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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】半導体装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20241030BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
H01L29/78 616U
H01L29/78 616S
H01L29/44 L
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023032453
(22)【出願日】2023-03-03
(65)【公開番号】P2023129385
(43)【公開日】2023-09-14
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】63/268,868
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/663,355
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8, Li-Hsin Rd.6, Hsinchu Science Park, Hsinchu, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】何 柏勳
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/031067(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/016265(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/197321(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 29/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属を含む第1の金属層と、前記第1の金属層上にある二次元接触層と、を含む第1のソース及びドレイン領域と、
前記第1の金属層の側壁に物理的に接触する隔離層であって、前記二次元接触層前記隔離層上まで突出する前記隔離層と、
前記隔離層上にあり、側壁が前記二次元接触層の側壁に物理的に接触する二次元半導体層と、
前記二次元半導体層上にあるゲートスタックと、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記二次元接触層及び前記ゲートスタックに延在し、前記二次元接触層にドーピング効果を提供するドーピング層を更に備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記二次元半導体層の複数の頂面は、前記二次元接触層を含まない請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記二次元接触層は、前記第1の金属を含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記二次元接触層は、前記二次元半導体層まで突出する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1の金属材料上にある第1の二次元接触層を含む第1のドレイン領域と、
前記第1の金属材料上にある前記第1の二次元接触層を含む第1のソース領域と、
前記第1のドレイン領域から前記第1のソース領域まで延伸し、前記第1のドレイン領域の前記第1の二次元接触層の側壁及び前記第1のソース領域の前記第1の二次元接触層の側壁に物理的に接触する第1の二次元半導体層と、
前記第1の二次元半導体層上にある第1のゲート誘電体材料と、
前記第1のゲート誘電体材料上にある第1のゲート電極材料と、
前記第1のドレイン領域、前記第1のソース領域、前記第1のゲート誘電体材料及び前記第1のゲート電極材料に延在する第1のドーピング層と、
を備える第1のトランジスタを備える半導体装置。
【請求項7】
第2の金属材料上にある第2の二次元接触層を含む第2のドレイン領域と、前記第2の金属材料上にある前記第2の二次元接触層を含む第2のソース領域と、前記第2のドレイン領域から前記第2のソース領域まで延伸し、前記第2のドレイン領域の前記第2の二次元接触層の側壁及び前記第2のソース領域の前記第2の二次元接触層の側壁に物理的に接触する第2の二次元半導体層と、前記第2の二次元半導体層上にある第2のゲート誘電体材料と、前記第2のゲート誘電体材料上にある第2のゲート電極材料と、前記第2のドレイン領域、前記第2のソース領域、前記第2のゲート誘電体材料及び前記第2のゲート電極材料に延在する第2のドーピング層と、を含み、前記第1のトランジスタに隣接する第2のトランジスタを更に備える請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1のドレイン領域は、前記第2のドレイン領域に隣接し、前記第1のソース領域は、前記第2のソース領域に隣接し、且つ、前記半導体装置は、
前記第1のゲート電極材料及び前記第2のゲート電極材料に物理的に接触し電気的に接触するゲートコンタクトを更に備える請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の金属材料に物理的に接触するように、延伸して前記第1の二次元接触層を通過するソース及びドレインコンタクトを更に備える請求項6又は7に記載の半導体装置。
【請求項10】
二次元半導体層を隔離層に形成する工程と、
ゲート構造を前記二次元半導体層に形成する工程と、
前記二次元半導体層に隣接する開口を前記隔離層内に形成する工程と、
金属材料を前記開口内に堆積する工程と、
二次元接触層の側壁が前記二次元半導体層の側壁に物理的に接触し電気的に接触するように、前記二次元接触層を前記金属材料に形成する工程と、
ドーピング層を前記二次元接触層及び前記ゲート構造に堆積する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ及び他の電子機器等の様々な電子用途に用いられる。半導体装置は、一般的に、絶縁層又は誘電体層、導電層及び半導体層の材料を半導体基材上に連続的に堆積し、リソグラフィプロセスによって各種の材料層をパターニングして、その上に回路モジュール及び素子を形成することで製造される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】KONG, Desheng et al., “Synthesis of MoS2 and MoSe2 Films with Vertically Aligned Layers.” Nano Letters, ACS Publications, March 13, 2013, pp.1341-11347. KONG, Deshengら、「MoS2の合成及び垂直方向に整列された層を有するMoSe2フィルム」、Nano Letters、ACS Publications、2013年3月13日、pp.1341-11347。
【文献】LIN, Huihui et al., “Growth of Environmentally Stable Transition Metal Selenide Films,” Nature Materials Articles, https://doi.org/10.1038/s41563-019-0321-8, 2019, pp.1-7. LIN, Huihuiら、「環境的に安定した遷移金属セレン化物フィルムの成長」、Nature Materials Articles、https://doi.org/10.1038/s41563-019-0321-8、2019、pp.1-7。
【文献】LIU, Xiaochi et al., “Fermi Level Pinning Dependent 2D Semiconductor Devices: Challenges and Prospects,” Advanced Materials April 2022, pp.1-25. LIU, Xiaochiら、「フェルミレベルピンニングに依存する2D半導体デバイス:挑戦と展望」、Advanced Materials、2022年4月、pp.1-25。
【文献】YEH, Chao-Hui et al., “Graphene-Transition Metal Dichalocogenide Heterojunctions for Scalable and Low-Power Complementary Integrated Circuits,” January 14, 2020, pp.985-992. YEH, Chao-Huiら、「スケーラブルで低電力の相補型集積回路のためのグラフェン遷移金属ジカルコゲナイドヘテロ接合」、2020年1月14日、pp.985-992。
【文献】Yoo, H. et al. “Recent Advances in Electrical Doping of 2D Semiconductor Materials: Methods, Analyses, and Applications,” Nanomaterials, MDPI, March 22,2021, pp.1~21. Yoo, H.ら、「2D半導体材料の電気的ドーピングにおける最近の進歩:方法、分析及び適用」、Nanomaterials、MDPI、2021年3月22日、pp.1~21。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体業界では、より多くのモジュールが所定の領域に統合されるように、最小特徴サイズを持続的に縮小することで、各種の電子モジュール(例えば、トランジスタ、ダイオード、抵抗器、キャパシタ等)の集積密度を最適化しつつある。しかしながら、最小特徴サイズの縮小につれて、追加的に発生した問題を処理する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、第1の金属を含む第1の金属層と、第1の金属層上にある導電性二次元材料と、を含む第1のソース及びドレイン領域と、第1の金属層の側壁に物理的に接触し、導電性二次元材料がそこまで突出する隔離層と、隔離層上にあり、側壁が導電性二次元材料の側壁に物理的に接触する二次元半導体材料と、二次元半導体材料上にあるゲートスタックと、を備える半導体装置を提供する。
