IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラム リサーチ コーポレーションの特許一覧

特許7579866高電力、高圧プロセス用の分割されたガス分配プレート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】高電力、高圧プロセス用の分割されたガス分配プレート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241031BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101C
H05H1/46 L
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022545782
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 US2021014988
(87)【国際公開番号】W WO2021154673
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2024-01-23
(31)【優先権主張番号】62/966,816
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペン・ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】シャイク・ムハンマド・ソハイル
(72)【発明者】
【氏名】ロッスリー・クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】マロール・ダン
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-88336(JP,A)
【文献】特開平6-302519(JP,A)
【文献】特開2019-220532(JP,A)
【文献】特表2014-523635(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0159002(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システム用のガス分配プレートであって、
半径方向内側表面上に階段状インターフェースを含む外側リングと、
N個の内側リングであって、
Nは、ゼロよりも大きい整数であり、
前記N個の内側リングのうちの少なくとも1つは、円周方向に分割され、内側階段状インターフェース及び外側階段状インターフェースを含み、
前記N個の内側リングのうちの半径方向外側にある内側リングの前記外側階段状インターフェースは、前記外側リングの前記階段状インターフェース上に載置され、前記内側階段状インターフェースと嵌合するように構成されている、N個の内側リングと、
中心部分であって、前記中心部分の半径方向外側表面上に外側階段状インターフェースを含み、前記外側階段状インターフェースは、前記N個の内側リングのうちの半径方向内側にある内側リングの前記内側階段状インターフェース上に載置され、前記内側階段状インターフェースと嵌合するように構成されている、中心部分と、を備える、ガス分配プレート。
【請求項2】
請求項1に記載のガス分配プレートであって、前記N個の内側リングのうちの少なくとも1つは、複数のガス貫通孔を含む、ガス分配プレート。
【請求項3】
請求項2に記載のガス分配プレートであって、前記外側リング、前記N個の内側リング、及び前記中心部分は、一緒に入れ子になったときに、平坦な上側表面及び下側表面を画定する、ガス分配プレート。
【請求項4】
請求項1に記載のガス分配プレートであって、N=2である、ガス分配プレート。
【請求項5】
請求項1に記載のガス分配プレートであって、N=3である、ガス分配プレート。
【請求項6】
請求項1に記載のガス分配プレートであって、
前記N個の内側リングは、C個の円周部分を含み、Cは、1よりも大きい整数であり、
前記C個の円周部分の各々は、第1の円弧状部分及び第2の円弧状部分を有する本体を含み、
前記第1の円弧状部分は、前記第2の円弧状部分に対して、半径方向及び円周方向にオフセットされている、ガス分配プレート。
【請求項7】
請求項6に記載のガス分配プレートであって、C=2である、ガス分配プレート。
【請求項8】
請求項6に記載のガス分配プレートであって、
前記第1の円弧状部分は、内径及び外径を有し、
前記第2の円弧状部分は、内径及び外径を有し、
前記第1の円弧状部分の前記内径は、前記第2の円弧状部分の前記内径よりも大きく、前記第2の円弧状部分の前記外径よりも小さい、ガス分配プレート。
【請求項9】
請求項6に記載のガス分配プレートであって、
前記C個の円周部分のうちの第1の円周部分の前記第2の円弧状部分は、前記C個の円周部分のうちの前記第1の円周部分の前記第1の円弧状部分の下方にあり、
前記C個の円周部分のうちの前記第1の円周部分の前記第2の円弧状部分は、ガス貫通孔を取り囲むプレナムを画定するスロットを含み、
前記スロットは、前記C個の円周部分のうちの前記第1の円周部分の前記第2の円弧状部分から延出する、前記第2の円弧状部分の片持ち部分上に位置する、ガス分配プレート。
【請求項10】
請求項9に記載のガス分配プレートであって、前記C個の円周部分のうちの第2の円周部分の第1の円弧状部分上にガス貫通孔を更に備え、
前記C個の円周部分のうちの前記第2の円周部分の前記第1の円弧状部分の前記ガス貫通孔は、組み立てられたときに、前記C個の円周部分のうちの前記第1の円周部分の前記第2の円弧状部分の前記ガス貫通孔に整列する、ガス分配プレート。
【請求項11】
請求項1に記載のガス分配プレートであって、前記外側リング、前記N個の内側リング、及び前記中心部分は、RF透過性の材料で作製されている、ガス分配プレート。
【請求項12】
請求項1に記載のガス分配プレートであって、前記外側リング、前記N個の内側リング、及び前記中心部分は、アルミナで作製されている、ガス分配プレート。
【請求項13】
請求項1に記載のガス分配プレートであって、前記外側リング、前記N個の内側リング、及び前記中心部分は、窒化アルミニウムで作製されている、ガス分配プレート。
【請求項14】
請求項1に記載のガス分配プレートであって、
前記外側リングは、アルミナで作製され、
前記N個の内側リング及び前記中心部分は、窒化アルミニウムで作製されている、ガス分配プレート。
【請求項15】
請求項1に記載のガス分配プレートであって、前記外側リング、前記N個の内側リング、及び前記中心部分のインターフェース面が研磨されている、ガス分配プレート。
【請求項16】
ガス分配アセンブリであって、
上部プレートと、
請求項1に記載のガス分配プレートと、を備え、
前記上部プレートは前記ガス分配プレート上に配置され、
前記N個の内側リングのうちの1つ以上の孔へのガスの通過のためのギャップが、前記上部プレートと前記ガス分配プレートとの間に存在する、ガス分配アセンブリ。
【請求項17】
基板処理システムであって、
基板支持体を含む処理チャンバと、
前記処理チャンバの外側に配置されたコイルと、
前記処理チャンバと前記コイルとの間に配置された請求項1に記載のガス分配プレートと、を備える基板処理システム。
【請求項18】
請求項17に記載の基板処理システムであって、前記N個の内側リングのうちの少なくとも1つは、複数の貫通孔を含む、基板処理システム。
