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特許7578816トレンチ付きゲートを含むパワー半導体デバイス及びそのようなデバイスを形成する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】トレンチ付きゲートを含むパワー半導体デバイス及びそのようなデバイスを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20241029BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241029BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20241029BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 658F
H01L29/78 655A
H01L29/78 652T
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023524356
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 US2021055766
(87)【国際公開番号】W WO2022093588
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】17/080,956
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リヒテンヴァルナ―、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】リュー、セイ - ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イスラム、ネーム
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウンスン
(72)【発明者】
【氏名】マッケイン、マット エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】マクファーソン、ジョー
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060924(JP,A)
【文献】特開2017-228679(JP,A)
【文献】特開2016-164906(JP,A)
【文献】特開2018-056463(JP,A)
【文献】国際公開第2014/178094(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/739
H01L 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
半導体層構造であって、前記半導体層構造の上表面内にトレンチを備え、前記トレンチは丸みのある上角部及び丸みのある下角部を備える、半導体層構造と、
前記トレンチの下部分内の誘電体層であって、前記誘電体層の上部表面の中央部分は湾曲し、前記誘電体層は前記トレンチの対向する側壁上にある、誘電体層と、
前記トレンチ内で且つ前記半導体層構造に対向する前記誘電体層上のゲート電極と
を備え
前記誘電体層は、
前記トレンチの下部表面に直接設けられ、前記トレンチの前記下部表面を通って延在し、且つ前記トレンチの前記側壁の下部分に直接設けられた下部誘電体層と、
前記トレンチの前記側壁の上部分に直接設けられ且つ前記下部誘電体層の上表面に直接設けられまたは間接的に設けられたゲート誘電体層であって、湾曲する前記誘電体層の前記上部表面の前記中央部分は前記ゲート誘電体層の上部表面の中央部分である、ゲート誘電体層とを備える、半導体デバイス。
【請求項2】
前記ゲート誘電体層の下表面の中央部分は湾曲する、請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
湾曲する前記ゲート誘電体層の前記下表面の前記中央部分は、前記トレンチの幅及び深さの小さい方の0.25倍と、前記トレンチの前記幅及び前記深さの大きい方の3倍との間の曲率半径を有する、請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記ゲート誘電体層は、前記下部誘電体層と異なる材料を含む、請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記下部誘電体層は、ホウ素(B)、リン(P)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、及び/又は鉛(Pb)を含む添加剤を含む、請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記ゲート誘電体層は、前記下部誘電体層の前記添加剤と異なる不純物を含む、請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記下部誘電体層と前記ゲート誘電体層との間にバリア層をさらに備える、請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記ゲート誘電体層は、前記下部誘電体層上の第1の部分及び前記トレンチの前記側壁上の第2の部分を備え、
前記下部誘電体層の中央部分は、前記トレンチの深さ方向に第1の厚さを有し、前記ゲート誘電体層の前記第1の部分は、前記トレンチの前記深さ方向に第2の厚さを有し、前記ゲート誘電体層の前記第2の部分は、前記トレンチの幅方向に第3の厚さを有し、前記第1の厚さと前記第2の厚さの合計は前記第3の厚さより大きい、請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記誘電体層はリフロー済み誘電体層であり、前記リフロー済み誘電体層は、前記トレンチの前記側壁上の部分を備え、前記リフロー済み誘電体層の前記部分の厚さは、前記トレンチの深さと共に増加する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記トレンチの下部表面の中央部分は湾曲する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年10月27日に出願された米国特許出願第17/080,956号に対して優先権を主張し、その全体の内容は、その全体が記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体デバイスに関し、より詳細には、トレンチ付きゲートを含むパワー半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
金属絶縁体半導体電界効果トランジスタ(「MISFET:Metal Insulating Semiconductor Field Effect Transistor」)は、スイッチング・デバイスとして使用され得る、よく知られている型の半導体トランジスタである。MISFETは、ゲート、ドレイン、及びソース端子、並びに半導体本体を有する3端子デバイスである。ソース領域及びドレイン領域は、チャネル領域によって分離される半導体本体内に形成され、ゲート電極(ゲート端子として働く、又は、ゲート端子に電気接続され得る)は、「ゲート誘電体層(gate dielectric layer)」と呼ばれる薄い絶縁層によってチャネル領域から分離される。MISFETは、バイアス電圧をゲート電極に印加することによってオン又はオフすることができる。MISFETがオンする(すなわち、MISFETがその「オン状態(on-state)」になる)と、電流が、ソース領域とドレイン領域との間でMISFETのチャネル領域を通って伝導される。バイアス電圧が、ゲート電極から取り除かれる(又は、閾値レベルより小さく減少する)と、電流は、チャネル領域を通って伝導するのを停止する。例によれば、n型MISFETは、n型ソース及びドレイン領域並びにp型チャネルを有する。
【0004】
ほとんどの場合、パワーMISFETのゲート電極をチャネル領域から分離するゲート誘電体層は、薄い酸化物層(例えば、酸化ケイ素層)として実装される。酸化物ゲート誘電体層を有するMISFETは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(「MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor」)と呼ばれる。酸化物系ゲート誘電体層は、それらの優れた特性によってほとんど常に使用されるため、本明細書の議論は、MISFETに対向するものとしてMOSFETに的を絞ることになるが、本明細書で説明される本発明の実施例による技法が、酸化物以外の材料で形成されるゲート誘電体層を有するデバイスに同等に適用可能であることが認識されるであろう。
【0005】
MOSFETのゲート電極は、ゲート誘電体層によってチャネル領域から絶縁されるため、MOSFETをそのオン状態に維持するか又はMOSFETをそのオン状態とそのオフ状態との間でスイッチングするために、最小ゲート電流が必要とされる。ゲート電流は、スイッチング中に小さく維持される。その理由は、ゲートが、チャネル領域とコンデサを形成するからである。そのため、最小の充電及び放電電流のみが、スイッチング中に必要とされ、複雑でないゲート・ドライブ回路部及びより高速なスイッチング速度を可能にする。MOSFETは、独立型デバイスとすることができる、又は、他の回路デバイスと組み合わせることができる。例えば、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(「IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor」)は、MOSFETとバイポーラ接合トランジスタ(BJT:Bipolar Junction Transistor)の両方を含む半導体デバイスであり、BJTは、MOSFETの高インピーダンス・ゲート電極を、BJTが提供することができる小さいオン状態伝導損失と組み合わせる。IGBTは、例えば、入力に高電圧nチャネルMOSFET及び出力にBJTを含むダーリントン対として実装することができる。BJTのベース電流は、MOSFETのチャネルを通して供給され、それにより、簡略化された外部ドライブ回路を可能にする(ドライブ回路が、MOSFETのゲート電極を充電し放電するだけであるため)。
