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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/32 20060101AFI20241029BHJP
   H01Q 5/35 20150101ALI20241029BHJP
   H01Q 5/357 20150101ALI20241029BHJP
【FI】
H01Q1/32 Z
H01Q5/35
H01Q5/357
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2022517033
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2021015867
(87)【国際公開番号】W WO2021215396
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2020076121
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】石澤 栄俊
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-179790(JP,A)
【文献】特開2011-035520(JP,A)
【文献】特開2012-191489(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3032639(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3076480(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0814536(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/32
H01Q 5/35
H01Q 5/357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付けられる車両部材に備えられ、第1周波数帯、第2周波数帯及び第3周波数帯のうち少なくとも2つの周波数帯の電波を受信するアンテナ装置であって、
第1給電部と、
前記第1給電部に接続される第1アンテナ素子と、を備え、
前記第1アンテナ素子は、前記第1給電部から少なくとも一つの屈曲部を経由して開放端まで延伸する主エレメントを含み、
前記第1給電部及び前記第1アンテナ素子の外側で前記第1給電部及び前記第1アンテナ素子が接する最も狭い略四角形の領域を第1領域とするとき、
前記第1領域の第1方向の辺の長さをL、前記第1領域の第2方向の長さをLとするとき、Lは、Lの0.5倍以上8倍以下であり、
前記主エレメントのエレメント長をL、前記第1周波数帯の空気中の中心波長をλ、前記第2周波数帯の空気中の中心波長をλ、前記第3周波数帯の空気中の中心波長をλ、周辺媒質の波長短縮率をkとするとき、式1と式2と式3とのうち少なくとも2つの式を満足する、アンテナ装置。
0.09×k×λ ≦ L ≦ 0.28×k×λ ・・・式1
0.20×k×λ ≦ L ≦ 0.62×k×λ ・・・式2
0.59×k×λ ≦ L ≦ 1.77×k×λ ・・・式3
【請求項2】
前記第1アンテナ素子は、
複数の前記屈曲部と、
前記第1給電部に接続され前記第1給電部から離れる方向に延伸する第1エレメントと、
前記第1給電部から離れる方向に延伸する第2エレメントと、
前記第1エレメントの前記第1給電部の側とは反対側の端部と前記第2エレメントの前記第1給電部の側の端部を接続する第3エレメントと、を有する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
複数の前記屈曲部は、前記第1エレメントと前記第3エレメントとの接続部分と、前記第2エレメントと前記第3エレメントとの接続部分の2箇所のみである、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1エレメント及び前記第2エレメントは、前記第1方向に延伸する、請求項2又は3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第3エレメントは、前記第1エレメント及び前記第2エレメントに対して、10°~170°の範囲の角度をなす、請求項2から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第3エレメントは、前記第2方向に延伸する、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第2エレメントの前記第3エレメントの側とは反対側の端部は、開放端である、請求項2から6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第1アンテナ素子は、前記第2エレメントの前記第1給電部の側とは反対側の端部に接続される第4エレメントを有する、請求項2から7のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第4エレメントは、前記第2方向とは反対側の第3方向に延伸する、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第1アンテナ素子は、前記第1給電部又は前記主エレメントのうちの端部を除く箇所に接続される補助エレメントを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記補助エレメントは、前記主エレメントに接続される、請求項10に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記補助エレメントは、前記第2方向に延伸する第5エレメントと、前記第5エレメントと接続し前記第5エレメントと異なる方向に延伸する第6エレメントとを有する、請求項10又は11に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記第5エレメントは、前記第2方向に延伸し、
