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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-25
(45)【発行日】2024-11-05
(54)【発明の名称】ポリフェニレンスルホン
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/40 20060101AFI20241028BHJP
   C08G 75/23 20060101ALI20241028BHJP
【FI】
C08G65/40
C08G75/23
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023513257
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2020073596
(87)【国際公開番号】W WO2022042814
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンネンベルガー,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】マレッツコ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルムス,アクセル
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-172020(JP,A)
【文献】特開昭63-243128(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106167548(CN,A)
【文献】特表2022-528880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G65/00-67/04
C08G75/00-75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
のベンゾフェノン結合フェニレンスルホンセグメントA及びBから本質的に構成されるポリフェニレンスルホン(PPSU)であって、セグメントA及びBは同一であっても異なっていても良く、及び式II
【化2】
のものであり、且つxは4.5~9である、ことを特徴とするポリフェニレンスルホン。
【請求項2】
xが4.5~7であることを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンスルホン。
【請求項3】
直鎖状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリフェニレンスルホン。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルホンを含む溶液。
【請求項5】
N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド及び/又はスルホランを含む請求項4に記載の溶液。
【請求項6】
少なくとも1種のジハロジフェニルスルホンと少なくとも1種のジヒドロキシビフェニルとを反応させて、数平均重合度が4.5の範囲のフェニレンスルホンオリゴマーを得、該オリゴマーと少なくとも1種のジハロベンゾフェノンとを反応させることを含む請求項1~3のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルホンの製造方法。
【請求項7】
前記反応がワンポット反応として行われることを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
反応がN-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド及び/又はスルホランの存在下で行われることを含む請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
請求項4に記載の溶液を、室温を超える温度でろ過することを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルホン、又は請求項6~9のいずれか1項に記載の方法から得られるポリフェニレンスルホンを、コーティング、フィルム、繊維、フォーム、膜又は成形品の製造に使用する方法。
【請求項11】
請求項4又は5に記載の溶液を、コーティング、フィルム、繊維又は膜の製造に使用する方法。
【請求項12】
膜の製造に使用する、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~3のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルホンを少なくとも1種含む膜。
【請求項14】
請求項13に記載の膜を含む物品。
【請求項15】
水の精製に請求項13に記載の膜又は請求項14に記載の物品を使用する方法。
【請求項16】
製造された水をフラッキングプロセスに、又は脱塩水の石油プラットフォーム上への循環に使用する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾフェノン基によって互いに連結されたフェニレンスルホンセグメントに基づくポリフェニレンスルホンに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアリーレンエーテルスルホンとポリアリーレンエーテルケトンは、高性能熱可塑性プラスチックに分類される。ポリアリーレンエーテルスルホンとポリアリーレンエーテルケトンとのコポリマーの特定の調製方法及び特定の特性が開示されている。
【0003】
したがって、特許文献1(EP 278 720 A2)は、50~92モル%のモル含有量のケトン単位及び1~3.5の鎖長のポリフェニレンスルホン(PPSU)含有単位の結晶性コポリマーを開示している。これらは、ケトン単位を含むブロックが最初に重合されるプロセスによって得られる。
【0004】
特許文献2(CN 106167548 A)は、3-フルオロ-4-クロロ-ベンゾフェノンがppm量で添加され、続いてビフェニルが添加されるDCDPSの反応を開示している。さらに、3-フルオロ-4-クロロベンゾフェノンの添加により反応が停止されることを開示している。
【0005】
たとえば特許文献3(US 4,268,635)は、結晶性ポリエーテルケトン又はエーテルケトン/スルホンコポリマーの懸濁液が使用されるブロックコポリマーの調製について記載している。
【0006】
4,4’-ビフェノール、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)及び4,4‘位がフルオロ基、クロロ基又はヒドロキシ基で置換されたベンゾフェノンの混合物から調製されるポリフェニレンスルホンケトンは、特許文献4(EP2225328)に記載されている。
【0007】
4,4‘-ビフェノール、DCDPS、4,4-ジフルロ及び/又はジヒドロキシベンゾフェノンから調製されたブロック重縮合物は、高温耐性熱可塑性組成物の成分として特許文献5(EP 332 012)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】EP 278 720 A2
