(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】デバイスでの遅延を測定するシステム、方法、装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/0852 20220101AFI20241029BHJP
H04L 65/00 20220101ALI20241029BHJP
H04L 67/2866 20220101ALI20241029BHJP
H04L 67/60 20220101ALI20241029BHJP
H04N 21/258 20110101ALI20241029BHJP
【FI】
H04L43/0852
H04L65/00
H04L67/2866
H04L67/60
H04N21/258
(21)【出願番号】P 2023529408
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2021024154
(87)【国際公開番号】W WO2022269904
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】福井 達也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 稔久
(72)【発明者】
【氏名】椎名 亮太
(72)【発明者】
【氏名】小野 央也
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112398(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0014385(US,A1)
【文献】特開2021-036634(JP,A)
【文献】中国実用新案第210518643(CN,U)
【文献】特開2016-116107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 43/00-43/55
H04L 65/00-67/75
H04N 21/258
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像又は音声のデータを出力又は入力する処理を実行するデバイスと通信ネットワークで接続されている遠隔装置、及び前記通信ネットワークを通して前記遠隔装置と信号を送受信するユーザ端末を備え、
予め定められたパターンの映像又は音声の出力又は入力の処理を、前記デバイス及び前記遠隔装置において実施し、
前記パターンの映像又は音声の出力又は入力を前記ユーザ端末又は前記遠隔装置で検出し、
前記検出した時間を基準とし、前記デバイス及び前記遠隔装置が前記通信ネットワークを通して前記パターンの映像又は音声のデータを伝送した時間を用いて、前記デバイスにおける遅延時間を算出する、
システム。
【請求項2】
前記デバイスは、映像又は音声をメディアデータ化し、メディアデータを出力する機能を備え、
前記遠隔装置は、前記メディアデータから前記パターンに含まれる映像又は音声の変化を検知する応答機能を備え、
前記ユーザ端末で、前記パターンの映像又は音声を出力し、
前記パターンの映像又は音声を前記デバイスでメディアデータ化し、
前記通信ネットワークを通して、前記メディアデータを遠隔装置へ伝送し、
前記遠隔装置でのメディアデータの前記変化の検出を応答信号として前記ユーザ端末に送信し、
前記ユーザ端末が前記パターンの映像又は音声を出力してから前記応答信号を前記ユーザ端末で受信するまでの時間を計測し、
計測した時間を用いて前記デバイスでの遅延を測定する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記デバイスは、メディアデータに応じた映像又は音声を出力する機能を備え、
前記遠隔装置は、前記デバイスで映像又は音声を出力するためのメディアデータを出力する制御機能を備え、
前記ユーザ端末から前記遠隔装置に、前記通信ネットワークを通して要求信号を送信し、
要求信号を受信した前記遠隔装置が前記デバイスから前記パターンの映像又は音声を出力し、
前記ユーザ端
末が前記デバイスから出力される前記パターンに含まれる映像又は音声の変化を検出し、
前記ユーザ端末が前記要求信号を送信してから前記変化を検出するまでの時間を計測し、
計測した時間を用いて前記デバイスでの遅延を測定する、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記計測した時間から前記通信ネットワークでの遅延時間を減算することで、前記デバイスでの遅延を測定する、
