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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】光学積層体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20241029BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20241029BHJP
   B32B 3/08 20060101ALI20241029BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/1335 510
B32B3/08
G06F3/041 662
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020104372
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021009360
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2019121587
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 幹士
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/216545(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0011373(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109194787(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108594524(CN,A)
【文献】国際公開第2018/196149(WO,A1)
【文献】特開2017-003906(JP,A)
【文献】特開2019-158956(JP,A)
【文献】特開2019-139232(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0118826(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0050047(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0027603(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0131035(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G02F 1/1335
B32B 3/08
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光層と、前記偏光層の片面又は両面に設けられる保護層とが積層されており、前記偏光層と前記保護層とを積層方向に貫通する穴部を有する偏光板を含み、
前記穴部は、透光性の充填材により充填されており、
前記偏光板の一方の面側に第1粘着剤層を有し、
前記第1粘着剤層の前記偏光板とは反対側の面側に、第1剥離フィルムを有し、
前記偏光板の他方の面に直接接するように第2粘着剤層を有し、
前記第2粘着剤層の前記偏光板とは反対側の面側に、第2剥離フィルムを有し、
前記第1粘着剤層、前記第1剥離フィルム、前記第2粘着剤層、及び、前記第2剥離フィルムは、前記偏光板の前記穴部が位置する領域に穴部を有しておらず、
前記充填材は、前記偏光板の前記穴部全体に設けられている、光学積層体。
【請求項2】
前記充填材は、樹脂を含む、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
前記偏光板の厚みは、15μm以上である、請求項1又は2に記載の光学積層体。
【請求項4】
前記偏光板の前記穴部の径は、0.5mm以上20mm以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項5】
前記第1粘着剤層は、前記偏光板に直接接するように設けられている、請求項1~のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項6】
さらに、前記偏光板と前記第1粘着剤層との間に、第1機能層を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項7】
前記第1機能層は、光学フィルム及びタッチセンサパネルのうちの少なくとも一方を含む、請求項に記載の光学積層体。
【請求項8】
前記第1機能層は、前記光学フィルムを含み、
前記光学フィルムは、λ/4波長板、λ/4波長板とλ/2波長板との積層フィルム、又は、逆波長分散性のλ/4波長板とポジティブCプレートとの積層フィルムである、請求項に記載の光学積層体。
【請求項9】
前記第1機能層は、前記偏光板の前記穴部が位置する領域に穴部が形成されており、
前記第1機能層の前記穴部は、前記充填材で充填されている、請求項のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項10】
前記充填材は、前記第2粘着剤層を構成する粘着剤と同じ粘着剤である、請求項1~のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項11】
前記光学積層体は、長尺体である、請求項1~10のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項12】
前記保護層は、前記偏光層の両面に設けられる、請求項1~11のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項13】
前記第1粘着剤層は、前記偏光板の前記一方の面側の全体を被覆している、請求項1~12のいずれか1項に記載の光学積層体。
【請求項14】
