(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G03G15/20 515
(21)【出願番号】P 2021036384
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】瀬下 卓弥
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-038321(JP,A)
【文献】特開2015-129792(JP,A)
【文献】特開2020-129077(JP,A)
【文献】特開2017-167462(JP,A)
【文献】特開2014-123100(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0155937(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、
前記回転体を加熱する熱源と、
前記熱源に接触して前記熱源の均熱性を高める均熱部材と、
前記熱源の過昇温を防止する過昇温防止部材と、を備えた定着装置において、
前記過昇温防止部材は、前記均熱部材に接触するように配置されており、
前記均熱部材は、前記過昇温防止部材との接触箇所よりも軸方向の外側
、かつ、前記接触箇所の近傍で分割されていることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の定着装置において、
前記熱源は、前記軸方向に複数分割されていることを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の定着装置において、
前記均熱部材は、複数の熱源に接触していることを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の定着装置において、
前記過昇温防止部材は、各熱源に対して設けられており、
前記均熱部材は、該均熱部材に接触する過昇温防止部材に対応する熱源と、この熱源よりも軸方向内側に配置された熱源とに接触していることを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の定着装置において、
前記均熱部材は、前記熱源の軸方向中央よりも内側で分割していることを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項
2乃至5いずれか一項に記載の定着装置において、
前記過昇温防止部材は、各熱源に対して設けられており、
軸方向端部に配置された端部熱源以外の熱源に対応する過昇温防止部材の少なくともひとつは、軸方向において対応する熱源の内側端部の位置に配置されていることを特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項
2乃至6いずれか一項に記載の定着装置において、
前記過昇温防止部材は、各熱源に対して設けられており、
軸方向端部に配置された端部熱源に対応する過昇温防止部材は、軸方向において端部熱源の外側端部の位置に配置されていることを特徴とする定着装置。
【請求項8】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体に形成された画像を前記記録媒体に定着させる定着装置とを備えた画像形成装置において、
前記定着装置として、請求項1乃至
7いずれか一項に記載の定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転体と、回転体を加熱する熱源と、熱源に接触して熱源の均熱性を高める均熱部材と、熱源の過昇温を防止する過昇温防止部材と、を備えた定着装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記定着装置として、過昇温防止部材たるサーモスイッチを直接、熱源に接触させるために、均熱部材を2つに分割し、分割された均熱部材の間にサーモスイッチを配置したものが記載されている。サーモスイッチは、熱源が異常昇温した際に、作動して熱源への通電を遮断して熱源の過昇温を防止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、熱源が正常に制御されているにもかかわらず、過昇温防止部材が作動するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、回転体と、前記回転体を加熱する熱源と、前記熱源に接触して前記熱源の均熱性を高める均熱部材と、前記熱源の過昇温を防止する過昇温防止部材と、を備えた定着装置において、前記過昇温防止部材は、前記均熱部材に接触するように配置されており、前記均熱部材は、前記過昇温防止部材との接触箇所よりも軸方向の外側、かつ、前記接触箇所の近傍で分割されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、熱源が正常に制御されているにも関わらず、過昇温防止部材が作動してしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【