請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
映像又は音声のデータを出力又は入力する処理を実行するデバイスと通信ネットワークで接続されている遠隔装置、及び前記通信ネットワークを通して前記遠隔装置と信号を送受信するユーザ端末を備えるシステムにおいて、
予め定められたパターンの映像又は音声の出力又は入力の処理を、前記デバイス及び前記遠隔装置において実施し、
前記パターンの映像又は音声の出力又は入力を前記ユーザ端末又は前記遠隔装置で検出し、
前記検出した時間を基準とし、前記デバイス及び前記遠隔装置が前記通信ネットワークを通して前記パターンの映像又は音声のデータを伝送した時間を用いて、前記デバイスにおける遅延時間を算出する、
方法。
【請求項6】
映像又は音声のデータを出力又は入力する処理を実行するデバイスと通信ネットワークで接続されている遠隔装置、及び前記通信ネットワークを通して前記遠隔装置と信号を送受信するユーザ端末を備えるシステムに備わる前記ユーザ端末として機能する装置であって、
予め定められたパターンの映像又は音声の出力又は入力の処理が、前記デバイス及び前記遠隔装置において実施され、
前記パターンの映像又は音声の出力又は入力が前記ユーザ端末又は前記遠隔装置で検出された場合に、
前記検出した時間を基準とし、前記デバイス及び前記遠隔装置が前記通信ネットワークを通して前記パターンの映像又は音声のデータを伝送した時間を用いて、前記デバイスにおける遅延時間を算出する、
装置。
【請求項7】
映像又は音声のデータを出力又は入力する処理を実行するデバイスと通信ネットワークで接続されている遠隔装置、及び前記通信ネットワークを通して前記遠隔装置と信号を送受信するユーザ端末を備えるシステムに備わる前記ユーザ端末としてコンピュータを実現させるためのプログラムであって、
予め定められたパターンの映像又は音声の出力又は入力の処理が、前記デバイス及び前記遠隔装置において実施され、
前記パターンの映像又は音声の出力又は入力が前記ユーザ端末又は前記遠隔装置で検出された場合に、
前記検出した時間を基準とし、前記デバイス及び前記遠隔装置が前記通信ネットワークを通して前記パターンの映像又は音声のデータを伝送した時間を用いて、前記デバイスにおける遅延時間を算出する、
ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像又は音声を入力又は出力するデバイスにおける遅延時間の測定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
リモートワークの普及に伴い、映像及び音声を用いたコミュニケーションの重要性が高まっている。映像及び音声を用いたコミュニケーションを円滑に進めるためには、映像遅延や音声遅延を短くすることが重要である。映像遅延や音声遅延は、ネットワークで発生する通信遅延だけでなく、カメラやマイク、スピーカーやディスプレイといったデバイスで発生するデバイス遅延への配慮も必要である。
【0003】
デバイス遅延を測定する方法として、LEDと光学センサを活用した測定方法がある(例えば、非特許文献1参照。)。本方法では、LEDを点灯させた時間と光学センサで光を観測した時間差をオシロスコープで測定することで、カメラで発生する遅延時間を測定することが可能となる。
【0004】
非特許文献1の技術を利用するためには、LEDと光学センサ、測定用のオシロスコープといった専用の機器が必要となるため、広くあまねく実施することは現実的でない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】「2.遅延時間を測るには」、技術 Technologies、高精細画像を光技術でつなぐ光パスコミュニケーションズ、https://h-path.co.jp/technologies/2-how-to-measure-latency/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、特別な装置や精密な装置間時刻同期を必要とせずに、映像又は音声を入力又は出力するデバイスで発生する遅延時間を測定可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のシステムは、
