(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】光学配置を有する半導体リソグラフィのための投影露光システム
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241031BHJP
G02B 7/00 20210101ALI20241031BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
G02B7/00 B
(21)【出願番号】P 2021544413
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2020052131
(87)【国際公開番号】W WO2020157111
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】102019201147.0
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】フィンガーフート ユーディット
(72)【発明者】
【氏名】ワブラ ノルベル
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー ソニヤ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリッチ-リスナー フェルディナント
(72)【発明者】
【氏名】グラフ ペーター
(72)【発明者】
【氏名】フィンケン ライマー
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-519843(JP,A)
【文献】特開2010-062396(JP,A)
【文献】特開2010-219080(JP,A)
【文献】特開2010-271457(JP,A)
【文献】特表2009-545152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G02B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的有効表面(32)を有する光学要素(31)とアクチュエータ(34)とを備える光学配置(30)を有する、半導体技術のための投影露光装置(1)であって、前記光学配置(30)が、前記光学的有効表面(32)を変形させるように設定され、前記アクチュエータ(34)が、前記光学要素(31)に組み込まれる、投影露光装置(1)において、
前記アクチュエータ(34)が、前記光学的有効表面(32)の外側に配置されることを特徴とする、投影露光装置(1)。
【請求項2】
前記アクチュエータ(34)が、前記光学要素(31)と少なくとも部分的に直接接触することを特徴とする、請求項1に記載の投影露光装置(1)。
【請求項3】
前記アクチュエータ(34)が、プレストレス状態で組み込まれることを特徴とする、請求項1および2のいずれかに記載の投影露光装置(1)。
【請求項4】
前記光学的有効表面(32)の前記変形が、前記アクチュエータ(34)の横方向に作用する力によって引き起こされることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の投影露光装置(1)。
【請求項5】
前記アクチュエータ(34)の前記力の作用点が、前記光学要素(31)の中立軸(36)と同じ高さであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の投影露光装置(1)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(34)の前記力の作用点が、前記光学要素(31)の前記中立軸(36)を上回るか、または下回る高さであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の投影露光装置(1)。
【請求項7】
前記光学的有効表面(32)の前記変形が、前記アクチュエータの動作の主方向での前記アクチュエータ(34)の拡張によって引き起こされ得ることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の投影露光装置(1)。
【請求項8】
前記光学的有効表面(32)の前記変形が、前記アクチュエータ動作の主方向と垂直な前記アクチュエータ(34)の拡張によって引き起こされ得ることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の投影露光装置(1)。
【請求項9】
前記光学要素(31)との前記接触が、前記アクチュエータ(34)の端面(38、38’)で確立されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の投影露光装置(1)。
【請求項10】