図4】加熱体をニップ形成部材に設けた定着装置の例を示す図。
【
図6】本実施形態の加熱体の構成を示す概略断面図。
【
図8】抵抗発熱体を6分割したときの加熱体の構成を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置の一例としてのプリンタは、給紙装置4と、レジストローラ対6と、像担持体としての感光体ドラム8と、転写装置10と、定着装置12等を有している。
【0009】
給紙装置4は、記録媒体としての用紙Sが積載状態で収容される給紙トレイ14と、給紙トレイ14に収容された用紙Sを最上のものから順に1枚ずつ分離して送り出す給紙コロ16等を有している。
【0010】
給紙コロ16によって送り出された用紙Sは、レジストローラ対6で一旦停止され、姿勢ずれを矯正される。その後、感光体ドラム8の回転に同期するタイミングで、すなわち、感光体ドラム8上に形成されたトナー像の先端と、用紙Sの搬送方向先端部の所定位置とが一致するタイミングで、レジストローラ対6により転写部Nへ送られる。
【0011】
感光体ドラム8の周りには、感光体ドラム回転方向順に、帯電ローラ18と、露光手段の一部を構成するミラー20と、現像ローラ22aを備えた現像装置22と、転写装置10と、クリーニングブレード24aを備えたクリーニング装置24等が配置されている。帯電ローラ18と現像装置22との間において、ミラー20を介して感光体ドラム8上の露光部26に露光光Lbが照射され、走査されるようになっている。
【0012】
プリンタにおける画像形成動作は従来と同様に行われる。すなわち、感光体ドラム8が回転を始めると、感光体ドラム8の表面が帯電ローラ18により均一に帯電され、画像データに基づいて露光光Lbが露光部26に照射、走査されて作成すべき画像に対応した潜像が形成される。この潜像は、感光体ドラム8の回転により現像装置22と対向する位置まで移動し、ここで現像装置22からトナーが潜像に供給されて可視像化され、トナー像が形成される。
【0013】
感光体ドラム8上に形成されたトナー像は、所定のタイミングで転写部Nに進入してきた用紙S上に、転写装置10による転写バイアスの印加により転写される。
【0014】
トナー像が転写された用紙Sは、定着装置12へ向けて搬送され、定着装置12でトナー像が用紙Sに定着された後、排紙トレイへ排出されスタックされる。
【0015】
転写部Nで感光体ドラム8から用紙Sに転写されずに感光体ドラム8上に残った残留トナーは、感光体ドラム8の回転に伴ってクリーニング装置24に至り、クリーニングブレード24aによって掻き落とされて、感光体ドラム表面が清掃される。その後、感光体ドラム8上の残留電位が、除電手段により除去され、次の作像工程に備えられる。
【0016】
図2は、本実施形態に係る定着装置12の概略構成図である。
定着装置12は、
図2に示すように、回転体たる定着ベルト38や、この定着ベルト38との間で定着ニップ部SNを形成する加圧ローラ30が設けられている。また、均熱部材である均熱板57と、電力が供給されることで発熱する熱源たる抵抗発熱体55とを有する加熱体56が設けられている。抵抗発熱体55および均熱板57は、用紙Sの用紙搬送方向と直交する用紙幅方向(軸方向)の画像形成領域全域を占めるように設けられている。
【0017】
均熱板57は短時間で熱移動が可能な材料であることが望ましく、熱伝導率の高い銅やアルミニウム、銀といった部材であることが望ましい。製造誤差などにより抵抗発熱体55が、幅方向に発熱ムラが生じることがある。均熱板57を有することで、抵抗発熱体55の発熱量の低い箇所へ熱を付与することができ、抵抗発熱体55の均熱性を図ることができる。
【0018】
加圧ローラ30は、回転可能に設けられ定着ベルト38の外周面に接触させて定着ベルト38との間に定着ニップ部SNを形成する接触部材である。なお、本実施形態では加圧ローラ30が、付勢手段により定着ベルト38に向けて付勢され、定着ベルト38に圧接されている。
【0019】
加熱体56は支持部材に支持され、定着ベルト38の内周面と接触する位置に配置されている。加熱体56を、定着ベルト38の内面面に接触させて設けることで、定着ベルト38の用紙S上のトナー像と接する外周面に、加熱体56によってキズが付くのを防止することができ、定着ベルト38の寿命を延ばすことができる。
【0020】
加熱体56の近傍に、定着ベルト38の表面温度を検知する温度検知部材としてのサーミスタ34が設けられている。また、均熱板57の抵抗発熱体55に接触する側とは反対側の面に、加熱体56の温度を検知する温度検知部材としてのサーミスタ36と、過昇温防止部材35とが設けられている。なお、
図2では、便宜上、過昇温防止部材35とサーミスタ36とは、定着ベルト38の表面移動方向で互いに異なる位置に配置しているが、過昇温防止部材35は、表面移動方向において、サーミスタ36と同様、加熱体56の中央に配置されている。
