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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】カメラモジュール
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20241029BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20241029BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20241029BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20241029BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N23/50
H04N23/57
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023172785
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2019206435の分割
【原出願日】2019-11-14
(65)【公開番号】P2023179616
(43)【公開日】2023-12-19
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2018214181
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019170466
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】井 敬博
(72)【発明者】
【氏名】笠松 新
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-132839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0160558(US,A1)
【文献】特開2018-010295(JP,A)
【文献】特開2017-058169(JP,A)
【文献】特開2016-080970(JP,A)
【文献】特開2014-235378(JP,A)
【文献】特開2010-097278(JP,A)
【文献】登録実用新案第3189365(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-0621682(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00-5/08
G03B 30/00
H04N 23/50
H04N 23/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に取り付けられた磁石と、
前記磁石の近傍に配置され、一方向に沿って互いに離間し、かつ巻回軸がそれぞれ前記一方向と垂直な方向を向くように配置されて、前記磁石を前記一方向と垂直な方向に移動させる2つのコイルを有するコイル部と、
を備え、
前記2つのコイルは、異なる極性に磁化された前記磁石のそれぞれの磁極に対向して配置されている
カメラモジュール。
【請求項2】
前記磁石は、前記2つのコイルが並んで配置されている方向と平行な方向にN極とS極とが分布した二極磁石である
請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記2つのコイルのうちの一方は、前記N極と対向し、前記S極と対向しないように配置され、
前記2つのコイルのうちの他方は、前記S極と対向し、前記N極と対向しないように配置されている
請求項2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記2つのコイルの双方は、前記磁石の同一の側面に対向して配置されている
請求項1から3のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記2つのコイルの間に配置され、前記一方向における前記磁石の位置を検出する磁気センサを備える
請求項1から4のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記磁気センサは、前記一方向と垂直な方向から見て前記2つのコイルの間に配置されている
請求項5に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
前記磁気センサは、前記一方向に沿って配置された2つの磁電変換素子を有し、
前記2つの磁電変換素子がそれぞれ出力する二つの磁場検出信号の和信号、差信号及び比信号の少なくとも一つに基づいて、前記磁石の位置を示す位置検出信号を出力する位置検出信号出力部をさらに備える
請求項5又は6に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記磁石は、前記磁気センサが有する前記2つの磁電変換素子に対して、それぞれ異なる磁極が対向するように配置されており、
前記位置検出信号出力部は、前記差信号に対する前記和信号の比に基づいて前記位置検出信号を出力する
請求項7に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記磁気センサに対して、前記2つのコイルがそれぞれ逆極性の磁場を発生するように前記コイル部を駆動するドライバを備える
請求項5から8のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記2つのコイルは、互いに導体の巻方向が同一であり、
前記ドライバは、前記2つのコイルに対して互いに逆方向の電流を印加する
請求項9に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
前記2つのコイルは、互いに導体の巻方向が逆方向であり、
前記ドライバは、前記2つのコイルに対して互いに同一方向の電流を印加する
請求項9に記載のカメラモジュール。
【請求項12】
前記移動体は、レンズを有する
請求項1から11のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項13】
前記磁石のうちの前記移動体の第1の側面に取り付けられた第1の磁石の前記磁極のそれぞれに対向して配置され、前記第1の磁石によって生じた磁場を検出する複数の磁電変換素子と、
複数の前記磁電変換素子からそれぞれ出力された磁場検出信号をAD変換するAD変換部と、
複数の前記磁場検出信号の和信号を出力する加算器及び複数の前記磁場検出信号の差信号を出力する減算器を有する演算部と、
前記和信号及び前記差信号に基づいて算出された前記一方向における前記第1の磁石の位置を示す位置検出信号と、前記一方向における前記第1の磁石の目標位置を示す目標位置信号とに基づいて、前記磁石のうちの前記移動体の前記第1の側面と交差する第2の側面に取り付けられた第2の磁石を移動するための駆動信号を出力する制御信号出力部と、
前記第2の磁石に対向して配置された前記コイルに駆動信号を出力する駆動信号出力部と、
を有する駆動制御デバイスを備える
請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項14】
移動体の第1の側面に取り付けられた第1の磁石の異なる磁性に磁化された磁極のそれぞれに対向するように設けられ、前記第1の磁石によって生じた磁場を検出する複数の磁電変換素子と、
複数の前記磁電変換素子からそれぞれ出力された磁場検出信号をAD変換するAD変換部と、
複数の前記磁場検出信号の和信号を出力する加算器及び複数の前記磁場検出信号の差信号を出力する減算器を有する演算部と、
