IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日本無線株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-パワーグッド回路 図1
  • 特許-パワーグッド回路 図2
  • 特許-パワーグッド回路 図3
  • 特許-パワーグッド回路 図4
  • 特許-パワーグッド回路 図5
  • 特許-パワーグッド回路 図6
  • 特許-パワーグッド回路 図7A
  • 特許-パワーグッド回路 図7B
  • 特許-パワーグッド回路 図8
  • 特許-パワーグッド回路 図9
  • 特許-パワーグッド回路 図10
  • 特許-パワーグッド回路 図11
  • 特許-パワーグッド回路 図12
  • 特許-パワーグッド回路 図13
  • 特許-パワーグッド回路 図14A
  • 特許-パワーグッド回路 図14B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】パワーグッド回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
H02M3/155 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020154554
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048634
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】古谷 仁
(72)【発明者】
【氏名】板坂 直哉
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-252314(JP,A)
【文献】特開2009-219184(JP,A)
【文献】特開2012-119921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00- 3/44
G05F 1/00- 7/00
H03K 17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧を監視して、前記出力電圧が正常か否かを二値の論理レベルで示すパワーグッド信号を出力するパワーグッド回路であって、
前記パワーグッド信号をパワーグッドノードから出力する出力回路と、
前記パワーグッドノードに流れる電流を検出する出力電流検出回路と、
所定の基準電圧を参照して前記出力電圧が正常であるか否かを判定する判定回路と、
前記判定回路の判定出力と前記出力電流検出回路の出力に応じて前記出力回路を第1の状態または第2の状態に制御する制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、
前記判定回路の判定出力が前記出力電圧が正常でないことを示しているときは前記出力回路を第1の状態に保ち、
前記判定回路の判定出力が前記出力電圧が正常であることを示しているときは、所定のモニタ時間だけ前記出力電流検出回路をオン状態にして、前記出力電流検出回路を流れるモニタ電流が1つまたは複数の各電流閾値より大きいか否かを判別し、その判別結果に基づいて前記出力回路を第2の状態にするタイミングを選択するパワーグッド回路。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記判定回路の判定出力が前記出力電圧が正常でないことを示しているときは前記出力回路を構成する第1のトランジスタをオン状態に保ち、
前記判定回路の判定出力が前記出力電圧が正常であることを示しているときは、所定のモニタ時間だけ前記第1のトランジスタをオフ状態にするとともに前記出力電流検出回路を構成する第2のトランジスタをオンにして、前記出力回路を構成するプルアップ抵抗および前記第2のトランジスタを流れるモニタ電流が1つまたは複数の各電流閾値より大きいか否かを判別し、その判別結果に基づいて前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタの双方をオフ状態にするタイミングを選択する、あるいは、
前記判定回路の判定出力が前記出力電圧が正常でないことを示しているときは前記第1のトランジスタをオフ状態に保ち、
前記判定回路の判定出力が前記出力電圧が正常であることを示しているときは、所定のモニタ時間だけ前記第1のトランジスタをオフ状態に維持したまま前記第2のトランジスタをオン状態にして、前記プルアップ抵抗および前記第2のトランジスタを流れるモニタ電流が1つまたは複数の各電流閾値より大きいか否かを判別し、その判別結果に基づいて前記第1のトランジスタをオン状態にするとともに第2のトランジスタをオフ状態にするタイミングを選択する、
請求項1に記載のパワーグッド回路。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記出力回路と前記出力電流検出回路を兼ねる第3のトランジスタを有し、
前記判定回路の判定出力が前記出力電圧が正常でないことを示しているときは前記第3のトランジスタをオン状態に保ち、
前記判定回路の判定出力が前記出力電圧が正常であることを示しているときは、所定のモニタ時間だけ前記出力電流検出回路をオン状態にして、前記出力電流検出回路を流れるモニタ電流が1つまたは複数の各電流閾値より大きいか否かを判別する判別回路より得られる判別結果に基づいて前記第3のトランジスタをオン状態からオフ状態に切り替えるタイミングを選択する、
請求項1に記載のパワーグッド回路。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記出力電流検出回路を流れるモニタ電流が所定の電流閾値より大きいときは、所定のモニタ時間の終了後直ちに前記出力回路を構成する第1のトランジスタおよび前記出力電流検出回路を構成する第2のトランジスタの双方をオフ状態にし、
前記モニタ電流が前記電流閾値より小さいときは、前記所定のモニタ時間の終了後所定の遅延時間が経過してから前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタの双方をオフ状態にする、
請求項2または請求項3に記載のパワーグッド回路。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記出力電流検出回路を流れるモニタ電流が所定の電流閾値より小さいときは、所定のモニタ時間の終了後直ちに前記出力回路を構成する第1のトランジスタおよび前記出力電流検出回路を構成する第2のトランジスタの双方をオフ状態にし、
前記モニタ電流が前記電流閾値より大きいときは、前記所定のモニタ時間の終了後所定の遅延時間が経過してから前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタの双方をオフ状態にする、
請求項2または請求項3に記載のパワーグッド回路。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記出力電流検出回路を構成する第2のトランジスタに接続され前記出力電流検出回路を構成するダイオード接続の第4のトランジスタと、
前記第4のトランジスタとカレントミラー回路を構成する第5のトランジスタと、
前記カレントミラー回路の出力のノードの電圧を所定の電圧閾値に照らして二値の論理レベルを有する判別出力に変換する判別回路と、
を有する、請求項2または請求項3に記載のパワーグッド回路。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記モニタ電流が第1の電流閾値より大きいときは、前記モニタ時間の終了後直ちに前記出力回路を構成する第1のトランジスタおよび前記出力電流検出回路を構成する第2のトランジスタの双方をオフ状態にし、
前記モニタ電流が第2の電流閾値より大きくて前記第1の電流閾値より小さいときは、前記モニタ時間の終了後第1の遅延時間が経過してから前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタの双方をオフ状態にし、
前記モニタ電流が前記第2の電流閾値より小さいときは、前記モニタ時間の終了後前記第1の遅延時間より長い第2の遅延時間が経過してから前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタの双方をオフ状態にする、
請求項1に記載のパワーグッド回路。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記モニタ電流が第1の電流閾値より小さいときは、前記モニタ時間の終了後直ちに前記出力回路を構成する第1のトランジスタおよび前記出力電流検出回路を構成する第2のトランジスタの双方をオフ状態にし、
前記モニタ電流が前記第1の電流閾値より大きくて第2の電流閾値より小さいときは、前記モニタ時間の終了後第1の遅延時間が経過してから前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタの双方をオフ状態にし、
前記モニタ電流が前記第2の電流閾値より大きいときは、前記モニタ時間の終了後前記第1の遅延時間より長い第2の遅延時間が経過してから前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタの双方をオフ状態にする、
請求項1に記載のパワーグッド回路。
【請求項9】
前記出力電流検出回路は、前記出力電流検出回路で検出された前記パワーグッドノードに流れる前記電流を、それぞれ異なる電流閾値に照らして二値の論理レベルを有するそれぞれの判別出力に変換する複数の出力電流検出回路を有する、
請求項1~8のいずれか一項に記載のパワーグッド回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品としての半導体回路装置に係り、特に半導体回路装置に内蔵または接続されるパワーグッド回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品としての半導体回路装置は、半導体チップ上に集積回路(IC)として構成され、複数個の端子(ピンまたはリード)を有するICパッケージとして市場に出回っている。電子回路のシステムは、その回路基板たとえばプリント配線基板上に通常複数個のICパッケージを搭載して構築される。
