(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】基板を処理する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
(21)【出願番号】P 2021547458
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 US2020018120
(87)【国際公開番号】W WO2020168084
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-02-13
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナン, ラジャラム
(72)【発明者】
【氏名】ルアン, ファン
(72)【発明者】
【氏名】クルシュレシャータ, パラシャント クマール
(72)【発明者】
【氏名】ケッドラヤ, ディワカール エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャナキラマン, カーティック
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0103893(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0371851(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
処理チャンバの処理領域に位置づけされた前記基板を炭化水素含有ガス混合物に曝露することと、
前記基板をホウ素含有ガス混合物に曝露することであって、前記炭化水素含有ガス混合物及び前記ホウ素含有ガス混合物は、約0.38から約0.85の(ホウ素含有ガス混合物/((ホウ素含有ガス混合物)+炭化水素含有ガス混合物))の前駆体比で前記処理領域に流される、前記基板をホウ素含有ガス混合物に曝露することと、
前記基板にホウ素-炭素膜を堆積させるために、前記処理領域に高周波(RF)プラズマを生成することであって、前記ホウ素-炭素膜は、
少なくとも75原子パーセントのホウ素を有する、高周波(RF)プラズマを生成することと
を含む方法。
【請求項2】
前記炭化水素含有ガス混合物がアルカンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭化水素含有ガス混合物がプロピレン(C
3H
6)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ホウ素含有ガス混合物が、水素ガス(H
2)で希釈された約9重量パーセント(重量%)のジボラン(B
2H
6)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記炭化水素含有ガス混合物と前記ホウ素含有ガス混合物との比が約0.
07:1から約0.12:1の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記RFプラズマを生成することは、約12MHzから約14MHzの高周波数及び約0.1kHzから約1kHzの低周波数を印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記高周波数及び低周波数の印加が、約50Wから約2500Wの電力レベルで印加される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基板を処理する方法であって、
処理チャンバの処理領域に位置づけされた前記基板を炭化水素含有ガス混合物に曝露することと、
前記基板をホウ素含有ガス混合物に曝露することであって、前記炭化水素含有ガス混合物及び前記ホウ素含有ガス混合物は、約0.38から約0.85の(ホウ素含有ガス混合物/((ホウ素含有ガス混合物)+炭化水素含有ガス混合物))の前駆体比で前記処理領域に流される、前記基板をホウ素含有ガス混合物に曝露することと、
前記基板にホウ素-炭素膜を堆積させるために、前記処理領域に高周波(RF)プラズマを生成することであって、前記ホウ素-炭素膜は、
10原子パーセント未満の水素を有する、前記処理領域に高周波(RF)プラズマを生成することと
を含む方法。
【請求項9】
前記RFプラズマを生成することは、約12MHzから約14MHzの高周波数及び約0.1kHzから約1kHzの低周波数を印加することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
高周波数及び低周波数の印加が、約50Wから約2500Wの電力レベルで印加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基板が静電チャック(ESC)に固定される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
非一過性コンピュータ可読媒体であって、
処理チャンバの処理領域に位置づけされた基板を炭化水素含有ガス混合物に曝露することと、
前記基板をホウ素含有ガス混合物に曝露することであって、前記炭化水素含有ガス混合物及び前記ホウ素含有ガス混合物は、約0.38から約0.85の(ホウ素含有ガス混合物/((ホウ素含有ガス混合物)+炭化水素含有ガス混合物))の前駆体比で前記処理領域に流される、前記基板をホウ素含有ガス混合物に曝露することと、
前記基板にホウ素-炭素膜を堆積させるために、前記処理領域に高周波(RF)プラズマを生成することであって、前記ホウ素-炭素膜が、
少なくとも75原子パーセントのホウ素を有する、高周波(RF)プラズマを生成することと
を含む方法をコンピュータに実行させるためのプログラム命令を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記炭化水素含有ガス混合物がアルカンを含む、請求項12に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記ホウ素含有ガス混合物が、水素ガス(H
2)で希釈された約9重量パーセント(重量%)のジボラン(B
2H
6)を含む、請求項12に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記炭化水素含有ガス混合物と前記ホウ素含有ガス混合物との比が約0.
