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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】発電装置、送信装置及び発電方法
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/18 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
H02N2/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021033648
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134501
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-02-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業、研究題目「非定常振動対応圧電MEMS振動発電素子の開発」、委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(73)【特許権者】
【識別番号】517132810
【氏名又は名称】地方独立行政法人大阪産業技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】吉村 武
(72)【発明者】
【氏名】村上 修一
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】実公昭47-1110(JP,Y1)
【文献】特開2014-54161(JP,A)
【文献】特開2014-121168(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029453(WO,A1)
【文献】実開昭50-157840(JP,U)
【文献】国際公開第2009/116523(WO,A1)
【文献】特開2009-164775(JP,A)
【文献】特公昭49-17311(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の第1弾性体の自由端に永久磁石を設けてなる第1振動子と、
長尺の第2弾性体の自由端に非磁性体錘を設けてなる第2振動子と、
前記第1弾性体の基端部及び前記第2弾性体の基端部を連結する連結部と、
導線の周囲に形成される交番磁界によって前記永久磁石が振動した場合、前記永久磁石の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する変換部と
を備え、
前記第1振動子の共振周波数と、前記第2振動子の共振周波数とは略同一であり、
前記第1振動子及び前記第2振動子の共振周波数と、前記連結部の共振周波数は異なる
発電装置。
【請求項2】
前記第1弾性体、前記第2弾性体及び前記連結部を収容する筐体を有し、
前記永久磁石は前記筐体の壁面部に対向し、前記永久磁石が前記壁面部の面内方向へ振動するような姿勢となるように前記連結部を支持する支持体を備える
請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記第1弾性体、前記第2弾性体及び前記連結部を収容する筐体を有し、
前記永久磁石は前記筐体の壁面部に対向し、前記永久磁石が前記壁面部の面内方向へ振動するような姿勢となるように前記連結部を支持する支持体を備え、
前記第1弾性体、前記第2弾性体及び前記支持体は長尺板状の部材であり、前記支持体は、前記第1弾性体と、前記第2弾性体との間に配されている
請求項1に記載の発電装置。
【請求項4】
前記壁面部は前記永久磁石が対向する部位の厚みが他の部位に比べて薄い
請求項2又は請求項3に記載の発電装置。
【請求項5】
前記変換部は前記第1弾性体に設けられた圧電体である
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発電装置と、
信号を送信する送信部と
を備え、
前記送信部は、
前記発電装置から出力される電力にて駆動する送信装置。
【請求項7】
長尺の第1弾性体の自由端に永久磁石を設けてなる第1振動子と、長尺の第2弾性体の自由端に非磁性体錘を設けてなる第2振動子と、前記第1弾性体の基端部及び前記第2弾性体の基端部を連結する連結部とを用い、前記第1振動子の共振周波数と、前記第2振動子の共振周波数とを略同一とし、前記第1振動子及び前記第2振動子の共振周波数と、前記連結部の共振周波数を異なる値として、導線の周囲に形成される交番磁界によって振動する前記永久磁石の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する
発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交番磁界を永久磁石の運動エネルギーに変換し、当該運動エネルギーを電力に変換する発電装置及び該発電装置を備えた送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~4には、導線の周囲に生じる交番磁界のエネルギーを用いて発電する発電装置が開示されている。発電装置は、圧電体を有する弾性体と、弾性体の一端部を、交流が流れる導線に対して変位可能に固定する固定部と、弾性体の他端部に設けられた永久磁石と、圧電体に発生した電圧を出力する出力部とを備える。
