(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】フォトレジスト除去用ストリッパー組成物およびこれを用いたフォトレジストの剥離方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/42 20060101AFI20241029BHJP
C11D 7/50 20060101ALI20241029BHJP
C11D 7/32 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G03F7/42
C11D7/50
C11D7/32
(21)【出願番号】P 2022549084
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 KR2021012859
(87)【国際公開番号】W WO2022065842
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0122249
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0124895
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、テ ムーン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドン フーン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ヒュン ウー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウー ラム
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特許第6684998(JP,B2)
【文献】特表2007-511784(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0287333(US,A1)
【文献】国際公開第2006/129538(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/42
C11D 7/50
C11D 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上のアミン化合物;
炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基が窒素に1~2個置換されたアミド化合物である非プロトン性溶媒;
プロトン性溶媒;および
腐食防止剤を含み、
前記アミン化合物は、a)第3級アミン化合物;およびb)環状アミン、第1級アミンおよび第2級アミンからなる群より選択された1種以上のアミン化合物;を含み、
前記a)第3級アミン化合物およびb)アミン化合物間の重量比が1:0.05~1:0.8である、
フォトレジスト除去用ストリッパー組成物:
ただし、前記
フォトレジスト除去用ストリッパー組成物は、テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,3-ジアミノブタン、N,N,N',N'',N'''-ペンタメチルジエチレントリアミン、2-ジエチレンアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリメチルアミノメチルエタノールアミン、およびトリス(3-アミノプロピル)アミンを除く。
【請求項2】
前記アミン化合物は、
a)第3級アミン化合物およびb)第2級アミン化合物;
a)第3級アミン化合物、およびb)環状アミンおよび第1級アミン化合物;または
a)第3級アミン化合物、およびb)環状アミンおよび第2級アミン化合物;
を含む、請求項1に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項3】
前記環状アミンおよび第1級アミン化合物間の重量比;または
前記環状アミンおよび第2級アミン化合物間の重量比は、1:1~10である、請求項2に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項4】
銅が全面蒸着された基板をフォトレジストストリッパー組成物で浸漬させて蒸留水で基板を洗浄した後、XPS(X-ray photoelectron spectroscopy)を使用して下記式1によって測定された洗浄された基板表面の銅酸化物除去力が0.35以下になるようにする、請求項1から3のいずれか一項に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物:
[式1]
Cu Oxide除去力=基板をフォトレジスト除去用ストリッパー組成物でstripした後のXPS narrow scan O(Oxygen)にて定量された数字/基板をフォトレジスト除去用ストリッパー組成物でstripした後のXPS narrow scan Cu(copper)にて定量された数字。
【請求項5】
全体ストリッパー組成物に対して前記アミン化合物を0.1~10重量%を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項6】
前記第3級アミン化合物は、メチルジエタノールアミン(methyl diethanolamine;MDEA)、N-ブチルエタノールアミン(N-Butyldiethanolamine、BDEA)、およびトリエタノールアミン(Triethanolamine;TEA)からなる群より選択された1種以上の化合物を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項7】
前記第1級アミンは、(2-アミノエトキシ)-1-エタノール[(2-aminoethoxy)-1-ethanol;AEE]、アミノエチルエタノールアミン(aminoethyl ethanol amine;AEEA)、イソプロパノールアミン(isopropanolamine、MIPA)およびエタノールアミン(ethanolamine;MEA)からなる群より選択された1種以上の化合物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項8】
前記第2級アミンは、ジエタノールアミン(Diethanolamine;DEA)、トリエチレンテトラアミン(Triethylene tetraamine;TETA)、N-メチルエタノールアミン(N-metylethanolamine;N-MEA)、およびジエチレントリアミン(Diethylene triamine;DETA)からなる群より選択された1種以上の化合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項9】
前記環状アミンは、1-イミダゾリジンエタノール(1-imidazolidine ethanol)、4-イミダゾリジンエタノール(4-imidazolidine ethanol)、ヒドロキシエチルピペラジン(HEP)、およびアミノエチルピペラジン(aminoethylpiperazine)からなる群より選択された1種以上の化合物を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項10】
前記アミド化合物は下記化学式1の化合物を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物:
[化学式1]
【化1】
上記化学式1中、
R
1は、水素、メチル基、エチル基、またはプロピル基であり、
R
2は、メチル基またはエチル基であり、
R