【請求項19】
請求項17に記載の基板処理システムであって、N=2である、基板処理システム。
【請求項20】
請求項17に記載の基板処理システムであって、
前記N個の内側リングは、C個の円周部分を含み、Cは、1よりも大きい整数であり、
前記C個の円周部分の各々は、第1の円弧状部分及び第2の円弧状部分を有する本体を含み、
前記第1の円弧状部分は、前記第2の円弧状部分に対して、半径方向及び円周方向にオフセットされている、基板処理システム。
【請求項21】
請求項20に記載の基板処理システムであって、C=2である、基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月28日に出願された米国仮特許出願第62/966,816号の利益を主張する。上記で参照された出願の開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板処理システムに関し、より具体的には、基板処理システム用の半径方向かつ円周方向に分割されたガス分配プレートに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供される「背景技術」の記載は、本開示の背景を全般的に提示することを目的としている。本明細書の「背景技術」に記載されている範囲における、本明細書にて名前を挙げた発明者の業績、並びに、出願時点で先行技術と見なされないかも知れない本明細書の態様は、明示的にも暗黙的にも本開示に対する先行技術として認められていない。
【0004】
基板処理システムを使用して、半導体ウェハーなどの基板上の膜をエッチングする場合がある。基板処理システムは、典型的には、処理チャンバ、ガス分配装置、及び基板支持体を含む。処理中、基板は、基板支持体上に配置される。様々なガス混合物が処理チャンバ内に導入される場合があり、無線周波数(RF)プラズマを使用して化学反応を活性化させる場合がある。
【0005】
現在の微小電気機械(MEM)プロセスは、トランス結合プラズマ(TCP)を使用する基板処理システムにおいて実施される場合がある。これらの基板処理システムでは、1つ以上のコイルがチャンバの外側に配置される。コイルとチャンバとの間に窓が配置される。ガス混合物がチャンバに供給される。コイルにRF電力が供給され、それにより磁場が発生し、チャンバ内でRFプラズマが発生し維持される。
【0006】
プラズマ処理は、窓の破損をもたらす可能性がある、導入される大きな熱勾配に起因して、電力が制限される。窓は、低い誘電損失特性を有する不活性でRF透過性の材料で作製されなければならない。加えて、窓は、典型的なエッチング化学物質(例えば、フッ素、塩素などのハロゲン種を含むガス混合物)に反応して腐食することがあってはならない。窓はまた、熱サイクル及び/又は圧力サイクルに反応して望ましくない副生成物を脱ガスさせてはならない。
【0007】
上記の判定基準を想定すれば、窓用の材料選択は、一般に、酸化物セラミックス、石英、及びいくつかの窒化物セラミックスに限定される。酸化物セラミックスに対する否定的側面は、比較的高い熱膨張係数と合わさった高い断熱特性を含む。酸化物セラミックスが過酷な熱勾配及び/又は衝撃を受けると、破滅的な破損を被る傾向がある。酸化物セラミックスと比較すると、石英は、低い熱膨張係数(CTE)に起因して、より高い寸法安定性を有する。しかしながら、石英はシリコンベースであり、したがって非常に急速に腐食し、それにより、石英を使用すると費用が非常に高くなる。窒化アルミニウムは充分な性能を提供するが、費用が極めて高く、必要とされる大口径ブランクを生産できる供給元は比較的少ない。
【発明の概要】
【0008】
基板処理システム用のガス分配プレートは、その半径方向内側表面上に階段状インターフェースを含む外側リングと、N個の内側リングであって、Nはゼロよりも大きい整数である、N個の内側リングとを含む。N個の内側リングのうちの少なくとも1つは、円周方向に分割され、内側階段状インターフェース及び外側階段状インターフェースを含む。N個の内側リングのうちの半径方向外側にある内側リングの外側階段状インターフェースが、外側リングの内側階段状インターフェース上に載置され、それと嵌合するように構成されている。中心部分が、その半径方向外側表面上に外側階段状インターフェースを含み、外側階段状インターフェースは、N個の内側リングのうちの半径方向内側にある内側リングの内側階段状インターフェース上に載置され、内側階段状インターフェースと嵌合するように構成されている。
【0009】
他の特徴では、N個の内側リングのうちの少なくとも1つは、複数のガス貫通孔を含む。N個の内側リングの各々は、C個の円周部分を含み、Cは1よりも大きい整数である。C個の円周部分の各々は、第1の円弧状部分及び第2の円弧状部分を有する本体を含む。第1の円弧状部分は、第2の円弧状部分に対して、半径方向及び円周方向にオフセットされている。
【0010】
他の特徴では、第1の円弧状部分は、内径及び外径を有する。第2の円弧状部分は、内径及び外径を有する。第1の円弧状部分の内径は、第2の円弧状部分の内径よりも大きく、第2の円弧状部分の外径よりも小さい。外側リング、N個の内側リング、及び中心部分は、RF透過性の材料で作製されている。
【0011】
他の特徴では、外側リング、N個の内側リング、及び中心部分は、アルミナで作製されている。他の特徴では、外側リング、N個の内側リング、及び中心部分は、窒化アルミニウムで作製されている。他の特徴では、外側リングはアルミナで作製され、N個の内側リング、及び中心部分は、窒化アルミニウムで作製されている。
【0012】
他の特徴では、外側リング、N個の内側リング、及び中心部分のインターフェース面が研磨されている。他の特徴では、C個の円周部分のうちの第1の円周部分の第2の円弧状部分は、C個の円周部分のうちの第1の円周部分の第1の円弧状部分の下方にある。C個の円周部分のうちの第1の円周部分の第2の円弧状部分は、ガス貫通孔を取り囲むプレナムを画定するスロットを含む。スロットは、C個の円周部分のうちの第1の円周部分の第2の円弧状部分から延出する、第2の円弧状部分の片持ち部分上に位置する。
【0013】
他の特徴では、ガス分配プレートは、C個の円周部分のうちの第2の円周部分の第1の円弧状部分上にガス貫通孔を更に含み、C個の円周部分のうちの第2の円周部分の第1の円弧状部分のガス貫通孔は、組み立てられたときに、C個の円周部分のうちの第1の円周部分の第2の円弧状部分のガス貫通孔に整列する。
【0014】
他の特徴では、一緒に入れ子になったとき、外側リング、N個の内側リング、及び中心部分は、平坦な上側表面及び下側表面を画定する。
【0015】
基板処理システムは、基板支持体を含む処理チャンバを含む。処理チャンバの外側にコイルが配置される。ガス分配プレートは、処理チャンバとコイルとの間に配置されている。
【0016】
他の特徴では、N個の内側リングのうちの少なくとも1つは、複数の貫通孔を含む。N個の内側リングの各々は、C個の円周部分を含み、Cは1よりも大きい整数である。C個の円周部分の各々は、第1の円弧状部分及び第2の円弧状部分を有する本体を含み、第1の円弧状部分は、第2の円弧状部分に対して、半径方向及び円周方向にオフセットされている。
【0017】
他の特徴では、ガス分配アセンブリが設けられ、これは上部プレート及びガス分配プレートを含む。上部プレートは、ガス分配プレート上に配置されている。N個の内側リングのうちの1つ以上の孔へのガスの通過のためのギャップが、上部プレートとガス分配プレートとの間に存在する。