前記和信号及び前記差信号に基づいて算出された一方向における前記第1の磁石の位置を示す位置検出信号と、前記一方向における前記第1の磁石の目標位置を示す目標位置信号とに基づいて、前記移動体の前記第1の側面と交差する第2の側面に取り付けられた第2の磁石を移動するための駆動信号を出力する制御信号出力部と、
前記第2の磁石に対向して配置されたコイル部に駆動信号を出力する駆動信号出力部と、
を備える駆動制御デバイス。
【請求項15】
前記磁電変換素子は、ホールセンサである
請求項14に記載の駆動制御デバイス。
【請求項16】
前記駆動信号出力部は、前記第2の磁石に対向して配置され、逆極性の前記磁場を発生する第1のコイルと第2のコイルを含むコイル部に電気的に接続されており、
前記駆動信号出力部は、前記第1のコイル及び前記第2のコイルに駆動信号を出力する請求項14又は15に記載の駆動制御デバイス。
【請求項17】
前記演算部は、前記和信号が一定となるように係数を演算する増幅率演算部を有し、
前記演算部は、前記差信号と増幅率演算部から入力された係数との積を出力する
請求項14から16のいずれか1項に記載の駆動制御デバイス。
【請求項18】
前記演算部は、前記差信号が一定となるように係数を演算する増幅率演算部を有し、
前記演算部は、前記和信号と増幅率演算部から入力された係数との積を出力する
請求項14から16のいずれか1項に記載の駆動制御デバイス。
【請求項19】
前記駆動信号出力部は、前記第2の側面に取り付けられた前記第2の磁石に対向して配置された前記コイル部に前記駆動信号を出力する
請求項14から18のいずれか1項に記載の駆動制御デバイス。
【請求項20】
前記駆動制御デバイスは、第3のコイルと第4のコイルとの間に配置され、
前記第3のコイルと前記第4のコイルとは、前記第1の磁石に対向して配置されている請求項14から19のいずれか1項に記載の駆動制御デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCDやCMOS等の固体撮像素子を有するモバイルカメラを搭載する携帯電話等の端末が多数存在しており、モバイルカメラに適用される光学系において、瞬時に高精度な位置検出を行うことが可能な位置検出機構が求められている。このような要求に対応するために、磁石の移動方向と平行な方向に2つの磁気センサを並べて配置することで、磁石の位置を検出する位置検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3189365号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1に示す位置検出装置では、2つの磁気センサが並ぶ方向と垂直な方向へ磁石が移動した場合には、磁石の移動(磁石の位置)を検出することが検出できない。
そこで、本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、磁石、コイルおよび磁気センサの配置自由度が高く、かつ高い検出精度で磁石の位置を検出することが可能なカメラモジュールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係るカメラモジュールは、移動体に取り付けられた磁石と、磁石の近傍に配置され、一方向に沿って互いに離間し、かつ巻回軸がそれぞれ一方向と垂直な方向を向くように配置されて、磁石を一方向と垂直な方向に移動させる2つのコイルを有するコイル部と、備え、2つのコイルは、異なる極性に磁化された磁石のそれぞれの磁極に対向して配置されていることを特徴とする。
【0006】
また、本開示の他の態様に係る駆動制御デバイスは、移動体の第1の側面に取り付けられた第1の磁石の異なる磁性に磁化された磁極のそれぞれに対向するように設けられ、第1の磁石によって生じた磁場を検出する複数の磁電変換素子と、複数の磁電変換素子からそれぞれ出力された磁場検出信号をAD変換するAD変換部と、複数の磁場検出信号の和信号を出力する加算器及び複数の磁場検出信号の差信号を出力する減算器を有する演算部と、和信号及び差信号に基づいて算出された一方向における第1の磁石の位置を示す位置検出信号と、一方向における第1の磁石の目標位置を示す目標位置信号とに基づいて、磁石のうちの移動体の第1の側面と交差する第2の側面に取り付けられた第2の磁石を移動するための駆動信号を出力する制御信号出力部と、第2の磁石に対向して配置されたコイル部に駆動信号を出力する駆動信号出力部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、磁石の移動方向に関わらず、高い検出精度で磁石の位置を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(A)及び図1(B)は、本開示の第一実施形態に係るカメラモジュールの一構成例を模式的に示す外観斜視図及び平面図である。
図2図1に示すカメラモジュールの一構成例を示す横断面図である。
図3】本開示の第一実施形態に係るカメラモジュールの磁石、コイル及び磁気センサの配置を示す断面模式図である。
図4図4(A)は、基準位置からの磁石の距離と、2つの磁電変換素子に印加される磁束との関係を示すグラフであり、図4(B)は、基準位置からの磁石の距離と、2つの磁気センサに印加される磁束の和磁束と差磁束の関係とを示すグラフである。
図5】本開示の第一実施形態に係るカメラモジュールを説明するための回路ブロック図である。
図6】本開示の第一実施形態に係るカメラモジュールをより詳細に説明するための回路ブロック図である。
図7】本開示の第一実施形態に係るカメラモジュールの一変形例を模式的に示す外観斜視図である。
図8】本開示の第二実施形態に係るカメラモジュールの一構成例を模式的に示す外観斜視図である。
図9】本開示の第二実施形態に係るカメラモジュールの磁石、コイル及び磁気センサの配置を示す断面模式図である。
図10図10(A)は、基準位置からの磁石の距離と、2つの磁気センサに印加される磁束との関係を示すグラフであり、図10(B)は、基準位置からの磁石の距離と、2つの磁電変換素子に印加される磁束の和磁束と差磁束の関係とを示すグラフである。
図11】本開示の第二実施形態に係るカメラモジュールにおける効果を説明するための模式図である。
図12】本開示の他の実施形態に係るカメラモジュールを説明するための回路ブロック図である。
図13】本開示の他の実施形態に係るカメラモジュールを説明するための回路ブロック図である。
図14】本開示の他の実施形態に係るカメラモジュールを説明するための回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明では、本開示の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかである。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。
また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。
【0010】
以下、図面を参照して、本開示の第一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一部分には同一符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
【0011】
1.第一実施形態
本開示の第一実施形態に係るカメラモジュールについて、図1から図6を用いて説明する。本実施形態によるカメラモジュール100は、カメラ機能付電子機器に備えられている。本実施形態におけるカメラ機能付電子機器は、例えばスマートフォンなどの携帯電話機器、デジタルカメラ及びデジタルムービーなどである。
【0012】
[カメラモジュールの構成]
図1(A)は、カメラ機能付電子機器に備えられたカメラモジュール100の概略構成を示す斜視図であり、図1(B)はカメラモジュール100の平面図である。図2は、図1(A)に示すカメラモジュール100のII-II断面を示す横断面図である。図1