3は、水素または前記炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基であり、
R
1およびR
3は、互いに結合して環を形成することができる。
【請求項11】
前記アミド化合物は、ジエチルホルムアミド(N,N-Diethylformamide)、ジメチルアセトアミド(N,N-Dimethylacetamide)、N-メチルホルムアミド(N-Methylformamide)、N-メチルピロリドン(1-Methyl-2-pyrrolidinone)、N-エチルホルムアミド(N-Formylethylamine)、またはこれらの混合物を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項12】
前記アミド化合物は、N-メチルホルムアミド(N-Methylformamide)またはN-メチルピロリドン(1-Methyl-2-pyrrolidinone)を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項13】
前記プロトン性溶媒は、アルキレングリコールモノアルキルエーテル系化合物からなる群より選択された1種以上を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項14】
2種以上のアミン化合物0.1~10重量%;
炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基が窒素に1~2個置換されたアミド化合物、スルホンおよびスルホキシド化合物からなる群より選択された非プロトン性溶媒10~80重量%;
プロトン性溶媒10~80重量%;および
腐食防止剤0.01~10重量%;
を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物を用いてフォトレジストを剥離する段階を含む、フォトレジストの剥離方法。
【請求項16】
基板上に、下部膜を形成する段階と、
前記下部膜上にフォトレジストを均一に塗布する段階と、
前記フォトレジストを選択的に露光、現像処理してフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンをマスクとして前記下部膜をパターニングする段階と、
2種以上のアミン化合物;
炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基が窒素に1~2個置換されたアミド化合物
である非プロトン性溶媒;
プロトン性溶媒;および
腐食防止剤を含み、
前記アミン化合物は、a)第3級アミン化合物;およびb)環状アミン、第1級アミンおよび第2級アミンからなる群より選択された1種以上のアミン化合物;を含み、
前記a)第3級アミン化合物およびb)アミン化合物間の重量比が1:0.05~1:0.8である、フォトレジスト除去用ストリッパー組成物を用いて、前記下部膜上に残留する前記フォトレジストを除去する段階と、を含む、半導体直接回路の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2020年9月22日付韓国特許出願第10-2020-0122249号および2021年9月17日付韓国特許出願第10-2021-0124895号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明はフォトレジスト除去用ストリッパー組成物およびこれを用いたフォトレジストの剥離方法に関するものであって、より詳しくは、フォトレジストに対する優れた剥離力を有しながら剥離過程で下部金属膜に対する腐食を抑制し、金属の酸化物を効果的に除去することができるフォトレジスト除去用ストリッパー組成物およびこれを用いたフォトレジストの剥離方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
液晶表示素子の微細回路工程または半導体直接回路製造工程は、基板上に、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、モリブデン、モリブデン合金などの導電性金属膜、またはシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、フォークアクリル絶縁膜などの絶縁膜のような各種下部膜を形成し、このような下部膜上にフォトレジストを均一に塗布し、選択的に露光、現像処理してフォトレジストパターンを形成した後、これをマスクとして下部膜をパターニングする様々な工程を含む。このようなパターニング工程後、下部膜上に残留するフォトレジストを除去する工程を経るが、このために使用されるものがフォトレジスト除去用ストリッパー組成物である。
【0004】
以前から、アミン化合物、プロトン性極性溶媒および非プロトン性極性溶媒などを含むストリッパー組成物が広く知られて主に使用されてきた。このようなストリッパー組成物はフォトレジストに対するある程度の除去および剥離力を示すことが知られている。
【0005】
一方、ディスプレイ高解像度モデルが増加するにつれて、TFTの金属として電気抵抗の低いCu配線が使用されている。
【0006】
一例として、TFTの配線のうちのゲート、ソース、およびドレイン配線にCuが適用されており、真上の上層にはSiN
x
、SiO
x
など絶縁膜が蒸着される。
【0007】
しかし、
図1および2のように絶縁膜蒸着後、CuとITO間の接触(contact)部分に金属の酸化物(Cu Oxide)が生成され、前記Cu Oxideのため
にITOがよく接着されず、ITO配線アニーリング(annealing)時
に、Cu/ITO間膜浮き上がり現象が発生する。即ち、
図2に示すように、絶縁膜のアニーリング後、Cu Oxideの未除去によってCuとITO間の膜浮き上がりが発生し、剥離力低下によるPR残留によってSiN
x
とITO間の膜浮き上がりが発生する。
【0008】
これを解決するために、従来はゲートまたはソースおよびドレイン配線形成の最後の段階であるストリップ工程を2回行ってCu Oxideを除去しており、工程時間が増加し費用が発生した。
【0009】
また、従来の第3級アミンから構成されたストリッパー組成物の場合、剥離力の低下および金属の酸化物の除去が難しく、多量のフォトレジストを剥離する場合、剥離力が低下した。また、下部膜として銅金属膜を使用する場合には、剥離過程で腐食による染みおよび異物が発生して使用に困難があり、銅の酸化物を効果的に除去することができないなどの限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、フォトレジストに対する優れた剥離力を有しながら剥離過程で下部金属膜に対する腐食を抑制し、酸化物を効果的に除去することができるフォトレジスト除去用ストリッパー組成物を提供するためのものである。
【0011】
また、本発明は、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物を用いたフォトレジストの剥離方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書では、2種以上のアミン化合物;
炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基が窒素に1~2個置換されたアミド化合物、スルホンおよびスルホキシド化合物からなる群より選択された非プロトン性溶媒;
プロトン性溶媒;および
腐食防止剤を含み、
前記アミン化合物は、a)第3級アミン化合物;およびb)環状アミン、第1級アミンおよび第2級アミンからなる群より選択された1種以上のアミン化合物;を含み、前記a)第3級アミン化合物およびb)アミン化合物間の重量比が1:0.05~1:0.8である、フォトレジスト除去用ストリッパー組成物が提供される。