前記第6エレメントは、前記第1方向と前記第1方向とは反対側の第4方向とのうち少なくとも一方に延伸する、請求項12に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記補助エレメントは、L字状のエレメント部分を含む、請求項12又は13に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記第5エレメントと前記第6エレメントの合計の長さLCLは、式4と式5と式6とのうち少なくとも2つの式を満足する、請求項14に記載のアンテナ装置。
0.13×k×λ ≦ LCL ≦ 0.31×k×λ ・・・式4
0.30×k×λ ≦ LCL ≦ 0.69×k×λ ・・・式5
0.88×k×λ ≦ LCL ≦ 1.97×k×λ ・・・式6
【請求項16】
前記第6エレメントの長さLは、前記第5エレメントの長さLの1.25倍以上4倍以下である、請求項15に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記補助エレメントは、T字状のエレメント部分を含む、請求項12又は13に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記第5エレメントと前記第6エレメントの合計の長さLCTは、式7と式8と式9とのうち少なくとも2つの式を満足する、請求項17に記載のアンテナ装置。
0.18×k×λ ≦ LCT ≦ 0.43×k×λ ・・・式7
0.41×k×λ ≦ LCT ≦ 0.96×k×λ ・・・式8
1.18×k×λ ≦ LCT ≦ 2.76×k×λ ・・・式9
【請求項19】
前記第6エレメントの長さLは、前記第5エレメントの長さLの2倍以上6倍以下である、請求項18に記載のアンテナ装置。
【請求項20】
前記補助エレメントは、複数の開放端を有する、請求項10から19のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項21】
前記主エレメントは、L字状エレメントであり、
前記L字状エレメントは、
前記第1給電部に接続され前記第1給電部から離れる方向に延伸する第7エレメントと、
前記第7エレメントの前記第1給電部の側とは反対側の端部に接続され前記第7エレメントの延伸方向とは異なる方向に延伸する第8エレメントと、を有する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項22】
前記第7エレメントは、前記第2方向に延伸し、
前記第8エレメントは、前記第1方向に延伸する、請求項21に記載のアンテナ装置。
【請求項23】
前記第1アンテナ素子は、前記第1給電部又は前記主エレメントのうちの端部を除く箇所に接続される第9エレメントを有する、請求項21又は22に記載のアンテナ装置。
【請求項24】
前記第9エレメントは、前記第1給電部又は前記第7エレメントに接続され、前記第1方向又は前記第1方向とは反対側の第4方向に延伸する、請求項23に記載のアンテナ装置。
【請求項25】
前記第1周波数帯、前記第2周波数帯及び前記第3周波数帯の電波を受信し、
前記第1周波数帯は、FM放送波の帯域であり、
前記第2周波数帯は、DAB Band IIIの帯域であり、
前記第3周波数帯は、地上デジタルテレビ放送波の帯域である、請求項1から24のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項26】
第2給電部と、前記第2給電部に接続される第2アンテナ素子とを更に備え、
前記第2アンテナ素子は、AM放送波を受信する、請求項1から25のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項27】
前記車両部材は、樹脂製である、請求項1から26のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項28】
前記車両部材は、エアロパーツである、請求項1から27のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両に搭載されるアンテナ装置として、AM放送波、FM放送波、地上デジタルテレビ放送波、DAB(Digital Audio Broadcasting)等の複数の周波数帯の信号を受信可能な複合的なアンテナ素子が集約されたアンテナ装置が実用化されている。例えば、FM帯とDAB帯との両方の電波を受信可能な共用アンテナと、AMラジオ用の電波を受信可能なAM用アンテナとを、リアスポイラ内に備えるリアスポイラアンテナが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-007223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の共用アンテナは、容量結合部を介してアンテナ素子と容量結合された無給電素子が必要なため、その構成が比較的複雑であった。
【0005】
本開示は、複数の周波数帯の電波を簡易な構成で受信可能なアンテナ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
車体に取り付けられる車両部材に備えられ、第1周波数帯、第2周波数帯及び第3周波数帯のうち少なくとも2つの周波数帯の電波を受信するアンテナ装置であって、
第1給電部と、
前記第1給電部に接続される第1アンテナ素子と、を備え、
前記第1アンテナ素子は、前記第1給電部から少なくとも一つの屈曲部を経由して開放端まで延伸する主エレメントを含み、
前記第1給電部及び前記第1アンテナ素子の外側で前記第1給電部及び前記第1アンテナ素子が接する最も狭い略四角形の領域を第1領域とするとき、
前記第1領域の第1方向の辺の長さをL、前記第1領域の第2方向の長さをLとするとき、Lは、Lの0.5倍以上8倍以下であり、
前記主エレメントのエレメント長をL、前記第1周波数帯の空気中の中心波長をλ、前記第2周波数帯の空気中の中心波長をλ、前記第3周波数帯の空気中の中心波長をλ、周辺媒質の波長短縮率をkとするとき、式1と式2と式3とのうち少なくとも2つの式を満足する、アンテナ装置を提供する。
【0007】
