(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】水配管の凍結防止装置及び水配管の凍結防止方法
(51)【国際特許分類】
E03B 7/12 20060101AFI20241031BHJP
E03B 7/14 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E03B7/12 F
E03B7/14
(21)【出願番号】P 2022204551
(22)【出願日】2022-12-21
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 史
(72)【発明者】
【氏名】山田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】新山 裕一
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-058245(JP,A)
【文献】特開2000-308693(JP,A)
【文献】特開昭51-043250(JP,A)
【文献】特開2004-281069(JP,A)
【文献】特開2000-298177(JP,A)
【文献】特開平10-018367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 1/00-11/16
E03C 1/00- 1/33
E03F 1/00-11/00
G01W 1/00
G01L 1/00-27/02
F16L 55/00-55/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に水が貯留され
、前記水の凍結によって可逆的に変形可能な検出容器と、
前記水の凍結に起因した前記検出容器の
可逆的な変形を検出するためのセンサと、
前記検出容器の
可逆的な変形が検出されたとき、水配管に設けられた第1加熱装置を稼働させること、又は、前記水配管内の水の流通を許可することの少なくとも何れか一方を実施するように構成されたコントローラと、
を備える水配管の凍結防止装置。
【請求項2】
前記検出容器の相当径は、前記水配管の径よりも小さい、
請求項1に記載の水配管の凍結防止装置。
【請求項3】
前記検出容器の
外表面の少なくとも一部は、断熱材
で覆われていない、
請求項1又は2に記載の水配管の凍結防止装置。
【請求項4】
前記検出容器は、前記水配管と連通している、
請求項1又は2に記載の水配管の凍結防止装置。
【請求項5】
前記検出容器は、異形T字配管継手を介して前記水配管と接続されている、
請求項4に記載の水配管の凍結防止装置。
【請求項6】
前記検出容器は、前記水が貯留可能な密閉空間を形成する、
請求項1又は2に記載の水配管の凍結防止装置。
【請求項7】
前記検出容器は、前記検出容器内の前記水の凍結及び融解による前記水の体積変化に追従して
可逆的に変形可能な構造を有する、
請求項6に記載の水配管の凍結防止装置。
【請求項8】
前記検出容器を加熱可能な第2加熱装置、
を備える、
請求項1又は2に記載の水配管の凍結防止装置。
【請求項9】
水配管の凍結防止方法であって、
検出容器の内部に貯留された水の凍結に起因した前記検出容器の
可逆的な変形の有無を検出するステップと、
前記検出するステップで前記水の凍結に起因した前記検出容器の
可逆的な変形が検出されると前記水配管に設けられた第1加熱装置を稼働させること、又は、前記水配管内の水の流通を許可することの少なくとも何れか一方を実施するステップと、
を備える水配管の凍結防止方法。
【請求項10】
前記検出するステップで前記水の凍結に起因した前記検出容器の
可逆的な変形が検出されると前記検出容器を加熱可能な第2加熱装置を稼働させるステップ、
を備える、
請求項9に記載の水配管の凍結防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水配管の凍結防止装置及び水配管の凍結防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水配管内の水が凍結すると体積が膨張して水配管を破損してしまうため、水配管内の水が凍結しないようにすることが行われている。例えば特許文献1には、水道管の外周に電気ヒータを配置し、その電気ヒータへの通電を制御することで水道管内の水の凍結を防止する凍結防止方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば特許文献1に記載の凍結防止方法では、電気ヒータへの通電を開始する温度が水の凍結温度よりも比較的高い温度に設定されるため、消費電力が多くなりがちである。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、水配管の凍結防止に要するエネルギの消費量を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る水配管の凍結防止装置は、
内部に水が貯留された検出容器と、
前記検出容器内の前記水の凍結に起因した前記検出容器の変形を検出するためのセンサと、
前記検出容器の変形が検出されたとき、水配管に設けられた第1加熱装置を稼働させること、又は、前記水配管内の水の流通を許可することの少なくとも何れか一方を実施するように構成されたコントローラと、
を備える。
【0007】
(2)本開示の少なくとも一実施形態に係る水配管の凍結防止方法は、
水配管の凍結防止方法であって、
検出容器の内部に貯留された水の凍結に起因した前記検出容器の変形の有無を検出するステップと、