【0021】
過昇温防止部材35は、例えば、サーミスタ36が故障するなどして、制御装置37が抵抗発熱体55を正常に加熱制御できなくなり、抵抗発熱体55が異常昇温した際に作動する。過昇温防止部材35が作動すると、抵抗発熱体55への通電を遮断して抵抗発熱体55の発熱を強制的に停止する。このように、抵抗発熱体55の発熱を強制的に停止することで、過昇温を防止し、部材の熱破損などを防止する。
【0022】
過昇温防止部材35としては、サーモスタット、温度ヒューズなどを用いることができる。サーモスタットは、金属または合金からなる板状のバイメタルが搭載されており、規定温度以上でこのバイメタルが変形して、抵抗発熱体55への通電を遮断するものである。
【0023】
温度ヒューズは、リード線間を規定温度で溶融する導電性の樹脂または合金からなる可溶体で接続しており、規定温度以上で可溶体が溶融することで、リード線間が切断される。これにより、抵抗発熱体55への通電が遮断される。
【0024】
加熱体56に電力を供給する電源39が設けられており、電源39から過昇温防止部材35を介して加熱体56の抵抗発熱体55に電力が供給されることで、加熱体56の抵抗発熱体55が発熱する。また、サーミスタ34やサーミスタ36が検知した温度情報に基づいて、制御装置37により電源39を制御して、電源39による加熱体56の抵抗発熱体55への電力供給が行われる。制御装置37は、加熱体56の分割された抵抗発熱体55の各々において独立に電源39による電力の供給制御が可能である。なお、制御装置37は、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース等を包含するマイクロコンピュータである。
【0025】
定着ベルト38の内側には加熱体56など以外にも、次のような各種部材が設けられている。すなわち、定着ベルト38を支持するベルト支持部材や、定着ベルト38を挟んで加圧ローラ30と定着ニップ部SNを形成するニップ形成部材60や、ニップ形成部材60が取り付けられるステー状部材70などが設けられている。そして、これら部材は、装置側板に接続されて支持されている。
【0026】
ベルト支持部材は、定着ベルト38の回転方向と直交する方向(軸方向)における両端部に挿入されており、このベルト支持部材によって定着ベルト38の両端部は回転可能に保持されている。
【0027】
加圧ローラ30は、鉄製の芯金30aと、この芯金30aの表面に被覆された弾性層30bとを有している。なお、弾性層30bの表面には、離型性を高めるために離型層を形成するのが望ましい。
【0028】
なお、加圧ローラ30は中空のローラであっても良く、加圧ローラ30の内部にハロゲンヒータなどの加熱源を設けても良い。弾性層30bは、シリコーンゴムなどソリッドゴムでも良いが、加圧ローラ30の内部に加熱源が無い場合には、弾性層30bとしてスポンジゴムを用いても良い。スポンジゴムのほうがソリッドゴムよりも断熱性が高まり、定着ベルト38の熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
【0029】
また、本実施形態においては、加熱体56の定着ベルト38との接触部は略平面である。ここで、加熱体56が円筒状の定着ベルト38の内周面と良好に接触するためには、定着ベルト38の内周面に沿うように、半円柱状に形成すればよいが、曲面にヒータや配線を高精度に実装し形成することは工程が複雑である。そのため、同一平面状にヒータや配線部を形成する所謂「平面型」に比べて、精度且つ生産性に劣位である。
【0030】
このことから、本実施形態では、精度及び生産性ともに優れている平面型の発熱体を加熱体56として用いており、実装精度が良いため発熱効率を向上させることができる。
【0031】
この定着装置は、定着ベルト38の定着ニップ部SN以外に加熱体56を設けている。すなわち、本実施形態においては、加熱体56を、定着ニップ部SNの略中心と加圧ローラ30の略中心線とを結ぶ延長線上に設けている。
【0032】
また、定着ベルト38を介して加熱体56と対向する位置には、付勢手段によって付勢され定着ベルト38を押圧する押圧部材である弾性体ローラ40が設けられている。これにより、定着ベルト38が回転しているときであっても、定着ベルト38との接触部が略平面である加熱体56と定着ベルト38との接触状態を良好に保つことができる。
【0033】
なお、弾性体ローラ40は、鉄製の芯金40aと、この芯金40aの表面に被覆された弾性層40bとを有している。弾性層40bは、シリコーンゴムで形成されている。弾性層40bの表面には、離型性を高めるためにフッ素樹脂等の離型層を形成するのが望ましい。
【0034】
定着ベルト38を介して加熱体56と対向する位置で、定着ベルト38を押圧する押圧部材は、弾性体ローラ40に限るものではない。例えば、押圧パッドなど、定着ベルト38と加熱体56との接触状態が良好に保たれる機構であれば差し支えない。また、押圧部材は密着性が高く、安定した伝熱が可能となることを考慮し弾性層を有する弾性体ローラ40や押圧パッドなどを用いることが望ましいが、樹脂製のパッドなど接触不良を抑制できるものであってもよい。
