(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】基板検査装置、基板処理装置、基板検査方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G01N21/956 A
(21)【出願番号】P 2023187913
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2019204944の分割
【原出願日】2019-11-12
【審査請求日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2019038414
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】清冨 晶子
(72)【発明者】
【氏名】保坂 理人
(72)【発明者】
【氏名】西山 直
(72)【発明者】
【氏名】久野 和哉
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-216754(JP,A)
【文献】特開2006-300775(JP,A)
【文献】特開2016-161474(JP,A)
【文献】特開2011-095214(JP,A)
【文献】特開2018-112531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0169869(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
H01L 21/64 - H01L 21/66
G01N 21/00 - G01N 21/74
G01B 11/00 - G01B 11/30
G01M 11/00 - G01M 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被膜が形成されている基板の周縁部の撮像画像から得られる検査画像データと、検査レシピとを記憶するように構成された記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記検査レシピを用いて、前記記憶部に記憶されている前記検査画像データに基づいて、検査対象被膜の前記基板の周縁に沿って延びているエッジである対象エッジを検出するように構成されたエッジ検出部と、
前記基板の理論上の周縁の位置を算出するように構成された周縁算出部と、
前記周縁算出部において得られた前記基板の理論上の周縁の位置データと前記エッジ検出部において得られた前記対象エッジの位置データとに基づいて、前記基板の理論上の周縁と前記対象エッジとの幅を算出するように構成された幅算出部と
を備える
、基板検査装置。
【請求項2】
前記周縁算出部は、基準基板の中心を基準として得られる前記基準基板の理論上の周縁の位置を前記基板の理論上の周縁の位置として算出するように構成されている、請求項
1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記周縁算出部は、
前記基準基板の周縁部の撮像画像から得られる基準画像データに基づいて、前記基準基板上に予め設定された参照位置の位置データを算出する処理と、
前記基板の半径の設計寸法と、前記基準基板の中心から前記参照位置までの距離との差分を算出する処理と、
前記参照位置の位置データと前記差分とに基づいて、前記基準基板の理論上の周縁の位置データを算出する処理とを実行するように構成されている、請求項
2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記周縁算出部は、
前記検査画像データに基づいて、前記基板の周縁の位置データを算出する処理と、
前記基板の周縁の位置データに基づいて、前記基板の偏心状態を算出する処理と、
前記基板の偏心状態を考慮して、前記基板の理論上の周縁の位置データを算出する処理とを実行するように構成されている、請求項
1~3のいずれか一項に記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記周縁算出部は、前記検査画像データに基づいて、前記基板の周縁の位置データを算出するように構成されており、
前記幅算出部は、前記周縁算出部において得られた前記基板の周縁の位置データと前記エッジ検出部において得られた前記対象エッジの位置データとに基づいて、前記基板の周縁と前記対象エッジとの幅を算出するように構成されている、請求項
1~4のいずれか一項に記載の基板検査装置。
【請求項6】
被膜を基板に形成するように構成された被膜形成ユニットと、
前記基板の周縁部を撮像して撮像画像を取得するように構成された撮像ユニットと、
検査対象被膜の
前記基板の周縁に沿って延びているエッジである対象エッジを検査するように構成された制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、
前記撮像画像から得られる検査画像データと、検査レシピとを記憶するように構成された記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記検査レシピを用いて、前記記憶部に記憶されている前記検査画像データに基づいて、前記対象エッジを検出するように構成されたエッジ検出部と
、
前記基板の理論上の周縁の位置を算出するように構成された周縁算出部と、
前記周縁算出部において得られた前記基板の理論上の周縁の位置データと前記エッジ検出部において得られた前記対象エッジの位置データとに基づいて、前記基板の理論上の周縁と前記対象エッジとの幅を算出するように構成された幅算出部とを有
する、基板処理装置。
【請求項7】
前記周縁算出部は、基準基板の中心を基準として得られる前記基準基板の理論上の周縁の位置を前記基板の理論上の周縁の位置として算出するように構成されている、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記被膜形成ユニットは、前記対象エッジを形成する処理液を吐出するノズルを有し、
前記制御ユニットは、前記対象エッジの検出結果に基づいて、前記対象エッジを含む前記被膜が形成された後に、前記被膜形成ユニットにおいて別の基板に形成される被膜に含まれる前記対象エッジに対応するエッジの位置が目標値に近づくように、前記処理液を吐出する際の前記ノズルと前記別の基板との相対位置を調整するように構成されたエッジ位置調整部を更に有する、請求項6又は7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
複数の被膜を基板に形成するように構成された被膜形成ユニットと、
前記基板の周縁部を撮像して撮像画像を取得するように構成された撮像ユニットと、
前記複数の被膜のうち検査対象被膜のエッジである対象エッジを検査するように構成された制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、
前記撮像画像から得られる検査画像データと、第1の検査レシピと、第2の検査レシピとを記憶するように構成された記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記第1の検査レシピを用いて、前記記憶部に記憶されている前記検査画像データに基づいて、前記複数の被膜のうち一の検査対象被膜の
前記基板の周縁に沿って延びているエッジである第1の対象エッジを検出するように構成されていると共に、前記記憶部に記憶されている前記第2の検査レシピを用いて、前記記憶部に記憶されている前記検査画像データに基づいて、前記複数の被膜のうち他の検査対象被膜の
前記基板の周縁に沿って延びているエッジである第2の対象エッジを検出するように構成されたエッジ検出部と
、
前記基板の理論上の周縁の位置を算出するように構成された周縁算出部と、
幅算出部と、を有し、
前記幅算出部は、
前記周縁算出部において得られた前記基板の理論上の周縁の位置データと前記エッジ検出部において得られた前記第1の対象エッジの位置データとに基づいて、前記基板の理論上の周縁と前記第1の対象エッジとの幅、及び、
前記周縁算出部において得られた前記基板の理論上の周縁の位置データと前記エッジ検出部において得られた前記第2の対象エッジの位置データとに基づいて、前記基板の理論上の周縁と前記第2の対象エッジとの幅、
を算出するように構成されており、
前記第1及び第2の検査レシピはそれぞれ、複数の選択肢の中から一つの選択肢が特定されたパラメータが複数組み合わされて構成されており、
前記第1の検査レシピを構成するパラメータの組み合わせは、前記第2の検査レシピを構成するパラメータの組み合わせと異なる、基板処理装置。
【請求項10】
前記周縁算出部は、基準基板の中心を基準として得られる前記基準基板の理論上の周縁の位置を前記基板の理論上の周縁の位置として算出するように構成されている、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記被膜形成ユニットは、前記第1の対象エッジを形成する処理液を吐出する第1のノズルと、前記第2の対象エッジを形成する処理液を吐出する第2のノズルとを有し、
前記制御ユニットは、前記第1及び第2の対象エッジの検出結果に基づいて、前記第1及び第2の対象エッジを含む前記複数の被膜が形成された後に、前記被膜形成ユニットにおいて別の基板に形成される複数の被膜に含まれる前記第1及び第2の対象エッジに対応するエッジの位置が目標値に近づくように、前記処理液を吐出する際の前記第1及び第2のノズルと前記別の基板との相対位置をそれぞれ調整するように構成されたエッジ位置調整部を更に有する、請求項
9又は10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
被膜が形成されている基板の周縁部の撮像画像から検査画像データを生成することと、
検査レシピを用いて、前記検査画像データに基づい
て検査対象被膜の
前記基板の周縁に沿って延びているエッジである対象エッジを検出することと
、
前記基板の理論上の周縁の位置を算出することと、
前記基板の理論上の周縁の位置データと前記対象エッジの位置データとに基づいて、前記基板の理論上の周縁と前記対象エッジとの幅を算出することと、を含む、基板検査方法。
【請求項13】
前記基板の理論上の周縁の位置を算出することにおいて、基準基板の中心を基準として得られる前記基準基板の理論上の周縁の位置を前記基板の理論上の周縁の位置として算出する、請求項12に記載の基板検査方法。
【請求項14】
前記基板の理論上の周縁の位置を算出することにおいて、
前記基準基板の周縁部の撮像画像から得られる基準画像データに基づいて、前記基準基板上に予め設定された参照位置の位置データを算出する処理と、
前記基板の半径の設計寸法と、前記基準基板の中心から前記参照位置までの距離との差分を算出する処理と、
前記参照位置の位置データと前記差分とに基づいて、前記基準基板の理論上の周縁の位置データを算出する処理とを実行する、請求項13に記載の基板検査方法。
【請求項15】
前記基板の理論上の周縁の位置を算出することにおいて、
前記検査画像データに基づいて、前記基板の周縁の位置データを算出する処理と、
前記基板の周縁の位置データに基づいて、前記基板の偏心状態を算出する処理と、
前記基板の偏心状態を考慮して、前記基板の理論上の周縁の位置データを算出する処理と、を実行する、請求項12~14のいずれか一項に記載の基板検査方法。
【請求項16】
前記検査画像データに基づいて、前記基板の周縁の位置データを算出することと、
前記検査画像データに基づき算出された前記基板の周縁の位置データと、前記対象エッジの位置データとに基づいて、前記基板の周縁と前記対象エッジとの幅を算出することと、を更に含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の基板検査方法。
【請求項17】
被膜を基板に形成することと、
前記基板の周縁部を撮像して撮像画像を取得することと、
検査対象被膜の前記基板の周縁に沿って延びているエッジである対象エッジを検査することと、を含み、
前記対象エッジを検査することは、
検査レシピを用いて、前記撮像画像から得られる検査画像データに基づいて、前記対象エッジを検出することと、
前記基板の理論上の周縁の位置を算出することと、
前記基板の理論上の周縁の位置データと前記対象エッジの位置データとに基づいて、前記基板の理論上の周縁と前記対象エッジとの幅を算出することと、を含む、基板処理方法。
【請求項18】
前記基板の理論上の周縁の位置を算出することにおいて、基準基板の中心を基準として得られる前記基準基板の理論上の周縁の位置を前記基板の理論上の周縁の位置として算出する、請求項17に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記被膜を前記基板に形成する際に、ノズルを有する被膜形成ユニットにより前記被膜を前記基板に形成し、
前記被膜を前記基板に形成することは、前記対象エッジを形成する処理液を前記ノズルから吐出することを含み、
前記基板処理方法は、前記対象エッジの検出結果に基づいて、前記対象エッジを含む前記被膜が形成された後に、前記被膜形成ユニットにおいて別の基板に形成される被膜に含まれる前記対象エッジに対応するエッジの位置が目標値に近づくように、前記処理液を吐出する際の前記ノズルと前記別の基板との相対位置を調整することを更に含む、請求項17又は18に記載の基板処理方法。
【請求項20】
複数の被膜を基板に形成することと、
前記基板の周縁部を撮像して撮像画像を取得することと、
前記複数の被膜のうち検査対象被膜のエッジである対象エッジを検査することと、を含み、
前記対象エッジを検査することは、
第1の検査レシピを用いて、前記撮像画像から得られる検査画像データに基づいて、前記複数の被膜のうち一の検査対象被膜の前記基板の周縁に沿って延びているエッジである第1の対象エッジを検出することと、
第2の検査レシピを用いて、前記検査画像データに基づいて、前記複数の被膜のうち他の検査対象被膜の前記基板の周縁に沿って延びているエッジである第2の対象エッジを検出することと、
前記基板の理論上の周縁の位置を算出することと、
前記基板の理論上の周縁の位置データと前記第1の対象エッジの位置データとに基づいて、前記基板の理論上の周縁と前記第1の対象エッジとの幅を算出することと、
前記基板の理論上の周縁の位置データと前記第2の対象エッジの位置データとに基づいて、前記基板の理論上の周縁と前記第2の対象エッジとの幅を算出することと、を含み、
前記第1及び第2の検査レシピはそれぞれ、複数の選択肢の中から一つの選択肢が特定されたパラメータが複数組み合わされて構成されており、
前記第1の検査レシピを構成するパラメータの組み合わせは、前記第2の検査レシピを構成するパラメータの組み合わせと異なる、基板処理方法。
【請求項21】
前記基板の理論上の周縁の位置を算出することにおいて、基準基板の中心を基準として得られる前記基準基板の理論上の周縁の位置を前記基板の理論上の周縁の位置として算出する、請求項20に記載の基板処理方法。
【請求項22】
前記複数の被膜を前記基板に形成する際に、第1のノズル及び第2のノズルを有する被膜形成ユニットにより前記複数の被膜を前記基板に形成し、
前記複数の被膜を前記基板に形成することは、
前記第1の対象エッジを形成する処理液を前記第1のノズルから吐出することと、
前記第2の対象エッジを形成する処理液を前記第2のノズルから吐出することと、を含み、
前記基板処理方法は、前記第1及び第2の対象エッジの検出結果に基づいて、前記第1及び第2の対象エッジを含む前記複数の被膜が形成された後に、前記被膜形成ユニットにおいて別の基板に形成される複数の被膜に含まれる前記第1及び第2の対象エッジに対応するエッジの位置が目標値に近づくように、前記処理液を吐出する際の前記第1及び第2のノズルと前記別の基板との相対位置をそれぞれ調整すること、を更に含む、請求項20又は21に記載の基板処理方法。
【請求項23】
請求項
12~16のいずれか一項に記載の基板検査方法を基板検査装置に実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板検査装置、基板処理装置、基板検査方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板を保持して回転させる回転保持部と、回転保持部に保持された基板の端面と裏面の周縁領域とに対向する反射面を有するミラー部材と、撮像素子を有するカメラとを備える基板撮像装置を開示している。この基板撮像装置では、基板の表面の周縁領域からの光と、基板の端面からの光が上記反射面で反射された反射光とが共にレンズを介してカメラの撮像素子に入力される。これにより、基板の表面の周縁領域と基板の端面との双方を1台のカメラで同時に撮像することが可能となっている。この基板撮像装置によって撮像された撮像画像データは、例えば、基板の表面に形成されている被膜のエッジの状態を検査するために用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、複数のエッジのうちの検査対象のエッジを画像データからより確実に検出することが可能な基板検査装置、基板処理装置、基板検査方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの観点に係る基板検査装置は、複数の被膜が形成されている基板の周縁部の撮像画像から得られる検査画像データと、検査レシピとを記憶するように構成された記憶部と、記憶部に記憶されている検査レシピを用いて、記憶部に記憶されている検査画像データに基づいて、複数の被膜のうち検査対象被膜のエッジである対象エッジを検出するように構成されたエッジ検出部とを備える。複数の被膜のそれぞれのエッジは基板の周縁に沿って延びている。検査レシピは、複数の選択肢の中から一つの選択肢が特定されたパラメータが複数組み合わされて構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る基板検査装置、基板処理装置、基板検査方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、複数のエッジのうちの検査対象のエッジを画像データからより確実に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、基板処理システムの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるII-II線に沿った断面図である。