【文献】CN 106167548 A
【文献】US 4,268,635
【文献】EP2225328
【文献】EP 332 012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示によって対処される問題は、特に難燃性油圧油に対する耐性を視野に入れて、油圧流体、ガソリン及び/又は燃料に対して良好な耐性を示す新しいポリフェニレンスルホンを提示することである。さらに、新しいポリフェニレンスルホンは、特に難燃性油圧油(油圧作動油)に対する優れた耐性と組み合わせて、高温での良好な加工安定性を提供する必要がある。さらに、上記ポリフェニレンスルホンは、コーティング、繊維、フィルム、フォーム及び成形品の製造をサポートするべきである。動機の1つは、膜の製造に適した新しいポリフェニレンスルホンを提供することであった。製造された水の浄化に適した膜は、特に燃料及び石油生産における使用を目的としていた。さらに、上記新規のポリフェニレンスルホンの製造方法が提供されるべきであり、これは容易であり、したがって、特に工業規模での製造に適しており、例えば塩分離が短いろ過時間で可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、式I
【化1】
(ここで、セグメントA及びBは同一又は異なることが可能である)、及び式II
【化2】
(ここで、xが4.5~9の範囲である、)
のベンゾフェノン結合フェニレンスルホンセグメントA及びBから本質的に構成される(成る)ポリペニレンスルホン(PPSU)が開示される。
【0011】
さらに開示されるのは、PPSUを含む溶液である。また、少なくとも1種のジハロジフェニルスルホンと少なくとも1種のジヒドロキシビフェニルとを反応させて数平均重合度4.5~9(以下では鎖長xともいう)のフェニレンスルホンオリゴマーを得、該オリゴマーと少なくとも1種のジハロベンゾフェノンとを反応させることを含むPPSUの製造方法が開示されている。コーティング、繊維、フィルム、フォーム、成形及び/又は膜の製造における、そのように得られたPPSUならびに該PPSUを含む溶液の使用も同様に開示されている。同様に、上記又は上記のそのように得られたPPSUを含む膜と、上記膜を含む物品とが開示される。さらに、水の浄化における膜の使用が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
なお、以下の「少なくとも1つ」とは、一般に、1つ又は2つ以上を意味し、たとえば、3つ又は4つ又は5つ、又はこれを超えることを意味し、ここで、「超える」は、複数又は不可算を意味し得る。例えば、「少なくとも1つ」は、1つ又は2つ以上の混合物を意味し得る。化合物に関連して使用される場合、「少なくとも1つ」は、それらの化学的構成、すなわち化学的性質において異なる1つ又は2つ以上の化合物が記載されるという意味で使用される。
【0013】
以下で「ポリマー」は、ホモポリマーもしくはコポリマー又はそれらの混合物を意味し得る。当業者は、任意のポリマー、ホモポリマーであっても、又はコポリマーであっても本質的に、典型的には、数平均重合度、分岐度又は末端基の性質などのそれらの構成が異なるポリマー個体の混合物であることを理解する。このような事実は、しばしば分布とも記載される。したがって、ポリマーへの接頭辞としての以下の「少なくとも1つ」は、異なるタイプのポリマーが包含され得るもので、各タイプは上述の所定の分布を有し得ることを意味する。
【0014】
この技術分野の当業者はさらに、任意のポリマーがモノマーもしくはオリゴマー又はそれらの混合物から誘導され、次いで該ポリマーが反応、重合形態でこれらを含むことを理解する。
【0015】
以下において、
原料化合物は、少なくとも1種のジハロジフェニルスルホン、及び少なくとも1種のジヒドロキシビフェニルである。
【0016】
カップリング剤は少なくとも1種のジハロベンゾフェノンである。
【0017】
溶媒Lは少なくとも1種の溶媒である。
【0018】
化合物Cは、ポリマー鎖中の反応性基に対して反応性の(1つの)官能基礎を有する、少なくとも1種の化合物である。
【0019】
ポリペニレンスルホン(PPSU)は、式Iのベンゾフェノン結合フェニレンスルホンセグメントA及びBから本質的に構成される(成る)。したがって、PPSUは、完全に又は基本的に完全に上記結合セグメントから構成される。任意選択で、PPSUは、構造的に異なる少量のユニットを含み得る。PPSUがこのような構造的に異なる単位を含む場合、含有量は、原料化合物のモルに基づいて一般に10モル%以下、例えば5モル%以下であることが好ましく、1モル%又は2モル%以下であることがより好ましい。一般的にPPSUは、このような構造的に異なる単位を含まないことが最も好ましくても良い。
【0020】
セグメントAとBは、同一であっても異なっていても良い。セグメントA及びBは、例えば、4.5~8、4.5~7又は4.5~6、又は4.5~5など、4.5~9の範囲の鎖長xで異なることが可能である。式IのセグメントA及びBが同一又は異なっていることが可能であり、及び4.5~7の鎖長xを有する、ベンゾフェノン結合フェニレンスルホンセグメントA及びBから本質的に構成されるPPSUについて、目的とする特性に関する非常に良好な結果が得られた。
【0021】
セグメントAとBの線形の程度が異なることも可能である。したがって、両方のセグメントが線形(直鎖状)であっても良い。一方又は両方のセグメントは非線形であっても良い。また、AとBが、鎖長xと線形の程度で異なることも可能である。典型的には、そして好ましいものであっても良いが、セグメントA及びBは両方とも直鎖状であり、同じ又は異なる鎖長xを有する。
【0022】
結合セグメントと構造的に異なるユニットは、これらがPPSUに求められる技術的特性、特に油圧作動油、ガソリン及び/又は燃料に対する優れた耐性、処理安定性、及び製造の容易さをサポートする限り、特に限定されない。このような単位は例えば、ポリアリーレンエーテルスルホン及び/又はポリアリーレンエーテルケトンの製造に典型的に使用されるモノマーから誘導されても良い。
【0023】
PPSUの末端基の性質は特に限定されない。これは一般に、末端基として反応性又は非反応性末端基が望まれるかどうかに依存しても良い。反応性末端基は、例えばブロックコポリマー又はポリマーネットワークなどのコポリマーを生成するために少なくとも1つのさらなるモノマー又はポリマーを用いてPPSUを重合することを意図している場合に好ましいものであっても良い。可能な末端基は、フェノール性OH末端基又はフェノレート末端基であり、フェノール性アルコキシ末端基は、中でも-OCH末端基が好ましくても良く、アミノ末端基は、中でも-NHが好ましくても良く、ハロゲン末端基は、特に-F又は-Clであり得る。ハロゲン末端基の中でもClが最も好ましいものであっても良い。また、末端基が無水フタル酸末端基であることも可能である。末端基は、1つのタイプにすることも、互いに異なるタイプにすることも可能である。一般に、末端基はCl-、OH-及び/又はOCHであることが好ましいものであって良い。多くの場合、不活性末端基は、反応性末端基を末端キャッピングすることによってアクセス(入手)可能である。PPSUが、溶液紡糸や溶液からのキャスティングなどの溶液による製造方法によってアクセス可能な用途を対象としている場合、エンドキャッピングは必要とされなくても良い。エンドキャップされていないPPSUは、特に膜産生と組み合わせて有用であって良い。この場合、Cl及び/又はOH末端基を有するPPSUが有利であっても良い。非常に良好な結果は、膜又はそれを含む物品の製造について、特に水の処理のために、より具体的には製造水(随伴水)の処理のために、-OCH末端基を含むPPSUについて得られ、ここでPPSUは、上記末端基が本質的に-OCHからなり、例えば全末端基の98%以上、例えば、99%以上が-OCH末端基であることが 、典型的にはより好ましい。
