(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】生分解性錯化剤の使用によるブリーチ中の低減された毛髪ダメージ
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20241031BHJP
A61K 8/22 20060101ALI20241031BHJP
A61K 8/23 20060101ALI20241031BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20241031BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20241031BHJP
A61Q 5/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/22
A61K8/23
A61K8/25
A61K8/41
A61Q5/08
(21)【出願番号】P 2021540901
(86)(22)【出願日】2019-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2019073350
(87)【国際公開番号】W WO2020064268
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102018123507.0
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ホデス
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・バノヴスキー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエラ・ケスラー-ベッカー
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-525938(JP,A)
【文献】特開2006-056835(JP,A)
【文献】特開2005-206514(JP,A)
【文献】特表2010-527732(JP,A)
【文献】特開2006-045066(JP,A)
【文献】特開平02-234971(JP,A)
【文献】特開2011-162505(JP,A)
【文献】特開平09-157142(JP,A)
【文献】特開2003-206221(JP,A)
【文献】特開2006-342125(JP,A)
【文献】特開2000-309518(JP,A)
【文献】特開2004-315412(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0190297(US,A1)
【文献】国際公開第2017/041906(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2392638(EP,A1)
【文献】特表2003-518030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・少なくとも1種の過硫酸塩、
・少なくとも1種のアルカリ化剤、及び
・少なくとも1種の錯化剤
を含む
毛髪の酸化的処理用化粧剤であって、
該錯化剤
はグルタミン酸二酢酸4ナトリウ
ムであり、
該錯化剤は、化粧剤の総重量に基づいて、0.1~5重量%の量で化粧剤中に存在し、
化粧剤の水分含量は10.0重量%未満であり、
化粧剤は、エチレンジアミンテトラアセテートを含有しないことを特徴とする、
化粧剤。
【請求項2】
前記過硫酸塩が、無機ペルオキソ二硫酸塩であることを特徴とする、請求項
1に記載の化粧剤。
【請求項3】
前記過硫酸塩が、ペルオキソ二硫酸カリウム及びペルオキソ二硫酸アンモニウムの混合物であり、それぞれの場合において化粧剤の総重量に基づいて、20~50重量%の量で存在するペルオキソ二硫酸カリウム、及び、1~20
重量%の量で存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムが化粧剤中に含有されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の化粧剤。
【請求項4】
前記アルカリ化剤は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、ヒドロキシ炭酸塩、シリケートもしくはメタシリケート、又は、対応するアンモニウム塩であることを特徴とする、請求項1~
3のいずれかに記載の化粧剤。
【請求項5】
前記アルカリ化剤が、化粧剤の総重量に基づいて25~50重量%の量で化粧剤中に存在することを特徴とする、請求項1~
4のいずれかに記載の化粧剤。
【請求項6】
第1コンポーネントとして請求項1~
5のいずれかに記載の化粧剤を含み、第2コンポーネントとしてH
2O
2を含む剤を含む、
毛髪の酸化的明色化のためのマルチコンポーネントユニット。
【請求項7】
第1コンポーネントとして請求項1~
5のいずれかに記載の化粧剤を含み、第2コンポーネントとして、酸化染料前駆体を含む、
毛髪の酸化的着色のためのマルチコンポーネントユニット。
【請求項8】
請求項1~
5のいずれかに記載の化粧剤の錯化剤としての
、グルタミン酸二酢酸4ナトリウム
