(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物、ならびに、これを用いた膜シール材および膜モジュール
(51)【国際特許分類】
B01D 63/00 20060101AFI20241029BHJP
C08G 18/78 20060101ALI20241029BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20241029BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20241029BHJP
C08G 18/36 20060101ALI20241029BHJP
C08G 18/62 20060101ALI20241029BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20241029BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B01D63/00 500
C08G18/78 037
C08G18/76 057
C08G18/76 078
C08G18/10
C08G18/36
C08G18/62 070
C09K3/10 D
B01D63/02
(21)【出願番号】P 2020008738
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-12-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 孝治
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-056097(JP,A)
【文献】国際公開第2019/022103(WO,A1)
【文献】特開2017-006874(JP,A)
【文献】国際公開第2011/074238(WO,A1)
【文献】米国特許第4256617(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
C08G 18/10
C08G 18/32
C08G 18/36
C08G 18/38
C08G 18/42
C08G 18/62
C08G 18/76
C08G 18/78
C09K 3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)と、
硬化剤(B)と、を含む膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物であって、
前記ポリイソシアネートプレポリマー(A)は、
ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)と、
活性水素含有化合物(a2)と、の反応生成物を含有し、
前記硬化剤(B)は、ヒマシ油重合ポリオール(b1)を含み、
該ヒマシ油重合ポリオール(b1)は、ヒマシ油のホモポリマーであるヒマシ油重合物を含み、
硬化剤(B)が、
ヒマシ油重合ポリオール(b1)、
ヒマシ油およびヒマシ油系変性ポリオールからなる群より選択される少なくとも1種のポリオール(b2)、および、
前記ヒマシ油重合ポリオール(b1)および前記ポリオール(b2)以外の水酸基含有アミン系化合物(b3)を含み、
硬化剤(B)中の水酸基含有アミン系化合物(b3)の含有量が、35質量%以下であり、
ポリイソシアネートプレポリマー(A)および硬化剤(B)の総質量に対して、架橋基密度が0.65mmol/g以上である膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項2】
前記ヒマシ油重合物の含有量が、前記ポリイソシアネートプレポリマー(A)および前記硬化剤(B)の総質量に対して、1質量%以上35質量%以下である請求項
1に記載の膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項3】
アロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)と、
硬化剤(B)と、を含む膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物であって、
前記ポリイソシアネートプレポリマー(A)は、
ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)と、
活性水素含有化合物(a2)と、の反応生成物を含有し、
前記硬化剤(B)は、ヒマシ油重合ポリオール(b1)を含み、
該ヒマシ油重合ポリオール(b1)は、
ヒマシ油のホモポリマーであるヒマシ油重合物
を含み、
該ヒマシ油重合物の含有量が、前記ポリイソシアネートプレポリマー(A)および前記硬化剤(B)の総質量に対して、1質量%以上35質量%以下であ
り、
硬化剤(B)が、
ヒマシ油重合ポリオール(b1)、
ヒマシ油およびヒマシ油系変性ポリオールからなる群より選択される少なくとも1種のポリオール(b2)、および、
前記ヒマシ油重合ポリオール(b1)および前記ポリオール(b2)以外の水酸基含有アミン系化合物(b3)を含み、
硬化剤(B)中の水酸基含有アミン系化合物(b3)の含有量が、35質量%以下である膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物を含む膜シール材。
【請求項5】
本体部と、
膜と、
前記本体部と、前記膜と、の間隙を封止する膜シール材と、を備え、
前記膜シール材が、
請求項4に記載の膜シール材である、膜モジュール。
【請求項6】
前記膜が、複数本の中空糸膜であり、
前記膜シール材は、
前記本体部と、前記複数本の中空糸膜の少なくとも一部と、の間隙、および、
前記複数本の中空糸膜相互の間隙の少なくとも一部を封止する
請求項5に記載の膜モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物、ならびに、これを用いた膜シール材および膜モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
中空糸膜モジュールに使用される中空糸膜には、膜の細孔を維持するために保持剤(グリセリン)が使用されているグリセリン含有中空糸膜がある。しかしながら、前記グリセリン含有中空糸膜においては、注型時にジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記する)を含有するポリウレタン樹脂形成性組成物を用いると、MDIとグリセリンとの低分子反応物が生成し、この反応物が中空糸膜の周囲に存在する液体に溶出することが知られている。
【0003】
そこで特許文献1は、MDIおよびヒマシ油の反応物から得られたイソシアネート基末端プレポリマーを含有するポリイソシアネート成分(主剤)と、ポリオール成分(硬化剤)と、を含む膜モジュールのシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を開示している。さらに特許文献1は、かかるシール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物から得られるポリウレタン樹脂の溶出量が低減されることを開示している。
【0004】
また、MDIとモノオールとから誘導されるアロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマーは、低粘度かつ低温時におけるMDIの析出が少なく、取り扱いが容易であることから、接着剤やシール材の分野において有用であり、広く応用されている。