【0013】
本明細書ではまた、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物を用いてフォトレジストを剥離する段階を含む、フォトレジストの剥離方法が提供される。
【0014】
以下、発明の具体的な実施形態によるフォトレジスト除去用ストリッパー組成物およびこれを用いたフォトレジストの剥離方法についてより詳細に説明する。
【0015】
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、"含む"、"備える"または"有する"などの用語は、実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在するのを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0016】
本発明は多様な変更を加えることができ様々な形態を有することができるところ、特定実施形態を例示し下記で詳細に説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、前記思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含むと理解されなければならない。
【0017】
発明の一実施形態によれば、2種以上のアミン化合物;炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基が窒素に1~2個置換されたアミド化合物、スルホンおよびスルホキシド化合物からなる群より選択された非プロトン性溶媒;プロトン性溶媒;および腐食防止剤を含み、前記アミン化合物は、a)第3級アミン化合物;およびb)環状アミン、第1級アミンおよび第2級アミンからなる群より選択された1種以上のアミン化合物;を含み、前記a)第3級アミン化合物およびb)アミン化合物間の重量比が1:0.05~1:0.8である、フォトレジスト除去用ストリッパー組成物が提供できる。
【0018】
本発明者らは、フォトレジスト除去用ストリッパー組成物に対する研究を行って、前述の第3級アミン化合物を基本として含み、ここに環状アミン、第1級アミン、第2級アミンなどの成分を共に含むフォトレジスト除去用ストリッパー組成物が、第3級アミン化合物のみから構成された剥離液組成物に比べてフォトレジストに対する優れた剥離力を有しながら、剥離過程で下部金属膜に対する腐食を抑制し、酸化物をさらに効果的に除去することができる特性を有するという点を実験を通じて確認し発明を完成した。この時、本明細書で第1級アミンまたは第2級アミンは、第1級線状アミンまたは第2級線状アミンを意味する。
【0019】
具体的に、ディスプレイ高解像度モデルが増加するにつれてTFTの金属として電気抵抗の低い銅配線が使用されており、この時、銅配線は拡散防止膜材料(barrier metal)としてモリブデン(Mo)を下部膜として使用するようになり、酸化還元電位によって酸化還元電位の低いモリブデンの腐食が発生する構造を有する。しかし、フォトレジストを除去する工程であるストリップ工程進行時、ストリッパーによる銅/モリブデンの間のダメージ(damage)が発生しながら品質に問題が発生するようになってストリッパーの腐食を防止するための腐食防止剤の改善が要求される。
【0020】
したがって、本発明では絶縁膜の膜浮き上がり不良を解決するために、銅金属配線(ゲートまたはソースおよびドレイン配線)のストリップ工程を1回のみ行っても銅の酸化物を効果的に除去して工程時間を減らし費用発生問題を解決する方法を提供しようとする。
【0021】
よって、本発明では環状アミン、線状アミン化合物などを追加して剥離力向上および金属酸化物、具体的に銅の酸化物(Cu Oxide)を効率的に除去することができる。
【0022】
前述のように、前記実施形態のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物は、前記炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基が窒素に1~2個置換されたアミド化合物、スルホンおよびスルホキシド化合物からなる群より選択された非プロトン性溶媒;プロトン性溶媒;および腐食防止剤を含んで、経時的に優れた剥離力を維持することができる。また、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物は、前記組成と共に第3級アミン化合物を基本にして環状アミン、第1級アミンおよび第2級アミンからなる群より選択された1種以上のアミン化合物を含んで、剥離力をさらに向上させ金属の酸化物を効果的に除去することができ、下部金属膜に対する腐食を抑制することができる効果を共に実現することができる。
【0023】
特に、前記実施形態のストリッパー組成物は2種以上のアミン化合物において第3級アミンと共に線状アミンを含んで、Cu Oxideに対する除去率を向上させて既存のように絶縁膜ストリップ後にフォトレジストが絶縁膜上に残留せず下部金属膜(例えば、下部Cu配線)上で発生することがある金属酸化物が容易に除去されて、ITOのような透明導電膜を形成時、絶縁膜と下部金属膜の間の膜浮き上がり現象を防止することができる。
【0024】
即ち、前記a)およびb)成分を含む2種以上のアミン化合物は特定組合比によって、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物がフォトレジストに対する剥離力を有するようにすることができ、具体的にフォトレジストを溶かしてこれを除去する役割を果たすことができる。
【0025】
前記第3級アミン化合物は、基本的な剥離力を付与するのに使用できる。しかし、前記第3級アミン化合物のみから構成された剥離液組成物は、剥離力が低下し、金属酸化物の除去が難しいという問題がある。
【0026】
したがって、前記実施形態のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物は、アミン化合物として第3級アミン化合物を基本にして、環状アミン、第1級、第2級アミンなどの化合物を共に使用する特定組成の2種アミン化合物を含んで、従来より剥離力を改善し、金属酸化物の除去率を高めることができる。好ましくは、前記環状化合物は剥離力をさらに向上させることができる。また、前記第1級または第2級線状アミン化合物は、金属酸化物(Cu Oxide)の除去力を向上させることができる。
【0027】
さらに、前記実施形態のストリッパー組成物は、第3級アミンに対して共に含まれる他のアミン(環状アミンと第1級または第2級アミン)の含量が相対的に少なく含まれるようにすることによって、金属含有下部膜の金属の酸化物の除去率を向上させることができる。この時、2種以上のアミン化合物において第3級アミン化合物に対して追加的に添加されるアミン化合物の含量が多い場合、金属含有下部膜の金属の酸化物の除去効果が非常に少ない。
【0028】
よって、前記実施形態のストリッパー組成物は、フォトレジストパターンの除去時、銅含有膜、特に銅/モリブデン金属膜などの金属含有下部膜の腐食を防止する効果を極大化することができ、従来第3級アミン化合物のみ使用する場合や本発明のアミン化合物の混合比を満足しない一般的な2種以上のアミン化合物を使用する場合に比べて、より効率的に金属含有下部膜の腐食を抑制することができる。
【0029】
前記実施形態のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物は、ストリッパー工程直後、DIWリンス工程で除去されて金属含有下部膜と基板の間の接触抵抗を改善することができ、例えば、Gate(Cu)とPXL(ITO)間の接触抵抗を改善することができる。