【0006】
幾つかの用途において、MOSFETは、それらのオン状態で大電流(large current)を運ぶ必要がある及び/又はそれらの逆阻止状態で高電圧(例えば、数千ボルト)を阻止することが可能である場合がある。そのようなMOSFETは、「パワー(power)」MOSFETとしばしば呼ばれる。パワーMOSFET及びパワーIGBTは、炭化ケイ素(「SiC(:silicon carbide)」)又は窒化ガリウム(「GaN(:gallium nitride)」)ベース半導体材料等のワイド・バンドギャップ半導体材料からしばしば作製される。本明細書で、ワイド・バンドギャップ半導体材料は1.40eVより大きいバンドギャップを有する半導体材料を指す。
【0007】
従来のパワー半導体デバイスは、典型的には、第1の導電型を有する炭化ケイ素基板(例えば、n型基板)等の半導体基板を有し、その基板上に、第1の導電型(例えば、n型)を有するエピタキシャル層構造が形成される。このエピタキシャル層構造の部分(1つ又は複数の別個の層を備えることができる)は、パワー半導体デバイスのドリフト領域として機能する。パワー半導体デバイスは、典型的には、ドリフト領域上に及び/又はドリフト領域内に形成され得る活性領域を含む。活性領域は、逆バイアス方向に電圧を阻止し、順バイアス方向に電流を提供するための主接合として働く。1つ又は複数のパワー半導体デバイスは、基板上に形成され得る。基板が完全に処理された後、結果得られる構造は、個々のパワー半導体デバイスを分離するためにダイシングされ得る。パワー半導体デバイスは、単位セル構造を有することができ、単位セル構造において、各パワー半導体デバイスの活性領域は、複数の個々の「単位セル(unit cell)」デバイスを含み、複数の個々の「単位セル」デバイスは、互いに平行に配設され、単一パワー半導体デバイスとして共に機能する。
【0008】
パワー半導体デバイスは、横構造又は垂直構造を有することができる。横構造を有するデバイスにおいて、デバイスの端子(例えば、パワーMOSFETデバイス用のドレイン、ゲート、及びソース端子)は、半導体層構造の同じ主(すなわち、上部又は下部)表面上にある。対照的に、垂直構造を有するデバイスにおいて、少なくとも1つの端子は、半導体層構造の各主表面上に設けられる(例えば、垂直MOSFETデバイスにおいて、ソースは半導体層構造の上部表面上にあることができ、ドレインは半導体層構造の下部表面上にあることができる)。半導体層構造は、下地基板を含むか又は含まない場合がある。本明細書で、用語「半導体層構造(semiconductor layer structure)」は、半導体基板及び/又は半導体エピタキシャル層等の1つ又は複数の半導体層を含む構造を指す。
【0009】
MOSFETトランジスタを含む垂直パワー半導体デバイスは、標準的なゲート電極設計を有することができ、その設計において、トランジスタのゲート電極は、半導体層構造の上部に形成される、又は代替的に、半導体層構造内のトレンチに埋め込まれたゲート電極を有することができる。トレンチに埋め込まれたゲート電極は、典型的には、トレンチ付きゲートと呼ばれ、トレンチ付きゲートを含むMOSFETは、U形MOSFET(UMOSFET:U-Shaped MOSFET)としばしば呼ばれる。UMOSFETは、垂直に配設されたチャネルを含み、増強された性能を提供する。
【0010】
パワーUMOSFETについての1つの故障メカニズムは、いわゆる、ゲート酸化物層の「絶縁破壊(breakdown)」である。パワーUMOSFETが、それらの伝導状態又は「オン(on)」状態にあるとき、ゲート酸化物層の全ての部分は、高電界を受ける。同様に、パワーUMOSFETが、それらの逆阻止状態又は「オフ(off)」状態にあるとき、ゲート酸化物層の下部分は、同様に高電界を受ける。これらの高電界によって引き起こされるゲート酸化物層に対する応力は、酸化物材料内で欠陥を生成し、その欠陥は経時的に蓄積する。欠陥の濃度が臨界値に達すると、いわゆる、「浸透経路(percolation path)」が、ゲート酸化物層を通して作成される場合があり、浸透経路は、ゲート電極を、半導体層構造に電気接続し、それにより、デバイスを破壊する可能性がある短絡を生じる。ゲート酸化物層の「寿命(lifetime)」(すなわち、絶縁破壊が起こる前に、デバイスがどれだけ長く動作することができるか)は、とりわけ、ゲート酸化物層が受ける電界の大きさ及び電界が印加される時間長の関数である。図1は、絶縁破壊が起こるまでの動作時間(「ゲート酸化物寿命(gate oxide lifetime)」)とゲート酸化物層に印加される電界のレベルとの間の関係を示す概略的なグラフである。このグラフは、同じ電界が常に印加される(必ずしもそうであるわけではない)ことを仮定し、また、特定の厚さを有するゲート酸化物層を仮定する。図1に示すように、その関係は、幾つかの場合、ゲート酸化物寿命が対数スケールでプロットされると、全体的に線形とすることができる。図1から引き出す重要なポイントは、電界レベルが増加するにつれて、ゲート酸化物層の寿命が指数関数的に減少することである。ゲート酸化物層の寿命は、ゲート酸化物層の厚さを増加させることによって増加させることができるが、MOSFETの性能は、ゲート酸化物層の厚さの関数でもあり、したがって、ゲート酸化物層の厚さを増加させることは、典型的には、ゲート酸化物層の寿命を増加させる許容可能な方法でない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施例によれば、半導体デバイスであって、半導体層構造であって、その上表面内にトレンチを備え、トレンチが丸みのある上角部及び丸みのある下角部を備える、半導体層構造と、トレンチの下部分内の誘電体層であって、誘電体層の上部表面の中央部分が湾曲し、誘電体層がトレンチの対向する側壁上にある、誘電体層と、トレンチ内で且つ半導体層構造に対向する誘電体層上のゲート電極とを含む、半導体デバイスが提供される。
【0012】
幾つかの実施例において、誘電体層は、トレンチの下部表面上で且つトレンチの側壁の下部分上の下部誘電体層と、トレンチの側壁の上部分上で且つ下部誘電体層上のゲート誘電体層であって、湾曲する誘電体層の上部表面の中央部分がゲート誘電体層の上部表面の中央部分とすることができる、ゲート誘電体層とを備えることができる。
【0013】
幾つかの実施例において、湾曲するゲート誘電体層の上部表面の中央部分は、トレンチの幅及び深さの小さい方の0.25倍と、トレンチの幅及び深さの大きい方の3倍との間の曲率半径を有することができる。
【0014】
本発明の実施例によれば、半導体デバイスであって、半導体層構造であって、その上表面内にトレンチを備え、トレンチが丸みのある上角部及び丸みのある下角部を備える、半導体層構造と、トレンチの下部分内の下部誘電体層と、トレンチの側壁上で且つ下部誘電体層上のゲート誘電体層と、トレンチ内で且つ半導体層構造に対向するゲート誘電体層上のゲート電極とを含み、下部誘電体層は、第1の濃度の添加剤を含み、ゲート誘電体層は、第1の濃度より低い第2の濃度の添加剤を有する、半導体デバイスが提供される。
【0015】
本発明の実施例によれば、半導体デバイスであって、半導体層構造であって、その上表面内にトレンチを備え、トレンチが丸みのある上角部及び丸みのある下角部を備える、半導体層構造と、トレンチの下部分内の下部誘電体層と、トレンチの側壁上で且つ下部誘電体層上のゲート誘電体層であって、下部誘電体層と異なる材料を含む、ゲート誘電体層と、トレンチ内で且つ半導体層構造に対向するゲート誘電体層上のゲート電極とを含む、半導体デバイスが提供される。
【0016】
本発明の実施例によれば、半導体デバイスであって、半導体層構造であって、その上表面内にトレンチを備え、トレンチが丸みのある上角部及び丸みのある下角部を備える、半導体層構造と、トレンチの下部分内の下部誘電体層と、トレンチの側壁上で且つ下部誘電体層上のゲート誘電体層と、下部誘電体層とゲート誘電体層との間のバリア層と、トレンチ内で且つ半導体層構造に対向するゲート誘電体層上のゲート電極とを含む、半導体デバイスが提供される。
【0017】
幾つかの実施例において、ゲート誘電体層の下表面の中央部分は、湾曲することができ、また、半導体デバイスの任意の半導体デバイスにおいてトレンチの幅及び深さの小さい方の0.25倍と、トレンチの幅及び深さの大きい方の3倍との間の、又は、トレンチの幅/深さの小さい方の0.5倍と、トレンチの幅/深さの大きい方の2倍との間の、又は、トレンチの幅/深さの小さい方の0.75倍と、トレンチの幅/深さの大きい方の1.5倍との間の曲率半径を有することができる。ゲート誘電体層の下表面の中央部分は、トレンチの中心からトレンチの側壁のそれぞれまでの半分まで、トレンチの幅方向に延在するゲート誘電体層の下表面の部分を指す。
【0018】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスのゲート誘電体層は、下部誘電体層と異なる材料を含むことができる。
【0019】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスの下部誘電体層は、スピンオンガラス層を備えることができる。
【0020】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスの下部誘電体層は、ホウ素(B)、リン(P)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、及び/又は鉛(Pb)を含む添加剤を含むことができる。
【0021】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスのゲート誘電体層は、下部誘電体層の添加剤を含むことができる。
【0022】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスのゲート誘電体層は、下部誘電体層の添加剤と異なる不純物を含むことができる。