特許文献2は、MDIとポリエーテルモノオールとから誘導されるアロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマーが低粘度であること、ならびに、該プレポリマーから得られるエラストマーは機械特性に優れることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-25383号公報
【文献】特開2009-030059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1にかかる組成物は、主剤の粘度が高く、低粘度化が求められている。したがって、特許文献1にかかる組成物は、主剤と硬化剤との混合初期粘度が高いという問題を有しており、成形時の充填不良が生じることがある。
また特許文献2にかかる組成物は、ウレタン樹脂から溶出する溶出物が多いことが問題であり、溶出量の低減が望まれている。
そこで、本開示の一実施形態は、低粘度で注型性に優れるとともに、MDIとグリセリンとの低分子反応物の水溶出量、および、成型物の溶媒溶出量が低減されたウレタン樹脂の形成に資するポリウレタン樹脂形成性組成物、ならびに該形成性組成物を用いたシール材および膜モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、以下の実施形態を含む。
(1): アロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)と、
硬化剤(B)と、を含む膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物であって、
前記ポリイソシアネートプレポリマー(A)は、
ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)と、
活性水素含有化合物(a2)と、の反応生成物を含有し、
前記硬化剤(B)は、ヒマシ油重合ポリオール(b1)を含み、
該ヒマシ油重合ポリオール(b1)は、ヒマシ油重合物を含み、
前記ポリイソシアネートプレポリマー(A)および硬化剤(B)の総質量に対して、架橋基密度が0.65mmol/g以上であることを特徴とする膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
(2): アロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)と、
硬化剤(B)と、を含む膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物であって、
前記ポリイソシアネートプレポリマー(A)は、
ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)と、
活性水素含有化合物(a2)と、の反応生成物を含有し、
前記硬化剤(B)は、ヒマシ油重合ポリオール(b1)を含み、
該ヒマシ油重合ポリオール(b1)は、ヒマシ油重合物を含み、
該ヒマシ油重合物の含有量が、前記ポリイソシアネートプレポリマー(A)および前記硬化剤(B)の総質量に対して、1質量%以上35質量%以下である膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物。
(3): 上記(1)または(2)に記載の膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物を含む膜シール材。
(4): 本体部と、
膜と、
前記本体部と、前記膜と、の間隙を封止する膜シール材と、を備え、
前記膜シール材が、上記(3)に記載の膜シール材である、膜モジュール。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態によれば、低粘度で注型性に優れるとともに、ジフェニルメタンジイソシアネートとグリセリンとの低分子反応物の水溶出量、および、成型物の溶媒溶出量が低減されたウレタン樹脂の形成に資するポリウレタン樹脂形成性組成物、ならびに該形成性組成物を用いたシール材および膜モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態にかかる膜モジュールの構成の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を詳細に説明する。
【0011】
[膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の第1の実施形態]
本開示の一実施形態にかかる膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物は、
アロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)と、
硬化剤(B)と、を含む膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物であって、
前記アロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)は、
ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)と、
活性水素含有化合物(a2)と、の反応生成物を含有し、
前記硬化剤(B)は、ヒマシ油重合物を含むヒマシ油重合ポリオール(b1)を含み、
前記ポリイソシアネートプレポリマー(A)および硬化剤(B)の総質量に対して、架橋基密度が0.65mmol/g以上である。
【0012】
〈アロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)〉
アロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)は、ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)と、活性水素含有化合物(a2)と、の反応生成物を含有する。
【0013】
〈〈ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)〉〉
ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)としては、一般に入手できるいずれのジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIともいう。)のモノマーも使用できる。MDIモノマーのアイソマーは通常2,2’-MDIが0質量%以上5質量%以下、2,4’-MDIが0質量%以上95質量%以下、4,4’-MDIが5質量%以上100質量%以下である。
MDI(a1)としては、より低粘度のアロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)を得るために、前述のMDIを用いることが好ましい。ただし、アロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)のある程度の高粘度化も許容されるならば、MDI(a1)としてポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)も使用できる。その場合のポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートの含有量は、使用するイソシアネート成分中0質量%以上50質量%以下が好ましい。50質量%以下であると粘度が充分に低くなり、また、不溶解物の生成もより高度に抑制できる。
【0014】
〈〈活性水素含有化合物(a2)〉〉