【0018】
本開示の適用可能な更なる領域が、「発明を実施するための形態」、「特許請求の範囲」、及び図面から明らかとなるであろう。「発明を実施するための形態」及び具体例は、例示のみを目的としており、開示の範囲を限定することを意図していない。
【0019】
本開示は、詳細な説明及び添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本開示によるガス分配アセンブリを含む基板処理システムの一例の機能ブロック図である。
【0021】
図2図2は、本開示による、階段状外側リング及び1つ以上の分割された階段状内側リングを含む半径方向及び円周方向に分割されたガス分配プレートの斜視断面図である。
【0022】
図3A図3Aは、本開示による、外側リングの上側表面の斜視図である。
【0023】
図3B図3Bは、本開示による、外側リングの側面断面図である。
【0024】
図4A図4Aは、本開示による、第1の分割された階段状内側リングの第1の部分の上側表面の斜視図である。
【0025】
図4B図4Bは、本開示による、第1の分割された階段状内側リングの第2の部分の上側表面の斜視図である。
【0026】
図4C図4Cは、本開示による、第1の分割された階段状内側リングの第1の部分の側面断面図である。
【0027】
図5A図5Aは、本開示による、第2の分割された階段状内側リングの第1の部分の上側表面の斜視図である。
【0028】
図5B図5Bは、本開示による、第2の分割された階段状内側リングの第1の部分の下側表面の斜視図である。
【0029】
図5C図5Cは、本開示による、第2の分割された階段状内側リングの第1の部分の側面断面図である。
【0030】
図6A図6Aは、本開示による、第3の分割された階段状内側リングの第1の部分の上側表面の斜視図である。
【0031】
図6B図6Bは、本開示による、第3の分割された階段状内側リングの第1の部分の下側表面の斜視図である。
【0032】
図7A図7Aは、本開示による、第4の階段状内側リングの第1の部分の上側表面の斜視図である。
【0033】
図7B図7Bは、本開示による、第4の階段状内側リングの第1の部分の下側表面の斜視図である。
【0034】
図8図8は、本開示による、上部プレート及び分割されたガス分配プレートを含む別のガス分配アセンブリの斜視断面図を示す。
【0035】
図9図9は、図8の分割されたガス分配プレートの斜視断面図を示す。
【0036】
図10図10は、ガスフロー、及びプレートと、隣接し互いに噛み合っているリングセグメントとの間のギャップを示す、ガス分配アセンブリの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図面において、参照番号は、類似の及び/又は同一の要素を識別するために再利用される場合がある。
【0038】
現在、微小電気機械(MEM)装置は、高ガスフロー及び高圧、高RF電力、及び高プロセス温度を伴う高エッチングレートプロセスを使用して生産されている。高エッチングレートを維持しながら、許容可能な均一性を実現するために、MEMSプロセスは、ガス分布の位置及び均一性に非常に敏感である。その結果、いくつかのMEM装置は、基板処理システムをTCPプラズマと共に使用して生産される。
【0039】
本明細書に記述される実施例は、上部プレートと、分割されたガス分配プレートとを含むガス分配アセンブリを含む。上部プレート及びガス分配プレートは、RF透過性の窓として機能して、生成されたRF信号が、窓を通過して処理チャンバに至ることを可能にしている。本開示による分割されたガス分配プレートの各々は、リングアセンブリであり、複数のリングを含み、各リングは、1つ以上のリングセグメントを含んでよい。様々なリングアセンブリの例を、図1図10に示す。リングの少なくともいくつかは、半径方向及び/又は円周方向に分割されてよい。リングセグメントは、連続的につながるステップを使用して、外側から噛み合っている。いくつかの実施例では、リングセグメントは、粒子生成を減らすため、及び間接的な経路を構築して不確定なガスフローを阻止するために、研磨された接触面を有する。いくつかの実施例では、リングセグメントはアルミナ(Al23)から作製されているが、他の材料、例えば窒化アルミニウム(AlN)を使用することができる。分割されたガス分配プレートは、類似材料で作製された分割されていないガス分配プレートと比較して、より高い温度及びより高い電力設定で使用することができ、より高い圧力を受けることができる。リングセグメントの間にギャップが存在して、膨張を許容し、応力を低減させ、リングセグメントへの損傷を防止する。
【0040】
AlNにより形成されたリングセグメントは、Al23により形成されたリングセグメントと比較して、改善された熱伝導率及び熱膨張係数を有する。その結果、AlNで形成されたリングセグメントを含む対応するリングアセンブリは、より小さい温度勾配を有し、所与の動作温度勾配に対して、より小さい応力を受け、したがってより耐久性のある構造を有する。いくつかの実施形態では、リングアセンブリのリングセグメントのうちの1つ以上は、Al23により形成され、1つ以上の他のリングセグメントは、AlNにより形成される。一実施形態では、半径方向の最も外側の1つ以上のリングセグメントは、Al23により形成され、半径方向の最も内側の1つ以上のリングセグメントは、AlNにより形成される。
【0041】
ガス分配プレートを、半径方向及び円周方向に分割することは、クラックが発生する可能性がある応力ポイントを形成することとは対照的に、連続的につながるセグメント間に膨張用のギャップをもたらし、熱エネルギーを分流させ移動させる。セグメントの半径方向部分は、ガス供給ゾーンを制御するための貫通孔のためのランディングを含んでよく、一方で、最も外側のリングの最も外側のリングセグメントは、真空完全性のためのOリング封止用の溝を含んでよい。
【0042】
ここで図1を参照すると、本開示による基板処理システム110の一実施例が示される。基板処理システム110は、コイル駆動回路111を含む。図示するように、コイル駆動回路111は、RF電源112及び同調回路113を含む。同調回路113は、1つ以上の誘導トランス結合プラズマ(TCP)コイル116に直接接続されてよい。代わりに、同調回路113は、任意選択の反転回路115により、TCPコイル116のうちの1つ以上に接続されてよい。
【0043】
同調回路113は、RF電源112の出力を所望の周波数及び/又は所望の位相に同調させ、TCPコイル116のインピーダンスに整合させ、TCPコイル116間で電力を分割する。反転回路115は、TCPコイル116のうちの1つ以上を通る電流の極性を選択的に切り替えるために使用される。いくつかの実施例では、コイル駆動回路111は、TCPコイル116を駆動するためのトランス結合容量性同調(TCCT)整合ネットワークを実装している。例えば、TCCT整合ネットワークをスイッチトキャパシタと共に使用する処理チャンバが、同一出願人による米国特許第9,515,633号に示され記載されており、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0044】