前記光学要素(31)との前記接触が、前記アクチュエータ(34)の外側面(39)の少なくとも1つの部分で確立されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の投影露光装置(1)。
【請求項11】
複数のアクチュエータ(34)が、前記アクチュエータ(34)の前記力の結果として、前記光学的有効表面(32)が接線方向の第2次高調波変形、第3次高調波変形、またはさらに高い高調波変形を形成するように、配置されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の投影露光装置(1)。
【請求項12】
前記光学要素(31)が、単レンズまたはミラーとして具現化されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の投影露光装置(1)。
【請求項13】
前記アクチュエータ(34)が、ピエゾ素子であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の投影露光装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年1月30日のドイツ特許出願第DE 10 2019 201 147.0号の優先権を主張し、このドイツ特許出願の内容は、参照によって本明細書に完全に組み込まれている。
【0002】
本発明は、光学配置を含む半導体リソグラフィのための投影露光装置に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体リソグラフィのための投影露光装置は、使用される放射線、すなわち、感光層で覆われた物体上に構造を結像する(image)ために使用される放射線、を形成するための光源および照明システムを備えている。さらに、投影露光装置は、複数の光学要素を含む投影レンズを備えており、投影レンズは、単レンズまたはミラーとして具現化され得る。結像の品質は、例えば圧力の変動および気温の変化などの外的影響、ならびに照明および投影光学系の品質によって決まる。結果として構造の不十分な結像を有する収差は、特に、使用される放射線の吸収の結果として、光学要素の加熱によって発生する。外的影響および/または光学要素の加熱によって引き起こされた収差を修正するために、照明システムおよび投影光学系は、マニピュレータを備えている。これらのマニピュレータは、ナノメートルの範囲またはサブナノメートルの範囲内で、光学要素の位置および状況を設定し、それによって、望ましい結像品質を保証することができる。さらに、従来技術は、光学要素を変形させることができるマニピュレータも開示した。このマニピュレータは、結果として、収差を修正するための自由度をさらに利用することができる。
【0004】
このようにして、ドイツ特許出願DE 19827603 A1は、ホルダー(holder:保持体)、アクチュエータ、および光学要素を備えている変形マニピュレータを開示している。これらのアクチュエータがホルダーを圧迫し、その後、ホルダーが変形し、その結果、光学要素の変形を引き起こす。例として、いずれの場合にも2つのアクチュエータを正反対に配置することによって、第2次高調波変形(second harmonic deformation)が発生し、この力は、ホルダーに対して反対方向に作用する。
【0005】
通常は5nm~20nmの使用される光の短波長のため、例えばEUV投影露光装置におけるミラーなどの、反射光学要素を使用することのみが可能である。レンズとは異なり、これらのミラーは、通常、ホルダー内で保持されず、アクチュエータを用いて投影露光装置の基部のみに接続され、これらのアクチュエータは、最大6つの自由度でミラーを位置決めすることができる。この方法には、ホルダーが存在せず、その結果として、ミラーを変形させるために使用されるアクチュエータのカウンタベアリング(counter bearings)も存在しないという短所がある。変形アクチュエータを位置決めアクチュエータと同じ基部に接続することは、不要な過剰決定体系につながる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、前述した従来技術の短所を解決するデバイスを提供することである。
【0007】
この目的は、独立請求項の特徴を有するデバイスによって達成される。従属請求項は、本発明の有利な展開および変形に関連している。
【0008】
半導体技術のための本発明による投影露光装置は、光学的有効表面を有する光学要素とアクチュエータとを含む光学配置を備え、この光学配置は、光学的有効表面を変形させるように設定される。本明細書では、アクチュエータは光学要素に組み込まれる。この文脈において、「組み込まれる」とは、アクチュエータが、光学要素自体に統合され(例えば、光学要素の切り欠きに配置され)、したがって、従来技術から知られているように、ホルダーと光学要素の間、またはホルダー内に配置されないということを意味する。
【0009】