【0003】
従来より、パワーグッド回路を内蔵し、そのICパッケージにパワーグッド端子を設けている半導体回路装置の典型的な例は電源ICである。そのような電源ICでは、パワーグッド回路の出力トランジスタがたとえばNMOSトランジスタ(またはNPNトランジスタ)からなり、オープンドレイン端子(またはオープンコレクタ端子)としてパワーグッド端子が設けられている。この種のパワーグッド回路は、基本的機能として、当該電源ICないし当該電源装置の出力電圧を監視し、その出力電圧が正常範囲に入っている時は、出力トランジスタがオフしてパワーグッド端子がハイインピーダンス状態となり、出力電圧が正常範囲から外れている時は、出力トランジスタがオンしてパワーグッド端子がLowレベル(以下、「Lレベル」と称する。)となるように構成されている。
【0004】
上記のようなパワーグッド回路内蔵型の電源ICが電子回路システムに搭載される場合には、この電源ICとこの電源ICから電力を供給されるIC(以下、「負荷IC」と称する。)との間で対応する端子間同士が接続される。このうち、電源ICの電圧出力端子は、負荷ICの電圧入力端子に接続される。また、電源ICのパワーグッド端子は、負荷ICのイネーブル端子に接続されるとともに、プルアップ抵抗を介して電源電圧端子に接続される。
【0005】
プルアップ抵抗は、パワーグッド回路の出力トランジスタがオンしている時(電源ICの出力電圧が正常範囲から外れている時)は、電源電圧端子からその出力トランジスタを介してグランド電位端子に流れる電流を制限して安定なLレベルのパワーグッド出力を負荷ICのイネーブル端子に与える役目をする。さらに、プルアップ抵抗は、出力トランジスタがオフしている時(電源ICの出力電圧が正常範囲に入っている時)は、ハイインピーダンス状態のパワーグッド端子を電源電圧端子に電気的に繋いで安定なHighレベル(以下、「Hレベル」と称する。)のパワーグッド出力を負荷ICのイネーブル端子に与える役目をする。プルアップ用の電源電圧は、電子回路システム内の任意の電源電圧を使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-148676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、通常の電源ICは、出力電圧を設定値付近に保つためのフィードバック制御機能を有している。このため、たとえば電源投入直後に負荷状態の変動が大きいときは、それに対してフィードバック制御機能が働くことにより、出力電圧がいったん基準値を超えても直ぐ基準値以下に戻り、しばらくの間リンギングを起こすことがある。この場合、そのような出力電圧の立ち上がり直後のリンギングにパワーグッド回路が応動して出力ドライバを繰り返しオン・オフさせて、パワーグッド出力(Hレベル/Lレベル)の反転を繰り返すと、負荷ICが誤動作するおそれがある。したがって、上記のような負荷環境の下で動作するパワーグッド回路は、監視対象の出力電圧が正常範囲に入った時に、パワーグッド出力を即時にアクティブ(Hレベル)にするのではなく、一定の遅延時間が経過してからアクティブ(Hレベル)にするディレイ機能を備えることが求められる。
【0008】
別の例として、電子回路システムでは、複数個たとえば3個の電源ICの出力電圧を一定の時間差で順次立ち上げる場合がある。この場合、それら3個の電源ICより電力の供給をそれぞれ受ける3個の負荷ICの動作開始を略同時にするために、各電源ICのパワーグッド回路がパワーグッド出力をアクティブ(Hレベル)にするタイミングに上記時間差を設けることがある。すなわち、パワーグッド出力をアクティブ(Hレベル)にするタイミングについて、最初に出力電圧が立ち上がる電源ICのパワーグッド回路には比較的長い遅延時間を付加するディレイ機能を持たせ、次に出力電圧が立ち上がる電源ICのパワーグッド回路には比較的短い遅延時間を付加するディレイ機能を持たせ、最後に出力電圧が立ち上がる電源ICのパワーグッド回路にはディレイ機能を持たせない(つまり即時応答機能を持たせる)というシステム設計が行われる。
【0009】
このように電子回路システムの設計ないし構築段階で必要に応じて電源ICのパワーグッド回路にディレイ機能を付加することは、従来から行われている。従来は、そのための技法として、電子回路システムの回路基板上でパワーグッド端子とグランド電位端子との間にコンデンサを選択的に接続して、このコンデンサとプルアップ抵抗とからなるRC直列回路の時定数によって所要の遅延時間を設定していた。この場合、遅延時間はプルアップ抵抗の抵抗値とコンデンサの静電容量との積によって定まり、それらの抵抗値および/または静電容量が大きいほど遅延時間の長いディレイ機能が得られる。
【0010】
しかしながら、この従来技法によると、たとえば数10msec以上の長い遅延時間(時定数)を設定した場合には、パワーグッド回路がパワーグッド出力をアクティブ(Hレベル)にする際にその電圧波形が大きくなまり、そのようなパワーグッド出力を入力する負荷ICの入力回路(特にCMOSインバータ回路)で大きな貫通電流が流れる。さらに、負荷ICで入力回路の閾値にばらつきがあると、その閾値のばらつきにパワーグッド出力の波形なまりが重なることによって、パワーグッド出力より与えられる遅延時間に非常に大きなばらつきが生じる。
【0011】
上記のような従来技法の課題を解決するために、パワーグッド回路に遅延時間を与えるためのディレイ回路を組み込み、電子回路システムを構築する段階で電源ICの外からパワーグッド回路に一定のデフォルトを与えて該ディレイ回路の使用/不使用の有無つまり遅延時間の付加の有無を設定する技法が考えられる。しかしながら、この技法によると、電源ICのパッケージに外から遅延時間の付加の有無を設定するための端子を少なくとも1つ増設する必要がある。電源ICにおいて、特に小型化が望まれる電源ICにおいて、パワーグッド機能のためにパッケージの端子を増設することは、パッケージサイズの増大や仕様および設定作業の煩雑化を招来し、好ましくない。
【0012】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するものであり、監視対象の出力電圧が正常であるときにアクティブな論理レベルになるパワーグッド出力の電圧波形になまりを生じさせずに、しかもパッケージの端子を増やすこともなければ新たに外付け部品を接続する必要もなく、遅延時間の付加の有無を設定できるパワーグッド回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の観点におけるパワーグッド回路は、出力電圧を監視して、前記出力電圧が正常か否かを二値の論理レベルで示すパワーグッド信号を出力するパワーグッド回路であって、前記パワーグッド信号をパワーグッドノードから出力する出力回路と、前記パワーグッドノードに流れる電流を検出する出力電流検出回路と、所定の基準電圧を参照して前記出力電圧が正常であるか否かを判定する判定回路と、前記判定回路の判定出力と前記出力電流検出回路の出力に応じて前記出力回路を第1の状態または第2の状態に制御する制御回路とを有する。
【0014】
上記第1の観点においては、出力回路を構成する第1トランジスタおよび出力電流検出回路を構成する第2のトランジスタの少なくとも一方がオンしている時は、パワーグッドノードであるパワーグッド端子がグランド電位端子に短絡接続され、パワーグッド端子の電圧つまりパワーグッド出力がグランドレベル付近(Lレベル)に保たれる。そして、第1および第2のトランジスタの双方がオフしている時は、パワーグッド端子がハイインピーダンス状態になり、パワーグッド出力がプルアップ抵抗を介して電源電圧のレベル(Hレベル)に吊り上げられる。
【0015】
制御回路は、判定回路の判定出力が出力電圧が正常でないことを示しているときは第1のトランジスタをオン状態に保つ。これによって、パワーグッド出力はグランドレベル(Lレベル)に保たれる。そして、監視対象の出力電圧が正常範囲であることを示し、判定回路がそのことを判定出力で示すと、それに応動して制御回路は、所定のモニタ時間だけ第1のトランジスタをオフにするとともに第2のトランジスタをオンにする。そうすると、電源電圧端子からプルアップ抵抗およびオン状態の第2のトランジスタを介して電流が流れる。このモニタ時間中に流れる電流(モニタ電流)の電流量は、プルアップ抵抗の抵抗値に左右される。すなわち、パワーグッド端子に抵抗値の低いプルアップ抵抗を接続したときは大きなモニタ電流が流れ、抵抗値の高いプルアップ抵抗を接続したときは小さなモニタ電流が流れる。制御回路は、モニタ電流が電流閾値より大きいか否かを判別することで、プルアップ抵抗の抵抗値が所定の抵抗閾値より低いか高いかを判別することができる。
【0016】
一態様として、制御回路は、モニタ電流が電流閾値より大きいときは、抵抗値の低いプルアップ抵抗がパワーグッド端子に接続されていると判別し、遅延時間を付加しないで即時に第1および第2のトランジスタの双方をオフにし、モニタ電流が電流閾値より小さいときは、抵抗値の高いプルアップ抵抗がパワーグッド端子に接続されていると判別し、所定の遅延時間を経過してから第1および第2のトランジスタの双方をオフにする。
【0017】
別の態様として、制御回路は、モニタ電流が電流閾値より小さいときは、抵抗値の高いプルアップ抵抗がパワーグッド端子に接続されていると判別し、遅延時間を付加しないで即時に第1および第2のトランジスタの双方をオフにし、モニタ電流が電流閾値より大きいときは、抵抗値の低いプルアップ抵抗がパワーグッド端子に接続されていると判別し、所定の遅延時間を経過してから第1および第2のトランジスタの双方をオフにする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のパワーグッド回路によれば、上記のような構成を有することにより、監視対象の出力電圧が正常であるときにアクティブな論理レベルになるパワーグッド出力の電圧波形になまりを生じさせずに、しかもパッケージの端子を増やすこともなければ新たに外付け部品を接続する必要もなく、遅延時間の付加の有無を設定することができる。これによって、パワーグッド機能または出力監視機能の効率性および信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態におけるパワーグッド回路を内蔵する半導体回路装置および電子回路システムの構成を示す図である。