活性水素含有化合物(a2)としては、活性水素を含有する化合物であれば特に制限はない。活性水素含有化合物(a2)としては、例えば、モノアルコール、ヒマシ油、ヒマシ油系変性ポリオール、低分子ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリラクトン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等のポリオール等が挙げられる。さらに、モノアルコールとしては、脂肪族モノアルコール、芳香族モノアルコール、脂環族モノアルコール、芳香脂肪族モノアルコール、ポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
【0015】
脂肪族モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1-及び2-プロパノール、1-及び2-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、2-エチルヘキサノール、3,5-ジメチル-1-ヘキサノール、2,2,4-トリメチル-1-ペンタノール、1-ノナノール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、1-ドデカノール、1-トリデカノール、1-テトラデカノール、1-ペンタデカノール、1-ヘキサデカノール、1-ヘプタデカノール、1-オクタデカノール、1-ノナデカノール、1-エイコサノール、1-ヘキサコサノール、1-ヘプタトリコンタノール、1-オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール等の脂肪族モノアルコール、およびこれらの混合物等が挙げられる。
脂肪族モノアルコールの数平均分子量は32以上1500以下が好ましく、100以上1000以下であることがより好ましい。分子量がこの範囲であると、ポリウレタン樹脂の成型加工性、接着強度にさらに優れる。
【0016】
芳香族モノアルコールとしては、例えば、フェノール、クレゾール等が挙げられる。
【0017】
脂環族モノアルコールとしては、例えば、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール等が挙げられる。
【0018】
芳香脂肪族モノアルコールとしては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0019】
ポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば前記した脂肪族モノアルコールとポリオキシプロピレングリコールとの反応物が挙げられ、ポリオキシプロピレンメチルエーテル、ポリオキシプロピレンエチルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシプロピレン-2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレン-2-オクチルドデカエーテルおよびこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテルの数平均分子量は90以上1500以下が好ましい。なお、ポリウレタン樹脂の成型加工性、接着強度にさらに優れるとの観点から、その数平均分子量は150以上1000以下であることがより好ましい。
【0020】
ヒマシ油系変性ポリオールとしては、ヒマシ油またはヒマシ油脂肪酸と、低分子ポリオールおよびポリエーテルポリオールからなる群より選択される少なくとも1種のポリオールとの反応により得られる線状または分岐状のヒマシ油系変性ポリオールが挙げられる。具体例としては、例えばヒマシ油脂肪酸のジグリセライド、およびモノグリセライド;ヒマシ油脂肪酸とトリメチロールアルカンとのモノ、ジ、およびトリエステル;ヒマシ油脂肪酸とポリプロピレングリコールとのモノ、ジ、およびトリエステル;等が挙げられる。
なお、ヒマシ油の主成分は、リシノール酸のトリグリセライドであり、ヒマシ油には水素添加ヒマシ油が含まれる。また、ヒマシ油脂肪酸の主成分はリシノール酸であり、ヒマシ油脂肪酸には、水素添加ヒマシ油脂肪酸が含まれる。
【0021】
また、前記トリメチロールアルカンとしては、例えばトリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールペンタン、トリメチロールヘキサン、トリメチロールヘプタン、トリメチロールオクタン、トリメチロールノナンおよびトリメチロールデカン等が挙げられる。
【0022】
ヒマシ油系変性ポリオールの数平均分子量は400以上3000以下であることが好ましく、500以上2500以下が更に好ましい。数平均分子量が400以上3000以下のヒマシ油系変性ポリオールを用いることにより、膜シール材に要求される物性、特に機械的特性にさらに優れた硬化樹脂を形成することができる。
【0023】
ヒマシ油およびヒマシ油系変性ポリオールの平均水酸基価は20mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましく、40mgKOH/g以上250mgKOH/g以下が更に好ましい。平均水酸基価が20mgKOH/g以上300mgKOH/g以下のヒマシ油系変性ポリオールを用いることにより、膜シール材に要求される物性、特に機械的特性がさらに優れた硬化樹脂を形成することができる。さらに、膜シール材の生産性、ひいては、中空糸膜モジュールの生産性の向上も図ることができる。
【0024】
低分子ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-、1,3-または1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、水添ビスフェノールA等の2価のポリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース等の3~8価のポリオール等が挙げられる。低分子ポリオールの数平均分子量は、50以上200以下であることが好ましい。
【0025】
ポリエーテル系ポリオールとしては、上記低分子ポリオールのアルキレンオキサイド(炭素数2~8個のアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物、およびアルキレンオキサイドの開環重合物等が挙げられ、具体的にはポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、またはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合物等が挙げられる。ポリエーテル系ポリオールの数平均分子量は、膜シール材製造時において成型加工性にさらに優れるとの観点から200以上7000以下が好ましく、500以上5000以下であることが更に好ましい。
【0026】
ポリエステル系ポリオールとしては、例えばポリカルボン酸とポリオールとの縮合重合により得られるポリエステル系ポリオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールに用いるポリカルボン酸としては、例えばアジピン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2量化リノール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の脂肪族飽和、不飽和ポリカルボン酸、および芳香族ポリカルボン酸等が挙げられる。
また、ポリエステル系ポリオールに用いるポリオールとしては、例えば上記した低分子ポリオール、ポリエーテル系ポリオール等が挙げられる。