07:1から約0.12:1の範囲にある、請求項12に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記処理領域の圧力が、約2トルから約10トルの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記基板が、約450℃から約650℃までの温度に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ホウ素含有ガス混合物が、水素ガス(H
2)で希釈された約9重量パーセント(重量%)のジボラン(B
2H
6)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記炭化水素含有ガス混合物と前記ホウ素含有ガス混合物との比が約0.07:1から約0.12:1の範囲にある、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記炭化水素含有ガス混合物がプロピレン(C
3H
6)を含む、請求項12に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、方法、より具体的には、基板を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]より高い集積回路密度に対する要望は、集積回路部品の製造に使用されるプロセスシーケンスに要求を課すものである。例えば、従来のフォトリソグラフィ技法を使用するプロセスシーケンスでは、感エネルギー性レジストの層が、基板に配置された材料層のスタックの上に形成される。フォトレジストマスクを形成するために、感エネルギー性レジスト層がパターンの画像に露光される。その後、エッチングプロセスを使用して、マスクパターンがスタックの1又は複数の材料層に転写される。エッチングプロセスで使用される化学エッチング液は、感エネルギー性レジストのマスクよりもスタックの材料層に対してより高いエッチング選択性を有するように選択される。レジスト層の上のスタックの1又は複数の材料層へのエッチング選択性により、パターン転写が完了する前に感エネルギー性レジスト層が消費されることが防止される。
【0003】
[0003]パターンの寸法が縮小するにつれ、パターンの解像度を制御するために、感エネルギー性レジストの厚さがそれに応じて縮小される。上記の薄いレジスト層は、化学エッチング液による攻撃のために、パターン転写工程中に下にある材料層を隠すのに不十分な場合がある。化学エッチング液に対するハードマスクの抵抗が大きいため、パターン転写が促進されるように、感エネルギー性レジスト層と下にある材料層との間にハードマスクと呼ばれる中間層がしばしば使用される。限界寸法(CD)が縮小するにつれ、現在のハードマスク材料は、下にある材料と比較して、望ましいエッチング選択性を欠いている。
【0004】
[0004]したがって、改善されたエッチング選択性を備えたハードマスク膜を堆積させるための方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本明細書に含まれる実施形態は、基板を処理する方法を含む。本方法は、ホウ素-炭素膜を堆積させることを含み、ホウ素-炭素膜は、改善されたエッチング選択性を示す。
【0006】
[0006]一実施形態では、基板を処理する方法が提供される。本方法は、処理チャンバの処理領域に位置づけされた基板を炭化水素含有ガス混合物に曝露することと、基板をホウ素含有ガス混合物に曝露することと、基板にホウ素-炭素膜を堆積させるために、処理領域に高周波(RF)プラズマを生成することとを含む。炭化水素含有ガス混合物及びホウ素含有ガス混合物は、約0.38から約0.85の(ホウ素含有ガス混合物/((ホウ素含有ガス混合物)+炭化水素含有ガス混合物)の前駆体比で処理領域に流される。ホウ素-炭素膜は、約55原子パーセントから約95原子パーセントのホウ素を有する。
【0007】
[0007]別の実施形態では、基板を処理する方法が提供される。本方法は、処理チャンバの処理領域に位置づけされた基板を炭化水素含有ガス混合物に曝露することと、基板をホウ素含有ガス混合物に曝露することと、基板にホウ素-炭素膜を堆積させるために、処理領域に高周波(RF)プラズマを生成することとを含む。炭化水素含有ガス混合物及びホウ素含有ガス混合物は、約0.38から約0.85の(ホウ素含有ガス混合物/((ホウ素含有ガス混合物)+炭化水素含有ガス混合物)の前駆体比で処理領域に流される。ホウ素-炭素膜は、約35原子パーセントから約55原子パーセントのホウ素を有する。
【0008】
[0008]更に別の実施形態では、基板を処理する方法が提供される。本方法は、処理チャンバの処理領域に位置づけされた基板を炭化水素含有ガス混合物に曝露することと、基板をホウ素含有ガス混合物に曝露することと、基板にホウ素-炭素膜を堆積させるために、処理領域に高周波(RF)プラズマを生成することとを含む。炭化水素含有ガス混合物及びホウ素含有ガス混合物は、約0.38から約0.85の(ホウ素含有ガス混合物/((ホウ素含有ガス混合物)+炭化水素含有ガス混合物)の前駆体比で処理領域に流される。炭化水素含有ガス混合物は、プロピレン(C3H6)を含む。ホウ素-炭素膜は、約55原子パーセントから約95原子パーセントのホウ素を有する。
【0009】
[0009]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した実施形態をより具体的に説明する。ただし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態を単に示すものであり、したがって、実施形態の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る基板処理システムを示す概略図である。
