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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/38 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
H05K3/38 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021096076
(22)【出願日】2021-06-08
(65)【公開番号】P2022187865
(43)【公開日】2022-12-20
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 雄太
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-083303(JP,A)
【文献】特開2001-326466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機樹脂層、及び、前記有機樹脂層の上面から露出するように前記有機樹脂層に埋め込まれた複数の埋め込み部、を含む絶縁層と、
前記有機樹脂層の上面及び前記埋め込み部の上面と接する配線層と、を有し、
前記埋め込み部は、無機材料の酸化物、窒化物、又は酸窒化物から形成され、
前記有機樹脂層の上面と前記埋め込み部の上面とは、面一であり、
平面視で、前記絶縁層の前記配線層が形成されていない領域に、前記有機樹脂層の上面の一部が露出している、配線基板。
【請求項2】
前記配線層は、
前記有機樹脂層の上面及び前記埋め込み部の上面と接する導電性の密着層と、
前記密着層上に形成されたシード層と、
前記シード層上に形成された電解めっき層と、を含む、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記有機樹脂層の上面及び前記埋め込み部の上面を含む前記絶縁層の上面の粗度は、Ra0nm以上20nm以下である、請求項1又は2に記載の配線基板。
【請求項4】
有機樹脂層の上面を粗化し、前記有機樹脂層の上面に開口する複数の凹部を形成する工程と、
前記有機樹脂層の上面に前記凹部を埋める無機絶縁層を形成する工程と、
前記無機絶縁層の上面側を研磨して前記有機樹脂層の上面を露出させ、前記有機樹脂層と前記凹部を埋める埋め込み部とを含む絶縁層を形成する工程と、
前記有機樹脂層の上面及び前記埋め込み部の上面と接する配線層を形成する工程と、を有し、
前記埋め込み部は、無機材料の酸化物、窒化物、又は酸窒化物から形成され、
平面視で、前記絶縁層の前記配線層が形成されていない領域に、前記有機樹脂層の上面の一部が露出する、配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記配線層を形成する工程は、
前記有機樹脂層の上面及び前記埋め込み部の上面と接する導電性の密着層を形成する工程と、
前記密着層上にシード層を形成する工程と、
前記シード層上に電解めっき層を形成する工程と、を含む、請求項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記絶縁層を形成する工程では、前記有機樹脂層の上面と前記埋め込み部の上面とは、面一となる、請求項又はに記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記凹部を形成する工程では、前記有機樹脂層の上面の粗度は、Ra200nm以上800nm以下となる、請求項乃至の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁層を形成する工程では、前記有機樹脂層の上面及び前記埋め込み部の上面を含む前記絶縁層の上面の粗度は、Ra0nm以上20nm以下となる、請求項乃至の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配線層及び絶縁層を交互に積層した配線基板が知られている。例えば、エポキシ系樹脂等からなる絶縁層上に絶縁性中間層を形成し、絶縁性中間層上に配線層を形成した配線基板が挙げられる。この配線基板では、絶縁性中間層は、例えば、有機材料を含む絶縁層よりも配線層との密着性が良好な酸化アルミニウム、セラミック、酸化シリコン、窒化シリコン等の無機材料から形成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-326466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、配線基板の製造工程では、加熱が行われる際に、有機材料を含む絶縁層中の水分や揮発成分が気化してガスが発生する場合がある。上記の配線基板では、有機材料を含む絶縁層の上面の全体に無機材料からなる絶縁性中間層を形成しているため、発生したガスが抜ける経路がなく、ガスが絶縁層中にたまって膨れ等を発生する場合があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、配線層との密着性を確保するとともに、絶縁層内で発生したガスが抜ける経路を考慮した配線基板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本配線基板は、有機樹脂層、及び、前記有機樹脂層の上面から露出するように前記有機樹脂層に埋め込まれた複数の埋め込み部、を含む絶縁層と、前記有機樹脂層の上面及び前記埋め込み部の上面と接する配線層と、を有し、前記埋め込み部は、無機材料の酸化物、窒化物、又は酸窒化物から形成され、前記有機樹脂層の上面と前記埋め込み部の上面とは、面一であり、平面視で、前記絶縁層の前記配線層が形成されていない領域に、前記有機樹脂層の上面の一部が露出している。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、配線層との密着性を確保するとともに、絶縁層内で発生したガスが抜ける経路を考慮した配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る配線基板を例示する断面図である。