【0027】
ポリエステル系ポリオールの数平均分子量は、200以上5000以下が好ましく、500以上3000以下が更に好ましい。数平均分子量が200以上5000以下のポリエステル系ポリオールを用いることにより、膜シール材形成時の成形加工性に特に優れる。
【0028】
ポリラクトン系ポリオールとしては、例えばグリコール類やトリオール類の重合開始剤に、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、ε-メチル-ε-カプロラクトン、およびβ-メチル-δ-バレロラクトン等を、有機金属化合物、金属キレート化合物、脂肪酸金属アシル化合物等の触媒の存在下で、付加重合させて得られるポリオールが挙げられる。ポリラクトン系ポリオールの数平均分子量は、200以上5000以下が好ましく、500以上3000以下が更に好ましい。数平均分子量が200以上5000以下のポリラクトン系ポリオールを用いることにより、膜シール材形成時の成形加工性に特に優れる。
【0029】
ポリオレフィン系ポリオールとしては、ポリブタジエン、またはブタジエンとスチレンもしくはアクリロニトリルとの共重合体の末端に水酸基を導入したポリブタジエン系ポリオールが挙げられる。その他、末端にカルボキシル基および水酸基を有するポリエステルにアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加反応させて得られるポリエーテルエステルポリオールも挙げられる。
【0030】
これらのうち、活性水素含有化合物(a2)としては、硬化剤(B)との相溶性を考慮し、炭素数10以上の脂肪族アルコールやヒマシ油またはヒマシ油系変性ポリオールが好ましい。
【0031】
<<アロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)の製法>>
アロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)は、例えばジフェニルメタンジイソシアネート(a1)と活性水素含有化合物(a2)とをウレタン化反応させた後、触媒(a3)を所定量添加してアロファネート化し、触媒毒(a4)により反応を停止させることにより得られるものが好ましい。
【0032】
<<触媒(a3)>>
触媒(a3)としては、例えば、アセチルアセトン亜鉛;亜鉛、鉛、錫、銅、コバルト等とカルボン酸との金属カルボン酸塩、およびこれらの混合物;3級アミン、3級アミノアルコール、4級アンモニウム塩およびこれらの混合物;等が挙げられる。
触媒(a3)の添加量は、ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)と活性水素含有化合物(a2)との合計質量に対して、1ppm以上500ppm以下の範囲内であることが好ましく、5ppm以上300ppm以下の範囲内であることがより好ましい。1ppm以上では反応がより迅速となり、500ppm以下であるとプレポリマーの着色がさらに良好に抑制されるため好ましい。
【0033】
<<活性メチレン化合物>>
本開示における、3級アミンや4級アンモニウム塩によるアロファネート化において、反応が急激で制御が難しい場合は、カルボン酸アミドおよびスルホン酸アミドおよび式(1)で示される活性メチレン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加することが有効である。
【0034】
【0035】
式中、
R1は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基およびアリール基からなる群より選ばれるいずれか1つであり、
R2およびR3は、各々独立して、水酸基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基、オキシアルキル基、オキシアルケニル基、オキシシクロアルキル基、オキシアリールアルキル基およびオキシアリール基からなる群より選ばれるいずれか1つである。
【0036】
カルボン酸アミドとしては、例えばホルムアミド、アセトアミド、プロピオン酸アミド、ブタン酸アミド、イソブタン酸アミド、ヘキサン酸アミド、オクタン酸アミド、2-エチルヘキサン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミド、2-フェニルアセトアミド、4-メチルベンズアミド、2-アミノベンズアミド、3-アミノベンズアミド、4-アミノベンズアミドおよびこれらの混合物等が挙げられる。
【0037】
スルホン酸アミドとしては、例えばメチルスルホンアミド、ブチルスルホンアミド、t-ブチルスルホンアミド、フェニルスルホンアミド、ベンジルスルホンアミド、o-トルイルスルホンアミド、p-トルイルスルホンアミド、3-アミノフェニルスルホンアミド、4-アミノフェニルスルホンアミドおよびこれらの混合物等が挙げられる。
【0038】
式(1)で示される活性メチレン化合物の具体例としては、例えばアセチルアセトン、3-メチル-2,4-ペンタンジオン、3-エチル-2,4-ペンタンジオン、3,5-ヘプタンジオン、3,5-ヘプタンジオン、6-メチル-2,4-ヘプタンジオン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、3-オキソペンタン酸メチル、マロン酸、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等が挙げられる。該活性メチレン化合物は、これらの2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0039】
また、前記したカルボン酸アミドおよびスルホン酸アミドおよび前記式(1)で示される活性メチレン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種は、触媒添加の直前から触媒添加30分後までの間に添加することが好ましい。
【0040】
アロファネート化を行う温度は、より高温であるほどアロファネート基の生成割合が高く低粘度になりやすいが、ウレトジオン化、カルボジイミド化等の副反応が起こりやすくなる。また、低温での反応ではイソシアヌレート基の生成量が多くなり粘度が高くなるため、その反応温度は20℃以上200℃以下が好ましく、イソシアヌレート基の生成割合を20モル%以下に抑え、より低粘度とするためには、60℃以上160℃以下が好ましい。
【0041】
<<触媒毒(a4)>>
触媒毒(a4)としては、酸性物質が好ましい。触媒毒(a4)としては、例えば無水塩化水素、硫酸、燐酸、モノアルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、モノまたはジアルキル燐酸エステル、塩化ベンゾイル、ルイス酸が挙げられる。触媒毒(a4)の添加量は、触媒(a3)のモル数に対し当量以上加えることが好ましく、触媒(a3)のモル数の1.0倍モル当量以上1.5倍モル当量以下を加えることがより好ましい。
【0042】
<<MDIのモノマーの含有量>>
MDIのモノマーの含有量は、MDIとグリセリンとの低分子反応物をさらに低減するために、膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の総量に対して、25質量%以下であることが好ましい。
【0043】
<<反応温度>>
ウレタン化反応は、40℃以上80℃以下の温度範囲で、目標のNCO含量となるまで反応することが好ましい。40℃以上であるとモノマーMDIの結晶析出をより良好に抑制でき、80℃以下であると副反応物の生成をより抑制できる。
【0044】
