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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】画像検査装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241031BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20241031BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241031BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20241031BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00
B41J29/393 105
B41J29/38
H04N1/12 Z
H04N1/00 002A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021034223
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022134809
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】石塚 稜
(72)【発明者】
【氏名】青柳 広太
(72)【発明者】
【氏名】海老沼 良輔
(72)【発明者】
【氏名】中山 聡
(72)【発明者】
【氏名】山崎 公晴
(72)【発明者】
【氏名】松本 到
(72)【発明者】
【氏名】石井 達也
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-096309(JP,A)
【文献】特開2020-178243(JP,A)
【文献】特開2009-081665(JP,A)
【文献】特開2020-037232(JP,A)
【文献】特開2013-252632(JP,A)
【文献】特開2020-145598(JP,A)
【文献】米国特許第05712921(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
G03G 13/34
15/00
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
H04N 1/04-1/207
5/76-5/775
5/80-5/907
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象画像の異常を検出する異常検出部と、
前記異常検出部が画像異常を検出する検出対象領域から除外される検出除外領域を設定する領域設定部と、を有する画像検査装置であって、
前記領域設定部は、前記異常検出部による検出結果が所定の除外条件を満たすとき、異常検出箇所を含む領域を前記検出除外領域として設定し、
前記除外条件は、連続して入力される所定数の検査対象画像のうち該所定数よりも少ない2以上の規定数の検査対象画像で、略同じ箇所に異常が不連続で検出されるという条件を含むことを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像検査装置において、
前記領域設定部により設定される前記検出除外領域の範囲の調整を受け付ける指示受付部を有し、
前記領域設定部は、前記指示受付部が受け付けた調整範囲を前記検出除外領域として設定することを特徴とする画像検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像検査装置において、
前記領域設定部により設定される前記検出除外領域を適用するか否かのユーザー指示を受け付ける指示受付部を有し、
前記領域設定部は、前記検出除外領域を適用することを前記指示受付部が受け付けたときには、前記除外条件が満たされるときに前記領域設定部により設定される当該検出除外領域をそのまま設定し、前記検出除外領域を適用しないことを前記指示受付部が受け付けたときには、前記除外条件が満たされるときでも前記領域設定部により設定される当該検出除外領域を設定しないことを特徴とする画像検査装置
【請求項4】
録材上に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により形成された記録材上の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部で読み取った読取画像を検査対象画像として検査する画像検査装置とを有する画像形成装置であって、
前記画像検査装置として、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像検査装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
記憶部を有し、
前記画像読取部は、前記画像形成部の連続画像形成動作により形成される複数の記録材上の画像を順次読み取り、
前記異常検出部は、前記連続画像形成動作中に前記画像読取部で読み取った読取画像の異常を検出し、
前記記憶部は、前記連続画像形成動作中における前記異常検出部の検出結果を記憶し、
前記領域設定部は、前記連続画像形成動作中に前記記憶部に記憶された検出結果に基づいて前記検出除外領域を設定し、
前記異常検出部は、前記連続画像形成動作中に前記検出除外領域が設定されたとき、該連続画像形成動作における残りの画像形成動作により形成される記録材上の画像について、当該検出除外領域内の異常を検出しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記画像検査装置として、請求項3に記載の画像検査装置を用い、
前記画像形成部は、前記連続画像形成動作中に前記除外条件が満たされたときには該連続画像形成動作を中断し、