図2図1のパワーグッド回路の基本構成を示す図である。
図3】第2の実施形態におけるパワーグッド回路の構成を示す図である。
図4図3のモニタ電流検出部および判別回路の作用を説明するための電圧-電流特性および定電流源の電流特性を示すグラフ図である。
図5図3の判別回路の構成例を示す回路図である。
図6図3のロジック回路の構成例を示す回路図である。
図7A図3のパワーグッド回路の作用(プルアップ抵抗の抵抗値が抵抗閾値より低い場合)を説明するための各部の波形を示すタイミング図である。
図7B図3のパワーグッド回路の作用(プルアップ抵抗の抵抗値が抵抗閾値より高い場合)を説明するための各部の波形を示すタイミング図である。
図8】第3の実施形態におけるパワーグッド回路の構成を示す図である。
図9図8のロジック回路の構成例を示す回路図である。
図10図9のタイマ回路の構成例を示す回路図である。
図11】実施形態におけるパワーグッド回路が監視対象の半導体回路装置から独立している電子回路システムの一例を示す図である。
図12】別の実施形態におけるパワーグッド回路の構成を示す図である。
図13図12のロジック回路の構成例を示す回路図である。
図14A図12のパワーグッド回路の作用(プルアップ抵抗の抵抗値が抵抗閾値より低い場合)を説明するための各部の波形を示すタイミング図である。
図14B図12のパワーグッド回路の作用(プルアップ抵抗の抵抗値が抵抗閾値より高い場合)を説明するための各部の波形を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
[半導体回路装置及び電子回路システムの全体構成]
【0021】
図1に、本発明の一実施形態におけるパワーグッド回路を内蔵する半導体回路装置およびこれを含む電子回路システムの一構成例を示す。
【0022】
この電子回路システムは、電源10、電源IC12および負荷IC14を含んでいる。電源10は、たとえばバッテリ、DC-DCコンバータまたはAC-DCコンバータ等であり、電源IC12に直流の電力を供給する。
【0023】
電源IC12は、たとえば同期整流型の降圧スイッチング電源16のコントローラであり、電源10より直流の電圧VINを入力し、負荷IC14に対して電圧VINより低い直流の出力電圧VOUTを供給する。電源IC12は、本発明の実施形態によるパワーグッド回路50を内蔵している半導体回路装置である。
【0024】
負荷IC14は、電源IC12より供給される電力を用いて動作する任意の半導体回路装置であり、たとえばマイコン、ロジックIC、演算IC等であってよい。電源IC12および負荷IC14はそれぞれ個別のICパッケージとして提供され、この電子回路システムの回路基板上で組み合わされる。
【0025】
電源IC12のパッケージには、全部で7個の端子、すなわちGND端子(制御用グランド端子)、VDD端子(制御用電源入力端子)、PVIN端子(電圧変換用電源入力端子)、LX端子(スイッチング出力端子)、PGND端子(パワーグランド端子)、PG端子(パワーグッド端子)およびFB端子(フィードバック端子)が設けられている。
【0026】
ここで、LX端子(スイッチング出力端子)は、チョークコイル18を介して負荷IC14の電圧入力端子INに接続される。チョークコイル18の出力端とグランド電位端子との間には、等価直列抵抗のあるコンデンサ22からなる平滑回路と、2つの抵抗24,26からなる電圧検出回路28とが接続される。スイッチング電源16が動作している時は、電圧検出回路28の抵抗24,26間のノードNに出力電圧(チョークコイル18の出力端の電圧)VOUTに比例する分圧電圧が得られる。この分圧電圧がフィートバック信号SFBとして電源IC12のFB端子(以下、「フィードバック端子FB」と称する。)に入力される。
【0027】
PG端子(以下、「パワーグッド端子PG」と称する。)は、負荷IC14のイネーブル端子ENに接続されるとともに、プルアップ抵抗30を介して負荷IC14の電源電圧端子VPUに接続される。パワーグッド端子PGとグランド電位端子との間にコンデンサは接続されない。
【0028】
電源IC12には、電圧レギュレータ32、誤差増幅器34、基準電圧発生回路36、PWM変換回路38、ドライバ回路40、P型MOSFET42、N型MOSFET44およびパワーグッド回路50が設けられている。
【0029】
電圧レギュレータ32は、たとえばリニアレギュレータからなり、電源10からVDD端子を介して供給される電圧VINを入力して、安定した制御用の電源電圧VREGを生成し、この電源電圧VREGを電源IC12内の各部に供給する。誤差増幅器34は、電圧検出回路28からフィードバック端子FBを介して入力されるフィードバック信号SFBを基準電圧発生回路36からの基準電圧VREF1と比較して、比較誤差をアナログ信号で出力する。誤差増幅器34周りの抵抗46およびコンデンサ48は位相補償回路を構成している。
【0030】
PWM変換回路38は、誤差増幅器34の出力をPWM(パルス幅変調)信号に変換する。ドライバ回路40は、PWM変換回路38からのPWM信号にしたがってP型MOSFET42およびN型MOSFET44を一定の周期で相補的にオン・オフ駆動する。これにより、P型MOSFET42がオンし、N型MOSFET44がオフしている期間中は、電源10よりPVIN端子、P型MOSFET42およびLX端子を介してチョークコイル18に電流が流れ、電磁エネルギーが蓄積される。次に、P型MOSFET42がオフし、N型MOSFET44がオンする期間中は、チョークコイル18に電流を保つ向きの誘導起電力が発生してN型MOSFET44およびチョークコイル18に電流が流れ、負荷IC14に電磁エネルギーが放出される。
【0031】
パワーグッド回路50は、基本的機能として、フィードバック端子FBを介してフィードバック信号SFBを入力し、このフィードバック信号SFBに基づいてスイッチング電源16の出力電圧VOUTを監視し、出力電圧VOUTが所定の正常範囲に入っている時は、パワーグッド端子PGの電圧またはパワーグッド出力VPGをハイインピーダンス状態つまりHレベルにし、出力電圧VOUTが正常範囲から外れている時は、パワーグッド出力VPGをLレベルにする。
【0032】
負荷IC14は、スイッチング電源16の出力電圧VOUTを電圧入力端子INを介して内部の電圧レギュレータ(図示せず)に入力するとともに、パワーグッド回路50からのパワーグッド出力VPGをイネーブル端子ENを介して内部のイネーブル信号入力回路(図示せず)に入力する。上記電圧レギュレータは、スイッチング電源16の出力電圧VOUTを直流の電源電圧VPUに変換してこれを負荷IC14内の各部に供給するとともに、電源電圧端子VPUからプルアップ抵抗30にも与える。イネーブル信号入力回路は、CMOSインバータ回路を有し、入力したパワーグッド出力VPGの論理レベルを反転させた二値信号を出力する。負荷IC14は、イネーブル信号入力回路を通してパワーグッド出力VPGの論理レベルを識別し、それが非アクティブなLレベルであるときはディセーブル状態を保ち、アクティブなHレベルになるとイネーブル状態になる。
【0033】
この電子回路システムでは、電源IC12内のパワーグッド回路50に本発明が適用されている。このパワーグッド回路50によれば、パワーグッド出力VPGをアクティブ(Hレベル)にするタイミングに遅延時間を付加しない即時応答機能が設定された場合はもちろん、遅延時間を付加するディレイ機能が設定された場合でも、遅延時間の長さに関係なくパワーグッド出力VPGの電圧波形をなまらせずに急峻に立ち上げることができる。これにより、負荷IC14においては、イネーブル信号入力回路で貫通電流が少なく、閾値にばらつきがあっても、パワーグッド出力VPGより与えられる遅延時間に大きな誤差は生じない。
【0034】
また、電源IC12においては、パッケージの全端子のうちパワーグッド回路50に直接関係するものは従来通りパワーグッド端子PGとフィードバック端子FBの2つだけであり、パワーグッド回路50に対して遅延時間の付加の有無を設定するための特別な端子は設けられていない。

[パワーグッド回路に関する実施形態1]
【0035】
図2に、本発明の第1の実施形態におけるパワーグッド回路50の基本構成を示す。このパワーグッド回路50は、基本構成として、判定回路52、出力トランジスタ58、バイパストランジスタ60および制御回路62を含んでいる。
【0036】
判定回路52は、コンパレータ54および基準電圧発生回路56を有している。コンパレータ54は、非反転入力端子(+)がフィードバック端子FBに接続され、反転入力端子(-)が基準電圧発生回路56の出力端子に接続されている。コンパレータ54は、フィードバック端子FBより入力されるフィードバック信号SFBを基準電圧発生回路56からの基準電圧VREF2と比較し、フィードバック信号SFBが基準電圧VREF2より低いときはその出力つまり判定出力CMP-FBをLレベルにし、フィードバック信号SFBが基準電圧VREF2と同じかそれより高いときは判定出力CMP-FBをHレベルにする。判定出力CMP-FBは、制御回路62に与えられる。
【0037】
出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60は、それぞれNMOSトランジスタからなり、パワーグッド端子PGとグランド電位端子との間で互いに並列に接続され、制御回路62によって個別に制御される。
【0038】
より詳しくは、出力トランジスタ58は、ドレインがパワーグッド端子PGに接続され、ソースがグランド電位端子に接続され、ゲートに与えられる制御回路62からの制御信号VG1にしたがってオンまたはオフする。バイパストランジスタ60は、ドレインがパワーグッド端子PGに接続され、ソースがグランド電位端子に接続され、ゲートに与えられる制御回路62からの制御信号VG2にしたがってオンまたはオフする。