アロファネート化反応は、90℃以上130℃以下の温度範囲で、目標のNCO含量となるまで反応することが好ましい。90℃以上では反応がより迅速となり、130℃以下であると副反応物の生成をより抑制できる。
【0045】
<<イソシアネート基の含有量>>
ポリイソシアネートプレポリマー(A)のイソシアネート基の含有量は、13.0質量%以上21.0質量%以下が好ましく、13.5質量%以上20.5質量%以下がより好ましく、14.0質量%以上20.0質量%以下であることが特に好ましい。これらの範囲であると、ポリウレタン樹脂の成型加工性、接着強度にさらに優れる。
【0046】
<硬化剤(B)>
硬化剤(B)は、ヒマシ油重合ポリオール(b1)を含む。
また、硬化剤(B)が、
ヒマシ油重合ポリオール(b1)と、
ヒマシ油およびヒマシ油系変性ポリオールからなる群から選択される少なくとも1種(b2)のポリオールと、を含むことが好ましい。
さらに、硬化剤(B)が、
ヒマシ油重合ポリオール(b1)と、
ヒマシ油およびヒマシ油系変性ポリオールからなる群より選択される少なくとも1種(b2)のポリオールと、
前記ヒマシ油重合ポリオール(b1)および前記ポリオール(b2)以外の水酸基含有アミン系化合物(b3)と、を含み;
硬化剤(B)中の水酸基含有アミン系化合物(b3)の含有量が、35質量%以下であることがより好ましい。
【0047】
<<ヒマシ油重合ポリオール(b1)>>
ヒマシ油重合ポリオール(b1)は、ヒマシ油重合物を含む。ヒマシ油重合ポリオール(b1)を含有することで、成形時の加工性向上、溶出物の抑制等に対してより優れた効果を奏する。
【0048】
ヒマシ油重合物の含有量は、ポリイソシアネートプレポリマー(A)および硬化剤(B)の総質量に対して、1.0質量%以上35.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以上25.0質量%以下がより好ましく、3.0質量%以上15.0質量%以下であることが特に好ましい。これらの範囲であると、ポリウレタン樹脂の成型加工性、溶出量の低減にさらに優れる。
【0049】
なお、ヒマシ油重合ポリオール(b1)は、ヒマシ油重合物と、ヒマシ油(非重合)と、を含んでいてもよい。このとき、ヒマシ油重合ポリオール(b1)中のヒマシ油重合物の含有量は、例えば、GPC(Gel Permeation Chromatography;ゲル浸透クロマトグラフィー)測定により分子量が1500以上のものをヒマシ油重合物と見なして算出することができる。ただし、ヒマシ油重合物の含有量の算出方法はこれに限られるものではなく、ヒマシ油重合物とヒマシ油(非重合)とを精度よく区別して算出できればどのような方法であってもよい。
【0050】
<<ヒマシ油およびヒマシ油系変性ポリオールからなる群より選択される少なくとも1種のポリオール(b2)>>
ヒマシ油およびヒマシ油系変性ポリオール(b2)としては、特に制限はない。
ヒマシ油は、ヒマシ油そのものである。
ヒマシ油系変性ポリオールは、例えば、前述した活性水素含有化合物(a2)で挙げたヒマシ油系変性ポリオールと同じものが挙げられる。
【0051】
<<水酸基含有アミン系化合物(b3)>>
水酸基含有アミン系化合物(b3)は、ヒマシ油重合ポリオール(b1)およびヒマシ油およびヒマシ油系変性ポリオールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオール(b2)以外の水酸基含有アミン系化合物である。すなわち、水酸基含有アミン系化合物(b3)は、ヒマシ油重合ポリオール(b1)およびポリオール(b2)のいずれにも該当しない、水酸基含有アミン系化合物である。
【0052】
水酸基含有アミン系化合物(b3)としては、アルキルジエタノールアミン(例えば直鎖または分岐のブチルジエタノールアミン、ヘキシルジエタノールアミン、オクチルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、セチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン等)等や、低分子ポリアミンや低分子アミノアルコール(例えば、エチレンジアミンのプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドの付加物であるN,N,N’,N’-テトラキス[2-ヒドロキシプロピル]エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス[2-ヒドロキシエチル]エチレンジアミン等のアミノ化合物のオキシアルキル化誘導体;モノ、ジ、トリエタノールアミン;N-メチル-N,N’-ジエタノールアミン等)等のアミノアルコール誘導体等のアミン系化合物が挙げられる。この中でも好ましいものは、エチレンジアミン等のアミノ化合物のプロピレンオキサイドもしくはエチレンオキサイド付加物であり、最も好ましいものは、N,N,N’,N’-テトラキス[2-ヒドロキシプロピル]エチレンジアミンである。N,N,N’,N’-テトラキス[2-ヒドロキシプロピル]エチレンジアミンを使用することにより、成型時の加工性向上、溶出量の低下等により一層の効果を奏する。
【0053】
また、水酸基含有アミン系化合物(b3)の含有量は、硬化剤(B)中において、35質量%以下であることが好ましく、5質量%以上34質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上33質量%以下であることが特に好ましい。硬化剤(B)中の水酸基含有アミン系化合物(b3)の含有量が5質量%以上であると、水酸基含有アミン系化合物(b3)がより良好に硬化促進の機能を発揮し、より一層の効果を奏する。硬化剤(B)中の水酸基含有アミン系化合物(b3)の割合が35質量%以下であると、反応性が高くなり過ぎることがより抑制され、作業性がさらに良好となって充填性が担保され、また、得られる膜シール材の硬度が高くなり過ぎることがさらに抑制される。
【0054】
<<活性水素含有化合物(b4)>>
硬化剤(B)中に、ヒマシ油重合ポリオール(b1)、ポリオール(b2)、および水酸基含有アミン系化合物(b3)以外の活性水素含有化合物(以下、「活性水素含有化合物(b4)」という。)を含有してもよい。活性水素含有化合物(b4)としては、前記活性水素含有化合物(a2)で挙げた各種ポリオールを用いることができる。
【0055】
硬化剤(B)中、ヒマシ油およびヒマシ油系変性ポリオールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオール(b2)の含有量Mb2と、活性水素含有化合物(b4)の含有量Mb4と、の質量比(Mb2)/(Mb4)は、50/50以上100/0以下であることが好ましく、100/0が特に好ましい。すなわち、硬化剤(B)は、ヒマシ油重合ポリオール(b1)、およびポリオール(b2)のみ、もしくは、ヒマシ油重合ポリオール(b1)、ポリオール(b2)、および水酸基含有アミン系化合物(b3)のみからなることが特に好ましい。
【0056】
また、水酸基含有アミン系化合物(b3)を考慮した場合、ヒマシ油重合ポリオール(b1)の含有量をMb1、水酸基含有アミン系化合物(b3)の含有量をMb3としたとき、質量比(Mb3)/{(Mb1)+(Mb2)}が、5/95以上35/65以下であることが好ましく、硬化性、充填性の観点から、10/90以上33/67以下であることが更に好ましい。
【0057】
硬化剤(B)の水酸基価は、50mgKOH/g以上1000mgKOH/g以下が好ましく、硬化剤(B)の取り扱いが容易であるとの観点から、75mgKOH/g以上750mgKOH/g以下がより好ましい。ポリウレタン樹脂の優れた成型加工性、接着強度の観点から、硬化剤(B)の水酸基価は、100mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることが最も好ましい。
