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特許7578893光アクセスシステム及び制御信号重畳方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】光アクセスシステム及び制御信号重畳方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/27 20130101AFI20241030BHJP
   H04B 10/077 20130101ALI20241030BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H04B10/27
H04B10/077
H04J14/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023515885
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2021015849
(87)【国際公開番号】W WO2022224298
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 一貴
(72)【発明者】
【氏名】可児 淳一
(72)【発明者】
【氏名】金子 慎
(72)【発明者】
【氏名】金井 拓也
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 由美子
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0229389(US,A1)
【文献】特開平05-130058(JP,A)
【文献】国際公開第2012/154388(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/261520(WO,A1)
【文献】特開2001-160820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/27
H04B 10/077
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理及び制御のために用いられる管理制御信号が重畳された光信号を用いた通信を行う光アクセスシステムであって、
送信側の加入者装置は、前記管理制御信号を主信号に重畳して光信号を生成し、生成した前記光信号を送出し、
前記送信側の加入者装置が送出した前記光信号に重畳させる前記送信側の加入者装置の通信相手宛ての管理制御信号であって、前記光信号に重畳されている前記管理制御信号の周波数と異なる周波数帯であり、かつ異なる制御内容を含む管理制御信号を出力する管理制御部と、
前記管理制御部が出力した前記管理制御信号を前記光信号に重畳する制御信号重畳部と、
を備える光アクセスシステム。
【請求項2】
前記管理制御部は、前記送信側の加入者装置が前記管理制御信号を主信号に重畳する重畳方式と異なる重畳方式で重畳するための前記管理制御信号を出力する、
請求項1に記載の光アクセスシステム。
【請求項3】
前記管理制御部は、前記送信側の加入者装置が接続したタイミングで前記送信側の加入者装置から重畳方式を取得、又は、予め前記送信側の加入者装置で利用する重畳方式を決定することによって前記送信側の加入者装置の重畳方式を取得する、
請求項2に記載の光アクセスシステム。
【請求項4】
前記送信側の加入者装置と、受信側の加入者装置とを接続する光伝送路上で、前記送信側の加入者装置から送出された光信号を分岐する分岐部と、
前記分岐部で分岐された前記光信号から前記管理制御信号を取得する監視部と、
をさらに備え、
前記制御信号重畳部は、前記分岐部により分岐された前記光信号に、前記管理制御部が出力した前記管理制御信号を重畳する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光アクセスシステム。
【請求項5】
前記受信側の加入者装置は、受信した前記光信号を電気信号に変換する受信部と、前記電気信号に基づいて、前記制御信号重畳部で重畳された前記管理制御信号を取得するフィルタと、を備える
請求項4に記載の光アクセスシステム。
【請求項6】
前記送信側の加入者装置は、複数台であり、
複数の送信側の加入者装置に接続する光スイッチと、
前記光スイッチから出力された光信号を合波し、伝送路から伝送された光信号を分波する光合分波器と、
をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の光アクセスシステム。
【請求項7】
前記送信側の加入者装置は、第1送信側の加入者装置と、第2送信側の加入者装置であり、
前記制御信号重畳部は、前記第1送信側の加入者装置に対応する第1制御信号重畳部と、前記第2送信側の加入者装置に対応する第2制御信号重畳部であり、
前記第1送信側の加入者装置と、前記第2送信側の加入者装置とは対向した位置に備えられ、異なる波長の光信号を送出し、
前記管理制御部は、前記第1送信側の加入者装置宛の管理制御信号を前記第2制御信号重畳部に出力し、前記第2送信側の加入者装置宛の管理制御信号を前記第1制御信号重畳部に出力し、
前記第1制御信号重畳部は、前記第2送信側の加入者装置宛の管理制御信号を前記第1送信側の加入者装置が送出した光信号に重畳し、
前記第2制御信号重畳部は、前記第1送信側の加入者装置宛の管理制御信号を前記第2送信側の加入者装置が送出した光信号に重畳する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の光アクセスシステム。
【請求項8】
管理及び制御のために用いられる管理制御信号が重畳された光信号を用いた通信を行う光アクセスシステムにおける制御信号重畳方法であって、
送信側の加入者装置が、前記管理制御信号を主信号に重畳して光信号を生成し、生成した前記光信号を送出し、
前記送信側の加入者装置が送出した前記光信号に重畳させる前記送信側の加入者装置の通信相手宛ての管理制御信号であって、前記光信号に重畳されている前記管理制御信号の周波数と異なる周波数帯であり、かつ異なる制御内容を含む管理制御信号を出力し、
出力された前記管理制御信号を前記光信号に重畳する、
制御信号重畳方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光アクセスシステム及び制御信号重畳方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization sector) G.989.2勧告では、PtP WDM-PON(Point to Point Wavelength Division Multiplexing- Passive Optical Network)と呼ばれる、波長多重を行うPONシステムが規定されている(例えば、非特許文献1参照)。PtP WDM-PONシステムでは、ONU(Optical Network Unit:加入者線端局装置)からOLT(Optical Line Terminal:加入者線端局装置)へ向かう方向である上り方向とOLTからONUへ向かう方向である下り方向とにおいて、ONU毎に異なる波長を用いて通信を行う。
【0003】
非特許文献1に記載されているように、PtP WDM-PONシステムでは、OLTとONUとの間で用いられる管理及び制御のための信号としてAMCC(Auxiliary Management and Control Channel)と呼ばれる管理制御信号が用いられる。AMCC信号は、送信される情報があらかじめ定められた方式で変調された後、主信号に重畳されて伝送される信号である。AMCC信号は、例えば、光送受信器の送受信波長、送信光強度、温度などを示す状態情報を含む。
【0004】
非特許文献1によれば、AMCC信号の重畳方法は2種類ある。1つ目の方式“baseband modulation”は、送信器(例えば、ONU)側において、AMCC信号をベースバンド信号として主信号へと重畳する方法である。“baseband modulation”の重畳方法では、受信器(例えば、OLT)側でLPF(Low-Pass Filter)等のフィルタによってAMCC信号を分離する。
【0005】
2つ目の方式“low-frequency pilot tone”は、送信器側において、AMCC信号をある搬送波周波数にアップコンバートして主信号へと重畳する方法である。“low-frequency pilot tone”の重畳方法では、受信器側で信号処理等により復調することでAMCC信号を取得する。
【0006】
図14は、”low-frequency pilot tone”を用いた、PtP WDMシステムの構成を示す。図14に示すように、従来のPtP WDMシステム100は、加入者装置200と、加入者装置300とを備える。加入者装置200は送信側の装置であり、加入者装置300は受信側の装置である。
【0007】
加入者装置200は、光送信部210を備える。光送信部210は、重畳部220と、LD(Laser diode)230とで構成される。加入者装置200は、外部入力された主信号と制御信号を電気信号の状態で重畳し、重畳後の電気信号をLD230により光信号に変換する。その後、光送信部210は、光信号を光ファイバに出力する。
【0008】
加入者装置300は、光受信部310を備える。光受信部310は、PD(Photo diode)320と、LPF(Low-Pass Filter)330とで構成される。加入者装置300は、光ファイバを伝送した光信号を入力し、PD320により電気信号に変換する。その後、加入者装置300は、LPF330を用いて、電気段で主信号からAMCC信号を分離し、AMCC信号を取得する。加入者装置200において、主信号とAMCC信号とをそれぞれ異なる周波数にのせることにより、物理的に別々の信号として扱うことができる。