前記第2粘着剤層は、前記偏光板の前記他方の面の全体を被覆している、請求項1~13のいずれか1項に記載の光学積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板を含む光学積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光板は、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等の表示装置における偏光の供給素子として、また偏光の検出素子として広く用いられている。偏光板は従来より、偏光子の片面又は両面に保護フィルムを接着したものが使用されている。
【0003】
偏光板を備えた表示装置は、ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話等のモバイル機器にも展開されており、表示目的の多様化、表示区分の明確化、装飾化等への要求から、透過率の異なる領域を有する偏光板が要求されている。特にスマートフォンやタブレット型端末に代表される中小型の携帯端末においては、装飾性の観点から全面にわたって境目のないデザインとするため、全面に偏光板を貼り合わせることがある。この場合、カメラレンズの領域や、画面下のアイコンやロゴ印刷の領域にも偏光板が重なるため、カメラの感度が悪くなったり、意匠性に劣ったりするという問題がある。
【0004】
そのため、偏光板に穴を形成する等の加工を行って、カメラの感度や意匠性の低下を抑制すること、偏光板に含まれる偏光子に化学処理を施すことにより非偏光部を形成して、カメラ性能に悪影響を与えないようにすること(例えば、特許文献1~3)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-194568号公報
【文献】特開2018-28563号公報
【文献】特開2018-31954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
穴部を有する偏光板は、粘着剤層や接着剤層等の貼合層を介して表示装置をなす部材等に貼合される。穴部を有する偏光板と上記部材との貼合時、空洞である穴部の周辺に気泡が発生したり、該空洞に異物が混入する等の不具合が生じることがある。
【0007】
本発明は、偏光板を他部材に積層する際に、気泡の発生や異物の混入等の不具合を抑制することができる光学積層体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の光学積層体を提供する。
〔1〕 偏光層と、前記偏光層の片面又は両面に設けられる保護層とが積層されており、前記偏光層と前記保護層とを積層方向に貫通する穴部を有する偏光板を含み、
前記穴部は、透光性の充填材により充填されている、光学積層体。
〔2〕 前記充填材は、前記穴部全体に設けられている、〔1〕に記載の光学積層体。
〔3〕 前記充填材は、樹脂を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の光学積層体。
〔4〕 前記偏光板の厚みは、15μm以上である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の光学積層体。
〔5〕 前記穴部の径は、0.5mm以上20mm以下である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の光学積層体。
〔6〕 さらに、前記偏光板の一方の面側に第1粘着剤層を有する、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の光学積層体。
〔7〕 さらに、前記第1粘着剤層の前記偏光板とは反対側の面側に、第1剥離フィルムを有する、〔6〕に記載の光学積層体。
〔8〕 さらに、前記第1粘着剤層の前記偏光板とは反対側の面側に、画像表示素子層を有する、〔6〕に記載の光学積層体。
〔9〕 さらに、前記偏光板と前記第1粘着剤層との間に、第1機能層を含む、〔6〕~〔8〕のいずれかに記載の光学積層体。
〔10〕 前記第1機能層は、光学フィルム及びタッチセンサパネルのうちの少なくとも一方を含む、〔9〕に記載の光学積層体。
〔11〕 さらに、前記偏光板の他方の面上に第2粘着剤層を有する、〔6〕~〔10〕のいずれかに記載の光学積層体。
〔12〕 前記充填材は、前記第2粘着剤層を構成する粘着剤と同じ粘着剤である、〔11〕に記載の光学積層体。
〔13〕 さらに、前記第2粘着剤層の前記偏光板とは反対側の面側に、第2剥離フィルムを有する、〔11〕又は〔12〕に記載の光学積層体。
〔14〕 さらに、前記第2粘着剤層の前記偏光板とは反対側の面側に、第2機能層を有する、〔11〕又は〔12〕に記載の光学積層体。
〔15〕 前記第2機能層は、タッチセンサパネル及びカバー部材のうちの少なくとも一方を含む、〔14〕に記載の光学積層体。
【0009】
なお、本明細書において、「第1粘着剤層の偏光板とは反対側の面側に」設けられる層(第1剥離フィルム又は画像表示素子層)は、第1粘着剤層に直接接している場合も、直接接していない場合も含む。「第2粘着剤層の偏光板とは反対側の面側に」設けられる層(第2剥離フィルム又は第2機能層)についても同様である。
本明細書において、「面上」に設けられる層とは、当該面に接する層をいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、穴部を有する偏光板が他部材に積層された構造を有していても、気泡の発生や異物の混入等が少ない光学積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の光学積層体の一例を模式的に示す概略平面図である。
図2図1に示す光学積層体のx-x’断面図である。
図3】本発明の光学積層体の他の一例を模式的に示す概略断面図である。
図4】本発明の光学積層体のさらに他の一例を模式的に示す概略断面図である。
図5】本発明の光学積層体のさらに他の一例を模式的に示す概略断面図である。
図6】(a)及び(b)は、本発明の光学積層体のさらに他の一例を模式的に示す概略断面図である。