前記検出するステップで前記水の凍結に起因した前記検出容器の変形が検出されると前記水配管に設けられた第1加熱装置を稼働させること、又は、前記水配管内の水の流通を許可することの少なくとも何れか一方を実施するステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、水配管の凍結防止に要するエネルギの消費量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】密閉回路の配管系統の一例を示す図である。
【
図1B】給水回路の配管系統の一例を示す図である。
【
図1C】冷却塔回路の配管系統の一例を示す図である。
【
図1D】送水回路の配管系統の一例を示す図である。
【
図1E】給水回路の配管系統の他の一例を示す図である。
【
図2A】凍結検出装置の配置の一例について説明するための模式的な図である。
【
図2B】凍結検出装置の配置の他の一例について説明するための模式的な図である。
【
図3A】一実施形態に係る凍結検出装置の全体構成を説明するための模式的な図である。
【
図3B】他の実施形態に係る凍結検出装置の全体構成を説明するための模式的な図である。
【
図3C】他の実施形態に係る凍結検出装置の全体構成を説明するための模式的な図である。
【
図3D】他の実施形態に係る凍結検出装置の全体構成を説明するための模式的な図である。
【
図4】幾つかの実施形態に係る凍結防止装置を用いた水配管の凍結防止方法の手順について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0011】
幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50は、後述する凍結検出装置100を備えおり、凍結検出装置100が有する検出容器120内の凍結検出用の水Wdが凍結したことが検出されると、後述する凍結防止策を実施するように構成されている。
まず、幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50及び水配管10の凍結防止方法が適用される水配管10の配管系統1の幾つかの例について説明する。
図1Aは、密閉回路の配管系統の一例を示す図である。
図1Bは、給水回路の配管系統の一例を示す図である。
図1Cは、冷却塔回路の配管系統の一例を示す図である。
図1Dは、送水回路の配管系統の一例を示す図である。
図1Eは、給水回路の配管系統の他の一例を示す図である。
【0012】
(密閉回路の配管系統1A)
図1Aに示す密閉回路の配管系統1Aは、例えば冷凍機2と熱交換器3との間に設けられた水配管10Aを有する。
図1Aに示す密閉回路の配管系統1Aでは、例えばポンプ4Aによって冷凍機2と熱交換器3との間で水配管10A内の水Wを循環可能とされている。
図1Aに示す密閉回路の配管系統1Aでは、上記ポンプ4Aの運転を制御可能に構成された制御装置5Aによってポンプ4Aの運転が制御される。
【0013】
図1Aに示す密閉回路の水配管10Aにおいて、水配管10A内の水Wの凍結を防止するためには、例えばポンプ4Aを駆動することで冷凍機2と熱交換器3との間で水配管10A内の水Wを循環させればよい。
すなわち、
図1Aに示す密閉回路の水配管10Aでは、水配管10A内の水Wの流通を許可することで、水配管10A内の水Wの凍結を防止できる。
【0014】
(給水回路の配管系統1B)
図1Bに示す給水回路の配管系統1Bは、例えば給水タンク6に水Wを補給するための水配管10Bを有する。
図1Bに示す給水回路の配管系統1Bでは、例えば給水タンク6の余剰の水Wをオーバーフローさせるためのオーバーフロー配管21Bが設けられている。
【0015】
図1Bに示す給水回路の配管系統1Bでは、例えば水配管10Bに設けられた制御弁7Bによって給水タンク6への水Wの供給が制御可能である。
図1Bに示す給水回路の配管系統1Bでは、上記制御弁7Bの開度を制御可能に構成された制御装置5Bによって制御弁7Bの開度が制御される。
【0016】
図1Bに示す給水回路の水配管10Bにおいて、水配管10B内の水Wの凍結を防止するためには、例えば制御弁7Bを開くことで給水タンク6へ水Wを供給し、給水タンク6の余剰の水Wをオーバーフロー配管21Bを介してオーバーフローさせればよい。
すなわち、
図1Bに示す給水回路の水配管10Bでは、水配管10B内の水Wの流通を許可することで、水配管10B内の水Wの凍結を防止できる。
【0017】
(冷却塔回路の配管系統1C)
図1Cに示す冷却塔回路の配管系統1Cは、水配管10Cを有する。
図1Cに示す冷却塔回路の水配管10Cは、例えば冷却塔8に貯留される水Wを補給するための補給流路11Cと、冷却塔8に貯留された水Wを冷却塔8内で循環させるための循環流路12とを有する。
図1Cに示す冷却塔回路の配管系統1Cでは、例えば冷却塔8の余剰の水Wをオーバーフローさせるためのオーバーフロー配管21Cが設けられている。
図1Cに示す冷却塔回路の水配管10Cでは、例えば補給流路11には、補給流路11内の水Wの凍結防止のための第1加熱装置31としての加熱装置であり、通電することで熱を発する凍結防止ヒータ9が設けられている。
【0018】
図1Cに示す冷却塔回路の配管系統1Cでは、例えば冷却塔8への水Wの供給は、水配管10Cに設けられたボールタップ13によって制御されるように構成されている他、例えば水配管10Cに設けられた制御弁7Cの開閉よっても可能である。
図1Cに示す冷却塔回路の配管系統1Cでは、例えば循環流路12に設けられた循環ポンプであるポンプ4Cによって冷却塔8に貯留された水Wを冷却塔8内で循環可能とされている。
図1Cに示す冷却塔回路の配管系統1Cでは、上記ポンプ4Cの運転、上記制御弁7Cの開度、及び、凍結防止ヒータ9への通電を制御可能に構成された制御装置5Cによってこれらが制御される。
【0019】
