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特許75774493D-NANDデバイスでのワードライン分離のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】3D-NANDデバイスでのワードライン分離のための方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20241028BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20241028BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241028BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20241028BHJP
   H01L 21/3213 20060101ALI20241028BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20241028BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20241028BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20241028BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241028BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20241028BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20241028BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20241028BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L21/28 E
H01L21/28 301R
H01L21/302 104C
H01L21/302 201A
H01L21/88 D
H01L21/88 E
H01L21/88 R
H01L29/78 371
H10B41/27
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019564798
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 US2018033893
(87)【国際公開番号】W WO2018222443
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】62/513,371
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン, イーホン
(72)【発明者】
【氏名】トアン, ツーチン
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ケルヴィン
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】中野 浩昌
【審判官】緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-57067(JP,A)
【文献】国際公開第2016/172740(WO,A2)
【文献】米国特許第9449843(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B43/27
H10B41/27
H01L21/336
H01L21/28
H01L21/3213
H01L21/3205
H01L21/3065
H01L21/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
酸化物層の間に間隙を有する、間隔を空けた前記酸化物層を含むスタックを有する基板を提供することであって、前記スタックが上部と側面を有し、各間隙がワードラインを形成することができる、基板を提供することと、
金属が前記間隙を埋め、前記スタックの前記上部と前記側面をある厚さの金属被覆部で覆うように、前記スタック上に金属を堆積させることと、
前記スタックの前記側面の±1Å以内の深さまで前記金属を酸化させ、前記スタックの前記上部と前記側面に金属酸化物を形成し、前記間隙内の前記金属をワードラインとして残すことと、
前記スタックの前記上部と前記側面から前記金属酸化物をエッチングし、前記金属を前記ワードラインに残すことと
を含む方法。
【請求項2】
基板を処理する方法であって、
酸化物層の間に間隙を有する、間隔を空けた前記酸化物層を含むスタックを有する基板を提供することであって、前記スタックが上部と側面を有し、各間隙がワードラインを形成することができる、基板を提供することと、
金属が前記間隙を埋め、前記スタックの前記上部と前記側面をある厚さの金属被覆部で覆うために、前記スタック上に金属を堆積させることと、
前記金属の表面を酸化させて金属酸化物を形成すること、及び前記スタックから前記金属酸化物をエッチングすることを、前記金属被覆部が除去されるまで繰り返し、前記間隙内の前記金属をワードラインとして残すことと
を含み、前記間隙内の前記ワードラインが前記スタックの前記側面の±1Å以内である、方法。
【請求項3】