【0035】
なお、本実施形態の定着装置12としては、
図2に示すような構成に限らず、
図3に示すような構成でもよい。
【0036】
図3に示す定着装置では、回転体たる定着ベルト38が、第一張架ローラ31と第二張架ローラ32とによって回転可能に張架されている。定着ベルト回転方向で第一張架ローラ31よりも上流側且つ第二張架ローラ32よりも下流側における定着ベルト38の内周面と接触するように、定着ベルト38を加熱する上述したような加熱体56が設けられている。さらに、定着ベルト38を介して加熱体56と対向する位置には、定着ベルト38を加熱体56に向かって押圧し、定着ベルト38と加熱体56とを接触させるための弾性体ローラ40が設けられている。
【0037】
第一張架ローラ31は、定着ベルト38を介して加圧ローラ30と当接し、定着ニップ部SNを形成している。そして、トナー像を担持した用紙Sが、この定着ニップ部SNに搬送されることで、熱と圧力とによりトナー像が用紙Sに定着される。
【0038】
また、定着装置は、
図4に示すようにニップ形成部材60に加熱体56を設けた構成でもよい。さらに、定着装置は、
図2や
図3に示した構成で、定着ベルト38の内側に加熱体56を設けるのではなく、定着ベルト38の外周面側から加熱体56によって加熱するような構成であっても良い。
【0039】
図5は、従来の加熱体560の構成を示す概略断面図である。
図5に示すように均熱部材である均熱板57の用紙の幅方向(定着ベルトの回転軸方向)長さは、熱源である抵抗発熱体55の幅方向長さと同寸法となっている。温度検知部材たるサーミスタ36が、幅方向中央に配置されており、過昇温防止部材35が、幅方向中央から離れた位置に配置されている。
【0040】
過昇温防止部材35およびサーミスタ36は、均熱板57の抵抗発熱体55との接触面と反対側の面に接触しており、均熱板57を介して抵抗発熱体55の温度を検知する。サーミスタ36を直接抵抗発熱体55に接触させると、例えば、定着ベルト38が定着温度に達していなくても、サーミスタ36の検知温度が抵抗発熱体55への通電をOFFとする上限温度に達しまうおそれがある。均熱板57は、ある程度の熱容量を有しているため、定着ベルト38が十分に定着温度にまで加熱されてから、サーミスタ36の検知温度が抵抗発熱体55への通電をOFFとする上限温度に達し、良好に定着ベルト38を規定温度にすることができる。
【0041】
過昇温防止部材35は、サーモスタットや温度ヒューズ等が用いられるが、何れの場合にもそれらを交換しない限りプリンタを使用できなくなってしまう。このように、過昇温防止部材35が作動してしまうと、しばらくの間プリンタが使用できなくなるため、過昇温防止部材35は、サーミスタ36が故障するなどにして、抵抗発熱体55の加熱制御が正常に行えなくなったときに、作動させるようにするのが好ましい。
【0042】
定着ベルト38に当接している加圧ローラが離間するなどにして、定着ベルト38により奪われる抵抗発熱体55の熱量が急激に減るなどした場合は、抵抗発熱体55の温度が、過昇温防止部材35が作動する作動温度に瞬間的に上昇する場合がある。そのため、過昇温防止部材35を直接抵抗発熱体55に接触させると、上述した抵抗発熱体55の温度が、過昇温防止部材35が作動する作動温度に瞬間的に上昇したとき、過昇温防止部材35が作動して抵抗発熱体55への通電を遮断してしまう。その結果、抵抗発熱体55の加熱制御が正常に行えているにも関わらず、過昇温防止部材35が作動して抵抗発熱体55への通電を強制的に遮断してしまう。
【0043】
このようなことから、過昇温防止部材35を均熱板57に接触させている。均熱板57は、温度の低いところへ熱が移動して均熱化するものである。従って、抵抗発熱体55が過昇温防止部材35が作動する温度に瞬間的に温度上昇したとしても、この均熱化の作用により均熱板57の温度が、過昇温防止部材35が作動する温度にまで高まることはない。これにより、抵抗発熱体55の加熱制御が正常に行えているにも関わらず、過昇温防止部材35が作動して抵抗発熱体55への通電を強制的に遮断してしまうような不具合が発生するのを抑制できる。
【0044】
しかし、
図5に示す従来構成においては、小サイズ紙を連続通紙したときに、抵抗発熱体55が、サーミスタ36の温度検知結果に基づいて正常に加熱制御されているにも関わらず過昇温防止部材35が作動してしまう場合があった。
【0045】
これは、定着ベルト38の用紙が通紙する通紙領域の幅方向外側の非通紙領域では、紙から熱が奪われないため温度が高くなる。定着ベルト38の非通紙領域が高温となることで、抵抗発熱体55の非通紙領域の熱が、均熱板57へ移動し、その熱が、軸方向へ内側へ移動して、均熱板57の過昇温防止部材35との接触箇所を温度上昇させる。その結果、均熱板57の過昇温防止部材35との接触箇所が過昇温防止部材35の作動温度以上になり、抵抗発熱体55が正常に制御されているにも関わらず、過昇温防止部材35が作動して抵抗発熱体55への通電を遮断してしまう場合があった。