【0009】
図15は、他のPtP WDMシステムの構成を示す。図15に示すように、従来のPtP WDMシステム100aは、加入者装置200と、加入者装置300と、パワースプリッタ350と、監視回路400と、管理制御部450とを備える。図15では、図14に示す構成に加えて、光ファイバの途中に監視用ポートとしてパワースプリッタ350を備え、パワースプリッタ350で分岐した光信号を受信し、AMCC信号を取り出すことのできる監視回路400を備える。
【0010】
監視回路400は、PD410と、LPF420とを備える。PD410と、LPF420とは、光受信部310が備えるPD320と、LPF330と同様の処理を行う。このような構成とすることで、加入者装置300を介さずに、AMCC信号を受信することができる。監視回路400で受信したAMCC信号は、管理制御部450に入力され、例えば、光送受信器の送受信波長等が管理される。
【0011】
図15では、加入者装置200から光信号を送出し、加入者装置300で光信号を受信する構成を示したが、加入者装置200に光受信部310をさらに備え、加入者装置300に光送信部210をさらに備えることで、双方向通信の構成とすることもできる。
【0012】
図16では、複数の加入者装置対が異なる波長を用いて通信を行うWDMシステム100bの構成について説明する。WDMシステム100bは、複数の加入者装置200-1~200-3と、複数の加入者装置300-1~300-3と、複数のパワースプリッタ350-1~350-3と、複数の監視回路400-1~400-3と、管理制御部450と、光SW500-1~500-2と、複数の光合分波器550-1~550-3,560-1~560-3とを備える。
【0013】
図16では、図15に示す構成に加えて、複数のパワースプリッタ350-1~350-3と、複数の監視回路400-1~400-3と、光SW500-1~500-2と、複数の光合分波器550-1~550-3,560-1~560-3とを備えている。加入者装置200-1~200-3と、加入者装置300-1~300-3との間には、光SW500-1,500-2を備え、複数の光伝送路(図16では、3つの光伝送路)の中から1つの光伝送路を選択できる構成としている。光合分波器550-1~550-3,560-1~560-3は、光SW500-1,500-2から出力された光信号を合波又は分波する。各光伝送路の途中にはパワースプリッタ350-1~350-3と監視回路400b-1~400b-3とが備えられる。
【0014】
加入者装置200-1~200-3は、それぞれ波長λ1~λ3の光信号を送出し、加入者装置300-1~300-3は、それぞれ波長λ1´~λ3´の光信号を送出する。光SW500-1,500-2内では、加入者装置200-1~200-3と加入者装置300-1~300-3との間を伝送する光信号が、指定された光伝送路に出力されるように入力ポートと出力ポートとの間の経路を接続する。加入者装置200-1~200-3で主信号に重畳されたAMCC信号は、監視回路400b-1~400b-3で取得される。
【0015】
図17は、監視回路400b-1~400b-3の具体的な構成を示す図である。監視回路400bは、波長分波部430と、複数のPD410-1~410-3と、複数のLPF420-1~420-3で構成される。ここで、PD410-1は波長λ1に対応するポートから出力される光信号を受信し、PD410-2は波長λ2に対応するポートから出力される光信号を受信し、PD410-3は波長λ3に対応するポートから出力される光信号を受信するものとする。波長分波部430では、入力された光信号を波長毎に分波して、波長毎に対応するポートから出力する。PD410-1~410-3は、波長分波部430から出力された光信号を電気信号に変換する。LPF420-1~420-3では、電気信号からAMCC信号を分離する。これにより、各波長の光信号に重畳されたAMCC信号を取得することができる。なお、図16では、監視回路400b-1~400b-3それぞれと管理制御部450とを結ぶ経路として1本ずつの接続線を示している。しかし、図17に示すように、1つの監視回路400bの出力は、波長毎に分波された光信号から抽出された1以上のAMCC信号となる。そのため、監視回路400b-1~400b-3それぞれと管理制御部450とを結ぶ経路は、波長数分となる。
【0016】
図18では、管理制御機能部からAMCC信号を送信するシステム100cの構成を示す。管理制御機能部から送信するAMCC信号は、「接続先装置への通信終了連絡(発光停止指示)」、「接続先切替や経路切替による波長変更」、「加入者装置へのリクエストに対する応答」等を行うために送信される。図18に示すシステム100cは、複数の加入者装置200-1~200-3と、複数の加入者装置300-1~300-3と、複数のパワースプリッタ350-1~350-3と、複数の監視回路400-1~400-3と、管理制御部450cと、光SW500-1~500-2と、複数の光合分波器550-1~550-3,560-1~560-3と、複数の制御信号重畳部570-1~570-3とを備える。
【0017】
図18では、図16に示す構成において、管理制御部450に代えて管理制御部450cを備え、複数の制御信号重畳部570-1~570-3を新たに備えている。管理制御部450cは、制御信号生成部451を備える。制御信号生成部451は、AMCC信号を生成し、生成したAMCC信号を、電気線を介して対応する制御信号重畳部570-1~570-3に送出する。制御信号重畳部570-1~570-3は、管理制御部450cから送出されたAMCC信号を、光伝送路で伝送された光信号に重畳する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【文献】“ITU-T G.989.2 Recommendation, “40-Gigabit-capable-passive optical networks (NG-PON2): Physical media dependent (PMD) layer specification,” Feb. 2019.
【文献】Y. Luo, H. Roberts, K. Grobe, M. Valvo, D. Nesset, K.Asaka, H. Rohde, J. Smith, J. S. Wey, and F. Effenberger, “Physical Layer Aspects of NG-PON2 Standards-Part 2:System Design and Technology Feasibility,” J. Opt. Com-mun. Netw., 8(1), pp.43-52, Jan. 2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
加入者装置200から”baseband modulation”もしくは”low-frequency pilot tone”の何れかの方式で主信号にAMCC信号を重畳して送信した場合、パワースプリッタ350により、監視回路400b側だけでなく、光伝送路側にもAMCC信号が重畳された主信号が伝送される。そのため、上述したように管理制御部450cからAMCC信号を制御信号重畳部570に送出した場合には、加入者装置200で重畳されたAMCC信号と、管理制御部450cから送出されたAMCC信号とが干渉を起こして、AMCC信号自体を主信号に重畳できない場合がある。なお、このような問題は、AMCC信号に限らず、主信号とは異なる周波数帯を利用したOut of band方式の管理制御信号においても生じる問題である。
【0020】
上記事情に鑑み、本発明は、管理制御信号が重畳された主信号に対して、干渉を抑制して他の管理制御信号をさらに主信号に重畳することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一態様は、管理及び制御のために用いられる管理制御信号が重畳された光信号を用いた通信を行う光アクセスシステムであって、送信側の加入者装置は、前記管理制御信号を主信号に重畳して光信号を生成し、生成した前記光信号を送出し、前記送信側の加入者装置が送出した前記光信号に重畳させる管理制御信号であって、前記光信号に重畳されている前記管理制御信号の周波数と異なる周波数帯の管理制御信号を出力する管理制御部と、前記管理制御部が出力した前記管理制御信号を前記光信号に重畳する制御信号重畳部と、を備える光アクセスシステムである。
【0022】
本発明の一態様は、管理及び制御のために用いられる管理制御信号が重畳された光信号を用いた通信を行う光アクセスシステムにおける制御信号重畳方法であって、送信側の加入者装置が、前記管理制御信号を主信号に重畳して光信号を生成し、生成した前記光信号を送出し、前記送信側の加入者装置が送出した前記光信号に重畳させる管理制御信号であって、前記光信号に重畳されている前記管理制御信号の周波数と異なる周波数帯の管理制御信号を出力し、出力された前記管理制御信号を前記光信号に重畳する、制御信号重畳方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、管理制御信号が重畳された主信号に対して、干渉を抑制して他の管理制御信号をさらに主信号に重畳することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態における光アクセスシステムの構成例を示す図である。
図2】第1の実施形態における送信側の加入者装置の構成を示す図である。
図3】第1の実施形態における送信側の加入者装置の別構成を示す図である。
図4】第1の実施形態における監視回路の構成を示す図である。
図5】第1の実施形態における制御信号重畳部の構成を示す図である。
図6】第1の実施形態における受信側の加入者装置の構成を示す図である。
図7】第1の実施形態における光アクセスシステムの処理の流れを示すシーケンス図である。