【0023】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスは、下部誘電体層とゲート誘電体層との間にバリア層をさらに備えることができる。
【0024】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスの半導体層構造は、第1の導電型を有するドリフト層、ドリフト層の上部分内の第2の導電型を有するウェル、及びウェルの上部分内の第1の導電型を有するソース領域を備えることができ、バリア層の一番上の端は、ウェルの下部表面に比べてトレンチの下部表面に近いとすることができる。
【0025】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスのバリア層は、窒化ケイ素層及び/又は酸化ケイ素層を備えることができる。
【0026】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスのゲート誘電体層は、下部誘電体層上の第1の部分及びトレンチの側壁上の第2の部分を備えることができ、下部誘電体層の中央部分は、トレンチの深さ方向に第1の厚さを有することができ、ゲート誘電体層の第1の部分は、トレンチの深さ方向に第2の厚さを有することができ、ゲート誘電体層の第2の部分は、トレンチの幅方向に第3の厚さを有することができ、第1の厚さと第2の厚さの合計は第3の厚さより大きいとすることができる。
【0027】
幾つかの実施例において、第1の厚さは、2ナノメートル~90ナノメートルの範囲内にあることができる。
【0028】
幾つかの実施例において、第3の厚さは、10ナノメートル~90ナノメートルの範囲内にあることができる。
【0029】
幾つかの実施例において、トレンチの深さは、第1の厚さと第2の厚さの合計の少なくとも1.5倍とすることができる。
【0030】
幾つかの実施例において、第1の厚さと第2の厚さの合計は、第3の厚さより大きい。
【0031】
幾つかの実施例において、第2の厚さは、第3の厚さの10%以内とすることができる。
【0032】
幾つかの実施例において、第1の厚さと第2の厚さの合計は、第3の厚さより大きいとすることができる。
【0033】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイス内の下部誘電体層は、リフロー済み誘電体層とすることができる。
【0034】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイス内の下部誘電体層は、スピンオンガラス材料とすることができる。
【0035】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスの半導体層構造は4H-炭化ケイ素を含むことができ、半導体層構造の上部表面は、4H-炭化ケイ素の(0001)面を備えることができる。
【0036】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスの半導体層構造は炭化ケイ素又はケイ素を含むことができ、半導体デバイスの任意の半導体デバイスの誘電体層は酸化ケイ素を含むことができる。
【0037】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスの誘電体層はリフロー済み誘電体層とすることができ、リフロー済み誘電体層は、トレンチの側壁上の部分を備えることができ、リフロー済み誘電体層のその部分の厚さは、トレンチの深さと共に増加する。
【0038】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスの誘電体層は、ホウ素(B)、リン(P)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、及び/又は鉛(Pb)を含む添加剤を含むことができる。
【0039】
幾つかの実施例において、トレンチの下部表面の中央部分は、半導体デバイスの任意の半導体デバイスにおいて湾曲することができる。
【0040】
幾つかの実施例において、丸みのある上角部及び丸みのある下角部のそれぞれは、半導体デバイスの任意の半導体デバイスにおいて0.01ミクロン~0.5ミクロンの範囲内の曲率半径を有することができる。
【0041】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスにおいて、トレンチの開口は第1の幅を有し、トレンチの下部表面は、第1の幅より狭い第2の幅を有することができる。
【0042】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスの半導体層構造は、第1の導電型を有するドリフト層、ドリフト層の上部分内の第2の導電型を有するウェル、及びウェルの上部分内の第1の導電型を有するソース領域を備えることができ、トレンチはウェルを通して延在することができ、ドリフト層はトレンチの下部表面を画定することができる。
【0043】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスの半導体層構造は、第2の導電型を有し、ドリフト層内にあるシールド領域をさらに備えることができる。
【0044】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスの半導体層構造は、ソース領域に電気接続され、トレンチから離間するソース接点をさらに備えることができる。
【0045】
幾つかの実施例において、半導体デバイスの任意の半導体デバイスは、金属絶縁体半導体電界効果トランジスタ(「MISFET」)又は絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ(「IGBT」)とすることができる。
【0046】
本発明の実施例によれば、半導体デバイスを形成する方法が提供される。方法は、
半導体基板内にトレンチを形成すること、トレンチ内に下部誘電体層を形成することであって、予備下部誘電体層を形成しアニールすること、及び、アニール中の予備下部誘電体層リフロー処理を含む、形成すること、及び、下部誘電体層上でトレンチ内にゲート電極を形成することを含むことができる。
【0047】
本発明の実施例によれば、半導体デバイスを形成する方法が提供される。方法は、半導体基板内にトレンチを形成すること、トレンチ内に下部誘電体層を形成することであって、予備下部誘電体層を形成しアニールすることを含むことができ、予備下部誘電体層は、少なくとも予備下部誘電体層のガラス転移温度のあたりの温度でアニールされ得る、形成すること、及び、下部誘電体層上でトレンチ内にゲート電極を形成することを含むことができる。
【0048】
本発明の実施例によれば、半導体デバイスを形成する方法が提供される。方法は、半導体基板内にトレンチを形成すること、トレンチ内に下部誘電体層を形成することであって、下部誘電体層は、ホウ素(B)、リン(P)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、及び/又は鉛(Pb)を含むことができる、形成すること、下部誘電体層上にゲート誘電体層を形成することであって、ゲート誘電体層は、トレンチの側壁の上部分に接触し、下部誘電体層と異なる第1の材料を含むことができる、形成すること、及びその後、下部誘電体層上でトレンチ内にゲート電極を形成することを含むことができる。
【0049】
本発明の実施例によれば、半導体デバイスを形成する方法が提供される。方法は、半導体基板内にトレンチを形成すること、トレンチ内に下部誘電体層を形成することであって、スピンオンガラス層を形成すること、及びその後、酸化プロセスを実施することを含むことができる、形成すること、下部誘電体層上にゲート誘電体層を形成することであって、ゲート誘電体層は下部誘電体層と異なる第1の材料を含むことができる、形成すること、及びその後、下部誘電体層上でトレンチ内にゲート電極を形成することを含むことができる。
【0050】
幾つかの実施例において、予備下部誘電体層をアニールすることは、方法のうちの任意の方法において、少なくとも予備下部誘電体層のガラス転移温度のあたりの温度で実施され得る。
【0051】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法の予備下部誘電体層は、同時に形成されアニールされ得る。
【0052】
幾つかの実施例において、予備下部誘電体層を形成しアニールすることは、方法のうちの任意の方法において、半導体基板を酸化させることを含むことができる。
【0053】
幾つかの実施例において、半導体基板を酸化させることは、方法のうちの任意の方法において、酸化剤としてO、O、及び/若しくはNOを使用して熱酸化を実施すること、又は、酸化剤としてNOを使用してプラズマ酸化を実施することを含むことができる。
【0054】
幾つかの実施例において、半導体基板を酸化させることは、方法のうちの任意の方法において、網目修飾体を含む環境内で実施され得、網目修飾体は、ホウ素(B)、リン(P)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、及び/又は鉛(Pb)を含む。
【0055】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法の予備下部誘電体層は網目修飾体を含むことができる。
【0056】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法の予備下部誘電体層は、予備下部誘電体層の4質量%未満の量の網目修飾体を含むことができる。
【0057】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法において、予備下部誘電体層を形成することは、スピンオンガラス層を形成することを含むことができ、予備下部誘電体層をアニールすることは、スピンオンガラス層を形成した後に実施され得る。
【0058】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法のスピンオンガラス層は、ホウ素(B)、リン(P)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、及び/又は鉛(Pb)を含むことができる。