映像又は音声のデータを出力又は入力する処理を実行するデバイスと通信ネットワークで接続されている遠隔装置、及び前記通信ネットワークを通して前記遠隔装置と信号を送受信するユーザ端末を備え、
予め定められたパターンの映像又は音声の出力又は入力の処理を、前記デバイス及び前記遠隔装置において実施し、
前記パターンの映像又は音声の出力又は入力を前記ユーザ端末又は前記遠隔装置で検出し、
前記検出した時間を基準とし、前記デバイス及び前記遠隔装置が前記通信ネットワークを通して前記パターンの映像又は音声のデータを伝送した時間を用いて、前記デバイスにおける遅延時間を算出する。
【0008】
本開示の方法は、
映像又は音声のデータを出力又は入力する処理を実行するデバイスと通信ネットワークで接続されている遠隔装置、及び前記通信ネットワークを通して前記遠隔装置と信号を送受信するユーザ端末を備えるシステムにおいて、
予め定められたパターンの映像又は音声の出力又は入力の処理を、前記デバイス及び前記遠隔装置において実施し、
前記パターンの映像又は音声の出力又は入力を前記ユーザ端末又は前記遠隔装置で検出し、
前記検出した時間を基準とし、前記デバイス及び前記遠隔装置が前記通信ネットワークを通して前記パターンの映像又は音声のデータを伝送した時間を用いて、前記デバイスにおける遅延時間を算出する。
【0009】
本開示の装置は、
映像又は音声のデータを出力又は入力する処理を実行するデバイスと通信ネットワークで接続されている遠隔装置、及び前記通信ネットワークを通して前記遠隔装置と信号を送受信するユーザ端末を備えるシステムに備わる前記ユーザ端末として機能する装置であって、
予め定められたパターンの映像又は音声の出力又は入力の処理が、前記デバイス及び前記遠隔装置において実施され、
前記パターンの映像又は音声の出力又は入力が前記ユーザ端末又は前記遠隔装置で検出された場合に、
前記検出した時間を基準とし、前記デバイス及び前記遠隔装置が前記通信ネットワークを通して前記パターンの映像又は音声のデータを伝送した時間を用いて、前記デバイスにおける遅延時間を算出する。
【0010】
本開示の装置はコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、特別な装置や精密な装置間時刻同期を必要とせずに、映像デバイスで発生する遅延時間が測定可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態に係るシステム構成例を示す。
【
図2】本開示の実施形態に係るシステム構成例を示す。
【
図5】本開示の実施形態に係るシステム構成例を示す。
【
図6】本開示の実施形態に係るシステム構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0014】
通信ネットワークでの遅延時間は測定可能である。そこで、本開示は、映像又は音声のデータを入力又は出力する処理を実行するデバイスと通信ネットワークで接続されている遠隔装置を備える。そして、通信ネットワークを通してデバイスに応答させ、通信ネットワーク経由でのデバイスの応答時間から通信ネットワークでの遅延時間を減算することで、デバイス単体での応答時間をユーザ端末において測定可能にする。
【0015】
本開示において、デバイスは、映像又は音声のメディアデータを入力又は出力する処理を実行する任意の装置であり、例えば、カメラ、モニタ、マイク、スピーカである。カメラは、映像を映像データに変換し、映像データを出力する。モニタは、映像データが入力され、映像を出力する。マイクは、音声を音声データに変換し、音声データを出力する。スピーカは、音声データが入力され、音声を出力する。本開示では、メディアデータが映像データである場合について、デバイス単体での応答時間を測定する方法について説明する。
【0016】
本開示は、予め定められたパターンの映像の出力又は入力の処理を、デバイス及び前記遠隔装置において実施し、
前記パターンの映像の出力又は入力を前記ユーザ端末又は前記遠隔装置で検出し、
前記検出した時間を基準とし、前記デバイス及び前記遠隔装置が前記通信ネットワークを通して前記パターンの映像のデータを伝送した時間を用いて、前記デバイスにおける遅延時間を算出する。
【0017】
例えばデバイスがカメラの場合、通信ネットワークを通してカメラと応答装置を接続する。この状態で、ユーザ端末の画面を予め定められたパターンで変化させ、その画面の変化をカメラに撮像させ、前記応答装置からの応答をユーザ端末で受信する。ユーザ端末は、画面を前記パターンで変化させた時間を検出する。そして、ユーザ端末は、受信画面を変化させてから応答信号を受信するまでの時間を計測し、計測した時間から前記通信ネットワークでの遅延時間を減算することで、カメラでの遅延時間の測定を可能とする。