図8】第1の実施形態における光アクセスシステムの処理の流れを示すシーケンス図である。
図9】第1の実施形態における監視回路の別構成を示す図である。
図10】第2の実施形態における光アクセスシステムの構成例を示す図である。
図11】第3の実施形態における光アクセスシステムの構成例を示す図である。
図12】第4の実施形態における加入者装置の構成を示す図である。
図13】第4の実施形態における管理制御部の構成及び処理を説明するための図である。
図14】“low-frequency pilot tone”を用いた、PtP WDMシステムの構成を示す図である。
図15】他のPtP WDMシステムの構成を示す図である。
図16】複数の加入者装置対が異なる波長を用いて通信を行うWDMシステムの構成を説明するための図である。
図17】従来の監視回路の具体的な構成を示す図である。
図18】管理制御機能部からAMCC信号を送信するシステム100cの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における光アクセスシステム1の構成例を示す図である。光アクセスシステム1は、複数の加入者装置10-1~10-3と、複数の加入者装置20-1~20-3と、管理制御装置30と、複数のパワースプリッタ50-1~50-3と、複数の制御信号重畳部55-1~55-3と、光カプラ60とを備える。なお、パワースプリッタ50及び制御信号重畳部55は、光伝送路40毎に備えられる。
【0026】
図1において、加入者装置10-1と加入者装置20-1とは、光伝送路40-1を介して接続される。加入者装置10-2と加入者装置20-2とは、光伝送路40-2を介して接続される。加入者装置10-3と加入者装置20-3とは、光伝送路40-3を介して接続される。光伝送路40は、例えば光ファイバである。
【0027】
以下の説明では、加入者装置10及び20の台数が3台の場合を例に説明するが、加入者装置10及び20の台数は、1台以上であればよい。光伝送路40-n(nは1以上の整数)にはパワースプリッタ50-nが設けられる。すなわち、光伝送路40-n毎にパワースプリッタ50-nが設けられる。
【0028】
加入者装置10-nは、波長λnの光信号を光伝送路40-nに送出する。例えば、加入者装置10-nは、AMCC信号を主信号に重畳した波長λnの光信号を光伝送路40-nに送出する。すなわち、加入者装置10-nは、異なる波長の光信号を光伝送路40-nに送出する。
【0029】
AMCC信号の重畳方法は、“baseband modulation”又は“low-frequency pilot tone”のいずれでもよい。加入者装置10-nの構成は、AMCC信号の重畳の仕方によって異なるが、第1の実施形態では、加入者装置10-nが“low-frequency pilot tone”の方式によりAMCC信号を主信号に重畳するものとする。
【0030】
以下の説明では、加入者装置10-1が、周波数f1のAMCC信号を主信号に重畳した波長λ1の光信号を光伝送路40-1に送出し、加入者装置10-2が、周波数f2のAMCC信号を主信号に重畳した波長λ2の光信号を光伝送路40-2に送出し、加入者装置10-3が、周波数f3のAMCC信号を主信号に重畳した波長λ3の光信号を光伝送路40-3に送出するものとして説明する。
【0031】
加入者装置20-nは、加入者装置10-nから送出された光信号を受信する。例えば、加入者装置20-nは、周波数fnのAMCC信号が主信号に重畳された波長λnの光信号を光伝送路40-nを介して受信する。加入者装置20-nは、加入者装置10-nの重畳方法で重畳されたAMCC信号を分離することができる構成を備える。加入者装置20-nは、加入者装置10-nと異なる波長(例えば、波長λn´)の光信号を送出してもよい。
【0032】
管理制御装置30は、AMCC信号の監視及びAMCC信号に基づく制御を行う。管理制御装置30は、監視回路31と、管理制御部32とを備える。監視回路31は、複数の受信部34-1~34-3と、複数のAMCC信号分離部35-1~35-3で構成される。なお、受信部34-1~34-3と、AMCC信号分離部35-1~35-3の数は、光伝送路40と同数備えられてもよい。これにより、各光伝送路40で伝送される光信号を各々の受信部34で処理することができる。
【0033】
受信部34-nは、パワースプリッタ50-nから出力された光信号を電気信号に変換する。例えば、受信部34-1は、パワースプリッタ50-1に接続され、パワースプリッタ50-1から出力された光信号を電気信号に変換する。例えば、受信部34-2は、パワースプリッタ50-2に接続され、パワースプリッタ50-2から出力された光信号を電気信号に変換する。例えば、受信部34-3は、パワースプリッタ50-3に接続され、パワースプリッタ50-3から出力された光信号を電気信号に変換する。受信部34-nは、PDを用いて構成される。
【0034】
AMCC信号分離部35-nは、受信部34-nによって変換された電気信号からAMCC信号を分離する。例えば、AMCC信号分離部35-nは、受信部34-nによって変換された電気信号から周波数の異なる複数のAMCC信号を分離する。AMCC信号分離部35-nの具体的な構成は、図4で説明する。
【0035】
管理制御部32は、AMCC信号分離部35-nで分離されたAMCC信号を入力し、入力したAMCC信号を元に加入者装置10-n及び20-nの送受信波長等の管理を行う。管理制御部32は、制御信号生成部321を備える。制御信号生成部321は、制御対象となる宛先に対するAMCC信号を生成する。制御信号生成部321が生成するAMCC信号には、「接続先装置への通信終了連絡(発光停止指示)」、「接続先切替や経路切替による波長変更」、「加入者装置へのリクエストに対する応答」等の情報が含まれる。
【0036】
制御信号生成部321は、制御信号重畳部55-1~55-3と電気線を介して接続されている。制御信号生成部321は、生成したAMCC信号を制御信号重畳部55-1~55-3に送出する。なお、制御信号生成部321は、加入者装置10,20がどの光伝送路40に接続されているかを示す情報を保持して、宛先となる加入者装置10,20が接続される光伝送路40を特定してもよい。この場合、制御信号生成部321は、特定した光伝送路40上に設けられる制御信号重畳部55-1~55-3に対してAMCC信号を送出する。
【0037】
制御信号重畳部55-1~55-3には、制御信号生成部321が生成したAMCC信号以外に、光伝送路40で伝送された光信号が入力される。光伝送路40で伝送された光信号には、加入者装置10においてAMCC信号が主信号に重畳されている。そのため、制御信号重畳部55-1~55-3に入力される制御信号生成部321が生成したAMCC信号の周波数と、光伝送路40で伝送された光信号に重畳されているAMCC信号の周波数とによっては干渉が生じてしまう。
【0038】
そこで、本発明における制御信号生成部321では、制御信号重畳部55-1~55-3において、加入者装置10で利用する重畳方式と異なる重畳方式で重畳可能なAMCC信号を生成する。すなわち、制御信号生成部321では、加入者装置10で重畳するAMCC信号の周波数と異なる周波数帯を持つAMCC信号を制御信号重畳部55-1~55-3で重畳可能なAMCC信号を生成する。例えば、加入者装置10が“low-frequency pilot tone”の方式によりAMCC信号を主信号に重畳する場合には、制御信号生成部321は制御信号重畳部55-1~55-3において“baseband modulation”の方式によりAMCC信号を主信号に重畳可能なAMCC信号を生成する。
【0039】
制御信号生成部321において上記のようなAMCC信号を生成するためには、加入者装置10が利用する重畳方式を管理制御部32に通知する必要がある。加入者装置10が利用する重畳方式を管理制御部32に通知する方法として、加入者装置10が接続したタイミング(初期接続のタイミング)でAMCC信号の重畳方式を管理制御部32に通知してもよいし、管理制御部32において予め加入者装置10側の重畳方式を“baseband modulation”又は“low-frequency pilot tone”のいずれかと決定してもよい。
【0040】
本説明では、加入者装置10-nが“low-frequency pilot tone”の方式によりAMCC信号を主信号に重畳するため、制御信号生成部321はベースバンドのAMCC信号を生成する。なお、制御信号生成部321がAMCC信号を生成するタイミングは、AMCC信号の送信が必要になったタイミングであればどのようなタイミングであってもよい。
【0041】
パワースプリッタ50-nは、光伝送路40-nを伝送する光信号を、管理制御装置30へ向かう第1の経路と、加入者装置20-nへ向かう第2の経路とに分岐する。パワースプリッタ50-nで分岐された波長λnの光信号は、管理制御装置30と制御信号重畳部55-1~55-3とに入力される。
【0042】
制御信号重畳部55-1~55-3は、制御信号生成部321によって生成されたAMCC信号を、光伝送路40で伝送された光信号に重畳する。制御信号重畳部55-1~55-3は、加入者装置10が利用するAMCC信号の重畳方式と異なる重畳方式により、制御信号生成部321によって生成されたAMCC信号を、光伝送路40で伝送された光信号に重畳する。
【0043】
図2は、第1の実施形態における加入者装置10-nの構成を示す図である。図2に示す構成は、AMCC信号を電気段で主信号に重畳する場合の構成である。加入者装置10-nは、光送信部11-nを備える。なお、図2では、加入者装置10-nにおける特徴となる構成について説明するため光送信部11-nのみを示している。光送信部11-nは、AMCC信号重畳部12-n及びLD13-nで構成される。AMCC信号重畳部12-nは、ミキサ15-n及び発振器16-n(LO)を含んで構成される。