【0006】
本開示の別の態様は、第1の金属材料上にある第1の二次元コンタクト材料を含む第1のドレイン領域と、第1の金属材料上にある第1の二次元コンタクト材料を含む第1のソース領域と、第1のドレイン領域から第1のソース領域まで延伸し、第1のドレイン領域の第1の二次元コンタクト材料の側壁及び第1のソース領域の第1の二次元コンタクト材料の側壁に物理的に接触する第1の二次元チャネル材料と、第1の二次元チャネル材料上にある第1のゲート誘電体材料と、第1のゲート誘電体材料上にある第1のゲート電極材料と、第1のドレイン領域、第1のソース領域、第1のゲート誘電体材料及び第1のゲート電極材料に延在する第1のドーピング層と、を含む第1のトランジスタを備える半導体装置を提供する。
【0007】
本開示の更なる態様は、低次元半導体層を隔離層に形成する工程と、ゲート構造を低次元半導体層に形成する工程と、低次元半導体層に隣接する開口を隔離層内に形成する工程と、金属材料を開口内に堆積する工程と、その側壁が低次元半導体層の側壁に物理的に接触し電気的に接触するように、低次元接触層を金属材料に形成する工程と、ドーピング層を低次元接触層及びゲート構造に堆積する工程と、を含む半導体装置の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の詳細な説明に基づき、図面に合わせて読むと、本開示の態様が好ましく理解される。当業界の標準的な慣行によれば、多くの特徴は縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。実際には、明らかに検討するために、多くの特徴のサイズは、任意に増減可能である。
図1A-13B】幾つかの実施例によるトランジスタ装置の中間形成段階を示す上面図及び断面図である。
図14A-14B】幾つかの実施例によるトランジスタ装置の中間形成段階を示す上面図及び断面図である。
図15】幾つかの実施例によるトランジスタ装置の中間形成段階を示す断面図である。
図16】幾つかの実施例によるトランジスタ装置の中間形成段階を示す断面図である。
図17A-17B】幾つかの実施例によるp型トランジスタ及びn型トランジスタの中間形成段階を示す断面図である。
図18A-18B】幾つかの実施例によるp型トランジスタ及びn型トランジスタの中間形成段階を示す断面図である。
図19A-19B】幾つかの実施例によるp型トランジスタ及びn型トランジスタの中間形成段階を示す断面図である。
図20A-20B】幾つかの実施例によるp型トランジスタ及びn型トランジスタの中間形成段階を示す断面図である。
図21A-21B】幾つかの実施例によるp型トランジスタ及びn型トランジスタの中間形成段階を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の異なる特徴を実施するように、以下の開示により、多くの異なる実施例又は例示を提供する。以下に述べられるモジュール及び配置形態の特定の例は、本開示を簡略化するためのものである。これらは、勿論、単に例示に過ぎず、制限するためのものではない。例としては、第1の特徴が第2の特徴の上又は上方に形成されるという記述は、第1の特徴と第2の特徴が直接接触する実施例を含み、他の特徴が第1の特徴と第2の特徴の間に形成されて第1の特徴と第2の特徴が直接接触しない実施例をも含む。その他、本開示の各種の具体例において、素子の符号及び/又はアルファベットが繰り返される。この繰り返しは、説明を簡略化するとともに明らかにするためのものであり、様々な検討される実施例及び/又は配置の間に関係があるわけではない。
【0010】
なお、「下方(underlying)」、「~の下(below)」、「より低い(lower)」、「上方(overlying)」、「より高い(upper)」等の空間相対的用語は、図面に示す部品又は特徴と他の部品又は特徴との関係を記述しやすくするためのものである。空間相対的用語は、図面に描かれた方向の他、素子の使用又は操作時における異なる方向を更に含む。装置は、他の形態で配置されてもよいが(90度回転又は他の方向)、本開示において使用される空間相対的記述もこのように理解されてもよい。
【0011】
本明細書において検討される実施例は、本開示の態様を製造又は利用可能な具体例を提供するものであり、当業者であれば、修飾が加えられた異なる実施例が依然として包含される範囲内に保持されることを理解すべきである。様々な視図及び説明される実施例により、類似する符号は、類似する素子を記述するために用いられる。方法の実施例は、特定の順序で行われるが、他の方法の実施例は、任意の論理的順序で行われてもよい。
【0012】
幾つかの実施例において、トランジスタ装置は、二次元(two-dimensional;2D)チャネル層を隔離層に形成することで形成される。ソース及びドレイン領域は、隔離層内に埋め込まれるとともに、二次元チャネル層に隣接するように形成される。ソース及びドレイン領域は、二次元チャネル層の側壁に電気的に接触し、ソース及びドレイン領域と二次元チャネル層との間の接触抵抗を低下させることができる。幾つかの実施例において、ソース及びドレイン領域は、金属上にある導電性接触層を含み、接触層は、二次元チャネル層の側壁に物理的に接触し電気的に接触する。幾つかの実施例において、導電性接触層は、二次元材料である。幾つかの実施例において、ドーピング層は、導電性接触層に対する二次元チャネル層のドーピングを提供するように、導電性接触層に形成される。このように、二次元チャネル層の自己整合接触を形成可能であり、それによって接触抵抗が低減される。その他、本明細書に記載の技術によれば、二次元チャネル層が破壊又は汚染されるリスクを低減することができる。
【0013】
図1A図1B図2A図2B図3A図3B図4A図4B図5A図5B図6A図6B図7A図7B図8A図8B図9A図9B図10A図10B図11A図11B図12A図12B図13A及び図13Bは、本開示の幾つかの実施例によるトランジスタ装置の中間形成段階を示す上面図及び断面図であり、トランジスタ装置は、p型トランジスタ130P及びn型トランジスタ130Nを含む(図13A図13B参照)。これらの図面における符号の数字の後にアルファベット「A」又は「B」が続き、アルファベット「A」により指示される各視図は、平面図(上面図)であり、アルファベット「B」により指示される各視図は、断面図である。例えば、図1Bは、図1Aにおいて指示される参照断面B-B’に沿う断面図を示す。別途説明しない限り、断面図の図面は、各視図の断面から得られ、図1Aに示す参照断面B-B’に類似する。
【0014】
図1A及び図1Bは、それぞれ幾つかの実施例による基材100を示す上面図及び断面図である。幾つかの実施例において、基材100は、バルク半導体、半導体・オン・インシュレータ(semiconductor-on-insulator;SOI)基材等の半導体基材であってよい。基材100は、(例えば、p型又はn型ドーパントで)ドーピングされてもよく、又はドーピングされなくてもよい。基材100は、シリコンウェハ等のウェハの一部であってよい。一般的には、SOI基材は、絶縁層に形成される半導体材料層である。例えば、絶縁層は、埋め込み酸化層(buried oxide;BOX)、酸化シリコン層等であってよい。絶縁層は、基材上に提供され、一般的にシリコン又はガラス基材である。多層又は勾配基材等の他の基材を使用してもよい。幾つかの実施例において、基材100の半導体材料は、シリコン;ゲルマニウム;炭素ドーピングシリコン、ヒ化ガリウム、リン化ガリウム、リン化インジウム、ヒ化インジウム及び/又はアンチモン化インジウムを含む化合物半導体;シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、アルミニウムインジウムヒ素(AlInAs)、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)、インジウムガリウムヒ素(GaInAs)、ガリウムインジウムリン(GaInP)及び/又はガリウムインジウムヒ素リン(GaInAsP)を含む合金半導体;又はそれらの組み合わせ等を含んでよい。基材100は、サファイア(sapphire)、酸化インジウムスズ(indium tin oxide;ITO)等の他の材料からなってもよい。
【0015】
幾つかの実施例によれば、隔離層102は、基材100に形成される。隔離層102は、基材100に物理的に接触してもよく、又は物理的に接触しなくてもよい。幾つかの実施例において、他の層及び/又は装置は、隔離層102と基材100との間に介在してもよい。他の層又は装置は、層間誘電体(inter-layer dielectrics;ILD)、金属間誘電体(inter-metal dielectrics;IMD)、低誘電率(k)誘電体層等又はそれらの組み合わせ等の誘電体層を含んでよい。装置の他の層は、導電経路(conductive routing)、金属線、スルーホール、再分配層、メタライズパターン等又はそれらの組み合わせ等の金属特徴を含んでよい。例えば、受動装置(キャパシタ、抵抗器、電気伝導体等)及び/又は能動装置(トランジスタ、ダイオード等)の集積回路装置は、隔離層102と基材100との間に形成されてもよく、又は形成されなくてもよい。