【0030】
また、前記実施形態のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物(剥離液組成物)は、前記ストリッパー工程で1回の使用のみでも銅/モリブデン金属膜などの金属含有下部膜で発生する金属酸化物を効果的に除去することができる。
【0031】
一方、前記a)第3級アミン化合物およびb)前記1種以上のアミン化合物間の重量比は、1:0.05~1:0.8あるいは1:0.08~1:0.5あるいは1:0.08~1:0.3であり得る。この時、a)第3級アミン化合物に対するb)前記1種以上のアミン化合物の含量比が0.05以下である場合、金属含有下部膜の金属の酸化物の除去効果が非常に少ない。また、a)第3級アミン化合物に対するb)前記1種以上のアミン化合物の含量比が0.8以上である場合、剥離液に接触される金属の腐食が発生することがある。また、前記a)第3級アミン化合物およびb)前記1種以上のアミン化合物間の重量比は1:0.1~1:0.5あるいは1:0.08~1:0.3である時、絶縁膜蒸着後に金属含有下部膜で発生する金属の酸化物をさらに効果的に除去し金属腐食の発生をできるだけ抑制することができる。
【0032】
したがって、発明の一実施形態によって、(a)前記第3級アミン化合物と(b)環状アミンおよび第1級アミンの混合物を使用する場合、その比率は1:0.1~1:0.5あるいは1:0.08~1:0.3であり得る。
【0033】
また、(a)前記第3級アミン化合物と(b)環状アミンおよび第2級アミンの混合物を使用する場合、その比率は1:0.1~1:0.5あるいは1:0.08~1:0.3であり得る。
【0034】
また、他の実施形態によって、前記第3級アミン化合物および環状アミン化合物を混合時、その比率は1:0.1~1:0.5あるいは1:0.08~1:0.3であり得るが、1:0.05~0.18以下である場合にさらに優れた効果を示すことができる。
【0035】
また、前記第3級アミン化合物および第1級アミン化合物を混合時、その比率は1:0.1~1:0.5あるいは1:0.08~1:0.3であり得るが、1:0.05~0.18以下である場合にさらに優れた効果を示すことができる。
【0036】
前記第3級アミン化合物および第2級アミン化合物を混合時、その比率は1:0.1~1:0.5あるいは1:0.08~1:0.3であり得るが、1:0.05~0.18以下である場合にさらに優れた効果を示すことができる。
【0037】
したがって、前記a)第3級アミン化合物およびb)前記1種以上のアミン化合物は特定重量比率で使用することが重要であり、このような組成比を有することによって、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物の下部金属膜に対する腐食防止能力が極大化できる。また、本発明によれば、前記a)第3級アミン化合物およびb)前記1種以上のアミン化合物をそれぞれ使用するか、または前述のa)第3級アミン化合物およびb)前記1種以上のアミン化合物間の重量比率を満足しない場合より下部金属膜に対する優れた腐食防止効果を有することができる。
【0038】
一方、前記アミン化合物は、全体組成物に対して約0.1~10重量%、または0.5~7重量%、または1~5重量%の含量で含まれてもよい。このようなアミン化合物の含量範囲によって、一実施形態のストリッパー組成物が優れた剥離力などを示すことができながらも、過量のアミンによる工程の経済性および効率性低下を減らすことができ、廃液などの発生を減らすことができる。万一、過度に大きな含量のアミン化合物が含まれる場合、これによる下部膜、例えば、銅含有下部膜の腐食がもたらされることがあり、これを抑制するために多量の腐食防止剤を使用する必要が生じることがある。この場合、多量の腐食防止剤によって下部膜表面に相当量の腐食防止剤が吸着および残留して銅含有下部膜などの電気的特性を低下させることがある。
【0039】
具体的に、前記アミン化合物が全体組成物に対して0.1重量%未満であれば、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物の剥離力が減少することがあり、全体組成物に対して10重量%超過であれば、過量のアミン化合物を含むことによって工程上経済性および効率性が低下することがある。
【0040】
また、前記アミン化合物の含量範囲内で、前述の前記a)第3級アミン化合物およびb)1種以上のアミン化合物間の重量比率を調節して使用することができる。
【0041】
一実施形態によって、前記アミン化合物は、a)第3級アミン化合物およびb)第2級アミン化合物;a)第3級アミン化合物、およびb)環状アミンおよび第1級アミン化合物;またはa)第3級アミン化合物、およびb)環状アミンおよび第2級アミン化合物;を含むことができる。
【0042】
また、他の実施形態によって、前記アミン化合物は、第3級アミン化合物および環状アミン化合物を含むか、第3級アミン化合物および第1級アミン化合物を含むか、第3級アミン化合物および第2級アミン化合物を含むことができる。
【0043】
前記環状アミン化合物および第1級アミン化合物間の重量比;または前記環状アミン化合物および第2級アミン化合物間の重量比は、1:1~10あるいは1:1~5あるいは1:1~3であり得る。また、前記環状アミンおよび第1級アミン化合物間の重量比が1:1以下であれば、金属含有下部膜の金属の酸化物の除去効果が非常に少ない。また、その比率が1:10以上である場合、剥離液に接触される金属の腐食が発生することがある。
【0044】
一方、前記2種以上のアミン化合物は、重量平均分子量95g/mol以上の鎖状アミン化合物を含むことができる。
【0045】
前記重量平均分子量95g/mol以上の鎖状アミン化合物は、フォトレジストに対する剥離力と共に下部膜、例えば、銅含有膜上の自然酸化膜を適切に除去して銅含有膜とその上部の絶縁膜、例えば、シリコン窒化膜などとの膜間接着力をより向上させることができる。
【0046】
このような鎖状アミンのうち、前記実施形態に基本的に使用される第3級アミン化合物は、メチルジエタノールアミン(methyl diethanolamine;MDEA)、N-ブチルエタノールアミン(N-Butyldiethanolamine、BDEA)、ジエチルアミノエタノール(Diethylaminoethanol;DEEA)、およびトリエタノールアミン(Triethanolamine;TEA)からなる群より選択された1種以上の化合物を含むことができるが、これに限定されない。
【0047】
前記第1級アミンは、(2-アミノエトキシ)-1-エタノール[(2-aminoethoxy)-1-ethanol;AEE]、アミノエチルエタノールアミン(aminoethyl ethanol amine;AEEA)、イソプロパノールアミン(isopropanolamine;MIPA)およびエタノールアミン(ethanolamine;MEA)からなる群より選択された1種以上の化合物を含むことができるが、これに限定されない。
【0048】
前記第2級アミンは、ジエタノールアミン(Diethanolamine;DEA)、トリエチレンテトラアミン(Triethylene tetraamine;TETA)、N-メチルエタノールアミン(N-metylethanloamine;N-MEA)、およびジエチレントリアミン(Diethylene triamine;DETA)からなる群より選択された1種以上の化合物を含むことができるが、これに限定されない。
【0049】
前記環状アミン化合物の具体的な種類などが大きく限定されるのではないが、少なくとも重量平均分子量95g/mol以上の環状アミン化合物1種を含むことができる。