【0039】
かかる構成により、出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60の少なくとも一方がオンしている時は、パワーグッド端子PGがグランド電位端子に短絡接続され、パワーグッド端子PGの電圧つまりパワーグッド出力VPGがグランドレベルに保たれる。この時、電源電圧VPUの電源電圧端子VPUからプルアップ抵抗30、パワーグッド端子PGおよび出力トランジスタ58またはバイパストランジスタ60を介してグランド電位端子に流れる電流は、プルアップ抵抗30によって制限される。
【0040】
また、出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60の双方がオフしている時は、パワーグッド端子PGがハイインピーダンス状態になり、パワーグッド端子PGのパワーグッド出力VPGがプルアップ抵抗30を介して電源電圧VPUのレベルつまりHレベルに吊り上げられる。
【0041】
制御回路62は、判定回路52の判定出力CMP-FBに応じて出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60を次のように制御する。すなわち、制御回路62は、判定回路52の判定出力CMP-FBが監視対象の出力電圧VOUTが正常でないことを示しているとき(Lレベルのとき)は、出力トランジスタ58をオン状態に保つ。
【0042】
そして、出力電圧VOUTが正常になって判定回路52の判定出力CMP-FBが監視対象の出力電圧VOUTが正常であることを示すと(LレベルからHレベルに変わると)、制御回路62は、たとえば10μsec程度の極短い時間(モニタ時間)Tだけ出力トランジスタ58をオフさせるとともにバイパストランジスタ60をオンさせて、プルアップ抵抗30およびバイパストランジスタ60を流れる電流(モニタ電流)Iが1つまたは複数の電流閾値ITHn(n=1,2,‥‥)より大きいか否かを判別し、その判別結果に応じて出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60の双方をオフ状態にするタイミング、つまりパワーグッド出力VPGを非アクティブなLレベルからアクティブなHレベルに立ち上げるタイミングを選択するようになっている。
【0043】
たとえば、電流閾値が1つ(ITH1)である場合、モニタ電流Iがその電流閾値ITH1より大きいか否かは、プルアップ抵抗30の抵抗値R30がある抵抗閾値RTH1より低いか高いかによって決まる。すなわち、プルアップ抵抗30の抵抗値R30が抵抗閾値RTH1より低いときは、モニタ電流Iが電流閾値ITH1より大きく、プルアップ抵抗30の抵抗値R30が抵抗閾値RTH1より高いときは、モニタ電流Iが電流閾値ITH1より低いという相関関係がある。
【0044】
このパワーグッド回路50においては、上記のようなバイパストランジスタ60および制御回路62の機能および上記のようなモニタ電流Iとプルアップ抵抗30の抵抗値R30との相関関係に基づき、監視対象の出力電圧VOUTが正常であるときにパワーグッド出力VPGをアクティブなHレベルに立ち上げるタイミングについて、遅延時間を付加しない即時応答機能もしくは一定の遅延時間を付加するディレイ機能のどちらかを選ぶ設定をプルアップ抵抗30の抵抗値R30の選択によって行うことができる。
【0045】
たとえば、抵抗閾値RTH1を120~130kΩに設定した場合、電子回路システムの設計者は、パワーグッド回路50に対して、遅延時間を付加しない即時応答機能を選択するときは、プルアップ抵抗30の抵抗値R30をたとえば100kΩ付近に選べばよく、遅延時間を付加するディレイ機能を選択するときは、プルアップ抵抗30の抵抗値R30をたとえば150kΩ付近に選べばよい。
【0046】
このように、この実施形態のパワーグッド回路50によれば、パワーグッド端子PGに接続するプルアップ抵抗30の抵抗値R30を適宜選択することにより、監視対象の出力電圧VOUTが正常であるときにパワーグッド出力VPGをアクティブ(Hレベル)にするタイミングについて、即時応答機能またはディレイ機能のどちらかを選択ないし設定することができる。
【0047】
そして、そのような二者択一の選択を行うために、電源IC12のパッケージにデフォルト設定用の端子を増設する必要はない。また、ディレイ機能を選択するために、パワーグッド端子PGにコンデンサ等の外付け部品を新たに接続する必要もない。さらには、パワーグッド端子PGにコンデンサが接続されないので、パワーグッド出力VPGがLレベルからHレベルに変わるときは、相当長い遅延時間を付加する場合でも、その電圧波形がなまらずに急峻に立ち上がる。このため、負荷IC14では、イネーブル信号入力回路内で貫通電流が少ないうえ、閾値にばらつきがあっても、パワーグッド出力VPGより与えられる遅延時間に大きな誤差が生じることはない。これによって、パワーグッド機能または出力監視機能の効率性および信頼性を向上させることができる。
【0048】
なお、この実施形態のパワーグッド回路50において、出力トランジスタ58は出力回路を構成し、バイパストランジスタ60は出力電流検出回路を構成している。またプルアップ抵抗30は電源電圧端子VPUとパワーグッド端子PGとの間に接続されているが、出力回路に含まれてもよい。また、バイパストランジスタ60がオンして流れるモニタ電流Iはパワーグッドノードに流れる電流である。制御回路62は、モニタ電流Iの大きさと判定回路52の判定出力CMP-FBに応じて、出力トランジスタ58をオン状態にしてパワーグッド出力VPGを非アクティブなLレベル(出力電圧VOUTが正常でないことを示す第1の状態)あるいは出力トランジスタ58をオフ状態にしてパワーグッド出力VPGをアクティブなHレベル(出力電圧VOUTが正常であることを示す第2の状態)に制御する。

[パワーグッド回路に関する実施形態2]
【0049】
次に、図3図7Bを参照して、パワーグッド回路50に関する第2の実施形態を説明する。この第2の実施形態は、図2のパワーグッド回路50(特に制御回路62)の好適な具体的構成を提供する。
【0050】
図3に示すように、この実施形態における制御回路62は、2つのNMOSトランジスタ64,66、定電流源68、判別回路70およびロジック回路72を含んでいる。このうち、NMOSトランジスタ64,66および定電流源68は、バイパストランジスタ(NMOSトランジスタ)60を流れるモニタ電流Iを検出するためのモニタ電流検出部65(出力電流検出回路)を構成している。

《モニタ電流検出部》
【0051】
モニタ電流検出部65において、NMOSトランジスタ64(第4のトランジスタ)は、ダイオード接続のNMOSトランジスタであり、ドレインがバイパストランジスタ(NMOSトランジスタ)60のソースに接続されるとともに自己のゲートに短絡接続され、ソースがグランド電位端子に接続されている。一方、NMOSトランジスタ66(第5のトランジスタ)は、ドレインが出力ノードNを介して定電流源68の出力端子に接続され、ソースがグランド電位端子に接続され、ゲートがNMOSトランジスタ64のゲートに共通接続されている。定電流源68の入力端子は電源電圧VREGの電源電圧端子に接続されている。これにより、NMOSトランジスタ64,66はそれぞれ基準側および従属側の関係でカレントミラー回路を形成している。そのカレントミラー比は任意でよく、たとえば1:1に設定される。
【0052】
出力トランジスタ58をオフ状態にしてバイパストランジスタ60をオンさせると、負荷IC14の電源電圧端子VPUからプルアップ抵抗30、パワーグッド端子PG、バイパストランジスタ60および基準側のNMOSトランジスタ64を介してグランド電位端子に至る電流経路MP上でモニタ電流Iが流れる。この時、カレントミラー回路の従属側のNMOSトランジスタ66はモニタ電流Iと同じ電流量のドレイン電流Iを流そうとする。しかし、NMOSトランジスタ66のドレイン電流Iは定電流源68の出力電流(基準電流)IBIASによって制限される。この場合、NMOSトランジスタ66は、その電圧-電流特性と定電流源68の電流特性とが交わる点(動作点)で動作する。
【0053】
したがって、図4に示すように、ドレイン電流Iが基準電流IBIASより大きいときは、そのときのNMOSトランジスタ66の電圧-電流特性Aと定電流源68の電流特性Cとの交点ACが動作点となり、NMOSトランジスタ66のドレイン電圧つまり出力ノードN上のモニタ電圧DET-CURはグランド電位寄りに低くなる。しかし、ドレイン電流Iが基準電流IBIASより小さいときは、そのときのNMOSトランジスタ66の電圧-電流特性Bと定電流源68の電流特性Cとの交点BCが動作点となり、モニタ電圧DET-CURは電源電圧VREG寄りに高くなる。なお、モニタ電流Iが流れていない時は、カレントミラー回路の両NMOSトランジスタ64,66はオフしており、モニタ電圧DET-CURは電源電圧VREGに近い値になっている。この実施形態において、定電流源68の基準電流IBIASは、モニタ電流Iに対する電流閾値ITH1に対応している。
【0054】
このように、モニタ電流検出部65は、カレントミラー回路を用いる小規模な回路構成により、モニタ電流Iを所定の電流閾値ITH1に照らして適確に検出することができる。

《判別回路》
【0055】
判別回路70は、モニタ電流検出部65の出力ノードNに得られるモニタ電圧DET-CURを入力し、これを所定の電圧閾値に照らして二値の論理レベルを有する判別出力TIME-ENに変換する。この判別出力TIME-ENの論理レベルは、電流経路MP上でモニタ電流Iが流れている時に有意な情報を与える。すなわち、電流経路MP上でモニタ電流Iが流れている時の判別出力TIME-ENの論理レベル(Hレベル/Lレベル)は、モニタ電流Iと基準電流IBIASとの大小関係つまりモニタ電流Iと電流閾値ITH1との大小関係を示し、ひいてはプルアップ抵抗30の抵抗値R30と抵抗閾値RTH1との大小関係を示す。
【0056】