【0016】
本開示の幾つかの実施例によれば、隔離層102は、窒化物(例えば、窒化シリコン)、酸化物(例えば、酸化シリコン)、他の誘電体材料[例えば、炭化シリコン、炭化酸化シリコン、窒化酸化シリコン、炭化窒化酸化シリコン、六方晶窒化ホウ素(hexagonal boron nitride;hBN)等]又は高k誘電体材料(例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン等)又はアモルファス層からなる。幾つかの実施例において、隔離層102は、リンケイ酸ガラス(phospho-silicate glass;PSG)、ホウケイ酸ガラス(boro-silicate glass;BSG)、ホウ素ドープリンケイ酸ガラス(boron-doped phospho-silicate glass;BPSG)、フッ素ドープケイ酸ガラス(fluorine-doped silicate glass;FSG)等又はそれらの組み合わせからなり、又は、リンケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウ素ドープリンケイ酸ガラス、フッ素ドープケイ酸ガラス等又はそれらの組み合わせを含む。隔離層102は、単一層構造又は複数の層を含む複合構造を有してよい。例えば、隔離層102は、二重層構造、三重層構造等を含んでよい。二重層構造は、酸化シリコン層及び酸化シリコン層上にある窒化シリコン層のような異なる材料からなる二層を含んでよい。層間誘電体は、スピンコート、流動化学気相成長(Flowable Chemical Vapor Deposition;FCVD)等により形成可能である。本開示の別の幾つかの実施例によれば、層間誘電体は、プラズマ化学気相成長(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition;PECVD)、低圧化学気相成長(Low Pressure Chemical Vapor Deposition;LPCVD)等の堆積方法により形成される。
【0017】
隔離層102のプロセスは、原子層堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)プロセス、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition;CVD)プロセス、プラズマ化学気相成長(PECVD)プロセス、プラズマ原子層堆積(Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition;PEALD)プロセス、流動式化学気相成長(FCVD)プロセス、低圧化学気相成長(LPCVD)、スピンコート等を含む1つ又は複数の堆積プロセスを含んでよい。本開示の幾つかの実施例によれば、隔離層102は、熱酸化、化学酸化等により形成されてもよく、例えば、酸化シリコンを含む場合、基材100は、シリコンからなるか、又はシリコンを含む。
【0018】
図1Bに示すように、幾つかの実施例によれば、エッチングストップ層103は、隔離層102に形成される。エッチングストップ層103は、上方の隔離層104のエッチング選択性(以下に説明)と異なる材料からなるか、又は前述した材料を含んでよい。例えば、エッチングストップ層103は、酸化物(例えば、酸化シリコン)、窒化物(例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、炭化酸化シリコン、炭化窒化酸化シリコン)、金属酸化物又は高k誘電体材料(例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン等)であってよい。他の材料である場合もある。エッチングストップ層103は、上記した隔離層102に適用される技術等の適切な技術により形成可能である。他の実施例において、エッチングストップ層103を形成しない。
【0019】
幾つかの実施例において、隔離層104は、エッチングストップ層103(存在すれば)に形成される。隔離層104は、1つ又は複数の材料層を含んでよく、下方のエッチングストップ層103と異なるエッチング選択性を有する。幾つかの実施例において、隔離層104は、1つ又は複数の上記隔離層102の材料を含むが、他の材料である場合もある。隔離層104は、上記した隔離層102に適用される技術等の適切な技術により形成可能である。
【0020】
同様に、図1Bに示すように、幾つかの実施例によれば、基材100は、p型領域10P及びn型領域10Nを有してよい。p型領域10Pは、p型フィン型電界効果トランジスタ又はp型プレーナトランジスタ等のp型金属酸化膜半導体(p-type metal oxide semiconductor;PMOS)トランジスタのようなp型装置を形成するために使用可能である。n型領域10Nは、n型フィン型電界効果トランジスタ又はn型プレーナトランジスタ等のn型金属酸化膜半導体(n-type metal oxide semiconductor;NMOS)トランジスタのようなn型装置を形成するために使用可能である。図1A及び図1Bは、p型領域10Pがn型領域10Nに隣接する一実施例を示す。別の幾つかの実施例において、p型領域10Pは、n型領域10Nと物理的に分離し、且つ、p型領域10Pとn型領域10Nの間に任意の数の装置特徴(例えば、他の能動装置、ドーピング領域、隔離構造等)が設けられてもよい。
【0021】
図2A及び図2Bにおいて、幾つかの実施例によれば、半導体層106、ゲート誘電体層108及びゲート電極110を形成する。半導体層106は、後で形成されるトランジスタ内におけるチャネル層又は能動層とされてよい。本開示の幾つかの実施例によれば、半導体層106は、二次元材料からなり、1つの単一層又は複数の単一層を含んでよい。このように、1つ又は複数の二次元材料の単一層で形成される半導体層は、ここで「二次元半導体層」とされてよい。幾つかの実施例において、半導体層106は、カーボンナノチューブネットワーク(carbon nanotube networks)、配向カーボンナノチューブ(aligned carbon nanotube)を含んでよい。カーボンナノチューブネットワーク及び配向カーボンナノチューブは、浸漬、ドロップキャスティング(drop-casting)等の方法により形成可能である。
【0022】
幾つかの実施例において、半導体層106は、遷移金属ジカルコゲナイド(Transition Metal Dichalcogenides;TMD)等の1つ又は複数の二次元材料を含んでよい。遷移金属ジカルコゲナイド材料は、遷移金属及びVIA族元素(例えば、酸素族元素)の化合物であってよい。遷移金属は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、テクネチウム(Tc)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等を含んでよい。VIA族元素は、硫黄、セレン、テルル等であってよい。例えば、半導体層106は、硫化モリブデン(MoS)、セレン化モリブデン(MoSe)、硫化タングステン(WS)、セレン化タングステン(WSe)、硫化レニウム(ReS)等からなってよい。半導体層106は、硫化スズ(SnS)、セレン化インジウム(InSe)、フォスフォレン(phosphorene)、テルレン(tellurene)、グラフェン等の他の材料を含んでもよい。遷移金属ジカルコゲナイド材料の形成は、例えば酸化モリブデン(MoO)粉末及び硫黄又はセレン粉末を前駆体とし、且つ窒素ガス(N)をキャリアガスとして用いる化学気相成長を含んでよい。本開示の別の幾つかの実施例によれば、遷移金属ジカルコゲナイド材料を形成するために、プラズマ化学気相成長又は他の適用可能な方法を用いてもよい。本開示の幾つかの実施例によれば、半導体層106の厚みの範囲は、約0.3nm~約10nmであるが、他の厚みであってもよい。半導体層106の厚みは、半導体層106における単一層の数によるものである。
【0023】
しかしながら、上記プロセスは、単に説明するためのものに過ぎず、実施例を制限しようとするものではない。なお、半導体層106を隔離層104に形成又は設置する任意の適切なプロセスを利用してもよい。例えば、MoO及び硫化水素(HS)の前駆体又はモリブデン及び硫化水素の前駆体を利用する化学気相成長プロセスを利用してもよい。幾つかの実施例において、MoSターゲットを利用する物理気相成長プロセスを使用してもよい。その他、スピンコートされたテトラチオモリブデン酸アンモニウム((NHMoS)の解離、又は半導体層106を(例えば、銅、ニッケル、サファイア等)上に成長させてから、半導体層106を隔離層104に転写するプロセス等の任意の他の適切なプロセスを使用してもよい。幾つかの実施例において、半導体層106の遷移金属ジカルコゲナイド材料は、基材100と分けるバルクとして形成され、その後、バルク半導体層材料の層は、除去されて隔離層104上に設けられてよい。半導体層106の形成又は設置に適切な任意の方法を使用してもよく、全てのこのような方法は、実施例の範囲内に含まれる。
【0024】
その後、ゲート誘電体層108は、半導体層106に堆積される。幾つかの実施例によれば、ゲート誘電体層108は、高k誘電体材料[例えば、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化エルビウム(ErO)、六方晶窒化ホウ素等]を含むが、他の金属酸化物、酸化シリコン、窒化シリコン等の他の材料を使用してもよい。幾つかの実施例において、ゲート誘電体層108は、複数種の材料を含み、例えば、1つ又は複数の以上に挙げられた材料の組み合わせを含む。堆積方法は、原子層堆積、化学気相成長、プラズマ化学気相成長等を含んでよい。幾つかの実施例によれば、ゲート誘電体層108の厚みの範囲は、約0.5nm~約50nmである。他の厚みである場合もある。