【0050】
前記環状アミンは、前述のとおり、第3級アミン化合物との上昇作用でフォトレジストに対する剥離力をさらに向上させ、フォトレジストの溶解力を高める効果を付与することができる。
【0051】
前記環状アミン化合物の例が大きく限定されるのではないが、例えば、1-イミダゾリジンエタノール(1-imidazolidine ethanol)、4-イミダゾリジンエタノール(4-imidazolidine ethanol)、ヒドロキシエチルピペラジン(HEP)、アミノエチルピペラジン(aminoethylpiperazine)からなる群より選択された1種以上の化合物を含むことができるが、これに限定されない。
【0052】
また、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物は炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基が窒素に1~2個置換されたアミド系化合物を含むことができ、このような化合物は非プロトン性溶媒として使用できる。前記炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基が窒素に1~2個置換されたアミド系化合物は、前記アミン化合物を良好に溶解させることができ、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物が下部膜上に効果的に染み込むようにして、前記ストリッパー組成物の剥離力およびリンス力などを向上させることができる。
【0053】
具体的に、前記炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基が窒素に1~2個置換されたアミド系化合物は、メチル基またはエチル基が窒素に1~2個置換されたアミド系化合物を含むことができる。前記メチル基またはエチル基が窒素に1~2個置換されたアミド系化合物は下記化学式1の構造を有することができる。
[化学式1]
【化1】
上記化学式1中、
R
1は、水素、メチル基、エチル基、またはプロピル基であり、
R
2は、メチル基またはエチル基であり、
R
3は、水素または前記炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基であり、
R
1およびR
3は、互いに結合して環を形成することができる。
【0054】
前記炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基の例が限定されるのではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基などを使用することができる。
【0055】
前記メチル基またはエチル基が窒素に1~2個置換されたアミド系化合物の例が大きく限定されるのではないが、例えば、前記化学式1中、R2はメチル基またはエチル基であり、R1およびR3はそれぞれ水素の化合物を使用することができる。
【0056】
例えば、炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基が窒素に1~2個置換されたアミド化合物は、ジエチルホルムアミド(N,N-Diethylformamide)、ジメチルアセトアミド(N,N-Dimethylacetamide)、N-メチルホルムアミド(N-Methylformamide)、N-メチルピロリドン(1-Methyl-2-pyrrolidinone)、N-エチルホルムアミド(N-Formylethylamine)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
また、通常沸点が高ければ蒸気圧が低く、このようなアミド溶媒を剥離液組成に適用して現場で使用時、剥離液使用量に影響を与えることがある。したがって、前記アミド化合物は、沸点範囲が190~215℃範囲内の物質を使用するのがさらに好ましい。
【0058】
一実施形態によって、前記アミド化合物は、N-メチルホルムアミド(N-Methylformamide)またはN-メチルピロリドン(1-Methyl-2-pyrrolidinone)を含む。即ち、ストリッパー工程が50℃で行われるので、剥離液の揮発量損失が少なくなければならないが、前記アミド化合物はジエチルホルムアミド(N,N-Diethylformamide)のようなアミド化合物より沸点が高く蒸気圧が低くて、剥離液使用時、揮発量が低い。したがって、その使用量を増やさなくても効果的に剥離特性を示すことができる。
【0059】
また、前記非プロトン性溶媒として使用されるスルホンの例が大きく限定されるのではないが、例えば、スルホラン(sulfolane)を使用することができる。前記スルホキシドの例も大きく限定されるのではないが、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルスルホキシド、ジプロピルスルホキシドなどを使用することができる。
【0060】
前記非プロトン性溶媒は、全体組成物に対して10~80重量%、20~70重量%、または30~60重量%または35~55重量%で含まれてもよい。前記含量範囲によって、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物の優れた剥離力などが確保でき、前記剥離力およびリンス力が経時的に長期間維持できる。
【0061】
また、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物は、プロトン性溶媒を含むことができる。前記プロトン性溶媒は、極性有機溶媒として前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物が下部膜上にさらによく染み込むようにして前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物の優れた剥離力を補助することができ、銅含有膜など下部膜上の染みを効果的に除去して前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物のリンス力を向上させることができる。
【0062】
前記プロトン性溶媒は、アルキレングリコールモノアルキルエーテルを含むことができる。より具体的に、前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルまたはこれらの2種以上の混合物を含むことができる。
【0063】
また、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物の優れたぬれ性およびこれによる向上した剥離力と、リンス力などを考慮して、前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(EDG)またはジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)などを使用することができる。
【0064】
また、前記プロトン性溶媒は、全体組成物に対して10~80重量%、または25~70重量%、または30~60重量%の含量で含まれてもよい。前記含量範囲を満足することによって、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物の優れた剥離力などが確保でき、前記剥離力およびリンス力が経時的に長期間維持できる。
【0065】
一方、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物は、腐食防止剤を含むことができる。このような腐食防止剤は、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物を使用したフォトレジストパターンの除去時、銅含有膜などの金属含有下部膜の腐食を抑制することができる。