図5に示すように、判別回路70は、好適な一構成例として、ヒステリシスインバータ74とインバータ回路76とを縦続接続している。ヒステリシスインバータ74には、モニタ電流検出部65からのモニタ電圧DET-CURが入力される。インバータ回路76の出力は、判別出力TIME-ENとしてロジック回路72に与えられる。
【0057】
ヒステリシスインバータ74は、電源電圧VREGの中間値付近に対応する電圧閾値VTHKを有している。電流経路MP上でモニタ電流Iが流れていない時は、モニタ電流検出部65より電源電圧VREGに近いモニタ電圧DET-CURがヒステリシスインバータ74に入力され、ヒステリシスインバータ74はLレベルを出力する。これにより、インバータ回路76の出力(判別出力)TIME-ENがHレベルになっている。
【0058】
そして、電流経路MP上でモニタ電流Iが流れる時、それが電流閾値ITH1より大きいときは、モニタ電流検出部65より、たとえば図4の動作点ACに当たるモニタ電圧DET-CURが出力される。そうすると、ヒステリシスインバータ74はHレベルを出力し、インバータ回路76の出力(判別出力)TIME-ENがそれまでのHレベルからLレベルに変わる。
【0059】
しかし、モニタ電流Iが電流閾値ITH1より小さいときは、モニタ電流検出部65より、たとえば図4の動作点BCに当たるモニタ電圧DET-CURが出力される。この場合、ヒステリシスインバータ74の出力はLレベルのままであり、インバータ回路76の出力(判別出力)TIME-ENはHレベルのままである。
【0060】
なお、モニタ電流Iが流れる時に電源電圧VPUが不安定に変動すると、モニタ電流Iの電流量が同様に変動し、ひいてはモニタ電圧DET-CURも同様に変動する。しかし、ヒステリシスインバータ74のヒステリシス特性により、そのような変動分を無視し、誤動作を回避することができる。
【0061】
このように、判別回路70は、ヒステリシスインバータ74を用いる簡易な構成でありながら、モニタ電流Iと基準電流IBIASとの大小関係ひいてはプルアップ抵抗30の抵抗値R30と抵抗閾値RTH1との大小関係を適確に示す高精度な判別出力TIME-ENを得ることができる。

《ロジック回路》
【0062】
図6に示すように、ロジック回路72は、一構成例として、遅延回路80、インバータ回路82、AND回路84、D型フリップフロップ(以下、「DFF」と称する。)86、タイマ回路88、OR回路90およびNAND回路92を有している。
【0063】
上記のように、ロジック回路72は、判定回路52より判定出力CMP-FBを入力するとともに、判別回路70より判別出力TIME-ENを入力し、出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60に制御信号VG1,VG2を与える。
【0064】
より詳しくは、判定回路52からの判定出力CMP-FBは、AND回路84の一方の入力端子に与えられるとともに、遅延回路80の入力端子、DFF86のリセット端子(R)およびNAND回路92の一方の入力端子に与えられる。一方、判別回路70からの判別出力TIME-ENは、DFF86のデータ端子(D)に与えられる。AND回路84の出力は、バイパストランジスタ60のゲートに制御信号VG2として与えられる。NAND回路92の出力は、出力トランジスタ58のゲートに制御信号VG1として与えられる。
【0065】
遅延回路80は、たとえば複数個のインバータ回路を縦続接続して構成され、判定出力CMP-FBを一定時間だけ遅延させる。この遅延時間は、電流経路MP上でモニタ電流Iを流す時間つまりモニタ時間Tを規定し、後述するタイマ回路88によって与えられる遅延時間(通常1msec以上)に比して無視できるような極短い時間であり、たとえば10μsec以下に設定される。
【0066】
遅延回路80の出力DEは、インバータ回路82を介してAND回路84の他方の入力端子に与えられるとともに、DFF86のクロック端子(CK)に与えられる。これにより、遅延回路80の出力DEがLレベルからHレベルに変わった時に、つまりモニタ時間Tの終了時に、判別出力TIME-ENの論理レベルがDFF86にラッチされ、それがDFF86の出力(Q)の論理レベルになる。
【0067】
DFF86の出力(Q)はタイマ回路88の入力端子に与えられ、反転出力(Q-)はOR回路90の一方の入力端子に与えられる。タイマ回路88の出力URはOR回路90の他方の入力端子に与えられ、OR回路90の出力QRはNAND回路92の他方の入力端子に与えられる。
【0068】
タイマ回路88は、DFF86の出力(Q)がLレベルからHレベルに変わった時に、これに応動して設定時間を計時するようになっている。このタイマ回路88は、カウンタ回路とクロック回路とを含み、クロック回路の発生する一定周波数のクロックパルスをカウンタ回路が計数し、その計数値が設定値に達した時に、出力URがLレベルからHレベルに変わるようになっている。タイマ回路88に設定される計時時間(タイマカウント時間)は、パワーグッド出力VPGをアクティブ(Hレベル)にするタイミングに遅延時間を付加する場合の遅延時間Tを規定し、通常msecのオーダで設定される。
【0069】
このように、ロジック回路72は、判定回路52からの判定出力CMP-FBと判別回路70からの判別出力TIME-ENとに基づいて、出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60に対する制御をロジック的な動作で正確に行うようになっている。特に、パワーグッド出力VPGをアクティブにする際に付加する遅延時間Tは、カウンタ内蔵のタイマ回路88の計時動作(カウント動作)によって生成されるため、誤差が非常に小さい。

《パワーグッド回路全体の作用》
【0070】
次に、図7Aおよび図7Bのタイミング図を参照してこの実施形態におけるパワーグッド回路50の作用を説明する。
【0071】
図7Aおよび図7Bの例では、監視対象の出力電圧VOUTが時点tで正常範囲(SFB≧VREF2)に入っている。出力電圧VOUTが正常になる直前、各部の状態は次のようになっている。
【0072】
すなわち、時点tの直前までSFB<VREF2であるから、判定回路52の判定出力CMP-FBはLレベルに保たれている。これにより、ロジック回路72内ではAND回路84の出力(制御信号)VG2がLレベルに保たれている。このため、バイパストランジスタ60はオフしており、電流経路MP上でモニタ電流Iは流れておらず、判別回路70の判別出力TIME-ENはHレベルになっている。また、ロジック回路72内で遅延回路80の出力DEがLレベルに保たれ、インバータ回路82の出力がHレベルに保たれている。DFF86の出力(Q)および反転出力(Q-)はそれぞれLレベルおよびHレベルに保たれており、OR回路90の出力QRはHレベルになっている。しかし、判定出力CMP-FBがLレベルであるから、NAND回路92の出力(制御信号)VG1はHレベルであり、出力トランジスタ58はオンしている。これにより、パワーグッド端子PGはオン状態の出力トランジスタ58を介してグランド電位端子に短絡接続され、パワーグッド出力VPGはグランドレベルに保たれている。
【0073】
図7Aは、プルアップ抵抗30の抵抗値R30を低目の100kΩ付近(<抵抗閾値RTH1)に選んだ場合である。時点tで判定回路52の判定出力CMP-FBがLレベルからHレベルに変わると、NAND回路92の出力VG1がHレベルからLレベルに変わり、出力トランジスタ58はそれまでのオン状態からオフ状態に切り替わる。一方、判定出力CMP-FBがLレベルからHレベルに変わることによって、AND回路84の出力VG2がLレベルからHレベルに変わる。これにより、バイパストランジスタ60がオンし、電流経路MP上でモニタ電流Iが流れる。
【0074】
この時、プルアップ抵抗30の抵抗値R30(約100kΩ)が抵抗閾値RTH1(120~130kΩ)より低いため、モニタ電流Iは基準電流IBIASより大きな電流量で流れ、判別回路70よりLレベルの判別出力TIME-ENが出力される。
【0075】
なお、モニタ電流Iが流れる時は、電流経路MP上のバイパストランジスタ60、NMOSトランジスタ64で生ずる電圧降下分だけパワーグッド端子PGの電圧つまりパワーグッド出力VPGがグランドレベルより少し高くなるが、明確にLレベルである。
【0076】
時点tからモニタ時間Tが終了して遅延回路80の出力DEがLレベルからHレベルに変わると(時点t)、AND回路84の出力VG2がHレベルからLレベルに変わる。これにより、バイパストランジスタ60がオフ状態に戻り、モニタ電流Iが流れなくなる。判別回路70の判別出力TIME-ENはLレベルからHレベルに戻る。
【0077】
一方、時点tで、遅延回路80の出力DEのLレベルからHレベルへの変化に応動してDFF86が判別出力TIME-ENの論理レベルを取り込んでラッチする。この場合、判別出力TIME-ENはLレベルであるから、DFF86の出力(Q)および反転出力(Q-)はそれぞれLレベルおよびHレベルのままであり、OR回路90の出力QRはHレベルを保つ。したがって、NAND回路92の出力VG1はLレベルを保ち、出力トランジスタ58はオフ状態のままである。
【0078】
こうして、モニタ時間Tが終了した時(時点t)、出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60の双方がオフ状態となり、これによってパワーグッド端子PGがプルアップ抵抗30を介して電源電圧VPUの電圧に吊り上げられ、パワーグッド出力VPGがそれまでのLレベルからHレベルに立ち上がる。パワーグッド端子PGにコンデンサが接続されていないので、パワーグッド出力VPGはその電圧波形がなまらずに急峻に立ち上がる。
【0079】
図7Bは、プルアップ抵抗30の抵抗値R30を高めの150kΩ付近に選んだ場合である。この場合も、時点tで判定回路52の判定出力CMP-FBがLレベルからHレベルに変わると、NAND回路92の出力VG1がHレベルからLレベルに変わる。これによって、出力トランジスタ58はそれまでのオン状態からオフ状態に切り替わる。一方、判定出力CMP-FBがLレベルからHレベルに変わると、AND回路84の出力VG2がLレベルからHレベルに変わる。これにより、バイパストランジスタ60がオンし、電流経路MP上でモニタ電流Iが流れる。