図7】本発明の光学積層体のさらに他の一例を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の光学積層体の好ましい実施形態について説明する。以下のすべての図面においては、各構成要素を理解しやすくするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
【0013】
(光学積層体)
図1は、本発明の光学積層体の一例を模式的に示す概略平面図である。図2は、図1に示す光学積層体のx-x’断面図である。
図1及び図2に示す光学積層体1は、偏光板10を有する。
偏光板10は、偏光層11と、偏光層11の片面又は両面に設けられる保護層12とが積層されており、偏光層11と保護層12とを積層方向に貫通する穴部15を有する。
穴部15は、透光性の充填材により充填されている。
【0014】
光学積層体1では、偏光板10の穴部15に偏光層11が存在せず、この穴部15が位置する領域を非偏光領域とすることができる。そのため、光学積層体1をスマートフォンやタブレット型端末等に展開される液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置に適用する際に、上記穴部15が位置する領域に、カメラレンズや、アイコンやロゴ等の印刷部を配置することにより、カメラの感度の低下や意匠性の低下を抑制することができる。
【0015】
光学積層体1では、偏光板10の穴部15が充填材20によって充填されているため、穴部15を中実とし空洞が存在しないようにすることができる。これにより、偏光板10の穴部15に異物が混入することを抑制することができる。
また、後述するように、偏光板10の穴部15の一方側を塞いだ状態で、穴部15の他方側が位置する偏光板10の面上に、剥離フィルム上に粘着剤層が形成された粘着シートや機能層(後述するカバー部材、タッチセンサパネル、光学フィルム等)を積層する場合に、穴部15に異物が混入したり、穴部15の周辺に気泡が混入することを抑制することができる。穴部15が充填材20により充填されていない場合、異物や気泡の混入を抑制するために真空ブース内で必要に応じて加熱処理も行いながら、上記積層を行う必要がある。これに対し、本実施形態のように穴部15が充填材20により充填されていることにより、真空条件下や真空加熱条件下で上記積層を行わなくても、異物や気泡の混入が抑制されやすくなる。
【0016】
光学積層体1の平面視形状は特に限定されないが、通常、図1に示すように四角形状である。光学積層体1をなす四角形状は、長方形状であってもよく正方形状であってもよく、4つの角のうちの少なくとも1つが角丸(Rを有する形状)であってもよい。
図1に示す光学積層体1は、枚葉体であるが、長尺体であってもよい。光学積層体1は、必要に応じて所定の形状にカットされてもよい。
【0017】
光学積層体1は、片面又は両面にプロテクトフィルムを有していてもよい。プロテクトフィルムは、光学積層体1を用いた製品の製造や、光学積層体1の製造や輸送に際して、偏光板10の表面に傷や汚れ等が生じることを抑制するために設けられる。プロテクトフィルムは、偏光板10に対して剥離可能に設けられる。
プロテクトフィルムは、基材フィルムに粘着剤層を有するものであってもよく、自己粘着性のフィルムであってもよい。
プロテクトフィルムの基材フィルムに用いられる樹脂としては、後述する保護層に用いられる樹脂が挙げられ、粘着剤層としては、後述する粘着剤が挙げられる。自己粘着性のフィルムは、例えばポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂等を用いて形成することができる。
【0018】
(偏光板)
偏光板10は、図2に示すように、偏光層11と、偏光層11の両面にそれぞれ設けられた第1保護層12a及び第2保護層12bとを有する。
第1保護層12a及び第2保護層12bは、粘着剤層や接着剤層等の貼合層を介して偏光層11上に設けられてもよく、偏光層11上に貼合層を介さずに直接設けられてもよい。
偏光板10は、図2に示す第1保護層12a及び第2保護層12bのうちの一方のみを備えるものであってもよい。
【0019】
偏光板10は、上記したように偏光層11と第1保護層12aと第2保護層12bとを積層方向に貫通する穴部15を有する。つまり、偏光層11、第1保護層12a、及び第2保護層12bも、その厚み方向に貫通する穴部をそれぞれ有する。
穴部15の平面形状は特に限定されないが、円形;楕円形;小判形;三角形や四角形等の多角形;多角形の少なくとも1つの角が角丸(Rを有する形状)とされた角丸多角形等とすることができる。
【0020】
穴部15の径は、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であってもよく、2mm以上であってもよく、3mm以上であってもよい。穴部15の径は、20mm以下であることが好ましく、15mm以下であってもよく、10mm以下であってもよく、7mm以下であってもよい。
本明細書において、穴部の径とは穴部の平面視形状が円形(真円形)である場合には該円の直径をいい、穴部の平面視形状が円形(真円形)以外の場合には、平面視における穴部の外接円(真円形)の直径をいう。
【0021】
偏光板10の厚みは、15μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、50μm以上であってもよく、60μm以上であってもよく、80μm以上であってもよい。偏光板10の厚みは、通常300μm以下であり、250μm以下であってもよく、200μm以下であってもよく、150μm以下であってもよい。
【0022】
偏光板10における穴部15は、打抜き、切抜き、切削、又はレーザーカット等により形成することができる。
【0023】
偏光板10は、穴部15を1つ有していてもよく、2以上有していてもよい。穴部15を2以上有する場合、穴部15の形状や径は、互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0024】
(偏光層)
偏光層11は、無偏光の光を入射させたとき、吸収軸に直交する振動面をもつ直線偏光を透過させる性質を有する直線偏光子である。