A)及び図2では、理解を容易にするため、磁気センサSxを含むデバイス110x及び磁気センサSyを含むデバイス110yが取り付けられた筐体4の図示は省略されている。デバイス110xは、磁気センサSxと、コイルCxに印加する電流を制御するドライバ120xと、を備えている。また、デバイス110yは、磁気センサSyと、コイルCyに印加する電流を制御するドライバ120yとを備えている。磁気センサSx,Sy、ドライバ120x,120y及び筐体4の詳細は後述する。また、図1(A)及び図1(B)には、説明の便宜上、カメラモジュール100に対応付けられたXYZ直交座標系が図示されている。
【0013】
図1(A)及び図1(B)に示すように、カメラモジュール100は、薄板長方形状の移動体であるレンズホルダ21と、レンズホルダ21の中央に形成された貫通孔に取り付けられたレンズ22とを有している。また、カメラモジュール100は、レンズ22の下部に、回路基板に電気的に接続されたCMOSイメージセンサ等の撮像素子(不図示)を有していてもよい。
図1(B)に示すように、レンズホルダ21は、カメラ機能付電子機器に備えられた筐体4のホルダ取付部41に設けられている。レンズホルダ21は、ホルダ取付部41において、筐体4に対して移動可能に設けられている。
【0014】
カメラモジュール100は、レンズホルダ21の周囲の少なくとも一部に設けられた磁石Mを有している。磁石Mは、磁石MxおよびMyで構成されている。磁石Mx、磁石Myは、レンズホルダ21の側面に取り付けられている。磁石Myは、磁石Mxが配置されたレンズホルダ21の側面に直交する側面に配置されている。
【0015】
図1(B)に示すように、デバイス110x,110yは、筐体4に取り付けられている。
デバイス110xは、磁石Myに対向配置されており、デバイス110xの周囲には、磁石Myに対向配置されたコイルCyが設けられている。デバイス110yは、磁石Mxに対向配置されており、デバイス110yの周囲には、磁石Mxに対向配置されたコイルCxが設けられている。
コイルCxには、デバイス110xが検出する磁石Myの位置検出信号に応じてデバイス110xから出力された駆動信号Sdxに基づく電流が供給される。コイルCyには、デバイス110yが検出する磁石Mxの位置検出信号に応じてデバイス110yから出力された駆動信号Sdyに基づく電流が供給される。
【0016】
図1(A)及び図1(B)に示すように、レンズホルダ21の基準位置(設計値)において、レンズ22の光軸方向にXYZ直交座標系のZ軸方向が対応付けられている。また、レンズホルダ21の基準位置において、レンズ22の光軸方向に直交する平面にXY座標平面が対応付けられている。本実施形態では、コイルCxによって磁石Mxが動かされる方向である第1の方向として、レンズ22の光軸と垂直な方向(本実施形態においてはX軸方向)が対応付けられている。また、コイルCyによって磁石Myが動かされる方向である第2の方向として、レンズ22の光軸方向と、第1の方向(X軸方向)とに垂直なY軸方向が対応付けられている。
【0017】
すなわち、コイルCxと磁石Mxとが並ぶ方向にX軸方向が対応付けられている。換言すると、X軸方向は、磁石Myの長辺が延在する方向に対応付けられている。コイルCx側から磁石Mx側(レンズ22側)に向かう方向がX軸の正方向である。さらに、コイルCyと磁石Myとが並ぶ方向にY軸方向が対応付けられている。換言すると、Y軸方向は、磁石Mxの長辺が延在する方向に対応付けられている。磁石My側(レンズ22側)からコイルCy側に向かう方向がY軸の正方向である。
【0018】
[カメラモジュールの動作]
本実施形態のカメラモジュール100では、レンズホルダ21に取り付けられた磁石Mx及び磁石Myの位置を検出することにより、レンズ22の位置を特定する。磁石Mxの位置は、磁石Mxと対向して設けられた磁気センサSyにより検出される。磁石Myの位置は、磁石Myと対向して設けられた磁気センサSxにより検出される。磁石Mx及び磁石Myの位置検出方法については後述する。
【0019】
本実施形態のカメラモジュール100では、磁石Mxと近接して配置されたコイルCx又は磁石Myと近接して配置されたコイルCyに駆動電流を印加することにより、磁石Mx又は磁石Myを移動させる。例えば、コイルCxに駆動電流を印加することによりコイルCxの周りに磁場を発生させ、磁場の向きに応じて磁石MxをX軸の正方向又は負方向に移動させることができる。同様に、コイルCyに駆動電流を印加することにより、磁石MyをY軸の正方向又は負方向に移動させることができる。
以下、カメラモジュール100の各部について詳細に説明する。
【0020】
(磁気センサ)
磁気センサSxは、磁石Myの近傍に配置され、X軸方向を検知方向としてX軸方向における磁石Myの位置を検知するセンサである。また、磁気センサSyは、磁石Mxの近傍に配置され、Y軸方向を検知方向としてY軸方向における磁石Mxの位置を検知するセンサである。磁気センサSx、Syは、感磁軸の方向がX軸(第一の方向)、Y軸(第二の方向)とそれぞれ垂直になるように配置されている。
図1(B)に示すように、磁気センサSx及び磁気センサSyは、筐体4に取り付けられている。なお、磁気センサSx及び磁気センサSyはホルダ取付部41に取り付けられていてもよい。磁気センサSy(第一の磁気センサの一例)は、磁石Mxに対向配置されている。磁石MxがY軸方向に移動することによる磁場の変化により、磁気センサSyの出力電圧が変化する。磁気センサSx(第二の磁気センサの一例)は、磁石Myに対向配置されている。磁石MyがX軸方向に移動することによる磁場の変化により、磁気センサSxの出力電圧が変化する。
【0021】
図3は、磁石Mx、コイルCx及び磁気センサSyの位置関係を詳細に示す断面図である。図3では、理解を容易にするため、磁気センサSyのみを図示し、磁気センサSyを含むデバイス110yと、磁気センサSyとともにデバイス110yに含まれるドライバ120yとの図示を省略する。
図3に示すように、磁気センサSyは、Y軸方向(第2の方向の一例)に沿って配置された二つの磁電変換素子HEy1、HEy2を有している。磁気センサSyにおいて、磁電変換素子HEy2は、磁電変換素子HEy1に対してY軸方向の正の方向に配置されている。磁電変換素子HEy1、HEy2は、磁石MxがY軸方向に移動した際に磁電変換素子HEy1が出力する磁場検出信号Y1の変化量の符号と、磁電変換素子HEy2が出力する磁場検出信号Y2の変化量の符号とが、互いに逆符号となるように配置されている。
同様に、磁気センサSxは、X軸方向(第1の方向の一例)に沿って配置された二つの磁電変換素子HEx1、HEx2(不図示)を有している。磁気センサSxにおいて、磁電変換素子HEx2は、磁電変換素子HEx1に対してX軸方向の正の方向に配置されている。磁電変換素子HEx1、HEx2は、磁石MyがX軸方向に移動した際に磁電変換素子HEx1が出力する磁場検出信号X1の変化量の符号と、磁電変換素子HEx2が出力する磁場検出信号X2の変化量の符号とが、互いに逆符号となるように配置されている。
【0022】
図4(A)は、磁石Mxの位置(基準位置からの磁石Mxの距離)と、磁気センサSyの磁電変換素子HEy1、HEy2の出力との関係を示すグラフである。図4(A)にお
いて、基準位置からの磁石Mxの距離が正の場合、磁石Mxは、基準位置よりもY軸方向の負の方向に位置しているものとする。