前記指示受付部は、前記中断の期間中に前記ユーザー指示を受け付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記画像形成部が前記連続画像形成動作を中断することを許可するか否かのユーザー命令を受け付ける命令受付部を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象画像の異常を検出する異常検出部と、前記異常検出部が画像異常を検出する検出対象領域から除外される検出除外領域を設定する領域設定部と、を有する画像検査装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、シート(記録材)の端部側のヨレ等に起因した画像検査の誤検知を抑制することを目的に、ユーザー指示によってシートの端部を検出除外領域として設定可能な画像検査装置が開示されている。また、この画像検査装置は、ユーザー指示によって指定されるシート端部以外の領域も、ユーザー指示によって検出除外領域として設定することが可能な構成を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の画像検査装置では、画像検査の開始前に予め決められた領域(シート端部の領域やユーザー指定の領域)を検出除外領域に設定してから画像検査を行うため、画像検査の開始後に発生した新たな誤検知要因に起因する誤検知を抑制できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明は、検査対象画像の異常を検出する異常検出部と、前記異常検出部が画像異常を検出する検出対象領域から除外される検出除外領域を設定する領域設定部と、を有する画像検査装置であって、前記領域設定部は、前記異常検出部による検出結果が所定の除外条件を満たすとき、異常検出箇所を含む領域を前記検出除外領域として設定し、前記除外条件は、連続して入力される所定数の検査対象画像のうち該所定数よりも少ない2以上の規定数の検査対象画像で、略同じ箇所に異常が不連続で検出されるという条件を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像検査の開始後に発生した新たな誤検知要因に起因する誤検知を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る画像形成装置を示す構成図。
図2】同画像形成装置における画像読取部の構成の一例を示す模式図。
図3】同画像形成装置における画像読取部の構成の他の例を示す模式図。
図4】同画像形成装置における異常検出部が検出する画像異常の異常レベルの説明図。
図5】(a)は、同画像読取部をシート幅方向(図中X方向)から見たときの説明図。(b)は、同画像読取部をシート搬送方向(図中Y方向)から見たときの説明図。(c)は、同画像読取部でシートS上の画像を読み取った読取画像Gを示す説明図。
図6】(a)~(c)は、図5(a)~(c)にそれぞれ対応し、カバーガラスの外面に異物が付着した状態を示す説明図。
図7】(a)は、実施形態における画像検査で発生し得る誤検知の別の例におけるシートを示す説明図。(b)は、同シートの画像を読み込んだ読込画像を示す説明図。
図8】実施形態における画像検査の流れを示すフローチャート。
図9】実施形態における除外条件の一例を説明するための説明図。
図10】(a)は、シート上に形成された星形画像と、カバーガラスへの異物付着に起因した黒スジと、シートの折れや曲げに起因した黒ポチとが含まれる読取画像を示す説明図。(b)同黒ポチに対して設定される検出除外領域を示す説明図。(c)同黒スジに対して設定される検出除外領域を示す説明図。(d)は、検出除外領域が設定された読取画像を示す説明図。
図11】実施形態における除外条件の他の例を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を、画像形成装置に設けられる画像検査装置に適用した一実施形態について説明する。
なお、本発明に係る画像検査装置は、画像形成装置に設けられるものに限らず、画像形成装置とは別体に構成されるものであってもよい。
【0009】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100を示す構成図である。
本実施形態の画像形成装置100は、画像形成部110と、搬送部120と、画像読取部130と、異常検出部140と、制御部150と、背景部材160a,160bと、記憶部170と、を備えている。
【0010】
画像形成部110は、画像形成材であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像に対応する4つの感光体ドラム112Y,112M,112C,112Kを備えている。各感光体ドラム112Y,112M,112C,112K上には、電子写真方式により、画像情報に基づいて各色の静電潜像が形成され、それぞれの静電潜像に各色トナーを付着させて現像してトナー像が形成される。
【0011】
4つの感光体ドラム112Y,112M,112C,112Kは、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト111に沿って配置されている。中間転写ベルト111は、少なくとも一つの駆動ローラと複数の従動ローラとに掛け渡されていて、各感光体ドラム112Y,112M,112C,112K上に形成された各トナー像が互いに重なり合うように一次転写される。中間転写ベルト111上に一次転写されたトナー画像は、中間転写ベルト111の回転に伴って、シートSへ転写される二次転写位置へ搬送される。
【0012】
二次転写位置には、転写ローラ113aと、これに対向して配置される対向ローラ113bとを含んで構成される転写部113が配置されている。転写部113には、中間転写ベルト111上のトナー画像が二次転写位置に到達するタイミングに合わせてシートSが搬送されてくる。搬送方向(副走査方向)に搬送されているシートSに対して転写部113が中間転写ベルト111上のトナー画像を転写することで、シートS上に画像が形成される。