【0003】
特許文献1~4に開示された磁界振動発電では、電線のそばに置いた永久磁石を振動させ、その運動エネルギーを電力に変換する。圧電体を搭載したバネ(弾性体)と錘として用いる永久磁石で構成される振動子の共振周波数を電源の周波数に一致させることで、永久磁石を大きく振動させることができる。共振ピークの鋭さは振動子の機械的品質係数(Q値)で表され、Q値が大きいほど共振ピークは鋭くなり大きな振動が得られる。高Q値の振動子の実現には、エネルギーの減衰を小さくすることが必要となり、具体的には内部摩擦の小さい材料の採用とエネルギー散逸の低減が行われる。材料の選択肢は限られていることから、後者の方が重要となる。エネルギー散逸にも、空気抵抗など複数の要因が存在するが最も顕著な影響が現れるのは固定部からのエネルギーの漏洩である。従って、振動子のQ値を高くするには、固定部を強固に固定することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-22366号公報
【文献】特開2020-114136号公報
【文献】特開2020-137162号公報
【文献】特開2020-156285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、空中に張り渡された架線や単に平面や壁に這わせた電線等、固定部を強固に固定することが困難な箇所への発電素子を取り付けが必要な場合もある。そのため、固定方法に依存せず振動子のQ値を高くすることが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、固定部を強固に固定しなくても高Q値が得られ(永久磁石の運動エネルギーが周囲へ散逸することを抑制することができ)、交番磁界のエネルギーを効率的に電力に変換することができる発電装置、送信装置及び発電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発電装置は、長尺の第1弾性体の自由端に永久磁石を設けてなる第1振動子と、長尺の第2弾性体の自由端に非磁性体錘を設けてなる第2振動子と、前記第1弾性体の基端部及び前記第2弾性体の基端部を連結する連結部と、導線の周囲に形成される交番磁界によって前記永久磁石が振動した場合、前記永久磁石の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する変換部とを備え、前記第1振動子の共振周波数と、前記第2振動子の共振周波数とは略同一であり、前記第1振動子及び第2振動子の共振周波数と、前記連結部の共振周波数は異なる。
【0008】
本発明に係る発電方法は、長尺の第1弾性体の自由端に永久磁石を設けてなる第1振動子と、長尺の第2弾性体の自由端に非磁性体錘を設けてなる第2振動子と、前記第1弾性体の基端部及び前記第2弾性体の基端部を連結する連結部とを用い、前記第1振動子の共振周波数と、前記第2振動子の共振周波数とを略同一とし、前記第1振動子及び第2振動子の共振周波数と、前記連結部の共振周波数を異なる値として、導線の周囲に形成される交番磁界によって振動する前記永久磁石の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、固定部を強固に固定しなくても高Q値が得られ、交番磁界のエネルギーを効率的に電力に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る発電装置の概念図である。
図2】永久磁石、非磁性体錘及び連結部の周波数依存性を示すグラフである。
図3】支持体のばね定数を変化させた時の共振周波数での永久磁石、非磁性体錘、連結部の振動振幅を示したグラフである。
図4】非磁性体錘の質量を変えて第2振動子の共振周波数を変化させたときの連結部の振動振幅の変化を示したグラフである。
図5】第2振動子の共振周波数を変化させた時の永久磁石、非磁性体錘、連結部の振動振幅の周波数依存性を示すグラフである。
図6】非磁性体錘の質量と連結部の振動振幅の関係を示すグラフである。
図7】非磁性体錘の質量を変化させた時の永久磁石、非磁性体錘、連結部の振動振幅の周波数依存性を示すグラフである。
図8】実施形態2に係る発電装置の概念図である。
図9】導線Wである電線に2.5Aの電流を流した状態で、異なる負荷抵抗で測定した電流の周波数と発電電力の関係を示すグラフである。
図10】100kΩの負荷抵抗に接続したときの連結部3の振動振幅を示すグラフである。
図11】共振周波数で得られた発電量の負荷抵抗依存性を示すグラフである。
図12】実施形態3に係る発電装置の要部を示す概念図である。
図13】実施形態3に係る発電装置の要部を示す分解側面図である。
図14】実施形態3に係る発電装置の要部を示す平面図である。
図15】実施形態3に係る第1弾性板を示す平面図である。