前記金属がタングステンを含み、前記金属酸化物が酸化タングステンを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属が本質的にタングステンからなる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化物層の上にバリア層を形成することを更に含み、金属膜が前記バリア層の上に堆積される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記バリア層が、20Åから50Åの範囲の厚さのTiNを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
50を超えるワードラインがある、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記金属酸化物をエッチングした後に、前記金属被覆部が除去されており、ワードラインを形成する前記間隙内の前記金属が、前記スタックの前記側面と実質的に同一面である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化と前記エッチングは、400℃以上の温度で行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記金属酸化物をエッチングすることが、前記金属酸化物を金属ハロゲン化物エッチャントに曝露することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記金属の表面を酸化させることが、前記金属をOに曝露することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基板を処理する方法であって、
酸化物層の間に間隙を有する、間隔を空けた前記酸化物層を含むスタックを有する基板を提供することであって、前記スタックが上部と側面を有し、各間隙がワードラインを形成することができる、基板を提供することと、
隔を空けた前記酸化物層の上にバリア層を形成することであって、前記バリア層が、20Åから50Åの範囲の厚さのTiNを含む、バリア層を形成することと、
タングステンが前記間隙を埋め、前記スタックの前記上部と前記側面をある厚さのタングステン被覆部で覆うために、前記スタックの上にタングステンを堆積することと、
前記タングステンの表面を酸化させて酸化タングステンを形成すること、及び前記スタックから前記酸化タングステンをエッチングすることを、前記タングステン被覆部が除去されるまで繰り返し、前記間隙内の前記タングステンを前記スタックの前記側面と実質的に同一面に維持することと
を含み、
前記表面を酸化させることがOへの曝露を含み、前記酸化タングステンのエッチングが、WCl又はWClの1つ又は複数への曝露を含み、
前記タングステンを堆積すること、前記タングステンを酸化させること、及び前記酸化タングステンをエッチングすることが、400℃以下の温度で行われ、
前記間隙内の前記ワードラインが前記スタックの前記側面の±1Å以内である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、半導体デバイスの間隙又は特徴を充填する方法に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、タングステンを使用した3次元半導体デバイスの間隙充填の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体及び電子処理産業は、より大きな表面積を有する基板上に堆積された層の均一性を高めながら、より大きな生産歩留まりを目指して努力し続けている。新しい材料と組み合わせたこれらの同じファクタはまた、基板の面積あたりの回路のより高い集積化も提供する。回路の集積化が高まると、層の厚さに関する均一性とプロセス制御を高める必要性が高まる。その結果、層の特性の制御を維持しながら、費用対効果の高い方法で基板に層を堆積するための様々な技術が開発されてきた。
【0003】
V-NAND又は3D-NAND構造は、フラッシュメモリアプリケーションで使用される。V-NANDデバイスは、多数のセルがブロックに配置された、垂直にスタックされたNAND構造である。ゲートラストワードラインの形成は、現在3D-NAND製造における主流のプロセスフローである。ワードラインを形成する前には、基板は、メモリストリングによって支持される層状酸化物スタックである。間隙スペースは、CVD又はALDを使用してタングステンにより埋められる。メモリスタックの上部/側壁もまた、タングステンでコーティングされる。タングステンは、エッチングプロセス(例えば、反応性イオンエッチング(RIE)プロセス又はラジカルベースのエッチングプロセス)によってスタックの上部/側壁から除去され、よって、タングステンは、間隙スペース内にのみ存在し、各タングステン充填物は、他のタングステン充填物から完全に分離される。しかし、エッチングプロセスの負荷効果により、分離エッチングは、底部よりもスタックの上部で異なるワードライン凹部が生じることが多い。この違いは、酸化物スタック層の増加とともにより顕著になる。
【0004】