【0058】
硬化剤(B)の25℃における粘度は、100mPa・s以上6000mPa・s以下が好ましく、硬化剤(B)の取り扱いが容易であるとの観点から、150mPa・s以上4000mPa・s以下がより好ましい。ポリウレタン樹脂の優れた成型加工性の観点から、硬化剤(B)の25℃における粘度は、200mPa・s以上2000mPa・s以下であることが最も好ましい。
【0059】
<架橋基密度>
膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の架橋基密度は、溶媒に溶出する量を抑制するため、ポリイソシアネートプレポリマー(A)および硬化剤(B)の総質量に対して、0.65mmol/g以上であることが好ましく、0.70mmol/g以上であることがより好ましく、0.75mmol/g以上1.20以下であることが特に好ましい。架橋基密度が1.20以下であると、成型加工性がより良好になる。
【0060】
なお、架橋基密度とは、架橋を形成し得る基と、架橋をすでに形成している基と、の合計の含有密度を意味する。
したがって、3官能のポリオール(例えば、グリセリン)を例に挙げて説明すると、1分子中の1個の水酸基が架橋を形成し、残りの2個の水酸基は架橋には寄与しないものであるため、この場合であれば架橋基は1個である。すなわち、3官能のポリオールを含有する膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の場合、3官能のポリオールに由来する架橋基の含有量とは、3官能のポリオールが1つの架橋基を有するため、3官能のポリオールの含有量と同義である。
【0061】
[膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の第2の実施形態]
本発明の他の実施形態は、アロファネート基含有ポリイソシアネートプレポリマー(A)と、
硬化剤(B)と、を含む膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物であって、
前記ポリイソシアネートプレポリマー(A)は、
ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)と、
活性水素含有化合物(a2)と、の反応生成物を含有し、
前記硬化剤(B)は、ヒマシ油重合ポリオール(b1)を含み、
該ヒマシ油重合ポリオール(b1)は、ヒマシ油重合物を含み、
該ヒマシ油重合物の含有量が、前記ポリイソシアネートプレポリマー(A)および前記硬化剤(B)の総質量に対して、1質量%以上35質量%以下である。
なお、各構成要件については上述した第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0062】
本開示の各実施形態によれば、低粘度で注型性に優れるとともに、ジフェニルメタンジイソシアネートとグリセリンとの低分子反応物の水溶出量、および、成型物の溶媒溶出量が低減されたウレタン樹脂の形成に資するポリウレタン樹脂形成性組成物、ならびに該形成性組成物を用いた膜シール材および膜モジュールを提供することができる。
【0063】
<膜シール材>
本開示の一実施形態にかかる膜シール材は、上述した膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物の硬化物を含む。
膜シール材は、0℃以上100℃以下、好ましくは20℃以上80℃以下、更に好ましくは30℃以上60℃以下の温度条件下において、前記ポリイソシアネートプレポリマー(A)を構成するイソシアネート成分と、前記硬化剤(B)を構成するポリオール成分とを反応・硬化させることにより好適に形成することができる。膜シール材は高温域にて成形することでゲル化時間の短縮が可能だが、成形収縮が起こり易いため、触媒を添加することで反応温度を下げ、成形収縮を抑えることもできる。
【0064】
<膜モジュール>
本開示の一実施形態にかかる膜モジュールは、
本体部と、
膜と、
前記本体部と、前記膜と、の間隙を封止する膜シール材と、を備え、
前記膜シール材が、上述した膜シール材である。
【0065】
次いで、本開示の一実施形態にかかる膜モジュールについて図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
図1は本開示の一実施形態にかかる膜モジュールの構成の一例を示す概念図である。
図1に示す膜モジュール(中空糸膜モジュール)100は、ハウジング(本体部)11を備え、その内部に複数の中空糸膜(膜)13が充填されている。例えば、透析器として用いられる中空糸膜モジュールの場合、数千~数万本の中空糸膜が充填されている。
【0066】
ハウジング11は円筒状の形状を有する。ハウジング11内部の両端(
図1中の左右両端)には膜シール材19がそれぞれ設けられている。膜シール材は、中空糸膜13同士の間隙、および、中空糸膜13とハウジング11の内壁との間の間隙を埋めて封止するとともに、複数本の中空糸膜13を結束する。
【0067】
また、ハウジング11の側面には第1の流体入口15および第1の流体出口17が設けられており、これらを介してハウジング11内には第1の流体(気体または液体)が流出入する。第1の流体入口15から流入した第1の流体は、ハウジング11内に充填された複数の中空糸膜13と接触しながらその間隙(中空糸膜外部)を通過し、第1の流体出口17から排出される。なお、中空糸膜13内部には膜シール材19が存在していないため、中空糸膜13内には不図示のキャップ部材に設けられた第2の流入口(一端側)および第2の流出口(他端側)を介して第2の流体(気体または液体)が流出入する。そして、中空糸膜13を介して第1の流体と第2の流体とが接触することで、一方の流体中から他方の流体中への(あるいはさらに他方の流体中から一方への流体中への)物質移動が生じる。例えば、中空糸膜型の透析器の場合、透析液と血液とが接触することで、血液中の老廃物や過剰な水分が透析液に移動する。
【0068】
なお、
図1に示す膜モジュール100は、複数の中空糸膜13を備え、それらの両端において膜シール材19が間隙を封止する構成であるが、本実施形態にかかる膜モジュールはかかる構成に何ら限定されるものではない。例えば、平膜、スパイラル膜等の種々の形状を有する、複数または単数の膜であってもよい。また、膜シール材は膜の両端に設けられた構成に限られるものではなく、膜の一部(中空糸状であれば一端)のみに設けられていてもよく、膜の端部すべて、例えば平膜の外縁部すべてに設けられていてもよい。さらに、シール材は、膜の端部以外の一部に設けられて封止する構成であってもよい。また、
図1に示す膜モジュール100のハウジング11は円筒状の形状を有するが、円筒状以外の任意の形状であってもよい。
【0069】
膜モジュール100は、複数の中空糸膜13の集束体の端部における中空糸膜13相互の隙間を、上述した膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物により封止し、当該組成物を硬化させて上述した膜シール材を形成する(当該膜シール材によって中空糸膜相互の間隙が封止される)。
【0070】
本開示の一実施形態にかかる膜モジュールは、溶出する量が良好に低減されるため、医療用、水処理用モジュールとして好適に使用することができる。膜モジュールとして具体的には、血漿分離装置、人工肺、人工腎臓、人工肝臓、家庭用・工業用水処理装置が挙げられる。
【実施例】