図16】実施形態4に係る電流検出装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。本実施形態に係る発電装置は、音叉の原理を採用して高Q値化を実現し、交番磁界のエネルギーを効率的に電力に変換することを可能にするものである。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る発電装置100の概念図である。本実施形態1に係る発電装置100は、長尺の第1弾性板11の自由端11bに永久磁石10を設けてなる第1振動子1と、長尺の第2弾性板21の自由端21bに非磁性体錘20を設けてなる第2振動子2と、第1弾性板11の基端部11a及び第2弾性板21の基端部21aを連結する連結部3と、導線Wの周囲に形成される交番磁界によって永久磁石10が振動した場合、永久磁石10の運動エネルギー(振動エネルギー)を電気エネルギーに変換する圧電体4と、連結部3を所定箇所に支持する支持体5と、圧電体4に発生した電圧を出力する出力部6とを備える。発電装置100は、十Hzオーダの低周波数の交流が流れる導線Wのそばに配して使用される。本実施形態1においては、導線Wは、電流を通ずることが可能な断面略円形の材料で形成された線状の部材であり、導線Wは50Hz又は60Hzの系統電源に接続されているものとする。発電装置100は、導線Wの周囲に形成される交番磁界を永久磁石10及び非磁性体錘20の運動エネルギーに変換し、永久磁石10及び非磁性体錘20の運動エネルギーを圧電体4によって電力に変換することによって、発電するものである。
【0013】
なお、上記導線Wの構成は一例であり、永久磁石10及び非磁性体錘20を振動させる交番磁界を形成可能な電流が流れる構成であれば、その形状は特に限定されるものでは無く、レール状の導通部材、バスバー、角柱状の導体、長手方向を有する板状の導体であっても良い。また、導線Wは、部分的に方形板状のような非線状部分を有していても良く、全体として所定方向に交流電流が流れるような形状であれば良い。更に、導線Wは、必ずしも直線状である必要は無く、部分的に湾曲していても良い。更にまた、導線Wは特定の用途のものに限定されるものでは無く、アース線であっても良い。以下、本実施形態1では、導線Wが直線状の部材であるものとして説明する。
【0014】
第1弾性板11は、外力によって弾性変形が可能な長板状の部材である。第1弾性板11は、例えばステンレス等の金属製である。第1弾性板11の長手方向一端部は連結部3に固定される基端部11aであり、第1弾性板11の長手方向他端部は外力によって変位可能な自由端11bである。第1弾性板11の自由端11bには永久磁石10が設けられ、第1振動子1を構成する。
【0015】
永久磁石10は、矩形板状をなし、第1弾性板11の長手方向に配列したN極10a及びS極10bを有する。第1弾性板11に永久磁石10を設けてなる第1振動子1の共振周波数は、導線Wの周囲に形成される交番磁界の周波数に略一致するように構成されている。例えば、交番磁界の周波数が50Hzである場合、永久磁石10の共振周波数を50Hzとし、交番磁界の周波数が60Hzである場合、永久磁石10の共振周波数を60Hzとする。なお、共振周波数が交番磁界の周波数に略一致するとは、所要の電力が得られる範囲で、共振周波数を交番磁界の周波数からずれた構成も本実施形態1に係る発電装置100に含まれることを意味する。
また、永久磁石10は、少なくとも振動中心位置で各部が同一方向の磁気力を受ける寸法を有する。好ましくは、永久磁石10は、任意の振動位置で各部が同一方向の磁気力を受ける寸法を有する。
【0016】
第2弾性板21は、第1弾性板11と同様の構成であり、外力によって弾性変形が可能な長板状の部材である。第2弾性板21は、例えばステンレス等の金属製である。第2弾性板21の長手方向一端部は連結部3に固定される基端部21aであり、第2弾性板21の長手方向他端部は外力によって変位可能な自由端21bである。第2弾性板21の自由端21bには非磁性体錘20が設けられ、第2振動子2を構成する。
【0017】
非磁性体錘20は、アルミニウム等の常磁性体、銅、亜鉛等の反磁性体、その他の任意の非磁性体材料からなる錘である。第2弾性板21に非磁性体錘20を設けてなる第2振動子2の共振周波数は、第1振動子1の周波数に略一致するように構成されている。例えば、第1弾性板11及び第2弾性板21の寸法、形状、弾性係数が略同一であり、永久磁石10及び非磁性体錘20の質量及び寸法形状が略同一である。なお、共振周波数が交番磁界の周波数に略一致するとは、所要の電力が得られる範囲で、共振周波数を交番磁界の周波数からずれた構成も本実施形態1に係る発電装置100に含まれることを意味する。
【0018】
連結部3は、第1弾性板11及び第2弾性板21の基端部11a,21aを連結する部材である。連結部3によって連結された第1弾性板11及び第2弾性板21は、全体として側面視U字状の音叉型をなしている。連結部3は、第1弾性板11及び第2弾性板21よりも弾性率が低く、第1振動子1及び第2振動子2と異なる共振周波数を有する。
連結部3は、例えば略直方体形状をなし、連結部3の一面(例えば図1中、上面)に第1弾性板11の基端部11aが固定され、第1弾性板11を保持している。連結部3の他面(例えば図1中、下面)に第2弾性板21の基端部21aが固定され、第2弾性板21を保持している。
【0019】
このように構成される連結部3によれば、第1振動子1及び第2振動子2は全体として音叉型をなし、また、上記の通り第1振動子1及び第2振動子2は略同一の共振周波数を有し、連結部3は第1振動子1及び第2振動子2と異なる共振周波数を有するため、連結部3はほとんど振動することなく、第1振動子1及び第2振動子2の共振を維持することができる。従って、連結部3から支持体5及び周囲へのエネルギー漏洩が低減され、発電装置100全体の高Q値化を実現することができる。