図1Cに示す冷却塔回路の水配管10Cにおいて、水配管10C内の水Wの凍結を防止するためには、例えば上記ポンプ4Cを運転することで循環流路12内に水Wを流通させるとともに、凍結防止ヒータ9へ通電して補給流路11Cを加熱するとよい。また、補給流路11C内の水Wの凍結を防止するために、凍結防止ヒータ9へ通電するとともに、制御弁7Cを開いて補給流路11C内に水Wを流通させ、冷却塔8の余剰の水Wをオーバーフロー配管21Cを介してオーバーフローさせてもよい。
すなわち、
図1Cに示す冷却塔回路の水配管10Cでは、第1加熱装置31を稼働させること、及び、水配管10C内の水Wの流通を許可することで、水配管10C内の水Wの凍結を防止できる。
【0020】
(送水回路の配管系統1D)
図1Dに示す送水回路の配管系統1Dは、水配管10Dを有する。
図1Dに示す送水回路の水配管10Dは、例えば屋外に設置された水タンク15内の水Wを屋内の各所に供給するための送水配管16と、送水配管16内の水Wを水タンク15に戻すための戻り配管17とを含む。送水配管16と戻り配管17の一部は、屋外に配置されている。
【0021】
図1Dに示す送水回路の配管系統1Dでは、送水配管16に設けられた送水ポンプであるポンプ4Dによって水タンク15内の水Wを屋内の各所に供給可能とされている。
図1Dに示す送水回路の配管系統1Dでは、戻り配管17は、ポンプ4Dよりも下流の送水配管16から分岐していて、水タンク15に接続されている。戻り配管17には、
制御弁7Dが設けられていて、制御弁7Dを開くことでポンプ4Dで送水された水Wの一部が水タンク15に戻すことができるように構成されている。
図1Dに示す送水塔回路の配管系統1Dでは、上記ポンプ4Dの運転、及び上記制御弁7Dの開度を制御可能に構成された制御装置5Dによってこれらが制御される。
【0022】
図1Dに示す送水回路の水配管10Dにおいて、屋外の水配管10D(送水配管16、戻り配管17)内の水Wの凍結を防止するためには、例えば上記ポンプ4Dを運転するとともに制御弁7Dを開くことで送水配管16内、及び戻り配管17内で水Wを流通させればよい。
すなわち、
図1Dに示す送水回路の水配管10Dでは、水配管10D内の水Wの流通を許可することで、水配管10D内の水Wの凍結を防止できる。
【0023】
(給水回路の配管系統1E)
図1Eに示す給水回路の配管系統1Eは、水配管10Eを有する。
図1Eに示す給水回路の水配管10Eは、例えば温水タンク18に水Wを補給するための補給流路11Eと、補給流路11Eから分岐するドレン流路19とを有する。
図1Eに示す給水回路の配管系統1Eでは、例えば温水タンク18の余剰の水W(温水HW)をオーバーフローさせるためのオーバーフロー配管21Eが設けられている。
【0024】
図1Eに示す給水回路の水配管10Eには、制御弁7Eが設けられている。
図1Eに示す給水回路の水配管10Eの制御弁7Eは、例えば補給流路11Eにおいて、ドレン流路19の接続位置よりも下流側に設けられた第1制御弁71と、ドレン流路19に設けられた第2制御弁72とを含んでいる。
図1Eに示す給水回路では、第1制御弁71を開き、第2制御弁72を閉じることで、温水タンク18に水Wを補給できる。また、
図1Eに示す給水回路では、第1制御弁71を閉じ、第2制御弁72を開くことで、ドレン流路19の接続位置よりも上流側の補給流路11E内の水Wをドレン流路19を介して流すことができる。
図1Bに示す給水回路の配管系統1Bでは、上記制御弁7E(第1制御弁71、第2制御弁72)の開度を制御可能に構成された制御装置5Eによって制御弁7Eの開度が制御される。
【0025】
図1Eに示す給水回路の水配管10Eにおいて、水配管10E(補給流路11E)内の水Wの凍結を防止するためには、例えば温水タンク18に不所望に低温の水Wが流入しないようにするために第1制御弁71を閉じるとともに、第2制御弁72を開くことで補給流路11Eの水Wを流通させて、ドレン流路19を介して流すようにすればよい。
すなわち、
図1Eに示す給水回路の水配管10Eでは、水配管10E内の水Wの流通を許可することで、水配管10E内の水Wの凍結を防止できる。
【0026】
なお、以下の説明では、配管系統1A、配管系統1B、配管系統1C、配管系統1D、及び配管系統1Eを特に区別する必要がない場合、又は、配管系統1A、配管系統1B、配管系統1C、配管系統1D、及び配管系統1Eを総称する場合、符号の末尾のアルファベットを省略して、単に配管系統1と称する。
同様に、以下の説明では、水配管10A、水配管10B、水配管10C、水配管10D、及び水配管10Eを特に区別する必要がない場合、又は、水配管10A、水配管10B、水配管10C、水配管10D、及び水配管10Eを総称する場合、符号の末尾のアルファベットを省略して、単に水配管10と称する。
以下の説明では、
図1Aに示す密閉回路の配管系統1Aのポンプ4A、
図1Cに示す冷却塔回路の配管系統1Cのポンプ4C、及び
図1Dに示す送水回路の配管系統1Dのポンプ4Dを特に区別する必要がない場合、又は、ポンプ4A、ポンプ4C、及びポンプ4Dを総称する場合、符号の末尾のアルファベットを省略して、単にポンプ4と称する。
【0027】
以下の説明では、制御装置5A、制御装置5B、制御装置5C、制御装置5D、及び制御装置5Eを特に区別する必要がない場合、又は、制御装置5A、制御装置5B、制御装置5C、制御装置5D、及び制御装置5Eを総称する場合、符号の末尾のアルファベットを省略して、単に制御装置5と称する。
なお、制御装置5は、各種演算処理を実行する不図示のプロセッサと、プロセッサによって処理される各種データを非一時的または一時的に記憶する不図示のメモリとを備える。プロセッサは、CPU、GPU、MPU、DSP、これら以外の各種演算装置、又はこれらの組み合わせなどによって実現される。メモリは、ROM、RAM、フラッシュメモリ、またはこれらの組み合わせなどによって実現される。