ここで、図4(A)中、磁電変換素子HEy1が出力する磁場検出信号Y1を破線で示し、磁電変換素子HEy2が出力する磁場検出信号Y2を点線で示す。図4(B)中、磁場検出信号Y1と磁場検出信号Y2との和信号(Y1+Y2)を点線で示し、磁場検出信号Y1と磁場検出信号Y2との差信号(Y1-Y2)を鎖線で示す。図4(B)に示すように、和信号(Y1+Y2)は、磁石Mxの位置に関わらず略一定となる。一方、図4(B)に示すように、差信号(Y1-Y2)は、磁石Mxの位置に応じて変化する。このため、磁電変換素子HEy1、HEy2を本実施形態の配置とすることにより、和信号(Y1+Y2)に対する差信号(Y1-Y2)の比(すなわち(Y1-Y2)/(Y1+Y2))に基づいて、磁石Mxの位置を示す位置検出信号を得ることができる。なお、位置検出信号は上記和信号に対する差信号の比に相当する信号に基づいて得ることもできる。例えば、磁場検出信号Y2に対する磁場検出信号Y1の比信号(Y1/Y2)を用いて、{(Y1/Y2)-1}/{(Y1/Y2)+1}に基づいて磁石Mxの位置を示す位置検出信号を得ることもできる。
【0023】
また、磁石My、磁気センサSx(磁電変換素子HEx1、HEx2)、コイル部Cyを図3における磁石Mx、磁気センサSy(磁電変換素子HEy1、HEy2)、コイル部Cxと同様の配置としてもよい。この場合、磁電変換素子HEx1の出力X1、磁電変換素子HEx2の出力X2の和信号(X1+X2)は、磁石Myの位置に関わらず略一定となる。一方、差信号(X1-X2)は、磁石Myの位置に応じて変化する。このため、磁電変換素子HEx1、HEx2を本実施形態の配置とすることにより、和信号(X1+X2)に対する差信号(X1-X2)の比(すなわち(X1-X2)/(X1+X2))に基づいて、磁石Myの位置を示す位置検出信号を得ることができる。
なお、位置検出信号は、上述の和信号に対する差信号の比に相当する信号に基づいて得ることもできる。例えば、磁場検出信号X2に対する磁場検出信号X1の比信号(X1/X2)を用いて、{(X1/X2)-1}/{(X1/X2)+1}に基づいて磁石Myの位置を示す位置検出信号を得ることもできる。
磁気センサSx、Syは、例えば、磁電変換素子HEx1、HEx2、HEy1、HEy2としてホール素子を用いたホールセンサを用いることができる。また、磁気センサSx、Syは、例えば磁電変換素子HEx1、HEx2、HEy1、HEy2として磁気抵抗効果素子(MR素子)を用いた磁気抵抗(MR)センサ等であっても良い。
【0024】
(磁石)
磁石Mx、磁石Myは、薄板直方体形状を有しており、互いに略同等の大きさに形成されている。磁石Mx、Myは、1つのN極と1つのS極を有する二極の永久磁石である。磁石Mx、磁石Myは、レンズホルダ21の周囲の少なくとも一部に取り付けられている。磁石Mxは、コイルCxによってX軸方向に動かされ、磁石Mxの移動に対応してレンズ22がX軸方向に動かされる。また、磁石Mxは、磁石MyがY軸方向に動かされることによってY軸方向に移動する。磁石Myは、コイルCyによってY軸方向に動かされ、磁石Myの移動に対応してレンズ22がY軸方向に動かされる。また、磁石Myは、磁石MxがX軸方向に動かされることによってX軸方向に移動する。
【0025】
磁石Mxは、磁気センサSy内で二つの磁電変換素子HEy1、HEy2が並んで配置されている方向に垂直な方向にN極とS極とが分布した二極磁石である。また、磁石Myは、磁気センサSx内で二つの磁電変換素子HEx1、HEx2が並んで配置されている方向に垂直な方向にN極とS極とが分布している。すなわち、図1(A)及び図1(B)では、磁石Mxは、S極をレンズホルダ21側に分布させ、N極を磁気センサSy側に分布させて形成されている。また、磁石Myは、S極をレンズホルダ21側に分布させ、N極が磁気センサSx側に分布させて配置されている。
【0026】
図3に示すように、磁石Mxは、磁気センサSyが有する二つの磁電変換素子HEy1、HEy2に対して、それぞれ同じ磁極(図3ではN極)が対向するように配置されている。また、磁石Myは、磁気センサSxが有する二つの磁電変換素子HEx1、HEx2に対して、それぞれ同じ磁極(図1ではN極)が対向するように磁石Myが配置されている。
【0027】
(コイル)
図1(B)に示すように、コイルCx及びコイルCyは、筐体4に取り付けられている。コイルCxは、磁石Mxの近傍に配置され、電流が供給されることにより磁場を発生し、磁石MxをX軸方向に移動させる。コイルCxは、コイルCxの周囲に生じた磁束の向きに応じて、磁石MxをX軸方向の正方向又は負方向に移動させる。コイルCyは、磁石Myの近傍に配置され、電流が供給されることにより磁場を発生し、磁石MyをY軸方向に移動させる。コイルCyは、コイルCyの周囲に生じた磁束の向きに応じて、磁石MyをY軸方向の正方向又は負方向に移動させる。すなわち、コイルCyは、磁石Myを、磁石Mxとは異なる方向に移動させることができる。
【0028】
コイルCxは、磁気センサSyの周囲に、磁石Mxと対向配置されて設けられている。コイルCxには、磁気センサSxが検出する検出信号(磁石MyのX軸方向における位置を示す信号)に基づく電流が供給される。すなわち、コイルCxには、磁石MyのX軸方向における位置に基づいて、磁石MxをX軸方向の目標位置に動かすための電流が供給される。
コイルCyは、磁気センサSxの周囲に、磁石Myと対向配置されて設けられている。コイルCyには、磁気センサSyが検出する検出信号(磁石MxのY軸方向における位置を示す信号)に基づく電流が供給される。すなわち、コイルCyには、磁石MxのY軸方向における位置に基づいて、磁石MyをY軸方向の目標位置に動かすための電流が供給される。
これにより、コイルCxは、磁気センサSxによって検出された磁石MyのX軸方向における位置に基づいて、X軸方向に磁石Mxを移動させる。また、コイルCyは、磁気センサSyによって検出された磁石MxのY軸方向における位置に基づいて、Y軸方向に磁石Myを移動させる。
【0029】
(デバイス)
図5は、磁気センサSyと、レンズ22をY軸方向の目標位置に移動させるドライバ120yとを有するデバイス110yの一構成例を示すブロック図である。デバイス110yは、磁気センサSyと、ドライバ120yを構成する各部(位置検出信号出力部130y、制御信号出力部140y及び駆動信号出力部150y)の少なくとも一つとが一体化されて形成されている。デバイス110yは、例えば、磁気センサSyとドライバ120yとが一枚の基板内又は基板上に作り込まれたモノリシックICや、一基板上に磁気センサSyとドライバ120yとが接続されたハイブリッドICであっても良い。また、デバイス110yは、例えば、磁気センサSyとドライバ120yとが一つのパッケージ内に一体化されていてもよい。デバイス110yの一例としては、例えばホールICや磁気抵抗(MR)ICが挙げられる。
【0030】
以下、図5を参照して、ドライバ120yの動作について説明する。ドライバ120yは、磁気センサSyで検出したY軸方向における磁石Mxの位置に基づいて、コイルCyを制御する。ドライバ120yは、コイルCyを制御して磁石Myを動かすことで、レンズ22をY軸方向における目標位置に移動させる。なお、ドライバ120yの制御の理解を容易にするため、図5には、ドライバ120yを含むデバイス110y以外のレンズ22、磁石Mx,My及びコイルCyを記載している。
【0031】
ドライバ120yは、磁石MxのY軸方向の位置を検出する位置検出信号出力部130yと、コイルCyを駆動する駆動信号出力部150yと、駆動信号出力部150yを制御する制御信号出力部140yと、を有している。
また、カメラモジュール100は、図5中図示しないデバイス110xを備えている。デバイス110xは、磁気センサSxと、レンズ22をX軸方向の目標位置に移動させるドライバ120xとを有する。ドライバ120xは、位置検出信号出力部130x、制御信号出力部140x及び駆動信号出力部150xを備えている。デバイス110xは、磁気センサSxと、ドライバ120xを構成する各部(位置検出信号出力部130x、制御信号出力部140x及び駆動信号出力部150x)の少なくとも一つとが一体化されて形成されている。
以下、ドライバ120の各部について詳細に説明する。図6では、デバイス110x及び110y、ドライバ120x及び120y、並びに位置検出信号出力部130x及び130yのそれぞれを区別せずに、デバイス110、ドライバ120及び位置検出信号出力部130として説明する。なお、磁気センサSyについては説明を省略する。
