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特許7578062情報処理装置および情報処理装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
G06F1/26 303
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021081542
(22)【出願日】2021-05-13
(65)【公開番号】P2022175280
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】嵯峨 嘉孝
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-152841(JP,A)
【文献】特開平11-184569(JP,A)
【文献】特開2020-075386(JP,A)
【文献】特開平6-259172(JP,A)
【文献】特開2004-342767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源供給経路に供給される電源電圧により動作する第1揮発性メモリと、
第2電源供給経路に供給される電源電圧により動作する第2揮発性メモリと、
電源電圧の前記第1電源供給経路および前記第2電源供給経路への供給を制御する電源供給部と、
第1電源電圧を第1電源線に出力する1次電池と、
第2電源電圧を第2電源線に出力する2次電池と、
前記第1電源線を前記第2電源供給経路に接続する第1スイッチと、
前記第2電源線を前記第2電源供給経路に接続する第2スイッチと、
前記第2電源線を前記第1電源供給経路に接続する第3スイッチと、
前記電源供給部による制御により前記電源電圧の供給が正常に停止した場合、前記第1スイッチをオフし、前記第2スイッチをオンし、前記第3スイッチをオフし、前記電源供給部による制御によらず前記電源電圧の供給が異常に停止した場合、前記第1スイッチをオンし、前記第2スイッチをオフし、前記第3スイッチをオンするスイッチ制御部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記電源電圧を監視する外部電源監視部と、
前記電源供給部により前記電源電圧が供給された場合に起動フラグ信号を起動レベルに設定し、前記電源供給部により前記電源電圧の供給が停止される場合に前記起動フラグ信号を停止レベルに設定するフラグ信号生成部と、を有し、
前記スイッチ制御部は、前記起動フラグ信号の前記停止レベル中に前記外部電源監視部により第1閾値電圧以下の前記電源電圧が検出された場合、前記電源電圧の供給が正常に停止したと判断し、前記起動フラグ信号の前記起動レベル中に前記外部電源監視部により前記第1閾値電圧以下の前記電源電圧が検出された場合、前記電源電圧の供給が異常に停止したと判断すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記スイッチ制御部、前記外部電源監視部および前記フラグ信号生成部は、前記第2電源供給経路に供給される電源電圧に基づいて動作すること、
を特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2電源電圧を監視する第2電源監視部を有し、
前記スイッチ制御部は、前記電源電圧の供給が正常に停止したと判断された後、前記第2電源監視部により第2閾値電圧以下の前記第2電源電圧が検出された場合、第1スイッチをオンし、前記第2スイッチをオフすること
を特徴とする請求項2または請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1揮発性メモリが集積された第1チップと、前記第2揮発性メモリと前記第2揮発性メモリにアクセスする回路とが集積された第2チップとを搭載したパッケージを有すること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1揮発性メモリが集積された第1チップと、前記第2揮発性メモリと前記スイッチ制御部とが集積された第2チップとを搭載されたパッケージを有すること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
第1電源供給経路に供給される電源電圧により動作する第1揮発性メモリと、第2電源供給経路に供給される電源電圧により動作する第2揮発性メモリと、電源電圧の前記第1電源供給経路および前記第2電源供給経路への供給を制御する電源供給部と、第1電源電圧を第1電源線に出力する1次電池と、第2電源電圧を第2電源線に出力する2次電池と、前記第1電源線を前記第2電源供給経路に接続する第1スイッチと、前記第2電源線を前記第2電源供給経路に接続する第2スイッチと、前記第2電源線を前記第1電源供給経路に接続する第3スイッチと、を有する情報処理装置の制御方法であって、
前記電源供給部による制御により前記電源電圧の供給が正常に停止した場合、前記第1スイッチをオフし、前記第2スイッチをオンし、前記第3スイッチをオフし、前記電源供給部による制御によらず前記電源電圧の供給が異常に停止した場合、前記第1スイッチをオンし、前記第2スイッチをオフし、前記第3スイッチをオンすること