偏光層11は、例えば、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」ということがある。)系フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理、及び架橋処理等が施されたものが挙げられる。
偏光層11は、重合性液晶化合物に二色性色素を配向させ、重合性液晶化合物を重合させた硬化膜であってもよい。このような偏光層11は、例えば、基材フィルム上に、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む偏光子形成用組成物を塗布し、重合性液晶化合物を液晶状態を保持したまま重合して硬化させて得ることができる。
【0025】
偏光層11の厚みは、40μm以下とすることができ、好ましくは30μm以下(例えば20μm以下、さらには15μm以下、なおさらには10μm以下又は8μm以下)である。偏光層11の厚みは、通常2μm以上であり、5μm以上であってもよい。
【0026】
(保護層)
偏光層11の片面又は両面に設けられる保護層12(第1保護層12a、第2保護層12b)としては、光を透過可能な樹脂層であれば限定されず、樹脂フィルムであってもよく、樹脂を含む組成物を塗布して形成した塗布層であってもよい。
【0027】
樹脂層に用いられる樹脂としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性、延伸性等に優れる熱可塑性樹脂であることが好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ナイロンや芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;シクロ系及びノルボルネン構造を有する環状ポリオレフィン系樹脂);(メタ)アクリル系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂、並びにこれらの混合物が挙げられる。
偏光層11の両面にそれぞれ保護層12が積層されている場合、保護層12の樹脂組成は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0028】
保護層12が樹脂フィルムである場合、偏光層11上に、貼合層を介して保護層12を設けることができる。貼合層を構成する粘着剤及び接着剤は、後述する粘着剤及び接着剤を用いることができる。
保護層12が塗布層である場合、偏光層11上に、上記した樹脂を含む組成物を塗布することによって形成することができる。
【0029】
保護層12の厚みは、薄型化の観点から、通常200μm以下であり、150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、80μm以下であってもよく、60μm以下であってもよい。保護層12の厚みは、通常5μm以上であり、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。保護層12は位相差を有していても、有していなくてもよい。
偏光層11の両面にそれぞれ保護層12が積層されている場合、保護層12の厚みは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0030】
(充填材)
偏光板10の穴部15は、充填材20により充填されている。充填材20は、通常、穴部15全体を埋めるように設けられる。
充填材20は透光性を有する。本明細書において、透光性とは波長400nm~700nmの範囲の可視光が80%以上透過する性質をいう。充填材20の透光性は、上記波長領域の可視光が85%以上透過するものであってもよく、90%以上透過するものであってもよく、95%以上透過するものであってもよい。
【0031】
充填材20は透光性を有し、偏光板10の穴部15を埋めることができるものであれば特に限定されないが、樹脂を含むことが好ましい。
当該樹脂としては、例えば、粘着剤、接着剤、及び熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0032】
粘着剤は、それ自体を被着体に貼り付けることで接着性を発現するものであり、いわゆる感圧型接着剤と称されるものである。
粘着剤としては、(メタ)アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、又はゴム系ポリマー等のポリマーを主成分として含むものが挙げられる。本明細書において、主成分とは、粘着剤の全固形分のうち50質量%以上を含む成分をいう。粘着剤は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよく、活性エネルギー線照射や加熱により、架橋度や接着力を調整してもよい。
本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルのいずれでもよいことを意味する。
【0033】
粘着剤は、透明性、粘着力、信頼性、耐候性、耐熱性等の観点から、(メタ)アクリル系粘着剤が好ましい。(メタ)アクリル系粘着剤には、メチル基やエチル基やn-、i-又はt-ブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の官能基含有(メタ)アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、より好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上の(メタ)アクリル系ポリマーが主成分として有用である。
【0034】
接着剤は、硬化性の樹脂成分を含むもの(いわゆる、硬化性樹脂)であって、感圧型接着剤(粘着剤)以外の接着剤である。
接着剤としては、硬化性の樹脂成分を水に溶解又は分散させた水系接着剤、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤、熱硬化性接着剤等が挙げられる。
【0035】