の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、少なくとも1種のアルカリ化剤及び少なくとも1種の錯化剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理のための化粧品組成物に関する。さらに、本発明は、第1コンポーネントとして本発明の化粧剤及び第2コンポーネントとしてH2O2を含む剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的明色化のためのマルチコンポーネントユニットに関する。加えて、本発明は、2又はそれ以上のカルボキシル基を有する窒素含有カルボン酸の塩の化粧品組成物における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪色を変えることは、現代の化粧品の重要な領域を表している。毛髪の外観は、現在のファッショントレンドならびに人の個々の要求に適応させることができる。装飾用化粧品、特にブリーチング又はカラーリング毛髪化粧品の分野において、効果的であると同時に、ダメージを引き起こすことなく取り扱いが簡単な製品に対する強い要求がある。この分野において、消費者は、非常に効果的であるブリーチング及びヘアカラーリングシステムを利用可能であるが、毛髪にダメージを与え得り、環境的側面において議論がなされているものである。
【0003】
ブリーチング又はカラーリング効果をもたらす反応は、長きにわたり知られている。ブリーチング剤に含有される酸化剤は、毛髪自体の顔料であるメラニンを酸化的分解することによって、毛髪繊維を明色化することができる。適度なブリーチング効果のためには、過酸化水素を単独で(あるいはアンモニア又は他のアルカリ化剤の添加と共に)酸化剤として使用することで十分であり、より強いブリーチング効果のためには、過酸化水素とペルオキソ二硫酸塩及び/又はペルオキソ一硫酸塩の混合物が通常使用される。
【0004】
しかしながら、適用に要求されるアルカリ性pH値において、過酸化水素水溶液は不安定であるため、市販されている酸化的ブリーチング製品及び染色製品は、通常、少なくとも2つのコンポーネントからなる。第1コンポーネントは、過酸化水素を含む酸性酸化剤製剤であり、これは、使用直前にアルカリ性の第2コンポーネントと混合される。
【0005】
永久染毛剤について、いわゆる酸化的染毛剤が使用され、これは通常2剤で入手可能である。使用される第1剤は、過酸化水素などの酸化剤の影響下でそれら自体の間で実際の染料を形成する、いわゆる顕色剤成分及びカプラー成分を含有する、いわゆる酸化染料前駆体(OFV)のアルカリ性製剤である。第2剤としての酸化剤製剤は、しばしばディベロッパーとも称され、少なくとも水と過酸化水素とを含有し、安定性の理由から酸性である。酸性に調整された酸化剤製剤は、使用直前にアルカリ性に調整された第1剤と混合される。この塗布混合物は毛髪に塗布され、短時間そこにとどまり、その後洗い流される。この時間の間、過酸化水素の影響下で酸化染料前駆体(OFV)が互いに反応し、所望の毛髪色を作るオリゴマーを形成する。
【0006】
酸化的ブリーチング又は明色化について又は酸化的カラーリングについて述べた工程は、毛髪構造を攻撃するか、又は、毛髪構造の一部を破壊する。化粧品の使用者は、どの程度まで機械的耐性が低下し、毛髪の表面が荒くなり、艶が妨げられ、毛髪のもろさが増大するか、混乱している。
【0007】
述べられたプロセスにおいて、又は、述べられた任意のプロセスのいずれかが用いられる前に、毛髪または化粧品の成分は、水に出会う。使用される水は、多量のカルシウムイオン及びマグネシウムイオン、並びに少量の銅イオン及び鉄イオンを含有する。以前の毛髪洗浄のために、わずかに、微量の銅及び鉄成分も毛髪中に存在し得る。酸化的毛髪処理中に、アルカリ性条件下で、該金属成分は過酸化物と反応し得り、活性酸素種(ROS)が形成され得る。かかるROSは毛髪タンパクと反応し、毛髪ダメージを引き起こし得る。この望ましくないプロセスを抑制するために、化粧品に錯化剤が添加される。
【0008】
酸化的毛髪処理用の化粧品に使用される標準的な錯化剤は、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)である。EDTAは、その低い生分解性のために、現在議論がなされている。さらにEDTAは、銅及び鉄と比較して、マグネシウム及びカルシウムとの親和性がより高いため、理想的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の根底にある課題は強力な錯化剤を含む化粧品組成物を提供することであり、ここで、該化粧品組成物は、従来の剤と比較して同等の毛髪の機械的強度が達成されるような、毛髪に対してできる限り少ないストレスを生じ、かつ、達成される毛髪の明色化に関し、従来の剤を用いる適用と比較して効果が改善される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の根底にある課題は、請求項1に記載の化粧品組成物によって解決される。したがって、本発明の第1の主題は、少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、少なくとも1種のアルカリ化剤及び少なくとも1種の錯化剤を含むケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理用化粧剤であり、ここで、該錯化剤は、2又はそれ以上のカルボキシル基を有する窒素含有カルボン酸の塩である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の化粧剤は、ケラチン性繊維の酸化的処理のために使用される。本発明の文脈において、用語「酸化的処理」は本質的に酸化的な色の変化を意味すると理解される。これらは、ブリーチング剤及びケラチン繊維を明色化するための剤によって達成される。該化粧品組成物は、ペルオキソ化合物の塩を含む酸化剤、好ましくは過硫酸塩又は過炭酸塩である酸化剤を含む。純粋なブリーチング又は明色化が行われる場合、剤はさらなる着色剤を含有しない。しかし、ブリーチング/明色化に加えて、ケラチン繊維のニュアンス調整が望ましくもあり得る。シェーディングのために、本発明の化粧品組成物は直接染料及び/又は酸化染料前駆体などのカラーリング成分を追加的に含有してもよい。しかし、該剤の好ましい仕様は、ブロンド化又は明色化である。