【0028】
以下の説明では、制御弁7B、制御弁7C、制御弁7D、及び制御弁7Eを特に区別する必要がない場合、又は、制御弁7B、制御弁7C、制御弁7D、及び制御弁7Eを総称する場合、符号の末尾のアルファベットを省略して、単に制御弁7と称する。
【0029】
以下の説明では、水配管10を凍結防止ヒータ9で加熱すること、及び水配管10内の水Wの凍結防止のために水配管10内の水Wを流通させることを特に区別する必要がない場合、又は、水配管10を凍結防止ヒータ9で加熱すること、及び水配管10内の水Wの凍結防止のために水配管10内の水Wを流通させることを総称する場合、単に凍結防止策と称する。
【0030】
(凍結検出装置100について)
凍結防止策の実施に際し、従来は、水配管10の周囲の環境の温度が予め設定された設定温度を下回ると凍結防止策を実施するようにしている。しかし、従来は、上記設定温度が水の凍結温度(0℃)から例えば数度程度高い温度に設定されることや、水配管10の周囲の環境の温度と水配管10内の水Wの温度との乖離があること等から、凍結防止策の実施開始のタイミングが比較的早めとなる傾向にある。そのため、凍結防止策の実施によって消費される消費電力が比較的多くなりがちである。
そこで、幾つかの実施形態に係る水配管の凍結防止装置及び水配管の凍結防止方法では、以下で詳述するように、検出容器内に貯留された凍結検出用の水Wdが凍結したことが検出されると凍結防止策の実施を開始するようにした。
【0031】
図2Aは、凍結検出装置100の配置の一例について説明するための模式的な図である。
図2Bは、凍結検出装置100の配置の他の一例について説明するための模式的な図である。
幾つかの実施形態に係る凍結検出装置100は、凍結防止策の実施対象となる水配管10の設置環境と同様の環境に配置される。
図2Aに示す例では、凍結検出装置100は、水配管10に取り付けられていて、後述するように水配管10に接続されている。
図2Bに示す例では、凍結検出装置100は、水配管10とは接続されていない。なお、
図2Bに示す例では、凍結検出装置100は、水配管10の上に載置する、水配管10を固定する不図示の架台に配置される、水配管10から吊り下げられる等の種々の形態で水配管10の近傍に配置される。
【0032】
図2A及び
図2Bに示す水配管10には、その外周に第1加熱装置31が配置されている。第1加熱装置31は、例えば凍結防止ヒータ9である。
図2A及び
図2Bに示す水配管10は、第1加熱装置31のさらに外側に断熱材33が配置されている。
図示の都合上、
図2A及び
図2Bでは、第1加熱装置31及び断熱材33を破線で表している。
図2A及び
図2Bに示す例では、水配管10には、ボールバルブ35が設けられている。
【0033】
図3Aは、一実施形態に係る凍結検出装置100Aの全体構成を説明するための模式的な図である。
図3Bは、他の実施形態に係る凍結検出装置100Bの全体構成を説明するための模式的な図である。
図3Cは、他の実施形態に係る凍結検出装置100Cの全体構成を説明するための模式的な図であり、検出容器120C内に貯留された凍結検出用の水Wdが凍結する前の状態を示している。
図3Dは、他の実施形態に係る凍結検出装置100Cの全体構成を説明するための模式的な図であり、検出容器120C内に貯留された凍結検出用の水Wdが凍結した後の状態を示している。
【0034】
(凍結検出装置100A)
図3Aに示す凍結検出装置100Aは、内部に凍結検出用の水Wdが貯留された検出容器120Aと、検出容器120A内の水Wdの凍結に起因した検出容器120Aの変形を検出するためのセンサ130と、検出容器120Aを加熱可能な第2加熱装置140とを備えている。
図3Aに示す凍結検出装置100Aでは、検出容器120Aは、有底の筒形状を有している。検出容器120Aの材質は、金属であってもよく、樹脂であってもよい。
図3Aに示す凍結検出装置100Aでは、検出容器120Aの底121が設けられている閉止端部122とは反対側の端部(開口端部123)が開口している。
【0035】
図3Aに示す凍結検出装置100Aでは、検出容器120Aの開口端部123が水配管10に接続されている。具体的には、検出容器120Aの開口端部123は、
図2Aに示すように、水配管10の途中に設けられたT字配管継手37を介して水配管10に接続されている。なお、T字配管継手37は、3つの接続部の径が等しい同形T字配管継手であってもよいが、3つの接続部の内の他の2つよりも径が小さい接続部を有する異形T字配管継手であるとよい。
T字配管継手37が異形T字配管継手である場合、検出容器120Aの開口端部123は、異形T字配管継手の3つの接続部の内の他の2つよりも径が小さい接続部に接続されているとよい。
【0036】
図3Aに示す凍結検出装置100Aでは、検出容器120Aの内部は、T字配管継手37を介して水配管10と連通している。これにより、検出容器120Aの内部は、水配管10を流通する水Wが凍結検出用の水Wdとして貯留される。
【0037】
図3Aに示す凍結検出装置100Aでは、検出容器120A内の水Wdの凍結に起因した検出容器120Aの変形を検出するためのセンサ130として、検出容器120Aの外周面にひずみゲージ131が取り付けられている。ひずみゲージ131は、不図示の変換器を介して上述した制御装置5に接続されている。
【0038】
図3Aに示す凍結検出装置100Aでは、検出容器120Aの外面(例えば閉止端部122の外面)に第2加熱装置140が配置されている。第2加熱装置140は、例えば通電することで熱を発する電熱ヒータ141である。電熱ヒータ141は、上述した制御装置5によって通電が制御されるように構成されている。
【0039】
(凍結検出装置100B)
