行されてから研削された被加工物11の数を数える(計数ステップST41)。
【0083】
また、制御ユニット52の判定部52aは、計数部52dで数えた数と、予め記憶部52bに記憶されている情報が示す基準の数(再び保持面18aの整形が必要になるまでに研削できる被加工物11の数)とを比較して、保持面18aの整形が必要か否かを判定する(判定ステップST42)。基準の数は、例えば、50000枚に設定される。ただし、記憶部52bに記憶される基準の数はこれに限定されない。
【0084】
判定部52aは、計数部52dで数えた数を、記憶部52bに記憶されている基準の数と比較して、数えた数が基準の数を超えている場合に、保持面18aの整形が必要と判定する(判定ステップST42でYES)。
【0085】
判定部52aにより保持面18aの整形が必要と判定されると、整形実行部52eは、仕上げ研削領域C側のスピンドル38に装着された第2研削ホイール42bで保持面18aを研削するように、チャックテーブル18、Z軸移動機構22、及び研削ユニット34を動作させる(整形実行ステップST43)。なお、この場合には、対象のチャックテーブル18を予め仕上げ研削領域Cへと移動させておく。
【0086】
その結果、チャックテーブル18の保持面18aが整形され、保持面18aの形状が理想的な形状に近づく。その後、制御ユニット52は、例えば、次の被加工物11の研削を開始する(研削開始ステップST44)。判定部52aにより保持面18aの整形が必要と判定されなかった場合には(判定ステップST42でNO)、保持面18aの整形を実行することなく、次の被加工物11の研削を開始すれば良い(研削開始ステップST44)。
【0087】
以上のように、本実施形態にかかる研削装置2は、保持面18aの整形が必要か否かを判定する判定部52aと、判定部52aにより保持面18aの整形が必要と判定された場合に、スピンドル38に装着された第2研削ホイール42b(又は第1研削ホイール42a)で保持面18aを研削するようにチャックテーブル18及び研削ユニット34を動作させる整形実行部52eと、を備える制御ユニット52を含むので、研削装置2は、チャックテーブル18の保持面18aを整形する適切なタイミングを判定して、この保持面18aを整形できる。つまり、本実施形態にかかる研削装置2は、研削装置2を使用する者の判断を必要とせずに、適切なタイミングでチャックテーブル18の保持面18aを整形できる。
【0088】
なお、本発明は、上述した実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、研削装置2は、保持面18aの形状、研削後の被加工物11の厚みのばらつき、保持面18aの整形が実行されてから経過した時間、保持面18aの整形が実行されてから研削された被加工物11の数、のいずれのパラメーターが選択される場合にも、適切な判定を行うことができるように構成されているが、本発明の研削装置は、いずれかのパラメーターによって適切な判定を行うことができるように構成されていれば良い。
【0089】
その他、上述の実施形態及び変形例にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0090】
2 :研削装置
4 :基台
4a :開口
6 :第1搬送機構
8a :カセット
8b :カセット
10a :カセットテーブル
10b :カセットテーブル
12 :位置調整機構
14 :第2搬送機構
16 :ターンテーブル
18 :チャックテーブル
18a :保持面
20 :支持構造
22 :Z軸移動機構
24 :ガイドレール
26 :移動プレート
28 :ねじ軸
30 :モーター
32 :固定具
34 :研削ユニット(加工ユニット)
36 :スピンドルハウジング
38 :スピンドル
40 :マウント
42a :第1研削ホイール
42b :第2研削ホイール
44a :第1測定器(厚み測定ユニット、形状測定ユニット)
44b :第2測定器(厚み測定ユニット、形状測定ユニット)
46a :移動機構
46b :移動機構
48 :第3搬送機構
50 :洗浄ユニット
52 :制御ユニット
52a :判定部
52b :記憶部(形状許容範囲記憶部、厚みばらつき許容範囲記憶部、時間情報記憶部、数量情報記憶部)
52c :計時部
52d :計数部
52e :整形実行部
A :搬入搬出領域
B :粗研削領域
C :仕上げ研削領域
11 :被加工物
11a :表面
11b :裏面
ST11 :形状測定ステップ
ST12 :判定ステップ
ST13 :整形実行ステップ
ST14 :研削開始ステップ
ST21 :厚み測定ステップ
ST22 :判定ステップ
ST23 :整形実行ステップ
ST24 :研削開始ステップ
ST31 :計時ステップ
ST32 :判定ステップ
ST33 :整形実行ステップ
ST34 :研削開始ステップ
ST41 :計数ステップ
ST42 :判定ステップ
ST43 :整形実行ステップ
ST44 :研削開始ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9