処理チャンバ128の上部124が、上部プレート123と、ガス貫通孔(下の図2に示される)を有する分割されたガス分配プレート120とを含む、ガス分配アセンブリ121を含む。ガス分配アセンブリ121の半径方向の最も外側の部分が、図示するように、チャンバ壁の一部、又はリテーナ125により支持されてよい。ガスプレナム127が、上部プレート123にある分割されたガス分配プレート120の上方に配置されている。上部プレート123及びガス分配プレート120は、TCPコイル116と処理チャンバ128との間に配置されている。いくつかの実施例では、ガスノズル、ガスバルブ、分配プレート、導管などを使用して、プロセスガスがガスプレナム127に供給される。処理チャンバ128は、基板支持体(又はペデスタル)132を更に備える。基板支持体132は、静電チャック(ESC)、又は機械式チャック若しくは他のタイプのチャックを含んでよい。
【0045】
プロセスガスが、ガス分配アセンブリ121を介して処理チャンバ128に供給される。プレナム127において受け取ったガスが、分割されたガス分配プレート120における孔に分配される。RF電力が、TCPコイル116に供給される。処理チャンバ128内部でプラズマ140が発生され、維持される。例えば、TCPコイル116により生成された磁場が、上部プレート123を通って処理チャンバ128内へと進む。磁場は、処理チャンバ128内のガス分子を励起させて、プラズマ140を生成させる。プラズマ140を使用して、基板134の露出した表面を処理(エッチング、堆積、クリーニングなど)してよい。RF電源150及びバイアス整合回路152を使用して、作業中に基板支持体132にバイアスを印加してイオンエネルギーを制御してよい。例えば、TCPコイル116は、半径方向に配置された内側コイルと、内側コイルを取り囲む、半径方向に配置された外側コイルとを含んでよい。
【0046】
ガス供給システム156を使用して、処理チャンバ128にプロセスガス混合物を供給してよい。ガス供給システム156は、プロセス及び不活性ガス源157(例えば、堆積ガス、エッチングガス、キャリアガス、不活性ガスなどを含む)、バルブ及びマスフローコントローラなどのガス計量システム158(例えば、マスフローコントローラ(MFC))、並びにマニホールド159を含んでよい。例えば、ガス計量システム158及びマニホールド159は、エッチング中に、エッチングガス混合物を処理チャンバ128に供給するように構成されてよい。
【0047】
ヒーター/クーラー164を使用して、基板支持体132を所定の温度に加熱/冷却してよい。排気システム165は、パージ又は排気によって処理チャンバ128から反応物を除去するためのバルブ166及びポンプ167を含む。
【0048】
コントローラ154を使用して、エッチングプロセスを制御してよい。コントローラ154は、システムパラメータを監視し、ガス混合物の供給、プラズマの発生、維持及び消滅、反応物の除去などを制御する。加えて、コントローラ154は、コイル駆動回路111、RF電源150、及びバイアス整合回路152などの、様々な態様を制御してよい。いくつかの実施例では、基板支持体132は、温度調整可能である。一例では、温度コントローラ168は、基板支持体132内に配置された、熱制御要素(TCE)などの複数の加熱要素170に接続されてよい。温度コントローラ168を使用して、複数の加熱要素170を制御して、基板支持体132及び基板134の温度を制御してよい。
【0049】
ここで図2を参照すると、分割されたガス分配プレート200は、複数の入れ子になったリングセグメントを含み、その少なくともいくつかは、半径方向及び/又は円周方向に分割されている。分割されたガス分配プレート200は、図1の分割されたガス分配プレート120を置換してよい。分割されたガス分配プレート200は、外側リング210を含む。いくつかの実施例では、外側リング210は、外側リング210の下側表面の周りに部分的に又は完全に延びる環状スロット214を含む。1つ以上の追加の環状スロット214を、外側リング210の下側表面上で間隔を置いた半径方向位置に配置することができる。環状スロットを含めてよく、隣接する領域における熱エネルギーの伝達を制限する熱チョークとして機能させてよい。いくつかの実施形態では、図8図10の実施形態のように、環状スロット214は含まれない。
【0050】
いくつかの実施例では、1つ以上の環状スロット(又は溝)215が、外側リング210の上側表面上に位置することができる。スロット215は、Oリングを含んで、分割されたガス分配プレート200と、図1の上部プレート123などの上部プレートとの間に、真空気密封止を提供してよい。
【0051】
第1の階段状内側リング220が、外側リング210の半径方向内側に配置され、外側リング210と嵌合する。第1の階段状内側リング220は、外側リングとの間に画定される階段状インターフェース222上に載置される。いくつかの実施形態では、第1の階段状内側リング220は、226で示すように円周方向に2つ以上の部分に分割される。
【0052】
第2の階段状内側リング230が、第1の階段状内側リング220の半径方向内側に配置され、第1の階段状内側リング220と嵌合する。第2の階段状内側リング230は、第1の階段状内側リングとの間の階段状インターフェース232上に載置される。いくつかの実施形態では、第2の階段状内側リング230は、236で示すように円周方向に2つ以上の部分に分割される。第2の階段状内側リング230は、その上側表面から下側表面まで延びる1つ以上のガス貫通孔238を含んでよい。
【0053】
第3階段状内側リング240が、第2の階段状内側リング230の半径方向内側に配置され、第2の階段状内側リング230と嵌合する。第3の階段状内側リング240は、第2の階段状内側リングとの間の階段状インターフェース242上に載置される。いくつかの実施形態では、第3の階段状内側リング240は、246で示すように円周方向に2つ以上の部分に分割される。
【0054】
中心部分250が、第3の階段状内側リング240の半径方向内側に配置され、第3の階段状内側リング240と嵌合する。中心部分250は、第3の階段状内側リングとの間の階段状インターフェース252上に載置される。中心部分250は、円周方向に分割されていない。単一の階段状外側リング、3つの階段状内側リング、及び中心部分が示されているが、追加の又はより少ない階段状内側リングが使用されてよい。第2の階段状内側リング230は、ガス貫通孔238を含むように示される一方で、第2の階段状内側リング230は、追加の貫通孔を含んでよい。いくつかの実施例では、第1の階段状内側リング、第3の階段状内側リング、及び/又は中心部分もまた、ガス貫通孔(図示せず)を含んでよい。いくつかの実施例では、分割されたガス分配プレート200の上側表面及び下側表面は、(環状スロット214を除いて)概ね平坦である。
【0055】
分割されたガス分配プレート200は、3つの内側リングを含むように示されているが、ガス分配プレート200は1つ以上の内側リングを含んでよい。分割されたガス分配プレート200は、Al23及び/又はAlNにより形成されてよい。一実施形態では、分割されたガス分配プレート200は、Al23により形成されてよい。別の実施形態では、分割されたガス分配プレート200は、AlNにより形成されてよい。更に別の実施形態では、リング210は、Al23により形成され、内側リング(例えば、リング220、230、240)のうちの1つ以上と、中心部分250とは、AlNにより形成される。
【0056】