0.09×k×λ ≦ L ≦ 0.28×k×λ ・・・式1
0.20×k×λ ≦ L ≦ 0.62×k×λ ・・・式2
0.59×k×λ ≦ L ≦ 1.77×k×λ ・・・式3
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数の周波数帯の電波を簡易な構成で受信可能なアンテナ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態におけるアンテナ装置が設置される車両部材及びその車両部材が取り付けられる車体を例示する図である。
図2】第1実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。
図3】第2実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。
図4】第3実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。
図5】第4実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。
図6】第5実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。
図7】第6実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。
図8】第7実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。
図9】第8実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。
図10】第9実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。
図11】第10実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。
図12】第11実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。
図13】第2実施形態におけるアンテナ装置のアンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。
図14】第4、第5及び第6実施形態におけるアンテナ装置のアンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。
図15】第8及び第9実施形態におけるアンテナ装置のアンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示に係る実施形態について説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向を表す。X軸方向とY軸方向とZ軸方向は、互いに直交する。XY平面、YZ平面、ZX平面は、それぞれ、X軸方向及びY軸方向に平行な仮想平面、Y軸方向及びZ軸方向に平行な仮想平面、Z軸方向及びX軸方向に平行な仮想平面を表す。
【0011】
図1は、一実施形態におけるアンテナ装置が設置される車両部材及びその車両部材が取り付けられる車体を例示する図である。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、車幅方向、車両の前後方向、車両の上下方向に対応する。図1に示すアンテナ装置100は、車体に取り付けられる車両部材に備えられるアンテナ装置の一例である。図1は、車体2に取り付けられるリアスポイラ1にアンテナ装置100が搭載される例を示している。リアスポイラ1は、車両部材の一例であり、車体2の後部に取り付けられるエアロパーツの一つである。リアスポイラ1は、樹脂製の部品であるが、樹脂製以外の素材で形成されてもよい。リアスポイラ1には、ハイマウントストップランプ3が搭載されてもよい。アンテナ装置100は、後述の各実施形態におけるアンテナ装置を表す。
【0012】
図2は、第1実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。正のY軸方向は、車両の後方に対応し、X軸方向は、車幅方向に対応する。第1方向は、正のX軸方向、第2方向は、正のY軸方向に対応する。第2方向とは反対側の第3方向は、負のY軸方向、第1方向とは反対側の第4方向は、負のX軸方向に対応する。図2に示すアンテナ装置101は、第1周波数帯、第2周波数帯及び第3周波数帯のうち少なくとも2つの周波数帯の電波を受信する。
【0013】
例えば、第1周波数帯及び第2周波数帯は、周波数が30MHz~300MHzのVHF(Very High Frequency)帯であり、第3周波数帯は、周波数が300MHz~3GHzのUHF(Ultra High Frequency)帯である。例えば、第1周波数帯は、VHF帯に含まれるFM放送波の帯域に設定され、第2周波数帯は、VHF帯に含まれるDAB Band IIIの帯域に設定され、第3周波数帯は、UHF帯内の例えば470MHz~890MHzに含まれる470MHz~710MHzの地上デジタルテレビ放送波の帯域に設定される。
【0014】
アンテナ装置101は、給電部31及びアンテナ素子10を備える。
【0015】
給電部31は、第1給電部の一例であり、アンテナ素子10に給電するための給電点である。給電部31は、例えば、アンテナ素子10で受信した信号を増幅する不図示のアンプの入力端子に電気的に接続される。アンプにより増幅された信号は、車体に搭載される不図示の受信装置などに供給される。給電部31の具体例として、コネクタ、電極などが挙げられる。
【0016】
アンテナ素子10は、第1アンテナ素子の一例であり、給電部31に接続される。アンテナ素子10の給電部31側の端部(基端部)は、例えば、半田や導電性接着剤などにより給電部31に導電的に接続される。アンテナ素子10は、第1周波数帯、第2周波数帯及び第3周波数帯のうち少なくとも2つの周波数帯の電波を受信可能に形成された導体であり、VHF帯以上の各周波数帯における周波数で共振する。アンテナ素子10は、リアスポイラ1に内蔵されてもよいし、リアスポイラ1の外表面に設けられてもよい。アンテナ素子10は、線状に形成された導電性部材であり、例えば、導線、導電性塗料、金属棒、金属板などによって形成されてもよい。