【0046】
そのため、
図5に示す従来構成においては、通紙可能な最小幅サイズを制限したり、小サイズ紙の生産性を落としたりして、均熱板57の過昇温防止部材35との接触箇所が過昇温防止部材35の作動温度にまで上昇しないようにする必要がある。その結果、ユーザーの使い勝手を損なうおそれがある。
【0047】
図6は、本実施形態の加熱体56の構成を示す概略断面図である。
図6に示すように、本実施形態の加熱体56は、第一均熱板57aと、第二均熱板57bを設け、均熱板を、過昇温防止部材35との接触箇所よりも幅方向外側で分割している。
本実施形態では、均熱板を分割することで、第一均熱板57aの熱が、過昇温防止部材35が接触している第二均熱板57bへ移動するのを抑制することができる。小サイズ紙を連続印刷したときは、幅方向端部側に配置された第一均熱板57aのほとんどの領域が非通紙領域となり、温度が高くなる。しかし、この第一均熱板57aの熱が、第二均熱板57bへ移動するのが抑制されるため、第二均熱板57bの過昇温防止部材35との接触箇所の温度上昇が抑制される。その結果、第二均熱板57bの過昇温防止部材35との接触箇所が、過昇温防止部材35が作動する温度にまで上昇するのを防止できる。その結果、正常に加熱制御が行われているにも関わらず、過昇温防止部材35が作動して、抵抗発熱体55への電力を遮断してしまうのを抑制できる。これにより、通紙可能な最小幅サイズを制限したり、小サイズ紙の生産性を落としたりする必要がなくなり、ユーザーの使い勝手が損なわれてしまうのを抑制することができる。
なお、均熱板を分割しても、各均熱板により、抵抗発熱体55の均熱化を図ることができる。
【0048】
また、
図6に示すように、過昇温防止部材35との接触箇所の幅方向外側近傍で均熱板を分割するのが好ましい。このように分割することで、第二均熱板57bの過昇温防止部材35との接触箇所よりも幅方向外側から熱が、この接触箇所へ移動するのを抑制することができる。よって、非通紙領域の熱が第二均熱板57bの過昇温防止部材35との接触箇所へ移動するのをより一層抑制することができる。その結果、過昇温防止部材35との接触箇所が過昇温防止部材35の作動温度以上に上昇するのをより一層抑制することができる。なお、接触箇所の近傍は、例えば、接触箇所の幅方向外側端部から、過昇温防止部材35の均熱板との接触幅以下の範囲である。上記近傍の範囲の定義は、一例であり、近傍の範囲を、上記接触幅よりも狭くしてもよいし、上記接触幅よりも広くしてもよい。
【0049】
次に、加熱体56の変形例について説明する。
【0050】
[変形例1]
図7は、変形例1の加熱体56Aの構成を示す概略断面図である。
この変形例1の加熱体56Aにおいては、抵抗発熱体55が複数に分割されており、抵抗発熱体の各発熱部55a,55b,55c,55dは独立して定着ベルト38を加熱可能となっている。
【0051】
このように、抵抗発熱体55を複数に分割することで、非通紙領域に対応する発熱部の発熱量を通紙領域に対応する発熱部の発熱量よりも少なくなるように、加熱制御することが可能となる。これにより、定着ベルト38非通紙領域の温度上昇を抑えることができる。
【0052】
この変形例1では、各発熱部55a,55b,55c,55dは独立して加熱制御されるため、各発熱部55a,55b,55c,55dに対応して過昇温防止部材35a,35b,35c,35dを設ける。このように、各発熱部に対応して過昇温防止部材を設けることで、複数の発熱部のいずれかに正常な加熱制御ができなくなり、異常高温となったときに、その発熱部に対応する過昇温防止部材が作動し、その発熱部への電力供給を遮断することができる。
【0053】
均熱板は、3つの分割されており、4つの過昇温防止部材のうち、内側の2つの過昇温防止部材35b,35cとの接触箇所の幅方向外側近傍で分割されている。各均熱板57a,57b,57cは、2つの発熱部に接触するように設けられている。具体的には、第一均熱板57aは、第一発熱部55aと第二発熱部55bに接触しており、第二均熱板57bは、内側に配置された第二発熱部55bと第三発熱部55cに接触している。また、第三均熱板57cは、第三発熱部55cと第四発熱部に接触している。
このように、均熱板を複数の発熱部に接触させることで、発熱部の間で熱を移動させることができ、発熱部間の発熱ムラを抑えることができ、均熱性を図ることができる。
【0054】
また、
図7に示すように、内側の発熱部55b,55cに対応する過昇温防止部材35b,35cは、発熱部55b,55cの幅方向中央に対応する位置に配置している。このように、幅方向内側の過昇温防止部材35b,35cを、発熱部の幅方向中央に配置することで、これら過昇温防止部材35b,35cの幅方向外側近傍で均熱板を分割したときに、全ての均熱板を複数の発熱部に接触させることができる。