ここで図3A及び図3Bを参照すると、図2の外側リング210が更に詳細に示される。外側リング210は、平坦な環状リング形状を有する環状体308を含む。環状体308は、上側表面310及び下側表面314を含む。外側リング210は、上側表面310上に位置する環状スロット320を更に含む。外側リング210の半径方向内側表面が、階段状インターフェース330を画定する。換言すれば、下側表面314は、上側表面310に対して半径方向内向きに延びて階段を形成している。いくつかの実施例では、第1の階段状内側リング220は、階段状インターフェース330上に載置される。
【0057】
ここで図4A図4Cを参照すると、図2の第1の階段状内側リング220が更に詳細に示される。図4Aでは、第1の階段状内側リング220は、半径方向及び円周方向の両方に分割されている。第1の階段状内側リング220は、2つの円周方向セグメントを有するように示されているが、追加の円周方向セグメントを使用してよい。
【0058】
第1の階段状内側リング220は、上側表面410及び下側表面414を有する本体408を含む第1の円周部分406を含む。本体408は、第2の円弧状部分418に対して回転する第1の円弧状部分416を含む。換言すれば、第1の円弧状部分416及び第2の円弧状部分418は、同程度であるがオフセットされた円弧状長さを有する。いくつかの実施例では、第1の円弧状部分416及び第2の円弧状部分418は、同程度の半径方向厚さを有する。いくつかの実施例では、第1の円弧状部分416の内径は、第2の円弧状部分418の内径よりも大きく、第2の円弧状部分418の外径よりも小さい。いくつかの実施例では、第1の円弧状部分416及び第2の円弧状部分418は、単一のモノリシック材料で作製されている。他の実施例では、第1の円弧状部分416及び第2の円弧状部分418は、別々に作製され、次いで一緒に取り付けられるか又は接合される。
【0059】
第1の円弧状部分416の端部422は、第2の円弧状部分418の対応する端部423に対して円周方向に延出している。同様に、第2の円弧状部分418の端部426は、第1の円弧状部分416の対応する端部427に対して円周方向に延出している。図4Bでは、第1の階段状内側リング220は、第1の円周部分406に類似した第2の円周部分440を含む。第1の円弧状部分416及び第2の円弧状部分418は、内側及び外側階段状インターフェース430を画定する。
【0060】
ここで図5A図5Cを参照すると、図2の第2の階段状内側リング230が更に詳細に示される。図5Aでは、第2の階段状内側リング230は、半径方向及び円周方向の両方に分割されている。第2の階段状内側リング230は、2つの円周方向セグメントを有するように示されているが、追加の円周方向セグメントを使用してよい。
【0061】
第2の階段状内側リング230は、上側表面510及び下側表面514を有する本体508を含む第1の円周部分506を含む。本体508は、第2の円弧状部分518に対して回転する第1の円弧状部分516を画定する。換言すれば、第1の円弧状部分516及び第2の円弧状部分518は、同程度であるがオフセットされた円弧状長さを有する。いくつかの実施例では、第1の円弧状部分516及び第2の円弧状部分518は、同程度の半径方向厚さを有する。いくつかの実施例では、第1の円弧状部分516の内径は、第2の円弧状部分518の内径よりも大きく、第2の円弧状部分518の外径よりも小さい。
【0062】
第2の円弧状部分518の端部522は、第1の円弧状部分516の対応する端部523に対して円周方向に延出している。同様に、第1の円弧状部分516の端部526は、第2の円弧状部分518の対応する端部527に対して円周方向に延出している。第1の円弧状部分516及び第2の円弧状部分518は、内側及び外側階段状インターフェース530を画定する。
【0063】
第2の階段状内側リング230は、複数の貫通孔532を含む。端部522及び526(その片持ち部分)の一方又は両方は、貫通孔532のうちの1つ以上の周りにプレナムを画定するスロット528を含んでよい。図5Bでは、第2の階段状内側リング230は、第1の円周部分506に類似した第2の円周部分540(反転して示される)を含む。
【0064】
ここで図6A図6Bを参照すると、図2の第3の階段状内側リング240が更に詳細に示される。図6Aでは、第3の階段状内側リング240は、半径方向及び円周方向の両方に分割されている。第3の階段状内側リング240は、2つの円周方向セグメントを有するように示されているが、追加の円周方向セグメントを使用してよい。
【0065】
第3の階段状内側リング240は、上側表面610及び下側表面614を有する本体608を含む第1の円周部分606を含む。本体608は、第2の円弧状部分618に対して回転する第1の円弧状部分616を画定する。
【0066】
本体608は、第2の円弧状部分618に対して回転する第1の円弧状部分616を画定する。換言すれば、第1の円弧状部分616及び第2の円弧状部分618は、同程度であるがオフセットされた円弧状長さを有する。いくつかの実施例では、第1の円弧状部分616及び第2の円弧状部分618は、同程度の半径方向厚さを有する。いくつかの実施例では、第1の円弧状部分616の内径は、第2の円弧状部分618の内径よりも大きく、第2の円弧状部分618の外径よりも小さい。
【0067】
第1の円弧状部分616の端部622は、第2の円弧状部分618の対応する端部623に対して円周方向に延出している。第2の円弧状部分618の端部626は、第1の円弧状部分616の対応する端部627に対して円周方向に延出している。図6Bでは、第2の階段状内側リング230は、第1の円周部分606に類似した第2の円周部分640(反転して示される)を含む。第1の円弧状部分616及び第2の円弧状部分618は、内側及び外側階段状インターフェース630を画定する。
【0068】
ここで図7A図7Bを参照すると、図2の中心部分250が更に詳細に示される。中心部分250は、上側表面710及び下側表面714を有する本体708を含む。本体708の上部722は、円筒形状を有し、第1の直径を有する。本体708の下部724は、円筒形状を有し、第1の直径より小さい第2の直径を有する。
【0069】
図8は、上部プレート802と分割されたガス分配プレート804とを含むガス分配アセンブリ800を示す。ガス分配アセンブリ800は、図1のガス分配アセンブリ121を置換してよい。上部プレート802は、中心孔808を有する、ガスを受け取るための中心に位置するプレナム806を含む。プレナム806にて受け取られたガスが、中心孔808を通して導かれ、上部プレート802と分割されたガス分配プレート804との間で分配されて、分割されたガス分配プレート804の1つ以上のリング810に至る。
【0070】
リング810は、支持リング820、1つ以上の内側(又は中間)リング(例として、3つの中間リング822、824、826が示される)、及び中心部分(又は階段状円形プラグ)828を含んでよい。階段状インターフェース830、832、834が、リング820、822、824、826の間に存在する。階段状インターフェース836が、リング826と中心部分828との間に存在する。リング820はリング822を支持し、次いでリング822はリング824を支持する。リング824はリング826を支持し、次いでリング826は中心部分828を支持する。中間リングの各々は分割されてよく、リングセグメントを含んでよい。リング822、824、826に対する例示的なリングセグメント840、842、844、846、848、850、852、854が示される。図8では、リングセグメント840、842、844、846、848、850、852、854が、上部プレート802を通して見えるように示されているが、実際は、上部プレート802を通して見えない。