【0013】
搬送部120は、シートSを収容する供給トレイ121A,121Bと、複数のローラ対が配置されていてシートSが搬送される搬送経路122と、転写部113よりも搬送方向下流側に配置される定着ローラ123と、搬送経路切替部124と、反転パス125と、を含む。画像形成動作の実行時において、制御部150による制御の下、2つの供給トレイ121A,121Bのいずれかに収容されているシートSがピックアップローラなどによって分離給送されて搬送経路122に沿って搬送され、転写部113に至る。転写部113での転写プロセスによって、シートSの一方の面(第一面)に画像が形成される。
【0014】
第一面に画像が形成されたシートSは更に搬送され、定着ローラ123にてトナー画像を定着された後、搬送経路切替部124に搬送される。その後、シートSは進行方向を逆転し、反転パス125に搬送される。そして、シートSは、二次転写位置において中間転写ベルト111に他方の面(第二面)が対向する状態で、ふたたび二次転写位置へ搬送される。そして、転写部113での転写プロセスによって、シートSの第二面に画像が形成される。第二面に画像が形成されたシートSはさらに搬送され、定着ローラ123にて第二面のトナー画像が定着された後、画像読取部130に搬送される。画像読取部130を通過したシートSは、排出トレイ126A,126Bに排出される。
【0015】
画像読取部130は、シートSの第一面を読み取る読取部130aと、シートSの第二面を読み取る読取部130bとを有する。読取部130a及び読取部130bは、本実施形態では同じ構成のものであるが、互いに別構成であってもよい。読取部130a,130bは、それぞれの背景部材160a,160bの前に位置するシートS(読取部130a,130bと背景部材160a,160bとの間に位置するシートS)に形成された画像を読み取り、その読取情報を異常検出部140へ出力する。
【0016】
図2は、本実施形態における読取部130a,130bの構成の一例を示す模式図である。
読取部130a,130bは、読取位置を通過するシートSに光を照射する光照射部131と、1画素ごとに光電変換する複数の受光素子をシート幅方向(シート搬送方向に対して直交する方向。主走査方向)に一次元状に並べて配置されたラインイメージセンサ132と、カバーガラス133とで構成されている。光照射部131から照射された光は、カバーガラス133を透過してシートSで反射し、その反射光がカバーガラス133を透過してラインイメージセンサ132に入射される。
【0017】
読取部130a,130bは、制御部150の制御の下、読取位置を通過するシートSの搬送動作に合わせて、シート幅方向に延在する1ライン分の画像の読取動作を繰り返し行うことで、シートSに印刷された画像を2次元画像として読み取る。
【0018】
なお、読取部130aでは、光照射部131及びラインイメージセンサ132が搬送路に対して下側に配置され、読取部130bは、光照射部131及びラインイメージセンサ132が搬送路に対して上側に配置される。これに対応して、読取部130aの読取領域内に配置される背景部材160aは搬送路に対して上側に配置され、読取部130bの読取領域内に配置される背景部材160bは搬送路に対して下側に配置される。
【0019】
本実施形態の読取部130a,130bは、ラインイメージセンサに限らず、受光素子が2次元配置されたエリアセンサや、カメラ等の撮像装置などを使用してもよい。
【0020】
また、図3に示すようなスキャナー230であってもよい。このスキャナー230は、読取位置を通過するシートSに光を照射する照射ユニット231と、イメージセンサ232a、レンズ232b、ミラー232c等から構成される読取デバイス232と、コンタクトガラス233とから構成されている。照射ユニット231から照射された光は、コンタクトガラス233を透過してシートSで反射し、その反射光がコンタクトガラス233を透過して読取デバイス232に入射され、イメージセンサ232aに受光される。
【0021】
異常検出部140は、シートSに形成された画像を画像読取部130で読み取った読取情報に基づいて、画像異常を検出する。画像異常とは、画像情報に基づいた画像(意図された画像)ではない画像部分、すなわち、画像に生じた欠陥である。具体的には、画像上に現れる点状汚れ(黒ポチ)、抜け(白ポチ)、スジ(黒スジ、白スジ)などである。「点状汚れ(黒ポチ)」とは、意図していない部分にトナーが付着したものである。「抜け(白ポチ)」とは、トナーが付着すべき部分にトナーが付着していない(トナーが抜けている)ものである。「スジ」は、意図しない線状の画像であり、黒スジ(周囲より濃度が濃いスジ)と、白スジ(周囲より濃度が薄いスジ)とがある。また、シート搬送方向に沿った縦スジ、シート幅方向に沿った横スジ、斜め方向のスジなどがある。
【0022】
本実施形態の異常検出部140は、例えば、意図された濃度(画像情報や画像形成条件に則った目標濃度)とは異なる濃度異常が生じた画像部分(目標濃度に対して許容範囲を超える濃度差をもつ画像部分)を検出することで、上述した各種画像異常を検出する。具体的には、読取情報に基づく読取画像を、画像異常がない状態の基準画像(シートS上の画像を形成したときの画像情報に基づく画像)と比較することで、画像異常を検出する。画像異常が検出された場合には、異常検出部140は、画像異常の位置、画像異常の範囲(形状寸法)、異常レベル等の検出結果情報を制御部150に出力する。
【0023】
異常検出部140が検出する画像異常の異常レベルは、例えば、寸法(点状汚れの大きさ、スジの太さなど)の違い(寸法レベル)、濃度(目標濃度との濃度差)の違い(濃度レベル)によってレベル分けされる。具体的には、図4に示すように、点状汚れの画像異常について、複数段階の寸法に対して寸法レベル1~3を定義されており、複数段階の濃度に対して濃度レベル1~3を定義し、例えば、寸法レベル2の画像異常は検出できたが、寸法レベル1の画像異常は検出できなかった場合、寸法についての異常レベルは「2」とする。濃度レベルについても同様である。