図3Bに示す凍結検出装置100Bは、内部に凍結検出用の水Wdが貯留された検出容器120Bと、検出容器120B内の水Wdの凍結に起因した検出容器120Bの変形を検出するためのセンサ130と、検出容器120Bを加熱可能な第2加熱装置140と、検出容器120Bを収容する収容容器151Bとを備えている。
【0040】
図3Bに示す凍結検出装置100Bでは、検出容器120Bは、内部に凍結検出用の水Wdが貯留可能な密閉容器である。検出容器120Bの材質は、凍結検出用の水Wdの凍結と融解が繰り返されても破損し難い程度の伸縮性を有する樹脂やエラストマー等であるとよい。
図3Bに示す凍結検出装置100Bでは、検出容器120Bは、収容容器151B内に収容される。
【0041】
図3Bに示す凍結検出装置100Bでは、検出容器120B内の水Wdの凍結に起因した検出容器120Bの変形を検出するためのセンサ130として、検出容器120Bの外面にひずみゲージ132が取り付けられている。このひずみゲージ132は、例えばひずみゲージ132の貼り付け面の比較的大きな伸縮を許容するように構成されたひずみゲージである。ひずみゲージ132は、不図示の変換器を介して上述した制御装置5に接続されている。
なお、
図3Bに示す凍結検出装置100Bでは、センサ130として、後述する
図3C及び
図3Dに示す凍結検出装置100Cで用いるセンサ130を使用し、
図3C及び
図3Dに示す凍結検出装置100Cと同様の方法で検出容器120B内の水Wdの凍結に起因した検出容器120Bの変形を検出するようにしてもよい。
【0042】
図3Bに示す凍結検出装置100Bでは、検出容器120Bの外側、例えば収容容器151Bの外面に第2加熱装置140が配置されている。第2加熱装置140は、例えば通電することで熱を発する電熱ヒータ141である。電熱ヒータ141は、上述した制御装置5によって通電が制御されるように構成されている。
【0043】
(凍結検出装置100C)
図3C及び
図3Dに示す凍結検出装置100Cは、内部に凍結検出用の水Wdが貯留された検出容器120Cと、検出容器120C内の水Wdの凍結に起因した検出容器120Cの変形を検出するためのセンサ130と、検出容器120Cを加熱可能な第2加熱装置140と、検出容器120Cを収容する収容容器151Cとを備えている。
【0044】
図3C及び
図3Dに示す凍結検出装置100Cでは、検出容器120Cは、一方向に伸縮可能な構造であるベローズ状の構造を有し、内部に凍結検出用の水Wdが貯留可能な密閉容器である。検出容器120Cの材質は、凍結検出用の水Wdの凍結と融解が繰り返されても破損し難い程度の柔軟性を有する樹脂やエラストマー等であるとよい。
【0045】
図3C及び
図3Dに示す凍結検出装置100Cでは、検出容器120Cは、伸縮可能な方向(図示上下方向)における一方側(図示下側)の端部124が収容容器151Cの底部152に固定され、他方側(図示上側)の端部125が収容容器151C内で図示上下方向に移動可能に構成されているとよい。
図3C及び
図3Dに示す凍結検出装置100Cでは、検出容器120Cの他方側(図示上側)の端部125には、例えば板状部材126が取り付けられており、検出容器120Cが伸縮することで板状部材126が図示上下方向に移動可能に構成されている。
図3C及び
図3Dに示す凍結検出装置100Cでは、検出容器120C及び板状部材126は、収容容器151C内に収容される。
【0046】
図3C及び
図3Dに示す凍結検出装置100Cでは、検出容器120C内の水Wdの凍結に起因した検出容器120Cの変形を検出するためのセンサ130として、リミットスイッチ133、又は、光電センサ134が検出容器120Cの内側に取り付けられている。
図3C及び
図3Dに示す例では、1点鎖線の中心線よりも左側の図がセンサ130としてリミットスイッチ133を採用した例を示しており、1点鎖線の中心線よりも右側の図がセンサ130として光電センサ134を採用した例を示している。
なお、光電センサ134は、計測対象としての相手部材までの距離に応じた信号を出力するように構成されたセンサである。
【0047】
凍結検出装置100Cでは、検出容器120Cは、凍結検出用の水Wdが融解している状態では、
図3Cに示すように、検出容器120Cの全長(検出容器120Cの図示上下方向の寸法)は比較的短い。そのため、板状部材126は、センサ130から比較的離れた位置に位置することとなる。
凍結検出装置100Cでは、検出容器120Cは、凍結検出用の水Wdが凍結している状態では、
図3Dに示すように、検出容器120Cの全長は凍結検出用の水Wdが融解している状態と比べて長くなる。そのため、板状部材126は、センサ130に比較的近接した位置に位置することとなる。
なお、例えばセンサ130がリミットスイッチ133である場合、凍結検出用の水Wdの凍結がある程度まで進行した状態において、板状部材126がリミットスイッチ133を作動させる位置までリミットスイッチ133に接近するように構成されているとよい。
【0048】
例えばセンサ130がリミットスイッチ133である場合、リミットスイッチ133からの出力は、制御装置5に入力可能に構成されている。
例えばセンサ130が光電センサ134である場合、光電センサ134は、不図示の変換器を介して上述した制御装置5に接続されている。
【0049】
図3C及び
図3Dに示す凍結検出装置100Cでは、検出容器120Cの外側、例えば収容容器151Cの底面の外側に第2加熱装置140が配置されている。第2加熱装置140は、例えば通電することで熱を発する電熱ヒータ141である。電熱ヒータ141は、上述した制御装置5によって通電が制御されるように構成されている。
【0050】