【0020】
第1弾性板11及び第2弾性板21の一面それぞれには、圧電体4が設けられている。圧電体4は、導線Wの周囲に形成される交番磁界によって永久磁石10が振動した場合、永久磁石10の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する変換部の一例である。第1弾性板11の自由端11bが変位した場合、圧電体4が伸張及び伸縮し、電圧が発生する。また、第1振動子1及び第2振動子2は音叉のように共振するため、第2弾性板21も振動し、当該第2弾性板21の自由端21bも変位する。自由端11bと、自由端21bの変位方向は逆向きである。
圧電体4は、例えばバイモルフ型圧電素子を用いてなる発電部材である。当該発電部材は、例えば、外力によって弾性変形が可能な導電板と、厚み方向に分極した2枚の板状ないしシート状の圧電セラミックスとを備え、2枚の圧電セラミックスが導電板を挟み込むように当該導電板の両面に貼り合わされている。なお、ここではバイモルフ型圧電素子を説明したが、片面のみに圧電セラミックスを張り付けたユニモルフ構造であっても良い。
【0021】
出力部6は、圧電体4に接続されており、永久磁石10及び非磁性体錘20の振動により伸縮した圧電体4に発生した電圧を出力する回路である。出力部6は、例えば、整流回路及びDC-DCコンバータを備える。整流回路は、例えばダイオードブリッジ回路である。整流回路の入力端子は圧電体4及び長板部に接続されており、整流回路の出力端子にはDC-DCコンバータの入力端子に接続されている。圧電体4に発生した交流は整流回路で全波整流され、DC-DCコンバータにて所定電圧に変換される。DC-DCコンバータにて所定電圧に変換された直流の電圧は、外部の負荷Rに印加される。
【0022】
支持体5は、連結部3を任意の所定箇所に支持するための部材である。支持体5は例えば棒状、板状の金属板であり、一端部が所定箇所に固定され、他端部が連結部3に固定されている。なお、支持体5の構成は特に限定されるものでは無く、連結部3を強固に固定する構成である必要もない。
【0023】
このように構成された発電装置100の使用者は、当該発電装置100を、交流が流れる導線Wのそばに配置することによって、導線Wの周囲に形成される交番磁界によって振動する永久磁石10の運動エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
【0024】
<有限要素法を用いた振動状態の解析>
有限要素法を用いて図1に示す発電装置100の振動状態を解析した。第1弾性板11及び第2弾性板21のバネ定数は406N/m、永久磁石10及び非磁性体錘20の質量は1.38g、連結部3の質量は7.91gである。支持体5のばね定数を5.7×103N/mとした時の永久磁石10、非磁性体錘20、連結部3の振動振幅の周波数依存性を図2に示す。
【0025】
図2は、永久磁石10、非磁性体錘20及び連結部3の周波数依存性を示すグラフである。横軸は周波数(Hz)を示し、縦軸は当該周波数における永久磁石10、非磁性体錘20及び連結部3の振動振幅(m)をそれぞれ示している。図2中、細線、破線及び太線は、それぞれ永久磁石10、非磁性体錘20、連結部3の振動振幅の周波数依存性を示している。発電装置100は61.8Hzに共振周波数を有しており、その周波数では永久磁石10と非磁性体錘20は同じ振動振幅で振動していることがわかる。また連結部3は永久磁石10及び非磁性体錘20に比べて1/100以下の振動に抑えられていることがわかる。この結果より図1に示すような音叉型構造を採用することにより、連結部3から支持体5及び周囲へのエネルギー漏洩が低減できることがわかる。
【0026】
図3は、支持体5のばね定数を変化させた時の共振周波数(61.8Hz)での永久磁石10、非磁性体錘20、連結部3の振動振幅を示したグラフである。横軸は支持体5のばね定数(N/m)を示し、縦軸は当該ばね定数における永久磁石10、非磁性体錘20及び連結部3の振動振幅(m)をそれぞれ示している。図3中、細線、破線及び太線は、それぞれ永久磁石10、非磁性体錘20、連結部3の振動振幅の支持体5ばね定数依存性を示している。支持体5のばね定数が1×106 N/m程度以上になると永久磁石10、非磁性体錘20の振動振幅の乖離が大きくなり、図2に示したような共振状態が得られなくなっていることがわかる。このときの支持体5のばね定数は第1弾性板11及び第2弾性板21のばね定数の1000倍超である。
また、支持体5のばね定数が小さくなると連結部3の振動振幅が大きくなっている。これは支持体5と連結部3で構成される振動子の共振周波数が第1振動子1及び第2振動子2の共振周波数に近づくためである。従って、支持体5のばね定数は、第1振動子1及び第2振動子2のばね定数の1000倍以下であり、また連結部3の共振周波数が第1振動子1及び第2振動子2の共振周波数よりも10Hz程度以上離れるような値であることが望ましい。
本実施形態1に係る発電装置100においては、永久磁石10と非磁性体錘20の間に相互作用が働かないため、第2弾性板21に設けた錘を磁石で構成する場合に比べて、設計が容易という利点がある。