【0080】
この場合、プルアップ抵抗30の抵抗値R30(約150kΩ)が抵抗閾値RTH1(120~130kΩ)より高いため、モニタ電流Iは基準電流IBIASより小さい電流量で流れ、判別回路70より判別出力TIME-ENがHレベルで出力される。
【0081】
そして、時点tからモニタ時間Tが経過して遅延回路80の出力DEがLレベルからHレベルに変わると(時点t)、AND回路84の出力VG2がHレベルからLレベルに変わる。これにより、バイパストランジスタ60がオフ状態に戻り、モニタ電流Iが流れなくなる。判別回路70の判別出力TIME-ENはHレベルに保たれる。
【0082】
一方、時点tで、遅延回路80の出力DEのLレベルからHレベルへの変化に応動してDFF86が判別出力TIME-ENの論理レベルを取り込んでラッチする。この場合、判別出力TIME-ENはHレベルであるから、DFF86の出力(Q)がそれまでのLレベルからHレベルに変わり、反転出力(Q-)がHレベルからLレベルに変わる。DFF86の出力(Q)がHレベルになると、これに応動してタイマ回路88が設定遅延時間Tの計時(カウント)を開始する。
【0083】
もっとも、計時が終了するまでタイマ回路88の出力URはLレベルのままである。したがって、DFF86の反転出力(Q-)がLレベルになったとき(時点t)、OR回路90の出力QRがHレベルからLレベルに変わって、NAND回路の出力VG1がLレベルからHレベルに変わり、出力トランジスタ58がいったんオン状態に戻る。これにより、パワーグッド端子PGはオン状態の出力トランジスタ58を介してグランド電位端子に短絡接続され、パワーグッド出力VPGはグランドレベルに保持される。
【0084】
そして、タイマ回路88が設定遅延時間Tの計時を終了して、その出力URがLレベルからHレベルに変わると(時点t)、OR回路90の出力QRがLレベルからHレベルに変わって、NAND回路の出力VG1がHレベルからLレベルに変わり、出力トランジスタ58がオフ状態になる。
【0085】
こうして、タイマ回路88が設定遅延時間Tの計時を終了した時(時点t)、出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60の双方がオフ状態となり、これによってパワーグッド端子PGがプルアップ抵抗30を介して電源電圧VPUの電圧に吊り上げられ、パワーグッド出力VPGがそれまでのLレベル(グランドレベル)からアクティブなHレベル(VPU)に立ち上がる。パワーグッド端子PGにコンデンサが接続されていないので、遅延時間Tがいくら長くても、たとえば数10msec以上であっても、パワーグッド出力VPGはその電圧波形がなまらずに急峻に立ち上がる。
【0086】
このように、この実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様の作用効果が得られるのに加えて、制御回路62の各部(モニタ電流検出部65、判別回路70、ロジック回路72)が小規模な構成にして精度が高いという効果も得られる。

[パワーグッド回路に関する実施形態3]
【0087】
次に、図8図10を参照して、第3の実施形態におけるパワーグッド回路50Φについて説明する。この実施形態のパワーグッド回路50Φにおいても、パワーグッド端子PGに接続するプルアップ抵抗30の抵抗値R30を適宜選択することにより、監視対象の出力電圧VOUTが正常であるときにパワーグッド出力VPGをアクティブ(Hレベル)にするタイミングについて、遅延時間の付加の有無を選択ないし設定することができる。
【0088】
さらに、この実施形態のパワーグッド回路50Φにおいては、遅延時間の付加を選択する場合には、プルアップ抵抗30の抵抗値R30を最小の抵抗監視値RTH1より高い領域にさらに1つまたは複数の抵抗監視値RTH2,RTH3‥‥を設定することで、異なる複数の遅延時間のいずれか一つを選択することも可能となっている。
【0089】
図8は、異なる3個の遅延時間の中からいずれか一つを選択可能とするパワーグッド回路50Φの好適な一構成例を示す。図9は、図8のロジック回路72Φの構成を示す。図10は、図9のタイマ回路88Φの好適な一構成例を示す。
【0090】
図8のモニタ電流検出部65Φにおいて、基準側のダイオード接続のNMOSトランジスタ64に対して各々のゲートを共通接続した3個の従属側のNMOSトランジスタ66A,66B,66Cが並列に設けられる。これら3個の従属側のNMOSトランジスタ66A,66B,66Cは、それぞれのドレインが出力ノードN,N,Nを介して定電流源68A,68B,68Cの出力端子に接続され、それぞれのソースがグランド電位端子に接続される。定電流源68A,68B,68Cの入力端子は電源電圧VREGの電源電圧端子に接続される。これによって、基準側のダイオード接続のNMOSトランジスタ64を共通にする3個の独立したカレントミラー回路が形成されている。
【0091】
定電流源68A,68B,68Cの出力電流(基準電流)IBIAS1,IBIAS2,IBIAS3は、3つの抵抗閾値RTH1,RTH2,RTH3(ただし、RTH1<RTH2<RTH3)にそれぞれ対応し、IBIAS1>IBIAS2>IBIAS3の関係に設定される。
【0092】
モニタ電流検出部65Φの3個の出力ノードN,N,Nに得られるモニタ電圧DET-CURA,DET-CURB,DET-CURCは,3個の判別回路70A,70B,70Cにそれぞれ入力される。これら3個の判別回路70A,70B,70Cは、図3の判別回路70と同様の構成を有し、モニタ電圧DET-CURA,DET-CURB,DET-CURCを所定の電圧閾値に照らして二値の論理レベルを有する判別出力TIME-ENA,TIME-ENB,TIME-ENCにそれぞれ変換して、ロジック回路72#に与える。
【0093】
図9のロジック回路72Φにおいて、判別回路70A,70B,70Cからの判別出力TIME-ENA,TIME-ENB,TIME-ENCは、OR回路94を介してDFF86のデータ端子(D)に入力されるとともに、タイマ回路88Φに入力される。
【0094】
図10に示すように、タイマ回路88Φは、3個のタイマ96A,96B,96Cを縦続接続している。これら3個のタイマ96A,96B,96Cは、図6のタイマ回路88と同様の構成を有し、独立した計時時間(タイマカウント時間)Td1,Td2,Td3をそれぞれ設定できる。タイマ回路88Φの全体では、[Td1],[Td1+Td2],[Td1+Td2+Td3]の3個の遅延時間が用意されている。
【0095】
第1段のタイマ96Aは、DFF86の出力(Q)がLレベルからHレベルに変わると、これに応動して計時動作(カウント動作)を開始し、設定時間Td1の計時が終了すると、その出力をLレベルからHレベルに変える。そうすると、これに応動して第2段のタイマ96Bが計時動作(カウント動作)を開始し、設定時間Td2の計時が終了すると、その出力をLレベルからHレベルに変える。そうすると、これに応動して第3段のタイマ96Cが計時動作(カウント動作)を開始し、設定時間Td3の計時が終了すると、その出力をLレベルからHレベルに変えるようになっている。
【0096】
タイマ96A,96B,96Cの出力は、AND回路98A,98B,98Cの一方の入力端子にそれぞれ入力される。AND回路98A,98B,98Cの他方の入力端子には、判別回路70A,70B,70Cからの判別出力TIME-ENA,TIME-ENB,TIME-ENCがそれぞれ入力される。また、AND回路98Aに判定出力TIME-ENBの反転信号とAND回路98Bに判定出力TIME-ENCの反転信号も入力される。AND回路98A,98B,98Cの出力はOR回路100を介してOR回路92(図9)の他方の入力端子に与えられる。
【0097】
このパワーグッド回路50Φにおいても、上記のように、監視対象の出力電圧VOUTが正常範囲(VOUT≧VREF2)に入ると、判定回路52の判定出力CMP-FBがLレベルからHレベルに変わり、これに応動してロジック回路72が出力トランジスタ58をオン状態からオフ状態に切り替えるとともにバイパストランジスタ60をオフ状態からオン状態に切り替える。これによって、電流経路MP上でモニタ電流Iが流れる。このモニタ電流Iの電流量は、プルアップ抵抗30の抵抗値R30に依存する。
【0098】
プルアップ抵抗30の抵抗値R30を最小の抵抗閾値RTH1より低い値に選んだ場合(遅延時間を一切付加しない場合)は、I>IBIAS1であり、モニタ電流検出部65Φではモニタ時間T中にモニタ電圧DET-CURA,DET-CURB,DET-CURCのいずれもグランド電位寄りに低くなり、判別回路70A,70B,70Cの判別出力TIME-ENA,TIME-ENB,TIME-ENCはいずれもLレベルになる。これにより、図7Aの場合と同様な動作となり、モニタ時間Tが終了した時に、出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60の双方がオフ状態となり、パワーグッド出力VPGがLレベルからアクティブなHレベルに立ち上がる。
【0099】
プルアップ抵抗30の抵抗値R30をRTH1<R30<RTH2に選んだ場合(最短の遅延時間[Td1]を選んだ場合)は、モニタ時間T中に電流経路MP上を流れるモニタ電流Iは、IBIAS2<I<IBIAS1であり、モニタ電流検出部65Φではモニタ電圧DET-CURAだけが電源電圧VREG寄りに高く、他のモニタ時間DET-CURB,DET-CURCはグランド電位寄りに低くなり、判別回路70Aの判別出力TIME-ENAはHレベル、判別回路70B,70Cの判別出力TIME-ENB,TIME-ENCはLレベルになる。これにより、図7Bの場合と同様の動作となり、モニタ時間Tが終了した時からさらに遅延時間[Td1]が経過した時、出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60の双方がオフ状態となり、パワーグッド出力VPGがLレベルからアクティブなHレベルに立ち上がる。