【0017】
上述のハイマウントストップランプ3がリアスポイラ1に搭載される場合、アンテナ素子10をハイマウントストップランプ3の上部に配置することで、アンテナ素子10の電波の受信感度の低下を抑制できる。また、アンテナ素子10の電波の受信感度の低下を抑制する点で、アンテナ素子10は、ハイマウントストップランプ3に接続される配線をまたがないように配置されることが好ましい。
【0018】
アンテナ素子10が形成される又は取り付けられる部位は、例えば誘電体から形成された部位であり、より具体的には、リアスポイラ1の外形カバーでもよいし、外形カバーに固定された不図示の誘電体基板でもよい。アンテナ素子10が誘電体基板に形成されることで、リアスポイラ1へのアンテナ素子10の取り付けが容易になる。誘電体基板には、プリント基板、フレキシブル基板などがある。さらに、アンテナ素子10は、リアスポイラ1等のエアロパーツ内部に、絶縁材料で導体を被覆した被覆導体で構成されてもよい。このとき、エアロパーツ内部において、被覆導体は、間隔を空けて配置される複数の誘電体(例えば、溝形状のスナップフィット)で固定されてもよく、その被覆導体の一部は、空中配線されてもよい。
【0019】
アンテナ素子10は、給電部31から少なくとも一つの屈曲部(図2に示す例では、一つの屈曲部51)を経由して開放端59まで延伸する主エレメント50を含む。主エレメント50は、第1エレメント11と、第2エレメント12とを有する。
【0020】
第1エレメント11は、給電部31に接続され給電部31から離れる方向に延伸し、この例では、給電部31から屈曲部51まで第1方向に直線的に延伸する。第2エレメント12は、給電部31から離れる方向であって第1エレメント11が延伸する方向とは異なる方向に延伸し、この例では、屈曲部51から開放端59まで第2方向に直線的に延伸する。
【0021】
給電部31及びアンテナ素子10の外側で給電部31及びアンテナ素子10が接する最も狭い略四角形の(XY平面の)領域を第1領域41とする。第1領域41の第1方向の辺の長さをL、第1領域の第2方向の長さをLとする。このとき、複数の周波数帯の電波の受信感度を簡易な構成で確保できる点で、Lは、Lの0.5倍以上8倍以下が好ましく、Lの0.75倍以上6.5倍以下がより好ましく、Lの1.5倍以上6.5倍以下がさらに好ましい。とくに、第1方向(車幅方向に平行な方向)が第2方向(車両の前後方向に平行な方向)よりも長い場合、アンテナ装置101を、車両の前後方向に比べて車幅方向に長いリアスポイラ1に搭載するにあたり、その搭載空間(領域)を有効に利用できる。
【0022】
主エレメント50のエレメント長をL、第1周波数帯の中心周波数における空気中の電波の波長をλ、前記第2周波数帯の中心周波数における空気中の電波の波長をλ、前記第3周波数帯の中心周波数における空気中の電波の波長をλ、周辺媒質の波長短縮率をkとする。このとき、エレメント長Lは、
0.09×k×λ ≦ L ≦ 0.28×k×λ ・・・式1
0.20×k×λ ≦ L ≦ 0.62×k×λ ・・・式2
0.59×k×λ ≦ L ≦ 1.77×k×λ ・・・式3
のうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度を簡易な構成で確保できる。エレメント長Lは、これら3つの式1,2,3を全て満足するのが好ましい。なお、(主エレメント50の)エレメント長Lとは、給電部31から開放端59に至るまでの導体長(全長)を表し、後述する他の実施形態においても同様である。周辺媒質とは、主エレメント50が配置される部位を表す。
【0023】
例えば、第1周波数帯がFM放送波の帯域(76MHz~108MHz)の場合、空気中の中心波長λは、3261mmであり、第2周波数帯がDAB Band IIIの帯域(170MHz~240MHz)の場合、空気中の中心波長λは、1463mmであり、第3周波数帯が地上デジタルテレビ放送波の帯域(470MHz~710MHz)の場合、空気中の中心波長λは、508mmである。このとき、k=1とすると、エレメント長Lを約300mm以上約900mm以下に調整すると、それらの3つの周波数帯の電波のアンテナ利得が向上する。なお、上記例示した3つの周波数帯の電波のアンテナ利得は、仕様に応じ、所定の偏波に対するアンテナ利得を優先的に評価してもよい。例えば、FM放送波及び地上デジタルテレビ放送波の場合、水平偏波のアンテナ利得を優先的な指標として評価してもよい。また、例えば、DAB Band III放送波の場合、垂直偏波のアンテナ利得を優先的な指標として評価してもよい。
【0024】
好ましくは、エレメント長Lは、
0.10×k×λ ≦ L ≦0.23×k×λ ・・・式1a
0.23×k×λ ≦ L ≦0.52×k×λ ・・・式2a
0.68×k×λ ≦ L ≦1.48×k×λ ・・・式3a
のうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度をより高く、簡易な構成で確保できる。エレメント長Lは、これら3つの式1a,2a,3aを全て満足するのがより好ましい。
【0025】
図3は、第2実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。第2実施形態における、第1実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。図3に示すアンテナ装置102は、主エレメント50の形状が第1実施形態のアンテナ装置101と異なる。
【0026】
アンテナ素子10は、給電部31から複数の屈曲部(図3に示す例では、二つの屈曲部51,52)を経由して開放端59まで延伸する主エレメント50を含む。主エレメント50は、第1エレメント11と、第2エレメント12と、第3エレメント13とを有する。
【0027】