【0024】
PPSUは好ましくは、0.20~1.30dl/g、特に0.30~0.95の相対粘度を有することが可能である。PPSUの溶解度に応じて、相対粘度は1質量%のN-メチルピロリドン溶液又はフェノールとジクロロベンゼンの混合物中で、それぞれの場合において20℃又は25℃で測定可能である。
【0025】
PPSUは、好ましくは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定して、7.500~60000g/mol、特に8000~45000g/molの範囲の平均分子量Mn(数平均)を有することが可能である。PPSUの質量平均モル質量MwはGPCによって決定して、好ましくは14000~120000g/molであり得、特に18000~100000g/molであり得、特に好ましくは25000~80000g/molであることが可能である。ここでMn及びMwは、80℃及び流速、1 ml / min、注入容量、100 plで操作された4カラム(プレカラム、ポリエステルコポリマーに基づく3つの分離カラム)を使用して、標準として狭分布のポリメチルメタクリレート(800~1820000 g / molの間のキャリブレーション)に対する溶媒としてのジメチルアセトアミド中のGPCによって測定で可能である。検出にはRl検出器を使用することが可能である。
【0026】
PPSU溶液からの製造の容易性の観点から、PPSUは本質的にベンゾフェノン結合線状セグメントA及びBから構成され、セグメントA及びBは同一又は異なっていることが可能であり、ここでxは4.5~9の範囲であり、Mwは25000~80000g/mol(上記のように決定)の範囲であり、PPSUは-OCH及び-Cl末端基を含み、ここで更なる単位が、出発化合物のモルに基づいて1モル%以下の量で含まれることが好ましくても良く、及びさらなる単位が含まないことがより好ましくても良い。
【0027】
PPSUの押出成形又は射出成形の容易さを考慮すると、良好な溶融安定性を有することが有利である。溶融安定性は、所与の時間における見かけの溶融粘度を後の時点における見かけの溶融粘度と比較することによって決定することができる。両者の比Qは、溶融安定性の尺度である。PPSUのQ値は1.5以下、より好ましくは1.5未満であることが好ましく、Qは実施例で与えられたように決定することが可能である。
【0028】
開示されたPPSUは、有利には、少なくとも1つのジハロジフェニルスルホンと少なくとも1つのジヒドロキシビフェニルとを反応させて、鎖長xが4.5~9のフェニレンスルホンオリゴマーを得、及び該オリゴマーを少なくとも1つのジハロベンゾフェノンと反応させることを含む方法、より好ましくはこれらから成る方法によって調製することが可能である。これにより、フェニレンスルホンオリゴマー鎖の構造を式(II)で模式的に表すことが可能である。
【0029】
工業的規模での製造の容易さを考慮すると、フェニレンスルホンオリゴマーを得るために、1種又は2種、特に1種のジハロフェニルスルホンを1種又は2種、特に1種のジヒドロキシビフェニルと反応させることが好ましいものであっても良い。同じ理由でフェニレンスルホンオリゴマーを1種又は2種、特に1種のジハロベンゾフェノンと反応させることが好ましいものであっても良い。これにより、フェニレンスルホンオリゴマー(ジハロジフェニルスルホンをジヒドロキシビフェニルと反応させて得られる)をジハロベンゾフェノンと反応させ、PPSUを得ることに非常に良好な結果が観察された。
【0030】
上記少なくとも1種のジハロフェニルスルホンは、4,4‘-置換フェニルスルホンであることが可能である。他の置換パターンを有するジハロフェニルスルホン、例えば2,4’-又は前記2,2’-置換ジハロフェニルスルホンも使用可能である。上記少なくとも1つのジヒドロキシビフェニルは、4,4‘-置換ビフェニルであることが可能である。他の置換パターンを有するジヒドロキシビフェニル、例えば2,4’-又は2,2’-置換ジヒドロキシビフェニルを使用することも可能である。少なくとも1つの4,4’-置換ジハロフェニルスルホンと少なくとも1つの4,4’-置換ビフェニルとを反応させると、直鎖状のフェニレンスルホンオリゴマーを生じる。この技術分野の当業者は、そうでなければ非線形であるフェニレンスルホンオリゴマーが得られることを理解する。この技術分野の当業者はさらに、ジハロフェニルスルホンとジヒドロキシビフェニルと他の置換パターンとの組み合わせ及び量に応じて、フェニレンスルホンオリゴマーの直線性の程度が変化可能であることを理解する。
【0031】
前記少なくとも1種のジハロベンゾフェノンは、2,2’-、又は2,4’-、又は4,4‘-置換ベンゾフェノンであることが可能である。直鎖フェニレンスルホンオリゴマーと4,4’-置換ベンゾフェノンとを反応させると、本質的にベンゾフェノン結合の直鎖フェニレンスルホンセグメントA及びB及び直鎖状であるPPSUからなるPPSUを生じる。この技術分野の当業者は、そうでなければ非線形であるPPSUが得られることを理解している。この技術分野の当業者はさらに、2,2‘又は2,4’-置換パターンを有する非線形ポリフェニレンオリゴマー及び/又はジハロベンゾフェノンの組み合わせ及び量に応じて、異なる直線度を有するPPSUが得られることを理解する。これらは、同等の分子量を有する対応する直鎖状PPSUと比較してより低い溶液粘度を有しても良く、したがって特に膜の製造において、一般に溶液からのより良好な処理性を有しても良い。直鎖状PPSUは、特に工業規模において、ならびに観察される良好な全体的な技術的結果において、製造の容易さの観点から特に好ましいものであっても良い。この局面の下では、PPSUが直鎖状であることがさらに好ましくても良く、ここでxは4.5~7の範囲にあり、Mは25000~80000g / mol(上記のように決定される)の範囲にあり、末端基は本質的に-OCH及びClからなり、ここで上記末端基の60~90%、特に70~85%が-OCHであり、ここで更なるユニットはPPSUに含まれない。
【0032】
他のハロゲン基が可能ではあるが、典型的にはフッ素及び/又は塩素は、それぞれ少なくとも1つのジハロジフェニルスルホン及び少なくとも1つのジハロベンゾフェノンにおいて好ましいハロゲンである。
【0033】