したがって、当技術分野では、3次元構造化デバイスにおけるワードライン分離の方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示の1つ又は複数の実施形態は、基板を処理する方法を対象とする。酸化物層間に間隙を有する、間隔を空けた酸化物層のスタックを有する基板が提供される。スタックには上部と側面があり、各間隙はワードラインを形成することができる。スタック上に金属が堆積されるため、金属が、間隙を埋め、スタックの上部と側面をある厚さの金属被覆部(metal overburden)で覆う。金属は、被覆部の厚さ程度の深さまで酸化され、スタックの上部と側面に金属酸化物を形成し、間隙内の金属をワードラインとして残す。スタックの上部と側面から金属酸化物がエッチングされ、ワードラインに金属が残る。
【0006】
本開示の追加の実施形態は、基板を処理する方法を対象とする。酸化物層間に間隙を有する、間隔を空けた酸化物層のスタックを有する基板が提供される。スタックには上部と側面があり、各間隙はワードラインを形成することができる。スタック上に金属が堆積されるため、金属が間隙を埋め、スタックの上部と側面をある厚さの金属被覆部で覆っている。金属の表面が繰り返し酸化されて金属酸化物が形成され、金属被覆部が除去されるまで金属酸化物がスタックからエッチングされて、間隙内の金属がワードラインとして残る。
【0007】
本開示の更なる実施形態は、基板を処理する方法を対象とする。酸化物層間に間隙を有する、間隔を空けた酸化物層のスタックを有する基板が提供される。スタックには上部と側面があり、各間隙はワードラインを形成することができる。バリア層は、オプションで、間隔を空けた酸化物層の上に形成される。バリア層は、厚さが約20Åから約50Åの範囲のTiNを含む。タングステンがスタック上に堆積されるので、タングステンが間隙を埋め、スタックの上部と側面をある厚さのタングステン被覆部で覆う。タングステンの表面は繰り返し酸化されて酸化タングステンを形成し、エッチングされてタングステン被覆部を除去する。間隙内のタングステンは、スタックの側面と実質的に同一面に維持される。表面の酸化には、Oへの曝露が含まれ、酸化タングステンのエッチングには、WCl又はWClの1つ又は複数への曝露が含まれる。タングステンの堆積、タングステンの酸化、酸化タングステンのエッチングは、約400℃以下の温度で行われる。
【0008】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、それらの実施形態の一部が添付図面に示される。本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを例示しており、従って限定的なものと見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の1つ又は複数の実施形態に従ってワードラインが形成されることになる酸化物層のスタックを示す。
図2図1の酸化物層のスタック上に形成された金属膜を示す。
図3】A及びBは、本開示の1つ又は複数の実施形態による高温酸化及びエッチングプロセスを示す。
図4】AからDは、本開示の1つ又は複数の実施形態による低温酸化及びエッチングプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示が下記の説明において明記される構成又はプロセスステップの詳細事項に限定されないことを理解すべきである。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実践又は実行可能である。
【0011】
本明細書において使用される「基板(substrate)」とは、製造プロセス中にその上に膜処理が実行される、任意の基板又は基板上に形成された任意の材料面を指す。例えば、その上で処理が実行可能である基板表面は、用途に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコンオンインシュレータ(silicon on insulator:SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、並びに金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電性材料といった他の任意の材料を含む。基板は、半導体ウエハを含むが、それに限定されない。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、水酸化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化及び/又はベークするために前処理プロセスに曝露されることがある。基板の表面自体に直接膜処理を行うことに加えて、本開示では、開示されている膜処理ステップのうちの任意のものが、より詳細に後述されるように、基板上に形成された下層に対して実行されることもあり、「基板表面(substrate surface)」という用語は、文脈が示すように、そのような下層を含むことを意図している。したがって、例えば基板表面上に膜/層又は部分的な膜/層が堆積している場合には、新たに堆積した膜/層の露出面が基板表面になる。
【0012】
本開示の1つ又は複数の実施形態は、有利には、3次元構造体の間隙にタングステン膜を堆積する方法を提供する。本開示のいくつかの実施形態は、有利には、共形性のある酸化タングステン膜を堆積する方法及び選択的に酸化タングステンを除去する方法を提供する。いくつかの実施形態は、有利には、酸化物スタックの上部から底部まで均一な厚さを有する高品質のタングステン膜でV-NANDの横方向の特徴を充填する方法を提供する。
【0013】