【0044】
AMCC信号重畳部12-nは、外部から入力された低周波信号であるAMCC信号を、ミキサ15-nと発振器16-nとを使用して周波数fnにアップコンバートする。AMCC信号重畳部12-nは、周波数fnにアップコンバートされたAMCC信号を、外部から入力された主信号に電気段で重畳する。
【0045】
LD13-nは、波長λnの光を出力する。LD13-nは、電気段でAMCC信号が重畳された主信号の電気信号を、波長λnの光信号に変換して出力する。
【0046】
図3は、第1の実施形態における加入者装置10-nの別構成を示す図である。図3に示す構成は、AMCC信号を光段で主信号に重畳する場合の構成である。加入者装置10-nは、光送信部11-nを備える。なお、図3では、加入者装置10-nにおける特徴となる構成について説明するため光送信部11-nのみを示している。光送信部11-nは、AMCC信号重畳部12-n及びLD13-nで構成される。AMCC信号重畳部12-nは、ミキサ15-n、発振器16-n及び変調器17-nを含んで構成される。
【0047】
加入者装置10-nは、外部入力された主信号の電気信号をLD13-nにより光信号に変換する。AMCC信号重畳部12-nは、外部から入力された低周波信号であるAMCC信号を、ミキサ15-nと発振器16-nとを使用して周波数fnにアップコンバートする。AMCC信号重畳部12-nは、周波数fnにアップコンバートされたAMCC信号を、変調器17-nを用いて光段で光信号に重畳する。ここで用いられる変調器17-nは、光の強度成分を変化させる光変調器であればどのような変調器であってもよい。例えば、変調器17-nとして、VOA(Variable Optical Attenuator)、SOA(Semiconductor Optical Amplifier:半導体光増幅器)又はLN変調器のいずれが用いられてもよい。
【0048】
図4は、第1の実施形態における監視回路31の構成を示す図である。監視回路31は、受信部34-1~34-3と、AMCC信号分離部35-1~35-3で構成される。受信部34-nは、入力された光信号を電気信号に変換する。受信部34-nは、例えばPDである。
【0049】
AMCC信号分離部35-nは、入力したAMCC信号の周波数の種類と同数の発振器351-n、ミキサ352-n及びLPF353-nで構成される。図4では、3台のAMCC信号分離部35-1~35-3を示している。AMCC信号分離部35-nは、入力された電気信号を、ミキサ352-nと、周波数fnに設定された発振器351-nを使用してダウンコンバートする。その後、AMCC信号分離部35-nは、ダウンコンバート後の電気信号からLPF353-nによってAMCC信号を抽出する。
【0050】
図4に示す構成では、受信部34-1にはAMCC信号分離部35-1が接続され、受信部34-2にはAMCC信号分離部35-2が接続され、受信部34-3にはAMCC信号分離部35-3が接続される。例えば、AMCC信号分離部35-1は、入力された電気信号を、ミキサ352-1と、周波数f1に設定された発振器351-1を使用してダウンコンバートする。その後、AMCC信号分離部35-1は、ダウンコンバート後の電気信号からLPF353-1によって周波数f1のAMCC信号を抽出する。
【0051】
図5は、第1の実施形態における制御信号重畳部55-nの構成を示す図である。図5に示す例では、制御信号重畳部55-nは、変調器551-nを備える。制御信号重畳部55-nは、制御信号生成部321によって生成されたベースバンドのAMCC信号を、変調器551-nを用いて光段で光信号に重畳する。変調器551-nは、変調器17-nと同様に、光の強度成分を変化させる光変調器であればどのような変調器であってもよい。例えば、変調器551-nとして、VOA、SOA又はLN変調器のいずれが用いられてもよい。図5に示すように、制御信号重畳部55-nに入力される光信号には、加入者装置10にて主信号の周波数成分に重ならないように搬送波周波数fnでアップコンバートされたAMCC信号が含まれる。
【0052】
一方で、制御信号重畳部55-nから出力される光信号には、周波数領域において主信号と、加入者装置10によりアップコンバートされたAMCC信号と重ならない位置に、制御信号生成部321によって生成されたAMCC信号が重畳されている。このように、制御信号生成部321によって生成されたAMCC信号の周波数が、光信号に含まれるAMCC信号と異なるため、干渉を抑制して重畳することができる。
【0053】
図6は、第1の実施形態における加入者装置10-nと対向する加入者装置20-nの構成を示す図である。ここで、加入者装置10-nと対向する加入者装置20-nとは、受信側の加入者装置である。加入者装置20-nは、受信部21-nと、電流電圧変換部22-nと、等価増幅器23-nと、信号再生部24-nと、LPF25-nとを備える。受信部21-nは、入力された光信号を電気信号に変換する。
【0054】
電流電圧変換部22-nは、電流信号を電圧に変換する。例えば、電流電圧変換部22-nは、トランス・インピーダンス・アンプ(Trans Impedance Amplifier)である。等価増幅器23-nは、電圧信号を増幅する。信号再生部24-nは、電圧信号からClockを抽出し、そのClockに従い信号を識別再生する。信号再生部24-nは、例えば、CDR(Clock and Data Recovery)として機能する。LPF25-nは、制御信号重畳部55で重畳されたAMCC信号を抽出する。例えば、LPF25-nは、ベースバンド付近に帯域を持つLPFである。
【0055】
図6に示すように、LPF25-nには、加入者装置10から送信された主信号と、加入者装置10の発振器16でアップコンバートされた周波数fnのAMCC信号と、管理制御部32から送出されたベースバンドのAMCC信号とが重畳された光信号が入力される。LPF25-nには、電流電圧変換部22-n、もしくは、等価増幅器23-nの何れかから出力されたが入力されればよい。このように、ベースバンド付近に帯域を持つLPF25-nを用いることで、管理制御部32から送出されたAMCC信号を抽出することができる。
【0056】
図7は、第1の実施形態における光アクセスシステム1の処理の流れを示すシーケンス図である。なお、図7において、パワースプリッタ50-1~50-3は、中継機構として説明する。図7では、管理制御部32でAMCC信号を抽出する処理について説明する。
【0057】
加入者装置10-nは、波長λnの光信号を、光伝送路40-nに送出する(ステップS101)。例えば、加入者装置10-1は、波長λ1の光信号を、光伝送路40-1に送出する。具体的には、加入者装置10-1は、周波数f1にアップコンバートされたAMCC信号を主信号に重畳して生成した波長λ1の光信号を、光伝送路40-1に送出する。加入者装置10-1から送出された光信号は、光伝送路40-1を介してパワースプリッタ50-1に入力される。加入者装置10-2及び10-3においても同様の処理が行われる。
【0058】
パワースプリッタ50-nでは、入力された波長λnの光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する(ステップS102)。第1の経路に分岐された波長λnの光信号は管理制御装置30に入力され、第2の経路に分岐された波長λnの光信号は制御信号重畳部55-nに入力される。
【0059】
パワースプリッタ50-1が光信号を出力する第1の経路には、監視回路31の受信部34-1が接続されている。そのため、パワースプリッタ50-1により第1の経路に分岐された波長λ1の光信号は監視回路31の受信部34-1に入力される。同様に、パワースプリッタ50-2、50-3が光信号を出力する第1の経路には、監視回路31の受信部34-2、34-3が接続されている。そのため、パワースプリッタ50-2、50-3それぞれにより第1の経路に分岐された波長λ2、λ3の光信号はそれぞれ監視回路31の受信部34-2、34-3に入力される。
【0060】
監視回路31の受信部34-nは、入力した光信号を電気信号に変換する(ステップS103)。受信部34-nは、変換した電気信号をAMCC信号分離部35-nに出力する。AMCC信号分離部35-nは、入力した電気信号からAMCC信号を分離する(ステップS104)。
【0061】
具体的には、AMCC信号分離部35-nに入力された電気信号は、ミキサ352-nに入力される。ミキサ352-1に入力された電気信号は、周波数f1に設定された発振器351-1を使用してダウンコンバートされる。ダウンコンバート後の電気信号は、LPF353-1に入力されて周波数f1のAMCC信号が抽出される。
【0062】
ミキサ352-2に入力された電気信号は、周波数f2に設定された発振器351-2を使用してダウンコンバートされる。ダウンコンバート後の電気信号は、LPF353-2に入力されて周波数f2のAMCC信号が抽出される。
【0063】
ミキサ352-3に入力された電気信号は、周波数f3に設定された発振器351-3を使用してダウンコンバートされる。ダウンコンバート後の電気信号は、LPF353-3に入力されて周波数f3のAMCC信号が抽出される。
【0064】
図8は、第1の実施形態における光アクセスシステム1の処理の流れを示すシーケンス図である。図8では、加入者装置20-nでAMCC信号を抽出する処理について説明する。
制御信号重畳部55-nには、パワースプリッタ50-nで分岐された波長λnの光信号が入力される。管理制御部32の制御信号生成部321は、AMCC信号を生成する(ステップS201)。例えば、制御信号生成部321は、ベースバンドのAMCC信号を生成する。制御信号生成部321は、生成したベースバンドのAMCC信号を、電気線を介して制御信号重畳部55-nに出力する。なお、制御信号生成部321は、生成したベースバンドのAMCC信号が加入者装置20-1宛のAMCC信号である場合には、生成したベースバンドのAMCC信号を制御信号重畳部55-1に出力する。ここでは、ベースバンドのAMCC信号が加入者装置20-1宛のAMCC信号であるとする。