第1エレメント11は、給電部31に接続され給電部31から離れる方向に延伸し、この例では、給電部31から屈曲部51まで第1方向に直線的に延伸する。第2エレメント12は、給電部31から離れる方向に延伸し、この例では、屈曲部52から開放端59まで第1方向に直線的に延伸する。第3エレメント13は、第1エレメント11の給電部31の側とは反対側の端部(この例では、屈曲部51)と第2エレメント12の給電部31の側の端部(この例では、屈曲部52)を接続する。第3エレメント13は、この例では、屈曲部51から屈曲部52まで第2方向に直線的に延伸する。
【0028】
アンテナ装置102は、エレメント長Lが、上記の式1と式2と式3とのうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度を簡易な構成で確保できる。エレメント長Lは、これら3つの式1,2,3を全て満足するのが好ましい。
【0029】
また、アンテナ装置102は、エレメント長Lが、上記の式1aと式2aと式3aとのうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度をより高く、簡易な構成で確保できる。エレメント長Lは、これら3つの式1a,2a,3aを全て満足するのがより好ましい。
【0030】
アンテナ装置102では、アンテナ素子10が有する複数の屈曲部は、第1エレメント11と第3エレメント13との接続部分と、第2エレメント12と第3エレメント13との接続部分の2箇所のみである。屈曲部が2箇所のみであるので、アンテナ装置102を簡易な構成で実現できる。
【0031】
アンテナ装置102では、第3エレメント13は、第1エレメント11及び第2エレメント12に対して、10°~170°の範囲の角度(角度α,角度β)をなすと、複数の周波数帯の電波の受信感度を簡易な構成で確保できる。図3に示す例では、第3エレメント13が第1エレメント11に対してなす角度αは、90°であり、第3エレメント13が第2エレメント12に対してなす角度βは、90°である。また、角度αは、30°~150°が好ましく、60°~120°がより好ましい。さらに、角度βは、30°~150°が好ましく、60°~120°がより好ましい。
【0032】
アンテナ装置102では、第2エレメント12の第3エレメント13側とは反対側の端部は、開放端59である。これにより、複数の周波数帯の電波の受信感度を簡易な構成で確保できる。
【0033】
図4は、第3実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。第3実施形態における、第2実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。図4に示すアンテナ装置103は、主エレメント50の形状が第2実施形態のアンテナ装置102と異なる。
【0034】
アンテナ素子10は、給電部31から複数の屈曲部(図4に示す例では、三つの屈曲部51,52,53)を経由して開放端59まで延伸する主エレメント50を含む。主エレメント50は、第1エレメント11と、第2エレメント12と、第3エレメント13と、第4エレメント14を有する。
【0035】
第1エレメント11は、給電部31に接続され給電部31から離れる方向に延伸し、この例では、給電部31から屈曲部51まで第1方向に直線的に延伸する。第2エレメント12は、給電部31から離れる方向に延伸し、この例では、屈曲部52から屈曲部53まで第1方向に直線的に延伸する。第3エレメント13は、第1エレメント11の給電部31の側とは反対側の端部(この例では、屈曲部51)と第2エレメント12の給電部31の側の端部(この例では、屈曲部52)を接続する。第3エレメント13は、この例では、屈曲部51から屈曲部52まで第2方向に直線的に延伸する。第4エレメント14は、第2エレメント12の給電部31の側とは反対側の端部(この例では、屈曲部53)に接続され、この例では、屈曲部53から開放端59まで第3方向に直線的に延伸する。
【0036】
アンテナ装置103は、主エレメント50のエレメント長Lが、上記の式1と式2と式3とのうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度を簡易な構成で確保できる。主エレメント50のエレメント長Lは、これら3つの式1,2,3を全て満足するのが好ましい。
【0037】
また、アンテナ装置103は、主エレメント50のエレメント長Lが、上記の式1aと式2aと式3aとのうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度をより高く、簡易な構成で確保できる。主エレメント50のエレメント長Lは、これら3つの式1a,2a,3aを全て満足するのがより好ましい。
【0038】
図5は、第4実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。第4実施形態における、第2の実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。図5に示すアンテナ装置104は、補助エレメント60を更に有する点で、第2実施形態のアンテナ装置102と異なる。アンテナ素子10は、主エレメント50と、補助エレメント60とを有する。
【0039】
図5に示す補助エレメント60は、給電部31に接続される。図5において、補助エレメント60は、第5エレメント15と第6エレメント16とを有し、L字状のエレメント部分を含む。第5エレメント15は、給電部31に接続され給電部31から離れる方向に延伸し、この例では、給電部31から屈曲部54まで第2方向に直線的に延伸する。第6エレメント16は、第5エレメント15に接続され第5エレメント15とは異なる方向に延伸し、この例では、屈曲部54から開放端58まで第1方向に直線的に延伸する。
【0040】
アンテナ装置104は、主エレメント50に加え、L字状のエレメント部分を含む補助エレメント60を有することで、補助エレメント60を含まない場合と比べて、受信感度が比較的低い周波数帯の感度を向上でき、所定周波数帯全体の受信感度を高められる。なお、後述する第5実施形態から第7実施形態におけるアンテナ装置においても、補助エレメント60を有することで、上記の効果を発揮できる。
【0041】