【
図3】
図3は、処理モジュール(BCTモジュール、HMCTモジュール及びDEVモジュール)の一例を示す上面図である。
【
図4】
図4は、処理モジュール(COTモジュール)の一例を示す上面図である。
【
図5】
図5は、液処理用のユニットの一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、撮像用のユニットを上方から見た構成の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、撮像用のユニットを側方から見た構成の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、基板処理システムの主要部の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、コントローラのハードウェア構成の一例を示す概略図である。
【
図10】
図10は、基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11(a)~
図11(c)は、複数の被膜の形成過程の一例を説明するための図である。
【
図12】
図12(a)~
図12(c)は、複数の被膜の形成過程の一例を説明するための図である。
【
図13】
図13(a)~
図13(c)は、複数の被膜の形成過程の一例を説明するための図である。
【
図14】
図14は、エッジ検査処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15(a)~
図15(c)は、画像データからのエッジ検出の一例を説明するための図である。
【
図16】
図16は、複数の被膜それぞれのエッジの変動範囲の一例を説明するための図である。
【
図17】
図17は、操作部に含まれる操作画面の一例を示す図である。
【
図18】
図18(a)及び
図18(b)は、検出対象のエッジの一部に含まれる非検出領域の一例を説明するための図である。
【
図19】
図19は、基板処理方法の別の例を示すフローチャートである。
【
図20】
図20(a)は、隣接するエッジ同士が近接する例を説明するための図である。
図20(b)は、隣接するエッジ同士が互いに交差する例を説明するための図である。
【
図21】
図21は、基板処理システムの主要部の他の例を示すブロック図である。
【
図22】
図22は、理論上の周縁の算出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図23】
図23(a)は、基準基板の表面に形成された模様の一例を示す模式図である。
図23(b)は、
図23(a)のB部分を拡大した模式図である。
【
図24】
図24は、基準基板の周縁部の撮像画像の一例を示す模式図である。
【
図25】
図25は、エッジ検査処理の一例を示すフローチャートである。
【
図26】
図26は、検出結果の判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図27】
図27は、周縁と対象エッジとの幅の算出例を説明するための図である。
【
図28】
図28(a)~
図28(c)は、理論上の周縁と対象エッジとの幅に基づくプロセス調整の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0009】
[基板処理システム]
図1に示されるように、基板処理システム1(基板処理装置)は、塗布現像装置2と、露光装置3と、コントローラ10(制御ユニット)と、操作部19とを備える。
【0010】
露光装置3は、ウエハW(基板)の表面Wa(
図5参照)に形成されたレジスト膜の露光処理(パターン露光)を行うように構成されている。具体的には、露光装置3は、液浸露光等の方法により感光性レジスト膜(感光性被膜)の露光対象部分に選択的にエネルギー線を照射する。エネルギー線としては、例えばArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、g線、i線、又は極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)が挙げられる。
【0011】
塗布現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、ウエハWの表面Waにレジスト膜を形成する処理を行い、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。ウエハWは、円板状を呈してもよいし、円形の一部が切り欠かれていてもよいし、多角形など円形以外の形状を呈していてもよい。以下では、ウエハWが円板状を呈する場合を例に説明を行う。ウエハWは、例えば、半導体基板、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)基板その他の各種基板であってもよい。ウエハWの直径は、例えば200mm~450mm程度であってもよい。なお、ウエハWの縁にベベル(面取り)が存在する場合、本明細書における「表面」には、ウエハWの表面Wa側から見たときのベベル部分も含まれる。同様に、本明細書における「裏面」には、ウエハWの裏面Wb(
図5等参照)側から見たときのベベル部分も含まれる。本明細書における「端面」には、ウエハWの端面Wc(
図5等参照)側から見たときのベベル部分も含まれる。
【0012】
図1~
図4に示されるように、塗布現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インターフェースブロック6とを備える。キャリアブロック4、処理ブロック5及びインターフェースブロック6は、水平方向に並んでいる。
【0013】
キャリアブロック4は、
図1、
図3及び
図4に示されるように、キャリアステーション12と、搬入搬出部13とを有する。キャリアステーション12は複数のキャリア11を支持する。キャリア11は、少なくとも一つのウエハWを密封状態で収容する。キャリア11の側面11aには、ウエハWを出し入れするための開閉扉(図示せず)が設けられている。キャリア11は、側面11aが搬入搬出部13側に面するように、キャリアステーション12上に着脱自在に設置される。
【0014】
搬入搬出部13は、キャリアステーション12及び処理ブロック5の間に位置している。搬入搬出部13は、複数の開閉扉13aを有する。キャリアステーション12上にキャリア11が載置される際には、キャリア11の開閉扉が開閉扉13aに面した状態とされる。開閉扉13a及び側面11aの開閉扉を同時に開放することで、キャリア11内と搬入搬出部13内とが連通する。搬入搬出部13は、搬送アームA1を内蔵している。搬送アームA1は、キャリア11からウエハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウエハWを受け取ってキャリア11内に戻すように構成されている。
【0015】
処理ブロック5は、
図1~
図4に示されるように、処理モジュール14~17を有する。これらの処理モジュールは、床面側から処理モジュール17、処理モジュール14、処理モジュール15、処理モジュール16の順に並んでいる。
【0016】
処理モジュール14は、ウエハWの表面Wa上に下層膜を形成するように構成されており、BCTモジュールとも呼ばれる。処理モジュール14は、
図2及び
図3に示されるように、複数の液処理用のユニットU1と、複数の熱処理用のユニットU2と、これらのユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA2とを内蔵している。処理モジュール14のユニットU1(以下、「ユニットU14」ということがある。)は、下層膜形成用の塗布液をウエハWの表面Waに塗布して塗布膜を形成するように構成されている。ユニットU14は、ウエハWの表面Waに形成された当該塗布膜の周縁部分を除去するように構成されている。
【0017】
処理モジュール14のユニットU2(以下、「ユニットU24」ということがある。)は、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。処理モジュール14において行われる熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させて下層膜とするための加熱処理が挙げられる。下層膜としては、例えば、反射防止(SiARC)膜が挙げられる。なお、本明細書では、処理モジュール14において、ウエハWの表面Waに形成された塗布膜と、周縁部分が除去された塗布膜(熱処理前の下層膜)と、熱処理後の下層膜とを総称して「被膜R1」という。
【0018】
処理モジュール15は、下層膜上に中間膜(ハードマスク)を形成するように構成されており、HMCTモジュールとも呼ばれる。処理モジュール15は、
図2及び
図3に示されるように、複数の液処理用のユニットU1と、複数の熱処理用のユニットU2と、これらのユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA3とを内蔵している。処理モジュール15のユニットU1(以下、「ユニットU15」ということがある。)は、中間膜形成用の塗布液をウエハWの下層膜上に塗布して塗布膜を形成するように構成されている。ユニットU15は、下層膜(被膜R1)上に形成された当該塗布膜の周縁部分を除去するように構成されている。
【0019】
処理モジュール15のユニットU2(以下、「ユニットU25」ということがある。)は、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。処理モジュール15において行われる熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させて中間膜とするための加熱処理が挙げられる。中間膜としては、例えば、SOC(Spin On Carbon)膜、アモルファスカーボン膜が挙げられる。なお、本明細書では、処理モジュール15において、被膜R1上に形成された塗布膜と、周縁部分が除去された塗布膜(熱処理前の中間膜)と、熱処理後の中間膜とを総称して「被膜R2」という。
【0020】
処理モジュール16は、中間膜上に熱硬化性且つ感光性のレジスト膜を形成するように構成されており、COTモジュールとも呼ばれる。処理モジュール16は、
図2及び
図4に示されるように、複数の液処理用のユニットU1と、複数の熱処理用のユニットU2と、複数の撮像用のユニットU3と、これらのユニットU1,U2,U3にウエハWを搬送する搬送アームA4とを内蔵している。処理モジュール16のユニットU1(以下、「ユニットU16」ということがある。)は、レジスト膜形成用の塗布液(レジスト液)を中間膜の上に塗布して塗布膜を形成するように構成されている。ユニットU16は、中間膜(被膜R2)上に形成された当該塗布膜の周縁部分を除去するように構成されている。
【0021】
処理モジュール16のユニットU2(以下、「ユニットU26」ということがある。)は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させてレジスト膜とするための加熱処理(PAB:Pre Applied Bake)が挙げられる。撮像用のユニットU3は、ウエハWの検査のために、ウエハWを撮像して撮像画像を生成する。なお、本明細書では、処理モジュール16において、被膜R2上に形成された塗布膜と、周縁部分が除去された塗布膜(熱処理前のレジスト膜)と、熱処理後のレジスト膜とを総称して「被膜R3」という。
【0022】
処理モジュール17は、露光されたレジスト膜の現像処理を行うように構成されており、DEVモジュールとも呼ばれる。処理モジュール17は、
図2及び
図3に示されるように、複数の液処理用のユニットU1と、複数の熱処理用のユニットU2と、これらのユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA5と、これらのユニットU1,U2を経ずにウエハWを棚ユニットU11,U10(後述する)間において直接搬送する搬送アームA6とを内蔵している。処理モジュール17のユニットU1(以下、「ユニットU17」ということがある。)は、露光後のレジスト膜を現像(部分的に除去)してレジストパターンを形成するように構成されている。
【0023】
処理モジュール17のユニットU2(以下、「ユニットU27」ということがある。)は、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。処理モジュール17において行われる熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:post exposure bake)、現像処理後の加熱処理(PB:post bake)等が挙げられる。
【0024】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には、
図2及び
図3に示されるように、棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、床面から処理モジュール16にわたって設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には搬送アームA7が設けられている。搬送アームA7は、棚ユニットU10のセル同士の間でウエハWを昇降させる。
【0025】
処理ブロック5内におけるインターフェースブロック6側には、棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は床面から処理モジュール17の上部にわたって設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0026】
インターフェースブロック6は、搬送アームA8を内蔵しており、露光装置3に接続される。搬送アームA8は、棚ユニットU11のウエハWを取り出して露光装置3に渡し、露光装置3からウエハWを受け取って棚ユニットU11に戻すように構成されている。
【0027】
コントローラ10は、基板処理システム1を部分的又は全体的に制御する。コントローラ10の詳細については後述する。
【0028】
操作部19は、オペレータ(作業員)による操作を受け付ける入力装置である。例えば、操作部19は、マウスと、キーボードと、操作用の操作画面を表示する表示器とを有していてもよい。操作部19の各要素は、コントローラ10と通信可能に接続されている。操作部19及びコントローラ10により一つのコンピュータ装置が構成されていてもよい。操作部19は、オペレータによる操作内容を示す入力情報をコントローラ10に出力する。
【0029】
[液処理用のユニットの構成]
続いて、
図5を参照して、液処理用のユニットU1についてさらに詳しく説明する。ユニットU1は、
図5に示されるように、回転保持部20と、液供給部30と、液供給部40とを備える。
【0030】
回転保持部20は、回転部21と、シャフト22と、保持部23とを有する。回転部21は、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、シャフト22を回転させる。回転部21は、例えば電動モータ等の動力源である。保持部23は、シャフト22の先端部に設けられている。保持部23上にはウエハWが配置される。保持部23は、例えば吸着等によりウエハWを略水平に保持する。すなわち、回転保持部20は、ウエハWの姿勢が略水平の状態で、ウエハWの表面Waに対して垂直な中心軸(回転軸)周りでウエハWを回転させる。
図5に示される例では、回転保持部20は、上方から見て反時計回りにウエハWを所定の回転数で回転させる。
【0031】
液供給部30は、ウエハWの表面Waに処理液L1を供給するように構成されている。処理モジュール14において、処理液L1は、被膜R1を形成するための塗布液である。処理モジュール15において、処理液L1は、被膜R2を形成するための塗布液である。処理モジュール16において、処理液L1は、被膜R3(レジスト膜)を形成するためのレジスト液である。処理モジュール17において、処理液L1は現像液である。なお、レジスト液が含有するレジスト材料は、ポジ型レジスト材料であってもよいし、ネガ型レジスト材料であってもよい。ポジ型レジスト材料は、パターン露光部が溶け出しパターン未露光部(遮光部)が残るレジスト材料である。ネガ型レジスト材料は、パターン未露光部(遮光部)が溶け出し、パターン露光部が残るレジスト材料である。
【0032】
液供給部30は、液源31と、ポンプ32と、バルブ33と、ノズル34と、配管35と、駆動機構36とを有する。液源31は、処理液L1の供給源として機能する。ポンプ32は、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、液源31から処理液L1を吸引し、配管35及びバルブ33を介してノズル34に送り出す。
【0033】
ノズル34は、吐出口がウエハWの表面Waに向かうようにウエハWの上方に配置されている。ノズル34は、ポンプ32から送り出された処理液L1を、ウエハWの表面Waに吐出可能である。配管35は、上流側から順に、液源31、ポンプ32、バルブ33及びノズル34を接続している。駆動機構36は、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、ノズル34を水平方向及び上下方向に移動させるように構成されている。