【0018】
例えばデバイスがディスプレイ場合、通信ネットワークを通してディスプレイと制御装置を接続する。この状態で、ユーザ端末から要求信号を制御装置に送信し、ディスプレイの映像を予め定められたパターンで変化させる。ユーザ端末は、ディスプレイの映像の前記パターンでの変化を検出する。そして、ユーザ端末は、要求信号を送信してからディスプレイの映像が変化するまでの時間を計測し、計測した時間から前記通信ネットワークでの遅延時間を減算することで、ディスプレイでの遅延時間の測定を可能とする。
【0019】
映像データはデバイスで処理可能な任意のデータであり、例えばHDMI(High-Definition Multimedia Interface)信号(HDMIは登録商標)である。以下、映像データがHDMI信号である例について、詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態に係るシステム構成例を示す。本実施形態に係る映像遅延測定システムは、ユーザ端末11、測定対象物のデバイスであるカメラ21、映像解析部12、及び応答部13を備える。ユーザ端末11は、カメラ21から出力されるHDMI信号の遅延時間を測定するアプリケーションを備える。
【0021】
カメラ21は、通信ネットワーク24を通して映像解析部12及び応答部13と接続されている。本実施形態では、カメラ21からのHDMI信号を通信ネットワーク24で伝送するためのMC(Media Converter)22及び26を備える。
【0022】
本実施形態の映像遅延測定システムは、以下のステップを実行する。
S101:Ping等を用いて、通信ネットワーク24の遅延時間TNを予め測定しておく。
S102:ユーザ端末11が予め定められた映像パターンを画面に表示する。映像パターンは、映像解析部12において画面の変化が検知可能な任意の映像である。カメラ21が変化している画面を撮像する。カメラ21からのHDMI信号は、MC22及び26を用いて通信ネットワーク24を伝送される。
S103:映像解析部12は、MC26からのHDMI信号を取得し、白になったことを検知したタイミングで応答部13に信号を発出する。これにより、画面の変化を通信ネットワーク24側で検知する。
S104:応答部13は、映像解析部12からの信号を受信すると、応答信号を返す。応答信号の送信先は、任意の宛先に設定可能であり、例えばユーザ端末11である。
S105:ユーザ端末11は、画面を変化させてから応答信号を受信するまでの往復時間を測定し、これを用いてカメラ21での遅延を測定する。例えば、往復時間から通信ネットワーク24での遅延時間TNを減算することでカメラ21での遅延を測定する。
【0023】
ステップS102において、ユーザ端末11は、測定アプリケーションの制御に従い画面を表示する。例えば、黒、黒、白、白、白の順に一定時間で画面表示を切り替える映像パターンである。応答部13は、黒、黒、白、白、白のパターンを検出し、黒から白に変化した時間に応答信号を生成する。
【0024】
またステップS104において、応答部13は、映像解析部12からの信号を受信した時間を、応答信号を用いてユーザ端末11に送信してもよい。この場合、ステップS105において、ユーザ端末11は、画面を変化させてから応答信号を受信するまでの往復時間に代えて、映像パターンを画面に表示してから応答信号で通知された時間までの時間を用いて、カメラ21での遅延を測定する。
【0025】
本実施形態では遅延時間の測定対象がカメラ21である例を示すが、本開示はこれに限定されない。例えば、カメラ21に代えてマイクであってもよい。この場合、映像解析部12に代えて音声解析部を備える。そして、ステップS102ではユーザ端末11が出力音声を変化させ、ステップS103ではマイクが音声データを出力し、ステップS104では音声解析部が音声の変化を検出すればよい。
【0026】
(第2の実施形態)
図2に、本実施形態に係るシステム構成例を示す。本実施形態に係る映像遅延測定システムは、MC22として映像エンコーダ22Eを備え、MC26として映像デコーダ26Dを備え、映像エンコーダ22Eがルータ23で通信ネットワーク24に接続され、映像デコーダ26Dがルータ25で通信ネットワーク24に接続され、通信ネットワーク24での遅延時間が記録されている遅延データベースを備える。また、映像解析部12及び応答部13は、応答装置に備わる。