なお、以下の説明では、凍結検出装置100A、凍結検出装置100B、及び凍結検出装置100Cを特に区別する必要がない場合、又は、凍結検出装置100A、凍結検出装置100B、及び凍結検出装置100Cを総称する場合、符号の末尾のアルファベットを省略して、単に凍結検出装置100と称する。
同様に、以下の説明では、検出容器120A、検出容器120B、及び検出容器120Cを特に区別する必要がない場合、又は、検出容器120A、検出容器120B、及び検出容器120Cを総称する場合、符号の末尾のアルファベットを省略して、単に検出容器120と称する。
【0051】
(水配管10の凍結防止装置50について)
幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50は、内部に凍結検出用の水Wdが貯留された検出容器120と、検出容器120内の水Wdの凍結に起因した検出容器120の変形を検出するためのセンサ130とを備える。幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50は、検出容器120の変形が検出されたとき、水配管10に設けられた第1加熱装置31を稼働させること、又は、水配管10内の水Wの流通を許可することの少なくとも何れか一方を実施するように構成されたコントローラとしての制御装置5を備える。
幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50によれば、検出容器120内の水Wdの凍結後に第1加熱装置31を稼働させる、又は、水配管10内の水Wの流通を許可するので、第1加熱装置31の稼働開始のタイミング、又は、水配管10内の水の流通を許可するタイミングを従来の凍結防止装置と比べて遅らせることができる。これにより、水配管10の凍結防止に要するエネルギの消費量を抑制できる。
【0052】
幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50では、検出容器120の相当径は、水配管10の径よりも小さいとよい。すなわち、幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50では、検出容器120の形状が円筒形状を有していれば、該円筒の内径は、水配管10の内径よりも小さいとよい。また、幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50では、検出容器120の形状が円筒以外の筒形状を有していれば、該筒の内周面の相当径は、水配管10の内径よりも小さいとよい。
このようにして検出容器120内の水Wdの熱容量を検出容器120の長さと同じ長さの水配管10内に存在する水Wの熱容量よりも小さくすることで、水配管10内の水Wが凍結し始める前に検出容器120内の水Wが凍結し始めるようにすることができる。これにより、水配管10内の水Wが凍結し始める前に凍結防止策の実施を開始できる。
【0053】
なお、
図2A及び
図2Bに示すように水配管10にボールバルブ35が設けられている場合、ボールバルブ35がいわゆるレデュースドボアタイプのものである場合、ボールバルブ35内の流路径は、水配管10の配管の内径よりも小さくなる。このような場合には、検出容器120の相当径は、ボールバルブ35内の最小の流路径よりも小さいとよい。
【0054】
幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50では、検出容器120の少なくとも一部は、例えば
図2A及び
図2Bに示すように断熱材33の外部に露出しているとよい。
これにより、検出容器120が配置されている環境の温度変化に検出容器120内の水Wdの温度変化が追従し易くなるので、水配管10内の水Wが凍結し始める前に検出容器120内の水Wdが凍結し始めるようにすることができる。よって、水配管10内の水Wが凍結し始める前に凍結防止策の実施を開始できる。
【0055】
幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50では、
図3Aに示す検出容器120Aのように、検出容器120は、水配管10と連通していてもよい。
これにより、検出容器120が水配管10と連通していない場合と比べて、検出容器120内の水Wdの温度が水配管10内の水Wの温度に近づくようになる。よって、例えば水配管10の水Wの温度と検出容器120の水Wdの温度との乖離が大きくなって、水配管10内の水Wの凍結の可能性が低いにもかかわらず検出容器120内の水Wdが凍結し始めてしまって、凍結防止策の実施が不所望に開始されることを抑制できる。
【0056】
幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50では、
図2Aに示すように、検出容器120は、異形T字配管継手(T字配管継手37)を介して水配管10と接続されているとよい。
これにより、検出容器120と水配管10とを容易に接続できる。
【0057】
幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50では、
図3B、
図3C、及び
図3Dに示す検出容器120B、120Cのように、検出容器120は、水Wdが貯留可能な密閉空間を形成するように構成されていてもよい。
これにより、検出容器120が水配管10と連通している場合と比べて検出容器10内の水Wdの凍結による検出容器120の変形量が大きくなるので、検出容器120内の水Wdの凍結の検出精度を向上できる。
【0058】
幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50では、
図3C及び
図3Dに示す検出容器120Cのように検出容器120は、検出容器120内の水Wdの凍結及び融解による水Wdの体積変化に追従して変形可能な構造を有するとよい。