【
図2】一実施形態に係る、ホウ素-炭素膜を堆積させるための方法の工程のフロー図である。
【
図3】一実施形態に係る基板構造を示す概略断面図である。
【
図4】前駆体比(PR)に対するホウ素(B)の割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0014]本開示の実施形態は、概して、基板を処理する方法に関する。本開示は、基板に高い弾性率及びエッチング選択性を備えたハードマスク(例えば、ホウ素-炭素膜)を堆積させるための技法を記載したものである。本方法は、ホウ素の濃度が高く、水素含有量が少ない高密度のホウ素-炭素ハードマスク膜の製造を含む。炭化水素含有ガス源の流量が減ると、ホウ素-炭素ハードマスク膜中のホウ素の割合(B%)が増加する。ホウ素-炭素ハードマスク膜は、高アスペクト比(例えば、10:1以上)の特徴及びより小さい寸法(例えば、7nmノード以下)のデバイスに対して、高い弾性率、エッチング選択性、及び応力を提供する。本明細書に記載の実施形態は、現在の炭素ハードマスクプロセス統合スキームと互換性がある。したがって、既存のデバイス製造ラインへの方法の導入は、上流又は下流の処理方法又はそれに関連する機器の実質的な変更を必要としない。本明細書に開示の実施形態は、ホウ素-炭素ハードマスクの堆積に有用であり得るが、これに限定されない。
【0012】
[0015]本明細書で使用する「約」という用語は、公称値からの+/-10%の変動を指す。そのような変動は、本明細書で提供される任意の値に含まれ得ることが理解されるべきである。
【0013】
[0016]本明細書に記載の実施形態を、任意の適切な薄膜堆積システムを使用して行われ得るプラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスに関して以下に説明する。適切なシステムの例には、D×Z(商標)処理チャンバを使用できるCENTURA(登録商標)システム、PRECISION5000(登録商標)システム、PRODUCER(商標)システム、PRODUCER GT(商標)、及びカリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されているPRODUCER SE(商標)処理チャンバが含まれる。PECVDプロセスを実行できる他のツールも、本明細書に記載の実施形態から利益を得るように適合させることができる。更に、本明細書に記載のPECVDプロセスを可能にする任意のシステムを有利に使用することができる。本明細書に記載の装置の説明は例示的なものであり、本明細書に記載の実施形態の範囲を限定するものとして解釈又は判断されるべきではない。
【0014】
[0017]
図1は、一実施形態に係る基板処理システム132を示す概略図である。基板処理システム132は、ハードマスク層堆積を実行するように構成される。図示したように、基板処理システム132は、ガスパネル130及びコントローラ110に結合された処理チャンバ100を含む。
【0015】
[0018]処理チャンバ100は、その中に配置された基板190に様々な処理方法を実行するように構成される。例えば、処理チャンバ100は、基板190にハードマスクを堆積させるように構成される。図示したように、処理チャンバ100は、内部処理領域126を画定する上壁124、1又は複数の側壁101、及び底壁122を含む。基板190を支持するための支持ペデスタル150が、処理チャンバ100の内部処理領域126に配置される。支持ペデスタル150は、ステム160によって支持され、支持ペデスタル150及び/又はステム160は、アルミニウム、セラミック、及びステンレス鋼等の他の任意の適切な材料を含み得る。支持ペデスタル150は、変位機構(図示せず)(例えば、支持ペデスタルを上下させるアクチュエータ)を使用して、処理チャンバ100内で垂直方向に移動し得る。幾つかの実施形態では、支持ペデスタル150は、静電チャック(ESC)を含む。ESCにより、処理中に基板190が固定される。
【0016】
[0019]支持ペデスタル150は、支持ペデスタル150に埋め込まれたヒータ要素170を含み得る。ヒータ要素170は、支持ペデスタル150の表面192に支持された基板190の温度を制御するように構成される。支持ペデスタル150は、電源106からヒータ要素170に電流を印加することによって、抵抗加熱され得る。電源106から供給される電流がコントローラ110によって調整され、ヒータ要素170によって生成される熱を制御し、これにより、膜堆積中に基板190及び支持ペデスタル150を実質的に一定の温度に維持する。供給される電流は、支持ペデスタル150の温度を約400℃から約700℃の間で選択的に制御するように調節される。
【0017】
[0020]熱電対等の温度センサ172を支持ペデスタル150に埋め込んで、支持ペデスタル150の温度を監視することができる。測定された温度は、コントローラ110によって使用され、埋め込みヒータ要素170に供給される電力を制御して、基板190を所望の温度に維持する。
【0018】
[0021]真空ポンプ102が、処理チャンバ100の底壁122に形成されたポートに結合されている。真空ポンプ102は、処理チャンバ100の所望のガス圧を維持するために使用される。真空ポンプ102はまた、後処理ガス及びプロセスの副生成物を処理チャンバ100から排出する。
【0019】