【0012】
ケラチン性繊維は、羊毛、毛皮、羽毛、及び特に人毛を含む。しかしながら、原則として、本発明の染料は他の天然繊維、例えば綿、ジュート、ザイザル、麻又は絹、変性天然繊維、例えば再生セルロース、ニトロセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース又はアセチルセルロースなどを染色するために使用することもできる。
【0013】
必須成分として、該化粧品は化粧品のアルカリ性のpHを調整するためのアルカリ化剤を含有する。該化粧品組成物は、水と混合して得られる即時使用可能な組成物がアルカリ性のpH値を有するようなものである。この目的のために、化粧品はアルカリ化剤を含有する。
【0014】
酸化的着色調整剤を使用すると、ケラチン繊維中に存在するシステイン架橋の一部が酸化的に分解される。このプロセスにおいて、シスチンのジスルフィド基が酸化的に開裂し、スルホン酸単位へと変換される。このようにして、異なるペプチドストランドを結合するシスチンが2つの分離物、すなわちもはや架橋されていないシステイン酸単位へと酸化される。すなわち、毛髪がダメージを受ける際、毛髪中のシステイン含量が増加する。驚くべきことに、2又はそれ以上のカルボキシル基を有する窒素含有カルボン酸の塩を含む錯化剤を使用することによって、毛髪へのダメージを低減できることがわかった。この有利な効果は、毛髪中のシステイン含量を測定することで測定することができる。
【0015】
本発明の化粧品組成物は、2又はそれ以上のカルボキシル基を有する窒素含有カルボン酸の塩を用いる場合、ブランド製品「Fibreplex Technik」を用いる場合と比較して、毛髪におけるより低いシステイン含量を示す。ブランド製品「Fibreplex」. 同時に、ブランド製品「Fibreplex」と比較して、新しい製剤を用いることで白色化効果(L値、実施例参照)は改善される。
【0016】
2又はそれ以上のカルボキシル基を有する窒素含有カルボン酸によって、窒素原子を有する、有機ジカルボン酸又はより多価の有機カルボン酸が意味されると理解すべきである。好ましくは、窒素含有カルボン酸は有機アミンである。より好ましくは、その炭化水素基が2又はそれ以上のカルボキシル基を有する、第1級、第2級又は第3級アミン、第4級アミンが使用される。好ましくは、窒素含有カルボン酸の塩は、2、3、4又は5個のカルボキシル基を有し、特に窒素含有カルボン酸の塩は、メチルグリシン二酢酸三ナトリウム(MGDA)、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム(GLDA)又はジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(DTPA)、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム(GLDA)である。GLDAの利点は、容易に生分解可能であることでもある。
【0017】
本発明において、塩のイオンが特定の機能を有する塩を用いる場合、その対イオンとして生理学的に許容性の対イオンが使用される。
【0018】
したがって、窒素含有カルボン酸の塩は、生理学的に許容性の対イオンを選択的に含む。よって、カルボキシレートの対イオンとして、アルカリ又はアルカリ土類金属カチオンあるいはアンモニウムイオンが好ましい。より好ましくは、窒素含有カルボン酸の塩は、生理学的に許容性の対イオンを有するグルタミン酸二酢酸であり、最も好ましくは、窒素含有カルボン酸の塩は、グルタミン酸二酢酸4ナトリウムである。
【0019】
本発明の化粧品組成物において使用される錯化剤は、従来の組成物において使用されるエチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)の代替である。したがって、好ましくは、該化粧品組成物中に従来の錯化剤は存在せず、特に該化粧品組成物中にEDTAは存在しない。
【0020】
好ましい態様によれば、本発明の化粧品組成物は、化粧品組成物の総重量に基づいて0.1~5重量%、好ましくは0.5~4重量%、より好ましくは1~3重量%の量で、錯化剤を含有する。かかる量範囲において、該錯化剤は従来の錯化剤の強力な代替である。
【0021】
化粧剤は、酸化剤として1種以上のペルオキソ化合物、好ましくは過炭酸塩及び/又は過硫酸塩を含有する。本発明の好ましい態様によれば、化粧品組成物は無機ペルオキソ二硫酸塩を含む。したがって、ペルオキソ化合物の塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオンあるいはアンモニウムイオンを対イオンとして有する過炭酸塩及び/又は過硫酸塩を含む。
【0022】