【0100】
この場合、タイマ回路88Φにおいては、第1段のタイマ96Aが設定時間Td1の計時を終了してHレベルを出力すると、AND回路98Aの出力がHレベルになって、OR回路100の出力もHレベルになる。この後、第2段のタイマ96Bおよび第3段のタイマ96Cがそれぞれ設定時間Td2,Td3の計時を終了してHレベルを出力しても、判別出力TIME-ENB,TIME-ENCがLレベルであるため、AND回路98B,98Cの出力はLレベルのままである。
【0101】
次に、プルアップ抵抗30の抵抗値R30をRTH2<R30<RTH3に選んだ場合(中間の遅延時間[Td1+Td2]を選んだ場合)は、IBIAS3<I<IBIAS2であり、モニタ電流検出部65Φではモニタ時間T中にモニタ電圧DET-CURA,DET-CURBは電源電圧VREG寄りに高くモニタ電圧DET-CURCはグランド電位寄りに低くなり、判別回路70Aと判別回路70Bの判別出力TIME-ENA,TIME-ENBはHレベル、判別回路70Cの判別出力TIME-ENCはLレベルになる。これにより、基本的には図7Bの場合と同様の動作となり、モニタ時間Tが終了した時からさらに遅延時間[Td1+Td2]が経過した時、出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60の双方がオフ状態となり、パワーグッド出力VPGがLレベル(グランドレベル)からアクティブなHレベル(VPU)に立ち上がる。
【0102】
この場合、タイマ回路88Φにおいては、第1段のタイマ96Aが設定時間Td1の計時を終了してHレベルを出力しても、インバータ回路99Aによる判別出力TIME-ENBの反転出力がLレベルであるため、AND回路98Aの出力はLレベルのままである。そして、第2段のタイマ96Bが設定時間Td2の計時を終了してHレベルを出力すると、AND回路98Bの出力がHレベルになって、OR回路100の出力もHレベルになる。
【0103】
最後に、プルアップ抵抗30の抵抗値R30をRTH3<R30に選んだ場合(最長の遅延時間[Td1+Td2+Td1]を選んだ場合)は、I<IBIAS3であり、モニタ電流検出部65Φではモニタ時間T中にモニタ電圧DET-CURA,DET-CURB,DET-CURCのいずれも電源電圧VREG寄りに高くなり、判別回路70Aの判別出力TIME-ENA,TIME-ENB,TIME-ENCはいずれもHレベルになる。これにより、基本的には図7Bの場合と同様の動作となり、モニタ時間Tが終了した時からさらに遅延時間[Td1+Td2+Td1]が経過した時に、出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60の双方がオフ状態となり、パワーグッド出力VPGがLレベルからアクティブなHレベルに立ち上がる。
【0104】
この場合、タイマ回路88Φにおいては、第1段のタイマ96Aが設定時間Td1の計時を終了してHレベルを出力しても、インバータ回路99Aによる判別出力TIME-ENBの反転出力がLレベルであるため、AND回路98Aの出力はLレベルのままである。そして、第2段のタイマ96Bが設定時間Td2の計時を終了してHレベルを出力しても、インバータ回路99Bによる判別出力TIME-ENCの反転出力がLレベルであるため、AND回路98Bの出力はLレベルのままである。そして、第3段のタイマ96Cが設定時間Td3の計時を終了してHレベルを出力すると、AND回路98Cの出力がHレベルになって、OR回路100の出力もHレベルになる。
【0105】
このように、この実施形態によれば、上記第2の実施形態と同様の作用効果が得られるのに加えて、パワーグッド出力VPGをアクティブにする際に付加する遅延時間について、内蔵のタイマ回路に設定された複数個の遅延時間の中から所望の一つをプルアップ抵抗30の抵抗値R30に選定によって任意に選択することができる。これにより、たとえば、複数個の電源ICの出力電圧を一定の時間差で順次立ち上げる場合、それら複数個の電源ICより電力の供給をそれぞれ受ける複数個の負荷ICの動作開始を略同時にするために、各電源ICのパワーグッド回路がパワーグッド出力をアクティブ(Hレベル)にするタイミングに上記時間差を設けるような電子回路システムにも好適に適合することができる。

[他の実施形態又は変形例]
【0106】
以上、本発明の幾つかの好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものではない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
【0107】
たとえば、上述した実施形態は、電源IC12に内蔵されるパワーグッド回路50,50Φに係るものであった。しかしながら、本発明は、電源IC12から独立しているパワーグッド回路にも適用可能である。
【0108】
たとえば、図11に示す電子回路システムは、各々が独立した半導体回路装置またはICとして提供されるDC/DCコンバータ102、LDO(低ドロップリニアレギュレータ)104,106、負荷IC108,110およびパワーグッド回路50#を含んで構成されている。
【0109】
DC/DCコンバータ102は、直流の入力電圧VINを直流の電圧VOUT-Mainに変換し、変換した直流電圧VOUT-Mainを第1および第2のLDO(低ドロップリニアレギュレータ)104,106に供給する。両LDO104,106は、入力した直流電圧VOUT-Mainを直流の電圧VOUT1およびVOUT2にそれぞれ変換する。第1のLDO104の出力電圧VOUT1は第1の負荷IC108に供給され、第2のLDO106の出力電圧VOUT2は第2の負荷IC110に供給される。
【0110】
DC/DCコンバータ102の出力端子は、抵抗30#を介して第2のLDO106のイネーブル端子(EN)にも接続されている。抵抗30#はプルアップ抵抗として機能し、したがってDC/DCコンバータ102の出力端子はプルアップ用の電源電圧端子として機能する。
【0111】
第1のLDO104の出力端子とグランド電位端子との間には、平滑コンデンサ112と抵抗114,116からなる電圧検出回路118とが並列に接続される。電圧検出回路118の出力ノードNは、LDO104のフィードバック端子FBおよびパワーグッド回路50#のフィードバック端子FBに接続される。
【0112】
パワーグッド回路50#は、電圧検出回路118を介して第1のLDO104の出力端子に接続され、第1のLDO104の出力電圧VOUT1を監視して、その出力電圧VOUT1が正常か否かを二値の論理レベルで示すパワーグッド出力VPGをパワーグッド端子PGより第2のLDO(第2の半導体回路装置)106に与える。上記のように、パワーグッド端子PGは、第2のLDO106のイネーブル端子ENに接続されるとともに、プルアップ抵抗30#を介してDC/DCコンバータ102の出力端子(電源電圧端子)に接続されている。
【0113】
パワーグッド回路50#は、上記第1の実施形態におけるパワーグッド回路50と同様の回路構成および機能を有するものであってよい。したがって、第1のLDO104の出力電圧VOUT1が正常範囲に入った時に、パワーグッド出力VPGが、プルアップ抵抗30#の抵抗値R30#の大きさに応じて、即時にLレベルからアクティブなHレベルになり、あるいは設定遅延時間Tが経過してからアクティブなHレベルに変わる。パワーグッド出力VPGがアクティブなHレベルになると、これに応動して第2のLDO106がイネーブル状態になって動作し、その出力電圧VOUT2を負荷IC110に供給する。この実施形態のパワーグッド回路50#ないし電子回路システムにおいても、上記第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。さらに、遅延時間の付与の有無を設定する機能を付けるうえでパッケージ端子の増設を不要とする本発明の効果は、端子数が極少ないパワーグッド回路50#のICパッケージで得られるため、より大なる利点となる。
【0114】
なお、この実施形態のように、パワーグッド回路50#の監視対象の出力電圧VOUT1が供給される半導体回路装置(負荷IC108)と、パワーグッド回路50#よりパワーグッド出力VPGを与えられる半導体回路装置(第2のLDO106)とが異なっていてもよい。
【0115】
図示省略するが、この実施形態の電子回路システムにおいて、上記第2の実施形態によるパワーグッド回路50Φを適用することも可能である。また、パワーグッド端子PGに接続する電源電圧として、DC/DCコンバータ102の出力電圧以外の電圧たとえば第1のLDO104の出力電圧VOUT1または内部電圧を用いることも可能である。
【0116】
上記実施形態のパワーグッド回路50(50Φ)では、パワーグッド端子PGとグランド電位端子との間に出力回路を構成する出力トランジスタ58と並列に出力電流検出回路を構成するバイパストランジスタ60が設けられる。そして、制御回路62(62Φ)は、判定回路52の判定出力CMP-FBがLレベルであるとき(監視対象の出力電圧VOUTが正常でないことを示しているとき)は出力トランジスタ58をオン状態に保ち、判定回路の判定出力CMP-FBがHレベルであるとき(出力電圧が正常であることを示しているとき)は、所定のモニタ時間Tだけ出力トランジスタ58をオフにするとともにバイパストランジスタ60をオンにして、プルアップ抵抗30およびバイパストランジスタ60を流れるモニタ電流Iが1つまたは複数の各電流閾値ITHnより大きいか否かを判別回路70(70A,70B,70C)に判別させ、その判別出力TIME-EN(TIME-ENA,TIME-ENB,TIME-ENC)に基づいてロジック回路72(72Φ)に出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60の双方をオフ状態にするタイミングを選択させるようにした。
【0117】