【0025】
その後、導電層110は、ゲート誘電体層108に形成される。続いて、導電層110は、ゲート電極110を形成するようにパターニングされる(図4A図4B参照)。導電層110は、例えば、窒化チタン、酸化チタン、窒化タンタル、炭化タンタル、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、タングステン等の金属含有材料、それらの組み合わせ又はそれらの多層を含んでよい。他の材料である場合もある。例えば、単一導電層110は図2A図2Bに示されているが、導電層110は、任意の数のシード層、任意の数のライナー層又は任意の数の仕事関数調整層を含んでもよい。導電層110は、物理気相成長、化学気相成長、スパッタリング堆積、電気メッキ又は他の当分野で公知の導電性材料を堆積するための技術により堆積される。導電層110を形成した後、導電層110の頂面を平坦化するように、平坦化プロセス[例えば、化学機械研磨(chemical mechanical polish;CMP)]を行ってよい。幾つかの実施例によれば、導電層110の厚みの範囲は、約10nm~約30nmである。他の厚みである場合もある。
【0026】
図3A図3Bは、幾つかの実施例による導電層110、ゲート誘電体層108及び半導体層106のパターニングを示す。図3A及び図3Bにおいて、幾つかの実施例によれば、パターニングマスク112は、導電層110に形成される。例えば、パターニングマスク112は、まずマスク材料を導電層110に堆積することで形成されてよい。例えば、マスク材料は、酸化物、窒化物等の材料、フォトレジスト層等、又は多層のフォトレジスト構造等であってよい。マスク材料は、適切な技術(例えば、化学気相成長、スピンコート等)により堆積されてよい。その後、マスク材料は、パターニングマスク112を形成するように、適切なフォトリソグラフィ及びエッチング技術によりパターニングされてよい。
【0027】
図4A及び図4Bにおいて、幾つかの実施例によれば、パターニングマスク112のパターンは、導電層110、ゲート誘電体層108及び半導体層106に転写される。例えば、エッチングプロセスは、パターニングマスク112をエッチングマスクとして用いて行われてよい。エッチングプロセスは、異方性であり得る1つ又は複数の適切なウェットエッチングプロセス及び/又はドライエッチングプロセスを含んでよい。幾つかの実施例において、エッチングプロセスは、隔離層104をエッチングストップ層とするように、選択性を有してよい。エッチングプロセスの後、幾つかの実施例において、パターニングマスク112は、導電層110上に保留することができる。
【0028】
図4A図4Bに示すように、エッチングプロセスにより、p型領域10Pに半導体層106Pを形成し、n型領域10Nに半導体層106Nを形成する。半導体層106Pは、例えばp型領域10Pにおけるp型トランジスタのチャネル領域を形成し、半導体層106Nは、例えばn型領域10Nにおけるn型トランジスタのチャネル領域を形成する。別の幾つかの実施例において、複数の半導体層106P又は複数の半導体層106Nを形成してもよい。別の幾つかの実施例において、半導体層106P及び半導体層106Nは、半導体層106の単一連続領域に隣接するように形成されてもよい。
【0029】
ゲート誘電体層108をパターニングし、p型領域10Pにおける半導体層106P上にゲート誘電体層108Pを形成し、n型領域10Nにおける半導体層106N上にゲート誘電体層108Nを形成する。導電層110をパターニングし、p型領域10Pにおけるゲート誘電体層108P上にゲート電極110Pを形成し、n型領域10Nにおけるゲート誘電体層108N上にゲート電極110Nを形成する。ゲート電極110P及びゲート誘電体層108Pは、共同して「p型ゲートスタック」又は「p型ゲート構造」とされてよい。これに類似するように、ゲート電極110N及びゲート誘電体層108Nは、共同して「n型ゲートスタック」又は「n型ゲート構造」とされてよい。幾つかの実施例において、ゲートスタックは、約5nm~約1000nmの範囲内にある長さL1を有してよいが、他の長さである場合もある。
【0030】
図5A図8Bは、幾つかの実施例によるソース及びドレイン金属116の形成を示す。ソース及びドレイン金属116及び後で形成される接触層118(図9A図9B参照)は、半導体層106に接触するソース及びドレイン領域120を形成する(図11A図11B参照)。図5A図5Bにおいて、パターニングフォトレジスト114は、隔離層104上であってゲートスタックの周りに形成される。例えば、フォトレジスト114は、スピンコート等により形成されてよく、且つ、適切なフォトリソグラフィ技術によりパターニングされてよい。ソース及びドレイン金属116(図7A図8B参照)に対応するフォトレジスト114を貫通するようにパターニングすることで開口113を形成する。開口113により、隔離層104のゲートスタックに隣接する領域を露出させることができる。図5A図5Bに示すように、ゲートスタックは、パターニングマスク112により覆われているように保持されてよい。
【0031】
図6A及び図6Bにおいて、幾つかの実施例によれば、フォトレジスト114のパターンにおける開口113は、延伸して隔離層104を通過する。エッチングプロセスでは、パターニングフォトレジスト114とパターニングマスク112を組み合わせエッチングマスクとして用いてもよい。例えば、隔離層の開口113により露出した部分をエッチングするように、ウェットエッチングプロセス及び/又はドライエッチングプロセスを行ってよい。エッチングプロセスは、異方性であってよい。図6A図6Bに示すように、エッチングプロセスは、エッチングストップ層103に停止してよい。エッチングプロセスにより、開口113を半導体層106に隣接する隔離層104に形成する。幾つかの実施例において、隔離層104における開口113は、半導体層106から別の半導体層106まで延伸してよく、例えば、p型領域10Pにおける2つの半導体層106Pの間に介在し、n型領域10Nにおける2つの半導体層106Nの間に介在し、又は、図6A図6Bに示すように、半導体層106Pと半導体層106Nの間に介在する。
【0032】
別の幾つかの実施例において、エッチングストップ層103は、存在しない。幾つかの例において、エッチングプロセスにより、パターニングフォトレジスト114及び/又はパターニングマスク112の上部部分を除去してよい。別の幾つかの実施例において、エッチングプロセスでは、隔離層104を完全に通過するように開口を延伸させなくてもよく、又はエッチングプロセスにより隔離層104の下にある他の層をエッチングしてもよい。
【0033】
図7A及び図7Bにおいて、幾つかの実施例によれば、ソース及びドレイン金属116の材料を堆積する。幾つかの例において、ソース及びドレイン金属116は、隔離層104における開口113内であって、パターニングフォトレジスト114及び/又はパターニングマスク112の表面の一部に堆積されてよい。ソース及びドレイン金属116は、原子層堆積、物理気相成長、化学気相成長、スパッタリング堆積、電気メッキ(例えば、電気メッキ又は無電解メッキ)又は他の当分野で公知の導電性材料を堆積するための他の技術により形成可能である。幾つかの実施例において、導電性材料は、例えば、窒化チタン、酸化チタン、窒化タンタル、炭化タンタル、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、タングステン、ニッケル、チタン、タンタル、ビスマス、スズ、アンチモン、金、白金、カドミウム、ニオブ、銅等の金属含有材料、それらの組み合わせ又はそれらの多層を含んでよい。例えば、ソース及びドレイン金属116は図7A図7Bに示されているが、ソース及びドレイン金属116は、一層以上の導電性材料を含んでもよい。
【0034】
ソース及びドレイン金属116の形成を例とし、シード層(図示せず)は、パターニングフォトレジスト114上、パターニングマスク112上及び開口113内に形成されてよい。幾つかの実施例において、シード層は、金属層であり、それは、単一層、又は異なる材料で形成された副層を含む複合層であってもよい。シード層は、例えば物理気相成長等により形成可能である。導電性材料は、シード層に形成される。導電性材料は、電気メッキ(例えば、電気メッキ又は無電解メッキ)等により形成可能である。
【0035】
別の幾つかの実施例において、p型領域10Pにおけるソース及びドレイン金属116の材料は、n型領域10Nにおけるソース及びドレイン金属116の材料とは異なる。例えば、領域10P/領域10Nの何れか1つにおけるソース及びドレイン金属116の材料は、選択的に領域10P/領域10Nの何れか1つに適する仕事関数を有するものであってよい。幾つかの実施例において、p型領域10Pとn型領域10Nにおいて異なる堆積プロセスを用いてもよく、p型領域10Pにおける1つ又は複数の材料の堆積過程でn型領域がマスク(例えば、フォトレジスト)により覆われ、また、n型領域10Nにおける1つ又は複数の材料の堆積過程でp型領域がマスクにより覆われる。このように、幾つかの実施例において、より多い又は異なるフォトリソグラフィ及びパターニング工程を使用してよい。他の技術又はプロセスである場合もある。
【0036】