本発明の好ましい態様において、化粧品組成物は、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム及び/又はペルオキソ二硫酸ナトリウムを含む。化粧剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムからなる群から選択される少なくとも2つの過硫酸塩を含有する場合に有利であることがさらにわかった。したがって、化粧品はより好ましくは、ペルオキソ二硫酸カリウム及びペルオキソ二硫酸アンモニウムの混合物を含有する。本発明の化粧品組成物が3つの全ての過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウム)を含有する場合きわめて好ましい。ペルオキソ二硫酸アンモニウムは、あるいは過硫酸アンモニウムとも称され、分子式(NH4)2S2O8を有する。過硫酸アンモニウムは、CAS番号7727-54-0を有する。ペルオキソ二硫酸カリウムは、あるいは過硫酸カリウムとも称され、分子式K2S2O8を有する。過硫酸カリウムはCAS番号7727-21-1を有する。ペルオキソ二硫酸ナトリウムは、あるいは過硫酸ナトリウムとも称され、分子式Na2S2O8を有する。過硫酸ナトリウムはCAS番号7775-27-1を有する。
【0023】
過硫酸塩も、明色化性能を最適化するため、及び毛髪ダメージを最小化するために、本発明の化粧品組成物において所定の総量で好ましくは使用される。本発明の好ましい態様によれば、ペルオキソ二硫酸カリウムは、化粧品組成物の総重量に基づいて、20~50重量%、好ましくは25~40重量%、より好ましくは29~35重量%の量で化粧品組成物において使用される。該量のペルオキソ二硫酸カリウムに加えて、又は代えて、ペルオキソ二硫酸アンモニウムは、化粧品の総重量に基づいて、1~20重量%、好ましくは3~16重量%、より好ましくは5~15重量%の量で、化粧品において使用される。
【0024】
本発明の好ましい態様によれば、アルカリ化剤は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、ヒドロキシ炭酸塩、シリケート又はメタシリケート、あるいは対応するアンモニウム塩である。好ましくは、該アルカリ化剤は、アルカリシリケート又はアルカリ土類シリケート、より好ましくはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、あるいはケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムの混合物である。より好ましくは、アルカリ化剤は水和ケイ酸ナトリウムであり得る。これは、Na2O:SiO2の1:2~1:3、より好ましくは1:2.5~1:2.8のモル比を有する水溶性ケイ酸ナトリウムである。本発明に特に適する水和ケイ酸ナトリウムは、Britesil(登録商標)C265(PQコーポレーション)の商品名で市販されている。
【0025】
アルカリ化剤の数量は、即時使用可能な化粧品において設定されるpH値に応じて専門家によって選択される。好ましい態様によれば、化粧品組成物は、化粧品組成物の総重量に基づいて、25~50重量%、好ましくは30~45重量%、より好ましくは35~43重量%の量でアルカリ化剤を含有する。
【0026】
本発明の化粧品組成物は、好ましくは、水と混合することによって得られる即時使用可能な化粧品組成物が、アルカリ性のpH値を有するようなものである。該化粧品組成物が、H2O2を含む第2コンポーネント又は顕色剤成分/カプラー成分を含む第2コンポーネントと共に使用されることが意図される場合、即時使用可能な化粧品組成物は、化粧品組成物とH2O2を含むコンポーネントとを混合することによって、又は、化粧品組成物と顕色剤又はカプラー成分とを混合することによって、得られる。好ましくは、即時使用可能な化粧品剤は、それぞれの場合において20℃で測定して、8~12のpH値、特に好ましくは8.5~11.5のpH値、とりわけ好ましくは9~11のpH値を有する。測定のために、化粧品剤を2倍量の水でスラリー化し、市販のpHメーターを所定の温度で用いてpHを測定する。
【0027】
好ましい態様によれば、化粧品剤は、水と混合するだけで即時使用可能な化粧品剤を調製できる、単一成分の形態で存在する。このようにして、個別に包装された第2の製剤との混合を省略することができる。水と混合する際、過炭酸塩又は過硫酸塩から過酸化水素(又は「活性酸素」)が系中で放出される。水との接触によって、化粧品が即時使用可能な形に変わるため、化粧品自体は本質的に無水であり、したがって10.0重量%未満、より好ましくは5重量%未満、さらにより好ましくは2重量%未満の水を含有する。例えば、100gの本発明の剤は、最大で9.9重量%(=9.9g)の水を含有する。水分含量は、本発明の化粧品組成物に使用する原料によって調整してよい。実際に、種々の原料は、例えば該原料がエマルジョンの形態で使用される場合、結晶水を含有する場合、又は水が微量成分として存在する場合、少量の水を含有し得る。しかし、本発明の化粧品組成物における水分含量をできるだけ低く選択することが有利である。
【0028】
本発明の好ましい態様によれば、ブリーチング組成物はアクリル系分散コポリマーをさらに含み、ここで、該分散コポリマーは、好ましくは1又はそれ以上のアクリル酸またはメタクリル酸単位を含むコポリマーを含み、分散コポリマーはより好ましくはメタクリル酸/メチル(メタ)アクリレートコポリマー又はアクリル酸/メチル(メタ)アクリレートコポリマーを含む。特に好ましい、市販され入手可能な製品は、Degalan RG S hvである。本発明によれば、化粧品剤は、水と混合することによって即時使用可能な剤へと変換される。粉末を水と混合する際、粉末の他の部分が水に濡れていない状態でなお存在し、増粘又は塊の形成が生じ得る。一般に、水での湿潤は難しくあり得る。分散剤は湿潤性を改善するために添加される。上記のコポリマー及び上記の市販製品は、特に有利であることがわかった。
【0029】
本発明の好ましい態様によれば、化粧品組成物はさらに増粘剤を含む。好ましくは、即時使用可能な化粧品は、5~100Pa・s、好ましくは10~50Pa・s、とりわけ10~20Pa・s、より好ましくは10~16Pa・s(Brookfield、22℃、スピンドル#5,4rpm)の粘度を有する。無機物質及び有機物質のいずれもが、増粘剤又はゲル化剤として適当である。