【0059】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法のスピンオンガラス層は、非ドープ酸化ケイ素層を備えることができる。
【0060】
幾つかの実施例において、予備下部誘電体層を形成することは、方法のうちの任意の方法において、予備下部誘電体層を堆積させることを含むことができる。
【0061】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法は、予備下部誘電体層を堆積させた後で且つ予備下部誘電体層をアニールする前に、予備下部誘電体層を平坦化することをさらに含むことができる。
【0062】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法は、ゲート電極を形成する前に、下部誘電体層上にバリア層を形成することをさらに含むことができ、バリア層は、下部誘電体層と異なる第1の材料を含むことができる。
【0063】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法のバリア層は、窒化ケイ素層及び/又は酸化ケイ素層を備えることができる。
【0064】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法のゲート電極は、バリア層の上表面に接触することができる。
【0065】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法は、ゲート電極を形成する前に、バリア層上にゲート誘電体層を形成することをさらに含むことができ、ゲート誘電体層は、バリア層と異なる第2の材料を含むことができる。
【0066】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法は、ゲート電極を形成する前に、下部誘電体層上にゲート誘電体層をさらに含むことができ、ゲート誘電体層は、下部誘電体層と異なる材料を含むことができる。
【0067】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法のゲート電極は、下部誘電体層の上表面に接触することができる。
【0068】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法は、半導体基板内に半導体層構造を形成することをさらに含むことができ、半導体層構造は、第1の導電型を有するドリフト層、ドリフト層の上部分内の第2の導電型を有するウェル、及びウェルの上部分内の第1の導電型を有するソース領域を備えることができる。
【0069】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法は、半導体層構造内にあることができ、トレンチから離間することができるソース・トレンチを形成すること、及び、ソース・トレンチ内にソース接点を形成することをさらに含むことができる。
【0070】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法は、ソース・トレンチの下のドリフト層内に第1のシールド領域を形成することをさらに含むことができる。
【0071】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法は、トレンチ内に薄誘電体層を形成すること、及び、薄誘電体層を形成した後に、不純物元素をドリフト層の一部分内に注入することによって、トレンチの下のドリフト層内にシールド領域を形成することをさらに含むことができ、下部誘電体層は、シールド領域が形成された後に形成され得る。
【0072】
幾つかの実施例において、薄誘電体層を形成することは、方法のうちの任意の方法において、半導体基板を酸化させること、又は、スピンオンガラス層を形成することを含むことができる。
【0073】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法の予備下部誘電体層は酸化ケイ素を含むことができ、予備下部誘電体層をアニールすることは、方法のうちの任意の方法において、少なくとも約1300℃の温度で実施され得る。
【0074】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法の半導体基板は炭化ケイ素を含むことができる。
【0075】
幾つかの実施例において、方法のうちの任意の方法の半導体層構造は4H-炭化ケイ素を含み、半導体層構造の上部表面は、4H-炭化ケイ素の(0001)面を備えることができる。
【0076】
幾つかの実施例において、下部誘電体層を形成することは、方法のうちの任意の方法において、半導体基板の上表面が露出するまで、予備下部誘電体層の上部分をエッチングすることをさらに含むことができる。
【0077】
幾つかの実施例において、下部誘電体層を形成することは、方法のうちの任意の方法において、予備下部誘電体層を平坦化することをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1】ゲート誘電体層の寿命と印加電界強度との間の関係を示すグラフである。
図2】関連技術のパワーUMOSFETの概略断面図である。
図3】本発明の実施例によるパワーUMOSFETの概略断面図である。
図3A図2の領域Bの拡大図である。
図3B図2の領域Cの拡大図である。
図4】本発明の実施例によるパワーUMOSFETの概略断面図である。
図5】本発明の実施例によるパワーUMOSFETの概略断面図である。
図6】本発明の実施例によるパワーUMOSFETの概略断面図である。
図7】本発明の実施例によるパワーUMOSFETの概略断面図である。
図8】本発明の実施例によるパワーUMOSFETの概略断面図である。
図9】本発明の実施例によるパワーUMOSFETの概略断面図である。
図10】本発明の実施例によるパワーUMOSFETの概略断面図である。
図11】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示すフロー・チャートである。
図12】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示すフロー・チャートである。
図13】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示すフロー・チャートである。
図14】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示すフロー・チャートである。
図15】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図16】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図17】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図18】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図19】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図20】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図21】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図22】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図23】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図24】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図25】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図26】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図27】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
図28】本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本発明の実施例によれば、増加した寿命を有するゲート誘電体層を含むパワーUMOSFETが提供される。ゲート誘電体層の寿命は、例えば、逆阻止動作中にゲート誘電体層に印加される電界の強度を減少させることによって増加され得る。幾つかの実施例において、ゲート誘電体層に印加される電界強度は、ゲート・トレンチの角部を丸くする及び/又はゲート・トレンチの下部分内に下部誘電体層を付加することによって低減され得る。幾つかの実施例において、ゲート誘電体層及び下部誘電体層は、異なる材料を含むことができる。幾つかの実施例において、下部誘電体層は、添加剤(例えば、網目修飾体)を含むことができ、ゲート誘電体層は、これらの添加剤が実質的にないとすることができる。幾つかの実施例において、ゲート誘電体層は、下部誘電体層から拡散した下部誘電体層の添加剤を含むことができる。そのような実施例において、ゲート誘電体層の添加剤濃度は、下部誘電体層の添加剤濃度より低いとすることができる。幾つかの実施例において、ゲート誘電体層は、下部誘電体層の添加剤と異なる不純物を含むことができる。ゲート誘電体層及び下部誘電体層は、総称的に誘電体層と呼ばれ得、誘電体層の上部表面の中央部分は、湾曲することができる。
【0080】