特に、アクチュエータは、光学要素と少なくとも部分的に直接接触することができる。したがって、アクチュエータは、例えば接着剤などの材料がさらに存在せずに、接触面で光学要素に直接作用する。これには、使用される短波長の放射線による接着剤のゆるやかな動き、わずかな動き(creepage)または接着剤層の損傷に由来する影響が回避されるという利点がある。
【0010】
さらに、アクチュエータは、プレストレスが与えられた状態(prestressed state:あらかじめ圧縮応力が与えられた状態)で組み込まれ得る。その結果、張力を伝達することができないアクチュエータと光学要素の間の直接接触の場合でも、すなわち、特に、接着剤層を使用しないアクチュエータの統合の場合でも、第1および第2の方向での、設計によって指定された対象の表層形からの光学的有効表面の変形が、設定され得る。アクチュエータは、プレストレス(prestress)を与えられて光学要素に取り付けられ、この光学要素は、第1の方向での対象の表面の変形が事前に設定されているように構成されている。この取り付けの後に、アクチュエータがゼロ位置に緩み、光学的有効表面が対象の表面を事実上採用するようなプロセスにおいて、光学要素を変形させる。この位置から、アクチュエータを短縮するか、または拡張することによって、第1および第2の方向での変形を設定できるようになる。同様に、光学要素が、偏向されていないアクチュエータの場合、一方向において最大の変形を有し、この状態で、特定の補正効果をすでに発現させているということが考えられる。次に、望ましい対象の表層形(特に、光学的有効表面の中立状態)が、アクチュエータの拡張によって設定され得る。この文脈において、中立状態は、マニピュレータが補正効果を示さない状態であると理解されるべきである。次に、例えば、第1の状態に関して反対の補正効果を実現するために、アクチュエータのさらなる拡張によって、光学要素が第2の方向に変形され得る。
【0011】
プレストレスが与えられた状態でアクチュエータを組み込むことのさらに別の利点は、このようにして実現された締め付けが、アクチュエータを、光学要素において純粋に摩擦力によって保持することを可能にし、例えば、有機接着剤の使用が不要になることである。その結果、例えば、EUV投影露光装置などの高真空環境内でも、接着剤のガス放出による光学面の汚染が回避され得る。
【0012】
例として、光学的有効表面の変形は、アクチュエータの横方向に作用する力によって引き起こされ得る。特に、少なくともほぼ球形のミラーの場合、横方向は、光学要素の光軸と垂直の方向である。曲面ミラーの場合は、特に、少なくともほぼ球形のミラーの場合と同様に、例えば、EUV投影露光装置において使用されているように、光軸は、ミラーの頂点を通過するミラー面と垂直な軸であると理解される。
【0013】
一意の光軸を指定することができない自由曲面の場合、横方向は、局所面法線と垂直に走る方向であると理解されるべきである。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態では、アクチュエータの力の作用点は、光学要素の中立軸と同じ高さとすることができる。材料の強度に関連する分野では、中立軸とは、光線がねじれるか、または屈曲するときに変化しない長さを有する、光線の断面のフィラメント(filament)または層のことを指す。そこでは、屈曲またはねじれの負荷が、引張応力または圧縮応力を引き起こさない。中立軸(neutral axis)への力の導入によって、モーメントが光学要素に導入されず、これは、特定の応用にとって有利であることがある。
【0015】
加えて、アクチュエータの力の作用点は、光学要素の中立軸を上回るか、または下回る高さとすることができる。これによって、力の作用点と中立軸の間にてこが発生し、その結果として、反りモーメント(warping moment)が光学要素に導入され得る。
【0016】
特に、アクチュエータは、光学要素の光学的有効表面の外側に配置され得る。この文脈において、外側とは、アクチュエータが光学的有効表面に配置されず、光学的有効表面の下にも配置されないことを意味する。さらに、アクチュエータは、光学要素の製造中に、アクチュエータを受け止めるための切り欠きと光学的有効表面の間に相互作用が存在しないような方法で、配置され得る。したがって、例えば、切り欠きの製造の結果としての応力(stress)の導入は、光学的有効表面でのさらなる材料の摩耗(ablation)により緩和することができ、このようにして、新しい変形を再び引き起こす。さらに、切り欠きは、アクチュエータを取り付けるときに、非常に正確な光学的有効表面に不要な変形が導入されないような方法で、配置され得る。
【0017】
本発明の1つの変形では、光学的有効表面の望ましい変形は、アクチュエータの動作の主方向(すなわち、アクチュエータが作動するときに、通過する経路が最大になるか、または発生する力が最大になる方向)でのアクチュエータの拡張によって引き起こされ得る。
【0018】