水系接着剤に含有される樹脂成分としては、ポリビニルアルコール系樹脂やウレタン系樹脂等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性接着剤としては、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射によって硬化する組成物が挙げられる。活性エネルギー線の照射によって硬化する組成物としては、紫外線硬化性組成物であることが好ましく、カチオン重合によって硬化するエポキシ系化合物を硬化性成分として含有することがより好ましい。
熱硬化性接着剤としては、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂等を主成分として含むものが挙げられる。
【0036】
熱可塑性樹脂としては、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)等のポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂は、例えば、3Dプリンタ等で用いられるフィラメント状の熱可塑性樹脂であってもよい。
【0037】
上記粘着剤、接着剤、又は熱可塑性樹脂を、液状、微粒子状、又は粉末状等の流動性を有する状態で偏光板10の穴部15に注入し、注入後に必要に応じて、液状の場合は乾燥又は硬化させることによって、微粒子状又は粉末状の場合は溶融固化等させることによって、穴部15に上記充填材20を充填することができる。
あるいは、上記粘着剤、接着剤、又は熱可塑性樹脂を、上記穴部15の形状に合わせて成形した成形物を予め形成しておき、この成形物に偏光板10の穴部15を嵌め込むことによって、上記充填材20を充填してもよい。この場合、成形物を、穴部15の形状と同じサイズに形成する、又は、穴部15のサイズよりも0mm超0.2mm以下小さいサイズに形成することが好ましい。
【0038】
(光学積層体の他の例[1])
図3は、本発明の光学積層体の他の一例を模式的に示す概略断面図である。
図3に示す光学積層体2は、図2に示す光学積層体1の一方の面側に、さらに第1粘着剤層31及び第1剥離フィルム32をこの順に有する。
第1粘着剤層31は、図3に示すように偏光板10の第2保護層12b上に設けてもよく、第1保護層12a上に設けてもよい。
偏光板10が片面にのみ保護層12を有する場合は、保護層12上又は偏光層11上に第1粘着剤層31及び第1剥離フィルム32をこの順に設けることができる。
第1粘着剤層31は、図3に示すように、偏光板10に直接接するように設けられてもよく、後述するように、偏光板10の保護層として設けられた第1機能層(光学フィルム、タッチセンサパネル等)上に直接接するように設けられてもよい。
【0039】
第1粘着剤層31は、後述する画像表示素子層と貼合するための貼合層として用いることができる。
第1粘着剤層31は、偏光板10の穴部15が位置する領域に、該層の積層方向に貫通する穴部を有していてもよい。この場合、光学積層体2において、第1粘着剤層31の穴部は充填材20で充填されていることが好ましい。光学積層体2において、偏光板10の穴部15を充填する充填材20として、第1粘着剤層31を構成する粘着剤を用いてもよい。
【0040】
第1剥離フィルム32は、第1粘着剤層31の偏光板10側とは反対側の表面を被覆し保護するために用いることができる。第1剥離フィルム32は、第1粘着剤層31に対して剥離可能である。
第1剥離フィルム32は、偏光板10の穴部15が位置する領域に穴部を有していない。
【0041】
光学積層体2において、偏光板10が片面にのみ保護層を有する場合、第1粘着剤層31が設けられない側に保護層(図3では、第1保護層12a)を有することが好ましい。
光学積層体2は、第1剥離フィルム32を有していなくてもよい。
【0042】
光学積層体2は、例えば、上記した偏光板10に、第1剥離フィルム32上に第1粘着剤層31を設けた第1粘着シートを積層した後、この穴部15を充填材20で充填することにより得ることができる。
【0043】
光学積層体2は、穴部15が形成されていない偏光板に、上記第1粘着シートを積層した後、該偏光板にのみ穴部15を形成し、穴部15を充填材20で充填することにより得ることもできる。
【0044】
光学積層体2は、上記光学積層体1(図2)に、上記第1粘着シートを積層して得てもよい。
【0045】
光学積層体2は、次の手順で得ることもできる。まず、穴部15が形成されていない偏光板に、離型フィルム上に第1粘着剤層31を設けた粘着シートを積層することにより積層体(1)を得る。続いて、偏光板10の穴部15を形成するために、積層体(1)全体を積層方向に貫通する穴部を形成した後、離型フィルムを剥離し、該剥離により露出した第1粘着剤層31上に第1剥離フィルム32を積層することにより積層体(2)を得る。更に、積層体(2)が有する穴部を充填材20で充填することにより、光学積層体2を得る。
【0046】
光学積層体2は、次の手順で得ることもできる。まず、充填材で充填されていない穴部15を有する偏光板10の第1保護層12a側にプロテクトフィルムを積層する。次に、当該穴部15内に充填材20の材料を注入し、更に、偏光板10のプロテクトフィルムとは反対側の面に、第1粘着剤層31を形成するための粘着剤を塗工する。その後、塗工した粘着剤と上記充填材20の材料とを同時に加熱することにより硬化させる。この硬化によって、偏光板10のプロテクトフィルムとは反対側の面に第1粘着剤層31を形成し、第1粘着剤層31の偏光板10とは反対側の面に、第1剥離フィルム32を積層する。偏光板10に積層されたプロテクトフィルムは、必要に応じて剥離して除去することができる。
充填材20を構成する材料が粘着剤である場合、偏光板の穴部への粘着剤の注入と、偏光板への粘着剤の塗工とは、同時に行ってもよい。
【0047】
第1粘着剤層31は粘着剤を用いて形成され、粘着剤としては上記したものを用いることができる。
【0048】
第1粘着剤層31の厚みは特に限定されず、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。第1粘着剤層31の厚みは、通常50μm以下であり、40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、25μm以下であってもよい。