[0022]複数の開孔128を有するガス分配アセンブリ120が、支持ペデスタル150の上の処理チャンバ100の上部に配置される。ガス分配アセンブリ120は、1又は複数のプロセスガスを処理チャンバ100に流すように構成される。開孔128は、様々なプロセスガスの処理チャンバ100への流れを促進するために、異なるサイズ、数、分布、形状、設計、及び直径を有し得る。ガス分配アセンブリ120は、基板処理中に内部処理領域126に様々なガスを供給するガスパネル130に接続されている。プラズマが、ガス分配アセンブリ120から出るプロセスガス混合物から形成され、プロセスガスの熱分解を促進し、その結果、基板190の表面191に材料が堆積され得る。
【0020】
[0023]ガス分配アセンブリ120及び支持ペデスタル150は、内部処理領域126に一対の離間した電極を形成し得る。1又は複数の高周波(RF)電源140が、マッチングネットワーク138を通してガス分配アセンブリ120にバイアス電位を提供し、ガス分配アセンブリ120と支持ペデスタル150との間のプラズマの生成を促進する。あるいは、RF電源140及びマッチングネットワーク138は、ガス分配アセンブリ120、支持ペデスタル150に結合される、又はガス分配アセンブリ120と支持ペデスタル150の両方に結合される、又は処理チャンバ100の外部に配置されたアンテナ(図示せず)に結合される。一実施形態では、RF電源140は、約50kHzから約13.6MHzの周波数で約100Wから約3000Wを提供する。別の実施形態では、RF電源140は、約50kHzから約13.6MHzの周波数で約500Wから約1800Wを提供する。
【0021】
[0024]図示したように、コントローラ110は、中央処理装置(CPU)112、メモリ116、及びプロセスシーケンスを制御し、ガスパネル130からのガス流を調整するように構成された支援回路114を含む。CPU112は、産業環境で使用される任意の形態の汎用コンピュータプロセッサである。ソフトウェアルーチンは、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フロッピー、又はハードディスクドライブ、又は他の形式のデジタルストレージ等のメモリ116に格納され得る。支援回路114は、従来、CPU112に結合されており、キャッシュ、クロック回路、入力/出力システム、電源等を含み得る。コントローラ110と基板処理システム132の様々な構成要素との間の双方向通信は、まとめて信号バス118と呼ばれる多数の信号ケーブルを通して処理される。
【0022】
[0001]
図2は、一実施形態に係る、ホウ素-炭素膜を堆積させるための方法200の工程のフロー図である。方法200の工程を
図2及び
図3に関連して説明しているが、当業者は、本方法の工程を任意の順序で実行するように構成されたいかなるシステムも、本明細書に記載の実施形態の範囲内にあることを理解するだろう。方法200は、コントローラのCPU112によって実行されると、システム132及び/又は処理チャンバ100に方法200を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体としてのコントローラ110に格納され得る、又はアクセス可能であり得る。
【0023】
[0025]方法200は、工程210で開始し、処理チャンバの処理領域に配置された基板が、炭化水素含有ガスに暴露される。処理チャンバは、
図1に示す処理チャンバ100であり得る。
図3は、一実施形態に係る基板構造300を示す概略断面図である。図示したように、基板構造300は、基板190を含む。基板190は、その上又はその中に所望の高さで形成された構造を有する実質的に平面の表面191を有し得る。あるいは、基板190は、パターニングされた構造、例えば、その中に形成されたトレンチ、穴、又はビアを有する表面を有し得る。基板190を
図3に単一の本体として示したが、基板190は、金属接点、トレンチ絶縁、ゲート、ビット線、又は他の任意の相互接続特徴等の半導体デバイスの形成に使用される1又は複数の材料を含み得ることが理解される。基板190は、その上に任意の数又は組み合わせの金属層、半導体層、及び/又は絶縁層を含み得る。
【0024】
[0026]基板190は、半導体デバイスを製造するために用いられる1又は複数の金属層、1又は複数の誘電体材料、半導体材料、及びそれらの組み合わせを含み得る。例えば、基板190は、用途に応じて、酸化物材料、窒化物材料、ポリシリコン材料等を含む。メモリ用途が所望される一実施形態では、基板190は、間にポリシリコンが挟まれているかどうかにかかわらず、シリコン基板材料、酸化物材料、及び窒化物材料を含む。
【0025】
[0027]別の実施形態では、基板190は、基板190の表面191に堆積された複数の交互の酸化物及び窒化物材料(すなわち、酸化物-窒化物-酸化物(ONO))を含む。様々な実施形態では、基板190は、複数の交互の酸化物及び窒化物材料、1又は複数の酸化物又は窒化物材料、ポリシリコン又はアモルファスシリコン材料、アモルファスシリコンと交互の酸化物、ポリシリコンと交互の酸化物、ドープされたシリコンと交互のドープされていないシリコン、ドープされたポリシリコンと交互のドープされていないポリシリコン、又はドープされたアモルファスシリコンと交互のドープされていないアモルファスシリコンを含む。基板190は、膜処理が実行される任意の基板又は材料表面であり得る。例えば、基板190は、結晶シリコン、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、歪みシリコン、シリコンゲルマニウム、タングステン、窒化チタン、ドープされた又はドープされていないポリシリコン、ドープされた又はドープされていないシリコンウエハ、及びパターニングされた又はパターニングされていないウエハ、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、低誘電率誘電体、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0026】