【0027】
図3に、遅延データベースの一例を示す。遅延データベースは、ルータ23及び25間の遅延時間T
N、映像エンコーダ22Eでの遅延時間T
E、映像デコーダ26Dでの遅延時間T
E、応答装置での遅延時間T
Rを含む。
【0028】
カメラ21からのHDMI信号は、HDMIケーブルを用いて、映像エンコーダ22Eに入力される。映像エンコーダ22Eは、HDMI信号を通信ネットワーク24で伝送可能な形式に変換する。例えば、HDMI信号をIPパケットに変換する。これにより、映像エンコーダ22EからのHDMI信号は、LANを用いてルータ23に入力され、通信ネットワーク24を用いてルータ23からルータ25に送信され、LANを用いてルータ25から映像デコーダ26Dに入力される。
【0029】
映像デコーダ26Dは、IPパケットからHDMI信号に変換し、映像解析部12に出力する。映像解析部12は、HDMI信号を用いて黒から白になったことを検知する。映像解析部12が黒から白になったことを検知すると、応答部13は、そのタイミングで応答信号をルータ25に送信する。ルータ25は応答信号をルータ23に送信し、ルータ23は応答信号をユーザ端末11に送信する。ここで、応答信号には映像信号が含まれないため、任意のデータ伝送方法を用いることができ、例えば、応答部13とルータ25間はLANを用い、ルータ23とユーザ端末11間はWiFiなどの無線LANを用いることができる。
【0030】
図4に、ユーザ端末11に備わる機能の一例を示す。ユーザ端末11に備わるアプリケーションは、画面制御機能111、応答受信機能112、他遅延取得機能113、遅延算出機能114を備える。
画面制御機能111は、映像解析部12において検知可能な任意の表示を行い、表示を行った時刻を制御時刻として通知する。表示は、例えば、黒、黒、白、白、白の順に一定時間で画面表示を切り替える。
応答受信機能112は、応答部13からの応答信号を受信し、応答信号を受信した時刻を遅延算出機能114に通知する。
他遅延取得機能113は、遅延データベースから遅延時間の情報を取得し、遅延時間の情報を遅延算出機能114に通知する。
遅延算出機能114は、応答信号を受信した時刻から、他遅延取得機能113の取得した遅延時間を減算し、カメラ21での遅延時間を求める。
【0031】
(第3の実施形態)
図5に、本実施形態に係るシステム構成例を示す。本実施形態に係る映像遅延測定システムは、ユーザ端末31、測定対象物であるディスプレイ41、映像出力部32、及び制御部33を備える。ユーザ端末11は、ディスプレイ41の表示を検出する照度センサと、出力映像を変化させる要求信号を送信してから照度変化を検出するまでの時間を測定するアプリケーションを備える。
【0032】
ディスプレイ41は、通信ネットワーク44を通して映像出力部32及び制御部33と接続されている。本実施形態では、映像出力部32からのHDMI信号を通信ネットワーク44で伝送するためのMC(Media Converter)46及び42を備える。
【0033】
本実施形態の映像遅延測定システムは、以下のステップを実行する。
S201:Ping等を用いて、ネットワーク44の遅延時間TNを予め測定しておく。
S202:ユーザ端末11が出力映像を変化させる要求信号を送信する。
S203:映像出力部32は、要求信号を受信したら、出力映像を変化させるHDMI信号を出力する。映像出力部32からのHDMI信号は、MC46及び42を用いて通信ネットワーク44を伝送される。
S204:ディスプレイ41は、MC42からのHDMI信号を取得し、表示する。
S205:ユーザ端末31は、ネットワーク越しに発生するディスプレイ41の映像の変化を検出する。そして、ユーザ端末31は、要求信号を送信してからディスプレイ41の映像の変化を検知するまでの時間を測定し、これを用いてディスプレイ41での遅延時間を測定する。
【0034】
ステップS203において、映像出力部32は、制御部33の制御に従い、白にする映像を出力する。例えば、映像出力部32は、黒、黒、白、白、白の順に一定時間で切り替わるHDMI信号を出力する。これにより、ステップS203において、黒、黒、白、白、白の順に一定時間で切り替わる映像がディスプレイ41に表示される。
【0035】