本開示の1つ又は複数の実施形態は、高度に共形性のある金属(例えば、タングステン)酸化及び高度に選択的な金属酸化物(例えば、酸化タングステン)の除去に基づくワードライン分離の方法に関する。この方法は、高温プロセス又は低温プロセスを使用することができる。
【0014】
図1を参照すると、基板10は、その上に層のスタック12を有する。基板10は、任意の適切な基板材料とすることができ、個々の層のいずれかと同じ材料であることに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、基板は酸化物、窒化物又は金属層である。スタック12は、酸化物層14の間に間隙16を形成するように互いに離間した複数の酸化物層14を有し、各間隙は、ワードライン又は形成されるワードラインのシェルを形成する。スタック12は、上部13と側面15を有する。
【0015】
スタック12は、任意の適切な数の酸化物層14又は間隙16を有することができる。いくつかの実施形態では、同数のワードラインを形成するために使用することができるスタック12に形成された約10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100以上の間隙16がある。間隙16の数は、個々の酸化物層14のすべてを結合するメモリストリング11の両側で測定される。いくつかの実施形態では、間隙16の数は2の倍数である。いくつかの実施形態では、間隙の数は2に等しく、ここでnは任意の正の整数である。いくつかの実施形態では、間隙16の数は約96である。
【0016】
図2に示されるように、金属20がスタック12上に堆積される。金属20は間隙16を埋めて、ワードライン19を形成する。金属20は、スタック12の周囲全体に形成され、それにより、金属20は、スタック12の上部13及び側面15を、ある厚さの金属被覆部22で覆う。被覆部22は、間隙16の外側に堆積される材料である。被覆部は、金属20を堆積するために使用されるプロセスに応じて、任意の適切な厚さとすることができる。いくつかの実施形態では、被覆部22は、約1Åから約1000Åの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、被覆部22は、約5Å、10Å、15Å、20Å、25Å、30Å、35Å、40Å、45Å又は50Å以上の厚さを有する。
【0017】
金属20は、ワードライン用途で使用される任意の適切な金属とすることができる。いくつかの特定の実施形態では、金属膜はタングステンを含む。いくつかの特定の実施形態では、金属膜はタングステンを除外する。いくつかの特定の実施形態では、金属膜は本質的にタングステンからなる。これに関して使用される「本質的にタングステンからなる」という用語は、バルク金属膜の組成が原子ベースで約95%、98%又は99%以上タングステンであることを意味する。バルク金属膜は、別の表面(例えば、酸化物表面)に接触する可能性のある、又は更なる処理のために開かれている、金属20の表面部分を除外する。これは、これらの領域は、隣接する材料とのある少量の原子拡散を有しうる、又は水素化物終端のようなある表面部分を有しうるためである。
【0018】
金属20は、化学気相堆積(CVD)又は原子層堆積(ALD)を含むがこれらに限定されない任意の適切な技術により堆積することができる。金属20は、間隙空間の内部及びメモリスタックの上部/側壁に堆積される。
【0019】
図3A及び3Bを参照すると、低温エッチングプロセスを伴う高温酸化が示される。図3Aでは、金属20は、被覆部22の厚さ程度の深さまで、金属酸化物25に酸化される。実質的にすべての被覆部22を一段階酸化プロセスで酸化することができる。被覆部の酸化は、例えば、酸化ガス流、酸化ガス分圧、ウエハ温度、及びプロセス時間の影響を受けて、金属被覆部22の高度に共形性のある酸化を形成することができる。
【0020】
酸化ガスは、堆積された金属20と反応することができる任意の適切な酸化ガスとすることができる。適切な酸化ガスは、O、O、HO、H、NO、NO、又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、酸化ガスは、O又はOのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、酸化ガスは、本質的にO又はOのうちの1つ又は複数からなる。このように使用される場合、「~から本質的になる」という用語は、酸化ガスの酸化成分が記載された種の約95%、98%又は99%以上であることを意味する。酸化ガスは、不活性ガス、希釈ガス、又はキャリアガスを含むことができる。例えば、酸化性ガスは、Ar、He、又はNのうちの1つ又は複数と共流させるか、希釈することができる。
【0021】
いくつかの実施形態の金属酸化物25は、酸化タングステン(WO)を含む。いくつかの実施形態では、金属酸化物25は、酸素を含んでも含まなくてもよい金属20の誘導体である。金属膜の適切な誘導体は、窒化物、ホウ化物、炭化物、酸窒化物、酸ホウ化物、酸炭化物、炭窒化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物、ホウ炭窒化物(borocarbonitride)、ホウ酸炭窒化物(borooxycarbonitride)、酸炭窒化物(oxycarbonitride)、ホウ酸炭化物(borooxycarbide)及びホウ酸窒化物(borooxynitride)を含むが、これらに限定されない。当業者は、堆積された金属膜が、金属膜と非化学量論的な量の原子を有しうることを理解するだろう。例えば、WOと指定された膜は、タングステンと酸素の量が異なる場合がありうる。WO膜は、例えば、90原子%タングステンでありうる。酸化タングステン膜を説明するためのWOの使用は、膜がタングステン及び酸素原子を含むことを意味し、膜を特定の組成に限定するものとみなされるべきではない。いくつかの実施形態では、膜は、本質的に、指定された原子からなる。例えば、本質的にWOからなる膜は、膜の組成が約95%、98%又は99%以上、タングステン及び酸素原子であることを意味する。