ジハロジフェニルスルホンの例は、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン、4,4’-ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’-ジブロモジフェニルスルホン、2,2’-ジクロロジフェニルスルホン、2,2’-ジフルオロジフェニルスルホンであり、直鎖状PPSUが求められる場合には、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)及び/又は4,4’-ジフルオロジフェニルスルホンが特に好ましい。ジハロベンゾフェノンの例は、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ジフルオロベンゾフェノン、2,2-ジクロロベンゾフェノン、2,4-ジクロロベンゾフェノン、2,2’-フルオロベンゾフェノン及び/又は2,4’-ジフルオロベンゾフェノンであり、直鎖状PPSUが求められる場合には、4,4’-ジクロロベンゾフェノン及び/又は4,4’-ジフルオロベンゾフェノンが特に好ましいものであることが可能である。
【0034】
PPSUを製造するための工程(方法)は、出発化合物を反応させて上記に規定した鎖長のフェニレンスルホンオリゴマーを得、該オリゴマーをカップリング剤と反応させることを含み、及びこれらから本質的になることが好ましくても良い。このプロセスは、予め形成されたオリゴマー、例えば別個の反応装置中で形成されたオリゴマー、又はそれらをカップリング剤と反応させる前に単離されるオリゴマーを使用することを含んでも良い。反応がワンポット反応として実施されることを含む方法が主として好ましく、これによって工程が本質的になることが好ましくても良い。このようなワンポット反応は、典型的には、都合の良い確固たる工程である。この場合、出発化合物は、所望の鎖長に達するまでオリゴマーに反応し、及びオリゴマーを単離することなく、カップリング剤と反応する。
【0035】
原料化合物は重縮合反応に入り、フェニレンスルホンオリゴマーを得るが、これは通常、少なくとも触媒量の塩基の存在下で行うことが可能である。これは溶媒Lの非存在下で行っても良く、溶媒Lの存在下が好ましくても良い。反応混合物が形成される。反応混合物の成分は、一般に同時に反応される。個々の成分は、上流工程で混合され、続いて反応されても良い。個々の出発成分を反応器に供給し、そこでこれらを混合し、次いで反応させることも可能である。フェニレンスルホンオリゴマーを得るための重縮合反応は一段階で行うことが好ましくても良い。これは、OH-基を有する出発化合物の脱プロトン化、及びハロ基を有する出発化合物との縮合反応が、中間生成物を単離することなく1つの単一反応段階で起こることを意味する。
【0036】
同時制御を伴うポリアリーレンエーテルスルホンの分野におけるポリマーの調製に関する一般的な知見は、フェニレンスルホンオリゴマーに適用することができ、及び以下により詳細に説明される。フェニレンスルホンオリゴマーの場合、例えば、出発化合物の官能基の量、すなわちそれらが重合される前に有する官能基の量を制御することによって達成することができる。使用される出発化合物の比率は、原則として、塩化水素などのハロゲン化水素の理論的除去とともに進行する重縮合反応の化学量論に由来し、当業者によって公知の方法で確立される。
【0037】
一般に、互いに反応性である原料化合物の官能基のモル比が制御又は調整されることが好ましい。したがって、ハロゲン基とヒドロキシ基のモル比は、フェニレンスルホンオリゴマーの末端基の制御又は反応速度及び鎖長xの制御などの要因に応じて変化することが可能である。したがって、例えばフェノレート末端基を含むフェニレンスルホンオリゴマーの鎖長xは、ハロゲン基とヒドロキシ基を有する出発化合物間の化学量論比の規定されたオフセットを用いて調整することができる。一般に、モル比は0.80:1~0.895:1以下であり、例えば0.80:1~0.85:1等である。
【0038】
フェノール性末端基を有するフェニレンスルホンオリゴマーは、ジハロベンゾフェノンと反応させることが可能である。フェニレンスルホンオリゴマーとジハロベンゾフェノンとのモル比は、PPSUの末端基の制御又は反応速度及び分子量の制御などの要因に応じて変化することが可能である。これにより、通常、フェニレンスルホンオリゴマー及びジハロベンゾフェノンのモルの規定されたオフセット(off-set)が確立される。製造の容易さの観点では、フェニレンスルホンオリゴマーをヒドロキシ基を有する過剰の原料化合物と共に調製し、及びフェニレンスルホンオリゴマーをジハロベンゾフェノンと反応させることが一般に好ましい。モル基準では、ベンゾフェノンハロゲン基に対するフェニレンスルホンオリゴマーOH基の比率は、この場合、0.70:1~1:1、特に0.75:1~0.95:1、最も好ましくは0.75:1~0.90:1であっても良い。
【0039】
原則として、この方法は溶媒の不存在下で実施することが可能である。特にPPSUの非常に明るい色が目的とされている場合、このプロセスは、少なくとも1つの溶媒(溶媒L)の存在下で最も有利に実施することが可能である。
【0040】
本方法の文脈において好ましい溶媒Lは、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)又はN-エチル-2-ピロリドン(NEP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、スルホラン又はこれらの任意の組み合わせである。溶解性を高めるために、溶媒Lは、例えば2~3種の溶媒の混合物であることが可能である。ほとんどの場合、2種以上好ましくは1種の溶媒のみを使用すれば十分であり得る。溶媒Lは、特にDM AC、NMPもしくはNEP、又はそれらの任意の混合物であっても良い。工業生産目的のためにはしばしば、上記好ましい溶媒の1つを採用する方が簡単である。
【0041】
反応中に放出される水を分離してフェニレンオリゴマー及び/又はPPSUを得るために、トルエン又はクロロベンゼンのような共沸混合物を形成する共溶媒を使用しても良い。通常、このような共溶媒共沸混合物を採用しないことが好ましい場合がある。加熱工程中の水の溶媒Lと一緒にした分離は、一般的に好ましい場合がある。溶媒Lの損失は、例えば、より多くの溶媒Lから始めるか、又は反応中に溶媒Lを添加することによってアカウントすることが可能である。また、反応中の粘度上昇の制御は、PPSUの分子量を制御する手段にもなることが可能である。開示される方法は一般に、出発化合物及び/又はフェニレンオリゴマーとカップリング剤との反応が、少なくとも1つの塩基の存在下で反応されることを含むか、又は好ましくはこれらから本質的に構成される。この技術分野の当業者は、ハロゲン置換基に対する反応性を高めるために、フェノール性OH基が少なくとも1つの塩基の存在下で反応することが好ましいことを知っている。上記少なくとも1つの塩基は、典型的には、水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩であることが可能である。したがってこれは、少なくとも1つの水酸化物と少なくとも1つの炭酸塩との混合物、又は少なくとも1つの炭酸塩と少なくとも1つの重炭酸塩との混合物であっても良い。これにより少なくとも1種の無水アルカリ金属炭酸塩が好ましい場合がある。例えば、異なる水酸化物又は異なる炭酸塩又は異なる重炭酸塩の混合物を使用することも可能である。1つの塩基を使用することが好ましい場合がある。1つの塩基がアルカリ金属炭酸塩の1種であることが好ましい場合がある。特に、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、又はこれらの混合物が好ましくても良く、特に炭酸カリウムが塩基として用いられることが好ましい場合がある。反応速度及び副生成物の量の減少の観点から、Malvern Mastersizer 2000機器を使用して、クロロベンゼン/スルホラン60/40(質量)中の固体の懸濁液で測定して、特に100マイクロメートル未満の体積加重平均粒径を有する炭酸カリウムが好ましく、例えば5~80μm、好ましくは10~60μm、例えば20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、 50 μm又は55 μm、又は5~100 μmの範囲の不均一なμmサイズの体積加重平均粒径を有する炭酸カリウムが好ましい。