【0055】
一方、端部の発熱部55a,55dに対応する過昇温防止部材35a,35dは、端部の発熱部55a,55dの幅方向外側端部に対応する位置に配置している。これにより、過昇温防止部材35a,35dは、幅方向端部に配置された均熱板57a,57cの幅方向外側端部に接触する。幅方向端部に配置された均熱板57a,57cは、幅方向外側端部から側板などの他の部材へ熱が逃げるため、幅方向端部に配置された均熱板57a,57cの幅方向外側端部は温度上昇し難い。よって、発熱部55a,55dが正しく加熱制御されているときに、過昇温防止部材35a,35dが接触する幅方向端部に配置された均熱板57a,57cの幅方向外側端部が、過昇温防止部材35a,35dが作動する温度以上になることはほぼない。よって、発熱部55a,55dが正しく加熱制御されているにもかかわらず、過昇温防止部材35a,35dが動作して通電を遮断するのを良好に抑制することができる。
【0056】
また、
図7では、抵抗発熱体55を4分割しているが、分割する数は、装置構成などにより適宜決めればよい。また、発熱部が偶数個となるように、抵抗発熱体55を分割するのが好ましい。発熱部が偶数個とすることで、発熱部および過昇温防止部材35を幅方向で対称配置することができる。これにより、加熱体56の熱容量が、幅方向一方側と他方側とで同一にでき、各発熱部の加熱制御を容易に行うことができる。
【0057】
図8は、抵抗発熱体55を6分割したときの加熱体56Aの構成を示す概略断面図である。
この
図8に示す構成においては、中央の4つの発熱部55b,55c,55d,55eに対応する過昇温防止部材35b,35c,35d,35eは、発熱部の中央に対応する位置に配置している。また、幅方向端部に配置された発熱部に対応する過昇温防止部材35は、発熱部の幅方向外側端部に対応する位置に配置している。そして、均熱板は、内側の4つの過昇温防止部材35b,35c,35d,35eのそれぞれの外側近傍で分割されており、各均熱板57a,57b,57c,57d,57eは、隣合う2つの発熱部に接触させる。
【0058】
図8に示すように、第二均熱板57bは、この第二均熱板57bに接触している過昇温防止部材35bに対応する第二発熱部55bと第二発熱部55bよりも幅方向内側に配置された第三発熱部55cとに接触する構成となっている。これにより、第二均熱板57bが接触する2つの発熱部のうち、幅方向の内側の第三発熱部55cの熱を、第二均熱板57bにより幅方向外側へ移動させることができる。その結果、第二均熱板57bが接触する2つの発熱部のうち、幅方向外側の第二発熱部55bの発熱量を抑えても、第二均熱板57bの幅方向外側端部まで定着ベルト38の幅方向の温度を均熱化することが可能となる。また、第四均熱板57dについても、同様な理由で、第五発熱部55eの発熱量を抑えても、第四均熱板57dの幅方向外側端部まで幅方向の定着ベルト38の温度を均熱化することが可能となる。
【0059】
通紙する用紙幅が、第三発熱部55cの幅方向外側端部から第四発熱部55dの幅方向外側端部までの長さ以上、第二均熱板57bの幅方向の外側端部から第四均熱板57dの幅方向外側端部まで長さ以下のとき、次のように加熱制御できる。すなわち、第二発熱部55bおよび第五発熱部55eを、定着ベルト38を定着温度に加熱するときの発熱量よりも少ない発熱量で加熱制御にできる。第二発熱部55bおよび第五発熱部55eの加熱制御を上述した加熱制御としても、第三発熱部55cと第四発熱部55dの発熱で、定着ベルト38の第二均熱板57bの幅方向の外側端部から第四均熱板57dの幅方向外側端部までを定着温度にできる。これにより、非通紙領域の温度上昇を抑制でき、発熱部55b、55eが正常に加熱制御されているにも関わらず、第二過昇温防止部材35bや、第五過昇温防止部材35eが作動するのを良好に抑制することができる。
【0060】
[変形例2]
図9は、変形例2の加熱体56Aの構成を示す概略断面図である。
この変形例2においては、抵抗発熱体55を6分割したものである。そして、各発熱部に対応する6つの過昇温防止部材のうち、幅方向内側の4つの過昇温防止部材35b,35c,35d,35eを、対応する発熱部の幅方向の内側端部に対応する位置に配置したものである。
【0061】
このように、幅方向内側の4つの過昇温防止部材35b,35c,35d,35eを、対応する発熱部の幅方向の内側端部に対応する位置に配置することで、以下の効果を得ることができる。すなわち、これら過昇温防止部材35b,35c,35d,35eが受ける小サイズ紙を連続通紙したときの非通紙領域の温度の影響を抑制することができる。これにより、対応する発熱部55b~55eが正常に加熱制御されているにも関わらず、過昇温防止部材35b~35eが作動するのを良好に抑制することができる。
【0062】
また、この変形例2では、均熱板は、発熱部の幅方向中央よりも幅方向内側で分割される構成となっている。これにより、第二均熱板57bについて、接触する2つの発熱部55b,55cのうち、幅方向内側の第三発熱部55cとの接触範囲を、外側の第二発熱部55bとの接触範囲よりも広くすることができる。これにより、