を特徴とする情報処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高い信頼性を必要とする情報処理装置等のシステムでは、電源の正常遮断時および異常遮断時に揮発性メモリに保持されたデータの消失を防止するために、1次電池または2次電池等の補助電源が使用される。例えば、電源の正常遮断時には、1次電池を使用して揮発性メモリに保持されたデータが保持され、あるいは、揮発性メモリに保持されたデータが不揮発性メモリに退避される。停電等の電源の異常遮断時には、2次電池を使用して揮発性メモリに保持されたデータが保持される(例えば、特許文献1、2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1次電池は充電できないため、製品寿命まで電力を供給可能にするためには放電容量が十分に大きい1次電池をシステムに搭載する必要がある。しかしながら、放電容量が大きい1次電池の使用は、システムコストが上昇を招く。
【0004】
開示の技術は、電源電圧の遮断中のデータの保持に使用する1次電池の使用頻度を適切に制御することで、放電容量の小さい1次電池を採用可能にし、製品コストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一形態の情報処理装置は、第1電源供給経路に供給される電源電圧により動作する第1揮発性メモリと、第2電源供給経路に供給される電源電圧により動作する第2揮発性メモリと、電源電圧の前記第1電源供給経路および前記第2電源供給経路への供給を制御する電源供給部と、第1電源電圧を第1電源線に出力する1次電池と、第2電源電圧を第2電源線に出力する2次電池と、前記第1電源線を前記第2電源供給経路に接続する第1スイッチと、前記第2電源線を前記第2電源供給経路に接続する第2スイッチと、前記第2電源線を前記第1電源供給経路に接続する第3スイッチと、前記電源供給部による制御により前記電源電圧の供給が正常に停止した場合、前記第1スイッチをオフし、前記第2スイッチをオンし、前記第3スイッチをオフし、前記電源供給部による制御によらず前記電源電圧の供給が異常に停止した場合、前記第1スイッチをオンし、前記第2スイッチをオフし、前記第3スイッチをオンするスイッチ制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
電源電圧の遮断中のデータの保持に使用する1次電池の使用頻度を適切に制御することで、放電容量の小さい1次電池を採用可能にし、製品コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の一例を示すブロック図である。
図2図1のスイッチ制御部の一例を示す回路図である。
図3図2のスイッチ制御部の入力と出力との関係を示す真理値表である。
図4図1の情報処理装置の動作の一例を示すタイミング図である。
図5図1の情報処理装置の動作の別の例を示すタイミング図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置の一例を示すブロック図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施の形態の説明を行う。以下では、信号が伝達される信号線には、信号名と同じ符号を使用し、電圧が供給される電圧線には、電圧名と同じ符号を使用する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の一例を示すブロック図である。図1に示す情報処理装置100は、電源供給部10、充電制御部12、2次電池14、第2電源監視部16、外部電源監視部18、電圧生成部20、1次電池22および第1電源監視部24を有する。また、情報処理装置100は、システム制御部26、給電フラグ記憶部28およびスイッチ制御部30を有する。
【0010】
さらに、情報処理装置100は、電圧生成部32、34、DRAM(Dynamic Random Access Memory)36、SRAM(Static Random Access Memory)38および不揮発性メモリ40を有する。例えば、不揮発性メモリ40は、フラッシュメモリまたはHDD(Hard Disk Drive)等である。また、情報処理装置100は、スイッチSW1、SW2、SW3およびダイオードD1、D2、D3、D4、D5を有する。
【0011】
DRAM36は、第1揮発性メモリの一例である。SRAM38は、第2揮発性メモリの一例である。スイッチSW1は、第1スイッチの一例である。スイッチSW2は、第2スイッチの一例である。スイッチSW3は、第3スイッチの一例である。例えば、スイッチSW1、SW2、SW3は、FET(Field Effect Transistor)等のディスクリート部品が使用されてもよい。
【0012】
例えば、情報処理装置100は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクス機能等を有するMFP(Multi-Function Peripheral)内に制御基板の形態で搭載され、ファクス機能を実現する。図1は、制御基板に搭載される部品の一部を示している。なお、情報処理装置100が搭載されるシステムは、MFPに限定されない。
【0013】
電源供給部10は、情報処理装置100の起動時(パワーオン時)に生成されるパワーオン信号PONのアサートに応答して、図示しない電源端子に供給される外部電源電圧EVCCを電源電圧VCCとして充電制御部12および電圧生成部20、32、34等に出力する。電源供給部10は、情報処理装置100の遮断時(パワーオフ時)に生成されるパワーオン信号PONのネゲートに応答して、電源電圧VCCの出力を停止する。
【0014】