図6は、第5実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。第5実施形態における、第4実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。図6に示すアンテナ装置105は、補助エレメント60の形状が第4実施形態のアンテナ装置104と異なる。
【0042】
図6に示す補助エレメント60は、主エレメント50のうちの端部を除く箇所(図6に示す例では、第1エレメント11の中間部分)に接続される。図6において、補助エレメント60は、第5エレメント15と第6エレメント16とを有し、T字状のエレメント部分を含む。第5エレメント15は、給電部31に電気的(直流的)に接続され給電部31から離れる方向に延伸し、この例では、第1エレメント11の中間部分から屈曲部54まで第2方向に直線的に延伸する。第6エレメント16は、第5エレメント15に接続され第5エレメント15とは異なる方向に延伸し、この例では、屈曲部54から分岐して開放端57,58まで第1方向及び第4方向にそれぞれ直線的に延伸する。
【0043】
アンテナ装置105は、主エレメント50に加え、T字状のエレメント部分を含む補助エレメント60を有することで、補助エレメント60を含まない場合と比べて、受信感度が比較的低い周波数帯の感度を向上でき、所定周波数帯全体の受信感度を高められる。
【0044】
図7は、第6実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。第6実施形態における、第4実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。図7に示すアンテナ装置106は、補助エレメント60の形状が第4実施形態のアンテナ装置104と異なる。
【0045】
図7に示す補助エレメント60は、給電部31に接続される。図7において、補助エレメント60は、第5エレメント15と第6エレメント16とを有し、T字状のエレメント部分を含む。第5エレメント15は、給電部31に接続され給電部31から離れる方向に延伸し、この例では、給電部31から開放端58まで第2方向に直線的に延伸する。第6エレメント16は、第5エレメント15に接続され第5エレメント15とは異なる方向に延伸し、この例では、開放端58とは異なる中間部である屈曲部54から開放端57まで第1方向に直線的に延伸する。
【0046】
アンテナ装置106は、主エレメント50に加え、T字状のエレメント部分を含む補助エレメント60を有することで、補助エレメント60を含まない場合と比べて、受信感度が比較的低い周波数帯の感度を向上でき、所定周波数帯全体の受信感度を高められる。
【0047】
図8は、第7実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。第7実施形態における、第4実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。図8に示すアンテナ装置107は、補助エレメント60の形状が第4実施形態のアンテナ装置104と異なる。
【0048】
図8に示す補助エレメント60は、給電部31に接続される。図8において、補助エレメント60は、第5エレメント15と第6エレメント16とを有し、L字状のエレメント部分を含む。第5エレメント15は、給電部31に接続され給電部31から離れる方向に延伸し、この例では、給電部31から屈曲部54まで第2方向に直線的に延伸する。第6エレメント16は、第5エレメント15に接続され第5エレメント15とは異なる方向に延伸し、この例では、屈曲部54から開放端58まで第4方向に直線的に延伸する。
【0049】
アンテナ装置107は、主エレメント50に加え、L字状のエレメント部分を含む補助エレメント60を有することで、補助エレメント60を含まない場合と比べて、受信感度が比較的低い周波数帯の感度を向上でき、所定周波数全体の受信感度を高められる。
【0050】
第4実施形態(図5)及び第7実施形態(図8)において、補助エレメント60を構成する、第5エレメント15と第6エレメント16の合計の長さをLCLとする。このとき、エレメント長LCLは、
0.13×k×λ ≦ LCL ≦ 0.31×k×λ ・・・式4
0.30×k×λ ≦ LCL ≦ 0.69×k×λ ・・・式5
0.88×k×λ ≦ LCL ≦ 1.97×k×λ ・・・式6
のうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度を簡易な構成で確保できる。エレメント長LCLは、これら3つの式4,5,6を全て満足するのが好ましい。
【0051】
好ましくは、エレメント長LCLは、
0.15×k×λ ≦ LCL ≦ 0.30×k×λ ・・・式4a
0.34×k×λ ≦ LCL ≦ 0.65×k×λ ・・・式5a
0.98×k×λ ≦ LCL ≦ 1.87×k×λ ・・・式6a
のうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度をより高く、簡易な構成で確保できる。エレメント長LCLは、これら3つの式4a,5a,6aを全て満足するのがより好ましい。
【0052】
上記の式4と式5と式6とのうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度を簡易な構成で確保できる点で、第6エレメント16の長さLは、第5エレメント15の長さLの1.25倍以上4倍以下が好ましく、1.5倍以上3.75倍以下がより好ましく、1.75倍以上3.5倍以下がさらに好ましい。
【0053】
第5実施形態(図6)及び第6実施形態(図7)において、補助エレメント60を構成する、第5エレメント15と第6エレメント16の合計の長さをLCTとする。このとき、エレメント長LCTは、
0.18×k×λ ≦ LCT ≦ 0.43×k×λ ・・・式7
0.41×k×λ ≦ LCT ≦ 0.96×k×λ ・・・式8
1.18×k×λ ≦ LCT ≦ 2.76×k×λ ・・・式9
のうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度を簡易な構成で確保できる。エレメント長LCTは、これら3つの式7,8,9を全て満足するのが好ましい。
【0054】
好ましくは、エレメント長LCTは、