【0024】
制御部150は、画像形成装置100の全体動作を制御し、シート状の記録材であるシートSに対して画像を形成するための一連の処理、動作を制御する。また、異常検出部140が画像異常を検出したときの処理を実行する。例えば、予め設定されているユーザー設定値に基づいて、検出された画像異常の許否を判定する。ユーザー設定値は、画像異常を許容するか否かの判定に用いる境界値であり、画像異常の異常レベルがユーザー設定値を超える場合には、画像異常の処理(例えば損紙として処理する)を実行し、画像異常の異常レベルがユーザー設定値以内である場合には、画像異常の処理を実行しない。
【0025】
また、制御部150は、異常検出部140から出力される検出結果情報を記憶部170に記憶させる。また、制御部150は、領域設定部として機能し、異常検出部140が画像異常を検出する検出対象領域から除外される検出除外領域を設定する領域設定処理を実行する。本実施形態における領域設定処理では、記憶部170に記憶された検出結果情報が所定の除外条件を満たすとき、当該除外条件を満たす検出結果に対応する異常検出箇所を含む領域を、検出除外領域として設定する。
【0026】
記憶部170は、ROMやRAMなどの記憶装置によって構成され、上述したように異常検出部140の検出結果情報を記憶する。なお、図1では、記憶部170が制御部150と別構成で示されているが、記憶部170は制御部150内の記憶装置であってもよい。
【0027】
次に、本実施形態における画像検査で発生し得る誤検知(画像異常の誤検出)の一例について説明する。
図5(a)は、本実施形態における画像読取部130をシート幅方向(図中X方向)から見たときの説明図である。
図5(b)は、本実施形態における画像読取部130をシート搬送方向(図中Y方向)から見たときの説明図である。
図5(c)は、本実施形態における画像読取部130でシートS上の画像を読み取った読取画像Gを示す説明図である。
【0028】
画像読取部130の読取部130a,130bは、上述のとおり、光照射部131から照射される光L1を、カバーガラス133を介してシートSに照射し、その反射光L2がカバーガラス133を透過してラインイメージセンサ132に入射されることで、シートS上の画像を読み取る。詳しくは、読取部130a,130bは、シート搬送方向(図中Y方向)に搬送されているシートSが読取部130a,130bと背景部材160a,160bとの間を通過する直前から読取動作を開始し、シートSが通過し終えた直後に読取動作を終了する。これにより、シートS上の画像を1枚ずつ読取画像Gとして取得し、例えば、図5(c)に示すようなシートSの読取画像G(シート上の星形画像G1を含む画像)を得ることができる。
【0029】
図6(a)~(c)は、図5(a)~(c)に対応する図であって、カバーガラス133の外面に異物E1が付着した状態を示すものである。
画像形成動作中には、シートの端部から発生した紙粉などの異物がカバーガラス133に付着することがある。この場合、光照射部131から照射される光L1が異物E1に遮られてしまい、遮られた光が照射されるべきシートS上の部分に形成された画像部分からの反射光L2がラインイメージセンサ132に入射されなくなり、読取画像中に画像異常が現れる。
【0030】
例えば、図6(a)及び(b)に示すように、カバーガラス133のシート幅方向一部分に異物E1が付着した場合、その読取画像中には、図6(c)に示すような当該シート幅方向一部分に対応する黒スジ(シート搬送方向に延びる黒スジ)G2が現れる。この黒スジG2は、読取画像G上には現れているが、シートS上の画像には存在していないものであるため、この黒スジG2を画像異常であると判断してしまうと、シートS上の画像検査の誤検知(画像異常の誤検出)となってしまう。
【0031】
図7(a)及び(b)は、本実施形態における画像検査で発生し得る誤検知の別の例を示す説明図である。
画像読取部130が画像を読み取るシートSには、図7(a)に示すようにシートの角部に折れや曲げなどが発生することがある。このような折れ等は、例えば、ユーザーが供給トレイ121A,121Bにシート束を収容する際に、シート束の角部を何かにぶつけてしまうなどにより発生する。このような折れ等が発生したシートSの画像を読み取ると、その折れ等の箇所からの反射光が適切にラインイメージセンサ132へ入射されない場合、例えば、図7(b)に示すように、読取画像Gの隅に折れ部G3が現れる。折れ部G3は、シートの背景色と同じ(例えば白)か、反射の仕方によっては灰色などとなる。この折れ部G3は、読取画像G上には現れているが、シートS上の画像には存在していないものであるため、この折れ部G3を画像異常であると判断してしまうと、シートS上の画像検査の誤検知(画像異常の誤検出)となってしまう。
【0032】
なお、供給トレイ121A,121Bに収容されるシート束を裁断した時にシート端部に裁断不備があったり、シートが斜行状態で画像読取部130に搬送されてきたりするような場合も、対応する箇所に折れ部G3のようなものが読取画像G上に現れ得る。この場合も、シートS上の画像検査の誤検知(画像異常の誤検出)となり得る。
【0033】
上述したような誤検知を引き起こす誤検知要因(カバーガラス133への異物E1の付着、シートの折れや曲げ、シート裁断不備、シート斜行など)は、画像検査の開始前にその発生を予見することが困難である。仮に、誤検知要因の発生を予見できたとしても、その誤検知要因が発生する箇所を特定することは困難である。特に、連続画像形成動作中(複数のシートへの画像形成を行うジョブ中)に各シートの画像検査を順次行う場合、上述したような誤検知要因は連続画像形成動作の途中から発生する場合がある。この場合、画像検査の開始前(連続画像形成動作の開始前)にその発生を予見することは困難である。
【0034】