【0066】
前記腐食防止剤としては、トリアゾール系化合物、ベンズイミダゾール系化合物およびテトラゾール系化合物からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0067】
この時、前記トリアゾール系化合物の例が大きく限定されるのではないが、例えば、((2,2'[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノールおよび4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ベンゾトリアゾールからなる群より選択された1種以上であってもよく、具体的に((2,2'[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノールであり得る。
【0068】
前記腐食防止剤は、全体組成物に対して0.01~10重量%、または0.02~5.0重量%、または0.03~1.0重量%で含まれてもよい。前記腐食防止剤の含量が全体組成物に対して0.01重量%未満であれば、下部膜上の腐食を効果的に抑制しにくいことがある。また、前記腐食防止剤の含量が全体組成物に対して10重量%超過であれば、下部膜上に相当量の腐食防止剤が吸着および残留して銅含有下部膜、特に銅/モリブデン金属膜などの電気的特性を低下させることがある。
【0069】
よって、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物の一実施形態は、2種以上のアミン化合物0.1~10重量%;炭素数1~5の直鎖または分枝鎖のアルキル基が窒素に1~2個置換されたアミド化合物、スルホンおよびスルホキシド化合物からなる群より選択された非プロトン性溶媒10~80重量%;プロトン性溶媒10~80重量%;および腐食防止剤0.01~10重量%;を含むことができる。
【0070】
一方、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物は、シリコン系非イオン性界面活性剤をさらに含むことができる。前記シリコン系非イオン性界面活性剤は、アミン化合物などが含まれていて塩基性の強いストリッパー組成物内でも化学的変化、変性または分解を起こさず安定的に維持でき、前述の非プロトン性極性溶媒またはプロトン性有機溶媒などとの相溶性が優れるようになり得る。これにより、前記シリコン系非イオン性界面活性剤は他の成分とよく混合されてストリッパー組成物の表面張力を低め前記ストリッパー組成物が除去されるフォトレジストおよびその下部膜に対してより優れた湿潤性およびぬれ性を示すようにすることができる。その結果、これを含む一実施形態のストリッパー組成物は、より優れたフォトレジスト剥離力を示すことができるだけでなく、下部膜に対して優れたリンス力を示してストリッパー組成物処理後にも下部膜上に染みまたは異物をほとんど発生および残留させず、このような染みおよび異物を効果的に除去することができる。
【0071】
さらに、前記シリコン系非イオン性界面活性剤は非常に低い含量の添加でも前述の効果を示すことができ、その変性または分解による副産物の発生が最少化できる。
【0072】
具体的に、前記シリコン系非イオン性界面活性剤は、ポリシロキサン系重合体を含むことができる。より具体的に、前記ポリシロキサン系重合体の例が大きく限定されるのではないが、例えば、ポリエーテル変性アクリル官能性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエチルアルキルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエーテル変性ヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、変性アクリル官能性ポリジメチルシロキサンまたはこれらの2種以上の混合物などを使用することができる。
【0073】
前記シリコン系非イオン性界面活性剤は、全体組成物に対して0.0005重量%~0.1重量%、または0.001重量%~0.09重量%、または0.001重量%~0.01重量%の含量で含まれてもよい。前記シリコン系非イオン性界面活性剤の含量が全体組成物に対して0.0005重量%未満である場合、界面活性剤添加によるストリッパー組成物の剥離力およびリンス力向上効果が十分に得られないことがある。また、前記シリコン系非イオン性界面活性剤の含量が全体組成物に対して0.1重量%超過である場合、前記ストリッパー組成物を使用した剥離工程進行時、高圧でバブルが発生して下部膜に染みが発生するか、装備センサーが誤作動を起こすことがある。
【0074】
前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物は必要によって通常の添加剤を追加的に含むことができ、前記添加剤の具体的な種類や含量については特別な制限がない。
【0075】
また、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物は前述の各成分を混合する一般的な方法によって製造でき、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物の具体的な製造方法については特別な制限がない。
【0076】
以上のような発明の一実施形態によるフォトレジスト除去用ストリッパー組成物は、銅が全面蒸着された基板をフォトレジストストリッパー組成物で浸漬させて蒸留水で基板を洗浄した後、XPS(X-ray photoelectron spectroscopy)を使用して下記式1によって測定された洗浄された基板表面の銅酸化物除去力が0.35以下、あるいは0.3以下、あるいは0.25以下、あるいは0.1~0.23になるようにすることができる。
[式1]
Cu Oxide除去力=基板をフォトレジスト除去用ストリッパー組成物でstripした後のXPS narrow scan O(Oxygen)にて定量された数字/基板をフォトレジスト除去用ストリッパー組成物でstripした後のXPS narrow scan Cu(copper)にて定量された数字。
【0077】
上記式1で、O/Cu比率数字が少ないほどCu Oxide除去率に優れたのであるので、本発明の場合、非常に優れた銅酸化物除去力を示すことができる。
【0078】
前記基板は、5cm×5cm大きさを有する銅が全面蒸着されたガラス基板であり得る。
【0079】
前記洗浄された基板は、ストリッパー組成物を使用して50℃の温度で前記銅が全面蒸着された基板を60秒間浸漬(dipping)処理し、3次蒸留水で30秒間洗浄後、Airガンで乾燥して提供されたものであり得る。
【0080】
また、前記フォトレジスト除去用組成物は、前記銅酸化物除去力が優れるだけでなく、フォトレジストに対する優れた剥離力を有しながら銅(Cu)/モリブデン(Mo)金属下部膜の腐食性を防止して、性能の優れたディスプレイを提供することができる。
【0081】
一方、発明の他の実施形態によれば、前記一実施形態のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物を用いてフォトレジストを剥離する段階を含むフォトレジストの剥離方法が提供できる。
【0082】
一実施形態のフォトレジスト剥離方法は、下部膜が形成された基板上にフォトレジストパターンを形成する段階;前記フォトレジストパターンで下部膜をパターニングする段階;および前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物を用いてフォトレジストを剥離する段階を含むことができる。