【0034】
液供給部40は、ウエハWの表面Waに処理液L2を供給するように構成されている。処理モジュール14において、処理液L2は、被膜R1の周縁部分を除去するための薬液(例えば有機溶剤)である。処理モジュール15において、処理液L2は、被膜R2の周縁部分を除去するための薬液(例えば有機溶剤)である。処理モジュール16において、処理液L2は、被膜R3の周縁部分を除去するための薬液(例えば有機溶剤)である。処理モジュール17において、処理液L2はリンス液である。
【0035】
液供給部40は、液源41と、ポンプ42と、バルブ43と、ノズル44と、配管45と、駆動機構46とを有する。液源41は、処理液L2の供給源として機能する。ポンプ42は、液源41から処理液L2を吸引し、配管45及びバルブ43を介してノズル44に送り出す。
【0036】
ノズル44は、吐出口がウエハWの表面Waに向かうようにウエハWの上方に配置されている。ノズル44は、ポンプ42から送り出された処理液L2を、ウエハWの表面Waに吐出可能である。配管45は、上流側から順に、液源41、ポンプ42、バルブ43及びノズル44を接続している。駆動機構46は、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、ノズル44を水平方向及び上下方向に移動させるように構成されている。
【0037】
処理モジュール14~17において、駆動機構46は、例えば、上方から見て、略水平に保持されているウエハWの半径方向に沿ってノズル44を移動させてもよい。駆動機構46によりノズル44がウエハWの半径方向に沿って移動することにより、ノズル44とウエハWとの相対位置が変化する。ノズル44がウエハWに対して移動することにより、ノズル44から吐出される処理液L2が表面Waに供給される位置(付着位置)が変化してもよい。特に処理モジュール14~16において、当該付着位置が変化すると、当該付着位置に応じて、処理液L2による各被膜の周縁部分の除去幅(ウエハWの周縁と各被膜のエッジとの間の直線距離)が変動する。すなわち、各被膜の周縁部分を除去する際のノズル44のウエハWに対する相対位置に応じて、各被膜のエッジの位置が変化しうる。
【0038】
[撮像用のユニットの構成]
続いて、
図6及び
図7を参照して、撮像用のユニットU3についてさらに詳しく説明する。ユニットU3は、
図6及び
図7に示されるように、筐体50と、回転保持サブユニット60と、表面撮像サブユニット70と、周縁撮像サブユニット80と、裏面撮像サブユニット90とを有する。これらのサブユニットは、筐体50内に配置されている。筐体50のうち一端壁には、ウエハWを筐体50の内部に搬入及び筐体50の外部に搬出するための搬入出口51が形成されている。
【0039】
回転保持サブユニット60は、保持台61と、アクチュエータ62,63と、ガイドレール64とを含む。保持台61は、例えば、吸着等によりウエハWを略水平に保持する吸着チャックである。
【0040】
アクチュエータ62は、例えば電動モータであり、保持台61を回転駆動する。すなわち、アクチュエータ62は、保持台61に保持されているウエハWを回転させる。アクチュエータ62は、保持台61の回転位置を検出するためのエンコーダを含んでいてもよい。この場合、撮像用の各サブユニットによるウエハWの各面の撮像位置と、回転位置との対応付けを行うことができる。ウエハWが切り欠き部を有する場合には、撮像用の各サブユニットによって判別された当該切り欠き部とエンコーダによって検出された回転位置とに基づいて、ウエハWの姿勢を特定することができる。なお、保持台61の回転位置とは保持台61の回転角度である。
【0041】
アクチュエータ63は、例えばリニアアクチュエータであり、保持台61をガイドレール64に沿って移動させる。すなわち、アクチュエータ63は、保持台61に保持されているウエハWをガイドレール64の一端側と他端側との間で搬送する。従って、保持台61に保持されているウエハWは、搬入出口51寄りの第1の位置と、周縁撮像サブユニット80及び裏面撮像サブユニット90寄りの第2の位置との間で移動可能である。ガイドレール64は、筐体50内において線状(例えば直線状)に延びている。
【0042】
表面撮像サブユニット70は、カメラ71と、照明モジュール72とを含む。カメラ71は、レンズと、一つの撮像素子(例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)とを含む。カメラ71は、照明モジュール72に対向している。
【0043】
照明モジュール72は、ハーフミラー73と、光源74とを含む。ハーフミラー73は、水平方向に対して略45°傾いた状態で、筐体50内に配置されている。ハーフミラー73は、上方から見てガイドレール64の延在方向に交差するように、ガイドレール64の中間部分の上方に位置している。ハーフミラー73は、矩形状を呈している。ハーフミラー73の長さ(長手方向の長さ)は、ウエハWの直径よりも大きい。
【0044】
光源74は、ハーフミラー73の上方に位置している。光源74から出射された光は、ハーフミラー73を全体的に通過して下方(ガイドレール64側)に向けて照射される。ハーフミラー73を通過した光は、ハーフミラー73の下方に位置する物体で反射した後、ハーフミラー73で再び反射して、カメラ71のレンズを通過し、カメラ71の撮像素子に入射する。すなわち、カメラ71は、ハーフミラー73を介して、光源74の照射領域に存在する物体を撮像できる。例えば、ウエハWを保持する保持台61がアクチュエータ63によってガイドレール64に沿って移動する際に、カメラ71は、光源74の照射領域を通過するウエハWの表面Waを撮像できる。カメラ71によって撮像された撮像画像データは、コントローラ10に送信される。
【0045】
周縁撮像サブユニット80は、
図6及び
図7に示されるように、カメラ81と、照明モジュール82と、ミラー部材83とを含む。カメラ81は、レンズと、一つの撮像素子(例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)とを含む。カメラ81は、照明モジュール82に対向している。
【0046】
照明モジュール82は、
図6及び
図7に示されるように、保持台61に保持されたウエハWの上方に配置されている。照明モジュール82は、光源84と、ハーフミラー85とを含む。ハーフミラー85は、
図7に示されるように、水平方向に対して略45°傾いた状態で配置されている。ミラー部材83は、
図6及び
図7に示されるように、照明モジュール82の下方に配置されている。ミラー部材83は、アルミブロックによって構成されている本体と、反射面とを含む。
【0047】
ミラー部材83の反射面は、保持台61に保持されたウエハWが第2の位置にある場合、保持台61に保持されたウエハWの端面Wcと裏面Wbの周縁部Wd(
図5参照)とに対向する。ミラー部材83の反射面は、保持台61の回転軸に対して傾斜している。ミラー部材83の反射面には、鏡面加工が施されている。例えば、反射面には、ミラーシートが貼り付けられていてもよいし、アルミめっきが施されていてもよいし、アルミ材料が蒸着されていてもよい。この反射面は、保持台61に保持されたウエハWの端面Wcから離れる側に向けて窪んだ湾曲面である。
【0048】
照明モジュール82において、光源84から出射された光は、ハーフミラー85を全体的に通過して下方に向けて照射される。ハーフミラー85を通過した光は、ハーフミラー85の下方に位置するミラー部材83の反射面で反射する。保持台61に保持されたウエハWが第2の位置にある場合、ハーフミラー85を通過した光がミラー部材83の反射面で反射した反射光は、主としてウエハWの端面Wcと表面Waの周縁部Wdとに照射される。
【0049】
ウエハWの表面Waの周縁部Wdから反射した反射光は、ミラー部材83の反射面には向かわずに直接ハーフミラー85に入射する。その後、この反射光はカメラ81の撮像素子に入射する。一方、ウエハWの端面Wcから反射した反射光は、ミラー部材83の反射面の方向へ向かう。この反射光は、ミラー部材83の反射面及びハーフミラー85で順次反射して、カメラ81の撮像素子に入射する。このように、ウエハWの周縁部Wdからの反射光とウエハWの端面Wcからの反射光とは、互いに異なる光路を経てカメラ81の撮像素子に入射する。このように、カメラ81の撮像素子には、ウエハWの表面Waの周縁部Wdからの光と、ウエハWの端面Wcからの光との双方が入力される。すなわち、保持台61に保持されたウエハWが第2の位置にある場合、カメラ81は、ウエハWの表面Waの周縁部WdとウエハWの端面Wcとの双方を撮像して、表面Waの周縁部Wd及び端面Wcの撮像画像を生成するように構成されている。カメラ81によって撮像された撮像画像データは、コントローラ10に送信される。
【0050】
裏面撮像サブユニット90は、
図6及び
図7に示されるように、カメラ91と、照明モジュール92とを含む。カメラ91は、レンズと、一つの撮像素子(例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)とを含む。カメラ91は、照明モジュール92に対向している。
【0051】
照明モジュール92は、照明モジュール82の下方であって、保持台61に保持されたウエハWの下方に配置されている。照明モジュール92は、
図7に示されるように、ハーフミラー93と、光源94とを含む。ハーフミラー93は、水平方向に対して略45°傾いた状態で配置されている。
【0052】
光源94は、ハーフミラー93の下方に位置している。光源94から出射された光は、ハーフミラー93を全体的に通過して上方に向けて照射される。ハーフミラー93を通過した光は、ハーフミラー93の上方に位置する物体で反射した後、ハーフミラー93で再び反射して、カメラ91のレンズを通過し、カメラ91の撮像素子に入射する。すなわち、カメラ91は、ハーフミラー93を介して、光源94の照射領域に存在する物体を撮像できる。例えば、保持台61に保持されたウエハWが第2の位置にある場合、カメラ91は、ウエハWの裏面Wbの周縁部Wdを撮像できる。カメラ91によって撮像された撮像画像データは、コントローラ10に送信される。
【0053】
[コントローラの構成]
コントローラ10は、
図8に示されるように、機能モジュールとして、基板検査部100(基板検査装置)と、動作指令保持部111と、膜形成制御部112と、エッジ位置調整部113とを含む。これらの機能モジュールは、コントローラ10の機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、コントローラ10を構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)により実現されるものであってもよい。
【0054】
基板検査部100は、ウエハWに形成された複数の被膜のそれぞれのエッジの状態を検査するように構成されている。具体的には、基板検査部100は、後述する検査レシピを用いて、ウエハWの周縁部Wdの撮像画像から得られる検査画像データに基づいて、複数の被膜のうち少なくとも1つである検査対象被膜のエッジ(以下、「対象エッジ」という。)を検出するように構成されている。なお以下では、ウエハW上に3つの被膜(被膜R1,R2,R3)が形成され、これら3つの被膜それぞれのエッジを対象エッジとして検出する場合を例に説明する。
【0055】
基板検査部100は、機能モジュールとして、読取部101と、記憶部102と、入力情報取得部103と、画像データ取得部104と、エッジ検出部105と、エッジ補正部106と、判定部107と、出力部108と含む。
【0056】
読取部101は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体RMからプログラムを読み取る機能を有する。記録媒体RMは、ウエハW上の被膜のエッジ部分の検査に関わる基板処理システム1内の各部を動作させるためのプログラムを記録している。記録媒体RMとしては、例えば、半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、光磁気記録ディスクであってもよい。
【0057】
記憶部102は、種々のデータを記憶する機能を有する。記憶部102は、例えば、読取部101において記録媒体RMから読み出したプログラム、ウエハWのエッジ部分を検査(エッジを検出)する際の各種データ、操作部19を介してオペレータから入力された入力情報、撮像用のユニットU3から得られる各種画像データ等を記憶する。この画像データには、ウエハWの表面Waにおける周縁部Wdの撮像画像から得られる検査画像データが含まれる。エッジを検出する際の各種データには、検査画像データからエッジを検出する際に用いる検査レシピが含まれる。検査レシピは、検査画像データからエッジを抽出する際の各種パラメータ(条件)により構成されている。なお、検査レシピを構成する各種パラメータは、オペレータからの入力情報により定められてもよい。
【0058】
入力情報取得部103は、オペレータからの入力情報を取得する機能を有する。例えば、入力情報取得部103は、操作部19を介して、オペレータの操作に基づいた入力情報を取得する。入力情報取得部103は、オペレータの操作に応じて設定された検査レシピの各種パラメータを入力情報の一つとして取得してもよい。入力情報取得部103は、取得したオペレータからの入力情報を記憶部102に出力する。
【0059】
画像データ取得部104は、ユニットU3を介して、ウエハWの各端面を撮像して生成された撮像画像データを取得する機能を有する。例えば、画像データ取得部104は、ウエハWの表面Waの周縁部Wdを撮像した撮像画像データ、ウエハWの表面Wa全体を撮像した撮像画像データ、及びウエハWの裏面Wbの周縁部Wdを撮像した撮像画像データのうちの少なくとも一つを取得してもよい。画像データ取得部104は、各ピクセルにおいて赤色、緑色、及び青色のそれぞれ強さ(階調)が規定されたカラーの撮像画像データを取得してもよい。例えば、カラーの撮像画像データの各ピクセルにおける各色の強さが、256の階調によりそれぞれ規定されることで、各ピクセルの色が定められてもよい。画像データ取得部104は、取得した撮像画像データを検査画像データとして記憶部102に出力してもよい。あるいは、画像データ取得部104は、撮像画像データに所定の加工処理(例えば、フィルタ等を用いたノイズ除去処理)を施して検査画像データを生成し、当該検査画像データを記憶部102に出力してもよい。
【0060】
エッジ検出部105は、記憶部102に記憶されている画像データから対象エッジを検出する機能を有する。エッジ検出部105は、画像データ上の明暗差(コントラスト比)を利用して、画像データ上の対象エッジの位置を特定(測定)する。エッジ検出部105は、ウエハWの周方向に沿って並ぶ複数の測定位置において、対象エッジをそれぞれ検出してもよい(対象エッジの位置をそれぞれ測定してもよい)。例えば、エッジ検出部105は、周方向において基準位置(例えば切り欠き部の位置)から1°ずつ角度を変化させた360個の測定位置において、対象エッジをそれぞれ検出してもよい。エッジ検出部105は、記憶部102に記憶されている検査レシピを用いて、検査画像データに基づいて検査対象のエッジを検出する。エッジ検出部105は、対象エッジについての検出結果をエッジ補正部106に出力する。
【0061】
エッジ補正部106は、エッジ検出部105による検出結果を補正する補正処理を行う機能を有する。例えば、エッジ補正部106は、エッジ検出部105によって検出された対象エッジのデータ系列(複数の測定位置での複数の測定値)を近似して異常値を除外することで、検出結果を補正してもよい。具体的には、エッジ補正部106は、対象エッジのデータ系列を平滑化して算出される基準線と、データ系列に含まれる各データとの差分を算出し、各データのうち当該差分が所定の閾値よりも大きいデータを除外することで、検出結果を補正してもよい。一例として、エッジ補正部106は、データ系列の移動平均を算出することで上記基準線を算出してもよい。エッジ補正部106は、補正した検出結果を判定部107に出力する。エッジ補正部106は、エッジ検出部105による検出結果を補正せずに、当該検出結果をそのまま判定部107に出力してもよい。
【0062】
判定部107は、対象エッジについての検出結果に基づいて、当該エッジの形成状態を判定する。例えば、判定部107は、対象エッジの検出結果から検査対象被膜の周縁部分における除去幅を算出し、算出した除去幅が許容範囲かどうかを判定してもよい。あるいは、判定部107は、算出した除去幅が、除去幅の調整が必要な範囲かどうかを判定してもよい。判定部107は、判定結果を出力部108に出力する。
【0063】
出力部108は、検査対象のエッジについての判定結果を出力する機能を有する。出力部108は、判定結果をコントローラ10内の基板検査部100以外の要素に出力してもよく、コントローラ10外の装置(例えば、判定結果を表示する表示器)に出力してもよい。例えば、出力部108は、判定部107による判定によって除去幅の調整が必要であることが示されている場合に、除去幅の算出結果及び除去幅の調整が必要であることを示す信号をエッジ位置調整部113に出力してもよい。
【0064】
動作指令保持部111は、例えば、ウエハWに被膜を形成する際の各種データ、各被膜のエッジの形成位置に関する目標値、当該目標値に応じたユニットU14~U16における塗布条件を保持している。動作指令保持部111は、各被膜のエッジの形成位置に関する目標値として除去幅の目標値を保持していてもよい。動作指令保持部111は、塗布条件として、被膜の周縁部分に向けて処理液L2を塗布する際のノズル44の位置を示す位置情報を保持していてもよい。これらの位置情報は、対象エッジを含む被膜に応じて異なる値に設定されていてもよい。