充電制御部12は、電源電圧VCCを使用して2次電池14を充電する。2次電池14は、電源線VBAT2に1電源電圧VBAT2を出力する。電源線VBAT2は、第2電源線の一例であり、電源電圧VBAT2は、第2電源電圧の一例である。
【0015】
第2電源監視部16は、電源電圧VBAT2が第2閾値電圧VT2(図4)より高いことを検出したときに監視信号VBAT2Mを論理0に設定する。第2電源監視部16は、電源電圧VBAT2が第2閾値電圧VT2以下であることを検出したときに監視信号VBAT2Mを論理1に設定する。なお、監視信号VBAT2Mの極性は、上記に限定されず、電源電圧VBAT2が第2閾値電圧VT2より高いときに監視信号VBAT2Mが論理1に設定されてもよい。
【0016】
外部電源監視部18は、電源電圧VCCが第1閾値電圧VT1(図4)より高いことを検出したときに監視信号VCCMを論理0に設定する。外部電源監視部18は、電源電圧VCCが第1閾値電圧VT1以下であることを検出したときに監視信号VCCMを論理1に設定する。なお、監視信号VCCMの極性は、上記に限定されず、電源電圧VCCが第1閾値電圧VT1より高いときに監視信号VCCMが論理1に設定されてもよい。
【0017】
電圧生成部20は、電源供給部10から出力される電源電圧VCCを使用して、システム電源電圧VSYSおよび他の電源電圧を生成する。システム電源電圧VSYSは、第1電源監視部24およびシステム制御部26等の動作電圧として使用される。例えば、他の電源電圧は、PCIe(Peripheral Component Interconnect express)等の高速シリアルインタフェース、HDDまたはUSB(Universal Serial Bus)インタフェースの動作電圧として使用される。
【0018】
1次電池22は、電源線VBAT1に電源電圧VBAT1を出力する。例えば、電源電圧VBAT1の値は、電源電圧VBAT2の値と同じである。電源線VBAT1は、第1電源線の一例であり、電源電圧VBAT1は、第1電源電圧の一例である。第1電源監視部24は、電源電圧VBAT1が所定の閾値電圧より高いときに監視信号VBAT1Mを論理0に設定する。第1電源監視部24は、電源電圧VBAT1が所定の閾値電圧以下のときに監視信号VBAT1Mを論理1に設定する。なお、監視信号VBAT1Mの極性は、上記に限定されず、電源電圧VBAT1が所定の閾値電圧より高いときに監視信号VBAT1Mが論理1に設定されてもよい。
【0019】
システム制御部26は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはSoC(System on a Chip)等のチップの形態を有している。システム制御部26は、CPU(Central Processing Unit)261および汎用出力端子262を有する。CPU261は、不揮発性メモリ40に格納された制御プログラムを実行することで、情報処理装置100の全体の動作を制御する。CPU261は、情報処理装置100の機能を実現するためにDRAM36およびSRAM38にアクセスし、データを読み書きする。また、CPU261は、汎用出力端子262を介してデータ信号DTおよびトリガ信号TRGを給電フラグ記憶部28に出力する。
【0020】
給電フラグ記憶部28は、データ信号DTをデータ端子Dで受信し、トリガ信号TRGをクロック端子CLKで受信し、フラグ信号VFLGを出力端子Qから出力するフリップフロップFFである。給電フラグ記憶部28は、トリガ信号TRGに同期して受信したデータ信号DTの論理を起動フラグ信号VFLGとしてスイッチ制御部30に出力する。CPU261、汎用出力端子262および給電フラグ記憶部28は、起動フラグ信号VFLGを起動レベルまたは停止レベルに設定するフラグ信号生成部の一例である。
【0021】
スイッチ制御部30は、監視信号VCCM、VBAT2Mおよび起動フラグ信号VFLGの論理に応じてスイッチ制御信号SCNT1、SCNT2、DCNTを出力する。例えば、スイッチ制御部30は、ディスクリート部品またはPLD(Programmable Logic Device)等を使用して設けられる。
【0022】
スイッチSW1は、スイッチ制御信号SCNT1が論理0のときにオフし、スイッチ制御信号SCNT1が論理1のときにオンする。スイッチSW2は、スイッチ制御信号SCNT2が論理0のときにオフし、スイッチ制御信号SCNT2が論理1のときにオンする。スイッチSW3は、スイッチ制御信号DCNTが論理0のときにオフし、スイッチ制御信号DCNTが論理1のときにオンする。なお、スイッチ制御信号SCNT1、SCNT2、DCNTの極性は、上記に限定されず、論理1のときにスイッチSW1、SW2、SW3がそれぞれオンされてもよい。
【0023】
ダイオードD1は、アノードがスイッチSW1の一端に接続され、カソードが電源供給経路VSに接続される。ダイオードD2は、アノードがスイッチSW2の一端に接続され、カソードが電源供給経路VSに接続される。ダイオードD3は、アノードが電源線VCCに接続され、カソードが電源供給経路VSに接続される。
【0024】
ダイオードD4は、アノードがスイッチSW3の一端に接続され、カソードが電源供給経路VDに接続される。ダイオードD5は、アノードが電源線VCCに接続され、カソードが電源供給経路VDに接続される。
【0025】
電圧生成部32は、電源供給経路VDを介してダイオードD4、D5のカソードに接続される。電源供給経路VDは、第1電源供給経路の一例である。電圧生成部32は、ダイオードD5および電源供給経路VDを介して電源電圧VCCを受ける。電圧生成部32は、スイッチSW3、ダイオードD4および電源供給経路VDを介して電源電圧VBAT2を受ける。