【0027】
ここまで第1振動子1と第2振動子2の共振周波数が一致した条件での結果を示してきたが、実際に完全に一致させることは難しい。そこで第1振動子1と第2振動子2の共振周波数に差異がある場合に本技術が適用できる範囲について調べた。
【0028】
図4は、非磁性体錘20の質量を変えて第2振動子2の共振周波数を変化させたときの連結部3の振動振幅の変化を示したグラフである。横軸は非磁性体錘20の質量を変えたときの第1振動子1の共振周波数と、第2振動子2の共振周波数との差(%)を示し、縦軸は当該共振周波数が変化したときの連結部3の振動振幅を示している。
第1振動子1と第2振動子2の共振周波数が一致しているときが連結部3の振動振幅が最小であるが、共振周波数に1.5%程度の差があっても、連結部3の振動振幅の変位量は2倍程度にとどまっている。
なお、図4中、(1)、(2)及び(3)は、後述する図5に示すグラフとの対応関係を示すためのものである。
【0029】
図5は、第2振動子2の共振周波数を変化させた時の永久磁石10、非磁性体錘20、連結部3の振動振幅の周波数依存性を示すグラフである。上図(グラフ(1))は、第2振動子2の共振周波数が、第1振動子1との比で-1.5%の時の永久磁石10、非磁性体錘20、連結部3の振動振幅の周波数依存性をそれぞれ細線、破線及び太線で示すグラフである。中図(グラフ(2))は、第2振動子2の共振周波数が、第1振動子1との比で0%の時の永久磁石10、非磁性体錘20、連結部3の振動振幅の周波数依存性をそれぞれ細線、破線及び太線で示すグラフである。下図(グラフ(3))は、第2振動子2の共振周波数が、第1振動子1との比で1.5%の時の永久磁石10、非磁性体錘20、連結部3の振動振幅の周波数依存性をそれぞれ細線、破線及び太線で示すグラフである。
【0030】
図5の各図からわかるように、第1振動子1と第2振動子2の共振周波数が異なっていても、第1振動子1及び第2振動子2は連結部3を介して一体となって振動する。共振ピークは1つになっている点は重要である。また発電装置100の共振周波数は、第2振動子2の共振周波数に依存して変化していることがわかる。この特徴は、発電装置100の共振周波数を微調整する場合に利用できる。また第1振動子1と第2振動子2の共振周波数が異なると連結部3の振動振幅が発電装置100の共振周波数付近で増加することがわかる。しかし連結部3の振動振幅が、最小値の2倍程度に収まる±1.5%までの共振周波数差は許容される。
【0031】
上記の結果から、この音叉型磁界振動発電素子においては、第1振動子1と第2振動子2の共振周波数は完全に一致させる必要がないことが示された。つまり第1弾性板11と第2弾性板21のばね定数が異なっている場合でも本発明は適用できる。ここで第1弾性板11と第2弾性板21のバネ定数をそれぞれ406N/m、624N/mとした場合について考える。永久磁石10の質量は1.38gとし、非磁性体錘20の質量を2.18gから2.73gまで変化させた。
【0032】
図6は、非磁性体錘20の質量と連結部3の振動振幅の関係を示すグラフである。図4の結果と似た変化を示しており、連結部3の振動振幅は(2)付近で最小となり、(1)、(3)付近で(2)の2倍程度になっている。この時の第2振動子2の共振周波数の変化幅は±1.1%である。対称型の結果(図4)との比較から、第1弾性板11と第2弾性板21のバネ定数の差が大きくなるほど許容される共振周波数差は減少することがわかる。この許容度が小さすぎると素子の実現が難しくなることから、ここで示したように、第1弾性板11と第2弾性板21のバネ定数の差が1.5倍以内で、許容される共振周波数差が±1.1%の条件で素子を設計するのが良いと考えられる。
【0033】
図7は、非磁性体錘20の質量を変化させた時の永久磁石10、非磁性体錘20、連結部3の振動振幅の周波数依存性を示すグラフである。上図(グラフ(1))、中図(グラフ(2))、下図(グラフ(3))は、図6中(1)~(3)で示す条件における永久磁石10、非磁性体錘20、連結部3の振動振幅の周波数依存性をそれぞれ細線、破線及び太線で示すグラフである。
【0034】
対称型の時と同様に第1振動子1と第2振動子2の機械的特性が異なっていても、第1振動子1及び第2振動子2は連結部3を介して一体となって振動し、共振ピークは1つになっている。発電装置100の共振周波数は、第2振動子2の共振周波数に依存して変化している点も同じである。一方、第1弾性板11と第2弾性板21のバネ定数が異なる場合では、永久磁石10と非磁性体錘20の振動振幅が一致してなくても連結部3の振動を抑制できることがわかる。
【0035】
以上の通り、本実施形態1に係る発電装置100によれば、固定部を強固に固定しなくても高Q値が得られ、交番磁界のエネルギーを効率的に電力に変換することができる。
また、第1振動子1及び第2振動子2の共振周波数は必ずしも完全に一致させる必要は無く、1.5%程度の差があっても十分に発電装置100として機能させることができる。
また、第1弾性板11及び第2弾性板21のバネ定数も完全に一致させる必要は無い。好ましくは、第1弾性板11と第2弾性板21のバネ定数の差が1.5倍以内で、許容される共振周波数差が±1.1%の条件で素子を設計するのが望ましい。
【0036】
(実施形態2)