さらに、光学的有効表面の変形は、アクチュエータの動作の主方向と垂直なアクチュエータの拡張によって引き起こされ得る。動作の主方向と、それと垂直な方向との間の伝達率は、ステップをより高い分解能で設定することを可能にする。
【0019】
本発明のさらに別の変形では、アクチュエータの端面で光学要素との接触を確立することができ、この端面は、アクチュエータの主要な範囲の方向の方向を指し示す法線方向を有する表面として定義され得る。端面への取り付けは、この方法の範囲内でアクチュエータの範囲が変化する場合に、アクチュエータの外側面と光学要素内の切り欠きの間に摩擦が発生する可能性がないという点において有利である。これによって、アクチュエータの閉ループ制御と干渉する可能性があるスティックスリップ(stick-slip)摩擦の影響を有利に防ぐ。
【0020】
さらに、光学要素との接触が、アクチュエータの外側面の少なくとも1つの部分で確立されることは、光学要素を変形させる目的で、アクチュエータの主要な範囲の方向と垂直な拡張方向を使用する場合に、有利であることがある。この場合、外側面は、アクチュエータの主要な範囲の方向と平行に広がるアクチュエータの表面である。アクチュエータは、主要な範囲の方向に妨げられずに移動することができるが、変形に使用される拡張方向での接触領域は、最小限に減らされる。その結果、アクチュエータの主要な範囲の方向でのアクチュエータと光学要素の間のスティックスリップ摩擦は、が閉ループ制御に関して無視できるくらいの領域に減らされ得る。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態では、アクチュエータの力は、光学的有効表面上に、接線方向の第2次高調波変形、第3次高調波(third harmonic)変形、またはさらに高い高調波変形を形成することができる。接線方向の変形は、角度に依存する変形であり、特に、光学要素の2回以上の折り畳みの回転対称変形につながらない変形であると理解される。第2次高調波変形の場合、光学的有効表面の形状は鞍状部に対応し、したがって、光学的有効表面の端が二重正弦曲線を表す。代替として、この表面は、ゼルニケ(Zernike)多項式を使用して表され得る。ゼルニケ多項式は、半径に依存する部分(すなわち、半径成分)と、角度に依存する部分(すなわち、接線成分)の積で構成される直交多項式である。例として、4つのアクチュエータが、光学的有効表面の第2次高調波変形の目的で、90°のオフセットで光学要素に組み込まれる。いずれの場合にも、互いに向かい合う2つのアクチュエータが同じ方向に偏向され、2つのアクチュエータ対の偏向は、反対のことを意味している。その結果、光学的有効表面が、第1のアクチュエータ対の作用点で光軸と平行な第1の方向に変形され、第2のアクチュエータ対の作用点で第1の方向と反対の方向に変形され、光学的自由表面の接線方向の第2次高調波変形を引き起こす。この変形は、光学要素の形状および材料特性に依存する。この変形は、光学要素が、光学要素の状況および位置を設定するために提供されたアクチュエータの作用点で変形しないように、有利に具現化され得る。これは、例えば投影露光装置の単レンズまたはミラーとして具現化されることがある光学要素の位置および状況の設定が、光学的有効表面の変形とは無関係に実行され得るという点において有利である。
【0022】
例として、アクチュエータは、ピエゾ素子(piezo element)として具現化することができ、その他の適切なアクチュエータを使用することもできる。
【0023】
単純な変形(すなわち、第2次高調波変形および第3次高調波変形)を含む光学的有効表面の変形が、光学要素の位置決めおよび状況の制御と組み合わさって、非常に複雑な変形と比較して、投影露光装置の結像特性に対する同等の修正の可能性をもたらすことができるということが、調査によって示された。複雑な変形は、追加のより高次の接線方向の変形(すなわち、より高い高調波変形)を含み、光学的有効表面の半径方向の変形も含み、半径方向の変形を実現できるようにするために光学的有効表面の下にさらに配置する必要がある、多数の必要なアクチュエータにつながる。
【0024】
本発明の例示的な実施形態および変形が、以下の本文において、図面を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明を実装することができるEUV投影露光装置の基本構成を示す図である。
【
図4】本発明のさらなる例示的な実施形態の詳細な概略図である。
【