【0026】
電圧生成部32は、受けた電源電圧VCCまたは電源電圧VBAT2を使用して、DRAM36の動作に使用する複数種の電源電圧VCCDを生成し、生成した電源電圧VCCDをDRAM36に出力する。例えば、複数種の電源電圧VCCDは、DRAM36の論理回路の動作電圧および入出力回路の動作電圧として使用される。電圧生成部32により生成される複数種の電源電圧VCCDのDRAM36への供給タイミングおよび遮断タイミングは、図示しないリセット制御回路により制御される。
【0027】
電圧生成部34は、電源供給経路VSを介してダイオードD3、D4、D5のカソードに接続される。電源供給経路VSは、第2電源供給経路の一例である。電圧生成部34は、ダイオードD3および電源供給経路VSを介して電源電圧VCCを受ける。電圧生成部34は、スイッチSW2、ダイオードD2および電源供給経路VSを介して電源電圧VBAT2を受ける。
【0028】
電圧生成部34は、スイッチSW1、ダイオードD1および電源供給経路VSを介して電源電圧VBAT1を受ける。電圧生成部34は、受けた電源電圧VCC、電源電圧VBAT2または電源電圧VBAT1を使用して電源電圧VCCSを生成し、生成した電源電圧VCCSをSRAM38の動作電圧としてSRAM38に出力する。なお、電源電圧VCCSは、第2電源監視部16、外部電源監視部18、給電フラグ記憶部28およびスイッチ制御部30の動作電圧としても使用される。
【0029】
電源電圧VCCSは、電源電圧VCC、VBAT1、VBAT2のいずれかを使用して生成される。このため、1次電池22が電源電圧VBAT1を生成可能な期間、第2電源監視部16、外部電源監視部18、給電フラグ記憶部28およびスイッチ制御部30を動作させることができる。また、情報処理装置100のパワーオフ期間で、2次電池14が電源電圧VBAT2を出力可能な期間、電源電圧VCCSは、電源電圧VBAT2を使用して生成される。この期間、1次電池22は使用されないため、1次電池22の容量の減少を抑制することができ、情報処理装置100の寿命を延ばすことができる。
【0030】
特に限定されないが、例えば、DRAM36は、DDR(Double Data Rate)-SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)である。DRAM36には、情報処理装置100の動作中にワークデータが保持される。DRAM36は、停電等により電源電圧VCCの供給が遮断された場合、2次電池14からの電源電圧VBAT2によりワークデータを維持可能である。なお、DRAM36は、セルフリフレッシュ機能を有しており、電源電圧VCCDの供給を受けている間、システム制御部26により制御を受けることなくデータを保持し続けることが可能である。
【0031】
特に限定されないが、例えば、SRAM38は、低電力タイプの汎用製品である。SRAM38に保持されるデータには、停電等の電源異常時にも失われてはならない重要なデータが含まれる。このため、SRAM38は、情報処理装置100の停止中、2次電池14からの電源電圧VBAT2または1次電池22からの電源電圧VBAT1を受けて、データを保持し続ける。
【0032】
また、SRAM38は、停電等により電源電圧VCCの供給が遮断された場合、1次電池22からの電源電圧VBAT1を受けてデータを保持し続ける。このため、SRAM38は、停電等により電源電圧VCCの供給が遮断された場合にも、1次電池22の寿命により電源電圧VBAT1の出力が停止されるまでデータを保持可能である。
【0033】
図2は、図1のスイッチ制御部30の一例を示す回路図である。スイッチ制御部30は、インバータIV1、IV2、2入力のアンド回路AND1、3入力のアンド回路AND2、AND3および2入力のオア回路ORを有する。
【0034】
インバータIV1は、起動フラグ信号VFLGの論理を反転してアンド回路AND2、AND3に出力する。インバータIV2は、監視信号VBAT2Mの論理を反転してアンド回路AND3に出力する。アンド回路AND1は、起動フラグ信号VFLGと監視信号VCCMとのアンド論理を、スイッチSW3を制御するスイッチ制御信号DCNTとして出力する。
【0035】
アンド回路AND3は、起動フラグ信号VFLGの反転論理と監視信号VCCMと監視信号VBAT2Mの反転論理とのアンド論理をスイッチ制御信号SCNT2として出力する。オア回路ORは、スイッチ制御信号DCNTとアンド回路AND2の出力とのオア論理をスイッチ制御信号SCNT1として出力する。
【0036】
以上をまとめると、スイッチ制御信号DCNT、SCNT2、SCNT1は、式(1)、(2)、(3)により生成される。式(1)~(3)において、符号×は論理積を示し、符号+は論理和を示し、符号/は否定を示す。
【0037】
DCNT=VFLG×VCCM ‥(1)
SCNT2=/VFLG×VCCM×/VBAT2M ‥(2)
SCNT1=DCNT+/VFLG×VCCM×VBAT2M ‥(3)
【0038】
図3は、図2のスイッチ制御部30の入力と出力との関係を示す真理値表である。図3において、起動フラグ信号VFLGの論理0は、外部電源電圧EVCCが供給されていないとき、情報処理装置100のパワーオンシーケンス中、または、情報処理装置100のパワーオフシーケンス中を示す。すなわち、起動フラグ信号VFLGの論理0は、情報処理装置100が起動していないこと(OFF)を示す。起動フラグ信号VFLGの論理1は、情報処理装置100の起動中(ON;パワーオンシーケンスの完了からパワーオフシーケンスの開始まで)を示す。