[0028]炭化水素含有ガス混合物は、ガスパネル130からガス分配アセンブリ120を通して内部処理領域126に流される。ガス混合物は、少なくとも1つの炭化水素化合物を含む。ガス混合物は、不活性ガス、希釈ガス、又はそれらの組み合わせを更に含み得る。炭化水素は、材料の計量、制御、及びチャンバへの送達に必要なハードウェアを簡素化するために気化させ得る任意のガス又は液体であり得る。一実施形態では、炭化水素源は、線状炭化水素等のガス状炭化水素である。一実施形態では、炭化水素化合物は、一般式CxHyを有し、xは1から20の範囲を有し、yは1から20の範囲を有する。一実施形態では、炭化水素化合物はアルカンである。適切な炭化水素化合物は、例えば、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロピレン(C3H6)、プロパン(C3H8)、ブタン(C4H10)及びその異性体イソブタン、ペンタン(C5H12)、ヘキサン(C6H14)及びその異性体イソペンタンとネオペンタン、ヘキサン(C6H14)、及びその異性体2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,3-ジメチルブタン、及び2,2-ジメチルブタン、又はそれらの組み合わせ等のアルカンを含む。追加の適切な炭化水素は、例えば、アセチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン及びその異性体等のアルケン、ペンテン及びその異性体等、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン等のジエン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0027】
[0029]追加の適切な炭化水素は、例えば、モノフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、モノクロロエチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、又はそれらの組み合わせ等のハロゲン化アルケンを含む。追加の適切な炭化水素は、例えば、アセチレン(C2H2)、プロピン(C3H4)、ブチレン(C4H8)、ビニルアセチレン、又はそれらの組み合わせ等のアルキンを含む。追加の適切な炭化水素は、例えば、ベンゼン、スチレン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アセトフェノン、安息香酸メチル、酢酸フェニル、フェノール、クレゾール、フラン等の芳香族炭化水素、アルファ-テルピネン、シメン、1,1,3,3,-テトラメチルブチルベンゼン、t-ブチルエーテル、t-ブチルエチレン、メチルメタクリレート、及びt-ブチルフルフリルエーテル、式C3H2及びC5H4を有する化合物、モノフルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、テトラフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、又はそれらの組み合わせを含むハロゲン化芳香族化合物を含む。幾つかの例では、C3H6は、表面移動度がより高くなる更に安定した中間種が形成されるため、有利であることがわかっている。
【0028】
[0030]炭化水素含有ガス混合物の流量は、約2000sccmから約4500sccm、例えば、約2200sccmから約4000sccmであり得る。C3H6が炭化水素含有ガス源として使用される一実施形態では、炭化水素含有ガス混合物の流量は、約2250sccmから約3000sccm、例えば、約2300sccmから約2800sccmである。
【0029】
[0031]とりわけ、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)、アンモニア(NH3)、又はそれらの組み合わせ等の適切な希釈ガスを、必要に応じてガス混合物に加えることが可能である。Ar、He、及びN2は、アモルファスカーボン層の密度と堆積速度を制御するために使用される。あるいは、堆積中に希釈ガスは使用されない。
【0030】
[0032]場合によっては、アモルファスカーボン層の水素比を制御するために、窒素含有ガスが、炭化水素含有ガス混合物と共に処理チャンバ100に供給される。適切な窒素含有化合物は、例えば、窒素ガス、アンモニア、ピリジン、脂肪族アミン、アミン、ニトリル、及び同様の化合物を含む。
【0031】
[0033]アルゴン(Ar)及び/又はヘリウム(He)等の不活性ガスが、炭化水素含有ガス混合物と共に処理チャンバ100に供給され得る。窒素ガス(N2)等の他の不活性ガスも、アモルファスカーボン層の密度と堆積速度を制御するために使用され得る。更に、アモルファスカーボン材料の特性を変更するために、他の様々な処理ガスをガス混合物に追加することが可能である。一実施形態では、処理ガスは、水素ガス(H2)、アンモニア(NH3)、水素ガス(H2)と窒素ガス(N2)の混合物(形成ガスとしても知られる)等の反応性ガス、又はそれらの組み合わせを含む。H2及び/又はNH3の追加は、堆積されたアモルファスカーボン層の水素比(例えば、炭素対水素比)を制御するために使用される。アモルファスカーボン膜に存在する水素比は、反射率等の層特性の制御を提供する。
【0032】