これにより、検出容器120内の水Wdの凍結によって検出容器120が変形し易くなるので、検出容器120内の水Wdの凍結の検出精度を向上できるとともに、検出容器120内の水Wdの凍結と融解とが繰り返された場合の検出容器120の耐久性を向上できる。
【0059】
幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止装置50では、
図3A、
図3B、
図3C、及び
図3Dに示す検出容器120A、120B、120Cのように、検出容器120を加熱可能な第2加熱装置140を備えるとよい。
これにより、検出容器120の変形が検出されて凍結防止策を実施することで水配管10内の水Wの凍結を回避した後に第2加熱装置140で検出容器120を加熱して検出容器120内の水Wdを融解させることで、水配管10内の水Wの凍結の可能性を検出するための検出装置としての検出容器120の機能をリセットして、再び水配管10内の水Wの凍結の可能性を検出可能とすることができる。
(水配管10の凍結防止方法について)
図4は、幾つかの実施形態に係る凍結防止装置50を用いた水配管10の凍結防止方法の手順について説明するためのフローチャートである。以下の説明では、幾つかの実施形態に係る配管系統1の各部、及び第2加熱装置140の制御を制御装置5が実施する。
幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止方法では、ステップS1において制御装置5は、センサ130からの出力信号に基づいて、検出容器120内の水Wdの凍結が検出されるまで待機する。
【0060】
検出容器120内の水Wdの凍結が検出されるとステップS3へ進み、制御装置5は、上述した凍結防止策の実施を開始するように幾つかの実施形態に係る配管系統1の各部、すなわち、ポンプ4、制御弁7、及び第1加熱装置31を制御する。
【0061】
次いでステップS5において制御装置5は、第2加熱装置140での加熱を開始するように第2加熱装置140への通電を開始する。
【0062】
次いでステップS7において制御装置5は、センサ130からの出力信号に基づいて、検出容器120内の水Wdの融解が検出されるまで待機する。
【0063】
検出容器120内の水Wdの融解が検出されるとステップS9へ進み、制御装置5は、あらかじめ定められた待機時間が経過するまで待機した後、ステップS11へ進み、第2加熱装置140での加熱を停止するように第2加熱装置140への通電を停止する。
【0064】
ステップS13において制御装置5は、あらかじめ定められた待機時間が経過するまで待機した後、ステップS15へ進み、上述した凍結防止策の実施を終了するように幾つかの実施形態に係る配管系統1の各部、すなわち、ポンプ4、制御弁7、及び第1加熱装置31を制御した後、ステップS1へ戻る。
【0065】
このように、幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止方法は、検出容器120の内部に貯留された水Wdの凍結に起因した検出容器120の変形の有無を検出するステップS1と、ステップS1で水Wdの凍結に起因した検出容器120の変形が検出されると上述した凍結防止策を実施するステップS3と、を備える。
これにより、検出容器120内の水Wdの凍結後に上述した凍結防止策の実施が開始されるので、上述した凍結防止策の実施が開始されるタイミングを従来の凍結防止装置と比べて遅らせることができる。これにより、水配管10の凍結防止に要するエネルギの消費量を抑制できる。
【0066】
幾つかの実施形態に係る水配管10の凍結防止方法では、ステップS1で水Wdの凍結に起因した検出容器120の変形が検出されると検出容器120を加熱可能な第2加熱装置140を稼働させるステップS5を備えるとよい。
これにより、検出容器120の変形が検出されて凍結防止策を実施することで水配管10内の水Wの凍結を回避した後に第2加熱装置140で検出容器を120加熱して検出容器120内の水Wdを融解させることで、水配管10内の水Wの凍結の可能性を検出するための検出装置としての検出容器120の機能をリセットして、再び水配管10内の水Wの凍結の可能性を検出可能とすることができる。
【0067】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した凍結防止策を実施するステップS3では、例えば
図1Cに示した冷却塔回路の配管系統1Cのように、水配管10C内の水Wの凍結を防止するために第1加熱装置31を稼働させること、及び、水配管10C内の水Wの流通を許可することを実施可能に構成されている場合、第1加熱装置31を稼働させること、及び、水配管10C内の水Wの流通を許可することの双方を実施する。しかし、上述した凍結防止策を実施するステップS3において、例えば
図1Cに示した冷却塔回路の配管系統1Cのように、水配管10C内の水Wの凍結を防止するために第1加熱装置31を稼働させること、及び、水配管10C内の水Wの流通を許可することを実施可能に構成されている場合には、第1加熱装置31を稼働させること、又は、水配管10C内の水Wの流通を許可することの何れか一方が実施されるようになっていてもよい。
【0068】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る水配管の凍結防止装置は、内部に水が貯留された検出容器と、検出容器内の水の凍結に起因した検出容器の変形を検出するためのセンサと、検出容器の変形が検出されたとき、水配管に設けられた第1加熱装置を稼働させること、又は、水配管内の水の流通を許可することの少なくとも何れか一方を実施するように構成されたコントローラと、を備える。
【0069】