【0039】
監視信号VCCMの論理0は、電源供給部10から出力される電源電圧VCCが正常値であることを示す。監視信号VCCMの論理1は、電源供給部10から出力される電源電圧VCCが正常値より低下していることを示す。監視信号VBAT2Mの論理0は、2次電池14から出力される電源電圧VBAT2が正常値であることを示す。監視信号VBAT2Mの論理1は、2次電池14から出力される電源電圧VBAT2が正常値より低下していることを示す。
【0040】
電源電圧VCCが正常値の場合(No.1、No.2、No.5、No.6)、DRAM36およびSRAM38には電源電圧VCCが供給されればよい。このため、スイッチ制御信号DCNT、SCNT2、SCNT1は、全て論理0に設定され、スイッチSW1、SW2、SW3はオフされる。
【0041】
一方、電源電圧VCCが正常値より低い場合、DRAM36およびSRAM38には2次電池14からの電源電圧VBAT2または1次電池22からの電源電圧VBAT1を供給する必要がある。
【0042】
起動フラグ信号VFLGが論理0で監視信号VCCMが論理1の場合(No.3、No.4)、情報処理装置100はパワーオフ状態である。電源電圧VCCが生成されていないため、スイッチ制御信号DCNTは論理0に設定され、スイッチSW3はオフされる。
【0043】
パワーオフ状態で起動フラグ信号VFLGが論理0の場合、CPU261は、パワーオフ状態になる前のパワーオフシーケンスにおいて、正規の手順によりDRAM36に保持されているデータのうち必要なデータをSRAM38等に退避済みである。
【0044】
パワーオフ状態において、2次電池14からの電源電圧VBAT2が正常な場合、SRAM38のデータは、2次電池14からの電源電圧VBAT2を使用して保持される。この場合、スイッチ制御信号SCNT2は論理1に設定されてスイッチSW2がオンされ、スイッチ制御信号SCNT1は論理0に設定されてスイッチSW1はオフされる(No.3)。
【0045】
また、パワーオフ状態において、2次電池14からの電源電圧VBAT2が正常値より低くなった場合、SRAM38のデータは、1次電池22からの電源電圧VBAT1を使用して保持される。この場合、スイッチ制御信号SCNT2は論理0に設定されてスイッチSW2がオフされ、スイッチ制御信号SCNT1は論理1に設定されてスイッチSW1はオンされる(No.4)。
【0046】
このように、2次電池14からの電源電圧VBAT2が正常な場合、1次電池22からの電源電圧VBAT1を使用せずに、2次電池14からの電源電圧VBAT2を使用してSRAM38のデータを保持することができる。電源電圧VBAT1は、電源電圧VBAT2が正常値より低くなった場合に使用される。これにより、1次電池22の容量の減少を抑制することができ、1次電池22の寿命を長くすることができる。したがって、より小さい放電容量の1次電池22を使用することが可能になり、1次電池のコストを削減することができる。制御基板への1次電池22の実装面積が小さくなる場合、制御基板のコストも削減することができる。この結果、情報処理装置100のコストを削減することができる。
【0047】
一方、起動フラグ信号VFLGが論理1で監視信号VCCMが論理1の場合(No.7、No.8)、情報処理装置100の起動中に、停電等により外部電源電圧EVCCの供給が遮断されたことを示す。この場合、DRAM36およびSRAM38にはバックアップが必要なデータが残っている。
【0048】
情報処理装置100は、DRAM36およびSRAM38に保持されているデータの消失を防止するために、2次電池14からの電源電圧VBAT2をDRAM36に供給し、1次電池22からの電源電圧VBAT1をSRAM38に供給する。このため、スイッチ制御信号DCNTは論理1に設定されてスイッチSW3はオンされ、スイッチ制御信号SCNT1は論理1に設定されてスイッチSW1はオンされる。なお、No.7、No.8では、スイッチ制御信号SCNT2は、論理0に維持され、スイッチSW2はオフ状態に維持される。
【0049】
図4は、図1の情報処理装置100の動作の一例を示すタイミング図である。すなわち、図4は、情報処理装置100の制御方法の一例を示す。情報処理装置100が起動される前、電源供給部10は電源電圧VCCを出力しておらず、2次電池14からの電源電圧VBAT2は正常値である。
【0050】
また、前回のパワーオフシーケンスが正規の手順で正常に実行されたため、起動フラグ信号VFLGは論理0に設定されている。電源電圧VCCが生成されていないため、監視信号VCCMは論理1である。2次電池14の電圧が正常であるため、監視信号VBAT2Mは論理0である。このため、スイッチ制御信号DCNT、SCNT2、SCNT1は、論理0、論理1、論理0にそれぞれ設定されている。
【0051】
スイッチSW3、SW2、SW1は、それぞれオフ、オン、オフされているため、電源電圧VBAT2がSRAM38に供給され、SRAM38に保持されているデータが維持されている。DRAM36は、給電されないため、データを保持していない。
【0052】
情報処理装置100が起動され、パワーオン信号PONがアサートされると、電源供給部10は、電源電圧VCCの出力を開始する。電圧生成部20は、システム電源電圧VSYSの生成を開始する。電圧生成部32は、DRAM36用の電源電圧VCCDの生成を開始する。
【0053】