図2は、従来のパワーUMOSFET100の概略断面図である。図2に示すように、パワーUMOSFET100はn型半導体基板110を含む。半導体基板110は、例えば、n型不純物を高濃度にドープされる単結晶4H炭化ケイ素半導体基板(すなわち、n+炭化ケイ素基板)を備えることができる。低濃度にドープしたn型(n-)炭化ケイ素ドリフト層120は、基板110上に設けられる。n型炭化ケイ素ドリフト層120の上部分は、炭化ケイ素pウェル130を形成するために、例えば、イオン注入によるドープp型とすることができる。高濃度にドープした(n+)n型炭化ケイ素領域150は、炭化ケイ素pウェル130の上部分内に形成され得る。n型炭化ケイ素領域150は、イオン注入によって形成され得る。高濃度にドープした(n+)n型炭化ケイ素領域150は、デバイス100用のソース領域として働く。ドリフト層120及び基板110は共に、デバイス100用の共通ドレイン領域として働く。デバイス100内で形成されるn型基板110、n型ドリフト層120、pウェル130、及びn型ソース領域150は共に、デバイス100の半導体層構造140を構成することができる。
【0081】
トレンチ122は、ドリフト層120内に設けられる。トレンチ122の下部表面は、ウェル130の下部表面の下方でドリフト層120内に延在する。ゲート誘電体層160は、トレンチ122の下部表面及び側壁上にそしてソース領域150上に設けられる。ゲート誘電体層160は、例えば、酸化ケイ素(SiO)層を含むことができる。p型シールド領域124は、ゲート・トレンチ122の下のドリフト層120内に形成され得る。シールド領域124は、逆阻止動作中に、高電界から最終ゲート誘電体層160の下角部を保護するのに役立つことができる。
【0082】
ゲート電極170は、半導体層構造140に対向するゲート誘電体層160上でトレンチ122内に形成される。ゲート電極170は、例えば、シリサイド(例えば、NiSi、TiSi、WSi、CoSi)、ドープ多結晶シリコン(ポリSi)、及び/又は安定した導体を含むことができきる。ゲート電極170用の他の適切な材料は、Ti、Ta、又はW等の種々の金属、或いは、TiN、TaN、又はWN等の金属窒化物を含む。チャネル領域131は、ソース領域150とドリフト層120との間でトレンチ122の側壁に隣接してpウェル130内に設けられる。
【0083】
誘電体絶縁パターン180は、ゲート誘電体層160及びゲート電極170上に形成され、ソース金属被覆190は、半導体層構造140、ゲート誘電体層160、及び誘電体絶縁パターン180上に形成される。ドレイン接点(図示せず)は、ドリフト層120に対向する基板110の下表面上に設けることができる。
【0084】
上記説明がn型MOSFETのものであることが認識されるであろう。p型デバイスにおいて、ソース及びドレイン接点の場所は、反転され得、他のn型及びp型領域の導電型は、交換され得る。本明細書で開示する実施例の全ては、n型デバイスとして又はp型デバイスとして実装され得る。
【0085】
上記で論じたように、UMOSFET100がその伝導状態又はオン状態にあるとき、ゲート誘電体層160は高電界を受ける。この電界の強度は、トレンチ122の上角部Aに接触するゲート誘電体層160の部分において特に高いとすることができる。なぜなら、トレンチ122の上角部Aが急峻であるからである。したがって、トレンチ122の上角部Aに接触するゲート誘電体層160の部分は、典型的には絶縁破壊を最初に経験することになる。
【0086】
さらに、UMOSFET100が阻止状態にあるとき、漏洩電流がデバイス100を通って流れ得る。なぜなら、ゲート電極170が、薄ゲート誘電体層160だけによってn型炭化ケイ素ドリフト層120から電気絶縁されるからである。
【0087】
本発明の実施例によれば、丸みのある上及び/又は下角部を有するゲート・トレンチを含むパワー半導体デバイスが提供される。ゲート酸化物層が急峻な角部領域を有するとき、電界クラウディング効果は、これらの角部領域においてゲート誘電体層内の電界の大きさを著しく増加させる傾向がある。例えば、ゲート誘電体層の急峻な角部領域における電界値は、角部領域のすぐ外側の電界値より5倍大きいとすることができる。ゲート・トレンチの丸みのある角部は、オン状態(主に、上角部について)とオフ状態(主に、下角部について)の両方の動作中にこれらの丸みのある角部に接触するゲート誘電体層の部分における電界を低減することになる。そのため、ゲート・トレンチの角部を丸くすることによって、ゲート誘電体層の寿命が増加され得る。さらに、本発明の実施例によれば、ゲート・トレンチの下部分に肉厚下部誘電体層を含むパワー半導体デバイスが提供される。肉厚下部誘電体層は、阻止状態においてデバイス内の電界を低減することになり、阻止状態におけるデバイスの漏洩電流は、低減されることになる。
【0088】
図3は、本発明の実施例によるパワーUMOSFET200-1の概略断面図である。パワーUMOSFET200-1は、高濃度にドープしたn型炭化ケイ素半導体基板210、低濃度にドープしたn型(n-)炭化ケイ素ドリフト層220、炭化ケイ素p型ウェル230、及び高濃度にドープした(n+)n型炭化ケイ素ソース領域250を含む半導体層構造240を含む。トレンチ222はドリフト層220内に設けられる。トレンチ222の下部表面は、p型ウェル230の下部表面の下方でドリフト層220内に延在することができる。トレンチ222の開口は、トレンチ222の下部表面の幅より広い幅を有する。p型シールド領域224は、トレンチ222の下でドリフト層220内に形成され得る。シールド領域224は、逆阻止動作中に、最終ゲート誘電体層160(以下で論じる)の下角部を高電界から保護するのに役立つことができる。本明細書の議論は、炭化ケイ素半導体基板に的を絞ることになるが、本明細書で説明される本発明の実施例による技法が、シリコン半導体基板又は何らかの他の基板を含むデバイスに同様に適用可能であることが認識されるであろう。
【0089】
ゲート誘電体層260は、トレンチ222の側壁上にそしてソース領域250上に設けられる。ゲート電極270は、半導体層構造240に対向するゲート誘電体層260上でトレンチ222内に形成される。誘電体絶縁パターン280は、ゲート誘電体層260及びゲート電極270上に形成され、ソース金属被覆290は、半導体層構造240、ゲート誘電体層260、及び誘電体絶縁パターン280上に形成される。ドレイン接点(図示せず)は、ドリフト層220に対向する基板210の下表面上に設けられ得る。
【0090】
図3のUMOSFET200-1の領域/層は、2つの例外がある状態で、図2のUMOSFET100の対応する領域/層と実質的に同一とすることができる。第1に、トレンチ222は丸みのある上角部を含む。幾つかの実施例において、トレンチ222の下角部は丸みのある角部とすることもできる。第2に、下部誘電体層232は、ゲート誘電体層260とトレンチ222の下部表面との間でトレンチの下部分に設けられ得る。
【0091】
図3Aは、図3の領域Bの拡大図である。図3Aに示すように、トレンチ222の上角部はソース領域250によって画定され得、丸みのある角部とすることができる。例えば、トレンチ222の丸みのある上角部は、0.01ミクロン~0.5ミクロンの範囲内の第1の曲率半径r1を有することができる。トレンチ222の下角部は、ドリフト層220によって画定され得、丸みのある角部とすることができる。例えば、トレンチ222の丸みのある下角部は、0.01ミクロン~0.5ミクロンの範囲内の第2の曲率半径r2を有することができる。幾つかの実施例において、第1の曲率半径r1及び/又は第2の曲率半径r2のいずれか又は両方は、0.05ミクロン~0.4ミクロンの範囲内、0.1ミクロン~0.45ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~0.4ミクロンの範囲内、又は0.25ミクロン~0.4ミクロンの範囲内にあることができる。他の実施例において、第1の曲率半径r1及び/又は第2の曲率半径r2のいずれか又は両方は、0.01ミクロン~0.1ミクロンの範囲内、0.1ミクロン~0.2ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~0.3ミクロンの範囲内、0.3ミクロン~0.4ミクロンの範囲内、又は0.4ミクロン~0.6ミクロンの範囲内にあることができる。
【0092】
トレンチ222の丸みのある上角部は、丸みのある上角部に接触する誘電体層260の部分に印加される電界の大きさを低減することができ、ゲート誘電体層の寿命が増加することになる。
【0093】
下部誘電体層232は、ゲート誘電体層260と異なる材料を含むことができる。下部誘電体層232は、幾つかの実施例において、酸化ケイ素等の絶縁材料又はスピンオンガラス層を含むことができ、ホウ素(B)、リン(P)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、及び/又は鉛(Pb)等の添加剤(例えば、網目修飾体)をさらに含むことができる。ゲート誘電体層260は、添加剤を含まない場合がある、又は、下部誘電体層232から拡散した低濃度の添加剤を有する場合がある。下部誘電体層232は、第1の添加剤濃度の添加剤を含むことができ、ゲート誘電体層260は、第1の添加剤濃度より低い第2の添加剤濃度を有することができる。幾つかの実施例において、下部誘電体層232は、リフロー・プロセスによって形成されたリフロー済み誘電体層とすることができ、ゲート誘電体層260は、酸化プロセス又は堆積プロセスによって形成され得る。下部誘電体層232のリフロー済み誘電体層は、下部誘電体層232のガラス転移温度を下げる添加剤を含むことができ、それにより、その添加剤を含む下部誘電体層232は、添加剤がない下部誘電体層232より低い温度でリフローすることになる。幾つかの実施例において、ゲート誘電体層260は、下部誘電体層232の添加剤と異なる化学元素とすることができる不純物を含むことができる。ゲート誘電体層260の不純物は、作製プロセス中にゲート誘電体層260内に意図せず含まれる場合があり、例えば、炭素(C)及び/又は窒素(N)とすることができる。ゲート誘電体層260の不純物濃度がUMOSFETの性能に影響を及ぼさないほどに十分に低いとすることができることが認識されるであろう。
【0094】
図3に示すように、下部誘電体層232の上部表面の中央部分は湾曲する。ゲート誘電体層260は、下部誘電体層232、トレンチ222の側壁、及びソース領域250の上表面上に共形的に設けられ得る。下部誘電体層232の上部表面の中央部分上にあるゲート誘電体層260の部分は、湾曲した上及び下表面を有することができ、トレンチ222の上角部上にあるゲート誘電体層260の部分は、同様に湾曲した表面を有することができる。ゲート誘電体層260及び下部誘電体層232のそれぞれは、誘電体層を含むことができ、したがって、ゲート誘電体層260及び下部誘電体層232は、誘電体層と総称的に呼ばれ得る。図3に示すように、誘電体層は、トレンチ222の下部分内にあることができ、誘電体層の上部表面の中央部分は湾曲することができ、誘電体層は、トレンチ222の対向する側壁上にあることができる。