図8は、実施形態2に係る発電装置200の概念図である。実施形態2に係る発電装置200は、実施形態1と同様の第1振動子1、第2振動子2、連結部3、圧電体4、支持体5及び出力部6を備える。実施形態2に係る発電装置200は、第2弾性板21が第1弾性板11より短い点、発電装置200が筐体7に収容されている点、支持体5が第1弾性板11及び第2弾性板21の間に配され、筐体7に固定されている点が実施形態1と異なるため、以下では主に上記相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
実施形態2に係る発電装置200は、第1振動子1、第2振動子2及び連結部3を収容する筐体7を備える。発電装置200は、筐体7の外にある導線Wに近接配置して使用される。なお、図8には図示されていないが、筐体7は出力部6などの回路も収容しており、電圧を外部機器へ出力するための出力端子を筐体7の適宜箇所に備える。
【0038】
支持体5は、側面視L字状であり、例えばステンレス等の金属部材で形成されている。支持体5は、一端部が連結部3に固定された長方形板状の支持板51と、支持板51の他端側を屈曲してなり、筐体7の壁面部71に固定するための固定板52とを有する。支持板51は、第1弾性板11と、第2弾性板21との間に位置するように、連結部3の中央部分から第1弾性板11及び第2弾性板21と同方向へ突出している。支持体5は、永久磁石10が筐体7の壁面部71に対向し、永久磁石10が壁面部71の面内方向へ振動するような姿勢となるように連結部3を支持し、支持体5の固定板52が筐体7の壁面部71にボルト70で固定されている。
つまり連結部3から筐体7側へ伸びている支持体5の長さは、連結部3から筐体7側へ伸びている第1弾性板11よりも所定長だけ長く形成されている。所定長は、第1弾性板11及び第2弾性板21が振動した際、筐体7の壁面部71に接触しない限り、短くすることが望ましい。永久磁石10と導線Wとの距離を短くするためである。また、壁面部71は永久磁石10が対向する部位の厚みが他の部位に比べて薄い薄肉部71aを有する。例えば、図8に示すように壁面部71の外面側に凹部を有する。当該凹部によって薄肉部71aが形成される。なお、内面側に凹部を形成してもよい。ただし、内面側に凹部を形成し、永久磁石10を凹部に近接させた場合、永久磁石10と筐体7の内壁面とが接触するおそれがあるため、外側面に凹部を形成する方が好ましい。また、内面側に凹部を形成し、永久磁石10を凹部に近接させた場合、永久磁石10と筐体7の内壁面とが接触しないように凹部を大きく形成する必要があり、筐体7の強度が低下することになるため、外側面に凹部を形成する方が好ましい。
【0039】
第2弾性板21は、第1弾性板11よりも短く形成されている。支持体5を筐体7に固定するためのボルト70等を設けるためのスペースを確保するためである。
【0040】
このように構成された実施形態2に係る発電装置200によれば、支持体5を第1弾性板11及び第2弾性板21の間に配することによって、発電装置200をコンパクトに構成することができる。
【0041】
また、第1弾性板11を長く、第2弾性板21よりも短く形成することにより、永久磁石10を可能な限り導線Wに接近させて効率的に発電することができ、非磁性体錘20が位置する部位に所要のスペースを確保することができる。
【0042】
更に、筐体7の一部、特に永久磁石10が対向する部位に薄肉部71aを形成することによって、永久磁石10をより導線Wに接近させることができ、効率的に発電することができる。
更にまた、筐体7の外側に凹部を形成することによって薄肉部71aを形成しているため、凹部の大きさを最小限にとどめ、また、壁面部71と永久磁石10とが接触する可能性を避けた上で、永久磁石10を導線Wに近接配置することができる。
【0043】
なお、実施形態2では、第1弾性板11及び第2弾性板21の間に支持体5を配する構成を説明したが、第1弾性板11及び第2弾性板21の長手方向に対して垂直方向に伸ばすように構成してもよい。支持体5の構成、方向、支持方法は特に限定されるものではない。
【0044】
また、永久磁石10の振動方向と導線Wとの位置関係は、上記した特許文献1~4に記載されたものをすべて適用できるので、その関係さえ満たせば発電装置200の構造は実施形態1及び2に示すものに限られない。また永久磁石10と相互作用しない非磁性体錘20を用いることで発電装置200の非線形性を低減することが可能であるが、相互作用する物質で永久磁石10でない方の錘を作製しても本発明の原理は適用できる。
【0045】
(実施例)
図8に示した発電装置200を実際に制作して実験を行った。永久磁石10にはネオジム磁石を用いた。永久磁石10の質量は3.98gである。連結部3、非磁性体錘20はステンレス製で、その質量はそれぞれ23g、8.5gである。第1振動子1及び第2振動子2の共振周波数は60Hzになるように調整してあり、連結部3と支柱の部位の共振周波数は30Hz程度である。
【0046】