図8に示した構成に比べて、幅方向の内側の第三発熱部55cの熱を有効活用することができる。その結果、幅方向外側の第二発熱部55bの発熱量を
図8に示す構成に比べて少なくしても、第二均熱板57bの幅方向外側まで定着ベルト38の温度の均熱化することができる。第四均熱板57dについても、第二均熱板57bと同様に、幅方向外側の第五発熱部55eの発熱量を
図8に示す構成に比べて少なくしても、第四均熱板57dの幅方向外側まで均熱化することができる。その結果、用紙幅が、第二均熱板57bの幅方向の外側端部から第四均熱板57dの幅方向外側端部まで長さの用紙を通紙するときの非通紙領域の温度上昇を
図8の構成に比べて、抑制することができる。これにより、第二過昇温防止部材35bや、第五過昇温防止部材35eが、対応する発熱部55b、55dが正常に加熱制御されているにも関わらず、作動するのを良好に抑制することができる。
【0063】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
定着ベルト38などの回転体と、回転体を加熱する抵抗発熱体55などの熱源と、熱源に接触して熱源の均熱性を高める均熱板57などの均熱部材と、熱源の過昇温を防止する過昇温防止部材と、を備えた定着装置12において、過昇温防止部材35は、均熱部材に接触するように配置されており、均熱部材は、過昇温防止部材との接触箇所よりも幅方向などの軸方向外側で分割されている。
熱源は、均熱部材の熱源との接触面の反対側の面に接触するサーミスタなどの温度検知部材が検知した温度に基づいて、加熱制御されている。例えば、定着ベルト38などの回転体に当接している加圧ローラが離間するなどにして、定着ベルト38により奪われる熱源の熱量が急激に減るなどした場合は、熱源の温度が、過昇温防止部材が作動する作動温度に瞬間的に上昇する場合がある。特許文献1に記載のように、過昇温防止部材を直接熱源に接触させていると、上述した熱源の温度が、過昇温防止部材が作動する作動温度に瞬間的に上昇したとき、過昇温防止部材が作動して熱源への通電を遮断してしまう。その結果、熱源の制御が可能な状態にもかかわらず、過昇温防止部材が作動して熱源への通電を強制的に遮断してしまうという不具合が発生する。過昇温防止部材として、サーモスタット(サーモスイッチ)を用いた場合は、過昇温防止部材の温度が低下してバイメタルの変形が元に戻らない限りは、熱源への通電が再開しない。過昇温防止部材として、温度ヒューズを用いた場合は、過昇温防止部材を交換しない限りは、熱源への通電が再開しない。従って、過昇温防止部材が作動すると、しばらく装置を稼働できなくなってしまう。
【0064】
そこで、態様1では、過昇温防止部材を均熱部材に接触させた。均熱部材は、温度の低いところへ熱が移動して均熱化するものである。従って、熱源が過昇温防止部材が作動する温度に瞬間的に温度上昇したとしても、この均熱化の作用により均熱部材の温度が、過昇温防止部材が作動する温度にまで高まることはない。これにより、熱源が正常に制御されている状態で、過昇温防止部材が作動してしまうのを抑制することができる。
【0065】
さらに、態様1では、均熱部材を過昇温防止部材との接触箇所よりも軸方向外側で分割している。これにより、過昇温防止部材を均熱部材に接触させたことで発生する、小サイズ紙連続通紙時に熱源が正常に制御されているにも関わらず、過昇温防止部材が作動して熱源への通電を遮断してしまうという課題も解決できる。
温度検知部材を軸方向中央に配置した場合は、過昇温防止部材は、軸方向中央から軸方向に離れた位置に配置されることになる。小サイズ紙を連続通紙したときは、軸方向において、定着ベルトなどの回転体の紙が通過する通紙領域よりも軸方向外側の非通紙領域では紙から熱が奪われない。その結果、回転体の非通紙領域は高温となる。回転体の非通紙領域が高温となることで、熱源の非通紙領域の熱が、均熱部材へ移動し、その熱が、軸方向へ内側へ移動して、均熱部材の過昇温防止部材との接触箇所を温度上昇させる。その結果、均熱部材の過昇温防止部材との接触箇所が過昇温防止部材の作動する作動温度以上になり、熱源が正常に制御されているにも関わらず、過昇温防止部材が作動して熱源への通電を遮断してしまうという上述の課題が発生するのである。
【0066】
態様1では、均熱部材を過昇温防止部材との接触箇所よりも軸方向外側で分割しているため、均熱部材の過昇温防止部材との接触箇所よりも軸方向外側から熱が、上記接触箇所への移動するのを抑制する。よって、小サイズ紙の連続通紙時に、上記接触箇所が過昇温防止部材が作動する温度まで上昇してしまうのを抑制することができる。その結果、小サイズ紙の連続通紙時に、熱源が正常に制御されているにも関わらず、過昇温防止部材が作動してしまうのを抑制することができる。
【0067】
(態様2)
態様1において、均熱板57などの均熱部材は、接触箇所の近傍で分割されている。