【0022】
図3A及び3Bによって示されるプロセスでは、酸化プロセスは高温で行われる。これに関連して使用される「高温」という用語は、約400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、又は850℃以上の温度を意味する。いくつかの実施形態において、酸化プロセスの温度は、約400℃から約950℃の範囲、又は約450℃から約900℃の範囲、又は約500℃から約850℃の範囲である。
【0023】
酸化プロセス中の圧力は、約0.1トルから約760トルの範囲とすることができる。処理時間(露光時間)は、約0.1秒から12時間の範囲とすることができる。圧力とプロセス時間は、酸化プロセス中の温度の影響を受ける可能性がある。
【0024】
いくつかの実施形態において、被覆部22の金属20は酸化されて、スタック12の上部13及び側面15上に金属酸化物25を形成する一方、間隙16内に金属20を残してワードライン19を形成する。いくつかの実施形態では、間隙16内の金属20の実質的にすべてが酸化後に残る。このように使用される場合、「実質的にすべて」という用語は、金属20がスタック12の側面15の±1Å以内まで酸化されることを意味する。
【0025】
図3Bを参照すると、被覆部22から形成された金属酸化物25は、スタック12の上部13及び側面15からエッチングされ、金属20を間隙14内にワードライン19として残す。いくつかの実施形態のエッチングプロセスは、金属20に実質的に影響を及ぼすことなく、金属酸化物25を除去することになる選択的エッチングプロセスである。
【0026】
いくつかの実施形態では、エッチャントは金属ハロゲン化物エッチャントを含む。いくつかの実施形態のエッチャントは、本質的に、金属ハロゲン化物エッチャントからなる。この点に関して、用語「本質的に金属ハロゲン化物エッチャントからなる」とは、特定の金属ハロゲン化物エッチャント種が、全金属ハロゲン化物エッチャント種の95%、98%又は99%(不活性ガス、希釈ガス又はキャリアガスを含まない)を構成することを意味する。金属ハロゲン化物エッチャントは、金属酸化物25と同じ金属種又は異なる金属種を有することができる。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物エッチャントは、金属酸化物25と同じ金属種を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物エッチャントは、本質的に塩素からなるハロゲン原子を含む。この点に関して、用語「本質的に塩素からなる」は、塩素が、原子ベースで金属ハロゲン化物エッチャント中のハロゲン原子の約95%、98%又は99%以上を構成することを意味する。
【0028】
いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物エッチャントは、WCl又はWClの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物エッチャントは、本質的にWCl又はWClの1つ又は複数からなる。これに関して使用される「本質的に~からなる」という用語は、記載された種が、モルベースで金属ハロゲン化物の約95%、98%又は99%以上を構成することを意味する。
【0029】
いくつかの実施形態のエッチング温度は、酸化中の温度よりも低い。いくつかの実施形態では、エッチング温度は、約300℃から約600℃の範囲、又は約400℃から約500℃の範囲である。いくつかの実施形態では、エッチング温度は約600℃、550℃、500℃、450℃、400℃又は350℃以下である。いくつかの実施形態では、エッチング中の温度は、酸化中の温度よりも約50℃、75℃、100℃、125℃又は150℃低い温度と同じか、それよりも高い。いくつかの実施形態では、酸化とエッチングの両方が約400℃以上の温度で起こる。
【0030】
金属酸化物25をエッチングした後に、金属被覆部22が除去され、ワードライン19として間隙14に残っている金属20は、スタック12の側面15と実質的に同一面になる。このように使用される場合、「実質的に同一面である(substantially even)」という用語は、間隙16内のワードライン19がスタック12の側面15の±1Å以内であることを意味する。
【0031】
図3A及び3Bに示される実施形態は、高温酸化-低温エッチングプロセスを示す。図4Aから4Dに示される実施形態は、低温酸化及びエッチングプロセスを示す。プロセス間のいくつかの違いには、低温酸化と被覆部の除去速度の低下が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
スタック12は(図2のように)被覆部22が形成された金属20を有した後に、原子層エッチングタイプのプロセスによって、被覆部の除去を実行することができる。原子層エッチングプロセスは、エッチングされる表面を改変し、次に改変された表面を揮発又は除去して新しい表面を下に露出させる複数の繰り返しプロセスを含むことができる。