従来の画像検査装置では、シートの端部側のヨレ等に起因した画像検査の誤検知を抑制するため、画像形成後のシートの四辺を裁断する場合には、画像検査の開始前に、シートの四辺を裁断する前のシート端部領域(シートの四辺から内側数センチの領域)を検出除外領域に設定する。この場合、シート端部の領域は一律に画像検査(画像異常の検出)が行われないので、シート端部領域で発生し得る誤検知要因(シートの折れや曲げ、シート裁断不備、シート斜行など)に起因した画像検査の誤検知を抑制可能である。
【0035】
しかしながら、従来の画像検査装置では、画像形成後のシートの四辺を裁断しない場合、シート端部領域に形成される画像部分はすべて一律に検査されないことになる。この場合、シート端部領域に形成された画像部分に実際に異常が発生した場合でも、この画像異常を検出することができないため、異常画像の検出漏れを生じさせやすくなる。
【0036】
また、シート端部領域を一律に検出除外領域として設定する従来の方法では、そもそも、シート端部以外の領域で発生し得る誤検知要因(カバーガラス133への異物E1の付着など)に起因した画像検査の誤検知を抑制することはできない。
【0037】
また、従来の画像検査装置では、画像検査の開始前に、ユーザーがシート端部以外の領域を指定して検出除外領域に設定する方法も可能となっている。しかしながら、画像検査の途中から発生するような誤検知要因については、画像検査の開始前にユーザーが予見することはできないので、そのような誤検知要因に起因する画像検査の誤検知は抑制できない。
【0038】
そこで、本実施形態においては、画像検査中(連続画像形成動作中(ジョブ中))における異常検出部140の検出結果を記憶部170に記憶するようにしている。そして、制御部150において、記憶部170に記憶された検出結果が所定の除外条件を満たすときには、この除外条件を満たす検出結果に対応する異常検出箇所を含む領域を検出除外領域として設定する。
【0039】
図8は、本実施形態における画像検査の流れを示すフローチャートである。
なお、以下の説明では、複数ページの印刷物をページ順で連続印刷して複数の印刷物を作成するための画像形成動作(印刷ジョブ)を例に挙げる。
【0040】
本実施形態において、画像形成動作(印刷ジョブ)の開始指示が入力されると(S1)、画像形成部110が、印刷ジョブに係る印刷物の各ページの画像情報に基づいてシートS上に画像を形成する(S2)。その後、画像形成部110により画像が形成されたシートSは、画像読取部130の読取領域へと搬送され、画像読取部130によりシートS上の画像が読み取られる(S3)。すなわち、本実施形態において、画像読取部130は、連続画像形成動作中において、画像が形成されたシートSが読取領域を通過するたびに、シートSの画像を順次読み取ることになる。画像読取部130により読み取った読取画像は、異常検出部140へ送られる。
【0041】
異常検出部140は、後述するように設定される検出除外領域の設定情報を記憶部170から読み出す(S4)。そして、異常検出部140は、画像読取部130から受け取った読取画像を検査対象画像とし、画像異常がない状態の基準画像(当該シートS上の画像を形成したときの画像情報に基づく画像)と比較することで、画像異常の検出を行う(S5)。その後、異常検出部140は、読取画像についての検出結果情報(画像異常の位置、画像異常の形状寸法等)を制御部150へ出力する。このとき、検出除外領域に対応する画像部分については、画像異常が検出されたとしても、画像異常として検出されず、その検出結果情報が制御部150へ出力されることはない。
【0042】
異常検出部140が画像異常を検出しなければ(S6のNo)、印刷ジョブが終了であるかどうか(印刷ジョブで指定された分の画像形成がすべて完了しているかどうか)を判断する(S16)。そして、印刷ジョブが終了でなければ(S16のNo)、画像形成及び画像検査を継続する(S2~S15)。
【0043】
異常検出部140が画像異常を検出した場合(S6のYes)、制御部150は、異常検出部140から出力される検出結果情報に基づいて、検出された画像異常の許否を判定する。この判定において、制御部150は、画像異常の異常レベルがユーザー設定値を超える場合には、画像異常の処理(例えば損紙として処理する)を実行し、画像異常の異常レベルがユーザー設定値以内である場合には、画像異常の処理を実行しない。このときのユーザー設定値は、例えば、印刷ジョブを開始する前に、ユーザーが画像形成装置100の指示受付部としての操作パネルを操作することにより入力される。
【0044】
また、異常検出部140が画像異常を検出した場合(S6のYes)、制御部150は、異常検出部140から受け取った検出結果情報を記憶部170に記憶する(S7)。そして、制御部150は、異常検出部140が画像異常を検出する検出対象領域から除外される検出除外領域を設定する領域設定処理を実行する。具体的には、記憶部170に記憶された検出結果情報が所定の除外条件を満たすか否かを判断し(S8)、当該除外条件を満たすときには、当該除外条件に係る検出結果に対応する異常検出箇所(画像異常の位置)を含む検出除外領域を計算する(S9)。
【0045】
除外条件は、一例として図9に示すように、連続して入力される規定数xの読取画像で略同じ箇所(位置が完全に一致する箇所である必要はない)に異常が検出されるという条件である。制御部150は、本印刷ジョブが開始されてから記憶部170に蓄積された検出結果情報を参照し、連続して入力される規定数xの読取画像で略同じ箇所に異常が検出されるという除外条件を満たすか否かを判断する(S8)。
【0046】
図9の例では、印刷ジョブを開始してからi+1部目において、シートSの図中右上隅に対応する箇所に画像異常が検出され、その後、この箇所に略同じ形状寸法(形状寸法が完全に一致する必要はなく、また、形状は同じだが寸法が違う場合や寸法は同じだが形状が違う場合を含む。)の画像異常が連続して規定数x、検出されている。この場合、除外条件を満たすと判断され(S8のYes)、制御部150は、検出除外領域の範囲(位置及び大きさ)を計算する(S9)。