タイミング(a)において、電源電圧VCCが第1閾値電圧VT1を超えると、監視信号VCCMが論理0に変化するため、スイッチ制御信号SCNT2は論理0に変化する。これにより、スイッチSW2がオフし、電圧生成部34は、電源電圧VBAT2の使用と停止し、電源電圧VCCを使用してSRAM38用の電源電圧VCCSを生成する。この後、CPU261は、パワーオンシーケンスを実行する。
【0054】
パワーオンシーケンスの完了後、タイミング(b)において、CPU261は、汎用出力端子262を介して給電フラグ記憶部28に保持された論理を書き換え、起動フラグ信号VFLGを論理1に設定する。すなわち、情報処理装置100の内部状態は起動状態に設定され、情報処理装置100は、データ処理等を実行する。スイッチ制御信号DCNT、SCNT2、SCNT1の状態は変化しないため、DRAM36およびSRAM38への給電状態は変化しない。
【0055】
CPU261は、情報処理装置100の電源を停止する場合、正規のパワーオフシーケンスを実行する。パワーオフシーケンスの完了後、タイミング(c)において、CPU261は、汎用出力端子262を介して給電フラグ記憶部28に保持された論理を書き換え、起動フラグ信号VFLGを論理0に設定する。すなわち、情報処理装置100の内部状態は停止状態に設定される。スイッチ制御信号DCNT、SCNT2、SCNT1の状態は変化しないため、DRAM36およびSRAM38への給電状態は、変化しない。
【0056】
タイミング(d)において、システム制御部26は、パワーオフ信号POFFを論理0にアサートする。電源供給部10は、パワーオフ信号POFFのアサートに基づいて、電源電圧VCCの生成を停止する。これにより、電源電圧VCCは、徐々に低下する。
【0057】
タイミング(e)において、スイッチ制御部30は、電源電圧VCCが第1閾値電圧VT1以下になったときに起動フラグ信号VFLGが論理0(停止レベル)であるため、電源供給部10による電源電圧VCCの供給が正常に停止したと判断する。すなわち、スイッチ制御部30は、論理0の起動フラグ信号VFLGと電源電圧VCCの低下とに基づいて、正常な電源オフを判断することができる。
【0058】
電源電圧VCCが第1閾値電圧VT1以下になると、監視信号VCCMが論理1に変化するため、スイッチ制御信号SCNT2は論理1に変化する。これにより、スイッチSW2がオンし、電圧生成部34は、2次電池14からの電源電圧VBAT2を使用してSRAM38用の電源電圧VCCSを生成する。
【0059】
2次電池14の放電が進み、タイミング(f)において2次電池14からの電源電圧VBAT2が第2閾値電圧VT2以下になると、監視信号VBAT2Mが論理1に変化する。これにより、スイッチ制御信号SCNT2、SCNT1は、それぞれ論理0、論理1に変化し、スイッチSW2がオフし、スイッチSW1がオンする。
【0060】
そして、電圧生成部34は、1次電池22からの電源電圧VBAT1を使用してSRAM38用の電源電圧VCCSを生成する。スイッチ制御信号DCNTは論理0に維持されるため、スイッチSW3はオフ状態を維持し、DRAM36は給電されない。このように、スイッチSW1は、2次電池14の放電が進むまでオンしないため、1次電池22からの電源電圧VBAT1の使用を最小限にすることができる。
【0061】
なお、情報処理装置100の最長のパワーオフ期間が、2次電池14からの電源電圧VBAT2によりSRAM38のデータを保持可能な期間より短い場合、電源電圧VBAT2が第2閾値電圧VT2以下になる前に2次電池14の充電を開始することができる。この場合、最小限の放電容量の1次電池22を使用することができ、情報処理装置100のコストをさらに削減することができる。
【0062】
図5は、図1の情報処理装置100の動作の別の例を示すタイミング図である。すなわち、図5は、情報処理装置100の制御方法の別の例を示す。図4と同様の動作については詳細な説明は省略する。図5(b)までの動作は、図4(b)までの動作と同じである。例えば、パワーオンシーケンスの完了により、起動フラグ信号VFLGは論理1に設定される。
【0063】
図5では、情報処理装置100がデータ処理等を実行中に、タイミング(c)において停電が発生し、外部電源電圧EVCCの電源供給部10への供給が停止される。これにより、電源電圧VCCは徐々に低下する。電圧生成部20は、システム電源電圧VSYSの生成を停止するため、システム制御部26の動作が停止し、パワーオフ信号POFFが論理1から論理0に徐々に変化する。
【0064】
タイミング(d)において、スイッチ制御部30は、電源電圧VCCが第1閾値電圧VT1以下になったときに起動フラグ信号VFLGが論理1(起動レベル)であるため、停電等により電源供給部10による電源電圧VCCの供給が異常に停止したと判断する。すなわち、スイッチ制御部30は、論理1の起動フラグ信号VFLGと電源電圧VCCの低下とに基づいて、異常な電源オフを判断することができる。
【0065】
電源電圧VCCが第1閾値電圧VT1以下になると、監視信号VCCMが論理1に変化する。起動フラグ信号VFLG、監視信号VCCM、VBAT2Mがそれぞれ論理1、論理1、論理0であるため、スイッチ制御信号DCNT、SCNT2はともに論理1に変化する。
【0066】
これにより、スイッチSW3がオンし、電圧生成部32は、2次電池14からの電源電圧VBAT2を使用してDRAM36用の電源電圧VCCDを生成する。また、スイッチSW1がオンし、電圧生成部34は、1次電池22からの電源電圧VBAT1を使用してSRAM38用の電源電圧VCCSを生成する。
【0067】