【0065】
制御信号重畳部55-1は、ベースバンドのAMCC信号を、光伝送路40-1で伝送された光信号に変調器551を用いて重畳する(ステップS202)。制御信号重畳部55-1は、重畳後の光信号を光伝送路40-1に出力する。光伝送路40-1に出力された光信号は、加入者装置20-1に入力される。加入者装置20-1の受信部21-1は、入力された光信号を電気信号に変換する(ステップS203)。受信部21-1は、電気信号を電流電圧変換部22-1に出力する。
【0066】
電流電圧変換部22-1は、受信部21-1から出力された電流信号を電圧信号に変換する(ステップS204)。電流電圧変換部22-1は、電圧信号を等価増幅器23-1及びLPF25-1に出力する。図8では、AMCC信号を取得するために、電流電圧変換部22-1の出力を一部タップしてLPF25-1に出力させる構成で説明する。この場合、電流電圧変換部22-1から出力される光信号は、主信号取得経路と、AMCC信号取得経路とに流れる。主信号取得経路は、信号再生部24-1を経由する経路であり、AMCC信号取得経路はLPF25-1を経由する経路である。等価増幅器23-1は、電流電圧変換部22-1から出力された電圧信号を増幅する(ステップS205)。等価増幅器23-1は、増幅後の電圧信号を信号再生部24-1に出力する。
【0067】
信号再生部24-1は、等価増幅器23-1から出力された増幅後の電圧信号からClockを抽出し、抽出したClockに従い主信号を識別再生する(ステップS206)。LPF25-1には、電流電圧変換部22-1の出力を一部タップして得られた電圧信号が入力される。LPF25-1は、入力された電圧信号において、管理制御部32から重畳されたAMCC信号を抽出する(ステップS207)。
【0068】
なお、上記では電流電圧変換部22-1の出力を一部タップしてLPF25-1に出力させる構成について説明したが、等価増幅器23-1の出力を一部タップしてLPF25-1に出力させてもよい。このように、加入者装置20-1は、信号再生部24-1に入力される手前の信号を用いて、AMCC信号を抽出する。他の加入者装置20-nにおいても同様である。
【0069】
以上のように構成された光アクセスシステム1によれば、加入者装置10から送出された光信号に重畳されているAMCC信号の周波数と異なる周波数帯のAMCC信号を制御信号重畳部55-nにより重畳する。これにより、新たに重畳するAMCC信号と、既に重畳されているAMCC信号とが干渉しない。そのため、AMCC信号が重畳された主信号に対して、干渉を抑制して他のAMCC信号をさらに主信号に重畳することが可能となる。
【0070】
光アクセスシステム1では、加入者装置10が利用するAMCC信号の重畳方式と異なる重畳方式で、管理制御部32から送出されたAMCC信号を光信号に重畳している。これにより、新たに重畳される管理制御部32から送出されたAMCC信号の周波数は、既に主信号に重畳されているAMCC信号の周波数とは異なる周波数となる。したがって、干渉を抑制することができる。そのため、AMCC信号が重畳された主信号に対して、干渉を抑制して他のAMCC信号をさらに主信号に重畳することが可能となる。
【0071】
(第1の実施形態における変形例)
図4に示した監視回路31の構成は、図9に示すように、デジタル信号処理部(DSP:Digital Signal Processor)を用いて構成することもできる。図9は、第1の実施形態における監視回路31の別構成を示す図である。図9に示す監視回路31は、複数の受信部34-1~34-3と、AMCC信号分離部35で構成される。
【0072】
AMCC信号分離部35は、複数のA/D(Analog Digital)変換部354-1~354-3とデジタル信号処理部355で構成される。A/D変換部354-1~354-3のそれぞれには、1つの受信部34-1~354-3が接続される。A/D変換部354-1~354-3は、アナログ電気信号をデジタル電気信号に変換する。デジタル信号処理部355は、例えば、図4のAMCC信号分離部35の機能を実装して、AMCC信号を分離して取得する。
【0073】
上記の構成では、受信側の加入者装置(例えば、加入者装置20-n)において、電流電圧変換部22-n、又は、等価増幅器23-nの何れかから信号をLPF25-nに出力する構成を示した。受信部21-nの手前に2分岐の光スプリッタを設置し、主信号用とAMCC信号用の各々の受信部21-nで受信する光領域でのAMCC分離でも同様の効果が得られる。
【0074】
光伝送路40-1~40-3を一括で束ねる波長合波部を備え、1芯双方向の構成としてもよい。
【0075】
制御管理信号として、AMCC信号を用いる構成を示したが、これに限られない。例えば、制御管理信号として、主信号とは異なる周波数帯を利用したOut of band方式の管理制御信号であれば同様の効果が得られる。
【0076】
監視回路31は、図17に示すように波長分波部430を備えて光信号を波長毎に分離するように構成されてもよい。このように構成される場合、光アクセスシステム1は、光カプラをさらに備えてもよい。光カプラは、n入力1出力の端子である。光アクセスシステム1が光カプラを備える場合、光カプラは、パワースプリッタ50-nで分岐された光信号を入力し、光ファイバを介して光信号を管理制御装置30に出力する。すなわち、光カプラは、光伝送路40-nそれぞれで伝送された光信号を合波して管理制御装置30に出力する。波長分波部430は、光カプラから出力された光信号を分波する。波長分波部430で分波された光信号は、波長に応じたポートから出力され、ポートに接続されている受信部34-nに入力される。
【0077】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態の構成に加えて、対向する加入者装置間に、複数の光SW及び複数の光合分波器を備える構成について説明する。
【0078】
図10は、第2の実施形態における光アクセスシステム1aの構成例を示す図である。光アクセスシステム1aは、複数の加入者装置10-1~10-3と、複数の加入者装置20-1~20-3と、管理制御装置30と、複数のパワースプリッタ50-1~50-3と、複数の制御信号重畳部55-1~55-3と、複数の光SW70-1,70-2と、複数の光合分波器75-1~75-3,76-1~76-3とを備える。
【0079】
光合分波器75-1~75-3,76-1~76-3は、例えば、1×N AWG(Arrayed Waveguide Gratings)が考えられ、異なる波長で入力した光信号を単一のポートから出力したり、単一のポートから入力した異なる波長の光信号をそれぞれ光信号の波長に対応したポートから出力する。
【0080】
光アクセスシステム1aは、光SW70-1,70-2と、光合分波器75-1~75-3,76-1~76-3とをさらに備える点で光アクセスシステム1と構成が異なる。光アクセスシステム1aのその他の構成については、光アクセスシステム1と同様である。そのため、以下では光アクセスシステム1との相違点を中心に説明する。
【0081】
光SW70-1は、ポート71-1-1~71-1-P1(P1は2以上の整数)と、ポート72-1-1~72-1-Q1(Q1は2以上の整数)とを有する。ポート71-1-1~71-1-P1のいずれかを特定しない場合、又は、総称して、ポート71-1と記載する。ポート72-1-1~72-1-Q1のいずれかを特定しない場合、又は、総称して、ポート72-1と記載する。
【0082】
光SW70-1のポート71-1には複数の加入者装置10-1~10-3が光伝送路で接続され、光SW70-1のポート72-1には複数の光合分波器75-1~75-3が光伝送路で接続される。光SW70-1のあるポートに入力された光信号は、他のポートから出力される。
【0083】
光SW70-2は、ポート71-2-1~71-2-P2(P2は2以上の整数)と、ポート72-2-1~72-2-Q2(Q2は2以上の整数)とを有する。ポート71-2-1~71-2-P2のいずれかを特定しない場合、又は、総称して、ポート71-2と記載する。ポート72-2-1~72-2-Q2のいずれかを特定しない場合、又は、総称して、ポート72-2と記載する。
【0084】
光SW70-2のポート71-2には複数の光合分波器76-1~76-3が光伝送路で接続され、光SW70-2のポート72-2には複数の加入者装置20-1~20-3が光伝送路で接続される。光SW70-2のあるポートに入力された光信号は、他のポートから出力される。
【0085】
光合分波器75-n,76-nは、入力された光信号を合波又は分波する。光合分波器75-nは、光SW70-1と光伝送路40-nとの間に備えられる。光合分波器76-nは、光SW70-2と光伝送路40-nとの間に備えられる。光合分波器75-n,76-nは、例えば光伝送路40毎に設けられる。
【0086】
光合分波器75-nでは、加入者装置10で利用する波長数に応じた複数のポート(図10では、3つのポートであり、上から波長λ1,λ2,λ3の光信号が入力されるポート)が光SW70-1のポート72-1に接続される。光合分波器76-nでは、加入者装置20で利用する波長数に応じた複数のポート(図10では、3つのポートであり、上から波長λ1,λ2,λ3の光信号が入力されるポート)が光SW70-2のポート71-2に接続される。
【0087】
次に、第2の実施形態における光アクセスシステム1aの処理の流れについて説明する。