【0047】
なお、この規定数xは、予め決められた固定の数値であってもよいし、ユーザー指示によって変更可能な数値であってもよい。ユーザー指示によって規定数xを変更可能とする場合、例えば、印刷ジョブを開始する前に、ユーザーが画像形成装置100の指示受付部としての操作パネルを操作することにより、規定数xを指示する。
【0048】
図9の例では、連続して入力される規定数xの読取画像で略同じ箇所に異常が検出された場合、その画像異常は誤検出であると判断して、以後は画像異常であると検出されないように検出除外領域を設定する。上述したような誤検知を引き起こす誤検知要因(カバーガラス133への異物E1の付着、シートの折れや曲げ、シート裁断不備、シート斜行など)は、当該誤検知要因が発生すると、その後は略同じ箇所に連続して発生するのが通常である。これに対し、実際にシート上に画像異常が発生している場合、その画像異常は略同じ箇所に不連続で発生することが一般的である。よって、上述した除外条件により、検出された画像異常が誤検出であるかどうかを判断することができ、適切な検出除外領域を設定することができる。
【0049】
補足すると、例えば、黒ポチのような画像異常は、装置内で蓄積されていたトナーの塊が落下してシートS上に付着して発生する。そのため、黒ポチは、一度発生した後は、しばらくの間(トナーが再び蓄積されるまで)、発生することはない。
【0050】
また、例えば、黒ポチや白ポチの画像異常は、感光体表面の小さい傷(局所的な傷)などによっても発生し得る。このような場合、一度発生した後は発生し続けるおそれがあるが、感光体上の傷の位置とこの傷に対応するシート上の位置との位置関係は、通常は一致せず、シートごとに異なる位置関係となる。したがって、このような画像異常は、略同じ箇所に連続して発生することはない。
【0051】
また、例えば、黒スジや白スジの異常画像は、クリーニングブレードに生じた異物等により感光体表面に生じたスジ状の傷(感光体周方向に延びる傷)などによって発生する。このような異常画像も、一度発生した後は発生し続けるおそれがある。しかしながら、このような感光体表面のスジ状の傷は、通常、4つの感光体のうちの1つの感光体で発生するため、当該1つの感光体によって作像される色のトナー像上にのみスジ状の像が発生する。そのため、許容範囲を超える黒スジや白スジが発生するかは、シート上に形成される画像(4色重ね合わせトナー像)の内容(どの画像箇所でどの色がどの程度使われているか等)によって決まってくる。したがって、複数ページにわたる冊子のような印刷物を制作する場合のように、連続するシート上にそれぞれ異なる内容の画像を形成する通常の印刷ジョブ(通常の連続画像形成動作)では、黒スジや白スジが連続して発生することはない。
【0052】
このように、実際にシート上に発生する画像異常は、略同じ箇所に不連続で発生し、あるいは、略同じ箇所に連続して発生してもその連続数は規定数xよりも少ない。そのため、上述した除外要件により、連続して発生する誤検知要因に起因した画像異常が誤検出であることを適切に判断して、検出除外領域を設定することができる。
【0053】
図10(a)~(d)は、検出除外領域の設定について説明するための説明図である。
除外条件を満たすと、制御部150は、当該除外条件に係る検出結果に対応する異常検出箇所(誤検出された画像異常の位置)を含む所定範囲の領域を、検出除外領域として計算する。例えば、本実施形態では、記憶部170に記憶される検出結果情報に画像異常の形状寸法が含まれているため、画像異常の位置と形状寸法から検出除外領域の範囲(位置及び大きさ)を計算する。
【0054】
例えば、図10(a)に示す読取画像Gには、シートS上に形成された画像G1と、カバーガラス133への異物E1の付着に起因した黒スジG2と、シートの折れや曲げに起因した折れ部G3とが含まれている。この場合、黒スジG2と折れ部G3とのいずれも、異常検出部140による検出結果が除外条件を満たすときには、制御部150は、これらの検出結果を誤りであると判断し、図10(b)及び(c)に示すような検出除外領域の範囲を計算する。具体的には、黒スジG2及び折れ部G3の外縁から所定ピクセル数p分だけ広い検出除外領域R1,R2の範囲を計算する。これにより、以降の画像検査においては、図10(d)に示すように、設定された検出除外領域R1,R2内の画像異常は検出されない。
【0055】
計算される検出除外領域R1,R2の範囲は、ユーザー指示に基づいて調整できるようにしてもよい。この場合、例えば、印刷ジョブを開始する前に、ユーザーが画像形成装置100の指示受付部としての操作パネルを操作することにより、画像異常の範囲(誤検出された画像異常の範囲)に対して検出除外領域の範囲をどの程度余分に計算するかを、ピクセル数pなどによって指示する。
【0056】
以上のようにして検出除外領域を計算したら、制御部150は、印刷ジョブを中断するか否かを判断する(S10)。この判断は、例えば、印刷ジョブを開始する前に、ユーザーが画像形成装置100の指示受付部及び命令受付部としての操作パネルを操作して、検出除外領域を設定する旨が指示されている場合(ジョブ中断機能がONに設定されている場合)には、印刷ジョブを中断する。一方、その旨が指示されていない場合(ジョブ中断機能がOFFに設定されている場合)には、印刷ジョブを中断しない。
【0057】
印刷ジョブを中断しない場合には(S10のNo)、印刷ジョブを中断しないまま(画像形成動作を継続したまま)、制御部150は、処理ステップS9で計算した検出除外領域を設定し(S15)、検出除外領域の設定情報を記憶部170に記憶する。
【0058】
一方、印刷ジョブを中断する場合には(S10のYes)、画像形成動作を一時停止して印刷ジョブを中断する(S11)。そして、制御部150は、当該検出結果情報に係る読取画像(検出された画像異常の位置及び形状寸法を含む画像)と、処理ステップS9で計算した検出除外領域の範囲(位置及び大きさ)とを、画像形成装置100の操作パネルに表示する(S12)。
【0059】