【0042】
特に好ましい組み合わせは、溶媒としてのDMAC、NMPもしくはNEP又はそれらの任意の混合物、及び塩基としての炭酸カリウム、特に100μm未満のサイズの炭酸カリウムである。特に好ましいことが可能な1つの組合せは、溶媒としてのNMP及び塩基としての炭酸カリウム、特に上記のように測定して、100μm未満のサイズの炭酸カリウムであり、該炭酸カリウムは例えば、5~80μm、好ましくは10~60μm、例えば20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μmもしくは55μm、又は5~100μmの間の任意の不均一なμmサイズの炭酸カリウムである。
【0043】
フェニレンスルホンオリゴマーを得るための原料化合物の反応、並びにそのカップリング剤との反応は、反応が許容可能な速度で進行し、及びフェニレンスルホンオリゴマー及びPPSUを許容可能な品質、例えば所望の分子量及び分子量分布で生成する所定の温度で行うことが可能である。一般に、この工程は、80~250℃、好ましくは100~220℃の温度で実施することが可能である。 工程(process)が溶媒L及び周囲圧力の存在下で実施される場合、上限温度は通常、溶媒Lの沸点によって決定される。特に工程が溶媒の補存在下で行われる場合、反応物の安定性は反応温度を制限する要因となり得る。
【0044】
この技術分野の当業者は、反応温度及び時間を製造される特定のPPSUに適合させ得るが、180~205℃の範囲の反応温度が適用可能であっても良く、185~195℃の温度が好ましいものであっても良い。後者の温度では、フェニレンスルホンオリゴマーを得るための出発化合物の反応は、通常かなり速い。したがって、この初期反応時間は約1~約2時間の範囲であっても良い。2時間未満、通常は 1時間を超えることが可能である。この温度でのオリゴマーとカップリング剤との反応は、さらに2~20時間、例えば3~18時間、例えば3~15時間を要し得る。特にNMP等の溶媒L中で処理を行う場合は上記条件が好ましいものであっても良い。
【0045】
工程で、ポリマー鎖中に含まれる反応性基に対して反応する1つの官能基を有する、少なくとも1種の化合物(化合物C)を採用することが可能であっても良い。1種の化合物Cが用いられることが好ましいものであっても良い。これによりPPSUの鎖長を制御することが可能であっても良い。一般に、例えば少なくとも90%の転化率に達した後に重縮合反応が続く、化合物Cとの反応が好ましいものであっても良い。化合物Cは脂肪族有機ハロゲンの少なくとも1種であることが好ましいものであっても良い。これは、反応性末端基、特にヒドロキシ末端基のさらなる反応をもたらす。従ってPPSUは反応形態で化合物Cを含む。このようなPPSUは、通常とりわけ、さらなる処理の工程間、ポリマー鎖のさらなる延長に対して安定化される。
【0046】
好ましい少なくとも1つの脂肪族有機ハロゲンは、1~10個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を有する、少なくとも1つのハロゲン化アルキル、特に塩化アルキルで、これは特に第一級アルキル塩化物であり得、特に好ましくはハロゲン化メチル、特に塩化メチルである。
【0047】
化合物Cとの反応は、好ましくは90℃~160℃の温度で行うことが可能であり、ここで100℃~150℃の範囲の温度が好ましくても良い。時間は大きく変化することが可能であり、通常は少なくとも5分、特に少なくとも15分である。反応時間は一般に、好ましくは15分~8時間とすることが可能であり、ここで反応時間は、特に30分~4時間であっても良い。
【0048】
化合物C、より具体的には少なくとも1種の脂肪族有機ハロゲンの反応には種々の方法を用いることが可能である。化合物C、より具体的には少なくとも1種の脂肪族有機ハロゲンの使用量は、さらに化学量論的であるか、又は過剰を表すことができ、ここで過剰は、例えば5倍過剰以下であることが可能である。例えば、少なくとも1種の脂肪族有機ハロゲンが連続的に、特にガス流の形態での連続導入を介して添加されることが好ましくても良い。
【0049】
化合物Cとの反応は、別の工程ユニットで行うことが可能であり、又は重縮合反応器内で直接行うことが好ましくても良い。
【0050】
工程が溶媒Lの存在下で、及び反応が完了した後に実施される場合、さらに溶媒L、例えばDM AC、NMP、NEP、スルホラン又はそれらの任意の混合物、例えばDMAC、NMP、NEP、又はそれらの任意の混合物など(ここでNMPが好ましいものであって良い)の、その中で反応が行われた溶媒であることが可能な溶媒Lが、典型的には反応混合物を冷却するために添加される。反応混合物は例えば、化合物Cが上記のように別のユニット又は重縮合反応器内でPPSUと反応することができる温度範囲まで冷却することが可能である。その後、必要に応じて反応混合物をさらに冷却しても良く、ここで80℃付近が好ましくても良い。PPSUが化合物Cと反応しない場合は、反応混合物を約80℃に冷却することが好ましくても良い。この温度で、典型的には懸濁液である反応混合物は、典型的には反応容器を含むそれぞれの反応ユニットから取り出され、及び少なくとも1つの分離ユニットに移される。上記分離ユニットは、反応中に形成された塩、例えば塩化カリウムを反応混合物から分離するためのろ過ユニットを含むことが好ましくても良い。懸濁液の粘度に応じて、この工程は、30分~24時間、好ましくは1~12時間等、数分又は数時間かかっても良い。次いで生成物は、ろ液を非溶媒と接触させることによる沈殿などを介して単離されて良い。これは例えば、水と少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒との混合物であることが可能である。水と溶媒Lとの混合物を使用することが好ましくても良く、溶媒Lは、例えばDMAC、NMP、NEP、スルホラン又はそれらの任意の混合物、例えばDMAC、NMP、NEP、又はそれらの任意の混合物であり、NMPが好ましくても良い。ここで水は一般に、DMAC、NMP、NEP、スルホラン又はそれらの任意の混合物、例えばDMAC、NMP、NEP、又はそれらの任意の混合物などの溶媒L(NMPが好ましくても良い)よりも大きい部分で使用することが可能である。水/NMP混合物(質量で80/20)での沈殿が最も好ましくても良い。沈殿は、酸を含む水/NMP混合物などの酸性媒体中で行うことも可能である。好適な酸は、例えば有機酸又は無機酸、例えばカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸又はクエン酸及び鉱酸、例えば塩酸、硫酸又はリン酸である。得られた粒子状固体、例えば粉末又はパールは収集され、典型的にはろ過され、次いで典型的には洗浄されそして最終的に乾燥することが可能であり、ここでガラス転移温度より低い温度、真空中で80~150℃を有利に使用することが可能である。