0.19×k×λ ≦ LCT ≦ 0.37×k×λ ・・・式7a
0.44×k×λ ≦ LCT ≦ 0.82×k×λ ・・・式8a
1.28×k×λ ≦ LCT ≦ 2.36×k×λ ・・・式9a
のうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度をより高く、簡易な構成で確保できる。エレメント長LCTは、これら3つの式7a,8a,9aを全て満足するのがより好ましい。
【0055】
上記の式7と式8と式9とのうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度を簡易な構成で確保できる点で、第6エレメント16の長さLは、第5エレメント15の長さLの2倍以上6倍以下が好ましく、2.2倍以上5倍以下がより好ましく、2.5倍以上4.3倍以下がさらに好ましい。
【0056】
図9は、第8実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。第8実施形態における、第1実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。図9に示すアンテナ装置108は、主エレメント50の形状が第1実施形態のアンテナ装置101と異なる。
【0057】
アンテナ素子10は、給電部31から少なくとも一つの屈曲部(図9に示す例では、一つの屈曲部51)を経由して開放端59まで延伸する主エレメント50を含む。主エレメント50は、第7エレメント17と、第8エレメント18とを有するL字状エレメントである。
【0058】
第7エレメント17は、給電部31に接続され給電部31から離れる方向に延伸し、この例では、給電部31から屈曲部51まで第2方向に直線的に延伸する。第8エレメント18は、第7エレメント17の給電部31の側とは反対側の端部(この例では、屈曲部51)に接続され第7エレメント17の延伸方向とは異なる方向に延伸し、この例では、屈曲部51から開放端59まで第1方向に直線的に延伸する。
【0059】
アンテナ装置108は、主エレメント50のエレメント長Lが、上記の式1と式2と式3とのうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度を簡易な構成で確保できる。主エレメント50のエレメント長Lは、これら3つの式1,2,3を全て満足するのが好ましい。
【0060】
また、アンテナ装置108は、主エレメント50のエレメント長Lが、上記の式1aと式2aと式3aとのうち少なくとも2つの式を満足する場合、複数の周波数帯の電波の受信感度をより高く、簡易な構成で確保できる。主エレメント50のエレメント長Lは、これら3つの式1a,2a,3aを全て満足するのがより好ましい。
【0061】
図10は、第9実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。第9実施形態における、第8実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。図10に示すアンテナ装置109は、第9エレメント19を更に有する点で、第8実施形態のアンテナ装置108と異なる。アンテナ素子10は、主エレメント50と、第9エレメント19とを有する。
【0062】
第9エレメント19は、給電部31又は主エレメント50のうちの端部を除く箇所に接続され、図10に示す例では、第7エレメント17の中間部分に接続される。図10に示す第9エレメント19は、第7エレメント17の中間部分から開放端56まで第1方向に直線的に延伸する。第9エレメント19は、第8エレメント18よりも短いが、第8エレメント18と同じ又は第8エレメント18よりも長くてもよい。
【0063】
アンテナ装置109は、第9エレメント19を有することで、第9エレメント19を含まない場合と比べて、受信感度の比較的低い周波数帯の感度を向上でき、所定周波数帯全体の受信感度を高められる。
【0064】
図11は、第10実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。第10実施形態における、第8実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。図11に示すアンテナ装置110は、第9エレメント19を更に有する点で、第8実施形態のアンテナ装置108と異なる。アンテナ素子10は、主エレメント50と、第9エレメント19とを有する。
【0065】
第9エレメント19は、給電部31又は主エレメント50のうちの端部を除く箇所に接続され、図11に示す例では、第7エレメント17の中間部分に接続される。図11に示す第9エレメント19は、第7エレメント17の中間部分から開放端56まで第4方向に直線的に延伸する。第9エレメント19は、第8エレメント18よりも短いが、第8エレメント18と同じ又は第8エレメント18よりも長くてもよい。
【0066】
アンテナ装置110は、第9エレメント19を有することで、第9エレメント19を含まない場合と比べて、受信感度の比較的低い周波数帯の感度を向上でき、所定周波数全体の受信感度を高められる。
【0067】
図12は、第11実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す平面図である。第11実施形態における、第2実施形態と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略又は簡略する。図12に示すアンテナ装置111は、給電部32及びアンテナ素子20を更に備える点で、第2実施形態のアンテナ装置102と異なる。
【0068】
アンテナ装置111は、給電部31、アンテナ素子10、給電部32及びアンテナ素子20を備える。なお、図12に示すアンテナ素子10は、図3に示す第2実施形態と同じ形状を有するが、他の実施形態の形状を有してもよい。
【0069】