【0030】
一方で、増粘剤は化粧品中に主に流動性の粉末として存在すべきであり、他方、水と混合後はできる限り早く、即時使用可能な化粧品を、使用者に使いやすい範囲の粘度まで上げる必要がある。したがって、好ましくは、増粘剤はカルボキシメチルセルロース、そのNa塩及びヒドロキシメチルセルロースからなる群から選択される。カルボキシメチルセルロース(例えば Cekol(登録商標)50000、CP Kelco製(INCI:セルロースガム))、又はカルボキシメチルセルロースとメタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマーとの組合せ(例えばRohagit(登録商標)S hv ex Evonik(INCI:アクリレートコポリマー)、又はカルボキシメチルセルロースとシリカとの組み合わせ。これに関して、上記に選択した増粘剤、又は上記に述べた市販され入手可能な増粘剤が最も有利であることがわかった。増粘剤は、化粧品組成物中に、化粧品組成物の総重量に基づいて0.1~10重量%、より好ましくは0.4~5重量%、最も好ましくは1~4重量%の量で好ましくは存在する。
【0031】
本発明の化粧品組成物は、さらなる賦形剤、添加剤及び/又は添加剤を含有し得る。例えば、本発明の好ましい態様によれば、化粧品組成物はフィラーを含有してよい。適当なフィラーは炭酸マグネシウムである。
【0032】
さらに化粧品は、化粧品剤の粉塵形成を抑制する賦形剤を含有してよい。この観点では、炭化水素が適当である。
【0033】
本発明の根底にある課題は、さらに請求項7に記載の主題によって解決される。したがって、本発明の第2の主題は、第1コンポーネントとして 本発明の第1の主題の化粧剤を含み、第2コンポーネントとしてH2O2を含む剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛を酸化的明色化するためのマルチコンポーネントユニットである。
【0034】
本発明のマルチコンポーネントユニットは少なくとも2つのコンポーネントを含む。第1のコンポーネントは本発明の化粧品組成物である。第2のコンポーネントはH2O2を含有する剤である。本発明のマルチコンポーネントユニットのブリーチング効果は、単一のコンポーネントとして適用される際の本発明の化粧品剤の効果よりも高い。本発明の第1の主題の好ましい態様による化粧品組成物は、シングルコンポーネントの形態であるが、ユーザーによって、より高いブリーチング効果が所望され得る。2つのコンポ-ネントに分離することによって、高いブロンド化効果を有するH2O2の安定性がもたらされる。該マルチコンポーネントユニットは、本発明の錯化剤の使用という利点もさらに有する。
【0035】
本発明の根底にある課題は、請求項8に記載の主題によってさらに解決される。したがって、本発明の第3の主題は、第1コンポーネントとして本発明の第1の主題の化粧剤を含み、第2コンポーネントとして、好ましくは1又はそれ以上の顕色剤成分及び任意に1又はそれ以上のカプラー成分から選択される酸化染料前駆体を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的着色のためのマルチコンポーネントユニットである。
【0036】
本発明のマルチコンポーネントユニットは少なくとも2つのコンポーネントを含む。第1のコンポーネントは本発明の化粧品組成物である。第2のコンポーネントは酸化染料前駆体を含有する剤である。このマルチコンポーネントユニットは、ケラチン性繊維の着色に有利に適当である。本発明の第1の主題の好ましい態様によれば化粧品組成物はシングルコンポーネントの形態であるが、ユーザーは色味のニュアンスを所望し得る。2つのコンポーネントに分離することで、酸化染料前駆体の成分の安定性が得られる。該マルチコンポーネントユニットは、窒素含有カルボン酸の使用という利点も有する。
【0037】
本発明の根底にある課題は請求項9に記載の主題によってさらに解決される。したがって、本発明の第4の主題は、化粧品組成物中の錯化剤としての、2又はそれ以上のカルボキシル基を有する窒素含有カルボン酸の塩の使用、好ましくはメチルグリシン二酢酸3ナトリウム、グルタミン酸二酢酸4ナトリウム又はジエチレントリアミン五酢酸5ナトリウム、グルタミン酸二酢酸4ナトリウムの使用である。
【0038】
窒素含有カルボン酸の使用は、その良好な生分解性のため、及び、鉄イオン又は銅イオンに対する親和性の差が、マグネシウムイオン又はカルシウムイオンに対する親和性と比べて、特に大きくないため、化粧品中の錯化剤として特に適当である。
【0039】
本発明の好ましい態様によれば、2又はそれ以上のカルボキシル基を有する窒素含有カルボン酸の塩が、本発明の化粧品組成物において、又は、本発明のマルチコンポーネントユニットにおいて使用される。より好ましくは、本発明の化粧品組成物は、人毛の酸化的処理のためのものであり、より好ましくは人毛の酸化的染色のためのもの、又は酸化的明色化のためのものであり、より好ましくは本発明のマルチコンポーネントユニットは、人毛の酸化的処理のためのものであり、より好ましくは人毛の酸化的染色のためのもの、又は酸化的明色化のためのものである。
【0040】
本発明の非常に特に好ましい化粧品組成物は、以下の態様A)~J)の少なくとも1つを含む:
A)
少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、少なくとも1種のアルカリ化剤及び少なくとも1種の錯化剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理のための化粧品組成物であって、該錯化剤は、生理学的に許容性の対イオンを有する、4つのカルボキシル基を含む窒素含有カルボン酸の塩を含む。