本実施形態では遅延時間の測定対象がディスプレイ41である例を示すが、本開示はこれに限定されない。例えば、ディスプレイ41に代えてスピーカであってもよい。この場合、映像出力部32に代えて音声出力部を備える。そして、ステップS203では音声出力部が出力音声を変化させ、ステップS204ではスピーカが音声データを出力し、ステップS205ではユーザ端末31が音声の変化を検出すればよい。
【0036】
(第4の実施形態)
図6に、本実施形態に係るシステム構成例を示す。本実施形態に係る映像遅延測定システムは、MC46として映像エンコーダ46Eを備え、MC42として映像デコーダ42Dを備え、映像エンコーダ46Eがルータ45で通信ネットワーク44に接続され、映像デコーダ42Dがルータ43で通信ネットワーク44に接続され、通信ネットワーク44での遅延時間が記録されている遅延データベースを備える。また、映像出力部32及び制御部33は、制御装置に備わる。
【0037】
図7に、遅延データベースの一例を示す。遅延データベースは、ルータ43及び45間の遅延時間T
N、映像エンコーダ46Eでの遅延時間T
E、映像デコーダ42Dでの遅延時間T
D、制御装置での遅延T
Cを含む。
【0038】
映像エンコーダ46Eは、HDMI信号を通信ネットワーク44で伝送可能な形式に変換する。これにより、映像エンコーダ46EからのHDMI信号は、LANを用いてルータ45に入力され、通信ネットワーク44を用いてルータ45からルータ43に送信され、LANを用いてルータ43から映像デコーダ42Dに入力される。
【0039】
映像デコーダ42Dは、通信ネットワーク44で伝送可能な形式からHDMI信号に変換し、ディスプレイ41に出力する。ディスプレイ41は、黒、黒、白、白、白の順に一定時間で切り替わる映像を表示する。ユーザ端末31は、通信ネットワーク44を通して発生するディスプレイ41の映像の変化を検出する。
【0040】
図8に、ユーザ端末31に備わる機能の一例を示す。ユーザ端末11に備わるアプリケーションは、照度変化検知機能211、要求送信機能212、他遅延取得機能213、遅延算出機能214を備える。
照度変化検知機能211は、照度センサからの照度情報を取得し、照度が黒から白に切り替わったことを検知し、照度変化を検知した時刻を遅延算出機能214に通知する。
要求送信機能212は、制御部33へ要求信号を送信し、要求信号の送信時刻を遅延算出機能214に通知する。
他遅延取得機能213は、遅延データベースから遅延時間の情報を取得し、遅延算出機能214に通知する。
遅延算出機能214は、照度変化を検知した時刻から、要求信号を送信した時刻、及び他遅延取得機能213の取得した遅延時間の情報を用いて、ディスプレイ41での遅延を求める。
【0041】
(本開示の効果)
本開示によれば、特別な装置や精密な装置間時刻同期を必要とせずに、ユーザ端末11がカメラ21やディスプレイ41などのデバイスで発生する遅延を測定することが可能となる。
【0042】
なお、上述の実施形態では、遅延時間の測定対象がカメラ21又はディスプレイ41である例を示すが、本開示はこれに限定されない。例えば、カメラ21に代えてマイクであってもよいし、ディスプレイ41に代えてスピーカであってもよいし、これらを組み合わせてもよい。
【0043】
また、遠隔装置が応答装置又は制御装置である例を示すが、遠隔装置に応答装置に相当する応答機能及び制御装置に相当する制御機能の両方が含まれていてもよい。
【0044】
また、ユーザ端末11及び31に備わるアプリケーションのほか、カメラ21、映像解析部12、応答部13、MC22、26、42、46、映像エンコーダ22E、46E、映像デコーダ26D、42D、ディスプレイ41、映像出力部32、制御部33、に備わる任意の機能は、コンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、任意の通信ネットワークを通して提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
11、31:ユーザ端末
12:映像解析部
13:応答部
21:カメラ
22、26、42、46:MC
22E、46E:映像エンコーダ
23、25、43、45:ルータ
26D、42D:映像デコーダ
24、44:通信ネットワーク
32:映像出力部
33:制御部
41:ディスプレイ
111:画面制御機能
112:応答受信機能
113:他遅延取得機能
114:遅延算出機能
211:照度変化検知機能
212:要求送信機能
213:他遅延取得機能
214:遅延算出機能