【0049】
第1剥離フィルム32としては、例えば、第1粘着剤層31と接する側に離型処理を施した樹脂フィルムを用いることができる。
樹脂フィルムとしては、ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等からなるフィルムが挙げられる。
離型処理としては、シリコーンコーティング等が挙げられる。
【0050】
第1剥離フィルム32の厚みは特に限定されず、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、通常50μm以下であり、40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。
【0051】
離型フィルムは、第1剥離フィルム32で例示したものを用いることができる。
【0052】
(光学積層体の他の例[2])
図4は、本発明の光学積層体のさらに他の一例を模式的に示す概略断面図である。
図4に示す光学積層体3は、図3に示す光学積層体2の第1保護層12a(偏光板10の他方の面)上に、第2粘着剤層41及び第2剥離フィルム42をこの順に有する。第2粘着剤層41は、光学積層体2の偏光板10に直接接するように設けられる。
【0053】
第2粘着剤層41は、後述する第2機能層(カバー部材、タッチセンサパネル等)と貼合するための貼合層として用いることができる。
【0054】
第2剥離フィルム42は、第2粘着剤層41の偏光板10側とは反対側の表面を被覆し保護するために用いることができる。第2剥離フィルム42は、第2粘着剤層41に対して剥離可能である。
光学積層体3は、第2剥離フィルム42を有していなくてもよい。
【0055】
図4に示す光学積層体3では、偏光板10の穴部15に充填材20が設けられているため、高温環境下(例えば、温度85℃、100時間)に置いた場合等に、第2粘着剤層41の剥がれや光漏れ等の不具合を抑制することができる。
【0056】
光学積層体3において、充填材20は、第2粘着剤層41を構成する粘着剤と同じ粘着剤であることが好ましい。充填材20を構成する粘着剤と第1粘着剤層31を構成する粘着剤とを同じ材料とすることにより、光学積層体3の製造を効率的に行うことができる。これにより、光学積層体3を表示装置に適用する際に、上記穴部15が位置する領域に、カメラレンズ、又は、アイコンやロゴ等の印刷部を配置した場合のカメラの感度の低下や意匠性の低下等を抑制することができる。
【0057】
光学積層体3は、例えば、上記した光学積層体2の偏光板10上に、第2剥離フィルム42上に第2粘着剤層41を設けた第2粘着シートを積層することによって得ることができる。
【0058】
光学積層体2(図3)を用いて第2粘着シートとの積層を行うため、光学積層体2と第2粘着シートとの積層に際して、穴部15に異物が混入したり、穴部15の周辺に気泡が混入することを抑制することができる。
特に、光学積層体2では、第1粘着剤層31及び第1剥離フィルム32が設けられており、穴部15の一方側が第1粘着剤層31や第1剥離フィルム32によって塞がれている。空洞の穴部を有する光学積層体2と第2粘着シートとを積層させる場合には、穴部に異物が混入したり穴部の周辺に気泡が生じないように、真空条件下又は真空加熱条件下で第2粘着シートと積層する必要がある。これに対し、穴部が充填材20により充填された光学積層体2と第2粘着シートとを積層する場合、真空条件下又は真空加熱条件下で積層しなくても、異物や気泡の混入を抑制することができる。ただし、光学積層体2と第2粘着シートとの貼合面における異物や気泡の混入をより一層抑制するために、光学積層体2と第2粘着シートとの積層を真空条件下や真空加熱条件下で行ってもよい。
【0059】
光学積層体3が長尺体である場合、光学積層体2(図3)と第2粘着シートとの積層は、通常連続的に行われる。空洞の穴部を有する光学積層体を用いた場合、空洞の穴部がない光学積層体を用いた場合に比較すると、上記した異物や気泡の混入が抑制されるように第2粘着シートを積層する速度を遅くする必要がある。
穴部が充填材20で充填された光学積層体2を用いることにより、光学積層体2と第2粘着シートとの積層を、空洞の穴部がない光学積層体を用いた場合と同程度の速度で行うことができる。
【0060】
第2粘着剤層41は、粘着剤を用いて形成することができる。粘着剤としては、上記したものを用いることができる。
【0061】
光学積層体3において、充填材20が第2粘着剤層41を構成する粘着剤と同じ粘着剤である場合、光学積層体2(図3)と第2粘着シートとの積層は、加熱条件下(例えば、温度50℃~70℃の条件下)で行うことが好ましい。加熱条件下で貼合を行うことにより、第2粘着剤層41を構成する粘着剤と充填材20を構成する粘着剤と同化(一体化)しやすい。これにより、第2粘着剤層41と充填材20との境界を判別しにくくすることができるため、充填材20と第2粘着剤層41とが接する部分において屈折率が変化することを抑制できる。
【0062】
光学積層体3は、次の手順で得ることもできる。
まず、空洞の穴部15を有する偏光板10に、第1剥離フィルム32上に第1粘着剤層31を設けた第1粘着シートを積層する。次に、偏光板10の穴部15を埋めるように充填材20の材料を注入し、更に、偏光板10の第1粘着シートとは反対側の面側に、第2粘着剤層41を形成するための粘着剤を塗工する。その後、塗工した粘着剤と上記充填材20の材料とを同時に加熱することにより硬化させる。この硬化によって、偏光板10の第1粘着シートとは反対側の面側に第2粘着剤層41を形成し、第2粘着剤層41の偏光板10とは反対側の面側に、第2剥離フィルム42を積層する。
充填材20を構成する材料が粘着剤である場合、偏光板の穴部への粘着剤の注入と、第2粘着剤層41を形成するための粘着剤の塗工とは、同時に行ってもよい。
【0063】
光学積層体3は、次の手順で得ることもできる。