加入者装置10-1~10-3は、それぞれ異なる波長の光信号を送出する。具体的には、加入者装置10-1は、周波数f1にアップコンバートされたAMCC信号を主信号に重畳して生成した波長λ1の光信号を光伝送路40-1に送出し、加入者装置10-2は、周波数f2にアップコンバートされたAMCC信号を主信号に重畳して生成した波長λ2の光信号を光伝送路40-2に送出し、加入者装置10-3は、周波数f3にアップコンバートされたAMCC信号を主信号に重畳して生成した波長λ3の光信号を光伝送路40-3に送出する。
【0088】
加入者装置10-1~10-3それぞれから送出された異なる波長の光信号は、光SW70-1に入力される。例えば、加入者装置10-1から送出された波長λ1の光信号は、光SW70-1のポート71-1-1に入力される。同様に、加入者装置10-2から送出された波長λ2の光信号は、光SW70-1のポート71-1-2に入力される。同様に、加入者装置10-3から送出された波長λ3の光信号は、光SW70-1のポート71-1-P1(例えば、P1は3である)に入力される。
【0089】
光SW70-1内のポート71とポート72との接続関係は、予め設定されているものとする。図10では、ポート71-1-1とポート72-1-1とが接続され、ポート71-1-2とポート72-1-4とが接続され、ポート71-1-P1とポート72-1-Q1(例えば、Q1は9である)とが接続されている。そのため、ポート71-1-1に入力された波長λ1の光信号はポート72-1-1から出力され、ポート71-1-2に入力された波長λ2の光信号はポート72-1-4から出力され、ポート71-1-P1に入力された波長λ3の光信号はポート72-1-Q1から出力される。
【0090】
ポート72-1-1には、光合分波器75-1が接続されている。そのため、光合分波器75-1は、ポート72-1-1から出力された波長λ1の光信号を光伝送路40-1に出力する。ポート72-1-4には、光合分波器75-2が接続されている。そのため、光合分波器75-2は、ポート72-1-4から出力された波長λ2の光信号を光伝送路40-2に出力する。ポート72-1-Q1には、光合分波器75-3が接続されている。そのため、光合分波器75-3は、ポート72-1-Q1から出力された波長λ3の光信号を光伝送路40-3に出力する。
【0091】
光合分波器75-1から出力された光信号は、光伝送路40-1を介してパワースプリッタ50-1に入力される。パワースプリッタ50-1では、入力された波長λ1の光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する。これにより、波長λ1の光信号は、監視回路31及び制御信号重畳部55-1に入力される。
【0092】
光合分波器75-2から出力された光信号は、光伝送路40-2を介してパワースプリッタ50-2に入力される。パワースプリッタ50-2では、入力された波長λ2の光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する。これにより、波長λ2の光信号は、監視回路31及び制御信号重畳部55-2に入力される。
【0093】
光合分波器75-3から出力された光信号は、光伝送路40-3を介してパワースプリッタ50-3に入力される。パワースプリッタ50-3では、入力された波長λ3の光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する。これにより、波長λ3の光信号が及び制御信号重畳部55-3に入力される。管理制御装置30で行う処理は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0094】
管理制御部32の制御信号生成部321は、加入者装置20-n宛のベースバンドのAMCC信号を生成する。制御信号生成部321は、生成したベースバンドのAMCC信号を制御信号重畳部55-nに送出する。例えば、制御信号生成部321は、加入者装置20-1宛のベースバンドのAMCC信号を制御信号重畳部55-1に送出する。
【0095】
パワースプリッタ50-1で第2の経路に分岐された光信号は制御信号重畳部55-1に入力される。制御信号重畳部55-1は、制御信号生成部321から送出されたベースバンドのAMCC信号を、入力した光信号に重畳する。制御信号重畳部55-1は、重畳後の光信号を光伝送路40-1に出力する。光伝送路40-1に出力された重畳後の波長λ1の光信号は、光合分波器76-1に入力される。
【0096】
光合分波器76-1は、入力した波長λ1の光信号を分波する。光合分波器76-1で分波された波長λ1の光信号は、光SW70-2のポート71-2-1に入力される。光SW70-2のポート71-2-1に入力された光信号は、ポート71-2-1に接続されているポート72-2-1から出力されて加入者装置20-1に転送される。
【0097】
加入者装置20-1は、転送された波長λ1の光信号を受信する。加入者装置20-1は、受信した光信号から主信号と、制御信号生成部321によって重畳されたAMCC信号とを取得する。具体的な手法は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0098】
以上のように構成された光アクセスシステム1aによれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
さらに光アクセスシステム1aでは、加入者装置10と加入者装置20とを結ぶ光伝送路40に光SW70-1,70-2が備えられている。これにより、加入者装置10から送出された光信号を、経路を切り替えて伝送することができる。光SW70-1により経路の切り替えが行われ、異なる波長の光信号が同一の光伝送路40で伝送された場合であっても、制御信号重畳部55-nにより重畳されるAMCC信号は、既に重畳されているAMCC信号と異なる周波数であるため干渉しない。そのため、AMCC信号が重畳された主信号に対して、干渉を抑制して他のAMCC信号をさらに主信号に重畳することが可能となる。
【0100】
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態では、加入者装置10から加入者装置20に向けて送出された光信号に、管理制御部から送出されたAMCC信号を重畳する構成を示した。第3の実施形態では、加入者装置10と加入者装置20との間で双方向通信が行われる場合に、管理制御部から送出されたAMCC信号を重畳する構成について説明する。
【0101】
図11は、第3の実施形態における光アクセスシステム1bの構成例を示す図である。光アクセスシステム1bは、複数の加入者装置10-1~10-3と、複数の加入者装置20-1~20-3と、管理制御装置30bと、複数のパワースプリッタ50-1~50-3,51-1~51-3と、複数の制御信号重畳部56-1~56-3,57-1~57-3と、複数の光SW70-1,70-2と、複数の光合分波器80-1~80-3,81-1~81-3,82-1~82-3,83-1~83-3とを備える。以下では光アクセスシステム1aとの相違点を中心に説明する。なお、パワースプリッタ50,51、制御信号重畳部56,57、光合分波器80,81,82,83の台数は、複数であればよい。
【0102】
加入者装置10-1~10-3は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、異なる周波数f1~f3のAMCC信号が主信号に重畳された波長λ1~λ3の波長の光信号を送出する。さらに、加入者装置10-1~10-3は、加入者装置20-1~20-3それぞれから送信された光信号を受信する機能部を備える。すなわち、加入者装置10-1~10-3は、図6に示す受信部21-nと、電流電圧変換部22-nと、等価増幅器23-nと、信号再生部24-nと、LPF25-nとを光受信部としてさらに備える。
【0103】
加入者装置20-1~20-3は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、加入者装置10-1~10-3それぞれから送出された光信号を受信する。さらに、加入者装置20-1~20-3は、異なる周波数f1´~f3´のAMCC信号が主信号に重畳された波長λ1´~λ3´の波長の光信号を送出する。すなわち、加入者装置20-1~20-3は、図2又は図3に示す光送信部11-nをさらに備える。
【0104】
加入者装置10-nと加入者装置20-nとは、AMCC信号の重畳方式が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0105】
管理制御装置30bは、AMCC信号の監視及びAMCC信号に基づく制御を行う。管理制御装置30bは、複数の監視回路31-1,31-2と、管理制御部32bとを備える。監視回路31-1,31-2は、監視回路31と同様の構成を備える。例えば、監視回路31-1は、複数の受信部34-1~34-3と、複数のAMCC信号分離部35-1~35-3で構成される。例えば、監視回路31-2は、複数の受信部36-1~36-3と、複数のAMCC信号分離部37-1~37-3で構成される。監視回路31-1,31-2が備える機能部は、符号が異なるが、監視回路31が備える同名の機能部と同様の処理を行う。監視回路31-1は、加入者装置10-nから送出された光信号からAMCC信号を抽出する。監視回路31-2は、加入者装置20-nから送出された光信号からAMCC信号を抽出する。
【0106】
管理制御部32bは、AMCC信号分離部35-1又は35-2で分離されたAMCC信号を入力し、入力したAMCC信号を元に加入者装置10-n又は20-nの送受信波長等の管理を行う。管理制御部32bは、複数の制御信号生成部321-1~321-2を備える。制御信号生成部321-1~321-2は、制御信号生成部321と同様の処理を行う。
【0107】