[0034]工程220において、基板190が、ホウ素含有ガス混合物に暴露される。ホウ素含有ガス混合物は、ガスパネル130からガス分配アセンブリ120を通して内部処理領域126に流される。一実施形態では、ホウ素含有ガス混合物は、ホウ素含有化合物及び希釈ガスを含む。ホウ素含有化合物の例は、ジボラン(B2H6)、トリメチルボロナン[TMB](B(CH3)3)、トリエチルボラン[TEB](B(C2H5)3)、メチルボラン、ジメチルボラン、エチルボラン、ジエチルボラン、オルト-カルボラン(C2B10H12)、及び同様の化合物を含む。とりわけ、水素ガス(H2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素ガス(N2)、アンモニア(NH3)、又はそれらの組み合わせ等の適切な希釈ガスを含めることができる。一例では、ホウ素含有ガス混合物は、B2H6及びH2を含む。
【0033】
[0035]一実施形態では、全ホウ素含有ガス混合物中のホウ素含有化合物の割合は、約1重量パーセント(重量%)から約20重量%、例えば、約2重量%から約18重量%、例えば約5重量%から約12重量%、例えば約7重量%から約12重量%である。例示的なホウ素含有ガス混合物は、例えば、6重量%のB2H6/94重量%のH2、7重量%のB2H6/93重量%のH2、8重量%のB2H6/92重量%のH2、9重量%のB2H6/91重量%のH2、10重量%のB2H6/90重量%のH2、11重量%のB2H6/89重量%のH2、又は12重量%のB2H6/88重量%のH2を含む。これらの例示的な例の水素ガスは、He、Ar、又はN2で置き換えが可能である。異なる濃度のホウ素含有ガス混合物が使用される場合、特定の膜特性を達成するために必要な流量がそれに応じて変化しうると考えられる。
【0034】
[0036]C3H6が炭化水素含有ガス源として使用され、H2で希釈された9重量%のB2H6がホウ素含有ガス源として使用される様々な実施形態では、炭化水素含有ガス源対ホウ素含有ガス源の流量の比(以下、比)は、約0.05:1から約0.13:1、例えば、約0.07:1から約0.12:1、例えば、約0.09:1から約0.11:1の範囲であり得る。
【0035】
[0037]H2で希釈された9重量%のジボランがホウ素含有ガス源として使用される一実施形態では、ホウ素含有ガス混合物の流量は、約1000sccmから約10000sccm、例えば、約1800sccmから約3500sccm、例えば約2300sccmまで変化する。H2で希釈された6%のジボランがホウ素含有ガス源として使用される別の実施形態では、ホウ素含有ガス混合物の流量は、約5000sccmから約15000sccm、例えば、約13000sccmである。H2で希釈された12%のジボランがホウ素含有ガス源として使用される更に別の実施形態では、ホウ素含有ガス混合物の流量は、約2000sccmから約8000sccm、例えば、約2200sccmから約7500sccmである。
【0036】
[0038]炭化水素含有ガス混合物は、約3秒から約30秒、例えば、約15秒間、内部処理領域126に導入され得、これは基板のサイズに応じて変更される。ホウ素含有ガスの導入前に炭化水素含有ガス混合物を流すことで、内部処理領域126の継続的な熱及び圧力の安定化が得られ得る。次に、ホウ素含有ガス混合物が、約0.5秒から約5秒、例えば、約1秒から約2秒間、内部処理領域126に流される(流す時間は、ホウ素含有ガス混合物が、RFプラズマ衝突の前に、内部処理領域126に到達し始めるほど、流れが十分に長い限り、変更可能である)。工程210は、工程220のプロセスと同時に、前に、後に、又は部分的に重複して実行され得ると考えられる。
【0037】
[0039]工程230において、RFプラズマが内部処理領域126で生成され、基板190にホウ素-炭素膜304が堆積される。プラズマは、容量性又は誘導性の手段によって形成され得、RF電力を前駆体ガス混合物に結合させることによって励起させることができる。RF電力は、約0.4MHzから約300MHzの範囲の周波数を使用する2周波RF電力であり得る。例えば、RF電力は、高周波成分と低周波成分を持つ2周波RF電力である。RF電力は、通常、約50Wから約2500Wの電力レベルで印加され、これは、すべて高周波RF電力、例えば、約13.56MHzの周波数であり得る、又は高周波電力と低周波電力の混合、例えば、約13.56MHzの高周波数と約0.35kHzの低周波数であり得る。
【0038】
[0040]ホウ素-炭素膜におけるホウ素ドーピングを増加させることで、ホウ素-炭素膜の応力を低減しながら、エッチング選択性及び膜透明性を増加させることができることが観察されている。堆積中にホウ素含有ガス混合物(例えば、B2H6)の流れを増加させることにより、ホウ素-炭素膜中のホウ素の量を増加させることができるが、結果として生じるホウ素-炭素膜中の水素含有量も必然的に増加する。ホウ素-炭素膜には大量の水素が存在するため、膜の機械的強度とエッチング選択性が影響を受ける可能性がある。しかしながら、驚くべきことに、堆積中に炭化水素含有ガス混合物を減少させると、従来の堆積アモルファスカーボン層(例えば、APF(商標)ハードマスク)と比較して、ホウ素-炭素膜304のホウ素含有量が増加し、水素含有量が減少し得ることが発見された。
【0039】
[0041]以下の表1は、アモルファス炭素膜参照(ベースライン)及びホウ素-炭素膜(ケース1~4)を形成するために使用される炭化水素含有ガス源及びホウ素含有ガス源の様々な流れの組み合わせを示したものである。ケース1は、ベースラインと比較して炭化水素含有ガス源のみを減少させている例である。ケース2は、ベースラインと比較して、炭化水素含有ガス源を減少させ、ホウ素含有ガス源を増加させた例である。ケース3は、ベースラインと比較してホウ素含有ガス源のみを増加させた例である。ケース4は、ベースラインと比較して、炭化水素含有ガス源を減少させ、ホウ素含有ガス源を増加させた例である。以下の表2は、表1に示す流れの組み合わせに従って形成されたアモルファスカーボン膜参照とホウ素―炭素膜(ケース1~4)のホウ素-炭素膜の特性を示したものである。ホウ素-炭素膜のホウ素含有量の割合は、次のように計算される:((B/(B+C)%)。