図2】本実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
図3】本実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
図4】本実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
[配線基板の構造]
図1は、本実施形態に係る配線基板を例示する断面図であり、図1(a)は配線層と絶縁層を有する配線基板の一部を示した図、図1(b)は図1(a)のA部の部分拡大図である。
【0011】
図1(a)に示すように、配線基板1は、絶縁層10と、配線層20と、絶縁層30と、配線層40とを有している。
【0012】
なお、本実施の形態では、便宜上、配線基板1の絶縁層30側を上側又は一方の側、絶縁層10側を下側又は他方の側とする。又、各部位の絶縁層30側の面を上面又は一方の面、絶縁層10側の面を下面又は他方の面とする。但し、配線基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を絶縁層10の上面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層10の上面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0013】
絶縁層10は、例えば、多層配線の層間絶縁層として、ビルドアップ工法を用いて形成することができる絶縁層である。従って、絶縁層10の下層として他の配線層や他の絶縁層が積層されていてもよい。この場合、絶縁層10や他の絶縁層に適宜ビアホールを設け、ビアホールを介して配線層同士を接続することができる。或いは、絶縁層10は、配線層20等を形成する基体となるコア基板等であってもよい。絶縁層10は、最下層であってもよい。
【0014】
絶縁層10の材料としては、例えば、非感光性(熱硬化性樹脂)のエポキシ系絶縁樹脂やポリイミド系絶縁樹脂等を用いることができる。或いは、絶縁層10の材料として、例えば、感光性のエポキシ系絶縁樹脂やアクリル系絶縁樹脂等を用いてもよい。絶縁層10は、所謂ガラスエポキシ基板等であっても構わない。又、絶縁層10は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層10の厚さは、例えば10~50μm程度とすることができる。
【0015】
配線層20は、絶縁層10上に形成されている。配線層20の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層20の厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。
【0016】
絶縁層30は、絶縁層10上に、配線層20を被覆するように形成されている。図1(b)に示すように、絶縁層30は、有機樹脂層31と、有機樹脂層31の上面から露出するように有機樹脂層31に埋め込まれた複数の埋め込み部32とを含む。埋め込み部32は、有機樹脂層31の上面に開口する複数の凹部31z内に形成されている。凹部31zの深さは、例えば、0.5~1μm程度である。有機樹脂層31の材料や厚さは、例えば、絶縁層10と同様とすることができる。有機樹脂層31は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0017】
埋め込み部32は、無機材料の酸化物、窒化物、又は酸窒化物から形成されている。埋め込み部32の材料としては、具体的には、例えば、SiO、Si、SiN、SiON、TiO、TiN、TaO、TaN等が挙げられる。埋め込み部32は、平面視で、絶縁層30の上面に島状に点在している。つまり、絶縁層30の上面には、有機樹脂層31の上面が露出する領域と埋め込み部32の上面が露出する領域がランダムに分散している。
【0018】
有機樹脂層31の上面と埋め込み部32の上面とは、例えば、面一である。有機樹脂層31の上面及び埋め込み部32の上面を含む絶縁層30の上面の粗度は、例えば、Ra0nm以上20nm以下とすることができる。有機樹脂層31の上面及び埋め込み部32の上面を含む絶縁層30の上面の粗度は、Ra0nm以上15nm以下とすることが好ましく、Ra0nm以上10nm以下とすることがより好ましい。ここで、Raとは、表面粗さを表わす数値の一種であり、算術平均粗さと呼ばれるものであって、具体的には測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものである。ただし、絶縁層30上に微細配線の形成が不要の場合には、絶縁層30の上面は、適宜必要な粗度とすることができる。
【0019】