ユーザーは、操作パネルの表示を見て、処理ステップS9で計算した検出除外領域の範囲(位置及び大きさ)に代えて、ユーザー自らが指定する範囲を検出除外領域として設定できる。すなわち、ユーザーは、操作パネルに表示される計算した検出除外領域の範囲を見て、そのまま当該計算した検出除外領域を用いる場合には、その旨の指示を操作パネルに行う(S13のNo)。これにより、制御部150は、処理ステップS9で計算した検出除外領域を設定し(S15)、検出除外領域の設定情報を記憶部170に記憶する。
【0060】
また、ユーザーは、操作パネルに表示される計算した検出除外領域の範囲を見て、ユーザー自らが指定する範囲を検出除外領域として設定する場合には、操作パネルを操作して検出除外領域として設定する範囲を指示する(S13のYes)。これにより、制御部150は、操作パネルに入力されたユーザー指示により指定された検出除外領域を設定し(S14)、検出除外領域の設定情報を記憶部170に記憶する。
【0061】
なお、本実施形態においては、印刷ジョブを中断して操作パネルを見たユーザーは、除外条件を満たす検出結果に係る画像異常が本当に誤検出であるかどうかを判断することもできる。仮に、操作パネルを見て、画像異常が誤検出ではなく、実際に発生している画像異常を検出したものであると判断した場合、ユーザーは、操作パネルを操作して、検出除外領域を削除する指示操作(検出除外領域をゼロにするユーザー指示操作)を行うこともできる。
【0062】
図11は、本実施形態における除外条件の他の例を説明するための説明図である。
図11に示す除外条件は、連続して入力される所定数mの読取画像のうち規定数n(n<m)の読取画像で略同じ箇所に異常が検出されるという条件である。制御部150は、本印刷ジョブが開始されてから記憶部170に蓄積された検出結果情報を参照し、直近の所定数mの読取画像のうち規定数nの読取画像で略同じ箇所に異常が検出されるという除外条件を満たすか否かを判断する(S8)。この例でも、除外条件を満たすと判断されれば(S8のYes)、制御部150は、上述と同様に、検出除外領域の範囲(位置及び大きさ)を計算する(S9)。
【0063】
なお、この所定数mや規定数nは、予め決められた固定の数値であってもよいし、ユーザー指示によって変更可能な数値であってもよい。ユーザー指示によって所定数mや規定数nを変更可能とする場合、例えば、印刷ジョブを開始する前に、ユーザーが画像形成装置100の指示受付部としての操作パネルを操作することにより、所定数mや規定数nを指示する。
【0064】
実際にシート上に発生する画像異常は、発生間隔が長い不連続のもので、発生頻度が低いものである。そのため、図11に例示する除外要件によれば、発生する頻度の高い誤検知要因に起因した画像異常が誤検出であることを適切に判断して、検出除外領域を設定することができる。
【0065】
なお、上述した各実施形態においては、複数ページの印刷物をページ順で連続印刷して複数の印刷物を作成するための画像形成動作(印刷ジョブ)を例に挙げたが、これに限定されない。たとえば、前の印刷ジョブから次の印刷ジョブ(さらには次の印刷ジョブを含んでもよい)へ連続して入力される規定数xの読取画像で略同じ箇所に異常が検出されるという条件を除外条件としてもよい。
【0066】
また、上述した各実施形態においては、除外条件として、2以上の検査対象画像で略同じ箇所に異常が検出されるという条件を例に挙げたが、2以上の検査対象画像で略同じ異常が検出される他の条件としてもよい。例えば、2以上の検査対象画像で略同じ形状の異常が検出されるという条件であってもよい。この場合、例えば、2以上の検査対象画像で折れ部G3が互いに異なる箇所で検出されたときも、除外条件を満たし、検出除外領域を設定することができる。
【0067】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、検査対象画像(例えばシートに形成された画像の読取画像G)の異常を検出する異常検出部140と、前記異常検出部が画像異常を検出する検出対象領域から除外される検出除外領域R1,R2を設定する領域設定部(例えば制御部150)と、を有する画像検査装置であって、前記領域設定部は、前記異常検出部による検出結果が所定の除外条件を満たすとき、異常検出箇所を含む領域を前記検出除外領域として設定することを特徴とするものである。
本態様においては、画像検査を開始して異常検出部が画像異常を検出したたき、その検出結果が所定の除外条件を満たすと、異常検出箇所を含む領域が検出除外領域として設定される。これにより、所定の除外条件が適切に設定されることで、画像検査開始後に得られる画像異常の検出結果から、新たに生じた誤検知要因に起因する画像検査の誤検知を特定し、その誤検知が生じた領域を検出除外領域として設定することができる。よって、本態様によれば、画像検査の開始後に発生した新たな誤検知要因に起因する誤検知を抑制することが可能である。
【0068】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記除外条件は、2以上の検査対象画像で略同じ異常が検出されるという条件を含むことを特徴とするものである。
画像検査の誤検知(画像異常の誤検出)を引き起こす誤検知要因(カバーガラス133への異物E1の付着、シートの折れや曲げ、シート裁断不備、シート斜行など)は、その誤検知要因が一旦発生すると、その後は連続して又は高い頻度で発生するのが通常である。これに対し、実際にシート上に画像異常が発生した場合、上述したように、その画像異常は不連続あるいは低い頻度で発生することが通常である。よって、本態様における除外条件を用いることで、検出された画像異常が誤検出であるかどうかを判断することができ、画像検査の誤検知を抑制し得る検出除外領域を設定することができる。
【0069】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記略同じ異常は、前記2以上の検査対象画像で略同じ箇所に検出される異常を含むことを特徴とするものである。