【0071】
リング820は、環状スロット(例えば、図2のスロット214)を含まないが、Oリング(図示せず)を内部に配置することができる環状溝860を含んで、上部プレート802と、分割されたガス分配プレート804との間に、環状真空封止が提供される。
【0072】
上部プレート802及び分割されたガス分配プレート804は、Al23及び/又は(AlN)により形成されてよい)。一実施形態では、上部プレート802及び分割されたガス分配プレート804は、Al23により形成される。他の実施形態では、上部プレート802及び分割されたガス分配プレート804は、AlNにより形成される。更に別の実施形態では、上部プレート802及びリング820は、Al23により形成され、1つ以上の中間リング(例えば、リング822、824、826)及び中心部分828は、AlNにより形成される。
【0073】
ガス分配アセンブリ800は、図9図10に関して更に後述する。図9は、分割されたガス分配プレート804を示す。分割されたガス分配プレート804は、リング820、822、824、826及び中心部分828を含む。リング820は、環状溝860を含む。リング820、822、824、826は、リングセグメント、例えばリングセグメント840、842、844、846、848、850、852、854、を含む。円形状インターフェース900、902、904が、リング820、822、824、826の間に示される。円形状インターフェース906は、リング826と中心部分828との間に示される。半径方向に延びるインターフェース910、912、914、916、918、920、922が、リング822、824、826のリングセグメント間に示される。
【0074】
中間リング824のリングセグメント848、850及び他のリングセグメントは、ガス孔920を含んでよく、そのいくつかが示される。中間リング824のリングセグメントがガス孔を有するように示されているが、リング822、826のリングセグメントがガス孔を含んでよい。ガスは、孔で受け取られて、対応する処理チャンバ内へと通過する。
【0075】
図10は、ガスフロー、及びプレート802、804と互いに噛み合っているリングセグメントとの間のギャップを示す、ガス分配アセンブリ800を示す。上部プレート802は、プレナム806及び中心孔808を含む。分割されたガス分配プレート804は、リング820、822、824、826及び中心部分828を含み、これらは、環状インターフェース830、832、834、836を含む。
【0076】
(i)上部プレート802と、(ii)リング824、826及び中心部分828との間に、僅かなギャップG1が存在する。ギャップG1は、上部プレート802の円形の凹部分を介して設けられてよい。加えて又は代わりに、ギャップG1を付与するために、リング824、826及び中心部分828は、リング820、822より短くてよい。プレート802、804の間にあって、ギャップG1に関連付けられた領域は、中心部分828、リング826、及びリング824の一部分を横切って横方向に半径方向内向きに、そして上向きに孔1000まで延びてよい。
【0077】
示した例では、ガスは、プレナム806で受け取られ、孔808を垂直に通過し、ギャップG1を半径方向に分散してリング824における孔(例えば、孔1000、又は図9の孔920)に至り、孔を垂直に通過して処理チャンバ内に入る。これを、矢印1002で示す。一実施形態では、ギャップG1は、0.011インチ(すなわち約0.28ミリメートル)と0.023インチ(すなわち約0.58ミリメートル)の間にある。別の実施形態では、ギャップG1は、0.017インチ(すなわち、約0.43ミリメートル)に等しいか又は約0.017インチ(すなわち、約0.43ミリメートル)である。示した例では、リング822と上部プレート802との間にはギャップが存在しないが、リング822がガス孔を含む場合、ギャップが存在してよい。
【0078】
環状インターフェース830、832、834、836は、それぞれ、上部の垂直部分1010、1012、1014、1016、中心の水平部分1020、1022、1024、1026、及び下部の垂直部分1030、1032、1034、1036を含む。上部の垂直部分1010、1012、1014、1016は、図10ではG2と呼ばれる同じ大きさのギャップを有してよい。下部の垂直部分1030、1032、1034、1036は、図10ではG3と呼ばれる同じ大きさのギャップを有してよい。G2及びG3は、インターフェース824に対してのみ示されているが、インターフェース830、832、及び836の垂直部分のギャップもG2及びG3と称されてよい。一実施形態では、ギャップG2、G3は各々が、0.010インチ(すなわち、約0.25ミリメートル)と0.025インチ(すなわち、約0.61ミリメートル)の間にある。別の実施形態では、ギャップG2及びG3は、0.013インチ(すなわち、約0.33ミリメートル)に等しいか又は約0.013インチ(すなわち、約0.33ミリメートル)である。垂直部分1010、1012、1014、1016、1030、1032、1034、1036のギャップG2及びG3は、リング820、822、824、826、及び中心部分828の膨張を考慮して設けられている。中心の水平部分1020、1022、1024、1026の各々は、対応する中心部分又は内側リングが、対応する外側リング上に載置されているので、ギャップを有しない。
【0079】
一実施形態では、環状インターフェース830、832、834、836と関連付けられた、リング820、822、824、826、及び中心部分828の接合面は、ガス封止を提供するために研磨されている。ガス封止は、ガスが、リング820、822、824、826の間、及び/又はリング826と中心部分828との間を通ることを防止するために設けられている。
【0080】
分割されたガス分配プレートは、石英などの材料、又は窒化物セラミックスなどの高価な材料で妥協することに頼ることなく、極度の熱入力に起因する破損に対して耐性を有する。分割されたガス分配プレートは、受動的で保守が不要な装置であり、従来の方法により製作できる。酸化アルミニウムで作製された分割されたガス分配プレートを使用することにより、初期費用が削減され、加えて、過酷な処理条件下でのガス分配プレートの寿命が延びる。窒化アルミニウムで作製された分割されたガス分配プレートは、耐久性の改善をもたらす。
【0081】