まず、空洞の穴部15を有する偏光板10に、第2剥離フィルム42上に第2粘着剤層41を設けた第2粘着シートを積層する。次に、偏光板10の穴部15を埋めるように充填材20の材料を注入し、更に、偏光板10の第2粘着シートとは反対側の面側に、第1粘着剤層31を形成するための粘着剤を塗工する。その後、塗工した粘着剤と上記充填材20の材料とを同時に加熱することにより硬化させる。この硬化によって、偏光板10の第2粘着シートとは反対側の面側に第1粘着剤層31を形成し、第1粘着剤層31の偏光板10とは反対側の面側に、第1剥離フィルム32を積層する。
充填材20を構成する材料が粘着剤である場合、偏光板の穴部への粘着剤の注入と、第1粘着剤層31を形成するための粘着剤の塗工とは、同時に行ってもよい。
【0064】
第2粘着剤層41の厚みは、特に限定されず、80μm以上であってもよく、100μm以上であってもよく、120μm以上であってもよい。第2粘着剤層41の厚みは、通常200μm以下であり、180μm以下であってもよく、150μm以下であってもよい。
【0065】
第2剥離フィルム42としては、例えば、第2粘着剤層41と接する側に離型処理を施した樹脂フィルムを用いることができる。
樹脂フィルム及び離型処理としては、例えば第1剥離フィルム32で挙げたものを用いることができる。
【0066】
第2剥離フィルム42の厚みは特に限定されず、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよく、通常100μm以下であり、80μm以下であってもよく、60μm以下であってもよい。
【0067】
(光学積層体の他の例[3])
図5は、本発明の光学積層体の他の一例を模式的に示す概略断面図である。
図5に示す光学積層体4は、図4に示す光学積層体3から第1剥離フィルム32が剥離された積層体と積層構造が同じ光学積層体における第1粘着剤層31上に、画像表示素子層33を積層したものである。
光学積層体4は、第2剥離フィルム42を有していなくてもよい。
【0068】
画像表示素子層33としては、液晶表示装置に含まれる液晶パネル等の液晶表示素子や、有機EL表示装置に含まれる有機EL素子等の表示素子を含む層が挙げられる。
【0069】
光学積層体4は、例えば、光学積層体3(図4)から第1剥離フィルム32を剥離し、更に、露出した第1粘着剤層31と画像表示素子層33とを貼合することによって得ることができる。
【0070】
光学積層体4は、次の手順で得ることもできる。
まず、空洞の穴部15を有する偏光板10に、第1剥離フィルム32上に第1粘着剤層31を設けた第1粘着シートを積層した後、第1剥離フィルム32を剥離する。第1剥離フィルム32を剥離することにより露出した第1粘着剤層31と画像表示素子層33とを貼合した後、穴部15を充填材20で埋め、更に偏光板の第1粘着剤層31とは反対側の面上に、第2剥離フィルム42上に第2粘着剤層41を設けた第2粘着シートを積層して、光学積層体4を得る。
【0071】
(光学積層体の他の例[4])
図6(a)及び(b)は、本発明の光学積層体のさらに他の一例を模式的に示す概略断面図である。
図6(a)及び(b)に示す光学積層体5a,5bは、図4に示す光学積層体3において、偏光板10と第1粘着剤層31との間に第1機能層34を含む。光学積層体5a,5bは、具体的には、図2に示す光学積層体1の第1保護層12a側に第2粘着剤層41及び第2剥離フィルム42をこの順に有し、光学積層体1の第2保護層12b側に第1機能層34、第1粘着剤層31、及び第1剥離フィルム32をこの順に有する。
【0072】
光学積層体5a,5bにおいて、偏光板10が片面にのみ保護層を有する場合、第2粘着剤層41が設けられる側に保護層(図3では、第1保護層12a)を有することが好ましい。
光学積層体5a,5bは、第1剥離フィルム32を有していなくてもよい。
光学積層体5a,5bは、第1剥離フィルム32に代えて、第1粘着剤層31上に画像表示素子層を有していてもよい。
光学積層体5a,5bは、第2剥離フィルム42を有していなくてもよい。
【0073】
光学積層体1と第1機能層34との間には、貼合層が設けられていてもよい。貼合層は、粘着剤より形成された粘着剤層、又は、接着剤より形成された接着剤層である。貼合層を構成する粘着剤及び接着剤としては、上記したものが挙げられる。
【0074】
第1機能層34としては、光学フィルム及びタッチセンサパネルのうちの少なくとも一方が挙げられる。第1機能層34が光学フィルム及びタッチセンサパネルの両方を含む場合、偏光板10側から、光学フィルム及びタッチセンサパネルをこの順に有することが好ましい。光学積層体5a,5bは、第1機能層34に加え、更にハードコート層を有していてもよい。また、光学積層体5a,5bが有する第1機能層34は、光学フィルムを2層以上積層した構造を有していてもよい。
【0075】
第1機能層34として光学フィルムを有する場合、光学フィルムは、偏光板10の穴部15が位置する領域に穴部を有していてもよい。この場合、図6(b)に示すように、光学積層体5bにおいて、光学フィルム(第1機能層34)の穴部にも充填材20を設けることが好ましい。
【0076】
図6(a)及び(b)に示す光学積層体5a,5bでは、偏光板10の穴部15が充填材20で充填されているので、高温環境下(例えば、温度85℃、100時間)で放置した場合等に、第2粘着剤層41の剥がれや光漏れ等の不具合を抑制することができる。
【0077】
図6(a)に示す光学積層体5aは、次の手順で得ることができる。
空洞の穴部15を有する偏光板10に第1機能層34を設け、第1機能層34上に、第1剥離フィルム32上に第1粘着剤層31を設けた第1粘着シートを積層する。その後、上記穴部15を充填材20で埋めることにより積層体(3)を得る。続いて、積層体(3)の偏光板10上に、第2剥離フィルム42上に第2粘着剤層41を設けた第2粘着シートを積層することによって、光学積層体5aを得る。
【0078】
上記した積層体(3)は、上記した光学積層体1(図2)に第1機能層34を設け、得られた積層体(3)における第1機能層34上に、上記の第1粘着シートを積層して得てもよい。
【0079】
図6(b)に示す光学積層体5bは、次の手順で得ることができる。