図8A及び図8Bにおいて、幾つかの実施例によれば、パターニングフォトレジスト114及びパターニングマスク112は、除去される。パターニングフォトレジスト114及びパターニングマスク112は、酸素プラズマ、1つ又は複数のウェットエッチングプロセス等又はそれらの組み合わせ等の適切なアッシング又はエッチングプロセスにより除去可能である。パターニングフォトレジスト114及びパターニングマスク112を除去する際に、シード層の部分及びその上に堆積されるソース及びドレイン金属116をも除去する。幾つかの実施例において、パターニングフォトレジスト114及びパターニングマスク112が除去されると、シード層の任意の残りの部分も適切なエッチングプロセスにより除去可能になる。パターニングフォトレジスト114及びパターニングマスク112を除去した後、ソース及びドレイン金属116は、隔離層104における開口113内に保留される。このように、幾つかの例において、ソース及びドレイン金属116の形成は、「自己整合」堆積とされてよい。シード層及びソース及びドレイン金属116の残りの部分は、共同して「ソース及びドレイン金属116」と称されてよい。
【0037】
幾つかの実施例において、図8Bに示すように、ソース及びドレイン金属116は、半導体層106の底面上にあり、且つ半導体層106の頂面下にある。換言すれば、ソース及びドレイン金属116の頂面は、半導体層106の側壁表面に隣接する。別の幾つかの実施例において、ソース及びドレイン金属116の頂面は、半導体層106の底面下にあり、半導体層106の底面と略面一であり、半導体層106の頂面上にあり、又は半導体層106の頂面と略面一である。このように、ソース及びドレイン金属116の頂面は、隔離層104の頂面よりも低く、それと略面一であり、又はその上にあってよい。幾つかの実施例において、ソース及びドレイン金属116の厚み(例えば、頂面の垂直位置)は、ソース及びドレイン金属116の堆積過程における堆積パラメータを制御することで制御可能である。例えば、ソース及びドレイン金属116の厚みは、後で形成される接触層118(図9A図9B参照)が半導体層106に垂直方向に整列されるように制御されてよい。幾つかの実施例において、ソース及びドレイン金属116の厚みの範囲は、約5nm~約100nmであるが、他の厚みである場合もある。
【0038】
図9A及び図9Bにおいて、幾つかの実施例によれば、接触層118は、ソース及びドレイン領域120を形成するように、ソース及びドレイン金属116に形成される。接触層118は、二次元半導体層106の側壁に物理的に接触し電気的に接触する。このように、接触層118は、二次元半導体層106の単一層の側面又は周縁面に電気的に接続される。図9Bに示すように、p型領域10Pにおけるソース及びドレイン金属116の各領域及びその上方の接触層118に、半導体層106Pの側壁に接触するソース及びドレイン領域120Pを形成し、n型領域10Nにおけるソース及びドレイン金属116の各領域及びその上方の接触層118に、半導体層106Nの側壁に接触するソース及びドレイン領域120Nを形成する。ソース及びドレイン領域120は部分的に隔離層104に形成されるため、幾つかの例において、半導体層106の「埋め込みコンタクト」又は半導体層106の「自己整合コンタクト」とされてよい。別の幾つかの実施例において、p型領域10P内に形成されるソース及びドレイン金属116は、n型領域10N内に形成されるソース及びドレイン金属116と異なる材料であってよく、及び/又は、p型領域10P内に形成される接触層118は、n型領域10N内に形成される接触層118と異なる材料であってよい。
【0039】
幾つかの例において、二次元半導体層106の側壁に接触する接触層118を形成することで、ソース及びドレイン領域120と半導体層106の間が、最適化された電気的接続を有することができる。例えば、幾つかの例において、金属と二次元単一層の平坦表面の間の電気的接触は、平坦界面のフェルミレベルピンニング(Fermi-level pinning)のため、大きいショットキー抵抗(Schottky resistance)を有することができる。フェルミレベルピンニングは、使用される特定の金属と殆ど関係がない。従って、フェルミレベルピンニングによって、金属コンタクトと二次元半導体層の平坦表面の間における接触抵抗が大きくなる場合がある。しかしながら、幾つかの例において、金属と二次元単一層の周縁面の間の界面は、フェルミレベルピンニングが小さく、又はなくてもよい。従って、金属と二次元単一層の周縁面の間の電気的接触は、小さいショットキー抵抗を有することができる。このように、二次元半導体層106の平坦表面(例えば、頂面)に電気的に接触する場合に比べ、二次元半導体層106の周縁面(例えば、側壁)に電気的に接触することによって、接触抵抗を低下させることができる。
【0040】
その他、二次元半導体層106の頂面に接触することではなく、前述した二次元半導体層106の側壁に接触するソース及びドレイン領域120を形成することで、ソース及びドレイン領域120の材料堆積過程で、二次元半導体層106の上部単一層に対する破壊を回避することができる。なお、前述した二次元半導体層106の側壁に接触するソース及びドレイン領域120を形成することで、フォトレジスト残留物又は他のタイプのプロセスの残留物が半導体層106の頂面に残るプロセスを回避する。
【0041】
図9A及び図9Bを参照し続け、幾つかの実施例において、接触層118は、導電性二次元材料を含んでよく、1つ又は複数の単一層を含む。このように、接触層118の二次元単一層の周縁面は、半導体層106の二次元単一層の周縁面に物理的に接触し電気的に接触する。二次元接触層118の周縁面が二次元半導体層106に電気的に接続されることで、フェルミレベルピンニングの効果が更に低減され、且つソース及びドレイン領域120と半導体層106の間の接触抵抗がそれに応じて低減可能である。
【0042】
接触層118は、グラフェン、遷移金属ジカルコゲナイド等を含む1つ又は複数の導電性二次元材料を含んでよい。導電性二次元材料は、ドーピングされてもよく、又はドーピングされなくてもよい。幾つかの実施例において、接触層118の単一層は、低kドーピング層122でドーピングされてよく、以下、図10A図10Bを参照しながら詳細に説明する。接触層118の単一層は、ソース及びドレイン金属116に形成される。幾つかの実施例において、接触層118の単一層は、ソース及びドレイン金属116と同じ金属を含んでよい。幾つかの実施例において、ソース及びドレイン金属116の上部部分は、接触層118の単一層に含まれる。
【0043】
幾つかの実施例において、接触層118は、導電性の遷移金属ジカルコゲナイド材料を含む。例えば、接触層118は、二セレン化ニオブ(NbSe)、二硫化ニオブ(NbS)、二セレン化白金(PtSe)、二硫化白金(PtS)、二セレン化バナジウム(VSe)、二硫化バナジウム(VS)等の遷移金属ジカルコゲナイド材料を含んでよい。他の材料である場合もある。幾つかの実施例において、ソース及びドレイン金属116の少なくとも上部部分は、接触層118の上方にある遷移金属を含む。例えば、ソース及びドレイン金属116の上部部分は、ニオブ、白金、バナジウム等を含んでよい。幾つかの実施例において、接触層118の遷移金属ジカルコゲナイド材料の少なくとも一部は、VIA族元素(例えば、硫黄、セレン、テルル等)がソース及びドレイン金属116の上部部分と反応することで形成される。例えば、幾つかの実施例において、遷移金属ジカルコゲナイド材料は、ソース及びドレイン金属116の頂面を硫黄粉末又はセレン粉末に露出させることで、ソース及びドレイン金属116の上部部分を硫化又はセレン化させることができる。幾つかの実施例において、VIA族元素は、約250℃~約700℃のプロセス温度でソース及びドレイン金属116と反応するが、他のプロセス温度である場合もある。別の幾つかの実施例において、接触層118の遷移金属ジカルコゲナイド材料は、ソース及びドレイン金属116を含まずに、ソース及びドレイン金属116に形成されてよい。幾つかの実施例において、接触層118は、(例えば、実質的に)ドーピングされていない導電性遷移金属ジカルコゲナイド材料を含んでよい。別の幾つかの実施例において、化学気相成長、プラズマ化学気相成長、原子層堆積、分子線エピタキシー等の他の適切な技術又は技術の組み合わせにより、導電性遷移金属ジカルコゲナイド材料を形成してもよい。幾つかの実施例において、接触層118を形成した後、アニーリングプロセスを行ってよい。
【0044】
幾つかの実施例において、接触層118は、ドーピング遷移金属ジカルコゲナイド材料からなってよい。幾つかの例において、ドーピング遷移金属ジカルコゲナイド材料は、接触層118の導電性を向上させることができる。遷移金属ジカルコゲナイド材料は、上記導電性遷移金属ジカルコゲナイド材料と同様であるか、又は硫化モリブデン(MoS)、セレン化モリブデン(MoSe)、硫化タングステン(WS)、セレン化タングステン(WSe)、硫化レニウム(ReS)等の異なる遷移金属ジカルコゲナイド材料であってもよい。幾つかの実施例において、ドーパント物質は、接触層118の形成過程に導入されてよい(例えば、in situドーピングを利用する)。幾つかの例において、ドーパント物質は、置換ドーパントとされてよい。例えば、バナジウムの前駆体[例えば、五酸化バナジウム(V)]は、バナジウムドーピング硫化モリブデンを含む接触層118を形成するように、硫化モリブデン(MoS)の形成中に使用可能である。これは、1つの具体例であり、且つ他の遷移金属ジカルコゲナイド材料、ドーパント又は前駆体である場合もある。例えば、幾つかの実施例において、鉄(Fe)、ニオブ(Nb)、レニウム(Re)、スズ(Sn)、塩素(Cl)、窒素(N)、酸素(O)等又はそれらの組み合わせ等の1つ又は複数の他のドーパント物質を使用可能である。別の幾つかの実施例において、化学気相成長、プラズマ化学気相成長、原子層堆積、分子線エピタキシー等の他の適切な技術又は技術の組み合わせにより、ドーピング遷移金属ジカルコゲナイド材料を形成してもよい。幾つかの実施例において、ドーピング遷移金属ジカルコゲナイド材料は、約250℃~約700℃のプロセス温度で形成されてよいが、他のプロセス温度である場合もある。幾つかの実施例において、ドーピングされた接触層118を形成した後、アニーリングプロセスを行ってよい。