制御信号生成部321-1は、制御信号重畳部56-1~56-3と電気線を介して接続されている。制御信号生成部321-1は、生成したAMCC信号を制御信号重畳部56-1~56-3に送出する。制御信号生成部321-1は、加入者装置20-nから送出された光信号に重畳するAMCC信号を生成する。そのため、制御信号生成部321-1は、加入者装置20で利用する重畳方式と異なる重畳方式で重畳可能なAMCC信号を生成する。すなわち、制御信号生成部321-1では、加入者装置20で重畳するAMCC信号の周波数と異なる周波数帯を持つAMCC信号を制御信号重畳部56-1~56-3で重畳可能なAMCC信号を生成する。
【0108】
制御信号生成部321-2は、制御信号重畳部57-1~57-3と電気線を介して接続されている。制御信号生成部321-2は、生成したAMCC信号を制御信号重畳部57-1~57-3に送出する。制御信号生成部321-2は、加入者装置10-nから送出された光信号に重畳するAMCC信号を生成する。そのため、制御信号生成部321-2は、加入者装置10で利用する重畳方式と異なる重畳方式で重畳可能なAMCC信号を生成する。すなわち、制御信号生成部321-2では、加入者装置10で重畳するAMCC信号の周波数と異なる周波数帯を持つAMCC信号を制御信号重畳部57-1~57-3で重畳可能なAMCC信号を生成する。
【0109】
パワースプリッタ50-nは、光合分波器80-nから出力された光信号を、管理制御装置30bの監視回路31-1へ向かう第1の経路と、光合分波器81-nへ向かう第2の経路とに分岐する。パワースプリッタ50-nで分岐された波長λnの光信号は、管理制御装置30bの監視回路31-1と光合分波器81-nとに入力される。
【0110】
パワースプリッタ51-nは、光合分波器83-nから出力された光信号を、管理制御装置30bの監視回路31-2へ向かう第1の経路と、光合分波器82-nへ向かう第2の経路とに分岐する。パワースプリッタ51-nで分岐された波長λn´の光信号は、管理制御装置30bの監視回路31-2と光合分波器82-nとに入力される。
【0111】
制御信号重畳部56-1~56-3は、制御信号生成部321-1によって生成されたAMCC信号を、光伝送路40で伝送された光信号に重畳する。制御信号重畳部56-1~56-3は、加入者装置20が利用するAMCC信号の重畳方式と異なる重畳方式により、制御信号生成部321-1によって生成されたAMCC信号を、光伝送路40で伝送された光信号に重畳する。
【0112】
制御信号重畳部57-1~57-3は、制御信号生成部321-2によって生成されたAMCC信号を、光伝送路40で伝送された光信号に重畳する。制御信号重畳部57-1~57-3は、加入者装置10が利用するAMCC信号の重畳方式と異なる重畳方式により、制御信号生成部321-2によって生成されたAMCC信号を、光伝送路40で伝送された光信号に重畳する。
【0113】
光合分波器80-1~80-3,81-1~81-3,82-1~82-3,83-1~83-3は、例えば、1×N AWGが考えられ、異なる波長で入力した光信号を単一のポートから出力したり、単一のポートから入力した異なる波長の光信号をそれぞれ光信号の波長に対応したポートから出力する。
【0114】
光合分波器80-n,81-n,82-n,83-nは、入力された光信号を合波又は分波する。光合分波器80-n,81-nは、例えば光SW70-1と光伝送路40-nとの間に備えられる。光合分波器82-n,83-nは、光SW70-2と光伝送路40-nとの間に備えられる。
【0115】
光合分波器80-nの単一のポートは光SW70-1に接続され、光合分波器80-nのN個のポートは、制御信号重畳部56-nとパワースプリッタ50-nに接続される。光合分波器80-nは、例えば光SW70-1から出力された光信号を分波してパワースプリッタ50-nに出力し、制御信号重畳部56-nから出力された光信号を光SW70-1に出力する。
【0116】
光合分波器81-nの単一のポートは光伝送路40-nに接続され、光合分波器81-nのN個のポートは、制御信号重畳部56-nとパワースプリッタ50-nに接続される。光合分波器81-nは、例えば光伝送路40-nで伝送された光信号を分波して制御信号重畳部56-nに出力し、パワースプリッタ50-nで分岐された光信号を光伝送路40-nに出力する。
【0117】
光合分波器82-nの単一のポートは光伝送路40-nに接続され、光合分波器82-nのN個のポートは、制御信号重畳部57-nとパワースプリッタ51-nに接続される。光合分波器82-nは、例えば光伝送路40-nで伝送された光信号を分波して制御信号重畳部57-nに出力し、パワースプリッタ51-nで分岐された光信号を光伝送路40-nに出力する。
【0118】
光合分波器83-nの単一のポートは光SW70-2に接続され、光合分波器83-nのN個のポートは、制御信号重畳部57-nとパワースプリッタ51-nに接続される。光合分波器83-nは、例えば光SW70-2から出力された光信号を分波してパワースプリッタ51-nに出力し、制御信号重畳部57-nから出力された光信号を光SW70-2に出力する。
【0119】
次に、第3の実施形態における光アクセスシステム1bの処理の流れについて説明する。まず、加入者装置10-nから光信号が送出された場合の処理の流れについて説明する。ここでは、加入者装置10-1に焦点を当てて説明する。
【0120】
加入者装置10-1は、周波数f1にアップコンバートされたAMCC信号を主信号に重畳して生成した波長λ1の光信号を送出する。加入者装置10-1から送出された波長λ1の光信号は、光SW70-1に入力される。例えば、加入者装置10-1から送出された波長λ1の光信号は、光SW70-1のポート71-1-1に入力される。
【0121】
光SW70-1内のポート71とポート72との接続関係は、予め設定されているものとする。図11では、ポート71-1-1とポート72-1-1とが接続されている。そのため、ポート71-1-1に入力された波長λ1の光信号はポート72-1-1から出力される。ポート72-1-1には、光合分波器80-1が接続されている。そのため、光合分波器80-1は、ポート72-1-1から出力された波長λ1の光信号を分波してパワースプリッタ50-1が備えられている光伝送路に出力する。
【0122】
光合分波器80-1から出力された光信号は、パワースプリッタ50-1に入力される。パワースプリッタ50-1では、入力された波長λ1の光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する。これにより、波長λ1の光信号は、監視回路31-1の受信部34-1及び光合分波器81-1に入力される。監視回路31-1で行う処理は、第1の実施形態及び第2の実施形態における同名の機能部と同様であるため説明を省略する。
【0123】
パワースプリッタ50-1で第2の経路に分岐された光信号は光合分波器81-1に入力される。光合分波器81-1は、入力された光信号を光伝送路40-1に出力する。光伝送路40-1に出力された波長λ1の光信号は、光合分波器82-1に入力される。光合分波器82-1は、入力された光信号を分波して制御信号重畳部57-1が備えられている光伝送路に出力する。
【0124】
光合分波器82-1から出力された光信号は、制御信号重畳部57-1に入力される。管理制御部32bの制御信号生成部321-2は、加入者装置20-1宛のベースバンドのAMCC信号を生成する。制御信号生成部321-2は、生成したベースバンドのAMCC信号を制御信号重畳部57-1に送出する。制御信号重畳部57-1は、制御信号生成部321-2から送出されたベースバンドのAMCC信号を、光合分波器82-1から出力された光信号に重畳する。制御信号重畳部57-1は、重畳後の光信号を光合分波器83-1に出力する。
【0125】
光合分波器83-1では、入力された重畳後の光信号を光SW70-2のポート71-2-1に出力する。光SW70-2のポート71-2-1に入力された光信号は、ポート71-2-1に接続されているポート72-2-1から出力されて加入者装置20-1に転送される。これにより、加入者装置20-1において、主信号と、制御信号生成部321-2において生成されたAMCC信号とを取得することができる。
【0126】
次に、加入者装置20-nから光信号が送出された場合の処理の流れについて説明する。ここでは、加入者装置20-1に焦点を当てて説明する。加入者装置20-1は、周波数f1´にアップコンバートされたAMCC信号を主信号に重畳して生成した波長λ1´の光信号を送出する。加入者装置20-1から送出された波長λ1´の光信号は、光SW70-2に入力される。例えば、加入者装置20-1から送出された波長λ1´の光信号は、光SW70-2のポート71-2-1に入力される。
【0127】
光SW70-2内のポート71とポート72との接続関係は、予め設定されているものとする。図11では、ポート72-2-1とポート71-2-1とが接続されている。そのため、ポート72-2-1に入力された波長λ1´の光信号はポート71-2-1から出力される。ポート71-2-1には、光合分波器83-1が接続されている。そのため、光合分波器83-1は、ポート71-2-1から出力された波長λ1´の光信号を分波してパワースプリッタ51-1が備えられている光伝送路に出力する。
【0128】
光合分波器83-1から出力された光信号は、パワースプリッタ51-1に入力される。パワースプリッタ51-1では、入力された波長λ1´の光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する。これにより、波長λ1´の光信号は、監視回路31-2の受信部36-1及び光合分波器82-1に入力される。監視回路31-2で行う処理は、第1の実施形態及び第2の実施形態における同名の機能部と同様であるため説明を省略する。
【0129】