【0033】
図4Aを参照すると、被覆部22は酸化されて、被覆部22の表面に金属酸化物25を形成する。酸化プロセスは、原子層エッチング(ALE)プロセスを実施可能にするためにいくつかの変更を加えて、図3Aに示す実施形態と同じ試薬とパラメータを使用することができる。いくつかの実施形態の酸化プロセスは、約300℃から約500℃の範囲の温度で起こる。いくつかの実施形態において、酸化は、約500℃、450℃、400℃又は350℃以下の温度で起こる。低温酸化プロセス中の圧力は、約0.1トルから約760トルの範囲でありうる。プロセス又は露出時間は、約0.001秒から約60秒の範囲でありうる。原子層エッチングプロセスでは、アクティブな表面部位がいったん反応するとプロセスが停止する点で、酸化とエッチングの各プロセスは自己制御的である。例えば、金属20のすべての活性表面部位が酸化剤に曝露され酸化剤と反応して、金属酸化物25の膜を形成すると、それ以上の酸化は容易に起こりえない。同様に、エッチャントが酸化膜を除去して下の新鮮な金属20を露出すると、エッチャントにはそれ以上除去すべき酸化物はない。
【0034】
図4Bを参照すると、金属20上に金属酸化物25を形成した後に、スタック12がエッチャントに曝露される。エッチャント及びエッチング条件は、図3Bに関して図示及び説明したものと同じでありうる。金属20上の金属酸化物25の層は、図3A及び図3Bに示される実施形態よりも薄いため、エッチングプロセスにかかる時間は短くなるだろう。いくつかの実施形態では、エッチャント処理時間は約0.1秒から約60秒の範囲である。
【0035】
いくつかの実施形態では、酸化及びエッチングプロセス中の温度は、約400℃以下である。図4Bに示されるエッチングプロセスの温度は、図4Aの酸化プロセスと同じとすることができ、スタック12を含む基板は、処理チャンバの1つの処理領域から処理チャンバの別の処理領域に迅速に移動させることができ、基板を酸化及びエッチング条件に順次曝露する。
【0036】
このタイプのALEプロセスは、様々な反応性ガス(例えば、酸化剤及びエッチャント)が処理チャンバの別個の領域に流れ込み、基板が領域間で移動する空間ALEと呼ばれる場合がある。異なるプロセス領域は、気相での酸化剤とエッチャントの混合を防ぐために、パージガス流及び/又は真空流の1つ又は複数を含むガスカーテンによって分離されている。ALEプロセスはまた、処理チャンバが酸化剤で満たされ、過剰な酸化剤と反応生成物又は副産物を除去するためにパージされ、エッチャントで満たされ、次いで、パージされて余分なエッチャントと反応生成物又は副産物を除去する時間領域プロセスによって実行することができる。時間領域プロセスでは、基板は静止した状態を維持することができる。
【0037】
図4C及び4Dは、それぞれ、金属酸化物25を形成するための酸化剤への、及び金属酸化物を除去するためのエッチャントへの、曝露の繰り返しを示す。プロセスは2つのサイクルを使用するように示されているが、当業者はこれが単なる表示であり、被覆部22を除去し、間隙16内の金属20をワードライン19として残すために、2つ以上のサイクルを使用してもよいことを理解するだろう。
【0038】
いくつかの実施形態では、金属20の堆積前にバリア層が酸化物層14上に形成される。バリア層は、任意の適切なバリア材料とすることができる。いくつかの実施形態では、バリア層は窒化チタンを含む。いくつかの実施形態では、バリア層は本質的に窒化チタンからなる。このように使用される場合、「本質的に窒化チタンからなる」という用語は、バリア層の組成が原子ベースで約95%、98%又は99%以上、チタン及び窒素原子であることを意味する。バリア層の厚さは、任意の適切な厚さとすることができる。いくつかの実施形態では、バリア層は、約20Åから約50Åの範囲の厚さを有する。
【0039】
この明細書全体を通しての「1つの実施形態(one embodiment)」、「ある実施形態(certain embodiments)」、「1つ又は複数の実施形態(one or more embodiments)」、又は、「実施形態(an embodiment)」に対する言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。ゆえに、この明細書全体の様々な箇所での「1つ又は複数の実施形態では」、「ある実施形態では」、「1つの実施形態では」、又は「実施形態では」といった表現の表出は、本開示の同一の実施形態に必ずしも言及するわけではない。更に、特定の特徴、構造体、材料、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、任意の適した様態で組み合わされてもよい。
【0040】
本明細書の開示は特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は本開示の原理及び用途の例示にすぎないと理解すべきである。本開示の本質及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に対して様々な修正及び変形が実行可能であることが、当業者には明らかだろう。ゆえに、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物に含まれる修正及び変形を含むことが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D