【0045】
幾つかの実施例において、接触層118のドーピングは、接触層118を覆う低kドーピング層122を利用し、接触層118の遷移金属ジカルコゲナイド材料にドーピングと類似する効果を提供することで達成可能である。図10A図13Bは、低kドーピング層122が接触層118に効果的なドーピングを提供するために用いられる一実施例であり、以下、詳細に説明する。低kドーピング層122は、接触層118に対する他のドーピング技術に追加的に用いられるか又はその代わりとされてよい。別の幾つかの実施例において、低kドーピング層122を形成せず、且つ、図20A図20Bは、低kドーピング層122を有しない実施例を示し、以下、詳細に説明する。別の幾つかの実施例において、接触層118は、二次元材料ではなく、例えば金属又は金属合金を含む導電性材料層である。図21A図21Bは、接触層118が導電性材料層である実施例を示し、以下、詳細に説明する。
【0046】
幾つかの実施例において、図9Bに示すように、接触層118の頂面は、半導体層106の頂面と略面一である。別の幾つかの実施例において、接触層118の頂面は、半導体層106の頂面下にある。別の幾つかの実施例において、接触層118の頂面は、半導体層106の頂面上にある。以下、図18A図18Bを参照しながら、接触層118の頂面が半導体層106の頂面下にある具体的な実施例を説明する。接触層118の頂面は、隔離層104の頂面上にあり、それと略面一であり、又はその下にあってよい。接触層118の頂面は、半導体層106の頂面上にあり、それと略面一であり、又はその下にあってよい。このように、接触層118と半導体層106の間の接触面積の高さは、半導体層106の高さと略同じであるか、又は半導体層106の高さより小さい。換言すれば、接触層118は、半導体層106の側壁を部分的に又は完全に覆うことができる。
【0047】
幾つかの実施例において、接触層118の厚みの範囲は、約0.4nm~約50nmであるが、他の厚みである場合もある。接触層118の厚みは、半導体層106の厚みよりも大きく、それと略同じであり、又はそれよりも小さい。例において、接触層118の厚みを増やすことで接触層118と半導体層106の間の接触面積を増やすことで、ソース及びドレイン領域120と半導体層106の間の接触抵抗を低下させることができる。例えば、接触層118に形成される単一層の数を制御することで、接触層118の厚みを制御することができる。幾つかの実施例において、ソース及びドレイン領域120の長さL2の範囲は、約3nm~約500nmであるが、他の長さである場合もある。
【0048】
幾つかの実施例によれば、図10A及び図10Bは、低kドーピング層122をソース及びドレイン領域120に形成することを示す。低kドーピング層122は、ソース及びドレイン領域120の接触層118にドーピングと類似する効果を提供するように形成される。この方法における低kドーピング層122の使用は、接触層118の導電性質又は接触抵抗を最適化することができる。図10Bに示す実施例において、低kドーピング層122Pは、p型領域10Pにおける接触層118及びp型ゲートスタック(例えば、ゲート電極110P及びゲート誘電体層108P)に形成されるが、低kドーピング層122Nは、n型領域10Nにおける接触層118及びn型ゲートスタック(例えば、ゲート電極110N及びゲート誘電体層108N)に形成される。低kドーピング層122Pは、下方の接触層118に効果的なドーピングを提供して、p型接触層118Pを形成し、且つ、低kドーピング層122Nは、下方の接触層118に効果的なドーピングを提供して、n型接触層118Nを形成する。
【0049】
幾つかの実施例において、低kドーピング層122Pは、p型領域10P内に形成されてよく、例えば、まずマスク(例えば、フォトレジスト)をp型領域10P及びn型領域10Nに形成してから、p型領域10Pにおける接触層118P及びp型ゲートスタックを露出させるように、マスクをパターニングする。その後、低kドーピング層122Pは、露出した接触層118P及びゲートスタックに堆積可能である。その後、マスクを除去する。続いて、他のマスク(例えば、フォトレジスト)をp型領域10Pに形成し、n型領域10Nにおける接触層118N及びゲートスタックを露出させてよい。その後、低kドーピング層122Nは、露出した接触層118N及びn型ゲートスタックに堆積可能である。その後、マスクを除去する。これは、1つの具体例であり、且つ、例えば、低kドーピング層122Pを形成する前に、低kドーピング層122Nを形成するような他のプロセス工程である場合もある。図10A図10Bには、低kドーピング層122Pと低kドーピング層122Nが横方向に別体でp型領域10Pとn型領域10Nの間にあり、且つ接触層118Pと接触層118Nの間に接触層118のドーピングされていない部分を有する場合が示されている。別の幾つかの実施例において、低kドーピング層122Pと低kドーピング層122Nは、隣接してもよく、互いに物理的に接触してもよく、又は部分的に他方を覆ってもよい。別の幾つかの実施例において、低kドーピング層122は、n型領域10N内ではなく、p型領域10P内に形成されてよく、又はその逆である。
【0050】
低kドーピング層122は、任意の適切な材料からなってもよく、且つ任意の適切なプロセスにより堆積されてもよい。p型領域10Pにおける低kドーピング層122Pは、酸化モリブデン(MoO)、酸化タングステン(WO)、五酸化バナジウム(V)、塩化金(III)(AuCl)、テトラクロロ金(III)酸(HAuCl)、2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7’,8,8’-テトラシアノキノジメタン(2,3,5,6-Tetrafluoro-7,7,8,8-tetracyanoquinodimethane;F4TCNQ)、トリフルオロメタンスルホン酸(Trifluoromethanesulfonic acid;TFSA)、硝酸(HNO)、二酸化窒素(NO)等又はそれらの組み合わせ等の1つ又は複数の材料を含んでよい。n型領域10Nにおける低kドーピング層122Nは、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸セシウム(CsCO)、ポリエチレンイミン(polyethyleneimine)、ベンジルビオロゲン(benzyl viologen)、他の酸化物材料、他の窒化物材料等又はそれらの組み合わせ等の1つ又は複数の材料を含んでよい。これらは具体例であり、別の幾つかの実施例において、低kドーピング層122P又は低kドーピング層122Nは、他の材料又はドーパントを含んでもよい。低kドーピング層122は、化学気相成長、物理気相成長、原子層堆積、スピンコート、蒸着等又は他の技術等の任意の適切な技術により形成可能である。幾つかの実施例において、低kドーピング層122は、約0.8nm~約100nmの範囲内にある厚みを有するように形成されてよいが、他の厚みである場合もある。
【0051】
幾つかの例において、低kドーピング層122は、下方の接触層118に物理的に接触する時に自発的に下方の接触層118に効果的なドーピングを提供する。別の幾つかの実施例において、ドーパント物質を低kドーピング層122及び/又は下方の接触層118に注入するように、イオン注入プロセスを行ってよい。幾つかの例において、イオン注入のパラメータは、接触層に与える破壊が限られているか又は最小であるように制御されてよい。幾つかの実施例において、低kドーピング層122及び/又はイオン注入のドーピング効果を促進又は提供するように、アニーリングを行ってよい。
【0052】
幾つかの実施例において、低kドーピング層122は、接触層118の頂面上、ゲート誘電体層108の側壁上、ゲート電極110の側壁及び頂面上にコンフォーマルに延在してよい。幾つかの実施例において、低kドーピング層122は、半導体層106の側壁に延在してよい。幾つかの例において、接触層118からゲート電極110まで延伸する低kドーピング層122のような低k層の存在によって、接触層118とゲート電極110の間の寄生容量を低減することができる。この方法では、寄生容量を低減することで、装置の速度、効率及び信頼性を最適化することができる。
【0053】
図11A及び図11Bは、幾つかの実施例による低kドーピング層122P及び低kドーピング層122N上への誘電体層124の形成を示す。誘電体層124は、前述した隔離層102又は隔離層104と同様な材料を含んでよく、且つ同様な技術により形成可能である。誘電体層124は、一層の材料又は多層の複数種の材料を含んでよい。幾つかの例において、誘電体層124は、層間誘電体又は金属間誘電体であってよい。幾つかの実施例において、平坦化プロセスは、形成された誘電体層124において行われる。
【0054】
図12A及び図12Bにおいて、幾つかの実施例によれば、接触開口125及び接触開口127を形成する。接触開口125は、後で形成されるソース及びドレインコンタクト126(図13A図13B参照)のために、誘電体層124、低kドーピング層122及び接触層118を通過するように形成される。幾つかの実施例において、接触開口125は、接触層118を通過し、且つソース及びドレイン金属116を露出させるように延伸してよい。接触開口127は、後で形成されるゲートコンタクト128(図13A図13B参照)のために、誘電体層124及び低kドーピング層122を通過するように形成される。幾つかの実施例において、接触開口127により、ゲート電極110を露出させることができる。接触開口125及び接触開口127は、適切なフォトリソグラフィ及びエッチング技術により形成される。接触開口125及び接触開口127は、異なるプロセスで形成されてもよく、又は同一のプロセスで形成されてもよい。