【0032】
(位置検出信号出力部)
位置検出信号出力部130は、磁気センサSyの二つの磁電変換素子HEy1、HEy2からそれぞれ出力された磁場検出信号Y1、Y2に基づいて磁石MxのY軸方向の位置を検出する。磁石MxのY軸方向の位置は、磁電変換素子HEy1、HEy2がそれぞれ出力する二つの磁場検出信号Y1、Y2の和信号、差信号及び比信号の少なくとも一つに基づいて検出される。
図6に示すように、位置検出信号出力部130は、演算部132と、検出部138とを有している。また、図6に示すように、磁電変換素子HEy1、HEy2は電源80と接続され、駆動電流又は駆動電圧が印加される。位置検出信号出力部130は、磁場検出信号Y1、Y2をAD変換するAD変換部(不図示)を有していてもよい。AD変換部は、例えば演算部132内に設けられる。
【0033】
演算部132は、加算器136a及び減算器136bを有している。演算部132は、二つの磁電変換素子HEy1、HEy2がそれぞれ出力する二つの磁場検出信号Y1、Y2を加算器136aに入力し、磁場検出信号Y1、Y2の和信号(Y1+Y2)を検出部138に出力する。また、演算部132は、磁場検出信号Y1、Y2を減算器136bに入力し、磁場検出信号Y1、Y2の差信号(Y1-Y2)を検出部138に出力する。
【0034】
検出部138は、例えば和信号(Y1+Y2)に対する差信号(Y1-Y2)の比{(Y1-Y2)/(Y1+Y2)}を位置検出信号Sp(Spy)として制御信号出力部140に出力する。上述したように、和信号(Y1+Y2)は、磁石Mxの位置に関わらず略一定の値となる(図4(B)参照)。このため、(Y1-Y2)/(Y1+Y2)で示される位置検出信号Spyは、磁石Mxの位置(磁石Mxの基準位置に対する相対位置)に応じて変化する信号となる。
【0035】
(制御信号出力部)
制御信号出力部140は、駆動信号出力部150を制御する制御信号Sc(Scy)を出力する。制御信号出力部140は、位置検出信号出力部130から入力された磁石MxのY軸方向の位置を示す位置検出信号Sp(Spy)と、磁石My(レンズ22)のY軸方向の目標位置を示す目標位置信号Stp(Stpy)とに基づいて、制御信号Sc(Scy)を出力する。制御信号出力部140は、例えば、目標位置信号Stpと位置検出信号Spとの差分から、Y軸方向における目標位置までの磁石Myの移動量を算出する。制御信号出力部140は、当該移動量に対応する制御信号Scを駆動信号出力部150に出力する。また、制御信号出力部140は、PID制御(Proportional-Integral-Derivati
ve Controller)を用いて制御信号Scを駆動信号出力部150に出力してもよい。
【0036】
(駆動信号出力部)
駆動信号出力部150は、制御信号出力部140から入力された制御信号Sc(Scy)に基づき、駆動信号Sd(Sdy)をコイルCyに出力する。駆動信号Sd(Sdy)は、コイルCyに駆動電流を流すための信号である。駆動信号出力部150は、駆動信号Sd(Sdy)により所定の駆動電流をコイルCyに流してコイルCyの周りに磁場を発生させ、磁石MyをY軸方向に所定量移動させる。これにより、駆動信号出力部150は、互いに離間して配置された磁石Mx,Myが取り付けられたレンズ22(レンズホルダ21)を、Y軸方向に移動させる。
【0037】
以上、磁気センサSyの検出結果に基づきコイルCyを駆動するドライバ120について説明したが、磁気センサSxで検出した磁石Myの位置に基づいてコイルCxを駆動するドライバ(不図示)についても同様に動作する。
【0038】
[変形例]
(1)変形例1
本実施形態に示すカメラモジュール100は、例えば図7に示すように構成されていても良い。すなわち、カメラモジュール100は、コイルCy、デバイス110x、磁気センサSx及び磁石Myのそれぞれに代えて、二つのコイルCy1、Cy2、デバイス110x1,110x2、磁気センサSx1、Sx2及び磁石My1、My2(デバイス110x2、磁気センサSx2は図示せず)を有していても良い。この場合、デバイス110yは、磁気センサSyでの磁石Mxの位置検出結果に応じてドライバ120yからコイルCy1及びCy2の双方に対して駆動信号Sdyを出力して、コイルCy1及びCy2に電流を印加する。また、デバイス110x1、110x2は、磁気センサSx1、Sx2での磁石My1、My2の位置検出結果に応じて、ドライバ120x1、120x2のそれぞれからコイルCxに対して駆動信号Sdxを出力して、コイルCxに電流を印加する。図7において、駆動信号Sdx、Sdyの出力を矢印で模式的に示している。
また、カメラモジュール100は、コイルCx、デバイス110y、磁気センサSy及び磁石Mxのそれぞれに代えて、二つのコイルCx1、Cx2、デバイス110y1,110y2、磁気センサSy1、Sy2及び磁石Mx1、Mx2を有していても良い。
【0039】
(2)変形例2
本実施形態に示すカメラモジュール100は、第1の方向をレンズ22の光軸と平行な方向(すなわちZ軸方向)とし、第2の方向を光軸と垂直な方向(すなわち、X軸方向又はY軸方向)としてもよい。この場合、レンズ22(レンズホルダ21)の下部にコイルCz、磁気センサSz及び磁石Mzを配置することにより、Z軸方向の磁石Mzの移動を検出することができる。
【0040】
(3)変形例3
本実施形態に示すカメラモジュール100は、レンズ22のX軸方向又はY軸方向への移動を検知し、検知結果に応じてコイルCx、Cyを駆動することによりレンズ22の位置を制御する機能を有するが、このような構成には限られない。例えば、カメラモジュール100は、レンズ22をZ軸方向に移動させることが可能な図示しないコイルCzと磁石Mzとをさらに、備え、レンズ22のZ軸方向への移動を検知し、検知結果に応じてレンズ22のZ軸方向の位置を制御する機能を有していてもよい。
【0041】
この場合、磁石Mzは、レンズホルダ21を挟んで磁石Mxに対向配置されている。磁石Mzは、筐体4に設けられたホルダ取付部41内でレンズホルダ21が動いても、デバイス110zとの間隔が一定に保たれるようにホルダ取付部41内に設けられている。磁
石Mzは、レンズホルダ21の外側に配置されている。磁石Mzとレンズホルダ21とは、互いに独立して可動するようになっている。
コイルCzを駆動するデバイス110z(不図示)は、筐体4に取り付けられている。デバイス110zの周囲には、磁石Mzに対向配置されたコイルCzが設けられている。コイルCzには、デバイス110zが検出する検出信号に基づく電流が供給される。
これにより、カメラモジュール100は、レンズ22のX-Y平面内でのブレの補正のみでなく、レンズ22のZ軸方向へのブレの補正や焦点の補正を行うことが可能となる。
【0042】
(4)変形例4
本実施形態に示すカメラモジュール100は、変形例3と同様に、X軸方向又はY軸方向へのレンズ22の位置を制御する機能に加えて、Z軸方向へのレンズ22の位置を制御する機能を有していてもよい。
変形例4のカメラモジュール100は、例えば、3つの磁石Mx,My及びMz、3つのコイルCx,Cy及びCz及び3つのデバイス110x、110y及び110zを有している。このようなカメラモジュール100では、磁石Mx,My及びMzがレンズホルダ21に取り付けられており、磁石Mx,My及びMzの近傍にはコイルCx,Cy及びCzがそれぞれ配置されている。デバイス110xは、例えば、コイルCy又はCzの近傍に配置され、デバイス110yは、例えば、コイルCz又はCxの近傍に配置され、デバイス110zは、例えば、コイルCx又はCyの近傍に配置される。
【0043】
デバイス110xが有する磁気センサSxは、X軸方向を検知方向として磁石Myの位置を検知する。デバイス110yが有する磁気センサSyは、Y軸方向を検知方向として磁石Mzの位置を検知する。デバイス110zが有する磁気センサSzは、Z軸方向を検知方向として磁石Mxの位置を検知する。