図5】本発明のさらなる例示的な実施形態の詳細な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明を使用することができるマイクロリソグラフィEUV投影露光装置1の基本構造の例を示している。投影露光装置1の照明システムは、光源3に加えて、物体平面6内の物体視野(object field)5の照明のための照明光学ユニット4を含んでいる。光源3によって生成された使用される光学的放射の形態でのEUV放射14は、視野ファセットミラー(field facet mirror)2に入射する前に、中間焦点面15の領域内の中間焦点を通過するような方法で、光源3に統合された収集器を用いて整列される。視野ファセットミラー2の下流で、EUV放射14が、瞳ファセットミラー16によって反射される。瞳ファセットミラー16と、ミラー18、19、および20を含んでいる光学的アセンブリ17とに支援されて、視野ファセットミラー2の視野ファセット(field facets)が、物体視野5に結像される。
【0027】
物体視野5に配置され、概略的に示されているレチクルホルダー8によって保持されたレチクル7が、照らされる。単に概略的に示されている、光学要素がミラー21~25および31として具現化されている投影光学ユニット9は、物体視野5を像平面11内の像視野10に結像する(imaging)ことに役立つ。レチクル7上の構造は、像平面11内の像視野10の領域に配置され、同様に部分的に表されたウェーハホルダー13によって保持されているウェーハ12の感光層上に結像される。光源3は、特に5nm~120nmの波長範囲内で、使用される放射線を放射することができる。
【0028】
本発明は、図に示されていないDUV装置において、同様に使用され得る。DUV装置は、原則として、前述したEUV装置1と同様に設定され、ミラーおよび単レンズが、DUV装置内で光学要素として使用されることができ、DUV装置の光源が、100nm~300nmの波長範囲内で、使用される放射線を放射する。
【0029】
図2は、この例では光学的有効表面32を含む凹面ミラーとして示されている具現化された光学要素31を含んでいる、例示的な光学配置30の概略図を示している。光学的有効表面32は、構造が物体上に結像されるときに、使用される放射線によって照らされる、光学要素31の領域である。光学要素31は、光学要素31の頂点70で光学的有効表面32と垂直である光軸35を備えている。切り欠き33が、光学要素31内に形成され、ピエゾ素子として具現化されたアクチュエータ34が、切り欠き33に配置される。代替として、例えば移動または増加などの、要求を満たす任意のその他の種類のアクチュエータも使用され得る。
【0030】
図3は、光学配置30の詳細な概略図を、断面図で示している。アクチュエータ34は、切り欠き33に組み込まれ、端面38および接触点37によって、光学要素31に直接接触する(すなわち、例えば、接着剤などの接続層を使用しない)。アクチュエータ34の外側面39は、主要な範囲の方向と垂直なアクチュエータ34の範囲における変化の場合に、アクチュエータ34と切り欠き33の内側の間の接触が不可能にされるように、切り欠き33の内側から十分離れている。接触点37はアーチとして具現化され、その結果、アクチュエータ34と光学要素31の間に力を導入するために定められた点が存在する。アクチュエータ34の力は、モーメントが光学要素31に作用しないように、光学要素31に対して、中立軸36と同じ高さで横方向に作用する。導入された力は、
図3の破線で示されているように、光学要素31の偏位を引き起こす。この過程において、光学要素31の頂点70は、光軸35に沿って移動することができる。光軸35に沿ったこの変位は、光学要素の位置および状況に関して、アクチュエータ(図示されていない)によって再び補償され得る。
図3の実線で示されているように、アクチュエータ34の拡張の結果として、設計によって指定された対象の表層形から一方向に光学的有効表面32が変形されるように、アクチュエータ34は、プレストレス状態で取り付けられる。アクチュエータ34の範囲の縮小は、反対の第2の方向に光学的有効表面32を変形させ、明確にするために、この変形は
図3に示されていない。このようにして、光学要素31は、偏向されていないアクチュエータ34の場合に、一方向において最大の変形を有する。光学的有効表面32の対象の表層形は、アクチュエータ34を拡張することによって設定されることができ、光学要素31は、アクチュエータ34のさらなる拡張によって、第2の方向に変形され得る。便宜上、切り欠き33および光学的有効表面32を含む光学要素31は、アクチュエータ34の偏向されていない状態での対象の表面と比較して、光学的有効表面32が変形に対応する望ましい表層形(例えば、鞍状部など)を有するように設計されるべきである。
【0031】
図4は、本発明のさらに別の例示的な実施形態の概略図を示しており、以下で説明される偏位を除き、
図3で説明された例示的な実施形態と同一の実施形態を含んでいる。
図3で説明された例示的な実施形態とは対照的に、接触点37を含むアクチュエータ34は、光学要素31の中立軸36の下の距離Aで、切り欠き33と接触している。距離Aは、中立軸36と切り欠き33の平面との交点71の回りにレバーアームAによるモーメントを引き起こし、切り欠き33内で、アクチュエータ34の接触点37が接している。光学的有効表面32の下の光学要素31の断面は、モーメントによる光学要素31の変形を簡単にするために、光学的有効表面32の外側の領域と比較して先細になっている。プレストレス状態でのアクチュエータ34の取り付けおよび光学要素31の設計に関して、