【0071】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの例によって何ら限定して解釈されるものではない。なお、以下において「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。
【0072】
以下の成分を実施例および比較例で使用した。
[ポリイソシアネートプレポリマー(A)]
・a1-1;4,4’-MDI(東ソー社製 ミリオネートMT、
イソシアネート基含有量=33.6%)
・a1-2;2,4’-MDIおよび4,4’-MDIの混合物(東ソー社製
ミリオネートNM、イソシアネート基含有量=33.6%)
・a1-3;4,4’-MDIのカルボジイミド変性体(東ソー社製
ミリオネートMTL-C、イソシアネート基含有量=28.6%、
架橋基密度=0.45mmol/g)
・a2-1;ヒマシ油脂肪酸メチルエステル(伊藤製油社製 COFA-MD、
OHV=160mgKOH/g)
・a2-2;ポリプロピレングリコール(ADEKA社製 PP-1000、
OHV=111mgKOH/g)
・a2-3;イソトリデカノール(KHネオケム社製、OHV=275mgKOH/g)
・a2-4;2-オクチルドデカノール(花王社製 カルコール200GD、
水酸基価=185mgKOH/g)
・a2-5;ヒマシ油(伊藤製油社製URIC H-30、
OHV=160mgKOH/g、粘度(25℃)=690mPa・s、
数平均分子量1500以上のヒマシ油重合物含有量=1%以下、
架橋基密度=0.74mmol/g)
・a3-1;アセチルアセトン亜鉛(東京化成工業社製)
・a3-2;2-[{2-(ジメチルアミノ)エチル}メチルアミノ]エタノール
(東ソー社製 商品名TOYOCAT RX5)
・活性メチレン化合物;マロン酸ジエチル(東京化成工業社製)
・a4 ;塩化ベンゾイル(東京化成工業社製)
【0073】
[硬化剤(B)]
・b1-1;ヒマシ油重合物(伊藤製油製ポリキャスター♯30、
OHV=155mgKOH/g、粘度(25℃)=4800mPa・s、
数平均分子量1500以上のヒマシ油重合物含有量=約54%、
架橋基密度=1.84mmol/g)
・b2-1;部分脱水ヒマシ油 (伊藤製油社製 URIC H-41、
OHV=120mgKOH/g、架橋基密度=0mmol/g)
・b3-1;N,N,N’,N’-テトラキス[2-ヒドロキシプロピル]エチレンジアミン
(ADEKA社製 EDP-300、OHV=760mgKOH/g、
粘度(25℃)=50000mPa・s、架橋基密度=2.63mmol/g)
・b3-2;N-ラウリルジエタノールアミン(花王社製 アミート102、
OHV=394mgKOH/g、25℃における粘度=100mPa・s、
架橋基密度=0mmol/g)
なお、製造例、実施例および比較例において所定量とは、表1~表2に記載の各組成量をいう。
【0074】
[架橋基密度算出方法]
表1~4に示す架橋基密度は、各原料メーカー開示の官能基数、水酸基価とともに、GPC測定により得られた数平均分子量から次の式を用いて算出した。なお、GPC測定は、後述する<硬化剤のGPC測定条件>に準じて行った。
【0075】
【0076】
[製造例1~8]
(製造例1:主剤(A-1)の製造)
2リットル容の四口フラスコにa1-1を193g、a1-2を450g加え、窒素気流下攪拌しながら50℃に調整した。次いで攪拌しながらa2-1を269g、a2-2を88g加え、ウレタン化反応の発熱が収まった後に90℃まで昇温した。内温が90℃で安定したところで、触媒a3-1を0.1g添加し90℃で4時間反応させ、触媒毒a4を0.14g加え反応を停止させ、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。以下、このイソシアネート基末端プレポリマーを「主剤(A-1)」とする。主剤(A-1)において、得られたイソシアネート基末端プレポリマーにおけるイソシアネート基(NCO)含有量は13.5質量%であり、25℃における粘度は3330mPa・sであった。
【0077】
(製造例2、4~6)
イソシアネート成分およびポリオール成分を表1に示す組成に変更し、製造例1と同様の操作でプレポリマーを合成した。いずれも淡黄色透明液体で低粘度のプレポリマーが得られた。以下、これらのプレポリマーを、主剤(A-2)、(A-4)~(A-6)とする。また、主剤(A-2)、(A-4)~(A-6)の性状を表1に示す。
【0078】
[製造例3]
(製造例3:主剤(A-3)の製造)
2リットル容の四口フラスコにa1-1を231g、a1-2を538g加え、窒素気流下攪拌しながら50℃に調整した。次いで攪拌しながらa2-3を231g加え、ウレタン化反応の発熱が収まった後に110℃まで昇温した。内温が110℃で安定したところで、活性メチレン化合物、触媒a3-2を順に所定量添加し、アロファネート化反応を開始した。内液をサンプリングしNCO含有量を測定しながら反応を追い、NCO含有量が16.1%になると予測される時点で触媒毒a4を所定量加え反応を停止させ、アロファネート変性体を含むポリイソシアネート組成物を得た。以下、このポリイソシアネート組成物を主剤(A-3)とする。主剤(A-3)は、淡黄色透明液体であり、25℃における粘度は3630mPa・sであった。
【0079】
(製造例7:主剤(A-7)の製造)
1リットル容の四口フラスコにa1-1を300g、a1-2を300g加え、窒素気流下で攪拌しながら50℃に温調した。次いで、攪拌しながらa2-5を400g加え、ウレタン化反応の発熱が収まった後に、75℃で3時間反応させ、プレポリマーを得た。以下、このプレポリマーを、主剤(A-5)とする。また、主剤(A-5)は淡黄色透明液体で、25℃における粘度は3750mPa・sであった。その性状を表1に示す。
【0080】
[製造例8:主剤(A-8)の製造]
a1-3(4,4’-MDIのカルボジイミド変性体、東ソー社製ミリオネートMTL-C)を、主剤(A-8)とする。また、主剤(A-8)の性状を表1に示す。
【0081】
【0082】
[硬化剤(B)の調製例1~12]
b1およびb2、b3、a2を表2に示す配合比に従って各々の原料を仕込み、撹拌並びに均一混合を行い、硬化剤(B-1)~(B-12)を得た。硬化剤(B-1)~(B-12)の性状を表2に示す。
【0083】
【0084】
[実施例1~10、比較例1~9]
実施例1~10、比較例1~9では、表3および表4に示す組成でウレタン樹脂組成物を成形した。
表3および表4に記載の値は、下記の試験結果から算出した。
【0085】
[NCO含有量測定]
表1に示す主剤(A-1)~(A-8)において、NCO含有量は、JIS K1603-1:2007に準じて行った。
【0086】
[MDIのモノマー含有量測定]
表1に示す主剤(A-1)~(A-8)において、MDIのモノマーの含有量(質量%)は、GPC測定により、下記の条件および方法により求めた。
【0087】
<イソシアネートプレポリマーのGPC測定条件>
(1)測定装置:「HLC-8120(商品名)」(東ソー社製)
(2)カラム温度:40℃
(3)検出器:RI(屈折率)
(4)カラム:充填剤として、TSKgel G3000HXL、TSKgel G2000HXL、TSKgel G1000HXL(いずれも商品名、東ソー社製)の3種をそれぞれ充填したカラムを直列に接続して測定。
(5)溶離液:テトラヒドロフラン(THF)(流量:1mL/min.、40℃)
(6)検量線:以下のグレードのポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)を用いて、検量線を得た。F-2(1.81×104)F-1(1.02×104)A-5000(5.97×103)A-2500(2.63×103)A-500(Mw=6.82×102、5.78×102、4.74××102、3.70×102、2.66×102)トルエン(Mw=92)