【0065】
膜形成制御部112は、ウエハWに被膜を形成するようにユニットU14~U16を制御する機能を有する。膜形成制御部112は、動作指令保持部111に保持された塗布条件にて、ユニットU1により処理液L1又は処理液L2をウエハWに向けて供給させる。例えば、膜形成制御部112は、処理液L1により形成された被膜(塗布膜)の周縁部分を除去する際に、上記位置情報により示される位置にノズル44を配置させた状態で、ノズル44から処理液L2を吐出させる。
【0066】
エッジ位置調整部113は、処理液L2を吐出する際のノズル44とウエハWとの相対位置を調整する機能を有する。具体的には、エッジ位置調整部113は、対象エッジの検出結果に基づいて、処理モジュール14~16において当該対象エッジを含む検査対象のウエハWよりも後に処理されるウエハW(以下、「後続ウエハW」という。)に形成される複数の被膜に含まれる対象エッジの位置が目標値に近づくように、上記相対位置を調整する。例えば、エッジ位置調整部113は、除去幅の調整が必要であることを示す信号を受けた場合に、算出された除去幅と目標値との偏差に応じて調整値を算出してもよい。エッジ位置調整部113は、算出した調整値により動作指令保持部111に保持されている塗布条件(例えば、ノズル44の位置情報、ウエハWが回転保持部20において保持される位置の情報など)を修正してもよい。これにより、後続ウエハW(別の基板)上に、調整されたエッジ位置(除去幅)にて対象エッジを含む被膜が形成され得る。エッジ位置調整部113は、動作指令保持部111の塗布条件を修正した塗布条件により上書きすることによって、修正した塗布条件を動作指令保持部111に記憶させてもよい。
【0067】
コントローラ10のハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成される。コントローラ10は、ハードウェア上の構成として、例えば
図9に示される回路120を有する。回路120は、電気回路要素(circuitry)で構成されていてもよい。回路120は、具体的には、プロセッサ121と、メモリ122(記憶部)と、ストレージ123(記憶部)と、入出力ポート124とを有する。プロセッサ121は、メモリ122及びストレージ123の少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、入出力ポート124を介した信号の入出力を実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート124は、プロセッサ121、メモリ122及びストレージ123と、基板処理システム1の各種装置との間で、信号の入出力を行う。
【0068】
基板処理システム1は、一つのコントローラ10を備えているが、複数のコントローラ10で構成されるコントローラ群(制御部)を備えていてもよい。基板処理システム1がコントローラ群を備えている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコントローラ10によって実現されていてもよいし、2個以上のコントローラ10の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラ10が複数のコンピュータ(回路120)で構成されている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコンピュータ(回路120)によって実現されていてもよいし、2つ以上のコンピュータ(回路120)の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラ10は、複数のプロセッサ121を有していてもよい。この場合、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つ又は複数のプロセッサ121によって実現されていてもよい。
【0069】
[基板処理方法]
続いて、
図10~
図17を参照して、ウエハWに複数の被膜を形成する方法、及び形成された複数の被膜それぞれのエッジの状態を検査する方法(エッジ検査処理)を含む基板処理方法について説明する。
【0070】
この基板処理方法では、まず、コントローラ10が搬送アームA1,A2を制御することにより、搬送アームA1,A2が、キャリア11から1枚のウエハWを取り出し、ユニットU14内にウエハWを搬送する。次に、コントローラ10がユニットU14を制御して、
図11(a)に示されるように、処理液L1をウエハWに供給させる(
図10のステップS11)。ステップS11では、例えば、膜形成制御部112が、駆動機構36を制御して保持部23の上方にノズル34を配置させる。そして、膜形成制御部112が、回転保持部20を制御してウエハWを保持部23に保持させる共に、所定の回転数でウエハWを回転させる。この状態で、膜形成制御部112は、ポンプ32及びバルブ33を制御して、ウエハWの表面Waに対してノズル34から処理液L1を吐出させる。これにより、固化していない状態の被膜R1がウエハWの表面Wa全体に形成される。
【0071】
次に、コントローラ10は、ユニットU14を制御して、固化していない状態の被膜R1のうちウエハWの表面Waの周縁部Wdに位置する部分(被膜R1の周縁部分)を除去させる(
図10のステップS12)。ステップS12では、例えば、膜形成制御部112が、駆動機構46を制御して、動作指令保持部111に保持されているノズル44の位置情報により示される位置にノズル44を配置させる。そして、膜形成制御部112が、回転保持部20を制御して、ウエハWを保持部23に保持させると共に、所定の回転数でウエハWを回転させる。この状態で、膜形成制御部112は、ポンプ42及びバルブ43を制御して、ウエハWの表面Waの周縁部Wdに対して処理液L2をノズル44から吐出させる。これにより、
図11(b)に示されるように、被膜R1の周縁部分が処理液L2によって溶解する。
【0072】
次に、コントローラ10が搬送アームA2を制御することにより、搬送アームA2がユニットU14からユニットU24内にウエハWを搬送する。そして、コントローラ10は、ユニットU24を制御して、ウエハWと共に固化していない状態の被膜R1を加熱させる。これにより、
図11(c)に示されるように、ウエハWの表面Wa上に、周縁部分が除去され且つ全体が固化した状態の被膜R1が形成される。
【0073】
次に、コントローラ10が搬送アームA2,A3,A7を制御することにより、搬送アームA2,A3,A7がユニットU24からユニットU15内にウエハWを搬送する。次に、コントローラ10が、ユニットU15を制御して、
図12(a)に示されるように、ウエハWに処理液L1を供給させる(
図10のステップS13)。ステップS13では、膜形成制御部112が、被膜R1上に固化されていない状態の被膜R2が形成されるように、ステップS11と同様の処理を行う。
【0074】
次に、コントローラ10が、ユニットU15を制御して、固化していない状態の被膜R2の周縁部分を除去させる(
図10のステップS14)。ステップS14では、膜形成制御部112が、ステップS12と同様に、動作指令保持部111内の位置情報に応じてノズル44を配置させる。そして、膜形成制御部112が、
図12(b)に示されるように、ウエハWの表面Waの周縁部Wdに対して処理液L2をノズル44から吐出させ、被膜R2の周縁部分を溶かす。なお、被膜R2の周縁部分を溶かす処理液L2として、被膜R2を部分的に溶かすことが可能であり、被膜R1を溶かし難い薬液が用いられてもよい。
【0075】
次に、コントローラ10は、搬送アームA3を制御することにより、搬送アームA3がユニットU15からユニットU25内にウエハWを搬送する。そして、コントローラ10は、ユニットU25を制御して、ウエハWと共に固化していない状態の被膜R2を加熱させる。これにより、
図12(c)に示されるように、被膜R1上に、周縁部分が除去され且つ全体が固化した状態の被膜R2が形成される。
【0076】
次に、コントローラ10は、搬送アームA3,A4,A7を制御することにより、搬送アームA3,A4,A7がユニットU25からユニットU16内に搬送する。次に、コントローラ10が、ユニットU16を制御して、
図13(a)に示されるように、ウエハWに処理液L1を供給させる(
図10のステップS15)。ステップS15では、膜形成制御部112が、被膜R2上に固化されていない状態の被膜R3が形成されるように、ステップS11,S13と同様の処理を行う。
【0077】
次に、コントローラ10が、ユニットU16を制御して、固化していない状態の被膜R3の周縁部分を除去させる(
図10のステップS15)。ステップS15では、膜形成制御部112が、ステップS12,S14と同様に、動作指令保持部111内の位置情報に応じてノズル44を配置させる。そして、膜形成制御部112が、
図13(b)に示されるように、ウエハWの表面Waの周縁部Wdに対して処理液L2をノズル44から吐出させ、被膜R3の周縁部分を溶かす。なお、被膜R3の周縁部分を溶かす処理液L2として、被膜R3を部分的に溶かすことが可能であり、被膜R1,R2を溶かし難い薬液が用いられてもよい。
【0078】
次に、コントローラ10は、搬送アームA4を制御することにより、搬送アームA4がユニットU16から熱処理用のユニットU26内にウエハWを搬送する。そして、コントローラ10は、ユニットU2を制御して、ウエハWと共に固化していない状態の被膜R3を加熱させる。これにより、
図13(c)に示されるように、被膜R3上に、周縁部分が除去され且つ全体が固化した状態の被膜R3が形成される。
【0079】
図13(c)に示される例では、ウエハWの表面Waから上方に向けて被膜R1,R2,R3がこの順で形成されている。被膜R1,R2,R3は、上面から見て円状であってもよい。被膜R1に含まれるエッジE1、被膜R2に含まれるエッジE2及び被膜R3に含まれるエッジE3は、ウエハWの周縁WE(
図15(a)等参照)に沿って延びている。本明細書における「エッジ」とは、ウエハWの表面、裏面及び端面のいずれかの面において、一の被膜と他の被膜との境界、又は一の被膜とウエハW表面(露出部分)との境界を示す線である。例えば、「エッジ」は、ウエハWを上方から見て被膜の外縁であってもよい。被膜R1,R2,R3の径がこの順で大きくなるように、被膜R1,R2,R3が形成されてもよい。つまり、ウエハWの周縁WEから中心に向かう方向(ウエハWの半径方向)に沿って、エッジE1,E2,E3が順に並んでいてもよい。なお、各被膜の周縁部分の除去が行われる条件によっては、ウエハWの周方向における一部の範囲(一部の角度)において、エッジE1,E2,E3が並ぶ順が前後する場合がある。この例では、被膜R1,R2,R3を形成するユニットU14~U16が被膜形成ユニットを構成する。
【0080】
次に、コントローラ10は、基板処理システム1の各部を制御して、エッジE1,E2,E3を含む被膜R1,R2,R3が形成されたウエハWに対してエッジ検査処理を施す(ステップS17)。エッジ検査処理の詳細については後述する。
【0081】
次に、コントローラ10は、エッジ検査処理の結果に応じて、エッジE1,E2,E3を含む被膜R1,R2,R3の形成条件(エッジの位置)をそれぞれ調整する(ステップS18)。ステップS18では、後続ウエハWに被膜R1,R2,R3を形成する際に、エッジ位置調整部113が、処理液L2の吐出時におけるノズル44とウエハWとの相対位置を調整する。エッジ位置調整部113は、検査対象のエッジE1の検出結果に基づいて、後続ウエハWのエッジE1の位置が所定の目標値に近づくように上記相対位置を調整しつつ、後続ウエハWに被膜R1を形成してもよい。
【0082】
例えば、エッジ位置調整部113は、検査対象のエッジE1(第1の対象エッジ)の検出結果に基づいて測定された被膜R1の除去幅と目標値との偏差に応じて、動作指令保持部111に保持されているユニットU14のノズル44(第1のノズル)の位置情報を更新(上書き)してもよい。エッジ位置調整部113は、検査対象のエッジE2(第2の対象エッジ)の検出結果に基づいて測定された被膜R2の除去幅と目標値との偏差に応じて、動作指令保持部111に保持されているユニットU15のノズル44(第2のノズル)の位置情報を更新してもよい。エッジ位置調整部113は、検査対象のエッジE3の検出結果に基づいて測定された被膜R3の除去幅と目標値との偏差に応じて、動作指令保持部111に保持されているユニットU16のノズル44の位置情報を更新してもよい。
【0083】
[エッジ検査方法]
続いて、
図14を参照して、ウエハWに形成された複数の被膜それぞれのエッジの検査方法(基板検査方法)について説明する。まず、コントローラ10の入力情報取得部103が、操作部19を介してオペレータからの入力情報を取得する(ステップS21)。ステップS21において取得される入力情報には、画像データから被膜R1,R2,R3のエッジE1,E2,E3をそれぞれ検出する際に用いられる検査レシピ及びサーチ範囲が含まれる。
【0084】
画像データから複数のエッジをそれぞれ検出する際に、画像データとして、例えばウエハWの表面Waの周縁部Wdを撮像して得られる矩形状の画像を示すデータが用いられてもよい(
図15(a)参照)。
図15(a)に示される画像では、紙面上の横方向がウエハWの周方向に対応しており、紙面上の縦方向がウエハWの半径方向に対応している。なお、以下では、画像データにより示される画像上においてウエハWの周方向を「横方向」とし、ウエハWの半径方向を「縦方向」として説明する。
【0085】
画像データからエッジを検出する際には、縦方向に並ぶピクセル群の明暗差(階調同士の差)に応じて、当該ピクセル群の中からエッジが表示されているピクセルが検出される。例えば、縦方向に並ぶピクセル群において、一方の向き(上向き又は下向き)に隣り合うピクセル同士の明暗差を順次算出していき、明暗差が所定値を越えるピクセルが、エッジの位置であると検出される。このような縦方向のピクセル群からエッジに対応するピクセルを検出する処理は、横方向において複数(例えば360点)のピクセル群に対してそれぞれ行われる。画像データの中には、複数のエッジE1,E2,E3が含まれているので、単純に明暗差に応じてエッジを検出しようとしても、検出対象(ターゲット)のエッジを検出できない場合がある。そこで、検出対象のエッジに応じて、各エッジを検出するための検査レシピ及びサーチ範囲が設定されてもよい。
【0086】
検査レシピは、複数の選択肢の中から一つの選択肢が特定されたパラメータが複数組み合わされて構成されている。換言すると、検査レシピは、複数のパラメータを含んでおり、複数のパラメータそれぞれは、複数の選択肢の中から一つの選択肢が選択されることで定められる。検査レシピを構成する複数のパラメータの組み合わせは、ターゲットとするエッジに応じて互いに異なるように定められる。具体的には、エッジE1,E2,E3を含む画像データからエッジE1を検出し、エッジE2,E3を検出しないようなエッジE1を検出するための検査レシピ(以下、「検査レシピIR1」という。)が定められる。エッジE2,E3を検出するための検査レシピ(以下、「検査レシピIR2」,「検査レシピIR3」という。)も、検査レシピIR1と同様に定められる。
【0087】
複数のパラメータは、画像勾配パラメータと、変換パラメータと、サーチ方向パラメータと、優先順位パラメータと、フィルタパラメータとを含んでいる。なお、複数のパラメータは、変換パラメータ、サーチ方向パラメータ、優先順位パラメータ、及びフィルタパラメータのうちの少なくとも一つを含んでいればよい。
【0088】
画像勾配パラメータは、いずれの画像勾配を用いてエッジを検出するかを示す条件である。「画像勾配」とは、画像データ上において階調が変化する向きを表す。例えば、画像勾配には、「暗」から「明」に階調が変化する向き(階調の変化が上昇する向き)と、「明」から「暗」に階調が変化する向き(階調の変化が下降する向き)とが含まれる。画像勾配パラメータは、選択肢として、例えば、「Positive」、「Negative」などを含んでいてもよい。「Positive」は、「暗」から「明」に階調が変化する向きに明暗差が大きい点(所定値を越える点)をエッジ候補であると判定するために用いられる選択肢である。「Negative」は、「明」から「暗」に階調が変化する向きに明暗差が大きい点(所定値を越える点)をエッジ候補であると判定するために用いられる選択肢である。
【0089】
変換パラメータは、検査画像データの色属性を変換するための変換条件を示している。色属性とは、色相、明度、及び彩度の3つの性質である。カラー画像である検査画像データの各ピクセルにおける各色の階調(RGB値)の組み合わせを、白から黒までの多階調(例えば256の階調)に変換した画像データを用いてエッジの検出が行われる。検査画像データから、この白から黒までの多階調の画像データに変換する条件を「画像色」と称してもよい。例えば、変換パラメータは、選択肢として、「グレースケール」、「赤色」、「緑色」、「青色」などを含んでいてもよい。
【0090】
「グレースケール」は、例えば、検査画像データの各ピクセルにおけるRGB値の平均値に応じて、当該検査画像データを白から黒までの多階調に変換する処理のために用いられる選択肢である。「赤色」では、例えば、各ピクセルにおいてRGB値のうちの赤色以外の緑色及び青色の階調を除いたR値を、白から黒までの多階調に変換した画像データが用いられる。すなわち、この変換された画像データでは、元のカラー画像において赤色の成分を強く含むピクセルが、より明るく(白に近く)表現される。「緑色」及び「青色」でも、「赤色」と同様に、RGB値のうちの他の2色の階調が除かれて単色の階調(G値又はB値)を、白から黒までの多階調に変換した画像データが用いられる。なお、上述した4つの選択肢以外にも、赤色、緑色、及び青色のうちの2つの色の階調の平均値を、白から黒までの多階調に変換した画像データが用いられてもよい。