【0083】
前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物に関する内容は前記一実施形態に関して前述した内容を含む。
【0084】
具体的に、前記フォトレジストの剥離方法は、まず、パターニングされる下部膜が形成された基板上にフォトリソグラフィ工程を通じてフォトレジストパターンを形成する段階以後、前記フォトレジストパターンをマスクにして下部膜をパターニングする段階を経て、前述のストリッパー組成物を用いてフォトレジストを剥離する段階を含むことができる。
【0085】
前記フォトレジストの剥離方法で、フォトレジストパターンの形成段階および下部膜のパターニング段階は通常の素子製造工程を使用することができ、これに関する具体的な製造方法については特別な制限がない。
【0086】
一方、前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物を用いてフォトレジストを剥離する段階の例が大きく限定されるのではないが、例えば、フォトレジストパターンが残留する基板上に前記フォトレジスト除去用ストリッパー組成物を処理し、アルカリ緩衝溶液を用いて洗浄し、超純水で洗浄し、乾燥する方法を使用することができる。前記ストリッパー組成物が優れた剥離力、下部膜上の染みを効果的に除去するリンス力および自然酸化膜除去能を示すことによって、下部膜上に残留するフォトレジストパターンを効果的に除去しながら、下部膜の表面状態を良好に維持することができる。これにより、前記パターニングされた下部膜上に以後の工程を適切に行って素子を形成することができる。
【0087】
前記基板に形成された下部膜の具体的な例が大きく限定されるのではないが、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅合金、モリブデンまたはモリブデン合金、またはこれらの混合物、これらの複合合金、これらの複合積層体などを含むことができる。
【0088】
前記剥離方法の対象になるフォトレジストの種類、成分または物性も大きく限定されるのではなく、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅合金、モリブデンまたはモリブデン合金などを含む下部膜に使用されると知られたフォトレジストであり得る。より具体的に、前記フォトレジストは、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、またはエポキシ樹脂などの感光性樹脂成分を含むことができる。
【発明の効果】
【0089】
本発明によれば、フォトレジストに対する優れた剥離力を有しながら剥離過程で下部金属膜に対する腐食を抑制し、特に絶縁膜蒸着後、CuとITO間の接触部分に発生される金属の酸化物(Cu Oxide)を効果的に除去して絶縁膜での膜浮き上がり不良を解決することができるフォトレジスト除去用ストリッパー組成物およびこれを用いたフォトレジストの剥離方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1】従来のディスプレイ製造工程の絶縁膜のストリップおよびアニーリング工程後の絶縁膜での膜浮き上がり現象を説明するための概略図である。
【
図2】絶縁膜のアニーリング後の膜浮き上がりに対するFE-SEMイメージを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0091】
発明を下記実施例でより詳細に説明する。但し、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるのではない。
【実施例】
【0092】
<実施例および参考例:フォトレジスト除去用ストリッパー組成物の製造>
下記表1の組成によって、各成分を混合して実施例および参考例のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物をそれぞれ製造した。前記製造されたフォトレジスト除去用ストリッパー組成物の具体的な組成は、下記表1および2に記載された通りである。
【0093】
具体的に、下記表1および2の各組成を500mlビーカーで混合して、300gを製造した。製造されたビーカーをホットプレートで攪拌および加温して50℃の温度条件で薬液(ストリッパー組成物)を製造した。
【0094】
【0095】
【0096】
<比較例1~15:フォトレジスト除去用ストリッパー組成物の製造>
下記表3および4の組成によって、各成分を混合して比較例のフォトレジスト除去用ストリッパー組成物をそれぞれ製造した。前記製造されたフォトレジスト除去用ストリッパー組成物の具体的な組成は、下記表3および4に記載された通りである。
【0097】
具体的に、下記表3および4の各組成を500mlビーカーで混合して、300gを製造した。製造されたビーカーをホットプレートで攪拌および加温して50℃の温度条件で薬液(ストリッパー組成物)を製造した。
【0098】
【0099】
【0100】
<実験例:実施例および比較例で得られたフォトレジスト除去用ストリッパー組成物の物性測定>
前記実施例および比較例で得られたストリッパー組成物の物性を下記方法で測定し、その結果を表に示した。
【0101】
1.剥離力評価
(1)評価用基板準備
まず、銅を含む薄膜が形成された100mm×100mmガラス基板にフォトレジスト組成物(商品名:JC-800)3.5mlを滴下し、スピンコーティング装置で400rpmの速度下で10秒間フォトレジスト組成物を塗布した。このようなガラス基板をホットプレートに装着し、170℃の温度で20分間非常に苛酷な条件でハードベークしてフォトレジストを形成した。前記フォトレジストが形成されたガラス基板を常温で空冷した後、50mm×50mm大きさに切断して剥離力評価用試料を準備した。
【0102】
(2)剥離評価
前記実施例および比較例で得られたストリッパー組成物300gを準備し、50℃に昇温させた状態でストリッパー組成物を使用して、前記基板を60~600秒の間の時間で浸漬(dipping)処理した。
【0103】
前記浸漬後、基板を取り出して3次蒸留水で30秒間洗浄する過程を3回繰り返し、Airガンで蒸留水を乾燥させた。
【0104】
光学顕微鏡を使用して、洗浄された試料からフォトレジストの残留がなくなる時間を確認して剥離力を評価した(単位:sec)。
【0105】
前記のような方法で実施例および比較例のストリッパー組成物の剥離力を評価してその結果を下記表5~7に示した。
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
上記表5~7に示されているように、実施例のストリッパー組成物は特定構成と比率の2種以上のアミン化合物を含むことによって、比較例および参考例のストリッパー組成物に比べて同等な水準以上またはさらに優れた剥離力を示すと確認された。
【0110】
即ち、前記実施例1~9および参考例1~3は第3級アミンを基本にして、環状アミンが共に含まれるか、または環状アミンと第1級または第2級線状アミンが共に含まれることによって、比較例に比べて剥離力が向上したのが確認された。また、参考例4~6は第3級アミンに第1級または第2級線状アミンが共に少量含まれて、また比較例に比べて同等水準の剥離力を示した。
【0111】
しかし、参考例1~6は比較例よりは結果が優れたが、実施例1~9に比べて、相対的に剥離力が落ちた。言い換えれば、第3級アミンと他の種類のアミンを含んでも、本願発明の特定アミンの組み合わせと比率を満足しなければ、フォトレジスト組成物に対する剥離力を向上させることができない。
【0112】