コイルCxは、ドライバ120xからの駆動信号によって駆動されて磁石Mxを第1の方向であるX軸方向に移動させる。コイルCyは、ドライバ120yからの駆動信号によって駆動されて磁石Myを第2の方向であるY軸方向に移動させる。コイルCzは、ドライバ120zからの駆動信号によって駆動されて磁石Mzを第3の方向であるZ軸方向に移動させる。
【0044】
すなわち、変形例4のカメラモジュール100は、移動体に取り付けられた第1の磁石、第2の磁石及び第3の磁石を有している。コイル部は、第1の磁石を第1の方向に移動させる第1のコイル部と、第2の磁石を第1の方向と異なる第2の方向に移動させる第2のコイル部と、第3の磁石を第1の方向および第2の方向のいずれとも異なる第3の方向に移動させる第3のコイル部と、有している。また、磁気センサは、第3の方向を検知方向として第1の磁石の位置を検知する第1の磁気センサと、第1の方向を検知方向として第2の磁石の位置を検知する第2の磁気センサと、第2の方向を検知方向として第3の磁石の位置を検知する第3の磁気センサと、を有している。
【0045】
このようなカメラモジュール100では、磁気センサSx、Sy及びSzがそれぞれレンズ22をX,Y及びZ軸方向に移動させるためのコイルCx,Cy及びCzからの漏れ磁場の影響を受けにくくなる。このため、レンズ22の移動方向に関わらずより高い検出精度でレンズ22の位置を検出することができる。
【0046】
(5)変形例5
変形例5のカメラモジュール100は、例えば、2つの磁石Mx,Myz、3つのコイルCx,Cy及びCz及び3つのデバイス110x、110y及び110zを有している。磁石Myzは、コイルCy及びCzの双方の近傍に配置される磁石であり、変形例4に記載の磁石My、Mzの双方の機能を有する磁石である点で変形例4と相違する。
【0047】
コイルCxは、磁石Mxの近傍に配置され、磁石MxをX軸方向(第1の方向の一例)に移動させる。コイルCyは、磁石Myzの近傍に配置され、磁石MyzをY軸方向(第2の方向の一例)に移動させる。コイルCzは、磁石Myzの近傍に配置され、磁石MyzをZ軸方向(第3の方向の一例)に移動させる。
すなわち、変形例5のカメラモジュール100は、移動体に取り付けられた第1の磁石及び第2の磁石を有している。コイル部は、第1の磁石を第1の方向に移動させる第1のコイル部と、第2の磁石を第2の方向に移動させる第2のコイル部と、第2の磁石を第1の方向および第2の方向のいずれとも異なる第3の方向に移動させる第3のコイル部とを有している。また、磁気センサは、第3の方向を検知方向として第1の磁石の位置を検知する第1の磁気センサをさらに有する。
【0048】
[第一実施形態の効果]
第一実施形態に係るカメラモジュール100では、以下の効果を有する。(1)磁電変換素子と対向して配置された磁石が2つの磁電変換素子が並ぶ方向と垂直な方向へ移動した場合であっても、磁石の移動(磁石の位置)を高い検出精度で検出することができる。
【0049】
2.第二実施形態
本開示の第二実施形態に係るカメラモジュールについて、図6を参照しつつ図8から図11を用いて説明する。本実施形態によるカメラモジュール200は、第一実施形態に係るカメラモジュール100よりもさらに高い検出精度で磁石の位置を検出することが可能となる。
第一実施形態に係るカメラモジュール100は、コイルCx、Cyの中心に磁気センサSy、Sxがそれぞれ配置されている。このため、磁気センサSy、Sxは、磁石Mx、Myによって生じる磁場のみでなく、コイルCx、Cyに電流が流れることによって発生する磁場をも検出する。第二実施形態に係るカメラモジュール200は、コイルCx、Cyに電流が流れることによって発生する磁場の検出を抑制し、より高い検出精度で磁石の位置を検出する。
【0050】
[カメラモジュールの構成]
図8に示すように、カメラモジュール200は、四極の磁石M’(Mx’、My’)と、コイルCx1,Cx2及びCy1,Cy2と、デバイス110x,110yとを備えている。デバイス110xは、磁気センサSxと、ドライバ120xとを有し、ドライバ120xから出力される駆動信号Sdx(図8中矢印で示す)により、コイルCx1,Cx2に電流を印加する。デバイス110yは、磁気センサSyと、ドライバ120yとを有し、ドライバ120yから出力される駆動信号Sdy(図8中矢印で示す)により、コイルCy1,Cy2に電流を印加する。磁気センサSyを有するデバイス110yは、2つのコイルCx1,Cx2の間に配置される。また、磁気センサSxを有するデバイス110xは、2つのコイルCy1,Cy2の間に配置される。
磁石Mx’は、後述するように、磁気センサSyが有する二つの磁電変換素子HEy1、HEy2に対して、それぞれ異なる磁極が対向するように配置されている。すなわち、図8に示すように、磁気センサSyは磁石Mx’のS極及びN極の双方と対向するように配置されている。また、磁石My’は、磁気センサSxが有する二つの磁電変換素子HEx1、HEx2に対して、それぞれ異なる磁極が対向するように配置されている。すなわち、図8に示すように、磁気センサSxは磁石My’のS極及びN極の双方と対向するように配置されている。
以下、カメラモジュール200の各部について詳細に説明する。
【0051】
(磁気センサ)
図9は、磁石Mx’コイル部Cx1,Cx2及び磁気センサSyの位置関係を詳細に示す断面図である。図9では、理解を容易にするため、磁気センサSyのみを図示し、磁気
センサSyを含むデバイス110yと、磁気センサSyとともにデバイス110yに含まれるドライバ120yとの図示を省略する。
図9に示すように、磁気センサSyは、Y軸方向(第2の方向の一例)に沿って配置された二つの磁電変換素子HEy1、HEy2を有している。同様に、磁気センサSxは、X軸方向(第1の方向の一例)に沿って配置された二つの磁電変換素子HEx1、HEx2(不図示)を有している。
磁電変換素子HEy1、HEy2は、磁石Mx’がY軸方向に移動した際に磁電変換素子HEy1が出力する磁場検出信号Y1の変化量の符号と、磁電変換素子HEy2が出力する磁場検出信号Y2の変化量の符号とが、互いに同符号となるように配置されている点で、第一実施形態の磁電変換素子HEy1、HEy2と相違する。
【0052】
図10(A)は、磁石Mx’の位置(基準位置からの磁石Mx’の距離)と、磁電変換素子HEy1、HEy2に印加される磁場との関係を示すグラフである。図10(A)において、基準位置からの磁石Mx’の距離が正の場合、磁石Mx’は、基準位置よりもY軸方向の負の方向に位置している。
ここで、図10(A)中、磁電変換素子HEy1が出力する磁場検出信号Y1を破線で示し、磁電変換素子HEy2が出力する磁場検出信号Y2を点線で示す。図10(B)中、磁場検出信号Y1と磁場検出信号Y2との和信号(Y1+Y2)を点線で示し、磁場検出信号Y1と磁場検出信号Y2との差信号(Y1-Y2)を破線で示す。図10(B)に示すように、差信号(Y1-Y2)は、磁石Mx’の位置に関わらず略一定となる。一方、図10(B)に示すように、和信号(Y1+Y2)は、磁石Mx’の位置に応じて変化する。このため、磁電変換素子HEy1、HEy2を本実施形態の配置とすることにより、差信号(Y1-Y2)に対する和信号(Y1+Y2)の比(すなわち(Y1+Y2)/(Y1-Y2))に基づいて、磁石Mx’の位置を示す位置検出信号を得ることができる。
なお、位置検出信号は上記差信号に対する和信号の比に相当する信号に基づいて得ることもできる。例えば、磁場検出信号Y2に対する磁場検出信号Y1の比信号(Y1/Y2)を用いて、{(Y1/Y2)+1}/{(Y1/Y2)-1}に基づいて磁石Mx’の位置を示す位置検出信号を得ることもできる。
【0053】