【0055】
図13A及び図13Bにおいて、幾つかの実施例によれば、ソース及びドレインコンタクト126は、接触開口125に形成され、ゲートコンタクト128は、接触開口127に形成される。幾つかの実施例において、選択的なライナー(図示せず)(例えば、拡散バリア層、接着層等)及び導電性材料は、開口125/開口127に形成される。ライナーは、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル等を含んでよい。導電性材料は、銅、銅合金、銀、金、タングステン、コバルト、アルミニウム、ニッケル等又はそれらの組み合わせであってよい。誘電体層124の表面から余分な材料を除去するように、平坦化プロセス(例えば、化学機械研磨)を行ってよい。残りのライナー及び導電性材料で開口125/開口127にソース及びドレインコンタクト126及びゲートコンタクト128を形成する。ソース及びドレインコンタクト126は、ソース及びドレイン領域120に物理的に接続されるとともに電気的に接続される。幾つかの実施例において、ソース及びドレインコンタクト126は、ソース及びドレイン金属116の頂面及び接触層118の側壁表面に物理的に接触し電気的に接触してよい。ゲートコンタクト128は、ゲート電極110に物理的に接続されるとともに電気的に接続される。ソース及びドレインコンタクト126及びゲートコンタクト128は、異なるプロセスで形成されてもよく、又は同一のプロセスで形成されてもよい。同一の断面において形成される場合を示しているが、ソース及びドレインコンタクト126及びゲートコンタクト128のそれぞれは、コンタクトの短絡を回避できるように、異なる断面において形成されてもよいことを理解されたい。
【0056】
この方法では、トランジスタ装置は、低次元(low-dimensional)チャネル層106Pを有するp型トランジスタ130P及び低次元チャネル層106Nを有するn型トランジスタ130Nを含むように形成される。p型トランジスタ130Pは、p型領域10Pに形成されてよく、n型トランジスタ130Nは、n型領域10Nに形成されてよい。幾つかの実施例において、p型トランジスタ130P及びn型トランジスタ130Nは、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor;CMOS)トランジスタ装置を形成し、p型トランジスタ130Pは、PMOS装置とされ、n型トランジスタ130Nは、NMOS装置とされる。例えば、図13A図13Bに示す実施例において、単一のソース及びドレインコンタクト126は、p型トランジスタ130Pのソース及びドレイン領域120P及びn型トランジスタ130Nのソース及びドレイン領域120Nに接触してよい。別の幾つかの実施例において、p型トランジスタ130P及びn型トランジスタ130Nは、他のトランジスタと分離してもよく、又は専用のソース及びドレインコンタクト126を有してもよい。p型トランジスタ130P及びn型トランジスタ130Nの具体例について、以下、図13A図21Bを参照しながら説明する。
【0057】
なお、p型トランジスタ130P及びn型トランジスタ130Nのレイアウトは、図13Aに示すものと異なってもよい。非限定的な具体例として、図14A及び図14Bは、図13A図13Bに示すものと類似するp型トランジスタ130P及びn型トランジスタ130Nを示すが、トランジスタ130P及びトランジスタ130Nは、線形レイアウトではなく、「U型」レイアウトとなるように配置される。簡潔にするために、図14A図14Bにおいて一部の符号及び特徴が省略される。図14Bは、図14Aに示す分断断面ABCDに沿って示され、対応する位置A、B、C及びDは、図14Bにおいて参照符号とされる。他のレイアウト、配列又は配置である場合もある。
【0058】
p型トランジスタ130P又はn型トランジスタ130Nは、図1A図13Bに記載のものと異なるプロセス工程で形成されてよい。非限定的な具体例として、図15は、幾つかの実施例によるp型トランジスタ130P及びn型トランジスタ130Nを示す。図15のトランジスタ130P/トランジスタ130Nは、図13A図13Bに示すトランジスタ130P/トランジスタ130Nと類似するが、低kドーピング層122P/低kドーピング層122Nは、ゲート電極110P/ゲート電極110Nの頂面から除去される。例えば、図11A図11Bに示す誘電体層124を形成した後、ゲート電極110P/ゲート電極110Nの頂面から低kドーピング層122P/低kドーピング層122Nを除去するように、平坦化プロセスを行ってよく、且つ、隔離層104の頂面は、面一であってよい。その後、誘電体層129は、低kドーピング層122P/低kドーピング層122N、ゲート電極110P/ゲート電極110N及び隔離層104に堆積される。誘電体層129は、隔離層104と類似し、且つ類似する技術により形成可能である。幾つかの実施例において、誘電体層129上において平坦化プロセスを行ってよい。その後、前述したように、適切な技術によりソース及びドレインコンタクト126及びゲートコンタクト128を形成可能である。
【0059】
非限定的な具体例として、図16は、幾つかの実施例によるp型トランジスタ130P又はn型トランジスタ130Nを示す。図16のトランジスタ130P/トランジスタ130Nは、図13A図13Bに示すトランジスタ130P/トランジスタ130Nと類似するが、ソース及びドレインコンタクト126は、延伸して隔離層104を通過するとともに、ソース及びドレイン領域120の側壁に接触する。図15のソース及びドレインコンタクト126は、図13A図13Bのソース及びドレインコンタクト126と類似するように形成されるが、接触開口125(図12A図12B参照)は、ソース及びドレイン金属116の頂面下に延在する。このように、ソース及びドレインコンタクト126は、ソース及びドレイン金属116の頂面ではなく、ソース及びドレイン金属116の側壁に物理的に接触し電気的に接触する。幾つかの実施例において、接触開口125によりエッチングストップ層103を露出させることができるため、ソース及びドレインコンタクト126は、エッチングストップ層103に形成される。接触開口125の形成は、ソース及びドレイン領域120のエッチング及び/又は隔離層104のエッチングを含んでよい。例えば、幾つかの実施例において、ソース及びドレイン領域120Pとソース及びドレイン領域120Nは、隔離層104の領域により分けられ、隔離層104は、ソース及びドレイン領域120P及びソース及びドレイン領域120Nの側壁が露出するように、接触開口125のエッチング期間中に除去される。幾つかの実施例において、選択的エッチングにより、ソース及びドレイン領域120の材料を選択的に除去するか又は隔離層104の材料を選択的に除去してよい。別の幾つかの実施例において、ソース及びドレインコンタクト126は、ソース及びドレイン金属116の側壁及び頂面に物理的に接触し電気的に接触してよい。
【0060】
図13A図16Bの実施例においてn型トランジスタ130Nに接続されるp型トランジスタ130Pを記述した場合、別の幾つかの実施例において、p型トランジスタ130P又はn型トランジスタ130Nは、分離するように形成されてもよい。非限定的な具体例として、幾つかの実施例によれば、図17Aは、分離したp型トランジスタ130Pの断面図であり、図17Bは、分離したn型トランジスタ130Nの断面図である。図17A図17Bに示すトランジスタ130P/トランジスタ130Nは、以上に示すもの(例えば、図13A図13Bにおけるもの)と類似し、且つ類似する技術により形成可能である。図18A図21Bは、分離したトランジスタ130P/トランジスタ130Nの各種の実施例を示す。図18A図21Bの実施例に記載の幾つかの特徴は、図13A図13B等に記載の実施例等の前記した他の実施例に適用可能である。
【0061】
図18A及び図18Bは、幾つかの実施例によるp型トランジスタ及びn型トランジスタ130Nを示す断面図である。トランジスタ130P/トランジスタ130Nは、以上の図17A図17Bに記載のトランジスタ130P/トランジスタ130Nと類似するが、接触層118の頂面は、半導体層106の頂面よりも高い。例えば、接触層118の頂面は、ゲート誘電体層108の頂面よりも高いが、ゲート誘電体層108の頂面よりも低い。半導体層106の底面下から半導体層106の頂面上まで延伸する接触層118を形成することで、半導体層106の側壁と接触層118の側壁の間の接触面積を最大化することができる。その他、プロセスが変化した場合、このように接触層118を形成することで、半導体層106と接触層118の間における側壁の完全な接触を確保することに寄与する。
【0062】
図19A及び図19Bは、幾つかの実施例によるp型トランジスタ及びn型トランジスタ130Nを示す断面図である。トランジスタ130P/トランジスタ130Nは、以上に図17A図17Bを参照しながら記載されたトランジスタ130P/トランジスタ130Nと類似するが、ゲート誘電体層108は、横方向に凹み、それにより、接触層118は、半導体層106の側壁の他、更に半導体層106の頂面に物理的に接触し電気的に接触する。ゲート誘電体層108の側壁は、適切なエッチング技術により、任意の適切なプロセス工程において凹んでもよい。例えば、図4A図4Bを参照しながら記載されたゲートスタックのパターニング過程で、ゲート誘電体層108は、ゲート誘電体層108をオーバエッチングすることで、相対異方性エッチングによりゲート誘電体層108をエッチングすることで、又はゲート誘電体層108を選択的にエッチングすることで凹む。これらは具体例であり、ゲート誘電体層108は、他の技術により、及び/又はトランジスタ130P/トランジスタ130Nの異なる製造工程で凹んでもよい。幾つかの実施例において、ゲート誘電体層108の側壁は、横方向の凹み可能距離が約0.1nm~約10nmの範囲内にあり、他の距離である場合もある。ゲート誘電体層108の凹んだ側壁は、実質的に垂直な輪郭、平坦な輪郭、凹んだ輪郭又は不規則な輪郭を有してよい。幾つかの実施例において、図19A図19Bに示すように、凹んだゲート誘電体層108によって、低kドーピング層122がゲート電極110の下に堆積可能になる。別の幾つかの実施例において、ゲート誘電体層108の一部は、接触層118の頂面に延在してよい。幾つかの例において、半導体層106の頂面及び側壁に同時に電気的に接触することで、接触抵抗を低減することができる。