これによれば、実施形態で説明したように、過昇温防止部材35が接触している均熱板などの均熱部材の過昇温防止部材35との接触箇所よりも軸方向外側から接触箇所へ熱が移動してくるのを抑制でき、均熱部材の過昇温防止部材35との接触箇所が、温度上昇するのを良好に抑制することができる。
【0068】
(態様3)
態様1または2において、抵抗発熱体55などの熱源は、幅方向などの軸方向に複数分割されている。
これによれば、変形例1で説明したように、分割された熱源毎に制御することが可能となる。その結果、通紙領域に対応する熱源は、定着ベルト38などの回転体が定着温度となるように制御を行い、非通紙領域に対応する熱源は定着温度よりも低い温度となるように制御を行うことができる。これにより、非通紙領域の温度上昇を抑制することができ、過昇温防止部材との接触箇所が過昇温防止部材の作動温度以上に上昇するのを良好に抑制することができる。その結果、熱源が正常に制御されているにもかかわらず、過昇温防止部材35が作動してしまうのを良好に抑制することができる。
【0069】
(態様4)
態様3において、均熱板57などの均熱部材は、複数の熱源に接触している。
これによれば、変形例1で説明したように、熱源の熱を分割された熱源間へ移動させることができ、熱源間の発熱ムラを抑制することができる。
【0070】
(態様5)
態様4において、過昇温防止部材は、各熱源に対して設けられており、均熱板57などの均熱部材は、均熱部材に接触する過昇温防止部材に対応する熱源と、この熱源よりも軸方向内側に配置された熱源とに接触している。
これによれば、変形例1で説明したように、用紙の一端がこの均熱部材の軸方向外側端部に位置する幅サイズの用紙を通紙するとき、この均熱部材が接触する複数の熱源のうち軸方向外側の熱源の発熱量を内側の熱源の発熱量よりも少なくしても、軸方向内側の熱源の制御で、この均熱部材の幅方向外側端部まで、定着ベルトなどの回転体の温度を定着温度にできる。これにより、定着不良の発生を抑制するとともに、非通紙領域の温度上昇も抑制することができる。その結果、均熱部材の過昇温防止部材との接触箇所が、過昇温防止部材が作動する温度以上となるのを良好に抑制できる。従って、過昇温防止部材に対応する熱源が正常に制御されているにも関わらず、過昇温防止部材が作動してしまうのを、より一層抑制することができる。
【0071】
(態様6)
態様5において、均熱板などの均熱部材は、熱源の軸方向中央よりも内側で分割している。
これによれば、変形例2で説明したように、均熱部材が接触する複数の熱源のうち軸方向外側の熱源の発熱量を、熱源の軸方向中央よりも外側で分割する場合に比べて、少なくしても、この均熱部材の幅方向外側端部まで、定着ベルトなどの回転体の温度を定着温度にできる。その結果、用紙の一端がこの均熱部材の軸方向外側端部に位置する幅サイズの用紙を通紙するときの定着不良の発生を抑制するとともに、非通紙領域の温度上昇も抑制することができる。
【0072】
(態様7)
態様3乃至6いずれかにおいて、過昇温防止部材35は、各熱源に対して設けられており、軸方向端部に配置された端部熱源以外の熱源に対応する過昇温防止部材の少なくともひとつは、軸方向において対応する熱源の内側端部の位置に配置されている。
これによれば、変形例2で説明したように、軸方向において対応する熱源の内側端部よりも軸方向外側に過昇温防止部材を配置した場合に比べて、非通紙領域の熱の影響を抑制することができる。これにより、対応する熱源の制御に異常がないにも関わらず、過昇温防止部材が作動して対応するへの通電を遮断するのを抑制することができる。
【0073】
(態様8)
態様3乃至7いずれかにおいて、過昇温防止部材は、各熱源に対して設けられており、軸方向端部に配置された端部熱源に対応する過昇温防止部材は、軸方向において端部熱源の外側端部の位置に配置されている。
これによれば、変形例1で説明したように、均熱板などの均熱部材が温度上昇し難い箇所に過昇温防止部材を接触させることができ、端部熱源の制御に異常がないにも関わらず、過昇温防止部材が作動して対応するへの通電を遮断するのを抑制することができる。
【0074】
(態様9)
用紙などの記録媒体に画像を形成する画像形成部と、記録媒体に形成された画像を記録媒体に定着させる定着装置12とを備えた画像形成装置において、定着装置12として、態様1乃至8いずれかの定着装置を用いた。
これによれば、正常に動作しているにも関わらず、装置が異常停止してしまうのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0075】
12 :定着装置
34 :サーミスタ
35 :過昇温防止部材
36 :サーミスタ
37 :制御装置
38 :定着ベルト
39 :電源
55 :抵抗発熱体
56 :加熱体
57 :均熱板
60 :ニップ形成部材
S :用紙
SN :定着ニップ部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】