【0091】
サーチ方向パラメータは、縦方向においてエッジを探索する向き(順に明暗差を算出していく向き)を示す条件である。サーチ方向パラメータは、例えば、選択肢として、「From center」、「From edge」などを含んでいてもよい。「From center」は、上から下に向かう向き(ウエハWの中心から周縁WEに向かう向きD1)に順にエッジを探索するために用いられる選択肢である。「From edge」は、下から上に向かう向き(ウエハWの周縁WEから中心に向かう向きD2)に順にエッジを探索するために用いられる選択肢である。
【0092】
優先順位パラメータは、複数のエッジ候補から対象エッジを選択するための優先順位(選択方法)を規定する条件である。縦方向におけるピクセル群において、明暗差が所定値以上である複数のエッジ候補が存在する場合がある。この場合に、いずれのエッジ候補を対象エッジとして選択(検出)するかが優先順位パラメータにより定められる。優先順位パラメータは、選択肢として、例えば、「First」、「High contrast」などを含んでいてもよい。「First」は、最初に見つけたエッジ候補をエッジとして選択するために用いられる選択肢である。「High contrast」は、複数のエッジ候補のうちの最も明暗差が大きいエッジ候補をエッジとして選択するために用いられる選択肢である。
【0093】
フィルタパラメータは、エッジに含まれる外乱による影響を除去するフィルタ処理の使用の有無を示す条件である。被膜のエッジには、種々の原因(外乱)により、周方向に沿って延びない部分(特異部分)が含まれる場合がある。フィルタ処理を用いることにより、このような特異部分の影響が低減される。フィルタパラメータは、選択肢として、例えば、「ON」、「OFF」などを含んでいてもよい。「ON」は、エッジ補正部106により補正処理を行うために用いられる選択肢である。「OFF」は、エッジ補正部106による補正処理を省略するために用いられる選択肢である。
【0094】
上述した例では、画像勾配パラメータには2つの選択肢が含まれ、変換パラメータには4つの選択肢が含まれ、サーチ方向パラメータには2つの選択肢が含まれ、優先順位パラメータには2つの選択肢が含まれ、フィルタパラメータには2つの選択肢が含まれる。このため、64個の組み合わせの中から1つの組み合わせが選択されることで、1つの対象エッジに対する検査レシピが定められる。
【0095】
サーチ範囲は、画像データから被膜R1のエッジE1、被膜R2のエッジE2、及び被膜R3のエッジE3をそれぞれ検出する際に用いられる。サーチ範囲は、縦方向(画像上におけるエッジが延びる方向に交差する交差方向)に並ぶピクセル群のうち対象エッジを探索する範囲を規定している。
図16に示されるように、エッジE1,E2,E3の半径方向(交差方向)における変動範囲は互いに異なっている。この変動範囲は、被膜R1,R2,R3を形成する形成条件に基づいて、エッジE1,E2,E3が存在すると予想される範囲である。例えば、オペレータにより、エッジE1,E2,E3が存在すると予想される範囲に応じて、サーチ範囲が設定されてもよい。また、オペレータにより、エッジE1,E2,E3の最大幅(例えば、上記交差方向において周縁WEから最も近い位置と最も遠い位置との差)の予想値を示すターゲット幅が入力されてもよい。
【0096】
図17には、オペレータにより検査レシピ及びサーチ範囲を含む複数の検出条件を基板検査部100に入力するための操作画面の一例が示されている。操作部19は、操作画面130を表示する表示器を含んでいてもよい。操作画面130は、選択タブ131と、ターゲット幅設定画面132と、サーチ範囲設定画面133と、パラメータ設定画面134とを含んでいる。選択タブ131により、複数の検出条件のうちの設定対象の検出条件が選択される。なお、
図17に示される例では、エッジE1に対応する検出条件(エッジE1を検出するための検出条件)の設定を行う画面が選択されている。ターゲット幅設定画面132には、設定中の検出条件に対応する対象エッジの幅を示すターゲット幅が入力される。サーチ範囲設定画面133には、設定中の検出条件に対応する対象エッジのサーチ範囲が入力される。パラメータ設定画面134では、複数のパラメータそれぞれについて、複数の選択肢の中から一つ選択肢が選択される。このような操作画面130に入力された情報が、オペレータからの入力情報として入力情報取得部103に出力される。つまり、入力情報取得部103は、操作画面130において操作された入力情報に応じて検査レシピ及びサーチ範囲を取得してもよい。
【0097】
図14に戻り、コントローラ10は、ステップS21における入力情報の取得後に、設定された複数の検査レシピを記憶する(ステップS22)。ステップS22では、入力情報取得部103が記憶部102に検査レシピを出力し、記憶部102が当該検査レシピを記憶する。これにより、記憶部102は、複数のエッジE1,E2,E3のそれぞれについて、複数の選択肢の中から一つの選択肢が特定されたパラメータが複数組み合わされて構成されたパラメータを、検査レシピIR1,IR2,IR3として記憶する。なお、検査レシピIR1,IR2,IR3を構成する複数のパラメータの組み合わせは、互いに異なっていてもよい。
【0098】
次に、コントローラ10は、複数のエッジE1,E2,E3のそれぞれについて設定されたサーチ範囲(以下、「サーチ範囲SR1,SR2,SR3」という。)を記憶する(ステップS23)。ステップS23では、入力情報取得部103が設定されたサーチ範囲を記憶部102に出力し、記憶部102が当該サーチ範囲を記憶する。
【0099】
次に、コントローラ10は、ユニットU3を制御することにより、検査画像データを取得する(ステップS24)。ステップS24では、例えば、画像データ取得部104が、ウエハWの周縁部を撮像することで生成された撮像画像データを、検査画像データとしてユニットU3から取得する。例えば、画像データ取得部104は、ユニットU3における周縁撮像サブユニット80により撮像されたカラー情報を有する撮像画像データ(検査画像データ)を取得してもよい。画像データ取得部104は、取得した検査画像データを記憶部102に出力し、記憶部102は当該検査画像データを記憶する。
【0100】
次に、コントローラ10は、記憶部102に記憶されている検査画像データに基づいて検査対象のエッジを検出する(ステップS25)。ステップS25では、エッジ検出部105が、記憶部102に記憶されている検査レシピ及びサーチ範囲を用いて、記憶部102に記憶されている画像データから検査対象のエッジを検出する。具体的には、エッジ検出部105は、検査レシピIR1を用いて、検査レシピIR1の変換パラメータに応じて検査画像データから変換された画像データのサーチ範囲SR1内からエッジE1を検出する。エッジ検出部105は、検査レシピIR2を用いて、検査レシピIR2の変換パラメータに応じて検査画像データから変換された画像データのサーチ範囲SR2内からエッジE2を検出する。エッジ検出部105は、検査レシピIR3を用いて、検査レシピIR3の変換パラメータに応じて検査画像データから変換された画像データのサーチ範囲SR3内からエッジE3を検出する。エッジ検出部105は、ウエハWの周方向に1°間隔で並ぶ360点の測定位置(横方向に並ぶピクセル)のそれぞれにおいて、検査対象のエッジを検出してもよい。
【0101】
図15(a)には、検査レシピIR1及びサーチ範囲SR1を用いたエッジE1の検出を説明するための図が示されている。この例の検査レシピIR1では、画像勾配パラメータが「Positive」に設定され、変換パラメータが「グレースケール」に設定され、サーチ方向パラメータが「From center」に設定され、優先順位パラメータが「First」に設定され、フィルタパラメータが「OFF」に設定されていてもよい。また、サーチ範囲が「0.8mm」から「1.4mm」までの範囲に設定されていてもよい。
【0102】
この場合、画像上の交差方向において中心から周縁WEに向かう向きD1(下向き)で明暗差を順次算出していき、「暗」から「明」への明暗差が所定値より大きい縦方向のピクセルがエッジ候補として抽出される。つまり、向きD1において「明」から「暗」への明暗差が所定値よりも大きいピクセルが存在しても、そのピクセルはエッジ候補として抽出されない。また、画像上の交差方向において周縁WEから中心に向かう向きD2(上向き)において「暗」から「明」への明暗差が所定値よりも大きいピクセルが存在しても、そのピクセルはエッジ候補として抽出されない。さらに、向きD1において「暗」から「明」への明暗差が所定値よりも大きいピクセルが上記サーチ範囲外に存在していても、そのピクセルはエッジ候補として抽出されない。複数のエッジ候補が存在する場合には、最初に見つけられたエッジ候補が対象エッジとして検出される。
【0103】
図15(a)に示される例において、画像上のエッジE3の前後で、縦方向に並ぶピクセル群の輝度が向きD1において「暗」から「明」に変化している。しかしながら、エッジE3はサーチ範囲SR1外に位置しているため、エッジE3の前後での明暗差が所定値よりも大きい場合でも、エッジE3は検出されない。また、画像上のエッジE2では、向きD1において「明」から「暗」に変化しているので、エッジE2は検出されない。このように、エッジE2,E3を検出せずに、エッジE1を検出するように設定された検査レシピIR1及びサーチ範囲SR1が用いられることにより、検査画像データに基づいてエッジE2,E3を検出せずにエッジE1が検出される。なお、オペレータにより検査レシピ及びサーチ範囲が設定される場合、オペレータは、検査レシピ及びサーチ範囲の設定とエッジ検出の試行とを繰り返すことで、エッジE1を抽出することが可能な検査レシピIR1及びサーチ範囲SR1を設定してもよい。
【0104】
図15(b)には、検査レシピIR2及びサーチ範囲SR2を用いたエッジE2の検出を説明するための図が示されている。この例の検査レシピIR2では、画像勾配パラメータが「Negative」に設定され、変換パラメータが「赤色」に設定され、サーチ方向パラメータが「From center」に設定され、優先順位パラメータが「First」に設定され、フィルタパラメータが「OFF」に設定されている。サーチ範囲が「1.2mm」から「1.8mm」までの範囲に設定されている。この場合も、
図15(a)での例と同様に、検査画像データに基づいてエッジE1,E3が検出されずにエッジE2が検出される。
【0105】
図15(c)には、検査レシピIR3及びサーチ範囲SR3を用いたエッジE3の検出を説明するための図が示される。この例の検査レシピIR3では、画像勾配パラメータが「Positive」に設定され、変換パラメータが「青色」に設定され、サーチ方向パラメータが「From edge」に設定され、優先順位パラメータが「High contrast」に設定され、フィルタパラメータが「OFF」に設定されている。サーチ範囲が「1.8mm」から「2.5mm」までの範囲に設定されている。この場合も、
図15(a)での例と同様に、検査画像データに基づいてエッジE1,E2が検出されずにエッジE3が検出される。
【0106】
図15(a)~
図15(c)に示される例のように、エッジ検出部105は、1つの撮像画像データから検査レシピの変換パラメータに応じて変換される各種画像データから、エッジE1、E2、E3をそれぞれ検出する。エッジ検出部105は、対象エッジの検出結果をエッジ補正部106に出力してもよい。
【0107】
次に、コントローラ10は、フィルタパラメータが「ON」に設定されているかどうかを判断する(ステップS27)。ステップS27において、フィルタパラメータが「ON」に設定されていない(「OFF」に設定されている)場合、コントローラ10は、ステップS27を実行しない。この場合、エッジ補正部106は、検査対象のエッジの検出結果をそのまま判定部107に出力する。
【0108】
ステップS27において、フィルタパラメータが「ON」に設定されている場合、コントローラ10のエッジ補正部106は、エッジ検出部105から出力された検出結果に対してフィルタ処理を施す。換言すると、エッジ補正部106は、検査対象のエッジの検出結果に対して補正処理を行う。例えば、エッジ補正部106は、対象エッジのデータ系列を平滑化して算出される基準線と、データ系列に含まれる各データとの差分を算出し、各データのうち当該差分が所定の閾値よりも大きいデータを除外する補正処理を行ってもよい。エッジ補正部106は、補正後の検出結果(例えば異常値を除外した後の検出結果)を判定部107に出力する。
【0109】
次に、コントローラ10は、対象エッジの状態を判定する(ステップS28)。ステップS28では、判定部107が、エッジE1,E2,E3の状態をそれぞれ判定する。例えば、判定部107は、エッジE1,E2,E3を含む被膜R1,R2,R3の周縁部分における除去幅をそれぞれ算出し、算出した除去幅が許容範囲かどうかをそれぞれ判定してもよい。なお、判定部107は、周縁部分における除去幅として、複数の測定位置における複数の除去幅の平均を算出してもよい。あるいは、判定部107は、エッジE1,E2,E3について、算出した除去幅が、除去幅の調整が必要な範囲かどうかをそれぞれ判定してもよい。判定部107は、判定結果を出力部108に出力する。
【0110】
次に、コントローラ10は、判定結果を出力する(ステップS29)。例えば、出力部108は、算出された除去幅が、除去幅の調整が必要な範囲である場合に、調整が必要であることを示す信号をエッジ位置調整部113に出力してもよい。この場合、エッジ位置調整部113は、後続ウエハWに対して行われるステップS12,S14,S16でのエッジE1,E2,E3の形成条件(ノズル44の位置情報)をそれぞれ調整してもよい。
【0111】
[作用]
以上の例によれば、複数の選択肢の中から一つの選択肢が特定されたパラメータが複数組み合わされて検査レシピが構成されている。エッジをそれぞれ含む複数の被膜が形成された基板の撮像画像(画像データ)に基づいて、複数のエッジの中から対象エッジを検出しようとしても、単純にコントラス比を用いてエッジを検出する場合には、対象エッジ以外のエッジを検出することもある。以上の例によれば、検査レシピが複数のパラメータの選択肢の組み合わせで構成されるので、対象エッジに適した検査レシピを設定することができる。つまり、検査画像データに複数のエッジが含まれている場合に、対象エッジだけを検出することができるパラメータが組み合わされた検査レシピを設定することができる。その結果、複数のエッジのうちの検査対象のエッジを検査画像データからより確実に検出することが可能となる。
【0112】
以上の例によれば、オペレータからの操作入力によって一つの選択肢が特定されたパラメータが複数組み合わされて検査レシピが構成されている。この場合、オペレータにより対象エッジの検出を試行した上で特定されたパラメータが複数組み合わされて検査レシピが構成される。そのため、複数のエッジのうちの対象エッジを検査画像データからより確実に検出できる検査レシピを構成することが可能となる。
【0113】
以上の例によれば、エッジ補正部106が、エッジ検出部105によって検出された対象エッジのデータ系列を平滑化して算出される基準線と、データ系列に含まれる各データとの差分を算出し、各データのうち当該差分が所定の閾値よりも大きいデータを除外する補正処理を行うように構成されている。この場合、エッジ補正部により補正処理が行われた検出結果では、エッジの検出結果のうち上記差分が閾値よりも大きいような異常データが除外されている。そのため、対象エッジをより精度良く検出することが可能となる。
【0114】
以上の例によれば、エッジ検出部105が、検査画像データ及びサーチ範囲に基づいて、サーチ範囲内から対象エッジ(E1~E3)を検出するように構成されおり、サーチ範囲(SR1~SR3)の大きさが、対象エッジの交差方向における変動範囲に応じて設定されている。この場合、検査画像データにおいて、コントラスト比の変化量が所定の閾値以上となるエッジが対象エッジ以外に存在していても、対象エッジの変動範囲に応じたサーチ範囲において探索が行われることで対象エッジのみが検出され得る。そのため、複数のエッジのうちの対象エッジ以外のエッジを検出せずに、対象エッジを検査画像データから検出することが可能となる。
【0115】
以上の例によれば、パラメータは、変換パラメータと、サーチ方向パラメータと、優先順位パラメータと、フィルタパラメータとからなる群より選択される少なくとも一つを含んでいてもよい。この場合、複数のエッジのうちの対象エッジの特徴に応じて、検査レシピを構成することが可能となる。
【0116】
以上の例によれば、エッジ検出部105が、一の検査レシピを用いて、検査画像データに基づいて、複数の被膜のうち一の検査対象被膜のエッジである一の対象エッジを検出するように構成されていると共に、他の検査レシピを用いて、検査画像データに基づいて、複数の被膜のうち他の検査対象被膜のエッジである他の対象エッジを検出するように構成されている。そして、一の検査レシピを構成するパラメータの組み合わせは、他の検査レシピを構成するパラメータの組み合わせと異なる。この場合、一の検査レシピにより検査画像データに基づき一の対象エッジだけが検出され、且つ、他の検査レシピにより検査画像データに基づき他の対象エッジだけが検出され得る。そのため、複数のエッジのうちの検査対象のエッジそれぞれを検査画像データからより確実に検出することが可能となる。
【0117】
以上の例によれば、エッジ位置調整部113が、複数の対象エッジの検出結果に基づいて、後続ウエハWにおける複数の対象エッジに対応する複数のエッジの位置が目標値に近づくように、処理液L2を吐出する際のユニットU14,U15,U16のノズル44とウエハWとの相対位置をそれぞれ調整する。この場合、後続ウエハWにおいて、複数の対象エッジに対応する複数のエッジの位置を目標値に近づける調整が一緒に行われる。つまり、後続ウエハWにおける複数のエッジの位置の調整を効率的に行うことが可能となる。