【0063】
図20A及び図20Bは、幾つかの実施例によるp型トランジスタ130P及びn型トランジスタ130Nを示す断面図である。トランジスタ130P/トランジスタ130Nは、図17A図17Bを参照しながら記載されたトランジスタ130P/トランジスタ130Nと類似するが、低kドーピング層122を形成しない。例えば、幾つかの例において、二次元接触層118は、十分な導電性を有し、低kドーピング層122を必要としない。これは、1つの具体例であり、低kドーピング層122は、他の要因によって省略されてもよい。幾つかの実施例において、低kドーピング層122は、p型トランジスタ130Pのみにおいて省略され、又はn型トランジスタ130Nのみにおいて省略されてもよい。
【0064】
図21A及び図21Bは、幾つかの実施例によるp型トランジスタ130P及びn型トランジスタ130Nを示す断面図である。トランジスタ130P/トランジスタ130Nは、図17A図17Bを参照しながら記載されたトランジスタ130P/トランジスタ130Nと類似するが、非二次元材料を含む接触層119で二次元材料を含む接触層118を置換する。接触層119は、半導体層106の側壁に物理的に接触し電気的に接触するように、高導電性材料を含んでよい。例えば、接触層119は、白金、白金インジウム(PtIn)、白金ビスマス(PtBi)、白金アンチモン(PtSb)、他の白金合金、他の金属等又はそれらの組み合わせ等の金属又は金属合金を含んでよい。幾つかの実施例において、金属又は金属合金は、半導体層106への最適化された電気的接続を提供するように、ドーピングされてよい。例えば、金属又は金属合金には、硫黄又はセレンがドーピングされてもよいが、他のドーパントである場合もある。別の幾つかの実施例において、接触層119は、グラフェン等の導電性非金属材料を含んでもよく、ドーピングされてもよく、又はドーピングされなくてもよい。p型領域10Pにおける接触層119Pは、n型領域10Nにおける接触層119Nと同じであってもよく、又は異なってもよい。接触層119は、任意の適切なプロセスにより堆積されてもよい。別の幾つかの実施例において、低kドーピング層122は、接触層119に形成されてよい。
【0065】
本開示の実施例は、優位な特徴を有する。二次元チャネル層の側面に電気的に接続される接触層を有するソース及びドレイン領域を形成することで、例えばフェルミレベルピンニングの効果を低下又は低減することができる。これは、ソース及びドレイン領域と二次元チャネルの間の接触抵抗を低減することができ、装置の性能を最適化し、装置の効率を最適化し、又は装置の電力消費を削減することができる。本明細書に記載の技術によれば、自己整合プロセスによりソース及びドレイン領域を形成することができ、装置の設計の柔軟性を最適化し、プロセスの設計の柔軟性を最適化し、又は収量を最適化することができる。本明細書に記載の技術によれば、高仕事関数のコンタクトを形成することもできる。その他、ソース及びドレイン領域を形成する際に、例えば抵抗の一時的材料を二次元チャネル材料に堆積しなくてもよく、それにより、二次元チャネルを破壊するチャンスを減らし、且つ残留物が二次元チャネルに残るチャンスを減らすことができる。これは、収量と信頼性を最適化することができる。本明細書に記載の技術では、ドーピング層を使用する等、接触層の各種のドーピング技術を利用することができる。幾つかの例において、ドーピング層を使用することで、ゲート電極とソース及びドレイン領域の間の寄生容量を低減することもでき、装置の速度と性能を最適化することができる。本明細書に記載の技術は、相補型(例えば、CMOS)装置の形成に用いられてもよい。
【0066】
本開示の幾つかの実施例によれば、装置は、第1の金属を含む第1の金属層と、第1の金属層上にある導電性二次元材料と、を含む第1のソース及びドレイン領域と、第1の金属層の側壁に物理的に接触し、導電性二次元材料がそこまで突出する隔離層と、隔離層上にあり、側壁が導電性二次元材料の側壁に物理的に接触する二次元半導体材料と、二次元半導体材料上にあるゲートスタックと、を備える。一実施例において、装置は、導電性二次元材料及びゲートスタックに延在し、導電性二次元材料にドーピング効果を提供するドーピング層を含む。一実施例において、ドーピング層は、酸化物を含む。一実施例において、二次元半導体材料の頂面は、導電性二次元材料を含まない。一実施例において、導電性二次元材料は、第1の金属を含む。一実施例において、第1の金属は、遷移金属である。一実施例において、二次元半導体材料は、遷移金属ジカルコゲナイドを含む。一実施例において、導電性二次元材料は、前記二次元半導体材料まで突出する。
【0067】
本開示の幾つかの実施例によれば、装置は、第1の金属材料上にある第1の二次元コンタクト材料を含む第1のドレイン領域と、第1の金属材料上にある第1の二次元コンタクト材料を含む第1のソース領域と、第1のドレイン領域から第1のソース領域まで延伸し、第1のドレイン領域の第1の二次元コンタクト材料の側壁及び第1のソース領域の第1の二次元コンタクト材料の側壁に物理的に接触する第1の二次元チャネル材料と、第1の二次元チャネル材料上にある第1のゲート誘電体材料と、第1のゲート誘電体材料上にある第1のゲート電極材料と、第1のドレイン領域、第1のソース領域、第1のゲート誘電体材料及び第1のゲート電極材料に延在する第1のドーピング層と、を含む第1のトランジスタを備える。一実施例において、装置は、第1のトランジスタに隣接し、第2の金属材料上にある第2の二次元コンタクト材料を含む第2のドレイン領域と、第2の金属材料上にある第2の二次元コンタクト材料を含む第2のソース領域と、第2のドレイン領域から第2のソース領域まで延伸し、第2のドレイン領域の第2の二次元コンタクト材料の側壁及び第2のソース領域の第2の二次元コンタクト材料の側壁に物理的に接触する第2の二次元チャネル材料と、第2の二次元チャネル材料上にある第2のゲート誘電体材料と、第2のゲート誘電体材料上にある第2のゲート電極材料と、第2のドレイン領域、第2のソース領域、第2のゲート誘電体材料及び第2のゲート電極材料に延在する第2のドーピング層と、を含む第2のトランジスタを備える。一実施例において、第1のトランジスタはp型であり、第2のトランジスタはn型である。一実施例において、第1のドレイン領域は、第2のドレイン領域に物理的に接触し電気的に接触する。一実施例において、第1の二次元チャネル材料と第2の二次元チャネル材料は、同じ材料を含む。一実施例において、第1のドレイン領域は、第2のドレイン領域に隣接し、第1のソース領域は、第2のソース領域に隣接し、且つ、装置は、第1のゲート電極材料及び第2のゲート電極材料に物理的に接触し電気的に接触するゲートコンタクトを含む。一実施例において、第1の二次元コンタクト材料は、第1の二次元チャネル材料の頂面に物理的に接触する。一実施例において、装置は、第1の金属材料に物理的に接触するように、延伸して第1の二次元コンタクト材料を通過するソース及びドレインコンタクトを備える。
【0068】
本開示の幾つかの実施例によれば、方法は、低次元半導体層を隔離層に形成する工程と、ゲート構造を低次元半導体層に形成する工程と、低次元半導体層に隣接する開口を隔離層内に形成する工程と、金属材料を開口内に堆積する工程と、その側壁が低次元半導体層の側壁に物理的に接触し電気的に接触するように、低次元接触層を金属材料に形成する工程と、ドーピング層を低次元接触層及びゲート構造に堆積する工程と、を含む。一実施例において、前記低次元接触層を形成することは、金属材料上に硫化プロセス又はセレン化プロセスを行うことを含む。一実施例において、金属材料の上部部分を消耗して低次元接触層を形成する。一実施例において、方法は、ゲート構造に物理的に接触し電気的に接触するように、延伸してドーピング層を通過するゲートコンタクトを形成することを含む。
【0069】
以上、多くの実施例の特徴を概説したため、当業者は、本開示の態様を一層理解できる。当業者であれば、本開示を基礎として前記実施例と同じ目的を実現するか及び/又は同じ利点を達成するための他のプロセスと構造を設計又は修飾できることを理解すべきである。当業者であれば、これと同等のアーキテクチャが本開示の精神と範囲から逸脱しておらず、且つ本開示の精神と範囲から逸脱することなく様々な変化、置換と修正を行えることをも理解すべきである。
【符号の説明】
【0070】
10N トランジスタ
10P トランジスタ
100 基材
102 隔離層
103 エッチングストップ層
104 隔離層
106、106N、106P 半導体層
108、108N、108P ゲート誘電体層
110、110N、110P ゲート電極
112 パターニングマスク
113 開口
114 フォトレジスト
116 ソース及びドレイン金属
118 接触層
118N、118P 接触層
120、120N、120P ソース及びドレイン領域
122、122N、122P 低kドーピング層
124 誘電体層
125 開口
126 ソース及びドレインコンタクト
127 開口
128 ゲートコンタクト
129 誘電体層
130N トランジスタ
130P トランジスタ
A、B、C、D 位置
B-B’ 参照断面
L1、L2 長さ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B