【0041】
B)
少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、少なくとも1種のアルカリ化剤及び少なくとも1種の錯化剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理のための化粧品組成物であって、該錯化剤は、生理学的に許容性の対イオンを有する、4つのカルボキシル基を含む窒素含有カルボン酸の塩を含み、該化粧品組成物はEDTA不含である。
【0042】
C)
少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、少なくとも1種のアルカリ化剤及び少なくとも1種の錯化剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理のための化粧品組成物であって、該錯化剤は、生理学的に許容性の対イオンを有する、4つのカルボキシル基を含む窒素含有カルボン酸の塩を含み、該錯化剤は化粧品組成物の総重量に基づいて0.1~5重量%、好ましくは0.5~4重量%、より好ましくは1~3重量%の量で化粧品組成物中に存在する。
【0043】
D)
少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、少なくとも1種のアルカリ化剤及び少なくとも1種の錯化剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理のための化粧品組成物であって、該ペルオキソ化合物の塩は、無機ペルオキソ二硫酸塩であり、好ましくはペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム及び/又はペルオキソ二硫酸ナトリウムであり、より好ましくはペルオキソ二硫酸カリウム及びペルオキソ二硫酸アンモニウムの混合物であり、ここで、該錯化剤は、生理学的に許容性の対イオンを有する、4つのカルボキシル基を含む窒素含有カルボン酸の塩を含む。
【0044】
E)
少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、少なくとも1種のアルカリ化剤及び少なくとも1種の錯化剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理のための化粧品組成物であって、該ペルオキソ化合物の塩は、ペルオキソ二硫酸カリウム及びペルオキソ二硫酸アンモニウムの混合物であり、それぞれ化粧品組成物の総重量に基づいて、ペルオキソ二硫酸カリウムは20~50重量%、好ましくは25~40重量%、より好ましくは29~35重量%の量で存在し、ペルオキソ二硫酸アンモニウムは、1~20重量%、好ましくは3~16重量%、より好ましくは5~15重量%の量で存在し、化粧品中に含有され、ここで、該錯化剤は、生理学的に許容性の対イオンを有する、4つのカルボキシル基を含む窒素含有カルボン酸の塩を含み、該錯化剤は、化粧品中に、化粧品の総重量に基づいて、0.1~5重量%、好ましくは0.5~4重量%、より好ましくは1~3重量%の量で含まれる。
【0045】
F)
少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、少なくとも1種のアルカリ化剤及び少なくとも1種の錯化剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理のための化粧品組成物であって、該ペルオキソ化合物の塩は無機ペルオキソ二硫酸塩であり、好ましくはペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム及び/又はペルオキソ二硫酸ナトリウムであり、より好ましくはペルオキソ二硫酸カリウム及びペルオキソ二硫酸アンモニウムの混合物であり、ここで、該アルカリ化剤は、Na2O:SiO2の1:2~1:3、より好ましくは1:2.5~1:2.8のモル比を有する水溶性ケイ酸ナトリウムであり、さらにより好ましくは二ケイ酸ナトリウム又は二ケイ酸カリウムであり、ここで、該錯化剤は、生理学的に許容性の対イオンを有する、4つのカルボキシル基を含む窒素含有カルボン酸の塩を含む。
【0046】
G)
少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、少なくとも1種のアルカリ化剤及び少なくとも1種の錯化剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理のための化粧品組成物であって、該ペルオキソ化合物の塩はペルオキソ二硫酸カリウム及びペルオキソ二硫酸アンモニウムの混合物であり、それぞれの場合において化粧品組成物の総重量に基づいて、ペルオキソ二硫酸カリウムは20~50重量%、好ましくは25~40重量%、より好ましくは29~35重量%の量で存在し、ペルオキソ二硫酸アンモニウムは1~20%、好ましくは3~16重量%、より好ましくは5~15重量%の量で存在し、ここで、該アルカリ化剤は、Na2O:SiO2の1:2~1:3、より好ましくは1:2.5~1:2.8のモル比を有する水溶性ケイ酸ナトリウムであり、さらにより好ましくは二ケイ酸ナトリウム又は二ケイ酸カリウムであり、これは、化粧品組成物中に、化粧品組成物の総重量に基づいて、25~50重量%、好ましくは30~45重量%、好ましくは30~45重量%、より好ましくは35~43重量%の量で存在し、ここで、該錯化剤は、生理学的に許容性の対イオンを有する、4つのカルボキシル基を含む窒素含有カルボン酸の塩を含み、該錯化剤は、化粧品組成物中に、化粧品組成物の総重量に基づいて、0.1~5重量%、好ましくは0.5~4重量%、より好ましくは1~3重量%の量で存在する。