【0118】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0119】
(1)例えば、
図18(a)及び
図18(b)に示されるように、被膜R3の外周部分においてエッジE3がウエハWの周方向に沿って形成されない領域DAが存在する場合がある。
図18(a)は、ウエハWの表面Wa全体が撮像された画像を模式的に示す。
図18(b)は、ウエハWの表面Waの周縁部Wdが撮像された画像を模式的に示す。例えば領域DAは、被膜R3の周縁部分のうちの露光処理時の未露光部分により構成される場合がある。記憶部102は、ウエハWの周方向においてエッジ検出の対象外とする領域DA(非検出領域)と、ウエハWの周方向においてエッジ検出の対象とする領域DA以外の領域(検出領域)とを記憶してもよい。例えば、記憶部102には、オペレータからの入力情報に基づいて非検出領域及び検出領域が記憶されてもよい。あるいは、コントローラ10は、検査画像データから領域DAを検出することにより非検出領域を特定し、残部を検出領域として特定してもよい。コントローラ10によって特定された非検出領域及び検出領域は、記憶部102に記憶されてもよい。
【0120】
エッジ補正部106は、エッジ検出部105による検出結果から検出領域外のデータ(非検出領域内のデータ)を除外する補正処理を行ってもよい。エッジ補正部106は、検出領域外のデータを除外する補正処理を行った後に、補正された検出結果を近似して異常値を除外する別の補正処理を更に行ってもよい。コントローラ10は、これらの2つの補正処理を別々に実行する2つの機能モジュール(エッジ補正部)を有していてもよい。
【0121】
この変形例では、エッジ補正部106により補正処理が行われた検出結果において、対象エッジのうちの検出領域外に位置する部分が除外されている。そのため、対象エッジにおいて検出対象となる部分を調節することが可能となる。これにより、例えば、
図18(a)及び
図18(b)に示されるような領域DAを検出対象から除外することが可能となる。
【0122】
(2)エッジ検出部105は、記憶部102に記憶されている検査レシピ及び上記検出領域を用いて、対象エッジのうち検出領域内に位置する部分を検出してもよい。換言すると、エッジ検出部105は、ウエハWの周方向の全周に沿って所定間隔で並ぶ複数の測定位置のうちの検出領域に存在する測定位置において、検査対象のエッジを検出してもよい。この場合、エッジ補正部106は、検出領域内の対象エッジの検出結果に対して、当該検出結果を近似して異常値を除外する補正処理を行ってもよい。
【0123】
この変形例では、予め設定された検出領域に応じて、対象エッジのうちの特定の部分が検出される。そのため、対象エッジにおいて検出対象となる部分を調節することが可能となる。これにより、例えば、
図18(a)及び
図18(b)に示されるような領域DAを検出対象から除外することが可能となる。
【0124】
(3)コントローラ10は、機能モジュールとして、自律的に検査レシピを決定する自動設定部を備えてもよい。自動設定部は、対象エッジの検出に適した結果となるように、検査レシピを構成する複数のパラメータそれぞれについて、複数の選択肢の中から一つの選択肢を特定してもよい。この場合、
図17に示されるように、操作部19に含まれる表示器の操作画面130に、自動設定開始ボタン135が含まれてもよい。自動設定部は、オペレータにより自動設定開始ボタン135が押されたことを示す信号を受けて自律的に検査レシピを決定してもよい。あるいは、自動設定部は、1つの検査対象のエッジに対して、検出に適した複数の検査レシピを決定してもよい。自動設定部は、決定した一つ又は複数の検査レシピを操作画面130に出力してもよい。候補となる複数の検査レシピと共に、いずれの検査レシピを選択するかをオペレータに促す記述も、操作画面130に表示されてもよい。候補となる複数の検査レシピの中から一つの検査レシピがオペレータによって選択された場合、当該検査レシピを用いて対象エッジの検査が行われてもよい。
【0125】
(4)対象エッジを検出する際に、対象のエッジが形成される前の状態のウエハWを撮像して得られる画像データを用いてもよい。以下では、
図19を参照して、ウエハWに被膜R1(前工程被膜)及び被膜R2が順に形成され、被膜R2のエッジE2を対象エッジとする例について説明する。この例において、処理モジュール14,15は、撮像用のユニットU3(撮像ユニット)をそれぞれ有していてもよい。
【0126】
まず、コントローラ10(膜形成制御部112)が、ユニットU14を制御することにより、ウエハWに被膜R1を形成させ(ステップS31)、被膜R1の周縁部分を除去させる(ステップS32)。ステップS31,S32は、
図10に示されるステップS11,S12と同様に行われる。
【0127】
次に、コントローラ10は、被膜R2が形成される前で且つ被膜R1の形成後におけるウエハWの周縁部を撮像して得られた画像データ(以下、「前工程画像データ」という。)を取得する(ステップS33)。ステップS33では、画像データ取得部104が、処理モジュール14のユニットU3から前工程画像データを取得する。この前工程画像データには、被膜R2のエッジE2を示す情報は含まれておらず、被膜R1のエッジE1を示す情報が含まれている。画像データ取得部104は、取得した前工程画像データを記憶部102に出力し、記憶部102は、当該前工程画像データを記憶する。
【0128】
次に、コントローラ10は、ユニットU15を制御することにより、周縁部分が除去された被膜R1上に被膜R2を形成させ(ステップS34)、被膜R2の周縁部分を除去させる(ステップS35)。ステップS34,S35は、
図10に示されるステップS13,S14と同様に行われる。次に、コントローラ10は、エッジ検査処理を行う(ステップS36)。ステップS36は、前工程画像データを用いる点を除き、ステップS17と同様に行われる。ステップS36のエッジ検査処理では、ステップS17と同様に、被膜R2が形成された後にウエハWの周縁部Wdを撮像した撮像画像から得られる検査画像データに基づいて、エッジE2を検出するための検査レシピIR2が記憶部102に記憶される。なお、前工程画像データ及び検査画像データからエッジE1を検出するための検査レシピIR1が記憶部102に記憶されてもよい。
【0129】
ステップS36のエッジ検査処理では、エッジ検出部105は、検査画像データにより示されるエッジE1,E2の情報と前工程画像データによって示されるエッジE1の情報と比較することによって、エッジE2を検出してもよい。例えば、エッジ検出部105は、検査画像データと前工程画像データとの差分処理を行い、エッジE1を示す情報を除外してもよい。あるいは、エッジ検出部105は、前工程画像データからエッジE1を検出した検出結果と、検査画像データからエッジE1,E2の双方を検出した検出結果との差分処理を行い、エッジE1を示す情報を除外してもよい。
【0130】
2つの被膜の形成条件によっては、
図20(a)に示されるように、エッジE1,E2が互いに近接する場合がある。あるいは、
図20(b)に示されるように、エッジE1,E2が近接した状態で互いに交差している場合がある。すなわち、ウエハWの周方向の一部の領域においては、エッジE2がエッジE1よりも外方に位置し、他の領域においては、エッジE1がエッジE2よりも外方に位置する場合がある。これらの場合、検査画像データからエッジE2を検出する際に、測定位置によっては、エッジE2ではなくエッジE1を検出してしまうおそれがある。
【0131】
これに対して、この変形例では、検査画像データによって示される前工程被膜のエッジE1の情報、又は検査画像データから得られる検出結果に含まれる前工程被膜のエッジE1の情報を上記差分処理により除去することができる。そのため、エッジE1がエッジE2に近接して形成されていても、対象エッジ(この例ではエッジE2)をより精度良く検出することが可能となる。
【0132】
(5)エッジ検出部105は、サーチ範囲を用いずに、検査レシピを用いて検査対象のエッジを検出してもよい。
【0133】
(6)基板検査部100は、エッジ補正部106を備えていなくてもよい。この場合、エッジ検出部105による検出結果が補正されることなく、判定部107による検出結果の判定が行われてもよい。
【0134】
(7)基板検査部100は、判定部107を備えていなくてもよい。この場合、出力部108は、エッジ検出部105による検出結果又はエッジ補正部106により補正された検出結果を、コントローラ10内の基板検査部100以外の要素又はコントローラ10外の他の装置に出力してもよい。
【0135】
(8)判定部107は、検査対象のエッジの検出結果からウエハWの周方向において互いに180°離間する測定位置での除去幅同士の差分を算出することで、除去幅の偏心値(周縁部分が除去された被膜の中心とウエハWの中心との間のずれ)を求めてもよい。判定部107は、除去幅の偏心値が閾値よりも大きい場合に、除去幅の偏心の調整が必要であることを示す信号をエッジ位置調整部113に出力してもよい。この場合、エッジ位置調整部113は、除去幅の偏心値が目標値となるようにウエハWとノズル44との相対位置(例えばユニットU1の回転保持部20におけるウエハWの保持位置)を調整してもよい。判定部107は、検査対象のエッジの検出結果に基づいて、検査対象の被膜の周縁部分の除去幅を算出する際に、ウエハWの反り量を求めて、当該反り量に応じて除去幅の算出結果を補正してもよい。なお、エッジ位置調整部113が除去幅の調整値をコントローラ10外の表示器に出力して、オペレータの入力情報により各被膜の形成条件(例えばノズル44の位置情報)が調整されてもよい。
【0136】
(9)ウエハWに4つ以上の被膜が形成されている場合において、コントローラ10(基板検査部100)は、4つ以上の対象エッジに対してエッジ検査処理を行ってもよい。複数の対象エッジを含む複数の被膜は、互いに積層状態でウエハW上に形成されていなくてもよい。例えば、基板検査部100は、ウエハWの表面Wa上において径方向に離間して並ぶ複数の被膜に含まれる各エッジについて、エッジ検査処理を行ってもよい。基板検査部100は、ウエハWの表面Waの周縁部Wdと、端面Wcとを撮像して得られる画像データに基づいて、表面Waの周縁部Wdから端面Wcまで拡がる被膜のエッジの検査を行ってもよい。この場合、撮像画像に含まれる端面Wc上のエッジに交差する交差方向が、ウエハWの厚さ方向に対応していてもよい。基板検査部100は、ウエハWの表面Waの周縁部Wdと、端面Wcと、裏面Wbの周縁部Wdとを撮像して得られる画像データに基づいて、表面Waの周縁部Wdから、端面Wc及び裏面Wbの周縁部Wdまで拡がる被膜のエッジの検査を行ってもよい。
【0137】
(10)エッジ検査処理が行われるタイミングは、上述した例に限定されない。例えば、予め検査対象の被膜が形成されたウエハWが塗布現像装置2に搬入される場合、処理モジュール14による下層膜の形成処理の前に、基板検査部100は当該ウエハWに対してエッジ検査処理を行ってもよい。あるいは、露光処理が行われレジスト膜(被膜R3)に現像処理が施された後に、基板検査部100は当該ウエハWに対してエッジ検査処理を行ってもよい。この場合、レジストパターンにより検査対象のエッジの検出に影響がでる可能性があるが、エッジ補正部106によって検出結果が補正されてもよい。
【0138】
(11)撮像用のユニットU3は、
図6及び
図7に示される例に限定されずに、少なくとも検査対象の被膜に含まれるエッジを撮像できるように構成されていればよい。ユニットU3は、処理モジュール14~17の少なくとも一つに設けられていてもよい。ユニットU3は、処理モジュール14~17に代えて、キャリアブロック4又はインターフェースブロック6に設けられてもよい。例えば、ユニットU3は、棚ユニットU10又は棚ユニットU11に設けられてもよい。
【0139】
(12)基板検査部100(基板検査装置)は、コントローラ10とは別の筐体に収容され、コントローラ10とは別のコンピュータ(回路)として構成されてもよい。基板検査部100は、塗布現像装置2に対して外部から接続可能なコンピュータ又はサーバ装置により構成されていてもよい。このように、基板検査部100は、塗布現像装置2又はコントローラ10と一体的に構成されている必要はなく、必要に応じて有線又は無線で通信接続が可能な外部装置として実現されてもよい。
【0140】
(13)基板処理システム1(基板処理装置)の他の例では、
図21に示されるように、コントローラ10が基板検査部100に代えて、基板検査部100A(基板検査装置)を含んでいてもよい。基板検査部100Aは、機能モジュールとして、周縁算出部141と幅算出部142とを更に含む点において基板検査部100と相違する。
【0141】
周縁算出部141は、ウエハWの理論上の周縁の位置を算出するように構成されている。ウエハWの理論上の周縁とは、ウエハWの実際の周縁と異なり、ウエハWの半径(直径)の設計寸法に基づく理論上の周縁(以下、「理論周縁」という。)である。ウエハWにおける中心と実際の周縁WEとの間の実際の寸法は、例えば、ウエハW自体の個体差、あるいはウエハWの周縁部分を加工する際の誤差等により設計寸法と異なる場合があり、ウエハW間で実際の周縁WEの位置にばらつきが生じ得る。理論周縁は、中心と実際の周縁WEとの距離(周縁WEの位置)のウエハW間でのばらつきの影響を受けない仮想的な周縁である。
【0142】
周縁算出部141は、理論周縁の位置として、画像データ上での理論周縁の位置データを算出するように構成されている。理論周縁の位置は、例えば画像データの原点からの画素(ピクセル)の座標で示される。周縁算出部141は、理論周縁の位置を算出するために用いられるウエハ(以下、「基準ウエハW0」という。)に基づいて、検査対象のウエハWにおける理論周縁の位置を算出するように構成されていてもよい。周縁算出部141は、例えば、基準ウエハW0(基準基板)の中心を基準として得られる、基準ウエハW0の理論上の周縁の位置を、検査対象のウエハWにおける理論周縁の位置として算出するように構成されていてもよい。基準ウエハW0の表面には、基準ウエハW0の中心からの距離を識別するための識別要素(例えば、模様、目盛等)が形成されていてもよい。周縁算出部141は、基準ウエハW0の表面上の識別要素を利用することで理論周縁の位置を算出するように構成されていてもよい。
【0143】
一例として、周縁算出部141は、基準ウエハW0の周縁部の撮像画像から得られる画像データ(以下、「基準画像データ」という。)に基づいて、基準ウエハW0上に予め設定された参照位置RP(
図23(a),(b)参照)の位置データを算出する第1の処理を実行するように構成されていてもよい。記憶部102は、画像データ取得部104により取得された基準画像データを記憶してもよく、周縁算出部141は、記憶部102が記憶している基準画像データに基づき第1の処理を実行するように構成されていてもよい。周縁算出部141は、ウエハWの半径の設計寸法と、基準ウエハW0の中心から参照位置RPとの差分(以下、「差分値」という。)を算出する第2の処理を実行するように構成されていてもよい。周縁算出部141は、参照位置RPの位置データと差分値とに基づいて、理論周縁の位置データを算出する第3の処理を実行するように構成されていてもよい。以下、第1~第3の処理が実行されることで算出される理論周縁の位置データを「第1理論周縁WEr1の位置データ」という。なお、基準ウエハW0は、検査対象のウエハWとは別のウエハであってもよく、検査対象のウエハWの一つであってもよい。
【0144】
周縁算出部141は、検査対象のウエハWの対象エッジ(エッジE1~E3)を検出するための検査画像データに基づいて、ウエハWの周縁WEの位置データ(実際の周縁の位置データ)を算出する第4の処理を実行するように構成されていてもよい。周縁算出部141は、記憶部102が記憶している検査画像データに基づいて第4の処理を実行するように構成されていてもよい。周縁算出部141は、エッジ補正部106において算出されたウエハWの周縁WEの位置データに基づいて、ウエハWの偏心状態を算出する第5の処理を実行するように構成されていてもよい。エッジ補正部106において算出されるウエハWの周縁WEの位置データは、エッジ検出部105において得られる周縁WEの位置データが補正されたものであってもよい。周縁算出部141は、ウエハWの偏心状態を考慮して、第1理論周縁WEr1の位置データを補正することで別の理論周縁の位置データを算出する第6の処理を実行するように構成されていてもよい。以下、第4~第6の処理が実行されることで算出される別の理論周縁の位置データを、「第2理論周縁WEr2の位置データ」という。
【0145】
幅算出部142は、周縁算出部141において得られた理論周縁の位置データとエッジ検出部105において得られた対象エッジの位置データとに基づいて、理論周縁と対象エッジとの幅(除去幅)を算出するように構成されている。幅算出部142は、例えば、第1理論周縁WEr1の位置データと対象エッジの位置データとの画像上の間隔(ピクセル数)に応じて除去幅を算出するように構成されていてもよい。
【0146】
幅算出部142は、第2理論周縁WEr2の位置データと対象エッジの位置データとの画像上の間隔(ピクセル数)に応じて除去幅を算出するように構成されていてもよい。幅算出部142は、周縁算出部141において得られたウエハWの周縁WEの位置データとエッジ検出部105において得られた対象エッジの位置データとに基づいて、ウエハWの周縁WEと対象エッジとの幅(除去幅)を算出するように構成されていてもよい。幅算出部142は、算出した除去幅を判定部107に出力するように構成されていてもよい。判定部107は、幅算出部142において得られた除去幅に基づいて対象エッジの状態を判定するように構成されていてもよい。
【0147】
続いて、基板処理システム1の他の例において実行される、エッジ検査処理を含む基板処理方法について説明する。まず、