【0051】
上記の開示に加えて、この技術分野の当業者は、彼の一般的な知識の適用によって彼にアクセス可能な方法に頼ることができる。ポリアリーレンエーテルスルホンに至る製造プロセスは例えば、Herman F. Mark, “Encyclopedia of Polymer Science and Technology”, Third edition, volume 4, 2003, chapter “Polysulfons” page 2~8, 及びHans R. Kricheldorf, “Aromatic Polyethers” in : Handbook of Polymer Synthesis, Second edition, 2005, page 427~443に記載されている。OH末端ポリアリーレンエーテルスルホンの合成に関する更なる詳細は、例えばR. Viswanathan, B.C. Johnson, J.E. McGrath, Polymer 25 (1984) 1827に与えられている。分子量の制御に関する情報は、例えばA. Noshay, M. Matzner, C.N. Merriam, J. Polym.Sci. A-1 9 (1971) 3147に開示されている。
【0052】
ここに開示されるPPSUは、本質的に非晶質ポリマーである。これは様々な溶媒に溶解し、及び高温で処理できるという利点を有している。
【0053】
少なくとも1種のPPSUを含む溶液も同様に開示される。この溶液は、少なくとも1つのPPSU(以下では溶質ともいう)を溶解することができる少なくとも1種の液体を含む。この溶液は、PPSUの製造方法から生じ得る。この場合、溶液は固体を含むことが可能である。工程方法は、溶液が室温より高い温度でろ過されることを含むことが可能である。これにより溶液は溶質の沸点より低い温度でろ過することが可能である。上記温度は、ろ過の時間にわたって一定であることが可能であり、又は変化することが可能である。ろ過は原理的には、必要とされる圧力及び上記温度条件に適した任意のろ過装置で行うことが可能である。採用可能な細孔径はμmの範囲であり、好ましくは10pm以下、例えば5pm以下とすることが可能である。ろ過に必要な時間は、温度や使用する細孔サイズなどの要因に依存して異なる。一般に、少なくとも1種のPPSUを含む溶液のろ過は、工業規模の生産に妥当な時間で達成することが可能である。通常、溶液は1種のPPSUを含むことが好ましくても良く-又は、本質的に1種のPPSU及び溶質からなることが好ましくても良い。したがって、典型的にはろ液は、実質的に1種のPPSU及び溶質からなる溶液である。特に、溶液が工程方法から生じる場合、溶液は通常、ただ1種のみのPPSUを含む。また溶液は、少なくとも1種のPPSU、好ましくは1種のPPSUを溶質と接触させることによって調製することも可能である。使用後の溶媒除去の観点では、溶質の量は最小限に抑えることが好ましい。溶質の量は多くの場合、溶液を取り扱う温度及び使用目的における溶液の所望の粘度に依存する。溶質の量は、溶液を取り扱うのに望ましい温度で少なくとも1種のPPSUを溶解するのに十分である必要がある。好都合なことには、溶質は少なくとも1つの溶媒L、例えばDMAC、NMP、NEP、スルホラン又はそれらの任意の混合物、例えばDMAC、NMP、NEP、又はそれらの任意の混合物であり、ここでNMPが好ましくても良い。PPSUを含む溶液は通常、ゲル化する傾向が低減されている。したがって通常、これを処理するのに便利なタイムスパンがある。
【0054】
この溶液は特に、コーティング、フィルム、繊維又は膜の調製に使用することが可能である。この目的のために溶液は、加工アジュバント及び/又はさらなるポリマー等のさらなる化合物と混合されても良い。したがって溶液は例えば、少なくとも1種の他のポリアリーレン(エーテル)スルホン及び/又は少なくとも1種のポリビニル-ピロリドンを含んでも良く、ここで後者は膜形成の観点で通常では好ましい。したがって、溶液は、上記のさらなる成分を含んでも良く、又はこれが好ましいものであっても良いが-本質的に少なくとも1つのPPSU、少なくとも1種の溶質ならびに少なくとも1種の他のポリアリーレン(エーテル)スルホン及び/又は少なくとも1種のポリビニルピロリドンからなる。
【0055】
コーティング、繊維、フィルム、フォーム、成形品及び/又は膜の製造のための、ここに開示された、又はここに開示された方法によって得られる少なくとも1種のPPSUの使用もここに開示される。
【0056】
繊維は例えば、長さに対して細い、多かれ少なかれ柔軟な構造体である。繊維はコンパクト(詰まった)であっても中空であっても可能である。繊維は、円形又はほぼ円形にすることも、又は異なる断面形状を有することも可能である。これは例えば、平らにすることが可能である。繊維はチューブ状にすることも可能である。繊維は滑らかな表面を有していても良く、又は孔又は穴を有していても良い。繊維は、例えば押出法により得ることが可能である。少なくとも1種のPPSUからの繊維が、紡糸法によって得られることがより好ましくても良く、ここで通常、1種のPPSUが好ましい。溶液からの紡糸は、少なくとも1種のPPSUに対する熱応力が重要である場合には、有利であることが可能である。紡糸は例えば、塩からPPSUを分離した直後に行うことが可能である。またPPSUを最初に単離し、次いで紡糸に使用する溶媒に溶解することも可能である。繊維の機械的特性を改善するためには、少なくとも1種のPPSUを紡糸することが有利であることが可能であり、ここで一般的に1種のPPSUが好ましく、これは磁気エレクトロ紡糸を含むエレクトロ紡糸法による、溶液からの紡糸が可能であり、好ましくても良い。エレクトロ紡糸法は、例えばナノファイバーである繊維を製造する場合に最も好ましくて良い。磁気エレクトロ紡糸法は、少なくとも1種のPPSUからの不織布の製造に採用することができ、ここで一般に1種のPPSUが好ましい。エレクトロ紡糸法では、溶融物、又は好ましくは溶液が導電性であることを必要とするので、反応後の反応混合物から塩の全部又は実質的に全てを分離する必要がなくても良い。式Iのベンゾフェノン結合フェニレンスルホンセグメントA及びBから本質的になり、構造的に異なる単位を含まない1種のPPSUを含む溶液は、エレクトロ紡糸法による繊維の製造に好ましくて良い。
【0057】