また、磁石My’、磁気センサSx(磁電変換素子HEx1、HEx2)、コイルCy1,Cy2を図9における磁石Mx’、磁気センサSy(磁電変換素子HEy1、HEy2)、コイルCx1、Cx2と同様の配置としてもよい。この場合、磁電変換素子HEx1の出力X1、磁電変換素子HEx2の出力X2の差信号(X1-X2)は、磁石My’の位置に関わらず略一定となる。一方、和信号(X1+X2)は、磁石My’の位置に応じて変化する。このため、磁電変換素子HEx1、HEx2を本実施形態の配置とすることにより、差信号(X1-X2)に対する和信号(X1+X2)の比(すなわち(X1+X2)/(X1-X2))に基づいて、磁石My’の位置を示す位置検出信号を得ることができる。
なお、位置検出信号は上記差信号に対する和信号の比に相当する信号に基づいて得ることもできる。例えば、磁場検出信号X2に対する磁場検出信号X1の比信号(X1/X2)を用いて、{(X1/X2)+1}/{(X1/X2)-1}に基づいて磁石My’の位置を示す位置検出信号を得ることもできる。
【0054】
(磁石)
磁石Mx’、My’は、2つのN極と2つのS極を有する四極の永久磁石である。磁石Mx’は、磁気センサSy内で二つの磁電変換素子HEy1、HEy2が並んで配置されている方向に垂直な方向にN極とS極とが分布し、かつ磁電変換素子HEy1、HEy2が並んで配置されている方向に平行な方向にN極とS極とが分布した四極磁石である。また、磁石My’は、磁気センサSx内で二つの磁電変換素子HEx1、HEx2が並んで
配置されている方向に垂直な方向にN極とS極とが分布し、磁電変換素子HEx1、HEx2が並んで配置されている方向に水平な方向にN極とS極とが分布した四極磁石である。なお、磁石Mx’、My’は、四極磁石に限られたものではなく、四極以外の多極の磁石であっても良い。
【0055】
上述したように、磁石Mx’は、磁気センサSyが有する二つの磁電変換素子HEy1、HEy2に対して、それぞれ異なる磁極が対向するように配置されている。磁石My’は、磁気センサSxが有する二つの磁電変換素子HEx1、HEx2に対して、それぞれ異なる磁極が対向するように配置されている。
【0056】
(コイル)
2つのコイルCx1,Cx2は、Y軸方向に沿って互いに離間して配置されており、2つのコイルCy1,Cy2は、X軸方向に沿って互いに離間して配置されている。
コイルCx1,Cx2は、電流が供給されることにより磁場を発生し、磁石Mx’をX軸方向に移動させる。コイルCy1、Cy2は、電流が供給されることにより磁場を発生し、磁石My’をY軸方向に移動させる。すなわち、コイルCyは、磁石My’を、磁石Mx’とは異なる方向に移動させることができる。
【0057】
図11は、磁気センサSyに対してコイルCx1,Cx2が発生する磁場について説明する断面図である。図11では、理解を容易にするため、磁気センサSyのみを図示し、デバイス110y及びドライバ120yの図示を省略する。
図11に示すように、コイルCx1,Cx2は、磁気センサSyに対してそれぞれ逆極性の磁場を発生するように構成されている。コイルCx1,Cx2は、磁気センサSyに対してできるだけ等しい大きさの磁場を発生させることが好ましい。これにより、磁気センサSyの位置において、コイルCx1に電流が流れることによって発生する磁場と、コイルCx2に電流が流れることによって発生する磁場とがキャンセルされる。このため、磁気センサSyは、コイルCx1、Cx2からの磁場の影響が低減され、磁石Mx’の位置を高い精度で示す信号を出力することができる。
コイルCx1,Cx2に磁気センサSyに対してそれぞれ逆極性の磁場を発生させるために、コイルCx1,Cx2は、以下のいずれかの構成とされる。(i)コイルCx1,Cx2は、導体の巻方向が同一であり、逆方向の電流が印加される(図11参照)。(ii)コイルCx1,Cx2は、導体の巻方向が逆方向であり、同一方向の電流が印加される。
【0058】
コイルCy1,Cy2についても同様に、磁気センサSxに対してそれぞれ逆極性の磁場を発生するように構成されている。このため、磁気センサSxの位置において、コイルCy1、Cy2からの磁場の影響を低減することができる。
コイルCy1,Cy2に磁気センサSxに対してそれぞれ逆極性の磁場を発生させるために、コイルCy1,Cy2は、上述の(i)(ii)と同様の構成とされる。
【0059】
(位置検出信号出力部)
第二実施形態にかかる位置検出信号出力部130について、図6を参照して説明する。図6に示すように、位置検出信号出力部130は、演算部132と、検出部138とを有している。第二実施形態に係る位置検出信号出力部130は、差信号(Y1-Y2)に対する和信号(Y1+Y2)の比に基づいて位置検出信号Sp(Spy)を出力する点で、第一実施形態に係る位置検出信号出力部130と相違する。
検出部138は、例えば差信号(Y1-Y2)に対する和信号(Y1+Y2)の比{(Y1+Y2)/(Y1-Y2)}を位置検出信号Spyとして制御信号出力部140に出力する。上述したように、本実施形態において、差信号(Y1-Y2)は、磁石Mx’の位置に関わらず略一定の値となる(図10(B)参照)。このため、(Y1+Y2)/(
Y1-Y2)で示される位置検出信号Spyは、磁石Mx’の位置(磁石Mx’の基準位置に対する相対位置)に応じて変化する信号となる。
【0060】
[第二実施形態の効果]
第二実施形態に係るカメラモジュール200では、第一実施形態における効果(1)に加えて、以下の効果を有する。(2)第二実施形態のカメラモジュール200では、隣接して配置された2つのコイルと、2つのコイルの間に配置され、2つの磁電変換素子を有する磁気センサとを有している。また、カメラモジュール200では、磁石が、磁気センサが有する2つの磁電変換素子に対して、それぞれ異なる磁極が対向するように配置されている。2つのコイルは、磁気センサに対してそれぞれ逆極性の磁場を発生するように構成されている。
これにより、磁気センサの位置において、2つのコイルからの磁場の影響を低減することができる。
【0061】
3.他の実施形態
以下、本開示の他の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
第一実施形態及び第二実施形態では、位置検出信号出力部130において、磁場検出信号Y1、Y2の和信号(Y1+Y2)と差信号(Y1-Y2)との比を位置検出信号Spとして出力していたが、これに代えて、位置検出信号出力部130では以下のような演算を行っても良い。
【0062】
(他の実施形態の第一の例)
図12(A)は、他の実施形態の第一の例を示すブロック図である。図12(A)に示す位置検出信号出力部230は、演算部132の代わりに演算部232を有し、検出部138の代わりに検出部238を有する点で、図6に示す位置検出信号出力部130と相違する。位置検出信号出力部230は、第一実施形態のカメラモジュール100に適用することができる。
【0063】
位置検出信号出力部230は、演算部232と検出部238とを有している。
演算部232は、磁電変換素子HEy1に接続された増幅部234aと、磁電変換素子HEy2に接続された増幅部234bとを有している。増幅部234a、234bでは、加算器236bで算出された増幅部234aの出力信号と増幅部234bの出力信号との和信号(Y1+Y2)が一定となるように係数(増幅率)が演算される。演算部232は、減算器236aで演算された増幅率αで制御された増幅部234aの出力信号αY1と増幅部234bの出力信号αY2との差信号α(Y1-Y2)を検出部238に出力する。
検出部238は、演算部232の出力(差信号α(Y1-Y2))に基づいて、磁石Mxの位置を検出する。また、検出部238は、磁石Mxの位置検出信号Spyを、位置検出信号Spyとして制御信号出力部140に出力する。位置検出信号Spyは、例えばY軸方向における磁石Mxの基準位置からの相対位置を示す。
【0064】
図12(A)に記載の位置検出信号出力部230は、第二実施形態のカメラモジュール200に適用する場合、位置検出信号出力部330に置き換えられる。