図22を参照して、エッジ検査を行うための準備処理について説明する。準備処理は、
図10に示されるステップS11~S18の処理の前に実行されてもよいし、ステップS11~S16と並行して、あるいはステップS11~S16の処理の後に実行されてもよい。
【0148】
準備処理では、コントローラ10が、ユニットU3を制御することにより、基準画像データを取得する(ステップS61)。ステップS61では、例えば、画像データ取得部104が、基準ウエハW0の周縁部を撮像することで生成された撮像画像データを、基準画像データとして取得する。
図23(a)及び
図23(b)には基準ウエハW0の一例が示されており、
図24には基準ウエハW0の周縁部を撮像して得られた撮像画像の一例が示されている。なお、
図23(b)は、
図23(a)に示される基準ウエハW0の切欠きを含む一部の領域Bを拡大した図を示している。
【0149】
基準ウエハW0の表面には、例えば、
図23(a)及び
図23(b)に示されるように、識別要素として、屈折率が互いに異なる領域RA1~RA3を含む模様が形成されている。すなわち、撮像画像上では領域RA1~RA3の間で色情報(RGB値)が異なっている。屈折率が異なる領域の数は2又は4以上であってもよく、2以上の領域間においてRGB値が異なれば、どのような手段により模様が形成されていてもよい。
【0150】
図23(a)及び
図23(b)に示される例では、領域内に形成される回路パターン等の違いにより領域間において屈折率の違いが形成されている。複数の領域RA1と複数の領域RA2とは、表面の大部分において規則的に配列されている。具体的には、複数の領域RA1,RA2が一方向(紙面縦方向)にそれぞれ並び、且つ領域RA1と領域RA2とが一方向に直交する方向(紙面横方向)に交互に並ぶように、複数の領域RA1,RA2が表面に形成されている。領域RA3は、各領域RA1及び各領域RA2を囲むように格子状に形成されている。領域RA3は、例えば表面に回路パターン等が形成されていない領域である。
【0151】
画像データ取得部104は、例えば、ユニットU3の周縁撮像サブユニット80により、上述の基準ウエハW0を撮像して得られる撮像画像データ(基準画像データ)を取得してもよい。
図24に示される周縁部の撮像画像においても、領域RA1~RA3が表れている。画像データ取得部104は、取得した基準画像データを記憶部102に出力し、記憶部102は、当該基準画像データを記憶する。
【0152】
次に、コントローラ10は、基準ウエハW0上に予め設定された参照位置RPの位置データを算出する第1の処理を実行する(ステップS62)。ステップS62では、例えば、周縁算出部141が、記憶部102に記憶されている基準画像データに基づいて、参照位置RPの位置データを算出する。参照位置RPは、例えば、オペレータ等により予め設定されており、基準ウエハW0の中心からの実際の距離が既知の位置である。参照位置RPは、
図23(a)及び
図23(b)に例示されるように、ウエハWの周縁に設けられた切欠きの近傍に位置する領域RA1と領域RA3との境界に設定されていてもよい。周縁算出部141は、基準画像データ上の切欠きを含む縦方向のピクセル群において、例えば上方向からコントラスト比を算出していくことで、画像上の参照位置RPの位置(ピクセル値)を検出する。周縁算出部141は、例えば、基準画像データの紙面左上隅を原点Oとして、抽出した参照位置RPの縦方向の座標を参照位置RPの位置データ(原点Oと参照位置RPとの画像上の間隔Da[ピクセル])として算出する。
【0153】
次に、コントローラ10は、ウエハWの半径の設計寸法と参照位置RPの中心からの実際の距離との差分値を算出する第2の処理を実行する(ステップS63)。ウエハWの半径の設計寸法及び参照位置RPの中心からの実際の距離は既知の値であり、例えばオペレータ等により記憶部102に予め記憶されている。一例として、ウエハWの半径の設計寸法が150mmであり、中心からの参照位置RPの設計上の位置(既知の距離)が145mmである場合、周縁算出部141は、差分値を5mmとして算出する。
【0154】
次に、コントローラ10は、第1理論周縁WEr1の位置データを算出する第3の処理を実行する(ステップS64)。ステップS64では、例えば、周縁算出部141が、参照位置RPの位置を示す間隔Daと差分値とに基づいて、第1理論周縁WEr1の位置データを算出する。周縁算出部141は、ステップS63で得られた差分値を1ピクセルあたりの大きさ[mm/ピクセル]で除算することによって、
図24に示されるように、差分値に対応する画像上の間隔Db[ピクセル]を算出する。なお、1ピクセルあたりの大きさは、ユニットU3における光学系部品の設定値及び配置等により定まる既知の値である。そして、周縁算出部141は、参照位置RPの位置に対応する間隔Daと、差分値に対応する間隔Dbとを加算することで、第1理論周縁WEr1の位置データを算出する。周縁算出部141は、周方向における全ての測定位置(角度)において、間隔Daと間隔Dbとの加算値を、第1理論周縁WEr1の位置データとして算出する。
【0155】
以上のステップS62~S64を実行することで、周縁算出部141は、基準ウエハW0における第1理論周縁WEr1の位置を算出する。周縁算出部141は、例えば、第1理論周縁WEr1の位置データを記憶部102に出力し、記憶部102は、第1理論周縁WEr1の位置データを記憶する。ステップS62~S64を実行することで得られる第1理論周縁WEr1の位置データは、基準ウエハW0だけでなく、当該ユニットU3において撮像される検査対象のウエハWの周縁部分の撮像画像においても、第1理論周縁WEr1の位置データとして用いられてもよい。つまり、周縁算出部141は、基準ウエハW0の理論上の周縁の位置を、検査対象のウエハWの理論周縁の位置として算出してもよい。
【0156】
次に、コントローラ10は、
図10に示されるステップS11~ステップS16を実行する。そして、コントローラ10は、ステップS17のエッジ検査処理において、
図14に示されるエッジ検査処理に代えて、
図25に示されるエッジ検査処理を実行する。
図25に示されるエッジ検査方法は、ステップS28に代えて、ステップS128の判定処理を実行する点において、
図14のエッジ検査処理と相違する。ステップS128の判定処理の一例について、
図26を参照して、以下に説明する。
【0157】
この判定処理では、まず、コントローラ10は、検査対象のウエハWの周縁WEの位置データを算出する第4の処理を実行する(ステップS71)。ステップS71では、例えば、周縁算出部141が、記憶部102に記憶されている検査画像データに基づいて、ウエハWの周縁WEの位置データを算出する。周縁算出部141は、例えば、
図27に示されるように、ウエハWの周方向における複数の測定位置(例えば、360点)それぞれの縦方向のピクセル群において、隣り合うピクセル同士のコントラスト比を算出していくことで周縁WEの位置を検出する。周縁算出部141は、縦方向のピクセル群において、例えばコントラスト比が所定値以上となる座標を検出し、当該座標を周縁WEの位置データとして算出する。
【0158】
次に、コントローラ10は、ステップS71で検出された周縁WEと対象エッジとの除去幅を算出する(ステップS72)。ステップS72では、例えば、幅算出部142が、
図27に示されるように、ウエハWの複数の測定位置それぞれについて、周縁WEの位置データと対象エッジ(例えば、エッジE1)の位置データとの差分に基づき、画像上の間隔Dc[ピクセル]を算出する。そして、幅算出部142は、間隔Dcに1ピクセルあたりの大きさ[mm/ピクセル]を乗算することで、周縁WEと対象エッジとの除去幅を算出する。この除去幅は、実際の周縁WEからの対象エッジの位置に相当する。
【0159】
次に、コントローラ10は、検査対象のウエハWの偏心状態を算出する第5の処理を実行する(ステップS73)。ステップS73では、例えば、周縁算出部141が、ウエハWの周縁WEの位置データに基づいて、第1理論周縁WEr1の中心に対する偏心の程度を算出する。周縁算出部141は、公知の方法により、第1理論周縁WEr1の中心に対する周縁WEの偏心量Aと偏心角αとを算出してもよい。一例として、周縁算出部141は、まず、複数の測定位置(測定角度θ)のうち、ウエハWの周方向の0°、90°、180°、及び270°の4箇所において、第1理論周縁WEr1の位置データと周縁WEの位置データとの差分L0,L90,L180,L270をそれぞれ算出する。そして、周縁算出部141は、偏心t,uを
t=(L90-L270)/2
u=(L180-L0)/2
とそれぞれ定義した場合に、下記の式1,2により偏心量A及び偏心角αを算出する。なお、周縁算出部141は、0°から所定角度ずれた位置を含み、互いに90°間隔で離間する4箇所の測定位置での差分を更に考慮して、偏心量A及び偏心角αを算出してもよい。
【数1】
【数2】
【0160】
次に、コントローラ10は、第2理論周縁WEr2の位置データを算出する第6の処理を実行する(ステップS74)。ステップS74では、例えば、周縁算出部141が、ステップS73で算出されたウエハWの偏心状態を考慮して、第1理論周縁WEr1の位置データに基づいて第2理論周縁WEr2の位置データを算出する。一例として、第1理論周縁WEr1の位置データを、ウエハWの周方向の角度θに対する関数として「WE1(θ)」で表し、第2理論周縁WEr2の位置データを、ウエハWの周方向の角度θに対する関数として「WE2(θ)」と表した場合に、周縁算出部141は、下記の式3により第2理論周縁WEr2の位置データを算出する。
【数3】
【0161】
次に、コントローラ10は、第2理論周縁WEr2と対象エッジとの除去幅を算出する(ステップS75)。ステップS75では、例えば、幅算出部142が、
図27に示されるように、ウエハWの複数の測定位置それぞれについて、第2理論周縁WEr2の位置データと対象エッジの位置データとの差分に基づき、画像上の間隔Dd[ピクセル]を算出する。そして、幅算出部142は、間隔Ddに1ピクセルあたりの大きさ[mm/ピクセル]を乗算することで、第2理論周縁WEr2と対象エッジとの除去幅を算出する。この除去幅は、ステップS72で算出される除去幅と異なり、理論上の周縁からの対象エッジの位置に相当する(ウエハWの中心を基準とした対象エッジの位置に対応する)。
【0162】
次に、コントローラ10は、除去幅に基づいて対象エッジの状態を判定する(ステップS76)。ステップS76において、判定部107は、例えば、ステップS72で算出された除去幅(平均の除去幅)が許容範囲かどうかを判定してもよい。判定部107は、例えば、後述する相対位置の調整が必要な範囲にステップS72で算出された除去幅が存在しているかどうかを判定してもよい。判定部107は、ステップS74で算出された除去幅(平均の除去幅)が許容範囲かどうかを判定してもよい。判定部107は、例えば、後述する相対位置の調整が必要な範囲にステップS74で算出された除去幅が存在しているかどうかを判定してもよい。判定部107は、判定結果を出力部108に出力する。
【0163】
図25に戻り、コントローラ10(出力部108)は、ステップS128の実行後のステップS29において、ステップS75での判定結果を出力する。例えば、出力部108は、ステップS74で算出された第2理論周縁WEr2に基づく除去幅が、調整が必要な範囲である場合に、調整が必要であることを示す信号をエッジ位置調整部113に出力してもよい。この場合、エッジ位置調整部113は、検査対象のウエハWよりも後に処理される後続ウエハWに対して行われるステップS12でのエッジE1等の対象エッジの形成条件(ノズル44の位置情報等)を調整してもよい。
【0164】
エッジ位置調整部113は、ステップS74での除去幅の算出結果に基づいて、後続ウエハWに形成される対象エッジの第2理論周縁WEr2に基づく除去幅が目標値に近づくように、ノズル44と回転保持部20に保持されたウエハWとの相対位置を調整してもよい。エッジ位置調整部113は、例えば、第2理論周縁WEr2に基づく除去幅の調整が必要であることを示す信号を受けた場合に、ステップS74で算出された除去幅と目標値との偏差に応じて調整値を算出してもよい。エッジ位置調整部113は、算出した調整値により動作指令保持部111に保持されている塗布条件(例えば、ノズル44の位置情報、ウエハWが回転保持部20において保持される位置の情報など)を修正してもよい。これにより、後続ウエハW(別の基板)上に、第2理論周縁WEr2と対象エッジとの除去幅が調整された状態で対象エッジを含む被膜が形成され得る。
【0165】
以上に説明した基板検査部100Aを備える基板処理システム1の他の例においても、基板検査部100を備える基板処理システム1の例と同様に、複数のエッジのうちの検査対象のエッジを検査画像データからより確実に検出することが可能となる。
【0166】
以上の他の例では、基板検査部100Aは、ウエハWの理論上の周縁(理論周縁)の位置を算出するように構成された周縁算出部141と、周縁算出部141において得られた理論周縁の位置データとエッジ検出部105において得られた対象エッジの位置データとに基づいて、理論周縁と対象エッジとの幅を算出するように構成された幅算出部142とを更に備える。理論周縁の位置は、ウエハWの半径の大きさのばらつきの影響を受けない。上記構成では、理論周縁の位置に基づき、周縁と対象エッジとの除去幅を算出するので、ウエハWの半径方向の大きさのばらつきの影響を受けずに、対象エッジを含む被膜の大きさを容易に調整することが可能となる。
【0167】
以上の他の例では、周縁算出部141は、基準ウエハW0の中心を基準として得られる基準ウエハW0の理論上の周縁の位置を理論周縁の位置として算出するように構成されている。この場合、基準ウエハW0の中心を基準としたウエハWの理論周縁を考慮して上記除去幅が得られる。そのため、ウエハWの半径方向の大きさのばらつきの影響を受けずに、ウエハWの中心を基準として対象エッジの位置を容易に調整することが可能となる。
【0168】
以上の他の例では、周縁算出部141は、基準ウエハW0の周縁部の撮像画像から得られる基準画像データに基づいて、基準ウエハW0上に予め設定された参照位置RPの位置データを算出する処理と、ウエハWの半径の設計寸法と、基準ウエハW0の中心から参照位置RPまでの距離との差分値を算出する処理と、参照位置RPの位置データと理論幅とに基づいて、理論周縁WEr1の位置データを算出する処理とを実行するように構成されている。この構成では、基準画像データに基準ウエハW0の中心が含まれていなくても、中心を基準とした理論周縁WEr1の位置データを算出することが可能となる。
【0169】
以上の他の例では、周縁算出部141は、検査画像データに基づいて、ウエハWの周縁WEの位置データを算出する処理と、ウエハWの周縁WEの位置データに基づいて、ウエハWの偏心状態を算出する処理と、ウエハWの偏心状態を考慮して、理論周縁WEr2の位置データを算出する処理とを実行するように構成されている。この場合、検出対象のウエハWの偏心状態を考慮した上で、理論周縁の位置と対象エッジの位置との除去幅を算出することが可能となる。すなわち、除去幅の算出精度をより向上させることが可能となる。
【0170】
以上の他の例では、周縁算出部141は、検査画像データに基づいて、ウエハWの周縁WEの位置データを算出するように構成されている。幅算出部142は、周縁算出部141において得られたウエハWの周縁WEの位置データとエッジ検出部105において得られた対象エッジの位置データとに基づいて、ウエハWの周縁WEと対象エッジとの幅を算出するように構成されている。この場合、理論周縁と対象エッジとの除去幅に加えて、実際の周縁と対象エッジとの除去幅も算出できるので、算出方法の選択肢を増やすことが可能となる。
【0171】
図28(a)~
図28(c)は、ウエハWの半径の実際の寸法がばらつく場合において、理論周縁に基づく除去幅を目標値に近づけるようにノズル44とウエハWとの相対位置を調整した際の被膜の形成範囲の一例を示している。
図28(a)は、ウエハWの実際の半径rが設計寸法(設計値R0)よりも小さい場合を示し、
図28(b)は、半径rが設計値R0と同じである場合を示し、
図28(c)は、半径rが設計値R0よりも大きい場合を例示している。
図28(a)及び
図28(c)では、理論周縁が「WEr」として示されており、
図28(b)では、半径rが設計値R0と同じであり、理論周縁WErはウエハWの周縁WEと重なるので、理論周縁WErの図示は省略されている。なお、理論周縁WErは、半径rの大きさにかかわらず同じ位置に設定されている。
【0172】
理論周縁WErと対象エッジ(例えばエッジE1)との幅が目標値に近づくように、ノズル44とウエハWとの相対位置が調整されることで、理論周縁WErからの対象エッジの位置が略一定の値に調整される。すなわち、ウエハWの中心からの被膜の実際の半径aが、ウエハWの実際の半径rの大きさに依らずに(半径rに誤差が含まれていても)略一定の値に調整される。このように、対象エッジの位置を理論周縁WErから略一定の値に調整することで、ウエハW間での半径rの大きさのばらつきの影響を受けずに、当該対象エッジを含む被膜の大きさ(面積)を略一定に調整することが可能となる。
【0173】
(14)上述の他の例において、理論周縁に基づき被膜の大きさを略一定に調整することに関しては、単一のエッジ(単一の被膜)が形成されたウエハWにおいてエッジを検出する場合でも可能となる。例えば、コントローラ10は、
図10のステップS11,S12を実行し、ステップS13の実行前にエッジ検査処理を実行してもよい。このエッジ検査処理では、コントローラ10が、検査レシピ等を用いずにコントラス比に基づいて1つの対象エッジ(エッジE1)を検出してもよい。そして、コントローラ10は、エッジE1と理論周縁との除去幅を算出し、後続ウエハWでの除去幅の調整を行ってもよい。