【0095】
図3Bは、図3の領域Cの拡大図である。図3Bに示すように、下部誘電体層232の中央部分はトレンチ222の深さ方向に第1の厚さT1を有し、ゲート誘電体層260は、第1の部分であって、下部誘電体層232上にあり、トレンチ222の深さ方向に第2の厚さT2を有する、第1の部分、及び、第2の部分であって、トレンチ222の側壁上にあり、トレンチ222の幅方向に第3の厚さT3を有する、第2の部分を含む。幾つかの実施例において、第1の厚さT1と第2の厚さT2の合計は第3の厚さT3より大きいとすることができる。そのような実施例において、トレンチ222(すなわち、下部誘電体層232とゲート誘電体層260の組み合わせ)内の誘電体材料は、トレンチ222の上側壁から外方に延在するのに比べて、トレンチ222の下部表面から上方に延在することができる。
【0096】
例えば、第1の厚さT1は、2ナノメートル~90ナノメートルの範囲内にあることができ、第2の厚さT2は、5ナノメートル~90ナノメートルの範囲内にあることができ、第3の厚さT3は、10ナノメートル~90ナノメートルの範囲内にあることができる。トレンチ222の深さDは、第1の厚さT1と第2の厚さT2の合計の少なくとも1.5倍とすることができる。幾つかの実施例において、第2の厚さT2は、第3の厚さT3の10%以内とすることができる。例えば、第2の厚さT2は、第3の厚さT3と同一又はほぼ同一とすることができる。第1の厚さT1は、第2の厚さT2より大きい、に等しい、又はより小さいとすることができる。幾つかの実施例において、第1の厚さT1と第2の厚さT2の合計は第3の厚さT3より大きいとすることができる。
【0097】
図3及び図3Bを参照すると、幾つかの実施例において、湾曲表面を有する下部誘電体層232の上部表面は、トレンチ222の幅Wと深さDの小さい方の0.25倍と、トレンチ222の幅/深さの大きい方の3倍との間である曲率半径を有することができる。他の実施例において、その曲率は、トレンチ222の幅/深さの小さい方の0.5倍とトレンチ222の幅/深さの大きい方の2倍との間、又は、トレンチ222の幅/深さの小さい方の0.75倍とトレンチ222の幅/深さの大きい方の1.5倍との間とすることができる。下部誘電体層232の湾曲表面の曲率が、必ずしも一定でないとすることができ、下部誘電体層232の上部表面の中央部分の一部分のみが指定された曲率を有することができることが認識されるであろう。さらに、トレンチ222が、典型的にはその長さ方向に沿って均一な深さ及び幅を有するため、下部誘電体層232の上部表面は、ラインではなく表面を備えるが、トレンチ222の各横断面は、トレンチ222の長さ方向に沿って実質的に同じとすることができる。下部誘電体層232の下表面の中央部分は、トレンチの中心からトレンチ222の側壁のそれぞれまでの半分(すなわち、トレンチ222の中心50%の部分)まで、トレンチ222の幅方向に延在する下部誘電体層232の下表面の部分を指す。
【0098】
ゲート誘電体層260は、下部誘電体層232、トレンチ222の側壁、及びソース領域250の上表面上に共形的に設けられ得る。下部誘電体層232の上部表面の中央部分上にあるゲート誘電体層260の部分は、均一な厚さを有することができ、それぞれが下部誘電体層232の湾曲表面の曲率半径と同じである曲率半径を有する湾曲した上及び下表面を有することができる。幾つかの例示的な実施例において、ゲート誘電体層260の湾曲した下表面は、トレンチ222の幅/深さの小さい方の0.25倍と、トレンチ222の幅/深さの大きい方の3倍との間にある曲率半径を有することができる。他の実施例において、ゲート誘電体層260の曲率は、トレンチ222の幅/深さの小さい方の0.5倍と、トレンチ222の幅/深さの大きい方の2倍との間、又は、トレンチ222の幅/深さの小さい方の0.75倍と、トレンチ222の幅/深さの大きい方の1.5倍との間であることができる。ゲート誘電体層260の下表面の中央部分は、トレンチ222の中心からトレンチ222の側壁のそれぞれまでの半分(すなわち、トレンチ222の中心50%の部分)まで、トレンチ222の幅方向に延在するゲート誘電体層260の下表面の部分を指す。
【0099】
図4は、本発明の実施例によるパワーUMOSFET200-2の概略断面図である。UMOSFET200-2は、下部誘電体層232’の形状を除いて、図3のパワーUMOSFET200-1と実質的に同一とすることができる。幾つかの実施例において、下部誘電体層232’は、図4に示すように、平坦上部表面を有することができる。
【0100】
図5は、本発明の実施例によるパワーUMOSFET200-3の概略断面図である。UMOSFET200-3は、トレンチ222’の下部表面の形状を除いて、図3のパワーUMOSFET200-1と実質的に同一とすることができる。トレンチ222’の下部表面の中央部分は、図5に示すように、湾曲することができる。
【0101】
図6は、本発明の実施例によるパワーUMOSFET200-4の概略断面図である。UMOSFET200-4は、下部誘電体層232とゲート誘電体層260との間に設けられるさらなるバリア層234を除いて、図3のパワーUMOSFET200-1と実質的に同一とすることができる。バリア層234は、下部誘電体層232に含まれる元素(例えば、不純物及び/又は添加剤)の周囲領域/層への(例えば、ゲート誘電体層260内への及び/又はゲート電極270内への)拡散を阻止することができる。バリア層234は、下部誘電体層232と異なる材料を含むことができる。例えば、バリア層234は、窒化ケイ素層及び/又は酸化ケイ素層を含むことができる。幾つかの実施例において、バリア層234は、下部誘電体層232に含まれる不純物及び/又は添加剤を含まない場合があり、それらがない場合がある。
【0102】
バリア層234は、下部誘電体層232上に共形的に設けられ得、バリア層234の中央部分は、図6に示すように湾曲することもできる。幾つかの実施例において、バリア層232の一番上の端は、トレンチ222のそれぞれの側壁の部分を形成するpウェル232の部分の下部表面に比べて、トレンチ222の下部表面に近いとすることができる。したがって、ゲート誘電体層260のみが、チャネル(例えば、図3のチャネル231)とゲート電極270との間に介在することができる。
【0103】
図7は、本発明の実施例によるパワーUMOSFET200-5の概略断面図である。UMOSFET200-5は、パワーUMOSFET200-5が別個のゲート誘電体層(例えば、ゲート誘電体層260)を含まないことを除いて、図3のパワーUMOSFET200-1と実質的に同一とすることができる。パワーUMOSFET200-5において、下部誘電体層232’’は、ゲート誘電体層として機能することができる。下部誘電体層232’’は、リフロー済み誘電体層とすることができる。下部誘電体層232’’は、トレンチ222の下部表面上の第1の厚さ及びトレンチ222の側壁上の第2の厚さを有し、第1の厚さは第2の厚さより厚いとすることができる。下部誘電体層232’’は、トレンチ222の側壁上の部分を含み、下部誘電体層232’’のこれらの部分の厚さは、図6に示すように、トレンチ222の深さと共に増加することができる。
【0104】
図8は、本発明の実施例によるパワーUMOSFET200-6の概略断面図である。UMOSFET200-6は、さらなるバリア層234’が下部誘電体層232’’とゲート電極270との間に設けられることを除いて、図7のパワーUMOSFET200-5と実質的に同一とすることができる。図8に示すように、バリア層234’は、下部誘電体層232’’とゲート電極270の両方に直接接触することができる。
【0105】
図9は、本発明の実施例によるパワーUMOSFET200-7の概略断面図である。UMOSFET200-7は、p型シールド領域224が、ゲート・トレンチ222の下で形成されるのと対照的に、p型ウェル230の下のドリフト層220内に形成されることを除いて、図3のパワーUMOSFET200-1と実質的に同一とすることができる。p型シールド領域224が、本明細書で開示する本発明の実施例のそれぞれにおいて、ゲート・トレンチ222の真下に(under)、p型ウェル230の真下に、又は両方の下に形成され得ることが認識されるであろう。
【0106】
図10は、本発明の実施例によるパワーUMOSFET300の概略断面図である。パワーUMOSFET300は、高濃度にドープしたn型炭化ケイ素半導体基板310、低濃度にドープしたn型(n-)炭化ケイ素ドリフト層320、炭化ケイ素p型ウェル330、及び高濃度にドープした(n+)n型炭化ケイ素ソース領域350を含む半導体層構造340を含む。トレンチ322はドリフト層320内に設けられる。下部誘電体層332はトレンチ322の下部分内に設けられ得、ゲート誘電体層360は、下部誘電体層332の上部表面、トレンチ322の側壁、及びソース領域350上に設けられ得る。ゲート電極370は、下部誘電体層332に対向するゲート誘電体層360上でトレンチ322内に形成される。誘電体絶縁パターン380は、ゲート誘電体層360及びゲート電極370上に形成される。トレンチ322の上角部は、丸みのある角部とすることができ、それにより、トレンチ322の上角部に接触するゲート誘電体層360の部分内の電界の大きさは、低減され得、ゲート誘電体層360の寿命は増加することができる。
【0107】