2次電池14の放電が進み、タイミング(e)において、2次電池14からの電源電圧VBAT2が第2閾値電圧VT2以下になると、監視信号VBAT2Mが論理1に変化する。しかしながら、図3(No.8)で説明したように、スイッチSW3、SW2、SW1の状態は維持される。2次電池14からの電源電圧VBAT2が低下することで、電圧生成部32は、電源電圧VCCDの生成を停止する。
【0068】
一方、電圧生成部34は、1次電池22からの電源電圧VBAT1を使用してSRAM38用の電源電圧VCCSを生成し続ける。このため、SRAM38に保持されているデータは、消失することなく維持される。
【0069】
以上、第1の実施形態では、情報処理装置100のパワーオフ期間に、電源電圧VBAT2が正常な期間、1次電池22からの電源電圧VBAT1を使用せずに、2次電池14からの電源電圧VBAT2を使用してSRAM38のデータが保持することができる。電源電圧VBAT1は、電源電圧VBAT2が正常値より低くなった場合に使用される。これにより、1次電池22の容量の減少を抑制することができ、1次電池22の寿命を長くすることができる。したがって、小さい放電容量の1次電池22を使用することが可能になり、1次電池のコストを削減することができる。制御基板への1次電池22の実装面積が小さくなる場合、制御基板のコストも削減することができる。この結果、情報処理装置100のコストを削減することができる。
【0070】
スイッチ制御部30は、電源電圧VCCの低下を監視信号VCCMにより検出したときに、起動フラグ信号VFLGの論理に基づいて、正常な電源オフであるか、停電等の異常な電源オフであるかを判断することができる。
【0071】
電源電圧VCCSは、電源電圧VCC、VBAT1、VBAT2のいずれかを使用して生成され、1次電池22の容量がなくなるまで生成される。このため、1次電池22が電源電圧VBAT1を生成可能な期間、第2電源監視部16、外部電源監視部18、給電フラグ記憶部28およびスイッチ制御部30を動作させることができる。
【0072】
また、情報処理装置100のパワーオフ期間で、2次電池14が電源電圧VBAT2を出力可能な期間、電源電圧VCCSは、電源電圧VBAT2を使用して生成される。このため、情報処理装置100のパワーオフ期間にSRAM38のデータを保持し続ける場合に、1次電池22の容量の減少を抑制することができ、情報処理装置100の寿命を延ばすことができる。
【0073】
情報処理装置100の最長のパワーオフ期間が、2次電池14からの電源電圧VBAT2によりSRAM38のデータを保持可能な期間より短い場合、電源電圧VBAT2が第2閾値電圧VT2以下になる前に2次電池14の充電を開始することができる。この場合、最小限の放電容量の1次電池22を使用することができ、情報処理装置100のコストをさらに削減することができる。
【0074】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置の一例を示すブロック図である。図1と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図6に示す情報処理装置100Aは、システム制御部26Aが図1のシステム制御部26と異なる。図1に示したDRAM36およびSRAM38は、DRAM36AおよびSRAM38Aとしてシステム制御部26Aに含まれる。情報処理装置100Aのその他の構成は、図1の情報処理装置100と同様である。DRAM36Aは、第1揮発性メモリの一例であり、SRAM38Aは、第2揮発性メモリの一例である。
【0075】
システム制御部26Aには、DRAM36Aが搭載された半導体チップCHIP1と、CPU261、汎用出力端子262およびSRAM38Aが集積された半導体チップCHIP2とが搭載される。システム制御部26Aは、SiP(System in a Package)の形態を有している。半導体チップCHIP1は、第1チップの一例であり、半導体チップCHIP2は、第2チップの一例である。
【0076】
例えば、半導体チップCHIP1に搭載されるDRAM36Aは、ベアチップでもよい。半導体チップCHIP2内のSRAM38Aは、CPU261および汎用出力端子262とともに集積されたSRAMマクロ等である。CPU261は、DRAM36AおよびSRAM38Aにアクセスし、データを読み書きする。SRAMマクロは、図1に示した低電力タイプの汎用のSRAM38(ディスクリート部品)に比べて消費電力が大きい。なお、半導体チップCHIP2は、マイコンチップでもよい。この場合、SRAM38Aは、マイコンの内蔵RAMである。
【0077】
例えば、半導体チップCHIP2に集積されたSRAM38Aの消費電力が、図1に示したディスクリートのSRAM38の消費電力の6倍であるとする。情報処理装置100、100Aの寿命が同じに設計される場合、図6の1次電池22の放電容量は、図1の1次電池22の放電容量の6倍必要になる。
【0078】
例えば、ディスクリートのSRAM38を搭載して寿命が6年の情報処理装置を設計する場合、情報処理装置に搭載される1次電池22および2次電池14の放電容量が、それぞれ600mAhおよび100mAhであるとする。ここで、SRAM38のデータは、情報処理装置の電源の遮断中、1次電池22を使用して保持されるとし、SRAM38のデータを1年間保持するために必要な1次電池22の容量は100mAhである。
【0079】