【0174】
(15)基準ウエハW0として、検査対象のウエハWを用いる場合、コントローラ10は、例えば最初の検査対象のウエハWに対する処理において、ステップS61~S64の準備処理を、
図10のステップS16の実行後(露光処理の後)に行ってもよい。この場合、コントローラ10(周縁算出部141)は、ステップS61を省略して、検査画像データを基準画像データとして用いてもよい。周縁算出部141は、ステップS62において、露光処理での処理結果の特定の箇所を参照位置RPとして用いてもよい。なお、コントローラ10は、準備処理を行うことなく、オペレータ等により予め定められた画像上の位置を第1理論周縁WEr1の位置としてステップS128の処理を行ってもよい。
【0175】
(16)上述の他の例では、幅算出部142は、第2理論周縁WEr2と対象エッジとの除去幅を算出しているが、偏心を考慮していない第1理論周縁WEr1と対象エッジとの除去幅を算出してもよい。この場合、幅算出部142は、第2理論周縁WEr2の算出を含むステップS73~S75の処理を省略してもよい。コントローラ10は、第1理論周縁WEr1に基づく除去幅が目標値に近づくように、ノズル44とウエハWとの相対位置(ノズル44の位置情報)を調整してもよい。
【0176】
(17)上述の他の例では、ステップS128において、周縁算出部141は、周縁WEに基づく除去幅の算出と第2理論周縁WEr2に基づく除去幅の算出とを行うが、周縁WEに基づく除去幅の算出を省略してもよい。周縁算出部141が上記2つの除去幅の算出を実行するように構成されている場合に、オペレータ等により除去幅の算出方法を示す情報が入力されてもよい。周縁算出部141は、当該入力情報に応じて、周縁WEに基づく除去幅の算出と第2理論周縁WEr2(第1理論周縁WEr1)に基づく除去幅の算出とのいずれか一方を実行してもよい。
【0177】
[例示]
例1.本開示の一つの例に係る基板検査装置は、複数の被膜(R1~R3)が形成されている基板(W)の周縁部(Wd)の撮像画像から得られる検査画像データと、検査レシピ(IR1~IR3)とを記憶するように構成された記憶部(102)と、記憶部(102)に記憶されている検査レシピ(IR1~IR3)を用いて、記憶部(102)に記憶されている検査画像データに基づいて、複数の被膜(R1~R3)のうち検査対象被膜のエッジである対象エッジ(E1~E3)を検出するように構成されたエッジ検出部(105)とを備える。複数の被膜(R1~R3)のそれぞれのエッジ(E1~E3)は基板(W)の周縁(WE)に沿って延びている。検査レシピ(IR1~IR3)は、複数の選択肢の中から一つの選択肢が特定されたパラメータが複数組み合わされて構成されている。この場合、複数のパラメータの選択肢の組み合わせで検査レシピが構成されるので、対象エッジに適した検査レシピを構成することができる。つまり、検査画像データに複数のエッジが含まれている場合に、対象エッジだけを検出することができるパラメータが組み合わされた検査レシピを設定することができる。その結果、複数のエッジのうちの検査対象のエッジを検査画像データからより確実に検出することが可能となる。
【0178】
例2.例1の基板検査装置において、検査レシピ(IR1~IR3)は、オペレータからの操作入力によって上記一つの選択肢が特定されたパラメータが複数組み合わされて構成されていてもよい。この場合、オペレータにより対象エッジの検出を試行した上で特定されたパラメータが複数組み合わされて検査レシピが構成される。そのため、複数のエッジのうちの対象エッジを検査画像データからより確実に検出できる検査レシピを構成することが可能となる。
【0179】
例3.例1又は例2の基板検査装置において、記憶部(102)は、エッジ検出部(105)によるエッジ検出が行われる領域として予め設定された検出領域を記憶するように構成されていてもよい。エッジ検出部(105)は、記憶部(102)に記憶されている検査レシピ(IR1~IR3)及び検出領域を用いて、対象エッジ(E1~E3)のうち検出領域内に位置する部分を検出するように構成されていてもよい。この場合、予め設定された検出領域に応じて、対象エッジのうちの特定の部分が検出されるので、対象エッジにおいて検出対象となる部分を調節することが可能となる。
【0180】
例4.例1又は例2の基板検査装置は、エッジ補正部(106)を更に備えていてもよい。この基板検査装置において、記憶部(102)は、エッジ検出部(105)によるエッジ検出が行われる領域として予め設定された検出領域を記憶するように構成されていてもよい。エッジ補正部(106)は、エッジ検出部(105)による検出結果から検出領域外のデータを除外する補正処理を行うように構成されていてもよい。この場合、エッジ補正部により補正処理が行われた検出結果では、対象エッジのうちの検出領域外に位置する部分が除外されている。そのため、対象エッジにおいて検出対象となる部分を調節することが可能となる。
【0181】
例5.例1~例4のいずれか一つの基板検査装置は、エッジ検出部(105)によって検出された対象エッジ(E1~E3)のデータ系列を平滑化して算出される基準線と、データ系列に含まれる各データとの差分を算出し、各データのうち当該差分が所定の閾値よりも大きいデータを除外する補正処理を行うように構成されたエッジ補正部を更に備えていてもよい。この場合、エッジ補正部により補正処理が行われた検出結果では、エッジの検出結果のうち上記差分が閾値よりも大きいような異常データが除外されている。そのため、対象エッジをより精度良く検出することが可能となる。
【0182】
例6.例1~例5のいずれか一つの基板検査装置において、複数の被膜(R1,R2)は、検査対象被膜(R2)よりも前に形成された前工程被膜(R1)を含んでいてもよい。記憶部(102)は、検査対象被膜(R2)の形成前で且つ前工程被膜(R1)の形成後における基板(W)の周縁部(Wd)を撮像して得られた前工程画像データを記憶するように構成されていてもよい。エッジ検出部(105)は、検査画像データに含まれる複数の被膜(R1,R2)それぞれのエッジ(E1,E2)を示す情報と前工程画像データに含まれる前工程被膜(R1)のエッジ(E1)を示す情報との比較により、対象エッジ(E2)を検出するように構成されていてもよい。この場合、検査画像データによって示される前工程被膜のエッジの情報、又は検査画像データから得られる検出結果に含まれる前工程被膜のエッジの情報を差分処理により除去することができる。そのため、前工程エッジが対象エッジに近接して形成されていても、対象エッジをより精度良く検出することが可能となる。
【0183】
例7.例1~例6のいずれか一つの基板検査装置において、記憶部(102)は、撮像画像に含まれる複数の被膜(R1~R3)のエッジ(E1~E3)に交差する交差方向において対象エッジ(E1~E3)を探索する範囲を規定するサーチ範囲(SR1~SR3)を記憶するように構成されていてもよい。エッジ検出部(105)は、記憶部(102)に記憶されている検査レシピ(IR1~IR3)を用いて、記憶部(102)に記憶されている検査画像データ及びサーチ範囲(SR1~SR3)に基づいて、サーチ範囲(SR1~SR3)内から対象エッジ(E1~E3)を検出するように構成されていてもよい。サーチ範囲(SR1~SR3)の大きさは、対象エッジ(E1~E3)の上記交差方向における変動範囲に応じて設定されていてもよい。この場合、検査画像データにおいて、コントラスト比の変化量が所定の閾値以上となるエッジが対象エッジ以外に存在していても、対象エッジの変動範囲に応じたサーチ範囲において探索が行われることで対象エッジのみが検出され得る。そのため、複数のエッジのうちの対象エッジ以外のエッジを検出せずに、対象エッジを検査画像データから検出することが可能となる。
【0184】
例8.例1~例7のいずれか一つの基板検査装置において、パラメータは、検査画像データの色属性を変換するための変換条件を示す変換パラメータと、対象エッジ(E1~E3)を探索する向きを示すサーチ方向パラメータと、複数の被膜(R1~R3)のエッジ(E1~E3)から一つの対象エッジを選択するための優先順位を示す優先順位パラメータと、対象エッジ(E1~E3)に含まれる外乱による影響を除去するフィルタ処理の使用有無を示すフィルタパラメータとからなる群より選択される少なくとも一つを含んでいてもよい。この場合、複数のエッジのうちの対象エッジの特徴に応じて、検査レシピを構成することが可能となる。
【0185】
例9.例1~例8のいずれか一つの基板検査装置は、基板(W)の理論上の周縁(WEr1,WEr2)の位置を算出するように構成された周縁算出部(141)と、周縁算出部(141)において得られた基板(W)の理論上の周縁(WEr1,WEr2)の位置データとエッジ検出部(105)において得られた対象エッジ(E1~E3)の位置データとに基づいて、基板(W)の理論上の周縁(WEr1,WEr2)と対象エッジ(E1~E3)との幅(Dd)を算出するように構成された幅算出部(142)とを更に備えてもよい。この場合、基板の理論上の周縁を考慮して上記幅が得られる。そのため、基板の半径方向の大きさのばらつきの影響を受けずに、対象エッジを含む被膜の大きさを容易に調整することが可能となる。
【0186】
例10.例9の基板検査装置において、周縁算出部(141)は、基準基板(W0)の中心を基準として得られる基準基板(W0)の理論上の周縁の位置を基板(W)の理論上の周縁(WEr1,WEr2)の位置として算出するように構成されていてもよい。この場合、基準基板の中心を基準とした基板の理論上の周縁を考慮して上記幅が得られる。そのため、基板の半径方向の大きさのばらつきの影響を受けずに、基板の中心を基準として対象エッジの位置を容易に調整することが可能となる。
【0187】
例11.例10の基板検査装置において、周縁算出部(141)は、基準基板(W0)の周縁部の撮像画像から得られる基準画像データに基づいて、基準基板(W0)上に予め設定された参照位置(RP)の位置データを算出する処理と、基板(W)の半径の設計寸法と、基準基板(W0)の中心から参照位置(RP)までの距離との差分(Db)を算出する処理と、参照位置(RP)の位置データと差分(Db)とに基づいて、基準基板(W0)の理論上の周縁の位置データを算出する処理とを実行するように構成されていてもよい。この場合、基準画像データに基準基板の中心が含まれていなくても、中心を基準とした理論上の周縁の位置を算出することが可能となる。
【0188】
例12.例9~例11のいずれか一つの基板検査装置において、周縁算出部(141)は、検査画像データに基づいて、基板(W)の周縁(WE)の位置データを算出する処理と、基板(W)の周縁(WE)の位置データに基づいて、基板(W)の偏心状態を算出する処理と、基板(W)の偏心状態を考慮して、基板(W)の理論上の周縁(WEr2)の位置データを算出する処理とを実行するように構成されていてもよい。この場合、検出対象の基板の偏心状態を考慮した上で、基板の理論上の周縁と対象エッジとの幅を算出することが可能となる。
【0189】
例13.例9~例12のいずれか一つの基板検査装置において、周縁算出部(141)は、検査画像データに基づいて、基板(W)の周縁(WE)の位置データを算出するように構成されていてもよい。幅算出部(142)は、周縁算出部(141)において得られた基板(W)の周縁(WE)の位置データとエッジ検出部(105)において得られた対象エッジ(E1~E3)の位置データとに基づいて、基板(W)の周縁(WE)と対象エッジ(E1~E3)との幅(Dc)を算出するように構成されていてもよい。この場合、基板の理論上の周縁と対象エッジとの幅に加えて、基板の実際の周縁と対象エッジとの幅も算出できるので、算出方法の選択肢を増やすことが可能となる。
【0190】
例14.本開示の一つの例に係る基板処理装置は、複数の被膜(R1~R3)を基板(W)に形成するように構成された被膜形成ユニット(U14~U16)と、基板(W)の周縁部(Wd)を撮像して撮像画像を取得するように構成された撮像ユニット(U3)と、複数の被膜(R1~R3)のうち検査対象被膜のエッジである対象エッジ(E1~E3)を検査するように構成された制御ユニット(10)とを備える。制御ユニット(10)は、撮像画像から得られる検査画像データと、検査レシピ(IR1~IR3)とを記憶するように構成された記憶部(102)と、記憶部(102)に記憶されている検査レシピ(IR1~IR3)を用いて、記憶部(102)に記憶されている検査画像データに基づいて、対象エッジ(E1~E3)を検出するように構成されたエッジ検出部(105)とを有する。複数の被膜(R1~R3)のそれぞれのエッジは基板(W)の周縁(WE)に沿って延びている。検査レシピ(IR1~IR3)は、複数の選択肢の中から一つの選択肢が特定されたパラメータが複数組み合わされて構成されている。この場合、上述と同様に、複数のエッジが含まれる検査画像データにおいて、対象エッジだけを検出することができるパラメータの組み合わせで検査レシピを設定でき得る。その結果、複数のエッジのうちの検査対象のエッジを検査画像データからより確実に検出することが可能となる。
【0191】
例15.本開示の一つの例に係る基板処理装置は、複数の被膜(R1~R3)を基板(W)に形成するように構成された被膜形成ユニット(U14~U16)と、基板(W)の周縁部(Wd)を撮像して撮像画像を取得するように構成された撮像ユニット(U3)と、複数の被膜(R1~R3)のうち検査対象被膜(R1,R2)のエッジである対象エッジ(E1,E2)を検査するように構成された制御ユニット(10)とを備える。制御ユニット(10)は、撮像画像から得られる検査画像データと、第1の検査レシピ(IR1)と、第2の検査レシピ(IR2)とを記憶するように構成された記憶部(102)と、記憶部(102)に記憶されている第1の検査レシピ(IR1)を用いて、記憶部(102)に記憶されている検査画像データに基づいて、複数の被膜のうち一の検査対象被膜(R1)のエッジである第1の対象エッジ(E1)を検出するように構成されていると共に、記憶部(102)に記憶されている第2の検査レシピ(IR2)を用いて、記憶部(102)に記憶されている検査画像データに基づいて、複数の被膜のうち他の検査対象被膜(R2)のエッジである第2の対象エッジ(E2)を検出するように構成されたエッジ検出部(102)とを有する。複数の被膜(R1,R2)のそれぞれのエッジ(E1,E2)は基板(W)の周縁(Wd)に沿って延びている。第1及び第2の検査レシピ(IR1,IR2)はそれぞれ、複数の選択肢の中から一つの選択肢が特定されたパラメータが複数組み合わされて構成されている。第1の検査レシピ(IR1)を構成するパラメータの組み合わせは、第2の検査レシピ(IR2)を構成するパラメータの組み合わせと異なる。この場合、第1の検査レシピにより検査画像データに基づき第1の対象エッジだけが検出され、且つ、第2の検査レシピにより検査画像データに基づき第2の対象エッジだけが検出され得る。そのため、複数のエッジのうちの検査対象のエッジそれぞれを検査画像データからより確実に検出することが可能となる。
【0192】
例16.例15の基板処理装置において、被膜形成ユニット(U14,U15)は、第1の対象エッジ(E1)を形成する処理液(L2)を吐出する第1のノズル(44)と、第2の対象エッジ(E2)を形成する処理液(L2)を吐出する第2のノズル(44)とを有してもよい。制御ユニット(10)は、第1及び第2の対象エッジ(E1,E2)の検出結果に基づいて、第1及び第2の対象エッジ(E1,E2)を含む複数の被膜(R1~R3)が形成された後に、被膜形成ユニット(U1,U2)において別の基板(W)に形成される複数の被膜(R1~R3)に含まれる第1及び第2の対象エッジ(E1,E2)に対応するエッジの位置が目標値に近づくように、処理液(L2)を吐出する際の第1及び第2のノズル(44,44)と別の基板(W)との相対位置をそれぞれ調整するように構成されたエッジ位置調整部を更に有していてもよい。この場合、後に処理される基板において、第1及び第2の対象エッジに対応する複数のエッジの位置を目標値に近づける調整が一緒に行われる。つまり、後続の基板における複数のエッジの位置の調整を効率的に行うことが可能となる。
【0193】
例17.本開示の一つの例に係る基板検査方法は、複数の被膜(R1~R3)が形成されている基板(W)の周縁部(Wd)の撮像画像から検査画像データを生成することと、検査レシピ(IR1~IR3)を用いて、検査画像データに基づいて複数の被膜(R1~R3)のうち検査対象被膜のエッジである対象エッジ(E1~E3)を検出することとを含む。複数の被膜(R1~R3)のそれぞれのエッジ(E1~E3)は基板(W)の周縁(WE)に沿って延びている。検査レシピ(IR1~IR3)は、複数の選択肢の中から一つの選択肢が特定されたパラメータが複数組み合わされて構成されている。この場合、例1と同様の作用効果を奏する。
【0194】
例18.コンピュータ読み取り可能な記録媒体の一例は、例17の基板検査方法を基板検査装置に実行させるためのプログラムを記録している。この場合、例12(例1)と同様の作用効果を奏する。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な記録媒体には、一時的でない有形の媒体(non-transitory computer recording medium)(例えば、各種の主記憶装置又は補助記憶装置)及び伝播信号(transitory computer recording medium)(例えば、ネットワークを介して提供可能なデータ信号)が含まれる。
【符号の説明】
【0195】
1…基板処理システム、2…塗布現像装置、10…コントローラ、100…基板検査部、102…記憶部、105…エッジ検出部、106…エッジ補正部、113…エッジ位置調整部、W…ウエハ、R1,R2,R3…被膜、E1,E2,E3…エッジ、U1,U14~U16…液処理用のユニット、U3…撮像用のユニット、RM…記録媒体。