【0047】
H)
少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、少なくとも1種のアルカリ化剤及び少なくとも1種の錯化剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理のための化粧品組成物であって、該ペルオキソ化合物の塩は、ペルオキソ二硫酸カリウム及びペルオキソ二硫酸アンモニウムの混合物であり、それぞれ化粧品組成物の総重量に基づいて、ペルオキソ二硫酸カリウムは20~50重量%、好ましくは25~40重量%、より好ましくは29~35重量%の量で存在し、ペルオキソ二硫酸アンモニウムは、1~20重量%、好ましくは3~16重量%、より好ましくは5~15重量%の量で存在し、該アルカリ化剤は化粧品中に、化粧品が即時使用可能な形態になった際に、化粧品のpH値が8~12の間、好ましくは8.5~11.5の間、より好ましくは9~11の間であるような量で存在し、ここで、該錯化剤は、生理学的に許容性の対イオンを有する、4つのカルボキシル基を含む窒素含有カルボン酸の塩を含み、該錯化剤は、化粧品組成物の総重量に基づいて、0.1~5重量%、好ましくは0.5~4重量%、より好ましくは1~3重量%の量で存在する。
【0048】
I)
少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、少なくとも1種のアルカリ化剤、少なくとも1種の増粘剤及び少なくとも1種の錯化剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理のための化粧品組成物であって、ここで、該ペルオキソ化合物の塩は無機ペルオキソ二硫酸塩、好ましくはペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム及び/又はペルオキソ二硫酸ナトリウム、より好ましくはペルオキソ二硫酸カリウム及びペルオキソ二硫酸アンモニウムの混合物であり、該増粘剤は、カルボキシメチルセルロース、そのNa塩及びヒドロキシメチルセルロースからなる群から選択され、該錯化剤は、生理学的に許容性の対イオンを有する、4つのカルボキシル基を含む窒素含有カルボン酸の塩を含む。
【0049】
J)
少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、少なくとも1種のアルカリ化剤、少なくとも1種の増粘剤、アクリレートに基づく少なくとも1種の分散コポリマー及び少なくとも1種の錯化剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理のための化粧品組成物であって、該ペルオキソ化合物の塩は、無機ペルオキソ二硫酸塩であり、好ましくはペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム及び/又はペルオキソ二硫酸ナトリウムであり、より好ましくはペルオキソ二硫酸カリウム及びペルオキソ二硫酸アンモニウムの混合物であり、ここで、該増粘剤は、カルボキシメチルセルロース、そのNa塩及びヒドロキシメチルセルロースからなる群から選択され、該分散コポリマーは、より好ましくはメタクリル酸/メチル(メタ)アクリレートコポリマー又はアクリル酸/メチル(メタ)アクリレートコポリマーであり、該錯化剤は、生理学的に許容性の対イオンを有する、4つのカルボキシル基を含む窒素含有カルボン酸の塩を含む。
【0050】
態様A)~J)において量が記載される場合、該量は合計して100重量%である。適当な場合、これらの態様の化粧品組成物は、助剤、添加剤及び/又は添加剤を含有する。例えば化粧品剤は、総量の合計が100重量%となるように、フィラーを含有してよい。
【0051】
本発明の第1の主題に関してのみ上記に記載される本発明の第1の主題の好ましい態様に関する特徴は、当然に、変更すべきところは変更して、第2、第3及び第4の主題に、好ましい態様の特徴として、適用される。特に、本発明の主題はEDTA不含の化粧品組成物に関する。
本明細書の当初の開示は、少なくとも下記の態様を包含する。
〔1〕・少なくとも1種のペルオキソ化合物の塩、
・少なくとも1種のアルカリ化剤、及び
・少なくとも1種の錯化剤
を含むケラチン性繊維、特に人毛の酸化的処理用化粧剤であって、
該錯化剤は2又はそれ以上のカルボキシル基を有する窒素含有カルボン酸の塩であることを特徴とする、化粧剤。
〔2〕窒素含有カルボン酸の塩は、2、3、4又は5個のカルボキシル基を有すること、好ましくはメチルグリシン二酢酸3ナトリウム、グルタミン酸二酢酸4ナトリウム又はジエチレントリアミン五酢酸5ナトリウムであること、グルタミン酸二酢酸4ナトリウムであることを特徴とする、及び/又は、化粧品剤がエチレンジアミンテトラアセテートを含有しないことを特徴とする、〔1〕に記載の化粧剤。
〔3〕錯化剤が、化粧品組成物の総重量に基づいて、0.1~5重量%、好ましくは0.5~4重量%、より好ましくは1~3重量%の量で化粧品組成物中に存在することを特徴とする、〔1〕又は〔2〕に記載の化粧品組成物。