圧電体4には厚み0.1mmのPb(Zr,Ti)O3 セラミックスを用いた。圧電体4は厚さ0.2mmのステンレス板で構成された第1弾性板11及び第2弾性板21の同一方向側の面に取り付けられている。第1振動子1及び第2振動子2は常に逆方向に振動するので、二つの圧電体4をこのように配置して直列接続することで、それぞれで発生する電圧を加算して出力するようにしている。ただし、このような接続方法を用いなくても、十分に大きな出力電圧が得られる場合は、片方の第1弾性板11又は第2弾性板21のみに圧電体4を取り付けたり、外向き同士又は内向き同士に配置して並列接続したりしても構わない。更に第1弾性板11又は第2弾性板21の両面に圧電体4が取り付けられたバイモルフ構造でもよく、それを片方の第1弾性板11又は第2弾性板21だけに用いても、もしくは両方の第1弾性板11及び第2弾性板21に用いてもよい。
【0047】
発電装置200に負荷抵抗を接続し、そこで消費される電力を計測することで、発電電力の計測を行った。また発電装置200は平面上に置いた状態であり、固定はしていない。
【0048】
図9は、導線Wである電線に2.5Aの電流を流した状態で、異なる負荷抵抗で測定した電流の周波数と発電電力の関係を示すグラフである。横軸は電流の周波数(Hz)、縦軸は発電装置200が発電した電力(W)を示している。発電装置200の共振周波数である60Hzにおいて、100kΩの負荷抵抗の時に最大の発電電力(0.2mWrms)が得られている。
【0049】
図10は、100kΩの負荷抵抗に接続したときの連結部3の振動振幅を示すグラフである。横軸は電流の周波数(Hz)、縦軸は連結部3の振動振幅(μm)を示している。100kΩの負荷抵抗に接続し、導線Wである電線に2.5Aの電流を流すと、永久磁石10及び非磁性体錘20は1mm程度の振幅で振動をしているが、連結部3の振動振幅は図10に示すように10μm以下に抑制できている。このように連結部3の振動振幅は、永久磁石10や非磁性体錘20の振動振幅の1/100程度以下に抑えられており、図2に示した計算結果とよく一致している。図9の結果から求めたQ値は40、実効電気機械結合係数(K)は1.2%であった。この特性は、音叉型構造を採用せず、ベースに強固に固定された発電装置を用いた先行研究での結果(Q値:66、K:3.1%)と同水準であり、発電装置200の固定をすることなく高いQ値を発現できる本発明の有用性を示している。
【0050】
図11は、共振周波数で得られた発電量の負荷抵抗依存性を示すグラフである。横軸は負荷抵抗(Ω)を示し、縦軸は発電装置200による発電電力を示している。電流値は0.24Aから7Aの間で変化させている。どの電流値でも100kΩの負荷抵抗を接続したときに最大発電電力が得られている。また、ほぼ電流量の2乗に比例して発電電力は増加しており、7Aでは1.4mWの電力が得られている。
【0051】
(実施形態3)
図12は、実施形態3に係る発電装置300の概念図、図13は、実施形態3に係る発電装置300の要部を示す分解側面図、図14は、実施形態3に係る発電装置300の要部を示す平面図、図15は実施形態3に係る第2弾性板21を示す平面図である。実施形態3に係る発電装置300は、実施形態1及び2と同様の第1振動子1、第2振動子2、連結部3、圧電体4、支持体5及び出力部6を備える。実施形態3に係る発電装置300は、連結部3及び第2弾性板21の構成が実施形態1及び2と異なるため、以下では主に上記相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0052】
連結部3は、図12及び図13に示すように、第1連結部半体31と、第2連結部半体32と、第1押さえ板33と、第2押さえ板34とを備える。
【0053】
第1連結部半体31は、第1弾性板11を支持体5に連結する長尺の略直方体の部材である。第1連結部半体31の長手方向の寸法は、例えば第1弾性板11の短辺方向の幅と同程度の長さである。第1連結部半体31は、第1弾性板11に接触する当接面に、当該第1連結部半体31の長手方向にわたる溝部31aを有する。言い換えると、第1連結部半体31の当接面には2本の条体(凸部)が形成され、当該2本の条体が第1弾性板11の一面(図13中、上面)に当接している。
同様に、第1連結部半体31は、支持板51に接触する当接面に、当該第1連結部半体31の長手方向にわたる溝部31bを有する。言い換えると、第1連結部半体31の当接面には2本の条体(凸部)が形成され、当該2本の条体が支持板51の一面(図13中、下面)に当接している。また、第1連結部半体31は、ボルト35が挿通する穴部を有する。
【0054】
第1押さえ板33は、第1弾性板11を押さえ付け、ボルト35で第1連結部半体31に締結するための長尺の板状部材である。第1押さえ板33は、第1弾性板11に接触する当接面に、当該第1押さえ板33の長手方向にわたる溝部33aを有する。言い換えると、第1押さえ板33の当接面には2本の条体(凸部)が形成され、当該2本の条体が第1弾性板11の一面(図13中、下面)に当接している。また、第1押さえ板33はボルト35が挿通する穴部を有する。
【0055】
第2連結部半体32は、第2弾性板21を支持体5に連結する長尺の略直方体の部材である。第2連結部半体32の長手方向の寸法は、例えば第2弾性板21の短辺方向の幅と同程度の長さである。第2連結部半体32は、第2弾性板21に接触する当接面に、当該第2連結部半体32の長手方向にわたる溝部32aを有する。言い換えると、第2連結部半体32の当接面には2本の条体(凸部)が形成され、当該2本の条体が第2弾性板21の一面(図13中、下面)に当接している。