まず、偏光層11の片面又は両面に保護層12が設けられた偏光板に第1機能層34を設けて積層体(4)を得る。
更に、積層体(4)全体を積層方向に貫通するように穴部を形成し、第1剥離フィルム32上に第1粘着剤層31を設けた第1粘着シートを積層して積層体(5)を得る。積層体(5)が有する穴部に充填材20を設けた後、偏光板10の第1粘着剤層31とは反対側の面上に、上記の第2粘着シートを積層することにより、光学積層体5bを得る。
上記の手順で光学積層体5bを製造する場合、第1機能層34にも穴部が形成され、この穴部も充填材20で充填される。
第1粘着剤層31にも穴部を設ける場合は、積層体(5)を次の手順で得てもよい。離型フィルム上に第1粘着剤層31を設けた粘着シートを、積層体(4)の第1機能層34上に積層した積層体を得る。
続いて、この積層体全体を貫通するように穴部を形成し、更に、離型フィルムを剥離して第1剥離フィルム32を積層することにより、積層体(5)を得ることができる。
【0080】
第2粘着シートの積層は、真空条件下で行ってもよい。光学積層体5a,5bの充填材20が、第2粘着剤層41を構成する粘着剤と同じ粘着剤である場合は、加熱条件下(例えば、温度50℃~70℃の条件下)で行うことが好ましい。
【0081】
上記のように、第2粘着シートの積層を、偏光板10の穴部15が充填材20で充填された状態で行うことにより、穴部15に異物が混入したり、穴部15の周辺に気泡が混入することを抑制することができる。
【0082】
光学フィルムとしては、位相差フィルム(樹脂フィルム又はや重合性液晶化合物を配向させて重合した硬化膜)、反射フィルム、半透過型反射フィルム、輝度向上フィルム、光学補償フィルム、防眩機能付きフィルム等が挙げられる。光学フィルムは、1層であってもよく2層以上であってもよく、2層以上の場合、互いに同じ光学フィルムであってもよく、互いに異なる光学フィルムであってもよい。
光学フィルムは、λ/4波長板であってもよく、λ/4波長板とλ/2波長板との積層フィルム、逆波長分散性のλ/4波長板とポジティブCプレートとの積層フィルムであってもよい。光学フィルムが積層フィルムである場合、フィルム間には貼合層(接着剤層又は粘着剤層)が介在してもよい。
【0083】
タッチセンサパネルは、指やタッチペン等によってタッチされた位置を検出可能なセンサである。タッチセンサパネルの検出方式は特に限定されず、抵抗膜方式、静電容量結合方式、光センサ方式、超音波方式、電磁誘導結合方式、表面弾性波方式等のタッチセンサパネルが例示される。低コストであることから、抵抗膜方式、静電容量結合方式のタッチセンサパネルが好適に用いられる。
【0084】
ハードコート層としては、トリアセチルセルロース、アクリル系樹脂等の樹脂からなる層が挙げられる。
【0085】
(光学積層体の他の例[5])
図7は、本発明の光学積層体のさらに他の一例を模式的に示す概略断面図である。
図7に示す光学積層体6は、図4に示す光学積層体3から第2剥離フィルム42を剥離して得られた光学積層体の第2粘着剤層41上に、第2機能層44を積層したものである。
【0086】
光学積層体6は、第1剥離フィルム32を有していなくてもよい。
光学積層体6は、第1剥離フィルム32に代えて、第1粘着剤層31上に画像表示素子層を有していてもよい。
【0087】
第2機能層44としては、カバー部材及びタッチセンサパネルのうちの少なくとも一方が挙げられる。第2機能層44がカバー部材及びタッチセンサパネルの両方を含む場合、第2粘着剤層41側から、タッチセンサパネル及びカバー部材をこの順に有することが好ましい。
【0088】
光学積層体6は、図4に示す光学積層体3の第2剥離フィルム42を剥離して露出した第2粘着剤層41上に、第2機能層44を積層することによって得ることができる。
【0089】
カバー部材は、表示装置等の最表面をなす部材として用いることができる。カバー部材は、透光性の(好ましくは光学的に透明な)板状体である。カバー部材は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0090】
カバー部材は、ガラス又は強化ガラス等の無機材料、ヤング率が2GPa以上の樹脂フィルムから構成されることが好ましい。ガラス及び強化ガラス等の無機材料、特に、フレキシブルディスプレイ用途としては、屈曲可能とするために、樹脂フィルムが好適であり、中でもポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエステル系フィルム、オレフィン系フィルム、アクリル系フィルム、セルロース系フィルムが好ましい。高分子フィルムの中には、シリカ等の無機粒子、有機微粒子、ゴム粒子等を分散させることも好ましい。
樹脂フィルムからなる屈曲可能なカバー部材は、少なくとも片面にハードコート層を有していてもよい。ハードコート層は公知の方法で樹脂フィルムの表面に設けることができる。
【0091】
タッチセンセンサパネルとしては、上記したものが挙げられる。
【0092】
(光学積層体の用途)
光学積層体1~4,5a,5b,6は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置に用いることができる。表示装置としては、スマートフォン、タブレット等のモバイル機器、テレビ、デジタルフォトフレーム、電子看板、測定器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器等が挙げられる。
光学積層体5a,5b,6において、積層部材がタッチセンサパネルである場合、スマートフォンやタブレット等のタッチパネル式表示装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0093】
1~4,5a,5b,6 光学積層体、10 偏光板、11 偏光層、12 保護層、12a 第1保護層、12b 第2保護層、20 充填材、31 第1粘着剤層、32 第1剥離フィルム、33 画像表示素子層、34 第1機能層、41 第2粘着剤層、42 第2剥離フィルム、44 第2機能層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7