上記(1)の構成によれば、検出容器内の水の凍結後に第1加熱装置を稼働させる、又は、水配管内の水の流通を許可するので、第1加熱装置の稼働開始のタイミング、又は、水配管内の水の流通を許可するタイミングを従来の凍結防止装置と比べて遅らせることができる。これにより、水配管の凍結防止に要するエネルギの消費量を抑制できる。
【0070】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、検出容器の相当径は、水配管の径よりも小さいとよい。
【0071】
上記(2)の構成によれば、検出容器内の水の熱容量を検出容器の長さと同じ長さの水配管内に存在する水の熱容量よりも小さくすることで、水配管内の水が凍結し始める前に検出容器内の水が凍結し始めるようにすることができる。これにより、水配管内の水が凍結し始める前に第1加熱装置を稼働、又は、水配管内の水の流通を許可できる。
【0072】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、検出容器の少なくとも一部は、断熱材の外部に露出しているとよい。
【0073】
上記(3)の構成によれば、検出容器が配置されている環境の温度変化に検出容器内の水の温度変化が追従し易くなるので、水配管内の水が凍結し始める前に検出容器内の水が凍結し始めるようにすることができる。これにより、水配管内の水が凍結し始める前に第1加熱装置を稼働、又は、水配管内の水の流通を許可できる。
【0074】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、検出容器は、水配管と連通していてもよい。
【0075】
上記(4)の構成によれば、検出容器が水配管と連通していない場合と比べて、検出容器内の水の温度が水配管内の水の温度に近づくようになる。これにより、例えば水配管内の水の温度と検出容器内の水の温度との乖離が大きくなって、水配管内の水の凍結の可能性が低いにもかかわらず検出容器内の水が凍結し始めてしまって、第1加熱装置を不所望に稼働させること、又は、水配管内の水の流通を不所望に許可することを抑制できる。
【0076】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、検出容器は、異形T字配管継手を介して水配管と接続されているとよい。
【0077】
上記(5)の構成によれば、検出容器と水配管とを容易に接続できる。
【0078】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、検出容器は、水が貯留可能な密閉空間を形成するように構成されていてもよい。
【0079】
上記(6)の構成によれば、検出容器が水配管と連通している場合と比べて検出容器内の水の凍結による検出容器の変形量が大きくなるので、検出容器内の水の凍結の検出精度を向上できる。
【0080】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、検出容器は、検出容器内の水の凍結及び融解による水の体積変化に追従して変形可能な構造を有するとよい。
【0081】
上記(7)の構成によれば、検出容器内の水の凍結によって検出容器が変形し易くなるので、検出容器内の水の凍結の検出精度を向上できる。また、上記(7)の構成によれば、検出容器内の水の凍結と融解とが繰り返された場合の検出容器の耐久性を向上できる。
【0082】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかの構成において、検出容器を加熱可能な第2加熱装置を備えるとよい。
【0083】
上記(8)の構成によれば、検出容器の変形が検出されて第1加熱装置を稼働させる、又は、水配管内の水の流通を許可して水配管内の水の凍結を回避した後に第2加熱装置で検出容器を加熱して検出容器内の水を融解させることで、水配管内の水の凍結の可能性を検出するための検出装置としての検出容器の機能をリセットして、再び水配管内の水の凍結の可能性を検出可能とすることができる。
【0084】
(9)本開示の少なくとも一実施形態に係る水配管の凍結防止方法は、水配管の凍結防止方法であって、検出容器の内部に貯留された水の凍結に起因した検出容器の変形の有無を検出するステップと、検出するステップで水の凍結に起因した検出容器の変形が検出されると水配管に設けられた第1加熱装置を稼働させること、又は、前記水配管内の水の流通を許可することの少なくとも何れか一方を実施するステップと、を備える。
【0085】
上記(9)の方法によれば、検出容器内の水の凍結後に第1加熱装置を稼働させる、又は、水配管内の水の流通を許可するので、第1加熱装置の稼働開始のタイミング、又は、水配管内の水の流通を許可するタイミングを従来の凍結防止装置と比べて遅らせることができる。これにより、水配管の凍結防止に要するエネルギの消費量を抑制できる。
【0086】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の方法において、検出するステップで水の凍結に起因した検出容器の変形が検出されると検出容器を加熱可能な第2加熱装置を稼働させるステップを備えるとよい。
【0087】
上記(10)の方法によれば、検出容器の変形が検出されて第1加熱装置を稼働させる、又は、水配管内の水の流通を許可することで水配管内の水の凍結を回避した後に第2加熱装置で検出容器を加熱して検出容器内の水を融解させることで、水配管内の水の凍結の可能性を検出するための検出装置としての検出容器の機能をリセットして、再び水配管内の水の凍結の可能性を検出可能とすることができる。
【符号の説明】
【0088】
1 配管系統
4 ポンプ
5 制御装置
7 制御弁
10 水配管
31 第1加熱装置
37 T字配管継手
100 凍結検出装置
120 検出容器
130 センサ
140 第2加熱装置