前述の説明は本質的に単なる例示に過ぎず、本開示、その適用又は使用を限定することは決して意図されていない。本開示の広範な教示は、様々な形で実現され得る。したがって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、及び以下の特許請求の範囲を検討すると、他の修正形態が明らかになるであろうから、本開示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。方法における1つ以上の工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(又は同時に)実行されてよいことを理解すべきである。更に、実施形態の各々は、特定の特徴を有するものとして上述されているが、本開示の任意の実施形態に関して記載されているこれらの特徴のうちのいずれか1つ以上を、他の実施形態のいずれかに実装することができ、及び/又は、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることができ、その組み合わせは、たとえ明示的に説明されていなくてよい。換言すれば、記載した実施形態は相互排他的ではなく、1つ以上の実施形態の順序を互いに並べ換えることは、本開示の範囲内に留まる。
【0082】
要素間の空間的及び機能的関係(例えば、モジュール間、回路要素間、半導体層間など)は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「隣の」、「上の」、「上方の」、「下方の」、「配置された」を含む様々な用語を使用して説明される。「直接」であると明示的に記載されていない限り、上述した開示に、第1の要素と第2の要素との間の関係が記載されている場合、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係であり得るが、1つ以上の介在要素が(空間的又は機能的のいずれかで)第1の要素と第2の要素との間に存在する間接的な関係でもあり得る。本明細書で使用する場合、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、並びに、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という語句は、非排他的論理和ORを使用した論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、及びCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0083】
いくつかの実現形態では、コントローラは、上述した実施例の一部であってよいシステムの一部である。このようなシステムは、処理ツール(単数又は複数)、チャンバ(単数又は複数)、処理用プラットフォーム(単数又は複数)、及び/又は特定の処理構成要素(ウェハーペデスタル、ガスフローシステムなど)を含む、半導体処理装置を備えることができる。これらシステムは、半導体ウェハー又は基板の処理前、処理中、及び処理後の作業を制御するための電子機器に組み込まれてよい。電子機器は、システム(単数又は複数)の様々な構成要素又は副部品を制御してよい「コントローラ」と呼ばれてよい。コントローラは、処理要件及び/又はシステムのタイプに応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送達設定、位置及び作業設定、特定のシステムと接続しているか又はインターフェースしているツール及び他の搬送ツール並びに/又はロードロックに対するウェハーの搬出入、を含む、本明細書に開示されるあらゆるプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0084】
大まかに言って、コントローラは、様々な集積回路、ロジック、メモリ、及び/又はソフトウェアを有し、命令を受信し、命令を発行し、作業を制御し、クリーニング作業を有効にし、エンドポイント測定を有効にするような電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、及び/又は1つ以上のマイクロプロセッサ、又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラ、を含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(又はプログラムファイル)の形態でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを、半導体ウェハー上で若しくは半導体ウェハーに対して、又はシステムに対して実施するための作業パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、作業パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、及び/又はウェハーダイの製作時に、1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアにより定義されるレシピの一部であってよい。
【0085】
いくつかの実現形態では、コントローラは、システムに組み込まれた、システムに結合された、若しくはシステムにネットワーク接続された、又はこれらの組み合わせである、コンピュータの一部であるか、又はそのコンピュータに結合されていてよい。例えば、コントローラは「クラウド」内にあるか、又はファブホストコンピュータシステムの全て若しくは一部であってよく、それによりウェハー処理のリモートアクセスが可能になり得る。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作作業の現在の進行状況を監視し、過去の製作作業の履歴を調査し、複数の製作作業から傾向又は性能の指標を調査して、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理工程を設定するか、又は新しいプロセスを開始してよい。いくつかの実施例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワーク又はインターネットを含んでよいネットワークを経由して、プロセスレシピをシステムに提供することができる。リモートコンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力若しくはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでよく、パラメータ及び/又は設定は次いで、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの実施例では、コントローラは、1つ以上の作業中に実施される各処理工程のためのパラメータを指定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、及びコントローラがインターフェースする又は制御するように構成されているツールのタイプに固有のものであってよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、1つ以上の個別のコントローラを備え、これらが一緒にネットワーク化され、本明細書に記載されるプロセス及び制御などの共通の目的に向けて動作することなどによって分散されてよい。そのような目的のための分散コントローラの例は、遠隔に位置する(例えば、プラットフォームレベルで、又はリモートコンピュータの一部として)1つ以上の集積回路と通信状態にあるチャンバ上の1つ以上の集積回路であってよく、これらが組み合わされてチャンバでのプロセスを制御する。
【0086】