寿命が6年のこの情報処理装置に、半導体チップに集積された、消費電力が6倍のSRAM38Aを使用する場合、SRAM38Aのデータを1年間保持するために必要な1次電池22の容量を600mAhとして、1次電池22の放電容量は3600mAhになる。2次電池14の放電容量は100mAhである。
【0080】
図6に示す情報処理装置100Aは、図3から図5と同様に動作する。情報処理装置100Aでは、電源の遮断中、2次電池14を優先的に使用してSRAM38Aのデータが保持される。例えば、停電が発生せず、2次電池14の放電容量(100mAh)を、全てSRAM38Aのバックアップに使用できるとする。この場合、SRAM38Aのデータは、2次電池14の放電容量により2ヶ月保持可能であり、さらに、1次電池22の放電容量により6年間(3600mAh/600mAh)保持可能である。
【0081】
また、電源の最長の遮断期間が2ヶ月より短い場合、2次電池14からの電源電圧VBAT2が第2閾値電圧VT2以下になる前に2次電池14の充電を開始することができる。この場合、1次電池22の放電容量をさらに削減することができる。
【0082】
以上、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、情報処理装置100Aのパワーオフ期間に、電源電圧VBAT2が正常な期間、1次電池22からの電源電圧VBAT1を使用しないことで、1次電池22の寿命を長くすることができる。この結果、1次電池のコストを削減することができ、情報処理装置100Aのコストを削減することができる。
【0083】
さらに、第2の実施形態では、ディスクリートのSRAM38に比べて消費電力が大きいSRAM38(半導体チップCHIP2に集積)を使用する場合にも、1次電池22の放電容量を小さくすることが可能になる。
【0084】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置の一例を示すブロック図である。図1および図6と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図7に示す情報処理装置100Bは、システム制御部26Bが図1のシステム制御部26と異なる。図1に示したDRAM36、SRAM38、給電フラグ記憶部28およびスイッチ制御部30は、DRAM36A、SRAM38A、給電フラグ記憶部28Bおよびスイッチ制御部30Bとしてシステム制御部26Bに含まれる。情報処理装置100Bのその他の構成は、図1の情報処理装置100と同様である。
【0085】
システム制御部26Bには、DRAM36Aが搭載された半導体チップCHIP1と、CPU261B、SRAM38A、給電フラグ記憶部28Bおよびスイッチ制御部30Bが集積された半導体チップCHIP2とが搭載される。システム制御部26Bは、SiPの形態を有している。例えば、半導体チップCHIP2は、ASICとして設計される。CPU261Bおよび給電フラグ記憶部28Bは、起動フラグ信号VFLGを起動レベルまたは停止レベルに設定するフラグ信号生成部の一例である。
【0086】
図7に示す情報処理装置100Bは、図3から図5と同様に動作する。スイッチ制御部30Bの回路構成は図2と同じであり、スイッチ制御部30Bの動作は、図3に示す真理値表により示される。
【0087】
CPU261Bは、給電フラグ記憶部28Bをレジスタとして制御する。これにより、CPU261Bは、図1に示した汎用出力端子262を介することなく、給電フラグ記憶部28に保持させる論理を簡易に書き換えることができる。
【0088】
以上、第3の実施形態においても第1および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第3の実施形態では、半導体チップCHIP2内にCPU261B、SRAM38A、給電フラグ記憶部28Bおよびスイッチ制御部30Bが集積される。これにより、CPU261Bは、給電フラグ記憶部28Bをレジスタとして制御することができ、図4および図5に示したDRAM36およびSRAM38に保持されたデータの保持動作を簡易に実行することができる。
【0089】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0090】
10 電源供給部
12 充電制御部
14 2次電池
16 第2電源監視部
18 外部電源監視部
20 電圧生成部
22 1次電池
24 第1電源監視部
26、26A、26B システム制御部
28 給電フラグ記憶部
28、28B 給電フラグ記憶部
30、30B スイッチ制御部
32、34 電圧生成部
36、36A DRAM
38、38A SRAM
40 不揮発性メモリ
100、100A、100B 情報処理装置
261、261B CPU
262 汎用出力端子
CHIP1、CHIP2 半導体チップ
DCNT スイッチ制御信号
EVCC 外部電源電圧
POFF パワーオフ信号
PON パワーオン信号
SCNT1、SCNT2 スイッチ制御信号
SW1、SW2、SW3 スイッチ
VBAT1、VBAT2 電源電圧
VBAT1M、VBAT2M 監視信号
VCC、VCCD 電源電圧
VCCM 監視信号
VCCS 電源電圧
VD 電源供給経路
VFLG 起動フラグ信号
VS 電源供給経路
VSYS システム電源電圧
VT1 第1閾値電圧
VT2 第2閾値電圧
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【文献】特開平11-184569号公報
【文献】特開2013-66289号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7