【0040】
【0041】
【0042】
[0044]表2からわかるように、ホウ素含有量は、3つの異なる条件によって増加した:(a)C3H6の減少のみ(例:ケース1);(b)B2H6/H2の増加のみ(例:ケース3);(c)(1)と(2)の組み合わせ(例:ケース2及び4)。炭化水素含有ガス源の流量を更に減少させると(例えば、ケース2)、最終的なホウ素-炭素膜中のホウ素含有量はそれに応じて増加する。しかしながら、ホウ素含有ガス源の流量を大幅に増加させると(例えば、ケース3)、代わりに、最終的なホウ素-炭素膜中のホウ素含有量が減少する。特に、屈折率の低下と膜応力の増加は、水素の含有量が多いとホウ素がエッチング又は消費され、最終的なホウ素-炭素膜のホウ素が非効率的に増加し得ることを示唆している。
【0043】
[0045]
図4は、前駆体比(PR)に対するホウ素(B)の割合を示すグラフ400である。グラフ400は、C
3H
6が炭化水素含有ガス源として使用され、H
2で希釈された9重量%のB
2H
6がホウ素含有ガス源として使用される例に基づくものである。
図4のPRは、次のように計算される:PR=(H
2中の9重量%のB
2H
6/((H
2中の9重量%のB
2H
6)+C
3H
6)。これからわかるように、PRは、炭化水素含有ガス源の流量が減少するにつれて増加し(例えば、ケース1及び2)、その結果、ホウ素-炭素膜におけるホウ素ドーピング(B%)が増加する。本明細書に記載の前駆体比は、本開示で言及する他の炭化水素含有ガス混合物及びホウ素含有ガス混合物に等しく適用可能であると考えられる。更に、PRは0.3から0.55まで変化するように示したが、最終的なホウ素-炭素膜中の所望のホウ素含有量に応じて、より低い又はより高いPRが考えられる。様々な例において、PRは、0.38から0.85の範囲、例えば、約0.45から約0.75の範囲であり得る。プラズマのPRが増加すると、生成されたRFプラズマはより均一になることが提案される。RFプラズマの均一性は、堆積された膜の均一性に対応する。したがって、予期せぬことに、RFプラズマのB%を増加させると、より均一な堆積膜が得られることになる。
【0044】
[0046]ホウ素含有量がPRに直接関係しているため、堆積されたときのホウ素-炭素膜304中の任意の量/割合のホウ素は、PRを調整することによって達成することが可能である。いずれの場合も、膜へのホウ素取り込みの原子パーセントは次のように計算され得る:((B/(B+C)%)。本開示の様々な実施形態では、ホウ素-炭素膜304は、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、又は90原子パーセントのホウ素を含む。一実施形態では、ホウ素-炭素膜304は、約45から約95原子パーセントのホウ素を含む。別の実施形態では、ホウ素-炭素膜は、約55から約90原子パーセントのホウ素を含む。更に別の実施形態では、ホウ素-炭素膜は、約60から約85原子パーセントのホウ素を含む。同様に、膜への炭素取り込みの原子パーセントは次のように計算され得る:((C/(B+C)%)。本開示の様々な実施形態では、ホウ素-炭素膜304は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、又は50原子パーセントの炭素を含む。一実施形態では、ホウ素-炭素膜304は、約15から約55原子パーセントの炭素を含む。別の実施形態では、ホウ素-炭素膜304は、約25から約45原子パーセントの炭素を含む。様々な実施形態では、ホウ素-炭素膜304は、約10、15、又は20原子パーセント未満の水素を含む。ホウ素-炭素膜304は、結晶性又はアモルファスであり得る。
【0045】
[0047]工程240において、堆積したホウ素-炭素膜304が目標厚さに到達したか否かを決定することに関する決定がなされる。ホウ素-炭素膜304は、基板190のその後のエッチング要件に対応する目標厚さを有し得る。炭化水素含有ガス混合物を処理領域に流すこと(工程210)、ホウ素含有ガス混合物を処理領域に流すこと(工程220)、及びホウ素-炭素膜を堆積させるために、処理領域にRFプラズマを生成すること(工程230)は、目標厚さが達成されるまで繰り返され得る。一実施形態では、ホウ素-炭素膜は、約100Åから約30000Åの厚さ(例えば、約1000Åから約18000Å;約100Åから約20000Å;約300Åから約5000Å;又は約1000Åから約2000Å)に堆積される。
【0046】
[0048]オプションの工程250において、追加の処理が基板構造300に対して実行される。例えば、パターニングされたフォトレジスト(図示せず)が、ホウ素-炭素膜304の上に形成される。ホウ素-炭素膜304は、パターニングされたフォトレジスト層に対応するパターンでエッチングされ、続いて基板190がパターンでエッチングされ得る。ホウ素-炭素膜304のエッチングされた部分に材料が堆積され得る。ホウ素-炭素膜304は、過酸化水素及び硫酸を含む溶液、又は酸素及びハロゲン(例えば、フッ素又は塩素)を含む任意のエッチング化学物質を使用して除去され得る。ホウ素-炭素膜304は、化学機械研磨(CMP)プロセスによって除去され得る。
【0047】
[0049]Bドーピングは、一般に、ホウ素-炭素膜におけるsp3炭素-水素(C-H)結合を減少させる。Bドーパントは格子間位置で形成される。隣接するH原子が結合して水素ガス(H2)を生成し、膜を離れる。次に、残りのC原子とB原子がC-B結合を形成する。sp3C-H結合は格子緩和を引き起こし、引張応力をもたらすと理論づけられている。Bドーピングは一般に、ホウ素-炭素膜のC=C及びC≡C結合を増加させ、C/H比を増加させる。sp3C-H結合も減少し、圧縮応力が発生する。B2H6の流れの増加には、より多くのsp3C-H結合が含まれ得、H含有量が高くなる。膜中のC-Cポリマー鎖の形成を防ぐために、より短い鎖状C分子が好ましい。