〔4〕前記ペルオキソ化合物の塩が、無機ペルオキソ二硫酸塩であること、好ましくはペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム及び/又はペルオキソ二硫酸ナトリウムであること、より好ましくはペルオキソ二硫酸カリウム及びペルオキソ二硫酸アンモニウムの混合物であることを特徴とする、及び/又は、該ペルオキソ化合物の塩がペルオキソ二硫酸カリウム及びペルオキソ二硫酸アンモニウムの混合物であり、それぞれの場合において化粧品の総重量に基づいて、20~50重量%、好ましくは25~40重量%、より好ましくは29~35重量%の量で存在するペルオキソ二硫酸カリウム、及び/又は、1~20重量%、好ましくは3~16重量%、より好ましくは5~15重量%の量で存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムが化粧品中に含有されることを特徴とする、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の化粧品組成物。
〔5〕前記アルカリ化剤は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、ヒドロキシ炭酸塩、シリケートもしくはメタシリケート、又は、対応するアンモニウム塩であり、好ましくはNa
2
O:SiO
2
の1:2~1:3、より好ましくは1:2.5~1:2.8のモル比を有する水溶性ケイ酸ナトリウムであり、さらにより好ましくは二ケイ酸ナトリウム又は二ケイ酸カリウムであることを特徴とする、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の化粧品組成物。
〔6〕前記アルカリ化剤が、化粧品組成物の総重量に基づいて25~50重量%、好ましくは30~45重量%、より好ましくは35~43重量%の量で化粧品組成物中に存在することを特徴とする、及び/又は、化粧品組成物のpHが、化粧品組成物を2倍量の水に溶解及び/又はスラリー化させた際に、8~12の間、好ましくは8.5~11.5の間、より好ましくは9~11の間であることを特徴とする、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の化粧品組成物。
〔7〕第1コンポーネントとして〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の化粧剤を含み、第2コンポーネントとしてH
2
O
2
を含む剤を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的明色化のためのマルチコンポーネントユニット。
〔8〕第1コンポーネントとして〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の化粧剤を含み、第2コンポーネントとして、好ましくは1又はそれ以上の顕色剤成分から選択される酸化染料前駆体及び任意に1又はそれ以上のカプラー成分を含む、ケラチン性繊維、特に人毛の酸化的着色のためのマルチコンポーネントユニット。
〔9〕化粧品組成物中の錯化剤としての、2又はそれ以上のカルボキシル基を有する窒素含有カルボン酸の塩の使用、好ましくはメチルグリシン二酢酸3ナトリウム、グルタミン酸二酢酸4ナトリウム、又はジエチレントリアミン五酢酸5ナトリウム、グルタミン酸二酢酸4ナトリウムの使用。
〔10〕化粧品剤は〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のものであり、ここで、好ましくは該化粧品剤は、人毛の酸化的処理のためのもの、より好ましくは酸化的着色のためのもの、又は、人毛の酸化的明色化のためのものであることを特徴とする、〔9〕に記載の使用。
【実施例】
【0052】
以下の実施例は、本発明の主題を説明することを目的とし、本発明を何ら限定するものではない。
【0053】
〔1.製剤〕
次の製剤を調製した(そうでないことが記載されない限り、該量は重量%である)。
【表1】
【0054】
〔2.塗布〕
上記の実施例1によるブロンド化パウダー、Fibreplexシリーズブロンド化パウダー、及び上記のEDTA比較によるブロンド化パウダーを、過酸化水素と、1:2の割合(1重量部のブロンド化パウダーと2重量部の過酸化水素)で混合した。このようにして得た即時使用可能なブリーチング剤を、それぞれ、毛髪束(Kerling euro-natur 7-0、Fischbach & Miller製、ライトブラウン)に塗布し、45分間放置し作用させた。その後、標準的なシャンプー及び水で毛髪の束を洗った。
【0055】
各毛髪束を、ブリーチングの前及び後に比色分析測定した(分光光度計タイプSpectraflash 450、X-right製、タイプ exact)。測定中に得たLab値から色差(ΔE値)を決定した。
【0056】
【0057】
L値は色の明るさを示す(L=0、黒;L=100、白)。処理された毛束のL値が高い程、毛束がよりブロンド化された。
【0058】
驚くべきことに、本発明の実施例は、改善されたブリーチング効果を示す。
【0059】
ケラチン繊維又は毛髪束のシステイン酸含量は、近赤外分光法(NIR分光法)によって測定することができる。NIR分光法では、システイン酸含量を、毛髪の構造を変更または破壊することなく、分析によって直接定量することができる(Y. Miyamaeら、IFSCC Magazine、9、219 (2006)及びY. Miyamaeら、Appl. Opt. Spectroscopy、61、(2)212(2007)も参照)。ここで、毛髪に赤外線(近赤外範囲の熱放射)が照射される。このようにして、毛髪の表面が分析されるだけでなく、吸収断面積が小さいために、NIR放射は毛髪にも浸透する。放射線は毛髪の成分を励起させ、振動させ、所定の波長の放射線を吸収する。システイン酸は、NIRスペクトルに特徴的な吸収をもたらす。これらの吸収の強度に基づいて、ケラチン繊維中のシステイン酸の含量を決定することができる。
【0060】
驚くべきことに、本発明の実施例は毛髪への損傷が少ないことを示す。