画像検査の誤検知(画像異常の誤検出)を引き起こす誤検知要因(カバーガラス133への異物E1の付着、シートの折れや曲げ、シート裁断不備、シート斜行など)は、その誤検知要因が一旦発生すると、その後は略同じ箇所で連続して又は高い頻度で発生することが多い。よって、本態様によれば、検出された画像異常が誤検出であるかどうかをより適切に判断することができ、画像検査の誤検知を抑制し得る検出除外領域を設定することができる。
【0070】
[第4態様]
第4態様は、第2又は第3態様において、前記条件は、連続して入力される規定数の検査対象画像で前記略同じ異常が検出されるという条件、又は、連続して入力される所定数の検査対象画像のうち該所定数よりも少ない規定数の検査対象画像で前記略同じ異常が検出されるという条件を含むことを特徴とするものである。
これによれば、検出された画像異常が誤検出であるかどうかを更に適切に判断することができ、画像検査の誤検知を抑制し得る適切な検出除外領域を設定することができる。
【0071】
[第5態様]
第5態様は、第1乃至第4態様のいずれかにおいて、前記領域設定部により設定される前記検出除外領域を適用するか否かのユーザー指示を受け付ける指示受付部(例えば操作パネル)を有し、前記領域設定部は、前記検出除外領域を適用することを前記指示受付部が受け付けたときには、前記除外条件が満たされるときに前記領域設定部により設定される当該検出除外領域をそのまま設定し、前記検出除外領域を適用しないことを前記指示受付部が受け付けたときには、前記除外条件が満たされるときでも前記領域設定部により設定される当該検出除外領域を設定しないことを特徴とするものである。
本態様によれば、ユーザー指示により、除外条件が満たされたときに領域設定部により設定される検出除外領域をそのまま適用するか否かを変更することができる。
【0072】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記領域設定部により設定される前記検出除外領域の範囲の調整を受け付ける指示受付部を有し、前記領域設定部は、前記指示受付部が受け付けた調整範囲を前記検出除外領域として設定することを特徴とするものである。
本態様によれば、ユーザー指示により、領域設定部で設定される検出除外領域の範囲を調整することができる。
【0073】
[第7態様]
第7態様は、記録材(例えばシートS)上に画像を形成する画像形成部110と、前記画像形成部により形成された記録材上の画像を読み取る画像読取部130と、前記画像読取部で読み取った読取画像を検査対象画像として検査する画像検査装置とを有する画像形成装置であって、前記画像検査装置として、第1乃至第6態様のいずれかの画像検査装置を用いることを特徴とするものである。
本態様によれば、画像検査の開始後に発生した新たな誤検知要因に起因する誤検知を抑制することが可能な画像形成装置を提供できる。
【0074】
[第8態様]
第8態様は、第7態様において、前記画像読取部は、前記画像形成部の連続画像形成動作により形成される複数の記録材上の画像を順次読み取り、前記異常検出部は、前記連続画像形成動作中に前記画像読取部で読み取った読取画像の異常を検出し、前記記憶部は、前記連続画像形成動作中における前記異常検出部の検出結果を記憶し、前記領域設定部は、前記連続画像形成動作中に前記記憶部に記憶された検出結果に基づいて前記検出除外領域を設定し、前記異常検出部は、前記連続画像形成動作中に前記検出除外領域が設定されたとき、該連続画像形成動作における残りの画像形成動作により形成される記録材上の画像について、当該検出除外領域内の異常を検出しないことを特徴とするものである。
本態様によれば、連続画像形成動作の開始後に発生した新たな誤検知要因に起因する誤検知を抑制することが可能な画像形成装置を提供できる。
【0075】
[第9態様]
第9態様は、第7又は第8態様において、前記画像検査装置として、第5又は第6態様に係る画像検査装置を用い、前記画像形成部は、前記連続画像形成動作中に前記除外条件が満たされたときには該連続画像形成動作を中断し、前記指示受付部は、前記中断の期間中に前記ユーザー指示を受け付けることを特徴とするものである。
本態様によれば、除外条件が満たされたとき、連続画像形成動作を中断し、ユーザーの判断で、検出除外領域を設定するか否か、検出除外領域の範囲を調整することができる。
【0076】
[第10態様]
第10態様は、第9態様において、前記画像形成部が前記連続画像形成動作を中断することを許可するか否かのユーザー命令を受け付ける命令受付部を有することを特徴とするものである。
本態様によれば、除外条件が満たされたときに連続画像形成動作を中断するかどうかをユーザーが決めることができる。
【符号の説明】
【0077】
100 :画像形成装置
110 :画像形成部
111 :中間転写ベルト
112 :感光体ドラム
113 :転写部
120 :搬送部
121A :供給トレイ
121B :供給トレイ
122 :搬送経路
123 :定着ローラ
124 :搬送経路切替部
125 :反転パス
130 :画像読取部
130a :読取部
130b :読取部
131 :光照射部
132 :ラインイメージセンサ
133 :カバーガラス
140 :異常検出部
150 :制御部
160a,160b:背景部材
170 :記憶部
230 :スキャナー
231 :照射ユニット
232 :読取デバイス
232a :イメージセンサ
232b :レンズ
232c :ミラー
233 :コンタクトガラス
E1 :異物
G :読取画像
G1 :星形画像
G2 :黒スジ(誤検知)
G3 :折れ部(誤検知)
R1 :検出除外領域
R2 :検出除外領域
S :シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【文献】特開2020-053761号公報
図1
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図8
図9
図10
図11