【0048】
[0050]現在の低温ホウ素含有炭素ハードマスクは、以前のアモルファスカーボンハードマスク膜と比較して、良好なエッチング選択性、機械的強度、及び透明性を達成する。ただし、低温のホウ素含有ハードマスク膜のアモルファス性、より高い水素含有量、及びより低い弾性率(~100GPa)により、高アスペクト比の特徴及びより小さい寸法のデバイスの製造が制限される。次世代集積回路チップセットを可能にするために、本開示の実施形態は、より高い温度(例えば、摂氏400℃以上)で、ホウ素の濃度が高く、水素含有量の少ない、高密度のホウ素-炭素ハードマスク膜の製造を提供する。
【0049】
[0051]堆積されたときのホウ素-炭素膜は、炭化ホウ素膜をエッチング液から保護する、強く結合したホウ素-炭素(B-C)ネットワークを有する。したがって、炭化ホウ素膜は、さらなるエッチングプロセスのための基板(酸化物又は窒化物基板のいずれか)に対して高い選択性を示す。B-C結合は、炭素-炭素(C-C)結合よりも短く、ホウ素-炭素膜の応力を引張応力にシフトさせる。ホウ素-炭素膜は応力が低く、基板の反りが少なくなる。ホウ素-炭素膜は高い弾性率と硬度を有するため、ホウ素-炭素膜は機械的に頑丈である。更に、B-C結合は膜のバンドギャップを増加させる。したがって、ホウ素-炭素膜は、フォトリソグラフィで使用される光の周波数の少なくとも一部に対して透明である。また、ホウ素含有ガス混合物の削減は、膜の所望の特性を低下させることなく、ホウ素含有ガス(例えば、ジボラン)の必要性を減らすため、所有コストの削減につながる。
【0050】
[0052]一般に、以下の例示的な堆積プロセスパラメータが、ホウ素含有アモルファスカーボン層を形成するために使用される。プロセスパラメータは、約400℃から約700℃(例えば、約450℃から約650℃)の基板温度の範囲であり得る。チャンバ圧力は、約1トルから約20トル(例えば、約2トルから約10トル)のチャンバ圧力の範囲であり得る。炭化水素含有ガス(例えば、C3H6)の流量は、約150sccmから約400sccm、例えば、約160sccmから約260sccmであり得る。希釈ガス(例えば、He)の流量は、個別に、約0sccmから約3000sccm(例えば、約1200sccmから約2000sccm)の範囲であり得る。不活性ガス(例えば、Ar)の流量は、個別に、約0sccmから約10000sccm(例えば、約2500sccmから約4000sccm)の範囲であり得る。ホウ素含有ガス混合物(例えば、H2で希釈された約6重量%から約10重量%のB2H6)の流量は、約1000sccmから約3500sccm、例えば、約1500sccmから約2300sccmであり得る。高周波RF電力は、1000Wから3000W、例えば、約2000Wであり得る。低周波RF電力は、約0Wから約1500W、例えば、約800Wであり得る。基板190の表面191(例えば、上面)とガス分配アセンブリ120との間の間隔は、約100mmから約600mm(例えば、約150mmから約400mm)であり得る。ESCの電源電圧は、約0Vから約1000V、例えば、約600Vから約750Vであり得る。ホウ素-炭素膜は、約100Åから約30000Å、例えば、約1000Åから約18000Åの厚さに堆積され得る。上記のプロセスパラメータは、ホウ素含有アモルファスカーボン層の典型的な堆積速度を約100Å/分から約10000Å/分の範囲で提供し、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されている堆積チャンバの300mm基板上で実装され得る。
【0051】
[0053]堆積されたときのホウ素-炭素膜304は、633nm波長で約2を超える、例えば、約2.34の屈折率(n)を有し得る。堆積されたときのホウ素-炭素膜304は、633nm波長で約0.1未満、例えば、0.04以下の吸光係数(k)を有し得る。堆積されたときのホウ素-炭素膜304は、約150MPaから約400MPaの弾性率を有し得る。堆積されたときのホウ素-炭素膜304は、約-200MPaから約200MPa(例えば、約-50MPaから約100MPa)の応力を有し得る。堆積されたときのホウ素-炭素膜304は、1.5g/ccを超える、例えば、約1.85g/ccの密度を有し得る。
【0052】
[0054]上記のように、基板を処理するための方法が提供される。本方法は、ホウ素の濃度が高く、水素含有量が少ない高密度のホウ素-炭素ハードマスク膜の製造を含む。炭化水素含有ガス源の流量を減少させると、ホウ素-炭素ハードマスク膜のB%が増加する。
【0053】
[0055]ホウ素-炭素ハードマスク膜は、高アスペクト比(例えば、10:1以上)の特徴及びより小さい寸法(例えば、7nmノード以下)のデバイスに対して、高い弾性率、エッチング選択性、及び応力を提供する。本明細書に記載の実施形態は、現在のカーボンハードマスクプロセス統合スキームと互換性がある。したがって、既存のデバイス製造ラインへの本方法の導入は、上流又は下流の処理方法又はそれに関連する機器の実質的な変更を必要としない。
【0054】
[0056]上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の及びさらなる実施形態を、その基本的な範囲から逸脱することなく考案することが可能であり、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。