パワーUMOSFET300の領域/層は、さらなるソール・トレンチ324、及び、ソース金属被覆390であって、その所定の部分が、ソース接点を形成するためにそれぞれのソース・トレンチ324内に設けられる、ソース金属被覆390を除いて、図3のUMOSFET200-1の対応する領域/層と実質的に同一とすることができる。ソース・トレンチ324は、ソース領域350及び炭化ケイ素p型ウェル330を通して延在することができ、ソース・トレンチ324の下部表面は、ドリフト層320内にあることができる。層間絶縁層385は、誘電体絶縁パターン380とソース金属被覆390との間に設けられ得る。深いシールド領域325は、ソース・トレンチのそれぞれの下に形成され得る。深いシールド領域325は、p型ウェル330に電気接続されるため、それらは、逆阻止動作中にゲート誘電体層360を保護することを容易にするシールドとして働くことになる。示す実施例において、これらの電気接続は、図の断面の外で行われる。深いシールド領域325が、図10の断面において見ることができる深いシールド接続パターンによってp型ウェル330に、代替的に接続される可能性があることが、しかしながら、認識されるであろう。例えば、ソース・トレンチ324の側壁の一方又は両方は、p型イオンを注入されて、図10の断面においてそのような深いシールド接続パターン(示さず)を形成することができる。
【0108】
図4のUMOSFET200-2、図5のUMOSFET200-3、図7のUMOSFET200-5、図9のUMOSFET200-7、及び図10のUMOSFET300が、下部誘電体層(例えば、図9の下部誘電体層232又は図10の下部誘電体層332)の直接上にバリア層(例えば、図6のバリア層234)を含むこともできることが認識されるであろう。
【0109】
図11~14は、本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示すフロー・チャートである。特に、図11は、本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法の一般的なステップを示す。図12~14は、図11の方法のステップのうちの1つのステップ、すなわち、下部誘電体層を形成するステップ(図11のブロック920)を実施する幾つかの異なる方法を示し、図15~18は、図11~14のフロー・チャートに示す種々のステップを示す概略断面図である。
【0110】
図11及び図15を参照すると、方法は、基板内に予備トレンチ221を形成する(ブロック910)ことを含むことができる。本明細書の基板は、半導体基板210、ドリフト層220、ウェル230、及びソース領域250を含む半導体層構造240を指すことができる。予備トレンチ221は、半導体層構造240の全ての層/領域が形成された後に形成され得る。幾つかの実施例において、半導体層構造240の一部の層/領域(例えば、ソース領域250)及び/又はシールド領域224は、予備トレンチ221が形成された後に形成され得る。予備トレンチ221は、エッチ・プロセスによって形成され得、予備トレンチ221は、図15に示すように、急峻な上角部及び急峻な下角部を有することができる。
【0111】
図11、12、及び16を参照すると、予備下部誘電体層232pは、基板を酸化させることによって、予備トレンチ221が形成された後に形成される(ブロック921)ことができる。基板を酸化させることは、炭化ケイ素半導体層の露出部分を酸化ケイ素に変換し、それにより、半導体層構造240の露出部分内と、その上の両方に、酸化ケイ素層を形成する(酸素原子の添加に基づいて、酸化ケイ素が、半導体層構造240内に「成長し(grow)」、半導体層構造240から外方にも成長するため)。酸化は、酸化ケイ素をリフローするのに十分である温度で実施されるため、予備下部誘電体層232pは、同時に形成されリフローされる(ブロック921)ことができる。例えば、酸化は、網目修飾体ドーパントが存在する場合、SiC酸化について約900℃ほどの高い温度で、又は、SiCの純O酸化について最大約1550℃までの温度で実施され得る。
【0112】
基板を酸化させることは、酸化剤としてO、O、NO及び/又はHOを使用する熱酸化、或いは、上記で述べた気体又は他の酸化剤のうちの任意のものを使用してプラズマ酸化を実施することによって実施され得る。基板を酸化させることは、幾つかの実施例において、少なくとも予備下部誘電体層232pのガラス転移温度のあたりの温度で実施され得、予備下部誘電体層232pは、同時に形成されリフローされ得る。予備トレンチ221の急峻な上角部及び急峻な下角部は、ソース領域250及びドリフト層220の所定の部分の酸化によって丸くされ得、それにより、トレンチ222を形成する。予備下部誘電体層232pは、リフロー処理によってトレンチ222に流入することができ、予備下部誘電体層232pの上部表面の中央部分は、図16に示すように湾曲することができる。予備トレンチ221に流入する誘電体材料の量は、酸化プロセスのパラメータを制御することによって制御され得る。
【0113】
幾つかの実施例において、基板を酸化させることは、網目修飾体を含む環境で実施され得、予備下部誘電体層232pは、網目修飾体を含むことができる。網目修飾体は、例えば、ホウ素(B)、リン(P)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、及び/又は鉛(Pb)とすることができる。網目修飾体は、予備下部誘電体層232pのガラス転移温度を下げ、予備下部誘電体層232pは、網目修飾体がない予備下部誘電体層232pのガラス転移温度より低い温度でリフローすることができる。予備下部誘電体層232pは、予備下部誘電体層232pの4質量%未満の量の網目修飾体を含むことができる。例えば、予備下部誘電体層232pは、予備下部誘電体層232pの1質量%~2質量%の量の網目修飾体を含むことができる。
【0114】
図12及び図17を参照すると、予備下部誘電体層232pは、任意選択で、化学機械研磨(CMP:chemical-mechanical polish)プロセス又はエッチ・プロセスを使用して平坦化される(ブロック922)ことができる。図17は、予備下部誘電体層232pを平坦化することが、予備下部誘電体層232pの一部分及びソース領域250の上表面を残すことを示すが、幾つかの実施例において、平坦化プロセスは、ソース領域250の上表面が露出するまで実施され得る。
【0115】
図11及び図18を参照すると、予備下部誘電体層232pの一部分は、除去される(ブロック930)ことができ、それにより、トレンチ222の下部分内に下部誘電体層232を形成する。予備下部誘電体層232pのその部分は、エッチ・プロセスによって除去され得る。予備下部誘電体層232pは、予備下部誘電体層232pの上表面のプロファイルを維持しながらエッチングされ得るため、下部誘電体層232は、その中央部分は湾曲する上部表面を有することができる。
【0116】
図6及び図11を参照すると、バリア層234は、下部誘電体層232上に形成される(ブロック940)ことができる。バリア層234は、下部誘電体層232の上部表面に接触することができる。バリア層234は、例えば、バリア層234を下地構造(例えば、ウェル230及びソース領域250)上に共形的に形成し、その後、バリア層234を等方的にエッチングすることによって、形成され得る。幾つかの実施例において、バリア層234を形成することは省略され得る。幾つかの実施例において、バリア層234は、異方的(指向性)方式で堆積され得、それにより、バリア層234の側壁部分(すなわち、トレンチ222の側壁上に形成されたバリア層234の部分)は、バリア層223の下部部分(すなわち、トレンチ222の下部表面上に形成されたバリア層234の部分)より薄いとすることができ、それにより、バリア層234の下部部分が除去される前に、等方的エッチがバリア層234の側壁部分を除去することを可能にするのに役立つ。さらに、方法は、ゲート誘電体層260(ブロック950)及びゲート電極270(ブロック960)を順次形成することを含むことができる。
【0117】
図19~21並びに図22及び図23は、本発明のさらなる実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。図13、19、及び22を参照すると、下部誘電体層232を形成する(ブロック920)ことは、予備トレンチ221内に予備下部誘電体層232pをコーティングすること又は堆積させること(ブロック923)を含むことができる。予備下部誘電体層232pをコーティングすることは、スピンオンガラス層をコーティングすることであることができ、スピンオンガラス層は、予備トレンチ221を充填することができ、図19に示すように平坦上表面を有することができる。堆積プロセスによって形成される予備下部誘電体層232pは、図22に示すように予備トレンチ221を充填することができない。図19及び図22に示すように、予備下部誘電体層232pをコーティングすること又は堆積させることは、予備トレンチの形状を変更することができず、したがって、予備トレンチ221は、急峻な上角部及び下角部を含む。予備下部誘電体層232pをコーティングすること又は堆積させることは、スピンオンガラス層をコーティングすること、又は、例えば化学気相堆積(CVD)プロセスを使用して、酸化ケイ素層等の予備下部誘電体層232pを堆積させることであることができる。スピンオンガラス層は、ホウ素(B)、リン(P)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、及び/又は鉛(Pb)を含むことができる。
【0118】
図13、20、及び23を参照すると、下部誘電体層232を形成する(ブロック920)ことは、少なくとも予備下部誘電体層232pのガラス転移温度のあたりの温度で、酸化剤を含む環境内で予備下部誘電体層232pをアニールする(ブロック924)ことを含むこともできる。アニーリングは、酸化剤を含む環境内で実施されるため、基板が酸化され得、丸みのある上角部及び丸みのある下角部を有するトレンチ222がアニーリング中に形成される。さらに、アニーリングは、少なくとも予備下部誘電体層232pのガラス転移温度のあたりの温度で実施されるため、予備下部誘電体層232pは、アニーリング中にリフローし、トレンチ222に流入することができる。図20を参照すると、予備下部誘電体層232pが、図19に示すコーティング・プロセスによって形成されると、アニーリング・プロセスは、予備下部誘電体層232pの形状を変化することができない。図23を参照すると、予備下部誘電体層232pが、図22に示す堆積プロセスによって形成されると、予備下部誘電体層232pは、トレンチ222に流入することができ、予備下部誘電体層232pの上表面は、少なく湾曲することができる。