(7)サンプル:サンプル0.05gのTHF10mL溶液
【0088】
<測定方法>
始めにポリスチレンを標準物質として、屈折率差により検出して得られたチャートから、検量線を得た。次に各サンプルについて、同じ検量線に基づき屈折率差により検出して得られたチャートから、MDIのモノマーを示すピークトップ分子量(数平均分子量)230付近のピークの質量%を求めた。得られたものを、MDIモノマーの含有量(%)とした。
【0089】
[ヒマシ油重合物含有量測定]
表2に示す硬化剤(B-1)~(B-11)において、ヒマシ油重合物含有量(質量%)は、GPC測定により、下記の条件および方法により求めた。
【0090】
<硬化剤のGPC測定条件>
(1)測定装置:「HLC-8120(商品名)」(東ソー社製)
(2)カラム:充填剤として、TSKgel G2000HXL、TSKgel G3000HXL(いずれも商品名、東ソー社製)をそれぞれ2本ずつ充填した4本のカラムを直列に接続した。
(3)カラム温度:40℃
(4)検出器:RI(屈折率)
(5)溶離液:テトラヒドロフラン(THF)(流量:1mL/min.、40℃)
(6)検量線:以下の商品名(何れも三洋化成工業社製)の3官能のポリプロピレンポリオールを用いて、検量線を得た。
・「サンニックスGP-250」(数平均分子量=250)
・「サンニックスGP-400」(数平均分子量=400)
・「サンニックスGP-600」(数平均分子量=600)
・「サンニックスGP-1000」(数平均分子量=1000)
・「サンニックスGP-3000」(数平均分子量=3000)
・「サンニックスGP-4000」(数平均分子量=4000)
・「サンニックスGP-5000」(数平均分子量=5000)
(7)サンプル溶液:サンプル0.05gのTHF10mL溶液
【0091】
<測定方法>
始めにポリスチレンを標準物質として、屈折率差により検出して得られたチャートから、検量線を得た。次に各サンプルについて、同じ検量線に基づき屈折率差により検出して得られたチャートから、精製ヒマシ油を示すピークトップ分子量1000付近のピークの質量%を求めた。精製ヒマシ油以外のピークは分子量1500以上であり、この分子量1500以上のピークをヒマシ油重合物のピークとした。すなわち、精製ヒマシ油の質量%以外をヒマシ油重合物の質量%として求めた。
【0092】
[メタノール抽出試験用サンプルの作成]
(実施例1~10、比較例1~9)
主剤(A-1)~(A-8)、硬化剤(B-1)~(B-11)を表3、表4に示す組み合わせで、液温25℃もしくは45℃、イソシアネート基/活性水素基=1.00もしくは1.05(モル比)の条件下、500mlポリカップに主剤60g、次いで硬化剤40gをすばやく計量した。スパチュラで30秒間混合し、50mmHgで60秒間真空脱泡を行った。脱泡後混合液を離型紙上に展開し、厚さ1mmのシート状とし、温度45度、時間2日間、恒温槽内で静置した。
【0093】
[メタノール抽出試験]
実施例1~10、比較例1~9において得られた樹脂硬化物の低分子溶出物値は、以下の方法により測定した。
先ず、各実施例および比較例で得られたメタノール抽出測定サンプルを10mm角にカットした。次に、500mlサンプル瓶にカットしたサンプル20gとメタノール200gを入れ密栓し、25℃で24時間振盪した。振盪後、さらに濾過し、抽出液を300mlナスフラスコに回収し、蒸発乾固させた。そして、下式によりメタノール抽出率を求めた。
メタノール抽出率(%)={蒸発乾固後のナスフラスコ質量(g)-ナスフラスコ空質量(g)}/サンプル質量(g)×100
メタノール抽出率は1.0%未満が好ましい。
【0094】
[低分子溶出試験用サンプルの作成]
(実施例1~10、比較例1~9)
主剤(A-1)~(A-8)、硬化剤(B-1)~(B-12)を表3に示す組み合わせで、液温25℃もしくは45℃、イソシアネート基/活性水素基=1.00もしくは1.05(モル比)の条件下、合計質量が30gとなるように主剤と硬化剤とを配合して混合液を作製した。ついで、得られた混合液を15秒撹拌した。更にグリセリン10gを添加(中空糸に含有するグリセリンを想定)して15秒間撹拌し、ポリウレタン樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物を1次キュア条件として温度50℃、時間10分間、2次キュア条件として温度45度、時間2日間、恒温槽内で静置した。
【0095】
[低分子溶出物抽出試験]
実施例1~10、比較例1~9において得られた樹脂硬化物の低分子溶出物値は、以下の方法により測定した。
先ず、各実施例および比較例で得られた低分子溶出物値測定サンプルを扇形に裁断したものをそれぞれ20g秤量し、予め40℃に加温した100mlの精製水に浸漬し、40℃で2時間放置し、精製水中に低分子溶出物を抽出した。次いで、得られた抽出液をデカンテーションして50mlのメスフラスコに10ml入れ、精製水にて50mlに調整した液を試験液とした。そして、試験液のUV吸光度測定(島津製作所社製、製品名 UV-1500)を行った。240~245nmにおける吸光度の最大値の10分の1の値を低分子溶出物値とした。低分子溶出物値は0.07未満が好ましく、0.065未満がより好ましい。
【0096】
[混合粘度・ポットライフ試験]
実施例1~10、比較例1~9において、樹脂硬化物を得る際の混合粘度・ポットライフは、以下の方法により求めた。
予め25℃もしくは45℃に温度調整した主剤と硬化剤とを、イソシアネート基/活性水素基=1.00(モル比)もしくは1.05(モル比)になる配合で合計50gとなるように計量、混合して混合物を得た。次いで、25℃雰囲気下で回転粘度計(B型、4号ローター)を用いて混合物の粘度を測定した。主剤と硬化剤との混合を開始した時点から60秒経過後の粘度を混合粘度とし、混合物の粘度が50000mPa・sに到達するまでの時間をポットライフ(秒)とした。混合粘度1800mPa・s以下、ポットライフ1800秒以内であれば充填性良好、且つ、ポットライフ300秒以内であれば速硬化性良好と判断した。
【0097】
[硬度評価]
外観評価に使用した硬化物について、25℃におけるショアD硬度を測定した。結果を表3および表4に示す。なお、硬度の測定はJIS K 7312:1996に準じて行った。
【0098】
[外観評価]
表3および表4に示す組み合わせによる膜シール材用ポリウレタン樹脂形成性組成物について、各々、10~20kPaで3分間減圧脱泡した後、ステンレス製金型(100mm×100mm×8mm)に流し込んだ。これを45℃で2日間静置キュアした後に脱型し、硬化物を得た。得られた硬化物について、外観を目視で評価し、濁りのないものをA、わずかでも濁りや硬化不足の認められるものをB、白濁したものをCとした。
【0099】
【0100】
【0101】
本開示の一実施形態によれば、低粘度で注型性に優れるとともに、ジフェニルメタンジイソシアネートとグリセリンとの低分子反応物の水溶出量、および、成型物の溶媒溶出量が低減されたウレタン樹脂の形成に資するポリウレタン樹脂形成性組成物、ならびに該形成性組成物を用いたシール材および膜モジュールを提供することが可能となる。従って、本開示の一実施形態にかかる膜シール材は、医療用、工業用分離装置を構成する膜シール材として好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0102】
11 ハウジング
13 中空糸膜
15 第1の流体入口
17 第1の流体出口
19 膜シール材
100 膜モジュール(中空糸膜モジュール)