本発明の別の実施形態におけるパワーグッド回路として、判定回路52の判定出力CMP-FBがLレベルであるときは出力トランジスタ58をオフ状態に保ち、判定回路の判定出力CMP-FBがHレベルであるときは、所定のモニタ時間Tだけ出力トランジスタ58のオフ状態を維持したままバイパストランジスタ60をオンにして、プルアップ抵抗30およびバイパストランジスタ60を流れるモニタ電流Iが1つまたは複数の各電流閾値ITHnより大きいか否かを判別回路70(70A,70B,70C)に判別させ、その判別出力TIME-EN(TIME-ENA,TIME-ENB,TIME-ENC)に基づいてロジック回路72(72Φ)に出力トランジスタ58をオン状態にするとともにバイパストランジスタ60をオフ状態にするタイミングを選択させることも可能である。
【0118】
更に別の実施形態として、たとえば図12に示すパワーグッド回路50θのように、1個の出力トランジスタ59に出力トランジスタ58とバイパストランジスタ60とを兼用させる構成も可能である。
【0119】
このパワーグッド回路50θにおいて、出力トランジスタ59(第3のトランジスタ)はNMOSトランジスタからなり、ドレインがパワーグッド端子PGに接続され、ソースがモニタ電流検出部65のNMOSトランジスタ64のドレインに接続され、ゲートに与えられるロジック回路72θからの制御信号Vにしたがってオンまたはオフする出力回路と出力電流検出回路を兼ねるトランジスタである。モニタ電流検出部65、判別回路70および判定回路52は上記第2の実施形態(図3)のものと同じであってよい。
【0120】
ロジック回路72θは、判定回路52の判定出力CMP-FBがLレベルであるときは出力トランジスタ59をオン状態に保ち、判定出力CMP-FBがHレベルであるときは、判別回路70からの判別出力TIME-ENに基づいて出力トランジスタ59をオン状態からオフ状態に切り替えるタイミングを選択する。
【0121】
ロジック回路72θは、上記第2の実施形態と同様に、判定出力CMP-FBがHレベルになった直後に所定のモニタ時間Tを経て判別出力TIME-ENを取り込む(読み取る)ことができる。あるいは、ロジック回路72θは、判定出力CMP-FBがHレベルになったときまたはそれ以前に判別出力TIME-ENを取り込む(読み取る)ことも可能であり、その場合はモニタ時間Tを設ける必要がない。
【0122】
図13に、モニタ時間Tを設けないロジック回路72θの一構成例を示す。判別回路70からの判別出力TIME-ENは、DFF86のクロック端子(CK)・リセット端子RおよびNAND回路92の一方の入力端子に与えられるとともに、インバータ回路93を介してOR回路95の一方の入力端子に与えられる。NAND回路92の他方の入力端子にはOR回路90の出力が与えられる。NAND回路92の出力は、OR回路95の他方の入力端子に与えられる。OR回路95の出力は、出力トランジスタ59のゲートに制御信号Vとして与えられる。
【0123】
図14Aおよび図14Bに、このパワーグッド回路50θ(図12図13)における作用を示す。図14Aは、プルアップ抵抗30の抵抗値R30を抵抗閾値RTH1より低い値に選んだ場合である。図14Bは、プルアップ抵抗30の抵抗値R30を抵抗閾値RTH1より高い値に選んだ場合である。
【0124】
この例では、監視対象の出力電圧VOUTが時点tで正常範囲(SFB≧VREF2)に入っている。出力電圧VOUTが正常範囲に入る前は、SFB<VREF2であるから、判定回路52の判定出力CMP-FBはLレベルに保たれている。これにより、ロジック回路72θ内では、インバータ回路93の出力XRがHレベルであり、OR回路95の出力(制御信号)VがHレベルに保たれている。このため、出力トランジスタ59はオンしており、電流経路MP上で電流Iが流れ、判別回路70の判別出力TIME-ENは有意の論理レベルになっている。すなわち、R30<RTH1の場合(図14A)は判別出力TIME-ENがLレベルであり、R30>RTH1の場合(図14B)は判別出力TIME-ENがHレベルである。DFF86は、判定出力CMP-FBが前回HレベルからLレベルに変わった時にリセットされており、出力(Q)および反転出力(Q-)がそれぞれLレベルおよびHレベルになっている。これにより、OR回路90の出力QRはHレベルであり、NAND回路92の出力WRはHレベルである。
【0125】
時点tで判定回路52の判定出力CMP-FBがLレベルからHレベルに変わると、インバータ回路93の出力XRがHレベルからLレベルに変わる。これと同時に、DFF86が判別出力TIME-ENの論理レベルを取り込む。R30<RTH1の場合(図14A)は、判別出力TIME-ENがLレベルであるから、DFF86の出力(Q)および反転出力(Q-)はそれぞれLレベルおよびHレベルのままであり、OR回路90の出力QRはHレベルを保つ。これにより、NAND回路92の出力WRがHレベルからLレベルに変わり、OR回路95の出力(制御信号)VがそれまでのHレベルからLレベルに変わり、出力トランジスタ59がそれまでのオン状態からオフ状態に変わる。そうすると、パワーグッド端子PGがプルアップ抵抗30を介して電源電圧VPUの電圧に吊り上げられ、パワーグッド出力VPGがそれまでのLレベルからHレベルに立ち上がる。パワーグッド端子PGにコンデンサが接続されていないので、パワーグッド出力VPGはその電圧波形がなまらずに急峻に立ち上がる。
【0126】
30>RTH1の場合(図14B)は、DFF86が判別出力TIME-ENの論理レベル(Hレベル)を取り込むと(時点t)、DFF86の出力(Q)および反転出力(Q-)がそれぞれHレベルおよびLレベルに変わる。DFF86の出力(Q)がHレベルになると、これに応動してタイマ回路88が設定遅延時間Tの計時(カウント)を開始する。そして、タイマ回路88が設定遅延時間Tの計時を終了して、その出力URがLレベルからHレベルに変わると(時点t)、OR回路90の出力QRがLレベルからHレベルに変わって、NAND回路92の出力WRがHレベルからLレベルに変わる。このタイミングで、OR回路95の出力(制御信号)VがHレベルからLレベルに変わり、出力トランジスタ59がオン状態からオフ状態に変わる。そうすると、パワーグッド端子PGがプルアップ抵抗30を介して電源電圧VPUの電圧に吊り上げられ、パワーグッド出力VPGがそれまでのLレベル(グランドレベル)からアクティブなHレベル(VPU)に立ち上がる。パワーグッド端子PGにコンデンサが接続されていないので、遅延時間Tがいくら長くても、たとえば数10msec以上であっても、パワーグッド出力VPGはその電圧波形がなまらずに急峻に立ち上がる。
【0127】
この実施形態のパワーグッド回路50θ(図12)は、上記第2の実施形態のパワーグッド回路50(図3)を変形させたものである。上記第3の実施形態のパワーグッド回路50Φ(図8)についても、同様の変形により、パワーグッド回路50θに相当するものを得ることができる。
【0128】
本発明によれば、監視対象の出力電圧VOUTが正常であるときにパワーグッド出力VPGをアクティブなHレベルに立ち上げるタイミングについて、遅延時間を付加しない即時応答機能もしくは一定の遅延時間を付加するディレイ機能のどちらかを選ぶ設定をプルアップ抵抗30の抵抗値R30の選択によって行うことができる。上記第2の実施形態において、遅延時間を付加しない即時応答機能を選択するときは、プルアップ抵抗30の抵抗値R30を抵抗閾値RTH1より低い値に選び、遅延時間を付加するディレイ機能を選択するときは、プルアップ抵抗30の抵抗値R30を抵抗閾値RTH1より高い値に選ぶこととする決まり事は一例である。逆ロジックの決まり事も可能である。
【0129】
すなわち、即時応答機能を選択するときは、プルアップ抵抗30の抵抗値R30を抵抗閾値RTH1より高い値に選び、遅延時間を付加するディレイ機能を選択するときは、プルアップ抵抗30の抵抗値R30を抵抗閾値RTH1より低い値に選ぶこととする決まり事も可能である。この場合、制御回路50は、モニタ電流Iが電流閾値ITH1より小さいとき(R30>RTH1の場合)は、モニタ時間Tの終了後直ちに出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60の双方をオフ状態にし、モニタ電流Iが電流閾値ITH1より大きいとき(R30<RTH1の場合)は、モニタ時間Tの終了後所定の遅延時間Tが経過してから出力トランジスタ58およびバイパストランジスタ60の双方をオフ状態にする。上記第2の実施形態に限らず、他の上記実施形態においても、プルアップ抵抗30の抵抗値R30の選択に関する決まり事のロジックを逆にすることができる。
【0130】
一般に、パワーグッド回路は、所与の半導体回路装置の任意の出力電圧を監視対象とし、その出力電圧の状態を二値の論理レベルで示す出力電圧監視回路の一種として提供されている。本発明は、パワーグッド回路に限定されず、監視対象の出力電圧の状態を二値の論理レベルで示す電圧監視出力を所与の半導体回路装置に与える他の出力電圧監視回路にも適用可能である。さらに、本発明は、電源ICに内蔵または接続されるパワーグッド回路または出力電圧監視回路に限定されず、電源IC以外の半導体回路装置に内蔵または接続されるパワーグッド回路または出力電圧監視回路にも適用可能である。
【0131】
本発明のパワーグッド回路または出力電圧監視回路における判定回路は、監視対象の出力電圧が正常であるか否かを判定するために複数(たとえば下限および上限)の基準電圧を用いてもよい。
【符号の説明】
【0132】
12 電源IC
14 負荷IC
16 スイッチング電源
28 電圧検出回路
30,30# プルアップ抵抗
50,50Φ,50#,50θ パワーグッド回路
52 判定回路
58,59 出力トランジスタ
60 バイパストランジスタ
62,62Φ,62θ 制御回路
64,66 NMOSトランジスタ
65 モニタ電流検出部
68,68A,68B,68C 定電流源
70,70A,70B,70C 判別回路
72,72Φ,72θ ロジック回路
74 ヒステリシスインバータ
80 遅延回路
86 D型フリップフロップ(DFF)
88,88Φ タイマ回路
102 DC/DCコンバータ
104,106 LDO(低ドロップリニアレギュレータ)
PG パワーグッド端子
108,110 負荷IC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B