【0119】
下部誘電体層232を形成する(ブロック920)ことは、任意選択で、予備下部誘電体層232pを平坦化する(ブロック925)ことをさらに含むことができる。予備下部誘電体層232pを平坦化することが、予備下部誘電体層232pをアニールする(ブロック924)前又は後に実施され得ることが認識されるであろう。
【0120】
図13及び図21を参照すると、図20のスピンオンガラス層を含む下部誘電体層232の部分は、例えば、エッチ・バック・プロセスによって除去される(ブロック930)ことができる。下部誘電体層232のその部分が除去された後、下部誘電体層232の上部表面は、図21に示す小さい湾曲部であって、最も低い部分が湾曲の中央にある、小さい湾曲部を有することができる。
【0121】
図24~26は、本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。図14及び図24を参照すると、方法は、予備トレンチ221が形成された後に薄誘電体層232_1を形成する(ブロック926)ことを含むことができる。薄誘電体層232_1は、図24に示すように下地構造上に共形的に形成され得る。薄誘電体層232_1は、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)等の共形的コーティング技法を使用してコーティングすること又は他のアプローチを使用して誘電体層を堆積させることによって形成され得る。下地構造は、p型シールド領域(例えば、図3のp型シールド領域224)を含むことができない。図25を参照すると、p型シールド領域224は、薄誘電体層232_1が形成された後に形成され得る。p型シールド領域224は、薄誘電体層232_1を通してドリフト層220の部分に不純物を注入することによって形成され得る。
【0122】
図14及び図26を参照すると、方法は、予備下部誘電体層232pを形成すること及びリフローすること(ブロック927)を含むこともできる。予備下部誘電体層232pを形成すること及びリフローすることは、図12を参照して論じたプロセスと同様の酸化プロセスによって同時に実施され得る、又は、図13を参照して論じたプロセスと同様のプロセスによって順次に実施され得る。その後、予備下部誘電体層232pを平坦化する(ブロック928)ことが実施され得る。残りのプロセスは、(例えば、図11のブロック930~960)が実施され得る。
【0123】
図27及び図28は、本発明の実施例によるパワーUMOSFETを形成する方法を示す概略断面図である。図27を参照すると、予備下部誘電体層232pは、上記で論じたプロセスによって形成され得、その後、予備下部誘電体層232pは、図28に示す下部誘電体層232’’を形成するためにパターニングされ得る。再び図7を参照すると、ゲート電極270は、下部誘電体層232’’の直接上に形成され得、下部誘電体層232’’は、デバイスのゲート誘電体層として使用され得る。
【0124】
本開示は、金属酸化物(又は絶縁体)半導体(MOS又はMIS)デバイスにおける界面保護を改善するアプローチを説明する。これは、パワー・トランジスタ(例えば、MOSFET、MISFET、又はIGBT)内のゲート領域を改善するために特に有用であることができる。
【0125】
上記で論じた実施例のうちの種々のものはnチャネルMOSFETの単位セルの構造を示すが、本発明のさらなる実施例によれば、各デバイス内の半導体層のそれぞれの半導体層の極性が、対応するpチャネルMOSFETを提供するために反転され得ることが認識されるであろう。
【0126】
本発明は、本発明の実施例がそこに示される添付図面を参照して上記で説明された。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書で述べる実施例に限定されるものと解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施例は、本開示が、徹底的且つ完全であるように、また、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供される。図面において、層及び領域のサイズ及び相対的サイズは、明確にするために誇張することができる。要素又は層が、別の要素又は層「の上に」存在する、それ「に接続される(connected to)」、又はそれ「に結合される(coupled to)」として言及されるとき、その要素又は層は、他の要素若しくは層の直接上に存在する、又は他の要素若しくは層に直接接続若しくは結合され得る、或いは、介在する要素又は層が存在することができることが理解されるであろう。対照的に、要素が、別の要素又は層「の直接上に(directly on)」存在する、それ「に直接接続される(directly connected to)」、又はそれ「に直接結合される(directly coupled to)」として言及されるとき、介在する要素又は層は存在しない。本明細書で使用されるように、用語「及び/又は(and/or)」は、関連する列挙項目の1つ又は複数の任意の及び全ての組み合わせを含む。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0127】
種々の領域、層、及び/又は要素を説明するために、用語、第1及び第2が本明細書で使用されるが、これらの領域、層、及び/又は要素がこれらの用語によって制限されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの領域、層、又は要素を別の領域、層、又は要素から区別するために使用されるだけである。そのため、以下で論じる第1の領域、層、又は要素は、第2の領域、層、又は要素と呼ぶことができ、同様に、本発明の範囲から逸脱することなく、第2の領域、層、又は要素は、第1の領域、層、又は要素と呼ぶことができる。
【0128】
「下の(lower)」又は「下部(bottom)」及び「上の(upper)」又は「上部(top)」等の相対的な用語は、図面に示すように、1つの要素の別の要素に対する関係を説明するために本明細書で使用することができる。相対的な用語が、図面に描かれる配向に加えて、デバイスの異なる配向を包含することを意図されることが理解されるであろう。例えば、図面内のデバイスがひっくり返っている場合、他の要素の「下」側面の上に存在するものとして説明される要素は、他の要素の「上」側面の上に配向することになる。したがって、例示的な用語「下」は、図の特定の配向に応じて、「下」及び「上」の配向を共に包含することができる。同様に、図のうちの1つの図内のデバイスがひっくり返っている場合、他の要素「の下方に(below)」又は「の下に(beneath)」あるとして説明される要素は、他の要素「の上方に(above)」配向することになる。したがって、例示的な用語「の下方に」又は「の下に」は、上方に、及び、下方に、の両方の配向を包含することができる。
【0129】
本明細書で使用する用語は、特定の実施例のみを説明するためのものであり、本発明を制限するためのものであることを意図されない。本明細書で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別段に明確に指示しない限り、複数形も含むことを意図される。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」は、本明細書で使用するとき、述べた特徴、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、要素、構成要素、特徴、及び/又はこれらの群の存在又は追加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0130】
本発明の実施例は、概略図である断面図を参照して本明細書で説明される。したがって、例えば、製造技法及び/又は公差の結果としての図の形状からの変動が予測される。そのため、本発明の実施例は、本明細書で示される領域の特定の形状に限定されるものとして解釈されるべきでなく、例えば製造に起因する形状の逸脱を含む。例えば、長方形として示す被注入領域は、典型的には、被注入領域から未注入領域への2値変化ではなく、その縁部において、丸い又は湾曲した特徴部及び/又は注入濃度の勾配を有することになる。そのため、図に示す領域は、本来概略的であり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すことを意図されず、本発明の範囲を制限することを意図されない。
【0131】
本明細書で開示される実施例が組み合わされ得ることが理解されるであろう。そのため、第1の実施例に関して描かれる及び/又は説明される特徴は、第2の実施例にも含まれ得る、またその逆も同様である。
【0132】
上記実施例は特定の図を参照して説明されるが、本発明の幾つかの実施例が、さらなる及び/若しくは介在する層、構造、又は要素を含むことができる、並びに/或いは、特定の層、構造、又は要素が削除され得ることが理解される。本発明の少数の例示的な実施例が説明されたが、多くの修正が、本発明の新規な教示及び利点から実質上逸脱することなく例示的実施例において可能であることを当業者は容易に認識するであろう。したがって、全てのそのような修正は、特許請求項に規定される本発明の範囲内に含まれることを意図される。したがって、上記が、本発明の例証であり、開示される特定の実施例に限定されるものとして解釈されないこと、及び、開示される実施例並びに他の実施例に対する修正が、添付特許請求項の範囲内に含まれることを意図されることが理解される。本発明は、特許請求の範囲に含まれる特許請求の範囲の均等物と共に、以下特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2
図3
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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図24
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