給電部32は、第2給電部の一例であり、アンテナ素子20に給電するための給電点である。給電部32は、例えば、アンテナ素子20で受信した信号を増幅する不図示のアンプの入力端子に電気的に接続される。アンプにより増幅された信号は、車体に搭載される不図示の受信装置などに供給される。給電部32の具体例として、コネクタ、電極などが挙げられる。また、アンテナ装置111において、給電部32は、給電部31近傍に配置されるとよい。図12に示すアンテナ装置111のように、給電部31と給電部32とが近い距離にあることで、これらの給電部31,32と、不図示のアンプの入力端子とを繋ぐ配線を容易に束ねられるなどの簡素化ができ、空間を有効利用できる点で好ましい。
【0070】
アンテナ素子20は、第2アンテナ素子の一例であり、給電部32に接続される。アンテナ素子20の給電部32側の端部(基端部)は、例えば、半田や導電性接着剤などにより給電部32に導電的に接続される。アンテナ素子20は、周波数が300kHz~3MHzのMF(Medium Frequency)帯に含まれるAM放送波を受信可能に形成された導体である。アンテナ素子20は、リアスポイラ1に内蔵されてもよいし、リアスポイラ1の外表面に設けられてもよい。アンテナ素子20は、線状に形成された導電性部材であり、例えば、導線、導電性塗料、金属棒、金属板などによって形成されてもよく、絶縁材料で導体を被覆した被覆導体で構成されてもよい。
【0071】
アンテナ素子20がリアスポイラ1に搭載される形態についての説明は、アンテナ素子10がリアスポイラ1に搭載される形態についての上述の(第1実施形態の)説明を援用することで、省略する。
【0072】
給電部32及びアンテナ素子20の外側で給電部32及びアンテナ素子20が接する最も狭い略四角形の(XY平面の)領域を第2領域42とする。この例では、第2領域42は、第1領域41よりも狭いが、第1領域41と同じ面積でもよいし第1領域41よりも広くてもよい。アンテナ装置111において、第2領域42が、第1領域41を基準にX軸方向(車幅方向)に配置されると、例えば、アンテナ装置111をリアスポイラ1に搭載するにあたり、その搭載空間(領域)を有効に利用できる。
【0073】
図13は、第2実施形態におけるアンテナ装置(図3参照)のアンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。図13に示す各セルの数値は、3つの周波数帯(FM放送波帯、DAB Band III、地上デジタルテレビ放送波帯(DTV))のそれぞれについて、水平偏波(H)と垂直偏波(V)のそれぞれの平均アンテナ利得を示す。平均アンテナ利得は、アンテナ装置を搭載する車両をターンテーブル上で回転させ、水平面内の360°範囲で所定の角度毎に測定されたアンテナ利得の平均値Gaを算出し、各周波数帯内の所定の周波数毎に測定された平均値Gaを更に平均した値を表した。構成例の欄における各エレメントの横に付記した数値は、各エレメントの長さ(単位:mm)を表す。さらに、構成例の欄における各エレメントの給電点の図示は省略されているが、各給電点は上述の実施形態で示した位置に配置した。
【0074】
また、比較例は、AMアンテナのアンテナエレメント71、FM/DAB共用アンテナのアンテナエレメント72及び無給電エレメント73を有し、上掲の特許文献1に記載のアンテナに対応する。無給電エレメント73がアンテナエレメント72に沿っている部分(容量結合部)の長さは、220mmとし、容量結合部の間隔は、1mmとした。アンテナ装置102Aは、角度α,β(図3参照)がいずれも75°で形成され、アンテナ装置102Bは、角度α,βがいずれも90°で形成されている。アンテナ装置102Aでは、DAB Band III及びDTVのアンテナ利得が向上した。アンテナ装置102Bでは、3つの周波数帯のアンテナ利得がいずれも向上した。
【0075】
図14は、第4、第5及び第6実施形態におけるアンテナ装置(図5,6,7参照)のアンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。図14に示す各セルの数値及び構成例の欄の意味は、図13の場合と同じである。アンテナ装置104では、3つの周波数帯のアンテナ利得がいずれも向上した。アンテナ装置105,106では、とくに、DAB Band III及びDTVのアンテナ利得が向上した。
【0076】
図15は、第8及び第9実施形態におけるアンテナ装置(図9,10参照)のアンテナ利得の測定結果の一例を示す図である。図15に示す各セルの数値及び構成例の欄の意味は、図13の場合と同じである。アンテナ装置108では、3つの周波数帯のアンテナ利得がいずれも向上した。アンテナ装置109では、とくに、DAB Band III(垂直偏波)及びDTVのアンテナ利得が向上した。
【0077】
以上、実施形態を説明したが、本開示の技術は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が可能である。
【0078】
例えば、本開示に係るアンテナ装置は、樹脂製の車両部材に設置される場合に限られるものではなく、例えば、電波を所望の感度で送受できれば、樹脂製以外の素材で形成された車両部材に設置されてもよい。また、アンテナ装置が設置される車両部材は、スポイラ等のエアロパーツに限られず、ドア、バンパー、ルーフ、ボンネット、窓ガラスなどの外装部品でもよい。
【0079】
本国際出願は、2020年4月22日に出願した日本国特許出願第2020-076121号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2020-076121号の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0080】
1 リアスポイラ
2 車体
3 ハイマウントストップランプ
10 アンテナ素子
11 第1エレメント
12 第2エレメント
13 第3エレメント
14 第4エレメント
15 第5エレメント
16 第6エレメント
17 第7エレメント
18 第8エレメント
19 第9エレメント
20 アンテナ素子
31,32 給電部
41 第1領域
42 第2領域
50 主エレメント
51,52,53,54 屈曲部
56,57,58,59 開放端
60 補助エレメント
71,72 アンテナエレメント
73 無給電エレメント
101~111 アンテナ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15