同様に、第2連結部半体32は、支持板51に接触する当接面に、当該第2連結部半体32の長手方向にわたる溝部32bを有する。言い換えると、第2連結部半体32の当接面には2本の条体(凸部)が形成され、当該2本の条体が支持板51の一面(図13中、上面)に当接している。また、第2連結部半体32は、ボルト36が挿通する穴部を有する。
【0056】
第2押さえ板34は、第2弾性板21を押さえ付け、ボルト36で第2連結部半体32に締結するための長尺の板状部材である。第2押さえ板34は、第2弾性板21に接触する当接面に、当該第2押さえ板34の長手方向にわたる溝部34aを有する。言い換えると、第2押さえ板34の当接面には2本の条体(凸部)が形成され、当該2本の条体が第2弾性板21の一面(図13中、上面)に当接している。また、第2押さえ板34はボルト36が挿通する穴部を有する。
【0057】
支持体5はボルト35,36が挿通する穴部51cを有する。第1弾性板11はボルト35が挿通する穴部11cを有する。第2弾性板21は、図13及び図15に示すように、ボルト36が挿通する長穴21cを有する。また、第2弾性板21は、図13及び図15に示すように、非磁性体錘20を第2弾性板21に締結するための長穴21dを有する。非磁性体錘20にはボルト22が挿通する穴部20cが形成されており、非磁性体錘20はボルト22によって第2弾性板21に締結固定される。長穴21c,21dは、図15に示すように第2弾性板21の長手方向に長い穴であり、連結部3に対する第2弾性板21の取り付け位置、第2弾性板21に対する非磁性体錘20の取り付け位置を調整するためのものである。
【0058】
第1連結部半体31は、図14に示すように、第2押さえ板34、第2弾性板21、第2連結部半体32及び支持体5を挿通したボルト36が螺合するネジ穴31dを有する。ボルト36を第1連結部半体31に締結することによって、第2連結部半体32を挟んで支持体5に第2弾性板21が固定される。
第2連結部半体32は、図14に示すように、第1押さえ板33、第1弾性板11、第1連結部半体31及び支持体5を挿通したボルト35が螺合するネジ穴32dを有する。ボルト35を第2連結部半体32に締結することによって、第1連結部半体31を挟んで支持体5に第1弾性板11が固定される。
【0059】
このように構成された実施形態3に係る連結部3によれば、第1連結部半体31と、第2連結部半体32と、第1押さえ板33と、第2押さえ板34の各当接面に形成された2本の条体が第1弾性板11、第2弾性板21及び支持体5の各面に当接するようにして、各部が締結される。2本の条体を各面に当接させる方が、各部が面接触する場合に比べて、がたつき、振動の原因となる間隙等が生じにくく、安定的に第1弾性板11及び第2弾性板21を連結することができる。
【0060】
また、第2弾性板21は長穴21c、21dを有するため、連結部3に対する第2弾性板21の固定位置、第2弾性板21に対する非磁性体錘20の固定位置を微調整することができる。
【0061】
更に、図8に示すように筐体7に収容された状態で、第2弾性板21が上側にくるように筐体7に固定する構成とすることにより、第2弾性板21に対する非磁性体錘20の調整が容易である。
【0062】
連結部3への締結用の穴部と、非磁性体錘20の固定用の穴部の両方を長穴21c、21dに構成する例を説明したが、いずれか一方、例えば非磁性体錘20の固定用の穴部のみを長穴21dとしてもよい。
【0063】
(実施形態4)
図16は、本実施形態4に係る電流検出装置を示すブロック図である。実施形態4に係る電流検出装置は、導線Wに流れる電流を検出する電流センサ408と、当該電流センサ408にて検出された検出情報を外部へ無線送信する送信装置409とを備える。
【0064】
実施形態4に係る送信装置409は、実施形態1に係る発電装置100と、当該発電装置100が出力する電力にて駆動し、電流センサ408によって検出された検出情報に係る信号を無線送信する送信部491とを備える。発電装置100は、導線Wの周囲に形成される交番磁界に基づいて発電し、電圧を送信部491へ出力し、送信部491は、発電装置100から出力される電力にて駆動する。
【0065】
実施形態4に係る電流検出装置によれば、発電装置100が出力する電力を用いて送信部491を駆動することができる。従って、電源を用意することができない環境、例えば、送電線の途中に設けられた電流センサ408の側に発電装置100及び送信部491を配し、電流値等の検出情報を外部へ無線送信することができる。
【0066】
なお、実施形態4では、実施形態1に係る発電装置100を備える例を説明したが、言うまでも無く、実施形態2に係る発電装置200又は実施形態3に係る発電装置300を用いて、実施形態4に係る電流検出装置を構成しても良い。
【0067】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
1 第1振動子
2 第2振動子
3 連結部
4 圧電体
5 支持体
6 出力部
7 筐体
10 永久磁石
11 第1弾性板
20 非磁性体錘
21 第2弾性板
31 第1連結部半体
32 第2連結部半体
33 第1押さえ板
34 第2押さえ板
51 支持板
52 固定板
71 壁面部
71a 薄肉部
100 発電装置
W 導線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16