パワースプリッタ51-1で第2の経路に分岐された光信号は光合分波器82-1に入力される。光合分波器82-1は、入力された光信号を光伝送路40-1に出力する。光伝送路40-1に出力された波長λ1´の光信号は、光合分波器81-1に入力される。光合分波器81-1は、入力された光信号を分波して制御信号重畳部56-1が備えられている光伝送路に出力する。
【0130】
光合分波器81-1から出力された光信号は、制御信号重畳部56-1に入力される。管理制御部32bの制御信号生成部321-1は、加入者装置10-1宛のベースバンドのAMCC信号を生成する。制御信号生成部321-1は、生成したベースバンドのAMCC信号を制御信号重畳部56-1に送出する。制御信号重畳部56-1は、制御信号生成部321-1から送出されたベースバンドのAMCC信号を、光合分波器81-1から出力された光信号に重畳する。制御信号重畳部56-1は、重畳後の光信号を光合分波器80-1に出力する。
【0131】
光合分波器80-1では、入力された重畳後の光信号を光SW70-1のポート72-1-1に出力する。光SW70-1のポート72-1-1に入力された光信号は、ポート72-1-1に接続されているポート71-1-1から出力されて加入者装置10-1に転送される。これにより、加入者装置10-1において、主信号と、制御信号生成部321-1において生成されたAMCC信号とを取得することができる。
【0132】
以上のように構成された光アクセスシステム1bによれば、双方向通信を行う場合であっても適用することが可能になる。
【0133】
(第4の実施形態)
第1の実施形態から第3の実施形態では、加入者装置10-n,20-nが、“low-frequency pilot tone”の方式によりAMCC信号を主信号に重畳し、制御信号重畳部55が“baseband modulation”の方式によりAMCC信号を主信号に重畳する構成を示した。第4の実施形態では、加入者装置10-n,20-nが、“baseband modulation”の方式によりAMCC信号を主信号に重畳し、制御信号重畳部55が“low-frequency pilot tone”の方式によりAMCC信号を主信号に重畳する構成について説明する。
【0134】
第4の実施形態において、システム構成については第1の実施形態から第3の実施形態と同様である。以下、第1の実施形態から第3の実施形態との相違点について説明する。
【0135】
加入者装置10c-nは、波長λnの光信号を光伝送路40-nに送出する。例えば、加入者装置10c-nは、AMCC信号を“baseband modulation”の方式により主信号に重畳した波長λnの光信号を光伝送路40-nに送出する。この場合、加入者装置10c-nは、図12に示す構成を備える。図12は、第4の実施形態における加入者装置10c-nの構成を示す図である。加入者装置10c-nは、光送信部11c-nを備える。光送信部11c-nは、LD13-nと、変調器17-nとで構成される。光送信部11c-nは、外部入力された主信号の電気信号をLD13-nにより光信号に変換する。その後、光送信部11c-nは、変調器17-nを用いてAMCC信号を光段で光信号に重畳して光ファイバに出力する。
【0136】
第4の実施形態のように、制御信号重畳部55が“low-frequency pilot tone”の方式によりAMCC信号を主信号に重畳する場合、管理制御部32cは図13の構成に示す構成を備える。図13は、第4の実施形態における管理制御部32cの構成及び処理を説明するための図である。管理制御部32cは、制御信号生成部321、ミキサ322及び発振器323を備える。管理制御部32cは、制御信号生成部321により生成された低周波信号であるAMCC信号を、ミキサ322と発振器323とを使用して周波数fnにアップコンバートする。管理制御部32cは、アップコンバートしたAMCC信号を制御信号重畳部55-nに出力する。
【0137】
図13示すように、制御信号重畳部55-nは、変調器551-nを備える。制御信号重畳部55-nは、管理制御部32cにおいてアップコンバートされたAMCC信号を、変調器551-nを用いて光段で光信号に重畳する。図13に示すように、制御信号重畳部55-nに入力される光信号には、加入者装置10にて主信号の周波数成分に重ならないように、ベースバンドのAMCC信号が含まれる。
【0138】
一方で、制御信号重畳部55-nから出力される光信号には、周波数領域において主信号と、ベースバンドのAMCC信号と重ならない位置に、管理制御部32cによりアップコンバートされたAMCC信号が重畳されている。このように、管理制御部32cによって生成されたAMCC信号の周波数が、光信号に含まれるAMCC信号と異なるため、干渉を抑制して重畳することができる。
【0139】
さらに第4の実施形態では、光信号の受信側の加入者装置20におけるLPF25-nの通過帯域を、管理制御部32cによりアップコンバートされたAMCC信号の周波数帯域とする必要がある。
【0140】
さらに第4の実施形態では、監視回路31の構成として、PDとLPFとを備えることになる。ここで、LPFとしては、ベースバンド付近に帯域を持つLPFが用いられている。
【0141】
第1の実施形態~第2の実施形態に示す加入者装置10-nを、図12に示す加入者装置10c-nに置き換え、第1の実施形態~第2の実施形態に示す管理制御部32及び制御信号重畳部55-nを図13に示す管理制御部32c及び制御信号重畳部55-nに置き換えることで第4の実施形態の処理が実現される。さらに、第3の実施形態においては、加入者装置10-nを、図12に示す加入者装置10c-nに置き換え、第3の実施形態に示す管理制御部32bにおいて図13に示す管理制御部32cの構成を複数備え、第3の実施形態に示す制御信号重畳部56-n及び57-nを図13に示す制御信号重畳部55の構成に置き換え、加入者装置20-nの送信機能として加入者装置10c-nの機能を備えることで第4の実施形態の処理が実現される。
【0142】
(第1の実施形態から第4の実施形態における変形例)
第2の実施形態から第4の実施形態では、第1の実施形態と同様に変形されてもよい。なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同様に光カプラをさらに備える場合、第3の実施形態における光アクセスシステム1bでは、2台の光カプラを備える。1台の光カプラC1は、パワースプリッタ50-nで分岐された光信号を入力し、光ファイバを介して光信号を管理制御装置30bの監視回路31-1に出力する。光カプラC1は、入力された光信号を合波して管理制御装置30bの監視回路31-1に出力する。他の光カプラC2は、パワースプリッタ51-nで分岐された光信号を入力し、光ファイバを介して光信号を管理制御装置30bの監視回路31-2に出力する。光カプラC2は、入力された光信号を合波して管理制御装置30bの監視回路31-2に出力する。この場合、監視回路31-1及び31-2はそれぞれ、波長分波部430を備える。監視回路31-1が備える波長分波部430は、光カプラC1から出力された光信号を分波する。監視回路31-2が備える波長分波部430は、光カプラC2から出力された光信号を分波する。波長分波部430で分波された光信号は、波長に応じたポートから出力され、ポートに接続されている受信部34-n又は36-nに入力される。
【0143】
加入者装置10,20で重畳するAMCC信号の周波数と異なる周波数帯を持つAMCC信号を制御信号重畳部55-nより重畳(サブキャリア多重(SCM: Sub-Carrier Multiplexing)してもよい。
【0144】
第2の実施形態において、パワースプリッタ50-nと、制御信号重畳部55-nは、光SW70-1と光合分波器75-nの間、又は、光SW70-2と光合分波器76-nの間に設けられてもよい。第3の実施形態において、パワースプリッタ50-nと、制御信号重畳部56-nは、光SW70-1と光合分波器80-nの間に設けられてもよく、パワースプリッタ51-nと、制御信号重畳部57-nは、光SW70-2と光合分波器83-nの間に設けられてもよい。
【0145】
上述した実施形態における管理制御装置30,30bの一部の機能部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0146】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0147】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、管理制御信号(AMCC信号)が重畳された光信号に、さらに管理制御信号を重畳する技術に適用できる。
【符号の説明】
【0149】
10-1~10-3、20-1~20-3…加入者装置, 11-n…光送信部, 12-n…AMCC信号重畳部, 13-n…LD, 15-n…ミキサ, 16-n…発振器, 17-n…変調器, 21-n…受信部, 22-n…電流電圧変換部, 23-n…等価増幅器, 24-n…信号再生部, 25-n…LPF, 30、30b…管理制御装置, 31、31-1~31-2…監視回路, 32、32b…管理制御部, 34、34-1~34-3、36、36-1~36-3…受信部, 35、35-1~35-3、37、37-1~37-3…AMCC信号分離部, 50-1~50-3、51-1~51-3…パワースプリッタ, 55、56-1~56-3、57-1~57-3…制御信号重畳部, 70-1~70-2…光SW, 75-1~75-3、76-1~76-3、80-1~80-3、81-1~81-3、82-1~82-3、83-1~83-3…光合分波器, 321、321-1~321-2…制御信号生成部, 351-1~351-3…発振器, 352-1~352-3…ミキサ, 353-1~353-3…LPF, 354…A/D変換部, 355…デジタル信号処理部, 551-n…変調器
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