配線層40は、絶縁層30の一方の側に形成されている。配線層40は、有機樹脂層31の上面及び埋め込み部32の上面と接している。また、平面視で、絶縁層30の配線層40が形成されていない領域に、有機樹脂層31の上面の一部が露出している。配線層40は、絶縁層30を貫通し配線層20の上面を露出するビアホール30x内に充填されたビア配線、及び絶縁層30の上面に形成されたパッドを含んでいる。配線層40のパッドは、ビア配線を介して、配線層20と電気的に接続されている。ビアホール30xは、例えば、配線層40側に開口されている開口部の径が配線層20の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部である。配線層40の材料やパッドの厚さは、例えば、配線層20と同様である。
【0020】
配線層40は、密着層41と、シード層42と、電解めっき層43とを有する。シード層42は密着層41上に形成され、電解めっき層43はシード層42上に形成されている。密着層41の厚さは、例えば、20nm~50nm程度とすることができる。シード層42の厚さは、例えば、100nm~300nm程度とすることができる。電解めっき層43の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。
【0021】
密着層41は、有機樹脂層31の上面及び埋め込み部32の上面と接する導電性の層である。密着層41は、有機樹脂層31の上面及び埋め込み部32の上面との密着性がシード層42よりも優れている材料から形成されている。例えば、シード層42がCuから形成されている場合には、密着層41の材料としては、例えば、Ti、Ni、Cr、Al、Cu-Ni化合物、Ta、Au等を用いることができる。電解めっき層43は、例えば、Cuから形成することができる。
【0022】
[配線基板の製造方法]
次に、本実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図2図4は、本実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、本実施の形態では、単品の配線基板を形成する工程を示すが、配線基板となる複数の部分を作製後、個片化して各配線基板とする工程としてもよい。
【0023】
まず、図2(a)に示す工程では、絶縁層10を準備し、絶縁層10の上面に配線層20を形成する。具体的には、例えば、所謂ガラスエポキシ基板等である絶縁層10の上面にパターニングされていないプレーン状の銅箔が形成された積層板を準備し、サブトラクティブ法等により銅箔を所定の平面形状にパターニングして配線層20を形成する。次に、絶縁層10上に、配線層20を被覆するように有機樹脂層31を形成する。具体的には、例えば、絶縁層10の上面に配線層20を覆うように半硬化状態のフィルム状の非感光性(熱硬化性樹脂)のエポキシ系絶縁樹脂やポリイミド系絶縁樹脂等をラミネートし、加熱して硬化させて有機樹脂層31を形成する。或いは、フィルム状のエポキシ系樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を塗布後、硬化させて有機樹脂層31を形成してもよい。
【0024】
次に、図2(b)に示す工程では、有機樹脂層31の上面を粗化し、有機樹脂層31の上面に開口する複数の凹部31zを形成する。有機樹脂層31の上面には、平面視で島状に点在する多数の凹部31zが形成される。有機樹脂層31の上面の粗化(凹部31zの形成)は、例えば、プラズマ処理により行うことができる。プラズマ処理は、凹部31zの深さが、例えば、0.5~1μm程度となり、有機樹脂層31の上面の粗度がRa200nm以上800nm以下となるように制御する。有機樹脂層31の上面の粗度がRa300nm以上700nm以下となるように制御することが好ましく、Ra400nm以上600nm以下となるように制御することがより好ましい。ただし、有機樹脂層31の上面の粗化方法はプラズマ処理には限定されず、プラズマ処理に代えて薬液処理やブラスト処理の方法を用いてもよい。
【0025】
次に、図2(c)に示す工程では、有機樹脂層31の上面に凹部31zを埋める十分な厚さの無機絶縁層32Aを形成する。無機絶縁層32Aの材料としては、埋め込み部32の材料として挙げた無機材料の酸化物、窒化物、又は酸窒化物を使用できる。無機絶縁層32Aは、例えば、スパッタ法や化学気相成長法等により形成できる。
【0026】
次に、図3(a)に示す工程では、無機絶縁層32Aの上面側を研磨して有機樹脂層31の上面を露出させ、有機樹脂層31と凹部31zを埋める埋め込み部32とを含む絶縁層30を形成する。無機絶縁層32Aの研磨には、例えば、CMP法(chemical mechanical polishing法)を用いることができる。無機絶縁層32Aの研磨は、プラズマエッチングで行ってもよい。埋め込み部32の上面は、例えば、絶縁層30の上面と面一とすることができる。
【0027】
無機絶縁層32Aを研磨する際、有機樹脂層31の上面の一部を同時に研磨して除去してもよい。無機絶縁層32Aと共に有機樹脂層31の上面を研磨し、有機樹脂層31の上面の一部を除去することにより、有機樹脂層31の上面及び埋め込み部32の上面を含む絶縁層30の上面全体の粗度をより小さくできる。つまり、絶縁層30の上面全体の平滑度を向上できる。
【0028】
有機樹脂層31の上面及び埋め込み部32の上面を含む絶縁層30の上面の粗度は、例えば、Ra0nm以上20nm以下とすることができる。有機樹脂層31の上面及び埋め込み部32の上面を含む絶縁層30の上面の粗度は、Ra0nm以上15nm以下とすることが好ましく、Ra0nm以上10nm以下とすることがより好ましい。このように、絶縁層30の上面の粗度を低減して平滑度を向上することにより、後工程において、微細配線(配線密度が高い配線層)の形成が可能となる。ただし、微細配線の形成が不要の場合には、絶縁層30の上面の粗度は、適宜必要な粗度とすることができる。