図3の説明において述べられたことが当てはまる。
【0032】
図5は、さらなる例示的な実施形態の概略図を示している。アクチュエータ34は、中立軸36と同じ高さでの横方向の力が、アクチュエータ34の主要な範囲の方向と垂直な拡張によってもたらされるような方法で、切り欠き33に配置される。便宜上、切り欠き33とのアクチュエータ34の接触点37’は、アクチュエータ34の外側面39上に形成される。主要な範囲の方向でのアクチュエータの拡張が切り欠き33との接触を引き起こさないように、アクチュエータ34の端面38、38’は、切り欠き33から十分離れている。さらに、
図3および
図4の説明において述べられたことが当てはまる。
【0033】
図6および7は、光学要素31を変形させるように具現化された光学配置30の代替の例示的な実施形態を示している。中立軸に関するアクチュエータの変形および配置のメカニズムは、
図3~5の説明において述べられたことに対応し、このため、中立軸36および光軸35が
図6および7に示されていない。
【0034】
図6は、光学配置30の概略図を示しており、光学配置30は、光学的有効表面32を含む光学要素31に加えて、テンションリング(tension ring)40および接続部品41を備えている。テンションリング40は、テンションリング40の内径が変化することができるような方法で具現化される。テンションリング40は、ねじクランプ(screw clamp)またはパイプクランプ(pipe clamp)のように具現化されたリングによって実装されることができ、例えば、ねじがステッパーモーター(stepper motor)によって駆動されるか、またはピエゾ素子に置き換えられる。テンションリング40の内径を縮小することによって、発生する力が、接続部品41に伝達され、その後、光学要素31に伝達される。これによって、
図3および4で説明されたメカニズムと同じメカニズムに従って、光学要素31の変形を引き起こし、したがって、光学的有効表面32の変形を引き起こす。
【0035】
図7は、光学配置30のさらなる代替案の概略図を示しており、光学配置30が、アクチュエータ51のための、リングとして具現化された硬質のカウンタベアリング50を備えている。アクチュエータ51は、カウンタベアリング50と光学要素31の間に配置されている。光学的有効表面32の接線方向の変形の場合、アクチュエータ51は、カウンタベアリング50全体にアクチュエータ51の力が有利に平均化されるように、対向する対で常に作動する。この場合も、アクチュエータ51を、光学配置30の外側でカウンタベアリングに接続する必要がなく、光学配置30の状況および位置の制御を有利に簡略化する。
【0036】
図8は、光学配置30のさらなる代替案の概略図を示しており、アクチュエータ60が、接着剤61を用いて光学要素31の外側面62に固定されている。アクチュエータ60は、矢印によって示された方向性効果を有する力を、接着剤61を介して外側面62に伝達する。これによって、光学要素31の高さにおける局所的減少、およびそれによる光学的有効表面32の変形を引き起こし、この変形は、結果として光学的有効表面32の変形を含む。
図8の破線によって示されている接線方向の第2次高調波変形を設定するために、第1のアクチュエータ対60が拡張し、その結果、光学要素31の高さにおける局所的増加が存在する。同時に、第2のアクチュエータ対60’が縮小し(第2のアクチュエータは隠されている)、その結果、光学要素31の高さにおける局所的減少が存在する。
【0037】
図3~8に示されている光学配置のすべての代替案は、光学要素31および光学的有効表面32の固有の変形を引き起こすことができる。この過程において、光学要素31の変形を引き起こす力は、光学配置30の外側の構造で支持されない。
【符号の説明】
【0038】
1 投影露光装置
2 ファセットミラー
3 光源
4 照明光学ユニット
5 物体視野
6 物体平面
7 レチクル
8 レチクルホルダー
9 投影光学ユニット
10 像視野
11 像平面
12 ウェーハ
13 ウェーハホルダー
14 EUV放射
15 中間焦点面
16 瞳ファセットミラー
17 アセンブリ
18 ミラー(照明光学ユニット)
19 ミラー(照明光学ユニット)
20 ミラー(照明光学ユニット)
21~25 ミラー(投影光学ユニット)
30 光学配置
31 光学要素/ミラー(投影光学ユニット)
32 光学的有効表面
33 切り欠き
34 アクチュエータ
35 光軸
36 中立軸
37、37’ 接触点
38、38’ アクチュエータの端面
39 アクチュエータの外側面
40 テンションリング
41 接続部品
50 カウンタベアリング
51 アクチュエータ
60、60’ アクチュエータ
61 接着剤
62 光学要素の外側面
70 頂点
71 交点