反面、実施例1~9の場合、比較例および参考例と比較した時、全般的に全て同等水準以上の優れた剥離力を示した。
【0113】
2.Cu Oxide除去評価
(1)評価用基板準備
銅(パターンない)が全面蒸着された薄膜が形成されたガラス基板を5cm×5cm大きさで準備した。
【0114】
(2)銅酸化物除去評価
前記実施例および比較例で得られたストリッパー組成物300gを準備し、50℃に昇温させた状態でストリッパー組成物を使用して、前記基板を60秒間浸漬(dipping)処理した。
【0115】
前記浸漬後、基板を取り出して3次蒸留水で30秒間洗浄後、Airガンで蒸留水を乾燥させた。
【0116】
XPS(X-ray photoelectron spectroscopy)を使用して、洗浄された試料の銅表面での銅酸化物の除去力を評価した。
【0117】
具体的に、C、Cu、OをXPS narrow scanして元素定量後、O/Cuで計算して、試片でのフォトレジストStrip後のO/Cu ratioを比較した。(O/Cu比率数字が少ないほどCu Oxide除去率が良い)
[式1-1]
Cu Oxide除去力=試料をフォトレジスト除去用ストリッパー組成物でstripした後のXPS narrow scan O(Oxygen)にて定量された数字/試料をフォトレジスト除去用ストリッパー組成物でstripした後のXPS narrow scan Cu(copper)にて定量された数字。
【0118】
前記のような方法で実施例および比較例のストリッパー組成物の銅酸化物の除去力を評価してその結果を下記表8から10に示した。
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
上記表8~10に示されているように、実施例のストリッパー組成物は特定構成と比率の2種以上のアミン化合物を含むことによって、比較例および参考例のストリッパー組成物に比べて同等水準以上の優れたCu Oxideの除去率を示した。
【0123】
即ち、比較例1~9は第1級~第3級アミンまたは環状アミンを単独で含んで、全般的にCu Oxide除去率が実施例より不良であった。また、比較例10~12は第3級アミンに対して、第1級、第2級アミンまたは環状アミンを追加的に含んでも、本発明の特定含量比率を満足しなくて、Cu Oxide除去率が実施例より不良であるのを確認した。また、比較例14~15は脱イオン水またはオキソラン化合物が含まれて、またCu Oxide除去率が不良で金属腐食を引き起こした。
【0124】
特に、第3級アミンのみ含まれている比較例1~3のストリッパー組成物に比べて、実施例1~9の場合、第3級アミンを基本にして、環状および線状アミンが共に含まれることによって、Cu Oxide除去率がさらに向上したのが確認された。また、第3級アミンと環状アミンまたは線状アミンが特定含量比で含まれている参考例1~6の場合、比較例4~9と同等水準以上であったが、比較例1~3に比べて効果が優れた。しかし、参考例1~6は比較例よりは結果が優れたが、実施例1~9に比べて、Cu Oxide除去率が不良であった。言い換えれば、第3級アミンと他の種類のアミンを含んでも、本願発明の特定アミンの組み合わせと比率を満足しなければ、Cu Oxide除去率を向上させることができない。
【0125】
反面、実施例1~9の場合、比較例だけでなく参考例と比較した時、全般的に全て同等水準以上の優れた剥離力を示した。
【0126】
したがって、実施例1~9の場合、第3級アミンに対して、特定含量の環状アミンと第1級または第2級アミンの混合物を共に含ませて、Cu Oxide除去率が非常に優れるのを確認した。
【0127】
このような結果から、実施例のストリッパー組成物はCu Oxide除去率が優れていて、ITO配線アニーリング時、Cu/ITO間の膜浮き上がり不良を解決することができる。
【0128】
3.銅(Cu)/モリブデン(Mo)金属下部膜の腐食性評価(Cu/Mo under-cut damage評価)
(1)評価用基板準備
銅/モリブデンパターンで形成されたガラス基板を5cm×5cm大きさで準備した。
【0129】
(2)銅/モリブデン金属下部膜の腐食性評価
前記実施例および比較例で得られたストリッパー組成物300gを準備し、50℃に昇温させた状態でストリッパー組成物を使用して、前記基板を10分間浸漬(dipping)処理した。
【0130】
前記浸漬後、基板を取り出して3次蒸留水で30秒間洗浄後、Airガンで蒸留水を乾燥させた。
【0131】
透過電子顕微鏡(Helios NanoLab650)を用いて前記実施例、参考例および比較例で得られた下部膜の腐食性評価試料の断面を観察した。具体的に、FIB(Focused Ion Beam)を活用して下部膜の腐食性評価試料の薄片を製作した後、加速電圧2kVで観察し、試料は試片製作過程中にion beamによる表面損傷を防止するために試料表面(Cu層)にPt(白金)protection層を形成させた後、TEM薄片を製作した。
【0132】
前記のような方法で実施例、参考例および比較例のストリッパー組成物の腐食性を評価してその結果を下記表11~13に示した。
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
上記表11~13に示されているように、実施例のストリッパー組成物は特定構成と比率の2種以上のアミン化合物を含むことによって、比較例および参考例のストリッパー組成物に比べて銅(Cu)/モリブデン(Mo)金属下部膜の腐食性が減少して、Cu/Mo under-cutダメージ評価結果が優れるのが確認された。
【0137】
即ち、前記実施例のストリッパー組成物は第3級アミン:1種以上のアミン化合物の重量比が1:0.1~1:0.5範囲内の比率を満足して、第3級アミンに対して共に含まれる他のアミン(環状アミンと第1級または第2級線状アミン)の含量が相対的に少なく含まれるようにすることによって、Cu/Mo金属下部膜の腐食を防止することができるのが確認された。また、参考例の場合も、第3級アミンに対して、環状アミン、第1級または第2級アミンを特定比率でさらに少量で使用することによって、比較例に比べてCu/Mo金属下部膜の腐食性能を向上させた。
【0138】
具体的に、前記実施例1~9および参考例1~3は第3級アミンを基本にして、環状アミンが共に含まれるか、または環状アミンと第1級または第2級線状アミンが共に含まれることによって、剥離力が向上したのが確認された。また、参考例4~6は第3級アミンに第1級または第2級線状アミンが共に含まれて、また比較例に比べて同等水準の剥離力を示した。
【0139】
しかし、参考例1~6は実施例1~9に比べて、同等水準の腐食性を示したが、前述の通り、フォトレジスト組成物の剥離力とCu Oxide除去率を向上させることができない。
【0140】
また、比較例4~9のストリッパー組成物は第1級、第2級アミンまたは環状アミンの含量が増加して、Cu/Mo under-cut sizeが増加して腐食性が不良であるのが確認された。この時、ストリッパー組成物に第3級アミンのみ含まれる比較例1~3は実施例と類似なCu/Mo under-cut大きさを示したが、前述の通り、剥離力とCu Oxide除去率が不良であったことが確認された。また、比較例10~12は、第3級アミンに対して、第1級、第2級アミンまたは環状アミンを追加的に含んでも、本発明の特定含量比率を満足しなくて、結果が不良であった。また、比較例14~15は脱イオン水またはオキソラン化合物が含まれるので、むしろ銅/モリブデン金属下部膜の腐食を引き起こした。
【0141】
このような結果から、実施例のストリッパー組成物は、銅(Cu)/モリブデン(Mo)金属下部膜の腐食を防止する能力が非常に優れるのを確認することができる。