成形は本質的に、例えば成形プロセス、射出成形、押出成形、カレンダー加工、回転成形、発泡、ブロー成形プロセス、成形プロセス又は接合プロセスによって製造することができる固体幾何学体であることが可能である。成形体は、PPSUから調製することが可能である。同様に、成形体は、少なくとも1種のPPSUを含む混合物から調製することが可能であり、ここで混合物はまた、少なくとも1種のさらなるポリマー樹脂を含むことが可能である。典型的には、少なくとも1つのPPSU及び任意選択で少なくとも1つのさらなるポリマー樹脂に加えて、成形体の製造に使用される混合物は、少なくとも1つの加工助剤及び/又は充填剤を含む。少なくとも1種のPPSUを含む成形体は一般に、優れた難燃性及び作動油に対する優れた耐性を示す。好ましい成形体の例は、飛行機の胴体外装用の飛行機コネクタ及びスペーサーであり、これは通常、アルミニウムシェルである。
【0058】
膜は例えば分離層である。膜は、不透過性、部分的に不透過性又は選択的に透過性の膜、又は一方向に透過性である膜又は透過性膜を意味すると理解されても良い。膜の種類は一般的に制限されていない。また、膜は、例えば、逆浸透(RO)膜、順浸透(FO)膜、ナノろ過(NF)膜、限外ろ過(UF)膜又は精密ろ過(MF)膜であり得る。多くの場合、膜はUF、NF又はMF膜であることが好ましい。
【0059】
ここに開示されるPPSUは、異なるフィルター膜形状において使用することが可能である。例えば、これは平膜及び/又は毛細管状の中空ファイバー膜に使用することが可能である。これらの膜に向かう流れは、デッドエンドフロー又はクロスフローの状態であっても良い。
【0060】
膜は、少なくとも1種のPPSUを用いて製造されても良く、ここで1種のPPSUから製造されることが好ましいことが可能である。典型的には膜は、当業者に公知の方法に従って調製することが可能である。膜は例えば、溶液からキャストすることによって製造されても良い。これによりキャスト溶液を調製することが可能である。上記キャスト溶液は典型的には、洗浄により膜から除去することができる少なくとも1種(多くの場合1種であることが好ましい)化合物を含有する。上記化合物は、しばしば造孔剤とも称される。したがってこの場合、溶液は上記細孔造孔剤も含む。少なくとも1種のPPSUから膜を製造する目的で、ポリビニルピロリドン及び/又はポリエチレングリコール(PEG)をキャスティング溶液中の造孔剤としてしばしば使用することが可能である。
【0061】
膜は水と接触して使用することが可能である。特に、膜は浄水と組み合わせて使用することが可能である。より具体的には、膜は、日常生活でのこぼれや工業処理環境から生じるような、油圧流体、ガソリン及び/又は燃料で汚染又は負荷された水の浄化に使用することが可能である。有利には膜は特に、油及びガス製造工程から発生する水等の製造された水の浄化に使用することが可能であり、この製造工程は、フラッキング工程又は石油プラットフォーム上での脱塩水の再循環であり得る。少なくとも1つの膜を含む物品は例えば、ろ過装置、モジュール列又はモジュールラックなどのろ過システムであることが可能である。
【実施例
【0062】
実施例:
以下の実施例は本発明の更なる説明を提供するが、これを限定するものではない。
【0063】
定義と略語:
反応時間:反応混合物を190℃に保持した時間
DCDPS:4,4’-ジクロロジフェニルスルホン
BP:4,4’-ジヒドロキシビフェニル
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
炭酸カリウムの粒径は、上記のようにMalvern Mastersizer 2000装置を使用して、クロロベンゼン/スルホラン60/40(質量)の固体の懸濁液で決定された。
【0064】
オリゴマーの鎖長xは、OH基の電位差滴定及び4,4’-ジクロロベンゾフェノンを添加する前に反応器から採取した沈殿及び乾燥した試料の有機Cl含有量の元素分析によって決定した。なお、計算値はオリゴマーの数平均分子量に相当する。
【0065】
ポリマー溶液をろ過するのに要する時間を決定した。
【0066】
得られたポリマーをZSK18押出機を用いて顆粒に加工した。スループットは300rpmで2.5kg/hであり、メルトケーキに直接配置した温度計で測定したメルト温度は385℃未満であった。このようにして得られた顆粒から、ISOバー(80mm×1mm×4mm)及びS2引張バーを質量温度370℃及び工具温度140℃で調製した。
【0067】
溶液粘度(V.N.)は、25℃で、N-メチルピロリドン中の0.01g / mlポリマーの溶液を使用して決定した(DIN EN ISO 1628-1(2012年10月))。
【0068】
ポリマーのガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)は、20 K/minの昇温速度でDSC分析によって決定された。ガラス転移温度、融点、融解熱について報告された数値は、2回目の加熱ランで決定された値である。
【0069】
サンプルの溶融安定性は、キャピラリーレオメーターを使用して質量温度400℃で60分間測定した。ここで溶融物の見かけ粘度を、5分毎に55s-1のせん断速度で決定した。5分で求めた見かけ粘度をめぐっての、60分で求めた見かけ粘度の商(Q)は、溶融安定性の尺度である。
【0070】
油圧(水圧)流体、ガソリン及び/又は燃料に対する製品の耐性は、Skydrol(登録商標) LD4(58wt%トリブチルホスフェート、20~30wt%ジブチルフェニルホスフェート、5~10wt%ブチルジフェニルホスフェート、1~5wt%2,6-ジテルブチル-p-クレゾール、10wt%未満カルボキシレート)に対する耐性として決定された。S2引張バーを、Skydrol(登録商標)LD4に24時間保存した。いずれの場合も、S2引張バー2本を、これらの保管前にステンシルを用いて曲げ半径132mmに曲げた。破損までの時間を決定するために、カメラを使用して写真を毎分撮影した。
【0071】
測定結果を表1に示す。
【0072】
ポリマーの調製-各場合に使用される一般的な手続き上の処理
攪拌機、ディーンスタークトラップ、窒素入口及び温度制御を備えた容器を使用した。体積平均粒径34.5μmの304.05g(2,20モル)の炭酸カリウムを使用した。反応で生成した水を蒸留により連続的に除去した。共沸混合物形成剤は使用しなかった。失われたNMPを交換した。
【0073】
反応時間後、1500mlのNMPを容器に加え、反応混合物の温度を135℃に調整した。次いで塩化メチルを容器に60分間添加した。次いで、反応混合物を通して窒素を更に30分間パージした。次いで、反応混合物を80℃に冷却し、次いで加熱した加圧フィルター(80℃)に移し、反応混合物中に生成した塩化カリウムをろ過によって分離した。
【0074】
ろ過は、2.0barの窒素圧で、孔径3μmのフィルターを用いて行った。
【0075】
ポリマーは、ろ液を室温の脱塩水の浴に沈殿させることにより、ろ液から単離された(落下距離0.5m、スループット約2.5 l / h)。得られたパール(真珠状物)を回収し、85℃で20時間水洗した(水処理量160l/h)。その後、パールをガラス転移温度未満の温度で乾燥させた。残留含水率は0.1質量%未満であった。
【0076】
ろ過できなかったサンプルのために少量の材料が沈殿した。その後、これらを水洗し、及び120℃で24時間乾燥させた。残留含水率は0.1質量%未満であった。
【0077】
比較コポリマーC1
容器内に522.63g(1.82モル)のDCDPS、372.41g(2.00モル)のBP、50.22g(0.20モル)の4,4‘-ジクロロベンゾフェノン、及び炭酸カリウムをそれぞれ溶解し、窒素雰囲気中の1152mlのNMPに懸濁した。