図12(B)に示す位置検出信号出力部330は、演算部132の代わりに演算部332を有し、検出部138の代わりに検出部338を有する点で、図6に示す位置検出信号出力部130と相違する。
【0065】
位置検出信号出力部330は、演算部332と検出部338とを有している。
演算部332は、磁電変換素子HEy1に接続された増幅部334aと、磁電変換素子HEy2に接続された増幅部334bとを有している。増幅部334a、334bでは、
減算器336bで算出された増幅部334aの出力信号と増幅部334bの出力信号との差信号(Y1-Y2)が一定となるように係数(増幅率)が演算される。演算部332は、加算器336aで演算された増幅率αで制御された増幅部334aの出力信号αY1と増幅部334bの出力信号αY2との和信号α(Y1+Y2)を検出部338に出力する。
検出部338は、演算部332の出力(和信号α(Y1+Y2))に基づいて、磁石Mxの位置を検出する。また、検出部338は、磁石Mxの位置検出信号Spyを、位置検出信号Spyとして制御信号出力部140に出力する。位置検出信号Spyは、例えばY軸方向における磁石Mxの基準位置からの相対位置を示す。
【0066】
(他の実施形態の第二の例)
図13(A)は、他の実施形態の第二の例を示すブロック図である。図13(A)に示す位置検出信号出力部430は、演算部132の代わりに演算部432を有し、検出部138の代わりに検出部438を有する点で、図6に示す位置検出信号出力部130と相違する。位置検出信号出力部430は、第一実施形態のカメラモジュール100に適用することができる。
【0067】
位置検出信号出力部430は、演算部432と検出部438とを有している。
演算部432は、加算器436bで算出された磁電変換素子HEy1からの出力Y1と磁電変換素子HEy2からの出力Y2との和信号(Y1+Y2)を増幅率演算部435に入力する。増幅率演算部435では、和信号(Y1+Y2)が一定となるような係数(増幅率)を演算する。増幅部434では、増幅率演算部435から入力された増幅率βを、減算器436aで演算した磁電変換素子HEy1からの出力Y1と磁電変換素子HEy2からの出力Y2との差信号(Y1-Y2)に掛け合わせる演算を行う。演算部432は、演算結果として増幅率βと差信号(Y1-Y2)との積β(Y1-Y2)を検出部438に出力する。
検出部438は、演算部432の出力に基づいて、磁石Mxの位置を検出する。また、検出部438は、磁石Mxの位置検出信号Spyを制御信号出力部140に出力する。位置検出信号Spyは、例えばY軸方向における磁石Mxの基準位置からの相対位置を示す。
【0068】
図13(A)に記載の位置検出信号出力部430は、第二実施形態のカメラモジュール200に適用する場合、図13(B)に記載の位置検出信号出力部530に置き換えられる。
位置検出信号出力部530は、演算部532と検出部538とを有している。
演算部532は、減算器536bで算出された磁電変換素子HEy1からの出力Y1と磁電変換素子HEy2からの出力Y2との差信号(Y1-Y2)を増幅率演算部535に入力する。増幅率演算部535では、差信号(Y1-Y2)が一定となるような係数(増幅率)を演算する。増幅部534では、増幅率演算部535から入力された増幅率βを、加算器536aで演算した磁電変換素子HEy1からの出力Y1と磁電変換素子HEy2からの出力Y2との和信号(Y1+Y2)に掛け合わせる演算を行う。演算部532は、演算結果として増幅率βと和信号(Y1+Y2)との積β(Y1+Y2)を検出部538に出力する。
検出部538は、演算部532の出力に基づいて、磁石Mxの位置を検出する。また、検出部538は、磁石Mxの位置検出信号Spyを制御信号出力部140に出力する。位置検出信号Spyは、例えばY軸方向における磁石Mxの基準位置からの相対位置を示す。
【0069】
(他の実施形態の第三の例)
図14(A)は、他の実施形態の第三の例を示すブロック図である。図14(A)に示
す位置検出信号出力部630は、演算部132の代わりに演算部632を有し、検出部138の代わりに検出部638を有する点で、図6に示す位置検出信号出力部130と相違する。位置検出信号出力部630は、第一実施形態のカメラモジュール100に適用することができる。
【0070】
位置検出信号出力部630は、演算部632と検出部638とを有している。
演算部632は、加算器636bで算出された磁電変換素子HEy1からの出力Y1と磁電変換素子HEy2からの出力Y2との和信号(Y1+Y2)が一定となるように、磁気センサSyの出力値を演算する。演算部632は、演算結果に基づき電源80を制御して、和信号(Y1+Y2)が一定となるように磁気センサSyを駆動する。
【0071】
位置検出信号出力部630は、磁気センサSyの和信号(Y1+Y2)が一定となるように、磁気センサSyの駆動電圧又は駆動電流を制御する磁気センサ駆動制御部(不図示)を有していてもよい。電源80が磁気センサ駆動制御部によって制御されることにより、磁気センサの駆動電圧又は駆動電流が制御される。
検出部638は、補正された磁気センサSyからの出力値Y1,Y2に基づいて減算器636aで演算された差信号(Y1-Y2)に基づいて、磁石Mxの位置を検出する。また、検出部638は、磁石Mxの位置検出信号Spyを制御信号出力部140に出力する。位置検出信号Spyは、例えばY軸方向における磁石Mxの基準位置からの相対位置を示す。
【0072】
図14(A)に記載の位置検出信号出力部630は、第二実施形態のカメラモジュール200に適用する場合、図14(B)に記載の位置検出信号出力部730に置き換えられる。
位置検出信号出力部730は、演算部732と検出部738とを有している。
演算部732は、減算器736bで算出された磁電変換素子HEy1からの出力Y1と磁電変換素子HEy2からの出力Y2との差信号(Y1-Y2)が一定となるように、磁気センサの出力値を演算する。演算部732は、演算結果に基づき電源80を制御して、差信号(Y1-Y2)が一定となるように磁気センサSyを駆動する。
【0073】
位置検出信号出力部730は、磁気センサSyの差信号(Y1-Y2)が一定となるように、磁気センサSyへの入力値を制御しても良い。この場合、位置検出信号出力部730は、磁気センサSyの駆動電圧又は駆動電流を制御する磁気センサ駆動制御部(不図示)を有していてもよい。電源80が磁気センサ駆動制御部によって制御されることにより、磁気センサSyの駆動電圧又は駆動電流が制御される。
検出部738は、補正された磁気センサSyからの出力値Y1,Y2に基づいて加算器736aで演算された和信号(Y1+Y2)に基づいて、磁石Mxの位置を検出する。また、検出部738は、磁石Mxの位置検出信号Spyを制御信号出力部140に出力する。位置検出信号Spyは、例えばY軸方向における磁石Mxの基準位置からの相対位置を示す。
【0074】
以上、他の実施形態の第一から第三の例における位置検出信号出力部の構成についてそれぞれ説明したが、各例において、磁気センサSxからの出力X1、X2を用いて同様の処理を行っても良いことは言うまでもない。
【0075】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0076】
4 筐体
21 レンズホルダ
22 レンズ
41 ホルダ取付部
80 電源
100,200 カメラモジュール
110,110x,110y デバイス
120,120x,120y ドライバ
130 位置検出信号出力部
140 制御信号出力部
150 駆動信号出力部
Sx,Sy 磁気センサ
HEx1、HEx2、HEy1、HEy2 磁電変換素子
Mx,My,Mx’,My’ 磁石
Cx、Cx1,Cx2,Cy、Cy1,Cy2 コイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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