限定するわけではないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバ又はモジュール、堆積チャンバ又はモジュール、スピンリンスチャンバ又はモジュール、金属めっきチャンバ又はモジュール、クリーニングチャンバ又はモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバ又はモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバ又はモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバ又はモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバ又はモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバ又はモジュール、イオン注入チャンバ又はモジュール、トラックチャンバ又はモジュール、及び半導体ウェハーの作製及び/又は製造に関連するか若しくは使用されてよい任意の他の半導体処理システム、を含んでよい。
【0087】
上述したように、ツールにより実施されるプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路又はモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接ツール、隣り合うツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場内のツール位置及び/又はロードポートとの間でウェハー容器を搬出入する材料搬送で使用されるツール、のうちの1つ以上と通信し得る。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
基板処理システム用のガス分配プレートであって、
半径方向内側表面上に階段状インターフェースを含む外側リングと、
N個の内側リングであって、
Nは、ゼロよりも大きい整数であり、
前記N個の内側リングのうちの少なくとも1つは、円周方向に分割され、内側階段状インターフェース及び外側階段状インターフェースを含み、
前記N個の内側リングのうちの半径方向外側にある内側リングの前記外側階段状インターフェースは、前記外側リングの前記内側階段状インターフェース上に載置され、前記内側階段状インターフェースと嵌合するように構成されている、N個の内側リングと、
中心部分であって、前記中心部分の半径方向外側表面上に外側階段状インターフェースを含み、前記外側階段状インターフェースは、前記N個の内側リングのうちの半径方向内側にある内側リングの前記内側階段状インターフェース上に載置され、前記内側階段状インターフェースと嵌合するように構成されている、中心部分と、を備える、ガス分配プレート。
適用例2:
適用例1に記載のガス分配プレートであって、前記N個の内側リングのうちの少なくとも1つは、複数のガス貫通孔を含む、ガス分配プレート。
適用例3:
適用例2に記載のガス分配プレートであって、前記外側リング、前記N個の内側リング、及び前記中心部分は、一緒に入れ子になったときに、平坦な上側表面及び下側表面を画定する、ガス分配プレート。
適用例4:
適用例1に記載のガス分配プレートであって、N=2である、ガス分配プレート。
適用例5:
適用例1に記載のガス分配プレートであって、N=3である、ガス分配プレート。
適用例6:
適用例1に記載のガス分配プレートであって、
前記N個の内側リングは、C個の円周部分を含み、Cは、1よりも大きい整数であり、
前記C個の円周部分の各々は、第1の円弧状部分及び第2の円弧状部分を有する本体を含み、
前記第1の円弧状部分は、前記第2の円弧状部分に対して、半径方向及び円周方向にオフセットされている、ガス分配プレート。
適用例7:
適用例6に記載のガス分配プレートであって、C=2である、ガス分配プレート。
適用例8:
適用例6に記載のガス分配プレートであって、
前記第1の円弧状部分は、内径及び外径を有し、
前記第2の円弧状部分は、内径及び外径を有し、
前記第1の円弧状部分の前記内径は、前記第2の円弧状部分の前記内径よりも大きく、前記第2の円弧状部分の前記外径よりも小さい、ガス分配プレート。
適用例9:
適用例6に記載のガス分配プレートであって、
前記C個の円周部分のうちの第1の円周部分の前記第2の円弧状部分は、前記C個の円周部分のうちの前記第1の円周部分の前記第1の円弧状部分の下方にあり、
前記C個の円周部分のうちの前記第1の円周部分の前記第2の円弧状部分は、ガス貫通孔を取り囲むプレナムを画定するスロットを含み、
前記スロットは、前記C個の円周部分のうちの前記第1の円周部分の前記第2の円弧状部分から延出する、前記第2の円弧状部分の片持ち部分上に位置する、ガス分配プレート。
適用例10:
適用例9に記載のガス分配プレートであって、前記C個の円周部分のうちの第2の円周部分の第1の円弧状部分上にガス貫通孔を更に備え、
前記C個の円周部分のうちの前記第2の円周部分の前記第1の円弧状部分の前記ガス貫通孔は、組み立てられたときに、前記C個の円周部分のうちの前記第1の円周部分の前記第2の円弧状部分の前記ガス貫通孔に整列する、ガス分配プレート。
適用例11:
適用例1に記載のガス分配プレートであって、前記外側リング、前記N個の内側リング、及び前記中心部分は、RF透過性の材料で作製されている、ガス分配プレート。
適用例12:
適用例1に記載のガス分配プレートであって、前記外側リング、前記N個の内側リング、及び前記中心部分は、アルミナで作製されている、ガス分配プレート。
適用例13:
適用例1に記載のガス分配プレートであって、前記外側リング、前記N個の内側リング、及び前記中心部分は、窒化アルミニウムで作製されている、ガス分配プレート。
適用例14:
適用例1に記載のガス分配プレートであって、
前記外側リングは、アルミナで作製され、
前記N個の内側リング及び前記中心部分は、窒化アルミニウムで作製されている、ガス分配プレート。
適用例15:
適用例1に記載のガス分配プレートであって、前記外側リング、前記N個の内側リング、及び前記中心部分のインターフェース面が研磨されている、ガス分配プレート。
適用例16:
ガス分配アセンブリであって、
上部プレートと、
適用例1に記載のガス分配プレートと、を備え、
前記上部プレートは前記ガス分配プレート上に配置され、
前記N個の内側リングのうちの1つ以上の孔へのガスの通過のためのギャップが、前記上部プレートと前記ガス分配プレートとの間に存在する、ガス分配アセンブリ。
適用例17:
基板処理システムであって、
基板支持体を含む処理チャンバと、
前記処理チャンバの外側に配置されたコイルと、
前記処理チャンバと前記コイルとの間に配置された適用例1に記載のガス分配プレートと、を備える基板処理システム。
適用例18:
適用例17に記載の基板処理システムであって、前記N個の内側リングのうちの少なくとも1つは、複数の貫通孔を含む、基板処理システム。
適用例19:
適用例17に記載の基板処理システムであって、N=2である、基板処理システム。
適用例20:
適用例17に記載の基板処理システムであって、
前記N個の内側リングは、C個の円周部分を含み、Cは、1よりも大きい整数であり、
前記C個の円周部分の各々は、第1の円弧状部分及び第2の円弧状部分を有する本体を含み、
前記第1の円弧状部分は、前記第2の円弧状部分に対して、半径方向及び円周方向にオフセットされている、基板処理システム。
適用例21:
適用例20に記載の基板処理システムであって、C=2である、基板処理システム。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10