【0078】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。その後、反応時間は5時間であった。
【0079】
ろ過は8時間を要した。次いでポリマーをろ液から単離し、及び乾燥させた。
【0080】
比較コポリマーC2
容器内にDCDPSの522.63g(1.82モル)、BPの372.41g(2.00モル)、及び炭酸カリウムをそれぞれ溶解し、窒素雰囲気中の952mlNMPに懸濁させた。
【0081】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。初期反応時間は70分であった。
【0082】
その後、20mlの懸濁液を分離した。次いで、200 ml NMPに溶解した50.22 g(0.200 mol)の4,4’-ジクロロベンゾフェノンを容器に仕込んだ。190℃で反応を継続した。反応時間は4時間であった。
【0083】
ろ過は8.5hを要した。次いで、得られたポリマーを単離し、乾燥させた。
【0084】
比較コポリマーC3
容器内にDCDPSの508.28g(1.77モル)、BPの372.41g(2.00モル)、4,4’-ジクロロベンゾフェノンの62.78g(0,25モル)、及び炭酸カリウムをそれぞれ溶解し、窒素雰囲気中の1152mlNMPに懸濁した。
【0085】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。反応時間は5hであった。
【0086】
ろ過は、10hを要した。
【0087】
次いで、ポリマーをろ液から単離し、及び乾燥させた。
【0088】
PPSU1
容器内にDCDPSの508.28g(1,77モル)、BPの372.41g(2.00モル)、及び炭酸カリウムをそれぞれ溶解し、窒素雰囲気中の952mlNMPに懸濁した。
【0089】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。初期反応時間は70分であった。
【0090】
その後、20mlの懸濁液を分離した。次いで、200 mlのNMPに溶解した62.78 g(0.250 mol)の4,4’-ジクロロベンゾフェノンを容器に仕込んだ。
【0091】
190℃で反応を継続した。反応時間は4時間であった。ろ過は7.5hを要した。
【0092】
次いでポリマーをろ液から単離し、及び乾燥させた。
【0093】
比較例C4
容器中に、DCDPSの493.92g(1.72モル)、BPの372.41g(2.00モル)、4,4’-ジクロロベンゾフェノンの75.33g(0.3モル)、及び炭酸カリウムをそれぞれ溶解し、窒素雰囲気中の1152mlNMPに懸濁した。
【0094】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。反応時間は5.5時間であった。ろ過は12時間を要した。
【0095】
次いでポリマーをろ液から単離し、乾燥させた。
【0096】
PPSU 2
容器内にDCDPSの493.92g(1.72モル)、BPの373.41g(2.00モル)、及び炭酸カリウムをそれぞれ溶解し、窒素雰囲気中の952mlNMPに懸濁させた。
【0097】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。初期反応時間は70分であった。
【0098】
その後、20mlの懸濁液を分離した。次いで、75.33 g(0,30 mol)を200 ml NMPに溶解した4,4’-ジクロロベンゾフェノンを容器に仕込んだ。190℃で反応を継続した。反応時間は5時間であった。ろ過は8時間を要した。
【0099】
次いで、ポリマーをろ液から単離し、乾燥させた。
【0100】
比較コポリマーC5
容器内に465.20 g(1.62 mol)のDCDPS、372、41 g(2.00 mol)のBP、100.44 g(0,4 mol)の4,4’-ジクロロベンゾフェノンを溶解させ、及び窒素雰囲気中で1152 mlのNMP中に懸濁させた。
【0101】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。反応時間は6h(時間)であった。ろ過は14時間を要した。
【0102】
次いで、得られたポリマーをろ液から単離し、乾燥させた。
【0103】
PPSU 3
容器内にDCDPSの465.20g(1,62モル)、BPの372.41g(2.00モル)、及び炭酸カリウムをそれぞれ溶解し、窒素雰囲気中の952mlNMPに懸濁した。
【0104】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。初期反応時間は70分であった。
【0105】
その後、20mlの懸濁液を分離した。次いで100.44 g(0.40 mol)を200 mlのNMPに溶解した4,4’-ジクロロベンゾフェノンを容器に仕込んだ。190℃で反応を継続した。反応時間は5.5時間であった。ろ過には10時間を要した。次いでポリマーをろ液から単離し、乾燥させた。
【0106】
比較コポリマーC6
容器内に450.86g(1.57モル)のDCDPS、372.41g(2.00モル)のBP、及び炭酸カリウムをそれぞれ溶解し、窒素雰囲気中952mlのNMPに懸濁させた。
【0107】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。初期反応時間は70分であった。
【0108】
その後、20mlの懸濁液を分離した。次いで、113.00 g(0.45 mol)を200 mlのNMPに溶解した4,4’-ジクロロベンゾフェノンを容器に仕込んだ。190℃で反応を継続した。反応時間は6時間であった。
【0109】
ろ過時間24時間後でも、溶液の微量部分のみをろ過した。
【0110】
24時間後、溶液はゲルになり、及び20 ml溶液/ゲルを20 mlのNMPで希釈し、及び120℃まで加熱した後にのみ沈殿が可能であった。
【0111】
次いで、得ることが可能であったポリマーをろ液から単離し、乾燥させた。
【0112】
比較コポリマーC7
容器内に450.86g(1.57モル)のDCDPS、372.41g(2.00モル)のBP、113.00g(0.45モル)の4,4‘-ジクロロベンゾフェノン、及び炭酸カリウムをそれぞれ溶解し、窒素雰囲気中の1152mlのNMPに懸濁した。
【0113】
混合物を1時間以内に190℃に加熱した。反応時間は6h(時間)であった。
【0114】
24時間のろ過時間の後でさえも、溶液のごく微量のみがろ過された。
【0115】
24時間後、溶液はゲルになり、20 ml溶液/ゲルを20 ml NMPで希釈し、120℃まで加熱した後にのみ沈殿が可能であった。
【0116】
次いで、得ることができたポリマーをろ液から単離し、及び乾燥させた。
【0117】
以下の表1に与えられた測定結果から理解されるように、4.5~9の範囲の鎖長xのベンゾフェノン結合セグメントから本質的に構成されるPPSUについては、目的とする特性が観察可能であった。より長い鎖長では、Skydrol(登録商標)に対する抵抗は与えられなかった。鎖の長さが短いと、サンプルを容易に処理できなかった。
【0118】
【表1】