【0029】
次に、図3(b)に示す工程では、絶縁層30に、絶縁層30を貫通し配線層20の上面を露出するビアホール30xを形成する。ビアホール30xは、例えば、COレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール30xを形成後、デスミア処理を行い、ビアホール30xの底部に露出する配線層20の上面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0030】
次に、図3(c)~図4(b)に示す工程では、セミアディティブ法を用いて、配線層40を形成する。具体的には、まず、図3(c)に示すように、絶縁層30の上面、ビアホール30xの内壁面、及びビアホール30x内に露出する配線層20の上面に、無電解めっき法やスパッタ法により導電性の密着層41を連続的に形成する。密着層41は、有機樹脂層31の上面及び埋め込み部32の上面と接するように形成される。密着層41の材料としては、例えば、Ti、Ni、Cr、Al、Cu-Ni化合物、Ta、Au等を用いることができる。密着層41の厚さは、例えば、厚さ20nm~50nm程度とすることができる。
【0031】
次に、図4(a)に示すように、密着層41上に、無電解めっき法やスパッタ法によりシード層42を連続的に形成する。シード層42の材料としては、例えば、Cu等を用いることができる。シード層42の厚さは、例えば、厚さ100nm~300nm程度とすることができる。
【0032】
次に、図4(b)に示すように、シード層42上に電解めっき層43を形成し、密着層41、シード層42、及び電解めっき層43を含む配線層40を完成させる。電解めっき層43は、例えば、Cuから形成することができる。電解めっき層43の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。具体的には、まず、シード層42上の全体に感光性のレジスト層を形成し、レジスト層を露光及び現像し、電解めっき層43を形成する部分を露出する開口部を形成する。そして、シード層42を給電層とする電解めっき法により、開口部内に露出するシード層42上に電解めっき層43を形成する。そして、レジスト層を剥離した後、電解めっき層43をマスクにして、電解めっき層43に覆われていない部分の密着層41及びシード層42をエッチングにより除去する。これにより、有機樹脂層31の上面及び埋め込み部32の上面と接する配線層40が形成され、平面視で、絶縁層30の配線層40が形成されていない領域に、有機樹脂層31の上面の一部が露出する。以上の工程で、配線基板1が完成する。必要に応じ、配線層40上に、さらに絶縁層及び配線層を交互に形成してもよい。
【0033】
このように、配線基板1では、絶縁層30の上面に、無機材料の酸化物、窒化物、又は酸窒化物からなる埋め込み部32が部分的に露出している。そして、配線層40の最下層である密着層41は、埋め込み部32に接する部分を有する。埋め込み部32と密着層41とが接する界面は、無機材料同士の結合部分となるため、密着層41が有機樹脂層31のみと接する場合と比較して、絶縁層30と配線層40との密着性を向上することができる。
【0034】
また、配線基板1の製造工程において、絶縁層30を形成する工程よりも後に加熱が行われると、有機樹脂層31中の水分や揮発成分が気化してガスが発生する場合がある。しかし、配線基板1では、平面視で、絶縁層30の配線層40が形成されていない領域に有機樹脂層31の上面の一部が露出しているため、有機樹脂層31中にガスが発生しても、絶縁層30の上面側から容易に抜けることができる。これにより、有機樹脂層31中にガスがたまって膨れ等を発生することを抑制できる。なお、絶縁層30を形成する工程よりも後に加熱が行われるのは、例えば、めっき後のアニール処理工程、プラズマ処理工程、上層の絶縁樹脂の熱硬化処理工程である。
【0035】
すなわち、配線基板1は、絶縁層30と配線層40との密着性を確保するとともに、絶縁層30を構成する有機樹脂層31内で発生したガスが抜ける経路を考慮した配線基板である。
【0036】
また、従来技術では、絶縁層の上面を粗化することで絶縁層と絶縁層上に形成される配線層との密着性を向上していた。一方、配線基板1では、絶縁層30の上面に埋め込み部32が部分的に露出することで絶縁層30と配線層40との密着性を向上しているため、絶縁層30の上面を粗化する必要はなく、逆に平滑化することができる。例えば、絶縁層30の上面の粗度をRa0nm以上20nm以下とすることで、配線層40との密着性を確保しつつ、配線層40を微細配線(配線密度が高い配線層)とすることが可能である。例えば、配線層40のライン/スペースを、1μm/1μm~20μm/20μm程度とすることができる。また、平滑化した絶縁層30の上面に配線層40を形成することで、配線層40に流れる高周波信号に対する伝送損失を抑制することができる。
【0037】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 配線基板
10、30 絶縁層
20、40 配線層
30x ビアホール
31 有機樹脂層
31z 凹部
32 埋め込み部
32A 無機絶縁層
41 密着層
42 シード層
43 電解めっき層
図1
図2
図3
図4